説明

耐火被覆及び耐火被覆の施工方法

【課題】 耐火性能が高く、外観の美しさを備えた耐火被覆及びその施工方法を提供すること。
【解決手段】 鋼材の板である基材3の表面のうちの一部に、ロックウール被覆5を、湿式吹きつけ法により25mmの厚みで形成した。次に、発泡耐火塗料7をスプレーで2mm厚に塗布した。このとき、ロックウール被覆5で覆われた領域と、発泡耐火塗料7で覆われた部分との間に、基材3が露出している部分(境界部4)を形成した。また、発泡耐火塗料7の厚みは、境界部4に隣接する端部7aでは局所的に厚くした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、建造物の柱や梁等の表面に形成される耐火被覆及びその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄骨造の建物においては、鋼材から成る柱や梁に耐火被覆を施すことが必要である。それは、鋼材は不燃材料であるが、温度が450°C以上になると強度が急激に落ちて、800〜1200°Cに達すると、火災には必然的に耐えられなくなるからである。そのため、建設省は、建物の部位ごとに、一定の耐火性能を指定している。
【0003】
そこで、従来より、鋼材から成る柱や梁の耐火性能を向上させる目的で、その表面に、湿式吹きつけによりロックウール被覆を形成したり(非特許文献1参照)、耐火モルタルを塗布したり(特許文献1、特許文献2参照)、ケイ酸カルシウム板を張り付けることが行われてきた。
【0004】
しかし、上記の方法で形成される耐火被覆は施工後の外観が必ずしも美しくないという問題があった。その理由としては、以下のものが挙げられる。
(i)上記の方法で形成される耐火被覆は比較的厚付けするものが多いので、被覆材が基材から大きくつきだし、圧迫感を与える。
【0005】
(ii)ロックウール、耐火モルタル、ケイ酸カルシウム板は施工後の欠損の補修が困難であるため、欠損が生じるとそのまま残ってしまう。
(iii)ロックウールは所望の色に仕上げることが困難であり、また、表面強度が弱いため、物が当たったときに欠けやすい。
【0006】
(iv)ケイ酸カルシウム板は衝撃に弱いため欠けやすく、定形の板であるため継ぎ目が生じてしまう。
また、上記の耐火被覆を建築現場で施工する際には、大量の塗材等を搬入しなければならず、重量も大きいため運送費用がかさむという問題があった。
【0007】
更に、上記の耐火被覆は厚付け、厚みが大きいので、建物の利用空間が小さくなるという問題があった。
そこで、建物においてある程度の耐火性が必要であり、人目にふれるため、外観の美しさが必要とされる部位に、発泡耐火塗料を使用することが行われている(特許文献3、特許文献4参照)。発泡耐火塗料は、比較的薄付けであるため圧迫感が少なくすっきりとした外観に仕上げることができ、建物の利用空間が小さくなることがない。また、軽量であるため、資材運搬上の負担も軽減することができる。
【非特許文献1】建設省住宅局建築指導課監修、「耐火防災 構造・材料等便覧」、(日本)、新日本法規出版株式会社、昭和45年2月16日発行、第440−133〜440−140、391〜394頁
【特許文献1】特公平4−54634号公報
【特許文献2】特公平4−63835号公報
【特許文献3】特許第2862419号公報
【特許文献4】特開2001−40290号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、人目に触れない部位にロックウール被覆等を形成し、人目に触れる部分に発泡耐火塗料を塗布する場合には、ロックウール被覆等と発泡耐火塗料との境目が生じる。この境目において十分な耐火被覆が形成できなければ、建物の耐火性能が低下してしまうおそれがある。
【0009】
本発明は以上の点に鑑みなされたものであり、耐火性能が高く、外観の美しさを備えた耐火被覆及びその施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)請求項1の発明は、
基材の表面に形成される耐火被覆であって、発泡耐火塗料から成るA領域と、非発泡性の耐火材から成るB領域とに、境界部を介して分けられているとともに、前記境界部の近傍において、前記発泡耐火塗料の厚みが局所的に厚くなっていることを特徴とする耐火被覆を要旨とする。
【0011】
本発明の耐火被覆では、境界部の近傍において発泡耐火塗料の厚みが厚くなっていることにより、発泡耐火塗料が発泡したときに、境界部付近での発泡耐火塗料の厚みが薄くなってしまうことがない。
【0012】
つまり、図3に示すように、発泡耐火塗料7の発泡は各位置で扇状に起こるので、左右両側からの寄与がある点xに比べて、境界部4近傍の点yでは左側からの寄与がなく、発泡時の厚みが薄くなり易いが、本発明では、境界部4近傍での発泡耐火塗料7の厚みを厚くしているので、境界部4付近でも発泡時の厚みが薄くなってしまうことがない。
【0013】
・前記境界部としては、例えば、A領域とB領域とが接している場合は、その接線とすることができる。また、図1に示すように、A領域とB領域との間に、基材が露出している部分があるときは、その露出している部分とすることができる。
【0014】
・前記境界部の近傍とは、例えば、A領域のうち、境界部側の端部から1〜60mmの範囲とすることができる。
また、境界部の近傍の範囲は、発泡耐火塗料の発泡倍率を基準にして適正値を求めることができる。例えば、上記近傍において20倍発泡となる発泡耐火塗料を2mm厚で施工し、境界部のうちの40mmの範囲で効果を得たい場合は、上記近傍の範囲を、(40/20)×2=4mmとすればよい。
【0015】
・前記発泡耐火塗料の厚みは、例えば、前記境界部の近傍では、標準膜厚(境界部の近傍以外での膜厚)の1.1〜3.0倍(好ましくは1.2〜2.0倍)の範囲が好適である。
【0016】
また、前記境界部の近傍以外の部分では0.5〜5mmの範囲が好適である。
・前記基材としては、例えば、鋼材から成る建材が挙げられ、具体的には、例えば、柱、梁などが挙げられる。
【0017】
・前記発泡耐火塗料とは、例えば、発泡剤、炭化剤、樹脂、着色顔料、添加剤等を含むものをいう。
上記発泡剤としては、ポリリン酸アンモニウム、ジシアンジアミド、アゾカルボンアミド、メラミン及びその誘導体、尿素、グアニジン、トリメチロールメラミン、ヘキサメチロールミラミンなどから任意に使用できる。発泡剤の配合量は、樹脂100重量部に対して、100〜600重量部の範囲が好ましい。
【0018】
上記炭化剤としては、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ポリペンタエリスリトール等の多価アルコール、多糖類、膨張性黒鉛等の炭素、酸素、水素のみによって形成されるものを用いることができる。炭化材の配合量は、樹脂100重量部に対して、25〜300重量部の範囲が好適である。
【0019】
上記樹脂としては、例えば、メラミン樹脂、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は単独に用いてもよく、あるいは共重合したものにして、またこれらを混合して用いることもできる。更に、これらの樹脂の形態は、有機溶媒に溶解させたもの、あるいはエマルジョンとして水に分散させたもの、のどちらもでもよい。樹脂は、常温時における塗膜の付着性、耐候性を与える役目をする。
【0020】
上記着色顔料としては、例えば、二酸化チタン、ケイ酸塩、炭酸塩、酸化アルミニウム、粘土、クレー、シラス、マイカ等が挙げられる。着色原料の配合量は、樹脂100重量部に対して、25〜200重量部の範囲が好適である。
【0021】
上記添加剤としては、例えば、消泡剤、分散剤、たれ止め剤等が挙げられる。消泡剤としては、例えば、スルホン酸型、リン酸エステル型等の陰イオン系消泡剤、アルキルフェノール型、脂肪酸エステル型、ポリエチレングリコール型等の非イオン系消泡剤、イミダゾリン型等の陽イオン系消泡剤、ベタイン型等の両性系消泡剤等が挙げられる。
【0022】
分散剤としては、例えば、スルホン酸型、リン酸エステル型等の陰イオン系分散剤、アルキルフェノール型、脂肪酸エステル型、ポリエチレングリコール型等の非イオン系分散剤、イミダゾリン型等の陽イオン系分散剤、ベタイン型等の両性系分散剤等が挙げられる。
【0023】
・非発泡性の耐火材としては、例えば、ロックウール、耐火モルタル、ケイ酸カルシウム板等が挙げられる。
(2)請求項2の発明は、
前記非発泡性の耐火材がロックウールであることを特徴とする請求項1に記載の耐火被覆を要旨とする。
【0024】
本発明の耐火被覆は、非発泡性の耐火材がロックウールであることにより、耐火性能が高い。
・前記ロックウールとしては、例えば、セメント(例えば、普通ポルトランドセメント(JIS R 5201)、高炉セメント(JIS R 5211)、ホワイトセメント)25〜40重量部と、ロックウール(JIS A 9504)60〜75重量部とから成るものが好適である。
(3)請求項3の発明は、
前記非発泡性の耐火材が耐火モルタルであることを特徴とする請求項1に記載の耐火被覆を要旨とする。
【0025】
本発明の耐火被覆で用いている耐火モルタルは、吹付け、こて塗り等の方法で施工する際に作業性がよい。そのため、本発明の耐火被覆も施工時の作業性が良い。
また、耐火モルタルは、厚みを薄くでき、こて塗り仕上げができるため、意匠性に優れている。そのことにより、本発明の耐火被覆は意匠性に優れている。
【0026】
・前記耐火モルタルとしては、例えば、水硬性セメントと軽量骨材を含むものが挙げられる。
水硬性セメントとしては、例えば、ポルトランドセメント、アルミナセメント等の単味セメント、石灰混合セメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント、高硫酸塩スラグセメント等の混合セメントが挙げられる。
【0027】
軽量骨材としては、天然鉱物の発泡又は膨張した物質である膨張パーライト、膨張頁岩、膨張バーミキュライト、軽石、シラスパーン等の他、シリカゲルを発泡させたもの、各種のスラッグを造粒した発泡させたもの、ガラス屑を造粒して発泡させたもの、粘土粉体を造粒して発泡させたもの等のような人工軽量骨材が挙げられる。軽量骨材の配合量は、水硬性セメント100重量部に対して、20〜300重量%の範囲が好適である。
【0028】
また、耐火モルタルは、更に、再乳化性合成樹脂エマルジョン粉末を含んでいてもよい。再乳化性合成樹脂エマルジョン粉末としては、乳化重合によって得られた合成樹脂エマルジョンを粒子状態で乾燥して得られたものや、後乳化して得た合成樹脂エマルジョンを粒子状態で乾燥して得たもの等がある。通常はビニル系の合成樹脂エマルジョンがこのような形態に調整され、アクリル酸エステル、スチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル等の熱可塑性樹脂が代表的な物質として例示でき、就中酢酸ビニル系の樹脂は、水硬性セメントとの混和性、耐火被覆作業性の上から、また実際に入手し易いところから、最も好ましい。これら以外にも、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂等も再乳化性粉末に調整し得る。再乳化性合成樹脂エマルジョン粉末の配合量は、水硬性セメント100重量部に対して3〜50重量%の範囲が好適である。
【0029】
また、耐火モルタルは、吸熱作用のある材料(例えば水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム等の吸熱物質、水等)や、断熱性能を付与する材料(スチレン、アルミ箔等)を含んでいてもよい。
(4)請求項4の発明は、
前記非発泡性の耐火材がケイ酸カルシウム板であることを特徴とする請求項1に記載の耐火被覆を要旨とする。
【0030】
本発明の耐火被覆は、非発泡性の耐火材としてケイ酸カルシウム板を用いている。このケイ酸カルシウム板は、発泡耐火塗料の発泡開始温度である200°C程度となるまでの吸熱作用が小さい。そのため、本発明の耐火被覆は、発泡開始温度までの基材の温度上昇が早く、発泡耐火塗料の発泡、充填が早期に行われる。そのことにより、本発明の耐火被覆は一層耐火性能が高い。
【0031】
・前記ケイ酸カルシウム板としては、例えば、ケイ酸カルシウム、繊維等を含むものが挙げられる。
上記繊維としては、例えば、ロックウール等の鉱物繊維、パルプ繊維、綿、麻等の植物繊維、ナイロン、ビニロン、アクリル等の合成繊維、耐アルカリガラス繊維が挙げられる。
(5)請求項5の発明は、
前記基材が建造物の柱又は梁であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の耐火被覆を要旨とする。
【0032】
本発明によれば、火災時強度が要求される柱や梁の耐火性能を高めることができる。
また、本発明によれば、柱や梁のうち、人目に触れる部分は発泡耐火塗料から成るA領域とし、人目に触れない部分は、非発泡性の耐火材から成るB領域とすることができる。このことにより、外観の美しさの欠けることがある非発泡性の耐火材が人目に触れることがなく、耐火性能と外観の美しさとを両立させることができる。
【0033】
耐火発泡層の塗布と、非発泡性の耐火材の取り付けとは、例えば、柱や梁の周囲を覆うように行うことができる。
(6)請求項6の発明は、
請求項1〜5のいずれかに記載の耐火被覆の施工方法であって、発泡耐火塗料の塗布工程と、非発泡性の耐火材の取り付け工程とを、有することを特徴とする耐火被覆の施工方法を要旨とする。
【0034】
本発明によれば、請求項1〜5のいずれかに記載の耐火被覆を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下に本発明の耐火被覆およびその施工方法の形態の例(実施例)を説明する。
【実施例1】
【0036】
a)まず、本実施例1の耐火被覆を施工する方法を図1(a)を用いて説明する。
耐火被覆1を形成する基材3は、鋼材の板である。この基材3の表面のうち、所定の領域(B領域)に、ロックウール被覆5を、湿式吹きつけ方により25mmの厚みで形成した。ロックウール被覆の組成は、以下のものである。
【0037】
普通ポルトランドセメント(JIS R 5201):25〜40重量部
ロックウール(JIS A 9504):60〜75重量部
尚、普通ポルトランドセメントの代わりに、高炉セメント(JIS R 5211)、ホワイトセメントも用いることができる。
【0038】
次に、ロックウール被覆5が形成されていない部分(A領域)に、発泡耐火塗料7をスプレーで塗布した。
発泡耐火塗料7の組成は以下のものである。
【0039】
発泡剤(ポリリン酸アンモニウム系):44重量部
炭化剤(多価アルコール類):11重量部
樹脂(酢酸ビニル−アクリル共重合樹脂系):27重量部
着色顔料(酸化チタン系):14重量部
添加剤(消泡剤、分散剤、たれ止め剤等):4重量部
ここで、ロックウール被覆5で覆われた領域と、発泡耐火塗料7で覆われた部分との間に、幅約5mmにわたって、基材3が露出している部分(境界部4)を形成した。
【0040】
また、発泡耐火塗料7の厚みは、境界部4に隣接する端部7a(境界部4aから幅5mmの部分)では2.5mmとし、それ以外の部分では2mmとした。つまり、発泡耐火塗料7の厚みは、境界部4近傍において局所的に厚くした。
【0041】
b)次に、加熱時における本実施例1の耐火被覆1の作用を図1(b)を用いて説明する。
耐火被覆1及び基材3に対し、ISO843の加熱条件に沿って加熱試験を行た。この加熱試験では、雰囲気温度を下記式(1)とした。
【0042】
式(1) T=345×log10(8t+1)+20
ここで、Tは耐火被覆1及び基材3を収容した炉内の雰囲気温度であり、tは試験開始後の時間(単位は分)である。
【0043】
tが1時間となったとき(すなわち炉内の雰囲気温度が945°Cとなったとき)、加熱を停止して自然放冷し、試験体を取り出した。
取り出した耐火被覆1及び基材3を観察すると、発泡耐火塗料7は図1(b)に示すように発泡した。このとき、発泡耐火塗料7の厚みは、全て30mm以上であった。特に、境界部4の近傍では、発泡耐火塗料7の厚みは、境界部4から遠い部分よりも、一層厚くなった。これは、端部7aに厚く塗布された発泡耐火塗料7が発泡したためである。
【0044】
c)次に、本実施例1の耐火被覆1が奏する効果を説明する。
(i)本実施例1の耐火被覆1では、ロックウール被覆5と発泡耐火塗料7との境界部4においても、耐火被覆が薄くなってしまうことがない。そのため、耐火被覆1のどの部分についても、耐火性能が高い。
【0045】
(ii)本実施例1の耐火被覆1は、例えば、人目に触れる部分は発泡耐火塗料7を塗布した部分とし、人目に触れない部分は、ロックウール被覆5をを形成した部分とすることができる。このことにより、耐火性能と、外観の美しさとを両立させることができる。
【0046】
(iii)本実施例1の耐火被覆1は、ロックウール被覆5のみを用いる場合と比べて、塗剤の量が少なくて済み、塗剤の搬入や運送に要する労力や費用が少なくて済む。
(比較例1)
本比較例1の耐火被覆101を施工する方法を図2(a)を用いて説明する。
【0047】
基材3の表面のうちの一部に、ロックウール被覆5を、湿式吹きつけ方により25mmの厚みで形成した。
次に、基材3の表面のうち、ロックウール被覆5を吹き付けていない領域に泡耐火塗料7をスプレーで塗布した。
【0048】
このとき、ロックウール被覆5を形成した領域と、発泡耐火塗料7を塗布した領域との間には、幅5mmにわたって、基材3が露出している部分(境界部4)を形成した。また、発泡耐火塗料7の厚みは、全ての部分について2mmとした。
【0049】
この耐火被覆101を前記実施例1と同様に加熱したところ、発泡耐火塗料7は図2(b)に示すように発泡した。このとき、発泡耐火塗料7の厚みは、境界部4から離れた部分では30mm以上であったが、境界部4に近づくにつれて、発泡耐火塗料7の厚みが急激に薄くなった。
【0050】
これは、図3に示すように、発泡耐火塗料7の各位置で扇状に発泡が起こるため、境界部4付近から離れた点xでは、発泡時に、左側の点x'、右側の点x''の両方からの寄与があるため厚みが増すのに対し、境界部4付近の点yでは、左側からの寄与がないため、厚みが薄くなるためである。
【0051】
比較例1の耐火被覆101は、上記のように境界部4付近で発泡耐火塗料7の厚みが薄くなるので、この部分での耐火性能が低下してしまう。
尚、本発明は前記実施例になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
【0052】
例えば、前記実施例1において、ロックウール被覆の代わりに、耐火モルタルや、繊維混入ケイ酸カルシウム板(ケイ酸カルシウム板)を用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】耐火被覆の構成を表す断面図である。
【図2】耐火被覆の構成を表す断面図である。
【図3】耐火被覆の発泡状態を表す断面図である。
【符号の説明】
【0054】
1、101・・・発泡耐火被覆
3・・・基材
4・・・境界部
5・・・ロックウール被覆
7・・・発泡耐火塗料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の表面に形成される耐火被覆であって、
発泡耐火塗料から成るA領域と、非発泡性の耐火材から成るB領域とに、境界部を介して分けられているとともに、
前記境界部の近傍において、前記発泡耐火塗料の厚みが局所的に厚くなっていることを特徴とする耐火被覆。
【請求項2】
前記非発泡性の耐火材がロックウールであることを特徴とする請求項1に記載の耐火被覆。
【請求項3】
前記非発泡性の耐火材が耐火モルタルであることを特徴とする請求項1に記載の耐火被覆。
【請求項4】
前記非発泡性の耐火材がケイ酸カルシウム板であることを特徴とする請求項1に記載の耐火被覆。
【請求項5】
前記基材が建造物の柱又は梁であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の耐火被覆。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の耐火被覆の施工方法であって、
発泡耐火塗料の塗布工程と、非発泡性の耐火材の取り付け工程とを、有することを特徴とする耐火被覆の施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−2535(P2006−2535A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−182665(P2004−182665)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(000159032)菊水化学工業株式会社 (121)
【Fターム(参考)】