説明

耐炎化熱処理装置、及び同装置の運転方法

【課題】ストランドの耐炎化熱処理を均一に行うことができる装置を提供する。
【解決手段】折返されて水平走行するポリアクリロニトリル系繊維ストランドが出入りする複数のスリットを備えると共に前記繊維ストランドの上方から垂直に熱風を送り繊維ストランドを耐炎化する熱処理室と前記熱処理室に熱風を供給する手段とを備えてなる耐炎化炉と、前記耐炎化炉の両外側に備えられた複数の折返しローラーであって前記複数のスリットから出入する繊維ストランドを折返して耐炎化炉に戻す折返しローラーとを具備する耐炎化熱処理装置において、 前記熱処理室内を走行する繊維ストランドの走行方向と平行な熱処理室側壁と繊維ストランドとの間隙、又は繊維ストランドの走行方向に平行に前記繊維ストランドと側壁との間に挿入した偏流防止板と繊維ストランドとの間隙を150mm以下に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリアクリロニトリル系耐炎化繊維の製造に用いる耐炎化熱処理装置に関し、更に詳述すればポリアクリロニトリル系繊維ストランド等を耐炎化熱処理する耐炎化熱処理装置、及び同装置の運転方法に関する。耐炎化繊維は耐熱性繊維として、またポリアクリロニトリル系炭素繊維の製造原料として重要なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリアクリロニトリル系耐炎化繊維は、ポリアクリロニトリル系繊維を200℃〜300℃の酸化性雰囲気中で耐炎化熱処理して製造される。
【0003】
ポリアクリロニトリル系繊維の耐炎化熱処理における反応は酸化・環化が同時に進行する発熱反応である。高温で熱処理を行えば反応速度がより大きくなり、処理時間が短縮される。しかし、急速に耐炎化熱処理を行うと、酸化反応に伴う反応熱が繊維内に蓄積されて繊維内温度が急上昇し、その結果糸切れや発火を伴う暴走反応が誘発され易くなる。
【0004】
さらに、耐炎化熱処理は多数の繊維を束ねたストランドの状態で行なわれるのが通常である。生産効率を高めるため、同時に多数のストランドが耐炎化熱処理される場合は、ストランドは蓄熱し易いので、効率よく繊維から反応熱を除去される事なしには、高温、短時間で耐炎化繊維ストランドを効率よく得ることができない。
【0005】
耐炎化熱処理に要する時間、並びにエネルギー消費量は極めて大きいので、耐炎化熱処理工程における更なる生産性の向上が求められている。
【0006】
図10は従来の耐炎化熱処理装置の一例を示す概略図で、(A)は正面断面図、(B)は側面断面図、(C)は平面断面図である。
【0007】
図10(A)中、52は耐炎化熱処理装置で、その熱処理室54内には、水平に並んだ多数本のストランド56で形成される複数段のパス57a、57b、57c、・・・57xが走行している。ストランド56は、図10(B)に示すように、熱処理室54の外部に配設された所定組の折返しローラー58によって折り返されて熱処理室54に繰り返し供給される。
【0008】
この複数段のパスを形成しているストランド56は、図10(B)に示すように、耐炎化熱処理装置52の外壁60a、内壁62a、内壁62b、及び外壁60bに形成された、それぞれのスリット64a、66a、66b、及び64bを通って熱処理室54に出入りしている。
【0009】
図10(C)に示すように、熱処理室54の両側は、内側壁68a、68bが形成されている。
【0010】
熱処理室54の左半分において、一方の内側壁68aの外側には、外側壁69aが形成されており、内側壁68aと外側壁69aとの間に熱風循環路74aが形成されている。前記熱風循環路74aにより、図10(A)に示す様に、熱処理室54の上方流路70と下方流路72とが連通されている。
【0011】
熱風循環路74aに備えられたヒーター76aで加熱された熱風は、ファン78aにより上方流路70を通って熱処理室54内に送られ、次いで前記パスを形成して走行しているストランド56の間を通って下方に送られ、この際にストランド56が耐炎化熱処理される。なお熱風は、ストランドを加熱すると同時に除熱する役割も担っている。
【0012】
その後、熱風は下方流路72を通って熱風循環路74a内に送られ、ここを通る際に前記ヒーター76aで加熱されることを繰返す。
【0013】
図10(C)に示す、熱処理室54の左半分における他方の内側壁68bの外側には外側壁69bが形成されている。前記内側壁68bと外側壁69bとの間には、断熱空室80aが形成されている。
【0014】
これとは逆に、図10(C)に示す熱処理室54の右半分は、左半分と逆対称に形成されている。即ち、前記内側壁68aと外側壁69aとの間には、断熱空室80bが形成されている。同様に、前記内側壁68bと外側壁69bとの間には、熱処理室54の上方流路70と下方流路72とを連通する熱風循環路74bが設けられている。76bはヒーター、78bはファンである。
【0015】
また、この熱処理装置は熱効率を高めるために、装置全体の外周が断熱材により覆われている。
【0016】
このような断熱構造にあっても、例えば、熱処理室54内の内側壁68a、68b近傍の温度は、熱処理室54内部の平均温度よりも低い。そのため内側壁68a、68b近傍のストランドの耐炎化熱処理速度は小さく、ストランドは均一に耐炎化熱処理されない。この問題を避けるため、通常の耐炎化熱処理装置においては、ストランド56は、通常それぞれ側壁68a、68bから200mm程度離して走行させられている。
【0017】
一方、熱処理室54内では、1パスを構成する多数のストランド56を均一に配列させた1つのゾーンとして走行させてもよい。しかし、1パスを1つのゾーンで構成して走行させるよりも、1パスを複数のゾーンに分割し(図10(A)においては2ゾーン59a、59bに分割している)、各ゾーン間に所定の間隙Xを設けて走行させる方が扱い易い。
【0018】
例えば、パスを形成しているストランドを1つのゾーンで走行させている場合に繊維切れなどのトラブルが生じると、繊維の切れ端が近くのストランドに絡み、次々とトラブルを増大させ、ストランド全体に被害が及ぶ危険性が高い。また、ストランド間に手を入れて作業することが必要な場合もある。これらの理由で、1パスを複数のゾーンに分割し、各ゾーン間には所定の間隙を設けることが好ましい。
【0019】
よって、通常の耐炎化熱処理装置は、パスを形成しているストランド56を複数のゾーンに分け、内側壁とパスとの間隔を約200mm程度に保ち、更に各ゾーン間は、200mm程度の間隙を設けてストランドの耐炎化熱処理を行うようになっている。
【0020】
上記耐炎化熱処理装置を用いて、熱処理室内で垂直方向に亘り複数段のパスを形成して走行しているストランドを耐炎化熱処理する場合、生産性を上げるために熱処理室内のストランド本数を増加していくと、それに伴い熱風の通気抵抗が増加してパスを通過する熱風の通過風速が著しく低下する。このため、ストランドの冷却が不十分になる。その結果ストランド内に蓄熱が進み、更に蓄熱による繊維の切断が発生する。更に、この切断した繊維が他のストランドの繊維に絡み合い、トラブルが増大する。なお、ポリアクリロニトリル系繊維の耐炎化熱処理における上記トラブルは火災に発展する場合もある。このような重大なトラブルが発生するため、従来耐炎化繊維の大幅な生産性の向上はできていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明者は、パスを通過する際に熱風風速が低下する原因は、パスと内側壁との間、及びゾーン間に熱風が集中するためと考えた。パスを通過する熱風風速は特に下段のパスにおいて著しく低下する傾向にあり、この下段パスにおいて繊維の切断が多発する。
【0022】
この繊維の切断を防ぐためには、熱処理室内温度を下げる等の対策が必要である。しかし、熱処理室内温度を下げると反応速度が低下し、生産性が低下するため、目的とする生産性の向上と相反するものとなる。
【0023】
更に、上記耐炎化熱処理装置を用いて、ストランドを耐炎化熱処理する場合、ストランドが熱処理室に出入りするために形成されたスリットから熱風が漏出する問題がある。
【0024】
例えば経験によれば、熱風上流側の最上段パスのストランドを通過する熱風風速が1.8m/秒のとき、熱風下流側に位置する中段パスのストランドを通過する熱風風速は0.3m/秒に低下する場合がある。この様な場合は、下方のパスに向うに従ってストランドの酸化反応に伴って発生する反応熱が熱風によって除熱されにくくなると思われる。
【0025】
更に熱風上流側の上段側パス中のストランドから発生する反応熱が熱風により熱風下流側に運ばれる。このため、下段側パス中のストランドが蓄熱して高温になり均一な耐炎化熱処理がされないと考えた。このような場合、下流側ストランドが暴走反応を起こして発火することもある。
【0026】
本発明は、上記考察に基づいて完成されたものである。
【0027】
従って、本発明の目的とするところは、ストランドの耐炎化熱処理を均一に行うことができ、品質を損うことなく生産性を向上させ得る耐炎化熱処理装置、及び同装置の運転方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0028】
上記目的を達成する本発明は、以下に記載するものである。
【0029】
〔1〕 折返して水平走行する繊維ストランドが出入りする複数のスリットを備えると共に前記繊維ストランドの上方から垂直に熱風を送り繊維ストランドを耐炎化する熱処理室と前記熱処理室に熱風を供給する手段とを備えてなる耐炎化炉と、前記耐炎化炉の両外側に備えられた複数の折返しローラーであって前記複数のスリットから出入する繊維ストランドを折返して耐炎化炉に戻す折返しローラーとを具備する耐炎化熱処理装置において、
前記熱処理室内を走行する繊維ストランドの走行方向と平行な熱処理室側壁と繊維ストランドとの間隙、又は繊維ストランドの走行方向に平行に前記繊維ストランドと側壁との間に挿入した偏流防止板と繊維ストランドとの間隙を150mm以下に形成してなる耐炎化熱処理装置。
【0030】
〔2〕 偏流防止板が空気透過孔を有する〔1〕請求項に記載の耐炎化熱処理装置。
【0031】
〔3〕 耐炎化炉が、上方から下方に熱風が流通する熱処理室と、熱処理室の上方に形成された上方流路と、熱処理室の下方に形成された下方流路と、前記上方及び下方流路とを連通する熱風循環路とからなる〔1〕に記載の耐炎化熱処理装置。
【0032】
〔4〕 熱風循環路中に通気抵抗部材を設けた〔3〕に記載の耐炎化熱処理装置。
【0033】
〔5〕 熱風循環路内の上部、及び下部に熱風循環手段を設けた〔3〕に記載の耐炎化熱処理装置。
【0034】
〔6〕 熱風循環手段がファン又はブロアーである〔5〕に記載の耐炎化熱処理装置。
【0035】
〔7〕 ブロアーが熱風吸込み口を二つ持つシロッコブロアーである〔6〕に記載の耐炎化熱処理装置。
【0036】
〔8〕 開口率が50%以上の通気性部材を、熱処理室の下端に備えられた下部通気板から上方に20mm以上離して設けた〔1〕に記載の耐炎化熱処理装置。
【0037】
〔9〕 折返して水平走行する繊維ストランドが出入りする複数のスリットを備えると共に前記繊維ストランドの上方から垂直に熱風を送り繊維ストランドを耐炎化する熱処理室と、前記熱処理室に熱風を供給する手段とを備えてなる耐炎化炉と;前記耐炎化炉の両外側に備えられた複数の折返しローラーであって前記複数のスリットから出入する繊維ストランドを折返して耐炎化炉に戻す折返しローラーとを具備する耐炎化熱処理装置において、
前記熱処理室内を走行する繊維ストランドの走行方向と平行な側壁と繊維ストランドとの間隙、又は繊維ストランドの走行方向に平行に前記繊維ストランドと側壁との間に挿入した偏流防止板と繊維ストランドとの間隙を150mm以下に形成すると共に前記側壁又はスリットに加熱手段を設けてなる耐炎化熱処理装置。
【0038】
〔10〕 加熱手段が熱処理室の側壁の外側に形成した熱風通路である〔9〕に記載の耐炎化熱処理装置。
【0039】
〔11〕 加熱手段が熱処理室の側壁に形成したヒーターである〔9〕に記載の耐炎化熱処理装置。
【0040】
〔12〕 加熱手段が、複数のスリットの全部若しくは一部に設けた加熱空気を熱処理室内に供給するノズルである〔9〕に記載の耐炎化熱処理装置。
【0041】
〔13〕 加熱空気の温度が、熱処理室温度よりも高い温度である〔12〕に記載の耐炎化熱処理装置。
【0042】
〔14〕 ノズルが、ノズルから吹出す加熱空気によりノズル周辺の空気を随伴させて熱処理室内に供給する機構を備えた〔12〕に記載の耐炎化熱処理装置。
【0043】
〔15〕 ノズルを、繊維ストランドが熱処理室内に入る側のスリットのみに設ける〔12〕に記載の耐炎化熱処理装置。
【0044】
〔16〕 全スリット個数に対して70%に相当する個数の下部側のスリットの内、少なくとも1個のスリットが、空気吹出し方向を熱処理室の外方に向けたノズルを有する〔12〕に記載の耐炎化熱処理装置。
【0045】
〔17〕 折返して水平走行する繊維ストランドの出入りするスリットを備えると共に前記繊維ストランドの上方から垂直に熱風を送り繊維ストランドを耐炎化する熱処理室と、前記熱処理室に熱風を供給する手段とを備えてなる耐炎化炉と;前記耐炎化炉の両側に備えられた複数の折返しローラーであって前記複数のスリットを出入する繊維ストランドを折返して耐炎化炉に戻す折返しローラーとを具備する耐炎化熱処理装置であって、前記熱処理室内を走行する繊維ストランドの走行方向と平行な熱処理室側壁と繊維ストランドとの間隙、又は繊維ストランドの走行方向に平行に前記繊維ストランドと側壁との間に挿入した偏流防止板と繊維ストランドとの間隙を150mm以下に形成すると共に、前記複数のスリットに耐炎化炉内方向に向って加熱空気を吹き出すノズルを取付けた耐炎化熱処理装置の運転方法において、
前記ノズルから供給する風速を調節することにより、最上部以外の繊維ストランドを通過する熱風風速を、最上部の繊維ストランドを通過する熱風風速の20%以上に維持する耐炎化熱処理装置の運転方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
(第1の形態)
以下、図1〜3を参照して本発明を詳細に説明する。
【0047】
図1は本発明の耐炎化熱処理装置の一例を示す概略断面正面図である。
【0048】
図1中、2は耐炎化熱処理装置で、その内部に形成された熱処理室4内には多数本のストランド6が走行している(本図において、ストランドの走行方向は紙面に垂直方向である。)。前記ストランド6は互いに平行に並んで、これにより水平な1パスを形成している。更に複数(本図においては7パス)のパスが互いに所定間隔離れて上方から下方かけて配列されている。このパスを形成しているストランド6は、熱処理室4の外部に配設された所定組の折返しローラー(不図示)によって折り返され、熱処理室4に繰り返し供給される。
【0049】
熱処理室4の側壁8a、8bは、ストランド6の走行方向と平行である。一方の側壁8aの外方には、熱風循環路14が形成されている。前記側壁8aと熱風循環路14との間には空間部16が形成されている。熱処理室4の上方熱風流路10と下方熱風流路12とは、前記熱風循環路14により連通されている。上記上方熱風流路10、下方熱風流路12、熱風循環路14により、熱風供給手段が構成されている。
【0050】
18はヒーターで、熱風循環路14内に備えられている。ヒーター14により加熱された熱風が、ファン20により熱処理室4の上方熱風流路10を通って熱処理室4内に送られ、次いで熱処理室4内を流下する際に、前記パスを形成して走行しているストランド6が耐炎化熱処理される。その後、熱風は下方熱風流路12を通って熱風循環路14の下部に送られ、ここを通って前記ヒーター18に循環されることを繰返す。
【0051】
この耐炎化熱処理装置の熱処理室4内において、側壁8a、8bとパスの両端のストランドとの間隙Pは150mm以下、好ましくは50mm以下、より好ましくは5〜20mmである。この様に間隙Pを150mm以下にすることにより、パスと側壁との間隙に熱風が集中することを防止できる。熱風は均一にパス面を通過する結果、上段のパスから下段のパスに向うに従って従来起きていた熱風の風速低下を最小限に抑制できる。
【0052】
図2は、本発明の耐炎化熱処理装置の他の例を示すものである。この耐炎化熱処理装置28は、熱処理室22の内側壁24a、24bのそれぞれの外側に外側壁30a、30bが追加されている。内側壁24aと外側壁30aとの間、及び内側壁24bと、外側壁30bとの間に側壁温度低下防止用の側壁加熱手段として熱風通路26a、26bが形成されている。更に内側壁24a、24bと、パスの両端のストランドとの間隙Pは150mm以下、好ましく50mm以下、より好ましくは5〜20mmにされる。その他の構成は図1に示した耐炎化熱処理装置と同様である。
【0053】
図2に示す耐炎化熱処理装置28は、側壁の加熱手段として熱風通路26a、26bが設けられているので、側壁24a、24bの温度低下が防止される。
【0054】
なお、二重構造の側壁の間隙、即ち熱風通路26a、26bの幅は特に制限がないが、通常100〜200mmとすることが好ましい。
【0055】
上記耐炎化熱処理装置28においては、熱処理室22内を走行するストランド32は、均一な熱負荷を受けると共に、パス全体に亘って十分な除熱がなされ、耐炎化繊維の生産性を高いものにできる。
【0056】
図3は、本発明の耐炎化熱処理装置の更に他の例を示すものである。
【0057】
この耐炎化熱処理装置48は、側壁44a、44bの外側に加熱手段46a、46bを備えている。加熱手段としては特に制限がなく、電気ヒーター、スチームヒーター等が例示される。この加熱手段により熱処理室内温度と側壁温度との差を10℃以下にできる。更に側壁44a、44bと、パスの両端のストランド50との間隙Pを150mm以下、好ましくは50mm以下、より好ましくは5〜20mmにしている。
【0058】
その他の構成は図1、2に示した耐炎化熱処理装置と同様である。
【0059】
この加熱手段46a、46bを備えることにより、熱処理室内温度と側壁温度との差を10℃以下と小さく出来、パスの両端のストランド50の温度低下を防ぐことが出来る。
【0060】
上記各耐炎化熱処理装置は、側壁とパスを構成するストランドとの間隙Pを150mm以下になるように構成したので、この間隙Pに熱風が集中することが無い。熱風はパス全体に亘って均一にストランド間を通過するため、上段パスから下段パスにかけての熱風の風速低下が抑制される。
【0061】
なお、上記各耐炎化熱処理装置の説明においては各パスを複数のゾーンに分割していない場合を例にして説明した。図4に示すように各パス500を複数のゾーン(図4の場合510、512の2ゾーン)に分割する場合は、各ゾーン間隔(図4においてはL)及びゾーンと側壁の間隔(図4においてはM、N)を150mm以下、好ましくは50mm以下、より好ましくは5〜20mmにするものである。
【0062】
(第2の形態)
以下、図5〜9を参照して本発明を詳細に説明する。
【0063】
図5は本発明の耐炎化熱処理装置の一例を示す概略断面図で、(A)は正面斜視図、(B)は側面斜視図である。図6は同装置の平面断面図である。図7は図5(B)中Aで示す部分の拡大図である。なお、本例においては方向を示すのに、主に図5(A)を基準として、図5の紙面前方を表、紙面後方を裏、紙面に向って左、右、上、及び下などの表現を用いている。
【0064】
図5中、102は耐炎化炉である。図5(A)の耐炎化炉102の表から裏に向って、即ち図5(B)の左から右へ向って、104aは表側外壁、106aは表側内壁、106bは裏側内壁、及び104bは裏側外壁である。これら各壁には、表側外壁104aから表側内壁106aにかけてスリット108aがパス数と同数形成されている。また、裏側外壁104bから裏側内壁106bにかけてスリット108bがパス数と同数形成されている。
【0065】
耐炎化炉102には、図5(A)の左から右へ順に、左外側壁112a、左内側壁14a、右内側壁114b、及び右外側壁112bが設けられている。
【0066】
耐炎化炉102は、図5(A)及び図5(B)に示すように、上から下へ順に、上外壁116a、上部通気板118a、下部通気板118b、及び下外壁116bが設けられている。
【0067】
上記表側内壁106a、裏側内壁106b、左内側壁114a、右内側壁114b、上部通気板118a、及び下部通気板118bで仕切られて熱処理室120が形成されている。
【0068】
上記熱処理室120の上方(表側外壁104a、裏側外壁104b、左内側壁114a、右内側壁114b、上外壁116a、及び上部通気板118aで囲まれた領域)には、上方流路122が形成されている。
【0069】
上記熱処理室120の下方(表側外壁104a、裏側外壁104b、左内側壁114a、右内側壁114b、下外壁116b、及び下部通気板118bで囲まれた領域)には、下方流路124が形成されている。
【0070】
上記熱処理室120の表側半分H(図6)において、左内側壁114aの外側には、熱処理室の上方流路122及び下方流路124を連通する熱風循環路126aが設けられている。右内側壁114bの外側には、断熱空室128aが設けられている。
【0071】
この熱処理室120の裏側半分I(図6)は、表側半分Hとは対照的に構成されている。即ち、右内側壁114bの外側には、熱処理室の上方流路122及び下方流路124を連通する熱風循環路126bが設けられ、左内側壁114aの外側は、断熱空室128bが形成されている。
【0072】
図5(B)において、130はポリアクリロニトリル系繊維ストランドである。このストランド130は、表側外壁104aから表側内壁106aにかけて形成されたスリット108a、及び裏側外壁104bから裏側内壁106bにかけて形成されたスリット108bを通って熱処理室120内に出入りする。熱処理室120内においてはストランド130は水平に走行している。ストランド130は、耐炎化炉102の外部に配設された所定組の折返しローラー132a、132bによって折り返されて、上から下に向って複数(本図においては5パス)のパスを形成して熱処理室120に供給されている。
【0073】
更に、各パスを構成して走行するストランドは、走行方向に平行に複数のゾーン(本図においては2ゾーン)に分割されている。各ゾーン間の間隔(図6ではパスを形成して走行しているストランド130の中央部の間隔R)、及び熱処理室20の内側壁114a、114bとストランドとの間の間隔S、Tは、それぞれ100mm以上、更に好ましくは150〜200mmである。
【0074】
本例においては、これらの間隙R、間隙S、Tに、それぞれ偏流防止用板材138a、138b、及び138cを設ける。偏流防止用板材は各パス毎に、上から下まで全パス(本例にあっては5パス)について設けることが好ましい。上記間隙R、S、Tに偏流防止用板材を設けることにより、間隙R、S、Tを塞ぎ、前記ゾーンを形成して熱処理室内を走行する繊維ストランドと偏流防止用板材との間隙、又は繊維ストランドの走行方向に平行に前記繊維ストランドと側壁との間に挿入した偏流防止板と繊維ストランドとの間隙を150mm以下、好ましくは50mm以下、より好ましくは5〜20mmに形成し、熱風風速の均一化を図るものである。
【0075】
これら偏流防止用板材138a、138b、及び138cとしては、空気透過性が無い板材、例えば無孔の平板を用いることができる。しかし、一のパス内(水平面内)における熱風風速分布をより均一なものとするには、上記偏流防止用板材38a、38b、及び38cとしては、パンチングプレート又は金網などの有孔の空気透過性の偏流防止用板材がより好ましい。この偏流防止用板材の開口率は、60%以下が好ましい。
【0076】
この空気透過性の板材の孔径は5mmφ以上が好ましい。孔径を5mmφ以上にすることにより、掃除しやすく、ストランドの毛羽が詰りにくくなる。
【0077】
本発明の耐炎化熱処理装置は、各熱風循環路内部、好ましくは熱風循環路の上部及び/又は下部に熱風循環手段を設けるものである。例えば、図5(A)に示すように、熱処理室120の上方流路122と熱風循環路126aとの間、及び熱処理室120の下方流路124と熱風循環路26aとの間に熱風循環手段142a、142cを設けることができる。
【0078】
これら熱風循環手段142a、142cとしては、ファンやブロアー等を用いることができる。特に、熱風吸込み口を2個持つシロッコブロアーが好ましい。
【0079】
熱風循環手段142cにより熱処理室120の下方流路124から熱風循環路126aに熱風を吸引回収し、回収した熱風を熱風循環手段142aにより熱風循環路126aから熱処理室120の上方流路122に向けて吹出す。
【0080】
図5、6に示すように、熱風循環路126a、126b中に、これら熱風循環路内を通過する熱風の風速を調節する通気抵抗部材140a、140bを設けることができる。
【0081】
上記通気抵抗部材140a、140bとしては、ダンパー等を例示できる。これら通気抵抗部材140a、140bの通気抵抗(例えばダンパーの開度)を調節することにより、上記循環手段142cにより熱処理室120の下方流路124から熱風循環路126a、126b(不図示)に熱風を吸引回収する風速、並びに、熱風循環手段142aにより熱風循環路126a、126b(不図示)から熱処理室120の上方流路122に供給する風速を調節することができる。
【0082】
以上述べたように、循環手段142a、142cの出力や、通気抵抗部材140a、140bの通気抵抗を調節することにより、すべてのパスのストランドに適した熱風風速に調節することができる。
【0083】
前記熱処理室120の下端側には、熱処理室120の下端側全面に亘り通気性部材144を、更にその下には下端側全面に亘り下部通気板118bを取付けることが好ましい。
【0084】
通気性部材144は、開口率が50%以上の金網、グレーチング等が好ましい。
【0085】
下部通気板118bは、熱風流速を均一にすることを目的とするもので、整流効果の高いパンチングボード等が好ましい。
【0086】
通気性部材144は、下部通気板118bの上方に20mm以上離して設けることが好ましい。
【0087】
通気性部材144は、耐炎化熱処理時に切断したストランドが落下して下部通気板118bに堆積し、下部通気板118bの通気口を塞ぐことを防止する。
【0088】
通気性部材144を設けていない場合は、切れたストランドが下部通気板118bに落下し堆積する。この場合には、下部通気板118bの通気孔が塞がれ、熱風の風速が部分的に低下する。これにより耐炎化熱処理中のストランドが蓄熱し発火する。通気性部材144を設けることは、上記の蓄熱や発火を防止するために有効である。
【0089】
本発明の耐炎化熱処理装置においては、上記のように熱処理室に出入するストランドが通過する各内壁又は外壁に形成した少なくとも1以上のスリットから空気または加熱空気を熱処理室内に吹出して供給し、又は熱処理室外に吹出すことができる。
【0090】
スリットから加熱空気を供給し、又は吹出すことにより、熱処理室内の各パスを流れる加熱空気流速を調整し、加熱空気温度を制御し、パス内の温度分布を最小に制御できる。
【0091】
スリットから加熱空気を熱処理室内に供給する形態としては、単にスリットを通して加熱空気を熱処理室に供給しても良い。また、スリットに沿って加熱空気を吹き出すノズルを設け、このノズルから加熱空気を供給しても良い。ノズルから加熱空気を吹出すことによりスリットにエアーカーテンが形成され、これによりスリットの気密性が高まる。
【0092】
また、ノズルから吹出す加熱空気に随伴させて、外部空気をスリットを通して熱処理室内に供給することにより、熱風風速を補うようにしても良い。
【0093】
図7に上記ノズルの一例を示す。図7において、202は熱処理室壁で、204はその外壁、206はその内壁である。前記外壁204から内壁206にかけて、スリット208が形成され、このスリット208を通してストランド210が熱処理室に出入りする。前記熱処理室壁202内の、前記スリット208の上方及び下方には上部加熱空気ダクト212、下部加熱空気ダクト214が設けられている。前記ダクト212、214には、これらダクトと連通する上部ノズル216、下部ノズル218がそれぞれノズル先端を熱処理室内に向けて取付けてある。前記ダクト212、214に加熱空気を供給することにより、上部ノズル216、下部ノズル218から加熱空気が熱処理室内に吹出される。上部ノズル216と下部ノズル218のノズル取付け角度は、ノズルから吹出す加熱空気が互いに交差するように調節してある。交差角度θは 60〜120度が好ましい。
【0094】
なお、220、222は風速調節板で、これらの調節板の取付け位置を上下することによりノズル216、218から吹出す加熱空気風速を調節できる。
【0095】
図8、9に本発明において使用できるノズルの他の例を示す。図8、9において、302、402は熱処理室壁、308、408はスリットである。316、416は上部ノズル、318、418は下部ノズルである。
【0096】
ノズルは、全てのスリットに取付けても良いが、一部のスリットに取付けても良い。
【0097】
また、ノズルは、ノズル先端を熱処理室内に向けて取付ける以外に、熱処理室外方に向けて取付けても良い。外方に向けて取付けたノズルの吹出す空気に同伴させて、熱処理室内を流れる熱風の一部を熱処理室内から外部に放出し、これにより熱風風速を調節し、更には外気が熱処理室内に侵入することを防ぐことができる。
【0098】
上記ノズル先端を熱処理室外方に向けたノズルは、全スリット個数に対して70%に相当する個数の下部側スリットのうち、少なくとも1個のスリットに取付けられていることが好ましい。各スリット毎に設けられたこれらのノズルから吹き出す風速を調節することにより、熱風下流側の最下段パスを通過する熱風風速を、熱風上流側の最上段パスを通過する熱風風速の20%以上、更に好ましくは30%以上に維持できる。
【0099】
また、加熱空気を吹出すノズルを、ストランドが熱処理室に入る側のスリットのみに設けても良い。この場合、ストランドが熱処理室に入る側のスリット近傍の温度低下を有効に防止できる。
【0100】
ノズルから吹出す加熱空気の温度は、150〜300℃が好ましい。吹出し圧力は、熱処理室20内圧力よりも10〜500Pa高いことが望ましい。
【0101】
上記耐炎化熱処理装置は、ポリアクリロニトリル系繊維ストランドが耐炎化炉から出入するスリットに、熱風を熱処理室内に供給するノズルを設けたので、スリットから外部に熱風が漏れるのを有効に防止すると共に、熱風をノズルから供給でき、上段パスから下段パスにかけての熱風の風速低下を抑制することができる。
【実施例】
【0102】
実施例1
図4に示す耐炎化熱処理装置を製造した。熱処理室の寸法は、縦15m、横2m、高さ1.2m、上方流路高さ0.5m、下方流路高さ0.3mであった。折返しローラーを耐炎化炉の両方にそれぞれ2箇ずつ設けた。熱風循環路内にシロッコファンを上下にそれぞれ設けた。
【0103】
各ゾーン間及びゾーンと内側壁との間の間隙を1cmにした。側壁には電熱ヒーターを取付けた。
【0104】
上記装置に、ポリアクリロニトリル系繊維ストランド(1dtex、24000本/ストランド)を供給した。ストランド供給速度は300m/hrで、最上段パスに1.1m/sec、260℃の熱風を供給した。
【0105】
側壁のヒーターに加える電力を制御することにより側壁温度と熱処理室内平均温度との温度差を5℃以内に制御した。これにより、中間部パスを通過する熱風風速を最上段パスを通過する熱風風速の70%に保持できた。
【0106】
実施例2
図5に示す耐炎化熱処理装置を製造した。熱処理室の寸法は、縦15m、横2m、高さ1.2m、上方流路高さ0.5m、下方流路高さ0.3mであった。折返しローラーを耐炎化炉の両方にそれぞれ2箇ずつ設けた。熱風循環路内にシロッコファンを上下にそれぞれ設けた。
【0107】
表側及び裏側壁にスリットをそれぞれ5個ずつ形成した。スリットには、図7に示すノズルを取付けた。加熱空気吹出し方向は熱処理室内に向けた。
【0108】
幅15cmの偏流防止用板材を、各ゾーン間及びゾーンと内側壁との間に配置した。これにより間隙を1cmにした。
【0109】
上記装置に、ポリアクリロニトリル系繊維ストランド(1dtex、24000本/ストランド)を供給した。ストランド供給速度は300m/hrであった。最上段パスに1.1m/sec、260℃の熱風を供給した。
【0110】
各ノズルに260℃の加熱空気を10m/secで供給した。これにより、最下部パスを通過する熱風風速を最上段パスを通過する熱風風速の80%に保持できた。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の耐炎化熱処理装置の一例を示す概略断面正面図である。
【図2】本発明の耐炎化熱処理装置の他の例を示す概略断面正面図である。
【図3】本発明の耐炎化熱処理装置の更に他の例を示す概略断面正面図である。
【図4】本発明の耐炎化熱処理装置の更に他の例を示す概略断面正面図である。
【図5】本発明の耐炎化熱処理装置の更に他の例を示す概略断面図で、(A)は斜視正面図、(B)は斜視側面図ある。
【図6】図5に示す耐炎化装置の断面平面図である。
【図7】図5(B)に示す部分Aの拡大図である。
【図8】ノズルの他の例を示す概略断面図である。
【図9】ノズルの更に他の例を示す概略断面図である。
【図10】従来の耐炎化熱処理装置の概略を示す(A)は正面断面図、(B)は側面断面図、(C)は平面断面図である。
【符号の説明】
【0112】
2 耐炎化熱処理装置、4 熱処理室、6 ストランド、8a及び8b 側壁、10 上方熱風流路、12 下方熱風流路、14 熱風循環路、16 空間部、18 ヒーター、20 ファン、P 間隙、22 熱処理室、24a及び24b内側壁、26a及び26b 熱風通路、28 耐炎化熱処理装置、30a及び30b 外側壁、32 ストランド、48 耐炎化熱処理装置、44a及び44b 側壁、46a及び46b 加熱手段、50 ストランド、500 パス、510及び512 ゾーン、L 間隔、M 間隔、N 間隔、102 耐炎化炉、104a 表側外壁、106a 表側内壁、106b 裏側内壁、104b 裏側外壁、108a及び108b スリット、112a 左外側壁、114a 左内側壁、114b 右内側壁、112b 右外側壁、116a 上外壁、116b 下外壁、118a 上部通気板、118b 下部通気板、120 熱処理室、122 上方流路、124 下方流路、H 表側半分、126a及び126b 熱風循環路、128a及び128b 断熱空室、I 裏側半分、130 ストランド、132a及び132b 折返しローラー、R 間隔、S 間隔、T 間隔、138a 偏流防止用板材、138b 偏流防止用板材、138c 偏流防止用板材、142a 熱風循環手段、142c 熱風循環手段、140a及び140b 通気抵抗部材、144 通気性部材、202 熱処理室壁、204 外壁、206 内壁、208 スリット、210 ストランド、212 上部加熱空気ダクト、214 下部加熱空気ダクト、216 上部ノズル、218 下部ノズル、θ 交差角度、220及び222 風速調節板、302及び402 熱処理室壁、308及び408 スリット、316及び416 上部ノズル、318及び418 下部ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
折返して水平走行する繊維ストランドが出入りする複数のスリットを備えると共に前記繊維ストランドの上方から垂直に熱風を送り繊維ストランドを耐炎化する熱処理室と、前記熱処理室に熱風を供給する手段とを備えてなる耐炎化炉と;前記耐炎化炉の両外側に備えられた複数の折返しローラーであって前記複数のスリットから出入する繊維ストランドを折返して耐炎化炉に戻す折返しローラーとを具備する耐炎化熱処理装置において、
前記熱処理室内を走行する繊維ストランドの走行方向と平行な側壁と繊維ストランドとの間隙を150mm以下に形成すると共に前記側壁に加熱手段を設けてなる耐炎化熱処理装置。
【請求項2】
加熱手段が熱処理室の側壁の外側に形成した熱風通路である請求項1に記載の耐炎化熱処理装置。
【請求項3】
加熱手段が熱処理室の側壁に形成したヒーターである請求項1に記載の耐炎化熱処理装置。
【請求項4】
複数のスリットの全部若しくは一部にノズルを設け、該ノズルから加熱空気を熱処理室内に供給する請求項1に記載の耐炎化熱処理装置。
【請求項5】
加熱空気の温度が、熱処理室温度よりも高い温度である請求項4に記載の耐炎化熱処理装置。
【請求項6】
ノズルが、ノズルから吹出す加熱空気によりノズル周辺の空気を随伴させて熱処理室内に供給する機構を備えた請求項4に記載の耐炎化熱処理装置。
【請求項7】
ノズルを、繊維ストランドが熱処理室内に入る側のスリットのみに設ける請求項4に記載の耐炎化熱処理装置。
【請求項8】
全スリット個数に対して70%に相当する個数の下部側のスリットの内、少なくとも1個のスリットが、空気吹出し方向を熱処理室の外方に向けたノズルを有する請求項4に記載の耐炎化熱処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−348463(P2006−348463A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−235824(P2006−235824)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【分割の表示】特願2002−575368(P2002−575368)の分割
【原出願日】平成14年3月20日(2002.3.20)
【出願人】(000003090)東邦テナックス株式会社 (246)
【Fターム(参考)】