説明

耐熱性と高温領域の引張特性が向上した全芳香族ポリイミド樹脂の製造方法

【課題】ポリイミドの特性をそのまま維持しながら、耐熱性と高温領域での引張強度及び延伸率を向上させて、より高い耐熱性及び機械的特性が要求される半導体産業、宇宙航空分野の重要耐熱素材として応用が可能な全芳香族ポリイミド樹脂の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明による全芳香族ポリイミド樹脂の製造方法は、比率が調節された2つの芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンを溶液重合することを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は耐熱性ポリイミド樹脂の製造方法に関するものであり、詳細には、従来のポリイミド樹脂よりも優れた耐熱性を有し、機械的特性、特に高温状態で高延伸率を維持する長所があるため、高耐熱性を要求する半導体及び宇宙航空分野の核心耐熱素材として使用できるポリイミド樹脂の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、ポリイミド樹脂とは、芳香族テトラカルボン酸またはその誘導体と、芳香族ジアミンまたは芳香族ジイソシアネートを反応させた後、イミド化し、製造される高耐熱樹脂をいう。ポリイミド樹脂は、使用される単量体の種類に応じて様々な分子構造を有するが、代表的な芳香族テトラカルボン酸の成分としてピロメリット酸二無水物(PMDA)と3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)が挙げられ、芳香族ジアミン成分としてオキシジアニリン(ODA)またはパラフェニレンジアミン(p−PDA)が挙げられる。最も代表的なポリイミド樹脂は、繰り返し単位として化学式(1)の化学構造を有する。
【0003】
【化1】

(1)
【0004】
前記化学式(1)を繰り返し単位とするポリイミド樹脂は、不溶、不融の超高耐熱性樹脂であり、長期使用温度は約260℃、短期使用温度は約480℃程度で、非常に優れた耐熱特性、優れた電気化学的/機械的特性、耐放射線性及び低温特性、耐薬品性を有するため、電気/電子産業、自動車産業、半導体産業、及び宇宙/航空産業などの様々な先端産業分野の核心部品として使用されている。
【0005】
しかし、優れた耐熱性及び機械的特性にも関わらず、多様な温度での使用が一部制限されており、特に高温に長時間晒された時に発生される表面クラック(Crack)などの問題がある。したがって、ポリイミドの機械的特性を維持し、かつ耐熱性をさらに向上させようとする試みがあり、例えば、特許文献1では3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とメタフェニレンジアミン(m−PDA)をジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン、ピリジンのような非プロトン性極性溶媒を用いて製造する方法がある。しかし、非プロトン性極性溶媒下で従来技術のように溶液状態でアミド化反応を行う場合、耐熱性は向上するが、高結晶化度により機械的物性、特に高温での引張強度及び延伸率が低下する。それを補完するために、ポリアミド酸を分離し、固体状態でのイミド化反応を行うことにより、耐熱性と機械的物性に優れたポリイミド樹脂を製造する方法を使用している。
【0006】
固体状態でイミド化する方法は、分離されたポリアミド酸の粘性が非常に高いため、分離、搬送、及び乾燥などの工程を調節し難く、製造費用が増加する問題がある。それを改善するために、特許文献2では溶液状態でイミド化反応を行うことにより結晶性が増加して機械的物性、特に引張強度及び延伸率の低下を防止し、耐熱性が向上し、機械的特性に優れたポリイミド樹脂を製造する。具体的には、比率が調節されたメタフェニレンジアミン(m−PDA)、パラフェニレンジアミン(p−PDA)のような2つの芳香族ジアミンを、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン、ピリジンのような非プロトン性極性溶媒下で共重合して対応するポリアミド酸を製造し、第2の反応器にポリアミド酸を搬送して溶液状態でイミド化することにより、耐熱性及び機械的特性が改善されたポリイミド樹脂を製造する2段階の重合方法を使用している。
【0007】
しかし、このような非プロトン性極性溶媒下でのポリイミド樹脂の製造過程は、中間過程で生成されるポリアミド酸の高粘性により反応状態の調節が難しいだけでなく、特性を改善するための単量体及び組み合わせの選定に制約がある。また、ポリイミドの重合反応において、溶媒に含まれているか、反応中に生成される水は、ポリイミド分子量の増加を妨げる。上述した非プロトン性極性溶媒は、通常、水によく混合されるため、使用する溶媒の水分含量を100ppm以下に調節するか、反応中に生成される水を除去するために、別途の方法及び装置を使用しなければならない問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許登録第5,162,492号
【特許文献2】米国特許登録第5,886,129号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者らは前記問題を解決するために、耐熱性を向上させ、最適の機械的特性を有するポリイミド樹脂の製造に効果的な単量体の組成を見つけ、従来の技術よりも容易に、かつ経済的に製造できる競争力のある新たな製造方法を鋭意検討した結果、本発明に到達した。
したがって、本発明は、従来のポリイミド樹脂よりも優れた耐熱性と、機械的特性、特に高温状態で高延伸率を維持する特性を有するため、高い耐熱性を要求する半導体及び宇宙航空分野の核心耐熱素材として使用できるポリイミド樹脂の製造方法を提供することにその目的がある。
また、本発明は、前記製造方法により製造されたポリイミド樹脂を用いたポリイミド成形体の製造方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とピロメリット酸二無水物(PMDA)の比率が調節された2つの芳香族テトラカルボン酸二無水物と、芳香族ジアミンと、を所定の比率で使用して極性有機溶媒下で直接重合して製造することにより、従来のポリイミドよりも耐熱性が向上し、高温での引張特性、特に、高温での延伸率が増加する優れたポリイミド樹脂が得られる。
本発明で、溶液状態でのイミド化反応により得られた高耐熱性のポリイミド樹脂は次の化学式(1)のような構造を有する。
【0011】
【化2】

(1)
(式中、Rは比率が調節された2つのテトラカルボン酸二無水物からなるもので、R’は1つまたは2つ以上の芳香族ジアミン誘導体から生成されたものである。)
また、本発明は、前記製造方法により製造されたポリイミド樹脂を50,000〜100,000psiの圧力で圧縮成形して焼成することを含むポリイミド成形体の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、従来のポリイミドよりも耐熱性が向上したポリイミド樹脂及び成形体を容易に、かつ経済的に得ることができ、特に既存のポリイミドの問題であった、260℃以上の高温領域で延伸率が低下して耐久性の低下を招いた問題を克服した。
したがって、既存のポリイミド部品素材よりも強化された耐熱性、耐摩耗性、機械的特性により電気/電子、半導体、平板ディスプレイ、自動車、及び宇宙航空などの先端産業の高耐熱機械部品への適用が見込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】従来のポリイミドと本発明のポリイミドが空気中の高温に晒された時間による重量損失重量%をもって耐熱性を比較したグラフである。
【図2】従来のポリイミドと本発明のポリイミドの260℃の高温状態での延伸率(%)を比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
従来のポリイミド樹脂よりも耐熱性が向上した全芳香族ポリイミド樹脂の製造のために、芳香族テトラカルボン酸二無水物とジアミンは、芳香族性を有しており、構造的に脆弱な−O−、−S−、−CO−などの官能基は含んではならない。
また、溶液状態でのイミド化反応により高い機械的特性を維持するためには、ポリイミドの分子構造が直鎖状構造を持つべきである。
【0015】
したがって、本発明では3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とピロメリット酸二無水物(PMDA)の比率が調節された2つの芳香族テトラカルボン酸二無水物と、芳香族ジアミンとしてパラフェニレンジアミン(p−PDA)とメタフェニレンジアミン(m−PDA)を所定の比率で使用し、高沸点のフェノール系有機極性溶媒下で一段階直接重合により製造することにより、従来のポリイミドよりも耐熱性が向上し、かつ高温での引張特性と延伸率に優れたポリイミド樹脂が得られる。
本発明で、溶液状態でのイミド化反応による高耐熱性のポリイミド樹脂は、次の化学式(1)のような構造を有する。
【0016】
【化3】

(1)
【0017】
(式中、Rは比率が調節された2つのテトラカルボン酸二無水物からなるもので、40〜80モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)と20〜60モル%のピロメリット酸二無水物(PMDA)からなり、好ましくは65〜75モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)と25〜35モル%のピロメリット酸二無水物(PMDA)からなる。
R’は1つまたは2つ以上の芳香族ジアミン誘導体から生成されたもので、好ましくは15〜60モル%のパラフェニレンジアミン(p−PDA)と40〜85モル%のメタフェニレンジアミン(m−PDA)からなり、さらに好ましくは50〜60モル%のパラフェニレンジアミン(p−PDA)と40〜50モル%のメタフェニレンジアミン(m−PDA)からなる。)
【0018】
前記ポリイミド樹脂は具体的に次のような方法で製造される。
高沸点のフェノール系有機極性溶媒に芳香族ジアミンとしてパラフェニレンジアミン(p−PDA)とメタフェニレンジアミン(m−PDA)を所定のモル%に溶解する。この時、所定のモル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とピロメリット酸二無水物(PMDA)を均一に混合し、溶液の温度を80〜120℃に1〜2時間上昇させる過程で3等分して固体状態で同量注入することが好ましい。
【0019】
次に、80〜120℃で約2時間撹拌し、反応混合液の温度を1〜2時間にわたって160〜200℃に上昇させた後、その状態を2時間維持する。反応に用いられたフェノール系有機極性溶媒は水とあまり混合せず、反応中に生成された水は気化してコンデンサに凝縮され、層分離されるため、容易に除去され、これによって高分子量のポリイミド樹脂粉末が得られる。生成されるポリイミドスラリー溶液を60〜80℃まで冷却した後、用いられた高沸点のフェノール系有機極性溶媒100体積%に対して30〜60体積%のメチルアルコールを添加して希釈する。希釈したポリイミドスラリーをアセトンまたはメチルアルコールのように低沸点の有機溶液で洗浄し、100〜250℃の温度と、10-1Torr以下の真空及び窒素ガス気流下で18時間乾燥する。160〜220℃の温度が好ましく、さらに好ましくは190〜200℃の温度である。
【0020】
結果的に、生成されたポリイミド樹脂は5〜20%以下の適切な結晶化度と、高い比表面積を持つようになるため、効果的に圧縮成形される。
反応に用いられた高沸点のフェノール系有機極性溶媒としては、メタクレゾールや、オルト、メタ、パラの異性体が不均一に混合された混合クレゾール(Mixed−Cresol)が挙げられる。また、固形分の濃度は6重量%〜16重量%が好ましく、さらに好ましくは8重量%〜12重量%である。
上述したように、本発明により製造されたポリイミド樹脂粉末は、固有粘度が0.7〜2.5dl/gの範囲を維持し、結晶化度が5〜10%であり、比表面積は50〜200m2/gの範囲を維持し、また、イミド化度は98〜99%の範囲である。
【0021】
本発明により製造されたポリイミド樹脂を50,000〜100,000psi(345〜690Mpa)の圧力で室温及び高温で圧縮成形して窒素気流下で350〜400℃で2〜3時間焼成するか、または高温高圧を同時に加える過程により高耐熱性及び優れた機械的強度を有するポリイミド成形品を製造することができる。
【0022】
本発明のポリイミド樹脂を用いて製造されたポリイミド成形品は、従来のポリイミドよりも耐熱性が向上した。例えば、従来のポリイミドが同条件で5.0重量%以上の重量減量を示すが、本発明によるポリイミドは2.0〜1.5重量%以下の重量減量を示し、耐熱性が非常に向上したことが分かる。
【0023】
また、従来のポリイミドの延伸率特性は高温260℃で測定する場合、室温で測定する値よりも低下する一般的な現象のために、高温使用中にクラック(Crack)が発生するか、機械的強度の急激な低下を招いた。これら特性のため、一般的な産業分野よりも高温特性を必要とする半導体産業及び宇宙航空産業分野での使用が制限的であった。しかし、本発明により製造されたポリイミドは、高温状態で引張特性を評価する時、延伸率が低下する従来のポリイミドとは異なり、高温で延伸率特性がさらに優れた高耐熱性のポリイミドであって、今後、半導体産業及び宇宙航空産業で特に有効に使用されることができる。
このような本発明を次の実施例に基づいてより詳しく説明するが、本発明が必ずしもこれに限定されることはない。
【実施例】
【0024】
実施例1:BPDA(70モル%)+PMDA(30モル%)+m−PDA
撹拌器、温度調節装置、窒素注入装置が付着された2lの反応器に37.85gのメタフェニレンジアミン(m−PDA)を入れて混合クレゾールに溶解させ、室温で窒素ガスを通過させる。
室温から110℃まで2時間にわたって昇温し、72.08gの3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA、70モル%)と22.90gのピロメリット酸二無水物(PMDA、30モル%)を3回に分けて固体状態で同量注入する。この時、固形分の濃度は8重量%に固定し、110℃で2時間反応させ、反応溶液の温度を175℃まで2時間にわたって昇温した後、2時間撹拌してイミド化反応を行う。反応が終了すると、反応溶液を40℃まで冷却した後、用いられたクレゾール100体積%に対して40体積%のメチルアルコールを添加する。30分間さらに撹拌し、10-1Torrの真空状態及び窒素気流下で16時間乾燥する。
製造されたポリイミド樹脂は、濃硫酸を溶媒にして0.5g/dlの濃度で30℃で測定した固有粘度が1.20dl/gであり、イミド化度は99%であった。
前記樹脂を100,000psiの圧力で成形し、400℃で3時間窒素気流下で焼結する。製造されたポリイミド成形体の引張強度、延伸率、及び耐熱性を下記性能評価方法で測定して表1に整理した。
【0025】
実施例2:BPDA(60モル%)+PMDA(40モル%)、m−PDA
37.85gの m−PDA、61.79gのBPDA(60モル%)と、30.54gのPMDA(40モル%)を用いて実施例1のような方法でポリイミド樹脂を製造した。製造されたポリイミド樹脂の固有粘度は1.02dl/gであり、イミド化度は99%であった。
製造されたポリイミド成形体の引張強度、延伸率、及び耐熱性を下記性能評価方法で測定して表1に整理した。
【0026】
実施例3:BPDA(50モル%)+PMDA(50モル%)+ m−PDA
37.85gの m−PDA、51.49gのBPDA(50モル%)と、38.17gのPMDA(50モル%)を用いて実施例1のような方法でポリイミド樹脂を製造した。製造されたポリイミド樹脂の固有粘度は0.96dl/gであり、イミド化度は99%であった。
製造されたポリイミド成形体の引張強度、延伸率、及び耐熱性を下記性能評価方法で測定して表1に整理した。
【0027】
実施例4:BPDA(30モル%)+PMDA(70モル%)+ m−PDA
37.85gの m−PDAと、30.89gのBPDA(30モル%)と、53.44gのPMDA(70モル%)を用いて実施例1のような方法でポリイミド樹脂を製造した。製造されたポリイミド樹脂の固有粘度は0.92dl/gであり、イミド化度は99%であった。
製造されたポリイミド成形体の引張強度、延伸率及び耐熱性を下記性能評価方法で測定して表1に整理した。
【0028】
実施例5:BPDA(70モル%)+PMDA(30モル%)+ m−PDA(40モル%)+ p−PDA(60モル%)
15.14gの m−PDA(40モル%)と22.17gのp−PDA(60モル%)、72.08gのBPDA(70モル%)と22.90gのPMDA(30モル%)を用いて実施例1のような方法でポリイミド樹脂を製造した。製造されたポリイミド樹脂の固有粘度は0.92dl/gであり、イミド化度は99%であった。
製造されたポリイミド成形体の引張強度、延伸率、及び耐熱性を下記性能評価方法で測定して表1に整理した。
【0029】
実施例6:BPDA(70モル%)+PMDA(30モル%)+ m−PDA(70モル%)+p −PDA(30モル%)
26.49gのm−PDA(70モル%)と11.35gのp−PDA(30モル%)、72.08gのBPDA(70モル%)と22.90gのPMDA(30モル%)を用いて実施例1のような方法でポリイミド樹脂を製造した。製造されたポリイミド樹脂の固有粘度は0.92dl/gであり、イミド化度は99%であった。
製造されたポリイミド成形体の引張強度、延伸率、及び耐熱性を下記性能評価方法で測定して表1に整理した。
【0030】
比較例:PMDA+4,4−オキシジアニリン(ODA)
撹拌器、温度調節装置、窒素注入装置が付着された2lの反応器に36.11gの4,4'−オキシジアニリン(ODA)を入れて混合クレゾールに溶解させ、室温で窒素ガスを通過させる。
室温から60〜80℃まで1〜2時間にわたって昇温し、39.45gのピロメリット酸二無水物(PMDA)を3回に分けて固体状態で同量注入する。この時、固形分の濃度は12重量%に固定し、1〜2時間反応させた後、165℃まで徐々に昇温して1〜2時間撹拌してイミド化反応を実施する。反応が終了すると、反応液の温度を80℃まで冷却し、濾過してメチルアルコールで洗浄する。
製造されたポリイミド樹脂を190℃、10-1Torrの真空状態及び窒素気流下で16時間乾燥する。
製造されたポリイミド樹脂は、濃硫酸を溶媒にして0.5g/dlの濃度で30℃で測定した固有粘度が0.98dl/gであり、イミド化度は99%であった。
前記樹脂を100,000psiの圧力で成形し、400℃で3時間窒素気流下で焼結する。
製造されたポリイミド成形体の引張強度、延伸率、及び耐熱性を下記性能評価方法で測定して表1に整理した。
【0031】
性能評価1:ポリイミド成形体の引張強度及び延伸率の測定
前記方法により製造されたポリイミド成形体の引張強度及び延伸率は、ASTM D−1708に提示された方法で測定した。
【0032】
性能評価2:ポリイミド成形体の耐熱性の測定
ポリイミド成形体を0.61Mpa空気圧下で400℃で25時間放置し、重量減量を比較した。
%重量損失=(初期重量−晒された後の重量)/初期重量×100
【0033】
【表1】

【0034】
表1で示したように、本発明により製造されたポリイミド成形体は、PMDAとBPDAを適切に混合して使用し、好ましくはそれに加えてm−PDAとρ−PDAも適切に混合使用することにより、従来のPMDAとODAをそれぞれ単独使用して製造したポリイミド成形体に比べて、耐熱性に優れ、引張強度と延伸率、特に高温(260℃)での引張強度と延伸率に優れた特性が確認できる。
したがって、本発明により製造されたポリイミド成形体は、高耐熱性、高温での高い引張強度及び延伸率が要求される半導体産業及び航空宇宙産業などで応用できる長所がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
40〜80モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)と20〜60モル%のピロメリット酸二無水物(PMDA)との混合単量体を、芳香族ジアミンと溶液重合させることを含むことを特徴とする全芳香族ポリイミド樹脂の製造方法。
【請求項2】
前記芳香族ジアミンは、15〜60モル%のパラフェニレンジアミン(p−PDA)と40〜85モル%のメタフェニレンジアミン(m−PDA)を混合使用することを特徴とする請求項1に記載の全芳香族ポリイミド樹脂の製造方法。
【請求項3】
テトラカルボン酸二無水物の比率を65〜75モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)と25〜35モル%のピロメリット酸二無水物(PMDA)により調節し、芳香族ジアミンの比率を50〜60モル%のパラフェニレンジアミン(p−PDA)と40〜50モル%のメタフェニレンジアミン(m−PDA)により調節することを特徴とする請求項2に記載の全芳香族ポリイミド樹脂製造方法。
【請求項4】
前記溶液重合は、フェノール系極性有機溶媒を用いて単一段階高温重合することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の全芳香族ポリイミド樹脂製造方法。
【請求項5】
前記フェノール系極性有機溶媒は、メタクレゾールまたはオルト−、メタ−、パラ−の異性体が均一または不均一な比率で混合された混合クレゾールであることを特徴とする請求項4に記載の全芳香族ポリイミド樹脂製造方法。
【請求項6】
請求項1から5に記載の何れか1項に記載の全芳香族ポリイミド樹脂を用いた成形体。
【請求項7】
前記全芳香族ポリイミド樹脂を50,000〜100,000psi(345〜690Mpa)の圧力で圧縮成形して350〜400℃で2〜3時間焼成して製造されることを特徴とする請求項6に記載の成形体。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−516508(P2013−516508A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546990(P2012−546990)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【国際出願番号】PCT/KR2010/008741
【国際公開番号】WO2011/081313
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(512174000)デリム コーポレイション (2)
【Fターム(参考)】