説明

耐震装置

【課題】 大きな地震の揺れにも素早く転倒防止効果を発揮できる耐震装置を提供すること。
【解決手段】 下側に円錐形状の窪み13が設けられ、円錐形状の窪み13の中心には貫通穴12aが設けられ水平方向に回転自在の回転上面板12と、中心に設けられた貫通穴14aを中心とする円周に沿って複数の球体15が回転自在に取り付けられるとともに上面と下面とに突出する回転自在の回転盤14と、中心部に垂直方向にシャフト18とが設けられた基板17とを備え、基板17に回転盤14を介し回転上面板12が水平方向に回転自在に取付けられることとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大きな地震の揺れにも素早く転倒防止効果を発揮できる耐震装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の地震対策用の耐震装置には、家庭内に置かれるタンス、本棚、食器棚などの多くの家具類の地震のときの転倒防止や、事務所などに置かれる書棚などの転倒防止のために、これらの下側に置く耐震マットや(例えば、特許文献1参照)スタイド板付きの耐震マットがある(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】 特開平11−332726号公報
【特許文献2】 特開2006−239223号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の家具類などの転倒防止装置は、大きな地震の揺れについても転倒防止を十分に発揮できないのではという問題があった。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであって、大きな地震の揺れにも素早く転倒防止効果を発揮できる耐震装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の耐震装置は、下側に傾斜部が形成された円錐形状の窪みが設けられ、前記円錐形状の窪みの中心には貫通穴が設けられ水平方向に回転自在の回転上面板と、中心に設けられた貫通穴を中心とする円周に沿って複数の球体が回転自在に取り付けられるとともに上面と下面とに突出する回転自在の回転盤と、中心部に垂直方向にシャフトが設けられた基板とを備え、前記シャフトには前記回転盤の前記貫通穴と、前記回転上面板の前記貫通穴とが挿入され、前記基板に前記回転盤を介し前記回転上面板が水平方向に回転自在に取付けられることとした。
また、本発明の耐震装置は、中心に貫通穴が設けられ水平方向に回転自在の回転上面板と、中心に設けられた貫通穴を中心とする円周に沿って複数の球体が回転自在に取り付けられるとともに上面と下面とに突出する回転自在の回転盤と、傾斜部が形成された円錐形状の窪みが上側に設けられ、前記円錐形状の窪みの中心部に垂直方向にシャフトが設けられた基板とを備え、前記シャフトには前記回転盤の前記貫通穴と、前記回転上面板の前記貫通穴とが挿入され、前記基板に前記回転盤を介し前記回転上面板が水平方向に回転自在に取付けられることとした。
また、本発明の耐震装置は、中心に貫通穴が設けられ水平方向に回転自在の回転上面板と、中心に設けられた貫通穴を中心とする円周に沿って複数の球体が回転自在に取り付けられるとともに上面と下面とに突出する回転自在の回転盤と、中心部に垂直方向にシャフトが設けられた基板とを備え、前記シャフトには前記回転盤の前記貫通穴と、前記回転上面板の前記貫通穴とが挿入され、前記基板に前記回転盤を介し前記回転上面板が水平方向に回転自在に取付けられることとした。
さらに、前記回転上面板には、弾性体の衝撃吸収マットが上面に重ねられることとした。
【発明の効果】
【0006】
本発明の耐震装置は、下側に傾斜部が形成された円錐形状の窪みが設けられ、前記円錐形状の窪みの中心には貫通穴が設けられ水平方向に回転自在の回転上面板と、中心に設けられた貫通穴を中心とする円周に沿って複数の球体が回転自在に取り付けられるとともに上面と下面とに突出する回転自在の回転盤と、中心部に垂直方向にシャフトが設けられた基板とを備え、前記シャフトには前記回転盤の前記貫通穴と、前記回転上面板の前記貫通穴とが挿入され、前記基板に前記回転盤を介し前記回転上面板が水平方向に回転自在に取付けられることとしたため、地震により床面に揺れが生じたときでも、収納物の底面にはその揺れは直接伝えられず緩和され、地震の揺れに素早く転倒防止効果を発揮することができる。
また、本発明の耐震装置は、中心に貫通穴が設けられ水平方向に回転自在の回転上面板と、中心に設けられた貫通穴を中心とする円周に沿って複数の球体が回転自在に取り付けられるとともに上面と下面とに突出する回転自在の回転盤と、傾斜部が形成された円錐形状の窪みが上側に設けられ、前記円錐形状の窪みの中心部に垂直方向にシャフトが設けられた基板とを備え、前記シャフトには前記回転盤の前記貫通穴と、前記回転上面板の前記貫通穴とが挿入され、前記基板に前記回転盤を介し前記回転上面板が水平方向に回転自在に取付けられることとしたため、収納物の底面にはその揺れは直接伝えられず緩和され、地震の揺れに素早く転倒防止効果を発揮することができる。
また、本発明の耐震装置は、中心に貫通穴が設けられ水平方向に回転自在の回転上面板と、中心に設けられた貫通穴を中心とする円周に沿って複数の球体が回転自在に取り付けられるとともに上面と下面とに突出する回転自在の回転盤と、中心部に垂直方向にシャフトが設けられた基板とを備え、前記シャフトには前記回転盤の前記貫通穴と、前記回転上面板の前記貫通穴とが挿入され、前記基板に前記回転盤を介し前記回転上面板が水平方向に回転自在に取付けられることとしたため、収納物の底面にはその揺れは直接伝えられず緩和され、簡潔構造で地震の揺れに素早く転倒防止効果を発揮することができる。
さらに、前記回転上面板には、弾性体の衝撃吸収マットが上面に重ねられることとしたため、さらに転倒防止効果を発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態の耐震装置につき説明する。
【実施例】
【0008】
図1は、本発明の第1の実施の形態の耐震装置の斜視図を示す。
本発明の第1の実施の形態の耐震装置10は、家庭内に置かれるタンスなどの家具類の収納物や、事務所などに置かれる書棚などの収納物の下側に設置し転倒防止を行うもので、収納物が上側に直接設置される弾性体の衝撃吸収マット11が上面に重ねられ回転自在に設けられる回転上面板12が、床面に設置される基板17との間に設けられた回転盤14により回転自在となっている。
【0009】
図2は、本発明の第1の実施の形態の耐震装置の分解斜視図を示す。
本発明の第1の実施の形態の耐震装置10は、図2(a)に示すように、揺れが生じたとき衝撃を吸収するゴムなどの弾性体の四角形状の平板状の衝撃吸収マット11と、図2(b)に示すように、収納物が上側に直接設置される弾性体の衝撃吸収マット11が上面に重ねられ、下側の中心からなだらかな傾斜部13aが形成された円錐形状の窪み13が設けられ、円錐形状の窪み13の中心には貫通穴12aが設けられ水平方向に回転自在となる回転上面板12と、図2(c)に示すように、中心に貫通穴14aが設けられ、貫通穴14aを中心とする円周に沿って矢印Pに示すように球体15が取り付けられる複数の球体取付穴16が設けられ回転自在となる回転盤14と、図2(d)に示すように、床面に設置され、中心部に垂直方向にシャフト18が設けられた四角形状の平板状の基板17とで構成されている。
図2(e)に示すように、回転盤14は、回転盤14に明けられた球体取付穴16に隙間14bが設けられるように球体15が圧入されている。そのため、球体15は、球体取付穴16に回転自在となるとともに、回転盤14の上面と下面とより突出した部分が突出部15aとなっている。
【0010】
図3は、本発明の第1の実施の形態の耐震装置が組立てられたときの中心垂直断面図を示す。
図3に示すように、床面に設置された平板状の基板17は、平板状の基板17に垂直方向に設けられたシャフト18が回転盤14の中心に設けられた貫通穴14aに挿入され、平板状の基板17の上面に回転盤14の球体15が当接し、回転盤14を水平方向に回転自在に取付けている。さらに、シャフト18は、回転上面板12の円錐形状の窪み13の中心に設けられた貫通穴12aに挿入されるとともに、回転盤14の球体15が円錐形状の窪み13の傾斜部13aに当接し、回転上面板12が水平方向に回転自在に取付けている。また、回転上面板12の上側には衝撃吸収マット11が重ねられている。
【0011】
以上述べたごとく、本発明の第1の実施の形態の耐震装置10は、床面に設置された平板状の基板17に回転上面板12が、基板17との間に設けられた回転盤14により回転自在に取り付けられている。通常、家庭内に置かれるタンスなどの家具類の収納物や、事務所などに置かれる書棚などの収納物は、床面に直接設置されているため、地震により床面に揺れが生じたときには、その揺れは収納物の底面に直接伝えられ、収納物に転倒や大きな揺れが発生する恐れがある。
本発明の第1の実施の形態の耐震装置10は、収納物のそれぞれのコーナの底面に設置され、地震により床面に揺れが生じたときでも、その揺れの方向に基板17はスライドするが、回転上面板12は水平方向に回転動作が行われ、収納物の底面にはその揺れは直接伝えられず緩和され、地震の揺れに素早く転倒防止効果を発揮することができる。また、揺れが生じたときゴムなどの弾性体の四角形状の平板状の衝撃吸収マット11によっても揺れの衝撃を吸収することができる。
【0012】
図4は、本発明の第2の実施の形態の耐震装置が組立てられたときの中心垂直断面図を示す。
図4に示すように、床面に設置された平板状の基板27は、中心からなだらかな傾斜部26aが形成された円錐形状の窪み26が上側に設けられ、円錐形状の窪み26の中心部には垂直方向にシャフト28が設けられた四角形状の平板状となっている。その他、衝撃吸収マット21、回転上面板22、回転盤24は、本発明の第の実施の形態の耐震装置10と同様の構造となっている。
床面に設置された平板状の基板27は、平板状の基板27に垂直方向に設けられたシャフト28が回転盤24の中心に設けられた貫通穴24aに挿入され、平板状の基板27の上側に形成された円錐形状の窪み26の傾斜部26aに回転盤24の球体25が当接し、回転盤24を水平方向に回転自在に取付けている。さらに、シャフト28は、回転上面板22の円錐形状の窪み23の中心に設けられた貫通穴22aに挿入されるとともに、回転盤24の球体25が円錐形状の窪み23の傾斜部23aに当接し、回転上面板22が水平方向に回転自在に取付けている。また、回転上面板22の上側には衝撃吸収マット21が重ねられている。
【0013】
以上述べたごとく、本発明の第2の実施の形態の耐震装置20は、床面に設置された平板状の基板27に回転上面板22が、基板27との間に設けられた回転盤24により回転自在に取り付けられている。本発明の第2の実施の形態の耐震装置20は、収納物のそれぞれのコーナの底面に設置され、地震により床面に揺れが生じたときでも、その揺れの方向に基板27はスライドするが、回転上面板22は水平方向に回転動作が行われ、収納物の底面にはその揺れは直接伝えられず緩和され、地震の揺れに素早く転倒防止効果を発揮することができる。また、揺れが生じたときゴムなどの弾性体の四角形状の平板状の衝撃吸収マット21によっても揺れの衝撃を吸収することができる。
なお、回転上面板22には、円錐形状の窪み23を設けることとしたが、平板状にすることもできる。
【0014】
図5は、本発明の第3の実施の形態の耐震装置が組立てられたときの中心垂直断面図を示す。
図5に示すように、本発明の第3の実施の形態の耐震装置30は、四角形状の平板状の衝撃吸収マット31と、収納物が上側に直接設置される弾性体の衝撃吸収マット31が上面に重ねられ、中心には貫通穴32aが設けられ水平方向に回転自在となる回転上面板32と、中心に貫通穴34aが設けられ、貫通穴34aを中心とする円周に沿って球体35が取り付けられる複数の球体取付穴36が設けられ回転自在となる回転盤34と、床面に設置され、中心部に垂直方向にシャフト38が設けられた四角形状の平板状の基板37とで構成されている。
回転盤34の球体取付穴36には、円筒形状の貫通穴として球体35を挿入し、シャフト38には、基板37と回転盤34との間にリンク39aを挿入し、回転盤34と回転上面板32との間にはリンク39bを挿入して、球体35の下側に基板37を当接させ、球体35の上側に回転上面板32を当接させ、回転盤34を円滑に回転させることができる。また、本発明の第1の実施の形態の耐震装置10と同様に、回転盤34に球体35を圧入させ、回転盤34を回転させることもできる。
【0015】
図5に示すように、床面に設置された平板状の基板37は、平板状の基板37に垂直方向に設けられたシャフト38が回転盤34の中心に設けられた貫通穴34aに挿入され、平板状の基板37の上面に回転盤34の球体35が当接し、回転盤34を水平方向に回転自在に取付けている。さらに、シャフト38は、回転上面板32の貫通穴32aに挿入されるとともに、回転盤34の球体35が基板37の下側に当接し、回転上面板32が水平方向に回転自在に取付けている。また、回転上面板32の上側には衝撃吸収マット31が重ねられている。
【0016】
以上述べたごとく、本発明の第3の実施の形態の耐震装置30は、床面に設置された平板状の基板37に回転上面板32が、基板37との間に設けられた回転盤34により回転自在に取り付けられている。
本発明の第1の実施の形態の耐震装置30は、収納物のそれぞれのコーナの底面に設置され、地震により床面に揺れが生じたときでも、その揺れの方向に基板37はスライドするが、回転上面板32は水平方向に回転動作が行われ、収納物の底面にはその揺れは直接伝えられず緩和され、簡潔構造で地震の揺れに素早く転倒防止効果を発揮することができる。また、揺れが生じたときゴムなどの弾性体の四角形状の平板状の衝撃吸収マット31によっても揺れの衝撃を吸収することができる。
【0017】
なお、本発明の実施の形態の耐震装置は、地震に限らず、その他さまざまの揺れの防振に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】 本発明の第1の実施の形態の耐震装置の斜視図を示す。
【図2】 本発明の第1の実施の形態の耐震装置の分解斜視図を示す。
【図3】 本発明の第1の実施の形態の耐震装置が組立てられたときの中心垂直断面図を示す。
【図4】 本発明の第2の実施の形態の耐震装置が組立てられたときの中心垂直断面図を示す。
【図5】 本発明の第3の実施の形態の耐震装置が組立てられたときの中心垂直断面図を示す。
【符号の説明】
【0019】
10、20、30 耐震装置
11、21,31 衝撃吸収マット
12、22、32 回転上面板
13、26 円錐形状の窪み
14、24 回転盤
15、25、35 球体
17、27、37 基板
18、28、38 シャフト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下側に傾斜部が形成された円錐形状の窪みが設けられ、前記円錐形状の窪みの中心には貫通穴が設けられ水平方向に回転自在の回転上面板と、中心に設けられた貫通穴を中心とする円周に沿って複数の球体が回転自在に取り付けられるとともに上面と下面とに突出する回転自在の回転盤と、中心部に垂直方向にシャフトが設けられた基板とを備え、前記シャフトには前記回転盤の前記貫通穴と、前記回転上面板の前記貫通穴とが挿入され、前記基板に前記回転盤を介し前記回転上面板が水平方向に回転自在に取付けられることを特徴とする耐震装置。
【請求項2】
中心に貫通穴が設けられ水平方向に回転自在の回転上面板と、中心に設けられた貫通穴を中心とする円周に沿って複数の球体が回転自在に取り付けられるとともに上面と下面とに突出する回転自在の回転盤と、傾斜部が形成された円錐形状の窪みが上側に設けられ、前記円錐形状の窪みの中心部に垂直方向にシャフトが設けられた基板とを備え、前記シャフトには前記回転盤の前記貫通穴と、前記回転上面板の前記貫通穴とが挿入され、前記基板に前記回転盤を介し前記回転上面板が水平方向に回転自在に取付けられることを特徴とする耐震装置。
【請求項3】
中心に貫通穴が設けられ水平方向に回転自在の回転上面板と、中心に設けられた貫通穴を中心とする円周に沿って複数の球体が回転自在に取り付けられるとともに上面と下面とに突出する回転自在の回転盤と、中心部に垂直方向にシャフトが設けられた基板とを備え、前記シャフトには前記回転盤の前記貫通穴と、前記回転上面板の前記貫通穴とが挿入され、前記基板に前記回転盤を介し前記回転上面板が水平方向に回転自在に取付けられることを特徴とする耐震装置。
【請求項4】
前記回転上面板には、弾性体の衝撃吸収マットが上面に重ねられることを特徴とする請求項1〜3に記載の耐震装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−242961(P2010−242961A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−108412(P2009−108412)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【出願人】(599119569)株式会社三富工業 (29)
【Fターム(参考)】