説明

聴力損傷および目まいの治療用のβ−カルボリン

本発明は、β−カルボリン、好ましくは9−アルキル−β−カルボリン(9−アルキル−BC)、β−カルボリン、好ましくは9−アルキル−β−カルボリン(9−アルキル−BC)の製造ならびに、聴力損傷、目まい、および前庭障害の予防および治療におけるβ−カルボリン、好ましくは9−アルキル−β−カルボリン(9−アルキル−BC)の使用、およびβ−カルボリンの誘導体、好適な9−アルキル−β−カルボリン(9−アルキル−BC)の誘導体を含む医薬組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、β−カルボリン、好ましくは9−アルキル−β−カルボリン(9−アルキル−β−BC)、β−カルボリン、好ましくは9−アルキル−β−カルボリン(9−アルキル−β−BC)の製造ならびに、聴力損傷、目まい、および前庭障害の予防および治療におけるβ−カルボリン、好ましくは9−アルキル−β−カルボリン(9−アルキル−β−BC)の使用、及びβ−カルボリンの誘導体、好ましくは9−アルキル−β−カルボリン(9−アルキル−β−BC)の誘導体を含む医薬組成物に関する。
[背景技術]
本発明に係る化合物は、急性および慢性耳疾患および聴力損傷、目まいおよび前庭障害、詳細には急性聴力損失、急性音響外傷、爆傷、慢性的騒音曝露に起因する迷路性難聴、老年性難聴、人工内耳の移植中の外傷(挿入外傷)、内耳疾患に起因する目まい、メニエール病に関連したおよび/またはメニエール病の一症候としての目まい、メニエール病に関連したおよび/またはメニエール病の一症候としての前庭障害、耳鳴りおよび抗生物質および細胞増殖抑制剤に起因する聴力損傷の治療に役立つ。
【0002】
世界保健機関(WHO)の調査結果によると、世界中でおおよそ2億5千万人の人が軽度または重度の聴力損傷を患っている。米国では、3千万〜4千万人の人が聴力損傷および聴力損失に罹患している。治療のコストは、米国だけでも年間およそ500億米ドルとなっている。ドイツ聴覚障害者協会は2007年度について、14才超のドイツ人口のおよそ19パーセントが聴覚障害を患っていると報告した。
【0003】
聴覚障害者の割合は、年令が上がるにつれて増大する。65才超の人の聴力障害は、骨および関節の疾患、高血圧および心臓疾患に続いて慢性的な身体障害の第4位になる。全人口中60才〜69才の人の37パーセントそして70才代以上の人の54パーセントが聴力障害に罹患している。
【0004】
ドイツ連邦共和国では、おおよそ1200万〜1500万人の患者が、迷路性難聴を患い、およそ2900万人の患者が耳鳴りを患っている。
「耳鳴り(Tinnitus aurium:「耳の鳴り響くこと」を意味するラテン語)、短縮してtinnitus」という用語は、耳鳴りを患う人に、他の人が知覚できる外部源のない雑音を知覚させる症候または症候群を表わしている。これとは対照的に、「客観的耳鳴り」は、外部から知覚可能なまたは少なくとも測定可能な内因性の音源に基づいている。しかしながら、客観的耳鳴りは、主観的耳鳴りに比べて極めて稀である。
【0005】
耳鳴りは、耳に作用する音とは無関係に患者が感知する音響知覚である。音響知覚は、内耳の迷路の聴覚機能障害に基づいている。したがって、耳鳴りの聴覚的印象は、患者の環境内にある音とは無関係である。患者が知覚する見かけの雑音のタイプは極めて多面的である。なかでも以下のような音響的印象が「耳鳴り」という用語で集約されている:
−ブーブーという音またはヒューヒュー鳴る音、
−歯擦音
−不規則雑音
−割れるようなまたは叩くような音。
【0006】
雑音は、その強度が不変であることができる。しかしながらそれは、律動的な拍動性を有することができる。耳鳴りと同じ音響的印象の原因である実際の雑音がつねにあるわけではない。耳鳴りと音響的幻覚は明確に区別すべきである。
【0007】
人口のおよそ10〜20パーセントが常時耳鳴りを患っている。一生涯で少なくとも一回だけこのような耳鳴りを感じる人は40パーセント未満である。高齢者全体のおおよそ3分の1がつねに耳鳴りに気付くと申告している。発病は通常40〜50才であり、男女の罹患割合は同等である。耳鳴りを患う患者の数は、特に西欧先進国において増大しつづけてきた。
【0008】
本発明は、聴力損傷、老人性難聴、目まいおよび前庭障害の予防および治療に適した薬物ならびに医薬組成物を提供するという課題に基づく。
独立クレームの技術的教示は、この課題を解決する。本発明のさらなる有利な実施形態、態様および詳細は、従属クレーム、説明および実施例に起因する。
[説明]
本発明は、一般式(1)の化合物の使用に関して、
【0009】
【化1】

式中、
1は、次の部分:−R12,−CR456,−NR1213,−CO−NH−R12,−CO−O−R12の一つを表わし、
2〜R6は互いに独立して、次の部分:−R7,−R8,−R9,−R10,−R11,−H,−OH,−OR7,−OCH3,−OC25,−OC37,−O−シクロ−C35,−OCH(CH32,−OC(CH33,−OC49,−OPh,−OCH2−Ph,−OCPh3,−SH,−SCH3,−SC25,−SC37,−S−シクロ−C35,−SCH(CH32,−SC(CH33,−NO2,−F,−Cl,−Br,−I,−N3,−CN,−OCN,−NCO,−SCN,−NCS,−CHO,−COCH3,−COC25,−COC37,−CO−シクロ−C35,−COCH(CH32,−COC(CH33,−COOH,−COCN,−COOCH3,−COOC25,−COOC37,−COO−シクロ−C35,−COOCH(CH32,−COOC(CH33,−OOC−CH3,−OOC−C25,−OOC−C37,−OOC−シクロ−C35,−OOC−CH(CH32,−OOC−C(CH33,−CONH2,−CONHCH3,−CONHC25,−CONHC37,−CONH−シクロ−C35,−CONH[CH(CH32],−CONH[C(CH33],−CON(CH32,−CON(C252,−CON(C372,−CON(シクロ−C352,−CON[CH(CH322,−CON[C(CH332,−NHCOCH3,−NHCOC25,−NHCOC37,−NHCO−シクロ−C35,−NHCO−CH(CH32,−NHCO−C(CH33,−NHCO−OCH3,−NHCO−OC25,−NHCO−OC37,−NHCO−O−シクロ−C35,−NHCO−OCH(CH32,−NHCO−OC(CH33,−NH2,−NHCH3,−NHC25,−NHC37,−NH−シクロ−C35,−NHCH(CH32,−NHC(CH33,−N(CH32,−N(C252,−N(C372,−N(シクロ−C352,−N[CH(CH322,−N[C(CH332,−SOCH3,−SOC25,−SOC37,−SO−シクロ−C35,−SOCH(CH32,−SOC(CH33,−SO2CH3,−SO225,−SO237,−SO2−シクロ−C35,−SO2CH(CH32,−SO2C(CH33,−SO3H,−SO3CH3,−SO325,−SO337,−SO3−シクロ−C35,−SO3CH(CH32,−SO3C(CH33,−OCF3,−OC25,−O−COOCH3,−O−COOC25,−O−COOC37,−O−COO−シクロ−C35,−O−COOCH(CH32,−O−COOC(CH33,−NH−CO−NH2,−NH−CO−NHCH3,−NH−CO−NHC25,−NH−CO−NHC37,−NH−CO−NH−シクロ−C35,−NH−CO−NH[CH(CH32],−NH−CO−NH[C(CH33],−NH−CO−N(CH32,−NH−CO−N(C252,−NH−CO−N(C372,−NH−CO−N(シクロ−C352,−NH−CO−N[CH(CH322,−NH−CO−N[C(CH332,−NH−CS−NH2,−NH−CS−NHCH3,−NH−CS−NHC25,−NH−CS−NHC37,−NH−CS−NH−シクロ−C35,−NH−CS−NH[CH(CH32],−NH−CS−NH[C(CH33],−NH−CS−N(CH32,−NH−CS−N(C252,−NH−CS−N(C372,−NH−CS−N(シクロ−C352,−NH−CS−N[CH(CH322,−NH−CS−N[C(CH332,−NH−C(=NH)−NH2,−NH−C(=NH)−NHCH3,−NH−C(=NH)−NHC25
−NH−C(=NH)−NHC37,−OC64−OCH3,−NH−C(=NH)−NH−シクロ−C35,−NH−C(=NH)−NH[CH(CH32],−CF2Cl,−NH−C(=NH)−NH[C(CH33],−NH−C(=NH)−N(CH32,−NH−C(=NH)−N(C252,−NH−C(=NH)−N(C372,−NH−C(=NH)−N(シクロ−C352,−OC64−CH3,−NH−C(=NH)−N[CH(CH322,−NH−C(=NH)−N[C(CH332,−O−CO−NH2,−O−CO−NHCH3,−O−CO−NHC25,−O−CO−NHC37,−O−CO−NH−シクロ−C35,−O−CO−NH[CH(CH32],−O−CO−NH[C(CH33],−O−CO−N(CH32,−O−CO−N(C252,−O−CO−N(C372,−O−CO−N(シクロ−C352,−O−CO−N[CH(CH322,−O−CO−N[C(CH332,−O−CO−OCH3,−O−CO−OC25,−O−CO−OC37,−O−CO−O−シクロ−C35,−O−CO−OCH(CH32,−O−CO−OC(CH33,−CH2−COOH,−CH2−COOCH3,−CH2−COOC25,−CH2−COC37,−CH2−CO−シクロ−C35,−CH2−COCH(CH32,−CH2−COC(CH33.を表わし、
7〜R13は互いに独立して次の部分:−CH2F,−CHF2,−CF3,−CH2Cl,−CH2Br,−CH2I,−CH2−CH2F,−CH2−CHF2,−CH2−CF3,−CH2−CH2Cl,−CH2−CH2Br,−CH2−CH2I,シクロ−C35,シクロ−C47,シクロ−C59,シクロ−C611,シクロ−C713,シクロ−C815,−Ph,−CH2−Ph,−CPh3,−CH3,−C25,−C37,−CH(CH32,−C49,−CH2−CH(CH32,−CH(CH3)−C25,−C(CH33,−C511,−CH(CH3)−C37,−CH2−CH(CH3)−C25,−CH(CH3)−CH(CH32,−C(CH32−C25,−CH2−C(CH33,−CH(C252,−C24−CH(CH32,−C613,−C36−CH(CH32
−C24−CH(CH3)−C25,−CH(CH3)−C49,−CH2−CH(CH3)−C37,−CH(CH3)−CH2−CH(CH32,−CH(CH3)−CH(CH3)−C25,−CH2−CH(CH3)−CH(CH32,−CH2−C(CH32−C25,−C(CH32−C37,−C(CH32−CH(CH32,−C24−C(CH33,−CH(CH3)−C(CH33,−CH=CH2,−CH2−CH=CH2,−C(CH3)=CH2,−CH=CH−CH3,−C24−CH=CH2,−C715,−C817,−CH2−CH=CH−CH3,−CH=CH−C25,−CH2−C(CH3)=CH2,−CH(CH3)−CH=CH,−CH=C(CH32,−C(CH3)=CH−CH3,−CH=CH−CH=CH2,−C36−CH=CH2,−C24−CH=CH−CH3,−CH2−CH=CH−C25
−CH=CH−C37,−CH2−CH=CH−CH=CH2,−CH=CH−CH=CH−CH3,−CH=CH−CH2−CH=CH2,−C(CH3)=CH−CH=CH2,−CH=C(CH3)−CH=CH2,−CH=CH−C(CH3)=CH2,−C24−C(CH3)=CH2,−CH2−CH(CH3)−CH=CH2,−CH(CH3)−CH2−CH=CH2,−CH2−CH=C(CH32,−CH2−C(CH3)=CH−CH3,−CH(CH3)−CH=CH−CH3,−CH=CH−CH(CH32,−CH=C(CH3)−C25,−C(CH3)=CH−C25,−C(CH3)=C(CH32,−C(CH32−CH=CH2,−CH(CH3)−C(CH3)=CH2,−C(CH3)=CH−CH=CH2,−CH=C(CH3)−CH=CH2,−CH=CH−C(CH3)=CH2,−C48−CH=CH2,−C36−CH=CH−CH3,−C24−CH=CH−C25,−CH2−CH=CH−C37,−CH=CH−C49,−C36−C(CH3)=CH2,−CH2−CH2−CH2−OCH3,−C24−CH(CH3)−CH=CH2,−CH2−CH(CH3)−CH2−CH=CH2,−CH2NH2,−CH(CH3)−C24−CH=CH2,−C24−CH=C(CH32,−C24−C(CH3)=CH−CH3,−CH2−CH(CH3)−CH=CH−CH3,−CH(CH3)−CH2−CH=CH−CH3,−CH2OH,−CH2SH,−CH2−CH=CH−CH(CH32,−CH2−CH=C(CH3)−C25,−CH2−CH2−CH2NH2,−CH2−C(CH3)=CH−C25,−CH(CH3)−CH=CH−C25,−CH2−CH2NH2,−CH=CH−CH2−CH(CH32,−CH=CH−CH(CH3)−C25,−CH=C(CH3)−C37,−C(CH3)=CH−C37,−CH2−CH(CH3)−C(CH3)=CH2,−CH2−CH2SH,−CH(CH3)−CH2−C(CH3)=CH2,−CH(CH3)−CH(CH3)−CH=CH2,−CH2−CH2−CH2OH,−CH2−C(CH32−CH=CH2,−C(CH32−CH2−CH=CH2,−CH2−C(CH3)=C(CH32,−CH(CH3)−CH=C(CH32,−C(CH32−CH=CH−CH3,−CH2−CH2−CH2SH,−CH(CH3)−C(CH3)=CH−CH3,−CH=C(CH3)−CH(CH32,−C(CH3)=CH−CH(CH32,−C(CH3)=C(CH3)−C25,−CH=CH−C(CH33,−C(CH32−C(CH3)=CH2,−CH(C25)−C(CH3)=CH2,−C(CH3)(C25)−CH=CH2,−CH(CH3)−C(C25)=CH2,−CH2−C(C37)=CH2,−CH2−C(C25)=CH−CH3,−CH(C25)−CH=CH−CH3,−C(C49)=CH2,−C(C37)=CH−CH3,−C(C25)=CH−C25,−C(C25)=C(CH32,−C[C(CH33]=CH2,−C[CH(CH3)(C25)]=CH2,−C[CH2−CH(CH32]=CH2,−C24−CH=CH−CH=CH2,−C64−OCH3,−CH2−CH=CH−CH2−CH=CH2,−CH=CH−C24−CH=CH2,−C64−OH,−CH2−CH=CH−CH=CH−CH3,−CH=CH−CH2−CH=CH−CH3,−CH2−CH2−OCH3,−CH=CH−CH=CH−C25,−CH2−CH=CH−C(CH3)=CH2,−CH2−CH2OH,−CH2−CH=C(CH3)−CH=CH2,−CH2−C(CH3)=CH−CH=CH2,−CH2−OCH3,−CH(CH3)−CH=CH−CH=CH2,−CH=CH−CH2−C(CH3)=CH2,−CH=CH−CH(CH3)−CH=CH2,−CH=C(CH3)−CH2−CH=CH2,−C(CH3)=CH−CH2−CH=CH2,−CH=CH−CH=C(CH32,−CH2−C64−OCH3,−CH=CH−C(CH3)=CH−CH3,−CH=C(CH3)−CH=CH−CH3,−CH2−C64−OH,−C(CH3)=CH−CH=CH−CH3,−CH=C(CH3)−C(CH3)=CH2,−C(CH3)=CH−C(CH3)=CH2,−C(CH3)=C(CH3)−CH=CH2,−CH=CH−CH=CH−CH=CH2,−C≡CH,−C≡C−CH3,−CH2−C≡CH,−C24−C≡CH,−CH2−C≡C−CH3,−C≡C−C25,−C36−C≡CH,−C24−C≡C−CH3,−CH2−C≡C−C25,−C≡C−C37,−CH(CH3)−C≡CH,−CH2−CH(CH3)−C≡CH,−CH(CH3)−CH2−C≡CH,−CH(CH3)−C≡C−CH3,−C48−C≡CH,−C36−C≡C−CH3,−C24−C≡C−C25,−CH2−C≡C−C37,−C≡C−C49,−C≡C−C(CH33,−C24−CH(CH3)−C≡CH,−CH2−CH(CH3)−CH2−C≡CH,−CH2−C≡C−CH(CH32,−CH(CH3)−C24−C≡CH,−CH2−CH(CH3)−C≡C−CH3,−CH(CH3)−CH2−C≡C−CH3,−CH(CH3)−C≡C−C25,−C≡C−CH(CH3)−C25,−C≡C−CH2−CH(CH32,−CH(C25)−C≡C−CH3,−C(CH32−C≡C−CH3,−CH(C25)−CH2−C≡CH,−CH2−CH(C25)−C≡CH,−C(CH32−CH2−C≡CH,−CH2−C(CH32−C≡CH,−CH(CH3)−CH(CH3)−C≡CH,−CH(C37)−C≡CH,−C(CH3)(C25)−C≡CH,−C≡C−C≡CH,−CH2−C≡C−C≡CH,−C≡C−C≡C−CH3,−CH(C≡CH)2,−C24−C≡C−C≡CH,−CH2−C≡C−CH2−C≡CH,−C≡C−C24−C≡CH,−CH2−C≡C−C≡C−CH3,−C≡C−CH2−C≡C−CH3,−C≡C−C≡C−C25,−C≡C−CH(CH3)−C≡CH,−CH(CH3)−C≡C−C≡CH,−CH(C≡CH)−CH2−C≡CH,−C(C≡CH)2−CH3,−CH2−CH(C≡CH)2,−CH(C≡CH)−C≡C−CH3,−C1429,−CH2−CH2−N(CH32;を表わし、
ならびに、上述の化合物の薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、錯体化合物、エナンチオマー、ジアステレオマーの混合物、プロドラッグ、互変異性体、ならびにラセミ化合物の、聴力損傷、目まいおよび前庭障害の予防および治療のための使用に関する。
【0010】
本明細書で使用される「プロドラッグ」という用語は、不活性形態または比較的有効性の低い形態で投与される薬理学的物質として定義される。投与後、プロドラッグは体内で活性、有効な形態へと代謝される。
【0011】
本明細書中で使用される「互変異性体」という用語は、1つの化学反応すなわち互変によって該平衡異性体に相互転換できる有機物質として定義される。好ましくは、塩基、酸または他の適切な物質が互変の触媒することができる。
[9−アルキル−β−カルボリンの一般的合成]
出発化合物であるノルハルマンは、例えば実施例1に記述されている通り、文献中で公知のプロトコルによって生産可能である。
【0012】
確立したアルキル化反応によると、9位のN−アルキル化は、以下の反応スキームにしたがってヨウ化アルキル、臭化アルキル、塩化アルキル、メシル酸アルキル、トシル酸アルキルまたは他のアルキル化試薬から結果としてもたらされる。
【0013】
【化2】

LGは離脱基を表わす。アルキル化反応は好ましくは塩基を触媒とする。
アルキル化のための一般的反応プロトコル:
不活性ガス雰囲気下でDMF、THF、塩化メチレンなどの乾燥溶媒中に1モル当量のノルハルマンを溶解する。余剰の強塩基、好ましくは水素化ナトリウム(およそ2モル当量)を加えた結果として、低温(−78℃〜0℃)で脱プロトン化が起こる。乾燥溶媒中に溶解することのできるアルキル化試薬1.0〜1.2モル当量も同様に0℃未満の温度で添加される。一晩混合物を撹拌し、これにより反応溶液の温度は室温まで上昇することができる。当業者にとって公知の要領で処理が行なわれる。未変換ノルハルマンを、イオン交換クロマトグラフィまたはイオン対抽出により除去することができる。通常は、収量は、理論的収量の30〜75パーセントの範囲内である。
【0014】
以下の化合物が、上述のアルキル化にしたがって合成された。
【0015】
【化3】

[1,6−二置換β−カルボリンの一般的合成]
【0016】
【化4】

インドール誘導体を、対応するアルデヒドと反応させて上述の反応スキームにしたがって1,6−二置換β−カルボリンを得た。
【0017】
これに関して、0.1モルのインドール誘導体をDMF中に溶解し、0.12モルのアルデヒドを撹拌と共に添加した。16時間室温で反応混合物を撹拌した。溶媒の除去後、結果として得た固体をトルエン中で2回、再結晶させ、乾燥させた。さらなる合成ステップでは、トルエン中で再結晶させ乾燥させた固体0.07モルを600mlのクメン中に溶解し、90分間、窒素雰囲気中で2.6グラムのPd/C(10%)と共に還流加熱した。100mlのエタノール添加後、高温溶液を濾過し、石炭(coal)を30mlの高温エタノールにより3回抽出した。組合せた液体画分を真空下で溶媒から解放し、残渣をトルエン中で結晶化させてノルハルマンの1,3−二置換誘導体を得た。
【0018】
3が水素原子である場合には、対応する1−置換β−カルボリンが得られる。
閉環反応後、9位のN−アルキル化が、塩基、好ましくは水素化物、そして後続するアルキル化試薬例えばヨウ化アルキルの添加によって実施される。詳細なプロトコルは、実験の項に含まれる。このプロトコルにしたがって、以下の化合物が合成された。
【0019】
一般構造式(II)−(V)および(XXI)の以下の化合物が好適である:
【0020】
【化5】

本発明に係る9−アルキル−β−カルボリンは、意外にも、聴力損傷、目まいおよび前庭障害ならびに他の耳疾患に対する薬理学的効果を示し、したがって、本発明によれば聴力損傷、目まい、および前庭障害の予防及び治療のために使用される。聴力損傷、目まい、および前庭障害という適応症には、特に、迷路性難聴、老人性難聴、急性聴力損失、聴力喪失、人工内耳の移植中の外傷(挿入外傷)、慢性的騒音曝露に起因する迷路性難聴、急性音響外傷、回転性目まい発作、聴力損傷に起因する吐き気および嘔吐、内耳疾患に起因する目まい、メニエール病に関連したおよび/またはその一症候としての目まい、メニエール病に関連したおよび/またはその一症候としての前庭障害、耳鳴りおよび抗生物質、例えば、例えばペニシリンV、プロピシリン、アジドシリンのようなペニシリン類;例えばアンピシリン、アモキシシリンのようなアミノペニシリン類、;例えばセファクロール、セフラジンのようなセファロスポリン類、;例えばリンコマイシン、クリダマイシンのようなリンコマイシン類、;例えばドキシサイクリン、テトラサイクリンのようなテトラサイクリン類、;例えばメトロニダゾールのようなニトロイミダゾール、;例えばエリスロマイシンのようなマクロリド類、;例えばゲンタマイシン、ストレプトマイシンのようなアミノグリコシド、および細胞増殖抑制剤、例えばアクチノマイシンD、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナストロゾール、プリンのアンタゴニスト類およびピリミジン塩基類、アントラサイクリン類、アロマターゼ阻害剤、アスパラギナーゼ、抗エストロゲン剤、ベキサロテン、ブレオマイシン、ブセレリン、ブスルファン、カンプトテシン誘導体類、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、シクロホスファミド、シタラビン、サイトシナラビノシド、アルキル化細胞増殖抑制剤、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、エピルビシン、エストラムスチン、エトポシド、エキセメスタン、フルダラビン、フルオロウラシル、葉酸アンタゴニスト類、ホルメスタン、ゲムシタビン、グルココルチコイド類、ゴセレリン、ホルモン類およびホルモンアンタゴニスト類、ハイカムチン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イフォスファミド、イマチニブ、イリノテカン、レトロゾール、ロイプロレリン、ロムスチン、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキセート、ミルテフォシン、マイトマイシン、有糸分裂阻害物質、ミトキサントロン、ニムスチン、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペントスタチン、プロカルバジン、タモキシフェン、テモゾロミド、テニポシド、テストラクトン、チオテパ、チオグアニン、トポイソメラーゼ阻害物質、トポテカン、トレオスルファン、トレチノイン、トリプトレリン、トロフォスファミド、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、細胞増殖抑制性抗生物質に起因する聴力損傷も含まれる。
【0021】
適応症つまり聴力損傷および聴力損失は騒音により誘発される可能性もあり、並びに/または急性音響外傷および/もしくは爆傷と関連する。例えば急性音響外傷のような音響外傷または爆傷の最も頻繁に挙げられる要因は、職場および余暇時間中の騒音公害である。
【0022】
耳鳴りおよび聴力損傷は、同様に、血管虚血、自己免疫障害、感染病、耳硬化症および頭蓋外傷に基づくものである可能性もある。したがって本発明は同様に、急性音響外傷、爆傷、騒音公害、血管虚血、自己免疫障害、感染病および頭蓋外傷を原因とする聴力損傷および聴力損失にも関する。
【0023】
メニエール病に関連する目まいは、この形の目まいに内耳が参与していることから、本発明にしたがって対応可能な適応症である。前庭器官として迷路は内耳の一部であることから、メニエール病に関連する目まいは平衡機能不全にもあてはまる。メニエール病又はモルブス(Morbus)メニエールは、突然発生する回転性目まい発作、吐き気、嘔吐、耳の中のブンブン音(耳鳴り)および片側聴力損失の形で現われる。昼夜問わずいつでも認識可能な原因無く発生することができるメニエール病又はモルブス(Morbus)メニエールの疾病の特徴は、嘔吐に至る吐き気を伴う突発性回転性目まい発作である。これらは、数分乃至数時間持続し、異なる長さの間隔をおいて反復する。目まいは非常に強いため、患者はもはや自立状態にあり続けることができない。さらに、罹患した耳の中のブンブン音(耳鳴り)および圧力感に関連する変動性(一時的に発生する)聴力損失が存在する。
【0024】
β−カロチンの環系の9位(R1)および6位(R3)における置換基が好ましい。R1の置換パターンは好ましくは、アルキル置換基を含み、特に好適であるのはメチル置換基である。R2およびR3部分は、特に好適なアルキル置換基、ハロゲン化物およびアルコキシ置換基を含む。R3は好ましくはアルコキン部分、例えば−OCF3,−OCH2−CH2F,−OCH2−CF3,−OCH2−CH2Cl,シクロ−OC35,シクロ−OC59,シクロ−OC611,−OPh,−OCH2−Ph,−OCH3,−OC25,−OC37,−OCH(CH32,−OC49,−OC511,−OCH(C252,−OC613,−OCH=CH2,−OCH2−CH=CH2,−OC715,−OC817,−OCH2−CH=CH−CH3,−OCH2OH,−OCH2−CH2NH2,−OCH2−CH2−CH2OH,−OCH2−CH2−OCH3,−OCH2−CH2OH,−OCH2−OCH3,−OCH2−C≡CH.である。
【0025】
1は好ましくは、最高6個の炭素原子、さらに好ましくは最高4個の炭素原子を有するアルキル部分である。
物質9−メチル−β−カルボリンおよび9−フルオルエチル−β−カルボリンが特に好ましい。
【0026】
好ましい化合物は次の通りである。
【化6】

本発明の化合物及び特に好適な一般構成式(II)−(XX)の化合物を、急性および慢性耳疾患および聴力損傷、目まいおよび前庭障害、詳細には急性聴力損失、急性音響外傷、慢性的騒音曝露に起因する迷路性難聴、老年性難聴、人工内耳の移植中の外傷(挿入外傷)、内耳疾患に起因する目まい、メニエール病に関連したおよび/またはメニエール病の一症候としての目まい、メニエール病に関連したおよび/またはメニエール病の一症候としての前庭障害、耳鳴りおよび抗生物質および細胞増殖抑制剤に起因する聴力損傷の治療および/または予防用の医薬調合物の製造のために使用することができる。
【0027】
本発明に係る化合物を、ニートでまたは薬理効果のある塩の形で投与することができる。本発明の化合物は、アルカリ性を有することができることから、本発明の化合物の塩を、確立された方法によって生成することができる。
【0028】
本発明の化合物と酸付加塩を形成する酸としては、以下の酸を列挙することができる:硫酸、スルホン酸、リン酸、硝酸、亜硝酸、過塩素酸、臭化水素酸、塩酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、シュウ酸、グルコン酸(グリコン、デキストロン酸)、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、ジヒドロキシ酒石酸(ヒドロキシマレイン酸、ヒドロキシプロパン酸)、フマル酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、マロン酸、ヒドロキシマレイン酸、ピルビン酸、フェニル酢酸、(o−、m−、p−)トルイル酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、エチレンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフチルスルホン酸、ナフチルアミノ−スルホン酸、スルファニル酸、カンファースルホン酸、キナ酸(キニーネ酸)、o−メチル−マンデル酸、水素ベンゼンスルホン酸(hydrogen benzenesulphonic acid)、ピクリン酸(2,4,6−トリニトロフェノール)、アジピン酸、d−o−トリル−酒石酸、例えばメチオニン、トリプトファン、アルギニンおよび、詳細には、例えばグルタミンン酸またはアスパラギン酸などのような酸性アミノ酸類などのようなアミノ酸類。
【0029】
化合物のタイプに応じて、ベタイン形態が可能である。
本発明はさらに、本発明に係る少なくとも1つの化合物または本発明に係る少なくとも1つの化合物の塩を使用することによって製造された医薬組成物にも関する。
【0030】
本発明の少なくとも1つの化合物の他に、医薬組成物は、薬理学的に許容できる担体、賦形剤、および/または溶媒を含む。
このような製剤は、吸入または静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、皮膚粘膜、経口、直腸、経皮、局所、口腔、皮内(intradermal)、胃内、皮内(intracutaneous)、鼻腔内、口腔内、経皮、または舌下投与に適している。中耳内への投与または注入ならびに鼓膜に対する局所的投与が特に好ましい。
【0031】
医薬組成物は、経皮投与系(バンドエイド、フィルム)、点滴剤、丸薬、錠剤、フィルム錠剤、層錠剤、ジェル、軟こう、シロップ、顆粒、座薬、エマルジョン、分散、マイクロカプセル、カプセル、粉末または注射液の形で製造され投与可能である。リポリーム、ジェルおよびエマルジョンの形での医薬製剤が好ましい。
【0032】
耳は、次のようにできている。音響道が耳介から内耳まで通じる。音響道は、鼓膜で終わる。耳の音響道の部分は外耳と呼ばれる。エウスタキー管に連結される空間であるいわゆる中耳は、外耳の背後にある。中耳は片側では鼓膜によって、そして隣接する側で楕円形および円形の窓により分離される。内耳と呼ばれる空間が両方の窓の後ろに続く。内耳は、耳のいくつかの器官、なかでもいわゆる蝸牛を収容する。蝸牛は、蝸牛自体、コルチ器を含む。蝸牛ならびにコルチ器は、正円窓の隣に位置する。さらに、蝸牛は聴神経に連結される。
【0033】
こうして、正円窓の膜は、内耳空間に対する生物学的障壁であり、聴力損傷の局所的療法にとって最大の障害物となる。投与された薬物は、内耳空間内に入るために正円窓の膜を通過しなければならない。操作により正円窓の膜が損傷を受けることになるため、正円窓の膜を通して機械的−機構的に薬物を適用することはできない。しかしながら、外科的例えば鼓膜を通した注入により、正円窓の膜まで薬物を局所的に送達することはでき、このとき薬物は正円窓の膜に浸透することができる。聴覚器官の感覚細胞(内部および外部有毛細胞)は、蝸牛の内側に局在化されており、聴覚器官の感覚細胞(内部および外部有毛細胞)の全数がコルチ器と呼ばれる。有毛細胞は、あらゆる原因(年令、例えば抗生物質および細胞増殖抑制剤などの薬物)の迷路性難聴および耳鳴りにおいて最初に損傷を受ける。正円窓は、蝸牛内の区画である鼓室階および前庭階で終わる。鼓室階および前庭階には外リンパ液と内リンパ液が満たされ、そして有毛細胞は外リンパ液に直接接触している。したがって正円窓から入る物質は、外リンパ液中に分散され、このようにして有毛細胞に到達するだろう。さらに外リンパ系は迷路と接触した状態にある。こうして薬物は蝸牛の外リンパ液を介して、迷路すなわち平衡器官の外リンパ液にも同様に到達する。
【0034】
したがって、正円窓の膜において局所的に薬物を適用するのに適した全ての医薬製剤が好適である。医薬製剤が正円窓の膜を通るβ−カルボリンの通過を支援する膜浸透増強剤を含むなら、さらに好ましい。したがって、液体またはジェル様の製剤が特に好ましい。当然のことながら、薬物を経口投与することも可能である。
【0035】
液体製剤は、溶液、懸濁液、スプレーおよびエマルジョン、例えば非経口注射のための水ベース、または水−プロピレングリコールベースの注射液を含む。
好ましくは低融点ろう、脂肪酸エステルおよびグリセリドが、座薬の調製に利用される。
【0036】
あらゆる種類の投与について、医薬組成物は、治療的効果を達成するのに充分な濃度のβ−カルボリン、そして必要ならば無機または有機、液体または固体の薬学的に許容できる賦形剤を含む。中耳内での局所投与に適した医薬組成物は、ニートでまたは賦形剤と共にβ−カルボリンを含む凍結乾燥製剤などの、中耳内投与前に調製することができる水溶液または懸濁液を含む。医薬組成物にはさらに、生分解性または非生分解性の水性または非水性またはミクロスフェアに基づいたゲルを含む。生分解性または非生分解性の水性または非水性またはミクロスフェアに基づいたゲルの例としては、ポロキサマー、ヒアルロン酸塩、キシログルカン、キトサン、ポリエステル、ポリラクチド、ポリグリコリドまたはそれらのコポリマー類PLGA、酢酸スクロースイソブチレート、グリセロールモノオレエートを含む。腸内または非経口投与に適した医薬組成物には、上記で記述した通りの錠剤またはゼラチンカプセルまたは水溶液または懸濁液を含む。
【0037】
医薬組成物は、減菌することが可能であり、並びに/またはアジュバント、例えば保存料、安定剤、保湿剤および/もしくは乳化剤、浸透圧調節用塩および/もしくは緩衝液を含むことができる。本発明の医薬組成物は、所望される場合、さらなる活性物質を含むことができる。医薬組成物を、先行技術から公知の任意の一般的方法、例えば配合、顆粒化、調合(confectioning)、溶解および凍結乾燥によって製造することができ、およそ0.01〜100パーセント、好ましくは0.1〜50パーセントそして凍結乾燥物として最高100パーセントのβ−カルボリンを含むことができる。
【0038】
好ましい実施形態において、本発明の医薬組成物は、局所医薬品として製剤化される。耳性医薬品用の適切な賦形剤は、薬学的に許容でき、β−カルボリンおよび/または任意の他の活性物質、例えば塩化ナトリウム、アルコール、植物油、ベンジルアルコール、アルキルグリコール、ポリエチレングリコール、三酢酸グリセリン、ゼラチン、例えばラクトースまたはテンプンのような炭水化物、炭酸マグネシウム(マグネシア、チョーク)、ステアリン酸塩(ワックス)、タルクおよびペトロラタム(ワセリン)と反応しない有機または無機物質である。記述された組成物は、減菌することが可能であり並びに/または例えば潤滑剤のようなアジュバント、例えばチオマーサルのような保存料(例えば50重量パーセント)、安定剤および/もしくは保湿剤、乳化剤、浸透圧調節用塩、緩衝物質、着色剤および/もしくは着香剤を含むことができる。これらの組成物は同様に、該当する場合には1つまたは複数のさまざまな活性物質を含むこともできる。本発明に係る耳性組成物は、例えば、抗生物質、例えばステロイド、コルチゾン、鎮痛剤、アンチピリン、ベンゾカイン、プロカインなどの抗炎症性活性物質、などの他の生物学的活性物質を含む、さまざまな物質を含むことができる。
【0039】
本発明に係る局所医薬品用の組成物は、他の薬学的に許容できる物質を含むことができる。本発明の好ましい実施形態においては、耳、耳の中、または耳管の内部に適用された場合に、血液循環系または中枢神経系へのβ−カルボリンの放出および場合によっては任意の他の1つまたは複数の活性物質の放出を増強することのない局所用賦形剤が使用される。通常は、例えば、局所用賦形剤が、全身的循環系内の粘膜全体にわたる経皮的移送を増強するだろう有意な排除特性を全く示さないことが好ましい。このような賦形剤は、炭化水素酸、無水吸収剤例えば親水性ペトロラタム(ヴァセリン(Vaseline))および無水ラノリン(例えばアクアフォー(Aquaphor))そして例えばラノリンおよびコールドクリーム(Cold Cream)のような水−油エマルジョンをベースとする物質を含む。さらに好ましいのは、通常水溶性である全ての賦形剤ならびに水中油形エマルジョン(クリームまたは親水性軟こう)をベースとする物質、および例えばポリエチレングリコール系賦形剤のような水溶性ベースの物質およびメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのさまざまな物質でゲル化された水溶液を含む、実質的に非排除性の賦形剤である。
【0040】
錠剤またはカプセルの形での経口投与のためには、本発明のβ−カルボリンを、結合剤、例えばコーンスターチ、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース;例えばラクトース、サッカロース、グルコース、マンニトール、ソルビトールおよび他の還元および非還元糖類、微結晶性セルロース、硫酸カルシウムまたはリン酸水素カルシウムなどの充填剤;例えばステアリン酸マグネシウム、タルク粉またはシリカ、ステアリン酸、硫酸ステアリルナトリウム、ベハン酸グリセリル、ステアリン酸カルシウムおよび類似物などの潤滑剤;例えばジャガイモテンプンまたはグリコール酸ナトリウム−テンプンなどの崩壊剤;例えばドデシル硫酸ナトリウムなどの保湿剤;着色剤;着香剤;ゼラチン;甘味料;例えばアラビアゴムなどの天然および合成ゴム、トラガカントまたはアルギン酸塩;緩衝塩;カルボキシメチルセルロース;ポリエチレングリコール;ワックスなどを含むリストから選択された任意の薬学的に許容できる非毒性アジュバントと組合わせ得る。
【0041】
錠剤を例えば、アラビアゴム、ゼラチン、タルク粉、二酸化チタンなどを含む濃縮糖溶液でコーティングすることができる。別の実施形態において、錠剤を、軽量揮発性有機溶媒または有機溶媒の混合物中に可溶であるポリマーでコーティングすることができる。好ましい実施形態において、本発明のβ−カルボリンは、即時放出用錠剤としてまたは徐放用錠剤として製剤化される。即時放出用の剤形は、60分以下の比較的短い時間内にβ−カルボリン総量の大部分の放出を許し、β−カルボリンの急速な吸収を可能にする。経口剤形のための徐放性製剤は、より長時間にわたる遅延放出を可能にし、より長時間にわたる遅延放出を可能することによってβ−カルボリンの治療的に有効な血漿レベルに到達し及び/またはこの治療的に有効な血漿レベルをより長時間にわたり安定した状態に保ち及び/またはβ−カルボリンの他の薬物動態特性を修正する。
【0042】
本発明のβ−カルボリンを、例えば植物油またはポリエチレングリコールと混合することによって、軟質ゼラチンカプセルとして製剤化することができる。硬質ゼラチンカプセルは、例えばラクトース、サッカロース、マンニトール、例えばジャガイモテンプン、コーンスターチのようなテンプンまたはアミロペクチン、セルロース誘導体またはゼラチンのうちのような錠剤用上述のアジュバントのいずれか1つを使用することにより、顆粒形態のβ−カルボリンを含むことができる。本発明のβ−カルボリンの液体および、半液体形態を硬質ゼラチンカプセル内に充填することもできる。
【0043】
本発明のβ−カルボリンを、例えばポリグリコール酸/乳酸(PGLA)で作られたマイクロカプセルまたはマイクロビーズ内に導入することもできる。医薬組成物からの本発明のβ−カルボリンの制御放出を、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸のコポリマーとポリグリコール酸のコポリマー、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオエトエステル、ポリアセタール、ポリヒドロプラン、ポリシアノアクリレートおよびヒドロゲルの架橋または両親媒性ブロックコポリマーを含むリストから選択された生体適合性ポリマーを使用することによって達成することができる。
【0044】
本発明の別の実施形態において、β−カルボリンは経口液体製剤として提供される。経口投与のための液体製剤を、溶液、シロップ、エマルジョンまたは懸濁液の形で提供可能である。代替的には、使用前に水または別の適切な賦形剤を用いて乾燥経口製剤の再構成する経口液体製剤を調製することができる。経口投与のための製剤は、本発明のβ−カルボリンそして場合によっては他の活性物質の制御または遅延放出が達成されるように、適切に製剤化されることができる。
【0045】
液体形態での経口投与が意図されている場合、本発明のβ−カルボリンは、例えばエタノール、グリセリン、水;、例えばソルビトールシロップ、セルロース誘導体類または食用水素化脂質などの懸濁剤;例えばレシチンまたはアラビアゴムなどの乳化剤;例えばアーモンド油、油性エステル、エタノールまたは分画された植物油などの非水性賦形剤;例えばメチル−またはプロピル−p−ヒドロキシベンゾエートまたはソルビン酸などの保存料などのような非毒性で薬理学的に許容できる不活性賦形剤と混合可能である。例えばブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルオール、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、クエン酸などの酸化防止剤などの安定剤は、剤形を安定化するために使用されることができる。例えば、溶液は、およそ0.2重量パーセントから最高およそ20重量パーセントのβ−カルボリンを含むことができ、ここで平滑化化合物(leveling compound)は糖およびエタノール、水、グリセリンおよびプロピレングリコールの混合物である。任意には、このような液体製剤は、着色剤、着香剤、サッカリン、および増粘剤としてのカルボキシルセルロースおよび/または他のアジュバントを含むことができる。
【0046】
別の実施形態においては、本発明のβ−カルボリンが治療上有効な用量は溶液の形で経口投与され、ここでこの溶液には、保存料、甘味料、可溶化剤および溶媒を含む。経口投与のための溶液は、1つ以上の緩衝液、着香剤またはさらなる賦形剤を含むことができる。さらに別の実施形態においては、ペパーミントまたは他の着香剤が、経口投与のための本発明のβ−カルボリンの溶液に添加される。
【0047】
吸入による投与のためには、本発明のβ−カルボリンを、例えばジクロロフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または別の適切なガスなどの適切な噴霧剤を伴う噴霧器または加圧容器内のエアゾルスプレーといった医薬的形態で適切な要領で投与することができる。加圧エアゾルが使用される場合、用量は、測定された量を投与するためのバルブを具備することによって決定されることができる。吸入器またはインサフレーターで使用するためのゼラチンなどで作られたカプセルおよびカートリッジは、カプセルおよびカートリッジが本発明のβ−カルボリンと、場合によっては1つ以上の活性物質そしてラクトースやテンプンなどの適切な粉末ベースとの粉末混合物を含むように製剤化されることができる。
【0048】
注射による非経口投与のための溶液を、およそ0.5重量パーセントから最高およそ10重量パーセントの濃度で、本発明のβ−カルボリンの薬学的に許容できる水溶性塩の水溶液の形で調製することができる。注射による非経口投与のための溶液はさらに、安定剤および/または緩衝物質を含むことができ、異なる用量単位のアンプルに入って適切な形で提供されることができる。
【0049】
したがって、ここで提示される全ての化合物は、急性および慢性耳疾患および聴力損傷、目まいおよび前庭障害、詳細には急性聴力損失、急性音響外傷、慢性的騒音曝露に起因する迷路性難聴、老年性難聴、人工内耳の移植中の外傷(挿入外傷)、内耳疾患に起因する目まい、メニエール病に関連したおよび/またはメニエール病の一症候としての目まい、メニエール病に関連したおよび/またはメニエール病の一症候としての前庭障害、耳鳴りおよび抗生物質および細胞増殖抑制剤に起因する聴力損傷の予防および/または防止のための医薬製剤の製造に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】48時間90μMの9−メチル−β−カルボリン(9−Me−BC)に、または溶媒(100%)にそれぞれ曝露した後のラットの内耳細胞(蝸牛のコルチ器)の定量的RT−PCR(実時間PCR)のグラフを示す図である。100%を超える値は、9−Me−BCが、インキュベーション中に対応する遺伝子の転写を活性化したことを意味しており、100%未満の値については、9−Me−BCが、インキュベーション中に対応する遺伝子の転写を活性化したことの反対のことが妥当である。
【0051】
図1に使用されている略号は、次の意味を有する:
Armetl1:保存ドーパミン神経栄養因子
BNDF:脳由来神経栄養因子
BMP2:骨形成タンパク質2
Cbln1:セレベリン1前躯体タンパク質
DAT:ドーパミン輸送体
DEXA:デキサメタゾン
DRD1:ドーパミン受容体亜型1
DRD2l:ドーパミン受容体亜型2のロング変異体
GDNF:グリア細胞株由来神経栄養因子
NGF:神経成長因子
NPY:神経ペプチドY
Nurr1:核内受容体調節1タンパク質
PTX:対合様ホメオドメイン転写因子
Ret:トランスフェクション中に再配置された受容体
RKIP:raf−1キナーゼ阻害タンパク質
Sirt:サイレント情報調節因子
Th:チロシンヒドロキシラーゼ
TNF:腫瘍壊死因子
【図2】48時間培養の後の内耳のらせん神経節の細胞の生存に対する、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)およびデキサメタゾン(DEXA)の異なる濃度および組合せの効果をグラフで示す図である。棒の高さは、平均標準誤差を反映し、3回または4回の異なる実験の24〜32の観察を表わす。対照グループに対する異なる比較の意義が、棒の上に示され、一方他の比較はカッコにより別個に描かれる(P<0.05*;P<0.01**;P<0.001***)。出典:Jahresbericht Medizinische Hochschule Hannover 2005,Department of Ear,Nose and Throat Diseases (director:Th.Lenarz)
【図3A】上述の通り、培養中で14日間、ハルマン(Harman)を用いて処置したヒトSH−SY5Y細胞の軸索長を示す図である。対照グループと110μMのハルマン(Harman)で処置したグループとの差異は有意であった(P<0.001)。したがって、Harmanでの処置は、軸索長の増大につながった。
【図3B】上述の通り、14日間、9−メチル−9H−β−カルボリンを用いて処置したヒトSH−SY5Y細胞の軸索長を示す図である。対照グループと70、90または110μMの9−メチル−9H−β−カルボリンで処置したグループとの差異は有意であった(P<0.001)。したがって、9−メチル−9H−β−カルボリンでの処置は、軸索長の増大につながった。
【図3C】上述の通り、6−メトキシ−9−メチル−9H−β−カルボリンを用いて処置したヒトSH−SY5Y細胞の軸索長を示す図である。対照グループと50μMの6−メトキシ−9−メチル−9H−β−カルボリンで処置したグループとの差異は有意であった(P<0.001)。したがって、6−メトキシ−9−メチル−9H−β−カルボリンでの処置は、軸索長の増大につながった。
【図3D】上述の通り、9−(2−フルオロエチル)−9H−β−カルボリンを用いて処置したヒトSH−SY5Y細胞の軸索長を示す図である。対照グループと30、50または70μMの9−(2−フルオロエチル)−9H−β−カルボリンで処置したグループとの差異は有意であった(P<0.001)。したがって、9−(2−フルオロエチル)−9H−β−カルボリンでの処置は、軸索長の増大につながった。
【図4A】ヒトSH−SY5Y細胞でのBDNF(脳由来神経栄養因子)の相対的遺伝子発現を示す図である。2日後のBNDFの転写は、最高濃度(110μM)のLE−02(9−メチル−β−カルボリン)でのみ刺激され、一方14日間の曝露後では、30〜50μMというより低い濃度で刺激が誘発された。このようなシフトは、9−フルオロエチル−β−カルボリンについても見られた(図4AのNo.559の物質;2日後、70μMおよび90μMによって刺激され、14日後では30μMおよび50μMで刺激された)。対照的に6−メトキシ−9−メチル−9H−β−カルボリン(図4A、No.513の物質)は、BDNF転写の莫大な用量依存性増加につながった。
【図4B】セレベリン−1前駆体タンパク質(CBLN)の相対的遺伝子発現を示す図である。セレベリン−1前駆体タンパク質は、9−フルオロエチル−β−カルボリンに2日間曝露した後にのみ増大した。14日間の曝露後、全ての試験されたβ−カルボリンのCBLN発現が増加した。調査された全ての濃度においてほぼ同じ刺激を示している9−フルオロエチル−β−カルボリンは例外として、被験物質の濃度が低くなると、濃度がより高い場合より強い効果を有した。
【図4C】GDNF(グリア細胞株由来神経栄養因子)の相対的遺伝子発現を示す図である。個別の濃度において、14日間の曝露は、最高3倍の刺激につながった。
【図4D】NGF(神経成長因子)の相対的遺伝子発現を示す図である。14日間の曝露後、遺伝子発現は、20〜50倍だけ増大した。再び、濃度が低くなればなるほど、NGFの増大に関してはるかに効果が高くなった。
【図4E】NPY(神経ペプチドY)の相対的遺伝子発現を示す図である。14日間の曝露後、遺伝子発現は1.3〜4倍増大した。9−メチル−β−カルボリンおよび9−フルオロエチル−β−カルボリンの場合、濃度が低くなればなるほど、より高い濃度より効果は高くなった。
【図5】対照細胞SH−SY5Yにおける最高10倍のレベルまでの、転写因子CREBの形成に対する9−メチル−β−カルボリン、9−フルオロエチル−β−カルボリンおよび6−メトキシ−9−メチル−9H−β−カルボリンの用量依存活性化効果を示す(3回の独立した実験、48時間のインキュベーション)図である。
【図6A−6B】実施例29の実験によって得られた外リンパ液のクロマトグラムを示す図であって、図6Aおよび6Bによるとクロマトグラムは、3時間モルモットの内耳領域内に9−Me−BCを3時間(図6A)または10時間注射(図6B)した後に得られた外リンパ液について記録されたものである。
【図6C−6D】実施例29の実験によって得られた外リンパ液のクロマトグラムを示す図であって、図6Cおよび6Dによるとクロマトグラムは、モルモットの蝸牛内に9−Me−BCを3時間または20時間直接注射した後に得られた外リンパ液について記録されたものである。
【図6E】実施例29の実験によって得られた外リンパ液のクロマトグラムを示す図であって、図6Eによるとクロマトグラムは、9−Me−BCでの処置に全く曝露されなかった外リンパ液について記録されたものである。
【図6F】実施例29の実験によって得られた外リンパ液のクロマトグラムを示す図であって、図6Fによるとクロマトグラムは、直線の較正線を描いており、ここで9−Me−BCの濃度は、得られたクロマトグラフィの最大値の下の面積として定められた。
【発明を実施するための形態】
【0052】
[実施例]
実施例1:9−メチル−β−カルボリンの合成
9−メチル−β−カルボリンのための合成スキーム
【0053】
【化7】

Ho−Walker(1988年)により記述されているトリプタミン塩酸塩とグリオキシル酸によって製造された13g(0.0756mol)の1,2,3,4−テトラヒドロ−β−カルボリンと、2.6gのPd/C(10%)と、の600mlのクメン中の、撹拌溶液を90分間窒素雰囲気内で還流した。100mlのエタノールを添加した後、高温溶液を濾過し、高温エタノール30mlにより石炭(coal)を3回抽出した。組合わせた液体画分を濃縮し、残渣をトルエル中で結晶化させて、10.5g(82%)のノルハルマンを得た。文献(Ho BT,McIsaac WM,Walker KE,Estevez V,J Pharm Sci57:269,1968)中に記載されている通りに、再処理をさらに改善して、9位でのメチル化を実施した。1グラム(5.95mmol)のノルハルマンを窒素雰囲気内で乾燥DMF10ml中に溶解した。その後、0.36g(14.9mmol)の水素化ナトリウムを0℃でパラフィン中の60%分散の形で添加した。反応混合物を室温まで冷却した後、これを−10℃まで冷却し、0.84g(5.96mmol)のヨードメタンを添加した。さらに12時間撹拌した後、混合物をもう一度室温まで冷却した。減圧下で全ての揮発性成分を除去した。その後、100mlの水を添加し、混合物を3×50mlのCHCl3で抽出した。組合わせた有機画分を5×20mlの水で洗浄し、蒸発乾燥した。残渣を2Nの塩酸100mlに懸濁した。所望のメチル化生成物から抽出物を分離するために、2日間液/液抽出装置によりCHCl3でHCl塩のイオン対交換抽出を実施した。溶媒の除去後、9−メチル−β−カルボリニウムヒドロクロリドの黄色結晶0.7g(64%)を得た。
【0054】
融点:295℃;遊離塩基のGC/MS:m/z=182(100%),167(5%),140(10%),127(10%),113(5%),91(10%).1H−NMR(HClsalt):δ(ppm)メタノール d4,250 MHz:4.06,s,3H,N−CH3;7.28−7.35,dt,J=1.2; 6.8,1H,H6;7.58−7.70,m,2H,H7,H8;8.13−8.16,d,J=5.4,1H,H4;8.18−8.21,d,J=7.9,1H H5;8.31−8.33,d,J=5.4,1H,H3;8.89,s,1H,H1.
実施例2−13:化合物A〜Lの生成
対応するヨウ化アルキル、臭化アルキルまたはトシル化アルキルを使用して、実施例1にしたがって、化合物A〜Lの合成を行なう。収量は、理論的収量の30〜75%であった。
実施例14:ラットの内耳細胞(蝸牛)の研究
本発明に係るβ−カルボリンの有効性を証明するために実験を行なって、本発明に係るβ−カルボリンの部類の化合物が耳疾患、聴力損傷および目まいにもたらすであろう効果を判定した。9−メチル−β−カルボリン(9−Me−BC、VI)を化合物例として選択した。他の被験物質の有効性を、9−メチル−β−カルボリン(9−Me−BC、VI)の有効性と関連づけするだろう。
【0055】
最初に、ラットの蝸牛のコルチ器の器官培養物を調製し、これを次のステップで9−メチル−β−カルボリンと接触させた。異なるニューロトロフィンの発現を、コルチ器に対する9−メチル−β−カルボリンの効果のマーカーとして測定した。このために、コルチの組織からRNAを単離し、cDNAに転写し、ニューロトロフィンのcDNAの濃度をリアルタイムRT−PCR方法を用いて決定した。
【0056】
40匹のラットの蝸牛のコルチ器を、出産後4日目に数回のセッションで調製した。その後、器官培養物を90μMの濃度で48時間9−Me−BCに曝露するか、または対応する量の溶媒(対照条件)に曝露した。その後、器官培養物をPBS−EDTA(PBSで1:27希釈したバイオ ケム(Bio Chem)のPBS−EDTA)で洗浄した。次に−80℃で試料を凍結した。キアゲン(Qiagen)、ヒルデン(Hilden)のRNイージー脂質組織ミニキット(RNEasy Lipid Tissue Mini Kit)を用いて、全RNAを単離した。単離したRNAの試料を用いてDNAse消化を実施し、ひき続きこのキットのメーカーの指示にしたがって数回洗浄ステップを行なった。RNaseフリーの水によりRNAを溶出した。RNAの量および質を測光により判定した。各試料のRNA1ミリグラムを、ロシュ アプライド サイエンス(Roche Applied Science),マンハイム(Mannheim)のキットを用いて相補的DNA(cDNA)に転写した。蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)方法を用いて ロシュ アプライド サイエンス(Roche Applied Science),マンハイム(Mannheim)のライトサイクラー システム(LightCycler System)によりリアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(リアルタイムRT−PCR)を実施した。このために、同じ会社のライトサイクラーファストスタートDNAマスターハイブリダイゼーションブローブキット(LightCycler FastStart DNA Master Hybridisation Probes Kit)を使用した。相対的定量化のためのいわゆるハウスキーピング遺伝子として、ヒドロキシメチルビランシンターゼ(HMBS)のための遺伝子を選択した。TIBMolbiol,Berlinにより、適切なプライマとプローブは設計し合成された。25マイクログラムのcDNAを各反応に添加した。サイクル条件は次の通りであった:5分間94℃での変性、変性条件で7秒間の55サイクル、適温で10秒間のプライマおよびプローブの結合および10秒間72℃での伸長。その後、融点曲線分析を実施した。各サイクルの測定された蛍光を、ライトサイクラーソフトウェア(LightCycler Software)によって分析した。各試料の目標相対量は、同じ試料のハウスキーピング遺伝子の量との比較の結果得られた。Livak及びSchmittgenの2−ΔΔC(t)方法(Livak KJ及びSchmittgen TD.「Analysis of relative gene expression data using real−time quantitative PCR and the 2(−Delta Delta C(T))」、Methods2001;25:402−8)により定量化を行なった。
【0057】
一回毎に得たRNAの量は、脳領域から典型的に得られるRNAの量に比べて非常に少なかった。したがって、科学的所見の状態に基づいて注意深く目標を選択しなくてはならなかった。その結果、第1に、内耳の諸疾患の差異について単一の原因を排除することが可能であることを理由として、薬剤は、内耳の全ての内耳疾患において実際に損傷を受けている神経細胞全般の変性を停止または逆行さえすべきである。技術的現状によると、ニューロトロフィン(神経細胞の成長因子)のみが考慮される。ニューロトロフィンは、神経細胞の発生、分化および生存能力において重要な役割を果たす内因性ペプチドである。ニューロトロフィンは、神経細胞の発生、分化および生存能力において重要な役割を果たす内因性ペプチドであるため、個々のタイプの神経細胞は、特定のニューロトロフィンの存在に特に依存している。第2の科学的所見は以下のようである:すなわち、難聴は、特にドーパミン作動神経タイプの神経細胞の障害に基づく。したがって、薬剤は好ましくはドーパミン作動性機序を活性化すべきである。
【0058】
図1に示されているように、複数のニューロトロフィンの生成が活性化されており、それらが神経保護特性全般を有することがわかっている。それらは、Armetl1:BDNF、Cbln1、NGFおよびWPY(略語の説明については、図1の凡例を参照のこと)である。その上、神経細胞内でドーパミンを合成するドーパミン受容体亜型1およびチロシンヒドロキシラーゼなどのドーパミン作動性タンパク質がさらに活性化された。ドーパミン受容体1は、大部分が圧倒的に内耳内に見い出される型である亜型であることがわかっている。複数の独立した実験が実施され、複数の独立した実験の結果はほぼ同一であった(標準偏差<10%)。したがって、結果の再現性はきわめて高かった。
【0059】
これらの結果は、9−Me−BCがドーパミン作動性神経細胞の特徴的タンパク質を特異的に活性化することを証明している。これまでこのような一連の効果を有する物質について説明されたことは全くない。現行の知識によると迷路性難聴において顕著な役割を果たしている過程を一連の効果が詳細に精確に妨げるかぎりにおいて、9−Me−BCがドーパミン作動性神経細胞の特徴的タンパク質を特異的に活性化することは格別に有利である。こうして、9−Me−BCは、神経細胞、特にドーパミン作動神経タイプの細胞の変性過程を停止さらには逆行させるために特に適している独特の有効性モードを有する化合物である。
【0060】
世界最大の蝸牛移植センターを運営するハノーバー医科大学(Medizinische Hochschule Hannover)のTh.Lenarzと彼の共働者は、2005年に図2に提示されている調査を行なった。彼らは、らせん神経節、すなわち聴神経の一部分を48時間異なる物質に曝露し、そのうちのいずれが神経保護特性を有するかを試験した。図2に示されている通り、神経保護特性を有するのは特にBDNFとGDNFである。この研究の結論は、BDNFとGDNFを活性化する物質が内耳の損傷に対する将来性のある療法であるということだった。その時点、すなわち2005年の時点で、BDNFとGDNFを活性化するような物質は未知であった。したがって、世界的に認知されている異なるグループのこれらの結果は、9−メチル−BCの治療的潜在性を描く。大ペプチドとしてBDNFもGDNFもそれ自体局所的な適用には適していないという点に留意すべきである。対照的に、9−メチル−BCは、脂溶性で化学的安定性があり、全くないというわけではないが緩慢にしか代謝しない(実施例29参照)比較的小さい物質(MW:183)である。
【0061】
実施例15−28:ヒト神経芽腫細胞(SH−SY5Y)の分化モデル
先の実施例は、ラットおよびモルモットを用いる動物モデルにおいて実施され、したがって、β−カルボリンが成長因子の誘発を通してプロ分化するヒトの組織内でも作用するか否かを証明することが、以下の実施例の本質的な側面であった。したがって、ヒトSH−SY5Y神経芽腫細胞を用いて、複数の実験を行なった。
【0062】
9−ME−BCの有効性スペクトルについての信頼性の高い再現性ある情報を得るためには、40匹超のラットのコルチ器を準備し分析しなければならなかった。これには多大な労力投入と動物数が必要である。したがって、以下で記述するように、分化モデルにおいて、化合物XI、XII、XVIII、XIXならびにC〜Lを分析した。中耳の有毛細胞についての細胞系または分化モデルは全く存在しないことから、中耳の有毛細胞と類似の分化特性を示す神経芽腫細胞系などの他の細胞系を使用しなければならなかった。
【0063】
ヒト神経芽腫細胞がこのモデルのために使用された。ヒト神経芽腫細胞は、培養中に未分化タイプとして存在する永久細胞である。ヒト神経芽腫細胞は、培地に対し特異的物質、例えばレチノイン酸、脳由来神経成長因子(BDNF)または酵素の活性化剤、タンパク質キナーゼCの活性化剤を添加することによって、分化、すなわち神経細胞へ形質転換、するように活性化されることができる。我々は、ベーターカルボリンが未分化細胞をニューロンタイプに形質転換できるか否かを分析するためにヒト神経芽腫細胞の細胞系を使用した。基準は:増殖低下(一視野あたりの細胞数の減少);細胞体の縮小(未分化タイプからニューロンタイプへの形質転換);隣接する細胞または隣接する細胞のクラスタに対する連結を提供する細胞樹状突起(cytodentrite)(神経炎)であった。結果は以下の通りであった:
【0064】
【表1】

表1によって示されている通り、我々が分析したベーターカルボリンは、実際に、さまざまな程度で分化を促進することができる。
【0065】
図3〜5は、表1に示されている通りのデータを補足し、説明する。
プロ分化効果についての指標としての軸索長の測定:
溶媒(Ko)または被験物質と共に14日間培養中でヒトSH−SY5Y神経芽腫細胞をインキュベートした。被験物質についての右側へのグラフのシフトは、対照物質についてのグラフと比較した場合の軸索長の増加を示した。処置グループ間の統計的差異を、テューキーの多重比較検定(Tukey’s multiple Comparison−test)で計算した。
【0066】
図3Aは、上述の通り、Harmanを用いて処置したヒトSH−SY5Y細胞の軸索長を示す。対照グループと110μMのハルマン(Harman)で処置したグループとの差異は有意であった(P<0.001)。したがって、ハルマン(Harman)での処置は、軸索長の増大につながった。
【0067】
図3Bは、上述の通り、9−メチル−9H−β−カルボリンを用いて処置したヒトSH−SY5Y細胞の軸索長を示す。対照グループと70、90または110μMの9−メチル−9H−β−カルボリンで処置したグループとの差異は有意であった(P<0.001)。したがって、9−メチル−9H−β−カルボリンでの処置は、軸索長の増大につながった。
【0068】
図3Cは、上述の通り、6−メトキシ−9−メチル−9H−β−カルボリンを用いて処置したヒトSH−SY5Y細胞の軸索長を示す。対照グループと50μMの6−メトキシ−9−メチル−9H−β−カルボリンで処置したグループとの差異は有意であった(P<0.001)。したがって、6−メトキシ−9−メチル−9H−β−カルボリンでの処置は、軸索長の増大につながった。
【0069】
図3Dは、上述の通り、9−(2−フルオロエチル)−9H−β−カルボリンを用いて処置したヒトSH−SY5Y細胞の軸索長を示す。対照グループと30、50または70μMの9−(2−フルオロエチル)−9H−β−カルボリンで処置したグループとの差異は有意であった(P<0.001)。したがって、9−(2−フルオロエチル)−9H−β−カルボリンでの処置は、軸索長の増大につながった。
【0070】
培養中で14日間のヒトSH−SY5Y神経芽腫細胞のインキュベーションは、軸索長の増大につながった。示されたのは、3回の独立した実験で少なくとも20の無作為に選択された視野(各々640.000μm2)内で決定された軸索長の累積度数分布である。急激な上昇が、短かい(short)神経炎の優勢を示しており、ここで例えば対照細胞においては、より低い急激な上昇は、より長い軸索のより大きな数を意味した。水平方向の最大値は、それぞれの処置グループの最大軸索長を表わしていた。結果は、本発明のβ−カルボリンが、軸索の芽生えを促進することを示す。効果は、用量および物質依存性のものである:すなわち、1−メチル−β−カルボリン<6−メトキシ−9−メチル−β−カルボリン<9−メチル−β−カルボリン<9−フルオルエチル−β−カルボリン)である。したがって、β−カルボリンは、プロ分化効果を有する。
【0071】
軸索長に対する他の本発明のβ−カルボリン(化合物A−LおよびVI−XX)の効果を、上述の通り、14日後のヒトSH−SY5Y神経芽腫細胞で決定した。結果は表1にまとめられている。
【0072】
成長因子形成に対する誘発
次に、物質がヒトSH−SY5Y神経芽腫細胞内で神経成長因子の形成を誘発できるか否かを調査した。2日および14日後に、細胞を収穫し、標的遺伝子およびハウスキーピング遺伝子の発現を逆転写酵素−PCRによって決定した。図5は、損傷有毛細胞に対する再生効果が公知である神経成長因子についての3回の独立した実験の平均値を示す。
【0073】
図4Aは、ヒトSH−SY5Y細胞内でのBDNF(脳由来神経栄養因子)の相対的遺伝子発現を示す。2日後のBNDFの転写は、最高濃度(110μM)のLE−02(9−メチル−β−カルボリン)でのみ刺激され、一方14日間の曝露後では、30及び50μMというより低い濃度で刺激が誘発された。このようなシフトは、9−フルオロエチル−β−カルボリンについても見られた(No.559の物質;2日後、70μMおよび90μMによって刺激され、14日後では30μMおよび50μMで刺激された)。対照的に6−メトキシ−9−メチル−9H−β−カルボリン(図4AP、No.513の物質)は、BDNF転写の莫大な用量依存性増加につながった。
【0074】
図4Bは、セレベリン−1前駆体タンパク質(CBLN)の相対的遺伝子発現を示す。セレベリン−1前駆体タンパク質は、9−フルオロエチル−β−カルボリンに2日間曝露した後にのみ増大した。14日間の曝露後、試験対象の全てのβ−カルボリンはCBLN発現が増加した。被験物質の濃度が低くなると、調査された全ての濃度においてほぼ同じ刺激を示している9−フルオロエチル−β−カルボリンを除いて、濃度がより高い場合より効果は強くなった。セレベリン−19−フルオロエチル−β−カルボリンは、CBLN発現ならびに軸索長に対して類似の効果を示した(図3D参照)。
【0075】
図4Cは、GDNF(グリア細胞株由来神経栄養因子)の相対的遺伝子発現を示す。個別の濃度において、14日間の曝露は、最高3倍の刺激につながった。
NGF(神経成長因子)およびNPY(神経ペプチドY)は、一般に神経細胞の存続に必要な成長因子である。NGF(神経成長因子)およびNPY(神経ペプチドYの生合成が無くなると、神経細胞は死滅につながる。これらは、新しい暗騒音、新しいメロディなどの新たな状況への適応にとって不可欠である、例えばシナプス形成などの分化を可能にする。NGF(神経成長因子)およびNPY(神経ペプチドYのような成長因子は同様に、損傷を受けた神経細胞の延長部の新たな成長を可能にし、これを調節し、ひいては新たに成長した細胞延長部が現在ある神経路および回路への再組込みを可能にする。これらは、急性および慢性聴覚傷害に対する自然の修復機序の重要な部分である。
【0076】
図4Dは、NGF(神経成長因子)の相対的遺伝子発現を示す。14日間の曝露後、遺伝子発現は、20〜50倍だけ増大した。再度、濃度が低くなればなるほど、NGFの増大に関してはるかに効果が高くなった。
【0077】
図4Eは、NPY(神経ペプチドY)の相対的遺伝子発現を示す。14日間の曝露後、遺伝子発現は1.3〜4倍増大した。9−メチル−β−カルボリンおよび9−フルオロエチル−β−カルボリンの場合、濃度が低くなればなるほど、より高い濃度より効果は高くなった。
【0078】
BDNF、GDNF、NGFおよびNPYの遺伝子発現に対する他の本発明のβ−カルボリン(化合物A−LおよびVI−XX)の効果を、2日後および14日後にヒトSH−SY5Y神経芽腫細胞で上述の通りに決定した。結果は表2にまとめられている。
【0079】
【表2】

遺伝子転写による分化を実質的に刺激する転写因子の解明のための細胞内カスケードの活性化についての調査:
複数の細胞内カスケードに対する複数のβ−カルボリンの効果を調査した。複数のβ−カルボリンのうち、それぞれの細胞内カスケードの末端において複数の転写因子が細胞核で形成され、複数の転写因子はそれ自体さらなる遺伝子群の転写を活性化させることが公知である。2重ルシフェラーゼ方法を使用した。第1のルシフェラーゼはトランスフェクション対照として役立ち、一方第2のルシフェラーゼは、DNAの適切な特異的結合配列に連結される。
【0080】
図5は、対照細胞SH−SY5Yにおいて最高10倍までレベルの、転写因子CREBの形成に対する9−メチル−β−カルボリン、9−フルオロエチル−β−カルボリンおよび6−メトキシ−9−メチル−9H−β−カルボリンの用量依存活性化効果を示す(3回の独立した実験、48時間のインキュベーション)。
【0081】
これらの所見は明らかに、試験された本発明の、β−カルボリンがプロ分化効果を有することを示す。複数の成長因子が神経保護的にそしていくつかの傷害モデルにおいてはまた神経再生的に作用することができるということを明らかにする複数の成長因子の発現誘発は、活性物質の治療的効果を証明する。プロ分化効果は、転写因子を活性化させる細胞内カスケードの活性によって媒介される。このような転写因子は、特に成長因子についてコードする遺伝子群を転写する。
実施例29
動物モデルにおける薬物動態実験
この実施例では、9−メチル−β−カルボリンが、正円窓の膜の前の陥凹に対し局所的に送出される。β−カルボリンは、陥凹から内耳(蝸牛)の外リンパ液(感覚細胞を保護する液体)までおよび平衡感覚をつかさどる器官の三半規管まで正円窓を通って拡散できる。
【0082】
局所適用は、一方では比較的高い用量が求められることそして他方では難聴そして場合によっては目まいの場合に必要とされるような慢性的適用については経験的に望ましくない効果の危険性が高くなることを理由として全身的適用の場合に予期すべき望ましくない効果を回避する。したがって、物質の使用のための前提条件は、物質が正円窓の膜を通って主として拡散するということである。
【0083】
これをテストするために、9−メチル−β−カルボリン−HCl(9−Me−BC)を、減菌したリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に溶解し、次に、0.5μL/時の流速で最長10時間、浸透圧ミニポンプによりモルモットの正円窓の膜に連続的に輸液した。こうして、中耳内ひいては内耳の蝸牛の外側に輸液を行ない、そのため、鼓膜は損傷を受けなかった。3時間後、蝸牛の先端である尖、すなわち正円窓の膜から最も離隔した蝸牛の部分から、先に移植したカニューレにより5μlのリンパ液を得た。試料を希釈し、さらなる処理無く高圧液体クロマトグラフィ(HPLC)により直ちに分離し、β−カルボリンの自然の蛍光を蛍光検出器により決定した。第2のモルモットを用いて同一の条件で、実験を反復したが、試料は10時間の輸液の後に得たものであった。9−Me−BCでの前処置されていない第3のモルモットから外リンパ液を得た(空試験値対照)。
【0084】
第2系列では、20μgの9−Me−BCを、正円窓の膜すなわち蝸牛内を通って直接外リンパ液内にアプライした。3時間後、そして別の動物の場合には20時間後に、外リンパ液を得て、上述の通りに分析した。結果は、校正系列と共に図6に表わされている。校正系列は上述の通りの分析方法により10pgの9−Me−BCを高い信頼度で検出できるということを示す。9−Me−BCを表わす単一の最大値を、図6の上部クロマトグラム内で7分後に見ることができる。明らかに、さらなる最大値が見られることはなく、したがって9−Me−BCは分解されていない。さらに、クロマトグラムは、9−Me−BCが正円窓の膜に浸透することを明確に示す。
【0085】
中央の横列のクロマトグラムは両方共、外リンパ液に対する直接的適用の場合には20時間後に9−Me−BCがなおも存在することを示す。外リンパ液に対する直接的適用の場合には20時間後に9−Me−BCがなおも存在することは、治療的使用にとってきわめて有意である。さらに、これらのクロマトグラムは、9−Me−BCがこの長い期間中分解も崩壊もしないことを示す。そういうわけで、9−Me−BCは、化学的及び代謝的に不活性である(注:上部横列および中間横列内のナノグラムによりナノグラム数が検出されている;したがっていわゆる注入ピークは中間および下部横列の左側のクロマトグラムおよび基線の雑音に見られる。)
未処置の動物の外リンパ液には9−Me−BCが全く存在しないことを示すクロマトグラムは、下部横列の左側に描かれる(空試験値対照)。未処置の動物は、他のモルモットの場合と同様に、外科的ステップのみが実施され9−Me−BCは全く適用されなかった動物である。結果は、療法の観点から見て、他の物質デキサメタゾン、ゲンタマイシン、2−メチル−チアゾリジン−2,4−ジカルボン酸[チアリン]に比べて非常に有利である。
【0086】
1つの系の疾病の治療に使用される薬剤は、聴覚器官の感覚細胞すなわち有毛細胞は平衡感覚をつかさどる器官の感覚細胞と非常に類似した挙動を示すことから、他の系の疾病についても有効である。
実施例30
動物モデルにおける聴力損傷の予防
β−カルボリンを含む溶液を3日間、浸透圧ミニポンプによりモルモットの正円窓の膜の前の陥凹内に連続的に輸液した。この実験では、次のβ−カルボリンを個別にテストした:9−メチル−β−カルボリン、化合物XI、XII、XVIII、XIXならびに化合物C〜L。
【0087】
次に、ゲンタマイシンおよびエタクリル酸の標準用量をモルモットに静脈注射した。ゲンタマイシンおよびエタクリル酸が内耳を損傷する。典型的に、ゲンタマイシンおよびエタクリル酸は動物モデルにおける聴力損傷の予防のような研究において難聴を誘発するための毒素として使用される。輸液をさらに2日間続行した。その後、2、4、8、および2OHzで耳に音響放射した後、内耳のインパルスを伝達する脳幹の神経細胞の電気生理学的活性を推定した。β−カルボリンで処置されていない耳は個体内対照として役立った(Prieskorn DM,Miller JM.「Technical report:chronic and acute intracochlear infusion in rodents」、Hear Res,2000;140(1−2):212−215)。その上動物には、さらなる対照としてゲンタマイシンではなく9−Me−BCのみを輸液した。
【0088】
聴神経の神経細胞の測定された電気生理学的活性(聴覚閾値)は、内耳に対する使用されたβ−カルボリンの治療的効果の度合の尺度として役立った。表3から分かることができるように、使用されたβ−カルボリンは聴神経の神経細胞の電気生理学的活性の増加を示す。このことから、β−カルボリンは聴力損傷、目まいおよび前庭障害の治療にとって有用であると結論を出すことができる。
【0089】
【表3】

実施例31
局所適用のための9−メチル−β−カルボリン製剤
局所適用のための50μMの9−メチル−β−カルボリンを用いてのゲル製剤は、50μMの9−メチル−β−カルボリンという濃度で、ジェンザイム コーポ(Genzyme Corp)製のヒルメド ステアリル(Hylumed Sterile)などのリン酸緩衝生理食塩水溶液中の0.7重量パーセントのヒアルロン酸を含む。
実施例32
局所適用のための9−メチル−β−カルボリン製剤
点耳薬の形での9−メチル−β−カルボリンの局所適用のために、次のアジュバント:塩化ベンザルコニウム、酢酸ナトリウム×3H2O、酢酸、マンニトール(Ph.Eur.)、エデト酸ナトリウム(Ph.Eur.)および塩酸/水酸化ナトリウム(pH調整用)の1つを使用して、精製水中で3mg/mlの9−メチル−β−カルボリン溶液を調製する。
実施例33
局所適用のための9−メチル−β−カルボリン製剤
939.9mgのグリセロールに0.1mgのブチルヒドロキシアニソール(Ph.Eur.)の溶液に、100mgの9−メチル−β−カルボリンを添加する。結果として得られた溶液を耳の中に局所適用することができる。任意には、DMSOなどの浸透増強剤を添加することができる。
実施例34
経口適用のための9−メチル−β−カルボリン製剤
この実施例は、12.5mgの9−メチル−β−カルボリンを用いてのフィルムコート錠のための製剤に関する。錠剤コアは以下のものを含む。
9−メチル−β−カルボリン 12.50mg
セルロース、微結晶性 103.25mg
クロスカルメロース−Na 6.24mg
二酸化ケイ素、コロイド性 1.25mg
タルク粉 1.25mg
ステアリン酸マグネシウム 0.50mg
合計重量 125.0mg
錠剤コアを5mgのヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、例えばオパドライ(Opadry)またはセピフィルム(Sepifilm)で被覆する。結果として得られたフィルム錠は、総重量が130mgであり、言及したアジュバントの他に、12.5mgの9−メチル−β−カルボリンを含む。
実施例35
経口適用のための9−メチル−β−カルボリン製剤
この実施例は、50.0mgの9−メチル−β−カルボリンを用いての御フィルムコート錠のための製剤に関する。錠剤コアは以下のものを含む。
9−メチル−β−カルボリン 50.0mg
セルロース、微結晶性 413.0mg
クロスカルメロース−Na 25.0mg
二酸化ケイ素、コロイド性 5.0mg
タルク粉 5.0mg
ステアリン酸マグネシウム 2.0mg
合計重量 500.0mg
錠剤コアを20mgのHPMC、例えばオパドライ(Opadry)またはセピフィルム(Sepifilm)で被覆する。結果として得られたフィルム錠は、総重量が520mgであり、言及したアジュバントの他に、50mgの9−メチル−β−カルボリンを含む。
実施例36
経口適用のための6−メトキシ−9−メチル−9H−β−カルボリン製剤
この実施例は、50.0mgの6−メトキシ−9−メチル−9H−β−カルボリンを用いてのフィルムコート錠のための製剤に関する。錠剤コアは以下のものを含む。
6−メトキシ−9−メチル−9H−β−カルボリン 50.0mg
セルロース、微結晶性 413.0mg
クロスカルメロース−Na 25.0mg
二酸化ケイ素、コロイド性 5.0mg
タルク粉 5.0mg
ステアリン酸マグネシウム 2.0mg
合計重量 500.0mg
錠剤コアを20mgのHPMC、例えばオパドライ(Opadry)またはセピフィルム(Sepifilm)で被覆する。結果として得られたフィルム錠は、総重量が520mgであり、言及したアジュバントの他に、50mgの6−メトキシ−9−メチル−9H−β−カルボリンを含む。
【0090】
実施例37
経口適用のための9−フルオロエチル−β−カルボリン製剤
この実施例は、37.5mgの9−フルオロエチル−β−カルボリンを用いてのフィルムコート錠向けの製剤に関する。錠剤コアは以下のものを含む。
9−フルオルエチル−β−カルボリン 37.50mg
セルロース、微結晶性 309.75mg
クロスカルメロース−Na 18.75mg
二酸化ケイ素、コロイド性 3.75mg
タルク粉 3.75mg
ステアリン酸マグネシウム 1.5mg
合計重量 375.00mg
錠剤コアを15mgのHPMC、例えばオパドライ(Opadry)またはセピフィルム(Sepifilm)で被覆する。結果として得られたフィルム錠は、総重量が390mgであり、言及したアジュバントの他に、37.5mgの9−フルオロエチル−β−カルボリンを含む。
実施例38
局所適用のための9−フルオロエチル−β−カルボリン製剤
250mgの9−フルオロエチル−β−カルボリン、保存料としての1mgのP−ヒドロキシ安息香酸メチルエステル、セチルステアリルアルコール、モノラウリン酸ソルビタン、ポリソルベートおよび精製水を用いて、局所適用のための250mgの9−フルオロエチル−β−カルボリンの懸濁液1ミリリットルを調製する。結果として得た懸濁液は局所適用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)の化合物の使用であって、
【化1】

式中、
1は−R12を表わし、
2およびR3は互いに独立して、次の部分:−R7,−R8,−H,−OH,−OR7,−OCH3,−OC25,−OC37,−O−シクロ−C35,−OCH(CH32,−OC(CH33,−OC49,−OPh,−OCH2−Ph,−OCPh3,−F,−Cl,−Br,−I,−NH2,−NHCH3,−NHC25,−NHC37,−NH−シクロ−C35,−NHCH(CH32,−NHC(CH33,−N(CH32,−N(C252−N(C372,−N(シクロ−C352,−N[CH(CH322,−N[C(CH332,−OCF3,−OC25,を表し、
7、R8およびR12は互いに独立して、次の部分:−CH2F,−CHF2,−CF3,−CH2Cl,−CH2Br,−CH2I,−CH2−CH2F,−CH2−CHF2,−CH2−CF3,−CH2−CH2Cl,−CH2−CH2Br,−CH2−CH2I,シクロ−C35,シクロ−C47,シクロ−C59,シクロ−C611,シクロ−C713,シクロ−C815,−Ph,−CH2−Ph,−CPh3,−CH3,−C25,−C37,−CH(CH32,−C49,−CH2−CH(CH32,−CH(CH3)−C25,−C(CH33,−C511,−CH(CH3)−C37,−CH2−CH(CH3)−C25,−CH(CH3)−CH(CH32,−C(CH32−C25,−CH2−C(CH33,−CH(C252,−C24−CH(CH32,−C613,−C36−CH(CH32,−C24−CH(CH3)−C25,−CH(CH3)−C49,−CH2−CH(CH3)−C37,−CH(CH3)−CH2−CH(CH32,−CH(CH3)−CH(CH3)−C25,−CH2−CH(CH3)−CH(CH32,−CH2−C(CH32−C25,−C(CH32−C37,−C(CH32−CH(CH32,−C24−C(CH33,−CH(CH3)−C(CH33,−CH=CH2,−CH2−CH=CH2,−C(CH3)=CH2,−CH=CH−CH3,−C24−CH=CH2,−C715,−C817,−CH2−CH=CH−CH3,−CH=CH−C25,−CH2−C(CH3)=CH2,−CH(CH3)−CH=CH,−CH=C(CH32,−C(CH3)=CH−CH3,−CH=CH−CH=CH2,−C36−CH=CH2,−C24−CH=CH−CH3,−CH2−CH=CH−C25,−CH=CH−C37,−CH2−CH=CH−CH=CH2,−CH=CH−CH=CH−CH3,−CH=CH−CH2−CH=CH2,−C(CH3)=CH−CH=CH2,−CH=C(CH3)−CH=CH2,−CH=CH−C(CH3)=CH2,−C24−C(CH3)=CH2,−CH2−CH(CH3)−CH=CH2,−CH(CH3)−CH2−CH=CH2,−CH2−CH=C(CH32,−CH2−C(CH3)=CH−CH3,−CH(CH3)−CH=CH−CH3,−CH=CH−CH(CH32,−CH=C(CH3)−C25
−C(CH3)=CH−C25,−C(CH3)=C(CH32,−C(CH32−CH=CH2,−CH(CH3)−C(CH3)=CH2,−C(CH3)=CH−CH=CH2,−CH=C(CH3)−CH=CH2,−CH=CH−C(CH3)=CH2,−C48−CH=CH2,−C36−CH=CH−CH3
−C24−CH=CH−C25,−CH2−CH=CH−C37,−CH=CH−C49,−C36−C(CH3)=CH2,−CH2−CH2−CH2−OCH3,−C24−CH(CH3)−CH=CH2,−CH2−CH(CH3)−CH2−CH=CH2,−CH2NH2,−CH(CH3)−C24−CH=CH2
−C24−CH=C(CH32,−C24−C(CH3)=CH−CH3,−CH2−CH(CH3)−CH=CH−CH3,−CH(CH3)−CH2−CH=CH−CH3,−CH2OH,−CH2−CH=CH−CH(CH32,−CH2−CH=C(CH3)−C25,−CH2−CH2−CH2NH2,−CH2−C(CH3)=CH−C25,−CH(CH3)−CH=CH−C25,−CH2−CH2NH2,−CH=CH−CH2−CH(CH32,−CH=CH−CH(CH3)−C25,−CH=C(CH3)−C37,−C(CH3)=CH−C37,−CH2−CH(CH3)−C(CH3)=CH2,−CH(CH3)−CH2−C(CH3)=CH2,−CH(CH3)−CH(CH3)−CH=CH2,−CH2−CH2−CH2OH,−CH2−C(CH32−CH=CH2,−C(CH32−CH2−CH=CH2,−CH2−C(CH3)=C(CH32,−CH(CH3)−CH=C(CH32,−C(CH32−CH=CH−CH3,−CH(CH3)−C(CH3)=CH−CH3,−CH=C(CH3)−CH(CH32,−C(CH3)=CH−CH(CH32,−C(CH3)=C(CH3)−C25,−CH=CH−C(CH33,−C(CH32−C(CH3)=CH2,−CH(C25)−C(CH3)=CH2,−C(CH3)(C25)−CH=CH2,−CH(CH3)−C(C25)=CH2,−CH2−C(C37)=CH2,−CH2−C(C25)=CH−CH3,−CH(C25)−CH=CH−CH3,−C(C49)=CH2,−C(C37)=CH−CH3,−C(C25)=CH−C25,−C(C25)=C(CH32,−C[C(CH33]=CH2,−C[CH(CH3)(C25)]=CH2,−C[CH2−CH(CH32]=CH2,−C24−CH=CH−CH=CH2,−CH2−CH=CH−CH2−CH=CH2,−CH=CH−C24−CH=CH2,−CH2−CH=CH−CH=CH−CH3,−CH=CH−CH2−CH=CH−CH3,−CH2−CH2−OCH3,−CH=CH−CH=CH−C25,−CH2−CH=CH−C(CH3)=CH2,−CH2−CH2OH,−CH2−CH=C(CH3)−CH=CH2,−CH2−C(CH3)=CH−CH=CH2,−CH2−OCH3,−CH(CH3)−CH=CH−CH=CH2,−CH=CH−CH2−C(CH3)=CH2,−CH=CH−CH(CH3)−CH=CH2,−CH=C(CH3)−CH2−CH=CH2,−C(CH3)=CH−CH2−CH=CH2,−CH=CH−CH=C(CH32,−CH=CH−C(CH3)=CH−CH3,−CH=C(CH3)−CH=CH−CH3,−C(CH3)=CH−CH=CH−CH3,−CH=C(CH3)−C(CH3)=CH2,−C(CH3)=CH−C(CH3)=CH2,−C(CH3)=C(CH3)−CH=CH2,−CH=CH−CH=CH−CH=CH2,−C≡CH,−C≡C−CH3,−CH2−C≡CH,−C24−C≡CH,−CH2−C≡C−CH3,−C≡C−C25,−C36−C≡CH,−C24−C≡C−CH3,−CH2−C≡C−C25,−C≡C−C37,−CH(CH3)−C≡CH,−CH2−CH(CH3)−C≡CH,−CH(CH3)−CH2−C≡CH,−CH(CH3)−C≡C−CH3−C48−C≡CH,−C36−C≡C−CH3,−C24−C≡C−C25,−CH2−C≡C−C37,−C≡C−C49,−C≡C−C(CH33,−C24−CH(CH3)−C≡CH,−CH2−CH(CH3)−CH2−C≡CH,−CH2−C≡C−CH(CH32,−CH(CH3)−C24−C≡CH,−CH2−CH(CH3)−C≡C−CH3,−CH(CH3)−CH2−C≡C−CH3,−CH(CH3)−C≡C−C25
−C≡C−CH(CH3)−C25,−C≡C−CH2−CH(CH32,−CH(C25)−C≡C−CH3,−C(CH32−C≡C−CH3,−CH(C25)−CH2−C≡CH,−CH2−CH(C25)−C≡CH,−C(CH32−CH2−C≡CH,−CH2−C(CH32−C≡CH,−CH(CH3)−CH(CH3)−C≡CH,−CH(C37)−C≡CH,−C(CH3)(C25)−C≡CH,−C1429,−CH2−CH2−N(CH32を表わし、
ならびに、上述の化合物の薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、エナンチオマー、ジアステレオマーならびにラセミ化合物の、聴力損傷、目まいおよび前庭障害の予防および治療用の医薬組成物の製造のための使用。
【請求項2】
一般構造式(V)の化合物、
【化2】

式中、R12およびR3部分は請求項1に記載の意味を有する、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
9−メチル−9H−β−カルボリン、6−メトキシ−9−イソ−プロピル−9H−β−カルボリン、9−[(1Z)−1−メチルプロプ(methylprop)−1−エニル]−9H−β−カルボリン、1−クロロ−9−[(1Z,3E)−2−メチルペンタ−1,3−ジエニル]−9H−β−カルボリン、9−メチル−6−プロポキシ−9H−β−カルボリン、9−シクロプロピル−6−メトキシ−9H−β−カルボリン、6−トリフルオルメトキシ−9−メチル−9H−β−カルボリン、6−ジメチルアミノ−9−メチル−9H−β−カルボリン、1−メトキシ−6−クロロ−9−メチル−9H−β−カルボリン、1,9−ジメチル−9H−β−カルボリン、1−イソプロピル−6,9−ジメチル−9H−β−カルボリン、6,9−ジメチル−9H−β−カルボリン、6−メトキシ−9−メチル−9H−β−カルボリン、9−(2−フルオロエチル)−9H−β−カルボリンおよび9−アリル−9H−β−カルボリンからなる群から選択された化合物の、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
急性および慢性耳疾患および聴力損傷、目まいおよび前庭障害が、詳細には急性聴力損失、急性音響外傷、爆傷、慢性的騒音曝露に起因する迷路性難聴、老年性難聴、人工内耳の移植中の外傷(挿入外傷)、内耳疾患に起因する目まい、メニエール病に関連したおよび/またはメニエール病の一症候としての目まい、メニエール病に関連したおよび/またはメニエール病の一症候としての前庭障害、耳鳴りおよび抗生物質および細胞増殖抑制剤に起因する聴力損傷である、請求項1〜3のいずれかに記載の使用。
【請求項5】
耳疾患および聴力損傷の治療のための点滴剤、軟こう、スプレー、リポソーム、ジェル、エマルジョンまたは注射液の形態での、請求項1〜3のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物を含む医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図5】
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【図6A−6B】
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【図6C−6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【公表番号】特表2013−515752(P2013−515752A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546361(P2012−546361)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【国際出願番号】PCT/DE2010/001530
【国際公開番号】WO2011/079841
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(512169970)アウディオキュア ファーマ ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】