説明

肉代替食品素材の製造方法

【課題】こんにゃくを主要な材料として使用して、肉の食感と食味を得ることができると共に、健康にもよい肉代替食品素材の製造方法である。
【解決手段】冷凍したこんにゃくを解凍した後、該解凍したこんにゃくを加圧、または圧縮して水分をほとんど脱水して、含水量の少ないこんにゃく片とし、且つ該こんにゃく片に対して、1種類、または複数種類のつなぎ材を添加混入して、細断混合機で、前記こんにゃく片を細断して細断片化すると共に、該細断片と前記つなぎ材とを混合撹拌して混合物し、然る後、前記混合物に対して、更に1種類、または複数種類のたんぱく系の非水溶性食品を添加混入し、攪拌機で混合撹拌して肉代替食品素材を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、こんにゃくを主要な材料として使用して、肉の食感と食味を得ることができると共に、健康にもよい肉代替食品素材の製造方法に関するものである。そして、本発明製造方法によって得られた肉代替食品は、そのまま調理して食することも可能であり、また他の食品素材に添加混入して調理することも可能である。なお、本発明において、「肉」とは「畜肉」のことをいい、「魚肉」を含まない。
【背景技術】
【0002】
こんにゃくは、体内に摂取される栄養成分はほとんどないが、食用すると体内の老廃物を排出して身体によいとされる。こんにゃくは、食物繊維の一種であるグルコマンナンが主成分であり、このグルコマンナンは人間の消化酵素では分解できない食物繊維で、これが消化されないまま腸に入り、水分を吸収して膨らみ、腸内を移動する間に便を軟らかくして、便通をよくする効果がある。また、こんにゃくは、低カロリーであるので、ダイエット食にも向いており、更にグルコマンナンには血糖値の上昇を抑え、コレステロール値を下げる作用があるので、糖尿病、高血圧症の改善にも役立つ。そして、近年では、こんにゃくは、通常の調理用としての利用のほか、所謂健康食品と称して、こんにゃくゼリー、こんにゃくスープ等として広く販売されている。
【0003】
本発明は、優れた効能を有するこんにゃくを主要な材料として、肉の食感と食味を備えた低カロリーで、健康にもよい肉代替食品素材の製造方法を提供しようとするものであるが、従来、このような肉の食感と食味を有するこんにゃくを原材料とする肉代替食品は実用に供されておらず、また過去の特許文献を遡及検索しても、前記こんにゃくを原材料とする肉代替食品についての先行技術は全く存在していない。そして、単に、乾燥こんにゃくを用いて、肉食品の組織を改良することを目的とする肉食品用組織改良組成物に関する、下記の特許文献1が公知である。
【0004】
【特許文献1】特開2004−173585号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記のように、従来は、こんにゃくを主要な材料とする肉代替食品は実用に供されておらず、健康食品であるこんにゃくを肉代替食品とする有効利用は図られていないという課題があった。
【0006】
また、前記特許文献1に記載のものは、単に乾燥こんにゃく加工品を含むゲル化物を畜肉、魚肉の挽肉を原料とする加工食品、例えば、ハンバーグ、肉団子、ソーセージ等の加工食品に添加することによって、これら畜肉、魚肉の加工食品の脂肪や肉汁等のジューシーな食感を変えることのない肉食品用組織改良組成物に関するものである。そして、前記肉食品用組織改良組成物は、他の加工食品に添加することを目的としており、該肉食品用組織改良組成物を用いて、例えば、唐揚げもどき食品、とんかつもどき食品や牛肉もどき食品等の、所謂もどき食品を作るという発想は全くなく、その利用範囲は限られており、更に、前記肉食品用組織改良組成物には、肉に似た弾力性はないという課題があった。
【0007】
本発明は、前記課題を解決すべくなされたもので、肉そのものは全く使用することなく、こんにゃくを主要な材料として、肉の食感と食味を備えた低カロリーで、健康にもよい肉代替食品素材であって、唐揚げもどき食品、とんかつもどき食品、牛肉もどき食品や、ハンバーグもどき食品等の、所謂、もどき食品を作ることもできるし、または、ハンバーグ、肉だんご、ぎょうざ、コロッケやメンチカツ等の原材料に添加して使用することもできる肉代替食品素材の製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、冷凍したこんにゃくを解凍した後、該解凍したこんにゃくを加圧、または圧縮して水分をほとんど脱水して、含水量の少ないこんにゃく片とし、且つ該こんにゃく片に対して、1種類、または複数種類のつなぎ材を添加混入して、細断混合機で、前記こんにゃく片を細断して細断片化すると共に、該細断片と前記つなぎ材とを混合撹拌して混合物とし、然る後、前記混合物に対して、更に1種類、または複数種類のたんぱく系の非水溶性食品を添加混入し、攪拌機で混合撹拌して製造するという手段、
冷凍したこんにゃくを解凍した後、該解凍したこんにゃくを加圧、または圧縮して水分をほとんど脱水して、含水量の少ないこんにゃく片とし、且つ該こんにゃく片に対して、1種類、または複数種類のつなぎ材を添加混入して、細断混合機で、前記こんにゃく片を細断して細断片化すると共に、該細断片と前記つなぎ材とを混合撹拌して混合物とし、然る後、前記混合物に対して、更に1種類、または複数種類のたんぱく系の非水溶性食品、および畜肉エキス類を添加混入し、攪拌機で混合撹拌して製造するという手段、
冷凍したこんにゃくを解凍した後、該解凍したこんにゃくを加圧、または圧縮して水分をほとんど脱水して、含水量の少ないこんにゃく片とすると共に、該こんにゃく片を細断混合機で細断して細断片化し、然る後、前記細断片に1種類、または複数種類のつなぎ材、および1種類、または複数種類のたんぱく系の非水溶性食品を添加混入し、攪拌機で混合撹拌して製造するという手段、
冷凍したこんにゃくを解凍した後、該解凍したこんにゃくを加圧、または圧縮して水分をほとんど脱水して、含水量の少ないこんにゃく片とすると共に、該こんにゃく片を細断混合機で細断して細断片化し、然る後、前記細断片に1種類、または複数種類のつなぎ材、および1種類、または複数種類のたんぱく系の非水溶性食品、並びに畜肉エキス類を添加混入し、攪拌機で混合撹拌して製造するという手段、
のいずれかを採用することにより、上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0009】
本発明製造方法によって得られた肉代替食品素材は、肉そのものは全く使用することなく、こんにゃくを主要な材料として、これにつなぎ材、たんぱく系の非水溶性食品、更には、必要に応じて畜肉エキス類および香辛料を加えて、肉の食感と食味を備えた肉代替食品素材を製造するようにしたものであるので、低カロリーであり、ダイエット食にも向いていると共に、所謂健康食品として有用であり、更にこんにゃくの食物繊維の多数の断片間に、前記非水溶性食品中のたんぱく成分が取込まれて、前記食物繊維の多数の断片と絡み合うことにより、肉に似た適度の弾力性を持たせ、肉の食感や食味を得ることができる。
【0010】
また、本発明製造方法よって得られた肉代替食品素材は、食品メーカーで極めて簡単に製造でき、且つ該製造された肉代替食品素材を買い求めた人が、極めて簡単に調理できるという優れた効果を奏する。
【0011】
更に、本発明製造方法によって得られた肉代替食品素材を用いて、唐揚げもどき食品、とんかつもどき食品、牛肉もどき食品やハンバーグもどき食品等の、所謂、もどき食品を作ることもできる。
【0012】
また、製造方法によって得られた肉代替食品素材を、牛肉、豚肉、鶏肉等のひき肉に、適宜の量を添加混入して、ハンバーグ、肉だんご、ぎょうざ、コロッケ、メンチカツを製造しても、味はすべて肉を使用したハンバーグ、肉だんご、ぎょうざ、コロッケ、メンチカツと何ら遜色なく、然も肉の使用量が減るので、特にダイエット食品素材として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明を実施するための最良の形態につき詳細に説明する。本発明は、肉そのものは全く使用することなく、冷凍こんにゃくを解凍した後のこんにゃくを主要な材料として、これに卵白または全卵、小麦粉等のつなぎ材、たんぱく系の非水溶性食品、更には必要であれば、畜肉エキス類および香辛料を加えて、肉の食感と食味を備えた肉代替食品素材を製造する製造方法に関するものである。
【0014】
本発明の主要な材料であるこんにゃくは、こんにゃくいもの粉末に水を加えてこね、これに石灰乳を混ぜて煮沸し固めて製造した食品である。そして、こんにゃくいもの皮をむいた粉末を用いて製造したものを白こんにゃくといい、皮付きのままの粉末を用いて製造したものを黒こんにゃくといい、また板状になったものを板こんにゃくといい、更に糸状になったものを糸こんにゃくという。これらのこんにゃくは、いずれも本発明に採用することができる。
【0015】
本発明は、前記白こんにゃく、黒こんにゃく、板こんにゃく、または糸こんにゃくを、後述する実施例において記載する用途に応じて、それぞれ使い分けるが、前記こんにゃくは、いずれも冷凍庫内に入れて、冷凍された冷凍こんにゃくを使用する。冷凍こんにゃくを使用するのは、こんにゃくは冷凍した後、解凍して加圧、または圧縮することにより、水分がほとんど抜け、食物繊維が大部分を占める、含水量の少ないこんにゃく片(以下、「こんにゃく片」と略称する)となる。そして、前記こんにゃく片中の食物繊維により、肉のような弾力性が付与される。本発明は、前記こんにゃく片中の食物繊維の弾力性を利用して、肉の食感と食味を得るようにした肉代替食品素材を製造するものである。
【0016】
その他の材料中のつなぎ材は、ねばり気のない食品素材に入れて、該食品素材が離れたり崩れたりするのを防ぐ、結合材としての目的のために使用するものである。
【0017】
つなぎ材としては、例えば、卵黄、卵白、全卵、粉末卵、小麦粉、そば粉、ライ麦粉、大麦粉、コーンフラワー、マサフラワー、パン粉、米粉、大豆粉、ポテトフラワー等の穀粉類、小麦澱粉、トウモロコシ澱粉、モチ種トウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、米澱粉、さつまいも澱粉、さご澱粉、くず澱粉等の生澱粉類、これらの澱粉をα化、エーテル化、酢酸エステル化、架橋、酸化等の処理をした化工澱粉類、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アラビアガム、アルギン酸類、ペクチン、キサンタンガム、プルラン、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、寒天、ゼラチン等の増粘材、小麦グルテン、大豆グルテン、おから乾燥粉末、山芋、コラーゲン、ゼラチン粉末等があり、これらはいずれも本発明に採用することができる。
【0018】
そして、本発明製造方法において使用するつなぎ材は、前記つなぎ材中、特に限定する必要はないが、好ましくは、卵白、全卵、コラーゲン、あるいは小麦粉を使用することが推奨され、また、つなぎ材は、1種類だけではなく、必要に応じて複数種類のつなぎ材を組合せて使用することもできる。
【0019】
更に、その他の材料中のたんぱく系の非水溶性食品とは、たんぱく系の乾燥食品である麩や高野豆腐や、たんぱく系の含水率の高い食品である、おから、豆腐のような水に溶けない食品をいう。そして、本発明においては、前記非水溶性食品のうち、乾燥食品である麩や高野豆腐は、粉末状にしたもの、あるいは、ちぎったり、砕いたりしてフレーク状にしたものを使用する。また、おから、あるいは豆腐は含水率が高いので、そのまま使用する。なお、小麦粉は、前記つなぎ材として使用できるが、たんぱく系の非水溶性食品としても使用することができる。
【0020】
前記非水溶性食品のたんぱく成分が、前記こんにゃく片の細断片化された多数の細断片間に取込まれて、該多数の細断片と絡み合い、肉に似た適度の弾力性を持たせると共に、肉の食感や、食味を得ることができる。また、特に限定する必要はないが、本発明においては、1種類の非水溶性食品だけではなく、必要に応じて、複数種類の非水溶性食品を組合せて使用することもできる。
【0021】
すなわち、本発明は、前記こんにゃく片の細断化された多数の細断片間に、前記たんぱく成分を取込んで、該多数の細断片と絡み合わせることにより、肉の繊維質部分とたんぱく質部分の代替作用をさせるものである。
【0022】
また更に、その他の材料中の畜肉エキス類は、前記各材料は基本的に味がないので、肉らしい味に仕上げるために味付け用として使用するものである。前記畜肉エキス類は、畜肉から抽出されたエキス分を濃縮して、液状、パウダー状あるいは固形状にしたものであり、特に限定する必要はないが、好ましくはコンソメエキスパウダーまたはビーフエキスパウダーを用いることが推奨される。そして、畜肉エキス類は、必要な場合のみ使用し、使用しない場合もある。更に、香辛料の使用も任意である。
【0023】
次に、前記目的および作用を有する各材料を用いて、肉代替食品素材を製造する方法を工程順に説明する。なお、下記の各材料、およびその配合比率は、本発明者が種々テストの結果、食感・食味の観点から判断して得た材料、および数値である。
【0024】
先ず、1日以上、冷凍庫で冷凍したこんにゃくを解凍する。この解凍は、
自然解凍の外、電子レンジ等による加熱調理による解凍でもよい。次に、前記解凍したこんにゃくを水洗した後、加圧するか、圧縮して水分をほとんど脱水して、少量の水分、すなわち5重量%〜15重量%程度の水分含有量の少ないこんにゃく片とし、これをダイス状に切断する。前記含水量の少ないこんにゃく片は、そのほとんどが食物繊維だけとなる。実験の結果、解凍前のこんにゃくの重量が、500gであったものが、解凍して水分を脱水すると、大体の重量が、60g〜150g程度になった。このときのこんにゃくの含水量は、5重量%〜15重量%程度であった。本発明においては、特に限定する必要はないが、好ましくは、前記程度の含水量のこんにゃく片を使用することが推奨される。
【0025】
そして、前記ダイス状に切断したこんにゃく片40重量%〜80重量%、好ましくは55重量%〜75重量%、特に好ましくは65重量%〜70重量%と、つなぎ材として、例えば、卵(コレステロールの数値が高い人のためには、卵白のみ、その他の人には全卵)5重量%〜40重量%、好ましくは10重量%〜25重量%、特に好ましくは15重量%〜30重量%をミキサーや、ミルサー等の細断混合機に入れ、前記こんにゃく片を細断すると共に、つなぎ材と充分に混合撹拌して、混合物とする。なお、前記混合物の性状は、ペースト状を呈している。そして、以下の説明においては、つなぎ材として、卵を使用するものとして説明する。
【0026】
前記こんにゃく片と、つなぎ材である卵とを細断混合機に入れて混合撹拌する場合、該こんにゃく片が、微粉砕されることなく細断されて、特に限定する必要はないが、前記攪拌によって、好ましくは、1mm〜10mm程度の長さの細断片となるよう混合撹拌することが推奨される。前記こんにゃく片と、つなぎ材である卵とを細断混合機に入れて混合撹拌して混合物とする場合、該こんにゃく片に5重量%〜15重量%程度の水分を含有させることにより、つなぎ材である卵との混合攪拌が、迅速に、且つスムーズに行くと共に、細断片化が容易である。
【0027】
前記細断片化されたこんにゃく片と、つなぎ材である卵が混合物となった状態で、細断混合機から取出し、前記混合物に、1種類のたんぱく系の非水溶性食品、または複数種類のたんぱく系の非水溶性食品2重量%〜30重量%、好ましくは4重量%〜25重量%、特に好ましくは5重量%〜20重量%、更に、その他必要に応じて少量の塩、こしょう、にんにく等の香辛料を添加混入して、攪拌機で充分に混合撹拌することにより、本発明製造方法を用いた肉代替食品素材が得られる。そして、前記得られた肉代替食品素材の性状は、ペースト状を呈している。
【0028】
前記たんぱく系の非水溶性の乾燥食品である、例えば、麩や高野豆腐は、粉末またはフレークとしたもの、そしてたんぱく系の非水溶性食品であって含水率の高い、おから、または豆腐はそのままで、前記混合物に添加混入する。
【0029】
なお、前記肉代替食品素材に、肉らしい味付けが必要な場合、畜肉エキス類として、例えば、コンソメエキスパウダーまたはビーフエキスパウダー等の畜肉エキス類のうち、いずれか1種類の畜肉エキス類0.5重量%〜3重量%、好ましくは0.7重量%〜2.5重量%、特に好ましくは1重量%〜2重量%を添加混入する。
【0030】
前記こんにゃく片を細断混合機で細断して、1mm〜10mm程度の長さに細断片化することにより、該多数の細断片間に、前記非水溶性食品中のたんぱく成分が取込まれて、該細断片と絡み合い、肉に似た弾力性が得られる。
【0031】
また、前記製造方法においては、こんにゃく片とつなぎ材とを細断混合機で混合攪拌して混合物とし、然る後、前記混合物にたんぱく系の非水溶性食品を添加混入している。しかしながら、他の製造方法として、こんにゃく片のみを先に細断混合機で細断して、細断片化し、然る後、前記細断片につなぎ材、およびたんぱく系非水溶性食品、並びに必要に応じて蓄肉エキス類を添加混入して、攪拌機で混合攪拌してペースト状の肉代替食品素材を製造することもできる。
【0032】
本発明製造方法によって得られたペースト状の肉代替食品素材に、更に他の食品素材を加えて、唐揚げもどき食品、とんかつもどき食品、牛肉もどき食品、ハンバーグもどき食品等の肉代替食品を製造することができる。この肉代替食品は、肉を全く使用していないので、カロリーが低く、健康食品として優れている。
【0033】
更に、本発明製造方法によって得られた肉代替食品素材の適宜量を、ハンバーグ、肉だんご、ぎょうざ、コロッケ、メンチカツ等の原材料に添加混入して、前記のようなもどき食品ではなく、ハンバーグ、肉だんご、ぎょうざ、コロッケ、メンチカツ等を製造することもできる。
【0034】
そして、前記ハンバーグ、肉だんご、ぎょうざ、コロッケ、メンチカツ等の原材料に、本発明製造方法によって得られた肉代替食品素材を添加混入することにより、該添加混入した肉代替食品素材は肉を全く使用していないので、カロリーが低く、前記食品の全体量は同じでも、カロリーをその分低く抑えることができる。
【0035】
以下、本発明製造方法によって得られた肉代替食品素材に、種々の食材を加えて調理して肉代替食品を製造する場合の実施例につき、以下に説明する。
【実施例1】
【0036】
〔鶏肉代替食品〕
鶏肉代替食品を作るときは、白板こんにゃくを使い、味付けは、必要に応じてチキンコンソメエキスパウダーを使用する。
〔唐揚げもどき食品の製造〕
(a)高野豆腐を使用する場合
<材料>
水分をほとんど脱水した白板こんにゃく片 70重量%
卵白 20重量%
(コレステロールを気にしない人の場合、全卵20重量%)
高野豆腐(粉末状にしたもの、あるいはフレーク状にしたもの) 5重量%
小麦粉 5重量%
チキンコンソメエキスパウダー(必要な場合) 少量
(なお、後述する唐揚げ粉には、チキンコンソメエキスパウダーが予め添加されているので、本実施例で添加するチキンコンソメエキスパウダーは、味を濃くする目的のため等、必要な場合でよい。)
塩・こしょう(必要な場合) 少量
以上が、高野豆腐を使用する鶏肉代替食品素材の材料であり、更に
唐揚げ粉 適量

【0037】
(b)麩を使用する場合
<材料>
水分をほとんど脱水した白板こんにゃく片 80重量%
卵白 10重量%
(コレステロールを気にしない人の場合、全卵10重量%)
麩(粉末状にしたもの、あるいはフレーク状にしたもの) 5重量%
小麦粉 5重量%
チキンコンソメエキスパウダー(必要な場合) 少量
(なお、後述する唐揚げ粉には、チキンコンソメエキスパウダーが予め添加されているので、本実施例で添加するチキンコンソメエキスパウダーは、味を濃くする目的のため等、必要な場合でよい。)
塩・こしょう(必要な場合) 少量
以上が、麩を使用する鶏肉代替食品素材の材料であり、更に、
唐揚げ粉 適量

【0038】
(c)粉末グルテンを使用する場合
<材料>
水分をほとんど脱水した白板こんにゃく片 80重量%
卵白 10重量%
(コレステロールを気にしない人の場合、全卵10重量%)
粉末グルテン 5重量%
小麦粉 5重量%
チキンコンソメエキスパウダー(必要な場合) 少量
(なお、後述する唐揚げ粉には、チキンコンソメエキスパウダーが予め添加されているので、本実施例で添加するチキンコンソメエキスパウダーは、味を濃くする目的のため等、必要な場合でよい。)
塩・こしょう(必要な場合) 少量
以上が、粉末グルテンを使用する鶏肉代替食品素材の材料であり、更に、
唐揚げ粉 適量

【0039】
(d)おからを使用する場合
<材料>
水分をほとんど脱水した白板こんにゃく片 60重量%
卵白 15重量%
(コレステロールを気にしない人の場合、全卵 15重量%)
おから 21.5重量%
小麦粉 3重量%
チキンコンソメエキスパウダー 0.5重量%
塩・こしょう(必要な場合) 少量
以上が、おからを使用する鶏肉代替食品素材の材料であり、更に
唐揚げ粉 適量

【0040】
前記(a)〜(d)の材料を使用した「唐揚げもどき食品」の製造方法
(1)1日以上冷凍した白板こんにゃくを、解凍する。
(2)解凍した白板こんにゃくを軽く水洗いした後、加圧するか、圧縮するようにして水分を充分脱水して、こんにゃく片とする。
(3)前記こんにゃく片を、ダイス状に切断する。
(4)前記ダイス状のこんにゃく片と卵をミキサーに入れ、こんにゃく片を細断片化すると共に、充分に混合攪拌する。
(5)前記攪拌したものを取り出し、別の容器に移し、高野豆腐、麩、粉末グルテン または、おからのいずれかと、小麦粉、および必要な場合、チキンコンソメエキスパウダーを加えて混合攪拌して、鶏肉代替食品素材とする。(更に、必要な場合、塩・こしょうを少量加える)
(6)(5)で得られた鶏肉代替食品素材を、なるべく小さく取り分け、唐揚げ粉をまぶし、油で揚げて完成。
【実施例2】
【0041】
〔豚肉代替食品〕
〔とんかつもどき食品の製造〕
(a)麩または高野豆腐を使用する場合


<材料>
水分をほとんど脱水した白板こんにゃく片 70重量%
麩または高野豆腐
(粉末状にしたもの、あるいはフレーク状にしたもの) 3重量%
小麦粉 5重量%
ビーフエキスパウダー 2重量%
卵白 20重量%
にんにく・塩・こしょう 少量
以上が、麩または高野豆腐を使用する豚肉代替食品素材の材料であり、更に
スライスチーズ
パン粉
揚げ油
【0042】
(b)おからを使用する場合
<材料>
水分をほとんど脱水した白板こんにゃく片 57重量%
おから 25重量%
小麦粉 5重量%
ビーフエキスパウダー 3重量%
全卵 10重量%
にんにく・塩・こしょう 少量
以上が、おからを使用する豚肉代替食品素材の材料であり、更に
スライスチーズ
パン粉
揚げ油
【0043】
(c)おからを使用する場合(卵不使用)
<材料>
水分をほとんど脱水した白板こんにゃく片 50重量%
おから 25重量%
小麦粉 5重量%
パン粉 5重量%
ビーフエキスパウダー 3重量%
山芋 12重量%
にんにく・塩・こしょう 少量
以上が、おからを使用(卵不使用)する豚肉代替食品素材の材料であり、更に
スライスチーズ
パン粉
揚げ油
【0044】
前記(a)〜(c)の材料を使用した「とんかつもどき食品」の製造方法
(1)白板こんにゃくを適当な大きさに切断して冷凍する。(好ましくは、薄くスライスする方が、水分の脱水が容易で、美味しく仕上がる。)
(2)1日以上冷凍した白板こんにゃくを、解凍する。
(3)解凍した白板こんにゃくを水洗いした後、加圧するか、圧縮するようにして水分を充分脱水して、こんにゃく片とする。
(4)前記こんにゃく片を、ダイス状に切断する。
(5)前記ダイス状のこんにゃく片と卵をミキサーに入れ、こんにゃく片を細断片化すると共に、充分に混合攪拌する。
(6)前記混合攪拌したものを取り出し、別の容器に移し、高野豆腐、麩、または、おからのいずれかと、小麦粉、ビーフエキスパウダーおよびにんにく・塩・こしょうを加えて混合攪拌して、豚肉代替食品素材とする。
(7)スライスチーズを半分に割り、前記(6)を得られた豚肉代替食品素材で、該スライスチーズを包み込むようにサンドする。
(8)後は、普通のとんかつを作る要領で、小麦粉、とき卵、パン粉を付け、油で揚げて完成。
【実施例3】
【0045】
〔牛肉代替食品の製造〕
〔牛肉もどき食品の製造〕
(a)麩または高野豆腐を使用する場合
<材料>
水分をほとんど脱水した黒板こんにゃく片 75重量%
麩または高野豆腐
(粉末状にしたもの、あるいはフレーク状にしたもの) 4重量%
卵白 15重量%
小麦粉 5重量%
ビーフエキスパウダー 1重量%
にんにく・塩・こしょう 少量
以上が、麩または高野豆腐を使用する牛肉代替食品素材の材料である。
【0046】
(b)おからを使用する場合
<材料>
水分をほとんど脱水した黒板こんにゃく片 60重量%
おから 25重量%
全卵 10重量%
小麦粉 3重量%
ビーフエキスパウダー 2重量%
にんにく・塩・こしょう 少量
以上が、おからを使用する牛肉代替食品素材の材料である。
【0047】
(c)おからを使用する場合(卵不使用)
<材料>
水分をほとんど脱水した黒板こんにゃく片 60重量%
おから 25重量%
小麦粉 8重量%
パン粉 5重量%
ビーフエキスパウダー 2重量%
にんにく・塩・こしょう 少量
以上が、おからを使用(卵不使用)する牛肉代替食品素材の材料である。
【0048】
前記(a)〜(c)の材料を使用した「牛肉もどき食品」の製造方法
(1)〜(6)までは、実施例2と同一工程により、牛肉代替食品素材とする。
(7)前記得られた牛肉代替食品素材を薄く、クレープを作る要領でフライパンに流し成型しながら、焼く。
(8)焼きあがったら、牛肉に似せて手で千切る。
(9)野菜等を炒めた後、最後に、(8)の千切った生地を入れ、味付けする。但し、牛肉と違い、味が染み込みやすいので、味付けは薄めにする。
【実施例4】
【0049】
〔ハンバーグもどき食品の製造〕
(a)麩または高野豆腐を使用する場合
<材料>
水分をほとんど脱水した黒板こんにゃく片 65重量%
麩または高野豆腐
(粉末状にしたもの、あるいはフレーク状にしたもの)10重量%
卵白 15重量%
小麦粉 5重量%
パン粉 2重量%
ビーフエキスパウダー 1重量%
たまねぎ(みじん切り) 2重量%
にんにく・塩・こしょう 少量
ナツメグ 適量
以上が、麩または高野豆腐を使用するハンバーグもどき食品素材の材料である。
【0050】
(b)おからを使用する場合
<材料>
水分をほとんど脱水した黒板こんにゃく片 60重量%
おから 20重量%
全卵 10重量%
小麦粉 5重量%
パン粉 2重量%
ビーフエキスパウダー 1重量%
たまねぎ(みじん切り) 2重量%
にんにく・塩・こしょう 少量
ナツメグ 適量
以上が、おからを使用するハンバーグもどき食品素材の材料である。
【0051】
(c)おからを使用する場合(卵不使用)
<材料>
水分をほとんど脱水した黒板こんにゃく片 65重量%
おから 25重量%
小麦粉 5重量%
パン粉 2重量%
ビーフエキスパウダー 1重量%
たまねぎ(みじん切り) 2重量%
にんにく・塩・こしょう 少量
ナツメグ 適量
以上が、おからを使用(卵不使用)するハンバーグもどき食品素材の材料である。
【0052】
前記(a)〜(c)の材料を使用した「ハンバーグもどき食品」の製造方法
(1)〜(6)までは、実施例2と同一工程により、ハンバーグもどき食品素材とする。
(7)そして、前記ハンバーグもどき食品素材を適量取り、ハンバーグの形に成型し、その後は通常のハンバーグを焼く要領で、フライパンで焼く。
【0053】
前記各実施例においては、たんぱく系の非水溶性食品として、高野豆腐、麩およびおからを挙げて説明しているが、たんぱく含有量を高めるため、前記高野豆腐、麩およびおからの外に、更にたんぱく系の非水溶性食品であるコラーゲンや豆腐等を添加することも可能である。
【0054】
また、本発明製造方法によって得られた肉代替食品素材を、鶏肉、豚肉、牛肉等のひき肉に、20重量%〜80重量%、好ましくは30重量%〜70重量%、特に好ましくは40重量%〜60重量%添加混入して、ハンバーグ、肉だんご、ぎょうざ、コロッケ、メンチカツを製造したが、味はすべて肉を使用したハンバーグ、肉だんご、ぎょうざ、コロッケ、メンチカツと何ら遜色なく、然も肉の使用量が減るので、特にダイエット食品素材として有用である。
【0055】
前記本発明製造方法によって得られた肉代替食品素材は、ペースト状のまま販売することもできるが、前記ペースト状の肉代替食品素材を凍結乾燥(フリーズドライ)することもできる。そして、前記凍結乾燥するにより、本発明製造方法によって得られた肉代替食品素材の長期保存が可能となり、販売上有利である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍したこんにゃくを解凍した後、該解凍したこんにゃくを加圧、または圧縮して水分をほとんど脱水して、含水量の少ないこんにゃく片とし、且つ該こんにゃく片に対して、1種類、または複数種類のつなぎ材を添加混入して、細断混合機で、前記こんにゃく片を細断して細断片化すると共に、該細断片と前記つなぎ材とを混合撹拌して混合物とし、然る後、前記混合物に対して、更に1種類、または複数種類のたんぱく系の非水溶性食品を添加混入し、攪拌機で混合撹拌して製造することを特徴とする肉代替食品素材の製造方法。
【請求項2】
冷凍したこんにゃくを解凍した後、該解凍したこんにゃくを加圧、または圧縮して水分をほとんど脱水して、含水量5重量〜15重量%の含水量の少ないこんにゃく片とし、且つ該こんにゃく片40重量%〜80重量%に対して、1種類、または複数種類のつなぎ材5重量%〜40重量%を添加混入して、細断混合機で、前記こんにゃく片を細断して、1〜10mm程度に細断片化すると共に、該細断片と前記つなぎ材とを混合撹拌して混合物とし、然る後、前記混合物に対して、更に、1種類、または複数種類のたんぱく系の非水溶性食品2重量%〜30重量%を添加混入し、攪拌機で混合撹拌して製造することを特徴とする肉代替食品素材の製造方法。
【請求項3】
冷凍したこんにゃくを解凍した後、該解凍したこんにゃくを加圧、または圧縮して水分をほとんど脱水して、含水量の少ないこんにゃく片とし、且つ該こんにゃく片に対して、1種類、または複数種類のつなぎ材を添加混入して、細断混合機で、前記こんにゃく片を細断して細断片化すると共に、該細断片と前記つなぎ材とを混合撹拌して混合物とし、然る後、前記混合物に対して、更に1種類、または複数種類のたんぱく系の非水溶性食品、および畜肉エキス類を添加混入し、攪拌機で混合撹拌して製造することを特徴とする肉代替食品素材の製造方法。
【請求項4】
冷凍したこんにゃくを解凍した後、該解凍したこんにゃくを加圧、または圧縮して水分をほとんど脱水して、含水量5重量〜15重量%の含水量の少ないこんにゃく片とし、且つ該こんにゃく片40重量%〜80重量%に対して、1種類、または複数種類のつなぎ材5重量%〜40重量%を添加混入して、細断混合機で、前記こんにゃく片を細断して、1〜10mm程度に細断片化すると共に、該細断片と前記つなぎ材とを混合撹拌して混合物とし、然る後、前記混合物に対して、更に、1種類、または複数種類のたんぱく系の非水溶性食品2重量%〜30重量%、および畜肉エキス類0.5重量%〜3重量%を添加混入し、攪拌機で混合撹拌して製造することを特徴とする肉代替食品素材の製造方法。
【請求項5】
冷凍したこんにゃくを解凍した後、該解凍したこんにゃくを加圧、または圧縮して水分をほとんど脱水して、含水量の少ないこんにゃく片とすると共に、該こんにゃく片を細断混合機で細断して細断片化し、然る後、前記細断片に1種類、または複数種類のつなぎ材、および1種類、または複数種類のたんぱく系の非水溶性食品を添加混入し、攪拌機で混合撹拌して製造することを特徴とする肉代替食品素材の製造方法。
【請求項6】
冷凍したこんにゃくを解凍した後、該解凍したこんにゃくを加圧、または圧縮して水分をほとんど脱水し、含水量5重量〜15重量%の含水量の少ないこんにゃく片とすると共に、該こんにゃく片40重量%〜80重量%を、細断混合機で細断して、1〜10mm程度に細断片化し、然る後、前記細断片に1種類、または複数種類のつなぎ材5重量%〜40重量%、および1種類、または複数種類のたんぱく系の非水溶性食品2重量%〜30重量%を添加混入し、攪拌機で混合撹拌して製造することを特徴とする肉代替食品素材の製造方法。
【請求項7】
冷凍したこんにゃくを解凍した後、該解凍したこんにゃくを加圧、または圧縮して水分をほとんど脱水して、含水量の少ないこんにゃく片とすると共に、該こんにゃく片を細断混合機で細断して細断片化し、然る後、前記細断片に1種類、または複数種類のつなぎ材、および1種類、または複数種類のたんぱく系の非水溶性食品、並びに畜肉エキス類を添加混入し、攪拌機で混合撹拌して製造することを特徴とする肉代替食品素材の製造方法。
【請求項8】
冷凍したこんにゃくを解凍した後、該解凍したこんにゃくを加圧、または圧縮して水分をほとんど脱水し、含水量5重量〜15重量%の含水量の少ないこんにゃく片とすると共に、該こんにゃく片40重量%〜80重量%を、細断混合機で細断して、1〜10mm程度に細断片化し、然る後、前記細断片に1種類、または複数種類のつなぎ材5重量%〜40重量%、および1種類、または複数種類のたんぱく系の非水溶性食品2重量%〜30重量%、並びに畜肉エキス類0.5重量%〜3重量%を添加混入し、攪拌機で混合撹拌して製造することを特徴とする肉代替食品素材の製造方法。