説明

肌着

【課題】着用者のシワ等を覆い隠すことが可能な肌着を安価に製造する。また、着用状態で生地の皺の発生を防ぐ。
【解決手段】伸縮性を有する素材からなり、上部に首を覆う筒状のハイネック部11を有する前身頃10と、伸縮性を有する素材からなり、両側縁下部が前身頃10の両側縁下部に縫着され、上側縁がハイネック部11の下端から肩にかけて縫着され、両側縁上部によって袖ぐり3を形成する後身頃13とを備え、前身頃10は、円筒状の素材からなり、その下端開口部からネック部11にかけて軸方向に沿って裁断して形成され、後身頃13は、円筒状の素材からなり、その一端開口部から他端開口部にかけて軸方向に沿って裁断して形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に女性が着用する肌着に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人間は歳をとるにつれてシワやたるみ、シミが目立つようになることを避けることができない。そして、そのシワ等は、特に女性にとって気になるものである。そのため、シワ等が目立つようになった女性は、胸元が大きく開いた衣服の着用を躊躇する。また、胸元が大きく開いた衣服は、冬場や冷房がよく効いている場所では肌寒く、年齢に関係なく躊躇する。
【0003】
特許文献1には、伸縮性に優れた肌色のストッキングを用いて縫製した肌着が記載されている。この肌着は、首から胸の下にかけて覆うように構成されている。そのため、この肌着は、着用者のシワ等を隠すことができるとともに、保温性を確保できる。
【0004】
この特許文献1の肌着のうち、全く縫い目が無いシームレスのものは、専用の製造機械を製作する必要があるため、製造コストが高くなるという問題がある。また、この特許文献1には、既存のパンティーストッキングを用いて肌着を製造する方法が記載されているが、その製造方法は複雑であり、生産性が悪いという問題がある。よって、この特許文献1の肌着は高価になるという不都合がある。
【0005】
さらに、特許文献1の肌着は、着用者が首、肩、腕等を動かすと、特に肩から首にかけた生地にズレが生じ、そのズレが皺になる。そのため、シワ等を隠すことを目的としているにも拘わらず、逆に通常ではシワができにくい部位に生地による目立つ皺が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−113338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、着用者のシワ等を覆い隠すことが可能な肌着を安価に製造することを第1の課題とする。また、本発明は、着用状態で生地の皺の発生を防ぐことが可能な肌着を提供することを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明の肌着は、伸縮性を有する素材からなり、上部に首を覆う筒状のネック部を有する前身頃と、伸縮性を有する素材からなり、両側縁下部が前記前身頃の両側縁下部に縫着され、上側縁が前記ネック部の下端から肩にかけて縫着され、両側縁上部によって袖ぐりを形成する後身頃とを備え、前記前身頃は、円筒状の素材からなり、その下端開口部から前記ネック部にかけて軸方向に沿って裁断して形成され、前記後身頃は、円筒状の素材からなり、その一端開口部から他端開口部にかけて軸方向に沿って裁断して形成される構成としている。
【0009】
本発明の肌着は、伸縮性を有する素材により縫製されているため、着用により肌のシワ等を覆い隠すことができる。そのうえ、冬場や冷房がよく効いている場所では保温性を確保できるうえ、春夏秋等の季節では紫外線を防ぐことができる。また、前身頃に筒状のネック部を一体に設け、この前身頃の両側縁下部およびネック部の下端から肩にかけて後身頃を縫着する構成であるため、着用者の正面側には縫い目が無い。さらに、前記前身頃および後身頃は、円筒状の素材からなり、その下端開口部からネック部にかけて軸方向に沿って裁断して形成されるため、ストッキングを製造する汎用の機器によって素材を製造できる。よって、製造コストを削減し、ユーザに対して安価に提供することができる。
【0010】
この肌着では、前記袖ぐりに、伸縮性を有する素材からなり、前記前身頃の両側上部が前記ネック部の側へ移動することを防止する筒状の袖を縫着することが好ましい。このようにすれば、肩での生地のズレを更に確実に防止できる。
また、前記袖ぐりの周囲に少なくとも一部が位置するように、前記前身頃の両側上部が前記ネック部の側へ移動することを防止するズレ防止部を更に設けることが好ましい。このようにすれば、着用者が首、肩、腕等を動かしても肩から首にかけた生地にズレが生じることを確実に防止できる。その結果、前身頃に皺が生じることを防止できる。よって、肌色の素材を用いることにより、恰も肌を露出しているように見せることができる。
【0011】
さらに、前記ズレ防止部は、前記袖ぐりに沿って下側を迂回させて前記前身頃から前記後身頃にかけて設けることが好ましい。
または、前記ズレ防止部は、一側の前記袖ぐりから他側の裾に向けて延びるように前記後身頃に一対設けることが好ましい。
または、前記ズレ防止部は、前記袖ぐりに沿った全周に設けることが好ましい。
このようにすれば、肩から首にかけた部位での生地の皺の発生を確実に防止できる。
【0012】
さらにまた、前記ズレ防止部は、帯状の伸縮部材を縫着して設けることが好ましい。
または、前記ズレ防止部は、シリコーンを塗布して設けることが好ましい。
このようにすれば、前身頃および後身頃の伸縮力とズレ防止部の伸縮力とを簡単かつ確実に異ならせることができる。そのため、前身頃の袖ぐり部分がハイネック部の側へ移動することを確実に防止できる。
または、前記袖ぐりの周囲に少なくとも一部が位置するように縫着した帯状の伸縮部材からなり、前記前身頃の両側上部が前記ネック部の側へ移動することを防止するズレ防止部を設け、このズレ防止部に脇パッドを縫着することが好ましい。このようにすれば、汗が染み出ることを防止できるため、見苦しくはない。また、着用者の脇に伸縮部材の縁が当たることを防止できるため、着用感を向上できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の肌着は、着用により肌のシワ等を覆い隠すことができるうえ、保温性を確保し、紫外線を防ぐことができる。また、前身頃および後身頃は、円筒状の素材を軸方向に沿って裁断して形成されるため、ストッキングを製造する汎用の機器によって素材を製造できる。よって、製造コストを削減し、ユーザに対して安価に提供することができる。さらに、着用者の正面側には縫い目が無いうえ、袖やズレ防止部によって前身頃に皺が生じることを防止している。そのため、肌色の素材を用いることにより、恰も肌を露出しているように見せることができる。よって、肌のシワ等が気になる女性でも、胸元が大きく開いた衣服を躊躇することなく着用できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る第1実施形態の肌着の着用状態を示す正面図である。
【図2】図1の肌着の着用状態を示す背面図である。
【図3】図1の肌着を裏返して扁平に折り畳んだ状態を示す背面図である。
【図4】図1の肌着を裏返して側方から見た状態を示す側面図である。
【図5】(A),(B)は前身頃を扁平に折り畳んだ状態を示す背面図である。
【図6】(A),(B)は後身頃を扁平に折り畳んだ状態を示す背面図である。
【図7】(A),(B)は袖部を扁平に折り畳んだ状態を示す正面図である。
【図8】ズレ防止部を構成する伸縮部材および脇パッドを示す正面図である。
【図9】第2実施形態の肌着の着用状態を示す正面図である。
【図10】図9の肌着の着用状態を示す背面図である。
【図11】図9の肌着を裏返して扁平に折り畳んだ状態を示す背面図である。
【図12】第3実施形態の肌着の着用状態を示す正面図である。
【図13】図12の肌着の着用状態を示す背面図である。
【図14】図12の肌着を裏返して扁平に折り畳んだ状態を示す背面図である。
【図15】肌着の変形例を示す正面図である。
【図16】肌着の他の変形例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0016】
図1から図3は、本発明に係る第1実施形態の肌着1を示す。この肌着1は、前身頃10と、後身頃13と、一対の袖16A,16Bとを縫着して縫製されている。これらは、伸縮性、通気性および発汗性が優れ、ストッキングにも用いられる肌色のストレッチ素材により構成されている。そして、本発明の肌着1は、生産性を向上して安価に提供可能とし、かつ、着用者の正面側に縫い目を設けることなく、かつ、ズレ防止部17を設けることによって前身頃10に対する皺の発生を抑制したものである。
【0017】
前身頃10は、着用者の胸の下部(アンダーバスト)から上側を覆う着丈であり、その上部には、図5(A)に示すように、首を覆う筒状のハイネック部11が一体的に形成されている。そのため、この前身頃10には、ハイネック部11との境界となる縫い目はない。前身頃10は、図5(B)に示すように、収縮状態から約2〜3倍伸長することが可能な円筒状の素材を用いている。この円筒状素材は、ストッキングを製造する汎用の機器によって製造することが可能である。前身頃10は、円筒状素材を下端開口部からハイネック部11にかけて軸方向に沿って裁断して形成される。裁断後には、裁断縁12を広げ、裾2となる下端およびネックラインとなるハイネック部11の上端が内向きに折り返されてほつれ止め処理される。なお、裁断縁12のうち、ハイネック部11の下端となる裁断端から、後身頃13の身幅の半分の寸法領域R1は、後身頃13と縫着される肩線12aとなる。また、肩線12aの下部の袖16A,16Bを縫着する両側縁上部の領域R2は、袖ぐり3を構成する袖ぐり部12bとなる。さらに、この袖ぐり部12bの下部に位置する両側縁下部の領域R3は、脇線12cとなる。
【0018】
後身頃13は、図6(A)に示すように、前身頃10の袖ぐり部12bと脇線12cを加算した全高の矩形状ものである。この後身頃13は、図6(B)に示すように、前身頃10と同一直径の円筒状の素材を、下端開口部から上端開口部にかけて軸方向に沿って裁断して形成される。裁断後には、裁断縁14を広げ、裾2となる下端が内向きに折り返されてほつれ止め処理される。なお、裁断縁14は、上部が袖ぐり部14aとなり、下部が前身頃10の脇線12cに縫着される脇線14bとなる。また、後身頃13の上端縁は、前身頃10の肩線12aに縫着される肩線15となる。
【0019】
袖16A,16Bは、図7(A)に示すように、前身頃10および後身頃13と同一直径の円筒状の素材を裁断したものである。図中左側に位置する袖口4は、内向きに折り返されてほつれ止め処理される。また、図中右側に位置する袖山5は、所定角度で傾斜するように裁断される。本実施形態では、図7(B)に示すように、筒状をなす素材を袖山5の傾斜角度で裁断することにより、一対の袖16A,16Bを形成した後、袖口4の処理を行っている。
【0020】
ズレ防止部17は、図1から図3に示すように、前身頃10および後身頃13を縫着することにより形成される袖ぐり3の周囲に位置するように設けられている。本実施形態のズレ防止部17は、図8に示すように、前身頃10、後身頃13および袖16A,16Bを構成するストレッチ素材より伸縮力が強いストレッチ素材からなる帯状の伸縮部材18を縫着することによって形成される。この伸縮部材18は、袖ぐり3に沿って下側を迂回するように配置され、端部が前身頃10および後身頃13に縫着されている。また、伸縮部材18には、略円形状シート(図示では半分に折り畳んでいる。)からなる脇パッド19が縫着されている。この脇パッド19は、吸水性および乾燥性が優れた市販の汗脇パッドを貼着してもよく、内部に吸水性および乾燥性が優れたパッド材を縫製してもよい。
【0021】
これらの部材からなる肌着1を縫製する場合、例えば、まず、後身頃13の肩線15の中央を前身頃10の裁断縁12の端部に位置決めして、これら前身頃10の肩線12aと後身頃13の肩線15とを縫着する。ついで、前身頃10の脇線12cと後身頃13の脇線14bとを位置決めして、これらを縫着する。その後、前身頃10と後身頃13の非縫着部分からなる袖ぐり3に、袖16A,16Bを位置決めして縫着する。最後に、袖ぐり3に沿って伸縮部材18を配置し、その端部を前身頃10と後身頃13に縫着する。
【0022】
このように縫製した肌着1は、図2および図3に示すように、前身頃10と後身頃13の縫い目である肩線12a,15が、背面側に位置する。これは、前身頃10を、筒状素材を裾2からハイネック部11にかけて裁断して構成したことによる。但し、背面側では、ハイネック部11の下端に肩線12a,15が現れる。しかし、この肩線12a,15は、着用者の髪で隠れるため、外観が損なわれることはない。
【0023】
この肌着1を着用すると、前身頃10、後身頃13および袖16A,16Bが伸長し、更に伸縮部材18が伸長する。そして、着用者の首にハイネック部11が密着するとともに、腕に袖16A,16Bが密着し、アンダーバストに裾2が密着する。また、着用者である女性は胸が膨出しているため、前身頃10および後身頃13は十分に伸長し、肌に密着した状態をなす。但し、肌の表面の小さな凹凸には密着できないため、シワによる凹凸は表面には現れない。
【0024】
また、この肌着1には、袖ぐり3の周囲に伸縮力が強い伸縮部材18からなるズレ防止部17を設けている。そして、このズレ防止部17は、着用者の脇下に面接触した状態をなす。そのため、前身頃10は、袖ぐり3の部分12bが身幅方向の外側かつ後身頃13の側へ引っ張られるとともに、後身頃13も同様に、袖ぐり3の部分14aが身幅方向の外側かつ前身頃10の側へ引っ張られる。その結果、肌着1の肩から首にかけた領域には、更に肌に密着するように引っ張り力が作用する。しかも、本実施形態の肌着1は、袖ぐり3に袖16A,16Bを縫着したものであるため、袖16A,16Bと着用者の腕との間の摩擦抵抗を得ることができる。よって、着用者が首、肩、腕等を動かしても肌着1の生地と肌との間にズレが生じることはない。
【0025】
このように、本発明の肌着1は、伸縮性を有する素材により縫製されているため、着用により肌のシワ等を覆い隠すことができる。そのうえ、冬場や冷房がよく効いている場所では保温性を確保できるうえ、春夏秋等の季節では紫外線を防ぐことができる。
【0026】
また、前身頃10にハイネック部11を一体に設け、この前身頃10の脇線12cおよびハイネック部11の下端から肩にかけた肩線12aを、後身頃13の脇線14bおよび肩線15に縫着する構成であるため、着用者の正面側には縫い目が無い。しかも、袖ぐり3の周囲にズレ防止部17を設けているため、着用者が首、肩、腕等を動かしても袖ぐり3(肩)からハイネック部11(首)にかけた部位に生地のズレが生じることを防止できる。その結果、前身頃10には縫い目も皺も無いため、着用者が恰も肌を露出しているように見せることができる。よって、肌のシワ等が気になる女性でも、この肌着1を着用することにより、胸元が大きく開いた衣服を躊躇することなく着用できる。
【0027】
さらに、肌着1は、袖ぐり3に袖16A,16Bを縫着しているため、この袖16A,16Bに通した腕との摩擦により、袖ぐり3の部分の生地がハイネック部11の側へ位置ズレすることを更に確実に防止できる。また、伸縮部材18には脇パッド19を縫着しているため、着用者の汗が染み出ることを防止できる。よって、汗をかいても見苦しくはない。さらに、着用者の脇にズレ防止部17の縁が当たることを防止できるため、着用感を向上できる。
【0028】
しかも、本実施形態では、前身頃10、後身頃13および袖16A,16Bは、全て筒状の素材を裁断して形成するため、ストッキングを製造する汎用の機器によって素材を製造できる。しかも、円筒状の素材を軸方向に裁断して縫着することにより、簡単かつ確実に肌着1を縫製できる。よって、製造コストを削減し、ユーザに対して安価に提供することができる。
【0029】
図9から図11は、第2実施形態の肌着1を示す。この第2実施形態では、ズレ防止部17の構成だけが第1実施形態と相違する。第2実施形態のズレ防止部17は、第1実施形態と同様の一対の伸縮部材18A,18Bを用いている。これら伸縮部材18A,18Bは、一端が後身頃13の一側の袖ぐり3に縫着され、他端が後身頃13の他側の裾2に縫着されている。即ち、第1の伸縮部材18Aは、一端が左側の袖ぐり3の上部に縫着され、他端が裾2の右側に縫着される。また、第2の伸縮部材18Bは、一端が右側の袖ぐり3の上部に縫着され、他端が裾2の左側に縫着される。そして、これら伸縮部材18A,18Bは、互いに交差する部分が縫着され、一体化されている。
【0030】
この第2実施形態の肌着1を着用すると、伸縮部材18A,18Bからなるズレ防止部17が、前身頃10を後身頃13の側へ引っ張るように作用する。その結果、第1実施形態と同様に、肌着1の肩から首にかけた領域には、肌に密着するように引っ張り力が作用する。よって、着用者が首、肩、腕等を動かしても肌着1の生地と肌との間にズレが生じることはない。そのため、前身頃10に皺が生じることを確実に防止できる。
【0031】
図12から図14は、第3実施形態の肌着1を示す。この第3実施形態では、ズレ防止部17の構成を更に変更した点で、各実施形態と相違する。具体的には、第3実施形態のズレ防止部17は、シリコーンゴムを袖ぐり3の沿った全周に塗布することによる伸縮層20によって構成されている。この伸縮層20は、前身頃10および後身頃13の裏面側に塗布されている。ここで、伸縮層20からなるズレ防止部17は、前身頃10、後身頃13および袖16A,16Bより収縮力が強い反面、伸長力は弱い。よって、本実施形態では、図14に示すように、鋸歯状に連続するように設けることにより、伸長量を確保できるように構成している。また、本実施形態では、ハイネック部11のネックライン、裾2および袖16A,16Bの袖口4にも、同様にシリコーンゴムからなる伸縮層21A,21B,21Cを設けている。
【0032】
この第3実施形態の肌着1を着用すると、収縮力が強い伸縮層20により、着用者の肩の周囲に袖ぐり3が密着する。同様に、伸縮層21A〜21Cにより、ネックライン、裾2および袖口4が着用者に密着する。よって、各部での生地のズレを防止できる。しかも、本実施形態の伸縮層20,21A〜21Cはシリコーンゴムからなるため、着用者の肌との間の摩擦抵抗を増大できる。よって、更に確実に生地の位置ズレを防止できる。その結果、着用者が首、肩、腕等を動かしても前身頃10に皺が生じることを確実に防止できる。
【0033】
なお、本発明の肌着1は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0034】
例えば、前記実施形態では、着用者の正面側に位置する前身頃10に、ラインストーン等による装飾を施してもよい。また、ハイネック部11には、ラインストーンや伸縮性を有するチョーカー等によって装飾を施してもよい。さらに、前記実施形態では、肌色のストレッチ素材を用いて肌着を製造したが、肌とは全く異なる配色の素材を用いてもよい。
【0035】
また、前記実施形態の肌着1は、袖ぐり3に袖16A,16Bを縫着したが、図15に示すように、袖16A,16Bを縫着しないノースリーブとしてもよい。しかも、前記実施形態では、アンダーバストから上部を覆う着丈としたが、腰までの着丈としてもよい。但し、この場合には第3実施形態と同様に、アンダーバストの部分にはズレ上がりを防止するための伸縮層21Bを設けることが好ましい。
【0036】
さらに、第1および第2実施形態では、前身頃10および後身頃13より伸縮力が強い伸縮部材18,18A,18Bによりズレ防止部17を構成したが、第3実施形態のように伸縮層20によって構成してもよい。勿論、第3実施形態の伸縮層20からなるズレ防止部17も、伸縮部材18によって構成してもよい。しかも、第1および第2実施形態の肌着1にも、第3実施形態と同様に伸縮層21A〜21Cを設けてもよいうえ、この伸縮層21A〜21Cも伸縮部材18によって構成してもよい。
【0037】
そして、ズレ防止部17は、伸縮部材18および伸縮層20だけに限られず、種々の変更が可能である。例えば、前身頃10および後身頃13の製造時に、ズレ防止部17を設ける部分に伸縮性が異なる糸を折り込むことにより、その部位が他の部位と伸縮性が異なるように構成してもよい。また、汎用のゴム紐を折り込むようにして、ズレ防止部17を構成してもよい。
【0038】
また、前記各実施形態では、ズレ防止部17を設ける構成としたが、特に袖16A,16Bを縫着する構成の場合、この袖16A,16Bで前身頃10の両側上部がハイネック部11の側へ移動することを防止できるため、ズレ防止部17を設けない構成としてもよい。勿論、図15に示すノースリーブであっても、ズレ防止部17を設けない構成としてもよい。この場合でも、少なくともハイネック部11によって首廻りのシワやたるみは覆い隠すことができる。
【0039】
さらに、前記実施形態では、後身頃13を前身頃10に直接縫着したが、図16に示すように、前身頃10と後身頃13の間に、伸縮性を有する同様のストレッチ素材からなる脇身頃22を縫着し、脇身頃22を介して後身頃13を前身頃10に縫着してもよい。
【符号の説明】
【0040】
1…肌着
2…裾
3…袖ぐり
4…袖口
5…袖山
10…前身頃
11…ハイネック部
12…裁断縁
12a…肩線
12b…袖ぐり部
12c…脇線
13…後身頃
14…裁断縁
14a…袖ぐり部
14b…脇線
15…肩線
16A,16B…袖
17…ズレ防止部
18,18A,18B…伸縮部材
19…脇パッド
20…伸縮層
21A〜21C…伸縮層
22…脇身頃

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮性を有する素材からなり、上部に首を覆う筒状のネック部を有する前身頃と、
伸縮性を有する素材からなり、両側縁下部が前記前身頃の両側縁下部に縫着され、上側縁が前記ネック部の下端から肩にかけて縫着され、両側縁上部によって袖ぐりを形成する後身頃とを備え、
前記前身頃は、円筒状の素材からなり、その下端開口部から前記ネック部にかけて軸方向に沿って裁断して形成され
前記後身頃は、円筒状の素材からなり、その一端開口部から他端開口部にかけて軸方向に沿って裁断して形成される
ことを特徴とする肌着。
【請求項2】
前記袖ぐりに、伸縮性を有する素材からなり、前記前身頃の両側上部が前記ネック部の側へ移動することを防止する筒状の袖を縫着したことを特徴とする請求項1に記載の肌着。
【請求項3】
前記袖ぐりの周囲に少なくとも一部が位置するように、前記前身頃の両側上部が前記ネック部の側へ移動することを防止するズレ防止部を更に設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の肌着。
【請求項4】
前記ズレ防止部は、前記袖ぐりに沿って下側を迂回させて前記前身頃から前記後身頃にかけて設けられていることを特徴とする請求項3に記載の肌着。
【請求項5】
前記ズレ防止部は、一側の前記袖ぐりから他側の裾に向けて延びるように前記後身頃に一対設けられていることを特徴とする請求項3に記載の肌着。
【請求項6】
前記ズレ防止部は、前記袖ぐりに沿った全周に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の肌着。
【請求項7】
前記ズレ防止部は、帯状の伸縮部材を縫着して設けられることを特徴とする請求項3乃至請求項6のいずれか1項に記載の肌着。
【請求項8】
前記ズレ防止部は、シリコーンを塗布して設けられることを特徴とする請求項3乃至請求項6のいずれか1項に記載の肌着。
【請求項9】
前記袖ぐりの周囲に少なくとも一部が位置するように縫着した帯状の伸縮部材からなり、前記前身頃の両側上部が前記ネック部の側へ移動することを防止するズレ防止部を設け、このズレ防止部に脇パッドを縫着したことを特徴とする請求項2に記載の肌着。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−184534(P2012−184534A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161113(P2011−161113)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【特許番号】特許第4869450号(P4869450)
【特許公報発行日】平成24年2月8日(2012.2.8)
【出願人】(508184088)株式会社パアグ (1)
【Fターム(参考)】