説明

肝保護のためのピニトールまたはカイロイノシトールの使用

【課題】 肝を保護することによって肝疾患を予防および治療するための薬理学的活性物質の提供。
【解決手段】 本発明は、肝保護のためのピニトールまたはカイロイノシトールの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピニトール(C14、分子量194.18)、カイロイノシトール(C12、分子量180.16)、またはピニトールまたはカイロイノシトールを含む植物抽出物の肝保護のための使用に関する。
【背景技術】
【0002】
近来、食生活の変化とストレス、飲み過ぎ、および/または肝毒性物質によって様々な形態の肝疾患患者が急増している。特に、アルコール、薬物、化学物質、ウイルス性肝炎、胆道疾患のような代謝性疾患、自家免疫性疾患などによって発病する肝硬変は、肝血流量および代謝酵素活性の低下、および血中タンパク質の質および胆汁流量の変化などをもたらして全般的な肝機能を抑制する。
【0003】
アルコールまたは脂肪含量の高い食品の過剰摂取、またはB型またはC型肝炎ウイルスの感染によって肝機能が悪化すると、肝炎、肝硬変または肝癌に発展し得る。特に、脂肪含有食品およびアルコールの過剰摂取は脂肪肝を誘発して、血中GOT(glutamate-oxaloacetate transaminase)、GPT(glutamate-pyruvate transaminase)およびγ−GTP(γ-glutamyl transpeptidase)の数値が増加するようになる。
【0004】
また、酸化的ストレス(oxdative stress)は、アルコール性肝疾患、非アルコール性脂肪肝疾患、ウイルス性肝疾患に重要な原因として作用すると知られている(Arteel GE, Gastroenterology, 2003, 124: 778-90; Loguercio CおよびFederico A. Free Radic. Biol. Med., 2003, 1; 34(1):1-10; Mehta Kら、Nutr. Rev., 2002, 60(9):289-93; Gebhardt R. Planta Med., 2002, 68(4): 289-96; Adachi Mら、Free Radic. Biol. Med., 2002, 15, 32(6):487-91; Parola Mら、J. Hepatol., 2001, 35(2):297-306)。抗酸化酵素であるスーパーオキサイド・ディスムターゼ(superoxide dismutase, SOD)は酸化的ストレスを緩和することによって肝疾患の予防または治療に関与する。また、グルタチオンは非酵素的抗酸化剤であって、ラジカルによる細胞損傷を保護し、タンパク質またはDNAの合成、物質輸送および酵素反応に重要な役割をすると知られている。
【0005】
体内でカイロイノシトールに分解されるピニトールは、肥満、高脂血症および高血圧の治療または予防に効果的であると報告されている(米国特許第5,550,166号)。しかし、肝疾患の予防または治療においてピニトールまたはカイロイノシトールの薬理学的活性は報告されていない。
【特許文献1】米国特許第5,550,166号公報
【非特許文献1】Arteel GE, Gastroenterology, 2003, 124:778-90
【非特許文献2】Loguercio CおよびFederico A. Free Radic. Biol. Med., 2003, 1; 34(1):1-10
【非特許文献3】Mehta Kら著、Nutr. Rev., 2002, 60(9):289-93
【非特許文献4】Gebhardt R.著、 Planta Med., 2002, 68(4):289-96
【非特許文献5】Adachi Mら著、 Free Radic. Biol. Med., 2002, 15, 32(6):487-91
【非特許文献6】Parola Mら著、 J. Hepatol., 2001, 35(2):297-306
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、肝を保護することによって肝疾患を予防および治療するための薬理学的活性物質を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施態様によって、本発明は、哺乳動物において肝を保護するためのピニトールまたはカイロイノシトールの使用を提供する。
【0008】
また、本発明の他の実施態様によって、本発明は、哺乳動物において肝を保護するためのピニトールまたはカイロイノシトールを含む植物抽出物の使用を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0010】
本発明に使用され得る植物としては、大豆、マツ、ケンポナシ、エゾウコギ、イナゴマメなどがあり、大豆およびイナゴマメが好ましい。
【0011】
本発明のピニトールまたはカイロイノシトールを含む植物抽出物は、前記植物を水または低級アルコール、アセトン、クロロホルム、塩化メチレン、エーテル、酢酸エチル、ヘキサンまたはこれらの混合溶媒などのような有機溶媒を用いて製造され得る。低級アルコールとしてはメタノール、エタノール、プロパノールおよびブタノールを使用してもよく、エタノールが好ましい。
【0012】
本発明の抽出工程に用いられる植物は乾燥粉末の形態であり得る。具体的に、乾燥植物粉末に5〜15倍、好ましくは10倍の水を加えて10〜80℃、好ましくは30〜50℃で1〜24時間、好ましくは2〜5時間抽出した後、濾過して植物の水抽出物を製造してもよい。植物の有機溶媒抽出物は植物粉末に1〜15倍、好ましくは10倍の有機溶媒を加えて室温で抽出して製造してもよい。前記抽出工程は必要に応じて2回以上繰り返して行ってもよく、濾過後減圧下で溶媒を除去して抽出物を粉末の形態で得られる。
【0013】
肝疾患を予防および治療するために、または肝を保護するために、ピニトール、カイロイノシトール、またはピニトールまたはカイロイノシトールを含む植物抽出物は医薬組成物、食品組成物または飲料組成物を含む組成物の形態で哺乳動物に投与され得る。
【0014】
本発明の医薬組成物は、ピニトールまたはカイロイノシトールを組成物の総重量に対して1〜100重量%、好ましくは5〜50重量%の量で含んでもよく、ピニトールまたはカイロイノシトールを含む植物抽出物を組成物の総重量に対して1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%の量で含む。
【0015】
本発明による医薬組成物は、血中GOT、GPTおよびγ−GTPの数値を低下させ、スーパーオキサイド・ディスムターゼの活性を増加させるだけでなく、肝中のグルタチオンの濃度を増加させることによって肝を効果的に保護できる。
【0016】
前記のような効能があるうえに、ピニトールまたはカイロイノシトール、またはピニトールまたはカイロイノシトールを含む植物抽出物を含有する本発明の医薬組成物は動物実験において毒性を示さず、肝機能に副作用を示さない。
【0017】
医薬剤形は、通常の方法に従って製造することができる。剤形の製造において、活性成分を担体とともに混合または希釈するか、カプセル、サシェット(sachet)またはその他容器形態の担体に封入することが好ましい。担体が希釈剤として働く場合には、活性成分に対するビヒクル、賦形剤または媒質として作用する固体、半固体または液状物質であり得る。したがって、剤形は、錠剤、丸剤、粉末、サシェット、エリキシル、懸濁液、エマルジョン、溶液、シロップ、エーロゾル、軟質または硬質ゼラチンカプセル、滅菌注射溶液、滅菌粉末などの形態であり得る。
【0018】
適切な担体、賦形剤および希釈剤の例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、ケイ酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、タルク、ステアリン酸マグネシウムおよびミネラル油などを挙げることができる。剤形は、充填剤、抗凝集剤、潤滑剤、湿潤剤、香料、乳化剤、防腐剤などをさらに含むことができる。本発明の組成物は、哺乳動物に投与された後、活性成分の迅速、遅速または遅延放出を提供するために当業界で公知の方法を用いて剤形化することができる。
【0019】
さらに、本発明の薬剤学的組成物は、経口、経皮、皮下、静脈または筋肉内投与を含む種々の経路を通じて投与され得る。ヒトの場合、ピニトールまたはカイロイノシトールの通常の1日投与量は0.1〜100mg/kg体重であり、好ましくは1〜50mg/kg体重の範囲であり、1回または数回に分けて投与し得る。しかし、活性成分の実際投与量は治療する疾患、選択された投与経路、患者の年齢、性別および体重、および患者の症状を含む色々な関連因子を考慮して決定され、したがって、前記投与量は本発明の範囲を制限しない。
【0020】
また、本発明は、有効量のピニトールまたはカイロイノシトール、またはピニトールまたはカイロイノシトールを含む植物抽出物を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における肝疾患を予防または治療する方法を提供する。
【0021】
さらに、本発明の前記ピニトールまたはカイロイノシトール、またはピニトールまたはカイロイノシトールを含む植物抽出物は肝を保護するために添加剤または補助剤として食品または飲料に添加してもよい。この際、食品または飲料中のピニトールまたはカイロイノシトールの量は健康食品の場合、全食品重量に対して0.1〜50重量%、好ましくは1〜10重量%の量で、健康飲料の場合、100mlを基準に0.01〜10g、好ましくは0.1〜1gの量で添加してもよい。
【0022】
本発明の健康飲料組成物は通常の飲料と同様に種々の甘味料および天然炭水化物などを追加の成分として含有してもよい。甘味料としては、タウマチン、ステビア抽出物(たとえば、レバウジオシドA、グリチルリチンなど)のような天然甘味料、およびサッカリン、アスパルテームなどの合成甘味料を使用してもよい。前記天然炭水化物の例としては、ブドウ糖、果糖などの単糖類;マルトース、スクロースなどの二糖類;デキストリン、シクロデキストリンなどの通常の多糖類およびキシリトール、ソルビトール、エリトリトールなどの糖アルコールがある。前記天然炭水化物は本発明の飲料組成物100ml当り1〜20g、好ましくは5〜12gの量で使用してもよい。
【0023】
前記の他に本発明の食品または飲料組成物に追加され得る成分としては、種々の栄養剤、ビタミン、鉱物、合成香料、着色剤、ペクチン酸およびその塩、アルギン酸およびその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に用いられる炭酸化剤などがある。このような添加剤は本発明の組成物100重量部当たり0〜20重量部の量で添加され得る。
【0024】
さらに、ピニトール、カイロイノシトール、またはピニトールまたはカイロイノシトールを含む植物抽出物および健康補助食品の開発のための付加的な薬草抽出物を含む食品としては各種の食品類、飲料類、ゴム類、ビタミン複合剤などがある。
【0025】
(実施例)
以下、本発明を下記実施例によってさらに詳細に説明する。ただし、これらは本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲を制限しない。
【実施例1】
【0026】
ピニトールを含む植物抽出物の製造および分析
大豆、松葉、ケンポナシおよびエゾウコギを各々室温で乾燥した後、粉末化した。乾燥粉末10gに蒸留水100mlを加え、25℃で6時間抽出した。
【0027】
各抽出物中のピニトールの含量はDionex Carbopak MA-1カラムおよび溶離液として10mM NaOH溶液を用いて高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定し、その結果を下記表1に示す。
【表1】

【実施例2】
【0028】
ピニトールの経口毒性実験
特定病原体がない(specific pathogens free)6週齢の雌スプラーグ・ドーリー(Sprague-Dawley)ラット15匹(体重130〜147g)と雄ラット15匹(体重110〜123g)を温度23±3℃、相対湿度55±15%および光周期12L/12Dの存在下で飼育した。実験動物用飼料(Harlan、米国)および飲料水は滅菌した後でラットに摂取させた。ピニトールの経口投与する前にラットを1週間の間順応させた。
【0029】
ピニトールを注射用生理食塩水に溶かした後、各ラットに5,000mg/kg体重ずつ1回経口投与した。投与後6時間ごとに副作用または致死について観察し、その後毎日1回以上2週間観察した。また、投与後1日、3日、7日および14日に各ラットの体重を測定してピニトールの効果を調査した。また、14日目に生存しているラットを犠牲して内部の臓器を肉眼で観察した。
【0030】
すべてのラットは14日目まで生存しており、ピニトールは5,000mg/kg体重の投与量で毒性を示さなかった。解剖結果、ラットは特別な病理的異常を示さず、14日間の試験期間中、体重減少は観察されなかった。したがって、ピニトールを動物に経口投与する場合、毒性を示さないことが分かった。
【実施例3】
【0031】
四塩化炭素(CCl)によって損傷した肝に対する保護活性
スプラーグ・ドーリーラット(体重180〜200g)80匹を23±3℃、相対湿度55±15%および光周期12L/12Dの条件下で飼育し、実験動物用飼料(Harlan、米国)および飲料水は滅菌した後ラットに摂取させた。
【0032】
ラットを8群に分けた後、正常群を除く各群に実験1日目と5日目に四塩化炭素を0.5ml/kgの量で皮下注射した。実験2日目に水10mlに溶かしたピニトールまたはカイロイノシトールを実験群のラットに各々5〜20mg/kg体重の量で経口投与した。正常群および対照群にはピニトールの代わりに蒸留水10mlを投与した。8日目に各ラットの眼窩静脈層から血液を採取して血液分析器(Vitros DT-60,Johnson & Johnson)を用いて血中GOTおよびGPT濃度を測定し、その結果を下記表2に示す。血中GOTおよびGPT濃度の低下率(%)は下記式に従って算出した。
【数1】

【表2】

【0033】
前記表2から分かるように、対照群においてはGOTおよびGPT濃度が正常群に比べて著しく増加した。ピニトールを投与した実験群においては血中GOTおよびGPT濃度が各々49.7〜73.4%および54.6〜80.3%と正常群に比べて低く、カイロイノシトールを投与した実験群においては各々44.0〜76.1%および45.0〜78.2%と低かった。したがって、ピニトールおよびカイロイノシトールは別個の肝保護活性を示すことが分かる。
【実施例4】
【0034】
肝におけるSOD活性の測定
実験動物として6週齢のスプラーグ・ドーリーラット70匹を用いて温度23±3℃、湿度55±15%、光周期12L/12D(午前8時〜午後8時)および照度150〜300LUXの条件下で飼育し、実験動物用飼料(Harlan、米国)および飲料水は滅菌した後で摂取させた。
【0035】
ラットを7群に分けた後、水10mlに溶かしたピニトールを実験群のラットに各々200〜1,000mg/kg体重の量で毎日1回4日間経口投与した。比較群にはシリマリン(Sigma)を200mg/kg体重の量で、正常群および対照群には各々蒸留水10mlを投与した。実験4日目には正常群を除く各群に四塩化炭素と大豆油の1:1(v/v)混合物0.5ml/kgをピニトール投与90分後に投与した。24時間後、各ラットから肝組織を切り出してSODの活性をNeootら(Methods Enzymol., 186:209-219, 1993)の方法に従って測定し、student-t Testでデータの有意義性を検証し、その結果を下記表3に示す。
【表3】

【0036】
前記表3から分かるように、比較群および実験群1のラットのSOD活性は対照群に比べて各々18%および7%減少したのに対し、実験群2〜4においては各々24%、44%および35%増加した。したがって、ピニトール300mg/kg以上の経口投与は肝においてSODの活性を増加させることが分かる(p<0.05)。
【実施例5】
【0037】
肝におけるグルタチオン含量の測定
ラットに糖尿を誘発するために、0.01Mシトレート緩衝溶液(pH4.5)に溶かしたストレプトゾトシン(streptozotocin, Sigma Chemical Co.、米国)を45mg/kg体重の量で8週齢のスプラーグ・ドーリーラットの腹腔に注射した。3日後、各ラットの尻尾から静脈血を採取して血糖を測定し、血糖が251±7mg/dl以上のラットを糖尿ラットとして分類した。糖尿ラットを各12〜15匹ずつ3群に分け、そのうち2群のラットに水10mlに溶かしたピニトールまたはカイロイノシトールを10mg/kg体重の量で毎日4日間経口投与した(実験群1および2)。正常群および対照群(糖尿群)のラットには各々蒸留水10mlを投与した。ラットを犠牲させる前に18時間絶食させた後、エチルエーテルで麻酔した後、犠牲させて肝を切り出した後、冷たい生理食塩水で洗浄した。エルマン(Ellman)の方法(Arch. Biochem. Biophy., 70-77 (1959))に従って肝均質液中のグルタチオン含量を測定し、その結果を下記表4に示す。
【表4】

【0038】
前記表4から分かるように、対照群(糖尿群)ラットのグルタチオン含量は正常群に比べて著しく減少(38%)したのに対し、実験群1(ピニトール投与)および実験群2(カイロイノシトール投与)のグルタチオン含量は正常群に比べて若干減少した96%および85%の高い値を示した。
【実施例6】
【0039】
肝保護活性試験
血清GOTまたはγ−GTPが50IU/L以上の成人男性7名および女性8名(平均年齢:51.8歳)に一日600mgのピニトールを2ヶ月間経口投与した。ピニトール投与前後の血中GOT、GPTおよびγ−GTP数値を測定し、その結果を下記表5に示す。
【表5】

【0040】
前記表5から分かるように、ピニトール投与後、血中GOT、GPTおよびγ−GTPは各々45.3%、51.8%および41.1%減少した。
【0041】
(製剤例)
本発明の組成物は、活性成分を薬剤学的賦形剤とともに混合して通常の方法に従って様々な医薬剤形の形態で製剤化できる。以下、製剤例を例示するが、本発明はこれらに限定されない。
【0042】
製剤例1:散剤の製造
【表6】

【0043】
前記成分を混合し、気密容器に封入して散剤を製造した。
【0044】
製剤例2:錠剤の製造
【表7】

【0045】
前記成分を混合した後通常の方法に従って打錠して錠剤を製造した。
【0046】
製剤例3:カプセル剤の製造
【表8】

【0047】
前記成分を混合した後、通常の方法に従ってゼラチンカプセルに充填してカプセル剤を製造した。
【0048】
製剤例4:注射剤の製造
【表9】

【0049】
前記活性成分を注射用蒸留水に溶かした後、pHを約7.5に調整した。反応溶液を通常の方法に従って注射用蒸留水とともに2ml容量のアンプルに充填し、滅菌させて注射剤を製造した。
【0050】
<健康飲料の製造>
ピニトールまたはカイロイノシトール1〜10重量%、砂糖5〜10重量%、クエン酸0.05〜0.3重量%、カラメル0.005〜0.02重量%およびビタミンC0.1〜1重量%を混合し、蒸留水を加えてシロップを製造した。このようにして得られたシロップを85〜98℃で20〜180秒間殺菌し、冷却水と1:4の比率で混合した後、炭酸ガス0.5〜0.82%を注入してピニトールまたはカイロイノシトールを含有する炭酸飲料を製造した。
【0051】
また、ピニトールまたはカイロイノシトールを液状果糖(0.5%)、オリゴ糖(2%)、砂糖(2%)、食塩(0.5%)および水(75%)と均質に混合して瞬間殺菌して健康飲料を製造した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物において肝を保護するためのピニトールまたはカイロイノシトールの使用。
【請求項2】
前記ピニトールまたはカイロイノシトールがスーパーオキサイド・ディスムターゼ(superoxide dismutase, SOD)の活性を増加させることを特徴とする請求項1記載の使用。
【請求項3】
前記ピニトールまたはカイロイノシトールが肝のグルタチオン濃度を増加させることを特徴とする請求項1記載の使用。
【請求項4】
前記哺乳動物がヒトであることを特徴とする請求項1記載の使用。
【請求項5】
前記ピニトールまたはカイロイノシトールがそれを含む組成物の形態で哺乳動物に投与され、前記組成物は医薬組成物、食品組成物および飲料組成物からなる群から選ばれることを特徴とする請求項1記載の使用。
【請求項6】
哺乳動物において肝を保護するためのピニトールまたはカイロイノシトールを含有する植物抽出物の使用。
【請求項7】
前記ピニトールまたはカイロイノシトールを含有する植物抽出物がスーパーオキサイド・ディスムターゼの活性を増加させることを特徴とする請求項6記載の使用。
【請求項8】
前記ピニトールまたはカイロイノシトールを含有する植物抽出物が肝のグルタチオン濃度を増加させることを特徴とする請求項6記載の使用。
【請求項9】
前記哺乳動物がヒトであることを特徴とする請求項6記載の使用。
【請求項10】
前記植物が、大豆、マツ、ケンポナシ、エゾウコギおよびイナゴマメからなる群から選ばれることを特徴とする請求項6記載の使用。
【請求項11】
前記植物抽出物が水または有機溶媒抽出物であることを特徴とする請求項6記載の使用。
【請求項12】
前記植物抽出物が、該植物の粉末に5〜15倍の水を加え、10〜80℃で1〜24時間抽出した後、濾過して得られることを特徴とする請求項11記載の使用。
【請求項13】
前記植物抽出物がそれを含む組成物の形態で哺乳動物に投与され、前記組成物が医薬組成物、食品組成物および飲料組成物からなる群から選ばれることを特徴とする請求項6記載の使用。
【請求項14】
有効量のピニトール、カイロイノシトール、またはピニトールまたはカイロイノシトールを含有する植物抽出物を哺乳動物に投与することを含む、肝疾患を予防または治療する方法。
【請求項15】
前記ピニトールまたはカイロイノシトールの有効量が0.1〜100mg/kg体重/日であることを特徴とする請求項14記載の方法。

【公表番号】特表2006−521291(P2006−521291A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−518772(P2005−518772)
【出願日】平成16年3月26日(2004.3.26)
【国際出願番号】PCT/KR2004/000689
【国際公開番号】WO2004/084875
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(501072234)アミコーゲン インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】