説明

肝線維化抑制剤

【課題】 慢性肝炎から肝硬変への病態進展を抑制できる肝線維化抑制剤であって、優れた薬理活性を示し、副作用が少なく長期使用が可能な、肝線維化抑制剤を提供すること。
【解決手段】 プロアントシアニジン組成物を有効成分とする肝線維化抑制剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロアントシアニジン(以下、「PAC」という)を有効成分として含む肝線維化抑制剤に関する。
【背景技術】
【0002】
肝線維化は肝臓の炎症や毒物による肝細胞の損傷、肝血流の変化、あるいはウイルス、細菌、真菌又は寄生虫の感染症など、非常に多くの因子によって生じる病態である。また、先天性代謝異常が線維化に関わることも多く、脂質代謝異常(ゴーシェ病)、糖原病、α抗トリプシン欠損症、鉄過剰蓄積症候群(ヘモクロマトーシス)、銅蓄積症(ウィルソン病)、毒性代謝産物の蓄積(チロシン血症,果糖血症,ガラクトース血症)、ペルオキシソームの異常(ゼルウェガー症候群)などが知られている。さらに、アルコール、メトトレキサートなどの化学物質や薬物、あるいは肝臓の循環障害(慢性心不全、バッド−キアリ症候群、静脈閉塞症、門脈血栓症など)や慢性的な胆汁流出路の閉塞も肝線維化の原因となる。
【0003】
ウイルス性肝炎などの慢性肝炎から肝硬変への進行過程において肝線維化は主要な病態であり、肝線維化を抑えることは肝硬変を予防する上で極めて重要である。特にC型肝炎治療でのインターフェロン無効例においては、肝線維化抑制療法の開発が急務である。肝線維化の主たる原因は肝非実質細胞の一つである肝星細胞からの細胞外マトリックス(コラーゲン、ラミニン、プロテオグリカンなど)の異常産生である。肝星細胞の機能は肝マクロファージであるクッパー細胞の産生するサイトカイン及び増殖因子により調節されている。血小板由来増殖因子(Platelet−derived growth factor; PDGF)は、肝星細胞の活性化促進因子の一つであり、肝星細胞の増殖を促進することにより肝線維化をもたらす。従って、肝星細胞の増殖あるいはPDGFによる活性化を抑制する薬剤が開発されれば、これにより肝線維化を抑制し、ウイルス性肝炎などの慢性肝障害から肝硬変への進展を抑制することが可能である。
【0004】
肝星細胞の活性化を抑制する天然物化合物としては、緑茶由来のカテキン、エピカテキン等が知られている。緑茶カテキン療法は胆道閉鎖症術後患者の酸化ストレスを軽減し肝線維化を抑制することが報告されている。
【0005】
非特許文献1、2及び3にはエピガロカテキン−3−O−ガレート(以下「EGCG」という)が、組み替えヒト血小板由来増殖因子(recombinant human platelet-derived growth factor-BB;以下「PDGF−BB」という)処理による肝星細胞のDNA合成量を抑制することが報告されている。
【0006】
特許文献1では、ウーロン茶や紅茶などの発酵茶から抽出されたPACを含む高分子ポリフェノール類が脂肪肝の予防や治療に有効であることが述べられている。また、特許文献2ではプロシアニジンおよびその誘導体を含むポリフェノール類を含有する組成物が、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、肺癌、膵癌、肝細胞癌または大腸癌等の腫瘍の治療に有効であることが示唆されている。
【0007】
【特許文献1】特開2007−320958号公報
【特許文献2】特表2007−519752号公報
【非特許文献1】Sakata R. et al., J. Hepatol, 40, 52−59 (2004)
【非特許文献2】Chen A. et al., J. Biol. Chem., 278, 23381−23389 (2003)
【非特許文献3】Higashi N. et al., J. Lab. Clin. Med., 145, 316−322 (2005)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、慢性肝炎から肝硬変への病態進展を抑制できる肝線維化抑制剤であって、優れた薬理活性を示し、副作用が少なく長期使用が可能な、肝線維化抑制剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成するため、培養ヒト肝星細胞LI90のPDGF−BBによる活性化の抑制効果を指標に、天然物由来の成分について種々検討した結果、フラバン−3−オールの重合体に、EGCGと同等の肝線維化抑制効果があることを見出し、本発明に至った。
【0010】
すなわち本発明は、プロアントシアニジン組成物を有効成分とする肝線維化抑制剤に関する。
【0011】
本発明の肝線維化抑制剤は、上記のような構成を備えることにより、優れた薬理活性を示し、副作用が少なく長期使用が可能なものとなる。このような肝線維化抑制剤によれば、ウイルス性肝炎やアルコール性肝障害などの慢性肝障害における肝線維化を効果的に抑制することができる。また、肝線維化を病因とする、肝硬変や肝細胞癌などの病の発症又は進展を、効果的に予防又は抑制することができる。
【0012】
本発明の肝線維化抑制剤は、上記プロアントシアニジン組成物が、下記一般式(1)で表されるフラバン−3−オール骨格が、下記(i)、(ii)又は(iii)の結合様式で2以上互いに結合した構造を有するものであることが好ましい。
(i)4位炭素及び8位炭素の結合
(ii)4位炭素及び6位炭素の結合
(iii)4位炭素及び8位炭素の結合並びに2位炭素及び7位酸素の結合
【0013】
【化1】

【0014】
式(1)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は水酸基、Rは水酸基、Rは水素原子又は一価の有機基を、それぞれ示す。
【0015】
上記のような肝線維化抑制剤は、薬理活性に一層優れ、副作用が少なく長期に亘って使用することができる。
【0016】
本発明の肝線維化抑制剤は、上記プロアントシアニジンが天然物由来であるものであることが好ましい。このような肝線維化抑制剤は、優れた薬理活性を示し、副作用が少なく長期使用が可能で、且つ天然物から容易に加工することができる。
【0017】
また、本発明は、プロアントシアニジン組成物を有効成分とする肝星細胞増殖抑制剤に関する。
【0018】
本発明の肝星細胞増殖抑制剤は、肝星細胞の増殖又は活性化を抑制できる肝星細胞増殖抑制剤であって、上記のような構成を備えることにより、優れた薬理活性を示し、副作用が少なく長期使用が可能なものである。
【0019】
本発明の肝星細胞増殖抑制剤は、上記プロアントシアニジン組成物が、下記一般式(1)で表されるフラバン−3−オール骨格が、下記(i)、(ii)又は(iii)の結合様式で2以上互いに結合した構造を有するものであることが好ましい。
(i)4位炭素及び8位炭素の結合
(ii)4位炭素及び6位炭素の結合
(iii)4位炭素及び8位炭素の結合並びに2位炭素及び7位酸素の結合
【0020】
【化2】

【0021】
式(1)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は水酸基、Rは水酸基、Rは水素原子又は一価の有機基を、それぞれ示す。
【0022】
上記のような肝星細胞増殖抑制剤は、薬理活性に一層優れ、副作用が少なく長期に亘って使用することができる。
【0023】
本発明の肝星細胞増殖抑制剤は、上記プロアントシアニジンが天然物由来であるものであることが好ましい。このような肝線維化抑制剤は、優れた薬理活性を示し、副作用が少なく長期使用が可能で、且つ天然物から容易に加工することができる。
【0024】
本発明の肝星細胞増殖抑制剤は、ある側面において、肝星細胞アポトーシスに基づいて、肝星細胞の増殖又は活性化を抑制するものである。
【0025】
また、本発明は、上記肝線維化抑制剤又は上記肝星細胞増殖抑制剤を含む、肝線維化を病因とする肝疾病の発症・進展抑制剤に関する。
【0026】
また、本発明は、上記肝線維化抑制剤又は上記肝星細胞増殖抑制剤を含む、肝線維化抑制、肝星細胞増殖抑制、肝星細胞アポトーシス誘導、肝線維化を病因とする肝疾病の発症抑制、又は、肝線維化を病因とする肝疾病の進展抑制用の、機能性補助飲食物に関する。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、慢性肝炎から肝硬変への病態進展を抑制できる肝線維化抑制剤であって、優れた薬理活性を示し、副作用が少なく長期使用が可能な、肝線維化抑制剤を提供することができる。また本発明によれば、肝星細胞の増殖又は活性化を抑制できる肝星細胞増殖抑制剤であって、優れた薬理活性を示し、副作用が少なく長期使用が可能な、肝星細胞増殖抑制剤を提供することができる。さらに本発明によれば、上記肝線維化抑制剤又は上記肝星細胞増殖抑制剤を含むことを特徴とする、肝疾病の発症・進展抑制剤及び機能性補助飲食物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0029】
本実施形態に係る肝線維化抑制剤及び肝星細胞増殖抑制剤は、プロアントシアニジン組成物(以下、「PAC組成物」と表す。)を有効成分とする。ここで、PAC組成物は、1種又は複数のプロアントシアニジン(以下、「PAC」と表す。)からなる組成物であり、実施形態に係る肝線維化抑制剤及び肝星細胞増殖抑制剤は、多くの場合、複数のPACからなる組成物を有効成分としている。またPAC組成物は、PACの誘導体、その生理学的に許容される塩、その水和物、その溶媒和物等を含んでも良い。
【0030】
PACは、フラバン骨格を基本として、種々の部位に水酸基を有する単量体が重合してなる重合体化合物群の総称である。このような重合体の構成単位のうち、基端部をターミナルユニット、その他をエクステンションユニットと呼ぶ。また、重合体の重合度は、二量体、三量体のものから100量体以上の高分子にまで及ぶ。
【0031】
本実施形態において、薬理活性の観点からPACの重合度は3以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましく、5〜20であることがさらに好ましい。ただし、PAC組成物は、主たる成分が重合度3以上の重合体であれば、モノマー、その他の断片を含んでもよい。また、PAC組成物に含まれるPACの平均重合度は、3以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましく、5〜20であることがさらに好ましい。なお、本発明において平均重合度とは、上記単量体が結合している平均個数を示し、例えば、後述する実施例に示す方法などにより、測定することができる。
【0032】
PACとしては、例えば、図1の化学式で示されるような、主としてカテキン類、すなわちフラバン−3−オールを構成単位とする重合度が2以上の重合体からなるポリフェノール成分が挙げられる。なお、図1の化学式中Rは、上記一般式(1)におけるORに相当する。また、フラバン環3位水酸基にしばしば没食子酸がエステル結合する。
【0033】
ある特定の単量体(骨格)が重合したPACには慣用名が与えられ、代表的なPACとしては、B環(図1参照)の水酸基の数に応じて定義・分類された、プロペラルゴニジン(4’−OH)、プロシアニジン(3’−OH、4’−OH)及びプロデルフィニジン(3’−OH、4’−OH、5’−OH)が挙げられる。例えば、A環5位の水酸基を欠く成分を構成単位とした重合体には、プロガイボールチニジン、プロフィセチニジン、及びプロロビネチニジンがあり、さらにその他の特定部位の水酸基の有無に応じて、プロテラカシジン、プロメラカシジン、プロアピゲニニジン、プロルテオリニジンなどの慣用名がある。
【0034】
本発明においてPACは、好ましくは、プロシアニジン、プロペラルゴニジン又はプロデルフィニジンである。「プロシアニジン」の構成単位(骨格)は、同一又は異なっていてもよく、カテキン、エピカテキン、カテキンガレート及びエピカテキンガレートから選択できる。「プロデルフィニジン」の構成単位(骨格)は、同一または異なっていてもよく、ガロカテキン、エピガロカテキン、ガロカテキンガレート及びエピガロカテキンガレートから選択できる。
【0035】
また、PACとしては、例えば、さまざまな植物に広く含まれている縮合型タンニンが挙げられる。このようなPACは、酸処理によって、シアニジン、デルフィニジン、ペラルゴニジン、オーランチニジン、ルテオリニジン、ペオニジン、マルビジン、ペチュニジン、ヨーロピニジン、ロシニジン、ヒルスチジン、アピゲニニジンなどを得ることができる。
【0036】
さらに、PACには、各環上の結合位置の違いや、構成単位内の置換基の立体配座、異なる構成単位の重合体内での結合順序などによる多様な化合物が知られている。本発明に含まれるPACの一部について、化学名(chemical name)を以下に例示する。なお、括弧内は分子式(molecular formula)である。なお、本発明においては、下記のPACにのみならず、これらのPACが更にカテキン、エピカテキンなどの構成単位あるいは他のPACと縮合した、より高重合度のPACをも包含する。
【0037】
Proanthocyanidin PZ5 (C75 H62 O31),
Proanthocyanidin BP 1 (Unspecified),
Proanthocyanidin RP 4 (C129 H106 O67),
Proanthocyanidin RP 3 (C136 H120 O70),
Proanthocyanidin CS 4 (C136 H120 O70),
Proanthocyanidin CS 3 (C127 H128 O69),
Proanthocyanidin CS 2 (C113 H110 O62),
Proanthocyanidin CS1 (C121 H118 O65),
Proanthocyanidin RP 2 (C120 H114 O64),
Proanthocyanidin RP 1 (C125 H130 O69),
Proanthocyanidin T4 (C128 H122 O65),
Proanthocyanidin T3 (C105 H102 O59),
Proanthocyanidin T2 (C67 H54 O29),
Proanthocyanidin T1 (C87 H72 O43),
4−(Benzylthio)proanthocyanidin A2 (C37 H30 O12 S),
Proanthocyanidin A7(C30 H24 O12),
Proanthocyanidin (C30 H24 O12),
Proanthocyanidin A5’(C30 H24 O12),
Proanthocyanidin A4 (C30 H24 O12),
Proanthocyanidin B6 (C37 H30 O16),
Proanthocyanidin B2 3,3’−O−gallate (C44 H34 O20),
Proanthocyanidin B4 (C30 H26 O12),
Proanthocyanidin A2 4α−bezylthioether (C37 H30 O12 S),
Proanthocyanidin A2 (C30 H24 O12),
Proanthocyanidin C1 (C45 H38 O18),
Proanthocyanidin B2 (C30 H26 O12),
Proanthocyanidin B (C31 H28 O12),
Methylated polymeric proanthocyanidin {(C29 H32 O10)x},
Proanthocyanidin B1 (C30 H26 O12),
Proanthocyanidin A (C31 H28 O12),
Proanthocyanidin C(C30 H26 O12),
Proanthocyanidin B5(C30 H26 O12),
Proanthocyanidin P−1 (Unspecified).
【0038】
本実施形態において、PAC組成物は、下記一般式(1)で表されるフラバン−3−オール骨格が、(i)4位炭素及び8位炭素の結合、(ii)4位炭素及び6位炭素の結合、(iii)4位炭素及び8位炭素の結合並びに2位炭素及び7位酸素の結合、のいずれかの結合様式で2以上互いに結合した構造を有するものを含むことが好ましい。
【0039】
【化3】

【0040】
式(1)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は水酸基、Rは水酸基、Rは水素原子又は一価の有機基を、それぞれ示す。
【0041】
上記一般式(1)中のRが示す一価の有機基としては、ガレート基、有機酸残基、糖残基等が挙げられる(ここで、残基とは、分子中の原子又は基が除かれて生じる一価の基を意味する)。有機酸残基のもとになる有機酸としては、p−クマル酸、カフェ酸、フェルラ酸、シナピン酸、p−ヒドロキシ安息香酸、没食子酸、酢酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸等が挙げられる。糖残基を形成する糖は必要に応じて、例えばフェノール水酸基とエステル結合を介して任意の位置で修飾される。その配糖体形成残基の例としては、ピラノース型のヘキース残基、フラノース型のペントース残基を挙げることができる。具体的には、糖の形態として、グルコース、ガラクトース、ラムノース、キシロース、アラビノース等の単糖類の他に、2糖類や3糖類を挙げることができる。
【0042】
また、Rは、ガレート基や有機酸基に糖が結合した配糖体形成残基であってもよい。その場合、例えば、糖は、ガレート基や有機酸基のフェノール水酸基とエステル結合を介して任意の位置で結合する。その配糖体形成残基の例としては、ピラノース型のヘキース残基、フラノース型のペントース残基等を挙げることができる。糖の形態としては、グルコース、ガラクトース、ラムノース、キシロース、アラビノース等の単糖類の他に、2糖類や3糖類を挙げることができる。
【0043】
なかでも、Rは、置換基を有していてもよいガレート基を示すことが好ましい。「置換基を有していてもよいガレート基」には、「ガレート基」及び「置換基を有するガレート基」が含まれ、「置換基を有するガレート基」には、「糖が結合したガレート基」等が含まれる。
【0044】
なお、式(1)中、A環の5位及び/又は7位の水酸基は、ガレート基、糖、有機酸などが結合した修飾基であってもよい。
【0045】
上記(i)の結合様式によりフラバン−3−オール骨格が互いに結合した構造を有するプロアントシアニジンとしては、例えば、下記一般式(2)で表されるものがある。
【0046】
【化4】

【0047】
上記(iii)の結合様式によりフラバン−3−オール骨格が互いに結合した構造を有するプロアントシアニジンとしては、例えば、下記一般式(3)で表されるものがある。
【化5】

【0048】
PACの構成単位同士の主たる結合部位としては、上記のように(i)、(ii)又は(iii)の結合様式があるが、具体例としては、例えば、A−タイプ結合;4位と8位および2位と7位酸素の2箇所、また例えば、B−タイプ結合;4位と6位または4位と8位のいずれか1箇所、が挙げられる。またこれら結合からなる種々の立体配置を有するPACが存在する。
【0049】
PACは、天然物由来、あるいは合成品を使用することができるが、天然物由来のPACが好ましく、植物由来のPACがより好ましい。このようなPACを得るための出発素材としては、野菜、ナッツ、樹皮、及びポリフェノール化合物を含む他の植物材料のような、植物から誘導される植物材料からの原料を用いることができる。例えば、殆どの色のついた果実、イチゴ類、及び野菜は、ポリフェノール化合物を含むことが知られている。ポリフェノール化合物を含む植物、果実、イチゴ類、及び野菜の例には、例えば、ブルーベリー葉、ブドウ種子、サトイモ、ビルベリー、エルダーベリー、プラム、ブラックベリー、ストロベリー、レッドカーラント、ブラックカーラント、クランベリー、チェリー、ラズベリー、グレープ実、カーラント、ハイビスカスの花、シシトウガラシ、豆、エンドウ豆、大豆皮、赤キャベツ、パープルコーン、紫サツマイモが含まれるが、それらに限定されるものではない。これらのうち、例えばブルーベリー葉、ブドウ種子、クロトン種樹液由来のようなPAC組成物の使用が実際的である。
【0050】
本実施形態にかかるPAC組成物の具体例として、ブルーベリー葉、ブドウ種子及びクロトン種樹液から得られるプロアントシアニジン組成を表1に示す。
【0051】
【表1】

【0052】
本発明の出発素材において、使用する植物の部分は、葉、花弁、萼片、花、葉柄、新芽、根、茎、種子、鞘、塊茎、樹皮、形成層、材木、菌こぶ、果実、野菜、ハーブ、シダ、樹液、樹脂、ブドウ、リンゴ、タマネギやアボカドなどの皮、柑橘類の皮、果物の外皮を含む皮、リンゴ、ワインの絞りかす、穀粒の外皮、藁、干し草、オリーブ、アブラナ或いはカノラ由来の油製種子の塊、及びその他油料作物抽出物等を任意に用いることができる。
【0053】
本発明で好ましい出発素材として、ブルーベリーが挙げられる。ブルーベリーは、ツツジ科(Ericaceae)スノキ属(Vaccinium)サイアノコカス節(Cyanococcus)に属するアメリカ原産の落葉性もしくは常緑性の低木または半高木果樹である。ブルーベリーはおよそ6種類からなるが、果樹園芸上重要なのは下記の三種である。本発明では、使用するブルーベリーについて、種類、由来、原産地を特に制限するものではない。
【0054】
(1)ハイブッシュブルーベリー(Highbush blueberry, Vaccinium corymbosum L.):オニール、シャープブルー、ジョージアジェム、フローダブルー、レベレイ、スパルタン、ダロウ、デューク、バークレイ、ハリソン等。
【0055】
(2)ラビットアイブルーベリー(Rabbiteye blueberry, V. ashei Reade, V. virgatum Aiton):ウッダード、ガーデンブルー、ティフブルー、ホームベル、マイヤー等。
【0056】
(3)ローブッシュブルーベリー(Lowbush blueberry, V. angustifolium Aiton; V. myrtilloides Michaux):チグネクト、ブロンズウィック、ブロミドン等。
【0057】
本発明の有効成分である天然物由来のPAC組成物は、目的に応じて以下の工程を適宜組み合わせることにより得ることができる。
【0058】
(1)前処理加工
葉、皮、果実、茎、根等の全草部位に応じて、あらかじめ水洗、濾別などにより物理的に不純物を除く。あるいは、葉緑素、繊維素等、本発明のPAC以外の成分を溶媒で留去することもできる。この溶媒には、留去する対象により異なるが、クロロホルム、ヘキサン、アセトン等を用いることができる。生の素材は、そのまま粉砕しても乾燥後粉砕して、粉末状で次工程に供してもよいし、生素材からの搾汁液、抽出液を次工程に供してもよい。搾汁又は抽出液は、濃縮又は乾燥して粉末状で次工程に供してもよい。
【0059】
乾燥手段は、本発明の薬理効果を損なわなければ特に制限はなく、真空凍結乾燥、熱風乾燥、遠赤外線乾燥、減圧乾燥、マイクロ波減圧乾燥、及び過熱蒸気乾燥等を広く用いることができる。なかでも、成分変化の少ない真空凍結乾燥が好適に使用できる。真空凍結乾燥条件は、原料素材の種類、部位の状態によって適宜選択できるが、例えば生葉をそのまま乾燥する際の凍結温度は−30〜−20℃、乾燥温度は−30〜30℃、乾燥時間は15〜24時間の範囲が好ましい。
【0060】
(2)抽出工程
前工程で得られた加工処理物は、次に溶媒抽出することができる。溶媒抽出には、下記の溶媒を適宜組み合わせて、必要に応じ多段抽出する。使用する抽出溶媒は特に制限されないが、水又は水と相溶性のある極性溶媒の使用が好適である。水と相溶性のある極性溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの炭素数1〜4の低級アルキルアルコール;エチレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコールなどを挙げることができる。アルコールとしては、安全性の観点から低級アルコール、特にメタノールやエタノールの使用が実際的である。他の有機溶媒としては、例えばアセトン、ジエチルエーテル、ジオキサン、アセトニトリル、酢酸エチルエステル、キシレン、クロロホルム、トルエン、ヘキサンなどを挙げることができる。水と極性溶媒の組み合わせを含め、これらの溶媒は、単独あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。例えば、アセトンとエチルエーテルの混合溶媒、好ましくはアセトンとエチルエーテルの1 : 1(v/v)混合液の使用が可能である。一般的には、極性溶媒と水との混合溶媒の使用が望ましい。これらの含水溶媒としては、含水アルキルアルコール、より好ましくは含水メタノール、含水エタノールである。含水アルコール中のアルコール濃度は、5〜90容量%、好ましくは80〜90容量%、より好ましくは50〜90容量%である。アルコール以外の好ましい混合溶媒としては、水とアセトンの混液を挙げることができる。
【0061】
抽出操作としては、加工処理物を溶媒に冷浸、温浸などの浸漬処理が挙げられる。通常は、加温下で撹拌しながら抽出し、ろ過して抽出液を得る。例えば、80容量%エタノール水溶液による撹拌抽出では、溶液温度は、望ましくは室温、浸漬時間は温度により異なるが30秒〜1時間の範囲内が好適である。また、パーコレーション法によることもできる。
【0062】
得られた抽出物は、必要に応じてろ過又は遠心分離により固形物を除去する。ろ液は、次工程の要求に応じてそのまま用いるか、又は溶媒を留去して一部濃縮もしくは乾燥して用いてもよい。必要に応じて、これらの抽出、濃縮物は精製する。精製方法は、特に限定されないが、例えばカラム法や溶媒による分割法などを挙げることができる(WO00/64883号公報参照)。
【0063】
PAC組成物は、抽出液、濃縮エキス、ペースト、乾燥、半乾燥物など、最終利用形態としてはさまざまな形で利用できる。精製されたPAC組成物は、濃縮されているので、一般に単純な抽出物に比べより高い薬理活性(肝線維化抑制活性)を有する。
【0064】
得られたPAC組成物は、そのまま、又は、プロドラッグ若しくは薬剤として、利用できる。本実施形態に係る肝線維化抑制剤又は肝星細胞増殖抑制剤は、PAC組成物、その生理学的に許容される塩、それらの水和物及び/又はそれらの溶媒和物からなる薬剤であっても良いが、一般には上記の物質と薬理学的及び製剤学的に許容される添加物を含む医薬組成物に調製することが望ましい。
【0065】
薬理学的及び製剤学的に許容しうる添加物としては、例えば賦形剤、崩壊剤、崩壊補助剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、色素、希釈剤、基剤、溶解剤、溶解補助剤、張化剤、pH調節剤、安定化剤、噴射剤、及び粘着剤などを用いることができる。
【0066】
本実施形態に係る肝線維化抑制剤又は肝星細胞増殖抑制剤を医薬品とする場合は、投与単位形態で投与することが好ましく、経口投与、組織内投与(皮下投与、筋肉内投与、静脈内投与など)、局所投与(経皮投与など)、又は経直腸的に投与をすることもできる。
【0067】
経口投与剤形としては、錠剤、丸剤、カプセル剤、細粒剤、顆粒剤などから適宜選択すればよい。また経口投与用液状医薬製剤としては、乳濁剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤などを挙げることができる。製剤にあたっては、各種製剤に応じた賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色料、矯味矯臭剤、pH調整剤などを適宜配合することができる。例えば、錠剤の場合は、必要に応じて、通常の剤皮を施した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶錠、フィルムコーティング錠、二重錠、又は多層錠とすることができる。錠剤の形態に調製するに際しては、担体として、例えば乳糖、白糖、塩化ナトリウム、グルコース、尿素、澱粉、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸などの賦形剤;水、エタノール、プロパノール、単シロップ、グルコース液、澱粉液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドンなどの結合剤;乾燥澱粉、アルギン酸ナトリウム、寒天末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、澱粉、乳糖などの崩壊剤;白糖、ステアリン、カカオバター、水素添加油などの崩壊抑制剤;第4級アンモニウム塩類、ラウリル硫酸ナトリウムなどの吸収促進剤;グリセリン、澱粉などの保湿剤;澱粉、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸などの吸着剤;精製タルク、ステアリン酸塩、硼酸末、ポリエチレングリコールなどの潤沢剤などを例示できる。
【0068】
組織内投与剤形としては、注射剤を挙げることができる。注射剤として調製するには、非毒性の溶液、乳剤及び懸濁剤などの形態とするのが望ましい。これらは、殺菌され、かつ血液と等張であるのが好ましい。これら液剤、乳剤及び懸濁剤の形態に調製するに際しては、希釈剤として、例えば水、エタノール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類などを用いることができる。また等張性の溶液を調製するに十分な量の食塩、グルコース、又はグリセリン、及び通常の溶解補助剤、緩衝剤、pH調整剤、無痛化剤なども配合することができる。これらの注射剤は、皮下、筋肉内又は静脈内に投与することができる。
【0069】
局所投与剤形としては、例えば、局所用液剤、クリーム剤、粉剤、ペースト剤、ゲル剤、軟膏剤などの外用製剤を挙げることができる。これらは、本実施形態に係るPAC組成物、そのプロドラッグ、製薬上許容されうるそれらの塩等の一定量を、外用製剤の目的に適合する香料、着色料、充填剤、界面活性剤、保湿剤、皮膚軟化剤、ゲル化剤、担体、保存剤、安定剤などのうちの一種以上と組み合わせることにより調製することができる。
【0070】
経直腸的投与剤形としては、坐剤を挙げることができる。坐剤の形態に調製するに際しては、基材として、例えばパルミチン酸ミリスチルエステルなどの高級エステル類、高級アルコール類、ポリエチレングリコール、カカオ脂、ゼラチン、半合成グリセリド、これらの混合物などの低融点基材を挙げることができる。座剤は、本実施形態に係るPAC組成物、そのプロドラッグ、製薬上許容され得るそれらの塩等を、上記のような基材に混入し、成型することにより調製することができる。
【0071】
本実施形態に係る肝線維化抑制剤又は肝星細胞増殖抑制剤などを医薬品として投与する場合、PAC組成物(若しくはそのプロドラック、又は製薬上許容され得るそれらの塩)の有効投与量は、患者の年齢、体重、疾病の性質、進展状態、投与経路などにより異なるので特定はできないが、通常は成人一人、体重60kg換算で、一日当たり1〜2000mgの範囲である。患者の状態などに応じて、上記範囲未満又は上記範囲を超える用量を投与することもできる。多量に投与するときは、一日数回に分割して投与することが望ましい。医薬品の場合、PACの有効含量は、投与量又は服用量との関係で一概に特定できないが、0.1〜99.5重量%、好ましくは0.5〜90重量%の範囲で選択すればよい。
【0072】
本実施形態に係るPAC組成物を用いた医薬品の用途としては、肝線維化抑制剤、肝星細胞増殖抑制剤、肝星細胞DNA合成活性化抑制剤、肝星細胞アポトーシス誘導剤、又は、肝繊維化を病因とする肝疾病(例えば肝硬変や肝癌)の発症若しくは進展抑制剤、等を挙げることができる。
【0073】
本実施形態に係るPAC組成物は、肝線維化抑制を含め、上記疾病の発症及び進展の予防のための機能性補助飲食物としても利用できる。機能性飲食物製剤としては、固体状、液体状、エマルジョンなどが可能であるが、必要に応じて薬学的もしくは食品上許容される担体又は添加剤を配合することもできる。添加剤には、一般的な剤形補助剤などの外、他の薬剤、機能性成分、例えばビタミン類、その他の微量成分などの有効成分を含むことができる。剤形は、特に問わないが、経口に適した形態であることが好ましい。また、その形態は特に制限されないが、錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、粉末剤、トローチ剤、又は溶液剤(ドリンク)などの形態に調製することができる。
【実施例】
【0074】
以下、実施例を挙げて本発明についてより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。以下の実施例において、「%」は、特に言及しない限り、「w/w%(質量%)」を意味する。
【0075】
1.各素材からのPACの調製
PACは、上述のとおり、広く植物界から見いだされている。PACを含有することが報告されている下記に挙げる素材(試料1〜3)を入手し、PAC画分を調製した。
【0076】
試料1:ブルーベリー葉
試料2:ブドウ種子抽出物(グラヴィノールTM:キッコーマン株式会社)
試料3:クロトン樹液(Sangre de Drago; Raintree Nutrition, Inc.)
【0077】
(試料1:ブルーベリー葉由来PAC画分の調製)
ラビットアイブルーベリー種(Vaccinium virgatum Aiton)の生葉を、凍結乾燥(FTS System、Dura−Top MP&Dura−Dry MP)し、超遠心粉砕機(MRK&RETSCH、EM−1)で粉砕することで、ブルーベリー葉の凍結乾燥粉末を得た。この凍結乾燥粉末10gに100mlのヘキサンを加え、室温で30分間振盪抽出し、デカンテーションにより残渣を回収した。この抽出操作を3回繰り返し、ブルーベリー葉ヘキサン洗浄物を得た。
【0078】
さらに、得られたブルーベリー葉ヘキサン洗浄物に、100mlの酢酸エチルを加え、同様に30分間振盪抽出し、デカンテーションにて残渣を回収した。これも同様に3回繰り返し、ヘキサン−酢酸エチル洗浄物を得た。
【0079】
次に、ヘキサン−酢酸エチル洗浄物に100mlのメタノールを加え、30分間振盪抽出し、ろ過にて抽出液を回収し、残渣に再度メタノール100mlを加え、同様に3回繰り返し抽出液を合わせた。
【0080】
抽出液をエバポレーターで減圧濃縮後、凍結乾燥し、ブルーベリー葉メタノール抽出物約3.5gを得た。さらに、この抽出物約500mgを60%メタノールに溶解し、60%メタノールで平衡化したセファデックスTMLH−20(容量100ml;GEヘルスケアバイオサイエンス社製)カラムにアプライし、60%メタノール400mlで洗浄し、次に100%メタノール400mlで洗浄した。その後70%アセトン400mlで溶出させ、減圧濃縮後、凍結乾燥し、ブルーベリー葉由来PAC画分(試料1)を約100mg得た。同様に以下の試料を調製した。
【0081】
(試料2〜3由来のPAC画分の調製)
試料2〜3は、素材を直接入手して、100%メタノールで抽出を行い、減圧濃縮後、凍結乾燥した。その後、上記調製と同じように、セファデックスLH−20でPAC画分を調製した。
【0082】
PAC調製物の組成解析
各起源から抽出された上記試料1〜3につき、PAC純度、組成及び平均重合度を調べた。以下に用いた解析方法と結果を示す。
【0083】
2.ブタノール−塩酸加水分解法(ポーター法)
下記文献の方法に従い、ポーター法を用いてPACの分析を行った。
・Porter L. J. et al.、“Phytochemistry”、1986年、第25巻、p.223−230
・Shoji T. et al.、“J. Agric. Food Chem.”、2006年、第54巻、p.884−892
【0084】
PACは酸性条件下における加熱により、フラバン間の結合が切断され、カルベニウムイオンとカテキン類を与える。前者はさらに酸化されて赤色のアントシアニジンとなる。この原理を利用した呈色法がポーター法であり、540nmの吸光度の上昇により、試料中のPACを鋭敏に検出できる。
【0085】
(1)ポーター法によるPACの定性及び定量
精製画分をメタノールに溶解し、その200μlに5%(v/v)塩酸を含む1−ブタノール750μlと1%(w/v)硫酸鉄アンモニウムを含む2mol/L塩酸50μlを添加し、105℃で40分間反応させた。反応液を室温に戻し、540nmにおける吸光度を測定した。コントロールとしてプロシアニジンB2(Sigma社製)を用いた。
【0086】
(2)組成分析;LC/MS法
LC/MSを用いて上記ポーター法反応分解物の分析を実施した。もしブルーベリー葉から精製したPACであれば、アントシアニジンを検出するはずである。LC/MSに用いた装置及び条件は下記の通りである。
・装置:Shimadzu LC/MS−IT−TOF
・カラム:Atlantis T3、2.1mm I.D.×100mm、3μm(Waters製)、40℃
・移動相(溶出液):(A)5mMギ酸アンモニウムを含む0.5%(v/v)ギ酸
(B)アセトニトリル
・グラジエント:溶出液B 10%(0分)→40%(15分)→100%(15分)→100%(22.5分)
・移動相流速:0.25ml/分
・検出器1:フォトダイオードアレイ540nm
・検出器2:ESI−MS
(Positive−Ion Mode、インターフェイス電圧:4.5kV、
CDL温度200℃、ネブライズガス流量:1.5L/分、
ドライガス圧力:200kPa、ヒートブロック温度:200℃)
【0087】
上記で調製した各植物由来PAC調製物のサンプルは本法によって赤色を呈したことから、PACの存在が明らかとなった。また、LC/MS分析の結果、分解物のメインピークの溶出時間はシアニジン標品と同じであり、MS/MSスペクトルも一致したことからPACと同定された(図2)。さらにプロシアニジンB2を標品として定量した結果、PACの純度は55.91〜88.12%となった(表1)。
【0088】
また、LC/MSによってアントシアニジン組成を解析した結果、ブルーベリー葉とブドウ種子由来の調製物はプロシアニジンが100%であったが、クロトン種樹液由来のものはプロデルフィニジンが約4割含まれていることが分かった(表1)。
【0089】
3.チオール開裂によるPACの平均重合度と構成ユニット組成の解析
上記結果より、各植物由来調製物の主成分がPACであることが示された。次いでここでは、PACの構成単位、結合様式及び重合度を調べるために、Guyotらの方法(Guyot S. et al.、“J.Agric.Food Chem.”、2001年、第49巻、p.14−20参照)に基づきチオール開裂分析を行った。
【0090】
図3に、チオール開裂の基本反応を示す。チオール開列の基本反応においては、PACを酸性条件下でトルエン−α−チオールと反応させることにより、エクステンションユニットはベンジルチオエーテル付加物となり、ターミナルユニットは遊離のフラバン−3−オールとなる。それらチオール開裂反応産物を逆相HPLCで分析することにより、ターミナルユニットとエクステンションユニットの各組成や平均重合度(mDP)の情報を得ることができる。平均重合度(mDP)は、以下の式により求めることができる。
平均重合度(mDP)=[ターミナルユニット+エクステンションユニット]/[ターミナルユニット]
【0091】
標品としてカテキンとエピカテキンを用い、チオール開裂の反応中に生じる遊離のフラバン−3−オールの異性化も考慮に入れて補正を行った(Gu L. et al.、“J.Agric.Food Chem.”、2002年、第50巻、p.4852−4860参照)。
【0092】
(1)チオール開裂、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)条件
ブルーベリー葉由来活性化合物PACを、メタノールで1mg/mlに調製し、50μlを取り、3.3%(v/v)塩酸メタノール50μlを加え、5%(v/v)トルエン−α−チオール100μlを加え、50℃で30分間反応させた後、反応液を5倍にメタノールで希釈し、HPLCに供した。HPLC条件を以下に示す。
・装置:Shimadzu Prominence LC−20A
・カラム:Atlantis T3,4.6mm I.D.×150mm,3μm(Waters製)、40℃
・移動相(溶出液):(A)0.05%(v/v)トリフルオロ酢酸
(B)アセトニトリル
・グラジエント:溶出液B 15%(0分)→25%(10分)→60%(40分)→100%(40分)→100%(50分)
・移動相流速:0.70ml/分
・検出器:UV280nm
【0093】
(2)反応物の同定;液体クロマトグラフ質量分析(LC/MS)
上記反応物を同様にLC/MSに供し各検出ピークの同定を行った。分析条件は下記に示す。
・装置:Shimadzu LC/MS−IT−TOF
・カラム:Atlantis T3,2.1mm I.D.×100mm(Waters製)
・移動相(溶出液):(A)0.05%(v/v)トリフルオロ酢酸
(B)アセトニトリル
・グラジエント:溶出液B 15%(0分)→25%(10分)→60%(40分)→100%(40分)
・移動相流速:0.25ml/分
・検出器1:フォトダイオードアレイ280nm
・検出器2:ESI−MS
(Positive−Ion Mode、インターフェイス電圧:4.5kV、CDL温度200℃、ネブライズガス流量:1.5L/分、ドライガス圧力:200kPa、ヒートブロック温度:200℃)
【0094】
ブルーベリー葉から調製したPACをチオール開裂し、HPLCで分離したところ、主に8本のメインピークが確認できた。HPLCのクロマトグラムを図4に示す。カテキン、エピカテキンとトルエン−α−チオールは、標品の溶出時間より確認を行い、ピークAはカテキン、ピークCはエピカテキン、そしてピークHはトルエン−α−チオールと判明した。他のピークはLC/MSで再度分析を行い、各ピークのMSスペクトルを確認した。
【0095】
ピークEはm/z=411.0892を検出し、この組成を組成推定によりC22H20O6S(Error=−3.8ppm)と推定した。また、MS/MSスペクトルにm/z=287.0510を検出し、親MSとMS/MSの差が124.0382であったことから、ピークEはベンジルチオエーテル付加物であることが推定された。加えて、親イオンから推定した組成式C22H20O6Sからトルエン−α−チオールの組成式C7H8Sの部分を差し引くとC15H14O6となり、これらのことからピークEはカテキンもしくはエピカテキンのベンジルチオエーテル付加物であることが確認できた。さらに、プロシアニジンB2標品をチオール開裂した場合、エピカテキンとエピカテキンベンジルチオエーテルが生成する。この分解物を分析したとき、エピカテキンベンジルチオエーテルとピークEの溶出時間が同じであったことから、ピークEはエピカテキンベンジルチオエーテルとした。
【0096】
ピークGは、親イオンとしてm/z=697.1385を、MS/MSにm/z=573.0987を検出し、その差が124.0398になることからこのピークもベンジルチオエーテル付加物であることが分かった。この精密質量からC37H30O12Sと推定した。この組成からベンジルチオエーテル付加物を除くと、C30H24O12となることから、ピークGはカテキンやエピカテキンからなるA−タイプ2量体のベンジルチオエーテル付加物であると推定された。
【0097】
Thompsonら(Thompson R. S. et al.、“J.Chem.Soc.Perkin Trans.I”、1972年、p.1387−1399参照)によると、A−タイプのフラバン間結合はチオール開裂に対して抵抗性があるとされている。チオール開裂反応後、ターミナルユニットにA−タイプが存在すれば、それに対応するA−タイプ2量体として遊離し、エクステンションユニットにあればそれに相当するベンジルチオエーテル付加物が検出される(Foo L. Y. et al.、 “J.Nat.Prod.”、2000年、第63巻、p.1225−1228参照)。
【0098】
ピークBの親イオンはm/z=863.1822で、この精密質量から組成を推定するとC45H36O18(Error=−0.86ppm)となった。B−タイプ3量体の分子式はC45H38O18であり、A−タイプはC45H34O18であることから、このピークBはA−タイプとB−タイプが混在した3量体と推測した。
【0099】
また、ピークDはm/z=985.2009であり、ベンジルチオエーテル付加物を除くとC45H36O18となり、この化合物はA−B−タイプ混在型の3量体ベンジルチオエーテルであることが推測できた。
【0100】
ピークFはm/z=605.1449を検出し、MS/MSでm/z=481.1109を検出したことから、このピークはベンジルチオエーテル付加物と考えられたが、付加物を除くとC25H24O10となりそれ以上の情報は得られなかったため、表2ではUnknownと表示している。
【0101】
上記より調製したPACをチオール開裂した結果、その分解物にフラバン−3−オールモノマーとフラバン−3−オールモノマーのベンジルチオエーテル付加物以外に遊離の3量体とA−タイプ2量体と3量体ベンジルチオエーテル付加物が検出され、その組成比が比較的多いことから、mDPの計算方法を改めた。
【0102】
すなわち、検出されたフラバン−3−オールの重合度をnとすると(ベンジルチオエーテル付加物も含めて)mDPは、以下の式により求める値とした。
mDP=[(ベンジルチオエーテル付加物×n)の総和+(遊離フラバン−3−オール×n)の総和]/[遊離フラバン−3−オールの総和]
【0103】
加えて、検出されたフラバン−3−オールとそのベンジルチオエーテル付加物の面積比は、既知のプロシアニジンB2標品のチオール開裂反応物から算出し、それぞれ補正を行った。その結果、表2に示すとおり、ブルーベリー葉から調製したPACのmDPは11.2であった。加えて、その組成は全体的にエピカテキンの比率が高く、ターミナルユニットでは42.6%、エクステンションユニットでは69.6%であったが、検出されたA−タイプ2量体やA−B−タイプ混在3量体の組成が不明なので、検出されたモノマーのみで全体の組成を見ると、95%以上がエピカテキンで構成されていることが分かった。
【0104】
本発明に用いたPACの平均重合度(mDP)と組成を表2、3に示す。
【0105】
【表2】

【0106】
【表3】

【0107】
表2の結果から、各起源のPAC調製物は以下のように特徴づけられた。
(1)ブルーベリー葉由来のPACは平均重合度が11.2であり、エピカテキン組成比が高く、すべてプロシアニジンで構成されていた。加えて、Aタイプの結合を有しており、さらに未同定な側鎖も確認できた。
(2)ブドウ種子由来のものは平均重合度が14.4とブルーベリーより長く、ターミナルユニットはカテキンの組成比が高く、エクステンションはエピカテキンとエピカテキンガレートがおよそ1:1であった。Aタイプの結合様式やガレート以外の側鎖は確認されなかった。
(3)クロトン種樹液由来のものは平均重合度が8.3で、ガロカテキンとエピガロカテキンを確認した。そのプロデルフィニジン含量は約40%であった。
【0108】
4.PAC調製物の機能解析
肝星細胞として、ヒト培養肝星細胞継代培養株(LI90;財団法人ヒューマンサイエンス振興財団より購入,カタログNo.,JCRB0160)を用い、肝線維化抑制機能を評価した。
【0109】
被検試料としては、調製例1の方法で精製したBB−PAC、調製例2の方法で精製したGS−PAC、及び調製例3の方法で精製したCL−PACを用いた。PACあるいはEGCG[(-)−エピガロカテキン−O−ガレート;クリタ高純度試薬、クリタ分析センター(株)、Lot No.048311]、カテキン[(±)−カテキン;クリタ高純度試薬、クリタ分析センター(株)、Lot No.C012002J15]、エピカテキン(SIGMA、E1753−1G、Lot No.026K2611)及びプロシアニジンB2(Bio Chemika、42157、1mg)は、いずれも最終濃度が0.1から10μg/mlになるように、無血清DMEM培地で希釈し添加した。上記試薬の溶媒であるDMSOの最終濃度は、全群で0.1%に統一した。1時間の前培養の後、PDGF−BB(recombinant human platelet growth factor、R&D SYSTEMS、No.220−BB)を最終濃度10ng/mlになるようにLI90に添加し、さらに培養した。培養終了後、LI90の増殖をMTT法にて、DNA合成量をBrdU labeling&detection kit(Roche Diagnostics Co.,USA)を用いて評価した。また、アポトーシスにより生じるDNA断片化の相対量は、Cell Death Detection ELISAPLUS(Roche Diagnostics Co.,USA)により測定した。ERK(p42とp44)及びAkt(Ser473)のリン酸化は、Western blot法により検出し、得られたバンドの濃さを定量し、数値化した。Western blot法に用いた抗体は、Phospho−p44/42 MAPK(Erk1/2)(Thr202/Tyr204)(D13.14.4E)ウサギモノクローナル抗体(Cell Signaling TECHNOLOGY、#9910)、p44/42(Erk1/2)(137F5)ウサギモノクローナル抗体(Cell Signaling TECHNOLOGY、#9926)、Phospho−Akt(Ser473)(D9E)ウサギモノクローナル抗体(Cell Signaling TECHNOLOGY、#9916)及びAkt(pan)(C67E7)ウサギモノクローナル抗体(Cell Signaling TECHNOLOGY、#9916)である。
【0110】
各実験結果における統計学的な有意差の検定は、多重比較検定(Tukey法及びDunnet法)によった。
【0111】
図5は、BB−PACによるLI90細胞数の増殖抑制効果を示す。同図に示すように、BB−PACは、1〜10μg/mlの濃度範囲で、LI90細胞数の増殖を抑制するとともに、PDGF−BB処理したLI90細胞数の増加も抑制した。
【0112】
図6は、BB−PACによるPDGF−BB処理したLI90細胞のDNA合成活性化抑制効果を示す。同図に示すように、BB−PACは、1μg/mlにおいてDNA合成量の増加をほぼコントロールレベルまで抑制した。
【0113】
図7は、BB−PACによるPDGF−BB処理したLI90細胞のERK及びAktリン酸化抑制効果を示す。同図に示すように、BB−PACは、1μg/mlにおいてPDGF−BB処理によるERKのリン酸化を完全に抑制した。またPDGF−BB処理によるAkt(Ser473)のリン酸化を部分的に抑制した。
【0114】
図8は、BB−PAC以外のPACによるPDGF−BB処理したLI90細胞のDNA合成活性化抑制効果を示す。同図に示すように、ブドウ種子由来のGS−PAC及びクロトン種樹液由来CL−PACは、GS−PACと同一の濃度で、BB−PAC同様にPDGF−BBによるLI90細胞のDNA合成量の増加を強く抑制した。
【0115】
図9は、PACの重合度によるPDGF−BB処理したLI90細胞のDNA合成活性化抑制効果を示す。同図に示すように、PAC単量体からなるカテキン、エピカテキン及びEGCG、及びエピカテキン二量体からなるプロシアニジンB2は、ポジティーブコントロールのBB−PAC(平均重合度11.2)と同一濃度範囲(3及び10μg/ml)では、BB−PAC及びEGCG(コントロール)に匹敵するようなDNA合成量増加抑制効果は認められなかった。
【0116】
図10は、BB−PACによるPDGF−BB処理したLI90細胞の増殖抑制及びアポトーシス誘導効果を示す。同図に示すように、BB−PACは、3−10μg/mlの濃度範囲で、濃度依存的にPDGF−BB処理したLI90細胞の増殖を抑制するとともに、DNAの断片化を有意に促進した。後者は、BB−PACがPDGF−BB処理したLI90細胞のアポトーシスを誘導する活性があることを示唆している。
【0117】
これらのことから、結論として次のことが言える。
(1)ブルーベリー葉由来BB−PACは、LI90細胞の増殖、及びPDGF−BB処理によるLI90細胞のDNA合成活性化をEGCG同様に強く抑制する。
(2)ブドウ種子由来のGL−PAC及びクロトン樹液由来のCL−PACにもブルーベリー葉由来のBB−PACと同等の抑制効果が認められる。
(3)カテキン、エピカテキン及びプロシアニジンB2のような単量体や二量体には、同様の抑制効果が殆ど認められない。
(4)ブルーベリー葉由来のBB−PACは、PDGF−BB処理によるERK及びAktのリン酸化を抑制する。
(5)BB−PACは、PDGF−BB処理したLI90細胞のアポトーシスを誘導する。
【産業上の利用可能性】
【0118】
PAC組成物を有効成分とする、肝線維化の抑制剤、肝星細胞増殖抑制、肝星細胞DNA合成活性化抑制剤、肝星細胞アポトーシス誘導剤、また肝線維化を病因とする肝疾患、例えば肝硬変や肝癌の発症もしくは進展抑制剤は、肝疾患の予防又は治療に優れた効果を示す。加えて、長期間にわたり服用できるところから、これらの改善のための機能性補助飲食物としても利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】PACを構成するフラバン化合物の代表成分であるエピカテキン及びカテキン並びにフラバン環3位水酸基にしばしばエステル結合する没食子酸の構造式図である。
【図2】(A)はシアニジン標品のMS/MSスペクトルで、(B)はブルーベリー葉由来PACのポーター法分解物MS/MSスペクトルを示すグラフである。
【図3】PACを酸性条件下、ベンジルメルカプタンと共に加熱する反応であるチオール開裂を示した模式的図である。
【図4】ブルーベリー葉由来のPACのチオール開裂反応生成物の逆相クロマトグラムを示すグラフである。
【図5】PDGF−BB処理又は未処理によるLI90細胞の細胞増殖に対するBB−PACの作用を示すグラフである。
【図6】PDGF−BB処理又は未処理によるLI90細胞のDNA合成に対するBB−PACの作用を示すグラフである。
【図7】PDGF−BB又は未処理によるLI90細胞のERK及びAktリン酸化に対するBB−PACの作用を示す写真及びグラフで、(A)及び(C)は写真、(B)及び(D)はグラフである。
【図8】PDGF−BB処理又は未処理によるLI90細胞のDNA合成に対するBB−PAC、GS−PAC、CL−PACの作用を示すグラフである。
【図9】PDGF−BB処理又は未処理によるLI90細胞のDNA合成に対するBB−PACの作用と、EGCG、カテキン、エピカテキン及びプロシアニジンB2の作用を示すグラフである。
【図10】PDGF−BB処理によるLI90細胞の細胞増殖とDNA断片化に対するBB−PACの作用を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロアントシアニジン組成物を有効成分とする肝線維化抑制剤。
【請求項2】
前記プロアントシアニジン組成物は、
下記一般式(1)
【化1】


[式(1)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は水酸基、Rは水酸基、Rは水素原子又は一価の有機基を、それぞれ示す。]
で表されるフラバン−3−オール骨格が、下記(i)、(ii)又は(iii)の結合様式で2以上互いに結合した構造を有する、請求項1記載の肝線維化抑制剤。
(i)4位炭素及び8位炭素の結合
(ii)4位炭素及び6位炭素の結合
(iii)4位炭素及び8位炭素の結合並びに2位炭素及び7位酸素の結合
【請求項3】
前記プロアントシアニジンは天然物由来である、請求項1又は2記載の肝線維化抑制剤。
【請求項4】
プロアントシアニジン組成物を有効成分とする肝星細胞増殖抑制剤。
【請求項5】
前記プロアントシアニジン組成物は、
下記一般式(1)
【化2】


[式(1)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は水酸基、Rは水酸基、Rは水素原子又は一価の有機基を、それぞれ示す。]
で表されるフラバン−3−オール骨格が、下記(i)、(ii)又は(iii)の結合様式で2以上互いに結合した構造を有している、請求項4記載の肝星細胞増殖抑制剤。
(i)4位炭素及び8位炭素の結合
(ii)4位炭素及び6位炭素の結合
(iii)4位炭素及び8位炭素の結合並びに2位炭素及び7位酸素の結合
【請求項6】
前記プロアントシアニジンは天然物由来である、請求項4又は5記載の肝星細胞増殖抑制剤。
【請求項7】
肝星細胞アポトーシスに基づく、請求項4〜6のいずれか一項に記載の肝星細胞増殖抑制剤。
【請求項8】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の肝線維化抑制剤又は請求項4〜6のいずれか一項に記載の肝星細胞増殖抑制剤を含む、肝線維化を病因とする肝疾病の発症・進展抑制剤。
【請求項9】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の肝線維化抑制剤又は請求項4〜6のいずれか一項に記載の肝星細胞増殖抑制剤を含む、肝線維化抑制、肝星細胞増殖抑制、肝星細胞アポトーシス誘導、肝線維化を病因とする肝疾病の発症抑制、又は、肝線維化を病因とする肝疾病の進展抑制用の、機能性補助飲食物。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図1】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−242374(P2009−242374A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−318593(P2008−318593)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年、独立行政法人科学技術辰興機構、地域結集型共同研究事業の委託研究、産業技術強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(306024609)財団法人宮崎県産業支援財団 (23)
【出願人】(504258527)国立大学法人 鹿児島大学 (284)
【出願人】(504224153)国立大学法人 宮崎大学 (239)
【出願人】(593050116)南日本酪農協同株式会社 (5)
【Fターム(参考)】