説明

肥満の処置のためおよび体重減少の促進のためのインターフェロンτの使用

体重が望ましくないもしくは過剰である被験、において体重の減少を促進するための方法、および/もしくは体重の増加、特に過剰な体重の増加を予防するための方法が、記載されている。この方法は、被験体に対してインターフェロン−τを投与することを包含する。糖尿病、ならびに特に自己免疫疾患(例えば関節リウマチおよび多発性硬化症)ならびに心臓血管の状態(例えば高血圧)のような、過剰な体重によって引き起こされる状態もしくは過剰な体重によって悪化する状態を発症する危険があるまたは既に罹っている被験体において、体重を減少するための方法もしくは体重増加を予防するための方法もまた、記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、肥満の分野に関し、体重減少をもたらし、体重増加を予防し、そして肥満に関連する状態、肥満によって悪化する状態、もしくは肥満によって直接的にもたらされる状態の処置に関する。さらに詳細には、本発明は、インターフェロンτを投与することによって、体重減少を促進する方法、体重増加を予防する方法、および、体重超過もしくは肥満である状態に関連する状態、体重超過もしくは肥満である状態によって悪化する状態、または体重超過もしくは肥満である状態によって直接的にもたらされる状態を処置する方法に、関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
肥満は、体脂肪の過度の蓄積を含み、主要な公衆衛生問題であり、罹病率および死亡率の相当な増加、ならびに心理的問題、経済実績の減少、および差別に関連していると広く見なされている。肥満は、米国における防ぐことができる死の第2の主要な原因であり、現在成人人口の半分より多くが体重超過であり、その人口のほぼ4分の1が、肥満(30以上の体格指数(BMI))と見なされている。肥満のみですら深刻な健康関心事である一方で、肥満はまた、他の健康問題の一因となること、他の健康問題を引き起こすこともしくは悪化させることも、公知である。これらの問題としては、冠動脈心疾患、脳卒中、閉塞性睡眠時無呼吸、真性糖尿病、痛風、高脂血症、変形関節症、繁殖力の低下、心理社会的機能の損害、身体的な敏捷さの低下、事故の危険性の増加、産科学的成績の損害が挙げられる。
【0003】
肥満の原因は、不明のままである。しかし、肥満が遺伝的原因によろうと遺伝子型−環境の相互作用によって促進されようと、もしくはその両方であろうと、エネルギー摂取量が代謝的および身体的(仕事)エネルギーの消費量を上回っているに違いないことは明白である。というのは、脂肪の蓄積に利用できる余剰のエネルギーが存在するからである。この正のエネルギーバランスを達成することにおける異なる機構の相対的な重要性に関してかなりの不確実さが存続する。
【0004】
肥満の処置は困難である。罹病率および死亡率が肥満個体において増加されることはよく確立されているが、節食が早期死亡の長期的な危険の減少をもたらすかどうかは、不明である。主要な肥満の介入は、多くの異なる形態の節食となっており、それらはしばしば正しい科学的根拠のない流行である。さらに重要な肥満の介入は、実際の運動の期間中およびその後の休息の期間中の両方でエネルギー消費量を増加する身体的活動である。肥満に対処する別の方法は、治療的助力を介しており、肥満の処置のために現在FDAによって認可されている薬物としては、フェンテルミン、フェンフルラミン、シブトラミン、オルリスタット(orlistat)、フェニルプロパノールアミンが挙げられる。これらの薬物の全てについて、副作用が起こる。例えば、肥満の処置のためのフェンフルラミンおよびフェンテルミンの投与は、一部の患者において心臓弁の損傷をもたらし、最終的に市場からのフェンフルラミンの撤退に到った。シブトラミンは、一部の患者において血圧を上昇させ、オルリスタットは、不愉快な胃腸の副作用を有し得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、肥満が問題であること、およびその信頼できる処置は一つも確立されていないことは明白である。肥満の軽減において有効である薬物および治療レジメを開発する必要性が存続して存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
従って、一局面において、本発明は、ヒト被験体において体重減少を促進するための方法を、提供する。
【0007】
別の局面において、本発明は、ヒト被験体における体重増加を予防する方法を、提供する。
【0008】
さらに別の局面において、本発明は、ヒト被験体における過剰の体重増加を予防する方法を、提供する。
【0009】
さらに別の局面において、本発明は、「体重超過」の分類が十分な体格指数を有する患者、より好ましくは「肥満」の分類が十分な体格指数を有する患者、および体重超過もしくは肥満であることによって引き起こされる続発性状態、体重超過もしくは肥満であることによって悪化させられる続発性状態、または体重超過もしくは肥満であることに関連する続発性状態に罹っている患者を処置する方法を、提供する。
【0010】
さらに別の局面において、本発明は、「体重超過」の分類が十分な体格指数を有する個体、より好ましくは「肥満」の分類として十分な体格指数を有する個体、および体重超過もしくは肥満であることによって引き起こされる医学的状態または体重超過もしくは肥満であることに関連する医学的状態を発症する危険がある個体において、体重増加を予防するための方法もしくは体重減少を促進するための方法を、提供する。
【0011】
さらなる局面において、本発明は、一定量の体重増加が正常であり予期される発達段階にある個体における過剰な体重増加を予防する方法を、提供する。
【0012】
別の局面において、本発明は、約25より大きい体格指数を有し、自己免疫障害もしくは心臓血管障害に罹っている患者集団を処置するための方法を、提供する。この集団の処置およびこの集団内の個体の処置は、企図される。
【0013】
本発明のこれらの目的および特徴ならびに他の目的および特徴は、以下の発明の詳細な説明が添付の図面と共に読まれる場合、より十分に理解される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(配列の簡単な説明)
配列番号1は、ヒツジインターフェロン−τ(IFNτ)をコードしている合成遺伝子のヌクレオチド配列である。
【0015】
配列番号2は、成熟ヒツジインターフェロン−τ(IFNτ;oTP−1;GenBank登録番号Y00287;PID g1358)のアミノ酸配列に対応している。
【0016】
配列番号3は、配列の5位および6位のアミノ酸残基が配列番号2の配列と比較して改変されている、成熟ヒツジIFNτのアミノ酸配列に対応している。
【0017】
配列番号4は、配列番号3のタンパク質をコードしている合成ヌクレオチド配列である。
【0018】
(発明の詳細な説明)
(I.定義)
「インターフェロン−タウ」(IFNτもしくはインターフェロンτと省略される)とは、以下の二つの群の特徴の各々からの少なくとも一つの特徴を有するインターフェロンタンパク質のファミリーのいずれをも指す:(i)(a)抗黄体融解(anti−luteolytic)特性、(b)抗ウイルス特性、(c)抗細胞増殖特性;および(ii)α−インターフェロンとの約45%〜約68%のアミノ酸相同性、および公知のIFNτ配列(例えば、Ottら、J.Interferon Res.,11:357(1991);Helmerら、J.Reprod.Fert.,79:83(1987);Imakawaら、Mol.Endocrinol,3:127(1989);Whaleyら、J.Biol.Chem.,269:10846(1994);Bazerら、WO 94/10313(1994))に対する70%より大きいアミノ酸相同性。アミノ酸相同性は、例えばデフォルトのパラメータを用いてLALIGNプログラムを用いて、決定され得る。このプログラムは、配列比較プログラムのFASTAバージョン1.7パッケージソフト(suite)(PearsonおよびLipman、PNAS,85:2444(1988);Pearson、Methods in Enzymology,183:63(1990);William R.Pearson(Department of Biological Chemistry,Box 440,Jordan Hall,Charlottesville,VA)より入手し得るプログラム)において見出される。IFNτ配列は、多様な反芻動物種において同定されており、このような反芻動物種としてはウシ(Bovine sp.,Helmer,S.D.,J.Reprod.Fert.,79:83(1987);Imakawa,K.,Mol.Endocrinol.,119:532(1988))、ヒツジ(Ovine sp.)、ジャコウウシ(Ovibos sp.)、キリン(Giraffa sp.、GenBank登録番号U55050)、ウマ(Equus caballus)、ゼブラ(Equus burchelli、GenBank登録番号NC005027)、カバ(Hippopotamus sp.)、ゾウ(Loxodonta sp.)、ラマ(Llama glama)、ヤギ(Capra sp.、GenBank登録番号AY357336、AY357335、AY347334、AY357333、AY357332、AY357331、AY357330、AY357329、AY357328、AY357327)、およびシカ(Cervidae sp.)が挙げられるが、それらに限定されない。これらの種の多くについてのIFNτのヌクレオチド配列は、公開のデータベースにおいておよび/もしくは文献(例えばRoberts,R.M.ら、J.Interferon and Cytokine Res.,18:805(1998)、Leaman,D.W.ら、J.Interferon Res.,12:1(1993)、Ryan,A.M.ら、Anim.Genet.,34:9(1996)を参照)において報告される。用語「インターフェロン−τ」は、上記で羅列される反芻動物腫によって例示されるいずれの反芻動物種からのインターフェロン−τタンパク質であって、上記に記載した続く二つの群の特徴の各々から少なくとも一つの特徴を有するインターフェロン−τタンパク質をも含むことを意図する。
【0019】
「ヒツジIFNτ(IFNτ)」とは、本明細書中で配列番号2として同定されるアミノ酸配列を有するタンパク質、ならびに、本明細書中で配列番号3として同定されるIFNτタンパク質のような、そのタンパク質の活性に著しく影響しない中性アミノ酸置換のようなアミノ酸の置換および変更を有するタンパク質を、指す。より一般的には、ヒツジIFN−τタンパク質とは、配列番号2として同定される配列に対して、約80%、より好ましくは90%の配列相同性を有するタンパク質である。
【0020】
状態を「処置する」とは、その状態の症状を減少させるためにおよび/もしくはその状態の重篤度を軽減するために有効な治療物質を投与することを、指す。
【0021】
「経口」とは、胃投与を含め、口を経由する投与または胃もしくは腸内への直接投与を含むいずれの経路をも、指す。
【0022】
「腸」とは、胃の下方開口部から肛門へのびる消化管部分であって、小腸(十二指腸、空腸、および回腸)ならびに大腸(上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、および直腸)からなる部分を指す。
【0023】
本明細書中で用いられる用語「肥満を処置する」および「肥満の処置」とは、確立した肥満の予防ならびに軽減を、含む。肥満の処置に加えて、その用語は、肥満に関連する状態および肥満である状態によって悪化する状態の処置を企図する。
【0024】
(II.体重減少の方法および体重管理の方法)
第一の局面において、本発明は、IFNτを投与することによって、体重減少を促進するための方法、体重増加を予防するための方法、および過剰な体重増加を予防するための方法を、企図する。以下に論議されるように、体重超過の被験体に対するIFNτの投与は、脂肪蓄積の減少をもたらした。さらに、高脂肪の食事をとっている被験体に対するIFNτの投与は、同じ食事を摂取したがIFNτを送達しなかった被験体よりも体重増加が少なく、そして脂肪蓄積が少なかった。以下の節においては、IFNτが説明され、そして本願方法におけるIFNτのタンパク質の有用性を確立する研究が論議される。
【0025】
(A.IFNτ)
インターフェロン−タウ(本明細書中の以下、「IFNτ」もしくは「インターフェロンτ」)はもともと、反芻動物の受胎産物の栄養外胚葉によって産生される妊娠認識ホルモンとして発見された(Imakawa,K.ら、Nature,330:377−379(1987);Bazer,F.W.およびJohnson,H.M.、Am.J.Repro.Immunol.,26:19−22(1991))。IFNτ遺伝子の分布は、ウシ、ヒツジ、およびヤギを含め、反芻動物に制限される(Alexenko,A.P.ら、J.Interferon and Cytokine Res.,19:1335−1341(1999))が、ヒトおよびマウスを含め、他の種に属する細胞において活性を有すると示されている(Pontzer,C.H.ら、Cancer Res.,51:5304−5307(1991);Alexenko,A.P.ら、J.Interferon and Cytokine Res.,20:817−822(2000))。例えば、IFNτは、抗ウイルス活性(Pontzer,C.H.ら、Biochem.Biophys.Res.Commun.,152:801−807(1988))、抗増殖活性(Pontzer,C.Hら、1991)、および免疫調節活性(Assal−Meliani,A.,Am.J.Repro.Immunol.,33:267−275(1995))を持つと示されている。
【0026】
IFNτが、インターフェロンαおよびインターフェロンβのようなI型IFNに古典的に関連付けられている活性の多くを示す一方で、IFNτと他のI型IFNとの間には相当の相違が存在する。最も顕著な相違は、反芻動物種における妊娠の間のIFNτの役割である。他のIFNは、妊娠認識に関する類似の活性を持たない。その上異なるのは、ウイルス誘導である。全てのI型IFNは、IFNτを除いては、ウイルスおよびdsRNAによって容易に誘導される(Robertsら、Endocrine Reviews,13:432(1992))。誘導されるIFN−αおよびIFN−βの発現は、一時的であり、約数時間持続する。対照的に、IFNτ合成は、ひとたび誘導されると、ある期間の日数にわたって持続される(Godkinら、J.Reprod.Fert.,65:141(1982))。細胞ごとでは、他のI型IFNよりも300倍多いIFNτが産生される(Cross,J.C.およびRoberts,R,M.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:3817−3821(1991))。
【0027】
別の相違は、IFNτのアミノ酸配列と他のI型インターフェロンのアミノ酸配列とにおいて存在する。インターフェロンα2b、インターフェロンβ、インターフェロンω、インターフェロンγ、およびインターフェロンτの間のアミノ酸配列の類似性パーセントは、以下の表において要約される。
【表A】

【0028】
組換えヒツジIFNτ(rovIFNτ)は、IFNα2bに対して48.8%相同であり、IFNβに対して33.8%相同である。IFNτとIFNαとの間およびIFNτとIFNβとの間のこの制限された相同性のために、IFNτがIFNαもしくはIFNβと同じ様式で振舞うか否かは、予想できない。IFNτはまた、ヒトの細胞のI型レセプターに対しての低いレセプター結合親和性を有すると報告される(Brod,S.、J.Interferon and Cytokine Res.,18:841(1999);Alexenko,A.ら、J.Interferon and Cytokine Res.,17:769(1997))。その上、IFNτが非内因性のヒトタンパク質であるという事実による、IFNτがヒトの身体に導入された場合、全身での中和抗体形成の可能性が生じる(Brod,S.、J.Interferon and Cytokine Res.,18:841(1999))。
【0029】
ヒツジ−IFNτの172アミノ酸配列は、例えば、米国特許第5,958,402号において示され、ヒツジ−IFNτの相同ウシ−IFNτ配列は、例えば、Helmerら、J.Reprod.Fert.,79:83−91(1987)、およびImakawa,K.ら、Mol.Endocrinol.,3:127(1989)において記載される。それらの参考文献からのヒツジ−IFNτの配列およびウシ−IFNτの配列は、本明細書によって参考として援用される。ヒツジIFNτのアミノ酸配列は、本明細書中で配列番号2として示される。
【0030】
(1.IFN−τの単離)
IFNτは、妊娠中のヒツジから回収される受胎産物から単離され得、Godkin,J.D.ら(J.Reprod.Fertil.65:141−150(1982))およびVallet,J.L.ら(Biol.Reprod.37:1307(1987))によって記載されたように、改変された最小必須培地においてインビトロで培養され得る。IFNτは、イオン交換クロマトグラフィーおよびゲル濾過によって上記の受胎産物培養物から精製され得る。単離されたIFNτの均一さは、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(Maniatis,T.ら、「MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL」、Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY(1982);Ausubel,F.M.ら、「CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY」、John Wiley&Sons,Inc.,Media,PA(1988))によって評価され得、そして精製されたIFNτサンプル中のタンパク質濃度の決定は、ビシンコニン酸の(bicinchoninic)(BCA)アッセイ(Pierce Chemical Co.,Rockford,IL;Smith,P.K.ら、Anal.Biochem.150:76(1985))を用いて行われ得る。
【0031】
(2.IFNτの組換え産生)
組換えIFNτタンパク質は、細菌細胞もしくは酵母細胞のような適切な発現システムを用いて、選択されたIFNτポリヌクレオチド断片のいずれからも産生され得る。IFNτのヌクレオチド配列およびポリペプチド配列の単離は、PCT公開番号WO/94/10313において記載され、PCT公開番号WO/94/10313は、本明細書中で参考として援用される。
【0032】
IFNτ発現ベクターを作製するために、IFNτコード配列(例えば、配列番号1もしくは配列番号4)は、発現ベクター(例えば、細菌性発現ベクター)内に置かれ、そして標準的な方法に従って発現される。適切なベクターの例としては、λgt11(Promega,Madison WI);pGEX(Smith,P.K.ら、Anal.Biochem.150:76(1985);pGEMEX(Promega);およびpBS(Strategene,La Jolla CA)ベクターが挙げられる。T7 RNAポリメラーゼプロモーターもしくはtacプロモーターのような適切なプロモーターを含む他の細菌性発現ベクターもまた、用いられ得る。
【0033】
さらに、IFNτポリペプチドをコードしているDNAは、多くの商業的に入手し得るベクターへとクローニングされて、適切な宿主系においてそのポリペプチドの発現をもたらし得る。これらの系は、上記で記載された細菌および酵母の発現系ならびに以下を含む:バチルス属細菌発現(Reilly,P.R.ら、BACULOVIRUS EXPRESSION VECTORS:A LABORATORY MANUAL,(1992);Beamesら、Biotechniques,11:378(1991);Clontech,Palo Alto CA);植物細胞発現、トランスジェニック植物発現、および哺乳動物細胞における発現(Clontech,Palo Alto CA;Gibco−BRL,Gaithersburg MD)。上記の組換えポリペプチドは、融合タンパク質もしくは天然タンパク質として発現され得る。発現された配列の培養基への分泌を促進するリーダー配列のような多くの特徴が、発現ベクター内へ操作され得る。組換え的に産生されたポリペプチドは、代表的には、溶解された細胞もしくは培養基から単離される。精製は、当該分野において公知の方法によって行われ得、その方法としては、塩分画(salt fractionation)、イオン交換クロマトグラフィー、およびアフィニティークロマトグラフィーが挙げられる。免疫アフィニティークロマトグラフィーは、上記に記載したように、上記のIFNτポリペプチドに基づいて生成される抗体を用いて、用いられ得る。
【0034】
組換えの方法に加えて、IFNτのタンパク質もしくはポリペプチドは、適切な抗体を用いることによる方法のような親和性に基づいた方法によって、選択された細胞から単離され得る。さらに、IFNτペプチド(例えば、配列番号2もしくは配列番号3)は、当業者に公知の方法を用いて化学的に合成され得る。
【0035】
(B.インビボの研究)
実施例1は、高脂肪食を与えられたマウスを用いて行われた研究を説明する。2つの群のマウス(群2、群3)は、高脂肪固形飼料を2週間の研究期間の間提供された。固形飼料および水の自由な利用に加えて、群3の各々のマウスは、毎日経口栄養を介して250μLの一日あたり10μgのIFNτを与えられた。群3のマウスは、毎日経口栄養を介して250μLの緩衝液を与えられた。群1の動物は、別のコントロールとして役立ち、正常マウス固形飼料を与えられ、毎日経口栄養を介して緩衝液を与えられた。各々のマウスの体重は、研究期間にわたりモニタリングされた。その結果を図1A〜図1Bにおいて示す。
【0036】
図1Aは、14日間の研究期間にわたる各々の試験群におけるマウスの体重を示す。高脂肪固形飼料を与えられ緩衝液を用いた経口栄養により処置された群2のマウス(四角)は、14日間にわたり連続的に体重が増加した。従来のマウス固形飼料を与えられ緩衝液を用いた経口栄養によって処置された1群のマウス(三角)もまた、試験期間にわたり体重が増加したが、高脂肪食を与えられたマウス(2群)より低い速度で増加した。高脂肪食を与えられ日用量のIFNτを用いて処置された群3のマウス(ひし形)は、もしあったとしてもほとんど体重は増加しなかった。
【0037】
14日目に、試験マウスにおける皮下の鼡径部組織、性腺組織、腹膜後組織、および腸間膜組織からの脂肪蓄積物は、切り出され重さを量られた。図1Bは、群1(正常固形飼料、緩衝液、ドットのバー)、群2(高脂肪固形飼料、緩衝液、網目のバー)、および群3(高脂肪固形飼料、IFNτ、縦縞のバー)のマウスについての脂肪蓄積物の平均の重量を示す。群2(高脂肪固形飼料、緩衝液)のマウスは、切除された4つの組織の全てにおいて最も高い脂肪蓄積物重量を有した。高脂肪食を与えられたマウスへのIFNτの投与は、脂肪の蓄積の著しい減少をもたらし、鼡径領域および腹膜後領域における脂肪蓄積物は、正常食を与えられたマウス(群1)における脂肪蓄積物とほぼ同じ重量であった。IFNτを用いて処置されたマウスについての腸間膜組織における脂肪蓄積物は、群1および群2の両方におけるコントロールマウスよりも少なかった。
【0038】
図1A〜図1Bにおけるデータは、IFNτが、高脂肪食、もしくは一般的に、毎日必要とされるより多いカロリーを提供する食事を摂取する被験体において、体重の増加を予防もしくは減少する予防剤として有効であることを示す。
【0039】
実施例2において詳細に説明される別の研究において、IFNτは、体重の減少におけるおよび体重管理における治療補助として有効であることが示された。この研究においては、マウスは3つの処置群へと分けられ、本明細書中において群4、群5、および群6として同定される。その3つの群は、23日間にわたって高脂肪固形飼料を与えられ、24日目からは緩衝液(コントロール、群4)、1μgのIFNτ(群5)、もしくは10μgのIFNτ(群6)を用いた経口栄養により処置された。
【0040】
図2Aは、試験群のマウスの平均の体重増加を示しているグラフである。試験群内の全てのマウスにおける体重増加は、試験物質の投与に先立って、研究の初めの23日間を通じて同様であった。初めの23日間にわたって、マウスは、高脂肪食を与えられた場合、平均3グラム増えた。24日目から始めて、マウスは緩衝液を用いて(群4)もしくはIFNτを用いて(群5、群6)毎日処置された。24日目に始まる続行する体重増加における群4と群5、群6との間の相違は、図2Aにおいて明白である。群4(高脂肪固形飼料、緩衝液、丸)のマウスは、体重を増加し続けた。1μgの日用量のIFNτで処置されたマウス(四角、群5)もしくは10μgの日用量のIFNτで処置されたマウス(三角、群6)は、IFNτを用いて処置されなかったマウスよりも体重増加が少なかった。表1は、試験群のマウスについてのさまざまな試験日での平均の体重増加をまとめる。
【0041】
【表1】

図2Bは、上記の体重の結果を棒グラフとして表す。各々の処置群についてのドットのバーは、54日間の研究期間にわたる平均体重増加に対応する。コントロールとして高脂肪食を与えられ緩衝液を用いて処置された群4の動物は、全体として6.6グラム体重が増加した。対照的に、IFNτを用いて処置された動物の全体としての体重増加は4.6グラムと著しく低く、IFNτを用いて処置されなかったコントロール動物の全体としての体重増加より30%低かった。網目のバーは、IFNτが試験群5および試験群6に投与された24日目〜54日目の期間にわたる、各々の処置群における平均体重増加に対応する。この期間において、IFNτを用いて処置された動物は、約1.8グラム体重が増加した。IFNτを用いて処置されなかった動物(群4)は、3.5グラム体重が増加し、IFNτを受けた動物のおよそ2倍体重が増加した。IFNτを用いて処置された動物と処置されなかった動物との間の体重増加における相違は、統計学的に有意(p<0.02)であった。1μgの投与量(群5)と10μgの投与量(群6)との間には統計学的差はなく、最小限度の治療用量が一日あたり1μgより少なくなり得ることを示していた。
【0042】
図2A〜図2Bにおけるデータは、IFNτが体重増加の管理のための治療剤として、および必要とされるよりも多いカロリーが毎日摂取される場合の過剰な体重増加を予防するために、有効であることを示す。
【0043】
続けて実施例2において記載される研究を参照すると、群4、群5、および群6の動物は、試験40日目に腹腔内血中ブドウ糖負荷試験を受けた。4時間の絶食の後で、基準血液サンプルを採取し、次いでこれらの動物はブドウ糖の腹腔内注射を受けた。グルコース投与の後間隔を置いて血液を採取し、ブドウ糖濃度について解析した。その結果を図3に示す。図3においては、コントロール群4(丸)、1μgのIFNτを用いて処置された試験群5(四角)、および10μgのIFNτを用いて処置された試験群6(三角)の動物についての血中グルコース濃度が、時間に対してプロットされる。全ての試験群の動物は、グルコースの注射の15分後の第1の読み取りで、血中グルコース濃度が急激に上昇した。次いで血中グルコースレベルは減少し、血中グルコースレベルはグルコース投与の90分後に基準値に近づいた。このデータは、IFNτの投与が試験動物においてグルコース不耐性をもたらさなかったという根拠を提供する。
【0044】
群4、群5、および群6の動物はまた試験44日目に腹腔内インシュリン抑制試験を受けた。4時間の絶食の後、基準血液サンプルを採取し、次いでこれらの動物はインシュリンの腹腔内注射を受けた。血液を間隔を置いて採取し、グルコース濃度について解析した。その結果を図4に示す。図4においては、コントロール群4(丸)、1μgのIFNτを用いて処置された試験群5(四角)、および10μgのIFNτを用いて処置された試験群6(三角)の動物についての血中グルコース濃度が、インシュリン注射後の時間に対してプロットされる。全ての試験群の動物は、インシュリン投与に続く初めの30分において、血中グルコース濃度が急激に低下し、血中グルコース濃度は30分後に安定化した。このデータは、IFNτが、動物の組織、特に脂肪組織による、グルコースの吸収に有害には影響しなかったことを示す。
【0045】
54日間の研究の完了にあたり、脂肪蓄積物をマウスの鼡径領域、性腺領域、腹膜後領域、腸間膜領域から切り出した。図5は、4群(コントロール、ドットのバー)、5群(1μg IFNτ、網目のバー)、および6群(10μg IFNτ、縦縞のバー)のマウスについての脂肪蓄積物の平均重量を、グラムで示している棒グラフである。高脂肪食を与えられたコントロール動物についての脂肪蓄積物の重量は、高脂肪食を与えられIFNτを用いて治療的に処置された動物についての脂肪蓄積物の重量より大きかった。
【0046】
カロリー摂取量における相違に起因する体重増加を除外するために、各々の試験群の動物によって摂取された食餌の解析を行った。図6Aにおいて見られているように、各々の処置群(群1:コントロール(丸)、群2:1μg IFNτ(四角)、群3:10μg IFNτ(三角))のマウスによる平均の累積食餌摂取量は、ほとんど同一であった。したがって、体重増加および脂肪蓄積物の重量における相違は、食餌摂取量における相違よりもむしろIFNτに起因し得る。図6Bは、食餌摂取量のデータを平均の一日食餌摂取量としていくつかの試験期間(約4日間の試験日数として定義される)について表す。この方法で表されると、データは、コントロールマウス(群1、丸)は初めの二つの試験期間(1〜4日目、8〜11日目)にわたってIFNτを用いて処置された群のマウスより少ない食餌を摂取したこと;しかし、コントロールマウスは、23〜26日目の試験期間のあたりで食餌摂取量が増加したことを、示す。
【0047】
(C.処方物および投与量)
したがって、上記のセクションBにおいて説明される研究は、高脂肪、高ショ糖食を与えられた被験体に対するIFNτの投与によって、IFNτを用いて処置されなかった被験体より体重の増加が少なくなることを、確立する。さらに、IFNτを用いて処置され高脂肪食を摂取している体重超過の被験体もしくは肥満している被験体は、IFNτを用いて処置されなかった被験体より体重の増加が少なかった。IFNτは、上記の研究において被験体に対して経口栄養によって投与された;したがって、本発明は、処置を必要とする被験体に対するIFNτの経口投与を、企図する。経口投与は投与の容易さおよび改善された患者のコンプライアンスに起因して好まれる経路であるが、方法は経口投与に限定されず、IFNτのすべての可能な送達の経路が本明細書において包含される。
【0048】
IFNτを含む経口調製物は、薬学的組成物を調製するための公知の方法に従って処方され得る。一般に、IFNτ治療組成物は、その組成物の有効な経口投与を促進するために、有効量のIFNτが適切な添加物、キャリアおよび/もしくは賦形剤と組み合わされるように、処方される。例えば、IFNτを含む錠剤およびカプセル剤は、IFNτ(例えば、凍結乾燥されたIFNτタンパク質もしくは高濃縮IFNτ溶液)を薬学的に受容可能なキャリア(例えば、乳糖、コーンスターチ、微結晶性セルロース、ショ糖)、結合剤(例えば、α型デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン)、崩解剤(例えば、カルボキシメチルセルロースカルシウム、デンプン、低置換ヒドロキシ−プロピルセルロース)、界面活性剤(例えば、Tween 80、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体)、抗酸化剤(例えば、L−システイン、亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、滑石)などの様な添加物と組み合わせることによって調製され得る。
【0049】
さらに、本発明のIFNτポリペプチドは、固形、粉状、もしくは他のキャリアと混合され得る。これらのキャリアは、例えば、乳糖、ショ糖、ソルビトール、マニトール、デンプン(馬鈴薯デンプン、コーンスターチなど)、ミロペクチン(millopectine)、セルロース誘導体もしくはゼラチンである。これらのキャリアとしてはまた、ステアリン酸マグネシウムもしくはステアリン酸カルシウム、または錠剤の形成のために圧縮されるポリエチレングリコールロウのような滑沢剤も挙げられ得る。数層のキャリアもしくは賦形薬を用いることによって、徐放で働く錠剤が調製され得る。
【0050】
経口投与のための液体調製物は、エリキシル剤、シロップ剤、ゲル剤、スプレー剤、もしくは懸濁剤、例えば、約0.1重量%〜約30重量%のIFNτ、糖、およびエタノールと、水と、グリセロールと、プロピレンと、グリコールと、従来の性質のおそらく他の添加物との混合物を含む液剤の形態において作製され得る。液体調製物は、経口で胃および腸へ投与され得るか、もしくは舌下で、もしくは舌の基部、扁桃部、軟口蓋、および口の後部からなる口腔咽頭部へ投与され得る。
【0051】
別の適切な処方は、腸粘膜によって吸収されるまでの胃および腸における存続のためにタンパク質を保護する保護的な投与形態である。タンパク質に対する保護的な投与形態は、当該分野において公知であり、腸溶性コーティングおよび/もしくは粘膜付着性(mucoadhesive)ポリマーコーティング剤が挙げられる。例示的な粘膜付着性ポリマー処方物としては、エチルセルロース、ヒロドキシプロピルメチルセルロース、Eudragit(登録商標)、カルボキシビニルポリマー、カルボマーなどが挙げられる。IFNτの活性な形態での腸管への送達、および、特に小腸への送達のための、経口摂取による胃への投与のために設計される投与形態が、企図される。あるいは、IFNτは、プロテアーゼインヒビター/ペプチダーゼインヒビターと共投与(co−administer)されてもよく、高分子材料を用いて安定化されてもよく、または胃および/もしくは腸の環境からのなんらかの保護を提供する脂質粒子もしくは高分子粒子中に封入されてもよい。
【0052】
鼻からの投与、口腔粘膜からの投与、もしくは舌下の投与のために適切な調製物もまた、企図される。鼻用調製物は、外鼻孔を介する鼻の通路およびもしくは咽喉部内へのスプレーもしくはミスト(mist)としての送達のために適切な液体の形態であり得、当業者によって容易に調製される。口腔粘膜送達のために口腔において保たれ得る、錠剤、カプセル剤、ロゼンジ、もしくはガムの形態の調製物もまた、当業者によって容易に調製される。舌下調製物もまた、スプレー、液剤、ゲル剤、散剤、錠剤、カプセル剤、ロゼンジ、もしくはガムの形態を取り得る。
【0053】
注射による送達のために適切な調製物もまた企図され、皮下、筋肉内、静脈内などを含め、いずれの注射の経路も適切である。
【0054】
IFNτはまた、経口投与の簡単な手段として食物もしくは飲物と混合され得る。特に、スナック食品もしくは清涼飲料中のIFNτの投与は、広範な患者集団にとって魅力的な投与の様式である。あるいは、食物もしくは飲物は、IFNτを食物もしくは飲物と混合するか、またはIFNτを産生することが可能な食物成分もしくは飲物成分の組換え産生によって、IFNτを含むように調製され得る。上記で論議されるように、IFNτポリペプチドをコードしているDNAは、多くの商業的に入手し得るベクターへとクローニングされて、摂取を意図される植物においてそのポリペプチドの発現をもたらし得る。IFNτ含有量が高い果物もしくは野菜は、単独で、または調理された食物もしくは飲物の一部として摂取され得る。
【0055】
IFNτ薬学的組成物は、処置を必要とする個体にとっての治療的有効量において投与される。用量は相当に変化し得、体重超過もしくは肥満の程度、任意の続発性障害の深刻さ、患者の年齢および体重、患者が服用し得る他の薬物などのような要因に依存する。この量または投与量は、代表的には、担当医によって決定される。投与量は、代表的には、約1×10単位/日〜約1×10単位/日の間であり、より好ましくは、約1×10単位/日〜約1×10単位/日の間であり、さらに好ましくは、約1×10単位/日〜約1×10単位/日の間である。特定の実施形態において、IFNτは、約1×10単位/日より大きい投与量、好ましくは約1×10単位/日より大きい投与量、より好ましくは約1×10単位/日より大きい投与量、さらに好ましくは約1×10単位/日より大きい投与量で、経口で投与される。
【0056】
上記の投与量のIFNτは、毎日投与されてもよく、または定常状態の血中濃度が望ましいならば、約2時間毎〜約4時間毎の頻度で送達されてもよい。より頻繁でない間隔(例えば、一日一回もしくは48時間に一回)もまた企図され、一部の患者にとって適切であり得る。各々の用量の投与の速度は、処置される状態の重篤度を緩和しつつ最小の総投与量の投与を可能にするために、代表的には、担当医によって調節される。一回以上の投与量での被験体の処置は、一回に与えられる単回投与量から、一回より多く与えられる用量、同じ用量の進行中の生涯の治療レジメンもしくは可変投与量の進行中の生涯治療レジメンへまでの範囲に及び得る。
【0057】
勿論、本発明に従ったIFNτの投与は、他の治療との組合せて用いられ得ることが理解される。例えば、IFNτは、体重管理もしくは体重減少のために適切である他の因子の投与を付随してもよく、あるいは、心臓疾患、高コレステロール、高血圧、糖尿病、関節炎、多発性硬化症、もしくは乾癬のような、続発性の状態(すなわち、肥満に対して続発性の状態)のための活性を持つ第二の治療因子との組合せにおいて用いられ得ることは、理解される。より一般的には、IFNτは、多発性硬化症のような自己免疫疾患を処置するために、ステロイドのような既知の免疫抑制剤と共投与され得る。そのような免疫抑制剤は、IFNτと相乗的に働き得、等しい用量のIFNτもしくは免疫抑制剤を単独で用いて得られるより有効な処置をもたらし得る。適切な栄養を保証する食物サプリメントの共投与もまた、企図される。
【0058】
(III.例示的な適用)
(A.体重減少を促進し、過剰な体重増加を予防する)
第一の局面において、本発明は、ヒト被験体における体重減少を促進するための方法を、提供する。その方法において、IFNτは、体重の減少によってもしくは患者の体格指数の低下によって測定される脂肪蓄積の減少を引き起こすために有効な量において投与される。体格指数(BMI)は、肥満の分類についての、認知されている臨床学的および疫学的な尺度である。BMIは、身長メートルの2乗によって除算された体重キログラムとして定義される。代表的には、25〜30のBMIは、体重超過として見なされ、30より大きいBMIは、肥満として見なされる。体重減少を促進することに関する本発明の方法は、好ましくは30より大きいBMIを有する人々に関しているが、しかし、(i)25〜30のBMIを有し、かつ過剰の体重によって悪化する続発性医学的状態に罹っている人々、もしくは(ii)25〜30のBMIを有し、かつ過剰の体重に起因する医学的状態を発症する危険がある人々もまた、その処置方法によって利益を受けることが理解される。本発明に従う処置とは、一般的には、初めに「肥満」とて分類された個体についてBMIを約29〜31未満に下げること、もしくは初めに「体重超過」と分類された個体についてBMIを約24〜26未満に下げることを、指す。しかし、身体の太り具合は連続的であることに部分的に起因して、肥満は本質的に分類することが困難であること、および肥満の定義のためのカットオフ点は必然的に任意であることが、当業者によって理解される。しかし、一般的な意味においては、本発明に従った処置は、望ましくは患者にとってもはや重大な健康の危険がない程度まで肥満を予防するかもしくは肥満を軽減する。
【0059】
別の局面において、本発明は、IFNτの組成物を投与することによってカロリー摂取量を変えることなく体重減少を誘導する方法を、個体に提供する。実施例1における研究に関係して上記に示されたように、IFNτと共に高脂肪食(例えば、高カロリー食)を与えられた被験体は、過剰に体重が増加しなかったが、同じ食餌を摂取しIFNτ治療を用いなかった被験体は、体重が増加した。特に、被験体が一日に必要とされる量より多い量のカロリー、一日に推奨される量より多い量の脂肪、一日に推奨される量よりも多い量の糖、もしくはより一般的には、食物からの推奨されるカロリー摂取量より多いカロリー摂取量を摂食した場合ですら、過剰な体重増加はIFNτを投与することによって予防され得る。推奨される一日のカロリー量、脂肪からのカロリー、脂肪からのカロリー、加工された糖からのカロリーは、個体の年齢、性別、身長、体重、および活動レベルに基づくことが理解される。推奨されるカロリー摂取量は、多くの参考文献において、もしくは熟練した医療提供者から、もしくは栄養学の専門家から見出され得る。
【0060】
さらに別の局面において、本発明は、IFNτを含む組成物を投与することによってヒト被験体における体重減少を促進するための方法を提供する。実施例2において記載された研究に関連して上記に示されたように、体重減少もしくは体重が増加しつづけることの予防は、IFNτを投与することによって、体重超過もしくは肥満している被験体において誘導され得る。体重減少の促進は、代表的には、減少されるべき体重の量の最初の決定を、含む。この決定は、その個体にとって望ましいBMIもしくはその個体の身長および体格の大きさにとって推奨される体重に基づき得る。IFNτは、望まれる体重の量が失われるまでその個体に対して投与され、もし望むならば、その時点でそのIFNτ治療は中断されてもよい。あるいは、IFNτ治療は、予防的な措置として、同じ投与量もしくは減少した投与量で続行されてもよい。
【0061】
本発明はさらに、被験体において、正常な成長および発達のために必要とされるより多い体重増加を予防する方法を、企図する。例えば、子供および若年成人は、成長するに従い体重が増加し、この体重増加は正常な成長および発達の一部である。しかし、この期待され必要とされる増加を超える体重増加は、望ましくない。成長および発達のために期待される増加を超える体重増加は、子供の成長および発達をモニタリングする際に医師によって用いられる身長−体重チャートによって容易に決定される。特定の身長についての推奨される範囲の外という結果となる体重増加は、成長および発達のために必要とされるもしくは期待される体重増加を超過した体重増加である。そのような患者においては、過剰な体重増加を予防するためのIFNτ治療が、企図される。
【0062】
別の実施形態において、本発明は、過食のエピソードもしくはむちゃ食いのエピソードに応じたIFNτの投与を企図する。ここにおいて、そのようなエピソードの後での、IFNτの一回の大きな用量、もしくは複数回のより小さい用量は、多すぎるカロリーの摂取に起因する体重増加を予防するために、企図される。
【0063】
(B.過剰な体重もしくは脂肪蓄積に起因する続発性状態を有する患者集団もしくは続発性状態を発症する危険がある患者集団における体重管理)
背景のセクションにおいて上記で論議されるように、米国の成人の半分より多くが体重超過(25以上〜30未満のBMI)であり、米国の成人のほぼ4分の1が肥満(30以上のBMI)であると考えられる。体重超過および肥満の罹患率の増加は、主要な公衆衛生関心事である。なぜならば、肥満はいくつかの慢性疾患に関係しているためである。例えば、体重超過および肥満は、糖尿病、心臓疾患、脳卒中、高血圧、胆嚢疾患、変形性関節症、睡眠時無呼吸、ならびに、子宮癌、乳癌、結腸直腸癌、腎臓癌、および胆嚢癌のようないくつかの形態の癌についての、公知の危険要因である。さらに、肥満は、高コレステロール、妊娠の合併症、月経不順、多毛症、および手術危険度の増加に関係している。
【0064】
従って、別の局面において、本発明は、(1)体重超過もしくは肥満である状態に起因する医学的状態を発症する危険がある患者集団または(2)過剰な体重によって症状もしくは状態自体が悪化する状態に罹っている患者集団または(3)実際の損なわれた身体能力もしくは認められる損なわれた身体能力に起因して体重超過もしくは肥満になる危険を引き起こす状態に罹っている患者集団を処置するための方法を、企図する。上記に論議される研究に基づいて、そのような患者集団へのIFNτの送達がさらなる体重増加の予防および/もしくは体重の減少をもたらし、その両方が実際の続発性医学的状態もしくは起こりそうな続発性医学的状態に有利に影響することは、容易に理解される。好ましい局面において、次に論議されるように、IFNτは、これらの多様な患者集団において、実際の続発性医学的状態もしくは起こりそうな続発性医学的状態に対して治療的利益を提供する。
【0065】
IFNτは、ウイルス性疾患、細胞増殖疾患、ならびに自己免疫障害の処置において、治療的利益を有すると示されている。好ましい実施形態において、IFNτは、約25より大きいBMIを有し自己免疫障害を発症する危険がある患者もしくは約25より大きいBMIを有し既に自己免疫障害に罹っている患者に対して、投与される。自己免疫障害は、主に特異的な器官もしくは組織に制限される自己免疫障害、および全身を冒す自己免疫障害へ、厳密ではなくグループ分けされ得る。器官特異的な障害の例(と冒された器官)としては、多発性硬化症(神経突起のミエリンコーティング)、I型真性糖尿病(膵臓)、橋本甲状腺炎(甲状腺)、悪性貧血(胃)、アディソン病(副腎)、重症筋無力症(神経筋接合部のアセチルコリンレセプター)、関節リウマチ(関節内層(joint lining)、ブドウ膜炎(眼)、乾癬(皮膚)、ギヤン−バレー症候群(神経細胞)およびグレーヴス病(甲状腺)が挙げられる。全身性自己免疫疾患としては、全身性紅斑性狼瘡および皮膚筋炎が挙げられる。
【0066】
特に本発明の方法を用いる処置を受けることが容易にできる自己免疫疾患としては、真性糖尿病、全身性紅斑性狼瘡、関節リウマチ、多発性硬化症、および乾癬が挙げられる。糖尿病は、米国において1600万人に罹患する慢性代謝障害であり、そのうちの150万人を超える人々が糖尿病の最も重篤な形態である小児期糖尿病(若年性糖尿病、1型糖尿病もしくはインシュリン依存性糖尿病とも呼ばれる)を有している。インシュリン依存性糖尿病は、突然、子供および若年成人において最も頻繁に現われ、そして急速に進行する。この形態においては、膵臓は、食物を身体のためのエネルギーに変換するために必要なホルモンであるインシュリンを製造することを止める。身体の事実上全ての主要な器官系が、糖尿病によって損傷を受ける。合併症としては、失明、腎不全、心臓疾患、脳卒中、四肢の切断、神経の感覚喪失、歯の早期喪失、危険性の高い妊娠、および出生時欠損を有して生まれる新生児が、挙げられ得る。現行では、インシュリン注射は、米国において、1型糖尿病についての選り抜きの処置方法であり、多くの2型糖尿病の最終的な治療方針となりつつある。他の自己免疫状態としては、グレーヴス病および強直性脊椎炎が挙げられる。
【0067】
例えば体重超過(25以上30未満のBMI)もしくは肥満(30以上のBMI)と分類される個体のような、過剰の体重は、糖尿病へ至る生活様式の原因となる要因の一つである。従って、例えば体重減少を促進することもしくは体重増加を予防することのような、体重を管理するための方法は、糖尿病の危険がある個体もしくは糖尿病に罹っている個体にとって有益である。そのような患者集団において体重を管理するためのIFNτの投与は、望ましい。さらに、自己免疫障害に対するIFNτの治療的効果に起因して、補足的な治療的利益がもたらされる。
【0068】
関節炎は、関節の炎症を伴い、疼痛、腫脹、硬直、および赤みによって特徴付けられる。関節リウマチは、関節炎の一つの型であり、最も重篤な型の炎症性関節疾患である。関節リウマチは、身体の免疫系が関節および周囲の軟部組織に対して不利益に働きそれらを傷害する自己免疫障害である。関節、特に、手の関節、足の関節、および腕の関節は、きわめて痛み、硬直し、そして変形することとなる。関節リウマチに罹っている患者は、体重が過剰であると、症状の悪化を経験し、しばしば予後がより悪くなる。加えて、それらの状態により運動が苦痛となり、従って身体活動を制限し、そのことが体重増加をもたらしうる。本発明の方法は、患者集団中の一以上の個体に対してIFNτを投与することを企図しており、この患者集団は、関節リウマチに罹っており、(i)約25より大きいBMI、より好ましくは約30より大きいBMIを有し、そして/または(ii)身体的能力の制限に起因する体重もしくはBMIの増加を経験している個体から構成される。IFNτを用いる処置は、体重減少を促進し得、そして/またはさらなる体重増加を予防し得、その結果として、過剰な体重に起因する関節炎状態の悪化を緩和する。
【0069】
紅斑性狼瘡は、結合組織の炎症を引き起こす慢性疾患である。円板状紅斑性狼瘡は、より一般的な型であり、皮膚の露出した領域を冒す。全身性紅斑性狼瘡は、より深刻かつ潜在的には致死性の形態であり、関節および腎臓を含め身体の多くの系を冒す。両方の形態の狼瘡は、身体の免疫系が結合組織を攻撃して炎症を引き起こす自己免疫障害である。狼瘡患者は、関節の圧痛および関節の炎症に起因する身体可動性の制限を経験し得る。身体活動の制限は、体重増加をもたらし得る。本発明の方法は、患者集団中の一以上の個体に対してIFNτを投与することを企図しており、この患者集団は、紅斑性狼瘡に罹っている個体であって、かつ(i)約25より大きいBMI、より好ましくは約30より大きいBMIを有し、そして/または(ii)身体能力の制限に起因する体重もしくはBMIの増加を経験している個体から構成される。IFNτを用いる処置は、体重減少を促進し得、そして/もしくはさらなる体重増加を予防し得、その結果として過剰の体重に起因する関節の圧痛の悪化を緩和し得る。
【0070】
多発性硬化症は、脳および脊髄における神経線維の保護被膜(covering)である散在したミエリンの斑(patch)が破壊される、中枢神経系の進行性疾患である。多発性硬化症は、痺れ感および刺痛から麻痺および失禁に及ぶ症状を引き起こす。患者の四肢は、重く感じられ得、弱くなり得る。多発性硬化症は、身体の防御系がミエリンを異物として処理し始め、次第にミエリンを破壊し、その後、瘢痕および損傷となる、自己免疫疾患である。多発性硬化症患者は、上記に記載された症状に起因して身体可動性の制限を経験し得る。体重超過もしくは肥満であることは、症状を悪化させ、それらの症状に起因する身体活動の制限は、体重増加をもたらし得る。本発明の方法は、患者集団中の一以上の個体に対するIFNτの投与を企図しており、この患者集団は、多発性硬化症に罹っている個体であって、かつ(i)約25より大きいBMI、より好ましくは約30より大きいBMIを有し、そして/または(ii)身体能力の制限に起因する体重もしくはBMIの増加を経験している個体から構成される。IFNτを用いる処置は、体重減少を促進し得、そして/もしくはさらなる体重増加を予防し得、その結果として過剰の体重に起因する多発性硬化症の症状の悪化を緩和し得る。
【0071】
乾癬は、しばしば銀色の鱗屑によって覆われている炎症を起こした赤い皮膚の厚くなった斑によって特徴付けられる自己免疫皮膚疾患である。乾癬によって冒された皮膚の領域は非常に広範囲になり得るため、著しい身体的不快および社会的羞恥が生じる。皮膚発疹の領域は、痛みがある関節の腫脹および硬直を伴い得、非常に無力にし得る。乾癬の罹患(suffer)は、関節の疼痛に起因する身体可動性の制限、およびもしくは認められている運動に参加することができないことに起因する身体可動性の制限を経験し得る。体重超過もしくは肥満であることは、関節を悪化させ、それらの症状に起因して身体的活動の制限は、体重増加をもたらし得る。本発明の方法は、患者集団中の一以上の個体に対してIFNτを投与することを企図しており、この患者集団は、乾癬に罹っている個体であって、かつ(i)約25より大きいBMI、より好ましくは約30より大きいBMIを有し、そして/または(ii)身体的能力の制限に起因する体重もしくはBMIの増加を経験している個体から構成される。IFNτを用いる処置は、体重減少を促進し得、そして/もしくはさらなる体重増加を予防し得、その結果として過剰な体重に起因する乾癬の症状の悪化を緩和し得る。
【0072】
心臓血管疾患は、健康問題をもたらすもう一つの一般的な障害である。別の局面において、本発明は、患者集団中の一人以上の個体を処置する方法を提供し、この患者集団は、約25より大きいBMI、より好ましくは約30より大きいBMIを有し、加えて心臓血管障害に罹っている患者集団である。そのような患者集団は、脳卒中、高血圧、もしくは高コレステロールの危険性がある患者集団であり得る。あるいは、上記の患者集団は、脳卒中に罹ったことがある個体または現行で高血圧もしくは高コレステロールを有する個体であり得る。現行で心臓血管関連障害に罹っている患者集団において、IFNτは、過剰な体重によって悪化する心臓血管障害の症状を緩和するために投与される。すなわち、IFNτは、体重減少を促進するためもしくはさらなる体重増加を予防するために、投与される。この局面において、高血圧、高コレステロール、心臓疾患の処置のための、IFNτと公知の治療因子との共投与が企図される。
【実施例】
【0073】
(IV.実施例)
以下の実施例は、本明細書中で記載される発明をさらに説明しており、本発明の範囲を限定することを決して意図していない。
【0074】
(実施例1)
(予防的なIFNτのインビボでの投与)
12:12の明暗周期において個別に飼育した18匹のC57 Blackマウス(The Jackson Laboratory,Bar Harbor Maine)を、3つの試験群へとランダムに分けた。試験動物は、研究の間、飼料および水を自由に利用でき、以下のような飼料が各群へ提供された。
【0075】
【表2】

上記の高脂肪固形飼料は、高脂肪の固形飼料(60% kCal、Research Diets,Inc.New Brunswick,New Jersey)であった。固形飼料に加えて、各々のマウスを、毎日経口栄養を介して250μLの緩衝液(1群、2群)もしくは10μgのIFNτ(群3)を用いて処置した。動物の体重を14日間にわたってモニタリングした。その結果を図1A〜1Bにおいて示す。
【0076】
(実施例2)
(治療的なIFNτのインビボでの投与)
21匹のオスの特定病原体除去(SPF)マウス(6週齢、C57B1.6J、The Jackson Laboratory,Bar Harbor Maine)を、3つの試験群へとランダムに分けた。これらのマウスを、研究の開始に先立って5日間順化した。この動物を、12:12の明暗周期において個別に飼育した。このマウスは、飼料および水を自由に利用でき、提供された飼料は、高脂肪(60% kCal、Research Diets,Inc.New Brunswick,New Jersey)、高ショ糖食(Research Diet)であった。
【0077】
高脂肪/高ショ糖食を23日間用いた後、各々の試験群における動物を、毎日以下のように処置した。
【0078】
【表3】

上記のIFNτの用量もしくは生理食塩水コントロールを、上記の試験群における各々のマウスに250μLの経口栄養を介して毎日投与した。動物を、研究期間の間毎日観察し、1日目、4日目、8日目、11日目、15日目、19日目、23日目、26日目、30日目、33日目、37日目、40日目、44日目、および47日目に体重を計測した。各々のマウスによって摂取された飼料の量をモニタリングし、体重を測定したのと同じ試験日に摂取された飼料の重量を測定した。
【0079】
(1.腹腔内ブドウ糖負荷(IPGTT)試験)
試験40日目に動物を4時間絶食させた。腹腔内ブドウ糖負荷(IPGTT)試験を行った。空腹時の血液サンプルを、尾静脈から得、ブドウ糖の濃縮溶液(2g/kg体重)を、腹部の皮膚を通過させた針を介して各々のマウスの腹腔内へ注射した。血液サンプルを、15分、30分、60分および90分の時点でブドウ糖およびインシュリンの濃度の解析のために尾静脈から取り出した。そのデータを下記の表において示し、図3においてプロットする。
【0080】
【表4】

(2.Dexaスキャン)
試験43日目に、総体脂肪および総赤身組織の量を測定するためにDexaスキャン(Norland Instruments Dual X−Ray)を行った。
【0081】
(3.腹腔内インシュリン抑制試験(IPIST))
試験44日目に動物を4時間絶食させた。腹腔内インシュリン抑制試験(IPIST)を行った。空腹時の血液サンプルを尾静脈から得、インシュリン(0.75単位/kg体重)を、腹部の皮膚を通過させた針を介して各々のマウスの腹腔内へ注射した。血液サンプルを、10分、30分、および60分の時点でブドウ糖クリアランス測定のために尾静脈から取り出した。その結果を下記の表において、および図4において示す。
【0082】
【表5】

(4.脂質プロファイル測定、脂肪蓄積物の切り出し)
試験47日目にマウスを屠殺した。血清を総コレステロール、高密度脂質、および低密度脂質の脂質プロファイル解析のために、回収し貯蔵した。脂肪蓄積物を、鼡径部領域、性腺領域、腹膜後(retroperiotneal)領域、および腸間膜領域から切り出した。
【0083】
本発明は特定の実施形態に関して記載されているが、本発明から逸脱することなく多様な変更および改変がなされ得ることは当業者にとって明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1A】図1Aは、高脂肪、高ショ糖食を与えられたマウス(四角)、高脂肪、高ショ糖食プラス経口栄養によってインターフェロン−タウ(IFNτ)を与えられたマウス(ひし形)、もしくは従来のげっ歯類固形飼料を与えられたマウス(コントロール、三角)についての、日数の関数としての、マウスのグラムでの体重のグラフである。
【図1B】図1Bは、図1Aにおいて記載されるように14日間にわたって処置されたマウスから切り出された脂肪蓄積物の重量を示す棒グラフである。その脂肪蓄積物は、皮下の鼡径部組織、性腺組織、腹膜後組織、および腸間膜組織から切り出された。
【図2A】図2Aは、日数の関数としての、マウスのグラムでの体重のグラフであり、ここで、1〜23日目には、マウスは高脂肪食を与えられ、そして24日目に始めて1μg IFNτ(四角)もしくは10μg IFNτ(三角)の日用量またはリン酸緩衝化生理食塩水(コントロール、丸)を経口栄養によって付加的に与えられた。
【図2B】図2Bは、3つの処置群のマウスの平均体重をグラムで示す棒グラフであり、全ての処置群のマウスは54日間にわたって高脂肪食を与えられ、24日目に始めてこれらのマウスは1μg IFNτもしくは10μg IFNτの日用量またはリン酸緩衝化生理食塩水(コントロール)を経口栄養によってさらに与えられた。ドットのバーは54日後の各々の処置群についての平均のマウスの体重を示しており、縞のバーは24日目〜54日目の処置期間の間の体重の増加を示している。
【図3】図3は、分での時間の関数としての、マウスにおける血中ブドウ糖濃度のmg/dLでのグラフである。図2Aに記載される54日間の40日目に、各々の処置群(コントロール(丸)、1μg IFNτ(四角)、10μg IFNτ(三角))のマウスは4時間の間絶食され、そして2g/kg体重のブドウ糖負荷を与えられ、そしてブドウ糖クリアランス測定のために規定された間隔で血液サンプルが採血された。
【図4】図4は、分での時間の関数としての、マウスにおける血中ブドウ糖濃度のmg/dLでのグラフである。ここで、図2Aに記載される54日間の44日目に、各々の処置群(コントロール(丸)、1μg IFNτ(四角)、10μg IFNτ(三角))のマウスは4時間の間絶食され、そして0.75単位/kg体重のインシュリン負荷を与えることによって腹腔内インシュリン抑制試験が行われ、そしてブドウ糖クリアランス測定のために規定された間隔で血液サンプルが採血された。
【図5】図5は、図2Aに記載される54日間の研究の完了時に、各々の処置群(コントロール(ドットのバー)、1μg IFNτ(網目のバー)、10μg IFNτ(縦縞のバー))のマウスについて、マウスの鼡径部領域、性腺領域、腹膜後領域、腸間膜領域から切り出された脂肪蓄積物の平均重量をグラムで示す棒グラフである。
【図6A】図6Aは、日数での時間の関数として、図2Aに記載される研究における各々の処置群(コントロール(丸)、1μg IFNτ(四角)、10μg IFNτ(三角))のマウスによる平均の累積食餌摂取量をグラムで示す。
【図6B】図6Bは、4〜5試験日の試験期間へとグループ化された時間の関数として、図2Aに記載される研究における各々の処置群(コントロール(丸)、1μg IFNτ(四角)、10μg IFNτ(三角))のマウスによる平均の一日食餌摂取量をグラムで示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体重減少を促進するための薬もしくは体重増加を予防するための薬の製造における、インターフェロン−タウの使用。
【請求項2】
請求項1に記載の使用であって、前記薬は、脂肪蓄積の減少を達成するために有効な量において被験体に対して提供され、該脂肪蓄積の減少は体重の減少として測定される、使用。
【請求項3】
請求項1に記載の使用であって、前記薬は、(i)前記被験体について推奨される一日摂取量より多い一日摂取量のカロリー;(ii)該被験体について推奨される一日摂取量より多い一日摂取量の脂肪;および(iii)該被験体について推奨される摂取量より多い摂取量の脂肪からのカロリーのうちの、一つ以上の摂取中の体重増加を予防するために有効な量において、被験体に対して提供される、使用。
【請求項4】
請求項1に記載の使用であって、前記薬は、体重減少の促進のためであって、該薬は、望ましい体重減少量を達成するために十分な量において、望ましい体重減少量を達成するために十分な時間にわたって提供される、使用。
【請求項5】
請求項2に記載の使用であって、前記被験体は、前記薬を用いる処置前の一日カロリー摂取量と少なくともほぼ同等のレベルでの一日カロリー摂取量を維持する、使用。
【請求項6】
請求項1に記載の使用であって、前記薬は、その年齢、性別、および体重のヒトについて一日に推奨される脂肪摂取量より多い摂取量の脂肪を摂取しているヒトに対して提供される、使用。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の使用であって、前記薬は、体重減少を必要としているヒトに対して提供される、使用。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の使用であって、前記薬は、一日より長い期間にわたって提供される、使用。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の使用であって、前記薬は、経口投与、鼻腔投与、舌下投与、もしくは口腔粘膜投与のために処方される、使用。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の使用であって、前記薬は、スプレー剤、液剤、ゲル剤、散剤、錠剤、カプセル剤、ロゼンジ、もしくはガムとして処方される、使用。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の使用であって、前記薬は、食物もしくは飲物と混合される、使用。
【請求項12】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の使用であって、前記薬は、一日当たり約10,000単位より大きい一日当たりの単位を達成する様式において提供される、使用。
【請求項13】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の使用であって、前記薬は、反芻動物インターフェロン−τを含む、使用。
【請求項14】
請求項13に記載の使用であって、前記反芻動物インターフェロン−τは、Ovine、Bovine、Ovibos、Giraffa、Equus、Hippopotamus、Loxodonta、Llama、Capra、およびCervidaeからなる群より選択される反芻動物のインターフェロン−τ配列に対応する配列を有する、使用。
【請求項15】
請求項12に記載の使用であって、前記インターフェロン−τは、配列番号2もしくは配列番号3として同定される配列を有するヒツジインターフェロン−τである、使用。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の使用であって、第二の治療因子もしくは食物サプリメントが被験体に対して提供される、使用。
【請求項17】
約25より大きい体格指数および自己免疫障害を有する被験体を処置するための薬の製造における、インターフェロン−τの使用であって、該薬は、該自己免疫障害に関係している症状を緩和するためおよび体重減少を促進するために有効な量において提供される、インターフェロン−τの使用。
【請求項18】
薬の製造における、インターフェロン−τの使用であって、該薬は、約25より大きい体格指数を有し、かつ望ましい体格指数より高い体格指数によって引き起こされる医学的状態もしくは望ましい体格指数より高い体格指数に関係している医学的状態を発症する危険性がある被験体を処置するための薬であり、該薬は、体重減少を促進するため、および該医学的状態を発症する危険性を減少するために有効な量において提供される、インターフェロン−τの使用。
【請求項19】
約25より大きい体格指数を有しかつ心臓血管障害に罹っている個体を処置するための薬の製造におけるインターフェロン−τの使用であって、該薬は、該心臓血管障害に関係している症状を緩和するためおよび体重減少を促進するために有効な量において提供される、インターフェロン−τの使用。
【請求項20】
請求項17〜19のいずれか一項に記載の使用であって、前記薬は、経口投与のためもしくは注射のために処方される、使用。
【請求項21】
請求項17もしくは請求項18に記載の使用であって、前記自己免疫状態もしくは前記医学的状態は、関節リウマチ、II型糖尿病、多発性硬化症、狼瘡、および乾癬から選択される、使用。
【請求項22】
請求項19に記載の使用であって、前記心臓血管障害は、脳卒中、高血圧、および高コレステロールからなる群より選択される、使用。
【請求項23】
請求項17〜19のいずれか一項に記載の使用であって、さらに第二の治療因子を共投与することを包含する、使用。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【公表番号】特表2007−511540(P2007−511540A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540037(P2006−540037)
【出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【国際出願番号】PCT/US2004/038858
【国際公開番号】WO2005/049068
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(504265086)ペプジェン コーポレイション (5)
【Fターム(参考)】