説明

胃腸疾患の治療のためのPPY含有組成物

本発明は医薬組成物に用いるPYYあるいはその機能的同等物に関する。医薬組成物は機能的胃腸疾患、例えば、過敏性腸炎および機能性消化不良の治療に特に有用である。本発明はさらに該組成物を用いた治療方法に関する。さらには、PYYまたはその機能的同等物と第二の有効成分、例えば制吐剤との組み合わせも包含するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は胃腸疾患の治療のためのPPY含有組成物に関する。本発明の組成物はIBS、FD及び/または腹痛の治療用の医薬組成物の製造用である。本発明はさらに該医薬組成物を単独で、あるいは第二の活性成分と合わせて投与することを特徴とする治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
胃腸疾患は人口上非常に一般的である。これらのいくつかは非常に特徴的であり、よって好適な治療体制が開発されている。機能的胃腸疾患の治療方法の開発はさらに困難である。この用語は、主要な異常が、特定可能な構造的あるいは生化学的原因というよりむしろ生理的機能(身体が機能する方法)の変化である疾患あるいは疾病を意味する。よって、胃腸疾患のこれらのタイプの原因は未知であり、つまり、生物学的な説明が出来ない。一般的には、このタイプの疾患は伝統的手法では診断出来ない、つまり、一般的に用いる診断方法、X線、あるいは臨床検査で見ることが出来る炎症、感染、あるいは構造的異常のようには診断できない。
【0003】
原因不明の胃腸疾患としては、過敏性結腸とも呼ばれる過敏性腸症候群(IBS)、機能性消化不良(FD)或いは非潰瘍性消化不良などが挙げられる。それ故、この範疇の胃腸疾患の診断および好適な治療方法の開発は現在のところ十分に成功していない。
【0004】
過敏性腸症候群
IBSの主症状は腹痛、交互に変化する用便習慣、排便困難および腹部膨満を伴う不快症状である。患者は増加した粘液、吐き気、および便秘感と膨満感を持つ。過敏性腸症候群の診断基準は、Talley, NJ および Spinller R (2002) およびTalley, NJ (2003) 監修のROME II(下記参照)によれば、腹痛あるいは腹部不快感が過去12ヶ月間の内12週を占め、下記の2つ以上の特徴を伴うことである:排便による軽快、大便の軟化あるいは回数の増加、大便の硬化あるいは回数の減少。症状は慢性であり、患者の生活の質(quality of life)を損なう。
【0005】
IBSのROME II症状診断基準
過去12ケ月間のうち、必ずしも連続とは限らないが、少なくとも12週以上にわたって腹部不快感あるいは腹痛があり、下記の三つの特徴のうち二つの特徴のあるものを過敏性腸症候群とする:
(1)排便後に軽快する;および/または
(2)発症時に排便回数の変化がある;および/または
(3)発症時に便性状の変化がある
本質的要素ではないが、IBSの診断を助ける他の症状としては、
異常な排便回数(排便回数が1日に3回以上あるいは排便回数が週に3回未満);
異常な便性状(兎糞状あるいは硬便、或いは軟便(泥状)あるいは水様便);
異常な排便通過(排便時の不快感(straining)、便意逼迫、或いは残便感);
排便時粘液付着;
膨満感あるいは異常な腹部膨張感
人口の10−15%がIBS症状を経験していると推定される。
【0006】
主たる用便習慣(下痢、及び/または便秘)に基づいて患者は3つの群に分けられる。
腹痛、便意逼迫および下痢を伴うIBS
腹部不快感、腹部膨満および便秘を伴うIBS
交互に起こる下痢と便秘を伴うIBS
【0007】
機能性消化不良
機能性消化不良(FD)の症状は部分的にはIBSの症状と重複する。消化不良は持続性あるいは頻発性の上腹部痛あるいは自覚的上腹部不快感を意味し、早期の満腹感、食後満腹感、あるいは膨満感が特徴である。消化不良は食事関連の症状とは限らない。患者は、上腹部を中心にした一般的な症状を基に、運動障害様FDと潰瘍様FD(それぞれ不快感と痛み)に分けられる。多くの患者は食事消化後に、上腹部不快感、満腹感及び痛みを始めとする症状を経験する。さらなる症状としては、標準量の食事を食べきることができないこと、膨満感、おくび、吐き気、嘔吐が挙げられる(Feinle-Bisset, C ら、2003)。機能性消化不良の内在するメカニズムは不明である。胃内容排出の遅延の役割が論議されており、現在のところ好ましいモデルとはみなされない。
【0008】
中枢神経系、内臓過敏およびストレス
脳−腸相互反応は健康および疾病での胃腸機能の調節に大きな役割を果たす。中枢神経系(CNS)は消化管の機能、例えば、運動、分泌および血流を調節する。これは個人には気づかれることなく起こる。胃腸の不規則な場合は、個人は短い期間の痛みを経験する。胃腸疾患の患者の場合、痛みは非常に強く、時間も長い。これは、IBSおよびFDを始めとする機能的胃腸疾患の病態生理学において、内臓過敏との関連性があるようである(Feinle-Bisset, Cら、2003)。さらには、ストレス、不安、または忌避記憶の想起は苦痛な事象の認識を強化する。よって、ストレスは痛覚過敏の誘発作用を持つ(Drossman DA, ら、2002)。
【0009】
心理的要因
心理的および社会学的要因は症状の発症および重篤度に関連するように見え(Drossman DA, ら、2002)、過敏性腸症候群の治療に最も有効な薬物は現在のところ抗うつ剤であるようである(Talley, N.J. および Spiller R)。
【0010】
治療
現在のところ、過敏性腸症候群や機能性消化不良などの原因不明の胃腸疾患の治療は実証的事実に基づいており、症状の調節を目的にしている。症状の複雑さは、ただひとつの治療方法がすべての患者に有効ではないことを示唆している。
【0011】
下痢や便秘に関係する症状は便秘薬や下痢止め薬を用いて治療されるが、その成功効果はわずかである。さらには、ロペラミドなどの薬物は下痢を最少にできるが、腹痛を緩和することはない(Talley, N.J. 2003による検討)ので、このことは、不規則な用便習慣とその経験する(experienced)腹痛は直接には関連していないことを示唆している。
【0012】
上記のように、抗うつ剤はIBSにいくらか効果を示し、IBSを伴う下痢の患者の殆どは、デシピラミン(disipramine)、ノルチプチリン(nortyptiline)、フルフェンジン(fluphenzine)などの三環系抗うつ薬による治療で効果を示すが、臨床実験ではその質は変化している。選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は便秘のIBS患者に有効であろうと期待される(Talley, N.J., 2003による検討)。
【0013】
消化管ホルモン
いくつかの消化管ホルモンが胃腸疾患の症状に関連すると示唆されている。VIP、CCKおよびモチリンは上部消化管の運動性に関係し、ポリペプチドYY(PYY)と神経ペプチドY(NPY)は腸内での吸収に影響を与える。後者(PYYとNPYの両者)は、滞留時間を延ばすことによる下痢の治療剤として提案されている(US6,588,708)。
【0014】
PYY
消化管ホルモンペプチドYY(PYY)、および神経ペプチド、神経ペプチドY(NPY)は膵臓ポリペプチド(PP)に構造的に関連している(図1)。PYYとNPYはNPY受容体(Y1R、Y2R、Y4RおよびY5R)を介してその作用を発揮する。PP、NPYおよびPYYペプチドは、アミド化されたC末端を持つ36個のアミノ酸から成る。PYYの2つの形態、PYY1−36およびPYY3−36は、後者が前者の先端を切り取った形態であるが、血液循環内で発見された。PYY3−36はPYY1−36を酵素ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV)で切断することにより作られる。PYY1−36は少なくとも3個のNPY受容体サブタイプ(Y1、Y2及びY5)に結合して活性化するが、一方PYY3−36はY2受容体(Y2R)にもっと選択的である。PYY3−36ペプチドのC末端部のみがY2受容体に結合するために必要である。本文書を通じて、用語PYYはPYY1−36およびPYY3−36の両者を包含するものである(Berglund, M.M.ら、2003)。
【0015】
PYYはブタ胃から最初に単離され(Tatemoto, K および Mutt, C., 1980)、その分子のN末端およびC末端に存在するチロシン残基に基づいてペプチドYYと命名された。
PYYは消化管に一列に並んだ内分泌細胞内、特に遠位部で発現される。PYYは食物消化に呼応して分泌される。15分以内にPYYの血漿内レベルは上昇し、PYYレベルは約90分後には一定値(plateau)に到達する。到達したPYYの最大レベルは消化するカロリーに比例し、これはPYYが食物消化のセンサーとして機能するであろうことを示唆している。さらには、PYYはまた末梢ニューロン、特に腸ニューロンなどの神経細胞により発現する。さらに、PYYは限られた一連の中枢神経で発見される。内分泌細胞内や神経細胞の両者内でのPYYの発現パターンから、PYYが個人における多様な機能の調節に関与しているであろうことが示唆される(Ekblad, E.およびSundler, F., 2002)
【0016】
PYYの提案される役割の1つは、消化管と腸内での流動体および電解質の分泌と吸収を調節することであろう。よって、PYYは滞留時間を延長することによる下痢の治療剤として提案されている(US6,588,708)。さらには、PYY3−36は摂食行動を調節するシステムに関与しているであろうと示唆されている。PYY3−36の末梢投与により齧歯動物の食物摂取が阻害されることが発見されている。さらに、PYY3−36の丘状核内(intra-arcuate)への直接投与は食物摂取を阻害する。摂食行動に対するPYYの効果とNPY2受容体の関連は、NPY受容体Y2欠損マウスがPYY3−36の末梢投与による食欲抑制作用に抵抗性を示すことにより示唆されている(Batteham, R.L.およびBloom, S.R., 2003)。
【0017】
食欲を調節する重要な脳領域である視床下部弓状核(hypothalamic arcuate nucleus)は末梢循環内の栄養素およびホルモンを利用できる。丘状核内のNPYニューロンはY2Rを発現する。丘状核は食物摂取をコントロールするニューロンの異なる2つのサブグループを含有する。ニューロンの1グループは脳に作用して摂食を刺激するNPYを産生し(Stanley, B.G.ら、1986)、ニューロンの隣接するサブグループは、同じ脳の領域にNPYと同様に作用するが、摂食を阻害するメラノコルチンペプチドを産生する(Fan, W. ら、1997)。一般的には、これらのサブセットの一方が活性化されると、他方は阻害される。
【0018】
参考文献
Batterham, R.L. 及び Bloom, S, R (2003):消化管ホルモンペプチドYYは食欲を調節する:Ann. N.Y, Acad. Sci. June;994:162-8
Berglund, M.M.; Hipskind, P.A. 及び Gehlert, D.R. (2003):PP−フォールドペプチド受容体サブタイプの生理学的役割の我々の理解における最近の進展:Exp Biol Med (Maywood), Mar; 228(3): 217-44
Drossman, D.A.; Camilleri, M.; Mayer, E.A.; Whitehead WE (2002):過敏性腸症候群のAGA技術的検討:Gastroenterology, Dec; 123 (6): 2108-31
Ekblad, E.およびSundler, F. (2002):膵臓ポリペプチドとペプチドYYの分布:Peptides. Feb: 23 (2): 251-61
Fan. W.; Boston, B.A.; Kesterson, R.A.: Hruby, V.J.; Cone, R.D (1997):摂食におけるメラノコルチン性ニューロンの役割、およびアグーチ肥満症候群:Nature. Jan 9; 385 (6612): 165-168
Feinle-Bisset, C.; Vozzo, R.; Horowitz, M., 及び Talley, N.J. (2003):American Journal of Gastroenterology, Jan: 99 (1): 170-181
Stanley, B.G.; Kyrkouli, S.E.; Lampert, S. 及び Leibowitz, S.F. (1986): Peptides 7, 1189-1192)
Talley, N.J. 及び Spiller R (2002):過敏性腸症候群:僅かに理解された臓器腸疾患: The Lancet, Vol. 360, August 17, 555-564
Talley, N.J. (2003):過敏性腸症候群の薬剤治療の評価: J. Clin. Pharmacol, 56, 362-369
Tatemoto, K. 及び Mutt, V. (1680):自然発生ポリペプチドの化学的発見方法を用いた二つの新規ホルモン候補の単離:Nature, June 5; 285 (5764): 417-8
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、機能的胃腸疾患の治療用薬剤の製造のためのPYY含有組成物に関する。該薬剤は
a)主たる用便習慣が便秘、および/または
b)主たる用便習慣が交互に起こる下痢と便秘、および/または
c)治療は非経口投与でおこなうこと、
を特徴とする過敏性腸症候群の治療に用いることができる。
【0020】
該薬剤は、過敏性腸症候群および機能性消化不良などの機能的胃腸疾患に伴う腹痛及び内臓痛の治療用である。
【0021】
さらには、該薬剤は以下の症状の治療のための機能性消化不良の治療用である。
a)満腹感、及び/または
b)標準量の食事を食べきることができない、及び/または
c)食物摂取後の痛み、及び/または
d)吐き気、及び/または
e)嘔吐、及び/または
f)腹部膨満、及び/または
g)おくび、及び/または
h)逆流、及び/または
i)上腹部痛、及び/または
j)膨満感、及び/または
k)過剰腸内ガス、
および上記症状の任意の組み合わせ。
【0022】
本発明はさらに該組成物を投与することを特徴とする治療方法に関する。
【0023】
定義
AA:「アミノ酸」参照
アミノ酸:炭素原子、あるいは炭素原子鎖を含む中央部により分けられるアミノ末端部(NH)とカルボキシ末端部(COOH)を含む実体(Entity)で、少なくとも1つの側鎖あるいは官能基を有するもの。NHはアミノ酸またはペプチドのアミノ末端に存在するアミノ基を意味し、COOHはアミノ酸またはペプチドのカルボキシ末端に存在するカルボキシル基を意味する。一般的な用語アミノ酸は天然および非天然アミノ酸の両者を包含する。J. Biol. Chem., 243:3552-59 (1969)に列記され、37 C.F.R., セクション1.822(b)(2)で採用されている標準的命名法の天然アミノ酸は、下記表1に列記したアミノ酸群に属する。非天然アミノ酸は表1に列記されていないものを言う。非天然アミノ酸の例としては、37 C.F.R., セクション1.822(b)(4)に列記されたものであり、それらすべては参考として本明細書に組み込まれている。ここで記載のアミノ酸残基は「D」異性体、「L」異性体の両方であり得る。
【0024】

【0025】
アミノ酸残基:用語「アミノ酸残基」は標準的アミノ酸、非標準的アミノ酸、疑アミノ酸(pseudo-amino acid)を包含し、これらは少なくとも1つの他の種と、例えば2個、例えば3個、あるいは3個以上の他の種と反応したものである。特に、アミノ酸残基は遊離のカルボキシル基の代わりのアシル結合、および/または遊離のアミン基の代わりのアミン結合および/またはアミド結合を有するものである。さらには、反応したアミノ酸残基はアミド結合の代わりにエステルまたはチオエステル結合も有するものである。
【0026】
抗体:抗体とは免疫グロブリン分子と免疫グロブリン分子の活性部を言う。抗体は、例えば、無傷の免疫グロブリン分子や、免疫活性を保持したそのフラグメントである。
【0027】
抗原:抗体で認識される分子。通常は、ペプチド、ポルペプチドまたは多重体ポリペプチド。抗原は好ましくは免疫応答を誘発する能力を有する。
【0028】
キメラ:自然界で一緒には発見されない少なくとも2つの部分からなる分子。キメラペプチドまたはタンパクは2個のペプチドまたはタンパク質を融合することにより構築されたペプチドまたはタンパク質である。キメラDNA分子はキメラタンパク質をコードするDNA分子である。
【0029】
濃度当量(concentration equivalent):濃度当量は、インビトロおよび/またはインビボで既知の化合物と同じ応答(投与量−応答曲線等から評価される場合)を発揮する化合物の投与量として定義された投与量当量である。
【0030】
頻度:ある期間内においてある事象が発生する回数(例えば、1日あたりあるいは1週間あたり発生回数)。
【0031】
個人:生存している動物またはヒト。好ましい態様においては、対象はヒトやヒト以外の哺乳動物、例えばイヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ラットおよびマウスなどを含む哺乳動物である。最も好ましい態様においては、対象はヒトである。
【0032】
単離:その天然環境の成分から同定および分離および/または回収された、ここで開示の多様な分泌促進物質、ポリペプチド、およびヌクレオチドを記述するために用いられる。その天然環境の不純な成分は、ポリペプチドの診断または治療用途を一般的には阻害する材質であり、酵素、ホルモン、および他のタンパク性または非タンパク性の溶質が挙げられる。好ましい態様においては、ポリペプチドは精製されるであろう。
【0033】
リガンド:例えば、ペプチドのような分子で、同族の受容体の1個または複数に特異的に結合できるもの。抗原は、例えば、その同族抗体に対するリガンドである。
【0034】
医学的疾患(medical disorder):
用語「医学的疾患」により、個人の肉体的および/または精神的健康に有害な影響をもつすべての病気または症候を意味するものである。
【0035】
MTD:最大耐量。与えられた試験期間における物質の最大耐量とは、a)明白な毒性、例えば、明らかな細胞死または臓器の機能不全;b)癌誘発によるもの以外の寿命の実質的減少;c)成長期の動物における体重増加の10%またはそれ以上の阻害、を誘発してはいけない。
【0036】
非経口:本発明の目的においては、「非経口」は消化管の外を意味する。よって、用語:化合物の「非経口投与」は、例えば、皮下、筋肉内、静脈内、鼻内、口腔、皮内および経皮投与を包含し、また、該化合物の吸入も包含する。
【0037】
ペプチド:配列を決定する複数の共有的結合したアミノ酸残基で、アミノ結合により結合している。用語はオリゴペプチドとポリペプチドと同じように用いられる。アミノ酸は天然アミノ酸および非天然アミノ酸の両者、およびそれらの組み合わせのすべてを包含する。天然および/または非天然アミノ酸はペプチド結合または非ペプチド結合により結合している。用語ペプチドはまた、化学的または酵素触媒反応により導入された本分野では知られている翻訳後修飾物も包含する。
【0038】
PYY:ペプチドYY。ここでは、PYYはPYY1−36およびPYY3−36の両者を意味し、それぞれ、全長のもの、および先端が切断された形のPYYを包含する。
【0039】
受容体:受容体は、タンパク質、糖タンパク質等、特異的(無作為的ではなく)に他の分子と結合する分子である。
【0040】
組み換えDNA(rDNA)分子:二つのDNA断片を作動可能になるように結合させて製造したDNA分子。よって、組み換えDNA分子は、通常自然界では一緒には発見されない少なくとも2つのヌクレオチド配列を有するハイブリッドDNA分子である。
【0041】
1/2
半減期は化合物の濃度が50%減少する時間である。
【0042】
[図面の詳細な説明]
図1:
PP−フォールドペプチドファミリーの構造
NPY、PYY及びPPは、PP−フォールド(PP-fold)と呼ばれる共通のヘアピン様三次元構造を共有する(Fuhlendorf, J.ら、(1990)J.Biol.Chem.)。すべての4つのペプチドは、アミド化されたカルボキシ末端を持つ36アミノ酸長である。PP−フォールドペプチドの一般的構造は鳥類(avian)PPのX線結晶解析を用いて規定され、核磁気共鳴を用いたいくつかの実験で確認された(Keire D.A.ら、 (2000) Biochemistry)。アミノ酸残基1−8はタイプIIのプロリンへリックスを形成し、さらにループが続く。残基15−32はα−へリックスを形成し、4つのカルボキシ最末端残基は柔軟なループ立体構造内である。NPYは最も進化的に保存された既知ペプチドの1つである。PPと他の異なる種間での、およびPP、PYYおよびNPYの間で、アミノ酸配列の低程度の保存にもかかわらず、全体的な3次元構造はすべてのPPフォールドペプチドで保存されているようである。
【0043】
図2:
PPY1−36皮下投与に応答したPYY血漿濃度
PPY1−36を実施例3の記載に従って対象に投与した。PYYの血漿レベルは注射のあと4時間測定した。PYYの血漿レベルは投与後15分内に増加する。80−100pmol/lの血漿レベルが、200pmol/kg(FFM)の投与量で得られる。
【0044】
図3:
PPY3−36皮下投与に応答したPYY血漿濃度
PPY3−36を実施例3の記載に従って対象に投与した。PYYの血漿レベルは注射のあと4時間測定した。PYYの血漿レベルは投与後15分内に増加する。100−120pmol/lの血漿レベルが、100pmol/kg(FFM)の投与量で得られる
【課題を解決するための手段】
【0045】
[発明の詳細な説明]
胃腸疾患:
本出願の背景技術の欄で記載した胃腸疾患は原因不明を特徴とし、患者の症状報告を基に後で診断される。主たる症状は、不規則な排便回数を伴う腹部不快感と腹痛である。
患者の症状としては、便秘、下痢、腹痛、満腹感、標準量の食事を食べきることができないこと、腹部膨満、嘔吐、吐き気、および上腹部痛である。
【0046】
必要とする個人:
本発明によれば、本発明の組成物の効果を引き出すことが出来る個人はすべて該組成物で治療できる。よって、本治療効果を引き出す個人は治療が必要とする個人とみなされる。
好ましくは、該個人は胃腸疾患を患っているものである。必要とする個人は上記の疾患のいずれかを患っている。必要とする個人は上記の疾患の症状のいずれか、例えば、腹痛、内臓痛、腹部不快感、下痢、便秘、吐き気、嘔吐、腹部膨満、おくび、あるいは腹部膨張感を患っているものである。
必要とする個人としては、上記の疾患のいずれかを罹患するリスクを持つ個人である。
上記のとおり、そのような胃腸疾患に伴う症状は治療が困難である。驚くべきことに、本発明は、PYYおよびその機能的同等物を用いることにより、胃腸疾患の治療に成功したものである。
【0047】
PYY:
本書類を通じて、ペプチドYY(PYY)はPYY1−36とPYY3−36の両者を包含する一般的用語として用いる。PYY1−36は、C−およびN−末端チロシンアミノ酸残基を有する36AAポリペプチドである。ポリペプチドはプレポリペプチドを切断することにより調製され、さらに上記のように、デペプチジルペプチダーゼIVにより切断されて、PYY3−36を産生する。驚くべきことに、PYYに、IBSや機能性消化不良などのいくつかの胃腸疾患の症状を抑制する能力があることが、引き続き見い出された。
【0048】
機能的同等物:
ヒトPYY1−36は配列番号1(SEQ ID NO:1)で同定される。PYY3−36はPYYの先端が切断された形態で、2個のN最末端残基が除かれている。PYYの機能的同等物としては、異なる種、例えば、マウス、ラット、サル、ブタ、ウシ、あるいは他の哺乳種を起源とするPYY分子が挙げられる。機能的同等物としてPYYの相同物が挙げられる。
本発明は、原因不明の胃腸疾患治療用の医薬組成物の調製のための、PYYあるいはその機能的同等物を含有する組成物に関する。
【0049】
本発明の一態様において、組成物は、下記の症状を特徴とする原因不明の胃腸疾患治療用医薬組成物の調製用である。
a)便秘、及び/または
b)下痢、及び/または
c)腹痛。
【0050】
一態様において、PYYまたはその機能的同等物を含有する組成物は、下記の症状の過敏性腸症候群の治療用医薬組成物の調製用である。
a)主たる用便習慣が便秘、および/または
b)主たる用便習慣が交互に起こる下痢と便秘、および/または
c)治療は非経口投与でおこなう
【0051】
さらなる態様において、組成物は機能性消化不良の治療用である。
さらなる態様において、組成物は腹痛、内臓痛、例えば、左上腹部痛、右上腹部痛、左下腹部痛、右下腹部痛の治療用である。
一態様において、組成物は治療用である。
一態様において、組成物はIBSまたは機能性消化不良に伴う痛みの治療用である。
一態様において、組成物は下記症状の治療用である。
l)満腹感、及び/または
m)標準量の食事を食べきることができない、及び/または
n)食物摂取後の痛み、及び/または
o)吐き気、及び/または
p)嘔吐、及び/または
q)腹部膨満、及び/または
r)おくび、及び/または
s)逆流、及び/または
t)上腹部痛、及び/または
u)膨満感、及び/または
v)過剰腸内ガス、
および上記症状の任意の組み合わせ。
【0052】
好ましい態様において、組成物はヒトPYYを含む。さらに好ましい態様において、組成物は配列番号1で規定されるヒトPYY1−36を含む。さらに好ましい態様において、組成物は配列番号1のアミノ酸3−3で規定されるヒトPYY3−36を含む。
【0053】
相同物:
相同物は、ここではPYY1−36とPYY3−36の両者で代表されるPYYの分子に対していくらかの同一性を共有する分子と解釈される。相同性は、配列をそろえ、必要ならば、全配列と最大パーセントの同一性を達成するためにギャップを埋め、しかしいかなる同類置換も配列の同一性の部分としてみなさずに、候補配列における、比較される対応の配列の残基と同一のアミノ酸残基のパーセンテージで表される。N−またはC−末端の伸張や挿入は同一性または相同性を減少させるものとはみなされない。アラインメントのための方法およびコンピュータープログラムは本分野でよく知られている。配列同一性は配列分析ソフトウェアを用いて測定できる(例えば、Sequence Analysis Software Package, Genetics Computer Group, University of Wisconsin Biotechnology Centre, 1710 University Ave., Madison, Wis. 53705)。このソフトウェアは、多様な置換体、欠失体、および他の修飾体に種々の程度の相同性を割り当てて、類似の配列を合致させる。
【0054】
ここで特定する配列の1つまたは複数の相同物は、規定した配列と比べると1個またはそれ以上のアミノ酸で異なるが、同じ機能を発揮することができ、つまり、相同物は既定の配列の「機能的同等物」として想到できる。
【0055】
上記のように、既定の任意の配列の機能的同等物は以下のように定義できる。
i)抗体により認識されることができるアミノ酸配列を有する相同物で、該抗体はPYY(PYY1−36および/またはPYY3−36)も認識することができる、および/または
ii)NPY受容体に選択的に結合できる(例えば、実施例1のように測定できる)アミノ酸配列を有する相同物、および/または
iii)NPY受容体にPYY(PYY1−36またはPYY3−36)と実質的に同等の、あるいはさらに高度な結合親和性を有する相同物で、好ましくは100nMより高い結合親和性を示す相同物、および/または
iv)配列番号1により同定されるヒトPYYに少なくとも60%の同一性を示す相同物、および/または
v)配列番号1により同定されるヒトPYYの断片から成る相同物で、該断片は配列番号1の少なくとも6個の連続するアミノ酸のストレッチ(stretch)を有する相同物。
【0056】
ヒトPYY1−36は配列番号1の配列を有する。ヒトPYY3−36は34個のアミノ酸長で、配列番号1の2個のN末端アミノ酸が欠損している以外は、配列番号1の配列を有する。
【0057】
相同物の例としては、既定のアミノ酸と同じ群内での、1あるいはそれ以上の同類アミノ酸置換を含む、1またはそれ以上の同類アミノ酸の置換を、あるいは、各同類置換が規定のアミノ酸と異なる群内での置換による、複数の同類アミノ酸置換を包含する。
【0058】
よって、相同物は互いに独立した同類置換を包含し、該相同物の少なくとも1個のグリシン(Gly)がAla、Val、Leu、Ileから成るアミノ酸群から独立して選ばれるアミノ酸で置換されているもの、該相同物のアラニン(Ala)の少なくとも1個がGly、Val、Leu、Ileから成るアミノ酸群から独立して選ばれるアミノ酸で置換されるもの、該相同物の少なくとも1個のバリン(Val)がGly、Ala、Leu、Ileから成るアミノ酸群から独立して選ばれるアミノ酸で置換されているもの、該相同物の該ロイシン(Leu)の少なくとも1個がGly、Ala、Val、Ileから成るアミノ酸群から独立して選ばれるアミノ酸で置換されているもの、該相同物のイソロイシン(Ile)の少なくとも1個がGly、Ala、Val、Leuから成るアミノ酸群から独立して選ばれるアミノ酸で置換されているもの、該相同物の該アスパラギン酸(Asp)の少なくとも1個がGlu、Asn、Glnから成るアミノ酸群から独立して選ばれるアミノ酸で置換されているもの、該相同物の該フェニルアラニン(Phe)の少なくとも1個がTyr、Trp、His、Proから成るアミノ酸群から独立して選ばれるアミノ酸で、好ましくはTyr、Trpから成るアミノ酸群から独立して選ばれるアミノ酸で置換されているもの、該相同物の該チロシン(Tyr)の少なくとも1個がPhe、Trp、His、Proから成るアミノ酸群から独立して選ばれるアミノ酸で、あるいはPheとTrpから成るアミノ酸群から独立して選ばれるアミノ酸で置換されているもの、該断片のアルギニン(Arg)の少なくとも1個がLys、Hisから成るアミノ酸群から独立して選ばれるアミノ酸で置換されているもの、該相同物のリジン(Lys)の少なくとも1個がArg、Hisから成るアミノ酸群から独立して選ばれるアミノ酸で置換されているもの、該相同物の該アスパラギン(Asn)の少なくとも1個がAsp、Glu、Glnから成るアミノ酸群から独立して選ばれるアミノ酸で置換されているもの、該相同物のグルタミン(Gln)の少なくとも1個がAsp、Glu、Asnから成るアミノ酸群から独立して選ばれるアミノ酸で置換されているもの、該相同物のプロリン(Pro)の少なくとも1個がPhe、Tyr、Trp、Hisから成るアミノ酸群から独立して選ばれるアミノ酸で置換されているもの、該相同物の該システイン(Cys)の少なくとも1個がAsp、Glu、Lys、Arg、His、Asn、Gln、Ser、Thr、Tyrから成るアミノ酸群から独立して選ばれるアミノ酸で置換されているもの、が挙げられる。
【0059】
同類置換は好ましい規定の配列の任意の位置にも導入することができる。しかしながら、非同類置換、特にこれらに限定されないが、いずれか1カ所あるいはそれ以上の位置に非同類置換を導入することもまた望ましい。
【0060】
配列の機能的に同等の相同物を形成するための非同類置換は、例えば、i)極性が実質的に異なる、例えば、Gly、Ser、Thr、Cys、Tyr、AsnまたはGln等の極性側鎖を持つ残基またはAsp、Glu、Arg、またはLys等の荷電アミノ酸を非極性側鎖を持つ残基(Ala、Leu、Pro、Trp、Val、Ile、Leu、PheまたはMet)で置換、あるいは非極性残基を荷電残基または極性残基で置換;および/またはii)ProまたはGlyを他の残基で置換する等のポリペプチド骨格配位に対するその効果が実質的に異なる:および/またはiii)電気的荷電が実質的に異なる、例えば、Lys、HisやArg等の陽荷電の残基をGluやAsp等の負荷電残基で置換すること(またはその反対);および/またはiv)立体体積が実質的に異なる、例えば、His、Trp、Phe、Tyr等の嵩高い残基でAla、GlyまたはSer等の小さい側鎖をもつ残基を置換する(あるいはその反対)。
【0061】
アミノ酸の置換は、ある態様においては、荷電、大きさ等を始めとする、その疎水性度と親水性度、アミノ酸側鎖置換の相対的相似性を基礎にして行なう。前記の特徴の1つを考慮したアミノ酸置換の例は本分野の技術者にはよく知られており、例えば、アルギニンとリジン;グルタミン酸塩とアスパラギン酸塩;セリンとスレオニン;グルタミンとアスパラギン;およびバリン、ロイシンおよびイソロイシンが挙げられる。
【0062】
好ましい態様において、相同物は配列番号1に少なくとも60%は一致するアミノ酸配列を有する。
【0063】
さらに好ましくは、同一性は配列番号1に少なくとも65%、例えば少なくとも70%一致、例えば少なくとも75%一致、例えば少なくとも80%一致、例えば少なくとも85%一致、例えば少なくとも90%一致、例えば少なくとも95%一致、例えば少なくとも98%一致である。
【0064】
好ましい態様において、機能的同等物は配列番号1に定義されるPYY1−36の6個のN末端アミノ酸(Tyr Pro Ile Lys Pro Glu)に対応するアミノ酸を有する。機能的同等物は配列番号(SEQ ID)に定義されるPYY1−36の8個のN末端アミノ酸(Tyr Pro Ile Lys Pro Glu Ala Pro)、あるいは配列番号に定義されるPYY1−36の10個のN末端アミノ酸(Tyr Pro Ile Lys Pro Glu Ala Pro Gly Glu)、あるいは配列番号に定義されるPYY1−36の12個のN末端アミノ酸(Tyr Pro Ile Lys Pro Glu Ala Pro Gly Glu Asp Ala)、あるいは配列番号に定義されるPYY1−36の14個のN末端アミノ酸(Tyr Pro Ile Lys Pro Glu Ala Pro Gly Glu Asp Ala Ser Pro)、あるいは配列番号に定義されるPYY1−36の16個のN末端アミノ酸(Tyr Pro Ile Lys Pro Glu Ala Pro Gly Glu Asp Ala Ser Pro Glu Glu)、あるいは配列番号に定義されるPYY1−36の18個のN末端アミノ酸(Tyr Pro Ile Lys Pro Glu Ala Pro Gly Glu Asp Ala Ser Pro Glu Glu Leu Asn)、あるいは配列番号に定義されるPYY1−36の20個のN末端アミノ酸(Tyr Pro Ile Lys Pro Glu Ala Pro Gly Glu Asp Ala Ser Pro Glu Glu Leu Asn Arg Tyr)、あるいは配列番号に定義されるPYY1−36の22個のN末端アミノ酸(Tyr Pro Ile Lys Pro Glu Ala Pro Gly Glu Asp Ala Ser Pro Glu Glu Leu Asn Arg Tyr Tyr Ala)、あるいは配列番号に定義されるPYY1−36の24個のN末端アミノ酸(Tyr Pro Ile Lys Pro Glu Ala Pro Gly Glu Asp Ala Ser Pro Glu Glu Leu Asn Arg Tyr Tyr Ala Ser Leu)、あるいは配列番号に定義されるPYY1−36の26個のN末端アミノ酸(Tyr Pro Ile Lys Pro Glu Ala Pro Gly Glu Asp Ala Ser Pro Glu Glu Leu Asn Arg Tyr Tyr Ala Ser Leu Arg His)、あるいは配列番号に定義されるPYY1−36の28個のN末端アミノ酸(Tyr Pro Ile Lys Pro Glu Ala Pro Gly Glu Asp Ala Ser Pro Glu Glu Leu Asn Arg Tyr Tyr Ala Ser Leu Arg His Tyr Leu)、あるいは配列番号に定義されるPYY1−36の30個のN末端アミノ酸(Tyr Pro Ile Lys Pro Glu Ala Pro Gly Glu Asp Ala Ser Pro Glu Glu Leu Asn Arg Tyr Tyr Ala Ser Leu Arg His Tyr Leu Asn Leu)、あるいは配列番号に定義されるPYY1−36の32個のN末端アミノ酸(Tyr Pro Ile Lys Pro Glu Ala Pro Gly Glu Asp Ala Ser Pro Glu Glu Leu Asn Arg Tyr Tyr Ala Ser Leu Arg His Tyr Leu Asn Leu Val Thr)、あるいは配列番号に定義されるPYY1−36の34個のN末端アミノ酸(Tyr Pro Ile Lys Pro Glu Ala Pro Gly Glu Asp Ala Ser Pro Glu Glu Leu Asn Arg Tyr Tyr Ala Ser Leu Arg His Tyr Leu Asn Leu Val Thr Arg Gln)を有する。
【0065】
さらに好ましい態様において、機能的同等物は配列番号1で定義されるPYY3−36の6個のN末端アミノ酸(Ile Lys Pro Glu Ala Pro)、あるいは配列番号で定義されるPYY3−36の8個のN末端アミノ酸(Ile Lys Pro Glu Ala Pro Gly Glu)、あるいは配列番号で定義されるPYY3−36の10個のN末端アミノ酸(Ile Lys Pro Glu Ala Pro Gly Glu Asp Ala)、あるいは配列番号で定義されるPYY3−36の12個のN末端アミノ酸(Ile Lys Pro Glu Ala Pro Gly Glu Asp Ala Ser Pro)、あるいは配列番号で定義されるPYY3−36の14個のN末端アミノ酸(Ile Lys Pro Glu Ala Pro Gly Glu Asp Ala Ser Pro Glu Glu)、あるいは配列番号で定義されるPYY3−36の16個のN末端アミノ酸(Ile Lys Pro Glu Ala Pro Gly Glu Asp Ala Ser Pro Glu Glu Leu Asn)、あるいは配列番号で定義されるPYY3−36の18個のN末端アミノ酸(Ile Lys Pro Glu Ala Pro Gly Glu Asp Ala Ser Pro Glu Glu Leu Asn Arg Tyr)、あるいは配列番号で定義されるPYY3−36の20個のN末端アミノ酸(Ile Lys Pro Glu Ala Pro Gly Glu Asp Ala Ser Pro Glu Glu l Leu Asn Arg Tyr Tyr Ala)、あるいは配列番号で定義されるPYY3−36の22個のN末端アミノ酸(Ile Lys Pro Glu Ala Pro Gly Glu Asp Ala Ser Pro Glu Glu Leu Asn Arg Tyr Tyr Ala Ser Leu)、あるいは配列番号で定義されるPYY3−36の24個のN末端アミノ酸(Tyr Pro Ile Lys Pro Glu Ala Pro Gly Glu Asp Ala Ser Pro Glu Glu Leu Asn Arg Tyr Tyr Ala Ser Leu Arg His)、あるいは配列番号で定義されるPYY3−36の26個のN末端アミノ酸(Ile Lys Pro Glu Ala Pro Gly Glu Asp Ala Ser Pro Glu Glu Leu Asn Arg Tyr Tyr Ala Ser Leu Arg His Tyr Leu)、あるいは配列番号で定義されるPYY3−36の28個のN末端アミノ酸(Ile Lys Pro Glu Ala Pro Gly Glu Asp Ala Ser Pro Glu Glu Leu Asn Arg Tyr Tyr Ala Ser Leu Arg His Tyr Leu Asn Leu)、あるいは配列番号で定義されるPYY3−36の30個のN末端アミノ酸(Ile Lys Pro Glu Ala Pro Gly Glu Asp Ala Ser Pro Glu Glu Leu Asn Arg Tyr Tyr Ala Ser Leu Arg His Tyr Leu Asn Leu Val Thr)、あるいは配列番号で定義されるPYY3−36の32個のN末端アミノ酸(Ile Lys Pro Glu Ala Pro Gly Glu Asp Ala Ser Pro Glu Glu Leu Asn Arg Tyr Tyr Ala Ser Leu Arg His Tyr Leu Asn Leu Val Thr Arg Gln)に対応するアミノ酸を包含する。
【0066】
好ましい態様において、機能的同等物は配列番号1に定義されるPYY1−36の6個のC末端アミノ酸(Val Thr Arg Gln Arg Tyr)、あるいは配列番号1に定義されるPYY1−36の8個のC末端アミノ酸(Asn Leu Val Thr Arg Gln Arg Tyr)、あるいは配列番号1に定義されるPYY1−36の10個のC末端アミノ酸(Tyr Leu Asn Leu Val Thr Arg Gln Arg Tyr)、あるいは配列番号1に定義されるPYY1−36の12個のC末端アミノ酸(Arg His Tyr Leu Asn Leu Val Thr Arg Gln Arg Tyr)、あるいは配列番号1に定義されるPYY1−36の14個のC末端アミノ酸(Ser Leu Arg His Tyr Leu Asn Leu Val Thr Arg Gln Arg Tyr)、あるいは配列番号1に定義されるPYY1−36の16個のC末端アミノ酸(Ser Leu Arg His Tyr Leu Asn Leu Val Thr Arg Gln Arg Tyr Tyr Ala)、あるいは配列番号1に定義されるPYY1−36の18個のC末端アミノ酸(Arg Tyr Ser Leu Arg His Tyr Leu Asn Leu Val Thr Arg Gln Arg Tyr Tyr Ala)、あるいは配列番号1に定義されるPYY1−36の20個のC末端アミノ酸(Leu Asn Arg Tyr Ser Leu Arg His Tyr Leu Asn Leu Val Thr Arg Gln Arg Tyr Tyr Ala)、あるいは配列番号1に定義されるPYY1−36の22個のC末端アミノ酸(Glu Glu Leu Asn Arg Tyr Ser Leu Arg His Tyr Leu Asn Leu Val Thr Arg Gln Arg Tyr Tyr Ala)、あるいは配列番号1に定義されるPYY1−36の24個のC末端アミノ酸(Ser Pro Glu Glu Leu Asn Arg Tyr Ser Leu Arg His Tyr Leu Asn Leu Val Thr Arg Gln Arg Tyr Tyr Ala)、あるいは配列番号1に定義されるPYY1−36の26個のC末端アミノ酸(Asp Ala Ser Pro Glu Glu Leu Asn Arg Tyr Ser Leu Arg His Tyr Leu Asn Leu Val Thr Arg Gln Arg Tyr Tyr Ala)、あるいは配列番号1に定義されるPYY1−36の28個のC末端アミノ酸(Gly Glu Asp Ala Ser Pro Glu Glu Leu Asn Arg Tyr Ser Leu Arg His Tyr Leu Asn Leu Val Thr Arg Gln Arg Tyr Tyr Ala)、あるいは配列番号1に定義されるPYY1−36の30個のC末端アミノ酸(Ala Pro Gly Glu Asp Ala Ser Pro Glu Glu Leu Asn Arg Tyr Ser Leu Arg His Tyr Leu Asn Leu Val Thr Arg Gln Arg Tyr Tyr Ala)、あるいは配列番号1に定義されるPYY1−36の32個のC末端アミノ酸(Pro Glu Ala Pro Gly Glu Asp Ala Ser Pro Glu Glu Leu Asn Arg Tyr Ser Leu Arg His Tyr Leu Asn Leu Val Thr Arg Gln Arg Tyr Tyr Ala)、あるいは配列番号1に定義されるPYY1−36の34個のC末端アミノ酸(Tyr Ala Ile Lys Pro Glu Ala Pro Gly Glu Asp Ala Ser Pro Glu Glu Leu Asn Arg Tyr Ser Leu Arg His Tyr Leu Asn Leu Val Thr Arg Gln Arg Tyr)に対応するアミノ酸を有する。
【0067】
他の好ましい態様において、機能的同等物はPYY1−36の内部アミノ酸、例えば配列番号1に定義されるアミノ酸16−21(Glu Leu Asn Arg Tyr Tyr)、あるいは配列番号1に定義されるPYY1−36のアミノ酸15−22(Glu Glu Leu Asn Arg Tyr Tyr Ala)、あるいは配列番号1に定義されるPYY1−36のアミノ酸14−23(Pro Glu Glu Leu Asn Arg Tyr Tyr Ala Ser)、あるいは配列番号1に定義されるPYY1−36のアミノ酸13−24(Ser Pro Glu Glu Leu Asn Arg Tyr Tyr Ala Ser Leu)、あるいは配列番号1に定義されるPYY1−36のアミノ酸12−25(Ala Ser Pro Glu Glu Leu Asn Arg Tyr Tyr Ala Ser Leu Arg)、あるいは配列番号1に定義されるPYY1−36のアミノ酸11−26(Asp Ala Ser Pro Glu Glu Leu Asn Arg Tyr Tyr Ala Ser Leu Arg His)、あるいは配列番号1に定義されるPYY1−36のアミノ酸10−27(Glu Asp Ala Ser Pro Glu Glu Leu Asn Arg Tyr Tyr Ala Ser Leu Arg His Tyr)、あるいは配列番号1に定義されるPYY1−36のアミノ酸9−28(Gly Glu Asp Ala Ser Pro Glu Glu Leu Asn Arg Tyr Tyr Ala Ser Leu Arg His Tyr Leu)、あるいは配列番号1に定義されるPYY1−36のアミノ酸8−29(Pro Gly Glu Asp Ala Ser Pro Glu Glu Leu Asn Arg Tyr Tyr Ala Ser Leu Arg His Tyr Leu Asn)、あるいは配列番号1に定義されるPYY1−36のアミノ酸7−30(Ala Pro Gly Glu Asp Ala Ser Pro Glu Glu Leu Asn Arg Tyr Tyr Ala Ser Leu Arg His Tyr Leu Asn Leu)、あるいは配列番号1に定義されるPYY1−36のアミノ酸6−31(Glu Ala Pro Gly Glu Asp Ala Ser Pro Glu Glu Leu Asn Arg Tyr Tyr Ala Ser Leu Arg His Tyr Leu Asn Leu Val)、あるいは配列番号1に定義されるPYY1−36のアミノ酸5−32(Pro Glu Ala Pro Gly Glu Asp Ala Ser Pro Glu Glu Leu Asn Arg Tyr Tyr Ala Ser Leu Arg His Tyr Leu Asn Leu Val Thr)、あるいは配列番号1に定義されるPYY1−36のアミノ酸4−33(Lys Pro Glu Ala Pro Gly Glu Asp Ala Ser Pro Glu Glu Leu Asn Arg Tyr Tyr Ala Ser Leu Arg His Tyr Leu Asn Leu Val Thr Arg)、あるいは配列番号1に定義されるPYY1−36のアミノ酸3−34(Ile Lys Pro Glu Ala Pro Gly Glu Asp Ala Ser Pro Glu Glu Leu Asn Arg Tyr Tyr Ala Ser Leu Arg His Tyr Leu Asn Leu Val Thr Arg Gln)、あるいは配列番号1に定義されるPYY1−36のアミノ酸2−35(Pro Ile Lys Pro Glu Ala Pro Gly Glu Asp Ala Ser Pro Glu Glu Leu Asn Arg Tyr Tyr Ala Ser Leu Arg His Tyr Leu Asn Leu Val Thr Arg Gln Arg)、あるいは配列番号1に定義されるPYY1−36のアミノ酸2−36(Pro Ile Lys Pro Glu Ala Pro Gly Glu Asp Ala Ser Pro Glu Glu Leu Asn Arg Tyr Tyr Ala Ser Leu Arg His Tyr Leu Asn Leu Val Thr Arg Gln Arg Tyr)、あるいは配列番号1に定義されるPYY1−36のアミノ酸4−36(Lys Pro Glu Ala Pro Gly Glu Asp Ala Ser Pro Glu Glu Leu Asn Arg Tyr Tyr Ala Ser Leu Arg His Tyr Leu Asn Leu Val Thr Arg Gln Arg Tyr)を包含する。
【0068】
ある態様において、機能的同等物は、例えば1置換、例えば2置換、例えば2置換、例えば2以上の置換、例えば4以上の置換等の、同類アミノ酸置換した上記の配列のいずれかを有する。
【0069】
さらに、文献で知られた機能的同等物、例えば、WO 03/057235およびその参考資料に開示のPYYアゴニストも含まれる。
【0070】
共有結合修飾
機能的同等物はすべてのタイプの修飾を包含する。アミドからカルボン酸への変換から、複数の複雑なオリゴ糖への接着に亘るまでの、サイズと複雑性が異なるほぼ200個の構造的に識別できる共有結合修飾が現在のところ確認されている。そのような修飾としては、リン酸化、アセチル化、ユビキノン化、脂質化(アセチル化、フェニル化、ファルネシル化、ゲラニル化、パルミトイル化、ミリストイル化)、メチル化、カルボキシル化、スルフル化、およびO−またはN−グリコシル化が挙げられる。
【0071】
一部の修飾は共同因子(cofactor)としてビタミンCに依存する。これにはプロリンおよびリジンヒドロキシル化およびカルボキシ末端アミド化がある。
【0072】
一態様において、PYYまたはその機能的同等物はC末端アミド化を包含する。好ましい態様において、PYYまたはその機能的同等物のC末端チロシン残基はアミド化されている。
【0073】
保護基
本発明による機能的同等物はN末端またはC末端あるいは両端に保護基を有する。
N末端アミノ基に共有結合する保護基は、インビボ条件下でアミノ末端の反応性を減少させる。アミノ保護基としては、−C1−10アルキル、−C1−10置換アルキル、−C2−10アルケニル、−C2−10置換アルケニル、アリール、−C1−6アルキルアリール、−C(O)−(CH2)1−6−COOH、−C(O)−C1−6アルキル、−C(O)−アリール、−C(O)−O−C1−6アルキル、あるいは−C(O)−O−アリールが挙げられる。好ましくは、アミノ末端保護基はアセチル、プロピル、スクシニル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル、またはt−ブチルオキシカルボニルが挙げられる。
【0074】
C末端カルボキシ基に共有結合する保護基は、インビボ条件下でカルボキシ末端の反応性を減少させる。カルボキシ末端保護基は好ましくは最終アミノ酸のa−カルボニル基に結合する。カルボキシ末端保護基としては、アミド、メチルアミド、エチルアミドが挙げられる。
【0075】
複合体(conjugate)
PYYまたはPYYの機能的同等物は、例えばその半減期を引き延ばす為に、他の実体(entity)に結合できる。複合体は目的とする投与量の送達を改善し、分解抑制し、および循環内でのバイオアベイラビリティーを増加できる。複合体はいずれかの分子である。
【0076】
複合体の調製は本分野でよく知られており、例えば、Hermanson GT. Bioconjugate Techniques. New York: Academic Press; 1996, Aslam M, Dent AH. Bioconjugation: protein coupling techniques for the biomedical sciences. Houndsmills, England: Macmillan Publishers; 1999, 及び Wong SS. Chemistry of protein conjugation and crosslinking. Boca Raton, FL: CRC Press; 1991参照。
【0077】
殆どの方法はアミン反応性試薬またはチオール反応性試薬を用いる。複合体の調製において、ある種のリンカーの使用が有利である。例えば、立体障害である(sterically-hindered)ジスルフィド結合を含むリンカーが、インビボで非常に安定であるので、作用点での結合前の毒性部の放出を防ぐ為、しばしば好まれる。良好な放出性を発揮する事が望まれる意図された作用点以外の、体内のあらゆる所で見られる条件下で損なわれることなく保持できる複合体を持つことが一般的に望まれる。
【0078】
異なる複合体が報告されているが、例えば、リシンのA鎖の使用が米国特許第4340535に開示されている(該米国特許は本件に引用される)。Ac−RYY(RK)(WI)RK)−NH(括弧はアミノ酸残基の可能な変異体をしめす)に基づくペプチド複合体の例が米国特許出願(公開)2003040472に開示されている。
【0079】
本発明の一態様において、PYYまたはその機能的同等物は他の実体(entity)に結合する。
合成あるいは精製の前あるいは後に、分子は上記のように、あるいはペプチド結合により結合している。融合は任意の好適な方法、例えばこれに限定されないが、DNA組み換え法によりにより得られる。好ましい態様において、融合はDNA組み換え法、例えば、結合メンバーをコードするヌクレオチド配列とリガンドをコードするヌクレオチド配列との融合がなされ、これにより、該融合は単一のヌクレオチド配列によりコードされる。融合ポリペプチドは単一ポリペプチド分子として、結合メンバーの精製で記載した任意の好適な方法を用いて発現および精製される。融合ポリペプチドは、例えば少なくとも2AAのペプチド、少なくとも5AAのペプチド、少なくとも8AAのペプチド、少なくとも15AAのペプチド、少なくとも20AAのペプチドなどのリンカーの挿入を含む。
一態様では、PYYまたはその機能的同等物は少なくとも2AAのリンカーを用いて他の実体に結合する。
【0080】
PYY調製方法
PYYまたはその機能的同等物は本分野でよく知られた技術を用いて調製できる。例えば、PYYのポリペプチド領域は化学的または生化学的に合成および修飾できる。プリペプチドの化学的合成技術は本分野でよく知れており、例えば固相ペプチド合成がある(例えば、Vincent in Peptide and Protein Drug Delivery, New York, N.Y., Dekker, 1990参照)。細胞内への核酸を導入および核酸の発現を始めとする生化学的合成技術の例は、Ausubel, Current Protocols in Molecular Biology, John Willey, 1987-1998 及び Sambrookら、in Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2nd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989に示されている。
【0081】
本発明によれば、PYYは固相ペプチド合成により合成できる(実施例1参照)。
【0082】
本発明よるPYYがいかに調製されるかの第二の例を以下に簡単に示す。本発明のヒトPYYは下記工程により調製できる。
(a)常法により、ヒトPYYまたはその機能的同等物をコードするDNA配列をもつオペロンを含有する発現ベクターを構築して、本発明のベクターを調製し、
(b)常法により、該発現ベクターを宿主細胞にトランスフェクトして本発明のトランスフェクト宿主細胞を調製し:ついで
(c)常法により、該トランスフェクト細胞を培養して本発明のヒトPYYを調製する。
【0083】
宿主細胞は製造工程を最適化するために第二のベクターで共トランスフェクトできる。この2つのベクターは異なる選択可能なマーカーを含有する。PYYのコード配列はcDNAまたはゲノムDNAあるいは両方を含有できる。
【0084】
本発明のPYYを発現するために用いる宿主細胞は、例えば、Escherichia Coliなどの細菌細胞、あるいはS. cerevisieaやP.pastorisなどの真核細胞であってもよい。特に、Hela、CHO、あるいは本分野の技術者に既知の他の任意の好適な宿主細胞等、哺乳動物の細胞系が用いられる。
【0085】
本発明のベクターを構築する一般的方法、本発明の宿主細胞の調製に必要なトランスフェクション方法、および本発明のポリペプチドを宿主細胞から調製する為に必要な培養方法はすべて通常の技術である。同様に、一旦調製されると、本発明のポリペプチドは下記の標準的工程により精製される。
【0086】
PYYの精製
調製後、PYYまたはその機能的同等物は好ましくは精製される。用いる精製方法はいくつかの因子に依存し、例えば、求められる純度、PYYあるいはその機能的同等物の起源、所望の用途、およびPYYまたはその機能的同等物が調製される種に依存する。
【0087】
沈殿法やカラムクロマトグラフィーなどのポリペプチド精製の任意の好適な常法は精製技術分野の技術者にはよく知られており、例えば、クロスフローろ過、硫安分画、親和性カラムクロマトグラフィー、ゲル電気泳動等が用いられる。
【0088】
PYY組成物
本発明によれば、PYYまたはその機能的同等物を含有する組成物は好ましくは化学的または生化学的合成で、あるいは組み換え法によって調製され、好ましくは感染物質などの血液中に存在する汚染物質を全く含有しない。
好ましい態様において、PYY組成物は少なくとも10nM、例えば少なくとも50nM、少なくとも0.2μM、少なくとも0.5μM、少なくとも1μM、少なくとも2μM、少なくとも5μM、少なくとも10μM、少なくとも20μM、少なくとも50μM、少なくとも0.2mM、少なくとも0.5μM、少なくとも1mM、少なくとも2mM、少なくとも5mMのPYYまたはその機能的同等物を含有する。
【0089】
PYY組成物は乾燥組成物として、例えば、凍結乾燥あるいは噴霧乾燥してPYYの安定性を改善して保存できる。そのような組成物は使用前に液体溶液で再溶解してもどす。一般的には、再溶解してもどした製剤のタンパク質濃度は、凍結乾燥前の混合物のタンパク質濃度より約2〜40倍大きく、よって、これにより高濃度のPYY組成物の調製が可能となる。保存剤を含む希釈剤(注射用滅菌水(BWFI)等)で再溶解してもどす場合、再溶解してもどた製剤は反復投与製剤(multi-dose formulation)として用いる事が出来る。そのような製剤は、例えば、患者が頻繁な皮下投与が必要な場合に有用である。
【0090】
他の態様において、PYY組成物は高安定性の液体組成物である。該PYY組成物は使用前に好適な希釈剤と混合することを意図している。
PYY組成物は薬理的に許容される塩と薬理的に許容される担体および希釈剤をさらに含んでもよい。
【0091】
医薬組成物
本発明の医薬組成物は、通常の方法、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy 1995, E.W. Martin 編, Mack Publishing Company, 19版, Easton, Pa に記載の方法で調製できる。組成物は、例えば、溶液または懸濁剤のような通常の剤形である。
【0092】
ここで用いる用語「薬理的に許容される」、「生理学的に耐容できる」およびそれらの文法的な変異形は、例えばそれらが組成物、担体、希釈剤、試薬等を引用している場合、互いに置き替え可能の同じ意味で用いられ、その物質が望ましくない生理学的効果、例えば、吐き気、めまい、胃部不快感等を引き起すことなく個人に投与できることを意味する。
【0093】
本発明によれば、医薬組成物はPYYまたはその機能的同等物、および薬理的に許容される塩を含有する。
本発明によれば、医薬組成物はさらに好ましくは薬理的に許容される塩、薬理的に許容される担体および/または希釈剤を含有する。医薬組成物はさらにビヒクル、賦形剤、および/または輸送分子も含有できる。
医薬組成物はPYY組成物と好適な希釈剤を混合することにより使用前に調製できる。
本発明の組成物は薬効を得られる任意の方法で、好ましくは、胃腸疾患の治療のために、個人に投与できる。
【0094】
本発明の態様は、本発明による医薬組成物を投与することを特徴とする治療方法に関する。
本発明による医薬組成物は末梢投与、非経口投与または経口投与などの任意の好適な方法による投与に適するように製剤化される。
本発明の医薬組成物は、好ましくは、非経口投与、例えば皮下、筋肉内、静脈内、鼻内、吸入、口腔、皮内、および経皮投与用に、さらには肛門坐剤による投与に適する製剤に製剤化される。
【0095】
第二活性成分
摂食障害事象に苦しむ患者は付加的な治療が効果的である。これは、例えば、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)、ノルエピネフリン・セロトニン再摂取阻害剤(NSRI)、選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害薬、四環系抗うつ薬、三環系抗うつ薬(TCA)を始めとする非選択的モノアミン再取り込み阻害薬、選択的可逆性モノアミン再取り込み阻害薬、および他の作用機序を持つ抗うつ剤、ミルタザピン等の抗うつ剤が挙げられる。SSRIの例としては、シタロプラム、エスシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン及びセルトラリンがある。SNRIの例としては、ベンラファクシンがある。NSRIとしてはミリナシプランがある。
【0096】
本発明の態様において、組成物はPYYまたはその機能的同等物の他に第2の活性成分を含ことができる。
他の態様において、制吐薬が第2の活性成分として用いることができる。PYYまたはその機能的同等物での治療により悪心および/または嘔吐が引き起こされる場合には、特にこれは有用である。
【0097】
制吐薬
本件内容において、制吐薬は悪心および/または嘔吐と対抗する(減少させるまたは除く)ものをいう。悪心および嘔吐の経験は多くの原因があり、この症状の治療または減少は多様なメカニズムで達成できる。悪心および嘔吐の治療に有用な薬物の主たる群は;神経安定薬/抗精神病薬、抗ヒスタミン剤、抗コリン剤、ステロイド剤(副腎皮質ステロイド)、5−HT3受容体拮抗剤(セロトニン受容体拮抗剤)、NK1受容体拮抗剤(ニューロキニン1サブスタンスP受容体拮抗剤)、抗ドーパミン作用薬/ドーパミン受容体拮抗薬、ベンゾジアゼピン、カンナビノイドである。下記は異なる群の各化合物の非限定的リストである。
1.神経安定薬/抗精神病薬
a.ジキシラジン(Dixyrazine)
b.ハロペリドール(Haloperidol)
c.プロクロルペラジン(Prochlorperazine)(コンパジン登録商標(Compazine))
2.抗ヒスタミン剤
a.ピペラジン誘導体
i.シクリジン
ii.メクリジン
iii.シンナリジン
b.プロメタジン
c.ジメンヒドリナート
d.ジフェンヒドラミン
e.ヒドロキシジン
f.ブクリジン(Buclizine)
g.メクリジン塩酸塩(Bonine, Antivert)
3.抗コリン剤(アセチルコリン受容体の阻害剤)
a.スコポラミン
b.グリコピロン(glycopyrron)
c.ヒヨスチン
i.アルタン(トリヘキシル−5−トリヘキシルフェニジル塩酸塩)
ii.コゲンチン(ベンズトロピンメシラート)
iii.アキネトン(塩酸ビペリデン)
iv.ジシパル(ノルフレックスクエン酸オルフェナドリン)
v.ケマドリン(塩酸プロシクリジン)
4.ステロイド剤(副腎皮質ステロイド)
a.ベタメタゾン
b.デキサメタゾン
c.メチルプレドニゾロン
d.プレドニゾン(登録商標)
e.トリメトベンズアミド(Tigan)
5.5−HT3受容体拮抗剤(セロトニン受容体拮抗剤)
a.グラニセトロン
b.ドラセトロン
c.オンダンセトロン(塩酸塩)
d.トロピセトロン(tropisetron)
e.ラモセトロン
f.パロノセトロン
g.アロセトロン
h.ベメセトロン
i.ザチセトロン
j.バタノピルデ
k.MDL-73147EF
l.メトクロプラミド
m.N−3389(エンド−3,9−ジメチル−3,9−ジアザビシクロ[3.3.1]ノン−7−イル−1H−インダゾール−3−カルボサミド2塩酸塩)
n.Y-25130塩酸塩
o.MDL 72222
p.トロパニル−3,5−ジメチルベンゾエート
q.3−(4−アリルピペラジン−1−イル)−2−キノキサリンカルボニルマレエート
r.ザコプリド塩酸塩
s.ミルタザピン(抗うつ剤)
6.NK1受容体拮抗剤(ニューロキニン1サブスタンスP受容体拮抗剤)
a.アプレピタント
b.MPC-4505
c.GW597599
d.MPC-4505
e.GR205171(選択的タキキニンNK1受容体拮抗剤)
f.L-759274
g.SR 140333
h.CP-96,345
i.BIIF 1149, NKP 608C, NKP 608A, CGP 60829, SR 140333 (Nolpitantium besilate/chloride), LY 303870 (Lanepitant), MDL-105172A, MDL-103896, MEN-11149, MEN-11467, DNK 333A, YM-49244, YM-44778, ZM-274773, MEM-10930, S-19752, Neuronorm, YM-35375, DA-5018, MK-869, L-754030, CJ-11974, L-758298, DNK-33A, 6b-I, CJ-11974
j.ベンセラジド及びカルビドパ
k.TAK-637 [(aR,9R)-7-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]-8,9,10,11-テトラヒドロ-9-メチル-5-(4-メチルフェニル)-7H-[1,4]ジアゾシノ[2,1-g][1,7]ナフチリジン-6,13-ジオン]
l.PD 154075([(2-ベンゾフラン)-CH2OCO]-(R)-α-MeTrp-(S)-NHCH(CH3)Ph)
m.FK888、親化合物の化学修飾、(D-Pro4, D-Typ7,9,10,Phe11)SP4-11
7.抗ドーパミン作用薬/ドーパミン受容体拮抗薬
a.ドムペリドン
b.プロクロロペラジン
c.メトクロプラミド
d.クロルプロマジン(Thorazine)
e.ドロペリドール
f.プロメタジン(Phenergan)
8.ベンゾジアゼピン(バリウム(登録商標)他)
9.非神経活性カンナビノイド
a.カンナビジオール(CBD)
b.ジメチルヘプチルカンナビジオール(CBD−DMH)
c.テトラヒドロカンナビノール(THC)
d.WIN55−212等のカンナビノイドアゴニスト(CB1およびCB2受容体アゴニスト)
e.ドロナビノール(マリノール(登録商標))
10.さらなるカンナビノイド
a.ナビロン(Cesamet)
11.c-9280(メルク)
【0098】
5−HT3受容体拮抗剤が特に好ましい。制吐薬は、悪心および/または嘔吐を除く為に、または許容できるレベルまで減少させるために充分な有効量で用いる。
【0099】
好ましい態様
医薬組成物は、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SNRI)、セロトニン・ノルアドレナリン再摂取阻害剤(SNRI)、ノルエピネフリン・セロトニン再摂取阻害剤(NSRI)、選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害薬、四環系抗うつ薬、三環系抗うつ薬(TCA)を始めとする非選択的モノアミン再取り込み阻害薬、選択的可逆性モノアミン再取り込み阻害薬、および他の作用機序を持つ抗うつ剤、例えばミルタザピン等の抗うつ剤をさらに含有するキット・イン・パート(kit-in-part)製剤である。SSRIの例としては、シタロプラム、エスシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン及びセルトラリンが挙げられる。SNRIの例としてはベンラファクシンが挙げられる。このキット・イン・パート製剤は同時投与、連続投与または別々の投与に用いる事が出来る。NSRIの例としてはミルナシプラン(milnacipran)がある。
好ましい態様において、医薬組成物はキット・イン・パート(kit-in-part)製剤である。
【0100】
薬理的に許容される塩
本発明化合物の薬理的に許容される塩もまた、それらが調製出来る場合、本発明範囲に包含されるものとする。これらの塩は医薬用途に用いることが許容されるものを言う。つまり、該塩は親化合物の生物学的活性を保持し、疾病の治療に投与及び使用することにより有害または悪化効果を示さないものを意味する。
【0101】
薬理的に許容される塩は標準的手法で調製できる。親化合物が塩基の場合は、過剰量の有機または無機酸と好適な溶媒中で処理する。親化合物が酸の場合、無機または有機塩基と好適な溶媒中で処理する。
本発明化合物はそのアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩の形で、特におよび好適には医薬組成物の形で、薬理的に許容される担体または希釈剤と一斉に、同時に、または一緒に、その有効量が経口、直腸、または非経口ルート(皮下投与を含む)で投与できる。
【0102】
本発明の医薬組成物に用いる薬理的に許容される酸付加塩の例としては、無機酸(塩酸、臭素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸および硫酸)由来のもの、有機酸(酒石酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、安息香酸、グリコール酸、グルクロン酸、コハク酸、p−トルエンスルホン酸、アリールスルホン酸)由来のものが挙げられる。
【0103】
本発明の医薬組成物はここに開示の化合物の薬理的に許容される塩を包含してもよい。薬理的に許容される塩は酸付加塩(ポリペプチドの遊離アミノ基と形成した)が挙げられる。
【0104】
そのような塩としては、薬理的に許容される酸付加塩、薬理的に許容される金属塩、アンモニウム塩およびアルキル化アンモニウム塩が挙げられる。酸付加塩としては、無機酸との塩及び有機酸との塩が挙げられる。好適な無機酸の代表例としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、硫酸、硝酸等が挙げられる。好適な有機酸の代表例としては、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、安息香酸、桂皮酸、クエン酸、フマル酸、グリコール酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、シュウ酸、ピクリン酸、ピルビン酸、サリチル酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、酒石酸、アスコルビン酸、パモン酸、ビスメチレンサリチル酸、エタンジスルホン酸、グルコン酸、シトラコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、p−アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸およびp−トルエンスルホン酸等が挙げられる。薬理的に許容される無機酸または有機酸付加塩のさらなる例としては、J. Pharm. Sci. 1977, 66.2に列挙される薬理的に許容される塩が挙げられ、該文献は参照することにより本明細書に含まれる。金属塩の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、およびマグネシウム塩等が挙げられる。
【0105】
本発明によれば、例えば酢酸のような有機酸の有機酸塩が好ましい。
【0106】
アンモニウムおよびアルキル化アンモニウム塩の例としては、アンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ヒドロキシエチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、ブチルアンモニウム、およびテトラメチルアンモニウム塩等が挙げられる。
【0107】
遊離カルボキシル基と形成する塩は、例えば、無機塩基(ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウムの水酸化物または水酸化第二鉄等)由来のもの、および有機塩基(イソプロピルアミン、トリメチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカイン等)由来のものでもよい。
また、本発明の化合物およびその薬理的に許容される酸付加塩の範囲内には、それらの任意の水和物(水和形)も含まれるものである。
【0108】
活性成分が溶解または分散されている医薬組成物の調製は本分野でよく知られている。主としてそのような組成物は、液体溶液または懸濁液、水性または非水性の無菌注射剤として調製されるが、使用前に液体内で溶液または懸濁液に適した固体形もまた調製できる。製剤は乳化してもよい。
【0109】
薬理的に許容される担体および希釈剤
活性成分は、薬理的に許容され、該活性成分と共存できる賦形剤と、ここで開示の治療方法への使用に適した量で混合できる。好適な賦形剤としては、例えば、水、生理食塩水、デキストローズ、グリセロール、エタノール等あるいはこれらを組み合わせたものが挙げられる。さらには、要すれば、組成物は少量の補助剤(湿潤剤、乳化剤、pH緩衝剤等の活性成分の効果を増加させるもの)を含有してもよい。
【0110】
液体組成物は水の他、あるいは水を除いた液体相をまた含有してもよい。そのような追加の液体相の例としては、グリセリン、植物油(綿実油等)、有機エステル(オレイン酸エチル等)、および水油乳剤が挙げられる。
【0111】
好適な薬理的に許容される担体としては、不活性固体希釈剤や充填剤、滅菌水性溶液および多様な有機溶媒が挙げられる。固体担体の例としては、乳糖、石こう、ショ糖、シクロデキストリン、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはセルロースの低級アルキルエーテルが挙げられる。液体担体の例としては、シロップ、落花生油、オリーブ油、リン脂質、脂肪酸、脂肪酸アミン、ポリオキシエチレン或いは水が挙げられる。
【0112】
本発明化合物と薬理的に許容される担体を混合して形成する医薬組成物は、開示の投与ルートに適した多様な投与形で容易に投与できる。組成物は製薬分野で知られた方法により、単回投与剤形または反復投与剤形に優位に製剤化される。
【0113】
さらなる態様において、本発明は活性成分として上記の化合物またはその薬理的に許容される塩と薬理的に許容される担体を含有する医薬組成物に関する。
【0114】
安定剤
本発明の活性化合物は不安定の可能性があり、よって組成物は好ましくは、化合物の安定性を増加させるために安定剤、防腐剤、または保存剤を含有してもよい。
【0115】
pH緩衝剤は組成物の活性化合物を安定化するために用いられる。緩衝剤は酢酸塩、カルボン酸塩、ジカルボン酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、トリスまたはヘペスである。好ましい態様では、緩衝剤は酢酸塩である。
【0116】
本発明によれば、組成物は好ましくは2.0から9.0、あるいは2.5から8.0、あるいは3.0から7.0、あるいは3.5から6.0、あるいは3.5から5.0、あるいは4.0から5.5、あるいは4.0から5.0、あるいは4.0から4.5の間のpH値をもつ。好ましくは、組成物のpHは6以下、好ましくは、5.5以下、好ましくは5以下、好ましくは4.8以下、好ましくは4.6以下、好ましくは4.4以下、好ましくは4.2以下である。
【0117】
ツイーン20、ツイーン60、ツイーン80、スパン80、セトステアリルアルコール、ベンジルアルコール、ミリスチルアルコール、モノステアリン酸グリセリン、マンニトール、ポリソルベートおよびラウリル硫酸ナトリウムが可能な安定剤である。
好ましい態様において、マンニトールが安定剤として用いられる。
【0118】
ツイーン60、スパン80、セトステアリルアルコール、ベンジルアルコール、ミリスチルアルコール、モノステアリン酸グリセリン、マンニトールおよびラウリル硫酸ナトリウムが可能な安定剤である。
好ましい態様において、マンニトールが安定剤として用いられる。
【0119】
凍結乾燥組成物の調製において、分散保護剤(lyoprotectant)が活性成分を安定化させるために用いられる(Twonsend and DeLuca, "Use of lyoprotectants in the freez-drying of a model protein, ribonuclease A" Journal of Parenteral Science & Technology 42 (6): 190-199 (Nov.-Dec. 1988))。
分散保護剤は好ましくは、ショ糖、デキストラン、あるいはヒドロキシプロピル−/142−シクロデキストリン等のショ糖やトレハロース等の糖である。
【0120】
輸送分子
輸送分子は本発明化合物がその中に組み込まれること、あるいは固定されることにより作用する。技術者に知られた任意の好適な輸送分子を用いることが出来る。輸送分子の例としては、リポソーム、ミセル、および/またはマイクロスフェアが挙げられる。
例えば、Szoka ら、Ann. Rev. Biophys. Bioeng. 9:467 (1980)、米国特許第4235871、4501728、4837028(これらすべてが参照することにより本書に含まれる)に記載されている様に、多様な方法がリポソームの調製に使用可能である。
ミセルは水性溶液中の界面活性剤(疎水部と、1つまたは複数のイオン性の、あるいは強親水性基を有する分子)により形成される。固体界面活性剤の濃度が増加すると、空気/水あるいはガラス/水の接触面に吸着されたその単分子層がしっかりと圧縮されるようになって、さらなる占有部が2つの単分子層にすでに存在する界面分子の過剰な圧縮を必要とする。その濃度以上に溶解した界面活性剤の量のさらなる増加は新しい分子と同じ量を生じ、ミセル中に凝集する。この工程は「臨界ミセル濃度」と呼ばれる特徴的な濃度で開始する。
【0121】
希釈した界面活性剤溶液中に形成されたミセルの形状はおおよそ球形である。界面活性剤分子の極性頭部基は、炭化水素鎖が中心部に配向している外部球殻に配置され、ミセルの球形核を形成する。炭化水素鎖は任意にコイル状となりからまり、ミセルの内部は単極、液体状である。ポリオキシエチレン化非イオン性界面活性剤のミセルでは、ポリオキシエチレン部位が外に配向し、水に浸透される。親水性頭部基が水と接しており炭素水素部位が水性媒質から除かれて水との接触から極性頭部基により部分的に隠蔽されているので、この配置はエネルギー学的に望ましい。界面活性剤分子の炭化水素尾部はミセルの内部に位置していて、弱いファンデルワールス力で互いに相互作用する。
【0122】
ミセルの大きさまたはその凝集数は、主に幾何学的要素により支配されている。炭素水素核の半径は界面活性剤分子の伸長した炭化水素鎖の長さを越えることはあり得ない。よって、鎖の長さを増加させたり、或いは同族列を増加することにより、球形ミセルの凝集数を増加させる。界面活性剤濃度が数%を越えて増加すれば、また電解質を追加すれば(イオン性界面活性剤の場合)、あるいは温度を上昇させれば(非イオン性界面活性剤の場合)、ミセルはその大きさを増加させる。このような条件下、ミセルは大きすぎて球形のままでいることが出来ず、楕円形、円筒形、あるいは細かい層状形となる。
【0123】
本分野の技術者によく知られた一般的な界面活性剤が本発明のミセルに用いられる。好適な界面活性剤としては、ラウリル酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、オクタオキシエチレングリコールモノドデシルエーテル、オクトキシノール9およびプルロニックF-127(PLURONIC F-127、Wyandotte Chemicals Corp.)が挙げられる。好適な界面活性剤は静脈内注射に準拠した非イオン性ポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレン界面活性剤、例えば、ツイーン80、プルロニックF−68、n−オクチル−ベータ−D−グルコピラノシル等である。さらに、リポソームの調製での使用で記載したリン脂質もまたミセル形成に用いることが出来る。
【0124】
経口投与用組成物
本発明化合物は広範囲な経口投与用投与剤形に製剤化される。医薬組成物および投与剤型は本発明化合物またはその薬理的に許容される塩またはそれらの結晶形を活性化合物して含む。薬理的に許容される担体は固体であっても液体であってもよい。固形状製剤としては、粉末剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤、および分散性顆粒が挙げられる。固体担体は、希釈剤、風味剤、溶解剤、潤滑剤、懸濁化剤、結合剤、保存剤、加湿剤、錠剤崩壊剤、あるいは封入剤として作用する1つまたは複数の物質が挙げられる。
好ましくは、好適な薬理的賦形剤からなる残量は本発明の化合物の0.00002%から2%の重量である。経口投与のためのそのような賦形剤としては、医薬品グレードのマンニトール、乳糖、でんぷん、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルク、セルロース、グルコース、ゼラチン、白糖、炭酸マグネシウム等が挙げられる。
【0125】
粉末剤では、担体は細かく分割された活性成分と混合物である細かく分割された固体である。錠剤では、活性成分は必要な結合能を有する担体と好適な割合で混合され、必要な形状および大きさに圧縮成形される。粉末剤および錠剤は好ましくは活性成分を1〜70%含有する。好適な担体は炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖質、乳糖、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、カカオ脂等である。用語「製剤(preparation)」は、他の担体の有り無しに関係なく、活性成分がそれに伴っている担体で囲まれているカプセル剤を供する担体としての封入剤と活性化合物の製剤も包含するものとする。同様に、カシェ剤およびロゼンジ剤も含まれる。錠剤、粉末剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤およびロゼンジ剤は経口投与用の固体製剤である。
【0126】
本発明の滴剤は滅菌または非滅菌水性または油性溶液または懸濁剤であり、活性成分を時として殺菌剤および/または抗真菌剤および/または任意の好適な保存剤、および時には界面活性剤を含む好適な水性溶液に溶解することにより調製できる。得られた溶液は濾過して透明にし、好適な容器に移し、ついで封印しオートクレーブ殺菌、あるいは98−100℃に半時間加熱して殺菌する。別法としては、溶液は濾過して滅菌し、無菌的に容器に移す。点滴剤に含有するのに適した殺菌剤および抗真菌剤の例としては、硝酸フェニル水銀または酢酸フェニル水銀(0.002%)、塩化ベンザルコニウム(0.01%)および酢酸クロロヘキシジン(0.01%)がある。油性溶液の製剤に適した溶媒はグリセロール、希アルコールおよびプロピレンアルコールである。
【0127】
使用直前に経口投与用液体製剤に変更する事を意図されている固体製剤もまた包含される。そのような液体剤形としては、溶液、懸濁液、および乳剤が挙げられる。このような製剤は活性化合物の他に着色剤、風味剤、安定剤、緩衝剤、人工または天然甘味料、分散剤、増粘剤、溶解剤補助剤等を含有していてもよい。
【0128】
経口投与に適した他の剤形としては、乳剤、シロップ、エリキシル、水溶液、水性懸濁液、練り歯磨き、ゲル歯磨き剤、チューインガム等の液体製剤、あるいは使用直前に液体製剤に変更することを意図された固体製剤が挙げられる。乳剤は水溶性プロピレングリコール溶液の溶液で調製されるか、あるいは乳化剤(レシチン、モノオレイン酸ソルビタン、あるいはアカシア(acacia)等)を含んでいても良い。水溶液は、活性成分を水に溶解し、好適な着色剤、風味剤、安定剤、および増粘剤を加えて調製できる。水溶性懸濁剤は、微細に分割した活性成分を粘着性物質(天然または合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および他のよく知られた懸濁化剤)と共に水に分散させて調製出来る。固形製剤としては、溶液、懸濁液、および乳剤があり、活性成分の他に、着色剤、風味剤、安定剤、緩衝剤、人工または天然甘味料、分散剤、増粘剤、溶解剤補助剤等を含有していてもよい。
【0129】
非経口投与用組成物
組成物は、懸濁剤、液剤、または油性または水性媒体乳剤、例えば、水性ポリエチレングリコール中の溶液等の形を取り得る。油性または非水性担体、希釈剤、溶媒または媒質の例としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油(オリーブ油等)、および注射可能な有機エステル(オレイン酸エステル等)が挙げられ、さらに製剤化剤、例えば、保存剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、安定剤および/または分散剤を含んでいてもよい。別法として、活性成分は、滅菌固体の無菌抽出、あるいは好適な媒質(無菌で発熱物質を除いた水等)で使用前に再構成するための溶液の凍結乾燥により得た粉末状であってもよい。必要ならば、水性溶液は好ましくは緩衝すべきで、液体希釈剤は第一に十分な生理食塩水あるいはグルコースと等張にされる。水性溶液は特に静脈内、筋肉内、皮下、および腹腔内投与に適している。用いる滅菌水性媒質はすべて本分野の技術者に既知の標準的技術により容易に得られる。
【0130】
本発明の好ましい一態様において、PYYまたはその機能的同等物またはその塩の組成物は凍結乾燥組成物であり、さらには溶媒を含んでいてもよい。他の態様では、組成物はPYYまたは本発明によるその機能的同等物またはその塩の溶液である。好ましくは、溶媒はここに記載の任意の好適な溶媒であればよく、また特に溶媒は生理食塩水、ありはリン酸緩衝液のような生理学的緩衝液である。
【0131】
医薬組成物はPYYまたはその機能的同等物またはその薬理的に許容される塩(及び、例えば、抗原エピトープ、およびプロテアーゼインヒビター)を含有する。そのような組成物は水あるいは生理食塩水、および時には非毒性界面活性剤と混合して調製される。静脈内あるいは動脈内投与用の組成物は、緩衝剤、リポソーム、希釈剤および他の好適な添加物を含有する滅菌水性溶液である。
非経口用組成物に用いる油としては、石油、動物、植物または合成油が挙げられる。そのような組成物に有用な油の具体例としては、落花生油、大豆油、ごま油、綿実油、コーン油、オリーブ油、流動パラフィン、鉱油が挙げられる。非経口用組成物に用いる好適な脂肪酸としては、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸が挙げられる。オレイン酸エチルとミリスチン酸イソプロピルは好適な脂肪酸エステルの例である。
【0132】
非経口用組成物に用いるせっけん(soap)としては、脂肪酸アルカリ金属塩、アンモニウム塩、およびトリエタノールアミン塩が挙げられ、好適な界面活性剤(detergent)としては、(a)ジメチルジアルキルアンモニウムハライドとアルキルピリジニウムハライド等の陽イオン界面活性剤、(b)スルホン酸アルキル、アリールおよびオレフィン、硫酸アルキル、オレフィン、エーテル、モノグリセリド、およびスルホコハク酸塩等の陰イオン界面活性剤、(c)脂肪酸アミンオキシド、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレンポリプロピレンコポリマー等の非イオン性界面活性剤、(d)アルキル−ベータ−アミノプロピオン酸塩、および2−アルキル−イミダゾリン4級アンモニウム塩等の両性界面活性剤、および(d)これらの混合物が挙げられる。
【0133】
一般的には非経口投与用組成物は、溶液中約0.5から約25%(重量%)の活性成分を含有する。保存剤および緩衝剤を用いることができる。注射部位での刺激を最少化するため、あるいは除くために、そのような組成物は、約12〜約17の親水性・親油性バランス(HLB)を持つ非イオン性の界面活性剤の1つあるいは複数を含有してもよい。そのような組成物中の界面活性剤の量は通常は約5から約15重量%の範囲である。好適な界面活性剤はポリエチレンソルビタン脂肪酸エステル(モノオレイン酸ソルビタン等)や、プロピレングリコールとプロピレンオキシドの縮合により得られる疎水性塩基とのエチレンオキシドの高分子付加体が挙げられる。非経口投与用組成物は、単回投与あるいは反復投与用封印容器(アンプルまたはバイアルビン)内に格納され、凍結乾燥(凍結乾燥)条件下で保存され、使用直前に注射用滅菌液体賦形剤、例えば水のみが必要となる。即席注射溶液および懸濁液は上記に述べた滅菌粉末、顆粒、および錠剤から調製できる。
注射用医薬投与剤形は、リポソーム内に封入されることにより投与に適する様にした活性成分を含む滅菌水性溶液または分散液が挙げられる。すべての場合において、最終的な投与剤形は無菌で、流体で、製造工程および保存工程での条件下では安定でなくてはならない。
【0134】
必要量のPYYまたはその機能的同等物またはその薬理的に許容される塩を、上記に列挙した他の成分のいくつかと共に、好適な溶媒中混合し、ついで要すれば濾過滅菌することにより、無菌の注射可能な溶液は調製できる。
【0135】
局所性投与用組成物
本発明組成物は局所的に送達できる。局所性投与の部位として、表皮および直腸、鼻、口、喉の粘膜組織が挙げられる。皮膚および粘膜を介した局所性投与用組成物は、腫れや発赤のような刺激の様相を引き起こしてはならない。
局所用組成物は局所用投与に適合した薬理的に許容される担体を含む。よって、組成物は懸濁液、溶液、軟膏、ローション、クレーム、泡状、エアゾール、スプレー、坐剤、埋込み剤、吸入剤、錠剤、カプセル、乾燥粉末、シロップ、バルムあるいはロゲンジ剤(トローチ)等の形を取り得る。そのような組成物の調製方法は製薬業界でよく知られている。
【0136】
本発明の組成物は表皮への局所性投与用に、軟膏、クレームあるいはローション、あるいは経皮パッチとして製剤化される。軟膏およびクレームは、例えば、水性または油性基剤と、好適な増粘剤および/またはゲル化剤を添加して製剤化できる。ローションは水性または油性の基剤と製剤化され、通常は1つまたは複数の乳化剤、安定剤、分散化剤、懸濁化剤、増粘剤、着色剤もまた含有する。口内の局所性投与に適した組成物は、活性成分と風味付した基剤、通常はショ糖、アカシアまたはトラカントを含有した薬用キャンデー(lozenge);活性成分を不活性基剤(ゼラチン、グリセリン、ショ糖、アカシア)中に含有した芳香錠(pastille);活性成分を好適な液体担体内に含有したうがい薬である。
【0137】
本発明のクリーム、軟膏またはペーストは活性成分の外用薬用の半固体組成物である。それらは、微細に分解、粉砕した活性成分を単独で、あるいは水性あるいは非水性流体中に溶液状で、あるいは懸濁液状で、好適な機械を用いて、脂肪性基剤あるいは非脂肪性基剤と混合することにより調製できる。基剤は、硬質の、軟質の、あるいは液体状のパラフィン、グリセロール、蜜蝋、金属せっけん等の炭化水素;ゴム糊;アーモンド油、トウモロコシ油、落花生油、ひまし油、オリーブ油などの天然由来の油;羊毛脂またはその誘導体またはステアリン酸やオレイン酸などの脂肪酸とプロピレングリコールやマクロゴールなどのアルコール、が挙げられる。組成物は、ソルビタンエステルやそのポリオキシエチレン誘導体等の陰イオン、陽イオン、または非イオン性界面活性剤等の好適な表面活性剤を組み込むことができる。天然ガム、セルロース誘導体やシリカ等の無機物質などの懸濁化剤およびラノリン等の他の成分もまた包含できる。
【0138】
本発明のローション剤は皮膚や目への投与に適したものである。目薬は、殺菌薬を含んでいても良い殺菌水性溶液で、点滴薬の調製方法と同様の方法で調製できる。皮膚に投与するローション剤または塗布薬(liniment)は、アルコールまたはアセトン等の乾燥を早め、皮膚を冷却する薬剤、および/またはグリセロールやひまし油や落花生油等の油などの保湿剤も挙げられる。
【0139】
ここで述べる医薬−化学修飾剤複合体は経皮投与できる。経皮投与は、薬剤が患者の全身循環系への経皮的経路への薬物送達を通常は意味する。皮膚部位は薬剤を経皮投与するための解剖学的領域を意味し、上腕部、腹部、胸部、背中、臀部、乳頭部等が挙げられる。
【0140】
経皮送達は複合体の発生源を患者の皮膚に長期間曝すことにより行なう。経皮パッチは身体に医薬−化学修飾剤複合体を制御送達するという有利な点が加えられる。経皮薬物送達(Trandermal Drug Deliveary)、Developmental Issues and Research Initiatives, Hadgraft and Guy (eds.), Marcel Dekker, Inc., (1989); Controlled Drug Delivery: Fundamentals and Applications, Robinson and Lee (eds.), Marcel Dekker Inc., (1987);およびTransdermal Delivery of Drugs, Vols. 1-3, Kydonieous and Berner (eds.), CRC Press, (1987)参照。そのような投与製剤は医薬−化学修飾剤複合体を適当な媒質、例えばエラストマー系材質に溶解、分散または組み込むことにより製造できる。吸収促進剤もまた、該化合物の皮膚を越えた流動を増加するために用いられる。そのような流動速度は律速膜を供すること、あるいは該化合物をポリマーマトリックスやゲルに分散させることにより、調節できる。
【0141】
多様な種類の経皮パッチがここに開示の方法に用いることが出来る。例えば、単純吸着パッチは基材とアクリル酸系接着剤から調製できる。医薬−化学修飾剤複合体および任意のエンハンサーは吸着鋳型溶液中に成形され、完全に混合される。溶液は直接基材上に流し込まれ、鋳型溶媒はオーブン内で留去されて粘着フィルムが得られる。放出用裏地(release liner)を接着させてこのシステムを完成させる。
【0142】
別法として、ポルウレタンマトリックスパッチは医薬−化学修飾剤複合体を送達するために用いる事が出来る。このパッチの層は基材、ポリウレタン剤/エンハンサーマトリックス、膜、接着剤、および放出用裏打ち材(liner)から成る。ポリウレタンマトリックスは室温硬化ポリウレタンプレポリマーを用いて調製する。水、アルコール、および複合体をプレポリマーに加えることにより、粘着性のあるフィルム状エラストマーを形成し、これは直接基材に流し込まれる。
【0143】
本発明のさらなる態様では、ヒドロゲルマトリックスパッチを用いる。一般に、ヒドロゲルマトリックスは、アルコール、水、薬剤、および数種の親水性ポリマーから成る。このヒドロゲルマトリックスは基材と粘着層の間の経皮パッチに組み込まれる。
【0144】
液体リザブワー(reservoir:貯蔵体)パッチもまたここに開示の方法に用いる事が出来る。このパッチは、不浸透性あるいは半浸透性で、ヒートシール可能な基材、ヒートシール可能な膜、アクリレートの加圧のみで接着できる皮膚接着剤、およびシリコン処理した放出ライナーから成る。基材は膜にヒートシールされてリザブワーを形成し、これはついで複合体、エンハンサー、ゲル化剤、および他の賦形剤の溶液で満たす。
【0145】
泡状マトリックスパッチは、ゲル化した医薬−化学修飾剤溶液を薄い泡状層、通常はポリウレタンに拘束する以外は、液体リザブワーパッチとそのデザインおよび成分が似ている。この泡状層はパッチの外周でヒートシールした基材と膜の間に位置する。
【0146】
受動送達システムのため、放出速度は一般的にはリザブワーと皮膚の間に位置する膜によってモノリシック構造の装置からの拡散により、あるいは送達システムにおける律速障壁として機能する皮膚そのものによって、調節される。米国特許第4816258、4927405、4904475、4588580、4788062等参照。薬物送達速度は、部分的には、膜の性質に依る。例えば、体内の膜透過薬物送達速度は一般的には皮膚障壁を透過する場合より速い。複合体が装置から膜へ送達される速度は、リザブワーと皮膚間に位置した律速膜の使用により最も有利に調節できる。皮膚は十分に複合体に対し透過性であると想定して(例えば、皮膚を経る吸収は膜を通したルートの速度より大きい)、膜は、患者が得られる投与率を調節する役割をするであろう。
【0147】
好適な透過性膜材は、所望の透過度、複合体の性質、および装置構成に関する機械的条件を基礎にして、選択される。透過膜材の具体例としては、広範な天然および合成ポリマー、例えば、ポリジメチルシロキサン(シリコンゴム)、酢酸エチレンビニルコポリマー(EVA)、ポリウレタン、ポリウレタン−ポリエーテルコポリマー、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルクロリド(PVC)、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン(PTEE)、セルロース性材料、例えば、セルローストリアセテートおよびセルロースニトレート/アセテート、およびヒドロゲル、例えば、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート(HEMA)が挙げられる。
【0148】
該装置には例えば、治療物質の他の通常の成分等の他の品目も含有でき、これは所望の装置の性質に依る。例えば、本発明の組成物は1つあるいは複数の保存剤または殺菌剤、例えば、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、クロロクレゾール、ベンザルコニウムクロリド等を含む事が出来る。これらの医薬組成物もまた他の活性成分、例えば、抗菌剤、特に抗生物質、麻酔剤、鎮痛剤、および鎮痒剤を含むことができる。
【0149】
坐剤として投与する組成物
本発明の化合物は坐剤として投与用に製剤化できる。低融点ワックス、例えば脂肪酸グリセリドあるいはカカオ脂の混合物が始めに溶融し、例えば撹拌等により活性成分は均一に分散する。融解した均一混合物をついで通常のサイズの鋳型に注ぎ込み、放冷し、固化させる。
活性化合物は、例えばポリエチレングリコール(PEG)担体内の約0.5%から約50%の本発明化合物を含む坐剤へと成形される(例えば、PEG1000[96%]およびPEG4000[4%])。
【0150】
経鼻投与用組成物
本発明化合物は経鼻投与用に製剤化される。溶液製剤または懸濁製剤を、例えば、スポイト、ピペットまたはスプレー等の通常の方法で直接鼻腔に投与する。組成物は単回投与剤形または反復投与剤形で供される。スポイトやピペットの後者の場合、溶液製剤または懸濁製剤の好適な、予め決定した量を投与して患者自身で行なわれる。スプレーの場合は、例えば、計量噴霧スプレーポンプを用いて行なう。
【0151】
エアゾール投与用組成物
本発明化合物は、鼻腔内投与を始めとする、特に呼吸器に対するにエアゾール投与用に製剤化できる。化合物は一般的に、例えば、5ミクロンやそれ以下の単位の小粒子径を持つ。そのような粒子の大きさは本分野で既知の方法、例えば微粉化によって得られる。活性成分は、例えば、クロロフルオロカーボン(CFC、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン)、あるいはジクロロテトラフルオロエタン)、二酸化炭素、あるいは他の好適なガス等の好適な高圧ガス(propellant)と共に加圧パックで供される。エアゾール剤は通常レシチンなどの界面活性剤もまた含有する。薬物投与量は定量バルブによって調節される。別法としては、活性成分は乾燥粉末剤形で供され、例えば、乳糖、デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースやポリビニルピロリジン(PVP)などのデンプン誘導体等、好適な粉末剤と化合物との粉末混合物等の、乾燥粉末剤で供される。粉末担体は鼻腔内でゲル状となる。粉末組成物は単位投与形で供され、例えば、ゼラチンのカプセルやカートリッジ、あるいは粉末が吸入器で投与できるブリスターパックで供される。
【0152】
エアゾールで投与する組成物は、例えば、ベンジルアルコールや他の好適な保存剤、生体内利用可能性を促進する吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または他の溶解剤または分散剤を用いた生理食塩水溶液として調製できる。
【0153】
合剤
本発明の組成物は第二の活性成分と組み合わせて投与できることが、さらに想定される。該第二の活性成分は本発明の他の成分と共に製剤化される。
本発明の活性成分は第二の活性成分と組み合わせて投与できることが、さらに想定される。「組み合わせて」とは、該組成物が同じ組成物内で他の化合物と一緒に製剤化されることを意味し、および/または該第二の活性成分および/または医薬組成物が、本発明の組成物の投与前、投与中(同時も含む)および/または投与後に投与されることを意味する。
よって、本発明の一態様はPYYまたはその機能的同等物および第二の活性成分の組成物に関する。
よって、本発明の一態様はPYYまたはここに記載のその機能的同等物および第二の活性成分の組成物に関する。該第二の活性成分は、これに限定されないが、ベータアドレナリン受容体拮抗薬、アルファアドレナリン受容体拮抗薬、カルシウム拮抗薬、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アンジオテンシンII受容体拮抗薬および利尿薬(これらに限定されないがチアジド利尿薬、およびループ利尿薬等)等の降圧剤;インスリン;DPP−V阻害薬;これらに限定されないが、選択的セロトニン再摂取阻害剤(SSRI)、ミアンセリンおよびミルタザピン、古典的および非定型向精神薬(神経安定薬)等の抗うつ剤;副腎皮質ホルモン;および体重または体脂肪量を増加させる他の薬物、あるいは高血圧、体重超過、肥満、代謝症候群(シンドロームX)および/または糖尿病の治療用とされている他の薬物である。
【0154】
投与
さらに、本発明範囲には、ここに開示の医薬組成物の1つまたは複数の有効投与量を個人に投与することを特徴とする、必要な個人の治療方法がある。該個人は好ましくは先に述べた健康問題の1つまたは複数、例えば胃腸疾患に罹患している者、または罹患の危険がある者である。「治療」とは予防とアフターケアも意味し、および/または病的症状を減少させ、および/または可能性のある疾病の予防および/または治療を意味する。該治療方法は、個人の幸せ/健康(well-being)の意識および生活の質(quality of life)の改善を包含する。該方法はここに開示の1つまたは複数の併用療法を意味する。
【0155】
本発明の医薬組成物は予防的投与にも治療的投与にも用いる事が出来る。よって、PYYまたはその機能的同等物の医薬組成物は、胃腸疾患の悪化を予防するために、疾病の重篤度を最少にするために患者に投与でき、あるいはすでに疾病に苦しんでいる患者に投与出来る。さらには、治療方法は胃腸疾患の再発を予防する。
【0156】
医薬組成物は、1つまたはそれ以上の特殊な投与方法に適するように調製できる。本発明の組成物は非経口的に、経口的に、経鼻的に(吸入または点鼻薬)、局所的に(皮膚あるいは眼に)、坐剤を用いて直腸に、あるいは膣内吸収で投与できる。
PYYまたはその機能的同等物の医薬組成物は必要な個人に投与できる。
PYYまたはその機能的同等物の組成物は、本発明によれば、非経口的に、例えば注射で投与できる。よって、PYYまたはその機能的同等物は、本発明によれば、静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、鼻内的あるいは経皮的等、非経口的に投与できる。組成物はさらに吸入、眼への局所的投与、鼻内投与、膣内吸収、皮膚への投与、および直腸坐剤により投与できる。薬物を標的部位に送達あるいは薬物を血流に導入するために有効な他の薬物投与方法もまた意図されている。
【0157】
PYYまたはその機能的同等物の医薬組成物は静脈内、例えば単位用量の注射によって投与できる。本発明の医薬組成物に関連して用いられる用語「単位用量」とは、対象にたいする単一用量として適した物理的に分かれた単位を意味し、各単位は所望の治療効果を得る為に計算された活性物質の予め決定した量を必要な希釈剤(例えば担体または媒質)と共に含有する。別法として、医薬組成物は反復投与剤形で調製でき、反復投与送達装置を用いて、各単回投与形は必要な際に投与される。標準的注射の別法として、医薬組成物は点滴(そのような点滴は好ましくは短時間である)により投与できる。
【0158】
本発明によれば、PYYまたはその機能的同等物の効果は、視床下部にあるNPYニューロンを除いては、中枢神経系の外でのPYYの作用を介していると信じられている。よって、PYYまたはその機能的同等物は中枢神経系内の至る所に位置するNPYニューロンには影響しない。
【0159】
よって、NPY Y2受容体に結合できるPYYまたはその機能的同等物は血流内を視床下部の受容体まで循環する。しかしながら、これらの分子は好ましくは血液脳関門を越えることができず、よって、中枢神経系の他の部位に進入することができない。
本発明の組成物は第二の医薬組成物と共に投与することができる。「共に」とは、該組成物は同じ組成物内で他の化合物と共に製剤化されることができ、および/または、該他の化合物および/または医薬組成物は本発明の組成物の投与前、投与中(同時投与を含む)および/または投与後に投与されることを意味する。
【0160】
よって、一態様において、本発明の組成物は第二の医薬組成物と共に投与できる。組成物は、別々の組成物としてあるいは単一投与剤形内で一緒になって、同時に、あるいは異なる2つの医薬組成物として連続して投与できる。
【0161】
一態様において、本発明の医薬組成物は、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、セロトニン・ノルアドレナリン再摂取阻害剤(SNRI)、ノルエピネフリン・セロトニン再摂取阻害剤(NSRI)、選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害薬、四環系抗うつ薬、三環系抗うつ薬(TCA)を始めとする非選択的モノアミン再取り込み阻害薬、選択的可逆性モノアミン再取り込み阻害薬、および他の作用機序を持つ抗うつ剤、例えばミルタザピンなどの抗うつ剤の医薬組成物から選ばれる第二の医薬組成物と共に投与される。SSRIの具体例としては、シタロプラム、エスシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン及びセルトラリンが挙げられる。SNRIの具体例としては、ベンラファクシンが挙げられる。NSRIの具体例としてはミルナシプランが挙げられる。
【0162】
治療方法
治療方法は胃腸疾患の症状の減少を目的とする。
組成物は好ましくは症状を感じてから投与する。例えば症状感知から5分後、例えば症状感知から10分後、例えば症状感知から15分後、例えば症状感知から20分後までに、例えば症状感知から30分後までに、例えば症状感知から45分後までに、例えば症状感知から60分後までに、例えば症状感知から75分後までに、例えば症状感知から90分後までに、例えば症状感知から120分後までに、例えば症状感知から150分後までに、例えば症状感知から180分後までに投与する。
組成物は一日一回、あるいは隔日に、あるいは週二回、あるいは週一回投与出来る。該医薬組成物の投与は一日一回、あるいは一日二回、あるいは一日三回行なう。
【0163】
医薬組成物は食前、例えば食事の5分前、例えば食事の20分以内、例えば食事の60分以内に投与する。
【0164】
ここで開示の医薬組成物は単位投与形に調製できる。そのような剤形では、製剤は活性成分の適量を含有する単位投与形に分割する。単位投与形は包装した製剤、製剤の分かれた量を含有するパッケージ、例えば個別に分包した粉末剤である。この態様において、粉末剤は使用前あるいは使用中に溶媒と混合できる。
【0165】
本発明の一態様では、ここで記載の組成物の好適な投与量が薬理的有効量でその治療が必要な個人に投与される。ここで、「薬理的有効量」とは、患者に有意義な効果を示すための、医薬組成物の各活性成分の総量の、あるいは医薬組成物のあるいは方法で投与することを意味する。ここで用いる用語「単位投与形」とは、ヒトおよび動物対象にとって単一用量として好適な物理的に分れた単位を意味し、各単位は、薬理的に許容される希釈剤、担体または媒質と共に所望の薬効を得るために十分な量として計算された、予め決定された量の化合物を単独で、あるいは他の薬物と共に含有する。本発明の単位投与形の詳細は特殊な化合物或いは用いる化合物、および得られる効果、および宿主内での各化合物に伴う薬物力学に依存する。投与量は「有効量」または個々の患者に「有効レベル」を達成するための必要量である。
医薬組成物は静脈内点滴によって投与できる。点滴時間は120分以内、例えば100分以下、例えば80分以下、例えば60分以下、例えば40分以下、例えば20分以下、例えば10分以下、例えば5分以下である。
【0166】
投与要件は用いる個々の薬物組成物、投与法および治療対象等によって変わる。理想的には、本発明方法で治療される患者は、一般的には薬物耐性の発現に必要な量より多くない最大耐量(MTD)を越えない程度の薬理的有効量の化合物を投与される。
好適な投与計画は好ましくは本分野でよく知られた因子、例えば、投与される対象のタイプ、年齢、体重、性別、および対象の病状;投与ルート;対象の腎機能および肝機能;所望の薬効;および用いる個々の薬物、を考慮にいれて決定される。
毒性なく薬効を奏する範囲内の薬物濃度を達成至適精度は、標的部位へのその薬物利用性の動力学を基礎にしたレジメが必要である。これは、薬物の分布、平衡および排出の検討を要する。本発明にとって、用量は使用する薬物および投与モードにより変化するだろう。
【0167】
用量は対象の体重を基礎にして計算できるが、ある種の状況下では、用量は対象の除脂肪組織量(FFM)を基礎にして計算される。よって、用量はPYY1−36またはPYY3−36の濃度当量(concentration equivalent)である。
【0168】
本発明において、用量は用いる化合物、および投与モードによって変化するであろう。用量レベルは、一日あたり約4ng/kg体重から20μg/kg体重の間で、好ましくは約10ng/kg体重から1μg/kg体重の間で、さらに好ましくは50から750ng/kg体重の間で変動する。FFMに関係した別の用量は、一日あたり約5ng/kgFFMから25μg/kgFFMの間で、好ましくは約12.5ng/kgFFMから1.25μg/kgFFMの間で、さらに好ましくは62.5から875ng/kgFFMの間で変動する。FFMに関係した用量を得るためには、用量/体重kgを1.25の因子とかけ算をすべきである。
投薬量は必要な時に投与でき、例えば一日10回まで、例えば一日1〜5回、例えば一日2〜3回、あるいは好ましくは、例えば一日一回。よって、一日あたりの投与量は上記で述べた投与量の2〜5倍量である。別法として、投薬量は前記の一日一回よりさらに少ない回数で投与できる。
【0169】
本発明で用いる組成物の好適な用量は、PYYまたはその機能的同等物が体重1kg当たり4ngから約20μg、あるいは体重1kg当たり10ngから1μg、さらに好ましくは体重1kg当たり50ngから750ngに相当する濃度当量である。PYYの用量は好ましくは20−200ng/kg、20−160ng/kg、40−160ng/kg、40−120ng/kg、40−80ng/kg、60−120ng/kg、あるいは約60ng/kgか80ng/kgである。
【0170】
好ましい用量は、1pmol/kgから5nmol/kg、5pmol/kgから1nmol/kg、20pmol/kgから500pmol/kg、あるいは40から160pmol/kg、あるいは75から120pmol/kgのPYYまたはその機能的同等物に相当する濃度である。PYY1−36は好ましくは、50−400pmol/kg、80−320pmol/kg、150−250pmol/kg、あるいは約200pmol/kgの投与量で投与できる。PYY3−36は好ましくは30−350pmol/kg、50−280pmol/kg、80−200pmol/kg、あるいは約120pmol/kgの投与量で投与できる。FFMに関する投与量は上記の用量を1.25でかけ算して計算できる。
【0171】
第二の態様では、用量は5−50pmol/kg、5−40pmol/kg、5−30pmol/kg、10−40pmol/kg、10−30pmol/kg、5−25pmol/kg、5−20pmol/kgであり、もっとも好ましくは10−20pmol/kg、15−30pmol/kg、あるいは約15pmol/kgあるいは20pmol/kgである。
投薬量は好ましくは一日1回、一日2回、一日3回、一日4回、一日5回、あるいは一日あたり5回以上投与する。
本発明の好ましい一態様では、組成物は、約400ngから約2mg、さらに好ましくは約10μgから約200μg、あるいは約5μgから約250μg、さらに好ましくは約20μgから約200μg、さらに好ましくは20μgから約100μgの用量のPYYまたはその機能的同等物の投与量で投与される。最も好ましくは、用量は1−20μg、2−16μg、4−16μg、4−12μg、4−8μg、6−12μg、6−10μgあるいは約8μgである。
【0172】
好ましい態様では、組成物は、100pmolから500nmol、あるいは500pmolから100nmol、あるいは1nmolから50nmol、あるいは2から25nmol、あるいは4−20nmolのPYYまたはその機能的同等物の用量で投与される。別法として、好ましい用量は0.25−5nmol、0.5−4nmol、1−4nmol、1−3nmol、1−2nmol、1.5−3nmol、あるいはさらに好ましくは、1.5−2.5nmol、最も好ましくは約2nmolである。さらに好ましい態様において、PYY1−36の用量は、例えば、5−40nmol、8−32nmol、15−25nmol、約20nmolであり、一方PYY3−36は3−35nmol、5−28nmol、8−200nmol、あるいは約12nmolである。
【0173】
他の態様において、PYYまたはその機能的同等物は、治療される個人において有効レベルを達成するために、体重1kg当たり5−30pmol/kg、5−25pmol/kg、5−20pmol/kg、あるいは10−20pmol/kgの用量で皮下投与する。現在好ましい用量は、PYY1−36またはPYY3−36で体重1kg当たり10−20pmol/kgである。第二の好ましい態様においては、PYY1−36の用量は150−250pmol/kg、および/またはPYY3−36の用量は80−150pmol/kgである。
【0174】
PYYまたはその機能的同等物の投与量は好ましくは一日1回、一日2回、一日3回、一日4回、あるいは一日5回投与する。
ここに開示の医薬組成物は単位投与製剤として調整できる。そのような剤形においては、製剤は活性成分の好適な量を含有する単回投与形に分けられる。単位投与剤形は、包装した製剤、製剤の分かれた量を含有するパッケージ、例えば個別に分包した粉剤である。この態様において、粉剤は使用前あるいは使用中に溶媒と混合できる。
【0175】
好ましい態様において、PYY組成物は単位投与形で投与し、約400ngから約2mg、さらに好ましくは約10μgから約200μg、あるいは約5μgから約250μg、さらに好ましくは約20μgから約200μg、さらに好ましくは、約20μgから約100μgのPYYあるいはその機能的同等物の量で投与する。単位投与剤形は、100pmolから500nmol、あるいは500pmolから100nmol、あるいは1nmolから50nmol、あるいは2−25、あるいは4nmolから200nmolのPYYあるいはその機能的同等物を含有する。組成物は好ましくは一日1回、一日2回、一日3回、一日4回、あるいは一日5回投与する。さらに好ましい態様では、PYY1−36の単位用量としては、5−40nmol、8−32nmol、15−25nmol、約20nmolが挙げられ、PYY3−36の単位用量は3−35nmol、5−28nmol、8−200nmol、約12nmolが挙げられる。
【0176】
ある態様においては、医薬組成物は点滴で投与する。点滴のためのPYYまたはその機能的同等物の用量は0.01pmol/kg minから500pmol/kgその機能的同等物、例えば、0.05pmol/kg minから100pmol/kg min、0.1pmol/kg minから50pmol/kg min、あるいは1pmol/kg minから25pmol/kg minである。
組成物は好ましくは症状を感じてから投与し、例えば症状感知から5分後、例えば症状感知から10分後、例えば症状感知から15分後、例えば症状感知から20分後まで、例えば症状感知から30分後まで、例えば症状感知から45分後まで、例えば症状感知から60分後まで、例えば症状感知から75分後まで、例えば症状感知から90分後まで、例えば症状感知から120分後まで、例えば症状感知から150分後まで、例えば症状感知から180分後までに投与する。
本発明のPYY組成物は薬理的に許容される担体または希釈剤と混合して投与できる。
治療は夜間におこなうことも含まれる。さらに、「有効レベル」が投与の好ましい終点として用いられるので、実際の用量および投与スケジュールは、薬物動態、薬物分布、および代謝の個々の違いによって変更する。「有効レベル」は、例えば、本発明の1つまたは複数の化合物の濃度に対応する、患者の望まれる血液または組織レベルとして定義される。
有効レベルは、患者内で所望化合物のある程度の血液または組織レベルを得ることができる、本発明の組成物の有効成分の量を意味する。有効レベルは、患者の症状を消失させることができる、本発明組成物の活性成分の量である。
医薬組成物は入院中に投与できる。さらに、組成物を自己投与できるならば、それは患者にとって有益である。
本発明の一態様では、本発明の組成物は自己投与できる。医薬組成物を注射器具を用いて、例えば、インスリンペンと同様なシステムを用いて投与できる。
本発明の一態様では、組成物は単回投与または反復投与注射器具を用いて投与できる。
医薬組成物は、抗うつ剤、例えば、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、セロトニン・ノルアドレナリンン再取り込み阻害剤(SNRI)、ノルエピネフリン・セロトニン再摂取阻害剤(NRSI)、選択的ノルアドレナリン再摂取阻害剤、四環系抗うつ薬、三環系抗うつ薬(TCA)を含む非選択性モノアミン再取り込み阻害薬、選択性可逆性モノアミン再取り込み阻害薬およびミルタザピンなどの他の作用機序の抗うつ剤をさらに含有したキット・イン・パート(kit-in-part)製剤でもあり得る。SSRIの具体例としては、シタロプラム、エスシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン及びセルトラリンがある。SNRIの具体例としては、ベンラファクシンがある。キット・イン・パート製剤は同時に、順次にまたは別々の投与に用いることが出来る。NSRIの具体例はミルナシプランである。
好ましい態様において、医薬組成物はキット・イン・パート製剤である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0177】
実施例
以下の実施例は本発明を例示するが、これらに限定されない。
【実施例1】
【0178】
結合分析および機能分析
トランスフェクションおよび組織培養:
COS−7細胞は、10%ウシ胎児血清、2mMグルタミンおよび0.01mg/mlゲンタマイシン含有ダルベッコ変法イーグル培地1885で培養できる。野生型または変異型受容体をコードするcDNAを含有する発現プラスミドは、リン酸カルシウム沈降法を用いたトランスフェクション後に一時的に発現でき、トランスフェクションの48時間後に分析を行なう。
【0179】
結合分析:
トランスフェクションの一日後、細胞は分析用多穴プレートに移し、播種する。1ウェルあたりに播種する細胞数は、加えた放射性リガンドの5〜10%結合が得られるように選択する。トランスフェクションの2日後、細胞は、トレーサーとして125I−PYY(3−36)を用いた競合結合試験で分析する。放射性リガンドは1mM CaCl、5mM MgCl、0.1% BSAを追補した0.5mlの50mM HEPES緩衝液(pH7.4)からなる緩衝液内で結合し、非標識リガンドと用量依存的に置き換える。分析は4℃で3時間2重で行い、緩衝液で2回洗浄して分析を止めた。細胞付加した受容体結合放射性リガンドは溶解緩衝液を加えて測定する(48%尿素、2% NP−40含有3M酢酸)。分析液中の放射性リガンドの濃度は約20pMの最終濃度に対応する。
【0180】
機能分析:
COS−7は上記のように培養し、共トランスフェクションを行なう。GαqおよびGαiY2受容体の両者間に形成するキメラG−タンパク質(Conklin B)によるホスホリパーゼCの活性化はイノシトールリン酸(IP)の細胞内代謝回転(turnover)を介して測定できる。IP代謝回転は以下のアッセイを用いて記録できる。
トランスフェクションの1日後、COS−7細胞を、[H]ミオイノシトール(Amersham、PT6−271)の5:Ciと10%ウシ胎児血清、2mMグルタミンおよび0.01mg/mgゲンタマイシンを追補した培地を1ウェル当たり1ml内で24時間インキュベーションする。細胞を140mM NaCl、5mM KCl、1mM MgSO、1mM CaCl、10mM グルコース、0.05% (w/v)ウシ血清含有の20mM HEPES緩衝液(pH7.4)で2回洗浄し、10mM LiCl含有緩衝液0.5ml中で37℃、30分間インキュベーションする。1U/ml濃度のアデノシンデアミナーゼADA(200U/mg、ベーリンガーマンハイム、ドイツ)と共にさらに30分間インキュベーションする。多様な濃度のペプチドで37℃45分間刺激後、細胞を10%氷冷過塩素酸で抽出し、氷上で30分間培養する。得られた上清をKOHのHEPES緩衝液溶液で中和し、生じた[H]−イノシトールリン酸をBio−Rad AG 1−X18陰イオン交換樹脂で精製する。測定は2重に行なう。
【実施例2】
【0181】
PYYおよびその機能的同等物の合成調製
本発明のポリペプチドは通常のペプチド合成法で調製できる。
アミノ酸誘導体および合成試薬は商業的供給源から入手する。ペプチド鎖伸長は主にApplied Biosystem 433A シンセサイザー(Perkin Elimer 製)を用いて行なう。保護されたペプチド誘導体樹脂はBocまたはFmoc法で構築する。Boc法で得られた保護されたペプチド樹脂は無水フッ化水素(HF)で、p−クレゾールの存在下脱保護してペプチドを放出し、これをついで精製する。Fmoc法で得られた保護されたペプチド樹脂はトリフルオロ酢酸(TFA)あるいは多様なスカベンジャー含有TFAで希釈して脱保護し、放出されたペプチドを精製する。精製はC4またはC18カラム逆相HPLCで行なう。精製物の純度は逆相HPLCで確認し、その構造はアミノ酸組成物分析と質量分析で確認する。
【実施例3】
【0182】
PYY血漿レベルの測定
実験は、プラシーボとPYY1−36またはPYY3−36の4段階濃度(表1に示す)で皮下注射して行なう。PYYの用量は対象の除脂肪組織量(FFM)を基にして計算する。
【0183】

結果は平均±SE、対応のあるt−検定(SAS)および反復測定(SAS)で示す。
【0184】
PYY注射は0分時で行ない、PYY1−36およびPYY3−36投与後のPYYの血漿濃度はt=0、15、30、45、60、75、90、120、150、180、210、および240分時に測定する。
【0185】
PYY分析
PYYの血漿濃度はPYYの放射性免疫測定法で測定する。分析はPYY抗血清(コード番号:8412−5)(Euro−Diagonstica、Malmoe、Sweden)を用いて行なう。抗血清はヒトPYY1−36およびPYY3−36の両者を認識する。合成ヒトPYY1−36(Peninsula、Merseyside、UK)とブタ125I−PYY(コード番号:IM259)はAmersham Bioscience,Buckinghamshire、UKから入手し、標準品として用いる。分析の測定限界は2pmol/l以下で、50%阻害は40pmol/l PYYで得られる。5および50pmol/lの間の濃度で血漿に加えたPYYの回収は、期待した値より15%以内の偏差である。実験間の偏差係数は5%以下である。抗血清は500pmol/lまでの濃度ではヒトNPYあるいはヒトPPと交差反応を示さない。
結果は図2および図3に示す。
【実施例4】
【0186】
伝播性収縮運動(migrating myoelectric complexes)に対するPYYの効果のインビボ測定
方法:
ラットに、小腸の筋電図検査のために、幽門から5(十二指腸)、15および25(空腸)cm遠位部に双極電極を装着する。天然リガンドペプチドYY1−36およびペプチドYY3−36を、0.5−400pmol/kg minの用量で60分間静脈内点滴する。作用機序は、N−ニトロ−L−アルギニン(L−NNA)1mg/kgとグアネチジン3mg/kgで前処理後の左右迷走神経切離動物で調べる。
実験プロトコールは北部ストックホルム(スウェーデン)の動物実験のための地方倫理委員会で認められたものである。
【0187】
材料:
体重300−350gの雄性SD(Sprague-Dawley)ラット(B&K, Sollentuna, スウェーデン)を実験に用いた。
【0188】
筋電図検査用ラットの調製:
50mg/kgのペントバルビタール(Apoteksbolaget, Umea, スウェーデン)の腹腔内投与でラットを麻酔する。正中切開して、3個の双極ステンレススチール電極(SS-5T、Clark Electromedical Instruments, Reading, UK)を、幽門から5(D)、15(J1)および25(J2)cm遠位の小腸の筋肉壁に埋込む。すべての動物に薬物投与用に頸静脈カテーテルを装着する。電極およびカテーテルは、皮下を通じて動物の頸背部より体外へ誘導する。手術後、動物を個別にケージに入れ、実験が行なわれるまで少なくとも7日間は回復させる。回復期間にラットは実験条件を認容するように訓練する。ついで、水を自由に摂取できるようにした針金底のケージで8時間絶食後、覚醒した動物について、実験を行なう。実験中、ラットはボールマン(Bollman)ケージに置く。グラスポリグラフ7B(Grass Polygraph 7B、Grass Instruments, Quincy, MA)を操作するEEG前置増幅器(7P5B)に電極を接続する。時定数は0.015秒に設定し、低度および高度カットオフ周波数をそれぞれ10および35Hzに設定する。
【0189】
筋電図試験の設計
すべての実験は、60分間、3箇所の記録部位すべてに亘って伝播する4個の活動前線部の基礎筋電活性を対照として記録することから始める。
第一の電極サイトを第4の活性前線部が通過後直ちに、微量注射ポンプを用いて点滴を始める(CMA 100, Carnegie Medicine, Stockholm, Sweden)。
実験の最初のシリーズでは、0.5から400pmol/kg minの用量の天然リガンドPYY1−36またはPYY3−36を60分間静脈内投与する。
第2の実験シリーズでは、100pmol/kg minのPYY1−36あるいはPYY3−36の点滴の45分前に、ボーラス注入で1mg/kgのNOシンターゼ阻害剤 Nω−ニトロ−L−アルギニン(L−NNA)の投与を行なう。
第3の実験シリーズでは、3mg/kgのグアネチジンを第1日目に投与し、次の日には、100pmol/kg minのPYY1−36またはPYY3−36の効果を調べる。
第4の実験シリーズでは、100pmol/kg minのPYY1−36またはPYY3−36の点滴の効果を迷走神経切離及び偽性迷走神経切離動物で調べる。
【0190】
薬物
ラットPYY1−36およびラットPYY3−36はネオシステム(Neosystem, Strasbourg, France)から、またL−NNAはシグマ−アルドリッチ(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO, USA)から、およびグアネチジンはApoteksbolaget(Stockholm, Sweden)から入手する。
【0191】
データ分析
絶食状態の小腸の筋電活性の主たる特徴、活動前線、またはMMCのフェーズIIIは、先行するベースラインの少なく2倍の振幅を持つ明快に区別できる強いスパイク活動(spiking activity)の期間として同定し、全体の記録セグメントの反対側への伝播し、ついで休止期間、MMCフェーズIが続く。
フェーズIII活動前線によって占められる記録期間の割合は刺激期間(60分間)計算する。ペプチドの効果は活動前線で占められる時間のパーセントで表す。
用量反応曲線はグラフパッドプリズム4(Graph-Pad Prism 4)で得られる(GraphPad, San Diego, CA, USA)。データは平均±SEMで表す。各データ群間の差異はANOVA、ついで必要に応じてp<0.05の統計的有意性でダネット検定やスチューデントT検定で測定する。
【実施例5】
【0192】
臨床的プロトコール胃腸疾患
IBSあるいは機能性消化不良の提案された診断基準を満たす45人の対象が本実験に参加する。
実験は二重盲検プラセボ対照試験様式で行なう。対象は3つの群(各n=15)、A群、B群、C群に分ける。対象は、かれらの症状(用便習慣/痛み/吐き気、等)と食事情報を日記に記載する。実験の最初の段階は4週間(導入フェーズ(Run-in Phase))で、その後、対象は下記の3種のレジメの1つで処置される。対象は治療段階中、経験した症状のタイミング、タイプ及び重篤度を日記に記し続ける。処置フェーズ(Treatment Phase)の期間は4週間である)。
【0193】
投薬
A群の対象はプラシーボ皮下注射(Nacl)を一日3回(覚醒時間に等分に分布)うける。B群の対象は、一日3回、60pmol/kg(体重)のPYY3−36の皮下注射を受け、C群の対象は、一日3回、100pmol/kg(体重)のPYY3−36の皮下注射を受ける。
対象の日記は研究者によって点検され、症状の重篤度は食物摂取とタイミングで決定する。
症状に対する効果は、4週間の処置フェーズの結果を導入フェーズの結果と各対象について比較し、ついでB群の結果をA群と、またC群の結果をA群と、統計学的に比較して評価する。
【実施例6】
【0194】
痛覚および直腸における自発運動活性に対するPYYの効果
Roma II診断基準を満たす12人の患者(18歳から60歳の男女)が本実験に参加する。
実験の運用
すべての患者は12時間の絶食後に医院に来院する。実験前に患者は水道水浣腸をうける。
プローブ(圧調節バッグ、Barostat Bag)を直腸に挿入し、自動的に一定期間毎にまた一定の袋圧増加で膨張するようにプログラムされた電気圧調節器(barostad)に接続する。
実験は治療間の約7日間の3通りの交差研究として行なう。
A)PYY1−36の0.9%NaCl溶液の皮下注射
B)PYY3−36の0.9%NaCl溶液の皮下注射
C)食塩水(0.9%NaCl溶液)の皮下注射
【0195】
PYYまたは食塩水の投与後定められたプロトコールに従って膨張が始まる。患者は不快感と痛みを、視覚的アナログ尺度(visual analog scale, VAS)を用いて記録する。患者は、重篤な不快感または痛みの時はその度に即座にバッグを収縮させることが出来るように許されており、それによりプロトコールを制御できるようにする。圧力および容積閾値を書き記す。
一定期間後、例えば、20または30分後、一定のエネルギー含量の生理食塩水食事が口から与えられる。
その後、第一の膨張と同様の第二の膨張が始まる。
二回の膨張の間、一定の低圧が圧調節バッグ(バロスタットバッグ)内で保たれる。これにより、直腸内の運動活性の尺度としての袋容量の記録ができる。
【0196】
第一評価項目
IBS患者における食物摂取に伴う、あるいは伴わない痛覚閾値の比較と、PYYの効果のプラシーボとの比較
第二評価項目
直腸における自発運動活性に対するPYYの生理学的効果の、プラシーボとの比較研究
【0197】
症状に対する効果は、B群の結果をA群と、およびC群の結果をA群と統計学的に比較することにより評価する。
統計学的分析は差異のノンパラメトリック分析により行なう(クラスカル・ワリス検定)。
【図面の簡単な説明】
【0198】
【図1】PP−フォールドペプチドファミリーの構造
【図2】PYY1−36の血漿濃度
【図3】PYY3−36の血漿濃度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能的胃腸疾患の治療用薬剤の製造のための、PYYまたはその機能的同等物、或いはその薬理的に許容される塩を含有する組成物。
【請求項2】
機能的胃腸疾患が過敏性腸症候群であって、
a)その主たる用便習慣が便秘、および/または
b)その主たる用便習慣が交互に起こる下痢と便秘、および/または
c)その治療は非経口投与でおこなうこと、
を特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
腹痛の治療のための、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
内臓痛の治療のための、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
機能的胃腸疾患が過敏性腸症候群または機能性消化不良である、請求項3または4に記載の組成物。
【請求項6】
機能的胃腸疾患が機能性消化不良である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
下記症状の治療のための請求項6に記載の組成物。
a)満腹感、及び/または
b)標準量の食事を食べきることができない、及び/または
c)食物摂取後の痛み、及び/または
d)吐き気、及び/または
e)嘔吐、及び/または
f)腹部膨満、及び/または
g)おくび、及び/または
h)逆流、及び/または
i)上腹部痛、及び/または
j)膨満感、及び/または
k)過剰腸内ガス、
および上記症状の任意の組み合わせ。
【請求項8】
症状が主として上部胃腸症状である、先行する請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
症状が主として下部胃腸症状である、先行する請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
ヒトPYYを含有する、先行する請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
ヒトPYY1−36を含有する、先行する請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
ヒトPYY3−36を含有する、先行する請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
組成物のpHが2.0から9.0の間である、先行する請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
医薬組成物が非経口投与用である、先行する請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
医薬組成物が皮下投与用である、先行する請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項16】
医薬組成物が鼻内投与用である、先行する請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項17】
組成物が第二の活性成分を含有する、先行する請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項18】
第二の医薬組成物が、SSRI(シタロプラム、エスシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン及びセルトラリン)、SNRI(ベンラファクシン)、NSRI、四環系抗うつ薬、三環系抗うつ薬(TCA)を含む非選択性モノアミン再取り込み阻害薬、選択性可逆性モノアミン再取り込み阻害薬およびミルタザピンなどの抗うつ剤である、請求項18に記載の組成物。
【請求項19】
第二の医薬組成物が制吐薬である、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
IBS及び/またはFDの治療用である、請求項20に記載の組成物。
【請求項21】
先行する請求項のいずれかに記載の医薬組成物を投与することを特徴とする、治療方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−538017(P2007−538017A)
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−516968(P2007−516968)
【出願日】平成17年5月18日(2005.5.18)
【国際出願番号】PCT/DK2005/000327
【国際公開番号】WO2005/110467
【国際公開日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(506387214)アディテック・ファルマ・アクチボラゲット (3)
【氏名又は名称原語表記】AdiTech Pharma AB
【Fターム(参考)】