説明

能動的なユーザーガイド手段を備えた投与ユニット用の保持ラック

【課題】混合物の調合時に間違えないような粉末状物質用の投与ユニットの提供。
【解決手段】保持ラック401は、投与ユニット402’用の個別の位置又は区画を有しており、各投与ユニットは、供給容器と、分注ヘッドを有しており、両者は互いに接続されている。保持ラック401には能動的なユーザーガイド手段405、405’が装備されており、計量された物質量を異なる投与ユニットから受け取り容器411へ分注する工程において、前記保持ラック内に収納されている異なる投与ユニット402’を取り出して戻す際にユーザーに指示を与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投与ユニット(即ち、粉末状物質用の分注ヘッドが取り付けられている物質容器)用の保持ラックを備えた実験室用の備品に関しており、この保持ラックには、能動的ななユーザーガイド手段が装備されており、例えば、混合物を調合するために、ラック内に収められている異なる投与ユニットを取り出しそして戻す順序をユーザーに指示し、その際には、何れの投与ユニットも、誤って2回以上取り出されることはなく、混合物の調合時に見落とされることもないということが極めて重要である。
【背景技術】
【0002】
本発明に関して考えられる用途は、作業者が個々の投与ユニットを保持ラックから取り出してそれを分注用の備品、代表的には投与量分注用の備品の中に填め込むと、この備品が、投与ユニットの分注ヘッド内のシャッター及び/又はフィーダー要素と連結されて、測定された量の粉末を投与ユニットから受け取り容器へ送り出すようになっている、主に手作業で実施される手順に関するものである。投与ユニットをラックから取り出してそれを分注装備品の中に填め込む手作業の工程には、例えば、複数の異なる粉末を、同じ受け取り容器に連続して分注することになるかもしれないという、作業者が間違う危険性を伴う。例えば、ユーザーが同じ容器から1回分の服用量の粉末を誤って二度分注すれば、受け取り容器内に出来上がった混合物は、混合比が間違っていることになる。
【0003】
この方式で物質を混ぜ合わせる工程は、例えば、法的要件に従って実行しなければならないHPLC(高性能液体クロマトグラフィ)計器の較正に関する標準に用いられる。その様な標準は、個々の成分が長期の保存期間に亘って混ぜ合わされた状態及び/又は溶解された状態に保たれると崩壊反応の起こる可能性があるため、一般に、使用される直前に混ぜ合わされて適切な溶剤に溶かされる、異なる粉末状物質の混合である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
従って、実験室で異なる粉末の混合物を調合し、且つ作業者が誤って同じ粉末投与成分をバッチに二度分注する危険性を回避するという必要性に鑑み、本発明は、各投与成分を、目標バッチに一度だけ分注し、且つ誤って目標バッチに入れ忘れることのないように保証する、或る程度の知能を有する、投与ユニット用の保持ラックを備えた実験室用の備品を提供するという目的を有している。
【0005】
この目的は、プロセッサーユニットと、投与ユニット用の保持ラックとを備え、投与ユニットが保持ラックの個別の位置又は区画を占有できるような実験室用の備品によって達成される。実験室用の備品には、プロセッサーユニットと保持ラックの間にそれぞれの通信路又はインターフェース接続が装備されている。保持ラックには、プロセッサーユニットのメモリユニットに記憶されている手順に基づいてプロセッサーが制御して、前記保持ラック内に収められている異なる投与ユニットを取り出して戻す際にユーザーに指示を与える能動的なユーザーガイド手段が装備されている。
【0006】
この文脈の「投与ユニット」という用語は、粉末状物質の供給容器を備えた分注ヘッドを意味している。分注ヘッドは、投与ユニットの分注位置では、供給容器の下に配置されている。投与ユニットから物質を分注する際には、投与ユニットが投与量分注装置、即ちアクチュエータ装置に連結され、このアクチュエータ装置は、カップリングによって分注ヘッドの放出制御要素と係合してこれを作動させ、それにより物質が、分注ヘッドの放出オリフィスから、投与ユニットの下、例えば化学天秤の計量皿の上に設置されている受け取り容器(目標容器とも呼ばれる)へと分注されることになる。通常この種の分注用備品では、天秤からの計量信号はアクチュエータ装置を制御するプロセッサーユニット又はコンピューターに送り返され、するとアクチュエータ装置が、上記カップリングを介して放出制御装置を作動させ、物質送出速度を制御し、目標重量に達すると送出を停止する。
【0007】
物質の量が非常に少ない場合、供給容器として分注ヘッドに接続されたバイアル又はフラスコを有していない投与ユニットを使用することもできる。普通はバイアル又はフラスコへの接続の役を果たす分注ヘッド内の通路は、この場合は、少量の物質の供給分を保持するために用いられ、即ち、この通路自体が供給容器を形成し、従って投与ユニットは分注ヘッドだけで構成される。プラグ又はキャップは、分注ヘッドの容器空洞が物質で満たされた後で、これを閉じる。
【0008】
異なる粉末物質の混合物を手作業で調合する工程で、作業者は、異なる物質の入った投与ユニットを上記分注用備品内へ次々に置き、所定の物質量を目標容器内へと分注する。作業者をこの工程において支援するために、ユーザーガイド手段を備えた保持ラックに関する本発明の概念は、以下に述べる実施形態で具体化される。
【0009】
実験室用備品の第1の実施形態では、各投与ユニットが一列に並んだ個々の位置を占有している保持ラックは、作業者に、投与量分注工程の目下の段階でどの投与ユニットが求められているかを表示する手段を有している。この表示は、例えば、保持ラック上の、投与ユニットの各保持位置それぞれの上方に配置されている標示器灯で構成することができる。例えば、手順の目下の段階の投与ユニットに属している灯を点灯させ、他のライトを消灯のままにするか、又は、目下の段階の投与ユニットを緑色灯で識別し、他の投与ユニットの灯を赤色にしてもよい。
【0010】
第2の実施形態による実験室用備品の保持ラックは、全ての投与ユニットを、保持ラックラック内のそれらの所定の収納位置にロックし、投与量分注工程の目下の段階で求められている投与ユニットだけをロック解除する手段を有している。
【0011】
第3の実施形態による実験室用備品の保持ラックは、投与ユニットが外周回りに配置されている回転台として構成されている。回転台の段階的回転は、目下の段階に対する投与ユニットがユーザーに向けて回されるようにプログラムされている。この場合、目下の段階で用いられるユニットは、回転台上の位置によって、ユーザーに表示される。好都合な付加物として、この回転台ラックに上記ロック機構を装備して、全ての投与ユニットを回転台のそれぞれの収納位置にロックし、投与量分注工程の目下の段階の位置にある投与ユニットだけがロック解除されるようにすることもできる。例えば、回転台の上に静止カバーを設けて、静止カバーのアクセス窓又は切抜部を除いて回転台の全ての投与ユニットへのアクセスを防ぎ、目下の分注段階に合わせて回転台によって切抜窓まで動かされてきた1つの投与ユニットにアクセスできるようにすることによって、ロック機構を実現することができる。
【0012】
上に述べた3つの実施形態それぞれの基本形において、投与ユニットは、ラック内に、分注工程で使用される順に、例えば、直線上のラックでは左から右へ、回転台ラックでは時計回りに配置されている。従って、物質を投与ユニットから、指定された順序で分注しなければならない場合、分注工程が始まる前に、投与ユニットを、ラック内に所定の順序で設置しなければならない。
【0013】
好都合に、実験室用備品の保持ラックは、更に、各標示器灯毎の押しボタンと標示器装置とを備えており、この表示器装置は、関係する押しボタンが操作されると、投与ユニット及び/又は前記投与ユニット内の物質の特定のデータに関係する具体的なデータを表示するようになっている。前記標示器装置は、スクリーン又はタッチスクリーンであってもよい。データは多くのやり方で表示することができ、全ての投与ユニットのデータを、例えばスクロールアップメニューで表示することもできる。投与ユニットに関係する代表的な特定のデータは、既に実施された分注の回数、並びに粉末の残量でもよい。物質に関係する代表的な具体的データは、化学式、物質の生産日と寿命、並びに、危険物質等級などである。
【0014】
本発明の更に発展した実施形態では、各投与ユニットの分注ヘッドには、IDタグ、例えば、バーコード又はマトリックスコードラベル、又は、具体的には、応答タグとしても知られているRFID(無線周波識別)タグ又はラベルが付いている。後者の場合は、保持ラックには好都合に読み取り装置が備えられているので、各ラック位置の投与ユニットは、ラックに組み込まれているか又は外部プロセッサーユニットとして保持ラックに接続されているプロセッサーユニット、例えば、分注用備品のコンピューター又はプロセッサーユニット、によって識別される。このIDタグは、少なくとも、投与ユニット内の物質を識別するが、投与ユニット内に保管されている物質の総量、及び投与ユニットが最後に補充された日付、並びに目下投与ユニット内に入っている物質の使用期限の様な追加の情報を含んでいてもよい。ラックを制御するプロセッサーユニット及び/又はプロセッサーユニットが接続されている中央コンピューターに適切なプログラムとデータベースがあれば、投与ユニットとそれらの内容の在庫全体を制御し管理することができる。
【0015】
投与ユニット上のI.D.タグを在庫管理システムの一部として使用するという上記概念は、在庫管理工程に、供給の追加注文、使用期日を過ぎた物質の廃棄、投与ユニットの補充などの様な系統的な制御を提供するだけでなく、法の下で規制される物質(非常に有毒な物質、処方薬など)の制御にも役立つ。制御は、例えば、上記ロッキング機構が何れかの投与ユニットをラック内のそれらの収納位置からロック解除する前に、ユーザーをシステム上に電子的に登録するように要求することによって、そして投与ユニットをラックから取り出して戻したときの日付と時間を記録することによって、実行される。
【0016】
好都合に、保持ラック、投与ヘッド、又は受け取り容器に取り付けられている上記プロセッサー又はIDタグは、各投与ユニットから分注されることになる物質の量及び順序を与える手順が記憶されているメモリユニットを含んでいる。各投与ユニットのラック位置が上記応答タグからプロセッサーに知らされ、分注手順がメモリユニットに記憶されているので、プロセッサーは、投与ユニットの所定の順序に従って、標示器灯を点灯させ、及び/又はロックを解除し、及び/又は回転台の位置を設定することができる。従って、投与ユニットを、何らかの特定の順番でラック内に設置する必要は無い。
【0017】
更に、混合物の調合に用いられる異なる物質の数、即ち投与ユニットの数が、1つのラック内の保持位置の数を上回る場合は、1つのプロセッサーユニットが、2つ以上のラックに配置されている投与ユニットにアドレスするような配置が可能である。これには「ラック」が1つの投与ユニットだけを保持する容器であるような、特異な場合が含まれる。この場合、混合手順には複数の容器が絡んでくる。上に述べた本発明の概念をこの状況に当てはめると、次のような配置になる。
−個々の投与ユニットの各容器は、識別手段(例えば、RFIDタグ、バーコードラベルなど)を有しているので、投与ユニットはプロセッサー又はコンピューターに認識され、
−一方の容器と他方のプロセッサー又はコンピューターの間に双方向通信の手段があり、
−個々の投与ユニットの各容器には、標示灯の様な、プロセッサー又はコンピューターが制御する標示手段が装備されており、
−個々の投与ユニットの各容器には、プロセッサーユニットからの信号を通してロックが解除されるとき以外は、投与ユニットを容器内にロックし続けるロック機構が装備されている。
【0018】
この概念は、バッチ処理手順全体をグローブボックスの内側の完全に密閉されている備品で操作しなければならない、危険な物質が関わる混合手順には特に好都合であると思われる。この場合は、投与ユニットを、安全容器の内側のグローブボックスの中に置かなければならない。複数の容器自体を「1つのユニットラック」として取り扱うという以上の概念は、投与ユニットを個別の安全容器からラックへ移し、その後、安全容器に戻すという、グローブボックスの内側で実施するには相当に厄介な段階を省いている。
【0019】
この上記概念を更に発展させた型式では、それぞれが1つの投与ユニットを保持している複数の容器が、基板又は棚板(図示せず)の上に置かれ、この板に、例えば、一方で各容器を基板上の割り当てられた場所に固定し他方で標示器灯用に並びに容器内にロックされている投与ユニットを保持しているロック装置の解除用に電気的接続を提供する、機械的及び電気的なプラグ接続によって、接続されている。容器を棚板又は他の種類の保持ベース上に固定しておくと、容器を支持ベース上の所定の位置に留めたまま片手で投与ユニットをその安全容器から引き出せ、好都合である。これは、特にグローブボックス内での操作を単純化する。
【0020】
最後に、本発明の概念を更に進展させて、標示手段を、ラック又は個々の容器ではなく投与ユニットの分注ヘッドに組み込むこともできる。標示器(例えば、分注ヘッド上の標示器灯)には、ラックの電気接点を通して、又は分注ヘッド内の小型バッテリーによって電気供給してもよいし、或いは、標示器灯(例えは、発光ダイオード)に必要な少量のエネルギーを、コイル又はアンテナを通して分注ヘッドが誘導的に受け取ってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明による保持ラックの詳細を、図示の実施形態の説明に示している。
図1aに示している本発明の第1の実施形態による直線状保持ラック101は、投与ユニット102で満たされており、各投与ユニット102は、バイアルの形をした供給容器104に分注ヘッド103が接続されて構成されている。極めて少量の物質の場合、図1bに示す様に、バイアル無しの分注ヘッド103だけを、投与ユニット102’として使用することもできる。この場合は、普通であればバイアルのネックが接続されている分注ヘッド103’の開口部が、供給容器104’として働く。投与ユニット102’が物質で満たされた後、開口部は、プラグ又はキャップ106で閉じられる。
【0022】
投与ユニット102、102’は、投与ユニットの底部をラックから前方に旋回させることによって保持ラック101から取り出され、逆の順序の動きを用いて投与ユニットはラックに戻される。標示器灯105、105’は、保持ラック内の各収納位置の上方に配置されている。異なる物質を個々の投与ユニットから受け取り容器に分注しなければならないバッチ処理工程では、次の分注段階のために保持ラック101から取り出される投与ユニット102、102’は、それぞれの位置の灯105’を、他の灯105は消灯状態のままにして点灯することによって標示してもよいし、目下の分注段階にある投与ユニットに属する灯105’を第1色、例えば緑で点灯し、他の投与ユニットの灯105を第2色、例えば赤で点灯してもよい。
【0023】
保持ラック101は、更に、各標示器灯105、105’毎の押しボタン107と標示器装置108とを備えており、この表示器装置108は、関係する押しボタン107が手動操作されると、投与ユニット102及び/又は前記投与ユニットの内の物質の特定のデータに関係する具体的なデータを標示するようになっている。前記標示器装置108は、スクリーン又はタッチスクリーンであってもよい。データは多くのやり方で表示することができ、全ての投与ユニット102、102’のデータを、例えばスクロールアップメニューで表示することもできる。
【0024】
図2は、投与ユニット202用の位置が回転台上に配置されている保持ラック201を示している。回転台は、電源208によって電力供給される駆動機構を有しており、ユーザーに相対する位置まで回転し、そこで、バッチ処理工程段階で次に取り出される特定の投与ユニット202’がユーザーに提示される。回転式ラック201の概念は、更に、前記特定の投与ユニット202’を除いて、全ての投与ユニット202を、ラック内のそれらの収納位置にロックできる可能性を提供する。これは、固定式の、即ち回転しないベルカバー209を回転台の上部に配置して、全ての投与ユニット202を幽閉された状態に保てるだけ投与ユニットを覆って下方に伸張させ、前記次の投与ユニット202’だけをベルカバー209の前面の切抜210によってアクセスできるようにすることによって実現される。
【0025】
図1aと図2の保持ラック101又は201では、それぞれ、投与ユニット102、102’、202を、分注工程で用いられる順番でラック内に配置することができ、作業者は、分注工程が始まる前に、投与ユニットを上記順序で、例えば、保持ラック101の場合は左から右へ、保持ラック201の場合は時計回りに、ラック内に設置しなければならない。分注工程では、保持ラックは、対応する順番で標示器灯を点灯するか又は回転台の位置を変える。
【0026】
本発明の概念を更に進化させた型式では、保持ラック201は、投与ユニット202に取り付けられている電子的に読み取り可能なIDラベル、例えば、RFIDタグ、応答器タグ、バーコードなどに対する読み取り装置を含んでいる。保持ラック201は、プロセッサーユニット(図4の参照番号414参照)への双方向第1インターフェース接続207を有しており、投与ユニット202には応答器タグが付いていて、プロセッサーユニットは、プロセッサー内のプログラムで規定されている順番で、各投与ユニット202を識別し、制御コマンドを保持ラック201へ送り、投与ユニット202を切抜210の「取り出し」位置へ動かすことができるので、投与ユニット202は、回転式ラック201内で、連続して時計回り又は反時計回りの順番になっていなくてもよい。
【0027】
勿論、プロセッサーに接続されている電子読み取り装置は、図1aの保持ラック101でも同様に用いて、プロセッサーが各コマンド信号を標示器灯へ送るようにすることもできる。
【0028】
図3aと図3bは、唯1つの投与ユニット302だけを保持する容器の形態をしている保持ラック301の特異な例を示している。投与ユニットの別の可能性のある設計を示すと、供給容器304は、煙突又はじょうご型で、物質を充填できるように上部が開いており、キャップで閉じられる。混合手順では、複数の保持容器301が、投与ユニット302を保持するのに用いられる。各容器301は、標示器灯305と、電子的に読み取り可能なIDラベル306を有しており、工程で用いられる全ての容器は、望ましくは無線接続を介して共用のプロセッサーに連結されている。各容器のIDラベルの情報は、電子読み取り装置によってプロセッサーユニットに入力され、処理ユニットは、保持容器301の標示器灯305を制御する。標示器灯305、並びにIDラベル306は、容器301ではなく投与ユニット302に配置してもよい。何れの場合も、標示器灯に必要な少量の電力は、バッテリーで供給することもできるし、容器301又は投与ユニット302に組み込まれているRFアンテナを通して誘導的に送ってもよい。
【0029】
単一ユニットラックとして機能する安全容器の概念は、バッチ処理手順全体をグローブボックス内の完全に密閉された設備で処理しなければならない危険物質が関わる混合手順には、特に好都合である。バッチ処理手順の或る段階が完了した後で微量の危険物質が分注ヘッドの外側にくっついたままになっている場合は、保持容器又は安全容器301が、物質が環境に漏れ出す危険性を防ぐ。勿論、図1又は図2による多ユニットラック101、201をグローブボックスの内側に配置し、投与ユニットを、グローブボックス内で安全容器から多ユニットラック101、201へ移すこともできる。しかしながら、これにはグローブボックスの内側により多くの空間が必要になり、投与ユニットを安全容器と保持ラック101、201の間で移す段階が追加されることになる。
【0030】
以上の概念を更に発展させた実施形態では、複数の容器301は、それぞれが1つの投与ユニット302を保持しており、基板又は棚板の上に置き、これに接続できるようになっている。一例として、図3Cは、容器301用の3つの収納位置A、B、Cを備えた基板又は棚板310を示している。容器301の足308は、基板310の噛み合い開口部311に差し込まれ、又は嵌め込まれ、容器301の電気的接点要素307は、基板310の電気接点要素312と係合する。電気的接点307、312は、標示器灯305並びにロック装置309への電気的接続を提供する。ロック装置309は、デフォルト状態では、投与ユニット302を安全容器301にロックされた状態に維持し、プロセッサーユニットの制御の下に電気的接点307、312を通して電気供給されたときにだけロックを解除する。すると、容器301がトレー上のその場所に留まった状態で、投与ユニット302を片手でそれぞれの安全容器301から引き出すことができるので、特にグローブボックス内での操作が簡単になる。
【0031】
図4は、投与ユニット用の保持ラック401(押しボタンとディスプレイを備えていない)と、投与量分注装置417を備えている実験室用天秤413と、コンピューター又はプロセッサーユニット414と、コンピューターと保持ラックの間の通信路407、コンピューターと天秤の間の通信路415、及びコンピューターと投与量分注装置の間の通信路416と、を備えている典型的な実験室用の備品を概略的に示している。標示器灯405’が点灯している投与ユニット402’は、保持ラック401から取り出され、投与量分注装置417に連結され、物質を計量パン412に載っている受け取り容器411に分注する。インターフェース接続407を通して、コンピューターは、投与ユニットのRFIDタグから物質のデータを受信し、コンピューターに記憶されている手順に基づいて標示器灯405を制御する。天秤は、信号接続415を通して重量のデータをコンピューターに送る。コンピューターは、上記手順で与えられる重量目標に従って、インターフェース接続416を通して投与量分注装置417の速度と遮断点を制御する。
【0032】
ここに提示した各実施形態は、異なる構成と機能を備えた保持ラックと投与ユニットを示している。異なる構成と機能の中には、使用するのに好都合な全ての実施形態と組み合わせて明示していないものもあるが、その様な組み合わせは、当業者には容易に理解できるので、本発明の範囲に含まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1a】図1aは、投与ユニットで満たされている本発明の第1の実施形態による直線状ラックの三次元図である。
【図1b】図1bは、供給容器が分注ヘッド内側の空洞である投与ユニットである。
【図2】投与ユニットで満たされている本発明の第3の実施形態による回転式ラックの三次元図、並びに、本発明の第2の実施形態による投与ユニットのロックの可能性を示している。
【図3a】図3aは、第4の実施形態による単一ユニットの保持ラック又はコンテナユニットを示している。
【図3b】図3bは、密閉ユニットから引き上げられている図3aの投与ユニットを示している。
【図3c】図3cは、3つの単一ユニットラックのための基板又は棚板を示している。
【図4】投与ユニット用の本発明の保持ラックを備えている代表的な実験室用の備品、投与量分注装置を備えている実験室用天秤、コンピューター、及び、コンピューターとラックの間、並びにコンピューターと天秤/投与量分注装置の間の各通信路を示している。
【符号の説明】
【0034】
101、401 直線状ラック
102、102’202、302、402、402’ 投与ユニット
103、103’、203、303 分注ヘッド
104、104’、204、304 供給容器、バイアル
105、405 標示器灯、消灯
105’、405’ 標示器灯、点灯
106 プラグ又はキャップ
107 押しボタン
108 標示器装置
201 回転式ラック
207、407 双方向信号接続
208 電源
209 回転台の固定式ベルカバー
210 ベルカバー209の切抜部
301 安全容器、単一ユニットのラック
305 標示器灯
306 応答器タグ、バーコードなどの様なIDラベル
307 電気接点要素
308 安全容器の足
309 ロック装置
310 基板、棚板
311 足308のための受入開口部
312 電気接点要素
407 インターフェース接続
411 受け取り容器
412 計量皿
413 天秤
414 プロセッサーユニット又はコンピューター
415 信号接続
416 インターフェース接続
417 投与量分注装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサーユニット(414)と、投与ユニット(102、102’、202、302、402、402’)用の保持ラック(101、201、301、401)とを備えている実験室用の備品であって、前記投与ユニット(102、102’、202、302、402、402’)は、前記保持ラック(101、201、301、401)の個別の位置又は区画を占有している、実験室用の備品において、前記実験室用の備品には、前記プロセッサーユニット(414)と前記保持ラック(101、201、301、401)の間にそれぞれの通信路又はインターフェース接続(407)が装備されており、前記保持ラック(101、201、301、401)には、前記プロセッサーユニット(414)が前記プロセッサーユニット(414)のメモリユニットに記憶されている手順に基づいて制御して、前記保持ラック(101、201、301、401)内に収納されている異なる投与ユニット(102、102’、202、302、402、402’)を取り出して戻す際にユーザーに指示を与える、能動的なユーザーガイド手段(105、105’、210、305、405、405’)が装備されていることを特徴とする、実験室用の備品。
【請求項2】
前記実験室用の備品は少なくとも1つの投与ユニット(102、102’、202、302、402、402’)を備えており、前記投与ユニット(102、102’、202、302、402、402’)は供給容器(104、204、304)と分注ヘッド(103、103’、203、303)を備えており、前記供給容器(104、204、304)は前記分注ヘッド(103、203、303)に接続されているバイアル、フラスコ又はじょうご形の容器であること、又は、前記供給容器(104’)は、前記容器の空洞(104’)が物質で満たされた後でプラグ又はキャップ(106)によって閉じられる分注ヘッド(103’)内側の開放空洞であること、を特徴とする、請求項1に記載の実験室用の備品。
【請求項3】
前記能動的なユーザーガイド手段(105、105’、210、305、405、405’)は、前記保持ラック(101、201、301、401)に配置されていて、作業者に投与量分注工程の目下の段階でどの投与ユニット(102、102’、202、302、402、402’)が求められているかを見えるように標示する標示手段(105、105’、210、305、405、405’)を備えていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の実験室用の備品。
【請求項4】
前記能動的なユーザーガイド手段(105、105’、210、305、405、405’)は、前記保持ラック(101、201、301、401)から、各投与ユニット(102、102’、202、302、402、402’)に配置されていて、作業者に投与量分注工程の目下の段階でどの投与ユニット(102、102’、202、302、402、402’)が求められているかを見えるように標示する標示手段(105、105’、210、305、405、405’)までの、物理的な又は無線の信号接続を備えていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の実験室用の備品。
【請求項5】
前記投与ユニット(102、102’)の位置は一列に配置されており、前記標示手段(105、105’、210、305、405、405’)は、前記保持ラック(101)上の、前記投与ユニット(102)の各保持位置それぞれの上方に配置されている前記標示器灯(105)を備えており、前記手順の目下の段階の前記投与ユニット(102’)に属している前記灯(105’)は点灯しているのに対して他の灯(105)は消灯したままであるか、前記目下の分注段階の前記投与ユニット(102)に属している前記灯(105’)は第1色であるのに対して前記他の投与ユニット(102)の前記灯(105)は第2色であることを特徴とする、請求項3に記載の実験室用の備品。
【請求項6】
前記投与ユニット(102、102’、202、302、402、402’)の位置は回転台(201)上に配置されており、前記能動的なユーザーガイド手段(105、105’、210、305、405、405’)は、前記回転台(201)を、前記目下の段階の前記投与ユニット(102、102’、202、302、402、402’)が、それ自身を前記ユーザーに提示する位置(210)まで回転させる能力を備えていることを特徴とする、請求項1から3の何れかに記載の実験室用の備品。
【請求項7】
前記保持ラック(101、201、301、401)は、全ての投与ユニット(102、102’、202、302、402、402’)を前記保持ラック(101、201、301、401)内のそれらの収納位置にロックする手段(209、309)を更に備えており、前記目下の分注段階の前記位置(210)にある前記投与ユニット(102、102’、202、302、402、402’)だけが、ユーザーが取り外せるように、ロック解除されることを特徴とする、請求項6又は7に記載の実験室用の備品。
【請求項8】
前記投与ユニット(102、102’、202、302、402、402’)は、前記保持ラック(101、201、301、401)内に前記分注工程で使用される順に配置され、前記作業者は、前記分注工程が始まる前に、前記投与ユニット(102、102’、202、302、402、402’)を前記保持ラック(101、201、301、401)内に、所定の順序で設置しなければならないことを特徴とする、上記請求項の何れかに記載の実験室用の備品。
【請求項9】
前記保持ラック(101、201、301、401)は、IDラベル、具体的には応答器タグ、RFIDタグ、バーコードラベル又はマトリックスラベル用の読み取り装置を更に備えていることと、前記投与ユニット(102、102’、202、302、402、402’)にはIDラベル(306)、具体的には応答器タグ、RFIDタグ、バーコードラベル又はマトリックスラベルが付いているので、前記プロセッサーユニット(414)は、各投与ユニット(102、102’、202、302、402、402’)と、前記保持ラック(101、201、301、401)内のその位置を識別することができるようになっていることを特徴とする、請求項1から8の何れかに記載の実験室用の備品。
【請求項10】
前記実験室用の備品は、天秤(413)と投与量分注装置(417)を更に備えていることと、前記プロセッサーユニット(414)は、前記天秤(413)への第2インターフェース接続(415)と、前記投与量分注装置(417)への第3インターフェース接続(416)を更に有しており、投与ユニット(102、102’、202、302、402、402’)を前記投与量分注装置(417)に連結させて、受け取り容器(411)を前記天秤(413)の計量皿(412)上の前記投与ユニット(102、102’、202、302、402、402’)の下方に設置することができ、前記天秤(413)は、前記第2インターフェース接続(415)を通して前記プロセッサーユニット(414)へ重量信号を送り、前記プロセッサーユニット(414)は、前記第3インターフェース接続(416)を通して、前記投与ユニット(102、102’、202、302、402、402’)から前記受け取り容器(411)への前記物質の送出の速度と遮断を制御することを特徴とする、請求項1から9の何れかに記載の実験室用の備品。
【請求項11】
複数の保持ラック(101、201、301、401)は、1つのグループに組み合わせることができる能力を備えており、前記1つのグループは、前記保持ラック(101、201、301、401)の1つに組み込まれているか又は前記グループに外部接続されているプロセッサーユニット(414)の制御の下に、一体となって1つの保持ラックとして作用することを特徴とする、上記請求項の何れかに記載の実験室用の備品。
【請求項12】
1つのグループとして協働する前記保持ラックの内の少なくとも1つは、投与ユニット(302)用の位置又は区画を1つだけ備えている単一ユニットラック(301)であることを特徴とする、請求項11に記載の実験室用の備品。
【請求項13】
複数の単一ユニットラック(301)は、基板又は棚板(310)上に置かれ、それに、前記単一ユニットラック(301)を割り当てられた位置(A、B、C)に固定する機械的接続(308、311)と、前記単一ユニットラック(301)の標示器灯(305)とロック(309)の内の少なくとも1つに電力を供給する電気的接続(307、312)とによって接続されていることを特徴とする、請求項12に記載の実験室用の備品。
【請求項14】
前記保持ラック(101、201、301、401)は、更に、各標示器灯(105、105’)用の押しボタン(107)と、関係する前記押しボタン(107)が操作されると、前記投与ユニット(102)及び/又は前記投与ユニット(102、102’、202、302)内側の前記物質に関係する特定のデータを表示するための標示器装置(108)と、を備えていることを特徴とする、請求項5に記載の実験室用の備品。
【請求項15】
前記IDラベル(306)、前記読み取り装置、及び前記プロセッサーユニット(414)は、前記投与ユニット(102、102’、202、302、402、402’)とそれらの中に入っている物質の在庫管理システムに統合されていることを特徴とする、請求項9に記載の実験室用の備品。
【請求項16】
前記IDラベル(306)、前記読み取り装置、及び前記プロセッサーユニット(414)、並びに前記ロック手段(209、309)は、前記投与ユニット(102、102’、202、302)とそれらの中に入っている物質の承認されていない使用を防ぐためアクセス制御及び監視システムに統合されていることを特徴とする、請求項9と15に記載の実験室用の備品。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−292468(P2008−292468A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−105715(P2008−105715)
【出願日】平成20年4月15日(2008.4.15)
【出願人】(599082218)メトラー−トレド アクチェンゲゼルシャフト (130)
【住所又は居所原語表記】Im Langacher, 8606 Greifensee, Switzerland
【Fターム(参考)】