説明

能動的ロータアライメント制御システム及び方法

【課題】ロータと周囲のケーシング構造との間のクリアランスを測定し制御するシステム及び方法を提供すること。
【解決手段】ガスタービン10などの回転機械が、複数のアクチュエータ30が1つ以上のロータシャフトベアリング50の周囲に離隔して配置された、能動的ロータアライメントクリアランス制御システムを含む。アクチュエータは、ベアリングを、したがってロータシャフト19を、固定外側ケーシング構造26に対して偏心変位させるように構成される。複数のセンサが、ケーシング構造26の部品の周囲に離隔して配置され、構造内でロータ18が回転するときの偏心を示すパラメータを測定する。センサ及びアクチュエータ30と通信する制御システムが、ロータとケーシング構造との間で検出した偏心を補正するために、シャフトベアリング50を動かすことによってロータ18を偏心変位させるようにアクチュエータを制御するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、ガスタービンなどの回転機械に関し、より詳細には、ロータと周囲のケーシング構造との間のクリアランスを測定し制御するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンなどの回転機械は、シュラウドなどの固定ケーシング部品内で回転するロータと呼ばれる部分を有する。部品間の衝突を防ぐために、ロータとシュラウドとの間のクリアランス寸法を維持しなければならない。これは、ガスタービンで特に重要なことである。
【0003】
ガスタービンは、燃焼室から排出される高温ガスを使用してロータを回転させ、ロータは、通常、シャフトの周囲に離隔して配置された複数のロータ動翼を含む。ロータシャフトは、圧縮空気を燃焼室へと供給する圧縮機に結合され、また、一部の実施形態では、ロータの機械エネルギーを電気エネルギーへと変換する発電機に結合される。ロータ動翼(「バケット」ともいう)は、通常、シャフトに沿った複数の段落に設けられ、外側ケーシングと内側ケーシング又はシュラウドリングとを段落ごとに含むことのできるケーシング構成内で回転する。高温ガスが動翼に衝突すると、シャフトが回転する。
【0004】
動翼先端とシュラウドリングとの間の距離は、「クリアランス」と呼ばれる。クリアランスが増大するにつれて、高温ガスがクリアランスを通って漏れるので、タービンの効率は、低下する。したがって、タービンの効率を最大にするためには、動翼先端とシュラウドとの間のクリアランスを最小限に抑えるべきである。他方、クリアランスの量が小さすぎる場合、動翼、シュラウド、及び他の部品の熱膨張及び熱収縮によって動翼がシュラウドを擦ることになり、一般に、動翼、シュラウドリング、及びタービンの損傷をまねくおそれがある。したがって、様々な運転条件の間、最小限のクリアランスを維持することが重要である。
【0005】
タービン動作中のケーシングの熱膨張を低減するために、ケーシングの周りに圧縮機からバイパス空気を導くことによって精確なクリアランスを維持しようと試みる方法及びシステムが知られている。例えば、米国特許第6126390号は、タービンケーシングの冷却速度を制御するために、場合によってはケーシングを加熱するために、流入空気の温度に応じて圧縮機又は燃焼室からタービンケーシングへの空気の流れを測定する、受動的加熱/冷却システムを記載している。
【0006】
しかし、従来の受動的空気冷却システムは、ロータ及び/又はシュラウドの均一な周囲膨張を想定しており、ロータとシュラウドとの間に生じる又はロータとシュラウドとの間に固有の偏心を考慮することができない。偏心は、製造若しくは組立公差の結果として生じることもあり、又は、タービン動作中に、ベアリングオイルリフト、ベアリング構造の熱成長、振動、タービン部品の不均一な熱膨張、ケーシングの滑り、重力たわみなどの結果として生じることもある。設計の際に予想される偏心を考慮しなければならず、したがって、これらの偏心は、動翼とシュラウドとの間の摩擦なしに達成できる最小設計クリアランスの量を制限する。この問題に対する従来の対処法は、高温運転偏心条件を補正するように、低温組立ての間に部品の相対位置を静的に調節するものであった。しかし、この方法は、タービンの運転寿命の間に生じる偏心の変動を精確に考慮することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0053042号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、広範な運転条件にわたってタービン部品間に生じる偏心を精確に検出し考慮するために、能動的アライメント制御システム及び方法が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、従来の制御システムの欠点のいくつかに対処する能動的アライメント制御システム及び方法を提供する。本発明の他の態様及び利点は、一部は以下の説明で示され、又は以下の説明から自明となり、又は本発明を実施することによってわかることになる。
【0010】
能動的ロータアライメントクリアランス制御システムを備えたガスタービンの特定の一実施形態では、ロータは、1段以上の段落にロータ動翼を備える。ロータは、ケーシング構造内で回転可能に支持され、両端部がそれぞれのシャフトベアリングによって支持されたシャフトを含む。複数のアクチュエータが、シャフトベアリングを固定ケーシング構造に対して動かし、それによってロータをケーシング構造に対して偏心変位させるように、シャフトベアリングのうちの1つ以上を用いて構成される。複数のセンサが、ケーシング構造の周囲に離隔して配置され、ケーシング構造内でロータが回転するときの、ロータ動翼とケーシング構造との間の動翼先端クリアランスなど、偏心を示すパラメータを測定するように構成される。制御システムが、複数のセンサ及び複数のアクチュエータと通信し、ロータとケーシング構造との間で検出した偏心を補正するためにシャフトベアリングをケーシング構造に対して変位させるように複数のアクチュエータを制御するように構成される。特定の一実施形態では、制御システムは、閉ループフィードバック制御システムとすることができる。
【0011】
本発明は、また、ロータがケーシング構造内で回転する回転機械においてロータとケーシング構造との間のクリアランスを制御するための方法を含む。その機械は、例えば、ガスタービンとすることができる。当該方法は、ケーシング構造内でロータが回転するときの、ロータとケーシング構造との間のクリアランスなど、偏心を示すパラメータを感知することによって、ロータとケーシング構造との間の偏心を検出することを含む。偏心を検出するのに応答して、ロータは、ケーシング構造内でロータが回転するときの検出した偏心を補正するようにケーシング構造に対して変位する。
【0012】
本発明は、また、一般に回転機械に関係する、ロータ/ケーシングアライメントシステムを含む。このシステムは、ケーシング構造内で回転可能に支持されたロータを含む。ロータは、各シャフト端部がそれぞれのシャフトベアリングによって支持された、両側のシャフト端部を有する。複数のアクチュエータが、シャフトベアリングを動かし、それによってロータをケーシング構造に対して偏心変位させるように、シャフトベアリングのうちの1つ以上を用いて構成される。複数のセンサが、ケーシング構造の周囲に離隔して配置され、ケーシング構造内でロータが回転するときの、ロータとケーシング構造との間のクリアランスなど、偏心を示すパラメータを測定するように構成される。制御システムが、複数のセンサ及び複数のアクチュエータと通信し、複数のセンサによってロータとケーシング構造との間で検出された偏心を補正するためにシャフトベアリングを動かすことによってロータをケーシング構造に対して変位させるように複数のアクチュエータを制御するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】例示的な回転機械、特に、ガスタービンの略図である。
【図2A】ガスタービンなどの回転機械のロータと周囲のケーシング構造との間の全体的に一様な同心関係を示す概略断面図である。
【図2B】ガスタービンなどの回転機械のロータと周囲のケーシング構造との間の偏心関係を示す概略断面図である。
【図3】ロータとシュラウドとの間の偏心を補正するために能動的ロータアライメントシステムを組み込んだガスタービンの部分透視図である。
【図4】ロータと周囲のケーシング構造との間の偏心を検出するためにセンサを組み込んだガスタービンの概略断面図である。
【図5】ロータをケーシング構造に対して変位させるようにシャフトベアリングを用いて構成されたアクチュエータを組み込んだガスタービンの概略断面図である。
【図6】制御システムを示す例示的な図である。
【図7】本発明の方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここで、その1つ以上の例を図面に示した、本発明の特定の実施形態を参照する。各実施形態は、本発明の態様を説明するために提示しており、本発明の制限と見なすべきではない。例えば、一実施形態に関して図示又は記載された特徴を他の実施形態とともに使用して、さらに他の実施形態を作り出すことができる。本発明は、本明細書に記載の実施形態の前述及び他の修正形態又は変形形態を含むものとする。
【0015】
本発明の態様について、本明細書ではガスタービン構成に関して説明する。ただし、本発明がガスタービンだけに限定されず、ロータと周囲のケーシング構造との間の偏心を検出して補正することが望まれる一般的な回転機械に本発明を適用可能であることを理解すべきである。
【0016】
図1は、ガスタービン10など、従来の回転機械の例示的な一実施形態を示す。ガスタービン10は、圧縮機セクション12と、燃焼室14と、タービンセクション16とを含む。全体的に18で示されたタービンロータは、ガスタービン10を貫いて長手方向に配置され、発電機20に結合された、ロータシャフト19を含む。タービンセクション16は、ケーシング構造26内で回転するタービン段落22を含んでおり、そのケーシング構造26は、内側ケーシング又はシュラウド24(共通の単一ケーシング構造又は個々のケーシングリングとすることができる)や、外側ケーシング28など、任意の構成の内側及び外側ケーシングを含むことができる。各タービン段落22は、複数のタービン動翼23を含む。
【0017】
従来のガスタービン構成の構造及び動作は、当業者には周知であり、その詳細な説明は、本発明を理解するために必要ではない。また、図1の簡略化したタービン10は、単に適切なタービン又は他の回転機械構成の任意のタイプを表すにすぎず、本システム及び方法が、様々なタービン構成で有用であり、いずれか特定のタイプのガスタービン又は他の回転機械だけに限定されないことを理解すべきである。
【0018】
図2Aは、ロータシャフト19上に据え付けられた個々の動翼又はバケット23を有するタービン段落22を示す略図である。タービン段落22は、ケーシング構造26の外側ケーシング28内の同心状の内側シュラウド24(すべてのタービン段落に共通の単一の内側ケーシング構造、又は個々のシュラウドリング)内で回転する。任意の方式の連結又は支持構造25を、内側シュラウド24と外側ケーシング構造28との間に構成することができる。回転している動翼23の先端と内側シュラウド24との間には、理想的な動翼先端クリアランス34が望まれる。このクリアランス34は、図2Aでは説明の目的で大きく誇張されている。
【0019】
図2Bに示したように、タービン段落22と内側シュラウド24との間に偏心が生じることがある。これらの偏心は、製造又は組立公差、ベアリングアライメント、ベアリングオイルリフト、ベアリング構造の熱成長、振動、タービン部品の不均一な熱膨張、ケーシングの滑り、重力たわみなどの因子の何らかの組合せの結果として生じる可能性がある。偏心関係は、図2Bに示したように、それ自体偏心的な性質のタービン動翼クリアランス34をもたらすおそれがある。偏心は、許容可能な最小限の仕様に満たないタービン動翼クリアランスをもたらすおそれがあり、その結果、動翼23の先端と内側シュラウド24との間の摩擦を引き起こすおそれがある。さらに、偏心は、設計仕様を超える動翼先端クリアランスをもたらすおそれがあり、その結果、著しいロータ損失を引き起こすおそれがある。
【0020】
図3は、本発明の態様を組み込んだガスタービン10の一実施形態を示す。ロータ18は、シャフト19の両端部のところにシャフト端部21を含む。シャフト端部21は、それぞれのシャフトベアリング50内で支持される(図3の右側)。従来の任意の方式のシャフトベアリング50の構造及び動作は、当業者には公知であり、理解されている。図3は、また、シャフトベアリング50をケーシング構造26に対して支持する複数のアクチュエータ30を示す。ここに示される実施形態では、アクチュエータ30は、同心構造とすることのできる外側構造52と内側構造54との間に連結される。シャフトベアリング50は、内側構造54内に収容されるベアリングハウジング56(図5)を含む。
【0021】
図5を参照すると、複数のアクチュエータ30が、外側構造52と、ベアリングハウジング56がその中に収容された内側構造54との間に、周方向に離隔して配置される。ゆえに、アクチュエータは、ロータを固定ケーシング構造26に対して回転可能に支持する働きをする。同様のベアリング構造及びアクチュエータ構成を各ロータシャフト端部21のところに設けることができることを理解すべきである。アクチュエータ30の数及び位置は、多様なものにすることができるが、アクチュエータ30が、タービン段落22と内側シュラウド24(図4)との間の動翼先端クリアランスによって検出される、ロータとケーシング構造との間で検出された偏心の完全な周方向補正を可能にすることが望ましい。アクチュエータ30は、内側構造54を(したがって、シャフトベアリング50を)ケーシング構造26の固定外側構造52に対して変位又は移動させるように構成される。アクチュエータ30は、その設計又は構造に制限がなく、任意の方式の空気圧、液圧、電気、熱、又は機械作動機構を含むことができる。例えば、アクチュエータ30は、個々に制御される電気モータ、空気圧式又は液圧式ピストン、サーボ、ねじ式又はギア式機構、シム機構などとして構成することができる。ここに示される実施形態では、4つのアクチュエータ30が、内側構造54の周囲に90度の間隔をあけて均等に配置される。上下のアクチュエータ30は、垂直調節をもたらし、左右のアクチュエータ30は、水平調節をもたらす。アクチュエータ30を組み合わせると、内側シュラウド構造54の全外周部の周りでの、所望の任意の度数の水平及び垂直調節が得られる。
【0022】
図4を参照すると、複数のクリアランスセンサ32が、タービンセクションの内側シュラウド24の周囲に離隔して配置され、シュラウド24内でロータ段落22が回転するときのロータ動翼23の先端と内側シュラウド24との間の動翼先端クリアランス34を測定するように構成される。これらのセンサ32の数及び場所は、多様なものにすることができるが、内側シュラウド24の周囲のいずれの形の偏心も検出するのに十分であることが望ましい。全体的な偏心の評価を向上させるために、特に、ロータシャフト両端部のベアリングのところでアクチュエータを制御するために、周囲に離隔して配置されたセンサ32の異なるセットを、タービンに沿った軸方向の多数の場所に動作可能に配置することができる。様々なタイプの動翼先端センサが当該技術分野で知られ、使用されており、そのようなセンサの任意のもの又はそれらの組合せを本発明の範囲及び趣旨の範囲内で使用することができる。例えば、センサ30は、金属動翼先端がセンサの下を通過することによって生み出される測定キャパシタンス又はインダクタンスの変化に反応する容量センサ又はインダクタンスセンサなどの受動的デバイスとすることができ、変化の大きさが動翼先端クリアランスの相対的な度合いを表す。通常、これらのタイプの容量センサは、シュラウド24の内周表面と同一平面にくるようにシュラウド24内の陥凹部に据え付けられる。代替的な実施形態では、センサ30は、マイクロ波送信機/受信機センサ、レーザ送信機/受信機センサなど、任意の方式又は構成の能動的感知デバイスとすることができる。他の代替的な実施形態では、能動的センサ30は、光がタービン動翼へと伝送されてタービン動翼から反射される、光学的構成を含むことができる。
【0023】
本発明がセンサのタイプ又は構成によって制限されないこと、及び任意の方式若しくは構成の公知の若しくは開発されたセンサ又は他のデバイスを使用して動翼先端クリアランスを測定又は検出することによって偏心を検出できることが、容易に理解されるはずである。また、本発明の範囲内に含まれる適切なセンサを、動翼先端クリアランス以外のパラメータを測定又は監視することによって偏心を直接的又は間接的に検出するように構成できることを理解すべきである。
【0024】
図6を参照すると、例示的な制御システム36が、センサ32及びアクチュエータ30と通信して構成される。制御システムは、センサから受け取った信号からロータ偏心の大きさ及び周方向位置を計算し、シュラウド内でロータが回転するときの計算したロータ偏心を補正するようにアクチュエータを制御する、ソフトウェア実装プログラムを含むことができる。
【0025】
ここに示される実施形態では、制御システム36は、様々な各センサ32の動翼先端クリアランス測定値から偏心を計算するように任意の方式のハードウェア又はソフトウェアプログラム40を用いて構成された制御装置42を含む。制御システム36は、特定の一実施形態では、閉ループフィードバックシステム38として構成され、センサ32によって生成される信号から本質的に瞬時に偏心が計算される。制御システム36は、次いで、各アクチュエータ30へと制御信号33を生成する。アクチュエータ30は、制御信号33に応答して、許容限度内まで偏心を最小限に抑えるために前述のようにシャフトベアリング50をシフトさせる。ベアリング50が再配置されると、センサ32は、引き続き動翼先端クリアランス34を感知し、計算した偏心が引き続き監視される。
【0026】
制御システム36が偏心を許容限度内に維持するために必要な調節を最低限の回数しか行わないことを保証するために、当該システムが、減衰回路若しくは時間遅延回路などの任意の数の制御機構、又は他の任意のタイプの公知の閉ループフィードバック制御システム機能を含むことができることが容易に理解されるはずである。例えば、制御システム36は、ベアリング50の位置を漸次調節するように、また、後続の調節を行う前に検出した偏心の変化を安定させるために各調節間に所定の待機期間をもつように構成することができる。
【0027】
制御システム36は、その機能に関連した入力35、例えば、偏心設定点や調節制御などを受け取ることができ、又は他の任意の関連制御システムからの入力35を受け取ることができる。さらに、診断やメンテナンスなど、何らかの理由で、他の任意の関連制御システム又は機器がセンサからの出力37を使用することができる。
【0028】
図6は、タービン10の各端部のところでシャフトベアリングを調節するように構成された制御システム36を描く。これは、両端部でロータの位置を制御することによってロータのより精密な調節を達成できる特定の実施形態において有益な可能性がある。ただし、本発明が、シャフトベアリングのうちの1つだけを用いて構成されたアクチュエータによってロータ位置をケーシング構造に対して調節することを含むことを理解すべきである。
【0029】
図7は、本制御方法の一実施形態を例示するフローチャートを描く。段階100では、シュラウド内でタービンが回転するときにシュラウドの周りの複数の位置で動翼先端クリアランスを測定する。前述のように、動翼先端クリアランスは、シュラウドの周囲に配置された任意の方式のセンサによって感知することができる。
【0030】
段階110では、測定した動翼先端クリアランスを使用して、シュラウドとロータとの間の偏心の大きさ及び相対的な周囲位置を計算する。
【0031】
段階120では、計算した偏心を所定の許容限度と比較する。
【0032】
段階130では、計算した偏心が限度内にある場合、段階100で監視プロセスが継続する。
【0033】
段階130で、計算した偏心が許容可能な設定点を超える場合、制御システムは、アクチュエータ制御信号を生成し、それらの信号が、偏心を補正するように段階150でベアリングを(したがってロータシャフトを)固定ケーシング構造に対して偏心シフトさせるために、ロータシャフトベアリングのうちの1つ以上の周りに配置された様々なアクチュエータに適用される。前述のように、アクチュエータによって行われる調節は、漸次的な段階とすることもでき、又は偏心全体を補正するように計算された単一の段階とすることもできる。ベアリング(複数可)の調節が終了するたびに、段階100で監視が継続する。
【0034】
図6のシステム及び図7の方法で示された閉ループタイプのフィードバックシステムが本発明の制限ではないことが、容易に理解されるはずである。ロータとシュラウドとの間の偏心を補正するように内側シュラウドを外側ケーシング内で偏心シフトさせる目的を達成するために、当業者は、様々なタイプの制御システムを容易に考案することができる。
【0035】
本発明についてその例示的な特定の実施形態及び方法に関して詳細に記載したが、以上を理解すると、当業者が、そのような実施形態の変更形態、変形形態、及び均等物を容易に作り出すことができることが理解される。したがって、本開示の範囲は、制限を目的としたものではなく例示を目的としたものであり、本発明は、当業者に容易に明らかな、本発明へのそのような修正、変形、及び/又は追加を含むことを除外するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリアランス制御システムを備えたガスタービン(10)であって、
1段以上のロータ動翼(23)がケーシング構造(26)内で回転可能に支持されたロータ(18)であって、
両側のシャフト端部(21)を含んでなる、各シャフト端部がそれぞれのシャフトベアリング(50)によって支持されたロータ(18)、
シャフトベアリングを動かし、それによってロータをケーシング構造に対して偏心変位させるように、シャフトベアリングのうちの1つ以上を用いて構成された複数のアクチュエータ(30)、
ケーシング構造の周囲に離隔して配置された、ケーシング構造内でロータが回転するときのロータとケーシング構造との間の偏心を示すパラメータを測定するように構成された複数のセンサ(32)、並びに、
複数のセンサ及び複数のアクチュエータと通信する、複数のセンサによってロータとケーシング構造との間で検出された偏心を補正するためにシャフトベアリングをケーシング構造に対して変位させるように複数のアクチュエータを制御するように構成された制御システム(36)
を含んでなるガスタービン(10)。
【請求項2】
他のそれぞれのシャフトベアリング(50)を用いて構成された追加の複数のアクチュエータ(30)をさらに含んでおり、シャフトベアリングの一方又は両方の移動によってロータ(18)がケーシング構造(26)に対して変位するように、追加の複数のアクチュエータが制御システム(36)と通信する、請求項1記載のガスタービン(10)。
【請求項3】
制御システム(36)が、複数のセンサ(32)から受け取った信号からロータ偏心の大きさ及び回転位置を計算し、ケーシング構造(26)内でロータ(18)が回転するときの計算したロータ偏心を補正するように複数のアクチュエータ(30)を制御する、ソフトウェア実装プログラムを備えた閉ループフィードバックシステム(38)を含んでなる、請求項1又は請求項2記載のガスタービン(10)。
【請求項4】
複数のセンサ(32)が、ケーシング構造(26)の周囲に離隔して配置された、ロータ動翼(23)に信号を伝送し、ロータ動翼(23)から反射された信号を受け取って、ロータ動翼とケーシング構造との間の先端クリアランスを測定する能動的クリアランスセンサ、又は、ロータ動翼(23)とケーシング構造(26)との間の先端クリアランスを測定するためにケーシング構造の周囲に離隔して配置された受動的クリアランスセンサの任意の組合せである、請求項1又は請求項2記載のガスタービン(10)。
【請求項5】
ロータ(18)がケーシング構造(26)内で回転する機械においてロータとケーシング構造との間のクリアランスを制御するための方法であって、
ケーシング構造(26)内でロータ(18)が回転するときの偏心を示すパラメータを感知することによってロータとケーシング構造との間の偏心を検出し、
偏心を検出するのに応答して、ケーシング構造(26)内でロータ(18)が回転するときの検出した偏心を補正するようにロータをケーシング構造に対して偏心変位させる
ことを含んでなる方法。
【請求項6】
ケーシング構造の周りの複数の位置でロータ(18)とケーシング構造(26)との間のクリアランスを感知し、ケーシング構造内でロータが回転するときの偏心を継続的に補正するために偏心の大きさ及び相対回転位置を計算することを含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
ケーシング構造の周囲に離隔して配置された能動的センサ(32)によってロータ(18)とケーシング構造(26)との間のクリアランスを能動的に感知すること、又はケーシング構造の周囲に離隔して配置された受動的センサ(32)によってロータ(18)とケーシング構造(26)との間のクリアランスを受動的に感知することを含む、請求項5又は請求項6記載の方法。
【請求項8】
ロータ(18)がロータの両端部のところのそれぞれのシャフトベアリング(50)によってケーシング構造(26)に対して回転可能に支持されており、シャフトベアリングのうちの1つ以上とケーシング構造との間に構成された複数のアクチュエータ(30)を制御することによってロータをケーシング構造に対して偏心変位させることを含んでおり、ケーシング構造の周りの複数の位置でロータとケーシング構造との間のクリアランスを感知し、偏心の大きさ及び相対回転位置を計算し、閉ループフィードバックシステム(38)においてケーシング構造内でロータが回転するときの偏心を補正するためにシャフトベアリングを変位させるようにアクチュエータを継続的に制御することをさらに含む、請求項5又は請求項6記載の方法。
【請求項9】
ロータ/ケーシングアライメントシステムであって、
ケーシング構造(26)内で回転可能に支持されたロータ(18)であって、
両側のシャフト端部(21)を含んでなる、各シャフト端部がそれぞれのシャフトベアリング(50)によって支持されたロータ(18)、
シャフトベアリングを動かし、それによってロータをケーシング構造に対して偏心変位させるように、シャフトベアリングのうちの1つ以上を用いて構成された複数のアクチュエータ(30)、
ケーシング構造の周囲に離隔して配置された、ケーシング構造内でロータが回転するときのロータとケーシング構造との間の偏心を検出するように構成された複数のセンサ(32)、並びに、
複数のセンサ及び複数のアクチュエータと通信する、複数のセンサによってロータとケーシング構造との間で検出された偏心を補正するためにシャフトベアリングを動かすことによってロータをケーシング構造に対して変位させるように複数のアクチュエータを制御するように構成された制御システム(36)
を含んでなるロータ/ケーシングアライメントシステム。
【請求項10】
制御システム(36)が、複数のセンサ(32)から受け取った信号からロータ偏心の大きさ及び回転位置を計算し、ケーシング構造(26)内でロータ(18)が回転するときの計算したロータ偏心を補正するように複数のアクチュエータ(30)を制御する、ソフトウェア実装プログラムを備えた閉ループフィードバックシステム(38)を含んでなり、複数のセンサが、ロータとケーシング構造との間のクリアランスを測定するために、ケーシング構造の周囲に離隔して配置された能動的センサ又は受動的センサの任意の組合せを含む、請求項9記載のシステム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−270757(P2010−270757A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115944(P2010−115944)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】