説明

脂肪族ポリエステル系合成繊維用処理剤、脂肪族ポリエステル系合成繊維の処理方法及び脂肪族ポリエステル系合成繊維

【課題】
脂肪族ポリエステル系合成繊維に対して充分な機械的耐久性を有する優れた平滑性及び柔軟性を付与することができる脂肪族ポリエステル系合成繊維用処理剤、これを用いた脂肪族ポリエステル系合成繊維の処理方法及びこの処理方法によって処理された脂肪族ポリエステル系合成繊維を提供する。
【解決手段】
脂肪族ポリエステル系合成繊維用処理剤として、特定のエステル共重合体を70質量%以上含有するものを用いた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は脂肪族ポリエステル系合成繊維用処理剤、脂肪族ポリエステル系合成繊維の処理方法及び脂肪族ポリエステル系合成繊維に関する。芳香族ポリエステルやポリアミド等から製造された合成繊維が様々な分野で広く利用されている。これらの合成繊維は、使用後、焼却処分や回収再生処理に供されるものもあるが、多大な手間と費用がかかるため、多くはそのまま放置されたり、埋立処分されているのが実情である。しかし、芳香族ポリエステルやポリアミド等は生分解性が低いため、これらから製造された合成繊維をそのまま放置したり、埋立処分すると、環境障害、環境汚染、環境破壊等、様々な環境上の問題を引き起こす。そこで、かかる問題を解決するため、乳酸重合体や乳酸共重合体等の生分解性を有する脂肪族ポリエステルから製造された合成繊維の開発が盛んに行われるようになっている。本発明は、かかる脂肪族ポリエステル系合成繊維用の処理剤、該処理剤を用いる脂肪族ポリエステル系合成繊維の処理方法及び該処理方法によって得られる脂肪族ポリエステル系合成繊維に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脂肪族ポリエステル系合成繊維用処理剤としては、1)エチレングリコール、ポリエチレングリコール、シリコーンオイル等(例えば特許文献1及び2参照)、2)石油系潤滑油(例えば特許文献3参照)、3)ラウリルホスフェートカリウム塩等のアニオン界面活性剤、四級アンモニウム塩等のカチオン界面活性剤、脂肪族高級アルコールや高級脂肪酸のエチレンオキサイド付加物等のノニオン界面活性剤、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールブロック共重合体等のポリアルキレングリコール、ジメチルシロキサン、ポリエーテル変性シリコーンオイル、高級アルコキシ変性シリコーン等のシリコーンオイル類等(例えば特許文献4及び5参照)、4)脂肪族ビスアミド、アルキル置換型の脂肪族モノアミド等(例えば特許文献6参照)、5)アルコキシ末端アミノ変性シリコーン、アミノアルコキシシラン等(例えば特許文献7参照)、6)ポリエーテルポリエステル化合物(例えば特許文献8参照)等が提案されている。
【0003】
しかし、従来提案されている脂肪族ポリエステル系合成繊維用処理剤には、もともとガラス転移温度が低く、そのために許容される熱処理温度が低い脂肪族ポリエステル系合成繊維に対して充分な機械的耐久性を有する優れた平滑性及び柔軟性を付与することができないという問題がある。
【特許文献1】特開平10−110332号公報
【特許文献2】特開2000−154425号公報
【特許文献3】特開2000−192370号公報
【特許文献4】特開平7−118922号公報
【特許文献5】特開平7−126970号公報
【特許文献6】特開2004−204406号公報
【特許文献7】特開2004−238754号公報
【特許文献8】特開2004−232169号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、脂肪族ポリエステル系合成繊維に対して充分な機械的耐久性を有する優れた平滑性及び柔軟性を付与することができる脂肪族ポリエステル系合成繊維用処理剤、これを用いた脂肪族ポリエステル系合成繊維の処理方法及びこの処理方法によって処理された脂肪族ポリエステル系合成繊維を提供する処にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の課題を解決する本発明は、下記のエステル共重合体を70〜100質量%含有することを特徴とする脂肪族ポリエステル系合成繊維用処理剤に係る。
【0006】
エステル共重合体:下記のエステル共重合体F、エステル共重合体G、エステル共重合体H、エステル共重合体J、エステル共重合体K及びエステル共重合体Lから選ばれる一つ又は二つ以上
【0007】
エステル共重合体F:下記の構成単位A、構成単位B及び構成単位Cで構成されたエステル共重合体であって、全構成単位中に構成単位Cを40〜85質量%含有し、且つ10質量%水性液の30℃における動粘度が0.2×10−4〜1.0×10−4/sのエステル共重合体
【0008】
エステル共重合体G:下記の構成単位A、構成単位B及び構成単位Dで構成されたエステル共重合体であって、全構成単位中に構成単位Dを40〜85質量%含有し、且つ10質量%水性液の30℃における動粘度が0.2×10−4〜1.0×10−4/sのエステル共重合体
【0009】
エステル共重合体H:下記の構成単位A、構成単位B、構成単位C及び構成単位Dで構成されたエステル共重合体であって、全構成単位中に構成単位C及び構成単位Dを合計40〜85質量%含有し、且つ10質量%水性液の30℃における動粘度が0.2×10−4〜1.0×10−4/sのエステル共重合体
【0010】
エステル共重合体J:下記の構成単位A、構成単位B、構成単位C及び構成単位Eで構成されたエステル共重合体であって、全構成単位中に構成単位Cを40〜85質量%含有し、また構成単位A及び構成単位Eの合計に対する構成単位Eの含有割合が30質量%以下であって、且つ10質量%水性液の30℃における動粘度が0.2×10−4〜1.0×10−4/sのエステル共重合体
【0011】
エステル共重合体K:下記の構成単位A、構成単位B、構成単位D及び構成単位Eで構成されたエステル共重合体であって、全構成単位中に構成単位Dを40〜85質量%含有し、また構成単位A及び構成単位Eの合計に対する構成単位Eの含有割合が30質量%以下であって、且つ10質量%水性液の30℃における動粘度が0.2×10−4〜1.0×10−4/sのエステル共重合体
【0012】
エステル共重合体L:下記の構成単位A、構成単位B、構成単位C、構成単位D及び構成単位Eで構成されたエステル共重合体であって、全構成単位中に構成単位C及び構成単位Dを合計40〜85質量%含有し、また構成単位A及び構成単位Eの合計に対する構成単位Eの含有割合が30質量%以下であって、且つ10質量%水性液の30℃における動粘度が0.2×10−4〜1.0×10−4/sのエステル共重合体
【0013】
構成単位A:炭素数4〜12の脂肪族二塩基酸から形成された構成単位及び/又は炭素数4〜12の脂肪族二塩基酸のエステル形成性誘導体から形成された構成単位
【0014】
構成単位B:炭素数2〜6の脂肪族ジオールから形成された構成単位
【0015】
構成単位C:合計10〜130個の炭素数2又は3のオキシアルキレン単位で構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレンジオールから形成された構成単位
【0016】
構成単位D:合計8〜130個の炭素数2又は3のオキシアルキレン単位で構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレンジオールの片末端を炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基又は置換基が炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基であるジ置換アミノ基で封鎖したモノエーテルから形成された構成単位
【0017】
構成単位E:下記の構成単位E1及び構成単位E2から選ばれる一つ又は二つ以上
【0018】
構成単位E1;フェニレンジカルボン酸から形成された構成単位、フェニレンジカルボン酸のエステル形成性誘導体から形成された構成単位、ナフタレンジカルボン酸から形成された構成単位及びナフタレンジカルボン酸のエステル形成性誘導体から形成される構成単位から選ばれる一つ又は二つ以上
【0019】
構成単位E2;置換基がスルホン酸塩基である置換フェニレンジカルボン酸から形成された構成単位、置換基がスルホン酸塩基である置換フェニレンジカルボン酸のエステル形成性誘導体から形成された構成単位、置換基がスルホン酸塩基である置換ナフタレンジカルボン酸から形成された構成単位及び置換基がスルホン酸塩基である置換ナフタレンジカルボン酸のエステル形成性誘導体から形成された構成単位から選ばれる一つ又は二つ以上
【0020】
また本発明は、前記した本発明に係る脂肪族ポリエステル系合成繊維用処理剤を0.5〜30質量%の水性液となし、該水性液を脂肪族ポリエステル系合成繊維に対し該脂肪族ポリエステル系合成繊維用処理剤として0.05〜3.0質量%となるように付着させることを特徴とする脂肪族ポリエステル系合成繊維の処理方法に係る。
【0021】
更に本発明は、前記した本発明に係る脂肪族ポリエステル系合成繊維の処理方法により処理された脂肪族ポリエステル系合成繊維に係る。
【0022】
先ず、本発明に係る脂肪族ポリエステル系合成繊維用処理剤(以下単に本発明の処理剤という)について説明する。本発明の処理剤に供するエステル共重合体は、エステル共重合体F、エステル共重合体G、エステル共重合体H、エステル共重合体J、エステル共重合体K及びエステル共重合体Lから選ばれる一つ又は二つ以上である。
【0023】
本発明の処理剤に供するエステル共重合体Fは、構成単位A、構成単位B及び構成単位Cで構成されたエステル共重合体である。
【0024】
構成単位Aとしては、1)コハク酸、グルタール酸、アジピン酸、ピメリン酸、コルク酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸等の炭素数4〜12の脂肪族二塩基酸から形成された構成単位、2)コハク酸ジメチル、グルタール酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、ピメリン酸ジメチル、コルク酸ジメチル、アゼライン酸ジメチル、セバシン酸ジメチル、1,10−デカンジカルボン酸ジメチル等のような炭素数4〜12の脂肪族二塩基酸のエステル形成性誘導体から形成された構成単位が挙げられるが、なかでもコハク酸、グルタール酸、アジピン酸、ピメリン酸、コルク酸等の炭素数4〜8の脂肪族二塩基酸から形成された構成単位、かかる脂肪族二塩基酸のエステル形成性誘導体から形成された構成単位が好ましい。
【0025】
構成単位Bとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルジオール等の炭素数2〜6の脂肪族ジオールから形成された構成単位が挙げられるが、なかでもエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオールのような炭素数2又は3の脂肪族ジオールから形成された構成単位が好ましい。
【0026】
構成単位Cとしては、ポリオキシエチレンジオールから形成された構成単位、ポリオキシプロピレンジオールから形成された構成単位、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンジオールから形成された構成単位のような炭素数2又は3のオキシアルキレン単位で構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレンジオールから形成された構成単位が挙げられる。いずれも炭素数2又は3のオキシアルキレン単位の繰り返し数は10〜130とするが、20〜100とするのが好ましい。オキシアルキレン単位が二種類の場合、その結合様式としては、ブロック結合、ランダム結合、これらの双方等、いずれでもよい。
【0027】
エステル共重合体Fは、以上説明した構成単位A、構成単位B及び構成単位Cで構成されたエステル共重合体であって、全構成単位中に構成単位Cを40〜85質量%含有するものであるが、なかでも構成単位Aを5〜40質量%、構成単位Bを5〜40質量%、構成単位Cを45〜80質量%含有するものが好ましい。またエステル共重合体Fは、10質量%水性液の30℃における動粘度が0.2×10−4〜1.0×10−4/sのものとするが、0.3×10−4〜0.9×10−4/sのものとするのが好ましい。ここで動粘度は、エステル共重合体をイオン交換水に溶解して作製した10質量%水溶液の30℃における動粘度をキャノン−フェンスケ粘度計で測定したものである。
【0028】
エステル共重合体Fは公知の方法で合成できる。例えば、1)構成単位Aを形成することとなる脂肪族二塩基酸と、構成単位Bを形成することとなる脂肪族ジオールと、構成単位Cを形成することとなるポリオキシアルキレンジオールとを、触媒存在下で高温高真空下に低分子化合物を留去しながら重縮合反応させる方法、2)構成単位Aを形成することとなる脂肪族二塩基酸のエステル形成性誘導体と、構成単位Bを形成することとなる脂肪族ジオールと、構成単位Cを形成することとなるポリオキシアルキレンジオールとを、触媒存在下でエステル交換反応させた後、高温高真空下に低分子量化合物を留去しながら重縮合反応させる方法により合成できる。後述するエステル共重合体G、エステル共重合体H、エステル共重合体J、エステル共重合体K及びエステル共重合体Lについてもエステル共重合体Fと同様の方法で合成できる。
【0029】
本発明の処理剤に供するエステル共重合体Gは、構成単位A、構成単位B及び構成単位Dで構成されたエステル共重合体である。
【0030】
構成単位A及びBは、エステル共重合体Fの構成単位A及びBについて前記したことと同じである。
【0031】
構成単位Dとしては、1)ポリオキシエチレンジオールの片末端を炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基で封鎖したモノエーテルから形成された構成単位、2)ポリオキシプロピレンジオールの片末端を炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基で封鎖したモノエーテルから形成された構成単位、3)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンジオールの片末端を炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基で封鎖したモノエーテルから形成された構成単位、4)ポリオキシエチレンジオールの片末端を置換基が炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基であるジ置換アミノ基で封鎖したモノエーテルから形成された構成単位、5)ポリオキシプロピレンジオールの片末端を置換基が炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基であるジ置換アミノ基で封鎖したモノエーテルから形成された構成単位、6)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンジオールの片末端を置換基が炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基であるジ置換アミノ基で封鎖したモノエーテルから形成された構成単位等が挙げられる。前記1)〜3)において、ポリオキシアルキレンジオールの片末端を封鎖する炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、イソノニル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ドデセニル基、オクタデセニル基等が挙げられるが、なかでもオクタデシル基、ドデセニル基等の炭素数8〜16の脂肪族炭化水素基が好ましい。前記4)〜6)において、ポリオキシアルキレンジオールの片末端を封鎖する置換基が炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基であるジ置換アミノ基としては、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノエチル基、ジプロピルアミノエチル基、ジブチルアミノエチル基、ジオクチルアミノエチル基等が挙げられるが、なかでもジエチルアミノエチル基、ジプロピルアミノエチル基、ジブチルアミノエチル基等の置換基が炭素数2〜6の脂肪族炭化水素基であるジ置換アミノ基が好ましい。前記1)〜6)において、いずれも炭素数2又は3のオキシアルキレン単位の繰り返し数は8〜130とするが、10〜100とするのが好ましい。オキシアルキレン単位が二種類の場合、その結合様式としては、ブロック結合、ランダム結合、これらの双方等、いずれでもよい。
【0032】
エステル共重合体Gは、以上説明した構成単位A、構成単位B及び構成単位Dで構成されたエステル共重合体であって、全構成単位中に構成単位Dを40〜85質量%含有するものであるが、なかでも構成単位Aを5〜40質量%、構成単位Bを5〜40質量%、構成単位Dを42〜83質量%含有するものが好ましい。またエステル共重合体Fは、10質量%水性液の30℃における動粘度が0.2×10−4〜1.0×10−4/sのものとするが、0.3×10−4〜0.9×10−4/sのものとするのが好ましい。
【0033】
本発明の処理剤に供するエステル共重合体Hは、構成単位A、構成単位B、構成単位C及び構成単位Dで構成されたエステル共重合体である。
【0034】
構成単位A、B及びCは、エステル共重合体Fの構成単位A、B及びCについて前記したことと同じであり、また構成単位Dは、エステル共重合体Gの構成単位Dについて前記したことと同じである。
【0035】
エステル共重合体Hは、以上説明した構成単位A、構成単位B構成単位C及び構成単位Dで構成されたエステル共重合体であって、全構成単位中に構成単位C及び構成単位Dを合計40〜85質量%含有するものであるが、なかでも構成単位Aを5〜40質量%、構成単位Bを5〜40質量%、構成単位Cを25〜80質量%、構成単位Dを5〜50質量%含有するものが好ましい。またエステル共重合体Hは、10質量%水性液の30℃における動粘度が0.2×10−4〜1.0×10−4/sのものとするが、0.3×10−4〜0.9×10−4/sのものとするのが好ましい。
【0036】
本発明の処理剤に供するエステル共重合体Jは、構成単位A、構成単位B、構成単位C及び構成単位Eで構成されたエステル共重合体である。
【0037】
構成単位A、B及びCは、エステル共重合体Fの構成単位A、B及びCについて前記したことと同じである。
【0038】
構成単位Eは、構成単位E1及び構成単位E2から選ばれる一つ又は二つ以上である。
【0039】
構成単位E1としては、1)フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のフェニレンジカルボン酸から形成された構成単位、2)フタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジメチル等のフェニレンジカルボン酸のエステル形成性誘導体から形成された構成単位、3)2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸等のナフタレンジカルボン酸から形成された構成単位、4)2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジエチル、1,4−ナフタレンジカルボン酸ジメチル等のナフタレンジカルボン酸のエステル形成性誘導体から形成された構成単位が挙げられるが、なかでもフタル酸のエステル形成性誘導体から形成された構成単位が好ましい。
【0040】
構成単位E2としては、1)5−スルホイソフタル酸塩等の置換基がスルホン酸塩基である置換フェニレンジカルボン酸から形成された構成単位、2)5−スルホイソフタル酸ジメチル塩等の置換基がスルホン酸塩基である置換フェニレンジカルボン酸のエステル形成性誘導体から形成された構成単位、3)6−スルホ−1,4−ナフタレンジカルボン酸等の置換基がスルホン酸塩基である置換ナフタレンジカルボン酸から形成された構成単位、4)6−スルホ−1,4−ナフタレンジカルボン酸ジメチル等の置換基がスルホン酸塩基である置換ナフタレンジカルボン酸のエステル形成性誘導体から形成された構成単位が挙げられるが、なかでも5−スルホイソフタル酸のエステル形成性誘導体から形成された構成単位が好ましい。かかる構成単位E2において、芳香環に置換したスルホン酸塩基の数は1個又は2個が好ましい。また芳香環に置換したスルホン酸塩基のカチオン基は、1)リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン、2)テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ブチルトリメチルアンモニウム等の有機アンモニウム、3)テトラエチルホスホニウム、テトラブチルホスホニウム、ブチルトリエチルホスホニウム等の有機ホスホニウム等が好ましいが、アルカリ金属イオンがより好ましい。
【0041】
エステル共重合体Jは、以上説明した構成単位A、構成単位B構成単位C及び構成単位Eで構成されたエステル共重合体であって、全構成単位中に構成単位Cを40〜85質量%含有し、且つ構成単位A及び構成単位Eの合計に対する構成単位Eの含有割合が30質量%以下のものであるが、なかでも構成単位Aを5〜40質量%、構成単位Bを5〜40質量%、構成単位Cを45〜80質量%、構成単位Eを1〜10質量%含有するものが好ましい。またエステル共重合体Jは、10質量%水性液の30℃における動粘度が0.2×10−4〜1.0×10−4/sのものとするが、0.3×10−4〜0.9×10−4/sのものとするのが好ましい。
【0042】
本発明の処理剤に供するエステル共重合体Kは、構成単位A、構成単位B、構成単位D及び構成単位Eで構成されたエステル共重合体である。
【0043】
構成単位A及びBは、エステル共重合体Fの構成単位A及びBについて前記したことと同じであり、また構成単位Dは、エステル共重合体Gの構成単位Dについて前記したことと同じであって、更に構成単位Eは、エステル共重合体Jの構成単位Eについて前記したことと同じである。
【0044】
エステル共重合体Kは、以上説明した構成単位A、構成単位B、構成単位D及び構成単位Eで構成されたポリエステル共重合体であって、全構成単位中に構成単位Dを40〜85質量%含有し、且つ構成単位A及び構成単位Eの合計に対する構成単位Eの含有割合が30質量%以下のものであるが、なかでも構成単位Aを5〜40質量%、構成単位Bを5〜40質量%、構成単位Dを42〜83質量%、構成単位Eを1〜10質量%含有するものが好ましい。またエステル共重合体Kは、10質量%水性液の30℃における動粘度が0.2×10−4〜1.0×10−4/sのものとするが、0.3×10−4〜0.9×10−4/sのものとするのが好ましい。
【0045】
本発明の処理剤に供するエステル共重合体Lは、構成単位A、構成単位B、構成単位C、構成単位D及び構成単位Eで構成されたエステル共重合体である。
【0046】
構成単位A、B及びCは、エステル共重合体Fの構成単位A、B及びCについて前記したことと同じであり、また構成単位Dは、エステル共重合体Gの構成単位Dについて前記したことと同じであって、更に構成単位Eは、エステル共重合体Jの構成単位Eについて前記したことと同じである。
【0047】
エステル共重合体Lは、以上説明した構成単位A、構成単位B、構成単位C、構成単位D及び構成単位Eで構成されたエステル共重合体であって、全構成単位中に構成単位C及び構成単位Dを合計40〜85質量%含有し、且つ構成単位A及び構成単位Eの合計に対する構成単位Eの含有割合が30質量%以下のものであるが、なかでも構成単位Aを5〜40質量%、構成単位Bを5〜40質量%、構成単位Cを25〜80質量%、構成単位Dを5〜50質量%、構成単位Eを1〜10質量%含有するものが好ましい。またエステル共重合体Lは、10質量%水性液の30℃における動粘度が0.2×10−4〜1.0×10−4/sのものとするが、0.3×10−4〜0.9×10−4/sのものとするのが好ましい。
【0048】
以上、本発明の処理剤に供するエステル共重合体について説明したが、かかるエステル共重合体としては、エステル共重合体F、エステル共重合体H、エステル共重合体J、エステル共重合体Lが好ましく、エステル共重合体F、エステル共重合体Hがより好ましい。
【0049】
本発明の処理剤は、以上説明したエステル共重合体を70〜100質量%含有するものであり、したがって30質量%以下の範囲で合目的的に他の剤を使用することができるものである。かかる他の剤としては、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、これらの任意の混合物等、それ自体は公知のものが適用できる。
【0050】
非イオン界面活性剤としては、1)炭素数6〜22の脂肪族1価アルコールのオキシアルキレン付加物、2)炭素数6〜22の脂肪族1価アルコールのオキシアルキレン付加物の脂肪酸エステル、3)炭素数2〜6の脂肪族多価アルコールの脂肪酸エステル、4)炭素数2〜6の脂肪族多価アルコールのオキシアルキレン付加物の脂肪酸エステル、5)炭素数6〜22の脂肪族アミンのオキシアルキレン付加物、6)炭素数6〜22の脂肪族アミドのオキシアルキレン付加物が挙げられる。
【0051】
非イオン界面活性剤として用いる炭素数6〜22の脂肪族1価アルコールのオキシアルキレン付加物において、その合成原料として用いる炭素数6〜22の脂肪族1価アルコールとしては、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘキサデセニルアルコール、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール、オクタデセニルアルコール、ノナデシルアルコール、エイコサニルアルコール、エイコセニルアルコール、ドコサニルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、3,5,5−トリメチルヘキシルアルコール等が挙げられるが、なかでも炭素数8〜18の脂肪族1価アルコールが好ましく、2−エチルヘキシルアルコール、ドデシルアルコールが特に好ましい。かかる炭素数6〜22の脂肪族1価アルコールのオキシアルキレン付加物としては、オキシエチレン付加物、オキシプロピレン付加物、オキシエチレンオキシプロピレン付加物等が挙げられ、更にはこれらの付加物の任意の混合物が挙げられるが、炭素数6〜22の脂肪族1価アルコール1モル当たりオキシアルキレンを3〜30モルの割合で付加したものが好ましい。
【0052】
非イオン界面活性剤として用いる炭素数6〜22の脂肪族1価アルコールのオキシアルキレン付加物の脂肪酸エステルにおいて、その一方の合成原料として用いる炭素数6〜22の脂肪族1価アルコールのオキシアルキレン付加物については前記したことと同様である。但し、この場合には、炭素数6〜22の脂肪族1価アルコール1モル当たりオキシアルキレンを1〜10モルの割合で付加したものが好ましい。他方の合成原料として用いる脂肪酸としては、1)酢酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等の炭素数2〜22の飽和脂肪酸、2)リンデル酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸等の脂肪族モノエン酸、3)リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の炭素数18〜22の脂肪族非共役ポリエン酸、3)琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、アジピン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸等の脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。
【0053】
非イオン界面活性剤として用いる炭素数2〜6の脂肪族多価アルコールの脂肪酸エステルにおいて、その一方の合成原料として用いる炭素数2〜6の脂肪族多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ソルビトール、ペンタエリトリト等が挙げられる。他方の合成原料として用いる脂肪酸については前記したことと同様である。かかる多価アルコールの脂肪酸部分エステルの具体例としては、エチレン=モノラウラート、プロピレン=モノステアラート、ブタン=モノパルミタート、ヘキサン=モノラウラート、グリセリン=ジ(12−ヒドロキシステアラート)、グリセリン=ジオレアート、グリセリン=モノパルミタート=モノステアラート、トリメチロールプロパン=ジパルミタート、ソルビタン=モノオレアート、ペンタエリトリト=ジラウラート等が挙げられるが、なかでもグリセリン=ジ(12−ヒドロキシステアラート)、ソルビタン=モノオレアートが好ましい。
【0054】
非イオン界面活性剤として用いる炭素数2〜6の脂肪族多価アルコールのオキシアルキレン付加物の脂肪酸エステルにおいて、その一方の合成原料として用いる炭素数2〜6の脂肪族多価アルコールについては前記したことと同様である。かかる炭素数2〜6の脂肪族多価アルコールのオキシアルキレン付加物としては、オキシエチレン付加物、オキシプロピレン付加物、オキシエチレンオキシプロピレン付加物等が挙げられ、更にはこれらの付加物の任意の混合物が挙げられるが、炭素数2〜6の脂肪族多価アルコール1モル当たりオキシアルキレンを3〜40モルの割合で付加したものが好ましい。他方の合成原料として用いる脂肪酸については前記したことと同様である。かかる炭素数2〜6の脂肪族多価アルコールのオキシアルキレン付加物の脂肪酸エステルの具体例としては、ポリオキシエチレン=ジラウラート、ポリオキシプロピレン=ジステアラート、1,4−ジ(ポリオキシエチレン)ブタン=パルミタート、1,6−ジ(ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン)ヘキサン=ジラウラート、1,2,3−トリ(ポリオキシエチレン)グリセリン=トリ(12−ヒドロキシステアラート)等が挙げられるが、なかでもポリオキシエチレン=ジラウラート、1,2,3−トリ(ポリオキシエチレン)グリセリン=トリ(12−ヒドロキシステアラート)が好ましい。
【0055】
非イオン界面活性剤として用いる炭素数6〜22の脂肪族アミンのオキシアルキレン付加物において、その合成原料として用いる炭素数6〜22の脂肪族アミンとしては、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、セチルアミン、ステアリルアミン、アラキニルアミン等の飽和脂肪族アミン、2)2−テトラデセニルアミン、2−ペンタデセニルアミン、2−オクタデセニルアミン、15−ヘキサデセニルアミン、オレイルアミン、リノレイルアミン、エレオステアリルアミン等の不飽和脂肪族アミン等が挙げられる。なかでもラウリルアミン、パルミチルアミン、ステアリルアミン等が好ましい。かかる炭素数6〜22の脂肪族アミンのオキシアルキレン付加物としては、オキシエチレン付加物、オキシプロピレン付加物、オキシエチレンオキシプロピレン付加物等が挙げられ、更にはこれらの付加物の任意の混合物が挙げられるが、炭素数6〜22の脂肪族アミン1モル当たりオキシアルキレンを2〜20モルの割合で付加したものが好ましい。
【0056】
非イオン界面活性剤として用いる炭素数6〜22の脂肪族アミドのオキシアルキレン付加物において、その合成原料として用いる炭素数6〜22の脂肪族アミドとしては、ポリアルキレンポリアミンと脂肪酸とのアミド化反応から得られる脂肪族アミドが挙げられる。かかるアミド化反応において、ポリアルキレンポリアミンに対する脂肪酸の割合は、ポリアルキレンポリアミンの末端アミノ基を少なくとも1個アミド化するに必要な割合とするが、ポリアルキレンポリアミンの両末端のアミノ基がアミド化される割合とするのが好ましい。かかる脂肪族アミドを形成することとなるポリアルキレンポリアミンとしては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジトリメチレントリアミン、トリトリメチレンテトラミン等が挙げられるが、ジエチレントリアミンが好ましい。また脂肪酸としては、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、リンデル酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸等が挙げられるが、なかでもラウリン酸、オレイン酸が好ましい。かかる炭素数6〜22の脂肪族アミドのオキシアルキレン付加物としては、オキシエチレン付加物、オキシプロピレン付加物、オキシエチレンオキシプロピレン付加物等が挙げられ、更にはこれらの付加物の任意の混合物が挙げられるが、炭素数6〜22の脂肪族アミド1モル当たりオキシアルキレンを1〜15モルの割合で付加したものが好ましい。
【0057】
アニオン界面活性剤としては、脂肪酸塩、有機スルホン酸塩、有機硫酸塩、有機リン酸エステル塩等が挙げられる。アニオン性界面活性剤として用いる脂肪酸塩としては、1)炭素数6〜22の脂肪酸のアルカリ金属塩、2)炭素数6〜22の脂肪酸のアミン塩が挙げられる。かかる炭素数6〜22の脂肪酸としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、エルシン酸、リノール酸、ドデセニルコハク酸等が挙げられる。かかる炭素数6〜22の脂肪酸のアルカリ金属塩を構成することと成るアルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等が挙げられ、またアミン塩を構成することとなるアミンとしては、1)メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、オクチルアミン等の脂肪族アミン類、2)アニリン、ピリジン、モルホリン、ピペラジン又はこれらの誘導体等の芳香族アミン類又は複素環アミン類、3)モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ブチルジエタノールアミン、オクチルジエタノールアミン、ラウリルジエタノールアミン等のアルカノールアミン類、4)アンモニア等が挙げられる。これらの脂肪酸塩のうちでは特にドデセニルコハク酸カリウム塩が好ましい。
【0058】
アニオン界面活性剤として用いる有機スルホン酸塩としては、1)デシルスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム、テトラデシルスルホン酸リチウム、ヘキサデシルスルホン酸カリウム等のアルキルスルホン酸アルカリ金属塩、2)ブチルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシルベンゼンスルホン酸カリウム、ジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム等のアルキルアリールスルホン酸アルカリ金属塩、3)1,2−ビス(ジオクチルオキシカルボニル)−エタンスルホン酸ナトリウム、1,2−ビス(ジブチルオキシカルボニル)−エタンスルホン酸リチウム、ドデシルスルホ酢酸エステルナトリウム、ノニルフェノキシポリエチレングリコールスルホ酢酸エステルカリウム等のエステルスルホン酸アルカリ金属塩が挙げられるが、これらのうちではアルキルスルホン酸アルカリ金属塩、アルキルアリールスルホン酸アルカリ金属塩が好ましく、特に炭素数12〜18のものが好ましい。
【0059】
アニオン界面活性剤として用いる有機硫酸塩としては、1)硫酸デシル=ナトリウム、硫酸ドデシル=ナトリウム、硫酸テトラデシル=リチウム、硫酸ヘキサデシル=カリウム等の硫酸アルキル=アルカリ金属塩、2)牛脂硫酸化油、ひまし油硫酸化油等の天然油脂の硫酸化物のアルカリ金属塩等が挙げられる。なかでも硫酸ドデシル=ナトリウムが好ましい。
【0060】
アニオン界面活性剤として用いる有機リン酸エステル塩には、1)アルキル基の炭素数が4〜22であるアルキルリン酸エステル塩、2)アルキル基の炭素数が4〜22であり且つ(ポリ)オキシアルキレン基を構成するオキシアルキレン単位の数が1〜5個である(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩が挙げられる。
【0061】
アルキル基の炭素数が4〜22であるアルキルリン酸エステル塩としては、ブチルリン酸エステル塩、ペンチルリン酸エステル塩、ヘキシルリン酸エステル塩、オクチルリン酸エステル塩、イソオクチルリン酸エステル塩、2−エチルヘキシルリン酸エステル塩、デシルホスフェートアルカリ金属塩、ラウリルホスフェートアルカリ金属塩、トリデシルリン酸エステル塩、ミリスチルリン酸エステル塩、セチルリン酸エステル塩、ステアリルリン酸エステル塩、エイコシルリン酸エステル塩、ベヘニルリン酸エステル塩等が挙げられる。これらのアルキルリン酸エステル塩には、モノエステル体の単独物、ジエステル体の単独物、モノエステル体とジエステル体との混合物が含まれ、ジエステル体には、同一のアルキル基を有するジエステル体(対称形のジエステル)と、異なるアルキル基を有するジエステル体(非対称形のジエステル)とが含まれる。以上説明したアルキルリン酸エステル塩は、酸性アルキルリン酸エステルと塩基とから形成されるが、かかる塩基としては、アルカリ金属水酸化物、有機アミン化合物、アンモニウム化合物等が挙げられる。
【0062】
アルキル基の炭素数が4〜22であり且つ(ポリ)オキシアルキレン基を構成するオキシアルキレン単位の数が1〜5個である(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩としては、ポリオキシアルキレンブチルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンヘキシルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンオクチルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンイソオクチルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンデシルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンラウリルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレントリデシルエーテルホスフェートアルカリ金属塩、ポリオキシアルキレンミリスチルエーテルホスフェートアルカリ金属塩、ポリオキシアルキレンセチルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンステアリルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンベヘニルエーテルリン酸エステル塩等が挙げられる。かかる(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩において、(ポリ)オキシアルキレン基としては、(ポリ)オキシエチレン基、(ポリ)オキシプロピレン基、(ポリ)オキシエチレンオキシプロピレン基等が挙げられる。これらのポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩には、モノエステル体の単独物、ジエステル体の単独物、モノエステル体とジエステル体との混合物が含まれ、ジエステル体には、同一のアルキル基を有するジエステル体(対称形のジエステル)と、異なるアルキル基を有するジエステル体(非対称形のジエステル)とが含まれる。以上説明した(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩は、酸性(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルと塩基とから形成されるが、かかる塩基としては、アルカリ金属水酸化物、有機アミン化合物、アンモニウム化合物等が挙げられる。
【0063】
カチオン界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩、有機アミンオキサイドが挙げられる。カチオン性界面活性剤として用いる第4級アンモニウム塩としては、テトラメチルアンモニウム塩、トリエチルメチルアンモニウム塩、トリプロピルエチルアンモニウム塩、トリブチルメチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、トリイソオクチルエチルアンモニウム塩、トリメチルオクチルアンモニウム塩、ジラウリルジメチルアンモニウム塩、トリメチルステアリルアンモニウム塩ジブテニルジエチルアンモニウム塩、ジメチルジオレイルアンモニウム塩、トリメチルオレイルアンモニウム塩、トリブチルヒドロキシエチルアンモニウム塩、ジ(ヒドロキシエチル)ジプロピルアンモニウム塩、トリ(ヒドロキシエチル)オクチルアンモニウム塩、トリ(ヒドロキシプロピル)メチルアンモニウム塩等が挙げられる。
【0064】
カチオン界面活性剤として用いる有機アミンオキサイドには、ヘキシルアミンオキサイド、オクチルアミンオキサイド、ノニルアミンオキサイド、ラウリルアミンオキサイド、ミリスチルアミンオキサイド、セチルアミンオキサイド、ステアリルアミンオキサイド、アラキニルアミンオキサイド、ジヘキシルアミンオキサイド、ジオクチルアミンオキサイド、ジノニルアミンオキサイド、ジラウリルアミンオキサイド、ジミリスチルアミンオキサイド、ジセチルアミンオキサイド、ジステアリルアミンオキサイド等が挙げられる。
【0065】
両性界面活性剤も各種が挙げられるが、ベタイン型両性界面活性剤が好ましく、これには、オクチルジメチルアンモニオアセタート、デシルジメチルアンモニオアセタート、ドデシルジメチルアンモニオアセタート、ヘキサデシルジメチルアンモニオアセタート、オクタデシルジメチルアンモニオアセタート、ノナデシルジメチルアンモニオアセタート、オクタデセニルジメチルアンモニオアセタート等が挙げられる。
【0066】
本発明の処理剤を適用する脂肪族ポリエステル系合成繊維としては、1)2−ヒドロオキシプロピオン酸、3−ヒドロオキシプロピオン酸、3−ヒドロオキシブタン酸、3−ヒドロオキシ吉草酸、3−ヒドロオキシヘキサン酸、3−ヒドロオキシオクタン酸、3−ヒドロオキシドデカン酸、4−ヒドロオキシ酪酸、4−ヒドロオキシ吉草酸等のオキシアルカン酸を単独で重縮合反応して得られる単独重合体から製造される脂肪族ポリエステル系合成繊維、2)前記1)の単量体の二種類以上を重縮合反応して得られる共重合体から製造される脂肪族ポリエステル系合成繊維、3)コハク酸、アジピン酸等の脂肪族二塩基酸とエチレングリコール、プロピレングリコール等の脂肪族ジオールとを重縮合反応して得られる重合体から製造される脂肪族ポリエステル系合成繊維等が挙げられるが、なかでも2−ヒドロオキシプロピオン酸(乳酸)の単独重合体から製造されるポリ乳酸繊維が好ましい。
【0067】
次に、本発明に係る脂肪族ポリエステル系合成繊維の処理方法(以下単に本発明の処理方法という)について説明する。本発明の処理方法は、以上説明した本発明の処理剤を0.5〜30質量%の水性液となし、該水性液を脂肪族ポリエステル系合成繊維に対し本発明の処理剤として0.05〜3.0質量%となるように付着させる処理方法である。付着方法としては、浸漬法、スプレー法、ローラー法等が挙げられ、また付着工程としては、紡糸工程、延伸工程、紡績工程、これらの各工程の相互間等が挙げられるが、なかでも紡糸工程が好ましい。本発明の処理剤を付着させた脂肪族ポリエステル系合成繊維は、通常付着処理直後に、50〜130℃で、10秒〜2時間の熱処理に供される。
【0068】
最後に、本発明に係る脂肪族ポリエステル系合成繊維について説明する。本発明に係る脂肪族ポリエステル系合成繊維は、以上説明した本発明の処理方法により処理された脂肪族ポリエステル系合成繊維である。かかる脂肪族ポリエステル系合成繊維としては、前記したようにポリ乳酸繊維が好ましく、なかでも繊度1.0〜20.0デシテックス、平均繊維長32〜120mmのものがより好ましい。
【発明の効果】
【0069】
本発明の処理剤及び処理方法によると、脂肪族ポリエステル系合成繊維に対して充分な機械的耐久性を有する優れた平滑性及び柔軟性を付与することができるという効果がある。また本発明に係る脂肪族ポリエステル系合成繊維は、充分な機械的耐久性を有する優れた平滑性及び柔軟性を有するという効果がある。
【0070】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。尚、以下の実施例及び比較例において、部は質量部を、また%は質量%を意味する。
【実施例】
【0071】
試験区分1(エステル共重合体の合成)
・エステル共重合体(P−1)の合成
高真空型反応容器にアジピン酸20部、エチレングリコール28部、ポリオキシエチレンジオール(質量平均分子量2000)52部、三酸化アンチモン0.0001部及びリン酸0.0002部を仕込み、反応温度を250℃、圧力を0.5mmHgとして、1時間縮重合反応を行なった後、反応容器から取り出し、冷却固化させてエステル共重合体を得た。得られたエステル共重合体を分析したところ、構成単位Aを18%、構成単位Bを15%、構成単位Cを67%含有するものであって、10%水性液の30℃における動粘度が0.6×10−4/sのものであった。これをエステル共重合体(P−1)とした。
【0072】
・エステル共重合体(P−2)〜(P−26)及び(R−1)〜(R−32)の合成
エステル共重合体(P−1)と同様にして、エステル共重合体(P−2)〜(P−26)及び(R−1)〜(R−32)を合成した。エステル共重合体(P−1)〜(P−26)の内容を表1に、またエステル共重合体(R−1)〜(R−32)の内容を表2にまとめて示した。

























【0073】
【表1】



















【0074】
【表2】

【0075】
表1及び表2において、
割合:質量%
*1:全構成単位の合計に対する構成単位C及び構成単位Dの合計含有割合
*2:構成単位A及び構成単位Eの合計に対する構成単位Eの含有割合
*3:エステル共重合体の10%水性液の30℃における動粘度(m/s)
A−1:アジピン酸から形成された構成単位
A−2:コハク酸から形成された構成単位
A−3:コハク酸ビス(2−ヒドロキシエチル)から形成された構成単位
A−4:セバシン酸から形成された構成単位
a−1:オクタデカン二酸から形成された構成単位
B−1:エチレングリコールから形成された構成単位
B−2:プロピレングリコールから形成された構成単位
B−3:1,4−ブタンジオールから形成された構成単位
b−1:オクタンジオールから形成された構成単位
C−1:ポリオキシエチレンジオール(オキシエチレン単位の繰り返し数が50、以下n=50とする)から形成された構成単位
C−2:ポリオキシエチレンジオール(n=30)から形成された構成単位
C−3:ポリオキシエチレンジオール(n=80)から形成された構成単位
C−4:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンジオール(n=35、オキシプロピレン単位の繰り返し数が15、以下m=15とする)から形成された構成単位
C−5:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンジオール(n=15、m=35)から形成された構成単位
C−6:ポリオキシプロピレンジオール(m=50)から形成された構成単位
C−7:ポリオキシエチレンジオール(n=15)から形成された構成単位
C−8:ポリオキシエチレンジオール(n=110)から形成された構成単位
cr−1:ポリオキシエチレンジオール(n=6)から形成された構成単位
cr−2:ポリオキシエチレンジオール(n=150)から形成された構成単位
D−1:α−ドデシル−ω−ヒドロキシ(ポリオキシエチレン)(n=10)から形成された構成単位
D−2:α−エチル−ω−ヒドロキシ(ポリオキシエチレン)(n=50)から形成された構成単位
D−3:α−オクタデセニル−ω−ヒドロキシ(ポリオキシエチレン)(n=110)から形成された構成単位
D−4:α−ドデシル−ω−ヒドロキシ(ポリオキシプロピレン)(m=10)から形成された構成単位
D−5:α−ドデシル−ω−ヒドロキシ(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン)(n=7、m=3)から形成された構成単位
D−6:α−ドデシル−ω−ヒドロキシ(ポリオキシエチレン)(n=50)から形成された構成単位
D−7:α−ジオクチルアミノエチル−ω−ヒドロキシ(ポリオキシエチレン)(n=10)から形成された構成単位
d−1:α−ドデシル−ω−ヒドロキシ(ポリオキシエチレン)(n=4)から形成された構成単位
d−2:α−ドデシル−ω−ヒドロキシ(ポリオキシエチレン)(n=180)から形成された構成単位
d−3:α−ジドデシルアミノエチル−ω−ヒドロキシ(ポリオキシエチレン)(n=10)から形成された構成単位
E−1:5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩から形成された構成単位
E−2:5−スルホイソフタル酸カリウムから形成された構成単位
E−3:5−スルホイソフタル酸トリメチルアンモニウムから形成された構成単位
E−4:テレフタル酸から形成された構成単位
E−5:テレフタル酸ジメチルから形成された構成単位
E−6:2,3−ナフタレンジカルボン酸ジメチルから形成された構成単位
【0076】
試験区分2(脂肪族ポリエステル系合成繊維用処理剤及びその水性液の調製)
・実施例1〜28及び比較例1〜32
実施例1〜28及び比較例1〜32については、試験区分1で合成したエステル共重合体をそのまま脂肪族ポリエステル系合成繊維用処理剤として用い、その水性液を次のように調製した。試験区分1で合成したエステル共重合体(P−1)30部をフラスコに仕込み、加熱溶融した後、攪拌しながら60℃の温水70部を加えて、エステル共重合体(P−1)の30%水性液を調製した。これを脂肪族ポリエステル系合成繊維用処理剤(T−1)の30%水性液とした。同様に脂肪族ポリエステル系合成繊維用処理剤(T−2)〜(T−26)及び(t−1)〜(t−32)の30%水性液を調製した。各例で調製した水性液の内容を表3及び表4にまとめて示した。
【0077】
・実施例29〜39
実施例29〜39については、試験区分1で合成したエステル共重合体に界面活性剤を加えたものを脂肪族ポリエステル系合成繊維用処理剤として用い、その水性液を次のように調製した。試験区分1で合成したエステル共重合体(P−1)25.5部をフラスコに仕込み、加熱溶融した後、攪拌しながら60℃の温水29.5部を加えて、均一に溶解した。次いでヘキサデカンスルホン酸ナトリウム/ポリオキシエチレン(n=20)ジステアラート=67/33(質量比)の混合物の10%水性ペースト45部(固形分換算4.5部)を加え、混合してエステル共重合体(P−1)/ヘキサデカンスルホン酸ナトリウム/ポリオキシエチレン(n=20)ジステアラート=85/10/5(質量比)から成るものの30%水性液100部を調製した。これを脂肪族ポリエステル系合成繊維用処理剤(T−27)の30%水性液とした。同様に脂肪族ポリエステル系合成繊維用処理剤(T−28)〜(T−37)の30%水性液を調製した。各例で調製した水性液の内容を表3にまとめて示した。
【0078】
試験区分3(処理済み脂肪族ポリエステル系合成繊維の作製と評価)
・処理済み脂肪族ポリエステル系合成繊維の作製
試験区分2で調製した脂肪族ポリエステル系合成繊維用処理剤の30%水性液を更に水で希釈して3%水性液とし、この3%水性液をポリ乳酸繊維(乳酸単独重合体、繊度7.8デシテックス、繊維長64mm)に、表3及び表4に記載の付着量となるようスプレー給油法で付着させ、80℃の熱風乾燥機で2時間乾燥した後、25℃で40%RHの雰囲気下に一夜調湿して、処理済み脂肪族ポリエステル系合成繊維を得た。
【0079】
・平滑性及び柔軟性の評価
前記の処理済み脂肪族ポリエステル系合成繊維処理綿20gを、25℃で40%RHの雰囲気下にローラーカードに供し、フリースを得た。このフリースを平滑性及び柔軟性の評価用試料とした。平滑性及び柔軟性の評価はハンドリングによる下記の基準で評価した。結果を表3及び表4にまとめて示した。
【0080】
平滑性の評価基準
◎:優れた平滑性を有する。
○:良好な平滑性を有する。
△:僅かな平滑性を有する。
×:ほとんど或いは全く平滑性を有しない。
【0081】
柔軟性の評価基準
◎:優れた柔軟性を有する。
○:良好な柔軟性を有する。
△:僅かな柔軟性を有する。
×:ほとんど或いは全く柔軟性を有しない。
【0082】
・機械的耐久性の評価
前記の処理済み脂肪族ポリエステル系合成繊維40gを、25℃で40%RHの雰囲気下にローラーカードに供し、フリースを得た。このフリースから20gを分け取り、分け取ったフリース20gを更に連続してローラーカードに4回通して、合計5回ローラーカードを通したフリースを得た。ローラーカード1回通しのフリースと5回通しのフリースとの平滑性及び柔軟性をハンドリングにより下記の基準で評価した。結果を表3及び表4にまとめて示した。
◎:ほとんど或いは全く劣化が認められず、且つ優れた平滑性及び柔軟性を有する。
○:わずかに劣化が認められるものの、良好な平滑性及び柔軟性を有する。
△:相当な劣化が認められるが、僅かな平滑性及び柔軟性を有する。
×:著しい劣化が認められ、ほとんど或いは全く平滑性及び柔軟性を有しない。
【0083】
【表3】








【0084】
【表4】

【0085】
表3及び表4において、
割合:質量%
付着量:ポリ乳酸繊維に対する脂肪族ポリエステル系合成繊維用処理剤の付着量(質量%)
S−1:ヘキサデカンスルホン酸ナトリウム/ポリオキシエチレン(n=20)ジステアラート=67/33(質量比)の混合物
S−2:リン酸オクタデシルカリウム/α−オクタデシル−ω−ヒドロキシ(ポリオキシエチレン)(n=20)=60/40(質量比)の混合物
S−3:1−(2−アミノエチル)−1−エチル−2−ヘプタデシル−2−イミダゾリニウムエチル=スルファート/ソルビタン=モノステアラート=25/75(質量比)の混合物
S−4:4−ヘキサデシル−4−エチルモルホリニウムエチル=スルファート/(ポリオキシエチレン)ドデシルアミン(n=20)=80/20(質量比)の混合物
S−5:オクタデシルジメチルアンモニオアセタート/α−ヘキサデシル−ω−ヒドロキシ(ポリオキシエチレン)(n=20)=50/50(質量比)の混合物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記のエステル共重合体を70〜100質量%含有することを特徴とする脂肪族ポリエステル系合成繊維用処理剤。
エステル共重合体:下記のエステル共重合体F、エステル共重合体G、エステル共重合体H、エステル共重合体J、エステル共重合体K及びエステル共重合体Lから選ばれる一つ又は二つ以上
エステル共重合体F:下記の構成単位A、構成単位B及び構成単位Cで構成されたエステル共重合体であって、全構成単位中に構成単位Cを40〜85質量%含有し、且つ10質量%水性液の30℃における動粘度が0.2×10−4〜1.0×10−4/sのエステル共重合体
エステル共重合体G:下記の構成単位A、構成単位B及び構成単位Dで構成されたエステル共重合体であって、全構成単位中に構成単位Dを40〜85質量%含有し、且つ10質量%水性液の30℃における動粘度が0.2×10−4〜1.0×10−4/sのエステル共重合体
エステル共重合体H:下記の構成単位A、構成単位B、構成単位C及び構成単位Dで構成されたエステル共重合体であって、全構成単位中に構成単位C及び構成単位Dを合計40〜85質量%含有し、且つ10質量%水性液の30℃における動粘度が0.2×10−4〜1.0×10−4/sのエステル共重合体
エステル共重合体J:下記の構成単位A、構成単位B、構成単位C及び構成単位Eで構成されたエステル共重合体であって、全構成単位中に構成単位Cを40〜85質量%含有し、また構成単位A及び構成単位Eの合計に対する構成単位Eの含有割合が30質量%以下であって、且つ10質量%水性液の30℃における動粘度が0.2×10−4〜1.0×10−4/sのエステル共重合体
エステル共重合体K:下記の構成単位A、構成単位B、構成単位D及び構成単位Eで構成されたエステル共重合体であって、全構成単位中に構成単位Dを40〜85質量%含有し、また構成単位A及び構成単位Eの合計に対する構成単位Eの含有割合が30質量%以下であって、且つ10質量%水性液の30℃における動粘度が0.2×10−4〜1.0×10−4/sのエステル共重合体
エステル共重合体L:下記の構成単位A、構成単位B、構成単位C、構成単位D及び構成単位Eで構成されたエステル共重合体であって、全構成単位中に構成単位C及び構成単位Dを合計40〜85質量%含有し、また構成単位A及び構成単位Eの合計に対する構成単位Eの含有割合が30質量%以下であって、且つ10質量%水性液の30℃における動粘度が0.2×10−4〜1.0×10−4/sのエステル共重合体
構成単位A:炭素数4〜12の脂肪族二塩基酸から形成された構成単位及び/又は炭素数4〜12の脂肪族二塩基酸のエステル形成性誘導体から形成された構成単位
構成単位B:炭素数2〜6の脂肪族ジオールから形成された構成単位
構成単位C:合計10〜130個の炭素数2又は3のオキシアルキレン単位で構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレンジオールから形成された構成単位
構成単位D:合計8〜130個の炭素数2又は3のオキシアルキレン単位で構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレンジオールの片末端を炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基又は置換基が炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基であるジ置換アミノ基で封鎖したモノエーテルから形成された構成単位
構成単位E:下記の構成単位E1及び構成単位E2から選ばれる一つ又は二つ以上
構成単位E1;フェニレンジカルボン酸から形成された構成単位、フェニレンジカルボン酸のエステル形成性誘導体から形成された構成単位、ナフタレンジカルボン酸から形成された構成単位及びナフタレンジカルボン酸のエステル形成性誘導体から形成された構成単位から選ばれる一つ又は二つ以上
構成単位E2;置換基がスルホン酸塩基である置換フェニレンジカルボン酸から形成された構成単位、置換基がスルホン酸塩基である置換フェニレンジカルボン酸のエステル形成性誘導体から形成された構成単位、置換基がスルホン酸塩基である置換ナフタレンジカルボン酸から形成された構成単位及び置換基がスルホン酸塩基である置換ナフタレンジカルボン酸のエステル形成性誘導体から形成された構成単位から選ばれる一つ又は二つ以上
【請求項2】
エステル共重合体が、エステル共重合体F、エステル共重合体H、エステル共重合体J及びエステル共重合体Lから選ばれる一つ又は二つ以上である請求項1記載の脂肪族ポリエステル系合成繊維用処理剤。
【請求項3】
エステル共重合体が、エステル共重合体F及びエステル共重合体Hから選ばれる一つ又は二つ以上である請求項1記載の脂肪族ポリエステル系合成繊維用処理剤。
【請求項4】
構成単位Aが炭素数4〜8の脂肪族二塩基酸から形成された構成単位及び/又は炭素数4〜8の脂肪族二塩基のエステル形成性誘導体から形成された構成単位であり、また構成単位Bが炭素数2又は3の脂肪族ジオールから形成された構成単位である請求項1〜3のいずれか一つの項記載の脂肪族ポリエステル系合成繊維用処理剤。
【請求項5】
構成単位Cが合計20〜100個の炭素数2又は3のオキシアルキレン単位で構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレンジオールから形成された構成単位であり、また構成単位Dが合計10〜100個の炭素数2又は3のオキシアルキレン単位で構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレンジオールの片末端を炭素数8〜16の脂肪族炭化水素基で封鎖したモノエーテルから形成された構成単位である請求項1〜4のいずれか一つの項記載の脂肪族ポリエステル系合成繊維用処理剤。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一つの項記載の脂肪族ポリエステル系合成繊維用処理剤を0.5〜30質量%の水性液となし、該水性液を脂肪族ポリエステル系合成繊維に対し該脂肪族ポリエステル系合成繊維用処理剤として0.05〜3.0質量%となるように付着させることを特徴とする脂肪族ポリエステル系合成繊維の処理方法。
【請求項7】
請求項6記載の脂肪族ポリエステル系合成繊維の処理方法により処理された脂肪族ポリエステル系合成繊維。
【請求項8】
脂肪族ポリエステル系合成繊維がポリ乳酸繊維である請求項7記載の脂肪族ポリエステル系合成繊維。
【請求項9】
脂肪族ポリエステル系合成繊維が繊度1.0〜20.0デシテックス、繊維長32〜120mmのものである請求項7又8記載の脂肪族ポリエステル系合成繊維。

【公開番号】特開2006−249600(P2006−249600A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−65931(P2005−65931)
【出願日】平成17年3月9日(2005.3.9)
【出願人】(000210654)竹本油脂株式会社 (138)
【Fターム(参考)】