説明

脆弱性ヒスチジン三連構造(FHIT)相互作用を同定するための方法およびその使用

【課題】FHITの発現を変化させるための方法の必要性が、それを必要とする対象において存在する。また、FHITの発現を変化させるために有用である組成物の必要性が、それを必要とする対象において、存在する。
【解決手段】Fhit遺伝子を使用する、癌関連疾患の診断、予後、および治療のための方法および組成物を、本出願において提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照および委託研究に関する言明
本発明は、2007年10月26日出願の仮特許出願第60/000,480号の利益を主張する。本発明は、NCI助成金番号CA77738およびCA78890を受けて、政府の支援により行われた。政府は、本発明における一定の権利を有する。
【背景技術】
【0002】
Fhit遺伝子は、染色体3p14.2において最も活性がある共通脆弱部位を包含する(1、2)。Fhit発現は、対立遺伝子欠失、ゲノム再編成、プロモーターの過剰メチル化、またはそれらの組み合わせにより、ほとんどの種類のヒト腫瘍の大部分において失われるか、あるいは減少する(3、4)。Fhitノックアウトマウスは、癌発症の罹患率の上昇を示し(5、6)、Fhit遺伝子療法は、発癌性物質に曝露したFhit欠損マウスにおいて腫瘍を阻止する(7、8)。癌細胞における安定な形質移入によるFhit回復は、細胞が、生体内でヌードマウス環境のストレスを含むストレスに曝露されない限り、生体外でほとんど影響を持たず(9)、ウイルス媒介性Fhit回復は、ストレスおよびFhit発現を同時に供給するプロセスであり、生体内で腫瘍形成を抑制し、生体外で肺癌細胞を含む多くの種類の悪性細胞のアポトーシスを誘発する(10〜13)。
【0003】
肺過形成の病変において、DNA損傷チェックポイント遺伝子はすでに活性化されており、チェックポイントタンパク質の突然変異のための選択、および腫瘍の進行に至る(14、15)。FHIT内のFRA3BでのDNA変化の証拠には、過形成およびチェックポイントの活性化が付随する。他の抑制遺伝子の発現における病理学的変化または変質の前に、喫煙者の正常に見える気管支上皮細胞に、FHIT対立遺伝子の損失が生じている(16〜18)。
【0004】
Fhit発現は、DNA損傷剤への曝露によって下方制御され(19)、Fhitはそのような薬剤への反応にある役割を果たし(20、21)、Fhit欠損細胞はアポトーシスを回避し、突然変異を蓄積する。
Fhit発現は、外因性および内因性のアポトーシス経路を含むカスパーゼ依存性機序を介して、いくつかの実験モデルにおけるアポトーシスを誘発するが、このプロセスの初期事象、およびFhit損失が腫瘍の開始にどのように関与するのかは、ほとんど分かっていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Ohta, M., Inoue, H., Cotticelli, M. G., Kastury, K., Baffa, R., Palazzo, J., Siprashvili, Z., Mori, M., McCue, P., Druck, T., Croce, C. M., and Huebner, K. (1996) Cell 84, 587-597.
【非特許文献2】Matsuyama, A., Shiraishi, T., Trapasso, F., Kuroki, T., Alder, H., Mori, M., Huebner, K., and Croce, C. M. (2003) Proc. Natl. Acad. ScL U. S. A. 100, 14988- 14993.
【非特許文献3】Huebner, K., and Croce, C. M. (2001) Nat. Rev. Cancer 1, 214-221.
【非特許文献4】Huebner, K., and Croce, C. M. (2003) Br. J. Cancer 88, 1501-1506.
【非特許文献5】Fong, L. Y., Fidanza, V., Zanesi, N., Lock, L., Siracusa, L., Mancini, R., Siprashvili, Z., Ottey, M., Martin, S. E., Druck, T., McCue, P. A., Croce, C. M., and Huebner, K. (2000) Proc. Natl. Acad. ScL U. S. A. 97, 4742-4747.
【非特許文献6】Zanesi, N., Fidanza, V., Fong, L. Y., Mancini, R., Druck, T., Valtieri, M., Rudiger, T., McCue, P. A., Croce, C. M., and Huebner, K. (2001) Proc. Natl. Acad. ScL U. S. A. 98, 10250-10255.
【非特許文献7】Dumon, K. R., Ishii, H., Fong, L. Y., Zanesi, N., Fidanza, V., Mancini, R., Vecchione, A., Baffa, R., Trapasso, F., During, M. J., Huebner, K., and Croce, C. M. (2001) Proc. Natl. Acad. ScL U. S. A. 98, 3346-3351.
【非特許文献8】Ishii, H., Zanesi, N., Vecchione, A., Trapasso, F., Yendamuri, S., Sarti, M., Baffa, R., During, M. J., Huebner, K., Fong, L. Y., and Croce, C. M. (2003) FASEB J. 17, 1768-1770.
【非特許文献9】Siprashvili, Z., Sozzi, G., Barnes, L. D., McCue, P., Robinson, A. K., Eryomin, V., Sard, L., Tagliabue, E., Greco, A., Fusetti, L., Schwartz, G., Pierotti, M. A., Croce, C. M., and Huebner, K. (1997) Proc. Natl. Acad. ScL U. S. A. 94, 13771-13776.
【非特許文献10】Ji, L., Fang, B., Yen, N., Fong, K., Minna, J. D., and Roth, J. A. (1999) Cancer Res. 59, 3333-3339.
【非特許文献11】Ishii, H., Dumon, K. R., Vecchione, A., Trapasso, F., Mimori, K., Alder, H., Mori, M., Sozzi, G., Baffa, R., Huebner, K., and Croce, C. M. (2001) Cancer Res. 61, 1578-1584.
【非特許文献12】Roz, L., Gramegna, M., Ishii, H., Croce, C. M., and Sozzi, G. (2002) Proc. Natl. Acad. ScL U. S. A. 99, 3615-3620.
【非特許文献13】Trapasso, F., Krakowiak, A., Cesari, R., Arkles, J., Yendamuri, S., Ishii, H., Vecchione, A., Kuroki, T., Bieganowski, P., Pace, H. C, Huebner, K., and Croce, C. M. (2003) Proc. Natl. Acad. ScL U. S. A. 100, 1592-1597.
【非特許文献14】Gorgoulis, V. G., Vassiliou, L. V., Karakaidos, P., Zacharatos, P., Kotsinas, A., Liloglou, T., Venere, M., Ditullio, R. A., Jr., Kastrinakis, N. G., Levy, B., Kletsas, D., Yoneta, A., Herlyn, M., Kittas, C, and Halazonetis, T. D. (2005) Nature 434, 907-913.
【非特許文献15】Bartkova, J., Horejsi, Z., Koed, K., Kramer, A., Tort, F., Zieger, K., Guldberg, P., Sehested, M., Nesland, J. M., Lukas, C, and Bartek, J. (2005) Nature 434, 864-870.
【非特許文献16】Wistuba, I. L, Lam, S., Behrens, C, Virmani, A. K., Fong, K. M., LeRiche, J., Samet, J. M., Srivastava, S., Minna, J. D., and Gazdar, A. F. (1997) /. Natl. Cancer Inst. 89, 1366-1373.
【非特許文献17】Mao, L., Lee, J. S., Kurie, J. M., Fan, Y. H., Lippman, S. M., Lee, J. J., Ro, J. Y., Broxson, A., Yu, R., Morice, R. C, Kemp, B. L., Khuri, F. R., Walsh, G. L., Hittelman, W. N., and Hong, W. H. (1997) /. Natl. Cancer Inst. 89, 857-862.
【非特許文献18】Sozzi, G., Pastorino, U., Moiraghi, L., Tagliabue, E., Pezzella, F., Ghirelli, C, Tornielli, S., Sard, L., Huebner, K., Pierotti, M. A., Croce, C. M., and Pilotti, S. (1998) Cancer Res. 58, 5032-5037.
【非特許文献19】Thavathiru, E., Ludes-Meyers, J. H., MacLeod, M. C, and Aldaz, C. M. (2005) MoI. Carcinog. 44, 174-182.
【非特許文献20】Ottey, M., Han, S. Y., Druck, T., Barnoski, B. L., McCorkell, K. A., Croce, C. M., Raventos-Suarez, C, Fairchild, C. R., Wang, Y., Huebner, K., and Croce, C. M. (2004) Br. J. Cancer 91, 1669-1677.
【非特許文献21】Ishii, H., Mimori, K., Inoue, H., Inagata, T., Ishikawa, K., Semba, S., Druck, T., Trapasso, F., Tani, K., Vecchione, A., Croce, C. M., Mori, M., and Huebner, K. (2006) Cancer Res. 66, 11287-11292.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、FHITの発現を変化させるための方法の必要性が、それを必要とする対象において存在する。また、FHITの発現を変化させるために有用である組成物の必要性が、それを必要とする対象において、存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
広範な態様において、Fhitと直接相互作用して、結果的にアポトーシスに至る下流シグナル経路を生じさせるタンパク質を同定する方法が、提供される。一実施形態において、肺癌細胞をAdFHIT−His6ウイルスに感染させた後、細胞内のタンパク質を化学的に架橋した。Fhitに連結したタンパク質、およびそれらによって影響を受ける経路を同定し、特徴付けた。
【0008】
別の広範な態様において、対象が、癌関連疾患を有するか、またはそれを発症する危険性があるかどうかを診断する方法であって、対象からの試験試料中の少なくとも脆弱性ヒスチジン三連構造(Fhit)遺伝子のレベルを測定するステップを含み、対照試料中の対応するFhit遺伝子産物のレベルと比べて、試験試料中のFhit遺伝子産物のレベルにおける変化は、対象が、癌関連疾患を有するか、またはそれを発症する危険性があるかのいずれかを示す方法が、本明細書において提供される。
【0009】
本発明の種々の目的および利点は、付随する図面を踏まえて読まれる時に、以下の発明を実施するための形態から、当業者には明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本特許または出願書類は、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を含む本特許または特許出願公開の複写は、要請に応じて必要な手数料の支払いにより、事務所から提供される。
【図1−1】サイトゾルおよびミトコンドリアにおけるFhitタンパク質の細胞下局在性。図1Aは、48時間PonAで処理したH1299細胞(D1)に、抗Fhit血清を用いて免疫蛍光顕微鏡法を行った。図1Bは、ペンタ−His抗体で行ったA549のAdFHIT(左)またはAdFHIT−His−感染細胞(右)の免疫電子顕微鏡法を示す。
【図1−2】図1Cは、抗Fhitを使用した、AdFHITに感染させたA549の細胞成分分画の免疫ブロット分析を示す。図1Dは、炭酸ナトリウム(図1E)およびジギトニン(図1F)の濃度を上昇させて処理後にAdFHTT−HiSに感染させた、A549細胞のミトコンドリアからのタンパク質の免疫ブロット分析を表す。図1Gは、MKN74/E4およびMKN74/A116細胞からの細胞成分分画の免疫ブロット分析(外来的Fhitを安定に発現する)、そして、図1Hは、抗Fhitを使用したHCT116(内在的Fhit陽性結腸癌細胞株)を示す。
【図2−1】図2A−Fは、外来的および内在的Fhitは、内在的Hsp60、Hsp10、およびFdxrタンパク質との複合体を形成する。
【図2−2】図2A−Fは、外来的および内在的Fhitは、内在的Hsp60、Hsp10、およびFdxrタンパク質との複合体を形成する。図2Dは、A549細胞をAdFHITに感染させた後の、抗Hsp60を用いた共免疫沈殿法、フィルタはHsp60、Fhit、およびHsp10抗血清でプローブした。
【図2−3】図2A−Fは、外来的および内在的Fhitは、内在的Hsp60、Hsp10、およびFdxrタンパク質との複合体を形成する。図2Eは、A549細胞をV5タグ付加FDXR遺伝子およびFHTTプラスミドで同時形質移入し、免疫沈殿法は、抗V5を用い、検出は、FdxrおよびFhit抗血清を用いた。図2Fは、DSPで処理したFhit陽性ΗCT116細胞からの、内在的相互作用タンパク質(FdxrおよびΗsp10)の免疫沈殿法および免疫ブロット検出。フィルタは、各標的タンパク質に対する抗血清でプローブした。内在的Fhitは、Hsp10およびFdxrと共沈殿した。
【図3−1】図3A−Dは、Hsp60/Hsp10のノックダウンは、ミトコンドリア中のFhitのレベルを低下する。図3Aは、H6抗体を使用した、細胞成分分画(サイトゾルおよびミトコンドリア)への、AdFHZT−HiSに感染させたA549細胞のニッケル−H6プルダウン実験を示す。
【図3−2】図3Bは、1〜12時間のCHX追跡(30μg/ml)後のFhit、Hsp60、およびHsp10レベルを示す。
【図3−3】図3Cは、Hsp60、Hsp10、Fhit、GAPDH、およびCoxIV抗血清を用いた、Hsp60およびHsp10 siRNAでの形質移入の72時間後、およびMOI1でのAdFHIT感染の24時間後の、A549細胞のサイトゾル/ミトコンドリアのタンパク質分画の免疫ブロット分析。図3Dは、「内在的」Fhit複合タンパク質の細胞成分分画および免疫沈殿法。
【図4−1】図4A〜Fは、Fhit発現は、過酸化物での細胞の処理後、細胞内ROS生成を誘導する。図4Aは、5時間のH処理をした、およびその処理をしない、FHITプラスミドでの形質移入の48時間後の、A549細胞におけるROS評価についての蛍光標示式細胞分取器(FACS)分析。図4Bは、D1およびE1細胞における、ヒドロエチジンの酸化から産生された蛍光によるROS評価についてのFACS分析。
【図4−2】図4A及びBの続きを示す。
【図4−3】図4Cは、ストレス条件化での、H1299 Fhit発現細胞(D1)の緑色蛍光DCFシグナルの上昇。図4Dは、MTS細胞の生死判別検定を、E1およびD1細胞に行った。
【図4−4】図4Eは、酸化ストレス処理の48時間後の、D1およびE1の細胞周期動態のFACS分析。図4Fは、5mMのPonAでの刺激、および示した濃度での5時間のH処理後の、H1299/D1およびH1299/E1細胞のコロニー形成検定。
【図5−1】図5A〜Hは、Fhitウイルス形質導入によって誘発されたアポトーシスは、そのFdxrとの相互作用によって媒介され得る。図5Aは、Fdxr、Fhit、およびGAPDHに対する抗血清を用いた免疫ブロット分析。PonAでの処理の48時間後、E1(対照)およびD1細胞からタンパク質を抽出した。図5Bは、25μMの、プロテアソーム阻害因子であるMG132での4時間の処理後の、D1およびE1細胞におけるFdxr発現の免疫ブロット分析。GAPDH検出は、等しいタンパク質装填を示す。
【図5−2】図5Cは、Fhitを発現するD1、および4〜12時間のCHX追跡(30μg/ml)後のFdxrレベルを示す、E1細胞における、Fdxr、Fhit、およびGAPDHの免疫ブロット分析。GAPDHレベルに基づくデンシトメトリーは、Fhit存在下におけるFdxrの安定性の増強を示す。
【図5−3】図5Dは、MOI50および100でAdFHIT感染後の、FDXR+/+/+およびFDXR+/−/−細胞周期動態のFACS分析。実験は、感染の48時間後に行い、3回繰り返し、同様の結果を得た。AdGFP感染細胞のプロファイルは、非感染細胞のものと同様であった(図示せず)。
【図5−4】図5Dの続きを示す。
【図5−5】図5Dの続きを示す。
【図5−6】図5Eは、MOI50および100でFDXR+/+/+およびFDXR+/−/−をAdFHITに感染させた後、Fdxr、Fhit、およびGAPDΗの発現を示す、免疫ブロット分析。図5Fは、MOI50でのAdFHITの48時間後のFDXR発現についての、リアルタイムRT−PCR分析。
【図5−7】図5Gは、カスパーゼ3およびParp1の活性化。図5Hは、Fhitおよびシトクロムc抗血清を使用した、MOI50でAdFHITおよびAdGFPに感染させた48、72、および96時間後の、HCT116 FDXR+/+/+細胞からのサイトゾル/ミトコンドリア分画の免疫ブロット分析。
【図6−1】図6A〜Eは、Fhitは、癌細胞のパクリタキセルおよびシスプラチンへの感受性を増強する。E1およびD1細胞にMTS検定を行った。細胞をPonAで48時間処理し、次いでパクリタキセル(50〜500ng/ml)(図6A)またはシスプラチン(0.05〜0.2m)(図6B)で24または48時間処理した。
【図6−2】図6A及び6Bの続きを示す。
【図6−3】図6C及びDは、グラフは、E1およびD1細胞のフローサイトメトリー分析の代表的な結果を示す。細胞をPonAで48時間、次いでパクリタキセル(50〜500ng/ml)(図6C)またはシスプラチン(0.05〜0.2mM)(図6D)で処理した。
【図6−4】図6Eは、カスパーゼ3およびParp1切断:Fhit、カスパーゼ3、およびParp1抗血清を使用した、48時間のパクリタキセル(50および100ng/ml)またはシスプラチン(0.05および0.1mM)での処理後の、PonAで誘導したD1細胞からの全ての細胞溶菌液の免疫ブロット分析。GAPDHは、装填対照としての役割を果たした。
【図7】表1 質量分析法によって単離された候補タンパク質パートナー。A549 AdFHIT−H感染細胞試料内で選択的に捕獲されたタンパク質。同定されたペプチドのアミノ酸配列、Mascotスコア、およびタンパク質配列包括度を列挙する。
【図8−1】図8A〜8Cは、Ad−His6の生物活性は、AdFHITと同等である。図8Aは、MOI20でAd−His6に感染させた、A549細胞のウェスタンブロット分析。抗ペンタHisおよび抗Fhit血清によって、Fhit−Hisタンパク質が検出された。
【図8−2】図8Bは、MOI15でAd−His6に感染させた96時間後の、A549細胞のフローサイトメトリー分析。
【図8−3】図8Bの続きを示す。
【図8−4】図8Bの続きを示す。
【図8−5】図8Bの続きを示す。
【図8−6】図8Cは、Fhit−His6の生体内架橋。
【図9A】図9Aは、ナノボアLC−MS/MSによって同定した、候補Fhitタンパク質パートナーの初期検証。
【図9B】図9Bは、ナノボアLC−MS/MSによって同定した、候補Fhitタンパク質パートナーの初期検証。
【図9C】図9Cは、ナノボアLC−MS/MSによって同定した、候補Fhitタンパク質パートナーの初期検証。
【図9D】図9Dは、ナノボアLC−MS/MSによって同定した、候補Fhitタンパク質パートナーの初期検証。
【図9E】図9Eは、ナノボアLC−MS/MSによって同定した、候補Fhitタンパク質パートナーの初期検証。
【図9F】図9Fは、ナノボアLC−MS/MSによって同定した、候補Fhitタンパク質パートナーの初期検証。
【図10】表2、Fhitは、MKN74胃癌細胞中のROSの生成を誘導する。
【0011】
図1A〜1H:サイトゾルおよびミトコンドリアにおけるFhitタンパク質の細胞下局在性。
【0012】
図1A:48時間PonAで処理したH1299細胞(D1)に、抗Fhit血清を用いて免疫蛍光顕微鏡法を行い、フルオレセインイソチオシアネート(緑)と共役した抗ウサギ免疫グロブリン(IgG)を使用してFhit染色を検出し、ミトコンドリアを同定するMito−Tracker Red染色は、Fhitとの部分的共存を示す。4つ目の枠(右下)の黄色は、共存点を示す。
【0013】
図1B:ペンタ−His抗体で行ったA549のAdFHIT(左)またはAdFHIT−His−感染細胞(右)の免疫電子顕微鏡法は、Fhitのミトコンドリア局在(右)を示し、AdFHITに感染させたA549細胞は対照としての役割を果たし、わずかに散在する粒子のみを示す(左枠)。
【0014】
図1C:抗Fhitを使用した、AdFHITに感染させたA549の細胞成分分画の免疫ブロット分析は、サイトゾル、膜、細胞骨格、およびミトコンドリアにおけるFhitタンパク質の分布を示す。
【0015】
図1D:炭酸ナトリウム(図1E)およびジギトニン(図1F)の濃度を上昇させて処理後にAdFHTT−HiSに感染させた、A549細胞のミトコンドリアからのタンパク質の免疫ブロット分析は、Fhitがミトコンドリアマトリックス内に主として分布していることを示し、フィルタはFhitおよびCoxIV抗血清でプローブし、図1Fの列は、0、0.10、0.15、および0.20%のジギトニンで処理後の上澄みを表す。
【0016】
図1G:MKN74/E4およびMKN74/A116細胞からの細胞成分分画の免疫ブロット分析(外来的Fhitを安定に発現する)、および図1H:抗Fhitを使用したHCT116(内在的Fhit陽性結腸癌細胞株)は、Fhitのミトコンドリア局在を確認し、GAPDHおよびCoxIV抗血清は対照としての役割を果たした。
【0017】
図2A〜F:外来的および内在的Fhitは、内在的Hsp60、Hsp10、およびFdxrタンパク質との複合体を形成する。組み換えFhit−Hisタンパク質で単離したタンパク質複合体を、ポリアクリルアミドゲル上で分離し、Hsp60(図2A)、Hsp10(図2B)、およびFdxr(図2C)に対して抗血清でプローブし、ミトコンドリアの単離後に調製された後者の枠では、Fhitがミトコンドリア内で時間依存的にFdxrを動員することが示されている。フィルタには、DSPを用いて、または用いずに、A549細胞をAdFHZT−HiSに感染させた後に単離したタンパク質を装填した。
【0018】
図2D:A549細胞をAdFHITに感染させた後の、抗Hsp60を用いた共免疫沈殿法、フィルタはHsp60、Fhit、およびHsp10抗血清でプローブした。
【0019】
図2E:A549細胞をV5タグ付加FDXR遺伝子およびFHTTプラスミドで同時形質移入し、免疫沈殿法は、抗V5を用い、検出は、FdxrおよびFhit抗血清を用いた。
【0020】
図2F:DSPで処理したFhit陽性ΗCT116細胞からの、内在的相互作用タンパク質(FdxrおよびΗsp10)の免疫沈殿法および免疫ブロット検出。フィルタは、各標的タンパク質に対する抗血清でプローブした。内在的Fhitは、Hsp10およびFdxrと共沈殿した。
【0021】
図3A〜D:Hsp60/Hsp10のノックダウンは、ミトコンドリア中のFhitのレベルを低下する。
【0022】
図3A:H6抗体を使用した、細胞成分分画(サイトゾルおよびミトコンドリア)への、AdFHZT−HiSに感染させたA549細胞のニッケル−H6プルダウン実験、溶菌液をニッケルビーズで培養し、DSPで架橋したFhit−Hisタンパク質複合体を単離し、4〜20%のポリアクリルアミドゲルに装填した。感染の24時間後、Hsp60−Fhit複合体は、両方の区画に存在し、感染の48時間後、該複合体は再び両方の区画で検出可能であり、Fhit複合タンパク質の増加は、ミトコンドリアにわずかな増加を伴い、AdFHTT−His感染の48時間後のFhitタンパク質の増加と関連するとみられる(入力試料へのデンシトメトリー分析を行った)。
【0023】
図3B:1〜12時間のCHX追跡(30μg/ml)後のFhit、Hsp60、およびHsp10レベルを示す、72時間のHsp60/Hsp10発現抑制後の、Fhit陽性D1細胞中のHsp60、Hsp10、Fhit、およびGAPDHの免疫ブロット分析。
【0024】
図3C:Hsp60、Hsp10、Fhit、GAPDH、およびCoxIV抗血清を用いた、Hsp60およびHsp10 siRNAでの形質移入の72時間後、およびMOI1でのAdFHIT感染の24時間後の、A549細胞のサイトゾル/ミトコンドリアのタンパク質分画の免疫ブロット分析。Hsp60/10の発現抑制は、Fhitのサイトゾルレベルに影響を及ぼすとは見られないが、ミトコンドリア分画ではFhitの減少に関連する。スクランブル(Scr)siRNAを対照として使用した。
【0025】
図3D:「内在的」Fhit複合タンパク質の細胞成分分画および免疫沈殿法。PonAで誘導したD1およびE1細胞を、過酸化物で処理し、および過酸化物で処理せず、サイトゾルおよびミトコンドリアに分画し、誘導の48時間後にFhitおよび相互作用因子(左側)の存在について細胞成分分画を評価し、1列当たり25μgのタンパク質を装填した。内在的Hsp60は、FhitおよびFdxrと共沈殿した。
【0026】
図4A〜F:Fhit発現は、過酸化物での細胞の処理後、細胞内ROS生成を誘導する。
【0027】
図4A:5時間のH処理をした、およびその処理をしない、FHITプラスミドでの形質移入の48時間後の、A549細胞におけるROS評価についての蛍光標示式細胞分取器(FACS)分析。空ベクターで形質移入した細胞が、対照としての役割を果たした。Oによるヒドロエチジンの酸化の結果としての、エチジウムの蛍光により、細胞内超酸化物を判定した。M2は、ROS陽性細胞の分画を指す。
【0028】
図4B:D1およびE1細胞における、ヒドロエチジンの酸化から産生された蛍光によるROS評価についてのFACS分析、PonA処理の48時間後、0.5および1.0mMのHで5時間細胞を処理し、酸化ストレスを測定し、陽性%は、ROSを示す、蛍光細胞の分画を指す。これらの実験は、3回繰り返され、同様の結果を得た。
【0029】
図4C:ストレス条件化での、H1299 Fhit発現細胞(D1)の緑色蛍光DCFシグナルの上昇。E1およびD1細胞のFhit誘導の48時間後、および5時間のH処理後、ROSの存在下、非常に緑色の蛍光色素DCFに酸化され得るROS指標である、2’,7’−ジクロロジヒドロフルオレセインジアセテートを用いて細胞を培養した(拡大40倍)。
【0030】
図4D:MTS細胞の生死判別検定を、E1およびD1細胞に行った。細胞をPonAで48時間、次いでHの濃度を上昇させて(0.125、0.25、および0.5mM)、4時間処理した。H処理の24時間後に分析した。縦棒は、4回の実験の平均+SEを記録する。各点を四重に測定し、標準偏差を算出し、p<0.05を有意とみなした。
【0031】
図4E:酸化ストレス処理の48時間後の、D1およびE1の細胞周期動態のFACS分析。細胞をPonAで48時間、次いでHの濃度を上昇させて(0.25および0.5mM)、4時間処理した。H処理の48時間後に分析した。すべての実験を三重にして2回行った。
【0032】
図4F:5mMのPonAでの刺激、および示した濃度での5時間のH処理後の、H1299/D1およびH1299/E1細胞のコロニー形成検定。
【0033】
図5A〜H:Fhitウイルス形質導入によって誘発されたアポトーシスは、そのFdxrとの相互作用によって媒介され得る。
【0034】
図5A:Fdxr、Fhit、およびGAPDHに対する抗血清を用いた免疫ブロット分析。PonAでの処理の48時間後、E1(対照)およびD1細胞からタンパク質を抽出した。
【0035】
図5B:25μMの、プロテアソーム阻害因子であるMG132での4時間の処理後の、D1およびE1細胞におけるFdxr発現の免疫ブロット分析。GAPDH検出は、等しいタンパク質装填を示す。
【0036】
図5C:Fhitを発現するD1、および4〜12時間のCHX追跡(30μg/ml)後のFdxrレベルを示す、E1細胞における、Fdxr、Fhit、およびGAPDHの免疫ブロット分析。GAPDHレベルに基づくデンシトメトリーは、Fhit存在下におけるFdxrの安定性の増強を示す。
【0037】
図5D:MOI50および100でAdFHIT感染後の、FDXR+/+/+およびFDXR+/−/−細胞周期動態のFACS分析。実験は、感染の48時間後に行い、3回繰り返し、同様の結果を得た。AdGFP感染細胞のプロファイルは、非感染細胞のものと同様であった(図示せず)。
【0038】
図5E:MOI50および100でFDXR+/+/+およびFDXR+/−/−をAdFHITに感染させた後、Fdxr、Fhit、およびGAPDΗの発現を示す、免疫ブロット分析。感染の48時間後にタンパク質を抽出した。
【0039】
図5F:MOI50でのAdFHITの48時間後のFDXR発現についての、リアルタイムRT−PCR分析。PCR産物をGADPHおよびアクチン発現に正規化し、各点を四重に繰り返し、対照とFhit陽性試料との間の差異は有意ではなかった。
【0040】
図5G:カスパーゼ3およびParp1の活性化。MOI50でAdFHITおよびAdGFPに感染させた48、72、および96時間後の、Fhit、カスパーゼ3、Parp1抗血清を使用した、ΗCT116 FDXR+/+/+細胞からの全ての細胞溶菌液の免疫ブロット分析。GAPDHおよびCoxIVは、内部タンパク質マーカーとしての役割を果たした。
【0041】
図5H:Fhitおよびシトクロムc抗血清を使用した、MOI50でAdFHITおよびAdGFPに感染させた48、72、および96時間後の、HCT116 FDXR+/+/+細胞からのサイトゾル/ミトコンドリア分画の免疫ブロット分析。GAPDHおよびβ−アクチンは、内部タンパク質マーカーとしての役割を果たした。
【0042】
図6A〜E:Fhitは、癌細胞のパクリタキセルおよびシスプラチンへの感受性を増強する。
【0043】
E1およびD1細胞にMTS検定を行った。細胞をPonAで48時間処理し、次いでパクリタキセル(50〜500ng/ml)(図6A)またはシスプラチン(0.05〜0.2m)(図6B)で24または48時間処理した。棒は、4回の実験の平均±SEを記録する。各点を四重に測定し、標準偏差を算出し、図6Aおよび図6B中の角括弧の近傍のアスタリスクは、D1およびE1細胞の薬物反応における統計的に有意な差異を示す(p<0.05)。
【0044】
図6Cおよび6D:グラフは、E1およびD1細胞のフローサイトメトリー分析の代表的な結果を示す。細胞をPonAで48時間、次いでパクリタキセル(50〜500ng/ml)(図6C)またはシスプラチン(0.05〜0.2mM)(図6D)で処理した。各データ点は、24、48、および72時間の時点で三重に測定した(48時間についてのデータを示す)。
【0045】
図6E:カスパーゼ3およびParp1切断:Fhit、カスパーゼ3、およびParp1抗血清を使用した、48時間のパクリタキセル(50および100ng/ml)またはシスプラチン(0.05および0.1mM)での処理後の、PonAで誘導したD1細胞からの全ての細胞溶菌液の免疫ブロット分析。GAPDHは、装填対照としての役割を果たした。
【0046】
図7、表1:質量分析法によって単離された候補タンパク質パートナー。A549 AdFHIT−H感染細胞試料内で選択的に捕獲されたタンパク質。同定されたペプチドのアミノ酸配列、Mascotスコア、およびタンパク質配列包括度を列挙する。
【0047】
図8A〜8C:Ad−His6の生物活性は、AdFHITと同等である。
【0048】
図8A:MOI20でAd−His6に感染させた、A549細胞のウェスタンブロット分析。抗ペンタHisおよび抗Fhit血清によって、Fhit−Hisタンパク質が検出された。Ad FHITおよびAd−His6は共に、FHITの下流の内部リボソームエントリー配列を介してCMV5プロモーターによって制御される、GFP cDNAを保有する。γ−チューブリンを、試料の装填を正規化するために使用した。
【0049】
図8B:MOI15でAd−His6に感染させた96時間後の、A549細胞のフローサイトメトリー分析。上の枠は、感染細胞のサブG1 DNA含有量を示し(実験は三重に繰り返され、サブGl分画の平均値は、Ad FHITについては22%+/−4.3、Ad−His6については29%+/−5、差異は統計的に有意ではなく、下の枠は、アポトーシスの指標である、成熟カスパーゼ−3を有する細胞の割合を示す。Ad−His6に感染させたA549細胞中の細胞死の程度は、Ad FHITでの感染後に得た結果と同等である。
【0050】
図8C:Fhit−His6の生体内架橋。4〜20%勾配のSDS−PAGEで分離した、His6プルダウンおよび架橋反転状態後の細胞溶菌液を用いたゲルの銀染色。内部の負の対照は、Ad FHIT感染細胞(架橋された、CL)およびAd−His6感染細胞(架橋されない、NT)のHis6プルダウンを含んだ。
【0051】
図9A〜9F:ナノボアLC−MS/MSによって同定した、候補Fhitタンパク質パートナーの初期検証。AdFHIT−His6および対照試料についての選択イオンクロマトグラム(SIC)を示す。6つのSIC対は、1)672.8(保持時間30分でのピークは、Hsp60に属するトリプシンペプチドTVIIEQSWGSPK[配列番号5]として同定された)、2)685.4(保持時間32分でのピークは、Aldh2に属するトリプシンペプチドLGPALATGNVVVMK[配列番号22]として同定された)、3)617.3(保持時間39分でのピークは、Mdhに属するトリプシンペプチドIFGVTTLDIVR[配列番号10]として同定された)、4)658.4(保持時間26分でのピークは、Hsp10に属するトリプシンペプチドVLQATVVAVGSGSK[配列番号19]として同定された)、5)551.7(保持時間28分でのピークは、Etfbに属するトリプシンペプチドEIDGGLETLR[配列番号15]として同定された)、6)598.3(保持時間23分でのピークは、Fdxrに属するトリプシンペプチドFGV APDHPEVK[配列番号23]として同定された)の6つのm/z値のイオン電流を記録する。赤の矢印で示した対象となるペプチドのみが、Ad−His6試料中に存在する。
【0052】
図10、表2:Fhitは、MKN74胃癌細胞中のROSの生成を誘導する。ROS評価を、p53突然変異対立遺伝子を保有し、外来的Fhitを発現するヒト胃癌細胞株である、MKN74A116を用いて行い、Fhit陰性MKN74E4細胞を対照として使用した。ROS生成を誘導するために、MKN74細胞を5時間、0.5、1.0、および2.0mMのHで処理した。結果は、対照と比較して、外来的Fhitを発現する細胞内の有意に高いROS生成率を示し、2mMのH処理後、Fhit発現細胞内で毒性が観察された。数字は、4回の実験の平均±SEを記録する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
前述の一般的な説明、および以下の詳細な説明は、共に例示的かつ説明的なものであるに過ぎず、本教示の範囲を限定する意図はないことを理解されたい。本出願において、別途具体的に言及されていない限り、単数形の使用には複数形が含まれる。
【0054】
特許請求の範囲および/または本明細書において、「含む」という用語と併せて使用される、「a」または「an」という単語の使用は、「1つの」を意味し得るが、「1つ以上の」、「少なくとも1つの」、および「1つまたは複数の」の意味とも一致する。
【0055】
また、「含む(comprise)」、「含む(contain)」、および「含む(include)」、あるいは例えば、限定されないが、「comprises」、「contained」、および「including」等の、それらの基語の修飾形の使用は、限定的であることを意図しない。「および/または」という用語は、前または後の用語が、併せて、または別々に解釈され得ることを意味する。説明目的であって、制限するものではないが、「Xおよび/またはY」は、「X」もしくは「Y」、または「XおよびY」を意味し得る。
【0056】
本明細書で使用される「それらの組み合わせ」という用語は、該用語に先行する列挙された事項の全ての順列および組み合わせを指す。例えば、「A、B、C、またはそれらの組み合わせ」は、A、B、C、AB、AC、BC、またはABC、および特定の文脈において順序が重要である場合は、BA、CA、CB、ACB、CBA、BCA、BAC、またはCABのうちの少なくとも1つを含むことを意図する。
【0057】
本明細書において代替可能に用いられる、「遺伝子産物」、「DNA」、および「遺伝子」は、本明細書において代替可能に用いられる。
【0058】
本明細書において、以下の略語が使用される場合がある:GAPDH、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ;DSP、ジチオビス(プロピオン酸スクシンイミジル);LC−MS/MS、液体クロマトグラフィータンデム質量分析法;Fdxr、フェレドキシン還元酵素;PonA、ポナステロンA;MOI、感染多重度;ROS、活性酸素種;FU、5−フルオロウラシル;DCFH−DA、ジクロロフルオレセインジアセテート;DCF、2’,7’−ジクロロフルオレセイン;CHX、シクロヘキシミド;siRNA、低分子干渉RNA;RT、逆転写酵素;MTS、3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−5−(3−カルボキシメトキシフェニル)−2−(4−スルホフェニル)−2H−テトラゾリウム。
【0059】
本明細書で使用される節の見出しは、構成目的であるに過ぎず、説明される主題を多少なりとも制限するものとして解釈されるべきではない。特許、特許出願、論説、書籍、論文、およびインターネットウェブページを含む、本出願において引用される全ての文献および類似資料は、いかなる目的に対しても、参照することによりその全体が明示的に組み込まれる。組み込まれる文献および類似資料のうちの1つ以上が、本出願における用語の定義と矛盾するように、当該用語を定義または使用するような場合は、本出願が優先される。
【0060】
Fhitタンパク質はほとんどの癌において失われ、その回復は腫瘍形成能を抑制し、ウイルス媒介性のFhit遺伝子療法はアポトーシスを誘導し、前臨床モデルにおいて腫瘍を抑制する。タンパク質架橋およびプロテオミクス法を使用して、Fhit媒介性アポトーシスの誘発に関与するFhitタンパク質複合体を特徴付ける。該複合体は、Fhit安定性を媒介し、ミトコンドリアへの移入に影響を及ぼし得る、Hsp60およびHsp10を含み、そこでは、フェレドキシンを介するNADPHからシトクロムP450への電子の伝達を担う、フェレドキシン還元酵素と相互作用する。ウイルス媒介性Fhit回復は、細胞内活性酸素種の産生を増加し、その後酸化ストレス条件下で肺癌細胞のアポトーシスを増加させるが、逆に、Fhit陰性細胞はアポトーシスを回避し、突然変異率の増加に寄与し得る重篤な酸化的DNA損傷を生じさせる。Fhitと相互作用するタンパク質の特徴付けにより、Fhitの損失によってほとんどの癌において失われる、Fhit媒介性アポトーシス経路の直接的なエフェクターが同定された。
【0061】
Fhitと相互作用するタンパク質に関する初期の探索では、Ubc9、α−チューブリン、およびMdm2(35〜37)を含む、いくつかの候補タンパク質が指摘されたが、共免疫沈降法の実験によってそのいずれをも相互作用因子として確認することはできなかった。Fhitタンパク質相互作用因子の問題に対処するために、架橋後のFhit複合体の精製のためのアデノウイルスを形質導入したFhit−Hisを使用し、Fhit連結タンパク質、Hsp60、Hsp10、およびFdxrを同定し、これらのタンパク質の細胞下位置は、ミトコンドリアがFhit活性の増殖巣であり得ることを示唆した。分子シャペロンとしてのHsp「ストレスタンパク質」は、タンパク質移行、フォールディング、および集合等の機能を行う(38)。Fhitは、AdFHIT感染後、Hsp60/Hsp10と相互作用するという所見は、Hsp複合体が、Fhitの安定性、および恐らくアポトーシス経路の活性化の前に、それをミトコンドリアへ移入するための正しいフォールディングにとって重要であり得ることを示唆し、その示唆について、AdFH/T感染肺癌細胞におけるHsp60、Hsp10、または両方の発現をノックダウンすることによって調査し、Fhitの安定性を、誘導可能なFhitを発現する肺癌細胞株である、Η1299 D1細胞におけるCHX追跡後、評価した。Hsp60および10の両方のノックダウン後、単離したミトコンドリア中のFhitタンパク質のレベルは低下し、FhitとHsp60/10との相互作用が、Fhitの安定化および/またはミトコンドリアへの移入のための正しいフォールディングに関与するという提案を強固なものとしている。
【0062】
HCT116結腸癌細胞におけるFDXR遺伝子の標的破壊は、それが生存能にとって必須であり、つまり、遺伝子コピー数の減少は、5−フルオロウラシル誘導アポトーシスに対する感受性の低下をもたらし(29)、FDXRは、p53ファミリーの標的遺伝子である(30)。H、5−フルオロウラシル、およびドキソルビシン誘導細胞死に対する、Fdxrで感作した結腸癌細胞の過剰発現は、Fdxrが、ミトコンドリア内の酸化ストレスの生成を介してp53媒介性アポトーシスに寄与することを示している。故に、活性化されたp53は、部分的にROSによる細胞ストレスに応じてアポトーシスを誘導し、同時にp53はFDXR遺伝子の転写を増加させ、次にこれがROS誘導アポトーシスを増加させることによってp53機能を強化する(29、30)。
【0063】
ここで、本明細書で示すものは、ミトコンドリア分画におけるFhitの存在であり、Fhitが過剰発現するか、またはFhitを発現する細胞がストレスを受けると、FhitはFdxrをプロテアソーム分解から保護することができ、Fdxrタンパク質レベルの上昇につながり、これがROSの生成と関連し、その後アポトーシスに至る。FhitはFDXRの転写レベルには影響を及ぼさないが、タンパク質の安定性に影響を及ぼし得る。Fhitおよびp53の両方を欠失するH1299細胞では、Fdxrの過剰発現がROS誘導細胞死に対する感受性を増加させ、誘導可能なFhitまたはp53を発現するH1299細胞は、ROS誘導細胞死に対する感受性があり、Fhit、p53、または両方を欠失する癌細胞は、Fdxr発現を増加させる手段を欠き、酸化的損傷に対する感受性は低く、生存するであろう。
【0064】
Fdxrとの相互作用による、アポトーシスにおけるFhitのミトコンドリア機能の発見は、ここで、ほとんどの癌において順次失われ、DNA損傷に対する反応に関与する、重要な腫瘍抑制因子であるFhitおよびp53の機能的類似点に広がり、転写性Fdxr制御因子として作用するp53と、転写後Fdxr制御因子として作用するFhitとの間の差異を解明する。Fhit抑制経路の直接的な下流エフェクターの概要説明は、Fhit経路を活性化するための阻止および治療戦略に影響を与え得る、Fhit機能の機序研究へとつながる。
【0065】
ROS生成がFhit媒介性アポトーシスにとって極めて重要であるという所見は、種々の臨床的設定における負の予後因子としてのFhit損失の重要性を強調し、例えば、前腫瘍性疾患または腫瘍性疾患におけるFhit状態の評価により、抗酸化剤治療に対する反応を予測し得る。
【0066】
下流アポトーシス経路に影響を及ぼすFhitと相互作用するタンパク質を同定するために、本発明者らは、本明細書において、肺癌細胞におけるウイルス媒介性Fhit過剰発現後、細胞内でタンパク質を架橋し、Fhitに関連するタンパク質およびそれらによって影響を受ける経路を特徴付けた。
【0067】
結果。
【0068】
Fhitタンパク質複合体の単離−Fhitと相互作用するタンパク質を同定するために、Hisエピトープタグをコードする配列でその3’末端を修飾した、FHIT cDNAを保有するアデノウイルスを生成した(AdFHZr−HiS)。A549細胞内で発現したこのタグ付加Fhitタンパク質の生物活性は、野生型のFhit活性と同等であった(図8)。
【0069】
Fhit誘導アポトーシスに敏感である(10)、A549肺癌由来細胞をAdFHITまたはAdFHIT−Hisβに感染させ、膜を横断し、生体内で複合体内のタンパク質を固定する架橋剤である、DSPで処理した。細胞を溶解し、Hisエピトープタグに結合するニッケルビーズでタンパク質を単離した。精製したタンパク質をジチオスレイトールで処理し、DSPを切断し、複合体を解離し、トリプシンによって消化させ、タンパク質成分をLC−MS/MSによって同定した(図7−表1および図9)。
【表1】

【表2】

【表3】

【0070】
全てミトコンドリア局在を伴う、Hsp60および10、フェレドキシン還元酵素(Fdxr)、リンゴ酸脱水素酵素、電子伝達フラボタンパク質、ならびにミトコンドリアアルデヒド脱水素酵素2の6つのタンパク質を同定し、Hsp60およびHsp10は、サイトゾル内にも分布する(23)。
【0071】
Fhit細胞下局在性−候補Fhit相互作用因子はミトコンドリアタンパク質であるため、本発明者らは、本明細書において、ミトコンドリア局在シグナルを欠くFhitが、これらの細胞小器官に局在するかどうかを判定した。誘導可能なFHIT cDNAを保有するFhit陰性H 1299肺癌細胞(D1細胞)を、誘導因子であるPonAで48時間処理し、抗Fhit血清およびミトコンドリアマーカーであるMito Tracker Red 580を使用して、Fhit細胞下位置の間接的免疫蛍光検出を評価し、Fhit蛍光シグナル(緑染色、図1A)は細胞質であり、部分的にMitoTracker Red色素と共存し(黄染色、図1A、右下)、外来的Fhitがミトコンドリアおよびサイトゾルに局在化したことを示す。抗Fhit特異性を、Fhit陰性H1299クローンE1細胞における緑色蛍光の不在によって確認した(図示せず)。ミトコンドリア局在を確認するために、MOI20でAdFHIT−HiSまたはAdFHITに感染させたA549細胞を、抗ペンタHis染色によって、48時間後に免疫電子顕微鏡法で調べ、FhitHis6を形質導入した細胞は、ミトコンドリア内に有意な数の金粒子を示したが(図1B、右枠)、AdFH/Tを形質導入した細胞は、まばらな反応性を示した(図1B、左枠)。
【0072】
Fhitのミトコンドリア内局在を評価するために、ミトコンドリアを、前述の通りMOI1でAdFHITに感染させたA549細胞から精製した。炭酸ナトリウム手順は、膜のオープンシートの生成の誘導後、細胞内膜から可溶性タンパク質と表在性膜タンパク質の両方の上澄みにおいて、効果的な放出を可能にする、非破壊的手法であり、さらに、これにより、該膜と共に内在性タンパク質の回復が可能になる(ペレット)(24)。
【0073】
図1Eは、Fhitが、溶解性分画においてのみ検出可能であったことを示す。Fhitのミトコンドリア内局在をさらに定義するために、膜間腔およびマトリックス内に含まれるタンパク質を放出する、ミトコンドリアの外膜を選択的に破壊するように、ミトコンドリアを0.10%および0.15%のジギトニンで処理し、図1Fに示すように、外膜および内膜の緩やかな破壊により、Fhitタンパク質の放出量が増加し、Fhitが、内膜の腔側またはミトコンドリアのマトリックスのいずれかに主に分布することを示唆する。外来的Fhitを安定に発現する胃癌由来MKN74A116細胞(9)、および内在的Fhitを発現するHCT116結腸癌細胞において、ミトコンドリア局在を確認した(図1Gおよび図1H)。
【0074】
FhitはHsp60、Hsp10、およびFdxrと相互作用する−候補相互作用タンパク質のうち、本発明者らは、可能性があるシャペロニンとしてHsp60およびHsp10に、そしてp53によりトランス活性化され、治療薬に対する反応に関与する、ミトコンドリアの呼吸鎖タンパク質である、Fdxrに焦点を合わせた(25)。相互作用を検証するために、A549細胞を、DSPを用いて、または用いずに、MOI20でAdFHITまたはAdFHIT−His6に感染させた。Fhit複合体をHiSタグによって精製し、同時精製されたタンパク質をHsp60、Hsp10、およびFdxrに対する抗血清で検出し、Hsp60およびFdxrは、DSPに曝露した細胞の溶菌液においてのみ検出されたが(図2Aおよび図2C)、Hsp10は、架橋なしでも検出された(図2B)。
【0075】
感染後の経時的実験は、FhitによるFdxrの動員を示し(図2C)、また、内在的Hsp60は、DSPの不在下でFhitおよびHsp10を共免疫沈降させた(図2D)。
【0076】
相互作用の特異性を検証するために、3’V5エピトープタグを持つFDXR cDNA発現プラスミドを精製した。A549細胞にFDXR−V5およびFHITプラスミドを同時形質移入し、タンパク質をモノクローナル抗V5で沈殿させ、共沈Fhitは、DSP架橋後にのみ検出可能であった(図2E)。
【0077】
これらのタンパク質も内在的Fhitと相互作用するかどうかを判定するために、本発明者らは、DSPで処理したFhit陽性HCT116細胞から、各内在的候補相互作用タンパク質を免疫沈降させ、内在的Fhitの共沈を探した(図2F)。
【0078】
内在的FhitはHsp10およびFdxrと共沈し、ミトコンドリア内の内在的Fhitの存在、およびストレスの不在下での内在的シャペロンおよび呼吸鎖タンパク質とのその相互作用を確認した。
【0079】
Hsp60/10相互作用はFhitの安定性および/またはミトコンドリアの移入に影響を及ぼす−Hsp60およびHsp10は、複合体において見られる分子シャペロンであり(26)、フォールディングおよびタンパク質のミトコンドリアへの移入にとって重要であり得る。本発明者らは、本明細書において、Hsp60/10複合体が、Fhitの正しいフォールディングおよびミトコンドリアのアドレスを担ったと考える。
【0080】
これらの相互作用の位置を調査するために、A549細胞をMOI5でAdFHTT−HiSに感染させ、架橋後、サイトゾルおよびミトコンドリア分画からタンパク質溶菌液を収集した。複合体をFhit−H6−ニッケルプルダウンにより単離し、ポリアクリルアミドゲル上で分離し、フィルタをHsp60およびFhit抗血清でプローブした。感染の24および48時間後、Hsp60との相互作用がサイトゾルおよびミトコンドリア内で観察され(図3A)、図3Aに示すように、これらの時点のFhit発現の増加(入力)と比例する。
【0081】
Fhit−Hsp60/10相互作用がFhitタンパク質の安定に重要であるかどうかを判定するために、誘導可能なFhit発現を伴うH1299(D1細胞)に、Hsp60およびHsp10のsiRNAを形質移入し、形質移入の72時間後、1、6、および12時間でCHX追跡を行い、Fhitタンパク質発現を評価し、スクランブル配列を形質移入した細胞と比較した。
【0082】
図3Bに示すように、Hsp60およびHsp10の発現抑制後、CHXの6および12時間では、Fhit発現は大幅に減少している(1および12時間でそれぞれ1から0.4へ)。次に、Hsp60および10のsiRNAを個々に、または組み合わせてA549細胞に形質移入し、24時間後、細胞をMOI1でAdFHITに感染させて、サイトゾルおよびミトコンドリアを24時間後に分画した。両方のHspの発現の抑制後、Fhitレベルは、サイトゾル中では影響を受けなかったが、対照と比較して、ミトコンドリア中では減少し(図3B)、Hsp60/10複合体は、ウイルスによって形質導入したFhitの安定化およびミトコンドリア局在を媒介し得ることを示す。Hsp60およびHsp10が、Fhitのウイルスによる形質導入後のFhitの安定化に関与するならば合、Fhitの少ない細胞区画は、Fhitの安定性の低下により影響を受けるであろうことも、事実である。また、本発明者らは、本明細書において、Fhit陰性E1細胞を対照として用いて、誘導可能なFhitを発現するH1299 D1細胞内のFhit複合体を調べ、D1細胞におけるFhit誘導の48時間後(図3C、左枠)、Fhit複合タンパク質の分布は、Hを伴う、および伴わない、D1およびE1細胞のサイトゾルおよびミトコンドリアにおいて同様であった。
【0083】
を伴う、または伴わない、PonA誘導の48時間後、Hsp60を、これらの細胞の全ての細胞溶菌液から免疫沈降させ、FhitおよびFdxrを共沈した(図3C、右枠)。D1細胞におけるFhit発現の誘導は、生体外生物学的変化を生じず、故に、Fhit複合体は、アポトーシスの結果としては形成されない。ストレス条件で、およびストレス条件なしで、PonA誘導Fhit発現後、D1細胞に経時的実験を行い、Fhitタンパク質相互作用因子における生物学的変化があるかどうかを判定した。共同発明者らは、Fhit発現後、局在性における変化を検出しなかった。
【0084】
Fhitは活性酸素種(ROS)の生成を誘導する−54kDaのフラボタンパク質であるFdxrは、ミトコンドリア内膜のマトリックス側に位置し、NADPHから、単一電子シャトルフェレドキシン−シトクロムP450を介して、基質への電子の伝達を担う(27)。基質制限条件下、電子がこのシャトル系から漏れ、ROSを生成する(28)。Fdxrは、ROSの生成(29、30)、強力な細胞内酸化体、およびアポトーシス制御因子(31)を介して、結腸直腸癌細胞における、p53依存性の5−フルオロウラシル誘導アポトーシスを媒介する。
【0085】
本発明者らは、本明細書において、次に、ROS産生がFhit媒介性アポトーシスに関与し得るかどうかを判定するために調査した。Fdxrの過剰発現は、ROS産生を介して、H処理時、腫瘍細胞のアポトーシスへの感受性を高める(29、30)。本発明者らは、FHIT発現プラスミドの一過性形質移入後、H処理を伴う、およびそれを伴わない、A549細胞におけるROS産生を調べた。超酸化物によるヒドロエチジンの酸化の結果としてのエチジウム蛍光を測定することにより、細胞内超酸化物を評価した。Hの濃度を上昇させての刺激の5時間後、細胞内超酸化物を測定した。FHTTを形質移入した細胞では、ROS生成が約3倍高かった(0.5mMのHで16.7%対5.4%、および1.0mMのHで18.8%対7.7%)。2mMのHはFhit発現細胞には毒性であったが、非発現細胞に対しては毒性ではなかった(図4A)。
【0086】
それぞれPonAで誘導可能なFHITおよび空ベクター発現プラスミドを保有する、p53ならびにFhit陰性肺癌由来H1299 D1およびE1クローンについて、同様の実験を行い、細胞を5μMのPonAで処理し、48時間の時点で0.5および1.0mMのHで処理し、ROS陽性細胞%は、E1対照細胞においてよりも、Fhit陽性D1細胞において高かった(それぞれ、0.5mMのHで20%対3.5%、および1.0mMのHで78%対25%)(図4B)。
【0087】
これらの結果は、突然変異体p53を発現し(32)、外来的Fhitを安定に発現する(9)、ヒト胃癌由来細胞であるMKN74A116(図10)を用いた実験と同等であった。
【0088】
酸化ストレスの間の、Fhit再構成後のROSの生成をさらに研究するために、DCFH−DAを使用して、Fhitを過剰発現する細胞の酸化還元状態を測定した。ペルオキシダーゼ、シトクロムc、およびFe2+は、Hの存在下、DCFH−DAを蛍光2’,7’−ジクロロフルオレセイン(DCF)に酸化することができ、したがって、DCFは、Hレベルおよびペルオキシダーゼ活性を示す。ストレス条件下、E1細胞と比較して、D1細胞にDCF蛍光の増加が検出された(図4C)。
【0089】
また、Fhitを発現する細胞におけるH処理後の細胞生存率の低下を、H処理の24時間後、MTS細胞毒性検定によって評価した。H処理は、E1およびD1細胞の両方において、細胞生存率の低下または成長停止を生じさせたが、この表現型は、D1細胞においてより顕著であった(図4D)。
【0090】
Fhitを伴う、または伴わないH処理が、細胞生存率または細胞周期動態に影響を及ぼし得るかどうかを判定するために、フローサイトメトリーを行い(図4E)、Fhitがストレス条件下で存在する時には、0.25および0.5mMのH処理の48時間後、同一条件下のE1細胞の27.5%および29%と比較して、それぞれ45.5%および49.5%にG/M停止が一貫して増加した。
【0091】
/M停止が細胞の長期生存率に影響を及ぼし得るかどうかを評価するために、コロニー検定を行った(図4F)。0.25mM以上の濃度のHに曝露後、Fhitを発現する細胞においてコロニーは検出されなかった。
【0092】
Fhit誘導ROS生成はFdxr依存性である−Fhit媒介性ROS生成におけるFdxrの役割を評価するために、本発明者らは、Fhit誘導後のD1細胞中のFdxrレベルを調べ、E1細胞と比較して2.4倍増加した発現を観察し(図5A)、この増加は、リアルタイムRT−PCRによって判定されるように転写の増加によるものではなかった(図5F)。
【0093】
次に、本発明者らは、プロテアソーム分解の阻害因子であるMG132の存在下、Fhit発現を伴う、またはそれを伴わない、Fdxrレベルを測定し、MG132処理の4時間後、E1細胞と比較して、D1細胞においてFdxrタンパク質の有意な増加が観察され(図5B)、Fhitは、プロテアソーム分解からFdxrを保護することを示す。
【0094】
Fhitタンパク質の存在下または不在下のFdxr分解率を、4〜12時間のCHX追跡により評価し(図5C)、Fdxr分解率は、有意な減少を伴わないD1細胞と比較して、Fhit陰性E1細胞において高かった(1から0.3への減少)。故に、本発明者らは、本明細書において、Fhitは、Fdxrタンパク質をプロテアソーム分解から保護することにより、その不安定化を阻止すると考える。
【0095】
内在的野生型p53およびFhitを発現し、3つのFDXR対立遺伝子(FDXR+/+/+)、および2つの対立遺伝子をノックアウトしたHCT116 FDXR+/−/−細胞を保有する、HCT116結腸癌細胞(28)を使用して、AdFHIT誘導アポトーシスがFdxr発現レベルによって影響を受けるかどうかを判定し、FDXRヌル状態の生存率は、同等ではなかった(29)。
【0096】
これらの細胞をMOI50または100でAdFHITに感染させ、感染の48および72時間後にアポトーシスについて評価した。野生型HCT116細胞(FDXR+/+/+)は、サブ−G細胞の分画が、MOI50および100で、それぞれ12.1%および18.8%であったように、外来的Fhit媒介性アポトーシスに対して用量依存的に敏感であり、FDXR+/−/−細胞は、サブ−G集団がMOI50および100で4.7%および4.3%であり、48および72時間の時点で(データ図示せず)Fhit誘導細胞死に対して不応性であった(図5D)。
【0097】
Fhit過剰発現は、FDXR+/+/+およびFDXR+/−/−細胞の両方においてFdxrタンパク質レベルの増加に通じ(図5E)、FDXR+/−/−細胞は、感染の72時間後までにFhit媒介性アポトーシスを生じた。
【0098】
Fdxr発現のFhitが媒介する増加は、リアルタイムRT−PCRによって判定されるように、転写レベルにおいてではなく(図5F)、したがって、p53の転写活性化とは関連していなかった。
【0099】
AdFHIT感染後にFDXR+/+/+細胞において検出されたサブ−Gピークが、アポトーシス誘導に関連していたかどうかをさらによく判定するために、カスパーゼ3およびParp1切断について48、72、および96時間の時点で経時的実験を行い、AdGFP感染細胞と比較した(図5G)。
【0100】
カスパーゼ3切断および関連するParp1切断が、ウイルス媒介性のFhitの過剰発現の48、72、および96時間後に観察された。HCT116細胞をMOI100でAdFHITに感染後、ミトコンドリアからサイトゾルへの、シトクロムcの放出の時間経過を評価し(図5H)、段階的なシトクロムcの放出が、GFP感染細胞と比較して、HCT116 FDXR+/+/+細胞で観察され、Fhitを過剰発現するHCT116 FDXR+/+/+細胞における、アポトーシスカスケードの開始を示す。
【0101】
Fhitは、化学療法剤のROS関連効果を強化する−細胞内ROSの生成は、パクリタキセルでの治療によって誘導される、肺癌細胞のアポトーシスにおける初期事象である(33)。本発明者らは、Fhit発現を誘導して、または誘導せずに、H1299 D1およびE1細胞に対してパクリタキセルを試験した。Fhit発現の誘導後、MTS細胞生死判別試験によって測定されるように、D1細胞は、E1細胞よりもパクリタキセルに対する感受性が高かった(図6A)。シスプラチンはFdxr発現を誘導し、シスプラチン誘導アポトーシス経路は、ROS生成に関連する(34)。
【0102】
24および48時間の時点のMTS検定によって測定されるように、Fhitを発現するD1細胞は、E1細胞よりも、シスプラチンに対して感受性が高かった(図6B)。
【0103】
薬物治療後の細胞生存率を調べるために、フローサイトメトリー分析を行い(図6、図6C、および図6D)、パクリタキセルの濃度を上昇させて処理した(50〜500ng/ml)、PonAで誘導したD1およびE1細胞は、48時間の時点で、サブ−G集団の増加を示した:E1細胞のそれぞれ4%、16.7%、および30%と比較して、D1細胞の9.6%、36%、および40%(図6C)。
【0104】
同様に、シスプラチン濃度の上昇(0.05〜0.2mM)は、48時間の時点でサブ−G集団の増加につながった:E1細胞のそれぞれ2.3%、7%、および14.6%と比較して、D1細胞の5%、16.2%、および30%(図6C)。
【0105】
また、24および72時間の時点で(データ図示せず)、E1細胞と比較して、D1細胞におけるサブ−G集団の増加が検出された。D1細胞のサブ−G分画がアポトーシス細胞を表したかどうかを判定するために、48時間の時点で薬物処理細胞から溶菌液を調製し、カスパーゼ3およびParp1切断について免疫ブロット分析を行った(図6D)。
【0106】
パクリタキセル(50および100ng/ml)およびシスプラチン(0.05および0.1mM)処理後、未処理細胞(対照)と比較して、活性化されたカスパーゼ3および関連するParp1切断が観察された。本発明者らは、本明細書において、Fhit発現が、ROS生成におけるFdxrの関与により、酸化的傷害に対する感受性を増加させると考える。
【実施例】
【0107】
実施例I
【0108】
材料および方法
【0109】
細胞、ベクター、および抗血清−A549、H1299、MKN74−E4、およびA116、ならびにHCT116細胞を、RPMI 1640培地に10%ウシ胎仔血清およびペニシリン/ストレプトマイシン(Sigma)を加えたもので維持した。組み換えアデノウイルスの調製に使用するHEK293細胞(Microbix)を、ダルベッコ変法イーグル培地に10%ウシ胎仔血清およびペニシリン/ストレプトマイシンを加えたもので培養した。AdFHIT−His6ウイルスは、本明細書の実施例IIに記載の通り調製した。[His6−配列番号32][ペンタ−His−配列番号33]。
【0110】
全長FDXRを、ヒト脳cDNA(Clontech)から増幅し、pcDNA3.1/V5−HisTOPO TAベクター(Invitrogen)にサブクローン化し、配列決定した。詳細は、補足方法に記載する通りである。細胞を、Lipofectamine(商標)(Invitrogen)を使用して、製造業者の説明書に従って形質移入した。
【0111】
ウェスタンブロット分析−免疫ブロット分析は、モノクローナル抗ペンタHis(Qiagen)、ウサギポリクロナール抗Fhit(Zymed Laboratories Inc.)、GFP、Hsp60、Hsp10、およびシトクロムcに対するウサギポリクロナール抗血清(Santa Cruz Biotechnology)、ウサギポリクロナール抗Fdxr(Abeam)、モノクローナル抗CoxIV(Molecular Probes)、抗V5(Sigma)、抗Parp1(Santa Cruz Biotechnology)、ならびに抗カスパーゼ3(Cell Signaling)を使用して、(13)に記載の通り行った。タンパク質レベルを、適切な抗血清(Santa Cruz Biotechnology)で検出したβ−アクチンまたは/およびGAPDHレベルに対して正規化した。
【0112】
質量分析法研究−タンパク質ペレットを、本明細書に記載の通り、トリプシンによって可溶化および消化した。LC−MS/MS分析のために、ペプチド混合物を注入した。データベース検索によるタンパク質同定の後、LC−MS/MSデータの検査を行い、AdFHIT−His6に感染させた細胞からの試料中の候補パートナータンパク質に属する質量ピークの排他的存在を評価した。
【0113】
タンパク質相互作用分析−タンパク質を、15mM Tris−Cl(pH7.5)、120mM NaCl、25mM KCl、2mM EGTA、0.1mMジチオスレイトール、0.5% Triton X−100、10mg/mlのロイペプチン、0.5mMフッ化フェニルメチルスルホニル中で抽出した。ジチオビス(プロピオン酸スクシンイミジル)(DSP)を用いた、または用いない、共免疫沈降法の実験が、1mgの総タンパク質を、4℃で2時間、セファロースで共役したHsp60、Hsp10、Fdxr、ペンタ−His、およびV5抗血清と共にインキュベートし、洗浄後、ビーズを1x SDS試料緩衝液中で煮沸し、タンパク質を4〜20%ポリアクリルアミドゲル(Bio−Rad)上で分離し、ポリ(フッ化ビニリデン)フィルタ(Millipore)に移し、特異的な抗血清でプローブすることにより行われた。
【0114】
Fhitタンパク質の細胞下局在性-抗Fhit血清を使用した間接的免疫蛍光検出によって、および抗ペンタHisを使用した免疫電子顕微鏡写真におけるA549 AdFHIT−Hisに感染させた細胞内のFhitHis6の検出によって、Fhitを、ポナステロンA(Pon A)で誘導したFhit発現H1299 D1細胞において、亜局在化した。分画研究において、ミトコンドリアを、ミトコンドリア/サイトゾル分画キットを用いて単離し、FractionPREP(商標)Cell Fractionation Systemを使用して、サイトゾル、膜、核、および細胞骨格(Biovision Research Products)からタンパク質を抽出した。Daheronら(22)の方法に従う、ミトコンドリア内局在に関して、ミトコンドリアを、断続的にボルテックスしながら30分間氷上で0.1M炭酸ナトリウム(pH11.5)中で再懸濁し、本明細書に記載の通り分画した。
【0115】
フローサイトメトリー−HCT116 FDXR+/+/+およびFDXR+/−/−細胞を、MOI50および100でAdFHITまたはAdGFPに感染させ、感染後48時間の時点で評価した。PonAで誘導したH1299 D1およびE1細胞を、0.25および0.5mM H、または化学療法薬で処理し、本文および図面に示される通り、様々な時間の間、インキュベートした。両方の実験に関して、細胞を収集し、リン酸緩衝食塩水で洗浄し、低温70%エタノール中で再懸濁した。分析に関しては、細胞を回転分離し、リン酸緩衝食塩水で洗浄し、室温で30分間、0.1mg/mlヨウ化プロピジウム/Triton X−100染色溶液(0.1% Triton X−100、0.2mg/ml Dnaseを含まないRNase A)中で懸濁し、フローサイトメトリーによって分析した。
【0116】
細胞内活性酸素種(ROS)の評価−細胞内超酸化物を、ヒドロエチジン(ジヒドロエチジウム−HE、Molecular Probes)による酸化の結果として、エチジウム蛍光によって測定した。安定にFhitを発現するMNK74細胞、Fhitを一時的に発現するA549細胞、および誘導可能なFhitを発現するH1299細胞を、0.5、1.0、2.0、および4.0mM Hで37℃で処理し、4時間後、ヒドロエチジン(10μM)を細胞に添加し、15分間37℃でインキュベートした。蛍光は、フローサイトメトリーによって測定した。ジクロロフルオレセインジアセテート(DCFH−DA)(Molecular Probes)を、誘導されたFhitを発現するD1細胞に使用し、H(0.1から1.0mM)でストレスを与え、10μM DCFH−DAで処理し、37℃で1時間インキュベートした。DCF蛍光を、FACスキャンサイトメーター上でのフローサイトメトリー、および蛍光顕微鏡検査法で測定した。
【0117】
Hsp60およびHsp10発現抑制−8×10/ウェル(6ウェルプレート)でのA549肺癌細胞を、Lipofectamine2000試薬(Invitrogen)ならびに6μgのHsp60および/またはHsp10 siRNA(それぞれDharmaconカタログ番号NM_002156[GenBank]およびNM_002157[GenBank])によって形質移入し、48時間後、細胞をMOI1でAdFHITに感染させ、24時間後、サイトゾル/ミトコンドリアタンパク質分画のために収集した。タンパク質を、SDS−PAGEおよび免疫ブロットにより分析し、フィルタをHsp60、Hsp10、およびFhit抗血清でプローブした。タンパク質負荷をGAPDHおよびCoxIVで正規化した。1×10 H1299 D1およびE1肺癌細胞を、上記の通り形質移入し、形質移入の24時間後に、細胞をPonAで誘導し、誘導の48時間後に、1、4、6、および12時間におけるシクロヘキシミド(CHX)(10μg/ml)追跡を行い、タンパク質溶菌液を本明細書に記載の通り分析した。
【0118】
リアルタイムRT−PCR−TRIzol試薬(Invitrogen)で単離した全RNAを、Superscript First−Strand(Invitrogen)を使用した逆転写による直接的なcDNAへのDnase処理(Ambion)後、加工した。標的配列を、Power SYBR Green PCR Master Mix(Applied Biosystems)を使用したqPCRによって増幅した。FDXRプライマーは、順方向、3’−TCGACCCAAGCGTGCCCTTTG−5’[配列番号24]、逆方向、3’−GTGGCCCAGGAGGCGCAGCATC−5’[配列番号25]であった。試料は、アクチンおよびGADPH遺伝子を使用して正規化した。
【0119】
化学療法薬−パクリタキセル(Sigma)を、10mmol/リットルの原液として、DMSO中で溶解し、−80℃で保管した。シスプラチン(Sigma)を、水中で溶解し、使用前に新しく調製した。H1299 D1およびE1細胞を、96ウェル培養皿に播種(1×10細胞/ウェル)し、PonA誘導し、24時間後、パクリタキセル(50、100、および500ng/ml)またはシスプラチン(0.05、0.1、および0.2mM)で処理した。PonA誘導したH1299 D1およびE1細胞を、24、48、および72時間インキュベートし、MTSキット(Cell Titer 96(登録商標)Aqueous MTSキット、Upstate Biotechnology,Lake Placid,NY)を用いて、製造業者が推奨する通りに、生存能を評価した。
【0120】
実施例III
【0121】
組み換えアデノウイルスの生成−野生型FHIT cDNAを保有する組み換えアデノウイルス(AdFHIT)は、前述の通り調製した(Ishii et al,2001 Cancer Res 61:1578−1584)。Hisタグ付加FHIT cDNAを、以下のオリゴヌクレオチドを用いてPCRによって生成した。5’−ACgTggATCCCTgTgAggACATgTCgTTCAgATTTggC−3’(順方向)[配列番号26]および5’−TTgTggATCCTTATCAgTgATggTgATggTgATgCgATCCTCTCTgAAAgTAgCCCgCAg−3’[配列番号27]。これらのプライマーは、移入ベクターであるpAdenoVator−CMV5−IRES−GFPにサブクローン化するためのBamHI制限部位を考慮して設計された。Ad−His6は、AdenoVator(商標)キット(Qbiogene,Carlsbad,CA)を用いて、製造業者の手順に従い、生成した。対照として使用されるAd GFPは、Qbiogene(Carlsbad,CA)より購入した。
【0122】
FDXR cDNAを保有する組み換え発現ベクターの生成−全長野生型フェレドキシン還元酵素を、ヒト脳cDNA(Clontech,Palo Alto,CA)から以下のプライマーで増幅した。5’−CTgTTCCCAgCCATggCTTCgCgCTg−3’(順方向)[配列番号28]および5’−TCAgTggCCCAggAggCgCAgCATC−3’[配列番号29]。増幅産物を、pcDNA3.1/V5−HisTOPO TAベクター(Invitrogen,Carlsbad,CA)にサブクローン化した。配列決定は、増幅産物における突然変異を除外した。
【0123】
V5タグ付加フェレドキシン還元酵素cDNAの調製に関して、PCR増幅を、逆方向プライマーにおけるFDXR生理学的終止コドンを除き、同一のプライマー配列で行った。つまり、野生型およびV5タグ付加フェレドキシン還元酵素(FDXR)cDNAは共に、ヒトフェレドキシン還元酵素遺伝子(GenBank受託番号NM_024417)の野生型コード配列を鋳型として使用することにより調製した。フェレドキシン還元酵素コード配列は、ヒト脳cDNA(Clontech)から増幅した。
【0124】
V5タグ付加FDXR cDNAを生成するために使用したプライマーは、以下の通りである。順方向:5’−CTgTTCCCAgCCATggCTTCgCgCTg−3’[配列番号30]、および逆方向:5’−gTggCCCAggAggCgCAgCATC−3’[配列番号31]。オリゴヌクレオチド配列は、V5タグ付加cDNAの生成に使用される逆方向プライマーを除き同一であり、ここで、FDXRの生理学的終止コドンは、V5タグを有するFDXRコード配列をフレーム単位で融合するために省略されたことに留意されたい。
【0125】
増幅産物を、pcDNA3.1/V5−HisTOPO TAベクター(Invitrogen,Carlsbad,CA)にサブクローン化した。配列決定は、増幅産物における突然変異を除外した。
【0126】
ある実施形態において、Fhit−His6を単離することが可能なアデノウイルスは、FHIT−His6 cDNAを保有するアデノウイルスを含む。FHIT−His6 cDNAは、ヒトFhit遺伝子(GenBank受託番号NM_002012)の野生型コード配列を鋳型として使用することによって調製することができる。最終Fhit産物のC末端にポリヒスチジンタグを導入するために、野生型Fhitコード配列のPCR増幅を、生理学的終止コドンを無効にし、かつ内在的Fhit配列に、6つのヒスチジンをコードする一連の18bp、その後人工的終止コドンを追加するように設計される、逆方向プライマーを用いて実行した。さらに、順方向および逆方向プライマーは共に、容易なサブクローン化のためのBamHI制限部位を保有した。この増幅に使用されるオリゴヌクレオチド配列は、以下の通りであった。順方向:5’−ACgTggATCCCTgTgAggACATgTCgTTCAgATTTggC−3’[配列番号26]、および逆方向:5’−TTgTggATCCTTATCAgTgATggTgATggTgATgCgATCCTCTCTgAAAgTAgACCCgCAg−3’[配列番号27]。PCR増幅産物は、Ad5組み換えゲノム(Qbiogeneによって購入されたベクターであるAdenoVator(商標))にクローン化される前に、ランダム突然変異を除外するように配列決定された。
【0127】
ある実施形態において、外来的に過剰発現したFhit−His6を単離する方法は、FHIT−His6 cDNAを保有するアデノウイルスを使用するステップを含み、Fhit−His6は、Hisタグを通じて単離される。Fhit−His6は、発現がAd FHIT−His6ベクターを通じて、哺乳類細胞に駆動される、組み換えタンパク質を表す。His6エピトープは、組み換えFhit−His6タンパク質と、Ni−NTA系を利用することによって、組み換えタンパク質自身と相互作用するタンパク質複合体との回復を可能にする。この系は、Qiagenより商業的に入手可能である。簡潔に述べると、ヒトA549癌細胞をAd FHIT−His6に感染させ、感染の48時間後に、生細胞でタンパク質複合体を安定化させるために、Pierceより購入した架橋剤ジチオビス(プロピオン酸スクシンイミジル)[DSP]を用いて、細胞内タンパク質複合体の光架橋を行った。細胞をタンパク質抽出緩衝液内で分裂させ、Fhit−His6タンパク質複合体を、かかるビーズに対するHis6タグの優れた親和性を利用することによって、Ni−NTA電磁ビーズ技術を用いて単離した。次いで、単離Fhit−His6タンパク質複合体を、質量分析法によって調査し、複合体に存在するすべてのタンパク質を同定した。
【0128】
ある実施形態において、脆弱性ヒスチジン三連構造(Fhit)FHIT cDNAを保有する組み換えアデノウイルスは、ヒスチジン−6エピトープタグをコードする配列(AdFHIT−His6)でその3’位を修飾することができる。
【0129】
ある実施形態において、少なくとも1つの細胞におけるアポトーシスプロセスを媒介するための方法は、細胞においてアポトーシスプロセスを媒介するのに十分な量の脆弱性ヒスチジン三連構造(Fhit)遺伝子産物に、細胞を曝露するステップを含む。
【0130】
ある実施形態において、細胞にアポトーシスプロセスを誘導するための方法は、細胞における活性酸素種(ROS)の生成を生じるのに十分な量の脆弱性ヒスチジン三連構造(Fhit)遺伝子産物に、細胞を曝露するステップを含む。
【0131】
ある実施形態において、少なくとも1つの細胞におけるアポトーシスプロセスを媒介するための方法は、脆弱性ヒスチジン三連構造(Fhit)が、細胞内のミトコンドリアに入り、細胞内のFdxrタンパク質と相互作用し、ROSの生成に関連するFdxrタンパク質レベルを増加させるのを可能にするのに十分な量の脆弱性ヒスチジン三連構造(Fhit)遺伝子産物に、細胞を曝露させて、細胞におけるアポトーシスプロセスに変化を生じさせるステップを含む。
【0132】
前の研究において、Fhit陰性癌細胞におけるFhitタンパク質の過剰発現は、プログラム細胞死(またはアポトーシス)を誘発することができることが広く証明されたことに留意されたい。本発明において、発明者らは、アポトーシスのプロセスにおけるFhitタンパク質の役割に関する論理的根拠を提供する。実際、Ad FHITを用いて行われる癌細胞のFhit遺伝子治療(感染多重度50またはMOI50、すなわち、細胞あたり50のウイルス粒子)は、Fhit過剰発現に関与し、新たに合成された組み換えタンパク質は、その相互作用因子Hsp60/Hsp10によって、サイトゾルからミトコンドリアへ移動され、ここでは、Fhitは、呼吸鎖に属するタンパク質であるFDXR(フェレドキシン還元酵素)と相互作用する。この相互作用は、ROS(活性酸素種)のミトコンドリアの生成に至る。ROSは、アポトーシスプロセスの内因性(またはミトコンドリア)経路の開始の初期段階を表し、実際、それらは、同様にシトクロムcをサイトゾルに放出するミトコンドリア膜の損傷を誘導する。この段階は、シトクロムcが、他のサイトゾル分子(すなわち、Apaf−1およびプロ−カスパーゼ3)と共に、アポトーシスへ非可逆的に細胞を駆動することができる多タンパク質複合体であるアポトソームの生成に寄与するため、アポトーシスの実行に極めて重要である。
【0133】
アポトーシスを研究するために一般的に使用される方法は、フローサイトメトリー分析(Becton Dickinson)による成熟カスパーゼ3(初期アポトーシスの指標)の検出から成る[参考として、Trapasso et al.,2003,PNAS,100,1592−1597を参照のこと]。
【0134】
ある実施形態において、V5タグ付加フェレドキシン還元酵素cDNAを調製するための方法は、以下のプライマー配列によるPCR増幅を行うステップと、(5’−CTgTTCCCAgCCATggCTTCgCgCTg−3’(順方向)[配列番号28]、および5’−TCAgTggCCCAggAggCgCAgCATC−3’[配列番号29])、増幅産物をpcDNA3.1/V5−HisTOPO TAベクターにサブクローン化するステップと、を含む。
【0135】
野生型およびV5タグ付加フェレドキシン還元酵素(FDXR)cDNAは、ヒトフェレドキシン還元酵素遺伝子(GenBank受託番号NM_024417)の野生型コード配列を鋳型として使用することにより調製した。フェレドキシン還元酵素コード配列は、ヒト脳cDNA(Clontech)から増幅した。つまり、野生型FDXR cDNAを増幅するために使用されたプライマーは、以下の通りであった。順方向:5’−CTgTTCCCAgCCATggCTTCgCgCTg−3’[配列番号28]、逆方向:5’−TCAgTggCCCAggAggCgCAgCATC−3’[配列番号29]。
【0136】
V5タグ付加FDXR cDNAを生成するために使用したプライマーは、以下の通りであった。順方向:5’−CTgTTCCCAgCCATggCTTCgCgCTg−3’[配列番号30]、および逆方向:5’−gTggCCCAggAggCgCAgCATC−3’[配列番号31]。オリゴヌクレオチド配列は、V5タグ付加cDNAの生成に使用される逆方向プライマーを除き同一であり、ここで、FDXRの生理学的終止コドンは、V5タグを有するFDXRコード配列をフレーム単位で融合するために省略されたことに留意されたい。
【0137】
最後に、2つの産物をpcDNA3.1/V5−HisTOPO TA発現ベクター(Invitrogenより購入)にサブクローン化し、次いで配列決定し、両方の産物がランダム突然変異を有しないことを評価した。
【0138】
ある実施形態において、組み換えアデノウイルスを生成するための方法は、野生型FHIT cDNA(AdFHIT)を保有する組み換えアデノウイルスを調製するステップと、以下のオリゴヌクレオチドを用いたPCRを使用して、Hisタグ付加FHIT cDNAを生成するステップと、を含む。5’−ACgTggATCCCTgTgAggACATgTCgTTCAgATTTggC−3’(順方向)[配列番号26]、および5−TTgTggATCCTTATCAgTgATggTgATggTgATgCgATCCTCTCTgAAAgTAgACCCgCAg−3’[配列番号27]。FHIT−His6 cDNAは、本明細書に記載の通り調製した。組み換えアデノウイルスベクターAd FHIT−His6は、製造業者(Qbiogene)の推奨に従って調製した。簡潔に述べると、増幅FHIT−His6 PCRフラグメントは、BamHIで消化され、BamHI線形化移入ベクターpAdenoVator−CMV5−IRES−GFPにサブクローン化された。pAdenoVator−CMV5−IRES−GFP/FHIT−His6は、E1/E3で検出されたAd5バックボーンウイルスDNAで293の細胞に同時形質移入した。ウイルスプラークを、特異的ペンタHis抗体(Qiagen)を用いてウェスタンブロットによって、Fhit−His6タンパク質の存在についてスクリーニングした。1つの陽性クローンを、プラーク精製し、293の細胞で増幅した。凍結/融解サイクル後、上澄み中のアデノウイルスを、2回の連続的な塩化セシウム勾配で精製した。組み換えアデノウイルスを、TCID50方法によって滴定し、等分した。ウイルスストックは、−80℃で保管した。最後に、野生型FHIT cDNAを保有する組み換えアデノウイルス(Ad FHIT)を、Trapasso et al.(2003,PNAS,100,1592−1597)によって前もって生成した。
【0139】
ミトコンドリア局在性研究−共焦点顕微鏡法を使用して、免疫蛍光法によってFhitタンパク質分布を評価した。誘導可能なFHIT cDNAを有するH1299 D1細胞、および空ベクターを有するE1細胞を、PonAで48時間処理し、生細胞を、Mitotracker Red 580(M−22425、Molecular Probes,Eugene,OR)で、成長条件下で40分間、500nMの作業濃度で染色した。細胞を、5分間、氷冷アセトンでのインキュベーションにより透過性化し、その後、PBSで洗浄した。細胞を、1時間、5% BSAと共にインキュベートして、非特異的相互作用をブロックし、次いで、Fhit抗血清(Zymed,S.San Francisco,CA)と共に1.6μg/mlの作業濃度で終夜インキュベートし、PBSで洗浄し、Alexa Fluor 488ロバ抗ウサギIgG(Molecular Probes)と共にインキュベートした。スライドをDAPI(Vector,Burlingane,CA)を用いた蛍光のために封入剤に封入し、可視化した。Fhitの免疫電子顕微鏡法局在性に関して、MOI5でAdHis6またはAdFHITに感染させたA549細胞を、PBS中の4%パラホルムアルデヒド(pH7.2)で30分間4℃で固定し、PBSで3回洗浄し、PBS中の0.05%水素化ホウ素ナトリウムでの30分のインキュベーションを用いて、残存する遊離アルデヒド基を還元した。PBS洗浄後、試料を50mM PBS中のグリセリンで30分間ブロックし、PBSで2回洗浄し、25および50%エタノールでそれぞれ15分間脱水し、その後、70%エタノールに3回換えてそれぞれ15分間行った。次いで、試料を4℃で、2:1の70%エタノール+LR White樹脂、ハードグレード(Electron Microscopy Sciences,Hatfield,PA)で1時間、1:2の70%エタノール+LR Whiteで1時間、100% LR Whiteで1時間、および100% LRWで終夜浸透させた。翌日、100% LR Whiteを2回換えて、細胞を、58℃で20〜24時間、ゼラチンカプセル内で重合した。900nmの薄片を、Reichert UCT Ultramicrotomeおよびダイアモンドナイフを使用して切除し、ニッケル格子に配置した。格子は、数滴のPBSに5分間、PBS中の5%ヤギ血清に室温(RT)で1時間、0.1% BSAおよび0.05% Tween−20(BSA/Tw)を含有するPBS、またはBSA/Tw単独に希釈された、20mg/mlのペンタ−Hisマウスモノクローナル抗体(Qiagen,Valencia,CA)に加湿チャンバにおいて4℃で終夜、薄片側を下にして浮かせた。翌日、格子をPBSを使用してそれぞれ5分間、6回洗浄し、次いで、室温で2時間、BSA/Twに1:10に希釈した10nmコロイド金結合体であるヤギ抗マウス(Ted Pella,Redding,CA)と共にインキュベートした。格子をPBSでそれぞれ5分間、6回洗浄し、DI H2Oですすぎ、2.5%酢酸ウラニル水溶液で3分間後染色した。画像を、US1000 Gatan 2Kデジタルカメラを具備するTecnai 12電子顕微鏡で収集した。
【0140】
試料消化およびLC−MS/MS分析−Ni−NTAビーズで単離されたタンパク質を、低温アセトンで沈殿させ、0.1M Tris−HClでpH8に緩衝された6M尿素に再懸濁した。タンパク質還元およびアルキル化は、それぞれ、DTT(最終濃度10mM、37℃で1時間インキュベート)、およびヨードアセトアミド(最終濃度25mM、37℃で1時間インキュベート)の添加によって達成した。過剰なヨードアセトアミドをDTT(追加で5mM)で中和したあと、尿素濃度を、1mM CaClによる希釈によって1.5Mまで低下させた。終夜の消化は、50ngのTPCKで処理したトリプシン(Sigma)を使用して実行された。消化溶液の全容量は、100μlであった。
【0141】
クロマトグラフィーは、Dionex(Sunnyvale,CA)のUltimateナノLCシステム上で行った。消化混合物(30μl)を直接、Pepmap C18RPカートリッジ(内径0.3mm ID×長さ5mm)に注入し、RPトラップを75μm×150mm Pepmap C18ナノLCカラムへ使用状態に切り替える前に、10分間、97.9:0.1:2(v/v/v)のH 20/トリフルオロ酢酸(TFA)/アセトニトリルで洗浄した。ペプチドの勾配溶離は、45分の5% Bから50% Bまでの線形勾配を使用して、300nl/分で達成された。移動相Aは、H2O/アセト二トリル/ギ酸(FA)/TFA 97.9:2:0.08:0.02(v/v/v/v)であり、移動相Bは、H2O/アセト二トリル/FA/TFA 4.9:95:0.08:0.02(v/v/v/v)であった。
【0142】
MS検出は、ナノエレクトロスプレー電位1800V、カーテンガス15単位、CADガス3単位で、陽イオンモードで動作するApplied Biosystems(Framingham,MA)QSTAR XLハイブリッドLC−MS/MS上で行った。情報依存取得(IDA)は、400から1200m/zのフルTOF−MSスキャンを2秒継続した後、MS/MS分析に関して2つの最も豊富なピークを選択することにより行った。両方のMS/MS分析は、強化モード(2秒/スキャン)で行った。
【0143】
LC−MS/MSデータ分析−MS/MSスペクトルは、Mascot検索エンジン(www.matrixscience.com)(2006年6月にアクセス)でSwiss Protデータベースに問い合わせることによって、検索した。以下の検索パラメータを使用した。MS許容範囲:50ppm、MS/MS許容範囲:1Da、酸化メチオニン(可変修飾)、カルバミドメチル化システイン(固定修飾)、酵素:トリプシン、最大切断部位:1。
【0144】
それぞれ、Ad FHIT−His6に感染させたA549および対照の双方から得られたタンパク質のリストを比較し、A549−Ad FHIT−His6のみに存在するタンパク質を、さらなる検証のために保管した。第1の検証手順として、LC−MS/MSの生データを、選択イオンクロマトグラム(SIC)表示モードを使用して調べた。SIC比較により、Ad FHIT−His6試料において、検査中の6つの候補タンパク質に属すると同定された、対象となるペプチドの排他的存在が評価され得るであろう。かかる検証ステップは、6つの候補タンパク質の特異的捕獲のむしろ強力な証拠をすでに提供している。また、これらの所見は、生化学的および機能的検定によって、さらに確認された。
【0145】
特許法の規定に従い、本発明の原理および実施例を、その好ましい実施形態において説明し、示した。しかしながら、本発明を、その精神または範囲から逸脱することなく、具体的に説明し、示したものとは別様に実践し得ることを理解されたい。
【0146】
参考文献
【0147】
上記で説明した参考文献および以下の参考文献は、本明細書において記載されるものに対して補足的な、例示的な手順および他の詳細を提供する限りにおいて、参照することにより本明細書に明確に組み込まれる。
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
FHIT−His6 cDNAを保有するアデノウイルスを含む、Fhit−His6を単離することができるアデノウイルス。
【請求項2】
外来的に過剰発現したFhit−His6を単離する方法であって、FHIT−His6 cDNAを保有するアデノウイルスを使用するステップを含み、前記Fhit−His6は、Hisタグを通じで単離される、方法。
【請求項3】
ヒスチジン−6エピトープタグをコードする配列でその3’を修飾した、脆弱性ヒスチジン三連構造(Fhit)FHIT cDNAを保有する、組み換えアデノウイルス(AdFHIT−His6)。
【請求項4】
少なくとも1つの細胞におけるアポトーシスプロセスを媒介するための方法であって、前記細胞における前記アポトーシスプロセスを媒介するのに十分な量の脆弱性ヒスチジン三連構造(Fhit)遺伝子産物に、前記細胞を曝露するステップを含む、方法。
【請求項5】
細胞におけるアポトーシスプロセスを誘導するための方法であって、前記細胞における活性酸素種(ROS)の生成を生じるのに十分な量の脆弱性ヒスチジン三連構造(Fhit)遺伝子産物に、前記細胞を曝露するステップを含む、方法。
【請求項6】
少なくとも1つの細胞におけるアポトーシスプロセスを媒介するための方法であって、脆弱性ヒスチジン三連構造(Fhit)が、前記細胞内のミトコンドリアに入り、前記細胞内のFdxrタンパク質と相互作用し、ROSの生成に関連するFdxrタンパク質レベルを増加させるのを可能にするのに十分な量の脆弱性ヒスチジン三連構造(Fhit)遺伝子産物に、前記細胞を曝露させて、前記細胞における前記アポトーシスプロセスに変化を生じさせるステップを含む、方法。
【請求項7】
野生型FDXR(フェレドキシン還元酵素)cDNAを調製するための方法であって、プライマー配列:5’−CTgTTCCCAgCCATggCTTCgCgCTg−3’(順方向)[配列番号28]、および5’−TCAgTggCCCAggAggCgCAgCATC−3’[配列番号29]でPCR増幅するステップと、前記増幅産物pcDNA3.1/V5−HisTOPO TAベクターをサブクローン化するステップと、を含む、方法。
【請求項8】
V5タグ付加FDXR(フェレドキシン還元酵素)cDNAを調製するための方法であって、プライマー配列:順方向:5’−CTgTTCCCAgCCATggCTTCgCgCTg−3’[配列番号30]、逆方向:5’−gTggCCCAggAggCgCAgCATC−3’[配列番号31]でPCR増幅するステップと、前記増幅産物pcDNA3.1/V5−HisTOPO TAベクターをサブクローン化するステップと、を含む、方法。
【請求項9】
組み換えアデノウイルスを生成するための方法であって、前記野生型FHIT cDNAを保有する組み換えアデノウイルス(AdFHIT)を調製するステップと、以下のオリゴヌクレオチド:5’−ACgTggATCCCTgTgAggACATgTCgTTCAgATTTggC−3’(順方向)[配列番号26]、および5’−TTgTggATCCTTATCAgTgATggTgATggTgATgCgATCCTCTCTgAAAgTAgACCCgCAg−3’[配列番号27]を用いるPCRを使用して、タグ付加FHIT cDNAを生成するステップと、を含む、方法。
【請求項10】
癌細胞におけるアポトーシスを誘発するための方法であって、前記癌細胞内のFhitタンパク質の発現を回復するステップを含む、方法。
【請求項11】
対象が、癌関連疾患を有するか、またはそれを発症する危険性があるかどうかを診断する方法であって、前記対象からの試験試料中の少なくとも脆弱性ヒスチジン三連構造(Fhit)遺伝子のレベルを測定するステップを含み、対照試料中の対応するFhit遺伝子産物のレベルと比べて、前記試験試料中の前記Fhit遺伝子産物のレベルにおける変化は、前記対象が、癌関連疾患を有するか、またはそれを発症する危険性があるかのいずれかを示す、方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つのFhit遺伝子産物の前記レベルは、ノーザンブロット分析を用いて測定される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記試験試料中の前記少なくとも1つのFhit遺伝子産物のレベルは、前記対照試料中の前記対応するFhit遺伝子産物のレベル未満である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記試験試料中の前記少なくとも1つのFhit遺伝子産物のレベルは、前記対照試料中の前記対応するFhit遺伝子産物のレベルより高い、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記Fhitのレベルのうちの少なくとも1つは、所定の基準レベルを超える、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記Fhitのレベルのうちの少なくとも1つは、所定の基準レベルより低い、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
対象において、1つ以上の予後マーカーに関連する癌を診断する方法であって、前記対象からの試料中の少なくとも1つのFhit遺伝子産物のレベルを測定するステップを含み、対照試料中の対応するFhit遺伝子産物のレベルと比べて、前記試験試料中の前記少なくとも1つのFhit遺伝子産物のレベルにおける変化は、前記対象が、1つ以上の予後マーカーと関連する癌を有することを示す、方法。
【請求項18】
対象が、癌関連疾患を有するか、またはそれを発症する危険性があるかどうかを診断する方法であって、
(1)前記対象から得られた試験試料からのRNAを逆転写して、1組の標的オリゴデオキシヌクレオチドを提供するステップと、
(2)前記標的オリゴデオキシヌクレオチドを、Fhitに特異的なプローブオリゴヌクレオチドを含むマイクロアレイにハイブリダイズして、前記試験試料についてのハイブリダイゼーションプロファイルを提供するステップと、
(3)前記試験試料のハイブリダイゼーションプロファイルを、対照試料から生成されたハイブリダイゼーションプロファイルと比較するステップと、
を含み、少なくとも1つのFhit遺伝子のシグナルにおける変化は、前記対象が、前記疾患を有するか、またはそれを発症する危険性があるかのいずれかであることを示す、方法。
【請求項19】
少なくとも1つのFhit遺伝子の前記シグナルは、前記対照試料から生成されたシグナルに対して、下方制御される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも1つのFhit遺伝子の前記シグナルは、前記対照試料から生成されたシグナルに対して、上方制御される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
対象が、対象における1つ以上の予後不良マーカーに関連する癌を有するか、またはそれを発症する危険性があるかどうかを診断する方法であって、
(1)前記対象から得られた試験試料からのRNAを逆転写して、1組の標的オリゴデオキシヌクレオチドを提供するステップと、
(2)前記標的オリゴデオキシヌクレオチドを、Fhitに特異的なプローブオリゴヌクレオチドを含むマイクロアレイにハイブリダイズして、前記試験試料についてのハイブリダイゼーションプロファイルを提供するステップと、
(3)前記試験試料のハイブリダイゼーションプロファイルを、対照試料から生成されたハイブリダイゼーションプロファイルと比較するステップと、
を含み、前記シグナルにおける変化は、前記疾患を有するか、またはそれを発症する危険性があるかのいずれかであることを示す、方法。
【請求項22】
前記マイクロアレイは、少なくとも1つのFhit遺伝子を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
癌関連疾患を有する対象において該疾患を治療する方法であって、少なくとも1つのFhit遺伝子が、対照細胞に対して、前記対象の前記癌細胞内で下方制御または上方制御され、前記方法は、
(1)前記少なくとも1つのFhit遺伝子が前記癌細胞内で下方制御される時には、前記対象における癌細胞の増殖が阻害されるように、有効量の少なくとも1つの単離Fhit遺伝子産物を前記対象に投与するステップ、または、
(2)前記少なくとも1つのFhit遺伝子が前記癌細胞内で上方制御される時には、前記対象における癌細胞の増殖が阻害されるように、前記少なくとも1つのFhit遺伝子の発現を阻害するための、有効量の少なくとも1つの化合物を前記対象に投与するステップ、を含む、方法。
【請求項24】
対象における癌関連疾患を治療する方法であって、前記対象における癌細胞の増殖が阻害されるように、
(1)前記疾患を罹患する前記対象からの細胞の試料中の少なくとも1つのFhit遺伝子産物の量を、対照試料に対して決定するステップと、
(2)
i)前記癌細胞内で発現される前記Fhit遺伝子産物の量が、対照細胞内で発現される前記Fhit遺伝子産物の量未満である場合、有効量の少なくとも1つの単離Fhit遺伝子産物を前記対象に投与するステップ、または、
ii)前記癌細胞内で発現される前記Fhit遺伝子産物の量が、対照細胞内で発現される前記Fhit遺伝子産物の量を超える場合、前記少なくとも1つのFhit遺伝子産物の発現を阻害するための、有効量の少なくとも1つの化合物を前記対象に投与するステップ、によって、
前記試料細胞内で発現されるFhit遺伝子産物の量を変化させるステップと、を含む、方法。
【請求項25】
癌関連疾患を治療するための医薬組成物であって、少なくとも1つの単離Fhit遺伝子産物と、医薬的に許容される担体と、を含む、医薬組成物。
【請求項26】
前記少なくとも1つの単離Fhit遺伝子産物は、適切な対照細胞に対して、試料細胞内で上方制御または下方制御される、Fhit遺伝子産物に相当する、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項27】
癌関連疾患を治療するための医薬組成物であって、少なくとも1つのFhit発現阻害化合物と、医薬的に許容される担体と、を含む、医薬組成物。
【請求項28】
前記少なくとも1つのFhit発現阻害化合物は、適切な対照細胞に対して試料細胞内で上方制御されるFhit遺伝子産物に対して特異的である、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項29】
抗癌剤を同定する方法であって、細胞に試験薬剤を提供するステップと、癌細胞中の発現レベルの低下に関連する少なくとも1つのFhit遺伝子産物のレベルを測定するステップと、を含み、適切な対照細胞に対して、前記細胞中の前記Fhit遺伝子産物のレベルの上昇は、前記試験薬剤が抗癌剤であることを示す、方法。
【請求項30】
抗癌剤を同定する方法であって、細胞に試験薬剤を提供するステップと、癌細胞中の発現レベルの上昇に関連する少なくとも1つのFhit遺伝子産物のレベルを測定するステップと、を含み、適切な対照細胞に対して、前記細胞中の前記Fhit遺伝子産物のレベルの低下は、試験薬剤が抗癌剤であることを示す、方法。
【請求項31】
Fhit発現と疾病または疾患との間の相関を同定するための方法であって、正常試料と比較して、前記疾病または疾患の典型的な試料内で異なって発現するFhitを同定するステップを含む、方法。
【請求項32】
同定するステップは、a)前記試料中のFhitを標識するステップと、b)前記標識されたFhitをFhitアレイにハイブリダイズするステップと、を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記試料中の前記Fhitは、標識前または標識後に単離される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記試料は、生体試料である、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記生体試料は、患者からのものである、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
前記Fhitのプロファイルは、a)前記試料中のFhitを標識するステップと、b)前記FhitをFhitアレイにハイブリダイズするステップと、c)前記アレイへのFhitのハイブリダイゼーションを判定するステップと、を含むプロセスによって生成され、Fhitプロファイルが生成される、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
前記Fhitアレイは、加工されたFhit配列全体を含むFhitコード配列を有する、Fhitプローブを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記Fhitコード配列は、加工されたFhit配列の上流および/または下流に、少なくとも2〜5つのヌクレオチドのコード配列も含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記Fhitコード配列は、前記加工されたFhit配列の上流および下流に4つのヌクレオチドのコード配列を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記FhitNAアレイは、c)前記Fhitコード配列に隣接する少なくとも第1のリンカー配列をさらに含む、Fhitプローブを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項41】
前記アポトーシスプロセスを媒介する方法であって、フェレドキシン還元酵素三連構造(Fhit)を使用して、活性酸素種(ROS)生成におけるフェレドキシン還元酵素(Fdxr)の関与を介して、前記アポトーシスプロセスを媒介するステップを含む、方法。
【請求項42】
本明細書に記載されるFhit相互作用因子の同定方法。
【請求項43】
負の予後因子としてのFhit損失の使用。
【請求項44】
前腫瘍性疾患または腫瘍性疾患におけるFhit状態の評価に際する、負の予後因子としてのFhit損失の使用。
【請求項45】
抗酸化剤治療に対する反応を予測する予測因子としての、Fhit損失の使用。
【請求項46】
Hspシャペロンを標的とする組成物であって、それによって、Fhitがミトコンドリアに入り、そのアポトーシス経路を開始することができる、組成物。
【請求項47】
初期Fhit損失に関連する疾患に効力を有する、組成物の使用。
【請求項48】
初期Fhit損失に関連する前腫瘍性疾患に効力を有する、組成物の使用。
【請求項49】
初期Fhit損失に関連する腫瘍性または他の疾患に効力を有する、組成物の使用。

【図2−1】
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【図5−1】
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【図7】
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【図8−6】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【図9F】
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【図10】
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【図1−1】
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【図1−2】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図4−3】
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【図4−4】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図5−4】
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【図5−5】
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【図5−6】
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【図5−7】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図6−3】
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【図6−4】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図8−3】
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【図8−4】
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【図8−5】
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【公表番号】特表2011−504093(P2011−504093A)
【公表日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531311(P2010−531311)
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【国際出願番号】PCT/US2008/081294
【国際公開番号】WO2009/055773
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(593172050)ジ・オハイオ・ステイト・ユニバーシティ・リサーチ・ファウンデイション (33)
【氏名又は名称原語表記】THE OHIO STATE UNIVERSITY RESEARCH FOUNDATION
【Fターム(参考)】