説明

脈測定装置

【課題】脈拍に関する情報の表示に時間をかけることなく、脈に関する正確な情報を記録可能にする。
【解決手段】CPU102は、フォトダイオード108Bで得た脈波のレベルが閾値を超えてから脈波のレベルの最初の変曲点を見つけると、脈拍を検出したことを報知する。また、CPU102は、フォトダイオード108Bで得た脈波のレベルが閾値を超えてから一定時間内に得た脈波のピークレベルを検出する。CPU102は、ピークレベルを検出すると、検出したピークレベルが得られた時刻とピークレベルとの組を記憶部105に記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生体の脈に関する情報を得る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
人体の脈波のピーク間隔を検出する方法として、例えば、特許文献1に開示された脈波データ解析方法がある。この脈波データ解析方法は、脈波データからボトム値およびピーク値を時間軸に沿って順次検出し、隣接するボトム値とピーク値との差分である振幅値を時間軸に沿って求める。そして、求めた振幅値を時間軸の前後で比較し、振幅値の比が所定値よりも大きい場合には、小さい方の振幅値に係るボトム値とピーク値をノイズと見なす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−125366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記脈波データ解析方法においては、脈波データにおけるノイズを確実に除去するために、脈波データについてノイズの除去処理を複数回行っている。このため、上記脈波データ解析方法では、ノイズが除去されたデータを得るまでに時間がかかり、測定により得られた情報を即時表示することが難しい。これに対し、ノイズの除去処理を行う回数を少なくすれば情報を得てから表示までの時間を短くすることができるが、データを記録する場合にはノイズの成分が含まれたデータを記録することになり、正確な情報を記録できなくなる。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、脈拍に関する情報の表示に時間をかけることなく、脈に関する正確な情報を記録することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る脈測定装置は、生体に光を照射する発光素子と、前記発光素子から照射されて前記生体で反射された光を受光し、該受光した光に対応した信号を出力する受光素子と、前記受光素子から出力された信号のレベルが閾値を超えたことを検出する第1検出手段と、前記受光素子から出力された信号のレベルが前記閾値を超えたことを前記第1検出手段が検出すると、脈拍を検知したことを報知する報知手段と、前記受光素子から出力された信号のレベルが前記閾値を超えてから一定期間内に出力された前記信号のピークレベルを検出する第2検出手段と、前記第2検出手段により検出されたピークレベルと、前記ピークレベルの得られた時刻とを記憶する記憶手段とを有することを特徴とする。
本発明によれば、受光素子から得られる信号は脈波に対応し、脈波のレベルが閾値を超えると脈拍を検知したことがすぐに報知される。また、一定期間内に得た信号から脈波についての情報を得て記憶するため、脈に関して正確な情報を記憶できる。
【0007】
本発明においては、前記記憶手段に記憶された複数の時刻の時間間隔を特定し、脈拍を検知したことを該特定した時間間隔で報知する第2の報知手段と、前記報知手段による報知と、前記第2の報知手段による報知とを切り替える切り替え手段とを有する構成であってもよい。
この構成によれば、脈拍に関する情報をすぐに表示する場合と、脈拍に関する情報を正確に情報を表示する場合とを切り替えることができる。
【0008】
また、本発明においては、前記第1検出手段は、前記受光素子から出力された信号のレベルが閾値を超えてから得た信号において該信号のレベルの最初の変曲点を検出し、前記報知手段は、前記第1検出手段が前記変曲点を検出すると、脈拍を検知したことを報知する構成であってもよい。
この構成によれば、脈拍を検知したことを報知するタイミングを、脈波のピークが発生したタイミングに近づけることができる。
【0009】
また、本発明においては、前記受光素子から出力された信号のレベルの最大値と最小値とを検出し、検出した該最大値と最小値とを用いて前記閾値を算出する閾値算出手段を有する構成であってもよい。
この構成によれば、信号のレベルが変動しても、変動したレベルに対応した閾値を設定し、脈拍を検知したことを報知するタイミングを、脈波のピークが発生したタイミングに近づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る脈測定装置1の外観図。
【図2】脈測定装置1のハードウェア構成を示したブロック図。
【図3】第1ステートマシンの状態遷移図。
【図4】第2ステートマシンの状態遷移図。
【図5】アナログ信号の波形と第1、第2ステートマシンの状態遷移を示した図。
【図6】第1ステートマシンの処理の流れを示したフローチャート。
【図7】第2ステートマシンの処理の流れを示したフローチャート。
【図8】本発明の変形例に係る第1ステートマシンの状態遷移図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施形態]
(実施形態の構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る脈測定装置1の外観図である。脈測定装置1は、人体10の脈波や脈拍を測定する装置である。脈測定装置1は、脈測定装置1を操作するための操作部として機能する複数のボタン51Aと51Bを有している。また、脈測定装置1は、脈に関する情報を表示する表示部107を有している。脈測定装置1は、腕時計と同様にベルト2によって人体10に固定され、測定した脈波や脈拍に関する情報を表示部107に表示する。
【0012】
図2は、脈測定装置1のハードウェア構成を示したブロック図である。図2に示したように、脈測定装置1の各部は、バス101に接続されており、このバス101を介して各部間で情報のやり取りを行う。
表示部107は、液晶ディスプレイ装置を備えている。表示部107は、脈波や脈拍に関する情報、脈測定装置1を操作するためのメニュー画面などを表示する。
通信部110は、パーソナルコンピューターなどのコンピュータ装置と通信を行う通信インターフェースとして機能するブロックである。通信部110には、通信ケーブルが接続され、この通信ケーブルを介して他のコンピュータ装置と通信を行う。なお、通信部110が通信を行う方法は、有線による通信に限定されるものではない。通信部110は、無線通信の機能を備え、無線通信により他のコンピュータ装置と通信を行ってもよい。
記憶部105は、不揮発性メモリを備えており、脈波や脈拍に関するデータを記憶する。
操作部106は、脈測定装置1を操作するためのボタン51A,51Bを備えている。脈測定装置1においては、各ボタンの操作に応じて各部の制御が行われる。
【0013】
測定部108は、人体10の脈波を測定するブロックである。測定部108は、人体10に光を照射する発光素子として発光ダイオード108Aを有している。発光ダイオード108Aの消灯と点灯は、CPU(Central Processing Unit)102により制御される。発光ダイオード108Aから照射された光は、人体10の血管内の血液で反射する。
また、測定部108は、光を電気信号に変換する受光素子としてフォトダイオード108Bを備えている。フォトダイオード108Bは、血管内の血液で反射した光を受光し、受光した光の光量に対応して電圧値が変化するアナログ信号を出力する。なお、フォトダイオード108Bで受光される光の光量は、人体10の脈波に応じて変化する。このため、フォトダイオード108Bから出力されるアナログ信号の波形は、脈波の波形を表すこととなり、アナログ信号の信号レベル(電圧値)は脈波のレベルを表すこととなる。
また、測定部108は、アナログ信号をデジタル信号に変換するコンバーター108Cを有している。コンバーター108Cは、フォトダイオード108Bから出力されるアナログ信号を受け取る。コンバーター108Cは、受け取ったアナログ信号を決められたサンプリング周期でサンプリングしてアナログ信号の電圧値をデジタルデータに変換する。
アナログ信号の電圧値は脈波のレベルを表すため、変換後のデジタルデータは、ある時点における脈波のレベルを表すこととなる。コンバーター108Cは、変換により得られたデジタルデータを出力する。コンバーター108Cから出力されたデジタルデータは、記憶部105に記憶される。
【0014】
ROM(Read Only Memory)103は、CPU102により実行されるプログラムを記憶している。CPU102は、図示せぬ電源から電力が供給されると、ROM103に記憶されているプログラムを読み出し、RAM(Random Access Memory)104を作業エリアにしてプログラムを実行する。CPU102がプログラムを実行すると、CPU102により脈測定装置1の各部が制御され、脈波を測定する機能、一拍分の脈波の最大値を検出する機能、脈拍を検知したことを報知する機能などが実現する。また、CPU102がプログラムを実行すると、時刻を計る機能が実現する。
【0015】
(実施形態の動作)
次に、脈測定装置1の動作について説明する。まず、図示せぬ電源から電力が脈測定装置1の各部へ供給されると、CPU102においては、ROM103に記憶されているプログラムが実行される。CPU102がプログラムの実行を開始した後、操作部106のボタンにおいて測定開始を指示する操作が行われると、発光ダイオード108Aが点灯されて人体10の皮膚へ光が照射される。発光ダイオード108Aから照射されて血液で反射された光は、フォトダイオード108Bに到達する。血液で反射された光がフォトダイオード108Bに到達すると、フォトダイオード108Bは、到達した光に応じたアナログ信号をコンバーター108Cに出力する。コンバーター108Cは、フォトダイオード108Bから供給されたアナログ信号の電圧値をデジタルデータに変換し、変換により得られたデジタルデータを出力する。コンバーター108Cから出力されたデジタルデータは、記憶部105に記憶される。
また、脈測定装置1においては、CPU102がプログラムを実行することにより、デジタルデータが記憶部105に記憶されるのと並行して、第1のステートマシン(第1ステートマシン)と、第1ステートマシンとは異なる第2のステートマシン(第2ステートマシン)とが実現される。
【0016】
図3は、第1ステートマシンの状態遷移図である。また、図4は、第2ステートマシンの状態遷移図である。また、図5は、フォトダイオード108Bから出力されたアナログ信号の波形(即ち脈波の波形)を例示した図である。なお、図5においては、各ステートマシンの状態の変化も示している。
各ステートマシンは、とりうる状態として「検出中」、「検出後」、「待機中」という3つの状態がある。各ステートマシンは、測定開始の操作が行われてから一定時間が経過した後(図6:ステップSA1;YES、図7:ステップSB1;YES、)、まず状態が「検出後」にされる(ステップSA2、ステップSB2)。各ステートマシンは、状態が「検出後」である場合、記憶部105に記憶されるデジタルデータを取得し(ステップSA3、ステップSB3)、取得したデジタルデータを用いて脈波のレベルを監視する。そして各ステートマシンは、脈波のレベルが設定されている第1閾値未満となると(ステップSA4;YES、ステップSB4;YES)、状態が「待機中」に遷移する(ステップSA5、ステップSB5)。例えば、図5の時点T2でデジタルデータが表す脈波のレベルが第1閾値V11未満となると、各ステートマシンは、「待機中」に遷移する。
【0017】
CPU102は、ステートマシンの状態が「待機中」である場合、ステートマシンの状態を遷移させる際に使用される第1閾値と第2閾値を算出する処理を行う。例えばCPU102は、図5の時点T2で待機中になった場合、時間軸上で時点T2から過去一定期間の間(図5中の時点T1から時点T2までの間)に記憶されたデジタルデータが示す脈波のレベルを使用して第1閾値と第2閾値を算出する。なお、この一定期間は、少なくとも一拍分の脈波の開始から終了までの時間以上である。
【0018】
CPU102は、時点T1から時点T2までの間に記憶されたデジタルデータが示す脈波のレベル同士を比較し、最大値をとる脈波のレベルの値をピークレベルとする。また、時点T1から時点T2までの間に記憶されたデジタルデータが示す脈波のレベル同士を比較し、最小値をとる脈波のレベルの値をボトムレベルとする。そして、第1閾値を以下の(1)の式で算出し、第2閾値を以下の(2)の式で算出する。
第1閾値=ボトムレベル+(ピークレベル−ボトムレベル)*第1定数・・・(1)
第2閾値=ボトムレベル+(ピークレベル−ボトムレベル)*第2定数・・・(2)
つまり、ここでCPU102は、閾値算出手段として機能する。なお、第1定数と第2定数は0を超えて且つ1未満の数であり、第1定数と第2定数との関係は、第2定数>第1定数となっている。これにより、図5に示した第1閾値V12と第2閾値V22とが算出される。
【0019】
第1ステートマシンと第2ステートマシンは、待機中にある場合には記憶部105に記憶されるデジタルデータを取得し(ステップSA6、ステップSB6)、取得したデジタルデータが示す脈波のレベルを監視する。そして、例えば図5の時点T3において、脈波のレベルが第2閾値V22を超えた値となると(ステップSA7;YES、ステップSB7;YES)、状態が「検出中」に遷移する(ステップSA8、ステップSB8)。つまり、ここで第1ステートマシンは、フォトダイオード108Bから出力された信号のレベルが閾値を超えたことを検出する検出手段として機能している。
第1ステートマシンは、状態が「検出中」に遷移すると、脈波のレベルの変曲点を検出する(ステップSA9)。具体的には、第1ステートマシンは、「検出中」になった後で記憶部105に記憶されたデジタルデータを解析する。第1ステートマシンは、新たに記憶されたデジタルデータと、その一つ前に記憶されたデジタルデータとを比較する。第1ステートマシンは、新たに記憶されたデジタルデータが示す脈波のレベルが一つ前のデジタルデータが示す脈波のレベルより小さい場合、脈波において山となっている部分の変曲点、即ち脈波のレベルのピークを見つけたものと判断する。
【0020】
第1ステートマシンは、脈波の山部分の変曲点を検知したことにより、一拍分の脈拍を検知したと判断し、脈拍を検知したことを表すマーク(例えばハート形のマーク)を表示部107に一定時間の間表示させる。ここで、第1ステートマシンと表示部107は、脈拍を検出したことを報知する報知手段として機能する。これにより、脈拍が検知されたことが脈測定装置1の使用者に報知される(ステップSA10)。
例えば、図5に示した脈波においては、脈波のレベルP1と脈波のレベルP2とを比較すると、脈波のレベルP1より脈波のレベルP2のほうが小さい。ここで、第1ステートマシンは、一拍分の脈拍を検知したと判断し、脈拍を検知したことを表すマークを表示部107に表示させる。
【0021】
この後、第1ステートマシンは、操作部106において測定終了の操作が行われていない場合(ステップSA11;NO)、状態が「検出後」に遷移する(ステップSA2)。
第1ステートマシンは、状態が「検出後」である場合、記憶部105に記憶されるデジタルデータを取得し(ステップSA3)、取得したデジタルデータを用いて脈波のレベルを監視する。そして第1ステートマシンは、脈波のレベルが設定されている第1閾値未満となると(ステップSA4;YES)、状態が「待機中」に遷移する(ステップSA5)。
【0022】
一方、第2ステートマシンは、状態が「検出中」に遷移してから一定時間が経過するまでの間(例えば、図5のT3からT31までの間)、第1ステートマシンとは別の方法で脈波のレベルのピークを検出する(ステップSB9)。
具体的には、第2ステートマシンは、状態が「検出中」に遷移してから記憶部105に記憶されたデジタルデータが示す脈波のレベル同士を比較し、最大値をとる脈波のレベルをピークレベルとする。そして、第2ステートマシンは、このピークレベルと、ピークレベルに係るデータが記憶部105に記憶された時刻とを対応付けて記憶部105に記憶する(ステップSB10)。つまり、ここで第2ステートマシンは、脈波のレベルが閾値を超えてから一定期間内に得た脈波のレベルのピークレベルを検出する検出手段として機能し、記憶部105は、検出したピークレベルとピークレベルの得られた時刻とを記憶する記憶手段として機能する。
例えば、時点T32におけるデジタルデータの値が時点T3から時点T31の間に記憶されたデジタルデータが示す脈波のレベルの最大値となる場合、時点T32におけるデジタルデータの値と時点T32の時刻の組を記憶部105に記憶する。第2ステートマシンは、記憶されたデジタルデータ同士を比較してピークレベルを見つけるため、脈波のレベルP1をピークレベルとすることがなく、正確なピークレベルを得ることができる。
【0023】
また、第2ステートマシンは、状態が「検出中」に遷移してから一定時間が経過すると、操作部106において測定終了の操作が行われているか否か判断する(ステップSB11)、ここで、第2ステートマシンは、測定終了の操作が行われていない場合には(ステップSB11;NO)、状態が「検出後」に遷移する(ステップSB2)。
第2ステートマシンは、状態が「検出後」である場合、記憶部105に記憶されるデジタルデータを取得し(ステップSB3)、取得したデジタルデータを用いて脈波のレベルを監視する。そして第2ステートマシンは、脈波のレベルが設定されている第1閾値未満となると(ステップSB4;YES)、状態が「待機中」に遷移する(ステップSB5)。
【0024】
以降、各ステートマシンは、操作部106のボタンにおいて測定終了を指示する操作が行われるまで、上述した処理を繰り返し、「待機中」→「検出中」→「検出後」→「待機中」→・・・というように状態遷移を繰り返す。また、CPU102は、各ステートマシンの状態が「待機中」にある場合には、上述した第1閾値と第2閾値の算出処理を行う。CPU102は、操作部106のボタンにおいて心臓の拍動の測定終了を指示する操作が行われると、第1ステートマシンと第2ステートマシンの動作を停止させる。また、CPU102は、発光ダイオード108Aを消灯させる。
【0025】
測定が終了した後、通信部110が通信ケーブルでパーソナルコンピューターへ接続され、記憶部105に記憶されたデータをパーソナルコンピューター装置へ送信する操作が行われると、第2ステートマシンによって記憶部105に記憶されたデジタルデータと時刻との組がパーソナルコンピューター装置へ送信される。送信された各時刻は、一拍分の脈波のピークが表れた時刻であるため、各時刻の間隔をパーソナルコンピューターで解析することにより、正確なピーク間の時間間隔を得ることができる。
【0026】
以上説明したように、本実施形態においては、脈拍の表示については脈波の山部分の変曲点を検知すると脈拍を検知したことがすぐに報知されるため、脈拍を検知したことを脈測定装置1の使用者に即時報知することができる。
また、本実施形態においては、一拍分の脈波のピークについては、脈拍の表示とは別に一定期間の間に記録されたデジタルデータ同士を比較して記憶するため、正確なピークレベルを得ることができる。
【0027】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば、上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよい。なお、上述した実施形態及び以下の変形例は、各々を組み合わせてもよい。
【0028】
脈測定装置1においては、着脱可能な記録媒体を装着するインターフェースを設け、インターフェースに装着された記録媒体にコンバーター108Cから出力されるデジタルデータを記憶させるようにしてもよい。
【0029】
上述した実施形態においては、コンバーター108Cから出力されたデジタルデータをそのまま記憶部105に記憶させているが、脈測定装置1においては、デジタルデータの値の移動平均をとって得られた値を記憶部105に記憶するようにしてもよい。
【0030】
上述した実施形態では、第1ステートマシンは、とりうる状態として「検出中」、「検出後」、「待機中」という3つの状態があるが、図8に示したように、とりうる状態が「検出後」と「待機中」という2つの状態であってもよい。この場合、第1ステートマシンは、記憶部105に記憶されるデジタルデータの示す脈波のレベルを監視し、脈波のレベルが第1閾値を超えた値となると、状態が「検出後」に遷移する。また、第1ステートマシンは、脈波のレベルが第2閾値未満となると、状態が「待機中」に遷移する。なお、第1ステートマシンは、状態が検出後に遷移する際に、脈拍を検知したことを表すマークを表示部107に一定時間の間表示させる構成であってもよい。
【0031】
上述した実施形態においては、状態が「待機中」になった時点から過去に少なくとも一拍分の期間に記憶されたデジタルデータを使用して第1閾値と第2閾値を算出しているが、「待機中」になった時点から過去に数拍分の期間の間に記憶されたデジタルデータを使用して第1閾値と第2閾値を算出してもよい。
【0032】
マークの表示は、脈拍を検知していることをすぐに報知するために用いられているため、第1ステートマシンは、デジタルデータの値が第2閾値V22を超えて「検出中」に遷移する際に、脈拍を検知したことを表すマークを表示部107に一定時間の間表示させる構成であってもよい。
また、脈拍を検知したことを報知する際には、マークの表示と共に音を放音して脈拍を検知したことを報知してもよい。また、マークの表示に替えて音の放音で脈拍を検知したことを報知してもよい。
【0033】
第2ステートマシンにおいては、脈波のレベルが第2閾値を超えた時間帯を記憶部105に記憶するようにしてもよい。心電図と異なり、脈波ではピーク付近においてはレベルがなだらかに変化するため、多少のノイズが乗るだけでピークの発生時刻がずれてしまい、ピークの発生時刻がずれている脈波から不整脈と判断してしまう虞がある。一方、本変形例によれば、ピークの発生時点を記憶するのではなく時間帯を記憶するため、不整脈と誤判断する虞が少なくなる。
【0034】
上述した実施形態においては、第1ステートマシンによって脈拍を検知したことを表すマークが表示されるが、操作者が操作部106に行った操作に応じて、CPU102が、第1ステートマシンによって脈拍を検知したことを表すマークを表示するモードと、第2ステートマシンによって脈拍を検知したことを表すマークを表示するモードとを切り替えてもよい。
なお、第2ステートマシンによって脈拍を検知したことを表すマークを表示する場合、記憶部105にデジタルデータと組で記憶した時刻に基づいてマークを表示する。つまり、本変形例においては、第2ステートマシンと表示部107が報知手段として機能する。例えば、記憶された時刻が1秒毎である場合、マークの表示開始の間隔を1秒にしてマークの表示を行う。第2ステートマシンによってマークの表示を行えば、正確な脈波のレベルのピーク間隔を報知することができる。
【0035】
第1閾値と第2閾値とを算出する処理においては、第2ステートマシンにおいて検出した脈波のレベルのピークレベルを使用して第1閾値と第2閾値とを算出してもよい。
また、上述した実施形態においては、第1閾値と第2閾値は、コンバーター108Cから得たデジタル信号を基にして算出しているが、第1閾値と第2閾値は、予め定められた固定の値であってもよい。
また、上述した実施形態においては、脈測定装置1は、人体10の脈に関する情報を得ているが、人以外の動物(生体)に対して脈測定装置1を使用して動物の脈に関する情報を得てもよい。
【0036】
第2ステートマシンにおいては、脈波のレベルのピークレベルを求める際、T3の時点からT31までの間に記憶されたデジタルデータの値を使用するが、各デジタルデータに重み付けを行い、データの値と重みとを乗じて得られた値からピークレベルを得るようにしてもよい。具体的には、T3の時点からT31までの間に記憶されたデジタルデータについて、後に記憶されたデジタルデータほど重みの値を小さくする。例えば、T3の時点のデジタルデータについては重みを「1」、T3から10ms経過した時点のデジタルデータについては重みを「0.99」、T3から100ms経過した時点のデジタルデータについては重みを「0.9」というように、後に記憶されたデジタルデータほど重みの値を小さくする。
【0037】
上述した実施形態においては、脈測定装置1は、ピークレベルと、ピークレベルを得られた時刻とを記憶しているが、時刻に替えて先のピークレベルが表れた時刻から経過した時間を記憶するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1・・・脈測定装置、2・・・ベルト、10・・・人体、51A・・・ボタン、51B・・・ボタン、101・・・バス、102・・・CPU、103・・・ROM、104・・・RAM、105・・・記憶部、106・・・操作部、107・・・表示部、108・・・測定部、108A・・・発光ダイオード、108B・・・フォトダイオード、108C・・・コンバーター、V11・・・第1閾値、V12・・・第1閾値、V22・・・第2閾値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体に光を照射する発光素子と、
前記発光素子から照射されて前記生体で反射された光を受光し、該受光した光に対応した信号を出力する受光素子と、
前記受光素子から出力された信号のレベルが閾値を超えたことを検出する第1検出手段と、
前記受光素子から出力された信号のレベルが前記閾値を超えたことを前記第1検出手段が検出すると、脈拍を検知したことを報知する報知手段と、
前記受光素子から出力された信号のレベルが前記閾値を超えてから一定期間内に出力された前記信号のピークレベルを検出する第2検出手段と、
前記第2検出手段により検出されたピークレベルと、前記ピークレベルの得られた時刻とを記憶する記憶手段と
を有する脈測定装置。
【請求項2】
前記記憶手段に記憶された複数の時刻の時間間隔を特定し、脈拍を検知したことを該特定した時間間隔で報知する第2の報知手段と、
前記報知手段による報知と、前記第2の報知手段による報知とを切り替える切り替え手段と
を有することを特徴とする請求項1に記載の脈測定装置。
【請求項3】
前記第1検出手段は、前記受光素子から出力された信号のレベルが閾値を超えてから得た信号において該信号のレベルの最初の変曲点を検出し、
前記報知手段は、前記第1検出手段が前記変曲点を検出すると、脈拍を検知したことを報知すること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の脈測定装置。
【請求項4】
前記受光素子から出力された信号のレベルの最大値と最小値とを検出し、検出した該最大値と最小値とを用いて前記閾値を算出する閾値算出手段を有すること
を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の脈測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−98003(P2011−98003A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−253368(P2009−253368)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】