説明

脊椎矯正椅子

【課題】脊椎の牽引効果がより高く、子供から高齢者まで安全かつ安心して利用でき、操作もシンプルで、より使用しやすい脊椎矯正椅子を提供する。
【解決手段】脊椎矯正椅子は、背板3・座板2・脚1で構成される椅子において、背板が接合部分4を中心として背面方向に倒れる構造を持つことを特徴とする。また、前記の背板が駆動手段8を用いて背面方向に水平よりも下方に倒れる構造を有し、体を背板に固定する手段が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自分の体重を利用して脊椎を牽引することで、無理なく脊椎の歪みを矯正する、脊椎矯正椅子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
引力の作用により、脊椎の歪みを矯正し、健康増進を図る装置としては、特開平11−9630号の「血流促進逆吊装置」がある。
この装置は、身体支持ベッドにあおむけになって足首を固定し、コンピュータ制御等によりベッドを縦方向に回転させるものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述の「血流促進逆吊装置」は、仰臥位のまま身体支持ベッドが水平軸に対して−60°まで回転し、逆立ちに近い体勢になる。足が地に付いていない状態で頭を下にするのであるから、緊張してどうしても体に力が入り、脊椎の牽引効果が弱まる可能性が考えられる。
【0004】
また、同装置は、逆立ちに近い体勢になるにもかかわらず、体を固定するものは足首固定パッドのみであり、安全性に不安がある。使用者の中には、逆立ちに近い体勢になることに恐怖心を感じる人もいるのではないか。
【0005】
そこで本発明は、脊椎の牽引効果がより高く、子供から高齢者まで安全かつ安心して利用でき、操作もシンプルで、より使用しやすい脊椎矯正椅子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために次のような構成をとる。
▲1▼背板・座板・脚で構成される椅子において、背板が接合部分を中心として背面方向に倒れる構造を持つことを特徴とする脊椎矯正椅子。
▲2▼背板が背面方向に水平よりも下方に倒れることを特徴とする上記▲1▼に記載の脊椎矯正椅子。
▲3▼背板の駆動手段が設けられていることを特徴とする上記▲1▼又は▲2▼に記載の脊椎矯正椅子。
▲4▼体を背板に固定する手段が設けられていることを特徴とする上記▲3▼に記載の脊椎矯正椅子。
なお、駆動手段には電力、空気圧、ギア、バネ等を用いてもよい。
【発明の効果】
【0007】
ぎっくり腰や五十肩などの病気は脊椎の歪みから生じていると考えられる。脊椎の歪みは、体の中で最も重い頭を細い首で支えるという、人間の骨格の構造上のバランスの悪さが原因であると考えることができる。
【0008】
そこで本発明では、この頭の重さを逆に利用して脊椎を牽引することにより、無理なく脊椎の歪みを矯正することを試み、以下のような顕著な効果を得た。
【0009】
▲1▼肩の歪みを矯正する効果が得られ、五十肩や猫背が大幅に改善される。
【0010】
▲2▼腰の歪みを矯正する効果が得られ、ヘルニアやぎっくり腰がすみやかに改善される。
【0011】
▲3▼背骨のずれを矯正する効果があり、むちうち症が大幅に改善される。
【0012】
▲4▼首の歪みを矯正する効果があり、寝違えが改善される。
【0013】
▲5▼血中の血液の循環が促進されるため、肩こりが改善され、脳内に酸素が供給されることにより、頭がすっきりとする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施の形態の一例を別紙図面より説明する。
本発明の脊椎矯正椅子は、主として脚部1、座板2、背板3、接合部4、フットレスト5、操作ボタン6、シートベルト7、駆動装置8、ディスプレイ9とから構成されている([図1]、[図3]参照)。
【0015】
座板の下部に駆動装置8を設け、背板3の駆動手段とする。ここでは動力源として電力を用いたが、空気圧、ギア、バネ等を用いてもよい([図1]参照)。
【0016】
背板3は駆動手段を介して背面方向にゆっくりと倒れ、最大で水平軸に対し−60°まで倒れる([図1]、[図5]参照)。
【0017】
操作は操作ボタン6により行い、接合部付近からコードにより繋がっている([図3]参照)。操作ボタン6には、「前」「後」の2つのボタンがあり、それぞれ「前面に倒れる」「背面に倒れる」操作を行う。なお、各ボタンを押し続けることによって作動し、手を離すと停止する仕組みになっている。操作ボタン6にはディスプレイ9が装備されており、現在の角度を+90°から−60°の範囲で表示する。またディスプレイ9には背板3を倒した後の静止時間も表示される([図2]参照)。
【0018】
また、安全装置としてシートベルト7を装備し、椅子からの落下を防止する([図3]参照)。
【0019】
さらに、背板3には合成皮革などの摩擦の少ない素材を用い、背板3を背面に倒した際に摩擦による抵抗を少なくして、脊椎の牽引効果がより多く得られるよう工夫した。
また、より使用感を良くするため、座板2及び背板3にクッション性のある素材を用いるとなお良い。
【使用例】
【0020】
▲1▼座板2に深く腰掛け、背板3にしっかりともたれる。フットレスト5に足を載せ、シートベルト7を締める([図4]参照)。
▲2▼操作ボタン6の「後」ボタンを押し続け、好みの角度まで倒れたら手を離し、停止させる。両手を万歳のかたちにして背板3に沿わせるようにする([図5]参照)。
この体勢を2〜5分間保持する(頭に血流が集まるので、気分が悪くなった場合は中止する)。この時、首を左右にゆっくりと振るとより効果的である。
この間に、骨盤から頭、肩、腰などの各部が頭の重力によって牽引され、日常の体の歪みが徐々に矯正される。
▲3▼操作ボタン6の「前」ボタンを押し続け、もとの位置(水平軸に対して+90°)に戻す。
【0021】
次に、実際に脊椎矯正椅子を使用した例を幾つか挙げる。
例▲1▼四十肩で通院中の43才の女性に本発明の脊椎矯正椅子を使用し、背板を−60°まで倒して3分間静止する操作を1日1回、3日間繰り返した。その結果、四十肩の症状はほぼ快癒し、腕を上げることができるようになった。
【0022】
例▲2▼仕事でパソコンを長時間使用したために、首が回らなくなった26才の男性に本発明の脊椎矯正椅子を使用し、背板を−45°まで倒して2分間静止する操作を1回行ったところ、首が回るようになった。
【0023】
例▲3▼ぎっくり腰を患い、歩行にも支障をきたした56才の男性に本発明の脊椎矯正椅子を使用し、背板を−60°まで倒して5分間静止する操作を、2分間の休憩をはさんで2回行った。その結果、ぎっくり腰の症状が大幅に改善され、歩くことができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の脊椎矯正椅子の実施例を示す側面図である。
【図2】本発明の脊椎矯正椅子の操作ボタンの実施例を示す図である。
【図3】本発明の脊椎矯正椅子の実施例を示す斜視図である。
【図4】本発明の脊椎矯正椅子の使用例を示す側面図である。
【図5】本発明の脊椎矯正椅子の背板を倒した状態の使用例を示す側面図である。
【符号の説明】
1 脚部
2 座板
3 背板
4 接合部
5 フットレスト
6 操作ボタン
7 シートベルト
8 駆動装置
9 ディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
背板・座板・脚で構成される椅子において、背板が接合部分を中心として背面方向に倒れる構造を持つことを特徴とする脊椎矯正椅子。
【請求項2】
背板が背面方向に水平よりも下方に倒れることを特徴とする請求項1に記載の脊椎矯正椅子。
【請求項3】
背板の駆動手段が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の脊椎矯正椅子。
【請求項4】
体を背板に固定する手段が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の脊椎矯正椅子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−17505(P2010−17505A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−206347(P2008−206347)
【出願日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【出願人】(507080547)
【Fターム(参考)】