説明

脚立または梯子用補助具

【課題】例えば工具袋のように重量のある物品を掛止した場合でも、脚立または梯子が不安定になることのない脚立または梯子用補助具を提供する。
【解決手段】工具袋2を掛止可能な掛止部材18を取付部材12によって脚立1に取付け、掛止部材18に工具袋2を吊り下げておくことにより、作業者が脚立1から降りることなく工具袋2から工具を取出して使用することができるので、効率よく作業を行うことができる。この場合、補助具10は、取付部材12から脚立1の幅方向外側に向かって開脚する補助脚11を備えているので、工具袋2の荷重が一方の支柱1a側に偏って加わっても、脚立1が不安定になることがなく、脚立または梯子での作業を安全に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築工事やその他の作業現場等において使用される脚立または梯子用補助具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、建築現場等においては、各種作業に際し、脚立や梯子が多く用いられている。この場合、脚立や梯子に乗った作業者が各種の工具を使用する場合があるが、例えば工具を取り替える際には、脚立や梯子から降りて工具を取りに行かなければならず、作業者にとって脚立や梯子の乗り降りを頻繁に行わなければならないという煩わしさがあった。
【0003】
そこで、上端側に任意の物品を掛止可能な掛止具を脚立の支柱に取付け、工具類を入れた工具袋を掛止具によって脚立の上方位置に吊り下げることにより、作業者が脚立から降りることなく工具袋から各種の工具を取出して使用できるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−82177号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記掛止具によって工具袋を脚立の上方位置に吊り下げると、工具袋の荷重が脚立の幅方向一方の支柱に偏って加わるため、脚立が不安定になりやすいという問題点があった。
【0005】
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、例えば工具袋のように重量のある物品を掛止した場合でも、脚立または梯子が不安定になることのない脚立または梯子用補助具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は前記目的を達成するために、脚立または梯子の支柱に取付可能な取付部材と、下端側を取付部材によって支持され、上端側に任意の物品を掛止可能な掛止部材とを備えた脚立または梯子用補助具において、前記取付部材に上端を連結され、脚立または梯子の幅方向外側に向かって開脚する補助脚を備えている。
【0007】
これにより、例えば掛止部材に工具袋を吊り下げておくことにより、作業者が脚立または梯子から降りることなく工具袋から工具を取出して使用することが可能となる。その際、工具袋の荷重が脚立または梯子の一方の支柱側に偏って加わっても、脚立または梯子の幅方向外側に向かって開脚する補助脚によって脚立または梯子が支えられることから、脚立または梯子が不安定になることがない。
【発明の効果】
【0008】
本発明の脚立または梯子用補助具によれば、例えば掛止部材に工具袋を吊り下げておくことにより、作業者が脚立または梯子から降りることなく工具袋から工具を取出して使用することができるので、効率よく作業を行うことができる。その際、工具袋の荷重が脚立または梯子の一方の支柱側に偏って加わっても、脚立または梯子が不安定になることがないので、脚立または梯子での作業を安全に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1乃至図9は本発明の第1の実施形態を示すもので、図1は本発明の補助具を取付けた脚立の斜視図、図2は補助具の平面図、図3はその側面断面図、図4乃至図6はその取付工程を示す斜視図、図7は補助具を取付けた脚立の正面図、図8はその側面図、図9は補助脚を閉脚した状態を示す側面図である。
【0010】
同図に示す脚立1は、幅方向両側に配置した一対の支柱1aを上下複数段の足掛部材1bを介して梯子状に連結した支柱組体1cを一対備え、各支柱組体1cを互いに開閉自在に連結したものである。
【0011】
本実施形態の補助具10は、脚立1の幅方向外側に向かって開脚可能な補助脚11と、脚立1の任意の支柱1aに取付可能な取付部材12と、支柱1aに脚立1の前後方向から当接する第1の当接部材13と、第1の当接部材13を脚立1の前後方向に押圧する第1の押圧部材14と、支柱1aに脚立1の幅方向から当接する第2の当接部材15と、第2の当接部材15を脚立1の幅方向に押圧する第2の押圧部材16と、取付部材12が取付けられる支柱1aとは別の支柱組体1cの支柱1aに連結可能な回動規制手段としての連結部材17と、工具袋2を掛止可能な掛止部材18とから構成されている。
【0012】
補助脚11は支柱1aよりも短く形成され、取付部材12に開脚及び閉脚方向に回動自在に取付けられている。
【0013】
取付部材12は支柱1aに幅方向一方から係合可能な略コ字状の係合部12aを有し、係合部12aの前後方向両端には第2の当接部材15を係合するための一対の係合片12bがそれぞれ前後方向外側に向かって屈曲するように設けられている。取付部材12には補助脚11の上端側が回動自在に連結される連結部12cが設けられ、連結部12cは補助脚11の上端側を囲むように形成されている。連結部12cには補助脚11を回動自在に連結するボルト12dが設けられ、ボルト12dは連結部12cの内面に取付部材12の幅方向に対して斜めに溶接されたナット12eに螺合している。これにより、ボルト12dを中心に回動する補助脚11が脚立1の幅方向外側に向かって斜めに開脚するとともに、所定の開脚位置で連結部12cの内面に当接して回動を規制されるようになっている。また、ボルト12dにはコイル状の捩りバネからなるスプリング12fが取付けられ、スプリング12fによって補助脚11が開脚方向に付勢されている。
【0014】
第1の当接部材13は下端側を開放した略コ字状の部材からなり、取付部材12の前後方向一端側に脚立1の前後方向に移動自在に設けられている。第1の当接部材13の一端側には支柱1aの前後方向一方の面に当接する当接部13aが設けられ、当接部13aは支柱1aに面接触するように平面状に形成されている。
【0015】
第1の押圧部材14は、取付部材12の前後方向一端面に螺合するネジ部14aと、ネジ部14aの一端に設けられた回動操作部14bとからなり、ネジ部14aは第1の当接部材13の他端側を貫通し、第1の当接部材13の当接部13aの内側に当接するようになっている。即ち、回動操作部14bを回動してネジ部14aを当接部13a側に移動させることにより、第1の当接部材13がネジ部14aによって支柱1a側に押圧されるようになっている。
【0016】
第2の当接部材15は下端側を開放した略コ字状の部材からなり、取付部材12に着脱自在に係合する係合板15aに脚立1の幅方向に移動自在に設けられている。係合板15aは係合部12aの開放部分を閉鎖可能な平板状に形成され、その両端には各係合片12bを上下方向から挿通することにより各係合片12bに脚立1の幅方向に係止する係止部15bが設けられている。第2の当接部材15の一端側には支柱1aの一側面に当接する当接部15cが設けられ、当接部15cは支柱1aに面接触するように平面状に形成されている。
【0017】
第2の押圧部材16は、係合板15aに螺合するネジ部16aと、ネジ部16aの一端に設けられた回動操作部16bとからなり、ネジ部16aは係合板15aを貫通し、第2の当接部材15の当接部15cの内側に当接するようになっている。即ち、回動操作部16bを回動してネジ部16aを当接部15c側に移動させることにより、第2の当接部材15がネジ部16aによって支柱1a側に押圧されるようになっている。
【0018】
連結部材17は、一端が補助脚11に連結されたロープ状部材によって形成され、図示しない結合部材(例えば面ファスナ)により、その他端側を取付部材12が取付けられる支柱1aとは別の支柱組体1cの支柱1aに連結可能に形成されている。
【0019】
掛止部材18は上下方向に延びる棒状部材からなり、その上端側には横方向に屈曲した掛止部18aが設けられている。掛止部材18の下端側はパイプ状の支持部材18bによって支持され、支持部材18bは取付部材12の連結部12cに固定されている。支持部材18bには掛止部材18が長手方向に摺動自在に挿入され、掛止部材18は支持部材18bに取付けられた固定具18cによって支持部材18bに固定可能になっている。固定具18cは支持部材18bの側面に螺合するネジ部18dを有し、ネジ部18dを回動してその先端を支持部材18b内の掛止部材18に当接させることにより、掛止部材18の長手方向の移動を規制するようになっている。
【0020】
以上のように構成された補助具10を脚立1に取付ける場合には、図4に示すように第2の当接部材15を取外した取付部材12の係合部12a内に支柱1aを挿入し、図5に示すように第1の押圧部材14の回動操作部14bを回動して第1の当接部材13を支柱1a側に押圧する。これにより、第1の当接部材13が支柱組体1cの前後方向から支柱1aに圧接し、第1の当接部材13によって支柱1aが取付部材12との間に挟持される。次に、図5に示すように取付部材12に第2の当接部材15の係合板15aを係合し、図6に示すように第2の押圧部材16の回動操作部16bを回動して第2の当接部材15を支柱1a側に押圧する。これにより、第2の当接部材15が支柱組体1cの幅方向から支柱1aに圧接し、第2の当接部材15によって支柱1aが取付部材12との間に挟持される。
【0021】
前述のようにして脚立1の一方の支柱組体1cに補助具10を取付けることにより、脚立1の幅方向外側に向かって補助具10の補助脚11が開脚し、補助脚11によって脚立1の転倒が防止される。この場合、図7に示すように補助脚11は脚立1の幅方向に脚立設置面Aに対して所定角度θ(例えば75゜)なすように開脚するとともに、図8に示すように補助具10の連結部材17を取付部材12が取付けられる支柱1aとは別の支柱1aに連結することにより、所定の開脚位置にある補助脚11の閉脚方向への回動が規制される。また、作業場所が狭い場合など、補助脚11を前記所定角度θまで開くことができないときは、図7の一点鎖線で示すように取付部材12の位置を上方にずらすことにより、補助脚11の開脚幅Lを小さくすることができる。
【0022】
前記補助具10が取付けられた脚立1を使用する際、掛止部材18の掛止部18aに工具袋2の提げ手2aを掛止することにより、掛止部材18によって脚立1の上方位置に工具袋2を吊り下げておくことができる。その際、図7に示すように補助具10は取付部材12によって脚立1の幅方向一方の支柱1aに取付けられているため、工具袋2の荷重が一方の支柱1a側に偏って加わるが、補助具10の補助脚11は工具袋2の荷重が加わる支柱1aから脚立1の幅方向外側に向かって開脚しているので、脚立1が工具袋2の荷重によって幅方向に傾倒しようとしても、補助脚11によって支えられて転倒することはない。また、掛止部材18は、固定具18cによって上下方向任意の位置に固定することにより、工具袋2の高さ位置を調整することができる。
【0023】
また、脚立1を使用していないときは、図9に示すように脚立1を折りたたむとともに、補助脚11を取付部材12が取付けられた支柱1a側に閉脚し、連結部材17を支柱1aに巻き付けて補助脚11を支柱1aに固定することにより、補助脚11が閉脚状態で保持される。その際、掛止部材18の固定具18cを緩めて掛止部材18を下方に移動させることにより、掛止部材18を脚立1側に縮めておくことができる。
【0024】
このように、本実施形態の補助具10によれば、工具袋2を掛止可能な掛止部材18を取付部材12によって脚立1に取付け、掛止部材18に工具袋2を吊り下げておくことにより、作業者が脚立1から降りることなく工具袋2から工具を取出して使用することができるので、効率よく作業を行うことができる。この場合、補助具10は、取付部材12から脚立1の幅方向外側に向かって開脚する補助脚11を備えているので、工具袋2の荷重が一方の支柱1a側に偏って加わっても、脚立1が不安定になることがなく、脚立または梯子での作業を安全に行うことができる。
【0025】
また、掛止部材18を取付部材12の上下方向任意の位置に移動可能に設けたので、工具袋2の高さ位置を調整することができるとともに、掛止部材18を脚立1側に縮めておくことができるので、補助具10を取付けたまま脚立1を折りたたんで保管または運搬する場合でも、掛止部材18が嵩張ることがないという利点がある。
【0026】
更に、脚立1の支柱1aに第1の当接部材13を脚立1の前後方向から当接するとともに、第2の当接部材15を脚立1の幅方向から当接することにより、支柱1aを取付部材12との間に挟持するようにしたので、支柱1aの前後方向及び幅方向の寸法に拘わらず、補助具10を常に支柱1aに確実に取付けることができ、汎用性を向上させることができる。この場合、取付部材12を支柱1aの任意の高さ位置に取付けることができるので、補助具10を補助脚11が常に適正な高さ位置になるように取付けることができ、安全性の向上を図ることができる。更に、取付部材12の高さ位置を調整することにより、補助脚11の開脚幅Lを変えることができるので、例えば狭い場所で作業する場合には補助脚11の開脚幅Lを小さくすることができ、作業場所の制約を受けることなく確実に使用することができる。
【0027】
また、第1及び第2の当接部材13,15を支柱1aに面接触するように形成したので、支柱1aに対する第1及び第2の当接部材13,15の圧力を分散させることができ、圧力の集中による支柱1aの変形や損傷を確実に防止することができる。
【0028】
更に、補助脚11を所定の開脚位置から所定の閉脚位置まで回動可能に設けたので、脚立1を使用していないときに補助脚11を閉脚状態にすることにより、補助具10を取付けたまま脚立1を折りたたんで保管または運搬する場合でも、補助脚11が嵩張ることがないという利点がある。
【0029】
また、補助脚11をスプリング12fによって開脚方向に付勢するようにしたので、補助脚11をスプリング12fの付勢力によって開脚方向に回動させることができ、補助脚11の開脚を容易に行うことができる。
【0030】
更に、所定の開脚位置にある補助脚11の閉脚方向への回動を連結部材17によって規制するようにしたので、使用中に補助脚11が閉脚方向に不用意に回動することがなく、安全性をより高めることができる。
【0031】
この場合、連結部材17を一端が補助脚11に連結されたロープ状部材によって形成し、その他端側を取付部材12が取付けられる支柱1aとは別の支柱組体1cの支柱1aに連結可能に形成したので、簡単な構成により確実に補助脚11の回動を規制することができる。また、脚立1を使用していないときは、取付部材12が取付けられた支柱1aに連結部材17を巻き付けることにより、補助脚11を閉脚状態で保持することができるので、脚立1の保管または運搬時に極めて有利である。
【0032】
尚、前記実施形態では、連結部材17によって補助脚11と支柱1aとを連結することにより、補助脚11の閉脚を規制するようにしたものを示したが、例えば補助脚11の回動軸にラッチ構造等の回動規制機構を設けるなど、他の構成からなる閉脚規制手段を用いることも可能である。
【0033】
また、前記第1の実施形態の補助具10は、脚立1に取付けて使用する場合のみならず、梯子に取付けて使用することも可能である。
【0034】
図10乃至図13は本発明の第2の実施形態を示すもので、図10は補助具の平面図、図1本発明の補助具を取付けた梯子の斜視図、図11はその側面断面図、図12及び図13はその取付工程を示す斜視図である。尚、前記実施形態と同等の構成部分には同一の符号を付して示す。
【0035】
同図に示す脚立1の支柱1aは角筒状の部材からなり、その側面の前後方向両端側には上下方向に延びる突部1cが設けられている。
【0036】
本実施形態の補助具20は、梯子2の幅方向外側に向かって開脚可能な補助脚21と、任意の支柱1aに取付可能な取付部材22と、支柱1aに梯子2の幅方向から当接する当接部材23と、当接部材23を梯子2の幅方向に押圧する押圧部材24とを備え、補助脚21には各支柱1a同士を連結可能な開脚規制手段としての連結部材(前記実施形態の連結部材17と同様であるため図示省略)が設けられている。また、補助具20は、前記実施形態と同様の掛止部材18を備えている。
【0037】
補助脚21は支柱1aよりも短く形成され、取付部材22に開脚及び閉脚方向に回動自在に取付けられている。
【0038】
取付部材22は脚立1の支柱1aに前後方向一方から係合可能に形成され、その幅方向(脚立1の幅方向)一端側には押圧部材24を支持するための支持片22aが前後方向一方に屈曲するように設けられている。支持片22aにはナット22bが固定されており、ナット22bには押圧部材24が螺合するようになっている。取付部材22には支柱1aの一方の側面に係止する係止部22cが設けられ、係止部22cは支柱1aの突部2cに脚立1の前後方向に係止可能なL字状に形成されている。また、取付部材22には補助脚21の上端側が回動自在に連結される連結部22dが設けられ、連結部22dは補助脚21の上端側を囲むように形成されている。連結部22dには補助脚21を回動自在に連結するボルト22eが設けられ、ボルト22eは連結部22dの内面に取付部材22に対して斜めに溶接されたナット22fに螺合している。これにより、ボルト22eを中心に回動する補助脚21が脚立1の幅方向外側に向かって斜めに開脚するとともに、所定の開脚位置で連結部22dの内面に当接して回動を規制されるようになっている。ボルト22eにはコイル状の捩りバネからなるスプリング22gが取付けられ、スプリング22gによって補助脚21が開脚方向に付勢されている。また、連結部22dの一側面には掛止部材18の支持部材18bが固定されている。
【0039】
当接部材23は前後方向(脚立1の前後方向)一端側を開放した略コ字状の部材からなり、取付部材22の幅方向他端側に幅方向に移動自在に設けられている。当接部材23の一端側には支柱1aの他方の側面に当接する当接部23aが設けられ、当接部23aは支柱1aに面接触するように平面状に形成されている。
【0040】
押圧部材24は、取付部材12の支持片22aのナット22bに螺合するネジ部24aと、ネジ部24aの一端に設けられた回動操作部24bとからなり、当接部材23の一端側に回動自在に支持されている。また、ネジ部24aの先端は当接部材23の他端側の内側に当接するようになっている。即ち、回動操作部24bを回動して押圧部材24を取付部材12の内側に向かって移動させることにより、当接部材23の他端側が支柱1a側に押圧されるようになっている。
【0041】
以上のように構成された補助具20を脚立1に取付ける場合には、図12に示すように取付部材12を脚立1の支柱1aに前後方向一方から係合するとともに、取付部材12の係止部22cを支柱1aの突部2cに係合し、図13に示すように押圧部材24の回動操作部24bを回動して当接部材23を支柱1a側に押圧する。これにより、当接部材23が支柱1aに脚立1の幅方向に圧接し、取付部材12と当接部材23によって支柱1aが挟持される。
【0042】
前述のようにして脚立1の支柱1aに補助20を取付けることにより、脚立1の幅方向両側に補助具20の補助脚21が開脚し、補助脚21によって脚立1の転倒が防止される。この場合、補助脚21はスプリング22gの付勢力によって開脚するとともに、図11及び図13に示すように補助脚21の上端側と連結部22dの内面との間に回動規制手段としての楔状の回動規制部材25を挿入することにより、回動規制部材25が補助脚21と取付部材22との間に補助脚21の回動方向に挟まり、開脚位置にある補助脚21の閉脚方向への回動が規制される。尚、補助脚21の開脚角度及び上下位置の調整については、第1の実施形態と同様である。
【0043】
本実施形態によれば、脚立1の支柱1aに当接部材23を脚立1の幅方向から当接することにより、取付部材22の係止部22cと当接部材23によって支柱1aを脚立1の幅方向に挟持するとともに、係止部22cを支柱1aの突部2cに脚立1の前後方向に係止させることにより、支柱1aに対する取付部材12の前後方向の移動を規制するようにしたので、第1の実施形態と同様、支柱1aの前後方向及び幅方向の寸法に拘わらず、補助具10を常に支柱1aに確実に取付けることができ、汎用性を向上させることができる。更に、支柱1aの任意の高さ位置に取付けることができるので、補助具20を補助脚21が常に適正な高さ位置になるように取付けることができ、安全性の向上を図ることができる。
【0044】
また、当接部材23を支柱1aに面接触するように形成したので、支柱1aに対する当接部材23の圧力を分散させることができ、圧力の集中による支柱1aの変形や損傷を確実に防止することができる。
【0045】
更に、補助脚21と取付部材22との間に補助脚21の回動方向に挟まるように挿入可能な回動規制部材25により、所定の開脚位置にある補助脚21の閉脚方向への回動を規制するようにしたので、使用中に補助脚21が閉脚方向に不用意に回動することがなく、安全性をより高めることができる。尚、回動規制部材25をチェーン等によって取付部材22に繋いでおくことにより、回動規制部材25の紛失を防止することができる。また、回動規制部材25は、第1の実施形態の補助具10にも用いることができる。
【0046】
尚、前記第1及び第2の実施形態の補助具10,20は、脚立1に取付けて使用する場合のみならず、梯子に取付けて使用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る補助具を取付けた脚立の斜視図
【図2】補助具の平面図
【図3】補助具の側面断面図
【図4】補助具の取付工程を示す斜視図
【図5】補助具の取付工程を示す斜視図
【図6】補助具の取付工程を示す斜視図
【図7】補助具を取付けた脚立の正面図
【図8】補助具を取付けた脚立の側面図
【図9】補助脚を閉脚した状態を示す側面図
【図10】本発明の第2の実施形態を示す補助具の平面図
【図11】補助具の側面断面図
【図12】補助具の取付工程を示す斜視図
【図13】補助具の取付工程を示す斜視図
【符号の説明】
【0048】
1…脚立、1a…支柱、10…補助具、11…補助脚、12…取付部材、12f…スプリング、13…第1の当接部材、14…第1の押圧部材、15…第2の当接部材、16…第2の押圧部材、17…連結部材、18…掛止部材、20…補助具、21…補助脚、22…取付部材、22g…スプリング、23…当接部材、24…押圧部材、25…回動規制部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脚立または梯子の支柱に取付可能な取付部材と、下端側を取付部材によって支持され、上端側に任意の物品を掛止可能な掛止部材とを備えた脚立または梯子用補助具において、
前記取付部材に上端を連結され、脚立または梯子の幅方向外側に向かって開脚する補助脚を備えた
ことを特徴とする脚立または梯子用補助具。
【請求項2】
前記掛止部材を取付部材の上下方向任意の位置に移動可能に設けた
ことを特徴とする請求項1記載の脚立または梯子用補助具。
【請求項3】
前記取付部材が取付けられる支柱に脚立または梯子の前後方向から当接することにより支柱を取付部材との間に挟持可能な第1の当接部材と、
第1の当接部材を脚立または梯子の前後方向に押圧することにより第1の当接部材を支柱に圧接させる第1の押圧部材と、
取付部材が取付けられる支柱に脚立または梯子の幅方向から当接することにより支柱を取付部材との間に挟持する第2の当接部材と、
第2の当接部材を脚立または梯子の幅方向に押圧することにより第2の当接部材を支柱に圧接させる第2の押圧部材とを備えた
ことを特徴とする請求項1または2記載の脚立または梯子用補助具。
【請求項4】
前記取付部材が取付けられる支柱に脚立または梯子の前後方向及び幅方向の一方から当接することにより支柱を取付部材との間に挟持可能な当接部材と、
当接部材を脚立または梯子の前後方向及び幅方向の一方に押圧することにより当接部材を支柱に圧接させる押圧部材とを備え、
取付部材には支柱の外面に設けられた突部に梯子の前後方向及び幅方向の他方から係止可能な係止部を設けた
ことを特徴とする請求項1または2記載の脚立または梯子用補助具。
【請求項5】
前記当接部材を支柱に面接触するように形成した
ことを特徴とする請求項3または4記載の脚立または梯子用補助具。
【請求項6】
前記補助脚を所定の開脚位置から所定の閉脚位置まで回動可能に設けた
ことを特徴とする請求項3、4または5の脚立または梯子用補助具。
【請求項7】
前記補助脚をスプリングによって開脚方向に付勢するように構成した
ことを特徴とする請求項6記載の脚立または梯子用補助具。
【請求項8】
前記所定の開脚位置にある補助脚の回動を規制する回動規制手段を備えた
ことを特徴とする請求項6または7記載の脚立または梯子用補助具。
【請求項9】
前記回動規制手段を一端が補助脚に連結されたロープ状部材によって形成し、その他端側を取付部材が係合する支柱とは別の支柱に連結可能に形成した
ことを特徴とする請求項8記載の脚立または梯子用補助具。
【請求項10】
前記回動規制手段を補助脚と取付部材との間に補助脚の回動方向に挟まるように挿入可能な部材によって形成した
ことを特徴とする請求項8記載の脚立または梯子用補助具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−221667(P2009−221667A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−64196(P2008−64196)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(591199741)株式会社プロップ (26)
【Fターム(参考)】