説明

脱硫装置および排ガスの冷却方法

【課題】石灰石を含む吸収液で排ガスの脱硫を行う際に、入口ダクトで石膏の粒子を含む吸収液を噴霧して導入される排ガスを増湿冷却した場合に、ガスライザに付着した石膏が落下して一部のスパージャパイプを詰まらせる問題を解消する。
【解決手段】入口ダクト5で、吸収液を噴霧せずに、入口ダクト5から排ガスが導入される排ガス導入部6内のスパージャパイプ9の上から吸収液用スプレーノズル31により、吸収液を噴霧する。縦横に並んで多数配置されるスパージャパイプ9の略全てが各吸収液用スプレーノズル31の噴霧範囲のいずれかに入るように、吸収液用スプレーノズル31を配置する。略全てのスパージャパイプ9に吸収液が適切な液量かつ適切な噴霧圧で噴霧される状態となることで、排ガスを十分に増湿冷却することが可能となる。さらに、スパージャパイプ9を詰まらせる石膏を十分に洗い流して詰まりを解消できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排煙(燃焼排ガス)中のSOxを除去する脱硫装置および脱硫装置に導入される排ガスを冷却する排ガスの冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、火力発電所等の燃焼排ガスとしての排煙を生じる設備においては、亜硫酸ガス(SO2)等の硫黄酸化物(SOx)を含む排煙による大気汚染を防止するために排煙の脱硫装置が設けられている。
このような、排煙の脱硫装置の一種として、排ガス中に含まれる亜硫酸ガス(SO2)を、石灰石(CaCO3)を溶解または懸濁した水溶液(亜硫酸ガス中和剤スラリー溶液)からなる吸収液と接触させて、吸収液中に反応吸収するものが広く知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図2は、従来のこの種の脱硫装置の主要部の構成を示す。この脱硫装置の主要部をなす吸収塔1は、上部空間内に、上下方向に間隔をおいて配された上段デッキ3と下段デッキ2を有する。これらデッキ2、3は、吸収塔1の内部空間を気密に画成する隔壁として設けられており、下段デッキ2の下側空間が吸収液貯留部(貯留槽)4、上段デッキ3と下段デッキ2間の空間が排ガス導入部6、上段デッキ3の上側空間が排ガス導出部8となっている。吸収液貯留部4の内部には、石灰石の水性スラリーからなる吸収液Kが所定の液面レベルで貯留されている。また、排ガス導入部6には、吸収塔1内に排ガスを導入する入口ダクト5が接続され、排ガス導出部8には、吸収塔1内の処理済み排ガスを外部に導出する出口ダクト7が接続されている。また、入口ダクト5には、吸収液Kの一部をポンプ13によって冷却ライン11から循環供給し、導入されてくる排ガスに吸収液を冷却水として噴霧して冷却するためのスプレーノズル16を備えたガス冷却部17が設けられている。
【0004】
前記下段デッキ2には多数の開口が分散的に穿設されており、各開口には、下段デッキ2の下面に垂下されたスパージャパイプ(ガス分散管)9の上端部が接続されている。スパージャパイプ9は、下方に延出し、下端部が吸収液貯留部4内の吸収液K中に挿入されており、吸収液Kの液面下において排ガスを噴出して分散するようになっている。
【0005】
また、下段デッキ2と上段デッキ3間には、吸収液貯留部4の吸収液の液面より上の上部空間4aを排ガス導出部8側に連通させるガスライザ10が、排ガス導入部6を貫通する形で設けられている。さらに、吸収液貯留部4の底部側には、酸化用空気を噴出させる空気の供給管と、吸収液Kを攪拌するための攪拌機が設けられ、前記供給管の基端側は、空気を圧送するためのブロアに接続されている。
また、吸収塔1には、補給用の吸収液(吸収剤としての石灰石)を吸収塔1内に供給するための供給ラインが接続されている。
また、後述のようにガスライザ10の表面に付着する石膏や、ガスライザ10からスパージャパイプ9に落下した石膏の塊りを洗い流すために、スパージャパイプ9の上にスプレーノズル18が配置されるとともに、ガスライザ10の周囲にスプレーノズル19が配置されている。そして、これらスプレーノズル18,19には、配管を介して後述のように吸収液から石膏を分離した際のろ液が供給されて、間欠的に噴霧される。
【0006】
以上の構成の吸収塔1においては、供給管を介して吸収液K中に酸素(空気)を供給しつつ、入口ダクト5から排ガスを排ガス導入部6に圧送すると、当該排ガスが、各スパージャパイプ9の下端部の噴出孔から噴出し、吸収液Kと激しく混合して、液相連続のジェットバブリング層を形成する。この際、攪拌機を回転させて吸収液Kを攪拌すると共に、供給管から供給された酸化用空気を当該供給管の先端部のノズルから吸収液K中に連続的に供給する。これにより、前記ジェットバブリング層において高効率な気液接触が行われ、SO2+CaCO3+1/2O2+H2O→CaSO4・2H2O↓+CO2↑で示されるように、排ガス中に含まれる亜硫酸ガス(SO2)が酸化されると共に、吸収液K中の石灰石によって中和される反応が行われて、前記亜硫酸ガスが吸収・除去される。このようにして、脱硫された排ガスは、ガスライザ10から排ガス導出部8及び出口ダクト7を経て煙突から外部に排気される。
【0007】
他方、亜硫酸ガス(SO2)を酸化・中和することによって吸収液中に生成した石膏(CaSO4・2H2O)は、結晶成長して粗大粒子化することにより吸収液石膏スラリーとなり、たとえば、吸収液中の石膏濃度が所定の濃度に達した際に、スラリーポンプによって吸収塔1から抜き出されて、母液(ろ液)と石膏とに分離される。そして、分離されたろ液は、補給用の吸収液として一旦スラリー槽内に貯留され、吸収液貯留部4内の液面レベル計の出力に応じて、補給用の吸収液が供給ラインを通して吸収塔1内に供給される。
また、蒸発等により減少する吸収液貯留部4の水分を補給するために工業用水等の水が補給水として吸収塔1内に供給されるが、上記ガス冷却部17において、補給水もスプレーノズル14から噴霧され、導入される排ガスを冷却してから吸収塔1に流入し、最終的に吸収液貯留部4に至るようになっている。
【0008】
このような吸収塔1を用いた排煙脱硫装置によれば、吸収液中に酸化用空気を供給しつつ攪拌機によって攪拌し、さらに排ガスを各スパージャパイプ9の下端から噴出させて、吸収液と液相連続のジェットバブリング層を形成させているので、排ガス中の亜硫酸ガス(SO2)の吸収・酸化・中和・石膏晶析の全工程を1つの槽で遂行することができ、極めて高率に亜硫酸ガスを除去することができるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平8−206435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、上述の脱硫装置においては、上述のように入口ダクトのガス冷却部に石膏を含むスラリー状の吸収液を循環供給するとともに、この吸収液(循環液)をスプレーノズルにより噴霧することで、吸収塔に導入される排ガスの増湿および冷却を行っている。
なお、吸収塔内の部材には、排ガスや吸収液が金属に対して腐食性を示すことから、例えば、合成樹脂を用いたFRP(繊維強化プラスチック)あるいは炭素鋼に合成樹脂をライニング(ガラスフレークライニング)したものが多く用いられており、高温の排ガスがそのまま導入されると、FRP製あるいはガラスフレークライニング製の部材が熱による影響を受けてしまうので、排ガスの冷却が必要となる。
また、高温の排ガスが導入されることによる水分の蒸発により吸収塔内に吸収液内の石膏に基づく石膏スケールが発生するが、吸収液の噴霧により冷却とともに排ガスが増湿され、石膏スケールの発生が防止される。
【0011】
しかし、冷却に用いられる吸収液には、多くの粒子状の石膏が含まれていることから、排ガス導入時に排ガス導入部のガスライザの表面に、噴霧された吸収液に含まれる石膏が付着してしまうという問題があった。
【0012】
また、例えば、火力発電所等で長期に渡って連続運転が行われた場合に、吸収塔内のメンテナンスを行うことが困難であり、脱硫装置を長期に連続的に使用を続けることにより、ガスライザ表面に付着した石膏がだんだん厚くなり、例えば、自重で塊りとなった石膏がガスライザ表面から剥がれ落ちることがあった。この場合にガスライザの下側の下デッキには、スパージャパイプの上端開口が縦横に配列されるとともに、各スパージャパイプが比較的近接して多数配置された状態となっていることから、落下した石膏の塊により、1つもしくは複数のスパージャパイプの開口が塞がれてしまう可能性があった。また、石膏の塊がスパージャパイプ内に落下した後に完全に落下しきれずにスパージャパイプ内で止まってしまいスパージャパイプが部分的に詰った状態となる場合があった。
【0013】
このように排ガス導入部側の開口が石膏で塞がれてしまったり、内部に石膏が詰まったりしたスパージャパイプが長期の連続使用で増加すると、排ガスを吸収液に導入可能なスパージャパイプが減少することになる。これにより、導入される排ガスの圧力損失が大きくなり、排ガスを導入するファンのランニングコストの増加を招くことになる。
そこで、例えば、上述のように、スパージャパイプの上やガスライザの周囲に、スプレーノズルを配置し、上述の石膏を分離した際のろ液を噴霧することが行われる場合があった。
【0014】
しかし、ろ液の量には、限りがあるため、ろ液を連続的に噴霧できず、間欠的に噴霧していたことから、ガスライザの周囲に付着する石膏を十分に除去することができず、やはり、厚くなった石膏がスパージャパイプの上端開口に落下する虞があった。
また、ろ液をスパージャパイプ上に噴霧してもそれが間欠的で液量が少ないことから、スパージャパイプの上や内部に落下した石膏を完全に洗い流すことができず、スパージャパイプの詰まりを解消するのには不十分なものであった。
なお、吸収液貯留部における吸収液の液面は、略一定となるように管理されており、例えば、蒸発量等により失われる水分量より多くの工業用水をスプレーノズルから噴霧するようなことはできない。
【0015】
すなわち、吸収液貯留部において、吸収液の液面が高くなると、スパージャパイプの下端部の液面下となる部分が長くなり、排ガスを吸収液内に噴出させるのに大きな圧力が必要となってしまう。また、吸収液の液面が低くなると、スパージャパイプの下端部の液面下となる部分が短くなり、排ガスと吸収液との気液接触が不十分となって脱硫率の低下を招く虞があった。したがって、吸収液貯留部の吸収液の液面を一定に保持する必要がある。
【0016】
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、吸収液を循環使用して排ガスを冷却するものとしても、ガス分散管が詰まることがない脱硫装置および排ガスの冷却方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の脱硫装置は、排ガスから硫黄酸化物を吸収する脱硫用吸収液が貯留された吸収液貯留部と、当該吸収液貯留部の上に当該吸収液貯留部と分離して設けられ、排ガスが導入される排ガス導入部と、当該排ガス導入部の底部から前記吸収液貯留部の吸収液内に延出し、導入された排ガスを前記吸収液貯留部の吸収液内に噴出して分散させる複数のガス分散管と、前記吸収液貯留部に連通するとともに前記排ガス導入室と分離して設けられ、前記吸収液から放出された脱硫処理済みの排ガスを導出する排ガス導出部とを備えた脱硫装置であって、前記排ガス導入部内の前記ガス分散管より上側に設けられ、排ガスを冷却するために前記吸収液を前記ガス分散管側に連続的に噴霧する吸収液用スプレーノズルと、当該吸収液用スプレーノズルに前記吸収液貯留部の吸収液を供給する吸収液供給手段とを備えていることを特徴とする。
【0018】
請求項2に記載の脱硫装置は、請求項1に記載の発明において、前記ガス分散管が、前記排ガス導入部の底部に分散して配置され、各吸収液用スプレーノズルの吸収液の噴霧範囲を合わせた範囲内に前記ガス分散管の略全てが入るように、各吸収液用スプレーノズルが前記ガス分散管の配置に対応して配置され、前記吸収液供給手段から各吸収液用スプレーノズルに供給されて噴霧される吸収液の液量を導入される排ガス量に対する液ガス比で0.5〜3.0l/Nm3とし、各吸収液用スプレーノズルにおける噴霧圧を0.5〜2.0kgf/cm2とすることを特徴とする。
【0019】
請求項3に記載の脱硫装置は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記排ガス導入部に外部から排ガスを導入するダクト内に前記吸収液貯留部に補給するための補給水を噴霧して導入される排ガスを冷却する補給水噴霧冷却機構が設けられていることを特徴とする。
【0020】
請求項4に記載の排ガスの冷却方法は、排ガスから硫黄酸化物を吸収する脱硫用吸収液が貯留された吸収液貯留部と、当該吸収液貯留部の上に当該吸収液貯留部と分離して設けられ、排ガスが導入される排ガス導入部と、当該排ガス導入部の底部から前記吸収液貯留部の吸収液内に延出し、導入された排ガスを前記吸収液貯留部の吸収液内に噴出して分散させる複数のガス分散管と、前記吸収液貯留部に連通するとともに前記排ガス導入室と分離して設けられ、前記吸収液から放出された脱硫処理済みの排ガスを導出する排ガス導出部とを備えた脱硫装置で行われる排ガスの冷却方法であって、前記脱硫装置は、前記排ガス導入部内の前記ガス分散管より上側に設けられ、排ガスを冷却するために前記吸収液を噴霧する吸収液用スプレーノズルと、当該吸収液用スプレーノズルに前記吸収液貯留部の吸収液を供給する吸収液供給手段とを有し、前記吸収液を前記吸収液用スプレーノズルから前記ガス分散管側に連続的に噴霧することを特徴とする。
【0021】
請求項5に記載の排ガスの冷却方法は、請求項4に記載の発明において、前記脱硫装置では、前記ガス分散管が、前記排ガス導入部の底部に分散して配置され、各吸収液用スプレーノズルの吸収液の噴霧範囲を合わせた範囲内に前記ガス分散管の略全てが入るように、各吸収液用スプレーノズルが前記ガス分散管の配置に対応して配置され、導入される排ガス量に対する液ガス比で0.5〜3.0l/Nm3となる液量の吸収液を前記吸収液供給手段から各吸収液用スプレーノズルに供給して噴霧し、この際の各吸収液用スプレーノズルにおける噴霧圧を0.5〜2.0kgf/cm2とすることを特徴とする。
【0022】
請求項6に記載の排ガスの冷却方法は、請求項4または請求項5に記載の発明において、前記脱硫装置の前記排ガス導入部に外部から排ガスを導入するダクト内に補給水噴霧冷却機構を設け、当該補給水噴霧冷却機構が前記吸収液貯留部に補給するための補給水を噴霧して導入される排ガスを冷却することを特徴とする。
【0023】
請求項1および請求項4に記載の発明においては、排ガスを冷却するためのスプレーノズルが排ガス導入部に外部から排ガスを導入する入口ダクト部分ではなく、ガス導入部内のガス分散管の上側に配置されている。このスプレーノズルからは循環使用される吸収液が噴霧されるようになっている。
したがって、循環使用される吸収液を噴霧する液量が多くなっても、吸収液貯留部における吸収液の液面高さへの影響がほとんどないことから、ガス分散管に十分な液量で連続的に吸収液を噴霧することが可能となる。
【0024】
これにより、排ガスが確実に増湿および冷却される。
また、ガス分散管部分に吸収液を噴霧しているので、入口ダクト部分で吸収液を噴霧した場合よりも、吸収液貯留部と排ガス導出部との連通部分(例えば、ガスライザ外表面)での石膏の付着を減少させることができる。
【0025】
また、長期の連続使用により、ガスライザに石膏が付着するとともに、石膏が厚くなって塊の状態でガス分散管部分に落下して、ガス分散管の上端開口を塞いだり、ガス分散管内部に詰まった状態となったりしても、常時、十分な液量で吸収液がガス分散管に向けて連続的に噴霧されているので、塊りとなった石膏であっても洗い流すことが可能となり、ガス分散管が詰まって圧力損失が生じるのを防止することができる。
【0026】
また、請求項2および請求項5に記載の発明においては、略全てのガス分散管に吸収液が噴霧されるが、噴霧する吸収液の液量を導入される排ガス量に対する液ガス比で0.5〜3.0l/Nm3とすることで、十分な液量で排ガスの増湿冷却を行うことが可能となるとともにガス分散管の石膏による詰まりを洗い流すことが可能となり、かつ、吸収液の循環に係る動力のコストが高くなるのを防止することができる。
また、この際に、吸収液用スプレーノズルにおける噴霧圧を0.5〜2.0kgf/cm2(ゲージ圧である)とすることにより、確実に吸収液を微小な液滴として所定範囲に噴霧して、排ガスの増湿冷却やガス分散管における石膏の除去を行うことができるとともに、吸収液の循環に必要な動力のコストが高くなるのを防止することができる。
【0027】
請求項3および請求項6に記載の発明においては、排ガス導入部に外部から排ガスを導入するダクト内に前記吸収液貯留部に補給するための補給水を噴霧して導入される排ガスを冷却するので、上述の吸収液用スプレーノズルで噴霧された液体に接触する前の排ガスの温度を低下させることができ、ダクトから排ガスが導入される部分の温度が高くなりすぎるのを防止することができる。
すなわち、吸収液用スプレーノズルから噴霧される吸収液により、排ガス導入部のガス分散管より少し上の位置では、排ガスが十分に冷却されるが、それより上の部分では、冷却が不十分となる虞があり、ダクト部分で冷却を行うことで、排ガス導入部の上部の温度を確実に許容範囲内に収めることができる。なお、冷却に補給水を用いることで噴霧可能な液量が少なくなるが、従来のように排ガス導入部内で石膏が塊りとなるのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、石膏の粒子を多く含む吸収液を使用し、当該吸収液内にガス分散管により排ガスを噴出させる脱硫装置において、吸収液を使用して排ガスの冷却を行っても、固まった石膏によりガス分散管が詰まるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態に係る脱硫装置を示す概略図である。
【図2】従来の脱硫装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の実施の形態の脱硫装置を示す概略図である。
この例の脱硫装置の特徴は、排ガスの冷却機構および冷却方法にあり、その他の構成および作用は前述した従来の構成および作用と同様であるため、以下においては、この実施の形態の特徴部分について主に言及し、それ以外の部分については、図2と同一の符号を付して簡潔に説明するに留める。
【0031】
図1に示すように、脱硫装置の吸収塔内は、従来の脱硫装置と同様に、上下二段にデッキ2,3が設けられることにより、上下3層に分けられ、下段デッキ2の下側が吸収液貯留部4とされている。また、下段デッキ2と上段デッキ3との間が排ガス導入部6とされ、上段デッキ3の上側が排ガス導出部8とされている。
また、排ガス導入部6には、入口ダクト5が接続され、排ガス導出部8には、出口ダクト7が接続されている。
【0032】
下段デッキ2には、上端部が下段デッキ2上の排ガス導入部6に突出した状態で、下端部が下段デッキ2の下側の吸収液貯留部4の吸収液Kの液面レベルの下側まで延出したスパージャパイプ9が設けられている。
また、下段デッキ2の下面側から上段デッキ3の上面側までガスライザ10が設けられ、ガスライザ10により吸収液貯留部4の吸収液Kの液面より上側の上部空間4aと排ガス導出部8とが連通されている。
なお、図示していないが、従来と同様に、吸収液に酸素を供給する機構と、吸収剤を供給する機構と、吸収液を抜き出して石膏等の固形分を吸収液から分離するための固液分離機構等を備えている。
【0033】
この例の脱硫装置においては、排ガス導入部6の入口ダクト5に、補給水を噴霧して入口ダクト5を介して外部から導入される排ガスを冷却する補給水噴霧冷却機構21が設けられている。当該補給水噴霧冷却機構21には、例えば、工業用水や上述の固液分離で分離されたろ液が補給水として供給され、補給水用スプレーノズル22から噴霧される。補給水噴霧冷却機構21から噴霧可能な液量は、吸収液貯留部4における吸収液の液面レベルをほぼ一定に維持するために制限されるが、排ガスの温度を樹脂としては耐熱性を有する吸収塔内部のFRP製またはフレークライニング製の部材に影響を与える温度より低くすることが可能となっている。
【0034】
また、この例においては、入口ダクト5に従来の吸収液を噴霧することにより排ガスを冷却するガス冷却部が設けられておらず、入口ダクト5で冷却に吸収液が用いられることがなく、入口ダクト5では、排ガスの冷却には補給水だけが用いられる。
なお、排ガスの処理装置において、導入される排ガスと導出される排ガスとの間で熱交換して、導入される排ガスの温度を低下させ、導出される処理済みの排ガスの温度を上昇させる熱交換器が用いられる場合があり、当該熱交換器を設けることにより、導入される排ガスの温度を吸収塔内のFRP製またはフレークライニング製の部材に影響を与えないレベルの温度に低下できる場合には、補給水噴霧冷却機構21を設けない構成としてもよい。
【0035】
上述のように吸収塔内に導入可能な水分量は、吸収液貯留部4における吸収液の液面レベルをほぼ一定に維持するために制限されるので、補給水噴霧冷却機構21を設けない構成とすることにより、補給水を他の用途に用いることが可能となる。
例えば、出口ダクト7には、ミストエリミネータが設けられ、脱硫済みの排ガスに同伴する微小液滴が除去されるが、当該ミストエリミネータの洗浄用に補給水を用いることで、ミストエリミネータが汚れるのを防止し、メンテナンスに必要な作業を軽減することが可能となる。
【0036】
ここで、スパージャパイプ9は、排ガス導入部6の底部となる下段デッキ2において、下段デッキ2の略全体となる主要部に縦横(前後左右)にそれぞれ複数ずつ互いに略等間隔で並んで配置されており、全体では多数のスパージャパイプ9が配置されている。例えば、略1m2範囲内に20本以上のスパージャパイプ9が配置されており、排ガス量とそれに対応する下段デッキ2の面積にもよるが、全体として数百本以上のスパージャパイプ9が下段デッキ2に略均等に分散配置されている。
【0037】
また、略所定数ごとのスパージャパイプ9毎に、ガスライザ10が配置されている。ガスライザ10は、スパージャパイプ9より、大きな断面積に形成されており、ガスライザ10の配置位置には、スパージャパイプ9を配置できないので、ガスライザ10の部分では、ガスライザ10を逃げるようにスパージャパイプ9の縦横の配置間隔が広くなっている。
【0038】
但し、所定面積毎(単位面積毎)のスパージャパイプ9の配置数は略同じとなっており、所定面積毎に略同数のスパージャパイプ9が配置されている。
なお、排ガス導入部6から排ガスを効率的に吸収液貯留部4の吸収液内に導入して分散できるようになっていれば、スパージャパイプ9をどのように配置してもいいが、下段デッキ2のスパージャパイプ9が配置される範囲内においては、所定面積毎に略同数のスパージャパイプ9が配置される。
【0039】
また、ガスライザ10も縦横に複数ずつ並んで配置されており、所定面積毎に略同数のガスライザ10が配置されているが、下段デッキ2におけるガスライザ10の配置数は、スパージャパイプ9の配置数より少なくなっている。なお、ガスライザ10は、吸収液貯留部4の吸収液の液面より上の気体層部分から上段デッキ3の上側の排ガス導出部8まで大きな圧力損失を生じることなく、円滑に脱硫済みの排ガスを流すことができれば、その数や配置を自由に設定することができる。
【0040】
上述のようにスパージャパイプ9とガスライザ10が配置された排ガス導入部6には、吸収液貯留部4との間で循環して使用される吸収液を用いて当該排ガス導入部6に導入された排ガスを冷却する排ガス冷却機構が設けられている。
【0041】
排ガス冷却機構は、排ガス導入部6の底部となる下段デッキ2に上端部を突出させた状態で配置されるスパージャパイプ9より上に配置される吸収液用スプレーノズル31と、当該吸収液用スプレーノズル31に吸収液を流出させるための吸収液用配管32と、吸収液貯留部4から吸収液を吸入して、前記吸収液用配管32を介して吸収液をスプレーノズル31に供給する吸収液ポンプ33とを備える。
【0042】
これら吸収液用配管32および吸収液ポンプ33が、吸収液用スプレーノズル31に前記吸収液貯留部4の吸収液を供給する吸収液供給手段となる。
そして、吸収液用スプレーノズル31は、吸収液を微小な液滴として概略円錐状に広がるように噴霧するものであり、吸収液用スプレーノズル31からの距離に応じた径を有する概略円状の範囲に吸収液を噴霧するものである。
【0043】
吸収液用スプレーノズル31は、下段デッキ2に配置された略全てのスパージャパイプ9に直接的に噴霧された吸収液の液滴が当たるように、下段デッキ2上に分散されて配置されている。
この例では、吸収液用スプレーノズル31は、スパージャパイプ9の配置に対応して、縦横に略等間隔に複数が並んで配置されている。
【0044】
また、互いに隣り合う吸収液用スプレーノズル31は、当該吸収液用スプレーノズル31の高さ位置からスパージャパイプ9の高さ位置までの距離に対応する噴霧範囲の半径より近い距離で配置されている。
すなわち、スパージャパイプ9より上に配置された吸収液用スプレーノズル31は、隣合う吸収液用スプレーノズル31の噴霧範囲の一部が互いに重なるようになっている。
【0045】
これにより、下段デッキ2のスパージャパイプ9が設けられる範囲内においては、下段デッキ2上のほとんどの部分が吸収液用スプレーノズル31のいずれかの噴霧範囲に含まれることになり、略全てのスパージャパイプ9が吸収液用スプレーノズル31の噴霧範囲内に配置されることになる。
例えば、スパージャパイプ9が上述のように略1m2範囲内に20本ずつ程度配置され、ガスライザ10が略1m2範囲内もしくはそれより少し広い範囲内に1本ずつ程度配置され、吸収液用スプレーノズル31もガスライザ10と略同様に略1m2範囲内もしくはそれより少し広い範囲内に1本ずつ程度配置される。
【0046】
そして、ガスライザ10と吸収液用スプレーノズル31は、それぞれ縦横に略等間隔で並んで配置されるが、縦横の方向のうちの一方の縦方向では、ガスライザ10の列と、吸収液用スプレーノズル31の列とがそれぞれ重なるように配置され、各縦方向の列においては、ガスライザ10と吸収液用スプレーノズル31とが1個ずつ交互に配置されている。
【0047】
縦横のうちの他方の横方向においては、ガスライザ10の列と、吸収液用スプレーノズル31の列とがそれぞれ重ならないように配置され、ガスライザ10の列では、ガスライザ10だけが一列に並んで配置され、吸収液用スプレーノズル31の列では、吸収液用スプレーノズル31だけが一列に並んで配置され、ガスライザ10の列と、吸収液用スプレーノズル31の列とが交互に配置されている。
【0048】
なお、吸収液用スプレーノズル31は、ガスライザ10どうしの間となる位置に配置され、かつ、上述のように略全てのスパージャパイプ9が吸収液用スプレーノズル31の噴霧範囲に含まれるようになっていれば、吸収液用スプレーノズル31の配置がどのようになっていてもよいし、ガスライザ10と略一対一で対応するように配置される必要はない。
【0049】
また、吸収液用スプレーノズル31は、吸収液が石膏スラリーであるため、耐摩耗性が高く、かつ、詰まりにくいものを用いる必要があり、例えば、セラミック製のスプレーノズルや、金属製のスプレーノズルの内部側がセラミックとなった二重構造のスプレーノズルを用いることが好ましい。また、スラリー用に比較的孔径(最も内径の狭い部分の径)の大きなスプレーノズルを使用することが好ましい。また、スプレーノズルのサイズとして、接続用の雄ねじ部分の外径もしくは雌ネジ部分の内径が25mm〜40mmのノズルを用いることが好ましい。前記サイズが25mmより小さいと、スプレーノズルの通過口径が小さくなり石膏による閉塞の恐れがあり、前記サイズが40mm以上だと、スプレーノズルの数が少なくなることにより、吸収液が十分に分散されず排ガスの冷却が不十分となる虞があるとともに、後述の洗浄能力が不十分になる虞がある。
【0050】
上述の吸収液用配管32は、例えば、下段デッキ2上で、スパージャパイプ9より高い位置に、互いに平行で等間隔に並んだ状態、すなわち、ストライプ状に配置されている。
そして、吸収液用配管32に吸収液用スプレーノズル31が取り付けられている。上述のようにストライプ状に配置された吸収液用配管32に略等間隔に吸収液用スプレーノズル31の取付部が設けられ、当該取付部に吸収液用スプレーノズル31が取り付けられている。
【0051】
また、取付部は、枝管として、上述のように配置される吸収液用配管32から略水平方向に沿って直角に延出しているものとしてもよい。また、枝管としての取付部は、吸収液用配管32から左右両方向に延出するものとしてもよいし、左右いずれか一方だけに延出するものとしてもよい。また、取付部が吸収液用配管32から左右両方向に延出する場合に、略同じ位置から左右に延出しても良いし、互い違いに異なる位置から延出するものとしてもよい。
【0052】
また、吸収液用配管32や、枝管状の取付部をガスライザ10に支持させる構造もしくは、補助的にガスライザ10に支持させる構造としてもよい。
そして、以上のような脱硫装置(の排ガス冷却機構)においては、吸収液供給手段から各吸収液用スプレーノズル31に供給されて噴霧される吸収液の液量を導入される排ガス量に対する液ガス比(体積比)で0.5〜3.0l/Nm3としている。
【0053】
ここで、全ての吸収液用スプレーノズル31から噴霧される吸収液の液量全体と脱硫装置に導入さえる排ガス量との液ガス比、0.5/Nm3より少ないと、例えば、各吸収液用スプレーノズル31における噴霧圧が後述する範囲内より低くなってしまう。そこで、各吸収液用スプレーノズル31の噴霧圧を後述の範囲内とするためには、配置可能な吸収液用スプレーノズル31の数が少なくなってしまう。
なお、基本的には、導入される排ガス量に基づいて、スパージャパイプ9の数および配置や、下段デッキ2の面積(スパージャパイプが配置される面積)が決まるので、噴霧される吸収液量の排ガス量に対する液ガス比で、単位面積当たりもしくはスパージャパイプ9当たりの吸収液用スプレーノズル31の数が決まることになる。
【0054】
ここで、スパージャパイプ9から噴霧される吸収液は、排ガスの冷却に使用されるだけではなく、後述のようにガスライザ10の表面に付着した石膏が塊となって落下した場合のスパージャパイプ9の詰まりを防止するようになっている。
すなわち、スパージャパイプ9から吸収液を噴霧しているので、従来ほどではないが、ガスライザ10や排ガス導入部の内壁面に石膏が付着する虞があり、長い期間の経過に伴ない付着した石膏が厚くなって従来と同様に落下する虞がある。
【0055】
この場合に、スパージャパイプ9上の吸収液用スプレーノズル31から連続的に常時吸収液が噴霧されていることで、塊りとなった石膏を洗い流すことが可能となり、スパージャパイプの詰まりを解消することができる。
しかし、スパージャパイプ9からの吸収液の噴霧圧が低すぎたり、スパージャパイプ9の単位面積当たりの配置数が少なすぎたりすると、スパージャパイプ9を詰まらせる石膏を洗い流すことが困難になる虞がある。特に、吸収液の噴霧される量がスパージャパイプ9によって大きく異なるような場合に、吸収液の噴霧される量が相対的に少ないスパージャパイプが詰まったままとなる可能性がある。
【0056】
そこで、上述のように噴霧される吸収液の液量を導入される排ガス量に対する液ガス比で0.5l/Nm3以上とする必要がある。
また、噴霧される吸収液の液量を導入される排ガス量に対する液ガス比で3.0l/Nm3より大きくした場合に、必要以上に液量が多くなるとともに、吸収液用ポンプ33にかかる動力費が多くなり非効率的でコストの上昇を招くことになる。
【0057】
より効率的かつ低コストに脱硫装置を作動させるためには、2.0l/Nm3以下とすることが好ましく、さらに、1.0l/Nm3以下とすることが好ましい。
この例では、各吸収液用スプレーノズル31における噴霧圧を0.5〜2.0kgf/cm2としている。
噴霧圧を0.5kgf/cm2より小さくすると、スプレーとしての噴霧が十分に行われず、噴霧される液滴が大きすぎたり、噴霧範囲が狭くなってしまう虞が有り、それに基づいて排ガスの冷却が不十分になったり、上述の落下した石膏の塊りの洗浄能力が不十分になってしまう虞がある。
【0058】
また、噴霧圧が2.0kgf/cm2以上だと、昇圧のために前記吸収液用ポンプ33の動力費の増加を招き、ランニングコストが高くなってしまう。
より効率的かつ低コストに脱硫装置を作動させる上では、噴霧圧を1.0kgf/cm2以下とすることが好ましい。
【0059】
以上のような脱硫装置においては、脱硫装置が動作中の場合に、吸収液用スプレーノズル31から吸収液が噴霧される。そして、吸収液用スプレーノズル31の配置を上述のようにするとともに、吸収液供給手段から各吸収液用スプレーノズル31に供給されて噴霧される吸収液の液量を導入される排ガス量に対する液ガス比で0.5〜3.0l/Nm3とし、吸収液用スプレーノズル31における噴霧圧を0.5〜2.0kgf/cm2とすることで、排ガス導入部6において、排ガスを十分に増湿冷却することが可能となる。
【0060】
さらに、ガスライザ10や排ガス導入部6の内壁面に付着した石膏が落下してスパージャパイプ9を詰まらせるような状態となっても、上述の液量と噴霧圧で吸収液が連続的に噴霧されることで、落下した石膏を洗い流すことが可能となる。
また、吸収液用スプレーノズル31は、略全てのスパージャパイプ9が噴霧範囲に入るように配置されているので、略全てのスパージャパイプ9の石膏による詰まりを解消することが可能であり、期間の経過に伴なって詰まっているスパージャパイプ9が増加するのを防止することができる。
【0061】
また、吸収液貯留部4の吸収液を吸収液用ポンプ33で吸入して抜き出しても、再び、排ガス導入部6で噴霧されてから吸収液貯留部4に戻ることになり、吸収液用スプレーノズル31から噴霧する吸収液の液量を多くしても、吸収液貯留部4における吸収液の液面レベルが大きく変化することがない。よって、上述のように排ガスの冷却と、落下した石膏の洗浄に十分なる液量を吸収液用スプレーノズルから噴霧することができる。
【0062】
また、従来、スパージャパイプ9およびガスライザ10に補給水を間欠的に噴霧していたスプレーノズルでは、間欠動作させるためのオンオフ弁が必要となるが、本発明の吸収液用スプレーノズル31は作動中は常時吸収液を噴霧しているので、オンオフ弁を必要とせずコストの低減を図ることができる。
【符号の説明】
【0063】
K 吸収液
1 吸収塔
2 下段デッキ
3 上段デッキ
4 吸収液貯留部
5 入口ダクト(ダクト)
6 排ガス導入部
8 排ガス導出部
9 スパージャパイプ(ガス分散管)
31 吸収液用スプレーノズル
32 吸収液用配管(吸収液供給手段)
33 吸収液用ポンプ(吸収液供給手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガスから硫黄酸化物を吸収する脱硫用吸収液が貯留された吸収液貯留部と、当該吸収液貯留部の上に当該吸収液貯留部と分離して設けられ、排ガスが導入される排ガス導入部と、当該排ガス導入部の底部から前記吸収液貯留部の吸収液内に延出し、導入された排ガスを前記吸収液貯留部の吸収液内に噴出して分散させる複数のガス分散管と、前記吸収液貯留部に連通するとともに前記排ガス導入室と分離して設けられ、前記吸収液から放出された脱硫処理済みの排ガスを導出する排ガス導出部とを備えた脱硫装置であって、
前記排ガス導入部内の前記ガス分散管より上側に設けられ、排ガスを冷却するために前記吸収液を前記ガス分散管側に連続的に噴霧する吸収液用スプレーノズルと、当該吸収液用スプレーノズルに前記吸収液貯留部の吸収液を供給する吸収液供給手段とを備えていることを特徴とする脱硫装置。
【請求項2】
前記ガス分散管が、前記排ガス導入部の底部に分散して配置され、
各吸収液用スプレーノズルの吸収液の噴霧範囲を合わせた範囲内に前記ガス分散管の略全てが入るように、各吸収液用スプレーノズルが前記ガス分散管の配置に対応して配置され、
前記吸収液供給手段から各吸収液用スプレーノズルに供給されて噴霧される吸収液の液量を導入される排ガス量に対する液ガス比で0.5〜3.0l/Nm3とし、
各吸収液用スプレーノズルにおける噴霧圧を0.5〜2.0kgf/cm2とすることを特徴とする請求項1に記載の脱硫装置。
【請求項3】
前記排ガス導入部に外部から排ガスを導入するダクト内に前記吸収液貯留部に補給するための補給水を噴霧して導入される排ガスを冷却する補給水噴霧冷却機構が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の脱硫装置。
【請求項4】
排ガスから硫黄酸化物を吸収する脱硫用吸収液が貯留された吸収液貯留部と、当該吸収液貯留部の上に当該吸収液貯留部と分離して設けられ、排ガスが導入される排ガス導入部と、当該排ガス導入部の底部から前記吸収液貯留部の吸収液内に延出し、導入された排ガスを前記吸収液貯留部の吸収液内に噴出して分散させる複数のガス分散管と、前記吸収液貯留部に連通するとともに前記排ガス導入室と分離して設けられ、前記吸収液から放出された脱硫処理済みの排ガスを導出する排ガス導出部とを備えた脱硫装置で行われる排ガスの冷却方法であって、
前記脱硫装置は、前記排ガス導入部内の前記ガス分散管より上側に設けられ、排ガスを冷却するために前記吸収液を噴霧する吸収液用スプレーノズルと、当該吸収液用スプレーノズルに前記吸収液貯留部の吸収液を供給する吸収液供給手段とを有し、
前記吸収液を前記吸収液用スプレーノズルから前記ガス分散管側に連続的に噴霧することを特徴とする排ガスの冷却方法。
【請求項5】
前記脱硫装置では、前記ガス分散管が、前記排ガス導入部の底部に分散して配置され、
各吸収液用スプレーノズルの吸収液の噴霧範囲を合わせた範囲内に前記ガス分散管の略全てが入るように、各吸収液用スプレーノズルが前記ガス分散管の配置に対応して配置され、
導入される排ガス量に対する液ガス比で0.5〜3.0l/Nm3となる液量の吸収液を前記吸収液供給手段から各吸収液用スプレーノズルに供給して噴霧し、
この際の各吸収液用スプレーノズルにおける噴霧圧を0.5〜2.0kgf/cm2とすることを特徴とする請求項4に記載の排ガスの冷却方法。
【請求項6】
前記脱硫装置の前記排ガス導入部に外部から排ガスを導入するダクト内に補給水噴霧冷却機構を設け、
当該補給水噴霧冷却機構が前記吸収液貯留部に補給するための補給水を噴霧して導入される排ガスを冷却することを特徴とする請求項4または請求項5に記載の排ガスの冷却方法

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−543(P2011−543A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−146004(P2009−146004)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(000003285)千代田化工建設株式会社 (162)
【Fターム(参考)】