説明

脱穀装置

【課題】脱穀装置の選別ロスの軽減を図る。
【解決手段】扱胴(3)を内装した脱穀室(2)の終端の側部に排塵処理室(15)を連通させて設け、脱穀室(2)の下方には送風唐箕(5)の送風方向に往復揺動する揺動選別棚(8)を設け、脱穀室(2)の終端に形成した脱穀室排出口(51)の下部に刺さり粒落し部材(52)を設け、穀稈供給装置(30)によって搬送される穀稈に入り込んでいる刺さり粒を揺動選別棚(8)上へ落下させる構成とする。また、刺さり粒落し部材(52)を棒形状に形成し、刺さり粒落し部材(52)の基部を脱穀室排出口(51)の下側の固定部に取り付け、刺さり粒落し部材(52)の先端部は自由端として穀稈供給装置(30)で搬送される穀稈の移動経路に臨ませる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、脱穀装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来公知の特開平8−252024号公報には、扱胴を有する脱穀室と脱穀された穀粒と異物とを選別する風選室を設ける構成について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−252024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、脱穀装置の選別ロスの軽減を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決するために、次の技術的手段を講じる。
即ち、請求項1記載の発明は、扱胴(3)を内装した脱穀室(2)の終端の側部に排塵処理室(15)を連通させて設け、脱穀室(2)の下方には送風唐箕(5)の送風方向に往復揺動する揺動選別棚(8)を設け、脱穀室(2)の終端に形成した脱穀室排出口(51)の下部に刺さり粒落し部材(52)を設け、穀稈供給装置(30)によって搬送される穀稈に入り込んでいる刺さり粒を揺動選別棚(8)上へ落下させる構成としたことを特徴とする脱穀装置とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、前記刺さり粒落し部材(52)を棒形状に形成し、該刺さり粒落し部材(52)の基部を脱穀室排出口(51)の下側の固定部に取り付け、該刺さり粒落し部材(52)の先端部は自由端として穀稈供給装置(30)で搬送される穀稈の移動経路に配置したことを特徴とする請求項1記載の脱穀装置とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、前記刺さり粒落し部材(52)を、平面視において、その先端部側ほど排塵処理室(15)に接近するように傾斜させたことを特徴とする請求項2記載の脱穀装置とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、前記脱穀室排出口(51)の左右幅方向に2つの刺さり粒落し部材(52)を併設したことを特徴とする請求項2又は請求項3記載の脱穀装置とする。
請求項5記載の発明は、前記穀稈供給装置(30)の終端から排藁搬送装置(31)の始端へ至る穀稈搬送路を搬送方向下手側ほど高くなるように形成し、前記穀稈供給装置(30)の搬送方向に2つの刺さり粒落し部材(52)を設け、該2つの刺さり粒落し部材(52)のうちの搬送方向下手側の刺さり粒落し部材を、搬送方向上手側の刺さり粒落し部材よりも高い位置に配置したことを特徴とする請求項2又は請求項3記載の脱穀装置とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、脱穀室(2)の終端に形成した脱穀室排出口(51)の下部に刺さり粒落し部材(52)を設けることで、穀稈供給装置(30)によって搬送される穀稈に入り込んでいる刺さり粒を揺動選別棚(8)上へ落下させ、ロスを減少させることができる。
【0010】
請求項2記載の発明によると、上記請求項1記載の発明の効果を奏するうえに、刺さり粒落し部材(52)を棒形状に形成することで、この刺さり粒落し部材(52)の面積が小さくなり、穀粒が堆積するのを防止できる。
【0011】
請求項3記載の発明によると、上記請求項1記載の発明の効果を奏するうえに、刺さり粒落し部材(52)を棒形状に形成し、平面視において、その先端部側ほど排塵処理室(15)に接近するように傾斜させることで、この刺さり粒落し部材(52)の面積が小さくなり、穀粒が堆積するのを防止できる。
【0012】
請求項4記載の発明によると、上記請求項2又は請求項3記載の発明の効果を奏するうえに、脱穀室排出口(51)の左右幅方向に2つの刺さり粒落し部材(52)を併設することで、この2つの刺さり粒落し部材(52)が穀稈の2箇所に接触し、刺さり粒の落下を促進することができる。
【0013】
請求項5記載の発明によると、上記請求項2又は請求項3記載の発明の効果に加え、穀稈供給装置(30)から排藁搬送装置(31)への穀稈搬送路が、下手側に至に従い高くなるように形成されているので、上手側の刺さり粒落し部材に対して下手側の刺さり粒落し部材を高く位置させることで、刺さり粒落し部材(52)を穀稈に確実に接触させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】脱穀装置の側面図。
【図2】脱穀装置の背面図。
【図3】シャッタ部分の側面図。
【図4】同拡大側面図。
【図5】揺動選別棚のシーブ調節部分の側面図。
【図6】同側面図。
【図7】シャッタとシーブフィンの角度調節機構との連結部分の側面図。
【図8】脱穀装置の背面図。
【図9】同背面図。
【図10】脱穀装置の側面図。
【図11】排塵室の側面図。
【図12】同平面図。
【図13】他の実施例の平面図。
【図14】同側面図。
【図15】同背面図。
【図16】接触体を設けた脱穀装置の平面図。
【図17】同背面図。
【図18】同側面図。
【図19】接触体の第二実施例の平面図。
【図20】同背面図。
【図21】同側面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施例を図面により説明すると、1はコンバイン等に設けられる脱穀装置であり、脱穀装置1の上部には脱穀室2を設け、該脱穀室2内には扱胴3を軸装する。扱胴3の主として下方側は扱網4により包囲する。前記扱網4の下方には送風唐箕5のケーシング6を設け、送風唐箕5は終端側(後側)に向けて送風する。前記脱穀室2の終端側の下方には前記送風唐箕5の送風により穀粒と異物とを風選し得る風選室7を形成する。
【0016】
風選室7内には、送風唐箕5の送風方向に往復揺動する揺動選別棚8を設ける。実施例では、揺動選別棚8の始端部の移送棚9を前記ケーシング6の上方に臨ませ、移送棚9に落下した落下物を風選室7へ移送させるようにして揺動選別棚8とケーシング6の取付スペースを有効に配置している。
【0017】
揺動選別棚8は、前記移送棚9に続いて、穀粒と異物とを選別するシーブ10を設け、シーブ10よりも終端(排出)側には藁屑を移送し得るストローラック11を設ける。前記シーブ10の下方の揺動選別棚8には選別網12を設け、選別網12の下方には一番コンベア13を設け、一番コンベア13の終端側には二番コンベア14を設ける。
【0018】
前記脱穀室2の終端側部には排塵処理室15を設け、排塵処理室15は脱穀室2と連通させて脱穀室2で処理できない被処理物を処理する。また、実施例では、脱穀室2の側部に排塵処理室15の処理胴16と同軸状に二番処理胴17を有する二番処理室18を設け、二番処理室18に二番コンベア14の終端に設けた二番戻し装置(図示省略)の終端を接続して、二番物を処理している。
【0019】
また、風選室7の終端の上側には吸引排塵ファン(横断流ファン)20を設け、吸引排塵ファン20の下側には機外排出口21を開口させる。即ち、塵埃や藁屑は送風唐箕5の送風と吸引排塵ファン20の吸引風により吸引されて排塵排出口22より機外に排出され、吸引排塵ファン20に吸引されない藁屑等はストローラック11により機外排出口21から機外に排出される。
【0020】
しかして、前記機外排出口21には開閉自在のシャッタ25を設ける。シャッタ25は左右方向の板部材により形成され、シャッタ25の左右側を脱穀装置1の側板26または固定部に設けた軸受部材27に取付軸28により上下回動自在に取付ける。シャッタ25は、前記脱穀室2に穀稈を供給する穀稈供給装置30より引き継いで脱穀済の排藁を搬送する排藁搬送装置31に設けた層厚検出手段32と連動して開閉するように構成する。
【0021】
即ち、排藁搬送装置31によって搬送される排藁の層厚が薄いときは選別装置Sの負荷が少なく、送風唐箕5の送風が強過ぎて三番物が排出されるので、シャッタ25を閉めて、三番物ロスを減少させ、排藁搬送装置31によって搬送される排藁の層厚が厚いときは選別負荷が大なので、シャッタ25を開けて藁屑等を素早く機外に排出して選別負荷を軽減させる。
【0022】
層厚検出手段32の構成およびシャッタ25と層厚検出手段32との連結手段の構成は任意であるが、一例を示すと、前記排藁搬送装置31は排藁搬送チエン33の下方に上下自在の排藁挟持杆34を設けて、排藁搬送チエン33と排藁挟持杆34とにより排藁を挟持搬送するようにし、排藁挟持杆34は排藁の層厚が薄いときは上動し、排藁の層厚が厚いときは下動するようにして層厚検出手段32の一部を構成する。
【0023】
排藁挟持杆34には連結ロッド35の上端を接続し、連結ロッド35の下端はアーム36の先端に取付け、アーム36の基部は軸受部材27に軸装した中間軸37に固定する。中間軸37にはカム体38を固定し、カム体38には前記取付軸28に設けたローラ39を当接させ、排藁挟持杆34が上動すると連結ロッド35を牽引してシャッタ25を閉め、排藁挟持杆34が下動すると連結ロッド35を押してシャッタ25を開ける。したがって、前記連結ロッド35からカム体38までの構成は、排藁搬送装置31の層厚検出手段32と、シャッタ25と層厚検出手段32との連結手段とを兼用する構成となっている。
【0024】
40は連結ロッド35を常時上動するように付勢するバネである。
しかして、前記シーブ10は、複数のフィン41を揺動選別棚8の揺動方向に複数並設し、各フィン41は揺動選別棚8に対して回動自在に取付け、各フィン41を起立させて間隔を広く、寝かせると間隔が狭くなるようにして間隔を調節自在に構成し、このフィン41の間隔調節は前記シャッタ25の開閉に連動するようにすると、選別装置Sの選別効率が向上して好適である。
【0025】
即ち、排藁挟持杆34は排藁の層厚が薄いときは上動し、これにより連結ロッド35を牽引してシャッタ25を閉め、連動してシーブ10の間隔を狭くし、排藁の層厚が厚いときは下動して連結ロッド35を押してシャッタ25を開け、連動してシーブ10の間隔を広くする。
【0026】
連動手段は、前記中間軸37にシーブ用アーム41を固定し、シーブ用アーム41にはワイヤーやケーブル等の接続部材42の一端を接続し、接続部材42の他端をシーブ10の調節機構43に接続する。調節機構43は公知のものであり、各シーブ10は連動して回動するように揺動選別棚8に取付けられ、この何れかのシーブ10を回動させるアーム44に前記接続部材42の他端を接続する。45は前記接続部材42の一部を構成するバネ体である。
【0027】
しかして、前記シャッタ25には穀粒は通さないが前記送風唐箕5からの送風を通す通気部46を設ける。通気部46の構成は任意であり、前記シャッタ25を多孔板に形成したり、また、格子や網(メッシュ)状に形成してもよい。
【0028】
しかして、背面視排塵処理室15と吸引排塵ファン20は重合しないように、吸引排塵ファン20の側部に排塵処理室15を位置させており、前記シャッタ25は背面視少なくとも吸引排塵ファン20と略同じ左右幅に形成し、大きくても排塵処理室15の排出口46からの排出に影響しない左右幅に形成する。なお、排塵処理室15を終端側に長く形成して側面視吸引排塵ファン20と重合させている場合、特に、排塵処理室15の終端側にはシャッタ25を設けず、排塵処理室15の排出口46からの排出物の排出に影響しない左右幅に形成する。
【0029】
また、排塵処理室15は処理胴処理胴16の主として下方側を処理網47により包囲して構成し、排塵処理室15の終端は開放した開放口48に形成し、開放口48は既に穀稈から分離して単独で移動している穀粒が排出されるのを防止する単粒連れ出し防止ストッパガイド49を設ける。
【0030】
即ち、排塵処理室15では、穀粒は処理網47から落下し、藁屑は開放口48から排出されるが、この藁屑が排出されるとき処理網47上の穀粒が藁屑と一緒に連れ出されるのを単粒連れ出し防止ストッパガイド49により堰き止めるようにして、藁屑だけを開放口48から排出し、単粒連れ出し防止ストッパガイド49により堰き止めた穀粒は処理網47から落下させて機外に排出させずに、回収する。
【0031】
実施例の図10〜図12では、平面視、単粒連れ出し防止ストッパガイド49を処理胴16の軸心方向に対して終端側に至る従い吸引排塵ファン20に近づくように傾斜させ、藁屑には処理胴16の螺旋翼50を作用させて排出し、穀粒には作用させずに処理網47から落下させて回収する。
【0032】
また、図13〜図15の実施例では、単粒連れ出し防止ストッパガイド49を処理胴16の軸心方向に対して交差方向に起立させて、排塵処理室15の終端に設ける。
しかして、脱穀室2の終端に設けた脱穀室排出口51には、前記穀稈供給装置30が搬送する搬送穀稈に接触する接触体(刺さり粒落し部材)52を臨ませる。接触体52は穀稈供給装置30の搬送穀稈に接触して穀稈束内に入り込んでいる刺さり粒と呼ばれる穀粒を落下させるものであり、軸棒形状に形成し、下部を固定部に取付け上部を自由端にして穀稈供給装置30の搬送する穀稈移動路に臨ませる。実施例では、脱穀室排出口51の幅方向に複数並設している。
【0033】
また、図19〜図21の実施例では、穀稈供給装置30の搬送方向にも複数設けている。この場合、穀稈供給装置30から排藁搬送装置31へ移行する搬送路が下手側に至に従い高く形成しているので、接触体52も上手側の接触体52に対して下手側の接触体52を高く位置させると、確実に接触して好適である。
【0034】
次に作用を述べる。
穀稈を脱穀室2に穀稈供給装置30により供給すると、脱穀室2内の回転する扱胴3により脱穀され、扱網4より落下した落下物は揺動選別棚8の移送棚9上に落下し、移送棚9の移送突起により移送されてシーブ10上に至る。
【0035】
シーブ10上では、揺動するシーブ10と送風唐箕5からの送風とにより藁屑と穀粒が分離し、穀粒と少しの藁屑がシーブ10の隙間より落下し、シーブ10の隙間より落下しない落下しない藁屑等は、揺動選別棚8の揺動と送風唐箕5の送風により排出側に移動し、風選室7の終端側では、塵埃や藁屑を吸引排塵ファン20により吸引排除され、吸引排塵ファン20により吸引されない藁屑はストローラック11上に至り、ストローラック11より落下しない藁屑等は、機外排出口21より機外に排出される。
【0036】
また、穀稈供給装置30により搬送されて脱穀済の穀稈は排藁搬送装置31に引き継がれて搬送される。
前記の場合、機外排出口21には開閉自在のシャッタ25を設け、シャッタ25は排藁搬送装置31に設けた層厚検出手段32と連動して開閉するように構成しているから、排藁搬送装置31により搬送される排藁量に応じて開閉し、機外排出口21からの穀粒の飛散を防止する。
【0037】
即ち、排藁搬送装置31によって搬送される排藁の層厚が薄いときは選別装置Sの負荷が少なく、そのままの送風唐箕5の送風では強過ぎて機外排出口21から穀粒が引き飛ばされて三番ロスになるので、シャッタ25を閉めて、三番物ロスを減少させる。特に、刈取作業が終了したときは、二番戻しも少なく、ストローラック11に吹く選別風が強く、三番ロスが多いので、刈取作業終了を排藁搬送装置31の搬送排藁の無いことを層厚検出手段32により検出して、シャッタ25を閉めて、三番物ロスを防止する。
【0038】
また、排藁搬送装置31によって搬送される排藁の層厚が厚いときは選別装置Sの負荷が大なので、シャッタ25を開けて藁屑等を素早く機外に排出して選別負荷を軽減させる。
【0039】
この場合、層厚検出手段32により検出する排藁搬送量を基準にシャッタ25を開閉するので、検出手段32とシャッタ25との距離が短く、構成を簡素にしてコストを低くする。
【0040】
この層厚検出手段32は排藁搬送装置31の排藁搬送チエン33に対して遠近移動(上下)する排藁挟持杆34により構成し、排藁挟持杆34の遠近移動を機械的にシャッタ25に伝達して開閉するように構成しているから、シャッタ25の設置場所と層厚検出手段32とが近接することで、構造が簡単になる。
【0041】
また、排藁搬送装置31による排藁の搬送量と揺動選別棚8が終端に移送する非処理物の量は略比例するので、制御精度を低下させずに、構成を簡素化する。
排藁挟持杆34の遠近移動は、連結ロッド35とアーム36により機械的にシャッタ25に伝えるので、確実に作動する。
【0042】
排藁挟持杆34の遠近移動により上下する連結ロッド35の下端はアーム36の先端に取付け、アーム36の基部は軸受部材27に軸装した中間軸37に固定し、中間軸37に固定のカム体38にシャッタ25に設けたローラ39を当接させているから、カム体38とローラ39により上下移動を確実にシャッタ25の開閉運動に変換し、円滑に作動させる。
【0043】
しかして、前記シーブ10は、複数のフィン41を揺動選別棚8の揺動方向に複数並設し、各フィン41は揺動選別棚8に対して回動自在に取付け、各フィン41を起立させて間隔を広く、寝かせると間隔が狭くなるようにして間隔を調節自在に構成し、このフィン41の間隔調節はシャッタ25の開閉に連動するようにしているので、選別装置Sの選別効率を向上させて好適である。
【0044】
即ち、排藁挟持杆34は排藁の層厚が薄いときは上動し、これにより連結ロッド35を牽引してシャッタ25を閉め、連動してシーブ10の間隔を狭くして選別精度を向上させ、排藁の層厚が厚いときは下動して連結ロッド35を押してシャッタ25を開け、連動してシーブ10の間隔を広くして穀粒を落下させて、負荷を軽減させる。
【0045】
この場合、排藁挟持杆34が上動して連結ロッド35を牽引してシャッタ25を閉めると、シーブ用アーム41が接続部材42を牽引して調節機構43のアーム44を回動させてシーブ10の間隔を狭くし、排藁挟持杆34が下動して連結ロッド35を押してシャッタ25を開けると、シーブ用アーム41が回動して接続部材42を緩めて調節機構43のアーム44を回動させてシーブ10の間隔を広くする。
【0046】
しかして、前記シャッタ25には穀粒は通さないが送風唐箕5からの送風を通す通気部46を設けているから、送風唐箕5からの送風が脱穀装置1内に籠らず、選別風が乱れずに作用して選別が良好となり、また、通気部46から塵埃が排出されて、二番コンベア14に入る異物を減少させて二番物の処理効率を向上させる。
【0047】
しかして、背面視排塵処理室15と吸引排塵ファン20は重合しないように、吸引排塵ファン20の側部に排塵処理室15を位置させており、前記シャッタ25は背面視少なくとも吸引排塵ファン20と略同じ左右幅に形成し、大きくても排塵処理室15の排出口46からの排出に影響しない左右幅に形成しているから、吸引排塵ファン20側の機外排出口21をシャッタ25により閉めることで穀粒飛散を防止する一方で、排塵処理室15側の機外排出口21は開放しているので排塵処理室15から排出された藁屑は開放部分の機外排出口21から機外に排出される。
【0048】
しかして、前記排塵処理室15は処理胴16の主として下方側を処理網47により包囲し、排塵処理室15の終端は開放した開放口48に形成して吸引排塵ファン20に臨ませた構成の場合、開放口48には上方に起立する単粒連れ出し防止ストッパガイド49を設けているから、既に穀稈から分離して単独で移動している穀粒が藁屑と共に排出されるのを防止する。
【0049】
図10〜図12の実施例では、平面視、単粒連れ出し防止ストッパガイド49を処理胴16の軸心方向に対して終端側に至る従い吸引排塵ファン20に近づくように傾斜させているから、藁屑には処理胴16の螺旋翼50が作用して搬送されてそのまま排出し、穀粒は単粒連れ出し防止ストッパガイド49により螺旋翼50が作用せずに処理網47から落下させて回収する。
【0050】
また、図13〜図15の実施例では、単粒連れ出し防止ストッパガイド49を処理胴16の軸心方向に対して交差方向に起立させて、排塵処理室15の終端に設けているから、藁屑は螺旋翼50により搬送される後続の藁屑により押されて単粒連れ出し防止ストッパガイド49を乗り越えて機外に排出され、穀粒は単粒連れ出し防止ストッパガイド49により堰き止められ、処理網47から落下して回収される。
【0051】
しかして、脱穀室2の終端に設けた脱穀室排出口51には、前記穀稈供給装置30が搬送する搬送穀稈に接触する接触体52を臨ませているから、穀稈供給装置30によって搬送中の穀稈は接触体52に接触して接触体52を過ぎるときの衝撃を受け、この衝撃により穀稈束内に入り込んでいる刺さり粒と呼ばれる穀粒が落下し、ロスを減少させる。
【0052】
この場合、接触体52は、上方に突き出る軸棒形状に形成し、上部を自由端にしているから、穀稈に接触する面積が少なく、穀粒はそのまま落下し、接触体52に堆積するのを防止する。また、接触体52は単に上方に突き出る軸棒形状部材で形成すればよいので、コストを高くさせない。
【0053】
実施例の接触体52は、脱穀室排出口51の幅方向に複数並設しているから、穀稈の複数箇所に接触し、穀粒落下を促進させる。
また、図13〜図21の実施例では、穀稈供給装置30の搬送方向にも複数設けているから、搬送中数回穀粒を落下させる衝撃を与えられる。
【0054】
しかして、シーブ10より落下した落下物のうち穂切れ、枝梗付着粒等は、二番受樋内に落下し、また、ストローラック11の揺動で落下した穂切れ、枝梗付着粒等と共に、二番コンベア14を介して二番戻し装置により二番処理室18に戻して再処理される。
【0055】
上述のように、脱穀室2に穀稈を供給する穀稈供給装置30の終端に脱穀済の排藁を搬送する排藁搬送装置31を設け、該排藁搬送装置31の搬送する排藁の層厚を検出する層厚検出手段32を設け、該層厚検出手段32により脱穀された穀粒と異物とを選別する風選室7の終端に設けたシャッタ25が機外排出口21を開閉させるように構成した脱穀装置としたものであるから、排藁搬送装置31により搬送される排藁量に応じて開閉させるので、検出手段32とシャッタ25との距離が短く、構成が簡素で低コストとなる。
【0056】
また、前記層厚検出手段32は、前記排藁搬送装置31の排藁搬送チエン33に対して遠近移動する排藁挟持杆34の上下を検出するように構成し、前記層厚検出手段32と前記シャッタ25とは、連結ロッド35等により機械的に連結した脱穀装置としたものであるから、シャッタ25の設置場所と層厚検出手段32とが近接することで、構造が簡単になって、コストを低くし、また、排藁挟持杆34の遠近移動を機械的にシャッタ25に伝えるので確実に作動するだけでなく、この点でもコストを低くする。
【0057】
また、前記風選室7に設けた揺動選別棚8のシーブ10の各フィン41は間隔調節自在にし、前記フィン41の間隔調節はシャッタ25の開閉に連動するように構成した脱穀装置としたものであるから、合理的な構成となって、選別負荷を軽減させ、また、選別効率を向上させて好適である。本発明は、前記シャッタ25は穀粒は通さないが前記風選室7に送風する送風唐箕5からの送風を通す通気部46を設けた脱穀装置としたものであるから、通気部46から塵埃を排出でき、また、風唐箕5からの選別風が乱れずに作用して選別が良好となる。
【0058】
また、前記脱穀室2の側部に該脱穀室2からの被処理物を処理する排塵処理室15を並設し、該排塵処理室15は前記風選室7の終端に設けた吸引排塵ファン20と搬送方向基準の背面視において重合しないようにすると共に、前記シャッタ25は背面視少なくとも吸引排塵ファン20と略同じ左右幅に形成し、大きくても排塵処理室15の排出口46からの排出に影響しない左右幅に形成した脱穀装置としたものであるから、機外排出口21のうち吸引排塵ファン20側をシャッタ25により閉めることで穀粒飛散を防止し、排塵処理室15側の機外排出口21から藁屑を排出させる。
【符号の説明】
【0059】
2 脱穀室
3 扱胴
5 送風唐箕
8 揺動選別棚
15 排塵処理室
30 穀稈供給装置
31 排藁搬送装置
51 脱穀室排出口
52 接触体(刺さり粒落し部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扱胴(3)を内装した脱穀室(2)の終端の側部に排塵処理室(15)を連通させて設け、脱穀室(2)の下方には送風唐箕(5)の送風方向に往復揺動する揺動選別棚(8)を設け、脱穀室(2)の終端に形成した脱穀室排出口(51)の下部に刺さり粒落し部材(52)を設け、穀稈供給装置(30)によって搬送される穀稈に入り込んでいる刺さり粒を揺動選別棚(8)上へ落下させる構成としたことを特徴とする脱穀装置。
【請求項2】
前記刺さり粒落し部材(52)を棒形状に形成し、該刺さり粒落し部材(52)の基部を脱穀室排出口(51)の下側の固定部に取り付け、該刺さり粒落し部材(52)の先端部は自由端として穀稈供給装置(30)で搬送される穀稈の移動経路に配置したことを特徴とする請求項1記載の脱穀装置。
【請求項3】
前記刺さり粒落し部材(52)を、平面視において、その先端部側ほど排塵処理室(15)に接近するように傾斜させたことを特徴とする請求項2記載の脱穀装置。
【請求項4】
前記脱穀室排出口(51)の左右幅方向に2つの刺さり粒落し部材(52)を併設したことを特徴とする請求項2又は請求項3記載の脱穀装置。
【請求項5】
前記穀稈供給装置(30)の終端から排藁搬送装置(31)の始端へ至る穀稈搬送路を搬送方向下手側ほど高くなるように形成し、前記穀稈供給装置(30)の搬送方向に2つの刺さり粒落し部材(52)を設け、該2つの刺さり粒落し部材(52)のうちの搬送方向下手側の刺さり粒落し部材を、搬送方向上手側の刺さり粒落し部材よりも高い位置に配置したことを特徴とする請求項2又は請求項3記載の脱穀装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−103904(P2011−103904A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51750(P2011−51750)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【分割の表示】特願2001−17488(P2001−17488)の分割
【原出願日】平成13年1月25日(2001.1.25)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】