脱穀装置
【課題】扱胴の横側部に並置した第1処理胴の上方に第2処理胴を配置することで、第1処理胴によって持ち上げられた2番処理物を第2処理胴によって拡散処理し、枝梗などの脱粒処理や藁屑との分離を確実に行い、2番処理性能を向上させる。
【解決手段】扱室(3)内に軸架した扱胴(4)の横側に、脱穀選別後の2番還元物を受け入れて処理する第1処理胴(10)を平行に配置し、この第1処理胴(10)の上方には、第1処理胴(10)の回転によって持ち上げられた処理物を取り込んで処理する第2処理胴(17)を配置する。
【解決手段】扱室(3)内に軸架した扱胴(4)の横側に、脱穀選別後の2番還元物を受け入れて処理する第1処理胴(10)を平行に配置し、この第1処理胴(10)の上方には、第1処理胴(10)の回転によって持ち上げられた処理物を取り込んで処理する第2処理胴(17)を配置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、扱室内で発生する2番物を処理する2番処理機構を備えた脱穀装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、扱室内で発生する2番物を受け入れて脱粒処理する2番処理胴を扱胴と平行状に並設装備した構成のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−79567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成の2番処理胴では、2番物(穂切れや枝梗等の未処理物)の脱粒処理は容易に行えても、脱粒処理された穀粒と藁屑との分離が充分ではなく、特に、湿った穀稈の脱穀作業にあたっては、処理物が団子状に絡み合って解れず、多大の負荷を要し、処理性能の低下を招くものであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の発明は、扱室(3)内に軸架した扱胴(4)の横側に、脱穀選別後の2番還元物を受け入れて処理する第1処理胴(10)を平行に配置し、この第1処理胴(10)の上方には、該第1処理胴(10)の回転によって持ち上げられた処理物を取り込んで処理する第2処理胴(17)を配置した脱穀装置とする。
【0006】
扱室(3)内では扱胴(4)の回転によって穀稈が脱穀処理される。扱室(3)内で発生し選別された穂切れなどの未処理物を含む2番物は、2番還元装置(20)を介して第1処理胴(10)へ還元され、この第1処理胴(10)の回転によって脱粒処理される。また、第1処理胴(10)の回転によって持ち上げられた処理物は、上方の第2処理胴(17)に取り込まれて処理される。
【0007】
第1処理胴(10)によって持ち上げられた2番処理物を上方の第2処理胴(17)によって更に処理するものであるため、枝梗などの処理が適切に行え、穀粒とや藁屑との分離が良好に行える。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記第1処理胴(10)の回転方向を扱胴(4)の回転方向と同一方向に設定し、前記第2処理胴(17)の回転方向を第1処理胴(10)の回転方向とは反対方向に設定した請求項1記載の脱穀装置とする。
【0009】
第2処理胴(17)は、第1処理胴(10)の回転方向とは反対方向に回転するので、第1処理胴(10)で持ち上げられた処理物を素早く取り込んで処理することができる。
請求項3記載の発明は、前記第1処理胴(10)を、第2処理胴(17)よりも扱胴(4)側に接近する位置に配置した請求項1又は請求項2記載の脱穀装置とする。
【0010】
第1処理胴(10)の上方が開放された形態になるので、第1処理胴室内には、扱室(3)の受網の上部から漏出する処理物も受け入れ易くなり、処理性能が向上する。
請求項4記載の発明は、前記第2処理胴(17)を、第1処理胴(10)よりも扱胴(4)側に接近する位置に配置した請求項1又は請求項2記載の脱穀装置とする。
【0011】
扱胴(4)側に接近した第2処理胴(17)によって、扱室(3)の受網上部から漏出する処理物をも直接受け入れて処理することができ、第1処理胴(10)を経由することなく、直接下方の揺動選別棚上に落下させて選別処理することができ、2番処理が効率よく行える。
【0012】
請求項5記載の発明は、前記第2処理胴(17)の回転方向を扱胴(4)の回転方向と同一方向に設定し、前記第1処理胴(10)の回転方向は第2処理胴(17)の回転方向とは反対方向に設定した請求項1又は請求項3又は請求項4記載の脱穀装置とする。
【0013】
第1処理胴(10)と第2処理胴(17)は互いに反対方向に回転するため、第1処理胴(10)から第2処理胴(17)への処理物の取り込みが容易で、拡散処理が適切に行える。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、第1処理胴(10)の上方に第2処理胴(17)を配置することで、第1処理胴(10)によって持ち上げられた2番処理物を第2処理胴(17)によって更に処理することができるため、枝梗などの脱粒処理や藁屑との分離を確実良好に行うことができ、2番処理性能を高めることができる。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明の効果を奏するものでありながら、第2処理胴(17)は第1処理胴(10)の回転方向とは反対方向に回転するので、第1処理胴(10)で持ち上げられた処理物を素早く取り込んで処理することができ、2番処理性能をより高めることができる。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、上記請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、第1処理胴(10)の上方が開放された形態になるので、第1処理胴室内には、扱室(3)の受網上部から漏下する処理物の受け入れが容易となり、処理性能が向上する。
【0017】
請求項4記載の発明によれば、上記請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、第2処理胴(17)が扱胴(4)側に寄った位置にあるので、扱室(3)の受網の上部から漏下する処理物をも直接受け入れて処理することができ、第1処理胴(10)を経由することなく、直接下方の揺動選別棚上に落下させて選別処理することができ、2番処理が効率よく行える。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、上記請求項1又は請求項3又は請求項4記載の発明の効果に加えて、第1処理胴(10)と第2処理胴(17)は互いに反対方向に回転するため、第1処理胴(10)から第2処理胴(17)への処理物の取り込みが容易で、拡散処理が適切に行える。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】脱穀装置の要部の左側面図
【図2】脱穀装置の要部の左側面図
【図3】脱穀装置の要部の正面図
【図4】脱穀装置の要部の平面図
【図5】脱穀装置の要部の正面図
【図6】脱穀装置の要部の正面図
【図7】脱穀装置の要部の正面図
【図8】脱穀装置の別実施例要部の正面図
【図9】脱穀装置の別実施例要部の正面図
【図10】選別部の側面図
【図11】同上要部の平面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1は、脱穀装置の側断面図を示すものであり、次のような構成になっている。
すなわち、脱穀装置(脱穀部)1は、脱穀フィードチェン2により株元を挟持しながら搬送される穀稈の穂先部を扱室3内で駆動回転する扱胴4により脱穀処理するよう構成している。扱室3の下半周部には受網5が張設され、扱室上部には扱胴カバー6が設けられている。扱室3の終端側には多量の藁屑や未処理物を含む排塵処理物を下方に落下させる排塵口7が設けられている。
【0021】
前記扱室3のフィードチェン2側とは反対側一側には、扱室からの2番物を受け入れて脱粒処理し外周に送り螺旋8及び処理歯9を備えた第1処理胴10を内装軸架した第1処理室11を並設している。また、前記第1処理胴10の後方にはこれと同一軸芯上において外周に連続する螺旋処理歯13を備えた排塵処理胴14が排塵処理室内に架設されている。
【0022】
第1処理胴10は、連続する送り螺旋と、螺旋状に所定間隔おきに植設した不連続の処理歯9とにより、2番還元装置20を介して第1処理室11内に還元された2番物を前方に向けて搬送しながら室内底部の処理網12との間で脱粒処理するように構成している。
【0023】
第1処理胴10の上方には、外周に拡散螺旋15と拡散処理歯16を備えた第2処理胴17が架設され、第1処理胴10によって持ち上げられた処理物を取り込んで前方に向けて搬送しながら拡散処理するように構成している。上下処理胴10,17の外側壁19は、上下方向一つに連なる一体構成としている。
【0024】
なお、前記第2処理胴17は、図1例のように、第1処理胴の全長にわたり設けるものであってもよく、また、図2例のように、第1処理胴10上方の前側のみに設けるものであっても良い。
【0025】
図3例では、扱胴4は、A方向時計回りに回転し、第1処理胴10は、扱胴と同方向のB方向に回転する。そして、第2処理胴17は、第1処理胴10とは反対方向C方向(反時計方向)に回転するようになっている。扱胴4から第1処理胴10へは同じ方向に回転するようベルト伝動によって連動構成してあり、第1処理胴10から第2処理胴17へは互いに逆回転するよう逆転機構を介して動力伝達する構成としている。上下の処理胴10,17の回転径が異なる構成にすることもでき、例えば、第2処理胴17の回転径を第1処理胴のそれよりも小径にし、且つ、回転速度を増速することによって拡散効果を高めるように構成することもできる。
【0026】
図5例は、下方の第1処理胴10側を、上方の第2処理胴17側よりも扱胴4側に近づけた位置に配置し、第2処理胴は外側に偏倚させた配置構成としている。
図6例は、図5例とは逆に、上方の第2処理胴17側を、下方の第1処理胴10側よりも扱胴4側に近づけた位置に配置し、第1処理胴10はそれより外側に偏倚させた配置構成としている。
【0027】
また、図7例においては、第2処理胴17の回転方向Cを、扱胴4の回転方向Aと同一方向とし、第1処理胴10の回転方向 Bは、第2処理胴17の回転方向Cとは反対方向に回転する構成としている。
【0028】
図8に示す別実施例について説明すると、2番還元物を処理する処理胴10において、処理胴10の上側に扱胴側が低くなるように傾斜させた濾過網(クリンプ網や目抜き板等)21を設けることで、扱室受網5の上部からの漏下物を受け入れて選別処理することができ、同時に処理室11内での処理胴による搬送時の跳ね上げ持ち上げを規制し、処理性能を高めることができる。
【0029】
また、図9例では、処理胴10の上方に扱室の受網上部からの漏下処理物を受けて案内落下せせる流下案内板22と、処理胴による回転方向の跳ね上げを規制する規制板23を設けた構成としている。
【0030】
扱室下方の揺動選別装置(揺動選別棚)26は、揺動クランク機構によって前後方向に揺動駆動されるようになっていて、脱穀処理後の処理物を受け入れて揺動移送しながらふるい選別する構成であり(図1及び図10参照)、選別方向上手側から移送棚27、選別板28、チャフシーブ29、ストロ−ラック30の順に配置し、且つ、前記チャフシ−ブ29の下方にグレンシ−ブ31、1番戻し棚32a、2番戻し棚32bを配置して設けた構成としている。
【0031】
また、揺動選別棚26の下方には選別方向の上手側から順に、唐箕35と、1番螺旋36、2番螺旋37と、その上方に吸引排塵フアン38を設けて排塵選別室を構成している。
【0032】
唐箕35からの選別風は、風向板39a,39b,39cによって分流案内されるようになっており、上段風選経路40a,中段風選経路40b,下段風選経路40cが形成され、揺動選別棚26の各部それぞれに導入されるようになっている。
【0033】
前記選別板28は、フラットな板体によって構成され、穀粒が濾過する程度の選別孔33が設けられている。そして、この選別板28にも前記上段風選経路40aによって選別風が通過するようになっている。選別板をラック形状でなく、フラットな板体とすることで、被選別物の送り作用が適度に減少し、被選別物が比較的長くとどまることで、揺動選別の機会を増やすことができ、選別効果を高めることができる。
【0034】
選別孔の大きさを前方に比べ後方を大きくすることで、前方の漏下量を後方に比べて少なくすることができ、選別風を漏下物に対し均等に作用させることができる。
孔の大きさにおいて、横幅は一定で前後方向の長さを前方に比べ後方を長くすることによっても上記同様に選別風を均等に作用させることができる。
【0035】
また、選別板の左右端側の孔の大きさを中央部に比べて小さくすることで、左右端は唐箕の性質上風が弱いため、被選別物が多量に漏下し、風選別が悪化するが、これを解消することができる。
【0036】
更に、選別板の右側部分の孔の大きさを左側部分に比べて小さくしておくと、漏下量を左右で均一化することができる。つまり、移送棚上は、搬送される穀稈の穂の位置関係や2番還元位置の関係から処理物が右側に偏る傾向があり、左側は処理量の層が薄くなるため、左側の孔を大きくして漏下量を増やし、右側の漏下量を控え目にすることで、漏下量が左右で均一化し、風選別が効果的に行える。
【符号の説明】
【0037】
3 扱室
4 扱胴
9 処理歯
10 第1処理胴
12 処理網
17 第2処理胴
【技術分野】
【0001】
この発明は、扱室内で発生する2番物を処理する2番処理機構を備えた脱穀装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、扱室内で発生する2番物を受け入れて脱粒処理する2番処理胴を扱胴と平行状に並設装備した構成のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−79567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成の2番処理胴では、2番物(穂切れや枝梗等の未処理物)の脱粒処理は容易に行えても、脱粒処理された穀粒と藁屑との分離が充分ではなく、特に、湿った穀稈の脱穀作業にあたっては、処理物が団子状に絡み合って解れず、多大の負荷を要し、処理性能の低下を招くものであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の発明は、扱室(3)内に軸架した扱胴(4)の横側に、脱穀選別後の2番還元物を受け入れて処理する第1処理胴(10)を平行に配置し、この第1処理胴(10)の上方には、該第1処理胴(10)の回転によって持ち上げられた処理物を取り込んで処理する第2処理胴(17)を配置した脱穀装置とする。
【0006】
扱室(3)内では扱胴(4)の回転によって穀稈が脱穀処理される。扱室(3)内で発生し選別された穂切れなどの未処理物を含む2番物は、2番還元装置(20)を介して第1処理胴(10)へ還元され、この第1処理胴(10)の回転によって脱粒処理される。また、第1処理胴(10)の回転によって持ち上げられた処理物は、上方の第2処理胴(17)に取り込まれて処理される。
【0007】
第1処理胴(10)によって持ち上げられた2番処理物を上方の第2処理胴(17)によって更に処理するものであるため、枝梗などの処理が適切に行え、穀粒とや藁屑との分離が良好に行える。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記第1処理胴(10)の回転方向を扱胴(4)の回転方向と同一方向に設定し、前記第2処理胴(17)の回転方向を第1処理胴(10)の回転方向とは反対方向に設定した請求項1記載の脱穀装置とする。
【0009】
第2処理胴(17)は、第1処理胴(10)の回転方向とは反対方向に回転するので、第1処理胴(10)で持ち上げられた処理物を素早く取り込んで処理することができる。
請求項3記載の発明は、前記第1処理胴(10)を、第2処理胴(17)よりも扱胴(4)側に接近する位置に配置した請求項1又は請求項2記載の脱穀装置とする。
【0010】
第1処理胴(10)の上方が開放された形態になるので、第1処理胴室内には、扱室(3)の受網の上部から漏出する処理物も受け入れ易くなり、処理性能が向上する。
請求項4記載の発明は、前記第2処理胴(17)を、第1処理胴(10)よりも扱胴(4)側に接近する位置に配置した請求項1又は請求項2記載の脱穀装置とする。
【0011】
扱胴(4)側に接近した第2処理胴(17)によって、扱室(3)の受網上部から漏出する処理物をも直接受け入れて処理することができ、第1処理胴(10)を経由することなく、直接下方の揺動選別棚上に落下させて選別処理することができ、2番処理が効率よく行える。
【0012】
請求項5記載の発明は、前記第2処理胴(17)の回転方向を扱胴(4)の回転方向と同一方向に設定し、前記第1処理胴(10)の回転方向は第2処理胴(17)の回転方向とは反対方向に設定した請求項1又は請求項3又は請求項4記載の脱穀装置とする。
【0013】
第1処理胴(10)と第2処理胴(17)は互いに反対方向に回転するため、第1処理胴(10)から第2処理胴(17)への処理物の取り込みが容易で、拡散処理が適切に行える。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、第1処理胴(10)の上方に第2処理胴(17)を配置することで、第1処理胴(10)によって持ち上げられた2番処理物を第2処理胴(17)によって更に処理することができるため、枝梗などの脱粒処理や藁屑との分離を確実良好に行うことができ、2番処理性能を高めることができる。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明の効果を奏するものでありながら、第2処理胴(17)は第1処理胴(10)の回転方向とは反対方向に回転するので、第1処理胴(10)で持ち上げられた処理物を素早く取り込んで処理することができ、2番処理性能をより高めることができる。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、上記請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、第1処理胴(10)の上方が開放された形態になるので、第1処理胴室内には、扱室(3)の受網上部から漏下する処理物の受け入れが容易となり、処理性能が向上する。
【0017】
請求項4記載の発明によれば、上記請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、第2処理胴(17)が扱胴(4)側に寄った位置にあるので、扱室(3)の受網の上部から漏下する処理物をも直接受け入れて処理することができ、第1処理胴(10)を経由することなく、直接下方の揺動選別棚上に落下させて選別処理することができ、2番処理が効率よく行える。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、上記請求項1又は請求項3又は請求項4記載の発明の効果に加えて、第1処理胴(10)と第2処理胴(17)は互いに反対方向に回転するため、第1処理胴(10)から第2処理胴(17)への処理物の取り込みが容易で、拡散処理が適切に行える。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】脱穀装置の要部の左側面図
【図2】脱穀装置の要部の左側面図
【図3】脱穀装置の要部の正面図
【図4】脱穀装置の要部の平面図
【図5】脱穀装置の要部の正面図
【図6】脱穀装置の要部の正面図
【図7】脱穀装置の要部の正面図
【図8】脱穀装置の別実施例要部の正面図
【図9】脱穀装置の別実施例要部の正面図
【図10】選別部の側面図
【図11】同上要部の平面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1は、脱穀装置の側断面図を示すものであり、次のような構成になっている。
すなわち、脱穀装置(脱穀部)1は、脱穀フィードチェン2により株元を挟持しながら搬送される穀稈の穂先部を扱室3内で駆動回転する扱胴4により脱穀処理するよう構成している。扱室3の下半周部には受網5が張設され、扱室上部には扱胴カバー6が設けられている。扱室3の終端側には多量の藁屑や未処理物を含む排塵処理物を下方に落下させる排塵口7が設けられている。
【0021】
前記扱室3のフィードチェン2側とは反対側一側には、扱室からの2番物を受け入れて脱粒処理し外周に送り螺旋8及び処理歯9を備えた第1処理胴10を内装軸架した第1処理室11を並設している。また、前記第1処理胴10の後方にはこれと同一軸芯上において外周に連続する螺旋処理歯13を備えた排塵処理胴14が排塵処理室内に架設されている。
【0022】
第1処理胴10は、連続する送り螺旋と、螺旋状に所定間隔おきに植設した不連続の処理歯9とにより、2番還元装置20を介して第1処理室11内に還元された2番物を前方に向けて搬送しながら室内底部の処理網12との間で脱粒処理するように構成している。
【0023】
第1処理胴10の上方には、外周に拡散螺旋15と拡散処理歯16を備えた第2処理胴17が架設され、第1処理胴10によって持ち上げられた処理物を取り込んで前方に向けて搬送しながら拡散処理するように構成している。上下処理胴10,17の外側壁19は、上下方向一つに連なる一体構成としている。
【0024】
なお、前記第2処理胴17は、図1例のように、第1処理胴の全長にわたり設けるものであってもよく、また、図2例のように、第1処理胴10上方の前側のみに設けるものであっても良い。
【0025】
図3例では、扱胴4は、A方向時計回りに回転し、第1処理胴10は、扱胴と同方向のB方向に回転する。そして、第2処理胴17は、第1処理胴10とは反対方向C方向(反時計方向)に回転するようになっている。扱胴4から第1処理胴10へは同じ方向に回転するようベルト伝動によって連動構成してあり、第1処理胴10から第2処理胴17へは互いに逆回転するよう逆転機構を介して動力伝達する構成としている。上下の処理胴10,17の回転径が異なる構成にすることもでき、例えば、第2処理胴17の回転径を第1処理胴のそれよりも小径にし、且つ、回転速度を増速することによって拡散効果を高めるように構成することもできる。
【0026】
図5例は、下方の第1処理胴10側を、上方の第2処理胴17側よりも扱胴4側に近づけた位置に配置し、第2処理胴は外側に偏倚させた配置構成としている。
図6例は、図5例とは逆に、上方の第2処理胴17側を、下方の第1処理胴10側よりも扱胴4側に近づけた位置に配置し、第1処理胴10はそれより外側に偏倚させた配置構成としている。
【0027】
また、図7例においては、第2処理胴17の回転方向Cを、扱胴4の回転方向Aと同一方向とし、第1処理胴10の回転方向 Bは、第2処理胴17の回転方向Cとは反対方向に回転する構成としている。
【0028】
図8に示す別実施例について説明すると、2番還元物を処理する処理胴10において、処理胴10の上側に扱胴側が低くなるように傾斜させた濾過網(クリンプ網や目抜き板等)21を設けることで、扱室受網5の上部からの漏下物を受け入れて選別処理することができ、同時に処理室11内での処理胴による搬送時の跳ね上げ持ち上げを規制し、処理性能を高めることができる。
【0029】
また、図9例では、処理胴10の上方に扱室の受網上部からの漏下処理物を受けて案内落下せせる流下案内板22と、処理胴による回転方向の跳ね上げを規制する規制板23を設けた構成としている。
【0030】
扱室下方の揺動選別装置(揺動選別棚)26は、揺動クランク機構によって前後方向に揺動駆動されるようになっていて、脱穀処理後の処理物を受け入れて揺動移送しながらふるい選別する構成であり(図1及び図10参照)、選別方向上手側から移送棚27、選別板28、チャフシーブ29、ストロ−ラック30の順に配置し、且つ、前記チャフシ−ブ29の下方にグレンシ−ブ31、1番戻し棚32a、2番戻し棚32bを配置して設けた構成としている。
【0031】
また、揺動選別棚26の下方には選別方向の上手側から順に、唐箕35と、1番螺旋36、2番螺旋37と、その上方に吸引排塵フアン38を設けて排塵選別室を構成している。
【0032】
唐箕35からの選別風は、風向板39a,39b,39cによって分流案内されるようになっており、上段風選経路40a,中段風選経路40b,下段風選経路40cが形成され、揺動選別棚26の各部それぞれに導入されるようになっている。
【0033】
前記選別板28は、フラットな板体によって構成され、穀粒が濾過する程度の選別孔33が設けられている。そして、この選別板28にも前記上段風選経路40aによって選別風が通過するようになっている。選別板をラック形状でなく、フラットな板体とすることで、被選別物の送り作用が適度に減少し、被選別物が比較的長くとどまることで、揺動選別の機会を増やすことができ、選別効果を高めることができる。
【0034】
選別孔の大きさを前方に比べ後方を大きくすることで、前方の漏下量を後方に比べて少なくすることができ、選別風を漏下物に対し均等に作用させることができる。
孔の大きさにおいて、横幅は一定で前後方向の長さを前方に比べ後方を長くすることによっても上記同様に選別風を均等に作用させることができる。
【0035】
また、選別板の左右端側の孔の大きさを中央部に比べて小さくすることで、左右端は唐箕の性質上風が弱いため、被選別物が多量に漏下し、風選別が悪化するが、これを解消することができる。
【0036】
更に、選別板の右側部分の孔の大きさを左側部分に比べて小さくしておくと、漏下量を左右で均一化することができる。つまり、移送棚上は、搬送される穀稈の穂の位置関係や2番還元位置の関係から処理物が右側に偏る傾向があり、左側は処理量の層が薄くなるため、左側の孔を大きくして漏下量を増やし、右側の漏下量を控え目にすることで、漏下量が左右で均一化し、風選別が効果的に行える。
【符号の説明】
【0037】
3 扱室
4 扱胴
9 処理歯
10 第1処理胴
12 処理網
17 第2処理胴
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扱室(3)内に軸架した扱胴(4)の横側に、脱穀選別後の2番還元物を受け入れて処理する第1処理胴(10)を平行に配置し、この第1処理胴(10)の上方には、該第1処理胴(10)の回転によって持ち上げられた処理物を取り込んで処理する第2処理胴(17)を配置した脱穀装置。
【請求項2】
前記第1処理胴(10)の回転方向を扱胴(4)の回転方向と同一方向に設定し、前記第2処理胴(17)の回転方向を第1処理胴(10)の回転方向とは反対方向に設定した請求項1記載の脱穀装置。
【請求項3】
前記第1処理胴(10)を、第2処理胴(17)よりも扱胴(4)側に接近する位置に配置した請求項1又は請求項2記載の脱穀装置。
【請求項4】
前記第2処理胴(17)を、第1処理胴(10)よりも扱胴(4)側に接近する位置に配置した請求項1又は請求項2記載の脱穀装置。
【請求項5】
前記第2処理胴(17)の回転方向を扱胴(4)の回転方向と同一方向に設定し、前記第1処理胴(10)の回転方向は第2処理胴(17)の回転方向とは反対方向に設定した請求項1又は請求項3又は請求項4記載の脱穀装置。
【請求項1】
扱室(3)内に軸架した扱胴(4)の横側に、脱穀選別後の2番還元物を受け入れて処理する第1処理胴(10)を平行に配置し、この第1処理胴(10)の上方には、該第1処理胴(10)の回転によって持ち上げられた処理物を取り込んで処理する第2処理胴(17)を配置した脱穀装置。
【請求項2】
前記第1処理胴(10)の回転方向を扱胴(4)の回転方向と同一方向に設定し、前記第2処理胴(17)の回転方向を第1処理胴(10)の回転方向とは反対方向に設定した請求項1記載の脱穀装置。
【請求項3】
前記第1処理胴(10)を、第2処理胴(17)よりも扱胴(4)側に接近する位置に配置した請求項1又は請求項2記載の脱穀装置。
【請求項4】
前記第2処理胴(17)を、第1処理胴(10)よりも扱胴(4)側に接近する位置に配置した請求項1又は請求項2記載の脱穀装置。
【請求項5】
前記第2処理胴(17)の回転方向を扱胴(4)の回転方向と同一方向に設定し、前記第1処理胴(10)の回転方向は第2処理胴(17)の回転方向とは反対方向に設定した請求項1又は請求項3又は請求項4記載の脱穀装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−27354(P2013−27354A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165715(P2011−165715)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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