説明

脱脂脱水骨髄

【課題】骨、軟骨および腱などの筋骨格組織の修復/再生に有用な骨髄から、筋骨格形成に重要な役割を果たさない成分と考えられる脂肪及び水を除去する。
【解決手段】手術中の患者から得た骨髄穿刺液を、脂肪が通過しないフィルターを通過させるか、又は遠心分離により脂肪上清を除去することにより、脂肪を実質的に除去する。水の除去は、水は通すことができるが他の骨髄穿刺液成分は通さない多孔質側壁を有する分離カラムに骨髄穿刺液をかけることにより達成される。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の背景〕
骨髄は、骨、軟骨および腱などの筋骨格組織の修復/再生に有用な自家移植片材料生成のための筋骨格形成(musculoskeletogenic、MSG)成分源と見なされてきた。骨髄穿刺液(Bone marrow aspirate、BMA)は、通常は、周知の技術によって、手術中の患者から入手され、下記の表Iに示す以下の成分を含む。
【表1】

BCFは、有核骨髄細胞(nucleated bone marrow cells、NBMC)、血小板、蛋白、および、従来の全BMAの遠心分離によって測定した場合に、BMAの血清と赤血球部分の間に存在する密度帯の材料に含有される分子を全て含む。BCFのNBMC成分は、通常は、表IIに示す以下の細胞型および概算濃度の項目を含む。
【表2】

【0002】
骨形成能に関する骨髄を使用する第1の従来法では、全骨髄または「新鮮」骨髄が移植片として直接使用され、あるいは、骨移植片複合物を生成するマトリックス材と配合される。例えば、Harada, Bone 9 (1988) 177-183は、拡散チャンバー内に含有される脱塩骨マトリックス(DBM)の多孔質マトリックス内に全BMAを含む複合物を開示した。しかし、拡散チャンバーは、栄養素を通過させる半透膜を有し、それによって、骨形成に必須の細胞成分および血管系の流入を防ぐ。さらに、この手法の成功は、一部、骨髄中の天然MSPCレベルに左右され、患者の骨髄の当該天然MSPCレベルは、時に、枯渇するので、この手法の広範囲な有用性は、制限される。さらに、比較的正常な天然MSPCレベルでさえ、これらの細胞は、新鮮骨髄中で比較的乏しく、そのため、全骨髄自体の骨形成能は、制限される。
【0003】
第2の従来法では、全骨髄から血漿が除去され、残りの、BCFおよび赤血球を含む混合物が、移植片材料として直接使用されるか、骨移植片複合物生成のためにマトリックス材料と配合される。例えば、Ohgushi, J. Biomed. Mat. Res. (1990), 24:1563-70は、BMAの遠心分離、および、残りの赤血球/BCF画分のHAまたはTCPの多孔質マトリックス内の間質液としての使用を開示した。血漿は、骨髄穿刺液の約45容量パーセント(vol%)を占めるので、この方法は、新鮮骨髄において、天然MSPCレベルに比較して、MSPCレベルのわずかな上昇しか生じない(即ち、2倍未満の増加)。さらに、当該懸濁液は、基本的に、アルブミンなどの血漿に認められる可溶性または不溶性因子を欠如している。最後に、この組成物中の赤血球(RBC)の存在は、RBC溶解後、表面進入可能性の立体障害および高局所鉄濃度によって、MSPC活性の阻害を引き起こす可能性もある。
【0004】
第3の従来法では、BMAのバフィーコートは、血漿および赤血球画分から単離される。例えば、Connolly et al., JBJS (1989) pp.684-691は、BMAの骨形成能を“最適化”することに努め、拡散チャンバーでのBMAの画分の単離およびその後のそれら画分の移植片材料としての使用を開示した。Connollyは、以下の単離法を使用した。
即ち、
a)簡易遠心分離とそれに続く上清(即ち、血清)画分の除去
b)等密度遠心分離とそれに続く軽い細胞(バフィーコート)および赤血球画分の分離除去、
および、
c)単位重力遠心分離とそれに続く軽い細胞(バフィーコート)および赤血球画分の分離除去である。
Connollyは、等密度遠心分離によって生じる濃縮軽細胞(バフィーコート)画分が拡散チャンバー内で最高レベルのカルシウム生成を生じる、と報告したが、Connollyは、さらなる研究のために、簡易遠心分離によって生じる赤血球/軽細胞配合物(即ち、軽細胞および赤血球画分)を選択した。さらに、Connollyは、拡散チャンバー内での多孔質基質キャリア材料を提供しなかった。最後に、BCFを利用したConnollyの例は、BMAの血漿画分中に存在する因子も排除した。
【0005】
第4の従来法では、単離バフィーコートがさらに分画される。例えば、Budenz et al., Am.J.Anat., 159 (1980), pp.455-474は、骨髄穿刺液画分の高濃度での単離と、その濃縮画分の拡散容器への挿入とその後のラットへの移植を開示している。拡散チャンバーに伴う制約は、上で論じられている。Budenzは、BCF画分全体をそのまま使用する点を開示していない。最後に、Budenzは、拡散チャンバー内での多孔質基質キャリア材料を開示していない。
【0006】
第5の従来法では、強化MSPC画分(他の全NMBCに比較して)を、マトリックス材料と配合し、骨移植片を生じる。MSPCは、様々な周知法で強化することができる。例えば、米国特許第6,049,026号(Muschler'026)は、MSPCを選択的に保持できるマトリックスへの骨髄穿刺液通過を開示している。このプロセスは、強化MSPC量(即ち、同量の自家骨髄中に認められる天然MSPCレベルよりも最大で2.8倍高い)を有する複合物を生じる。しかし、この複合物も、基質によって保持されないBMA中に存在する細胞、分子および蛋白を含まず、当該基質に高い親和性を持たないBMA中に見られる他の成分が枯渇している。さらに、MSPC強化としてMuschler'026に開示されているプロセスは、非効率的であり、通常、BMA中に存在するMSPCの約33%〜56%を捕捉できない。さらに、Muschlerは、緩く保持されているに過ぎなかった細胞を除去するために任意にMSPC負荷基質を洗浄し、それによって、当該基質への高親和性を持たない細胞の存在を激減させることを開示している。Muschlerは、血小板、細胞付着分子(コラーゲンなど)、増殖因子(BMPなど)、抗体(STRO-1など)などの各種の離散生体活性成分の、前記複合物への任意の添加を開示している。
【0007】
ある研究者らは、豊富で純粋なMSPC群を得る目的で、全または分画BMAの試験管内培養を開示した。例えば、Majors. J. Orthop. Res. (1997) 15:546-557は、遠心分離によるBMAのBCFの単離、強化MSPC群生成のためのBCFの培養、およびBMA内の骨芽細胞プロジェニター群のアッセイ手段としてのMSPCの染色を開示した。
【0008】
PCT公開特許出願第97/40137号(Kadiyala)は、セラミック材またはマトリックスとの単離ヒト間葉幹細胞の投与、または、ヒト間葉幹細胞;新鮮全骨髄または骨形成連鎖に到る分化を支持する吸収性生体ポリマー中のそれらの配合物の投与による、骨形成増強用の組成物および方法を開示している。Kadiyalaは、当該マトリックス単独と比較した場合の改良骨癒合領域または塊を提供するために、キャリア材またはマトリックス中での(i)単離、培養拡大された、ヒト間葉幹細胞;(ii)新鮮穿刺骨髄;または(iii)それらの配合物の送達を検討している。実施例Vで、遠心分離とバフィーコート単離(BMC) で10倍濃縮された新鮮骨髄有核細胞と50:50で混合されたコラーゲン/セラミック複合物を含む組成物を開示している。培養拡大、精製MSPCの産生に必要とされる手法は、長時間の、骨の折れる手法である(しばしば、約21〜56日必要)ので、手術中には実施できない。
【0009】
米国特許第5,914,121号(Robey)は、培養MSPCおよびHA/TCP粉末を含む組成物と、フィブリン糊の精製を目的とした、市販のフィブリノーゲンおよびトロンビンの当該組成物への任意の添加を開示している。
【0010】
濃縮MSG画分を含有する多孔質マトリックスへの全BMAの補充を、数名の研究者が報告している。例えば、Walsh, "Autologous Growth Factor Gel(AGF) And Spinal Fusion" 47th Annual Meeting, ORS, February 2001は、HAP多孔質マトリックス、PRPおよび全BMAを含む移植片材料を開示している。しかし、Walshは、分画BMAの濃縮生理的画分ではなく、全BMAのみを開示している。
【0011】
Matsukura, "Concentration of Bone Marrow Derived Osteoprogenitors for Spinal Fusion", Am.Soc.Bone. Min.Res. 22nd Annual Meeting Abstracts, Sep. 2000は、MSPCの強化画分、全骨髄および多孔質マトリックスを含む移植片材料を開示している。Matsukuraは、分画BMAの濃縮生理的画分を開示していない。Matsukuraが説明するMSPCの強化画分は、懸濁液ではないので、高レベルMSPCを有するBMAの対応する生理的画分中に存在する可溶性成分が枯渇している。
【0012】
"Composite Bone Marrow Graft Material With Method and Kit"(Muscler II)と題した米国特許出願は、多孔質生体適合性移植可能マトリックス、強化プロジェニター細胞群(MSPC)およびクロット材料を含む複合骨髄移植片材料を開示している。クロット材料には、血液から形成される血餅、骨髄クロット、血小板ゲル、濃厚血小板、フィブリンクロットまたはフィブリン糊がある。強化MSPC群は、MuschlerIが説明する方法によって形成され (Matsukura同様)、そのため、高レベルMSPCを有するBMAの対応する生理的画分中に存在する可溶性成分が枯渇しているので、Muschler IIは、分画骨髄穿刺液BMAの濃縮生理的画分を開示していない。
【0013】
米国特許公報2003/0185803(Kadiyala)は、BMAのバフィーコート画分への特定成分の添加を説明している。
【0014】
要約すると、従来の技術は、
a)MSPC源として全骨髄を使用し、そのため、低MSPC濃度をきたす(Walshなど)、
b)BMA中に認められる他のMSG成分を完全排除することによって、MSPCを強化しようとするため、BMA中に存在する補充MSG成分の一部を含まない(Mschler Iなど)、
c)単離補充MSG成分を、強化レベルのMSPCを有する複合物に導入するので、BMA中に存在する補充MSG成分を部分的にしか提供していない(Mschler Iなど)、
あるいは、
d)単に全BMAを、強化レベルのMSPCを有する複合物に導入するので、非強化レベルの補充MSG成分を有する(Muschler IIおよびMatsukuraなど)のみである。
【0015】
さらに、MSG画分を多孔質マトリックスと配合する長所は、先行技術では、散発的に評価されているに過ぎない。例えば、マトリックスと配合され、全BMAを補充されたBMAの生理的画分の配合について、先行技術では開示されていない。
【0016】
〔発明の概要〕
本発明人らは、骨髄が、組織再生に特別な役割を果たし、従って、組織の再生に基本的に適した割合の基本的に全成分から成ると考える。よって、本発明人らは、筋骨格形成能改善を得た複合組織修復移植片材料が、強化MSPCレベルだけでなく、組織修復経路に役割を果たすと考えられるBMA中に認められる適切なレベルの基本的に全部の他MSG成分も含むべきである、と考える。しかし、本発明人らは、従来のMSPC濃縮手法が、筋骨格形成に重要な役割を果たすと考えられるBMA中の筋骨格形成MSG成分の多くを枯渇させる、または、完全排除することに注目した。そのため、本発明人らは、従来のBMAからのMSPC濃縮段階が、ある点で(MSPCレベル強化によって)骨形成を強化できるが、それは、第2の点(BMAからの重要な支持MSG成分の枯渇および、時には、完全排除)で組織修復を制限する可能性もある、と結論付けた。従って、得られる従来の高MSPC生成物は、重大な短所を有する。
【0017】
これらの考察を踏まえて、本発明人らは、組織再生に重要な役割を果たさない可能性が最も高いBMA成分を同定し、排除することに努めた。
【0018】
そのように同定される第1成分は、脂肪である。脂肪は、赤色骨髄の約3〜6容量%(v/o)まで、および、黄色骨髄の約71〜92 v/oを占め、組織再生に重要な役割を果たさないと考えられる。しかし、脂肪は、前記の高容量率のBMAを取り込むので、一定の容量の再生対象欠損部(椎間板腔など)内に配置することができるBMAのMSG成分濃度を有効に希釈する。本発明人らは、BMAの脂肪部分を除去すること(しかし、血清またはバフィーコート成分を除去しない)が、BMAのMSG成分を有効に濃縮し、外科医は、より多くのMSG成分を一定欠損腔内に配置でき、それによって組織再生を増強できる、と考える。
【0019】
そのため、本発明に従って、患者からの骨髄穿刺液を調製する方法であって、
a)脂肪画分、血清および幹細胞を含む骨髄穿刺液を患者から入手し、
b)BMAの脂肪画分の一部を除去し、血清および幹細胞を含む脱脂BMAを得ること
を含む調製法を提供する。
【0020】
そのようにして同定される第2成分は、水である。水は、赤色骨髄の約82〜86v/oまで、および、黄色骨髄の約7〜26 v/oを占め、MSC細胞の生存に必要とされる量よりもはるかに多量に存在すると考えられる。しかし、水は、前記の高容量率のBMAを取り込むので、一定の容量の再生対象欠損部(椎間板腔など)内に配置することができるBMAのMSG成分濃度を有効に希釈する。本発明人らは、BMA水分の少なくとも一部を除去する(血清またはバフィーコート成分を除去しない)ことが、BMAのMSG成分を有効に濃縮し、外科医は、より多くのMSG成分を一定欠損腔内に配置でき、それによって組織再生を増強できる、と考える。
【0021】
そのため、本発明に従って、患者からの骨髄穿刺液を調製する方法であって、
a)水画分、血清および幹細胞を含む骨髄穿刺液を患者から入手し、
b)BMAの水画分の一部を除去し、濃縮血清成分と濃縮幹細胞を含む脱水BMAを得ることを含む調製法を提供する。
【0022】
〔発明の詳細な説明〕
脂肪除去に関する一部の実施態様では、脂肪画分の除去は、脂肪が通過しないフィルターにBMAを通過させて達成される。好ましくは、当該フィルターは、少なくとも30ミクロン、さらに好ましくは少なくとも40ミクロンの平均孔径を有する。これらのフィルターサイズは、幹細胞などの重要なBMA細胞成分を通過させるが、脂肪細胞(一般に、成人で、平均約50ミクロン以上)の通過を遮断する。
【0023】
脂肪除去に関する一部の実施態様では、脂肪画分の除去は、BMAを遠心分離し、脂肪上清を入手し、実質的に血清を除去することなく当該脂肪上清を除去することによって達成される。脂肪は、明らかに、最低比重を有するBMAの成分であるので、BMAの低速遠心分離(約1200 rpmなど)は、遠沈管の最上部に脂肪部分が存在する段階的BMAを生じるはずである。その後、この脂肪画分は、従来法によって、実質的に(組織再生に重要な成分を含有する)血清を除去することなく、容易に除去できる。
【0024】
脂肪除去に関する一部の実施態様では、脂肪画分の除去は、脂肪細胞と結合する材料でコートされた基質とBMAを接触させることによって達成される。BMA中の脂肪が基質表面上で当該結合材料と接触する場合、脂肪は、他の成分を除去することなく、BMAから選択的に除去される。そのうちの一部の実施態様では、当該結合材料は、アディポネクチンである。好ましくは、分離カラムにBMAが通過し、当該カラム壁、または、カラム内に含有されるビーズが当該結合材料でコートされている。
【0025】
一部の実施態様では、少なくとも25v/oの脂肪がBMAから除去される。好ましい実施態様では、少なくとも50 v/o、さらに好ましくは少なくとも75 v/oの脂肪がBMAから除去される。
【0026】
脂肪は、しばしば、BMAの50%以上を占めるので、BMAの脂肪含量の50%除去は、BMA有効容量を少なくとも約25%減じ、それによって、組織再生に望ましい残りのBMA成分の濃度を高めることになる。
【0027】
一部の実施態様では、脂肪を、骨髄から除去し、脂肪内に含有される幹細胞を、実質的に脂肪から隔離し、その後、それらの幹細胞を、残った骨髄に再添加する。
【0028】
水分除去に関する一部の実施態様では、水画分の除去は、幹細胞が通過しないフィルターにBMAから出た水を通すことによって達成される。そのうちの一部の実施態様では、水を通すことができるが、他のBMA成分を通すことのできない、多孔度によって規定される多孔質側壁を有する分離カラムにBMAをかける。好ましくは、当該側壁の多孔度は、10ミクロンを超えない、さらに好ましくは2ミクロン未満の平均孔径を有する。
【0029】
水分除去に関する一部の実施態様では、水画分の除去は、逆浸透によって達成される。
【0030】
水分除去に関する一部の実施態様では、水画分の除去は、BMAを減圧することによって達成される。そのうちの一部の実施態様では、BMAを一口フラスコ中に入れ、開口部にチューブを接続し、当該チューブから減圧する。フラスコ内に生じた減圧は、BMA内の液体水を気体にし、その後、BMAから除去する。
【0031】
水分除去に関する一部の実施態様では、水画分の除去は、BMAを加圧することによって達成される。そのうちの一部の実施態様では、水を通すことができるが、他のBMA成分を通すことのできない、多孔度によって規定されるフィルターサイズを有する簡易フィルタープレスにBMAをかける。BMAへの加圧は、水のみを当該フィルターに通し、それによって、BMAを濃縮する。好ましくは、側壁の多孔度は、10ミクロンを超えない、さらに好ましくは2ミクロン未満の平均孔径を有する。
【0032】
本発明の一部の実施態様では、脂肪および/または水画分の除去は、BMAからの赤血球除去なしで達成される。赤血球は、酸素結合ヘモグロビンの幾分重要な機能を提供し、これが組織再生を増強すると考えられる。しかし、本発明人らは、この機能を達成するには、赤血球画分全体を必要とするわけではないと考える。そのため、一部の実施態様では、少なくとも赤血球の一部をBMAから除去する。赤血球を除去する場合、残りのBMAは、好ましくは少なくとも10 v/o赤血球、さらに好ましくは少なくとも20 v/oを含む。
【0033】
一部の実施態様では、脱脂および/または脱水BMAを多孔質マトリックスと配合する。好ましくは、本発明の複合物の多孔質マトリックス構成部分は、水銀ポロシメータで測定すると、少なくとも20 μmのD50平均孔径を有する。この多孔度は、有核骨髄細胞を流すのに十分である(即ち、足場)。これらの有核細胞のマトリックス通過能(および、天然有核細胞が当該マトリックスに移行する能力)によって、MSG(筋骨格形成)が基質内およびその周囲で円滑に、途切れることなく起こることができる。
【0034】
好ましくは、マトリックスは、生体適合性、植込み型移植片材料から成る。好ましくは、吸収性である。一部の実施態様では、当該材料は、荷電表面を有する。好ましくは、複合物は、約5〜50 vol%のマトリックス、および、当該マトリックスによって形成された孔内部に配置された約50〜95 vol%の懸濁液を含む。当該マトリックスの体積分率が約5 vol%未満(多孔度を除く)であれば、足場としての当該マトリックスの効果は、無意味である。
【0035】
一部の実施態様では、マトリックスは、基質の進入可能総表面積が、同一の外寸を有する固体物質の少なくとも5倍広くなるように十分な数の孔または通路を有する。よって、好ましい総表面積は、粉末塊、顆粒塊、線維塊、または、基質材料の高度多孔質ブロックを含む基質を使って達成できる。好ましくは、マトリックスの平均孔径は、20μm以上、さらに好ましくは50μm以上、最も好ましくは100μm以上である。
【0036】
荷電表面を有する生体適合性、植込み型移植片材料の例は、例えばハイドロキシアパタイトまたはリン酸三カルシウムなどのリン酸カルシウムを含むセラミック、ならびに、脱塩骨マトリックス、または、石灰化骨マトリックスを含む。他の適切な移植片材料は、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリガラクト酸(polygalactic acid)、ポリカプロラクトン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリスルホン、ポリエチレン、およびポリプロピレンを含む。他の適切な移植片材料は、ヒアルロン酸で、架橋、バイオガラス、ゼラチンおよびコラーゲンの使用または未使用で精製できる。特に適切な移植片材料は、例えば、単離石灰化海綿質骨断片、石灰化骨粉末または顆粒、脱塩海綿質骨断片、脱塩骨粉末または顆粒、グアニジン-HCl抽出脱塩骨マトリックス、焼結皮質骨または海綿質骨、Interpore 500(登録商標)またはInterpore 200(登録商標)、ProOsteon 500R(登録商標)の商品名でInterporeによって販売されているサンゴハイドロキシアパタイト、および、Zimmer(登録商標)によって販売されている代用骨移植片Collagraft(登録商標)に組み入れられたものなどの顆粒セラミック、Gelfoam(登録商標)またはHelistat(登録商標)などのフィラメント状コラーゲンまたはゼラチンスポンジ、あるいは、BioOss(登録商標)の商品名でGeistlich Pharma AG-Switzerlandによって販売されている除蛋白骨を含む。
【0037】
一部の実施態様では、多孔質マトリックスは、米国特許第5,776,193(Kwan)に開示されており、当該明細書は、参照することによって、そのまま本明細書に組み入れられている。この多孔質マトリックスは、骨置換プロセスを増強するのに十分な期間の植え込み後に構造統合性および多孔性を維持する。当該マトリックスは、結合剤と結合された石灰化線維状不溶性コラーゲン、コラーゲン誘導体または修飾ゼラチンを含む。ミネラルは、当該マトリックス内に固定された、約5ミクロン未満の粒径を有する微粒子リン酸カルシウムを含む。生じた生成物は、凍結乾燥、架橋、乾燥した後、滅菌し、多孔質マトリックスを形成する。当該マトリックスは、移植材料および/または骨形成増殖因子の送達媒介物として使用することができる。当該マトリックスは、骨再生のため、自家骨髄と混合し、植込むことができる。
【0038】
骨移植マトリックスは、非水溶性の生分解性コラーゲン、コラーゲン誘導体または修飾ゼラチンを使って生成する。ゼラチンは、修飾し、水性環境で不溶性にする。当該コラーゲンは、石灰化または非石灰化コラーゲン源、通常は非石灰化コラーゲン源から得ることができる。よって、当該コラーゲンは、骨、腱、皮膚など、好ましくは、2本鎖のα2および1本鎖のα1コラーゲン鎖の組み合わせを含むI型コラーゲン、から得ることができる。当該コラーゲンは、仔ウシなどの若い動物または2才以上の雌ウシなどの成獣から得ることができる。当該コラーゲン源は、いずれかの便利なヒトまたは哺乳類、鳥類などの動物のコラーゲン源であることができ、ウシ、ブタ、ウマ、ニワトリ、七面鳥または他の家畜のコラーゲン源を含むことができる。使用される不溶性コラーゲン組織は、通常、少なくとも約pH 8、さらに通常では約pH11〜12を使って、pHを上昇させた培地に分散させる。他のアルカリ金属水酸化物や水酸化アンモニウムなどの他の水酸化物を使用できるが、一般に、水酸化ナトリウムを使用する。
【0039】
本発明に従って、天然コラーゲンを利用できる。天然コラーゲンは、トリプレットグリシン配列を持たない各末端領域を有する。これらの領域(テロペプチド)は、大半のコラーゲン調製物に伴う免疫原性を司ると考えられる。トリプシンおよびペプシンなどの蛋白分解酵素による消化によって、これらの領域を除去し、アテロペプチド-コラーゲンを生成することによって、免疫原性を緩和できる。
【0040】
石灰化のためのコラーゲン濃度は、一般に約0.1〜10重量%、さらに通常では約1〜5重量%の範囲になる。コラーゲン培地は、一般に、約0.0001〜0.1 Nの範囲の塩基濃縮物になる。pHは、一般に、反応過程で、約10〜13、好ましくは約12の範囲に維持する。
【0041】
好ましくは、不溶性線維状コラーゲンを使用し、常法によって調製できる。通常は、これは、最初にイソプロパノール(IPA)、ジエチルエーテル、ヘキサン、酢酸エチルまたは他の適切な溶媒と混合し、コラーゲンを分離することによって達成できる。pHは、通常は、約3まで低下させ、次に、約4℃まで冷却し、膨潤させる。生じたスラリーは、所望の粘度に達するまで均質化できる。
【0042】
均質化したスラリーは、溶媒と混合し、攪拌後、pHを約7まで上昇させる。線維状コラーゲンを分離し、脱イオン水でゆすいで、凍結乾燥する。石灰化線維状コラーゲンを生成するには、精製された不溶性コラーゲン線維を、均質化し、反応容器に静置し、当該反応容器中に、塩化カルシウム(通常は、0.05 m)およびリン酸三ナトリウム(典型的には、0.03 m)を、攪拌しながら、速度を調節しながら導入する。このプロセス中、必要に応じて、水酸化ナトリウムを使って、pHを11±0.5に調整する。石灰化後、当該コラーゲンを脱イオン水またはリン酸緩衝液でゆすぎ、結合剤と合わせた後、pHを7.5±1.5の範囲内に調整する。リン酸塩およびカルシウムイオンの添加法は、米国特許第5,231,169号に記述されている。
【0043】
リン酸カルシウムは、炭酸塩、塩化物、フッ化物、ナトリウムまたはアンモニウムなど、他のイオンを含有できる。炭酸塩の存在は、ダールライト(炭酸化ハイドロキシアパタイト、炭酸塩含水リン灰石)の性状を有する生成物を生じ、一方、フッ化物は、フッ素化アパタイトの性状を有する生成物を提供する。炭酸塩の重量%は、通常、10を越えないが、フッ化物の重量%は、通常、2を越えず、好ましくは0〜1の範囲である。これらのイオンは、当該イオンが相溶性であり、試薬溶液に沈殿を生じないかぎり、カルシウムおよび/またはリン酸塩源と並存することができる。
【0044】
約5ミクロン以下の粒径を達成するために、カルシウムおよびリン酸イオンの添加速度は、一般に約1時間と約72時間を越えない時間である。一般に、添加時間は、約2〜18時間の範囲、さらに通常では約4〜16時間の範囲である。温和な温度を用い、通常約40℃を越えない温度、好ましくは約15℃〜30℃の範囲である。コラーゲン対リン酸カルシウムミネラルの重量比は、一般に約8:2〜1:1、通常は、約7:3になる。
【0045】
他の非コラーゲン蛋白または、BMP、TGF-β、カルシトニンなどの因子を、カルシウムおよびリン酸塩添加前後に、コラーゲンスラリーに添加することによってマトリックスに含むことができる。当該添加物の量は、一般に、コラーゲンなど、マトリックスとして使用される生体ポリマーに基づいて、約0.0001〜2重量%の範囲になる。添加蛋白は、ミネラルと配合できる。それは、コラーゲン上で、コラーゲンへ添加蛋白を結合するからである。
【0046】
石灰化生成物中に存在するコラーゲン量は、一般に、約80%〜30%になる。別法として、コラーゲン線維の結合に使用される結合剤と粒子を混合することによって、固定リン酸カルシウム粒子をマトリックスに含むことができる。
【0047】
多孔質、三次元骨移植マトリックスを形成するには、石灰化コラーゲン線維を結合剤と混合する。好ましくは、最初に可溶性コラーゲンをイソプロパノール(IPA)などの溶媒と混合し、コラーゲンを単離することによって、結合剤として精製可溶性コラーゲンを使用する。pHを約3.0まで低下させ、次に、コラーゲンが溶解されると、pHを5.0まで上昇させ、当該溶媒で2回洗浄し、脱イオン水でゆすぎ、篩にかけ、凍結乾燥する。
【0048】
使用可能な他の結合剤は、ゼラチン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸およびグリコール酸のコポリマー、ポリカプロラクトン、カルボキシメチルセルロース、セルロースエステル(メチルおよびエチルエステル)、酢酸セルロース、デキストロース、デキストラン、キトサン、ヒアルロン酸、フィコール、硫酸コンドロイチン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、水溶性メタクリレートまたはアクリレートポリマーを含むが、それらに制約されない。
【0049】
一部の実施態様では、細胞付着分子をマトリックス表面に結合させる。「細胞付着分子」という用語は、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、血管細胞付着分子(V-CAM)、細胞間付着分子(I-CAM)、テネイシン、トロンボスポジン、オステオネクチン、オステオポンチン、骨シアロプロテインおよびコラーゲンの総称である。
【0050】
任意に、前記マトリックスは、その表面に結合した増殖因子を有する。
【0051】
任意に、前記マトリックスは、その表面に結合した結合組織プロジェニター幹細胞への親和性を有する抗体を有する。適切な抗体は、例としては、STRO-1、SH-2、SH-3、SH-4、SB-10、SB-20、および、アルカリフォスファターゼに対する抗体を含む。当該抗体は、Haynesworth et al., Bone 13: 69-80, 1992a;Bruder, S. et al., Trans Ortho Res Soc 21: 574; 1996;Haynesworth, S.E. et al., Bone 13: 69-80; 1992;Stewart, K., et al., J Bone Miner Res 11(Suppl.):S142; 1996;Flemming J E, etal., "Embryonic Human Skin. Developmental Dynamics" 212: 119-132, 1998およびBruder S P, et al., Bone 21 (3): 225-235, 1997に記述されている。
【0052】
一部の実施態様では、本発明品に増殖因子を添加できる。本明細書で使用する場合、「増殖因子」という用語は、他の細胞、特に結合組織プロジェニター細胞、の増殖または分化を調節するいずれかの細胞産物を包含する。本発明に従って使用できる増殖因子は、酸性および塩基性線維芽細胞増殖因子(FGF-1および-2)およびFGF-4を含めた線維芽細胞増殖因子科の構成因子、PDGF-AB、PDGF-BBおよびPDGF-AAを含めた血小板由来増殖因子(PDGF)科の構成因子;EGF、IGF-Iおよび-IIを含めたインスリン様増殖因子(IGF)の構成因子;TGF-β1、2および3(rhGDF-5を含む)を含めたTGF-β超科、類骨誘発因子(OIF)、アンギオジェニン、エンドセリン、肝細胞増殖因子およびケラチノサイト増殖因子;骨形成蛋白(BMP) BMP-1、(BMP-3);BMP-2;OP-1;BMP-2A、-2Bおよび-7、BMP-14;HBGF-1および-2;増殖分化因子(GDF)、インディアン、ソニックおよびデザートヘッジホッグを含めたヘッジホッグ科蛋白の構成蛋白;ADMP-1;IL-1 thru-6を含めたインターロイキン(IL)科構成物質;rhGDF-5、および、CSF-1、G-CSFおよびGM-cfsを含めたコロニー刺激因子(CSF)科構成因子;およびそれらのアイソフォームを含むが、それらに制約されない。
【0053】
一部の実施態様では、増殖因子は、TGF-β、b FGFおよびIGF-Iから成る群から選択される。これらの増殖因子は、髄核の再生を促進すると考えられる。好ましくは、当該増殖因子は、TGF-βである。さらに好ましくは、TGF-βは、10 ng/ml〜5000 ng/ml、さらに好ましくは50 ng/ml〜500 ng/ml、さらに好ましくは100 ng/ml〜300 ng/mlの量で投与される。
【0054】
どの従来の骨髄穿刺液入手法も使用できる。ある方法では、前または後腸骨稜への経皮的進入が大型口径注射針(即ち、Jamshidi)およびシリンジで行われる。ヘパリンナトリウムなどの抗凝固剤を予め充填したシリンジによる骨髄内容物の吸引は、針を後方に引き、最深挿入部位から引き出しながら、行われる。末梢血の混入量が最少の穿刺液を得るため、骨内への複数回の穿刺を実施できる。次に、上述の方法に従って、吸引されたBMAを脱水および/または脱脂する。その後、脱水、脱脂されたBMAを骨形成マトリックス(Healos(登録商標)、DePuy Spine, Raynham, MAから販売)と配合し、融合ケージ(fusion cage)とともに、椎間板腔内に配置する。
【0055】
〔実施例〕
以下は、脱水、脱脂骨髄調製物の調製の机上の実施例である。
【0056】
ここで、図1を参照すると、近位端部分3、外面9上にスレッド(threadぎざぎざ) 7を有する遠位端部分5、および、近位端部分3から遠位端部分5まで伸びた貫通孔11を有する従来型シリンジ1を提供する。先細頭部21は、外輪23を有し、当該外輪は、当該シリンジ遠位端部分5に合わせて改造され(この場合は、スレッド25を介して)、遠位開口部26を有する内壁24を画定する。この先細頭部21は、従来型シリンジの遠位端に接続される。先細頭部21の外輪23内には、20μmのフィルター27が存在する。このフィルター27は、シリンジ1の孔11に赤血球および白血球および血清成分を通過させるが、脂肪細胞は通過させない。
【0057】
ここで、図2を参照すると、プランジャー31を孔11から近位まで引き、それによって、BMAがシリンジ1の孔11に吸引され、シリンジ1の孔11に入る無脂肪BMAが得られる。
【0058】
ここで、図3を参照すると、シリンジ1のプランジャー部品31を外す。
【0059】
ここで、図4を参照すると、逆浸透チャンバー41がシリンジ1の近位端3に追加される。
【0060】
ここで、図5を参照すると、シリンジ1を約5〜10分間逆さにする。これによって、BMAからの水分が逆浸透チャンバー41に不可逆的に進入できる。
【0061】
ここで、図6を参照すると、脂肪画分を含有する先細頭部21がシリンジ1の遠位部分から外され、プランジャー31がシリンジ孔の近位端に再挿入される。次に、フィルターなしの先細頭部51が、フィルター付きの先細頭部に代わって接続される。ここで、シリンジは、好ましくは椎間板腔の癒合のために、患者に脱水、脱脂BMAを送達する状態になる。
【0062】
そのため、本発明に従って、骨髄穿刺液の脱水および脱脂用器具であって、
a) 近位端部分、遠位端部分、および、近位端部分から遠位端部分まで伸びた貫通孔を有するシリンジ、
b) i)シリンジ遠位端部分に合わせて改造され、内壁を画する外輪を有する先細頭部、およびii)脂肪細胞捕捉用に改造されたフィルターであって、当該フィルターが先細頭部の外輪内壁に接続されているフィルター
を含む骨髄穿刺液の脱水および脱脂用器具を提供する。
【0063】
〔実施の態様〕
(1) 患者からの骨髄穿刺液を調製する方法において、
前記方法が、
a)脂肪画分、血清および幹細胞を含む骨髄穿刺液を患者から入手する段階と、
b)BMAの前記脂肪画分の一部を除去し、血清および幹細胞を含む脱脂BMAを得る段階と
を含む、調製法。
(2) 実施態様1に記載の方法において、
前記脂肪画分の除去が、脂肪が通過しないフィルターにBMAを通過させることによって達成される、方法。
(3) 実施態様2に記載の方法において、
前記フィルターが、少なくとも30ミクロンの平均孔径を有する、方法。
(4) 実施態様1に記載の方法において、
前記の脂肪画分の除去が、BMAを遠心分離し、脂肪上清を入手し、実質的に血清を除去することなく前記脂肪上清を除去することによって達成される、方法。
(5) 実施態様1に記載の方法において、
前記脂肪画分の除去が、脂肪細胞と結合する材料でコートされた基質とBMAを接触させることによって達成される、方法。
(6) 1に記載の方法において、
前記脂肪画分の除去が、BMAから赤血球を除去することなく達成される、方法。
(7) 実施態様1に記載の方法において、

c)BMAから赤血球の少なくとも一部を除去する
段階をさらに含む、方法。
(8) 実施態様1に記載の方法において、

c)脱脂BMAを骨形成マトリックスと配合する
段階をさらに含む、方法。
(9) 実施態様1に記載の方法において、

c)前記脱脂BMAを患者の欠損部に配置する
段階をさらに含む、方法。
(10) 実施態様1に記載の方法において、

c)前記脱脂BMAを脱水する
段階をさらに含む、方法。
(11) 患者からの骨髄穿刺液を調製する方法において、
a)水画分、血清および幹細胞を含む骨髄穿刺液を患者から入手する段階と、
b)BMAの水画分の一部を除去し、濃縮血清成分および濃縮幹細胞を含む脱水BMAを得る段階と、
を含む、骨髄穿刺液調製法。
(12) 実施態様11に記載の方法において、
前記水画分の除去が、幹細胞が通過しないフィルターにBMAからの水を通過させることによって達成される、方法。
(13) 実施態様12に記載の方法において
前記フィルターが、10ミクロンを上回らない平均孔径を有する、方法。
(14) 実施態様11に記載の方法において、
前記水画分の除去が、逆浸透によって達成される、方法。
(15) 実施態様11に記載の方法において、
前記水画分の除去が、BMAを減圧することによって達成される、方法。
(16) 実施態様11に記載の方法において、
前記水画分の除去が、BMAを加圧することによって達成される、方法。
(17) 実施態様11に記載の方法において、
前記水画分の除去が、BMAから赤血球を除去することなく達成される、方法。
(18) 実施態様11に記載の方法において、

c) BMAから赤血球の少なくとも一部を除去する
段階をさらに含む、方法。
(19) 実施態様11に記載の方法において、

c) 脱脂BMAを骨形成マトリックスと配合する
段階をさらに含む、方法。
(20) 実施態様11に記載の方法において、

c) 脱脂BMAを患者の欠損部に配置する
段階をさらに含む、方法。
(21) 骨髄穿刺液を脱水および脱脂する器具において、
a) 近位端部分、遠位端部分、および、前記近位端部分から前記遠位端部分まで伸びた貫通孔を有するシリンジ、
および
b) i)前記シリンジ遠位端部分に合わせて改造され、内壁を画する外輪と、
ii)脂肪細胞捕捉用に改造されたフィルターであって、当該フィルターが先細頭部の外輪内壁に接続されているフィルター
を有する先細頭部を含む、
骨髄穿刺液の脱水および脱脂用器具
【0064】
本発明は、具体的実施態様に対して説明されている。本発明の範囲から逸脱することなく上記構成に一定の変更を加えることができるので、上記の説明に含まれる、あるいは、添付された図面に示される全事項を、例示的に、また、意味を制限せずに解釈することを意図するものである。例えば、本発明の具体的実施態様の用具が脊髄移植片での使用に限定するものではなく、適切な移植片、または、適切な整形外科分野での処置に使用可能である、と当業者は認識するだろう。
【0065】
さらに、当然のことながら、以下の特許請求の範囲は、本明細書で述べる本発明のあらゆる一般的および具体的特徴を網羅するもので、本発明の範囲のすべての陳述は、言葉の問題としても、その範囲内に入るといえる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】図1は、脱水、脱脂BMAを入手するための、本発明の好ましいシリンジの使用を示す。
【図2】図2は、脱水、脱脂BMAを入手するための、本発明の好ましいシリンジの使用を示す。
【図3】図3は、脱水、脱脂BMAを入手するための、本発明の好ましいシリンジの使用を示す。
【図4】図4は、脱水、脱脂BMAを入手するための、本発明の好ましいシリンジの使用を示す。
【図5】図5は、脱水、脱脂BMAを入手するための、本発明の好ましいシリンジの使用を示す。
【図6】図6は、脱水、脱脂BMAを入手するための、本発明の好ましいシリンジの使用を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者からの骨髄穿刺液を調製する方法において、
前記方法が、
a)脂肪画分、血清および幹細胞を含む骨髄穿刺液を患者から入手する段階と、
b)BMAの前記脂肪画分の一部を除去し、血清および幹細胞を含む脱脂BMAを得る段階と、 を含む、調製法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記脂肪画分の除去が、脂肪が通過しないフィルターにBMAを通過させることによって達成される、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、
前記フィルターが、少なくとも30ミクロンの平均孔径を有する、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、
前記の脂肪画分の除去が、BMAを遠心分離し、脂肪上清を入手し、実質的に血清を除去することなく前記脂肪上清を除去することによって達成される、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、
前記脂肪画分の除去が、脂肪細胞と結合する材料でコートされた基質とBMAを接触させることによって達成される、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、
前記脂肪画分の除去が、BMAから赤血球を除去することなく達成される、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、
c)BMAから赤血球の少なくとも一部を除去する
段階をさらに含む、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法において、
c)脱脂BMAを骨形成マトリックスと配合する
段階をさらに含む、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法において、
c)前記脱脂BMAを患者の欠損部に配置する
段階をさらに含む、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法において、
c)前記脱脂BMAを脱水する
段階をさらに含む、方法。
【請求項11】
患者からの骨髄穿刺液を調製する方法において、
a)水画分、血清および幹細胞を含む骨髄穿刺液を患者から入手する段階と、
b)BMAの水画分の一部を除去し、濃縮血清成分および濃縮幹細胞を含む脱水BMAを得る段階と、
を含む、骨髄穿刺液調製法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、
前記水画分の除去が、幹細胞が通過しないフィルターにBMAからの水を通過させることによって達成される、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、
前記フィルターが、10ミクロンを上回らない平均孔径を有する、方法。
【請求項14】
請求項11に記載の方法において、
前記水画分の除去が、逆浸透によって達成される、方法。
【請求項15】
請求項11に記載の方法において、
前記水画分の除去が、BMAを減圧することによって達成される、方法。
【請求項16】
請求項11に記載の方法において、
前記水画分の除去が、BMAを加圧することによって達成される、方法。
【請求項17】
請求項11に記載の方法において、
前記水画分の除去が、BMAから赤血球を除去することなく達成される、方法。
【請求項18】
請求項11に記載の方法において、
c) BMAから赤血球の少なくとも一部を除去する
段階をさらに含む、方法。
【請求項19】
請求項11に記載の方法において、
c) 脱脂BMAを骨形成マトリックスと配合する
段階をさらに含む、方法。
【請求項20】
請求項11に記載の方法において、
c) 脱脂BMAを患者の欠損部に配置する
段階をさらに含む、方法。
【請求項21】
骨髄穿刺液を脱水および脱脂する器具において、
a) 近位端部分、遠位端部分、および、前記近位端部分から前記遠位端部分まで伸びた貫通孔を有するシリンジ、
および
b) i)前記シリンジ遠位端部分に合わせて改造され、内壁を画する外輪と、
ii)脂肪細胞捕捉用に改造されたフィルターであって、当該フィルターが先細頭部の外輪内壁に接続されているフィルター
を有する先細頭部を含む、
骨髄穿刺液の脱水および脱脂用器具

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−314786(P2006−314786A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−129378(P2006−129378)
【出願日】平成18年5月8日(2006.5.8)
【出願人】(504003396)デピュイ・スパイン・インコーポレイテッド (75)
【氏名又は名称原語表記】DePuy Spine,Inc.
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive,Raynham,MA 02767,U.S.A.
【Fターム(参考)】