説明

脱臭装置

【課題】臭気ガスに含まれるVOCなどの有害物質(臭気物質)をほぼ完全に処理することができる脱臭装置を提供する。
【解決手段】タービン軸3に連結されたタービン1と、気体を圧縮するコンプレッサ2と、圧縮気体と燃料ガスとの混合気を燃焼して燃焼ガスを発生させ、該燃焼ガスをタービンに供給する燃焼器6と、タービン軸に連結された発電機4と、発電機から出力された交流電力を所定の周波数の交流電力に変換する逆変換装置5と、圧縮気体とタービンから排出された排気ガスとの間で熱交換を行う再生器7と、臭気物質を分解する触媒ユニット25とを備える。触媒ユニット25は再生器と燃焼器との間に配置される。圧縮気体は、再生器で加熱した後であって、燃焼器に供給する前に、触媒ユニットを通過する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水処理場、塵芥処理場、化学工場などから排出される臭気ガスを処理する燃焼式の脱臭装置に係り、特に臭気ガスに含まれる揮発性有機化合物などの臭気物質をガスタービン発電装置を用いて処理する脱臭装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トルエン、キシレン、酢酸エチルなどの揮発性有機化合物(VOC)は、塗装溶剤や接着剤の溶剤としてさまざまな施設で使用されている。しかしながら、このVOCは浮遊粒子状物質(SPM)や光化学オキシダントの原因の一つとされ、大気汚染を引き起こす要因となっている。そこで、2006年4月1日からVOCの排出規制が施行され、工場などの固定発生源からのVOCの年間排出量が制限されている。
【0003】
このVOCを処理する装置として、最近では、ガスタービン発電装置を用いた脱臭装置が注目を集めている。この脱臭装置は、VOCなどの臭気物質(有毒物質)を含む臭気ガスをガスタービン発電装置に吸い込ませ、臭気ガスを燃料ガスと混合させて高温で燃焼させることで有害物質を分解する。このような脱臭装置によれば、既存のガスタービン発電装置を用いて臭気物質を処理することができるので、イニシャルコストが低いという利点がある。さらに、臭気ガスと燃料ガスとの燃焼によって発生した燃焼ガスのエネルギーを電力に変換することができるので、エネルギー効率が高いという利点もある。
【0004】
【特許文献1】特開2004−184003号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ガスタービン発電装置を利用した脱臭装置を用いた場合、臭気ガスの燃焼時間が比較的短いために、臭気ガスに含まれる有害物質を完全に分解することが難しく、わずかながらも有害物質がそのまま大気中に放出されるという問題があった。
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、臭気ガスに含まれるVOCなどの有害物質(臭気物質)をほぼ完全に処理することができる脱臭装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するために、本発明の一態様は、タービン軸に連結されたタービンと、気体を圧縮するコンプレッサと、前記圧縮気体と燃料ガスとの混合気を燃焼して燃焼ガスを発生させ、該燃焼ガスを前記タービンに供給する燃焼器と、前記タービン軸に連結された発電機と、前記発電機から出力された交流電力を所定の周波数の交流電力に変換する逆変換装置と、前記圧縮気体と前記タービンから排出された排気ガスとの間で熱交換を行う再生器と、臭気物質を分解する触媒ユニットとを備え、前記触媒ユニットを前記再生器と前記燃焼器との間に配置し、前記圧縮気体を、前記再生器で加熱した後であって、前記燃焼器に供給する前に、前記触媒ユニットを通過させるようにしたことを特徴とする脱臭装置である。
本発明の好ましい態様は、前記再生器から排出される排気ガスの熱を回収するための排熱回収装置をさらに備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明の他の態様は、タービン軸に連結されたタービンと、気体を圧縮するコンプレッサと、前記圧縮気体と燃料ガスとの混合気を燃焼して燃焼ガスを発生させ、該燃焼ガスを前記タービンに供給する燃焼器と、前記タービン軸に連結された発電機と、前記発電機から出力された交流電力を所定の周波数の交流電力に変換する逆変換装置と、前記圧縮気体と前記タービンから排出された排気ガスとの間で熱交換を行う再生器と、臭気物質を分解する触媒ユニットとを備え、前記再生器で熱交換を行った排気ガスが前記触媒ユニットを通過するようにしたことを特徴とする脱臭装置である。
【0008】
本発明の好ましい態様は、前記触媒ユニットを前記再生器の内部に配置したことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記触媒ユニットを通過した排気ガスの熱を回収するための排熱回収装置をさらに備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、触媒作用による酸化分解と燃焼による熱分解とによって、臭気ガスに含まれる揮発性有機物(VOC)などの可燃性の臭気物質をほぼ完全に処理することができる。また、触媒反応により発生した熱は、タービンでの動力源または排熱回収装置での熱源として回収することができるので、装置全体としての熱効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る脱臭装置の全体構成を示す概略図である。
この脱臭装置は、再生器を備えたいわゆる再生サイクルガスタービン発電装置を利用して臭気ガスを処理する装置である。なお、以下に説明するガスタービン発電装置は、発電出力が300kW以下のマイクロガスタービン発電装置も含む。また、本明細書において、臭気ガスとは、揮発性有機物(VOC)などの臭気物質を含むガスをいう。
【0011】
図1に示すように、ガスタービン発電装置は、タービン軸3に連結されたタービン1及びコンプレッサ2と、コンプレッサ2から供給された圧縮気体と燃料供給源24から供給された燃料ガスとの混合気を燃焼させて高温高圧の燃焼ガスを発生させ、該燃焼ガスをタービン1に供給する燃焼器6と、タービン軸3に連結された発電機4と、発電機4で発生した高周波の交流電力を所定の周波数の交流電力に変換する逆変換装置5と、タービン1から排出された排気ガスと燃焼器6に供給される圧縮気体との間で熱交換を行う再生器7とを備えている。
【0012】
タービン軸3の端部近傍には、タービン1の回転速度を測定する回転速度測定器8が設けられている。また、タービン1と再生器7との間にはタービン1から排気された排気ガスの温度を測定する温度測定器9が設けられており、再生器7と燃焼器6との間には燃焼器6に導入される圧縮気体の温度を測定する温度測定器21が設けられている。逆変換装置5には電力負荷22が連結されており、逆変換装置5の出力電力は電力測定器10によって測定されるようになっている。
【0013】
本実施形態の脱臭装置は、上記ガスタービン発電装置に加え、臭気源13から臭気ガスを導入する吸気ダクト14と、送風機18を通して大気を導入する吸気ダクト15と、これら各吸気ダクト14,15に取り付けられるダンパ16,17と、吸気ダクト14,15に接続される吸気ダクト23と、この吸気ダクト23内に設置される熱交換器19と、再生器7から排出される排気ガスの熱を回収する排熱回収装置20と、上記ガスタービン発電装置を含む脱臭装置の運転を制御する制御装置11とを備えている。
【0014】
発電機4はタービン軸3に直結された永久磁石型発電機(PMG)であり、この発電機4から出力された高周波の交流電力は、逆変換装置5によって直流電力に整流された後に所定の周波数(例えば、50/60Hz)の交流電力に変換され、電力負荷22に供給される。回転速度測定器8、温度測定器9、電力測定器10、温度測定器21からは、それぞれタービン1の回転速度、タービン1を出た排気ガスの温度、逆変換装置5の出力電力、燃焼器6に供給される圧縮気体の温度を示す信号が制御装置11に送信される。制御装置11はこれらの信号に基づいてタービン1の回転速度および逆変換装置5の出力電力を制御する。
【0015】
ダンパ16,17は、モータ駆動によって開閉する構成であり、ダンパ16,17を操作することによって、コンプレッサ2に導入される気体を大気と臭気ガスとの間で切り換えるようになっている。ダンパ16,17の開閉指令は制御装置11から行われる。吸気ダクト23は吸気ダクト14,15をダンパ16,17の下流側で集合した1本のダクトであり、コンプレッサ2の吸気口12に連結されている。熱交換器19はコンプレッサ2に導入される前の臭気ガスおよび大気の温度を所定の範囲内に調整するものである。排熱回収装置20は、例えば、温水ボイラ、蒸気ボイラ、吸収式冷温水器、デシカント冷凍機、または空気熱交換器などである。電力負荷22は商用電源系統または電気機器である。
【0016】
再生器7と燃焼器6との間には触媒ユニット25が配置されており、再生器7にて加熱された気体(臭気ガスおよび大気)は触媒ユニット25を通過した後、燃焼器6に供給される。この触媒ユニット25は、気体を通過させる形状を有した構造体と、この構造体の表面に担持された触媒物質(例えば、白金(Pt)、パラジウム(Pd)など)とから基本的に構成されている。構造体の例としては、金属から形成されたメタルハニカム構造体、セラミックから形成されたセラミックハニカム構造体、複数のペレット集合体などが挙げられる。なお、構造体は、通過する気体の圧力損失が低く、かつ表面積が大きいものであれば、上述の例以外の構造体を用いてもよい。この触媒ユニット25は、再生器7と燃焼器6とを連絡する通路の内部に配置されており、臭気ガスに含まれるVOCなどの有害物質(臭気物質)を酸化分解する機能を有している。
【0017】
以上のように構成された脱臭装置の動作を説明する。
まず、ガスタービン発電装置の起動時には、ダンパ16を閉止し、ダンパ17を全開にし、大気をコンプレッサ2の吸気口12に導入してタービン1を起動する。すなわち、熱交換器19によって所定の温度とされた大気は、コンプレッサ2に導入されて圧縮される。圧縮された大気(圧縮空気)は、再生器7を通ることで高温の排気ガスから熱を受け取って500〜600℃にまで昇温される。昇温された圧縮空気は、触媒ユニット25を通過して燃焼器6に供給される。
【0018】
燃焼器6には、燃料供給源24から都市ガスや天然ガスなどの燃料ガスが供給されている。燃焼器6では圧縮空気と燃料ガスとの混合気が燃焼され、高温高圧の燃焼ガスが発生する。この燃焼ガスはタービン1に供給され、タービン1を高速で回転させる。タービン1が定格回転速度に到達してから、逆変換装置5が電力出力を開始する。タービン1から排出された燃焼ガスは排気ガスとして再生器7に導入されて圧縮空気を加熱し、排気ガスの温度は約300℃にまで低下する。そして、排気ガスは排熱回収装置20に供給されてその排熱が回収された後、大気に放出される。
【0019】
制御装置11は、回転速度測定器8によってタービン1の回転が所定の回転速度に達したことを検出し、かつ電力測定器10によって逆変換装置5が電力出力を始めたことを検出し、かつ温度測定器9によってタービン1の排気ガス温度が所定の値に達したことを検出した場合に、ガスタービン発電装置が定格運転に達して燃焼器6での燃焼ガスの温度が十分に高温になったと判断する。このとき、制御装置11は、ダンパ16を全開させるとともに、ダンパ17を閉止させ、これによって臭気ガスを熱交換器19を通じてコンプレッサ2の吸気口12に導入する。
【0020】
臭気ガスは、大気の場合と同様に、コンプレッサ2により圧縮され、再生器7で排気ガスとの熱交換により500〜600℃にまで加熱される。そして、加熱された臭気ガスは触媒ユニット25を通過し、燃焼器6に供給される。臭気ガスが触媒ユニット25を通過する際、排気ガスにより加熱された臭気ガスを熱源として触媒反応が起こり、これによって臭気ガスに含まれるVOC(揮発性有機物)などの臭気物質がある程度分解される。このとき、触媒反応熱により臭気ガスはさらに600〜700℃にまで昇温される。そして、燃焼器6において、燃料ガスと臭気ガスとの混合気が約1000℃の高温で燃焼され、残りの有害物質が分解される。このように、二段階の処理、すなわち触媒作用による酸化分解と、燃焼器6での燃焼による熱分解とによりVOCなどの臭気物質をほぼ完全に除去することができる。
【0021】
臭気ガスに含まれるVOCは可燃性物質であり、一種の燃料と考えることができる。したがって、VOCを含む臭気ガスは、大気よりも多くの熱量を有し、結果としてより少ない燃料で高温高圧の燃焼ガスを発生させることができる。さらに、触媒反応により発生した熱は高温高圧の燃焼ガスの生成に寄与し、タービン1で動力(電力)として回収することができる。
【0022】
次に、脱臭装置の運転を停止する際の動作について説明する。まず、ダンパ17を全開にして大気を吸気ダクト15から導入する。同時にダンパ16を閉止して臭気ガスの導入を停止させる。その後、逆変換装置5の電力出力を停止させ、次いで燃焼器6への燃焼供給を停止してガスタービン発電装置の運転を停止する。この一連の停止動作は制御装置11からの指令に従って行われる。このような停止動作によれば、燃焼器6への燃料供給が停止して燃焼温度が低下する前に臭気ガスの導入が停止される。したがって、臭気ガスが十分熱分解されないで大気に放出されることを防止することができる。
【0023】
次に、ガスタービン発電装置が故障などの何らかの原因で緊急停止するときの動作について説明する。まず、燃焼器6への燃料の供給を遮断してガスタービン発電装置の運転を停止する。これと同時に、ダンパ17を全開にして大気を吸気ダクト15から導入し、同時にダンパ16を閉止して臭気ガスの導入を停止する。このような停止動作によれば、ガスタービン発電装置を急停止させた場合であっても、臭気ガスが熱分解されないで大気に排出されることを防止することができる。ガスタービン発電装置が停止した後は、吸気ダクト15に設けた送風機18を所定時間運転して脱臭装置内を掃気させる。これによって、吸気ダクト23を含む脱臭装置内(すなわち、臭気ガスの経路内)に残った臭気ガスを強制的にかつ速やかに外部に排気することができ、その後脱臭装置から臭気ガスが排出されることを防止することができる。なお、このような緊急停止時の一連の停止動作は制御装置11からの指令に従って行われる。
【0024】
図2は本発明の第2の実施形態に係る脱臭装置の全体構成を示す概略図である。なお、特に説明しない本実施形態の構成および動作は、上述した第1の実施形態と同様であるので、その重複する説明を省略する。
図2に示すように、本実施形態では、触媒ユニット25は再生器7と排熱回収装置20との間に配置されている。エネルギー効率を高める観点からは触媒ユニット25を燃焼器6の上流側に配置することが好ましいが、燃焼器6に導入される臭気ガスの温度は500〜600℃と高温である。このため、耐熱性の高い触媒を用いる必要があり、結果として触媒ユニットのコストが上がる。そこで、本実施形態では、排ガス温度が比較的低い領域である再生器7の下流側の排気ガス流路内に触媒ユニット25を配置する。
【0025】
再生器7を出た排気ガスの温度は、再生器7での熱交換により約300℃にまで低下する。したがって、耐熱性の低い安価な触媒ユニット25を用いることができる。この場合も、排気ガスの余熱を熱源として触媒反応を起こさせて、排気ガス中に残留する臭気物質を分解することができる。この実施形態でも、触媒反応により排気ガスの温度が上昇するので、次の排熱回収装置20での排熱回収量が増えることとなり、結果として熱交換率の高い脱臭装置を実現することができる。
【0026】
なお、触媒ユニット25を再生器7の内部に組み込むこともできる。すなわち、図3に示すように、再生器7の内部の排気ガス流路の出口近傍に触媒ユニット25を配置してもよい。このような構成によれば、ガスタービン発電装置全体をコンパクトにすることができる。
【0027】
上述した第1および第2の実施形態では、温度測定器9によって測定したタービン1から排気された排気ガス温度を、ガスタービン発電装置が定格運転に達したことを判断する基準の1つとして用いている。これに代えて、燃焼器6に供給される圧縮空気の温度を判断基準の1つとして用いてもよい。
【0028】
すなわち、制御装置11は、回転速度測定器8によってタービン1の回転が所定の回転速度に達したことを検出し、かつ電力測定器10によって逆変換装置5が電力出力を始めたことを検出し、かつ温度測定器21によって燃焼器6に導入される圧縮空気の温度が所定の値に達したことを検出した場合は、ガスタービン発電装置が定格運転に達して燃焼ガス温度が十分に高温になったと判断する。このとき、制御装置11は、ダンパ16を全開させるとともに、ダンパ17を閉止させ、これによって熱交換器19を通じてコンプレッサ2の吸気口12に臭気ガスを導入する。
【0029】
図4は本発明の第1または第2の実施形態に係る脱臭装置をVOC発生源となる工場に連結した例を示す模式図である。
工場30内に設置されたVOC発生設備(例えば、ラミネート加工機など)31からはVOC含有ガス(臭気ガス)が排出され、この臭気ガスは排出ライン32を通じて送風機33により工場30の外部に移送される。
【0030】
排出ライン32は脱臭装置の吸気ダクト14(図1参照)に接続されている。工場30から排出された臭気ガスは、吸気ダクト14およびダンパ16を介してガスタービン発電装置35に導入される。上述したように、ガスタービン発電装置35が定格運転されているときにダンパ16が開かれ、かつダンパ17が閉じられる。一方、ガスタービン発電装置35が定格運転されていないときはダンパ16が閉じられるとともにダンパ17が開かれ、大気がガスタービン発電装置35に導入される。
【0031】
臭気ガスは、熱交換器19により例えば約45℃に冷却される。その後、臭気ガスはコンプレッサ2で圧縮され、再生器7で加熱された後、燃焼器6にて臭気ガスと燃料ガスとの混合気が燃焼され、タービン1を回転させる。タービン1の回転に伴って発電機4で発生された電力は逆変換装置5により商用交流電力に変換されて、商用電源系統22に送られる。
【0032】
タービン1(図1参照)の駆動に供された燃焼ガスは排気ガスとしてガスタービン発電装置35から排出され、吸収式冷温水機(排熱回収装置)20に供給される。冷温水機20には冷却塔37が連結されており、ポンプ40によって冷却水が冷却塔37と冷温水機20との間を循環している。冷温水機20では、ガスタービン発電装置35から排出された排気ガスを熱源として冷水が生成され、この冷水はポンプ41により工場30内の室内空調機(ファンコイルユニット)38に供給される。冷水の一部は熱交換器19に送られ、ここでガスタービン発電装置35に導入される前の臭気ガスを冷却する。
【0033】
なお、工場から排出される臭気ガスの流量が少ない場合は、臭気ガスと大気とを同時にガスタービン発電装置に導入するようにしてもよい。また、工場から排出される臭気ガスの流量が多い場合は、臭気ガスの流量に応じて複数のガスタービン発電装置を使用してもよい。さらに、公知の触媒燃焼装置などの処理装置と本発明の脱臭装置とを併用することもできる。この場合は、工場から排出される臭気ガスの流量を上記処理装置によって調整し、脱臭装置にはその処理能力に応じた適切な流量の臭気ガスが導入されるようにすることが好ましい。
【0034】
このような脱臭装置によれば、エネルギー効率の極めて高い臭気ガス処理システムを提供することができる。また、既存のガスタービン発電装置を利用して脱臭装置を構築することができるのでイニシャルコストが低く、さらに臭気ガスや燃料ガスが持つエネルギーを電力や熱として回収することができるのでランニングコストも低くなる。
【0035】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る脱臭装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る脱臭装置の全体構成を示す概略図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る脱臭装置の他の構成例を示す概略図である。
【図4】本発明の第1または第2の実施形態に係る脱臭装置をVOC発生源となる工場に連結した例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0037】
1 タービン
2 コンプレッサ(空気圧縮機)
3 タービン軸
4 発電機
5 逆変換装置
6 燃焼器
7 再生器
8 回転速度測定器
9 温度測定器
10 電力測定器
11 制御装置
12 吸気口
13 臭気源
14,15 吸気ダクト
16,17 ダンパ
18 送風機
19 熱交換器
20 排熱回収装置
21 温度測定器
22 電力負荷
23 吸気ダクト
24 燃料供給源
25 触媒ユニット
30 工場
31 VOC発生設備
32 排出ライン
33 送風機
35 ガスタービン発電装置
37 冷却塔
38 室内空調機
40,41 ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービン軸に連結されたタービンと、
気体を圧縮するコンプレッサと、
前記圧縮気体と燃料ガスとの混合気を燃焼して燃焼ガスを発生させ、該燃焼ガスを前記タービンに供給する燃焼器と、
前記タービン軸に連結された発電機と、
前記発電機から出力された交流電力を所定の周波数の交流電力に変換する逆変換装置と、
前記圧縮気体と前記タービンから排出された排気ガスとの間で熱交換を行う再生器と、
臭気物質を分解する触媒ユニットとを備え、
前記触媒ユニットを前記再生器と前記燃焼器との間に配置し、
前記圧縮気体を、前記再生器で加熱した後であって、前記燃焼器に供給する前に、前記触媒ユニットを通過させるようにしたことを特徴とする脱臭装置。
【請求項2】
前記再生器から排出される排気ガスの熱を回収するための排熱回収装置をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の脱臭装置。
【請求項3】
タービン軸に連結されたタービンと、
気体を圧縮するコンプレッサと、
前記圧縮気体と燃料ガスとの混合気を燃焼して燃焼ガスを発生させ、該燃焼ガスを前記タービンに供給する燃焼器と、
前記タービン軸に連結された発電機と、
前記発電機から出力された交流電力を所定の周波数の交流電力に変換する逆変換装置と、
前記圧縮気体と前記タービンから排出された排気ガスとの間で熱交換を行う再生器と、
臭気物質を分解する触媒ユニットとを備え、
前記再生器で熱交換を行った排気ガスが前記触媒ユニットを通過するようにしたことを特徴とする脱臭装置。
【請求項4】
前記触媒ユニットを前記再生器の内部に配置したことを特徴とする請求項3に記載の脱臭装置。
【請求項5】
前記触媒ユニットを通過した排気ガスの熱を回収するための排熱回収装置をさらに備えたことを特徴とする請求項3または4に記載の脱臭装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−128518(P2008−128518A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−311475(P2006−311475)
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】