説明

脱色剤用組成物

【課題】第1剤と第2剤とを混合して使用する脱色剤において、過酸化水素を含有する前記第2剤と混合される前記第1剤として使用される脱色剤用組成物について、容器に量り取った際、その容器に水滴等の水分が付着していても発熱を抑制でき、しかも脱色性能も十分に良好なものとすること。
【解決手段】本発明の脱色剤用組成物は、(A)過硫酸塩、(B)分散剤、及び(C)メタケイ酸ナトリウムとを含有し、(C)成分は、粒子径100〜380μmの粒子が、(C)成分全体の60〜80質量%の割合を占めることを特徴とするものである。この脱色剤用組成物は、第1剤と第2剤とを混合して使用する脱色剤において、過酸化水素を含有する前記第2剤と混合される前記第1剤として使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末状のアルカリ剤や酸化助剤を含有する第1剤と、過酸化水素を含有する第2剤とを混合して使用される脱色剤において、第1剤として使用される脱色剤用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、毛髪用の脱色剤として、粉末状のアルカリ剤、酸化助剤などを含有する第1剤と、過酸化水素を含有する第2剤とを混合して使用されるものが知られている。この種の脱色剤においては、脱色性能向上を目的として、酸化助剤が大量に配合される。酸化助剤としては、過ホウ酸塩や過硫酸塩などが用いられる。
【0003】
ただし、第1剤に酸化助剤を大量に配合すると、第2剤との混合時に、酸化助剤の溶解に伴う発熱量が増大する傾向にあるため、混合後の組成物が高温になりやすい。
このような混合時の発熱を抑制する技術として、例えば、特許文献1には、第1剤と第2剤との混合調製を行う際に、積極的な混合操作を始める前の段階で発泡及び発熱が起こるのを抑制する技術について開示されている。具体的には、ステアリン酸金属塩と一定量の過硫酸塩とを含み、過硫酸塩として過硫酸ナトリウムを含む組成物において、過硫酸ナトリウムの含有量を15重量%以下とする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−226344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のような脱色剤には、以下に述べるような問題があった。
上記のような脱色剤は、使用時に第1剤、第2剤がそれぞれ容器で量り取られてから混合される。しかし、そのような容器内に水滴等の水分が付着していると、所要量の第1剤を容器で量り取った際に、第1剤中に含まれる成分が、容器に付着した水分に溶解して発熱する、という問題があった。
【0006】
このような発熱は、過硫酸ナトリウムの配合量を少なくすれば、ある程度抑制することはできるが、過硫酸ナトリウムの配合量が極端に少なくなると脱色性能が低下してしまう、という別の問題があった。
【0007】
また、上記特許文献1では、ステアリン酸金属塩を配合することにより、第1剤と第2剤の混合を開始する時点での発熱を抑制する技術が提案されているが、これは水分が付着した容器で第1剤を量り取ったときの発熱を抑制する技術ではない。しかも、ステアリン酸金属塩の配合比が過大になると、脱色性能が低下してしまう、という問題もあった。
【0008】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、第1剤と第2剤とを混合して使用する脱色剤において、過酸化水素を含有する前記第2剤と混合される前記第1剤として使用される脱色剤用組成物について、容器に量り取った際、その容器に水滴等の水分が付着していても発熱を抑制でき、しかも脱色性能も十分に良好なものとすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、本発明において採用した構成について説明する。
請求項1に記載の脱色剤用組成物は、第1剤と第2剤とを混合して使用する脱色剤において、過酸化水素を含有する前記第2剤と混合される前記第1剤として使用される脱色剤用組成物であって、(A)過硫酸塩、(B)分散剤、及び(C)メタケイ酸ナトリウムとを含有し、前記(C)成分は、粒子径100〜380μmの粒子が、前記(C)成分全体の60〜80質量%の割合を占めることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の脱色剤用組成物は、請求項1に記載の脱色剤用組成物において、前記脱色剤用組成物全体に対する質量比で、前記(A)成分が、20.0〜80.0質量%の割合で配合され、前記(B)成分が、0.05〜30.0質量%の割合で配合され、前記(C)成分が、5.0〜25.0質量%の割合で配合されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の脱色剤用組成物は、請求項1又は請求項2に記載の脱色剤用組成物において、前記(A)成分に対する前記(B)成分の配合比((B)/(A))が、質量比で0.01〜0.2であることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の脱色剤用組成物は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の脱色剤用組成物において、前記(A)成分として、(A−1)過硫酸ナトリウム、及び(A−2)過硫酸アンモニウムを含有し、前記脱色剤用組成物全体に対する質量比で、前記(A−1)成分が0.25〜4.5質量%の割合で配合され、前記(A−1)成分に対する前記(A−2)成分の配合比((A−2)/(A−1))が、質量比で2〜120であることを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の脱色剤用組成物は、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の脱色剤用組成物において、前記(B)成分として、(B−1)ステアリン酸金属塩と、(B−2)デンプン及びシクロデキストリンの中から選ばれる少なくとも一種とを含有することを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の脱色剤用組成物は、請求項5に記載の脱色剤用組成物において、前記(B−1)成分に対する前記(B−2)成分の配合比((B−2)/(B−1))が、質量比で0.01〜20であることを特徴とする。
【0015】
以下、本発明の構成、作用、効果について、さらに詳しく説明する。
本発明の脱色剤用組成物において、(A)過硫酸塩は、過酸化水素の分解を促進すると共に、毛髪脱色効果の向上に寄与する成分であり、この過硫酸塩としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどが好適である。
【0016】
(B)分散剤としては、ステアリン酸金属塩、タルク、ショ糖脂肪酸エステル、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、デキストリン、デンプン、乳糖などが好ましい。
【0017】
さらに、本発明の脱色剤用組成物において(A)成分は、好ましくは20.0〜80.0質量%、より好ましくは30.0〜70.0質量%の割合で配合される。上記配合量が20.0質量%未満の場合、脱色力が低下する傾向がある。一方、上記配合量が80.0質量%を超える場合、第2剤との混合調製時、特に混合時に発泡及び発熱を抑制する効果が弱まる傾向がある。
【0018】
(B)成分は、好ましくは0.05〜30.0質量%、より好ましくは0.5〜20.0質量%の割合で配合される。上記配合量が0.05質量%未満の場合、流動性及び分散性が低下し、第2剤との混合調製時、特に混合時に発泡及び発熱を抑制する効果が弱まる傾向がある。一方、上記配合量が30.0質量%を超えても、それ以上流動性及び分散性が改善されるものではなく、むしろ、偏析を生じる原因になったり、混合時に生じた熱が蓄積して容器内の温度が上昇しやすくなったりする傾向がある。
【0019】
(C)成分は、粒子径100〜380μmの粒子が、(C)成分全体の60〜80質量%の割合を占める。このような粒子径100〜380μmの粒子が(C)成分全体の60質量%を下回ってしまう程度まで、粒子径100μm未満の粒子の配合量が多くなると、(C)成分の溶解性が上昇し発熱が生じやすくなる。一方、粒子径100〜380μmの粒子が(C)成分全体の60質量%を下回ってしまう程度まで、粒子径380μmより大きい粒子の配合量が多くなると、脱色剤用組成物中の(C)成分の濃度分布に偏りが生じやすくなり、脱色剤用組成物を小分けして使用した場合には、(C)成分の濃度分布に偏りが生じることによって毎回効果が異なってしまう恐れがある。
【0020】
さらに、(C)成分は、好ましくは5.0〜25.0質量%、より好ましくは7.0〜20.0質量%の割合で配合される。上記配合量が5.0質量%未満の場合、脱色力が低下する傾向がある。一方、上記配合量が25.0%を超える場合、第2剤との混合調製時、特に混合時に発泡及び発熱を抑制する効果が弱まる傾向がある。
【0021】
さらに、(A)成分に対する(B)成分の配合比((B)/(A))は、質量比で0.01〜0.2であると好ましい。上記質量比が0.01未満の場合、流動性及び分散性が低下し、第2剤との混合調製時、特に混合時に発泡及び発熱を抑制する効果が弱まる傾向がある。一方、上記質量比が0.2を超えても、それ以上流動性及び分散性が改善されるものではなく、むしろ、偏析を生じる原因になったり、混合時に生じた熱が蓄積して容器内の温度が上昇しやすくなったりする傾向がある。
【0022】
さらに、(A−1)成分に対する(A−2)成分の配合比((A−2)/(A−1))は、質量比で2〜120であると好ましい。上記質量比が2未満の場合、脱色力が低下する傾向がある。また、第2剤との混合調製時、特に混合時に発熱するのを抑えにくくなる。一方、上記質量比が120を超える場合、混合液の粘度が高くなるため操作性が低下する場合がある。さらに、皮膚への刺激が強くなり、刺激臭(アンモニア臭)も増すので、混合時の不快さも増す傾向がある。
【0023】
さらに、(B−1)成分に対する(B−2)成分の配合比((B−2)/(B−1))は、質量比で0.01〜20であると好ましい。上記質量比が0.01未満の場合、脱色力が低下する傾向がある。一方、上記質量比が20を超える場合、第2剤との混合調製時、特に混合時に発泡及び発熱を抑制する効果が弱まる傾向がある。
【0024】
なお、本発明の脱色剤用組成物には、上記の過硫酸塩、分散剤、及びメタケイ酸ナトリウム以外の成分が任意成分として含まれていてもよい。任意成分の具体例としては、水溶性高分子化合物、油性成分、各種界面活性剤、メタケイ酸ナトリウム以外のアルカリ剤、増粘剤、保湿剤、ポリペプタイド、pH調整剤、金属封鎖剤等が挙げられる。
【0025】
水溶性高分子化合物としては、キサンタンガム、グアーガム、アルギン酸ナトリウム、トラガントガム、ローカストビーンガム、バレイショデンプン、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ヒドロキシエチルセルロースヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドエーテル、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸とその塩類、(メタ)アクリル酸アルキル共重合体等が挙げられる。
【0026】
上記記載の中でも、特に、キサンタンガム、グアーガム、トラガントガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド、又はヒドロキシエチルセルロースヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドエーテルが好ましい。
【0027】
上記水溶性高分子化合物は、その配合量は限定されないが、混合調製時において、好ましくは0.35〜5.0質量%、より好ましくは0.7〜4.0質量%、さらに好ましくは1.0〜3.5質量%となるように配合される。
【0028】
油性成分は、アルカリ剤、過硫酸塩等の粉末状の成分が飛散するのを防止するために配合される。
油性成分としては、炭化水素、油脂、ロウ類、高級アルコール、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、エステル類、シリコーン類等が挙げられる。
【0029】
メタケイ酸ナトリウム以外のアルカリ剤としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム等が挙げられる。
増粘剤としては、海藻類、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、グアーガム、キサンタンガム、及び第4級窒素含有セルロースエーテル等が挙げられる。
【0030】
界面活性剤としては、高級アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸石鹸、高級アルキルスルホン酸塩、高級アルキル燐酸エステル等が挙げられる。
毛髪を保護するために配合されるポリペプタイドとしては、コラーゲン、ケラチン、エラスチン、フィブロイン、コンキオリン、大豆蛋白、カゼイン等の蛋白質を酸、アルカリ、及び酵素などにより加水分解した加水分解物や、さらに、4級化したカチオン変性蛋白質等が挙げられる。
【0031】
pH調整剤としては、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム、燐酸第1アンモニウム、燐酸第2アンモニウム、クエン酸、酒石酸、乳酸、コハク酸等が挙げられる。
【0032】
金属封鎖剤としては、エデト酸、エデト酸二ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム等が挙げられる。
上記記載の任意成分以外にも、固体状の任意成分として、帯電防止剤、毛髪柔軟剤、酸化防止剤、防腐剤、賦形剤、香料等が適宜配合されていてもよい。
【0033】
なお、本発明の脱色剤用組成物と混合して使用される第2剤は、過酸化水素が必須成分として含まれるものである。この第2剤において、過酸化水素は、好ましくは1.0〜6.0質量%、より好ましくは2.0〜6.0質量%が配合される。
【0034】
また、この第2剤には、過酸化水素以外の成分が任意成分として含まれていてもよい。任意成分の具体例としては、糖類、アルキルグリセリルエーテル、油脂類、高級アルコール、ロウ類、炭化水素類、エステル類、シリコーン誘導体、非イオン性高分子、アニオン性高分子、両性高分子、消泡剤、粘度調整剤、防腐剤、安定化剤、pH調整剤、界面活性剤、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、香料、紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0035】
以上のように構成された脱色剤用組成物によれば、以下の(1)〜(6)に記載の効果を得ることができる。
(1)本発明の脱色剤用組成物は、(A)過硫酸塩、(B)分散剤、及び(C)メタケイ酸ナトリウムとを含有し、(C)成分は、粒子径100〜380μmの粒子が、(C)成分全体の60〜80質量%の割合を占めるように構成されている。したがって、容器に量り取った際に、容器に付着していた水滴等による発熱を抑制することができる。
【0036】
さらに、(C)成分は、粒子径100〜380μmの粒子が、(C)成分全体の60〜80質量%の割合を占めるように構成されているので、(C)成分の溶解性が上昇するのを防ぐことができ、発熱を抑制することができる。また、脱色剤用組成物において(C)成分の濃度分布の偏りを防ぐことができるので、小分けして使用された場合にも毎回同じ効果を得ることができる。
(2)(A)成分が20.0〜80.0質量%、B成分が0.05〜30.0質量%、C成分が5.0〜25.0質量%配合されるので、十分な脱色力も備えられ、さらに、第2剤と混合して使用される時に発泡及び発熱を抑制する効果が弱まるのも防ぐことができる。
(3)((B)/(A))の質量比が0.01〜0.2とされるので、脱色力を高めることができる。
(4)(A)成分として、(A−1)過硫酸ナトリウム、及び(A−2)過硫酸アンモニウムを含有し、脱色剤用組成物全体に対する質量比で、(A−1)成分が0.25〜4.5質量%の割合で配合され、((A−2)/(A−1))が、質量比で2〜120とされるので、容器に付着していた水滴等と溶解して発熱することを抑制することができる。(5)(B)成分として、(B−1)ステアリン酸金属塩と、(B−2)デンプン及びシクロデキストリンの中から選ばれる少なくとも一種とが含有されるので、脱色力を一層高めることができる。
(6)((B−2)/(B−1))が、質量比で0.01〜20とされるので、容器に付着していた水滴等に溶解して発熱することをより一層抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
次に、本発明の実施形態について一例を挙げて説明する。
[脱色剤用組成物の調製]
表1に示す組成の脱色剤用組成物(実施例1〜実施例9)、表2に示す組成の脱色剤用組成物(実施例10〜実施例18)、及び表3に示す組成の脱色剤用組成物(比較例1〜比較例5)を、いずれも常法に従って調製した。
【0038】
各表において、成分について示す数値は質量%で表記している。
[脱色性能の評価]
表1〜表3に示す各脱色剤用組成物を第1剤として、この第1剤3gと第2剤(本実施形態での組成比…35%過酸化水素水:15質量%、セタノール:2質量%、ラウリル硫酸ナトリウム:0.5質量%、スズ酸ナトリウム:0.1質量%、精製水:82.4質量%)7.5gを混合した後、混合物を黒髪人毛毛束(ビューラックス社製)2gに刷毛を用いて塗布し、30℃で30分放置した。その後、通常のシャンプーにて洗浄し、次いで乾燥させることにより脱色処理毛束とした。
【0039】
この脱色処理毛束をパネラー10名が目視することによって、脱色性能が良いか否かを評価した。評価結果については、パネラー10人中「良い」と答えた人が8人以上の場合を評価4、パネラー10人中「良い」と答えた人が5〜7人の場合を評価3、パネラー10人中「良い」と答えた人が2〜4人の場合を評価2、パネラー10人中「良い」と答えた人が1人以下の場合を評価1とした。評価結果を、表1〜表3の脱色力の欄に示す。
【0040】
[発熱温度の測定]
水道水5gが入ったカップもしくはトレイに脱色剤用組成物25gを量りとり、水道水が脱色剤用組成物に馴染むように攪拌棒で10回攪拌して混合した。混合直後〜30分後の温度を温度計で測定した。温度計が示した最高温度を発熱温度とした。
【0041】
[発熱抑制効果の評価]
測定した発熱温度によって、発熱抑制効果が評価された。
発熱温度が、31℃以下である場合を評価5、31℃より高く34℃以下である場合を評価4、34℃より高く37℃以下である場合を評価3、37℃より高く40℃以下である場合を評価2、40℃より高い場合を評価1とした。評価結果を、表1〜表3の発熱抑制効果の欄に示す。
【0042】
【表1】

【0043】
【表2】

【0044】
【表3】

【0045】
表1の実施例1〜実施例6に示されるように、(A)過硫酸塩、(B)分散剤、(C)無水メタケイ酸ナトリウムを含み、(C)成分は、粒子径100〜380μmの粒子が、(C)成分全体の60〜80質量%の割合を占める(実施例1〜実施例3、及び実施例6では60%、実施例4では80%、実施例5では70%)場合に脱色力及び発熱抑制効果は共に評価3を示し、所望の効果が得られる脱色剤用組成物であることが明らかとなった。
【0046】
さらに、表1の実施例8及び実施例9に示されるように、(A)成分に対する(B)成分の配合比((B)/(A))が質量比で、それぞれ0.2及び0.1である場合は脱色力の評価は4になり、脱色力が向上することが示された。
【0047】
さらに、表2の実施例10〜実施例12に示されるように、(C)成分は、粒子径100〜380μmの粒子が、(C)成分全体の割合を70%、(A)成分に対する(B)成分の配合比((B)/(A))が質量比で0.1とした場合に、(A−1)成分に対する(A−2)成分の配合比((A−2)/(A−1))が、質量比で2〜120(実施例10では120.0、実施例11では2.2、実施例12では20.0)である場合は、発熱抑制効果も評価4に向上することが示された。
【0048】
さらに、表2の実施例13及び実施例14に示されるように、(B)成分として、(B−1)ステアリン酸マグネシウムと、実施例13では(B−2)バレイショデンプン、実施例14では(B−2)バレイショデンプン及び(B−2)シクロデキストリンを使用した場合には、脱色力が評価5に向上することが示された。
【0049】
さらに、表2の実施例15〜実施例18に示されるように、(B−1)成分に対する(B−2)成分の配合比((B−2)/(B−1))が、質量比で0.01〜20(実施例15は0.012、実施例16は0.0125、実施例17及び実施例18は20)である場合には、脱色力及び発熱抑制効果は共に評価5になることが明らかとなった。
【0050】
また、表3の比較例1に示されるように、(C)成分全体の割合が40%になる場合は、脱色力及び発熱抑制効果は共に1になることから、(C)成分は、粒子径100〜380μmの粒子が、(C)成分全体の60〜80質量%の割合を占めることが必要であることが明らかになった。
【0051】
また、表3の比較例2に示されように、(B)成分が含有されていない場合、脱色力及び発熱抑制効果は、それぞれ評価1及び評価2と低い評価になった。また、比較例3に示されるように(C)成分が含有されていない場合は、発熱抑制効果は評価5と高い評価を得られたが、脱色力は評価1と低い評価になった。また、比較例4に示されるように、(A)成分が含有されていない場合も同様に、発熱抑制効果は評価5と高い評価を得られたが、脱色力は評価1と低い評価になった。
【0052】
以上の結果からも、脱色力及び発熱抑制効果が共に所望の効果を得るためには、(A)成分、(B)成分、(C)成分が含有されており、(C)成分は、粒子径100〜380μmの粒子が、(C)成分全体の60〜80質量%の割合を占めることが必須であることが明らかになった。
【0053】
[変形例等]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の具体的な一実施形態に限定されることはない。
【0054】
例えば、(A)成分の、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウムの配合割合については、所望の効果が得られる割合で配合することができ、表1〜表3に示されている配合割合に限定されない。
【0055】
(B)成分の分散剤は、第2剤との混合時に第2剤と急速に溶解するのを防ぐ効果のあるものであり、ステアリン酸金属塩、タルク、ショ糖脂肪酸エステル、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、デキストリン、デンプン、乳糖から任意に一つ及び複数選択して使用することができる。また、複数選択した場合の配合割合についても限定されない。
【0056】
さらに、(A)成分、(B)成分及び(C)成分以外の任意成分については限定されず、一般的に脱色剤に添加される成分であれば、例えば、水溶性高分子化合物、油性成分、各種界面活性剤、メタケイ酸ナトリウム以外のアルカリ剤、増粘剤、保湿剤、ポリペプタイド、pH調整剤、金属封鎖剤などを任意に選択し適宜配合することができる。また、上記記載の任意成分以外にも、固体状の任意成分として、帯電防止剤、毛髪柔軟剤、酸化防止剤、防腐剤、賦形剤、香料などを適宜配合することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1剤と第2剤とを混合して使用する脱色剤において、過酸化水素を含有する前記第2剤と混合される前記第1剤として使用される脱色剤用組成物であって、
(A)過硫酸塩、(B)分散剤、及び(C)メタケイ酸ナトリウムとを含有し、
前記(C)成分は、粒子径100〜380μmの粒子が、前記(C)成分全体の60〜80質量%の割合を占める
ことを特徴とする脱色剤用組成物。
【請求項2】
前記脱色剤用組成物全体に対する質量比で、前記(A)成分が、20.0〜80.0質量%の割合で配合され、前記(B)成分が、0.05〜30.0質量%の割合で配合され、前記(C)成分が、5.0〜25.0質量%の割合で配合されている
ことを特徴とする請求項1に記載の脱色剤用組成物。
【請求項3】
前記(A)成分に対する前記(B)成分の配合比((B)/(A))が、質量比で0.01〜0.2である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の脱色剤用組成物。
【請求項4】
前記(A)成分として、(A−1)過硫酸ナトリウム、及び(A−2)過硫酸アンモニウムを含有し、前記脱色剤用組成物全体に対する質量比で、前記(A−1)成分が0.25〜4.5質量%の割合で配合され、前記(A−1)成分に対する前記(A−2)成分の配合比((A−2)/(A−1))が、質量比で2〜120である
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の脱色剤用組成物。
【請求項5】
前記(B)成分として、(B−1)ステアリン酸金属塩と、(B−2)デンプン及びシクロデキストリンの中から選ばれる少なくとも一種とを含有する
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の脱色剤用組成物。
【請求項6】
前記(B−1)成分に対する前記(B−2)成分の配合比((B−2)/(B−1))が、質量比で0.01〜20である
ことを特徴とする請求項5に記載の脱色剤用組成物。

【公開番号】特開2012−224596(P2012−224596A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94927(P2011−94927)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(000113274)ホーユー株式会社 (278)
【Fターム(参考)】