説明

腔内ステント

【課題】腔内ステントを提供すること。
【解決手段】本発明は、頂端部分(15)によって接続された一連の連続したストラット(14)を規定するジグザグ型または正弦型部材から構成され、軸方向に配置された一連のフープ部材(12a〜12n)に形成された腔内ステント(10)である。フープ部材の少なくとも1つが隣接フープのストラット(14)に接続された少なくとも1つのストラット(14)を有する。接続されたストラット(14)は、スポット溶接、連続溶接、もしくは縫合によって、または例えば、各ストラット(14)に接続されたブリッジ部材(26)によって接続され得、接続支柱(16)を形成するようにあるパターンでステント長さに沿って間隔を空けられ得る。フープ部材の各々(12a〜12n)でのジグザグ部材のジグ数は、ジグ長さ(L1)が変化するにつれて変化し得る。複数の接続支柱(16)も備えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願との相互参照)
本発明は、参考として本明細書において援用される、1998年3月5日出願、米国仮出願第60/076,946号に基づき優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、一般的に腔内補綴、そしてより詳細には、ジグザグワイヤフープまたは正弦ワイヤフープを含む腔内ステントに関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
狭窄(stenoses)、狭窄(stricture)、血栓症、または動脈瘤のような血管の疾患を処置する通常の方法は、罹患した血管内にステントを留置することを含む。とりわけ利点であるが、ステントは、血管を虚脱から予防し、血管壁を強化し、断面積(およびそれにより流量)を増加し、そして健常な血流を回復または維持する。多くのステントが開発され、そして従来の技術は、その製造に関して広範な種々の型および方法を含む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の要旨)
本発明は、一般に、ステントの軸に沿って連続して配置された複数の円周状のワイヤフープを含む円筒状の腔内ステントである。それぞれのフープは、逆軸方向に交互に尖った頂端部分により連結される連続するストラット(strut)により規定されるジグザグ部材または正弦部材を有する。このストラットは、ギザギザのジグザグ状構成中の基本的に尖った頂端部分に連結された実質的に直線の部分であり得る。または頂端部分は、より丸くあり得、そのためストラットとともに正弦の構成が形成される。これらのストラットの長さは、ステントを通して均一であり得るかまたは交互にかもしくは連続的に変化し得る。同様に、頂端の、曲率および構成の角度または半径は、均一であり得るか、または変化し得る。機械的な一体性を提供するために、そのフープの選択部分は、(例えば、個々のフープまたは近接するフープのいずれかにおいて過度に直線の部分を点溶接することにより)相対的な軸運動に対して安定にされ得る。このような連結はまた、近接するフープにおける直線部分に整列されるブリッジ部材で形成され得る。
【0005】
これらの連結(ブリッジ部材に介在するか、または介在することなく)は、ステントの長さに沿って1つ以上の直線状経路またはらせん状経路に配置され得、従って、安定化支柱として作用し得る。あるいは、これらの連結は、その事前選択された位置で安定性を与えるために、他の事前選択されたパターン(例えば、ステントの円周を交互に回る)に配置され得る。
(項目1) 管状軸を有する管状ステントであって、該ステントは、該軸に沿って連続して直線的に配置された、複数の円周状フープを備え、該フープの各々が、対向する軸方向に交互に尖っている頂端部分によって接続された、一連の連続するストラットによって規定されたジグザグ型または正弦型部材を備え、少なくとも一対の隣接するフープが接続部材によって互いに接続され、該接続部材が、該接続した隣接するフープの一方の部分である第1のストラットと、該隣接するフープの他方の部分である第2のストラットとを接続し、該第1および第2のストラットが互いに整列される、管状ステント。
(項目2) 各接続部材が、スポット溶接、連続溶接、吸収性縫合糸、非吸収性縫合糸、ステープル、吸収性接着剤、非吸収性接着剤、およびポリマー含有接続からなる群より選択されるコネクタである、項目1に記載のステント。
(項目3) 隣接したフープの軸方向に対向した頂端部分が、互いに軸方向に間隔を空けられ、そして該接続部材が該第1および第2のストラットと整列し、そしてこれらに接続するブリッジ部材である、項目1に記載のステント。
(項目4) 各ブリッジ部材が、スポット溶接、連続溶接、吸収性縫合糸、非吸収性縫合糸、ステープル、吸収性接着剤、非吸収性接着剤、およびポリマー含有接続からなる群より選択されるコネクタによって、上記第1のストラットと上記第2のストラットとが各々接続されている、項目3に記載のステント。
(項目5) 上記ブリッジ部材と該ブリッジ部材に接続された上記ストラットとが同じ材料の構成物から構成され、そして同じ断面積である、項目3に記載のステント。
(項目6) 隣接したフープの軸方向に対向した頂端部分が、互いに軸方向に間隔を空けられ、そして上記第1のストラットおよび第2のストラットの一方または両方が、該隣接したフープにおけるストラットの残りに対して伸長され、そしてその間の接続を可能にするように、少なくともいくらか軸方向の距離にわたって互いに隣接して位置する、項目1に記載のステント。
(項目7)前記ステントが、第1の方向に尖っている一連の同様に方向付けられた頂端部分を備え、該同様に方向付けられた頂端部分はらせんに配置され、各フープが該らせんの360度の包囲を1つ備える、項目1に記載のステント。
(項目8) 上記らせんにおける各頂端部分が、そこに取り付けられた2つのストラットを備え、一方のストラットが他方のストラットより長い、項目7に記載のステント。
(項目9) 隣接フープの軸方向に対向する頂端部分の少なくともいくつかが、軸方向に互いに重複する、項目8に記載のステント。
(項目10) 前記頂端部分の夾角および軸長が、前記第1のストラットおよび第2のストラットを備える選択された頂端部分を除いて、一般に均一である、項目9に記載のステント。
(項目11) 前記頂端部分の夾角および軸長が、前記第1のストラットおよび第2のストラットを備える選択された頂端部分、ならびに前記ステントのフープの一方または両方の端を備える末端の頂端部分を除いて、一般に均一である、項目9に記載のステント。
(項目12) 上記末端の頂端部分が、上記ステントの末端における上記管状軸に対して垂直な平面を規定する、項目11に記載のステント。
(項目13) 前記頂端部分の夾角および軸長が、前記第1のストラットおよび第2のストラットを備える頂端部分を除いて、一般に均一であり、そしてこれらの非均一な頂端部分は、それぞれ該均一な頂端部分の夾角よりも大きい夾角および小さい夾角を備える、項目9に記載のステント。
(項目14) 前記選択された頂端部分が、N+1ジグ毎に間隔をあける、項目9に記載のステント。
(項目15) 上記ステントの各末端に配置された末端フープをさらに備える、項目8に記載のステントであって、ここで上記ステントから外向きに尖っている頂端部分が、該ステントの軸に対して垂直な共通平面に位置する、ステント。
(項目16) 上記末端フープの頂端部分が、次第に短くなるジグ長さまたは末端ストラットに導く巾を有する、項目15に記載のステント。
(項目17) 上記末端フープの頂端部分の間のストラットが、末端ストラットに導く隣接フープのストラットと徐々にさらに重複する、項目15に記載のステント。
(項目18) 上記末端フープが、各々、該末端フープの別のストラットに隣接して整列され、かつそれに接続されている末端ストラットを備える、項目15に記載のステント。
(項目19) 上記末端ストラットが、第1の溶接長さを有する溶接で上記別のストラットに接続され、そして末端フープでない上記フープにおける上記接続部材が、該第1の溶接長さより短い第2の溶接長さを有する溶接部を備える、項目18に記載のステント。
(項目20) 上記末端ストラットが、上記ステントから外向きに尖った、その上に上記末端フープ頂端部分が位置する、該ステントの軸に対して垂直な上記共通平面が短く終結する、項目19に記載のステント。
(項目21) 隣接したフープの対の上記接続部材が、上記ステントの長さに沿って接続性支柱を形成するようにあるパターンで配列されている、項目1に記載のステント。
(項目22) 隣接したフープの各対が、軸方向に対向した頂端部分において対形成した複数のストラットを備え、該ストラット対の各々が、上記ステントの長さに沿って複数の接続性支柱を形成するように、互いに接続されている、項目21に記載のステント。
(項目23) 上記接続性支柱を形成した、上記接続したストラットが、上記ステントの長さに沿って、互いにらせん状に整列されている、項目21または22に記載のステント。
(項目24) 上記接続性支柱を形成した、上記接続したストラットが、上記ステントの長さに沿って、互いに整列されていない、項目21または22に記載のステント。
(項目25) 前記ステントは、前記ジグザグ部材への少なくとも1つの連続フィラメントの巻き付けを備え、該フィラメントはニチノールワイヤ、ステンレス鋼ワイヤーおよび熱可塑性ポリマーからなる群より選択される材料を含む、項目1に記載のステント。
(項目26) 前記ステントは、単独の連続するフィラメントを備える、項目25に記載のステント。
(項目27) 前記ステントは、複数の連続するフィラメントを備える、項目25に記載のステント。
(項目28) 隣接フープの表面頂端部分は、互いに隣接する、項目1に記載のステント。
(項目29) 隣接フープの表面頂端部分は、互いに円周方向にオフセットがある、項目1に記載のステント。
(項目30) 各フープにおいて、4〜6の同様に配向された頂端部分を備える、項目1に記載のステント。
(項目31) 上記フープの全てが、同様に配向された頂端部分と同様な数を有する、項目1に記載のステント。
(項目32) 少なくとも2つの長手セグメントをさらに備える、項目1に記載のステントであって、該セグメントの少なくとも一方におけるフープが、頂端部分の夾角、ジグの長さ、およびフープあたりの頂端部分の数のうちの1つ以上に関して、該セグメントの他方におけるフープとは異なる、ステント。
(項目33) 前記ステントは長さを有し、そして一定の数の連続するフィラメントおよびその長さに沿った接続支柱を備える、項目1に記載のステント。
(項目34) 少なくとも2つの長手セグメントをさらに備える、項目1に記載のステントであって、該セグメントの少なくとも一方が、他方のセグメントと異なる数の連続するフィラメントおよび接続支柱を備える、ステント。
(項目35) 少なくとも2つの長手セグメントをさらに備える、項目1に記載のステントであって、上記セグメントの第1のセグメントにおける各フープが、第1のジグの長さを有し、そして該セグメントの第2のセグメントにおける各フープが該第1のジグの長さとは異なる第2のジグの長さを有する、ステント。
(項目36) 上記第1のセグメントと第2のセグメントとの間に移行セグメントをさらに備える、項目35に記載のステントであって、該移行セグメントにおける各フープは、該第1のジグの長さと該第2のジグの長さとの間の中間の第3のジグの長さを有する、ステント。
(項目37) 上記第1のセグメントと第2のセグメントとの間に移行セグメントをさらに備える、項目35に記載のステントであって、該移行セグメントが上記第1のジグの長さと上記第2のジグの長さとの間に緩やかな移行を提供する、複数のジグ長さを有する、ステント。
(項目38) 第1の方向に尖っている各頂端部分およびそこに取り付けられた2つのストラットがジグを備え、隣接したジグの各々のジグの長さおよびジグの幅が、各フープにおいて均一である、項目1に記載のステント。
(項目39) 各フープの各ジグが、各隣接したジグに関して、異なるジグの長さ、異なるジグの幅、またはその組み合わせを有する、項目1に記載のステント。
(項目40) 各フープの1つ以上の選択したジグがブリッジ部材を備える隣接フープのジグに接続されている、項目39に記載のステント。
(項目41) 第1および第2のフープの選択されたジグの間の上記ブリッジ部材が、該ステントの管状軸に関して第1の方向で角度をつけられ、そして該第2および第3のフープの選択されたジグの間のブリッジ部材が該ステントの管状軸に関して、該第1の方向と対向する第2の方向で角度をつけられている、項目40に記載のステント。
(項目42) 3〜40mmの直径を有する、項目1に記載のステント。
(項目43) 上記ステントにより規定された内部空間の少なくとも一部を囲む移植層を備える、項目1に記載のステント。
(項目44) 上記頂端部分が曲線的な先端または直線的な先端からなる群より選択される形状を有する、項目1に記載のステント。
(項目45) 少なくとも1つの選択された表面積をさらに備え、該選択された表面積は、該選択された表面積を取り囲む表面積より異なる放射線不透過性を有する、項目1に記載のステント。
(項目46) 上記ジグザグ部材が正弦型を有する、項目1に記載のステント。
(項目47) 管状軸を有する管状ステントであって、該ステントは、らせん状に配列された複数のジグザグ部材を備え、該ジグザグ部材が、第1および第2の軸方向に交互に尖っている頂端部分によって接続された、連続した一連のストラットによって規定され、第1の方向に尖った頂端部分が、該らせんの軸方向に隣接した横断に対して第2の方向に尖った頂端部分と軸方向に重複し、ここで、該らせんの1つの横断に対して第1の方向に尖った該頂端部分の少なくとも1つのストラットが、該らせんの隣接する横断に対して第2の方向に尖った該頂端部分の別のストラットと整列されたか、またはそれと溶接され、該溶接された1つのストラットおよび別のストラットは、接続部材を備える、ステント。
(項目48) 所定のらせん間隔に従って上記ステントに沿って均一に分布した複数の接続部材をさらに備える、項目47に記載のステント。
(項目49) 上記所定のらせん間隔が約450°毎に1回である、項目48に記載のステント。
(項目50) 以下を含むステントを作製する方法であって、該方法は、以下:
(a)企図したステントの外形におおよそ合わせて、マンドレルの表面に配置したピンのまわりに所定のパターンで、
i)軸方向に対向して交互に尖っている頂端部分に接続された、連続した一連の実質的にまっすぐな部分によって規定される、一連のジグザグ部材にジグザグピンのまわりを横断して、
ii)該ステントの長さに沿って軸方向に連続して配置されたジグザグ部材の少なくとも2つの円周状フープを形成するように該マンドレルの円周方向に、
第1のワイヤを巻き付ける工程:
(b)該隣接したフープにそれぞれ近接する部分の間に配置された1対の溶接セグメントピンの間に末端部分を有する第2のワイヤを巻き付ける工程、
(c)該第2のワイヤの末端部分を、該隣接したフープを接続する溶接セグメントを規定するために該隣接したフープの近接した部分に溶接する工程、
を包含する方法。
(項目51) 工程(c)が、上記第2のワイヤの上記末端部分を上記第1のワイヤに溶接するために、上記マンドレルに形成された孔を通してレーザーを方向付けて、該第2のワイヤの該末端部分を短くする工程、またはその組み合わせを包含する、項目50に記載の方法。
(項目52) ステントを作製する方法であって、該方法は、以下:
第1に、マンドレル上のピンの周りに所定のパターンでフィラメント状材料を巻き付ける工程であって、該所定のパターンは、該マンドレルの内部へのアクセス孔を備える該マンドレル表面上の領域で該フィラメントの第2の部分に隣接して該フィラメントの第1の部分が位置するセグメントを備える、工程、および
第2に、該フィラメントの該第1の部分と第2の部分とを接続する上記アクセス孔を使用する工程、
を包含する方法。
(項目53) 上記フィラメント状材料がワイヤであり、上記アクセス孔が上記第1のフィラメント状部分と上記第2のフィラメント状部分とをその溶接物によって接続するために使用されている、項目52に記載の方法。
(項目54) ステントセグメントを作製する方法であって、該方法は、(1)管状マンドレル上のNセットのそれぞれのペグのまわりに、N本のフィラメントを巻き付ける工程であって、ここでNは、総数が少なくとも2であり、該Nセットの各々が、該マンドレル上の予め選択された軸位置でジグザグ型を規定する少なくとも3つの軸方向にオフセットされたペグを備え、該セットの各々が円周方向に隣接するセットに隣接した、少なくとも1つの共通ペグを備え、該フィラメントの各々が、該円周方向に隣接するセットの共通ペグの間に十分な距離をとって共通経路に従う、工程、および(2)該共通経路に沿って該フィラメントの間に接続を形成する工程、従って、連続するジグザグを備える円周状ステントセグメントを形成する工程、を包含する方法。
(項目55) ステントセグメントを作製する方法であって、該方法は、(1)管状マンドレル上のNセットのそれぞれのペグの周りにN本のフィラメントを巻き付ける工程であって、ここでNは、総数が少なくとも1であり、該Nセットの各々が、該マンドレル上の予め選択された軸位置でジグザグ型を規定する少なくとも3つの軸方向にオフセットされたペグを備え、ペグの円周方向に連続した対が、該ステントの長さに沿ってらせん状のジグザグパターンを形成するように先行する該対から、予め選択された方向で軸方向にオフセットされ、ここで、該ペグによって該マンドレルの予め選択された角度部分の各々の横断で少なくとも1つの円周方向位置において、各々のフィラメントが同じフィラメントかまたは隣接フィラメントの一部が接触するように隣接して、同じかもしくは円周方向に隣接したセットの隣接したペグから約360°オフセットされた共通ペグが存在する、工程、および(2)該接触隣接フィラメント部分間の接続を形成する工程、従って、ジグザグのらせん状の連続から構成される円周状ステントセグメントを形成する工程を包含する、方法。
(項目56) 項目54または55のいずれかに記載のステントセグメントの連続を作製する工程を包含する、ステントを作製する方法。
【図面の簡単な説明】
【0006】
提供する図は、例証の目的であり、一定の比率に拡大して描いていない。拡大した相対寸法は、本発明の良好な理解を可能にする。当業者は、本明細書において提供された情報に基づいて実際の寸法を容易に決定する。
【図1】図1は、本発明によるステントの例示的実施態様の線図であり、ここで管状ステントは、ステントの軸に平行な線にそって展開して示され、そして平坦化されて示される;ステントを形成するのに用いられるマンドレル(mandrel)ピンもまた示される。
【図2】図2は、向き合う頂端部分の間に複数の支柱ならびに、軸方向のオフセットおよび円周方向のオフセットを有する、本発明によるステントの別の例示的実施態様の線図である。ここでこの管状ステントは、ステントの軸に平行な線にそって展開して示され、そして平坦化されて示される;ステントを形成するのに用いられるマンドレルピンもまた示される。
【図3】図3は、本発明によるステントの別の例示的実施態様の部分的な線図であり、これは、以下を有する:複数の長手部位、異なる数の支柱を有する中間部位、異なる数のジグ、および末端部位と異なる長さのジグ。ここでこの管状ステントは、ステントの軸に平行な線にそって展開して示され、そして平坦化されて示される。
【図4】図4は、本発明によるステントの別の例示的実施態様の線図であり、これは、中心部位に対して異なるジグ特性を有する末端部分を有する。ここで管状ステントは、ステントの軸に平行な線にそって展開して示され、そして平坦化されて示される;ステントを形成するのに用いられるマンドレルピンもまた示される。
【図5】図5は、本発明によるステントの別の例示的実施態様の線図であり、これは、別個のブリッジ部材を含む接続部材を有する。ここでこの管状ステントは、ステントの軸に平行な線にそって展開して示され、そして平坦化されて示される;ステントを形成するのに用いられるマンドレルピンおよび溶接(weld)穴もまた示される。
【図6−1】図6Aは、本発明によるステントの別の例示的実施態様の線図であり、これは、互いにかみ合うジグを有する。ここで、管状ステントは、ステントの軸に平行な線にそって展開して示され、そして平坦化されて示される。 図6B〜6Dは、図6Aのステントの拡大部分の線図であり、これは、それぞれ、例示的な末端溶接、および例示的な中間溶接、および例示的な放射性不透物質(radiopaque)マーカーを示す。
【図6−2】図6Eは、ステント6Aの例示的な実施態様の線図であり、ここで、このステントは、その正常な管状構造で示される。 図6Fは、本発明によるステントの例示的な実施態様の線図であり、これは、互いにかみ合うジグおよび異なるジグ構造の複数の長手部位を有する。ここで、この管状ステントは、ステントの軸に平行な線にそって展開して示され、そして平坦化されて示される。
【図7】図7は、本発明によるステントの例示的な実施態様の部分的な側面図であり、これは、交互のジグ長を有する。ここで、この管状ステントは、ステントの軸に平行な線にそって展開して示され、そして平坦化されて示される。
【図8】図8は、本発明によるステントの別の例示的な実施態様の部分的な線図であり、これは、直線末端の頂端部分を有する。ここで、この管状ステントは、ステントの軸に平行な線にそって展開して示され、そして平坦化されて示される。
【図9】図9は、本発明によるステントの別の例示的な実施態様の部分的な線図であり、これは、伸長されたストラットにより形成される接続部材を有する。ここで、この管状ステントは、ステントの軸に平行な線にそって展開して示され、そして平坦化されて示される;ステントを形成するのに用いられるマンドレルピンもまた示される。
【図10】図10は、ステントの製造の間、マンドレル上に装着される図6Aに示されるステントの部分的線図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(発明の詳細な説明)
図1は、本発明による模範的なステント10を例証する。ステント10は、一般的に、円筒状であり、そして腔内に挿入されるように適応されている。ステント10は、例示の目的のため、長手に切断され、そして平面に置かれている。ステント10は、ワイヤ11のような連続するフィラメントを、ジグザグ状構造または正弦構造に巻き、およびステント10の軸にそって連続して配置される多数の円周状フープ部材12a、12b、12cに、巻き付けることにより形成される。ワイヤ11は、好ましくはニチノールワイヤ(形状記憶により自己伸長するステントを提供する)であるが、ワイヤ11は、ステンレス鋼および熱可塑性ポリマーを含む任意の適切な物質からなり得る。従って、このステントは、当該分野で周知のように、形状記憶自己拡張、熱的自己拡張または風船拡張による展開をし得る。このワイヤの幅は、ステント10により及ぼされる半径方向の力に影響する。ワイヤ11の直径の増加は、半径方向の力を増加する。
【0008】
便宜上、このワイヤの構造は、全体にわたって、ジグまたはジグ長を有する「ジグザグ(zig−zag)」形状を有するといわれる。しかし、本明細書において用いる場合、用語「ジグザグ」は、ギザギザのジグザグ形状(これは、頂端部分が比較的先鋭でかつストラットが実質的に直線である)だけでなく、正弦形状(これは、頂端部分が丸く、そしてストラットとともに、幅(ジグ長)および周期または波長(ジグ幅)を有する正弦波に似た形状を形成する)を包含する。同様に、頂端部分は、あるジグ角度を規定するといわれ得るが、この角度は、より丸くなり得、そのため、より小さい角度およびより大きな角度は、それぞれ、より小さな半径の曲率およびより大きな半径の曲率として、さらに想定され得る。当然、実際のワイヤ構造は、ギザギザのジグザグ、および丸い正弦波形状の中間形状を有し得るか、または正弦波よりなお丸くあり得、そして頂端部分は、本明細書中、以後に記載されるように、実際に、丸い形状または尖った角度よりも短縮型、直線エッジを有し得る。
【0009】
ステント10を形成するために、ワイヤ11は、マンドレル(mandrel)上でピン13の周りに巻き付けられる(示さず)。このマンドレルは、代表的には、円筒型(ただし、他の形状が、変化する形状のステントを形成するために必要な場合、用いられ得る)であり、そしてステント10が挿入される血管の直径により決定される直径である。代表的には、マンドレルの直径(つまり、ステント10の意図する直径)は、血管の直径よりわずかに大きい(例えば、1ミリメートル)。ステント10の長さはまた、特定の適用により決定される。
【0010】
ステント10は、図1のA点から始まりピン13のまわりにワイヤ11を巻き付けることにより形成される。ワイヤ11は、ピン13a、13b、13c(以下同様)まで、そしてその周りに伸長される。この様式で、ジグザグ部材は、交互に逆軸方向に向く頂端部位15により連結される実質的に直線の部位(ストラット)14の連続により、形成され、そして規定される。第1のフープ部材12aが、マンドレルの円周周りにワイヤ11を1度巻き付けることにより完成されるまで、この巻き付けは、この様式で、マンドレルの周りに続く。図1に示されるフープ部材12aは、マンドレルの(従って、ステント10の)軸に対して実質的に垂直な平面に位置する円周を有する。一旦、第1のフープ部材12aが形成されれば、ワイヤ11は、ピン13dからピン13eへ、そしてその周りへ伸長される。次いで、巻き付けは、第1のフープ部材12aに隣接する第2のフープ部材12bを形成するまで続けられる。この様式でのフープ部材形成により、隣接する12aおよび12bは、第1のフープ部材12aと第2のフープ部材12bとの間に伸長するワイヤ11の部分により連結される。第2のフープ部材12bが完了すると、ワイヤ11は、再度、第3のフープ部材12cに伸長される。これは、前のように同様に巻き付けられ、そしてフープ部材12の所望の数Nがステント10の長さにそって形成されるまで続く。従って、図1に示すように、この巻き付けは、フープ12aとフープ12Nとの間の一連のフープにおいて伸長する。このワイヤはA点で開始し、そしてB点で終わる。巻き付けの完了後、ワイヤ11は、代表的には、このワイヤがA点およびB点の手前で終端処理するように切断される。これは、一般的には、本明細書中、以後の図6Cを参照して記載するように、それぞれ、第1のフープ12aと最終のフープ12Nとのなかで終端処理する。
【0011】
ステント10は、使用の前に、マンドレルおよびピン13a、13b、13cなどから除去される。この例証される実施態様では、それぞれのフープ部材12は、整列された、近接するストラット14aおよび14bの1つの対を有する。本発明の1つの実施態様に従って、同じフープの整列された、近接するストラット14aおよび14bは、一緒に溶接される。このような溶接は、整列された、近接するストラット14aおよび14bの長さに沿った点溶接であり得るか、またはそれは連続溶接であり得る。いずれかの場合、溶接された接続性支柱16は、ステント10の全周に沿って形成される。接続性支柱16は、代表的には、オフセットらせん様式でステント10の円周に巻き付く(図1において平面に示される本実施態様は、この実施態様は、実際の使用においては、円筒状またはフープ状である)。接続性支柱16は、ステント10に対して強度および安定性を提供するが、ステント10の可撓性は保持する。血管へのステント10の挿入(以下に記載する)の間、接続性支柱16は、ステント10がカテーテルを通して押し出すことをより容易にする。溶接の代替として、接続性支柱16は、任意の他の適切な付着手段に従って整列された隣接するストラット14aおよび14bを連結することにより形成され得る。この手段は、限定するものではないが、結索、縫合、接着およびステープリング(吸収性または非吸収性である接着剤または縫合糸とともに)を含み、そしてポリマー接触連結の使用を含む。
【0012】
ステント10が温度伸展性のニチノールを含む場合、ステント10は、約1時間、アニーリング温度で、マンドレルおよびピン13a、13b、13cなどからの除去の前にアニールされ、次いで冷却される。このアニーリング温度は、望ましくは、約500度の程度であるが、ステント10のアニールに作用するのに十分な任意の温度であれば十分である。アニーリングの間、マンドレルのステントの周りを、ベーリングワイヤ(ニチノールより厚い内径でかつ異なる物質)で包むことによりマンドレルに対してニチノールワイヤを固定することが必要であり得る。ニチノールワイヤのこのようなアニーリングは、ニチノールに記憶を与え、その結果、ステント10は、そのアニールされた形状を「覚えており(remember)」そして、引き続く再構成の後、その形状に戻る。これは、ニチノールの公知の特性であり、これは、2つの異なる温度依存性相、マルテンサイトおよびオーステナイトを有する。特定の温度(マルテンサイト遷移温度)未満で、ニチノールは、マルテンサイト的であり;特定の温度(オーステナイト遷移温度)より上で、ニチノールは、オーステナイト的である。これは、ニチノールがそのアニールされた構造を記憶しているオーステナイトな相にある。
【0013】
アニーリングの後、ステント10は、身体の通路に導入するため構造中にステント10を圧縮するように巻き付けられるマンドレルから外される。次いで、それは、そのマルテンサイト的な遷移温度未満に冷却される。この相において、ニチノールは、可撓性であり、そして実質的に弾力を有さない。従って、それは容易に圧縮され得る。ステント10は、そのオーステナイト遷移温度より高い温度にそれを加熱することによりアニールされた形状に容易に回復し得る。この温度より上では、このステントは、そのアニールされた構造を回復する。
【0014】
そのアニールされた構造では、ステント10は、第1の直径を有する。これは、ステント10の最終の直径を意図する相対的に大きい直径である。身体の血管に挿入されるためには、ステント10は、それがカテーテルに挿入され得るように圧縮されなければならない。上記に示されるように、ニチノールステントの場合は、これは、ステント10が可撓性でありそして弾力に乏しい温度で、ニチノールステントのマルテンサイト遷移温度未満にステント10を冷却することにより達成される。次いで、ステント10は、第2に、カテーテルに挿入するために相対的に小さい直径に容易に圧縮され得る。一旦、カテーテルの内側になれば、ステント10は、当該分野で公知の方法に従って身体の血管中の所望の位置に進入され得、そしてその場所でカテーテルから放出され得る。米国特許第5,405,377号および同第5,609,627号(この開示は、参考として本明細書において援用される)は、ニチノールステントの形成、使用、および挿入に関するさらなる詳細を含む。これらの特許は、それらの課題に対するその教示のために参考として本明細書に援用される。ステンレス鋼、熱可塑性ポリマーまたは他の材料がワイヤ11に用いられる場合、ステント10の形成、使用および挿入は、当業者に公知の方法に従って達成され得る。
【0015】
接続性支柱16は、ステント10が移植される血管において、圧縮力に対してより良好な耐力に対して、移入の間およびその後に、ステント10に対して強度(フープの強度を含む)を与える。接続性支柱16はまた、可撓性を可能にするが、そのため、ステント10は、挿入プロセスの間、容易に圧縮され、そして伸展され得る。
【0016】
本発明のこの実施態様に従ったステントの詳細な特徴を図2に例証する。図2に示すように、ステント10Aのそれぞれの隣接フープの表面頂端部分15は、お互い対向して隣接する場合、お互いにD1の距離で円周方向にオフセットがある。このオフセットは、ステント10Aがカテーテルに挿入されるための、より小さい直径(プロフィール)に圧縮されることを可能にする。なぜなら、この頂端部は、お互いに接触せず、そしてこの圧縮を妨げるからである。頂端部15の間の軸方向距離D2(「ジグ間隔」)の増加はまた、圧縮の間、これらの部位の間の干渉を防ぐ。特定の量の間隔およびジグ間隔は、当業者により理解されるように特定のステントサイズおよび所望の可撓性、ならびに圧縮された直径に従って最適化され得る。
【0017】
図2はまた、複数(この場合2つ)の接続性支柱16を有する、本発明の実施態様を例証する。2つの接続性支柱16を形成するため、2つの別個のワイヤ11および11Aを、ステント10Aを形成するために用いる。図3に見られるように、第1のワイヤ11は、連続して、A位置からB、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P(など)の位置に伸びるジグザグ形状に形成される。第2のワイヤ11Aは、E位置から、Q、R、S、A、T、U、V、W、X、Y、Z(など)の位置へ続く伸長により、残りのステントを形成するために用いられる。この様式で、それぞれのフープは、配列され隣接する2対のストラット14aおよび14bを含む。次いで、配列され、隣接するストラット14aおよび14bは溶接されて(または他の方法で連結されて)接続性支柱16を形成する。一般に、ステント10Aを形成するために用いられるワイヤ11、11Aなどの数は、所望される接続性支柱16の数に直接対応する。ステント10Aの強度および剛性は、接続性支柱16の追加により上昇する。
【0018】
上記の構成において、それぞれの文字位置でマンドレルのペグは、そのセットに巻き付くためのワイヤに対応するペグの1つのセット一方であると考えられ得る。従って、上記の位置A,B,Cなどでペグは、1つのセットの部分であり、そして上記ペグE,Q,Rなどは、第2のセットの部分である。しかし、それぞれのセットは、少なくとも1つの共通のペグ(例えば、第1のセットにおけるF、および第2のセットにおけるW)を含む。ここで両方のワイヤは、円周方向に隣接するセットの共通ペグの間の共通の経路を伴う。共通経路(隣接ストラット14aおよび14b)を形成するワイヤは、上記のように連結される。
【0019】
図3は、本発明の別の代替の実施態様を例証する。ここでジグ長L1は、ステント10B内で変えられる。ジグ長L1は、ステントの軸に平行(図3においては垂直)な方向に測定される頂端部位15’と15’’との間の距離である。以前に示したように、ジグ長は、同様に正弦的に形成したジグザグの幅として同様に記載され得る。この実施態様では、ステント10Bの末端部位22でのジグ長は、相対的に短く(相対的に短い幅)であり得、一方、ステント10Bの中間部位20におけるジグは、相対的に長い(より大きい幅を有する)。これは、ステント10Bの末端でより大きい半径方向の力を提供し得、血管(この血管壁に対してより大きい力を確立することによりステントが挿入される)におけるステントの設置を固着することを援助する。これはまた、ステント10B(当業者により理解されるように、ステントが移植片と組み合わせて用いられる場合)と血管壁との間の血液の漏れを防ぐ。
【0020】
図3に例証するように、短いジグ長から長いジグ長への漸進的な移行を提供するための(ステント末端22での短いジグとステント中部20における長いジグ長との間の)移行ジグ長が存在する移行部位21もまた存在し得る。代表的な短いジグ長は、2ミリメートルと3ミリメートルとの間である。代表的な長いジグ長は、3.5ミリメートルと5ミリメートルとの間である。実際のジグ長は、本明細書における開示に基づき当業者に理解されるように特定の適用に対して最適化され得る。
【0021】
本発明の別の局面は、各フープ部材におけるジグ(zig)の数の変動を含む。図1を参照して、「ジグ」を、例えば、点Xから点Y、点Zへと伸長するワイヤ11の部分であると考える。図1のX−Y−Zを、1つのジグを表すと考える。このように、各々の類似する配向の頂端部位(すなわち、同じ方向に尖った各頂端部位)はジグを定義する。以前に示したように、フープにおけるジグの数を、正弦型のジグザグの区切りの数として、同様に記載し得る。図1において、各フープ部材は5つのジグを有する。いくつかのジグを使用して、ステント10を、より小さい挿入直径に圧縮させる(すなわち、いくつかのジグが、ステント10のプロフィールを減少させる)。ジグの数の増加は、このステントと組み合わせて使用される任意の移植片被覆のためのさらなる支持を提供するが、このような移植片層の陥入の可能性を妨げる。
【0022】
図4は、スケールを落とさずに、代替の実施態様を例示する。ここでステント10の中央部分20は、フープ部材12あたり4つのジグ、第1のジグ長、および1つの接続性支柱16を有し;そして末端部分22は、フープ部材12あたり6つのジグ、第2のジグ長、および2つの接続性支柱16を有する。両末端の第2の支柱は、転位として、中央部分の2つのフープ部材12と重なる。従って、接続性支柱16の数はステント内で変化して、末端でのより強固な部分および中央のより可撓性部分を提供し得る。図8に例示したステントは、例えば、0.007インチの直径、6.4mmのOD、6mmのID、および100mmの長さのワイヤを有し得る。0.007インチよりもわずかに大きい直径(例えば、0.008または0.009インチ)の他のワイヤは十分である。
【0023】
図9に示すように、接続部材を作製する別の方法は、隣接フープ12の軸方向に反対の頂端部位15を含み得、フープ12は、この隣接フープにおけるストラット14の残りに対して伸長する接続部材の、第1および第2のストラット14’の一方または両方と互いに軸方向に間隔が開いている。このような伸長したストラット14’は、従って、少なくともいくつかの軸距離について互いに隣接して、その間の連結を可能にし得る。
【0024】
図5は、本発明の別の例示的な実施態様に従って構築されたステントを示す。ステント30は、ほぼ円筒状であり、そして管腔に挿入されるように適合する。ステント30は、長手に切断されており、そして例示のために平坦におかれている。ステント30を、ワイヤ24のような連続するフィラメントを、ジグザグ配置に巻きつけ、そしてステント30の軸に沿って連続して配置した複数の円周状フープ部材33、25a・・・25N、および37に巻きつけることによって形成する。ワイヤ24をピン23a、23b、23c(以下同様)およびその周りに伸長する。この様式において、ジグザグ部材を形成し、そして反対の軸方向に交互に尖った頂端部位35によって連結される、連続する一連の実質的に直線の部位34によって規定する。この巻きつけは、第1のフープ部材33がマンドレルの円周の周りにワイヤ24を1回巻きつけることによって完了されるまで、この様式においてこのマンドレルの周りに連続する。次いで、巻きつけは、以前のように連続して、第1のフープ部材33に隣接する第2のフープ部材25aおよび第2のフープ部材25aに隣接する第3のフープ部材25bを形成する。図1に示したようなステント10のフープ部材12とは異なり、フープ25a・・・25Nを、ステントの長手軸に垂直な面に対してある角度で配置する;次いで、ワイヤ24を、ステント30の軸の周りに徐々にらせん形にして、コイルを形成する。しかし、末端フープ33および37を、このステント軸に垂直に配置する。このらせん状の配置は、他より長いストラットに連結されたものを有するらせんにおける各々の頂端部位によって影響され得る。
【0025】
図5にさらに例示されるように、隣接フープは、隣接フープの軸に沿って反対の頂端部位のそれぞれ直線部位34および34Aに隣接した別々のブリッジ部材26によって接続される。図5に例示されるように、ブリッジ部材26は、好ましくは直線状であり、かつ隣接フープ25iおよび25i+1の近位の部位の整列されたストラット34および34Aと整列されるが、非直線状かつ非整列ブリッジ部材もまた、当業者に理解され得るように、本発明に従って意図される。別々のブリッジ部材26は、ステント30のフープ33、25a−N、および37を形成するために使用されるワイヤ24と同じ物質であり得るか、または異なる物質であり得、これは、所望の可撓性および圧縮されたステントの直径に依存する。1つの実施態様において、別々のブリッジ部材26およびワイヤ24は、同じ材料(例えば、ニチノール)から作製される。別々のブリッジ部材26およびワイヤ24は、ほぼ同じかまたは異なる断面積(すなわち、同じかまたは異なるワイヤゲージ)を有し得、これは、所望の実施に依存する。
【0026】
例示的な別々のブリッジ部材26は、好ましくは、隣接フープ25iおよび25i+1の直線部位34および34Aに近位のマンドレルから伸長する一対のピン28の間のワイヤセグメントを伸長することによって形成される。これらのピン28および29は、ピン23a、23bなどに加えて使用されて、ステント30のそれぞれのフープのジグザグ部材を形成する。ワイヤセグメントブリッジ部材26は、ピン28の間で伸長され、そして両末端は、このピンの周囲に少なくとも部分的に包まれ、好ましくはワイヤから望まれない緩みを除去するに十分な張力で包まれるが、様々な量の緩みが維持され得、これは、ステント30の所望の強固さ、可撓性、および圧縮された直径に依存する。
【0027】
本発明のステントの製造の間に溶接を実施するために、図5に示されるように、孔29を切断するボール溶接を、マンドレル内部に接近するマンドレル内に形成し得、この孔を、隣接ストラット34および34Aに溶接される(例えば、整列される)部位が、ボール溶接された切断孔のほぼ上に存在するように、望ましく配置する。この方法において、レーザーを、ボール溶接された切断孔29に集中させて、(i)ボール溶接された切断孔29を通ってピンの周りに伸長する過剰のワイヤを除去し得、そして(ii)例えば、ストラット34と34Aとの間のブリッジ部材26のような隣接フープの整列された隣接ストラットの間に残りのワイヤセグメントを溶接し得る。ブリッジ部材26とストラット34および34Aとの間の接続は、溶接のかわりに、任意の他の適切な接続手段に従って達成され得、この手段としては、糸結び、縫合、接着、およびステープリング(stapling)(接着剤または縫合は吸着性または非吸着性である)が挙げられるがこれらに限定されず、そしてポリマー含有接続の使用が挙げられる。
【0028】
図5にさらに例示されるように、本発明に従って構築されるステント30はさらに、ステント長に沿って連続して配置される複数の別々のブリッジ部材26a〜26Nを含み得る。各々の連続する別々のブリッジ部材26iは、ステント30の軸に沿って一対の連続する隣接フープを接続して、ステント30の長さに沿って支柱を形成する。この支柱は、らせん状に整列された別々の部材の連続支柱であり得、図1に例示される支柱に類似するか、またはステント長に沿って複数のフープを接続する単一のブリッジ部材から構成され得る。あるいは、図5に示されるように、各々の連続接続部材26iは、ステント30の軸に関して前の接続部材から円周方向に離れて、分離された接続部材のらせん状支柱、すなわち「浮動」支柱を規定し得る。ステント30の各末端に配置されるフープ部材33、37は、頂端部位を有し得、これは、ステント30の軸に垂直の共通平面に配置されるステントから外向きに指示する(例えば、図5に示されるように、平面Iに沿ったフープ34の頂端部位35’)。
【0029】
末端フープに対して垂直の末端フープ33および37以外のフープからこの転位を作製するために、末端フープのストラットの連続する長さは、フープの円周に沿って減少され得る。さらに、またはあるいは、隣接フープの頂端部位の間の交互嵌合(重なり)の連続量は、ワイヤ24の末端に接近する末端フープ33および37の円周に沿って増加し得る。
【0030】
図6A〜6Eは、ステント40を示し、これらは本発明の別の例示的な実施態様である。ステント40において、隣接フープ42a・・・42Nを、互いに対して交互嵌合する。すなわち、それぞれの隣接フープ42bおよび42cにおける反対方向の頂端部位(44Aおよび44B)は、例えば、互いに軸に沿って重なるか、または別の方法で表され、それらは、ステント40の軸に対して角度をつけて配置された共通平面を交差する。フープ部材42a・・・42Nはまた、好ましくは、ステント40について円周の相に実質的にジグを有する。ステント40は、一連の連続する、らせん状に整列された、同様に方向付けられた頂端部位44Aを備え、ここで各フープ42iは、360度に包む1つのらせんを備える。らせんにおける各頂端部位は、それに取り付けられた2つのストラットを備え、一方のストラットが他方に比べて長いこの実施態様において、らせんの進行を実施する。このようなフープ配置はまた、Rudnickらに対する米国特許第5,575,816号(これは、本明細書中で参考として援用され、そして種々の他の交互嵌合されたステント配置を例示する)に見られる。
【0031】
1対の隣接フープ(例えば、フープ42bおよび42c)において、フープ部材42bの1つのストラット45を、フープ部材42cのストラット45と整列させ、かつ重ね、そして、接続部材48a−Nを、好ましくはスポット溶接によって形成するが、他の接続機構は、当業者に理解されるように意図される。その標準の管状形態の交互嵌合ステント40を図6Eに示す。
【0032】
図10を参照して、管状マンドレル114上のらせん状のステント110(これは、図6Aに示したレイアウトに対応する)を示す。図10に示されるらせん状のステント110またはそのらせん状セグメントは、管状マンドレル114上のNセットのそれぞれのペグ112a〜Nの周りにN本のフィラメント111を巻きつけることによって構築され得る。ここで、Nは、少なくとも1の総数である。図11に示されるように、N=1である。Nセットの各々は、少なくとも3つの軸方向に離れたペグ(例えば、ペグ112a、112b、および112c)を備え、これらは、マンドレル114上の予め選択された軸配置でのジグザグ配置を規定する。円周方向に連続する対のペグ(例えば、ペグ112cおよび112d)は、それ(ペグ112aおよび112b)に先行する対から予め選択された方向で軸方向に離れており、その結果、ステント110の長さに沿ってマンドレルを反復して横切るらせん状のジグザグパターンを形成する。マンドレル114の予め選択された角張った部分のペグ112a〜Nによる各横断は、隣接ペグ(112k)かららせん状に約360度離れた少なくとも1つの共通ペグ(例えば、112r)を備える。共通ペグに隣接するペグは、ペグの同じセットの部分であり得るか(例えば、Nが1に等しい場合)、またはペグの円周方向に隣接しているセットの一部であり得る(Nが1より大きい場合)。共通ペグ112rは、予め選択された角張った部分の各横断において少なくとも1つの円周方向配置を提供する。ここで、予め選択された角張った部分の各横断におけるフィラメントの一部分は、隣接横断におけるフィラメントの一部分と接触する。この接触は、同じフィラメントと(例えば、図11に示されるようにNが1に等しい場合)、または異なるフィラメントと(例えば、nが1より大きい場合)であり得る。接続48を、接触する隣接フィラメントまたはその部分にそって形成し、ジグザグのらせん状の連続からなる円周状ステントまたはそのセグメントを形成する。従って、ワイヤ配置は、図6A、6E、および11に示されるようならせんを形成し得るか、または二重らせんもしくは他の複数のらせん(示さず)を形成し得る。図6Aにおいて、単一のフィラメント(N=1)は、単一セットのペグに沿ってマンドレル(示さず)を反復して横切る。ここで、各々の450度の角張った横断において、隣接ペグ13’(各接続部材48a〜Nのすぐ隣のペグ)から約360度(この場合、360度よりわずかに大きい)離れて共通ペグ13’が存在する。
【0033】
図6Aに示されるステント40は、隣接フープの対の間のステント軸に沿って連続して配置される複数の接続部材48a〜Nを備える。接続部材48a〜Nの各セットは、ステント40の軸に沿って一対の連続する隣接フープを接続して、ステント長に沿って支柱を形成する。図5の連続する接続部材26とともに、連続する接続部材48iの各対は、ステント40の軸に対して、前の接続部材48i-1から円周方向に離れる。
【0034】
図6Aに示されるように、各頂端部位44Bは、隣接する頂端部位44Bの反対の頂端部位44A間を測定した頂端角度αおよびジグ幅Wを含む。図6Aに示されるように、頂端部位44Bの夾角(ジグ角度)およびジグ幅は、接続部材48a〜Nを形成するストラット45を含む頂端部位44B’および44B’’を除いて、ステント40を通して本質的に均一である。頂端部位44B’および44B’’は、非均一のジグ角度、および頂端部位44Bと比較して得られるジグ幅を有する。図6Aに示されるように、頂端部位44B’を含むジグは、頂端部位44Bによって含まれる均一な角度およびジグ幅より大きな夾角およびより大きなジグ幅を有する;頂端部位44B’’は、均一な角度および幅より小さい夾角およびジグ幅を有する。図6Aに示されるように、ステント40は、360度の包囲あたり4つのジグを有するらせん状の配置を備え、このような包囲の各々はフープを供える。頂端部位44B’を、各々前の44B’から5つのジグに間隔をあける;頂端部位44B’’を、同様に、各々前の44B’’から5つのジグに間隔をあける。従って、N個のジグを有するステントについて、非均一なジグを、N+1ジグ毎に間隔をあけ、図6Aに示される接続48a〜Nのらせん状パターンを達成する。いいかえれば、6Aの4−ジグステントについて、接続部材48a〜Nを、ステント長に沿って約450度ごとにらせん状に均一に間隔をあけて分布させ、らせん状の支柱を形成する。他のらせん状または非らせん状支柱配置は、非均一なジグを別々に間隔をあけることによって達成され得る。
【0035】
図6Bおよび6Cは、ステント40内の例示的なスポット溶接配置を示す。隣接して整列されたストラット48b〜48N-1について、互いに隣接する各ストラットの部分は、図6Bに示されるように、長さL1の溶接54を有する第1の長さであり得る。しかし、末端フープ上に隣接して整列されたストラット48aおよび48Nについて、互いに隣接する各ストラットの部分はより長く、従って図6Bに示されるように、長さL2の溶接56を含み得る。ステントから突き出ている鋭いエッジを回避するために、末端ストラット58は、図6Cに示されるように切断され得、その結果、頂端部位46が横たわる平面IIの手前の位置において、溶接56からの距離Dを終わらせる。例えば、末端ストラット58の末端はカットされ得、その結果、頂端部位46の半径Rに等しい平面IIの上の距離を終わらせる。図6Aに示されるように、末端ストラット58は切断されていないが、図5を参照して記載されるのと同様に、ボール溶接された切断孔29を使用して切断され得る。
【0036】
図6Dは、本発明で用いられ得る例示的な放射線不透過性マーカー59を例示する。マーカー59は、末端フープ上のストラットを包む放射線不透過性物質(例えば、白金ワイヤ)を備え得る。従って、この物質は、それを囲む領域とは異なる放射線不透過性を有する表面を規定する。この同じ効果は、低放射線不透過性の領域を用いてステントの特定の位置をマークすることによって達成され得る。1つ以上のマーカー59は、末端フープの片方または両方に配置され得る。マーカー59は、一般的に、肉眼で可視の内在するステントを伴わずに、密接に巻きつけられ得、そしてストラットが曲がって頂端部位を形成する場合の半径の開始を通過して1〜2周伸長し得る。マーカー59は、代表的には末端の鋭いエッジを伴わずに、配置される。
【0037】
図6Fは、ステント60の例示的な実施態様の線図である。ステント60は、ステント軸に平行する線に沿って開口し、平らにし、交互嵌合したジグを有し、図6A〜Eのステント40に類似するが、複数の長手部位をさらに有し、図4に示されるステント10Cに類似する。中間部位62は、末端部位64より長いジグ長を有し、そして中間部位と各末端部位との中間の転位部位63は、中間部位ジグ長と末端部位ジグ長との間であるジグ長を有する。
【0038】
図7は、本発明に従って構築された、なお別のステント70を例示する。ステント70は、長手に切断されており、そして例示の目的のために平面におかれている。ステント70を、図1を参照して記載される様式に幾分類似するマンドレルから伸長するピンの周囲のワイヤを曲げることによって形成するが、このピンを、それぞれのフープ76a、76b、76c、76dのジグザグ部位が変動する高さおよび変動する幅であるように配置する。図7に示される実施態様において、ジグ長の幅は、ステント70について各フープに円周方向に沿った距離XXとWWとの間を交互する。このジグ長は、ステント70について各フープに円周方向に動く長さYYとZZとの間を同様に交互する。長さZZは、図7の長さYYのほぼ半分であるが、他の長さの変動も意図される。フープ76aおよび76bのような隣接フープは、ほぼ180度で位相変化し、そして互いに関して反転する。従って、フープ部材76aの頂端部位65および66は、隣接フープ76bにおける代替頂端部位67および68に逆に指示される位置によって決定されるステント60の軸に垂直な平面を通過する。図7の配置は、本発明に従って構築される他のステントの転位セグメントに取り込まれ得る。
【0039】
一連の別々のブリッジ部材72a、72b、および72cは、図7に示されるように、隣接フープ76aおよび76bを接続する。別の一連の別々の接続部材74aおよび74bは、隣接フープ62bおよび62cを接続する。ブリッジ部材72a、72b、および72cを、ブリッジ部材74aおよび74bと反対方向のステント70の管状軸に対して角度をつけて、ステント内の回転効果を押しとどめる。このステントにおいて、隣接フープの連続対の間のブリッジ部材は、同じ方向に配向される。ブリッジ部材の数は、ブリッジ部材72a、72b、72c、74aおよび74bの配向が変化し得る場合、所望の実施に依存して変化し得る。
【0040】
図8のステント80を、マンドレル上のピン(示さず)の周りに第1のワイヤ81を巻くことによって形成する。このピンの相対位置は実質的に循環して、丸い頂端部位(図1のような)を生成し得るか、または図8のような直線エッジを有する頂端部位を生成するように直線エッジを有し得る。この様式において、ジグザグ部材を形成し、そして反対の軸方向で交互に尖った頂端部位85によって接続される連続する一連のストラット84によって規定する。巻きつけは、この様式で、ステント80の円周の約半分の周りに連続する。第2のワイヤ86を導入し、そしてステント80の残りの円周の周りに巻きつけて、第1のフープ部材82aを完了する。ワイヤ81および86が互いに重なる場合、それらはスポット溶接され得るかまたは線状に溶接され得、従ってステント80に整合性を与える一対のらせん状スピンを生成する。
【0041】
本明細書中に記載される任意の変動を、実際には、本明細書中に記載される任意の他の変動または当該分野で公知の任意の他の変動と組み合わせて、本発明に従うステント構造物を開発し得る。このような変動は、ステントの長さを通して、または図6Fに示されるように、一様に利用され得、このステントは、複数の長手部位を備え得、この部位の各々は、例えば限定されずに、以下に関して別のセグメントと異なり得る:1つ以上の頂端部位角度のサイズ、頂端部位軸長、フープあたりの頂端部位の数、接続支柱の数、向き合う頂端部位間の空間または距離、接続部材の型、および隣接ジグの均一性。さらに、各頂端部位の「ストラット」およびその間の接続は、ギザギザのジグザグ配置におけるように、直線であり得るか、または全体のステント部位がより正弦である場合のように幾分曲がり得る。
【0042】
本発明を特定の実施態様を参照して記載するが、本発明を限定することは意図していない。むしろ、添付の特許請求の範囲の範囲は、その精神および範囲から逸脱せずに当業者によってなされ得るので、本発明の全ての形態および改変体を包含すると解釈されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載のステント。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6−1】
image rotate

【図6−2】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2010−155120(P2010−155120A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−89909(P2010−89909)
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【分割の表示】特願2000−534143(P2000−534143)の分割
【原出願日】平成11年3月4日(1999.3.4)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】