説明

腫瘍サプレッサータンパク質

本発明者らは、腫瘍サプレッサーポリペプチド(例えばp53)を結合し、その活性を調節するポリペプチド、上記タンパク質をコードする核酸分子、及びそのターゲットポリペプチド(複数可)に対する上記ポリペプチドの結合活性を調節するスクリーニング方法について記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腫瘍サプレッサータンパク質(例えばp53)を結合し、その活性を調節するタンパク質、当該タンパク質をコードする核酸分子、及びそのターゲットポリペプチドに対するポリペプチドの結合活性を調節するスクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
腫瘍サプレッサー遺伝子は、細胞成長又は分裂を阻害するように機能するタンパク質をコードし、したがって、正常な細胞の増殖、成長及び分化を維持することに関して重要である。腫瘍サプレッサー遺伝子における突然変異は、異常な細胞周期進行をもたらし、それにより、例えばDNAが損傷を受けると、細胞周期を停止させる正常な細胞周期チェックポイントが無視されて、創傷を受けた細胞は制御不可能に分裂する。腫瘍サプレッサー遺伝子の産物は、細胞周期(すなわち、G1、S、G2、M及び細胞質分裂)を通じての損傷を受けた細胞の通過を防止するように、細胞のすべての部分(例えば、細胞表面、細胞質、核)で機能する。多数の腫瘍サプレッサー遺伝子が単離及び配列決定されている。これらには、網膜芽細胞腫(Rb)遺伝子が包含され、そこでの突然変異は、骨(骨癌)、膀胱、小細胞肺及び乳癌、並びに網膜芽細胞腫に関連している。ウィルムス腫瘍1遺伝子(WT−1)は、腎芽細胞腫及び神経線維腫症に関連している突然変異を有する。
【0003】
ほぼ間違いなく、最も熱烈な研究の対象となっている腫瘍サプレッサー遺伝子は、p53である。p53は、転写因子として機能するタンパク質をコードし、細胞分裂周期の重要な調節因子である。p53は、SV40ラージT抗原に対して親和性を伴って結合することが示されるタンパク質として、1978年に発見された(Lane and Crawford, 1979)。p53遺伝子は、分子量53kDaを有する393個のアミノ酸ポリペプチドをコードする。p53の最も重要な腫瘍抑制機能の1つは、アポトーシスを誘導する能力である。
【0004】
アポトーシス、すなわちプログラム細胞死は、多細胞生物が細胞数及び分化を調節するプロセスである。このプロセスは、アポトーシスを誘導又は防止する因子により調節される。アポトーシスの誘導因子としては、Bcl−2ファミリー成員、カスパーゼファミリー成員及びそれらの関連因子Apaf−1及びFaddが挙げられる。カスパーゼは、タンパク質分解切断後に活性化されるようになるプロ酵素として合成される。続いて、活性カスパーゼは、アポトーシスに関連する形態学的及び生化学的変化の多くを誘導する。ミトコンドリアは、シトクロムc、AIF及びDiabloのようなアポトーシス促進因子の放出による活性化プロセスにおいて中心的役割を果たす。ミトコンドリアからの放出は、Bcl−2ファミリーのタンパク質により制御される(例えば、Bcl−2及びBcl−x1は、放出を阻害し、Bax及びBakは、放出を誘導する)。
【0005】
国際公開第02/12325号パンフレットに記載されるiASPPと称されるポリペプチドは、アポトーシスの調節に関与する作用物質のさらなる例である。
【0006】
本発明者らは、国際公開第02/12325号パンフレットに記載されるものと異なる特徴を有する変異体iASPPポリペプチドについて証明する。iASPP6Cと称されるポリペプチドは、iASPPと比較する場合、そのアミノ末端で伸長されて、p53に優先的に結合する。iASPP C6は、国際公開第02/12325号パンフレットに記載される「より短い型」(the short version)と比較する場合に、p53を優先的に結合する。「より短い型」は、アポトーシス誘導因子タンパク質Bcl2を優先的に結合する。
【0007】
iASPP C6は、in vivoでiASPP C6の代謝回転を制御する可能性が高いユビキチン化ポリペプチドである。ユビキチンは、種間で高度に保存される76個のアミノ酸から構成される小タンパク質である。ユビキチンに課される最も重要な機能は、タンパク質の代謝回転を調節することである。近年の研究により、ユビキチン誘導性タンパク質分解に関与する多くのアクセサリータンパク質が同定されている。第1の工程は、分解を受けることになっているターゲットタンパク質へのユビキチンの連結である。これは、E1、E2及びE3と称される3つのタンパク質により媒介される。ユビキチンはまず、チオエステル結合を介してユビキチンに連結される2つの同一の105kDaサブユニットから構成されるホモ二量体であるE1活性化酵素により活性化される。活性化後、E1:ユビキチン結合体は、E2(キャリアタンパク質と称される)により輸送される。E2タンパク質は、大きさが著しく多様であるが、幾つかの保存要素を有する。E2タンパク質は、E1からユビキチンを受け取り、再びチオエステル結合を介して第2の複合体を形成する。E3タンパク質は、タンパク質基質へのユビキチンの移行である最終工程に関与するようになる場合があり、又は関与しない場合がある。これに続いて、ユビキチン化タンパク質を分解するプロテアーゼにより認識される。プロテアーゼは、プロテアーゼ及び関連補因子の巨大多サブユニット複合体であるプロテオソームと称される構造の一部であり得る。幾つかの例では、タンパク質は、ポリユビキチン化されるようになり、すでにターゲットタンパク質に連結されているユビキチンタンパク質へ連結されるユビキチンタンパク質に起因する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、図1aに示されるようなアミノ酸配列により表される単離ポリペプチド、又は少なくとも1つのアミノ酸残基の付加、欠失又は置換により修飾される変異体ポリペプチドであって、当該ポリペプチドは、以下の特徴、
i)図2aに示されるようなアミノ酸配列により表されるようなポリペプチド又はそれらの変異体と比較した場合に、p53のアポトーシス促進活性を阻害するように、腫瘍サプレッサーポリペプチドp53を優先的に結合するポリペプチド、
ii)ユビキチン化される少なくとも1つのアミノ酸残基を含むポリペプチド、及び
iii)図1aに示されるアミノ酸配列のアミノ酸1と483との間に表されるアミノ末端ポリペプチドドメインを含むポリペプチド
を有することを特徴とするポリペプチドが提供される。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態では、上記ポリペプチドは、図2aに示されるアミノ酸配列により表されるポリペプチドと比較した場合に、p53を優先的に結合する。
【0010】
本発明のさらなる好ましい実施の形態では、上記ポリペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸残基の付加、欠失又は置換により修飾され、当該修飾は、図1aに提示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基+1と+483との間に存在する。
【0011】
本明細書中で開示されるポリペプチドの例えば、p53への結合を確定するためのアッセイは、当該技術分野で既知であり、本出願で記載されている。
【0012】
本発明のさらなる好ましい実施の形態では、上記ポリペプチドは、図1aに示されるアミノ酸配列を含む。好ましくは、上記ポリペプチドは、図1aに示されるアミノ酸配列からなる。
【0013】
本発明の一態様によれば、本発明によるポリペプチドをコードする上記核酸分子である単離核酸分子が提供される。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態では、上記核酸分子は、図1bに示される核酸配列により表されるか、又はストリンジェントなハイブリッド形成条件下で、図1bに示される配列にハイブリダイズし、且つ本発明によるポリペプチドをコードする核酸分子である。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態では、上記核酸分子は、図1bに示される核酸配列からなる。
【0016】
本発明のさらなる好ましい実施の形態では、上記単離核酸分子は、cDNAである。本発明の代替的な好ましい実施の形態では、上記核酸分子は、ゲノムDNAである。
【0017】
本発明のさらなる態様によれば、本発明による核酸分子を含むベクターが提供される。好ましくは、上記ベクターは、上記ポリペプチドの組換え発現に適応される発現ベクターである。
【0018】
好ましくは、上記ベクターは、原核生物遺伝子発現に適応される。本発明の代替的な実施の形態では、上記ベクターは、真核生物遺伝子発現に適応される。
【0019】
通常、上記適応としては、例えば、細胞/組織特異的発現を媒介する転写制御配列(プロモーター配列)の供給が挙げられるが、これに限定されない。これらのプロモーター配列は、細胞/組織特異的な誘導性又は構成的であってもよい。
【0020】
プロモーターは、当該技術分野で認識されている用語であり、単なる例として提供されるもので、以下の特徴を包含するがこれに限定されない。エンハンサー要素は、遺伝子の転写開始部位に対して多くの場合5’に見出されるシス作動性核酸配列である(エンハンサーはまた、遺伝子配列に対して3’に見出すことができるか、又はさらにはイントロン配列に位置することができ、したがって、位置非依存的である)。エンハンサーは、エンハンサーが連結される遺伝子の転写の速度を増大するように機能する。エンハンサー活性は、エンハンサー要素に特異的に結合することが示されているトランス作動性転写因子(ポリペプチド)に対して応答性である。転写因子(Eukaryotic Transcription Factors, by David S Latchman, Academic Press Ltd、サンディエゴを参照されたい)の結合/活性は、例えば中間代謝産物又は環境エフェクター(例えば、温度)を包含するがこれらに限定されない多数の環境上の合図(cue:刺激)に対して応答性である。
【0021】
プロモーター要素はまた、いわゆる転写開始の部位を選択するように機能するTATAボックス及びRNAポリメラーゼ開始選択(RIS)配列を包含する。これらの配列はまた、とりわけRNAポリメラーゼによる転写開始選択を促進するように機能するポリペプチドを結合する。
【0022】
適応はまた、ともに真核細胞又は原核生物宿主のいずれかにおける上記ベクターの維持を促進する選択可能マーカー及び自己複製配列の供給を包含する。自律的に維持されるベクターは、エピソームベクターと称される。エピソームベクターは、これらの分子が巨大DNAフラグメント(30〜50kb DNA)を組み込むことができるため望ましい。このタイプのエピソームベクターは、国際公開第98/07876号パンフレットに記載されている。
【0023】
ベクターによりコードされる遺伝子の発現を促進する適応は、転写終結/ポリアデニル化配列の供給を包含する。これはまた、ビシストロン又はマルチシストロン発現カセットに配列されるベクターによりコードされる遺伝子の発現を最大にするように機能する内部リボソーム進入部位(IRES)の供給を包含する。
【0024】
これらの適応は、当該技術分野で既知である。概して、発現ベクター構築及び組換えDNA技術に関して、相当量の公表文献が存在する。例えば、Sambrook et al (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbour Laboratory、ニューヨーク州コールドスプリングハーバー及びその中の参照文献、Marston, F (1987) DNA Cloning Techniques: A Practical Approach Vol III IRL Press、英国オクスフォード、DNA Cloning: F M Ausubel et al, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc. (1994)を参照されたい。
【0025】
本発明の第4の態様によれば、本発明によるポリペプチドの生産方法であって、以下の、
i)本発明による核酸分子で形質転換/トランスフェクトされた細胞を供給すること、
ii)上記ポリペプチドの製造を導く条件で、上記細胞を成長させること、及び
iii)上記ポリペプチドを上記細胞又はその成長環境から精製すること
を含む、ポリペプチドの生産方法が提供される。
【0026】
本発明の好ましい実施の形態では、上記核酸分子は、本発明によるベクターである。
【0027】
本発明の好ましい方法では、上記ベクターは、上記ポリペプチドの精製を促進するための分泌シグナルをコードし、したがって、上記組換えポリペプチドは、上記ポリペプチドの精製を促進するための分泌シグナルとともに提供される。
【0028】
本発明のさらなる態様によれば、本発明によるポリペプチドを結合する抗体であって、当該抗体は、図1aに示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基+1〜+483の間で上記ポリペプチドを結合することを特徴とする、抗体が提供される。
【0029】
好ましくは、上記抗体は、図1aに示されるアミノ酸配列の配列+484〜+828により示される上記ポリペプチドを結合しない。
【0030】
免疫グロブリンとしても既知の抗体は、通常外来分子(抗原)に対して特異性を有するタンパク質分子である。免疫グロブリン(Ig)は、1対が軽(L)(低分子量)鎖(κ又はλ)であり、且つ1対が重(H)鎖(γ、α、μ、δ及びε)である2つの対のポリペプチド鎖(4つすべてが、ジスルフィド結合により一緒に連結されている)から構成される構造的に関連したタンパク質の種である。H鎖及びL鎖はともに、抗原の結合に寄与し、且つあるIg分子から別のIg分子へと非常に可変な領域を有する。さらに、H鎖及びL鎖は、非可変性、すなわち定常である領域を含有する。
【0031】
L鎖は、2つのドメインから構成される。カルボキシ末端ドメインは、所定のタイプのL鎖の間で本質的に同一であり、「定常」(C)領域と称される。アミノ末端ドメインは、L鎖間で変化し、抗体の結合部位に寄与する。その可変性のため、アミノ末端ドメインは、「可変」(V)領域と称される。
【0032】
Ig分子のH鎖には、幾つかの種類α、μ、σ、α及びγ(それらの幾つかのサブクラスが存在する)が存在する。2つの同一のH鎖及びL鎖の1つ又はそれ以上のユニットから構築(assemble)Ig分子は、それが保有するH鎖にその名称を由来する。したがって、5つのIgアイソタイプ:IgA、IgM、IgD、IgE及びIgG(H鎖の「定常」領域の違いに基づいて4つのサブクラス、すなわちIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4を有する)が存在する。抗体構造及びそれらの様々な機能に関するさらなる詳細は、Using Antibodies: A laboratory manual, Cold Spring Harbour Laboratory Pressに見出すことができる。
【0033】
本発明の好ましい実施の形態では、上記フラグメントは、Fabフラグメントである。
【0034】
本発明のさらなる好ましい実施の形態では、上記抗体は、F(ab’)、Fab、Fv及びFdフラグメント、及びCDR3領域を含む抗体から成る群から選択される。
【0035】
好ましくは、上記フラグメントは、単鎖抗体可変領域(scFV)又はドメイン抗体である。ハイブリドーマが特異的モノクローナル抗体に関して存在する場合、RT PCRにより上記ハイブリドーマから抽出されるmRNAからscFVを単離することは、十分に当業者の知識内である。あるいは、ファージディスプレイスクリーニングは、scFvを発現するクローンを同定するのに行われ得る。ドメイン抗体は、抗体の最小結合部分(およそ13kDa)である。この技術の例は、米国特許第6,248,516号明細書、米国特許第6,291,158号明細書、米国特許第6,127,197号明細書及び欧州特許出願公開第0368684号明細書(それらはすべて、参照されて本明細書の一部とする)に開示されている。
【0036】
修飾抗体又は変異体抗体及び参照抗体は、任意の組合せで存在し得る1つ又はそれ以上の置換、付加、欠失、切断によりアミノ酸配列が異なり得る。好ましい変異体には、保存的アミノ酸置換により参照ポリペプチドと異なるものが存在する。かかる置換は、所定のアミノ酸を同等の特徴を有する別のアミノ酸で置換するものである。アミノ酸の以下の非限定的リストは、保存的置き換え(類似している)とみなされる:a)アラニン、セリン及びスレオニン、b)グルタミン酸及びアスパラギン酸、c)アスパラギン及びグルタミン、d)アルギニン及びリシン、e)イソロイシン、ロイシン、メチオニン及びバリン、並びにf)フェニルアラニン、チロシン及びトリプトファン。増強された生物活性を示す変異体が最も非常に好ましい。
【0037】
好ましくは、上記抗体は、ヒト化又はキメラ抗体である。
【0038】
キメラ抗体は、ヒト抗体の不変すなわち定常領域とともに抗体の可変領域を含有するように組換え方法により生産される。
【0039】
ヒト化抗体は、抗体の相補性決定領域(CDR)を、ヒト抗体の定常(C)領域及び可変(V)領域由来のフレームワーク領域の両方と組み合わせるように組換え方法により生産される。
【0040】
キメラ抗体は、マウス又はラット抗体のV領域すべてをヒト抗体C領域と組み合わせる組換え抗体である。ヒト化抗体は、げっ歯類抗体V領域由来の相補性決定領域を、ヒト抗体V領域由来のフレームワーク領域と融合する組換えハイブリッド抗体である。ヒト抗体由来のC領域もまた使用される。相補性決定領域(CDR)は、V領域の変化の大部分が制限される抗体の重鎖及び軽鎖の両方のN末端ドメイン内の領域である。これらの領域は、抗体分子の表面でループを形成する。これらのループは、抗体と抗原との間に結合表面を提供する。
【0041】
非ヒト動物由来の抗体は、外来抗体に対する免疫応答及び循環からのその除去を誘起する。キメラ抗体及びヒト化抗体は、ヒト被験体へ注入されると、組換えハイブリッド抗体内のげっ歯類(すなわち、外来)抗体の量が減少されている一方で、ヒト抗体領域は免疫応答を誘発しないため、抗原性が減少されている。これにより、抗体のより弱い免疫応答及びクリアランスの減少がもたらされる。これは、ヒト疾患の治療で治療用抗体を使用する場合に明らかに望ましい。ヒト化抗体は、より少ない「外来」抗体領域を有するように設計され、したがって、キメラ抗体よりも免疫原性が低いと考えられる。
【0042】
本発明のさらなる態様によれば、医薬品としての使用のための本発明によるポリペプチドが提供される。
【0043】
本発明のさらなる態様によれば、医薬品としての使用のための本発明による核酸が提供される。
【0044】
本発明の好ましい実施の形態では、上記医薬品は、希釈剤、キャリア又は賦形剤をさらに含む。
【0045】
投与される場合、本発明の治療用組成物は、医薬的に許容可能な調製物として投与される。かかる調製物は、医薬的に許容可能な濃度の塩、緩衝剤、防腐剤、適合性キャリア、補足免疫増強剤(例えば、アジュバント及びサイトカイン)並びに任意に他の治療用作用物質(例えば、化学療法剤)を日常的に含有し得る。
【0046】
本発明の治療薬は、注射を含む任意の従来の経路により、或いは時間をかけた漸次注入により投与することができる。投与は、例えば、経口、静脈内、腹腔内、筋内、腔内、皮下又は経皮で行うことができる。抗体が治療上使用される場合、好ましい投与経路は、肺エーロゾルによるものある。抗体を含有するエーロゾル送達系を調製するための技法は、当業者に既知である。概して、かかる系は、パラトープ結合能のような抗体の生物学的特性を著しく減じない構成成分を利用すべきである(例えば、参照されて本明細書の一部とするSciarra and Cutie, 「Aerosols」, in Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th edition, 1990, pp 1694-1712を参照)。当業者は、過度の実験を行わずに抗体エーロゾルを生産するための各種パラメータ及び条件を容易に確定することができる。本発明のアンチセンス調製物を使用する場合、緩慢な静脈内投与が好ましい。
【0047】
本発明の組成物は、有効量で投与される。「有効量」は、単独で、或いはさらなる用量と一緒に、望ましい応答をもたらす組成物の量である。癌のような特定の疾患を治療する場合、所望の応答とは、疾患の進行を阻害することである。これは、単に疾患の進行を一時的に遅らせることを包含し得るが、より好ましくは、疾患の進行を永久に停止させることを包含する。これは、日常的な方法によりモニタリングすることができ、或いは本明細書中で論述する本発明の診断方法に従ってモニタリングすることができる。
【0048】
かかる量は、当然のことながら、治療されるべき特定の状態、状態の重篤性、個々の患者のパラメータ(年齢、健康状態、大きさ及び体重を含む)、治療の持続期間、併用療法(存在する場合)の性質、特定の投与経路並びに医師の知見及び専門知識内の同等の要因に依存する。これらの要因は、当業者に既知であり、単なる日常的な実験で対処することができる。個々の構成成分又はそれらの組合せの最大用量が使用されること、すなわち分別ある医療的判断に従って安全な最高用量が使用されることが一般的に好ましい。しかしながら、患者は、医学的根拠、心理学的根拠のため、或いは事実上あらゆる他の理由で、より低用量又は耐用量を要求し得ることが当業者には理解されよう。
【0049】
上述の方法で使用される医薬組成物は好ましくは、滅菌であり、患者への投与に適した重量又は容量の単位で望ましい応答を生じるための有効量の、例えばドミナントネガティブなiASPP C6、又はドミナントネガティブなiASPP C6をコードする核酸を含有する。応答は、例えば、ドミナントネガティブなiASPP C6組成物により阻害されるシグナル伝達をレポーター系により確定することにより、遺伝子発現のような下流の影響を測定することにより、或いはiASPP C6組成物の生理学的効果(例えば、腫瘍の後退、疾患症状の減少、アポトーシスの調節等)を測定することにより測定することができる。
【0050】
被験体へ投与されるドミナントネガティブなiASPP C6ポリペプチド又は核酸の用量は、種々のパラメータに従って、特に使用される投与の様式及び被験体の状態に従って選択することができる。他の要因としては、望ましい治療期間が挙げられる。被験体における応答が、適用される初期用量で不十分である場合には、より高用量(又は異なるより局在化される送達経路で有効な高用量)が、患者の耐性が許す限り使用することができる。
【0051】
概して、ドミナントネガティブなiASPP C6の用量は、当該技術分野における任意の標準的な手順に従って、1ng〜約500mg、10ng〜100mgの用量で配合及び投与される。ドミナントネガティブなiASPP C6をコードする核酸が使用される場合、一般的に1ng〜0.1mgの用量が、標準的な手順に従って配合及び投与される。iASPP C6組成物の投与に関する他のプロトコルは、当業者に既知であり、ここでは用量、注射のスケジュール、注射の部位、投与様式(例えば、腫瘍内)等が上述と異なる。例えば実験目的又は獣医用治療目的でのヒト以外の哺乳類へのiASPPC組成物の投与は、上述するのと実質的に同条件下で実施される。被験体は、本明細書中で使用する場合、哺乳類、好ましくはヒトであり、ヒト以外の霊長類、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ又はげっ歯類を包含する。
【0052】
投与の際、本発明の医薬調製物は、医薬的に許容可能な量で、及び医薬的に許容可能な組成で適用される。「医薬的に許容可能な」という用語は、有効成分の生物活性の有効性を妨害しない無毒性物質を意味する。かかる調製物は普通、塩、緩衝剤、防腐剤、適合性キャリア及び任意で他の治療用作用物質を含有する。薬剤中に使用される場合、塩は、医薬的に許容可能であるべきであるが、医薬的に許容可能でない塩は、それらの医薬的に許容可能な塩を調製するのに利便性よく使用されることができ、本発明の範囲から排除されない。かかる薬理学的且つ医薬的に許容可能な塩としては、以下の酸、塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、クエン酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸等から調製されるものが挙げられるが、これらに限定されない。また、医薬的に許容可能な塩は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩(例えば、ナトリウム、カリウム又はカルシウム塩)として調製することができる。
【0053】
iASPP C6組成物は、所望により、医薬的に許容可能なキャリアと組み合わせてもよい。「医薬的に許容可能なキャリア」という用語は、本明細書中で使用する場合、ヒトへの投与に適した1つ又はそれ以上の適合性固体若しくは液体充填剤、希釈剤又は封入物質を意味する。「キャリア」という用語は、有効成分と組み合わせて適用を容易にする、天然又は合成である有機又は無機成分を意味する。医薬組成物の構成成分はまた、本発明の分子と、及び互いに、所望の医薬的有効性を実質的に損なう相互作用が起こらない様式で混合することが可能である。
【0054】
医薬組成物は、塩中の酢酸、塩中のクエン酸、塩中のホウ酸及び塩中のリン酸を含む適切な緩衝剤を含有してもよい。
【0055】
医薬組成物はまた、任意に、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、パラベン及びチメロサールのような適切な防腐剤を含有してもよい。
【0056】
医薬組成物は、単位投薬形態で利便性よく提供されてもよく、医薬の技術分野で既知の方法のいずれかにより調製することができる。方法はすべて、有効成分を1つ又はそれ以上の補助成分を構成するキャリアと会合させる工程を包含する。概して、組成物は、有効成分を液体キャリア、微細固体キャリア又はその両方と、均一に且つ緊密に会合させること、続いて必要であれば、生成物を成形することにより調製される。
【0057】
経口投与に適した組成物は、それぞれが所定量の活性化合物を含有するカプセル、錠剤、ロゼンジのような別個の単位として提供されてもよい。他の組成物としては、水性液体又は非水性液体中の懸濁液(例えば、シロップ、エリキシル又はエマルジョン)が挙げられる。
【0058】
非経口投与に適した組成物は、好ましくはレシピエントの血液と等張性であるiASPP C6ポリペプチド又は核酸の滅菌水性又は非水性調製物を利便性よく含む。この調製物は、適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤を使用する既知の方法に従って配合することができる。滅菌注射可能調製物はまた、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液として、無毒性の非経口的に許容可能な希釈剤若しくは溶媒中の滅菌注射可能溶液又は懸濁液であってもよい。使用され得る許容可能なビヒクル及び溶媒には、水、リンガー液及び等張性塩化ナトリウム溶液が存在する。さらに、滅菌不揮発性油は従来、溶媒又は懸濁媒質として使用されている。この目的で、合成モノグリセリド又はジグリセリドを含む任意の無刺激性不揮発性油を使用することができる。さらに、オレイン酸のような脂肪酸は、注射可能物質の調製において使用することができる。経口、皮下、静脈内、筋内等の投与に適したキャリア配合物は、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, PAに見出すことができる。
【0059】
本発明の好ましい実施の形態では、上記核酸分子は、干渉(inhibitory)RNA(RNAi)分子又はアンチセンス核酸分子である。
【0060】
本発明の好ましい実施の形態では、上記核酸分子は、図1bに示される核酸配列を参照して設計されるアンチセンス分子又は干渉RNA分子から成る群から選択される。好ましくは、上記アンチセンス又は干渉RNA分子は、上記核酸配列の、図1aに示されるようにアミノ酸残基1〜483で定義されるようなアミノ酸配列をコードする部分に対して設計される。
【0061】
本明細書中では、「アンチセンス分子」又は「アンチセンス」という用語は、特定の遺伝子を含むDNAへ、或いは当該遺伝子のmRNA転写物へ、生理学的条件下でハイブリダイズし、それにより当該遺伝子の転写及び/又は当該mRNAの翻訳を阻害するオリゴリボヌクレオチド、オリゴデオキシリボヌクレオチド、修飾オリゴリボヌクレオチド或いは修飾オリゴデオキシリボヌクレオチドであるオリゴヌクレオチドを表す。アンチセンス分子は、ターゲット遺伝子又は転写物とのハイブリッド形成時にターゲット遺伝子の転写又は翻訳を妨害するように設計される。アンチセンスオリゴヌクレオチドの正確な長さ及びそのターゲットとのその相補性の度合いは、選択される特定のターゲット(ターゲットの配列及び当該配列を含む特定の塩基を含む)に依存することは、当業者に理解されよう。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、生理学的条件下でターゲットと選択的に結合するように、すなわち生理学的条件下でターゲット細胞における任意の他の配列よりも実質的に多く、ターゲット配列へハイブリダイズするように、構築及び配列されることが好ましい。本明細書中に提供されるiASPP6C核酸配列に、或いは対立遺伝子若しくは相同ゲノム及び/又はcDNA配列に基づいて、当業者は、本発明による使用のための多数の適切なアンチセンス分子のいずれかを容易に選択及び合成することができる。例えば、iASPP6C核酸の長さに及ぶ15〜30個のヌクレオチドから成る一連のオリゴヌクレオチドを含む「遺伝子歩行(gene walk)」を調製することができ、続いて相当するiASPP6C発現の阻害に関して試験することができる。任意に、ヌクレオチド5〜10個分のギャップが、合成及び試験されるオリゴヌクレオチドの数を低減するために、オリゴヌクレオチド間に置かれ得る。
【0062】
阻害に関して十分に選択的且つ強力であるために、かかるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ターゲットに対して相補性である少なくとも10個、より好ましくは15個の連続塩基を含むべきであるが、或る特定の場合では、7塩基長程度と短い修飾オリゴヌクレオチドが、アンチセンスオリゴヌクレオチドとして首尾よく使用されている(Wagner et al., Nature Biotechnol. 14: 840-844, 1996)。最も好ましくは、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、20〜30個の塩基から成る相補性配列を含む。遺伝子又はmRNA転写物の任意の領域に対してアンチセンスであるオリゴヌクレオチドが選択され得るが、好ましい実施の形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、翻訳開始部位、転写開始部位若しくはプロモーター部位のようなN末端又は5’上流部位に対応する。さらに、3’−非翻訳領域がターゲットとされる場合がある。mRNAスプライシング部位へのターゲッティングもまた、当該技術分野で使用されているが、選択的mRNAスプライシングが起きる場合にはあまり好ましくない場合がある。さらに、アンチセンスは、好ましくはmRNA二次構造が予測されず(例えば、Sainio et al., Cell Mol. Neurobiol. 14(5):439-457, 1994を参照)、且つタンパク質が結合することが予測されない部位へターゲットとされる。最終的に、iASPP6C cDNA配列は本明細書中で開示されるが、当業者は、cDNAに相当するゲノムDNAを容易に誘導することができる。したがって、本発明はまた、iASPP6CゲノムDNAに相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。同様に、対立遺伝子又は相同cDNA及びゲノムDNAに対するアンチセンスは、過度の実験を伴わずに可能である。
【0063】
一連の実施の形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、「天然」デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、又はそれらの任意の組合せから構成することができる。すなわち、ある天然ヌクレオチドの5’末端及び別の天然ヌクレオチドの3’末端は、天然系で見られるように、ホスホジエステルヌクレオチド間結合を介して共有結合的に連結することができる。これらのオリゴオリゴヌクレオチドは、手動により、或いは自動合成機により実施され得る当該技術分野で認識される方法により調製することができる。これらのヌクレオチドはまた、ベクターにより組換え的に生産することができる。
【0064】
本発明の好ましい実施の形態では、アンチセンス核酸分子を生産するように上記核酸分子を転写するプロモーターに操作可能に連結される核酸配列を含む転写カセットが提供され、当該配列は、以下の、
i)図1bに表されるような核酸配列又はそれらの一部、及び
ii)図1bに提示されるセンス配列にハイブリダイズし、本発明におけるポリペプチドをコードする核酸配列
から成る群から選択される。
【0065】
遺伝子機能を特異的に除去する最近の技法は、干渉RNA(RNAi)とも称される二重鎖RNAの細胞への導入によるものであり、RNAi分子中に含まれる配列に相補的なmRNAの破壊をもたらす。RNAi分子は、二重鎖RNA分子を形成するように互いにアニーリングされるRNAの2つの相補鎖(センス鎖及びアンチセンス鎖)を含む。RNAi分子は通常、除去されるべき遺伝子のエキソン又はコード配列に由来する。
【0066】
最近の研究により、コード配列に由来する100〜1,000bpの範囲のRNAi分子が、遺伝子発現の有効な阻害剤であることが示唆されている。驚くべきことに、遺伝子発現を阻止するのに、RNAiのほんの数個の分子が必要とされ、メカニズムが触媒的であることが示唆されている。ほとんどのRNAiが細胞の細胞質で検出不可能であるため、作用部位は、核であると考えられ、RNAiが、mRNA合成又はプロセシング中にその効果を発揮することを示している。
【0067】
本発明のさらなる好ましい実施の形態では、以下の、
i)図1bにおける核酸配列により表される核酸分子、
ii)上記(i)における配列にハイブリダイズし、本発明におけるポリペプチドをコードする核酸分子、又は
iii)上記(i)及び上記(ii)で定義される配列に対して、遺伝子コードのため縮重している核酸分子
から成る群から選択される核酸分子又はそれらの一部を含む転写カセットが提供され、当該カセットは、センス核酸分子及びアンチセンス核酸分子の両方が、上記カセットから転写されるように適応される。
【0068】
本発明の好ましい実施形態では、上記カセットは、上記核酸分子のセンス鎖及びアンチセンス鎖の両方を転写するように適応される少なくとも2つのプロモーターとともに提供される。
【0069】
本発明のさらなる好ましい実施の形態では、上記カセットは、核酸分子を含み、上記分子は、第2の部分に連結される第1の部分を含み、上記第1の部分及び上記第2の部分は、それらの配列の少なくとも一部にわたって相補的であり、さらに上記核酸分子の転写は、上記第1の部分及び上記第2の部分の相補的な塩基対形成により二重鎖領域を形成するRNA分子を生産する。
【0070】
本発明の好ましい実施形態では、上記第1の部分及び上記第2の部分は、少なくとも1つのヌクレオチド塩基により連結される。
【0071】
本発明の好ましい実施の形態では、上記第1の部分及び上記第2の部分は、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個又は少なくとも10個のヌクレオチド塩基により連結される。
【0072】
本発明のさらに好ましい実施の形態では、RNAi分子の長さは、100bp〜1000bpである。さらに好ましくは、RNAiの長さは、100bp、200bp、300bp、400bp、500bp、600bp、700bp、800bp、900bp又は1000bpから選択される。さらに好ましくは、上記RNAiは、少なくとも1000bpである。
【0073】
本発明の代替的な好ましい実施の形態では、RNAi分子は、15bp〜25bpであり、好ましくは上記分子は、21bpである。
【0074】
本発明の好ましい実施の形態では、上記カセットは、ベクターの一部である。
【0075】
本発明のさらなる態様によれば、p53結合タンパク質とp53ポリペプチドとの相互作用を調節する作用物質を同定するためのスクリーニング方法が提供され、当該方法は、以下の、
i)本発明におけるポリペプチド及びp53ポリペプチド、又はそれらの配列変異体、並びに試験されるべき少なくとも1つの作用物質を含む調製物を形成する工程、及び
ii)p53ポリペプチドへの上記ポリペプチドの結合に関して、上記作用物質の活性を確定する工程
を含む。
【0076】
本発明のさらなる態様によれば、Bcl−2結合ポリペプチドとBcl−2ポリペプチドとの相互作用を調節する作用物質を同定するためのスクリーニング方法が提供され、当該方法は、以下の、
i)図2aに示されるアミノ酸配列により表されるポリペプチド、或いは少なくとも1つのアミノ酸残基の付加、欠失又は置換により修飾される変異体ポリペプチド、及びBcl−2ポリペプチド、又はその変異体、並びに試験されるべき少なくとも1つの作用物質を含む調製物を形成する工程、及び
ii)上記Bcl−2ポリペプチドへの上記ポリペプチドの結合に関して、上記作用物質の活性を確定する工程
を含む。
【0077】
本発明のさらに他の態様によれば、本発明によるポリペプチドのユビキチン化を調節する作用物質を同定するためのスクリーニング方法が提供され、以下の、
i)本発明によるポリペプチド、ユビキチンポリペプチド又はそれらの変異体、ユビキチン結合性ポリペプチドと関連した比活性を有するポリペプチド(複数可)、並びに試験されるべき少なくとも1つの作用物質を含む調製物を形成する工程、及び
ii)上記ポリペプチドへのユビキチンの結合に関して、上記作用物質の活性を確定する工程
を含む。
【0078】
本発明の好ましい方法では、上記作用物質は、ペプチド又はポリペプチドである。
【0079】
本発明の好ましい方法では、上記ペプチドは、少なくとも6アミノ酸残基長である。好ましくは、上記ペプチド/ポリペプチドの長さは、少なくとも7アミノ酸残基、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20アミノ酸残基長から成る群から選択される。あるいは、上記ペプチド/ポリペプチドの長さは、少なくとも20アミノ酸残基、30、40、50、60、70、80、90又は100アミノ酸残基長である。
【0080】
ペプチド作用物質のアミノ酸配列に対する修飾が、ターゲット配列に対するペプチドの結合及び/又は安定性を高めることができることは、当業者に明らかであろう。さらに、ペプチドに対する修飾はまた、ペプチドのin vivo安定性を増大する場合があり、それによりiASPPのp53結合を阻害するのに必要なペプチドの有効量を低減させる。これは、in vivoで結果的に起こり得る望ましくない副作用を有利に低減する。修飾としては、例えばアセチル化及びアミド化が挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、又は好ましくは、上記修飾は、組換え又は合成形態のペプチドの生産における修飾アミノ酸の使用を包含する。修飾アミノ酸としては、例えば4−ヒドロキシプロリン、5−ヒドロキシリシン、N−アセチルリシン、N−メチルリシン、N,N−ジメチルリシン、N,N,N−トリメチルリシン、シクロヘキシルアラニン、D−アミノ酸、オルニチンが挙げられるが、これらに限定されないことは当業者に明らかであろう。他の修飾としては、ハロ(例えば、F、Br、I)、ヒドロキシ若しくはC〜Cアルコキシから選択される1個、2個又は3個の置換基により任意に置換されるC、C又はCアルキルR基を有するアミノ酸が挙げられる。修飾としてはまた、例えば、アセチル化及びアミド化が挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
本発明の好ましい実施の形態では、上記ペプチド配列はアセチル化される。好ましくは、上記アセチル化は、上記ペプチドのアミノ末端に対するものである。
【0082】
本発明のさらに好ましい実施の形態では、上記ペプチド配列はアミド化される。好ましくは、上記アミド化は、上記ペプチドのカルボキシル末端に対するものである。
【0083】
また、ペプチドを、環化により修飾することができることは、当業者に明らかであろう。環化は、当該技術分野で既知である(Scott et al Chem Biol (2001), 8:801-815; Gellerman et al J. Peptide Res (2001), 57:277-291; Dutta et al J. Peputide Res (2000), 8:398-412; Ngoka and Gross J Amer Soc Mass Spec (1999), 10:360-363を参照)。
【0084】
本発明のさらに好ましい方法では、上記アンタゴニストは、抗体又は抗体結合部分である。好ましくは、上記抗体は、モノクローナル抗体又はそれらの結合部分である。
【0085】
本発明の好ましい代替方法では、上記作用物質はアプタマーである。
【0086】
核酸は、線状配列構造、並びに部分的には線状配列、またこれらの分子が位置する環境により確定される三次元構造の両方を有する。従来の治療用分子は、小分子、例えばペプチド、ポリペプチド又は抗体であり、ターゲット分子を結合して、アゴニスト又はアンタゴニスト効果を生じる。核酸分子はまた、治療的有用性を有し得る必須の結合特性を備えた作用物質を提供することに関して潜在能力を有することが明らかになっている。これらの核酸分子は通常、アプタマーと称される。アプタマーは、ターゲット分子に対する結合ドメインを含む小さくて、通常安定化される核酸分子である。アプタマーを同定するためのスクリーニング方法は、参照されて本明細書の一部とする米国特許第5,270,163号明細書に記載されている。アプタマーは通常、一本鎖オリゴデオキシヌクレオチド、オリゴリボヌクレオチド又は修飾オリゴデオキシヌクレオチド若しくは修飾オリゴリボヌクレオチドであり得るオリゴヌクレオチドである。
【0087】
「修飾」という用語は、共有結合的に修飾された塩基及び/又は糖を有するヌクレオチドを包含する。例えば、修飾ヌクレオチドとしては、3’位にあるヒドロキシル基以外及び5’位にあるリン酸基以外で低分子量有機基に共有結合される糖を有するヌクレオチドが挙げられる。したがって、修飾ヌクレオチドとしてはまた、2’−O−メチル−、2−O−アルキル、2−O−アリル、2’−S−アルキル、2’−S−アリル、2’−フルオロ−、2’−ハロ又は2’−アジド−リボースのような2’−置換糖、炭素環式糖類縁体a−アノマー糖、エピマー糖(例えば、アラビノース、キシロース又はリキソース)、ピラノース糖、フラノース糖及びセドヘプツロースが挙げられ得る。
【0088】
修飾ヌクレオチドは当該技術分野において既知であり、例として、これに限定されないが、アルキル化プリン及び/又はピリミジン、アシル化プリン及び/又はピリミジン、又は他の複素環を含む。これらのピリミジン及びプリンの種類は、当該技術分野において既知であり、プソイドイソシトシン、N4,N4−エタノシトシン、8−ヒドロキシ−N6−メチルアデニン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、イノシン、N6−イソペンチル−アデニン、1−メチルアデニン、1−メチルプソイドウラシル、1−メチルグアニン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−メチルアデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、β−D−マンノシルケオシン(queosine)、5−メトキシカルボニルメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、プソイドウラシル、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、N−ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸、ケオシン、2−チオシトシン、5−プロピルウラシル、5−プロピルシトシン、5−エチルウラシル、5−エチルシトシン、5−ブチルウラシル、5−ペンチルウラシル、5−ペンチルシトシン、及び2,6,−ジアミノプリン、メチルプソイドウラシル、1−メチルグアニン、1−メチルシトシンを含む。
【0089】
本発明のアプタマーは、従来のホスホジエステル連結ヌクレオチドを用いて合成され、また当該技術分野で既知の標準的な固相又は液相合成技法を用いて合成される。ヌクレオチド間の連結は、代替的な連結分子を使用してもよい。例えば、式P(O)S、(チオエート)、P(S)S、(ジチオエート)、P(O)NR’2、P(O)R’、P(O)OR6、CO又はCONR’2(式中、Rは、H(又はその塩)又はアルキル(1〜12C)であり、R6は、アルキル(1−9C)である)を有する連結基は、−O−又は−S−により隣接ヌクレオチドと結合する。ターゲットポリペプチドへのアプタマーの結合は、本明細書中で開示されるアッセイにより容易に試験される。
【0090】
本発明の一実施の形態がここで、実施例によってのみ、及び添付の図面を参照して記載される。
【実施例】
【0091】
材料及び方法
細胞培養及び試薬
細胞は、10%ウシ胎児血清を補充したダルベッコ変法イーグル培地(Invitrogen)による培養において成長させた。この研究で使用される細胞は、Tera(精巣腫瘍細胞系)、RKO(結腸癌腫)、Saos−2(骨肉腫)、H1299(肺癌腫)、293(胚腎臓)、SK−MEL−37(黒色腫)、MCF7(乳房上皮)及びU2OS(骨肉腫)であった。抗V5抗体は、Invitrogenから購入した。N−20 CD20Leu FITC結合モノクローナル抗体は、Becton Dickinsonから購入した。トランスフェクションは全体を通して、リン酸カルシウム沈殿により実施した。
【0092】
プラスミド
iASPP6CをコードするcDNAを含有するEST(I.M.A.G.E.クローン4994121)は、MRC Geneservice(Cambridge, U.K.)から入手した。cDNAをpcDNA3.1/V5−His−TOPO(Invitrogen)へサブクローニングした。pcDNA3.1 iASPP、pcDNA3.1 ASPP2、pcDNA3.1 Ce−iASPP及びpcDNA3 p53については、過去に記載されている(Bergamaschi et al., 2003; Samuels-Lev et al., 2001)。図10で使用されるiASPP6C切断型は、pcDNA3.1/V5−His−TOPOへのPCR定方向クローニングにより生成された。ポリリンカーの5’に挿入される2つのV5配列を有する改変pcDNA3ベクターを使用して、N−末端V5タグ付けiASPP6Cを生成した。
【0093】
抗iASPP抗体の生成
抗iASPP6C抗体pAb18(ウサギポリクローナル)及びSA4.1(マウスモノクローナル)は、ペプチドRLQPALPPEAQSVPELEE(iASPP6Cのアミノ酸492〜509)に対して産生された。抗iASPP6Cマウスモノクローナル抗体LX049.3は、iASPP6Cのアミノ酸459〜639を含有するC末端Hisタグ付け融合タンパク質に対して産生された。相当するcDNAは、PCRにより増幅して、pCRT7/CTTOPO(Invitrogen)へサブクローニングした。組換えiASPP6Cフラグメントは、1mM IPTGとの4時間のインキュベーション、続く変性条件下での精製により、BL21 Star E.コリ(E. coli)(Invitrogen)において生成された。
【0094】
電気泳動及び免疫ブロッティング
細胞をPBS中で2度洗浄した後、PBS 1mlへと掻爬して、400gでペレット化した。細胞は、8M 尿素、1M チオ尿素、0.5% CHAPS、50mM DTT及び24mM スペルミン中で室温で30分間インキュベートすることにより溶解させた後、20,000gで16℃にて20分間、遠心分離した。タンパク質30μgを、以前に記載されるように(Yap et al., 2000)、SDS−PAGE及び免疫ブロッティングによる分析に使用した。
【0095】
免疫沈降
細胞を、NP40溶解緩衝液(50mM トリスpH8.0、150mM NaCl、1mM EDTA、1% NP40及びプロテアーゼ阻害剤(完全プロテアーゼ阻害剤カクテル、Roche))中で45分間、氷上でインキュベートすることにより溶解した後、20,000gで4℃にて20分間、遠心分離した。溶解産物0.5〜2mgを、プロテインGセファロースビーズ(Amersham Biosciences)とともに4℃で1時間回転させることにより、予め清浄した。ビーズの除去後、溶解産物を新しいチューブへ移して、ブロックしたプロテインGセファロースビーズ及び対照として、特異的抗体又は非特異的マウス若しくはウサギIgG(Sigma)およそ1μgとともに、4℃で一晩回転させた。続いて、ビーズを氷冷NP40溶解緩衝液中で3回洗浄して、得られた複合体を、SDS−PAGE及び免疫ブロットにより分析した。
【0096】
iASPP6C siRNAの構築及びトランスフェクション
iASPP6C及びiASPP cDNAの両方の中に存在する配列の19塩基を含有するオリゴヌクレオチドを、以前に記載されるように(Brummelkamp et al., 2002)、pSuper発現プラスミドへ連結させた。プラスミドは、配列決定により確証した。siRNAを生成するのに使用されるオリゴヌクレオチドの完全配列は以下の通りであり、cDNA配列を大文字で示した:
【0097】
センス、
5’gatccccTGTCAACTCCCCCGACAGCttcaagagaGCTGTCGGGGGAGTTGACAtttttggaaa3’、
アンチセンス、
5’agcttttccaaaaaTGTCAACTCCCCCGACAGCtctcttgaaGCTGTCGGGGGAGTTGACAggg3’。
【0098】
トランスフェクションに関して、1×10個のH1299細胞を10cm皿へと蒔いた。細胞を、pSuper又はpSuper−si−RNA iASPP(10μg)と並行して、pMACS H−2K 3μgでトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後に、pMACS H−2Kプラスミドを発現する細胞を、MACS系(Miltenyi Biotec)を使用して、製造業者の指示書に従って分離した。これにより、細胞の2つの集団:H−2K発現(トランスフェクト)細胞及びH−2K非発現(非トランスフェクト)細胞が生じた。細胞集団はともに、RIPA緩衝液(150mM NaCl、1mM EDTA、50mM トリス pH8、0.5%デオキシコール酸、1%NP40、0.1%SDS)を用いて氷上で30分間溶解させた後、20,000gで4℃にて30分間、遠心分離した。
【0099】
in vitro翻訳及びin vitro免疫沈降
p53及びiASPP6Cは、TNT T7 Quick共役転写/翻訳系(Promega)を使用して、35S−メチオニンによりin vitroで翻訳した。各タンパク質を含有する網状赤血球溶解産物を、示される通りに組み合わせて、ともに30℃で1時間インキュベートした。プロテインGセファロースビーズ上に固定化されるLX049.3抗体を結合反応に添加して、4℃で16時間回転させた。続いて、ビーズをPBSで洗浄した。結合タンパク質を、SDSサンプル緩衝液中で放出させて、10%SDS−PAGEで分析した。結果は、オートラジオグラフィにより可視化された。
【0100】
トランス活性化
転写アッセイは、以前に記載されるように実施した(Samuels-Lev et al., 2001)。
【0101】
フローサイトメトリー
フローサイトメトリー 1×10個のSaos−2細胞を、トランスフェクションの24〜48時間前に、10cm皿へと蒔いた。細胞はすべて、トランスフェクションマーカーとしてのpCMV CD20 2μgでトランスフェクトした。以下のプラスミドは、規定量:pcDNA p53(1μg)、pcDNA3.1 Ce−iASPP(7.5μg)、pcDNA3.1 iASPP(7.5μg)、pcDNA3.1 iASPP6C(1μg)、pcDNA3.1 ASPP2(10μg)で、適切にトランスフェクトした。図11では、iASPP6C切断型2μgを使用した。空のpcDNA3ベクターを使用して、すべてのサンプルにおけるDNAの総量を均一化した。トランスフェクションの36時間後に、吸着細胞及び浮遊細胞の両方を収集して、以前に記載されるように分析した(Hsieh et al., 1997)。
【0102】
免疫蛍光
Saos−2細胞を、50%密度で24ウェルプレート中のカバーガラス上へ播種して、iASPP6C切断型をコードするプラスミド0.5〜3μgでトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後に、細胞をPBS中の4%パラホルムアルデヒド200μlで12分間固定した後、PBS中の0.1%トリトン−X100で4分間、透過処理した。iASPP6C構築物の発現は、抗V5抗体(0.2%の魚の皮のゼラチン中で1:100に希釈)を40分間、続いてTRITC又はFITC結合二次抗体を20分間使用して検出した。
【0103】
参考文献
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1a】iASPP C6タンパク質のアミノ酸配列であり、下線のアミノ酸配列は、iASPPと同一である。
【図1b】iASPP6Cの核酸配列である。
【図2】図2aはiASPPのアミノ酸配列である。図2bはiASPPの核酸配列である。
【図3−1】完全長iASPP6C及びiASPPの配列アラインメントである。
【図3−2】完全長iASPP6C及びiASPPの配列アラインメントである。
【図3−3】完全長iASPP6C及びiASPPの配列アラインメントである。
【図3−4】完全長iASPP6C及びiASPPの配列アラインメントである。
【図3−5】完全長iASPP6C及びiASPPの配列アラインメントである。
【図4−1】図4A:様々な細胞系におけるiASPP発現の発現を示す。完全長iのASPP6Cは、約100kDaで検出される。抗体LX049.3でプロービングされるサンプルは、in vitroで翻訳される2.1kb iASPP、RKO(結腸癌細胞系)、HeLa、293(腎臓)、MCF7(胸部)、SaOS2(骨肉腫)、HBL100(胸部)、H1299(肺)、U937(肺)、U2OS(骨肉腫)である。
【図4−2】図4B、CおよびDは、iASPP6C、iASPP及びiASPP6Cの両方内の配列に対して産生される別個の抗体により検出することができることを示している。 4B:抗体LX049.3、SA4.1及びpAb18を生成するのに使用される抗原の相対位置を示す図である。図4Cは、iASPP6C及びiASPP cDNAの両方が、非標識アミノ酸を使用してin vitroで翻訳されたことを示す。空のベクターを含有する対照反応を並行して実施した。LX049.3でプロービングされたブロット中の2つのiASPPタンパク質間で観察されるバンドは、非特異的である。図4Dは、iASPP6Cの発現レベルを示し、iASPPは、LX049.3を使用して、細胞系において検出された。iASPP及びiASPP6C cDNAのin vitro翻訳された生成物(IVT)は、陽性対照として負荷する。分子量マーカーの位置は、右側に示している。抗PCNA抗体PC−10は、細胞溶解産物に関する負荷対照として使用した。
【図5】2つの異なるiASPP抗体を使用した免疫沈降/ウェスタンブロットを示す。LX049.3は、マウスモノクローナル抗体であるのに対して、pAb18は、ウサギ抗体である(エピトープは、ペプチドアラインメントで付与される、図3を参照)。
【図6a】iASPP6Cがユビキチン化されることを示す。このプロセスは、83kDaフラグメントの生成をもたらし、これは、MG132(ユビキチン−プロテオソーム阻害剤)の存在下で根絶される。ユビキチン化はまた、細胞密度に依存するようである。細胞は、所要の細胞密度に従って分割され、MG132を翌日(16〜24時間後に)添加した。
【図6b】iASPP6Cがユビキチン化されることを示す。このプロセスは、83kDaフラグメントの生成をもたらし、これは、MG132(ユビキチン−プロテオソーム阻害剤)の存在下で根絶される。ユビキチン化はまた、細胞密度に依存するようである。細胞は、所要の細胞密度に従って分割され、MG132を翌日(16〜24時間後に)添加した。
【図7】p53は、完全長iASPP6Cに優先的に結合するのに対して、Bcl−2は、iASPPを優先的に結合することを示す。
【図8】細胞における完全長iASPP6Cの活性、並びにiASPP及びp53が、アポトーシス遺伝子の活性化に関与するが、細胞周期調節遺伝子には関与しないこと、並びにiASPPはまた、p63及びp73と相互作用することを示す。
【図9】完全長iASPP6Cは、iASPPよりも細胞中で優先的に発現されるが、異なる発現レベルで発現されることを示す。 図10: iASPP6CのN末端は、細胞質への局在化を引き起こすことを示す。(a)LX049.3は、Saos−2細胞及びH1299細胞において、iASPP6Cを検出するのに使用された。トランスフェクトされたiASPP6C(左)又は内因性iASPP6C(中央)のいずれかは、H1299細胞における内因性iASPP6C(右)と並行して、Saos−2細胞において分析された。(b)図中に示したiASPPの領域をコードするV5エピトープタグ付け構築物をSaos−2へトランスフェクトし、それらの細胞内局在化は、抗V5抗体を用いた免疫蛍光により測定した。 図11: iASPP6CのC末端が、p53の阻害に必要とされることを示す。(a)Saos−2細胞をp53及び示されたiASPP切断型でトランスフェクトして、アポトーシスをFACSにより検出した。右側パネルは、トランスフェクトされたタンパク質の相対発現レベルを示す免疫ブロットである。(b)Saos−2細胞は、p53 50ng及びiASPP6Cプラスミド0.25μgと並行して、PIG−3プロモーターを含有するルシフェラーゼレポータープラスミド1μgでトランスフェクトした。グラフは、相対的なトランス活性化活性の変化を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
図1aに示されるようなアミノ酸配列により表される単離ポリペプチド、又は少なくとも1つのアミノ酸残基の付加、欠失若しくは置換により修飾される変異体ポリペプチドであって、該ポリペプチドは、以下の特徴、
i)図2aに示されるようなアミノ酸配列により表されるようなポリペプチド又はそれらの変異体と比較した場合に、p53のアポトーシス促進活性を阻害するように、腫瘍サプレッサーポリペプチドp53を優先的に結合するポリペプチド、
ii)ユビキチン化される少なくとも1つのアミノ酸残基を含むポリペプチド、及び
iii)図1aに示されるアミノ酸配列のアミノ酸1と483との間に表されるアミノ末端ポリペプチドドメインを含むポリペプチド
を有することを特徴とするポリペプチド。
【請求項2】
前記ポリペプチドは、図2aに示されるアミノ酸配列により表されるポリペプチドと比較した場合に、p53を優先的に結合する、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
前記ポリペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸残基の付加、欠失又は置換により修飾され、前記修飾は、図1aに提示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基1と483との間に存在する、請求項1又は2に記載のポリペプチド。
【請求項4】
前記ポリペプチドは、図1aに示されるアミノ酸配列を含む、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のポリペプチド。
【請求項5】
前記ポリペプチドは、図1aに示されるアミノ酸配列からなる、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のポリペプチド。
【請求項6】
単離核酸分子であって、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のポリペプチドをコードする単離核酸分子。
【請求項7】
前記核酸分子は、図1bに示される核酸配列により表されるか、又はストリンジェントなハイブリッド形成条件下で、図1bに示される配列にハイブリダイズし、且つ請求項1ないし5のいずれか1項に記載のポリペプチドをコードする核酸分子である、請求項6に記載の単離核酸分子。
【請求項8】
前記核酸分子は、図1bに示される核酸配列からなる、請求項6又は7に記載の核酸分子。
【請求項9】
前記分子は、cDNAである、請求項6ないし8のいずれか1項に記載の核酸分子。
【請求項10】
前記分子は、ゲノムDNAである、請求項6ないし8のいずれか1項に記載の核酸分子。
【請求項11】
請求項6ないし10のいずれか1項に記載の核酸分子を含むベクター。
【請求項12】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載のポリペプチドの生産方法であって、以下の、
i)請求項6ないし11のいずれか1項に記載の核酸分子又はベクターで形質転換/トランスフェクトされた細胞を供給する工程、
ii)前記ポリペプチドの製造を導く条件で、前記細胞を成長させる工程、及び
iii)前記ポリペプチドを前記細胞又はその成長環境から精製する工程
を含む、ポリペプチドの生産方法。
【請求項13】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載のポリペプチドを結合する抗体又はそれらの結合フラグメントであって、前記抗体は、図1aに示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基1と483との間で前記ポリペプチドを結合することを特徴とする、抗体又はそれらの結合フラグメント。
【請求項14】
前記フラグメントは、Fabフラグメントである、請求項13に記載の抗体。
【請求項15】
前記抗体は、F(ab’)、Fab、Fv及びFdフラグメント、並びにCDR3領域を含む抗体から成る群から選択される、請求項14に記載の抗体フラグメント。
【請求項16】
前記抗体はヒト化されている、請求項13ないし15のいずれか1項に記載の抗体又はそれらの結合フラグメント。
【請求項17】
前記抗体はキメラ抗体である、請求項13ないし15のいずれか1項に記載の抗体又はそれらの結合フラグメント。
【請求項18】
医薬品としての使用のための請求項1ないし5のいずれか1項に記載のポリペプチド。
【請求項19】
医薬品としての使用のための請求項6ないし11のいずれか1項に記載の核酸分子又はベクター。
【請求項20】
前記核酸分子は、干渉RNA分子である、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
前記核酸分子は、アンチセンス核酸分子である、請求項19に記載の使用。
【請求項22】
前記核酸分子は、図3に示される核酸配列を参照して設計されるアンチセンス分子又は干渉RNA分子から成る群から選択され、前記アンチセンス又は干渉RNA分子は、図1aに示されるように定義されるアミノ酸残基1〜483をコードする前記核酸配列の当該部分に対して設計される、請求項20又は21に記載の使用。
【請求項23】
前記核酸分子は、アンチセンス核酸分子を生産するように前記核酸分子を転写するプロモーターに操作可能に連結される核酸配列を含む転写カセットとして提供され、前記配列は、以下の、
i)図1bに表されるような核酸配列又はそれらの一部、
ii)図1bに提示されるセンス配列にハイブリダイズし、且つ請求項1ないし6のいずれか1項に記載のポリペプチドをコードする核酸配列
から成る群から選択される、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
前記核酸分子は、以下の、
i)図1bにおける核酸配列により表される核酸分子、
ii)前記(i)における配列にハイブリダイズし、且つ請求項1ないし5のいずれか1項に記載のポリペプチドをコードする核酸分子、又は
iii)前記(i)及び前記(ii)で定義される配列に対して、遺伝子コードのため縮重している核酸分子
から成る群から選択される核酸分子又はそれらの一部を含む転写カセットとして提供され、前記カセットは、センス核酸分子及びアンチセンス核酸分子の両方が、前記カセットから転写されるように適応される、請求項22に記載の使用。
【請求項25】
前記カセットは、前記核酸分子のセンス鎖及びアンチセンス鎖の両方を転写するように適応される少なくとも2つのプロモーターとともに提供される、請求項24に記載の使用。
【請求項26】
前記カセットは核酸分子を含み、前記分子は、第2の部分に連結される第1の部分を含み、前記第1の部分及び前記第2の部分は、それらの配列の少なくとも一部にわたって相補的であり、さらに前記核酸分子の転写は、前記第1の部分及び前記第2の部分の相補的な塩基対形成により二重鎖領域を形成するRNA分子を生産する、請求項24に記載の使用。
【請求項27】
前記第1の部分及び前記第2の部分は、少なくとも1つのヌクレオチド塩基により連結される、請求項26に記載の使用。
【請求項28】
前記カセットは、ベクターの一部である、請求項23ないし27のいずれか1項に記載の使用。
【請求項29】
p53結合タンパク質とp53ポリペプチドとの相互作用を調節する作用物質を同定するためのスクリーニング方法であって、以下の、
i)請求項1ないし5のいずれか1項に記載のポリペプチド及びp53ポリペプチド、又はそれらの配列変異体、並びに試験されるべき少なくとも1つの作用物質を含む調製物を形成する工程、及び
iii)前記p53ポリペプチドへの前記ポリペプチドの結合に関して、前記作用物質の活性を確定する工程
を含む、作用物質を同定するためのスクリーニング方法。
【請求項30】
Bcl−2結合ポリペプチドとBcl−2ポリペプチドとの相互作用を調節する作用物質の同定のためのスクリーニング方法であって、以下の、
i)図2aに示されるアミノ酸配列により表されるポリペプチド、又は少なくとも1つのアミノ酸残基の付加、欠失若しくは置換により修飾される変異体ポリペプチド、及びBcl−2ポリペプチド、又はその変異体、並びに試験されるべき少なくとも1つの作用物質を含む調製物を形成する工程、及び
iii)前記Bcl−2ポリペプチドへの前記ポリペプチドの結合に関して、前記作用物質の活性を確定する工程
を含む、作用物質の同定のためのスクリーニング方法。
【請求項31】
ポリペプチドのユビキチン化を調節する作用物質を同定するためのスクリーニング方法であって、以下の、
i)請求項1ないし5のいずれか1項に記載のポリペプチド、ユビキチンポリペプチド又はそれらの変異体、ユビキチン結合性ポリペプチドと関連した比活性を有するポリペプチド(複数可)、並びに試験されるべき少なくとも1つの作用物質を含む調製物を形成する工程、及び
ii)前記ポリペプチドへのユビキチンの結合に関して、前記作用物質の活性を確定する工程
を含む、作用物質を同定するためのスクリーニング方法。
【請求項32】
前記作用物質は、ペプチド又はポリペプチドである、請求項29ないし31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記ペプチド/ポリペプチドは、抗体又は抗体結合フラグメントである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記作用物質は、アプタマーである、請求項29ないし31のいずれか1項に記載の方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図3−4】
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【図3−5】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−502315(P2008−502315A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−543600(P2006−543600)
【出願日】平成16年8月13日(2004.8.13)
【国際出願番号】PCT/GB2004/003492
【国際公開番号】WO2005/056592
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(505085513)ルートヴィヒ・インスティテュート・フォー・カンサー・リサーチ (2)
【氏名又は名称原語表記】LUDWIG INSTITUTE FOR CANCER RESEARCH
【住所又は居所原語表記】Postfach, 8024 Zurich, Switzerland
【Fターム(参考)】