腫瘍性幹細胞が富化された組成物及びそれを含む方法
【課題】OCT4発現について富化された腫瘍性幹細胞集団を提供する。
【解決手段】OCT4転写因子の発現について富化された腫瘍性幹細胞集団、並びにその同定、単離及び富化方法が開示されている。前記OCT4が富化された腫瘍性幹細胞集団は、動物の癌の誘発及び分析にも使用される。さらに、OCT4抑制によって、癌、腫瘍成長及び転移を、防止、停止又は抑制する方法が提供される。
【解決手段】OCT4転写因子の発現について富化された腫瘍性幹細胞集団、並びにその同定、単離及び富化方法が開示されている。前記OCT4が富化された腫瘍性幹細胞集団は、動物の癌の誘発及び分析にも使用される。さらに、OCT4抑制によって、癌、腫瘍成長及び転移を、防止、停止又は抑制する方法が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腫瘍性幹細胞が富化された組成物及びそれを含む方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日まで、腫瘍性細胞を分析する方法は、研究目的のためには十分に効率的でも一様でもなかった。組織サンプルから様々な分画方法によって単離された腫瘍性幹細胞は、混合された細胞型から成る。腫瘍性幹細胞の効率的な単離は、癌細胞細胞学及び疾患の基本的機構を研究する方法を提供する。インビトロ及びインビボ研究用の大きな腫瘍性幹細胞集団を得るために、細胞亜集団を特異的及び効率的に単離する及び増殖させる方法が求められている。
【0003】
腫瘍細胞内の幹細胞マーカーを同定することによって、臨床及び基礎研究の両方の分野において様々な用途に役立つ有益な情報が得られる。腫瘍性幹細胞(neoplastic stem cell:NSC)の同定、及びNSC同定後の特定の腫瘍及び転移病巣からの単離は、例えば、病状の診断及び/又は進行中の病状を対象にした合理的な治療法の開発に有用である。ある場合には、生理学的機序及び分子機構を調査する更なるインビボ研究のために、NSCの単離及び/又は富化が望ましく、別の場合には、癌の進行又は治療についての更なる研究のために、実験動物を接種するのに前記細胞を使用することができる。
【0004】
NSCは、例えばFACS(図10)や抗生物質選択分析などの技術を使用してソートすることができるが、前記分析技術は、細胞亜集団をそれらの生物学的活性及び/又は生理学的機能に基づいて区別することはできない。さらに、前記分析技術は、天然の非抗生物質発現又は治療した幹細胞の回復を妨げるという問題がある。また、細胞の同定並びに同定後の単離及び/又は富化についての他の方法(例えばゲル電気泳動)には、純粋な集団を検出することができない、汚染の影響を受ける、及び/又は細胞の生存が脅かされるという問題がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、他の実施形態では、OCT4の発現について富化(エンリッチ)された腫瘍性幹細胞集団(neoplastic stem cell population)に関する。
【0006】
他の実施形態では、本発明は、腫瘍性幹細胞を同定する方法であって、(1)OCT4と特異的に相互作用する作用物質を腫瘍細胞集団に接触させるステップと、(2)前記作用物質が特異的に相互作用する細胞を同定するステップとを含む方法を提供する。
【0007】
他の実施形態では、本発明は、腫瘍性幹細胞を単離する方法であって、(a)OCT4と特異的に相互作用する作用物質を腫瘍細胞集団に接触させるステップと、(b)前記作用物質が特異的に相互作用した細胞を単離するステップとを含む方法を提供する。
【0008】
他の実施形態では、本発明は、腫瘍細胞集団を腫瘍性幹細胞について富化する方法であって、(1)複数の癌性細胞を含有する混合細胞集団に、OCT4プロモータに作動可能に連結された抗生物質抵抗性遺伝子を含有するベクターを接触させるステップと、(2)前記抗生物質の存在下で前記細胞を培養するステップとを含む方法を提供する。
【0009】
他の実施形態では、本発明は、癌を誘発する方法であって、OCT4の発現について富化された腫瘍性幹細胞集団を哺乳類に導入するステップを含む方法を提供する。
【0010】
他の実施形態では、本発明は、癌の進行及び/又は発症をインビボで分析する方法であって、(1)OCT4高腫瘍性幹細胞を動物に移植するステップと、(2)前記動物における癌の進行及び/又は発症を分析するステップとを含む方法を提供する。
【0011】
他の実施形態では、本発明は、癌を停止又は抑制するための方法であって、腫瘍細胞内でのOCT4発現又は機能を抑制する作用物質を、腫瘍細胞に接触させるステップを含む方法を提供する。
【0012】
他の実施形態では、本発明は、腫瘍成長を停止又は抑制するための方法であって、腫瘍細胞内でのOCT4発現又は機能を抑制する作用物質を、腫瘍細胞に接触させるステップを含む方法を提供する。
【0013】
他の実施形態では、本発明は、細胞転移を防止又は停止するための方法であって、腫瘍細胞内でのOCT4発現又は機能を抑制する作用物質を、腫瘍細胞に接触させるステップを含む方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ポリクローナル抗OCT4抗体でプローブされた固形腫瘍の連続切片及び対照切片の光学マイクロ写真を示す。図1Aは軟骨肉腫腫瘍の断面、図1Bは骨肉腫腫瘍の断面、図1Cは多形グリア芽細胞腫(GBM)腫瘍の断面、図1Dは陽性対照に用いた胎児ヒト精巣の断面である。矢印はOCT4陽性核を示す。
【図2】図2Aは、OCT4、STAT3及びNanog mRNA発現に対する半定量RT‐PCRプローブ法の結果を示し、ここでは、βチューブリン及びGFAPは、代表的なグリア芽細胞腫初代培養(MT917、MT926、MT928、MT1231)及び細胞株(LN18、LN229、LN428、U251)において、標準対照(normalized control)である。図2Bは、OCT4、STAT3及びNanogタンパク質発現のウエスタンブロット解析の結果を示し、ここでは、βチューブリン及びGFAPは、細胞株(LN18、LN229、LN319、LN428、D247、U251、U373、T98G)において、標準対照である。ブロットは、抗OCT4、抗ホスホSTAT3及び抗Nanogでプローブされた。
【図3】付着細胞の培養物及び浮遊骨肉腫由来球体におけるOCT4及びnanog遺伝子発現をプローブする2次元定量PCRの結果をプロットしたものである。基質付着培養物は、有意に(p<0.05)より低いOCT4及びNanogの発現を示した。肉腫球におけるOCT4(X軸)とNanog(Y軸)の両方の発現は、基質付着培養物におけるものよりも有意に(p<0.05)高い。
【図4】グリア芽細胞腫由来細胞のクローン形成能に対するOCT4 siRNAの抑制を示す。図4Aは、ウエスタンブロット解析の結果を示し、ここでは、トランスフェクトされた細胞培養物における外因性OCT4タンパク質の抑制が、DNA配列:TTGATCCTCGGACCTGGCTAAを含む特異的なOCT4 siRNAによる処置によって達成された。図4Bは、選択されたグリア芽細胞腫細胞(MT317、LN−229、MT‐917)によるクローン形成の頻度をプロットしたものである。細胞にeGFP(緑色蛍光タンパク質)及びOCT4 siRNAを同時にトランスフェクトした。実験は3通り行った。バー(横棒)は標準誤差を表す。
【図5】図5Aは、MCF‐7R乳癌細胞株に由来し、メチルセルロース中で培養された懸濁した乳房球の光学マイクロ写真画像(×200)である。図5Bは、メチルセルロースから移され、基層に付着され、OCT4(白色)及びパンサイトケラチン(灰色)発現に対して免疫染色された乳房球の蛍光顕微鏡写真(×200)である。
【図6】OCT4発現のプローブのために免疫組織化学的に染色された乳癌腫瘍の光学マイクロ写真(×200)を示す。色が濃い点状染色はOCT4陽性核である。図6Aは腺管癌腫瘍の断面、図6Bは脳への乳癌転移の断面である。矢印はOCT4陽性核を示す。
【図7】メチルセルロースにおける最初の分裂後のOCT4‐EGFPトランスフェクト・グリア芽細胞腫細胞の蛍光顕微鏡(×200)画像(図7A)である。数回の分裂後のOCT‐EGFPトランスフェクト細胞のグリア芽細胞腫遊走神経球(クローン)を図7Bに示す。
【図8】OCT4応答性プロモータによりEGFPを発現する培養乳癌細胞(A)、骨肉腫(B)及び多形グリア芽細胞腫細胞(C)の蛍光顕微鏡画像(×200)である。
【図9】Nanog応答性プロモータによりEGFPを発現する培養グリア芽細胞腫細胞株Ln428(×200)(A)及び骨肉腫OS521(×100)(B)の蛍光顕微鏡画像である。
【図10】培養グリア芽細胞腫細胞株Ln428からのOCT4発現腫瘍細胞の亜集団のFACSフロー分離グラフを示す。M2ゲートは、OCT4陽性細胞を表す。図10Aは、混合したクローンのOCT4細胞集団のOCT4陽性細胞に対する初期のFACSソートを表す。図10Bは、2回の継代(おおよそ2週間)後に単離されたOCT4陽性細胞FACS解析(B)を表す。これらの細胞の純度を判定するためにFACS解析を行ったところ、この集団は、OCT4タンパク質発現に関しては純度96.16%であることが分かった。
【図11】OCT4‐EGFRをトランスフェクトしたOCT4陽性及びOCT4陰性MDA MB 231乳癌細胞の腫瘍形成能を示すグラフである。
【図12】創薬研究を含む癌関連研究のために、任意の腫瘍組織からOCT4富化腫瘍幹細胞を得る手順を概略的に示す。A段階:細胞の準備:1)腫瘍を外科的に切除する。2)単細胞懸濁液を作成するための細分化及び調整を行う。B段階:OCT4応答性プロモータによる腫瘍幹細胞の安定標識:1)腫瘍幹細胞を増殖及び選択するために、適切な条件下、単細胞懸濁の状態で腫瘍幹細胞を培養する。2)OCT4応答性プロモータの制御下でEGFP遺伝子を含むプラスミドをトランスフェクトする(C段階)。C段階:高純度の腫瘍幹細胞培養物の作成:EGFP発現細胞をFACSによってさらに選択し、増殖のために再培養して大量の培養物を得る。D段階:D1,厳密な細胞及び分子生物学技術を用いて腫瘍幹細胞をさらに調べる。D2,腫瘍幹細胞を多種多様な薬物に曝す。E段階:単離された腫瘍幹細胞を免疫不全マウスに接種し、異種移植腫瘍モデルを作成した後、有効性、安全性(または毒性の欠如)及び結果に関して基本的な検討を行い、最終薬物リストを作成する。
【図13】MDA‐MB‐435黒色腫細胞株から由来し、Oct‐3/4発現NSCに関してバイオマークされた乳房球培養物の顕微鏡画像(×200)である。図13Aは、メチルセルロース中で培養した懸濁腫瘍由来球の光学マイクロ写真である。図13Bは、図13Aに示されている懸濁腫瘍由来球の蛍光顕微鏡写真である。図13Cは、基層への付着後の腫瘍球の光学マイクロ写真である。図13Dは、図13Cに示した付着腫瘍球の蛍光顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の詳細な説明には、本発明を十分に理解できるように多くの特定の詳細が記載されている。しかし、当業者であれば、これらの特定の詳細がなくとも本発明を実施できることが理解できるであろう。他の例では、本発明を不明瞭にしないために、既知の方法、手順及び成分については詳細に記載していない。
【0016】
本発明のある特徴がここに例示され、説明された一方、通常の技術的知識を有する者には多くの修正、代用、変更及び等価物が思い浮かぶであろう。したがって、特許請求の範囲は、本発明の技術的思想内にある修正及び変更をすべて含むことを理解されたい。
【0017】
他の実施形態では、本発明は、OCT4、Nanog、STAT3又はそれらの組み合わせの発現について富化(エンリッチ)された、腫瘍性幹細胞(neoplastic stem cell:NSC)集団を含む。他の実施形態では、NSCは、長時間を経た後に癌を開始及び維持することが可能な腫瘍細胞を含有する集団内における細胞亜集団に相当する。他の実施形態では、NSCは、腫瘍の形成及び成長を駆動する(図11)。他の実施形態では、ここで使用される駆動(drive)という用語は、案内する、制御する、導く、開始する、経由する、侵入する、又はそれらの組み合わせを意味する。
【0018】
他の実施形態では、NSCは、長命、自己再生、及び休止という性質を有する。他の実施形態では、NSCは、強力な浸潤能力を有する。他の実施形態では、NSCは、多能性であり、自己複製能力を有し、肉腫から増殖性の肉腫球(sarcosphere)を、脳腫瘍から神経球(neurosphere)を、乳癌から乳房球(mammasphere)をそれぞれ生成することが可能である(図5)。他の実施形態では、NSCは、インビトロ培養での1〜100代の継体間に、自己再生能力を維持することが可能である。他の実施形態では、NSCは、インビトロ培養での1〜90代の継体間に、自己再生能力を維持することが可能である。他の実施形態では、NSCは、インビトロ培養での20〜60代の継体間に、自己再生能力を維持することが可能である。他の実施形態では、NSCは、NSC(例えば、OCT4、Nanog、STAT3又はそれらの組み合わせなど)の特定の機能及び/又は自己再生に関与する遺伝子を発現する。
【0019】
他の実施形態では、本発明は、共通の創始細胞又はNSCに由来する細胞集団に相当する固形癌を提供する。他の実施形態では、本発明は、共通の創始細胞又はNSCに由来する細胞集団に相当する腫瘍を提供する。他の実施形態では、本発明は、通常の幹細胞の表現型と多くの点で類似するNSC表現型を提供する。他の実施形態では、本発明は、通常の幹細胞の表現型とは全く異なり、異常発達様相という不規則性を有するNSC表現型を提供する。他の実施形態では、本発明は、通常の幹細胞の表現型とは全く異なり、主要増殖制御(key proliferation control)の欠如という不規則性を有するNSC表現型を提供する。
【0020】
他の実施形態では、本発明は、真性又は母NSCと、NSCに由来する腫瘍性前駆細胞との混合を含むNSC集団を提供する。他の実施形態では、本発明は、母NSCとは主要な点(key way)が異なる、NSCに由来する前駆細胞を提供する。他の実施形態では、前記異なる主要な点は、高い増殖動態を含む。他の実施形態では、本発明は、通常は、癌細胞集団全体と比較すると非常に低いパーセンテージで存在するNSCを提供する。前記パーセンテージは、環境の「対立性(hostility)」(すなわち、例えば、原発乳房組織部における乳房NSCなどの自然環境、対、脳などの転移及び/又は異なる部位における乳房NSC)とおおよそ相関する。
【0021】
他の実施形態では、本発明は、原発性親癌集団(parental primary cancer population)の約0.001〜1%を構成するNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、原発性親癌集団の約0.005〜1%を構成するNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、原発性親癌集団の約0.01〜0.1%を構成するNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、原発性親癌集団の約0.05〜0.1%を構成するNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、原発性親癌集団の約0.005〜0.01%を構成するNSCを提供する。
【0022】
他の実施形態では、本発明は、永久親癌細胞株(permanent cancer cell lines parental)内の約1〜80%の細胞集団を構成するNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、永久親癌細胞株内の約1〜10%の細胞集団を構成するNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、永久親癌細胞株内の約7〜14%の細胞集団を構成するNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、永久親癌細胞株内の約15〜25%の細胞集団を構成するNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、永久親癌細胞株内の約10〜30%の細胞集団を構成するNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、永久親癌細胞株内の約30〜50%の細胞集団を構成するNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、永久親癌細胞株内の約20〜40%の細胞集団を構成するNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、永久親癌細胞株内の約50〜80%の細胞集団を構成するNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、永久親癌細胞株内の約1〜5%の細胞集団を構成するNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、永久親癌細胞株内の約5〜10%の細胞集団を構成するNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、永久親癌細胞株内の約3〜8%の細胞集団を構成するNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、永久親癌細胞株内の約7〜10%の細胞集団を構成するNSCを提供する。
【0023】
他の実施形態では、本発明は、転移性親癌細胞集団(parental metastatic cancer population cell)の約1〜100%を構成するNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、転移性親癌細胞集団の約1〜10%を構成するNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、転移性親癌細胞集団の約10〜30%を構成するNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、転移性親癌細胞集団の約30〜50%を構成するNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、転移性親癌細胞集団の約50〜75%を構成するNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、転移性親癌細胞集団の約75〜100%を構成するNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、転移性親癌細胞集団の約30〜80%を構成するNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、転移性親癌細胞集団の約20〜90%を構成するNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、転移性親癌細胞集団の約10〜100%を構成するNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、転移性親癌細胞集団の約20〜40%を構成するNSCを提供する。
【0024】
他の実施形態では、本発明は、原発固形腫瘍由来の癌細胞集団の大部分を構成するバルク癌細胞(bulk cancer cell:BCC)を提供する。他の実施形態では、本発明は、癌由来永久培養細胞株の癌細胞集団の大部分を構成するBCCを提供する。他の実施形態では、本発明は、幹細胞特性を欠いたBCC集団を提供する。他の実施形態では、本発明は、OCT4発現を欠いたBCC集団を提供する。
【0025】
他の実施形態では、本発明は、検出を可能にするために事前に操作及びバイオマークされたNSCを選択することによって癌組織バイオプシ及び永久癌細胞株からNSCを単離する方法を提供する。他の実施形態では、本発明は、NSCにOCT4応答性プロモータにより調節された蛍光又は発光タンパクを発現するDNAベクターを安定的にトランスフェクトする方法を提供する(図12)。他の実施形態では、本発明は、蛍光性バイオマーカーを使用してFACSソートすることによって癌細胞集団全体からNSCを分離する方法を提供し、それによって、高純度の培養物を得ることができる。他の実施形態では、本発明は、OCT4プロモータにより駆動されるGFP(緑色蛍光タンパク質)を発現する細胞をFACSソートすることによって全癌細胞集団からNSCを分離する方法を提供し、それによって、高純度の培養物を得ることができる(図9)。
【0026】
他の実施形態では、本発明のOct4 CDNAの配列は、次の配列を含む。
tcccttcgcaagccctcatttcaccaggcccccggcttggggcgccttccttccccatggcgggacacctggcttcggatttcgccttctcgccccctccaggtggtggaggtgatgggccaggggggccggagccgggctgggttgatcctcggacctggctaagcttccaaggccctcctggagggccaggaatcgggccgggggttgggccaggctctgaggtgtgggggattcccccatgccccccgccgtatgagttctgtggggggatggcgtactgtgggccccaggttggagtggggctagtgccccaaggcggcttggagacctctcagcctgagggcgaagcaggagtcggggtggagagcaactccgatggggcctccccggagccctgcaccgtcacccctggtgccgtgaagctggagaaggagaagctggagcaaaacccggaggagtcccaggacatcaaagctctgcagaaagaactcgagcaatttgccaagctcctgaagcagaagaggatcaccctgggatatacacaggccgatgtggggctcaccctgggggttctatttgggaaggtattcagccaaacgaccatctgccgctttgaggctctgcagcttagcttcaagaacatgtgtaagctgcggcccttgctgcagaagtgggtggaggaagctgacaacaatgaaaatcttcaggagatatgcaaagcagaaaccctcgtgcaggcccgaaagagaaagcgaaccagtatcgagaaccgagtgagaggcaacctggagaatttgttcctgcagtgcccgaaacccacactgcagcagatcagccacatcgcccagcagcttgggctcgagaaggatgtggtccgagtgtggttctgtaaccggcgccagaagggcaagcgatcaagcagcgactatgcacaacgagaggattttgaggctgctgggtctcctttctcagggggaccagtgtcctttcctctggccccagggccccattttggtaccccaggctatgggagccctcacttcactgcactgtactcctcggtccctttccctgagggggaagcctttccccctgtctccgtcaccactctgggctctcccatgcattcaaactgaggtgcctgcccttctaggaatgggggacagggggaggggaggagctagggaaagaaaacctggagtttgtgccagggtttttgggattaagttcttcattcactaaggaaggaattgggaacacaaagggtgggggcaggggagtttggggcaactggttggagggaaggtgaagttcaatgatgctcttgattttaatcccacatcatgtatcacttttttcttaaataaagaagcctgggacacagtaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa(SEQ ID番号1)。
他の実施形態では、本発明のOct4 CDNA配列は、SEQ ID番号1と相同な核酸配列を含む。他の実施形態では、前記Oct4 CDNAは、ホモサピエンスのOct4 CDNA配列である。他の実施形態では、前記Oct4 CDNAは、非人類種に由来する。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0027】
他の実施形態では、本発明のOct4 CDNAの配列は、次の配列を含む。
gtagtcctttgttacatgcatgagtcagtgaacagggaatgggtgaatgacatttgtgggtaggttatttctagaagttaggtgggcagcttggaaggcagaggcacttctacagactattccttggggccacacgtaggttcttgaatcccgaatggaaaggggagattgataactggtgtgtttatgttcttacaagtcttctgccttttaaaatccagtcccaggacatcaaagctctgcagaaagaactcgagcaatttgccaagctcctgaagcagaagaggatcaccctgggatatacacaggccgatgtggggctcaccctgggggttctatttgggaaggtattcagccaaacgaccatctgccgctttgaggctctgcagcttagcttcaagaacatgtgtaagctgcggcccttgctgcagaagtgggtggaggaagctgacaacaatgaaaatcttcaggagatatgcaaagcagaaaccctcgtgcaggcccgaaagagaaagcgaaccagtatcgagaaccgagtgagaggcaacctggagaatttgttcctgcagtgcccgaaacccacactgcagcagatcagccacatcgcccagcagcttgggctcgagaaggatgtggtccgagtgtggttctgtaaccggcgccagaagggcaagcgatcaagcagcgactatgcacaacgagaggattttgaggctgctgggtctcctttctcagggggaccagtgtcctttcctctggccccagggccccattttggtaccccaggctatgggagccctcacttcactgcactgtactcctcggtccctttccctgagggggaagcctttccccctgtctccgtcaccactctgggctctcccatgcattcaaactgaggtgcctgcccttctaggaatgggggacagggggaggggaggagctagggaaagaaaacctggagtttgtgccagggtttttgggattaagttcttcattcactaaggaaggaattgggaacacaaagggtgggggcaggggagtttggggcaactggttggagggaaggtgaagttcaatgatgctcttgattttaatcccacatcatgtatcacttttttcttaaataaagaagcctgggacacagtaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa(SEQ ID番号2)。
他の実施形態では、本発明のOct4 CDNAは、SEQ ID番号2と相同な核酸配列を含む。他の実施形態では、前記Oct4 CDNAは、ホモサピエンスのOct4 CDNA配列である。他の実施形態では、前記Oct4 CDNAは、非人類種に由来する。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0028】
他の実施形態では、本発明のOCT4タンパク質の配列は、次の配列を含む。
MAGHLASDFAFSPPPGGGGDGPGGPEPGWVDPRTWLSFQGPPGGPGIGPGVGPGSEVWGIPPCPPPYEFCGGMAYCGPQVGVGLVPQGGLETSQPEGEAGVGVESNSDGASPEPCTVTPGAVKLEKEICLEQNPEESQDIKALQKELEQFAKLLKQKRITLGYTQADVGLTLGVLFGKVFSQTCRFEALQLSFKNMCKLRPLLQKWVEEADNNENLQEICKAETLVQARKRKRTSIENRVRGNLENLFLQCPKPTLQQISHIAQQLGLEKDVVRVWFCNRRQKGKRSSSDYAQREDFEAAGSPFSGGPVSFPLAPGPHFGTPGYGSPHFTALYSSVPFPEGEAFPPVSVTTLGSPMHSN(SEQ ID番号3)。
他の実施形態では、本発明のOCT4タンパク質は、SEQ ID番号3と相同なアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、前記OCT4タンパク質は、ホモサピエンスのOCT4タンパク質配列である。他の実施形態では、前記OCT4タンパク質は、非人類種に由来する。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0029】
他の実施形態では、本発明のOCT4タンパク質の配列は、次の配列を含む。
MCKLRPLLQKWVEEADNNENLQEICKAETLVQARKRKRTSIENRVRGNLENLFLQCPKPTLQQISHIAQQLGLEKDVVRVWFCNRRQKGKRSSSDYAQREDFEAAGSPFSGGPVSFPLAPGPHFGTPGYGSPHFTALYSSVPFPEGEAFPPVSVTTLGSPMHSN(SEQ ID番号4)。
他の実施形態では、本発明の前記OCT4タンパク質は、SEQ ID番号4と相同なアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、前記OCT4タンパク質は、ホモサピエンスのOCT4タンパク質である。他の実施形態では、前記OCT4タンパク質は、非ヒト種に由来する。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0030】
他の実施形態では、本発明のOct4応答性プロモータの配列は、
cacccaggggcggggccagaggtcaaggctagagggtggg(SEQ ID番号5)を含む。
他の実施形態では、本発明のOct4応答性プロモータは、SEQ ID番号5と相同な核酸配列を含む。他の実施形態では、前記Oct4応答性プロモータは、マウスのOCT4応答性プロモータ配列である。他の実施形態では、前記Oct4応答性プロモータは、ホモサピエンスに由来する。他の実施形態では、前記Oct4応答性プロモータは、非ヒト種に由来する。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0031】
他の実施形態では、本発明のOct4 DNA配列は、SEQ ID番号1又は2の配列と少なくとも60%相同する。他の実施形態では、本発明のOct4 DNA配列は、SEQ ID番号1又は2の配列と少なくとも70%相同する。他の実施形態では、本発明のOct4 DNA配列は、SEQ ID番号1又は2の配列と少なくとも80%相同する。他の実施形態では、本発明のOct4 DNA配列は、SEQ ID番号1又は2の配列と少なくとも90%相同する。他の実施形態では、本発明のOct4 DNA配列は、SEQ ID番号1又は2の配列と少なくとも95%相同する。
【0032】
他の実施形態では、本発明の前記Oct4 DNA配列は、SEQ ID番号5の配列と少なくとも60%相同する。他の実施形態では、本発明の前記Oct4 DNA配列は、SEQ ID番号5の配列と少なくとも70%相同する。他の実施形態では、本発明の前記Oct4 DNA配列は、SEQ ID番号5の配列と少なくとも80%相同する。他の実施形態では、本発明の前記Oct4 DNA配列は、SEQ ID番号5の配列と少なくとも90%相同する。他の実施形態では、本発明の前記Oct4 DNA配列は、SEQ ID番号5の配列と少なくとも95%相同する。
【0033】
他の実施形態では、本発明の前記Oct4 DNA配列は、SEQ ID番号3又は4の配列と少なくとも60%相同する。他の実施形態では、本発明の前記Oct4 DNA配列は、SEQ ID番号3又は4の配列と少なくとも70%相同する。他の実施形態では、本発明の前記Oct4 DNA配列は、SEQ ID番号3又は4の配列と少なくとも80%相同する。他の実施形態では、本発明の前記Oct4 DNA配列は、SEQ ID番号3又は4の配列と少なくとも90%相同する。他の実施形態では、本発明の前記Oct4 DNA配列は、SEQ ID番号3又は4の配列と少なくとも95%相同する。
【0034】
他の実施形態では、本発明の方法は、高純度のバイオマークされたNSC集団を提供する。他の実施形態では、本発明の方法によって提供された高純度のバイオマークされたNSC集団は、それらの蛍光特性を利用して様々な方法で研究される(図7〜9)。
【0035】
他の実施形態では、本発明の方法は、NSC表現型を失うことなく、少なくとも5世代に渡って継代することができるNSCを提供する。他の実施形態では、本発明の方法は、NSC表現型を失うことなく少なくとも8世代に渡って継代することができるNSCを提供する。他の実施形態では、本発明の方法は、NSC表現型を失うことなく少なくとも10世代に渡って継代することができるNSCを提供する。他の実施形態では、本発明の方法は、NSC表現型を失うことなく少なくとも15世代に渡って継代することができるNSCを提供する。他の実施形態では、本発明の方法は、NSC表現型を失うことなく少なくとも20世代に渡って継代することができるNSCを提供する。他の実施形態では、本発明の方法は、NSC表現型を失うことなく少なくとも25世代に渡って継代することができるNSCを提供する。他の実施形態では、本発明の方法は、NSC表現型を失うことなく少なくとも30世代に渡って継代することができるNSCを提供する。他の実施形態では、本発明の方法は、NSC表現型を失うことなく少なくとも35世代に渡って継代することができるNSCを提供する。他の実施形態では、本発明の方法は、NSC表現型を失うことなく少なくとも40世代に渡って継代することができるNSCを提供する。他の実施形態では、本発明の方法は、NSC表現型を失うことなく少なくとも45世代に渡って継代することができるNSCを提供する。他の実施形態では、本発明の方法は、NSC表現型を失うことなく少なくとも50世代に渡って継代することができるNSCを提供する。
【0036】
他の実施形態では、本発明の方法は、継代及びOct4発現の維持を、少なくとも5世代に渡ってすることができるNSCを提供する。他の実施形態では、本発明の方法は、継代及びOct4発現の維持を、少なくとも10世代に渡ってすることができるNSCを提供する。
【0037】
他の実施形態では、本発明の方法は、継代及びOct4発現の維持を、少なくとも15世代に渡ってすることができるNSCを提供する。他の実施形態では、本発明の方法は、継代及びOct4発現の維持を、少なくとも20世代に渡ってすることができるNSCを提供する。他の実施形態では、本発明の方法は、継代及びOct4発現の維持を、少なくとも25世代に渡ってすることができるNSCを提供する。他の実施形態では、本発明の方法は、継代及びOct4発現の維持を、少なくとも30世代に渡ってすることができるNSCを提供する。他の実施形態では、本発明の方法は、継代及びOct4発現の維持を、少なくとも35世代に渡ってすることができるNSCを提供する。他の実施形態では、本発明の方法は、継代及びOct4発現の維持を、少なくとも40世代に渡ってすることができるNSCを提供する。他の実施形態では、本発明の方法は、継代及びOct4発現の維持を、少なくとも45世代に渡ってすることができるNSCを提供する。他の実施形態では、本発明の方法は、継代及びOct4発現の維持を、少なくとも50世代に渡ってすることができるNSCを提供する。
【0038】
他の実施形態では、本発明の方法は、大容量培地内に拡散させた際に、望ましい純粋なNSC表現型を長期間失わないNSC集団を提供する。他の実施形態では、本発明の方法は、大容量培地内に拡散させた際に、OCT4発現を長期間失わないNSC集団を提供する。
【0039】
他の実施形態では、NSCは、幹細胞マーカーについて富化されている。他の実施形態では、前記幹細胞マーカーは、OCT4、Nanog、STAT3、又はそれらの組み合わせである。他の実施形態では、前記幹細胞マーカーは、OCT4などの転写因子である。他の実施形態では、OCT4は、NSC内で差次的に発現される。他の実施形態では、表面抗原に対する親和性に基づいてOCT4発現細胞を富化する免疫学的方法が使用される。他の実施形態では、NSCは、免疫磁性に基づいた細胞分離技術によって富化される。他の実施形態では、NSCは、表面抗原に対して特異的な抗体との培養による電気泳動移動度の減少に基づいた電気泳動細胞分離技術によって富化される。他の実施形態では、表面抗原に対して特異的な抗体との培養による電気泳動移動度の減少は、非キャッピング条件下(non-capping conditions)で実施される。他の実施形態では、NSCは、蛍光活性化細胞選別装置(fluorescence-activated cell sorter:FACS)、免疫磁性ビーズ、又は磁気活性化細胞選別装置(magnetic-activated cell sorter:MACS)によってさらに富化される。
【0040】
他の実施形態では、癌性細胞の混合集団は、OCT4陽性NSCを富化することができる球状細胞群(「球体(sphere)」)がNSCによって形成される非接着性細胞培養条件下で、成長させられる。他の実施形態では、図3に示すように、浮遊性球体に由来する細胞は、同等の接着性細胞培養物よりも高レベルのOCT4及びNanog mRNAを発現する。他の実施形態では、前記球体を構成する細胞は、浮遊性である。他の実施形態では、乳房の腫瘍試料からのNSCのインビトロ富化(in-vitro enrichment)は、非接着性の乳房球(mammasphere)細胞培養系を使用して実施される。他の実施形態では、骨肉腫瘍細胞からのNSCのインビトロ富化は、非接着性の肉腫球(sarcosphere)細胞培養系を使用して実施される。他の実施形態では、脳腫瘍細胞からのNSCのインビトロ富化は、非接着性の神経球(neurosphere)細胞培養系を使用して実施される。他の実施形態では、脳腫瘍細胞からのNSCのインビトロ富化は、浮遊性球体を使用して実施される。
【0041】
他の実施形態では、NSCが富化された癌性細胞亜集団は、OCT4発現について少なくとも60%陽性である。他の実施形態では、NSCが富化された癌性細胞亜集団は、OCT4発現について少なくとも70%陽性である。他の実施形態では、NSCが富化された癌性細胞亜集団は、OCT4発現について少なくとも80%陽性である。他の実施形態では、NSCが富化された癌性細胞亜集団は、Nanog発現について少なくとも80%陽性である。他の実施形態では、NSCが富化された癌性細胞亜集団は、STAT3発現について少なくとも80%陽性である。他の実施形態では、NSCが富化された癌性細胞亜集団は、OCT4発現、Nanog発現、STAT3発現、又はそれらの組み合わせについて少なくとも80%陽性である。他の実施形態では、NSCが富化された癌性細胞亜集団は、OCT4発現について少なくとも90%陽性である。他の実施形態では、NSCが富化された癌性細胞亜集団は、Nanog発現について少なくとも90%陽性である。他の実施形態では、NSCが富化された癌性細胞亜集団は、STAT3発現について少なくとも90%陽性である。他の実施形態では、NSCが富化された癌性細胞亜集団は、OCT4発現、Nanog発現、STAT3発現又はそれらの組み合わせについて少なくとも90%陽性である。他の実施形態では、NSCが富化された癌性細胞亜集団は、OCT4発現について少なくとも95%陽性である。他の実施形態では、NSCが富化された癌性細胞亜集団は、Nanog発現について少なくとも95%陽性である。他の実施形態では、NSCが富化された癌性細胞亜集団は、STAT3発現について少なくとも95%陽性である。他の実施形態では、NSCが富化された癌性細胞亜集団は、OCT4発現、Nanog発現、STAT3発現又はそれらの組み合わせについて少なくとも80%陽性である。
【0042】
他の実施形態では、本発明は、「材料及び方法」の欄で説明するように、FACS分析(図10)、in situ ハイブリダイゼーション、免疫組織化学、又はそれらの組み合わせによって、NSCが富化された癌性細胞亜集団のレベル測定を提供する。
【0043】
他の実施形態では、前記NSCが富化された集団は、OCT4発現が高いという特徴を有する。他の実施形態では、OCT4高発現は、βアクチン発現の少なくとも2倍である。他の実施形態では、OCT4高発現は、βアクチン発現の少なくとも4倍である。他の実施形態では、前記NSCが富化された集団は、Nanog、STAT3又はそれらの組み合わせの発現が高いという特徴を有する。
【0044】
他の実施形態では、OCT4、Nanog又はSTAT3の発現レベルは、mRNA転写レベルにより測定される。他の実施形態では、前記転写レベルは、図2Aに示すように及び「材料及び方法」の欄で説明するようにして、定量的又は半定量的PCR又はRT−PCR方法により測定される。他の実施形態では、OCT4、Nanog又はSTAT3の発現レベルは、タンパク質発現レベルにより測定される。他の実施形態では、前記タンパク質発現レベルは、図2Bに示すように及び「材料及び方法」の欄で説明するようにして、ウエスタンブロット分析により測定される。他の実施形態では、タンパク質の発現レベルは、レポーター遺伝子を使用して間接的に測定される。他の実施形態では、前記レポーター遺伝子は、EGFP構成体を含む。他の実施形態では、OCT4−EGFPをトランスフェクトされたグリア芽腫の細胞培養物(図7及び8参照)におけるOCT4発現レベルが、「材料及び方法」の欄で説明するようにして測定される。
【0045】
他の実施形態では、前記NSC亜集団は、「軟性」又は「硬性」腫瘍から富化される。他の実施形態では、「硬性」腫瘍は、他の実施形態において「軟性」に分類される白血病、リンパ腫、メラノーマ及び多発性骨髄腫を除く全ての腫瘍を含む。他の実施形態では、前記NSC亜集団は、単離された転移細胞から富化される。他の実施形態では、前記NSC亜集団は、腫瘍由来細胞株に由来する細胞を含有する組織培養物から富化される。
【0046】
他の実施形態では、本発明は、OCT4発現について富化されたNSC集団を含有する組成物を含む。他の実施形態では、本発明は、OCT4高発現について富化されたNSC集団を含有する組成物を含む。他の実施形態では、前記組成物は、ここで説明されるような、NSCを急激に増殖させ、NSC子孫細胞を生成させるような適切な環境をさらに有する。他の実施形態では、(NSC子孫細胞が置かれる)環境という用語は、NSCの成長及び発育に作用する及び影響を与える、外部又は外因性の物理的及び/又は化学的条件の組み合わせを指す。他の実施形態では、前記環境は、エクスビボ又はインビボであり得る。他の実施形態では、循環系(血管とリンパ管)は、子孫細胞を生成するようにNSCを誘導するインビボ環境としての機能を果すことができる。他の実施形態では、前記環境はエクスビボであり、培養器内の細胞培養媒体に置かれたNSCを含む。
【0047】
他の実施形態では、前記環境は、DMEM/F12を含有する細胞培養媒体をさらに含む。他の実施形態では、前記細胞培養媒体は、最終濃度が3%未満、好ましくは1.5%未満のメチルセルロースをさらに含有する。他の実施形態では、前記媒体には、8〜20%のウシ胎仔血清(fetal bovine serum:FBS)、30〜70%の初代ヒト包皮線維芽細胞の培養物由来媒体、又はそれらの組み合わせが添加される。他の実施形態では、前記媒体は、OCT4と結合するスクリーニング剤をさらに含有する。他の実施形態では、前記媒体は、OCT4応答配列と相互作用するスクリーニング剤をさらに含有する。
【0048】
他の実施形態では、前記媒体に、5〜500μMのプロゲステロン、5〜500μMのプロゲステロン、5〜500μMのプトレッシン、2〜100ng/mlの組み換え型EGF、20〜40μMの亜セレン酸ナトリウム、10〜40μg/mlのトランスフェリン、5〜50μg/mlのインスリン、2〜100ng/mlの組み換え型FGF2、又はそれらの組み合わせがさらに添加される。他の実施形態では、前記媒体に、8〜20%のウシ胎仔血清(FBS)、30〜70%の初代ヒト包皮線維芽細胞の培養物由来培地、又はそれらの組み合わせが添加される。他の実施形態では、前記媒体は、核酸を含有する。他の実施形態では、前記媒体は、プラスミドDNAを含有する。他の実施形態では、前記プラスミドDNAは、OCT4応答性プロモータを含む。他の実施形態では、前記OCT4応答性プロモータは、レポーター遺伝子に連結されている(図8)。他の実施形態では、前記OCT4応答性プロモータは、抗生物質抵抗性遺伝子に連結されている。他の実施形態では、前記媒体は、siRNAを含有する。他の実施形態では、前記siRNAアンチセンスは、抗OCT4、抗Nanog、抗STAT3、又はそれらの組み合わせをコードする。他の実施形態では、前記抗OCT4siRNAは、OCT4タンパク質のデノボ生成を抑制することによって(図4A)、クローン形成を抑制する(図4B)。
【0049】
他の実施形態では、細胞は、超低接着性の培養プレート上にプレートされる。他の実施形態では、前記細胞は、36〜42℃の温度に維持された培養器に入れられる。他の実施形態では、前記培養器は、さらに、4〜8%のCO2に維持される。他の実施形態では、前記培養器は、90〜100%の湿度に維持される。他の実施形態では、細胞は、1×102〜1×106細胞/cm2の最終密度でプレートされる。
【0050】
他の実施形態では、本発明のNSCは、細胞株に由来する。他の実施形態では、本発明のNSCは、初代細胞培養物に由来する。他の実施形態では、NSCを含む前記初代細胞培養物は、腫瘍又は転移細胞に由来する。他の実施形態では、本発明は、NSCを含有する腫瘍又は転移細胞を含む。他の実施形態では、腫瘍又は転移細胞は、次のものに由来する(ただし、これらに限定されるわけではない)。副腎皮質癌、肛門癌、膀胱癌、脳腫瘍、脳幹グリオーマ、脳腫瘍、小脳星細胞腫、大脳星細胞腫、上衣腫、髄芽腫、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、松果体部腫瘍、視床下部膠腫、乳癌、カルチノイド腫瘍、癌腫、子宮頸癌、結腸癌、子宮内膜癌、食道癌、肝外胆管癌、ユーイングファミリー腫瘍(原始神経外胚葉性腫瘍)、頭蓋外胚細胞腫瘍、眼癌、眼内黒色腫、胆嚢癌、胃癌、胚細胞腫瘍、性腺外妊娠性絨毛腫瘍、頭頸部癌、下咽頭癌、島細胞癌、喉頭癌、白血病、急性リンパ性白血病、口腔癌、肝臓癌、肺癌、小細胞性リンパ腫、エイズ関連リンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、皮膚T細胞性リンパ腫、ホジキン病、非ホジキン病、悪性中皮腫、黒色腫、メルケル細胞癌、転移性扁平上皮癌、多発性骨髄腫、形質細胞腫瘍、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄増殖症候群、鼻咽腔癌、神経芽細胞腫、口腔咽頭癌、骨肉腫、上皮性卵巣癌、卵巣胚細胞腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍、膵臓癌、膵臓外分泌腺癌、島細胞癌、副鼻腔および鼻腔癌、副甲状腺癌、陰茎癌、褐色細胞腫、下垂体癌、形質細胞腫、前立腺癌、横紋筋肉腫、直腸癌、腎細胞癌、唾液腺癌、セザリー症候群、皮膚癌、皮膚T細胞性リンパ腫、皮膚癌、カポジ肉腫、皮膚癌、黒色腫、小腸癌、軟部組織肉腫、軟部組織肉腫、精巣癌、胸腺腫、甲状腺悪性腫瘍、尿道癌、子宮癌、肉腫、小児にまれな癌、膣癌、外陰癌、又はウィルムス腫瘍。
【0051】
他の実施形態では、本発明は、NSCを同定する方法であって、OCT4と特異的に相互作用する作用物質を、初代細胞培養物又は細胞株培養物を含む細胞培養物に導入することによって、腫瘍細胞集団に接触させるステップを含む方法を提供する。他の実施形態では、NSC亜集団は、「軟性又は硬性」の腫瘍内で同定される。他の実施形態では、「硬性」の腫瘍は、「軟性」に分類される白血病、リンパ腫、メラノーマ、及び多発性骨髄腫を除く全ての腫瘍を含む。他の実施形態では、NSCは、転移細胞内で同定される。
【0052】
他の実施形態では、本発明は、NSCを同定する方法であって、ここに記載したように、OCT4と特異的に相互作用する作用物質を、腫瘍細胞集団に接触させるステップと、前記作用物質が特異的に相互作用した細胞を同定するステップとを含む方法を提供する。他の実施形態では、OCT4を同定する前記作用物質は、細胞膜と相互作用する。他の実施形態では、前記作用物質は、OCT4又はその断片をコードするPOU5F1遺伝子と相互作用する。他の実施形態では、前記作用物質は、OCT4又はその断片をコードするmRNAと相互作用する。他の実施形態では、前記作用物質は、OCT4タンパク質又はその断片と相互作用する。他の実施形態では、前記作用物質は、これに限定するものではないが、例えばリン酸化OCT4タンパク質などの、OCT4の特定の翻訳後形態と相互作用する。
【0053】
他の実施形態では、本発明は、DNA−RNAヘテロ二重鎖の形でOCT4 mRNAと特異的に相互作用するDNAプローブを使用してNSCを同定する方法を提供する。他の実施形態では、前記NSCを同定する方法は、RNA−RNAホモ二重鎖の形でOCT4 mRNAと特異的に相互作用するRNAプローブを使用する。他の実施形態では、前記NSCを同定する方法は、PNA−RNAヘテロ二重鎖の形でOCT4 mRNAと特異的に相互作用するペプチド核酸(PNA)プローブを使用する。他の実施形態では、前記核酸プローブ又はPNAプローブは、容易に同定できるラベルをさらに含む。他の実施形態では、前記方法は、OCT4発現細胞の選択的な同定を可能にする核酸を含む特異的プローブを使用する。
【0054】
他の実施形態では、本発明は、OCT4タンパク質又はその断片と特異的に相互作用するリガンドを含有するNSCを同定する方法を提供する。他の実施形態では、単クローン性又は多クローン性の抗OCT4抗体は、OCT4を検出するのに使用される。
【0055】
他の実施形態では、本発明は、OCT4発現細胞を検出する方法を提供する。他の実施形態では、前記検出方法は直接的であり、放射性標識を使用する。他の実施形態では、前記放射性標識は、例えば32P又は125Iなどの放射性化合物を含む。他の実施形態では、直接的な標識方法は、蛍光性、化学発光法、又は金標識を含む。他の実施形態では、前記検出方法は間接的であり、当業者に周知の免疫組織化学的プローブと類似する核酸プローブを含む。他の実施形態では、プローブは、検出可能な事象(例えば、化学発光、比色分析又は蛍光性)を引き起こす酵素をハイブリダイゼーションの部位に移動させるハプテン又はビオチンによって標識化される。他の実施形態では、検出信号の増幅が必要とされる場合は、一次抗体を特異的に同定する二次標識化抗体が使用される。他の実施形態では、抗体を含む特異的プローブを使用する前記方法は、OCT4発現細胞の選択的な同定を可能にする。
【0056】
他の実施形態では、OCT4発現のための異種細胞集団には、同定可能なレポーター遺伝子産物の発現を制御するOCT4応答性プロモータを含有するプラスミドがトランスフェクトされる。他の実施形態では、前記同定可能な遺伝子産物は、緑色蛍光タンパク質(GFP、Emerald、Azami Green又はZsGreenlなど)、青色蛍光タンパク質(EBFP又はSapphire)、シアン色蛍光タンパク質(Cerulean、 ECFP、AmCyanl又はMidoriishi-Cyan)、黄色蛍光タンパク質(ZsYellowl、PhiYFP、Citrine又はVenus)、オレンジ色蛍光タンパク質(Kusabira-Orange又はmOrange)、赤色蛍光タンパク質(DsRed、HcRed、mPlum、mRaspberry、mTomato、mStrawberry又はgreen-to-red fluorescent Dendra)を含む。他の実施形態では、前記同定可能な遺伝子産物は、細胞発現OCT4と非発現OCT4との間で、識別可能マーカーとしての役割を果す(図8)。
【0057】
他の実施形態では、本発明は、OCT4を発現するNSCを同定する方法であって、検出されたNSCを可視化するステップを含む方法を提供する。他の実施形態では、OCT4を発現するNSCの可視化は、標識化された試料をフイルムに露出することにより行われる。他の実施形態では、OCT4を発現するNSCの可視化は、蛍光顕微鏡を用いて行うことができる。他の実施形態では、OCT4を発現するNSCの可視化は、共焦点顕微鏡を用いて行うことができる。他の実施形態では、OCT4を発現するNSCの可視化は、電子顕微鏡を用いて行うことができる。他の実施形態では、OCT4を発現するNSCの可視化には、光学顕微鏡が使用される。一方、他の実施形態では、前記信号は、裸眼で検出可能である。他の実施形態では、上述した可視化方法の検出結果は、さらに、記録及び/又はCCDカメラ上で可視化することができる。
【0058】
他の実施形態では、本発明は、腫瘍性幹細胞を単離する方法であって、OCT4と特異的に相互作用する作用物質を、腫瘍細胞集団に接触させるステップを含む方法を提供する。他の実施形態では、初代細胞培養物又は細胞株培養物を含む細胞培養物が用いられる。
【0059】
他の実施形態では、本発明は、細胞単離方法を含む細胞分離方法を提供する。他の実施形態では、細胞分離方法の前に、組織解離技術が用いられる。他の実施形態では、組織分離を効果的にするために、例えば、リベラーゼ、トリプシン、エラスターゼ、ディスパーゼ、コラゲナーゼ又はそれらの組み合わせなどの酵素が用いられる。他の実施形態では、必要があれば、さらに細胞集合体をピペットの先端で粉砕して粉々にする。
【0060】
他の実施形態では、本発明は、腫瘍性幹細胞を単離する方法であって、腫瘍細胞に、OCT4と特異的に相互作用する作用物質を接触させるステップと、前記作用物質が特異的に相互作用する前記細胞を単離するステップとを含む方法を提供する。他の実施形態では、上述した、腫瘍性幹細胞を同定するための前記方法は、特に、腫瘍細胞に、OCT4タンパク質又はmRNAと特異的に相互作用する作用物質を接触させるステップは、NSCの単離にも使用可能である。
【0061】
他の実施形態では、本発明は、同定可能な及び/又は選択可能な遺伝子産物の発現を制御するOCT4応答性プロモータを含有するプラスミドがトランスフェクトされた異種細胞集団を提供する(図8)。他の実施形態では、上述した、様々な同定可能な蛍光タンパク質配列の使用を含む腫瘍性幹細胞を同定するための前記方法は、細胞分離方法にも用いられる。他の実施形態では、前記同定可能な遺伝子産物は、OCT4発現細胞を単離するのに選択的に使用され、結果として均一なOCT4発現NSCが得られる。
【0062】
他の実施形態では、OCT4を発現するNSCが、クロマトグラフィーカラム内で分離される。前記カラムに付着されたOCT4に特異的な抗体が、OCT4発現NSCと結合することにより、前記OCT4発現NSCを分離する。他の実施形態では、磁粉と共有結合しており、OCT4と特異的に相互作用する作用物質が、磁界内でOCT4発現NSCを保持するのに使用される。他の実施形態では、図10に示すように、蛍光標識を含む抗体で標識化されたOCT4発現NSCのFACSソートが、異種細胞集団からNSCを分離するのに用いられる。他の実施形態では、ここに記載した前記分離方法によって、単離されたOCT4発現細胞の集団を得ることができる。
【0063】
他の実施形態では、本発明は、OCT4を発現するNSCを富化する方法を提供する。他の実施形態では、初代細胞培養物は、OCT4発現細胞について富化されている。他の実施形態では、OCT4発現NSCを富化する方法に用いられる前記初代細胞培養物は、軟性腫瘍、硬性腫瘍又は転移細胞集団に由来する。他の実施形態では、前記OCT4発現NSC亜集団は、細胞株に由来する細胞を含有する組織培養物から富化される。
【0064】
他の実施形態では、本発明は、OCT4発現NSCを富化する方法であって、選択可能な遺伝子産物の発現を制御するOCT4応答性プロモータを含有するプラスミドを異種細胞集団にトランスフェクトするステップを含む方法を提供する(図8)。他の実施形態では、前記選択可能な遺伝子産物は、抗生物質抵抗性タンパク質をコードする。他の実施形態では、前記細胞富化方法は、選択物質をさらに含む。他の実施形態では、前記選択物質は、OCT4非発現細胞を選択的に除去する抗生物質であり、結果として富化されたOCT4発現NSC細胞集団を得られる。
【0065】
他の実施形態では、本発明は、癌を誘発する方法であって、OCT4発現について富化された腫瘍性幹細胞集団を哺乳類に導入する方法を提供する。他の実施形態では、前記癌を誘発する方法は、癌をもたらす細胞成長を促進するステップを含む。他の実施形態では、前記癌を誘発する方法は、癌を引き起こす転移細胞を提供するステップを含む。
【0066】
他の実施形態では、本発明のNSCは、乳房球(mammasphere)、肉腫球(sarcosphere)又は神経球(neurosphere)から単離され、癌誘発因子として使用される。他の実施形態では、動物にNSCが接種される。他の実施形態では、NSCは、静脈注入される。他の実施形態では、NSCは、骨に注入される。他の実施形態では、NSCは、動物の皮内、筋肉内又は腹腔内に注入される。他の実施形態では、NSCは、モデル動物の乳腺に直接的に注入される。他の実施形態では、接種は、モデル動物の脂肪体へのNSCの注入を含む。
【0067】
他の実施形態では、本発明は、癌を誘発する方法を提供する。他の実施形態では、ここに記載した前記癌を誘発する方法は、免疫不全げっ歯類を対象にして行われる。他の実施形態では、前記免疫不全げっ歯類は、ヌードマウス又はラットである。他の実施形態では、前記免疫不全げっ歯類は、SCIDマウスである。他の実施形態では、前記免疫不全げっ歯類は、NIH−IIIマウスである。
【0068】
他の実施形態では、本発明は、腫瘍又は転移を誘発する方法であって、OCT4発現について富化された腫瘍性幹細胞集団を哺乳類に導入するステップを含む方法を提供する。他の実施形態では、同所性腫瘍又は異所性腫瘍が誘発される(図11)。他の実施形態では、転移は、リンパ系を介して、血流を介して、体腔を介して広がることにより、又は、移植を介して起きる。
【0069】
他の実施形態では、本発明は、癌の進行及び/又は発症をインビボで分析する方法であって、OCT4高腫瘍性幹細胞を動物に移植するステップと、前記動物における癌の進行及び/又は発症を分析するステップとを含む方法を提供する。他の実施形態では、癌は、上皮性悪性腫瘍、非上皮性悪性腫瘍、リンパ腫、白血病、又は骨髄腫を含む。
【0070】
他の実施形態では、本発明のNSCは、OCT4高腫瘍性幹細胞に蛍光タンパク質をトランスフェクトすることにより標識化される。他の実施形態では、前記同定可能な遺伝子産物は、上述したような様々な蛍光タンパク質を含む。他の実施形態では、前記同定可能な遺伝子産物は、発光タンパクを含む。他の実施形態では、前記発光タンパクは、発光酵素である。他の実施形態では、動物モデルに移植された前記OCT4高腫瘍性幹細胞を追跡するのに、アイソトープが使用される。他の実施形態では、前記アイソトープは、32P、125I、124I、123I、14C、109Cd、51Cr、67Cu、179Ta、111In、18F、又はそれらの組み合わせを含む。他の実施形態では、細胞検出に、磁気標識が使用される。
【0071】
他の実施形態では、本発明の移植された標識化細胞は、単光子放射型コンピュータ断層撮影(single-photon emission computerised tomography:SPECT)装置、又は陽電子放出型断層撮影(positron emission tomography:PET)装置により追跡される。他の実施形態では、細胞を磁気標識した場合は、MRIが細胞検出に使用される。他の実施形態では、背面照射型の冷却電荷結合素子(CCD)カメラが発光検出に使用される。他の実施形態では、励起フィルター及び発光フィルターによるLED発光が、蛍光標識された細胞の検出に使用される。他の実施形態では、約490nmで発光する光ファイバーを有する照明ボックス、及び前記ボックスの頂部に配置されたフィルターが、大型腫瘍を画像化するのに使用される。他の実施形態では、光源及び約490nmで励起させるフィルターを備える蛍光解剖顕微鏡使用して、小型腫瘍及び転移が可視化される。他の実施形態では、カラーCCDカメラ並びに二重光子レーザが、蛍光タンパク質発現のインビボでの超高分解能画像化に使用される。
【0072】
他の実施形態では、本発明は、癌の進行及び/又は発症をインビボで分析する方法であって、細胞転移を検出するステップを含む方法を提供する。他の実施形態では、細胞転移の分析は、原発腫瘍とは不連続の部位での細胞の累進的成長の測定を含む。他の実施形態では、細胞転移の部位の分析は、新生腫瘍拡散の経路を含む。或る実施形態では、細胞は、血管、リンパ管、体腔、又はそれらの組み合わせを経由して分散する。他の実施形態では、細胞転移分析は、細胞移動、散布度、管外遊出、増殖又はそれらの組み合わせを考慮して行われる。
【0073】
他の実施形態では、本発明は、癌の進行及び/又は発症をインビボで分析する方法を提供する。他の実施形態では、癌の進行及び/又は発症のインビボでの分析は、腫瘍進行の程度の測定を含む。他の実施形態では、分析は、腫瘍の同定を含む(図11)。他の実施形態では、腫瘍進行の分析は、元の腫瘍又は「原発腫瘍」に対して行われる。他の実施形態では、当業者には周知のように、分析は、癌の種類に応じて長期間行われる(図11)。他の実施形態では、原発腫瘍の転移細胞に由来する二次性腫瘍がインビボで分析される。他の実施形態では、二次性腫瘍のサイズ及び形状が分析される。或る実施形態では、さらに、体外での分析が行われる。他の実施形態では、図1に示すように、軟骨肉腫又は骨肉腫におけるOCT4発現細胞の頻度が評価される。
【0074】
他の実施形態では、「評価(assessed)」、「スクリーン(screened)」、「評価」(evaluated)、「分析(analyzed)」は、同じ意味で使用される。
【0075】
他の実施形態では、当業者には周知のように、転移又は腫瘍の病理学的サンプルが、特定の時点で評価される。他の実施形態では、腫瘍抑制遺伝子、癌遺伝子、アポトーシス遺伝子、情報伝達遺伝子、レセプター、転写因子、リガンド又はそれらの組み合わせを分析する定量的又は定質的な方法は、PCR、ウエスタンブロット法、ノーザンブロット法、サザンブロット法、免疫組織化学的又はin situ ハイブリダイゼーションがさらに用いられる。
【0076】
他の実施形態では、腫瘍又は転移細胞が、更なる分析のために、病理学的サンプルから単離される。他の実施形態では、腫瘍又は転移細胞が、病理学的サンプルから単離され、培養物内で成長させられる。他の実施形態では、原発腫瘍細胞培養物の細胞増殖力が評価される。他の実施形態では、OCT4陽性細胞は、上述した方法に従って、腫瘍又は転移細胞を含有している病理学的サンプルから単離及び/又は富化される。他の実施形態では、前記腫瘍から単離されたOCT4陽性細胞が、さらに分析される。或る実施形態では、様々な作用物質がさらに、腫瘍又は転移初代細胞培養物に使用される。他の実施形態では、前記物質は、発癌物質である。他の実施形態では、前記物質は、プロアポトーシス物質又は分化誘発物質である。
【0077】
他の実施形態では、本発明は、初代細胞培養物に対する発癌物質の効果を評価する方法を提供する。他の実施形態では、前記発癌物質は、これに限定するものではないが、国際癌研究機関(International Agency for Research on Cancer:IARC)が分類したカテゴリー1〜3の発癌性物質を含む。
【0078】
他の実施形態では、本発明は、腫瘍又は転移細胞に由来する初代細胞培養物に対する治療薬の効果を評価する方法を提供する。他の実施形態では、腫瘍又は転移細胞に由来する初代細胞培養物において、治療薬がエクスビボでスクリーンされる。他の実施形態では、前記治療薬は、インターフェロン、インターロイキン、コロニー刺激因子、アルキル化剤、ニトロソウレア、代謝拮抗作用物質、抗腫瘍抗生作用物質、植物性(ビンカ)アルカロイド、ステロイドホルモン、又はそれらの組み合わせを含む。他の実施形態では、前記治療薬は、化学療法薬剤である。他の実施形態では、前記化学療法薬剤は、非特異的であり、それゆえに、細胞周期の全ての段階において癌性細胞を殺滅する。他の実施形態では、前記化学療法薬剤は、特異的であり、それゆえに、細胞周期の特定の段階において癌性細胞を殺滅する。
【0079】
他の実施形態では、本発明は、臨床腫瘍試料(原発的なものであろうと転移性であろうと)又は永久腫瘍細胞株に由来し、各癌幹細胞集団の単離及び増殖を可能にすべく操作可能な異種癌細胞集団を提供する。他の実施形態では、本発明は、Oct3/4転写因子プロモータによって駆動される蛍光性(又は発光性)タンパク質の発現を維持する能力に基づいて、NSCのサブセットを、同定、選別、及び培地内で安定的に維持するための方法を提供する。他の実施形態では、本発明は、胚発育(自己再生の過程を含む)に関して、SOX−2、Nanog及びSTAT3と協力して、正常な幹細胞表現型の調節因子として作用するOct3/4転写因子を提供する。
【0080】
他の実施形態では、本発明のNSCは、癌に関しては、適切な増殖制御を有しない。したがって、NSCの自己再生プロセスはチェックされないので、増殖部位において組織塊の形成異常が引き起こされる。他の実施形態では、本発明の方法は、上述した分子機構と平行して調節されるバイオカーカーの使用を提供する。他の実施形態では、これらの調節されたバイオマーカーは、癌細胞の「幹細胞らしさ(stemness)」をモニタする。
【0081】
他の実施形態では、本発明は、NSC集団の「相対的生存能力」及び「幹細胞らしさ」のモニタを可能にする。
【0082】
他の実施形態では、本発明は、体内器官への転移の原因となるNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、体内器官への転移に必要なNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、治療(手術、放射線療法、化学療法)の実施後に原発部位での再発癌の成長の原因となるNSCを提供する。他の実施形態では、本発明の方法は、転移能力を有するNSCを標的にする薬剤の同定を可能にするプラットフォームを提供する。
【0083】
他の実施形態では、本発明の方法は、小型フォーマットで培養された細胞を使用して実施される。他の実施形態では、本発明の小型フォーマットで培養された細胞は、マルチウェルプレートを含む。他の実施形態では、本発明のマルチウェルプレートは、96ウエルを含む。他の実施形態では、本発明のマルチウェルプレートは、384ウエルを含む(実施例2)。他の実施形態では、本発明のマルチウェルプレートは、1536ウエルを含む。他の実施形態では、本発明のマルチウェルプレートは、2〜5000ウエルを含む。他の実施形態では、本発明のマルチウェルプレートは、20〜3000ウエルを含む。他の実施形態では、本発明のマルチウェルプレートは、96〜2000ウエルを含む。
【0084】
他の実施形態では、本発明は、初代細胞培養物に由来する腫瘍に対する、光線力学療法(photodynamic therapy:PDT)の効果を評価する方法を提供する。他の実施形態では、初代細胞培養物に由来する腫瘍に対する、単独での又は他の任意の治療薬と組み合わせた放射線治療又は高周波アブレーションの効果がさらに評価される。他の実施形態では、初代細胞培養物に由来する腫瘍に対する、化学塞栓術の効果がさらに評価される。他の実施形態では、初代細胞培養物に由来する腫瘍に対する、局所温熱法の効果が分析される。
【0085】
他の実施形態では、本発明は、OCT4発現NSCが移植された動物に、所望の作用物質をインビボで投与する方法を提供する。他の実施形態では、前記OCT4発現NSCは、OCT4高を発現する。他の実施形態では、作用物質の投与は、当該技術分野では周知の方法に従って行われる。他の実施形態では、当該技術分野では周知のように、単数又は複数の作用物質の単数回又は複数回の投与が必要とされる。他の実施形態では、前記単数又は複数の作用物質は、当該技術分野では周知のように、癌の進行及び/又は退行に応じて、数日又は数週間或いは数ヶ月〜数年の期間に渡って投与される。他の実施形態では、前記作用物質は、発癌性物質である。他の実施形態では、前記発癌性物質は、国際癌研究機関(IARC)が分類したカテゴリー1〜3の発癌性物質を含む。他の実施形態では、前記作用物質は、治療薬である。
【0086】
他の実施形態では、本発明は、癌進行に対する治療薬の効果を調査するための手段を提供する(図12)。他の実施形態では、細胞転移能力に対する治療薬の効果が評価される。他の実施形態では、軟性腫瘍に対する治療薬の効果が評価される。他の実施形態では、硬性腫瘍に対する治療薬の効果が評価される。他の実施形態では、一次的及び/又は二次的腫瘍の成長に対する治療薬の効果が評価される。
【0087】
他の実施形態では、OCT4又はOCT4高腫瘍性幹細胞(図12)が移植された動物にインビボで投与される前記治療薬は、インターフェロン、インターロイキン、コロニー刺激因子、アルキル化剤、ニトロソ尿素、代謝拮抗物質、抗腫瘍抗生物質、植物性(ビンカ)アルカロイド、ステロイドホルモン、又はそれらの組み合わせを含む。他の実施形態では、前記治療薬は、化学療法薬剤である。他の実施形態では、前記化学療法薬剤は、非特異性であり、それゆえに、細胞周期のあらゆる段階において癌性細胞を殺滅する能力を有する。他の実施形態では、前記化学療法薬剤は特異性であり、それゆえに、細胞周期の特定の段階において癌性細胞を殺滅する。
【0088】
他の実施形態では、OCT4高腫瘍性幹細胞が移植された動物におけるPDTのインビボでの効果が評価される。他の実施形態では、単独での又は他の任意の治療薬と組み合わせた放射線治療又は高周波アブレーションのインビボでの効果がさらに評価される。他の実施形態では、癌進行及び/又は退行に対する、化学塞栓術又は局所温熱法のインビボでの効果がさらに評価される。
【0089】
他の実施形態では、腫瘍又は初代細胞培養物に由来するOCT4高腫瘍性幹細胞が形質移入された動物における、生物学的療法のインビボでの効果が分析される。他の実施形態では、生物学的療法は、免疫療法を含む。他の実施形態では、免疫療法は、上述したような、Nanog、STAT3、OCT4又はそれらの組み合わせ由来する免疫原性断片を含むワクチンの使用を含む。他の実施形態では、非特異的免疫抑制薬の効果が評価される。他の実施形態では、前記非特異的免疫抑制薬は、BCG(bacillus Calmette-Gueriri)又はレバミゾールである。
【0090】
他の実施形態では、OCT4修飾因子が、OCT4hi腫瘍性幹細胞が移植された動物の癌の進行又は退行について、インビボでスクリーンされる(図12)。他の実施形態では、OCT4モノクローナル抗体が、インビボでスクリーンされる。他の実施形態では、OCT4タンパク質に特異的なイントラボディ(intrabody)が、インビボでスクリーンされる。他の実施形態では、図4に示すように、PNA、アプタマー、又はアンチセンスのsiRNAが、インビボでさらに評価される。
【0091】
他の実施形態では、本発明は、癌、腫瘍成長、細胞転移、又はそれらの組み合わせを、予防、治療、阻害又は抑制する方法であって、OCT4の発現又は機能を抑制する薬剤を腫瘍細胞に接触させるステップを含む方法を提供する。他の実施形態では、OCT4は、一時的に抑制される。他の実施形態では、OCT4は、構成的に抑制される。
【0092】
他の実施形態では、本発明は、OCT4を抑制する方法であって、DNAレベルでのOCT4発現を目的とし、それにより、OCT4転写を抑制又は阻害するようにしたステップを含む方法を提供する。他の実施形態では、DNAレベルでのOCT4の抑制は、DNA三本鎖構造の形成によって達成される。他の実施形態では、前記三本らせん抑制複合体は、OCT4遺伝子に特異的なオリゴヌクレオチドとしてデザインされ、それにより、OCT4転写を抑制する。
【0093】
他の実施形態では、本発明は、OCT4を抑制する方法であって、RNAレベルでOCT4発現を目的とし、それにより、OCT4発現を抑制するようにしたステップを含む方法を提供する。他の実施形態では、RNAは、mRNAである。他の実施形態では、アンチセンスに基づいた治療が、OCT4の抑制に使用される。他の実施形態では、合成オリゴヌクレオチドが、特定のOCT4 mRNA配列と相補的になるように設計され、それにより、OCT4発現を抑制される。
【0094】
他の実施形態では、本発明は、OCT4 mRNA配列とハイブリタイズしてOCT4発現を抑制するように人工的に構成されたペプチド核酸(PNA)を提供する。他の実施形態では、前記結合物質は、OCT4 mRNA転写物を開裂してOCT4発現を抑制するように特に人工的に作り出されたリボザイムである。
【0095】
他の実施形態では、OCT4機能を抑制する前記方法は、OCT4タンパク質を標的にするステップを含む。他の実施形態では、OCT4機能の抑制は、抗体のOCT4タンパク質への特異的結合によって達成され、それにより、OCT4タンパク質のOCT4 DNA応答配列への結合を抑制又は阻害する。他の実施形態では、免疫療法後に増加させられたイントラボディ(intabody)又は抗体が、OCT4機能を抑制又は阻害する。
【0096】
他の実施形態では、本発明は、OCT4タンパク質に特異的なイントラボディを提供する。他の実施形態では、イントラボディは、軽鎖の可変領域にペプチドリンカーを介して結合された重鎖の可変領域の単一鎖を有し、OCT4タンパク質のOCT4 DNA応答配列への結合を阻害するのに使用される。他の実施形態では、イントラボディは、細胞核に導かれ、OCT4タンパク質のOCT4 DNA応答配列への結合を抑制又は阻害する。他の実施形態では、前記イントラボディは、OCT4タンパク質のDNA結合領域を標的にし、それにより、OCT4タンパク質のOCT4 DNA応答配列への結合を抑制又は阻害する。
【0097】
他の実施形態では、本発明は、OCT4ペプチドを含有するワクチンを提供する。他の実施形態では、前記OCT4ペプチドは、OCT4に対して特異的な抗体を増加させる。他の実施形態では、前記ペプチドは、完全長OCT4遺伝子から成る。他の実施形態では、前記ペプチドは、OCT4の突然変異型である。他の実施形態では、長さが4〜18アミノ酸のOCT4ペプチドが使用される。他の実施形態では、前記ワクチンは、長さ及び配列が均一なOCT4ペプチドを含有する。他の実施形態では、前記ワクチンは、長さ及び配列の両方が異なる複数のOCT4ペプチドの混合物を含有する。
【0098】
他の実施形態では、OCT4タンパク配列と特異的に結合するオリゴヌクレオチド・アプタマーが使用され、それにより、OCT4タンパク質のOCT4DNA応答配列への結合を抑制又は阻害する。
【0099】
他の実施形態では、本発明は、変異型OCT4タンパク質を提供する。他の実施形態では、前記変異型OCT4タンパク質は、下流OCT4応答性遺伝子の転写を阻害するのに使用される。他の実施形態では、OCT4応答性遺伝子発現の抑制又は阻害に使用される前記変異型OCT4タンパク質は、OCT4DNA応答性遺伝子に対しては、野生型OCT4タンパク質と同様な親和性を有する。他の実施形態では、OCT4応答性遺伝子発現の抑制又は阻害に使用される前記変異型OCT4タンパク質は、OCT4DNA応答性遺伝子に対しては、野生型OCT4タンパク質よりも高い親和性を有する。
【0100】
≪材料及び方法≫
【0101】
組織におけるOCT4、STAT3又はNanog陽性細胞の免疫組織化学的同定
【0102】
ヒト及びマウスからの腫瘍生検のOCT4、STAT3又はNanog組織学的解析のための免疫組織化学的染色を次のようにして行った。ホルマリンで固定し、パラフィンに包埋した組織切片(5μm)を、トリロジー(Trilogy,登録商標)アンマスキング溶液(Cell Marque, Hot Springs AR)内において95℃で25分間抗原回復を行った後、連続的に脱パラフィンし、再水和し、内因性ペルオキシダーゼ活性をブロッキングした。ヤギABC Elite Kit(Vector Labs, Burlingame, CA)を用いて、スライドをビオチンブロッキングし、血清ブロッキングし、免疫染色した。OCT3/4、STAT3及びNanogに対する抗体(R&D Systems, Minneapolis, MN)を、1:50希釈で加え、室温で1時間反応させた。DAB(3,3'-Diaminobenzidene)によりポジティブ染色を検出し、ライトグリーンSFイエローイッシュ又はヘマトキシリン(Sigma, St. Louis, MO)を対比染色剤として用いた。あるいは、クライオスタットによる薄片作成のために原発性乳癌病巣及び脳及び肺を収集した。組織をクライオスタットで16μmに切断し、軸平面(乳房及び肺)及び冠状面(脳)のセットを作成した。あるセットにはヘマトキシリン‐エオシン(H&E)染色法を実行し、別のセットには免疫組織化学法を行った。免疫組織化学法は次の手順で実施した。凍結した乳房、肺及び脳切片を、(1)2%無脂肪乳及び0.3%トライトンXを含むPBS中で1時間インキュベートし、(2)OCT4、STAT3又はNanog抗体を含む3%ロバ血清及び0.1%トライトンX中で、室温で一晩インキュベートし、(3)PBSで3回洗浄し、(4)二次抗体で、室温で4時間インキュベートし、(5)PBSで3回洗浄し、(6)濃度勾配エタノールにより脱水し、キシレンで洗浄し、DPX封入剤でカバースリッピングした(44581, Fluka Biochemika)。免疫活性をバイオ・ラッド社製の共焦点顕微鏡により可視化し、後の解析のために画像をコンピュータに収集した。
【0103】
OCT4、STAT3又はNanog陽性細胞培養物の免疫細胞化学的同定
【0104】
ヒト及びマウスの腫瘍バイオプシの初代培養におけるOCT4、STAT3又はNanog陽性細胞を同定するための免疫組織化学的染色を行った。DMEM/F12培地において試料を300U/mlのコラゲナーゼ・タイプII(Gibco BRL Invitrogen Corporation, Grand Island, NY, USA)で3〜6時間消化して小粒子に細分化した後、70μmセルストレーナー(Cell Strainer)(Becton Dickinson Lab Ware, Franklin Lakes, NJ USA)を通過させて単細胞懸濁液を作成した。次に、培地を捨て、細胞をPBSで洗浄し、培養培地に懸濁させてプレートした。細胞が付着した後、0.1%のトライトンX‐100と共に新鮮な4%ホルマリンを含む固定化溶液を加えた。ヤギABC Elite Kit(Vector Labs, Burlingame, CA)を用いてビオチンブロッキング、血清ブロッキング、免疫染色した後に、細胞の内因性ペルオキシダーゼ活性をブロッキングした。OCT3/4、STAT3及びNanogに対する抗体(R&D Systems, Minneapolis, MN)を1:200の希釈率で加え、室温で30分間反応させた。DAB(3,3'-Diaminobenzidene)によりポジティブ染色を検出し、ヘマトキシリン(Sigma, St. Louis, MO)を対比染色剤として用いた。
【0105】
OCT4−EGFP及びNanog−EGFP構築物
【0106】
従来公知の方法及び技術(Gerrard et al., 2005)を用いて、OCT4−EGFP及びNanog−EGFP構築物を作成した。OCT4及びNanogプロモータの制御下で、EGFPレポーター(pEGFP1,BD Biosciences)及び選択可能なマーカーG418を含むプラスミドを使用した。ヒトOCT4のプロモータ断片は、OCT4遺伝子の塩基‐3917から塩基+55まで(hOCT4pr:ヒトDNA配列において67539から71490まで)に及ぶ、特異的なEGFP発現を発生させるように駆動する2つの適切な調節要素を含む。ヒトNanogのプロモータ断片は、塩基−132から塩基+300まで(染色体12のヒトゲノムDNA配列において塩基697969から塩基701269まで)に及ぶ。
【0107】
バイオマークされた細胞を作成するために用いられる発現ベクター
【0108】
Oct−4プロモータ(OCT4hP,アクセス番号AP000509のヒトDNA配列において67539から71490まで)を用いてOCT4hP‐eGFPプラスミドを構築した。Oct−4プロモータは、ヒトゲノムDNA(Promega G3041)を鋳型として用いて、プライマーOct4hP‐F(5'-TT CCC ATG TCA AGT AAG TGG GGT GG-3')及びOct4hP−R(5'-CGA GAA GGC AAA ATC TGA AGC CAG G-3')を使用したポリメラーゼ連鎖反応法により増幅させた。この断片をTOPOベクター(Invitrogen)にクローンし、DNA配列の忠実度を双方向性DNAシーケンシングにより確認した。次に、OCT4hPを、発現ベクターpEGFPl(Clontech Cat # 6086-1,Genbankアクセス番号U55761)のeGFPの上流にあるHindIII及びBamH1部位に挿入することによってこのプラスミドにクローンした(図12A)。
【0109】
グリア芽細胞腫、骨肉腫及び乳癌からのNSCの単離及び解析のための神経球培養系の改変
【0110】
ワイスとレイノルズ(Weiss and Raynolds, 1992)が提唱した神経球培養系を、半固体メチルセルロース(MC)において多面発現的な成長因子EGF、FGF2及びインスリンを活用して細胞の基質付着能力を抑制することによって改変した。この実験では、図7に示すように、NSCに、OCT4のヒトプロモータ下流でEFGP及びG418遺伝子を有するEGFPレポータープラスミドをトランスフェクトした。
【0111】
病変及び病巣の精査
【0112】
GFP3フィルタ(蛍光能力用)を備えたライカMZ16FA解剖顕微鏡と、インビトロ試験及び分子解析用のRGBフィルタを備えたQImaging社のRetiga EXiモノクロデジタルカメラとを用いて、病変及び病巣をそれらのそれぞれの組織位置から精査した。この腫瘍物質を、様々な分析法を用いてさらに試験した。
【0113】
RNA単離及び標的cDNA増幅
【0114】
RNeasyミニキット及びDNAアーゼ処理用のRNAアーゼフリー・DNアーゼセット(Qiagensciences, MD, USA)を用いて全RNAを単離した。スーパースクリプトII RNアーゼ H+逆転写酵素ファーストストランド合成システム(InVitrogen Life Technologies, Carlsbad, CA)を用いて、Oligo(dT)12−18(Invitrogen Life Technologies, Carlsbad, CA)をプライミングすることによって1.5μgの全RNAからcDNAを合成した。プラチナTaq DNAポリメラーゼ(InVitrogen Life Technologies, Carlsbad, CA)を用いて37サイクルのPCRを行うことによって、標的cDNAを増幅した。ヒトβチューブリンIII用のプライマーを使用して、Hbeta4遺伝子の非翻訳3’UTR領域から転写された1356〜1497bp産物を増幅した(Kavallaris et al., 1997)。ヒトOCT3/4(アクセス番号Z11898)、Nanog(NM 024865)、STAT3(NM 139276)、Gata−4(NM 002052)、‐6(NM 005257)、AFP(NM 001134)、Runx 1(NM 001754)のためのプライマーを、Oligo5.1プログラムを用いることによって独自に作成した。全てのプライマーを表1に示す。
【0115】
【表1】
【0116】
ウエスタンブロット解析
【0117】
50mMのTris‐HCl、150mMのNaCl、1mMのEDTA、1%のNP40、0.1%のSDS、1%のデオキシコール酸ナトリウム、1%のバナジン酸ナトリウムと、以下のプロテアーゼ阻害剤、すなわち、5μg/mlのペプスタチン、1mMのフッ化フェニルメチルスルホニル、10μg/mlのロイペプチン、1mMのNaF(Sigma Chemical Co., St. Louis, MO)とを含む溶解緩衝液に、細胞を、少なくとも1時間氷上で溶解した。遠心分離(12,000gで4℃、10分間)した後、上清のタンパク質濃度を、Benchmarkマイクロプレートリーダー(Bio Rad Laboratories, Hercules, CA, USA)を用いてBCAタンパク質アッセイキット(Pierce, Rockford, IL)によって測定した。溶解産物をLaemmli緩衝液(Sigma Chemical Co., St. Louis, MO)と混合した(1:1)。15μgのタンパク質を、8〜16%又は10〜20%のTris‐HClレディーゲル(Bio Rad Laboratories, Hercules, CA)の各レーンに入れ、電気泳動によって分離した。タンパク質が転写されたニトロセルロース膜(Sigma Chemical Co., St. Louis, MO)を、メーカーが推奨するようにブロックし、4℃で振盪しながら対応する一次抗体と共に一晩インキュベートした。ここで、一次抗体は、STAT3(R&D Systems)、ホスホ‐Tyr705 STAT3(Cell Signaling Technology, BL)、βIIIチューブリン(BAbCO, Berkeley, CA)、βアクチン(Sigma Chemical Co., St. Louis, MO)、αフェトプロテイン(Santa Cruz Biotech, CA)、OCT‐3/4(Santa Cruz Biotech, CA)、Nanog(RD systems)に対する一次抗体であり、5%ウシ血清(Sigma Chemical Co., St. Louis, MO)含有トリス緩衝生理食塩水(TBS)及び0.1%トウィーン20(Bio-Rad Laboratories, Hercules, CA, USA)を含む溶液で希釈されたものである。0.1%トウィーン20を含むTBSで洗浄した後、ペルオキシダーゼ接合ヤギ抗マウス又はウサギIgG二次抗体(Cell Signaling Technology, IL)又はウサギ抗ヤギIgG抗体(Jackson Immuno Research Laboratories, West Grove, PA)と共にブロットをインキュベートした。免疫反応バンドをECL+ウエスタンブロッティング検出試薬(Amersham Biosciences, UK)によって60秒間以上検出し、X線フィルムに露光した。
【0118】
トランスフェクションの前及び後の細胞培養液
【0119】
37℃、7.0% CO2下で、10%(vol/vol)のキャラクタライズド・ウシ胎仔血清(FBS)(HyClone, Logan, Utah, USA)含有DMEM/F12培地にて細胞を培養した。ギブコ社製のセルポレーターパルサーを用いて電気穿孔法によって全ての細胞をトランスフェクトした。細胞懸濁液に10μgのプラスミドDNAを添加し、当業者に既知のプロトコルに従ってトランスフェクトした(図11C)。電気穿孔法の後、0.8%のMC、プロゲステロン(20nM)、プトレッシン(100μM)、亜セレン酸ナトリウム(30nM)、トランスフェリン(25μg/ml)、インスリン(20μg/ml)(Sigma Chemical Co., St. Louis, MO, USA)、成長因子EGF(10ng/ml)及び組換えFGF2(10ng/ml)を含むDMEM/F12に全懸濁液を60,000細胞/2ml/wellの密度でプレートした。
【0120】
トランスフェクトされたEGFP‐乳房球クローンの選択
【0121】
トランスフェクトされたEGFP‐乳房球クローンを選択するため、3日間の培養の後、G418を加えた(200mg/ml)。G418を含んだプレート中では、緑色EGFP陽性クローンのみが発生し、更なる操作のためにそれらの細胞を収集した。作成したEGFP陽性乳房球を用いて、EGFPが安定に組み込まれたEGFP亜集団を確立した。Oct4プロモータの制御下でEGFPを発現する緑色緑色乳房球は、付着せずに、懸濁した状態で増殖した(図7B)。蛍光顕微鏡下でEGFP細胞を直接的に単離した(図11D)。
【0122】
例1:腫瘍におけるOCT4発現細胞の頻度
【0123】
腫瘍におけるOCT4発現細胞の頻度をより良好に調査するために、骨肉腫腫瘍、グリア芽細胞腫腫瘍及び腺管癌に由来する連続切片に関して免疫組織化学的解析を行った。図1の結果は、骨肉腫及びグリア芽細胞腫の腫瘍にOCT4陽性核が存在することを示しており、さらに、図6A及び図6Bの結果は、それぞれ、腺管癌及び脳に転移した乳癌にもOCT4陽性核が存在することを示している。OCT4陽性細胞は腺管癌及び転移した乳癌の両方において観察されるが、腺管癌に包含される原発性乳癌(図6A)に比べてより高頻度のOCT4陽性核が脳に転移した乳癌(図6B)で観察された。腫瘍及び転移癌は共にOCT4陽性細胞を含むので、本明細書に記載の方法によれば、これらのOCT4陽性細胞は癌治療において有効な標的であることがわかる。
【0124】
例2:OCT4、Nanog及びSTAT3は、グリア芽細胞腫臨床材料及び細胞株において一斉に発現する
【0125】
OCT4、Nanog及びSTAT3がグリア芽細胞腫臨床材料及び細胞株LN18、LN229、LN428及びU251で同時発現するか否かを判定するために、半定量RT−PCR解析を行い、その後にウエスタンブロット解析を行った。図2Aに示されている結果は、OCT4、Nanog及びSTAT3のmRNA発現が中程度から高いことを示す。タンパク質発現レベルは、図2Bに示されているように、mRNA発現レベルと相関していた。図2Bでは、OCT4、Nanog及びSTAT3のタンパク質発現レベルが中程度から高いことが示されている
【0126】
例3:基質に付着状態又は非付着状態で増殖した腫瘍細胞におけるOCT4発現
【0127】
腫瘍細胞におけるOCT4発現の細胞−基質付着に対する影響を調べるために、骨肉腫及び乳癌細胞を基質に付着させた状態で、或いは、肉腫球又は乳房球として非付着状態で増殖させた。図3に示す結果は、次のことを示す。OCT4及びNanogの高発現は細胞付着に依存しているので、非付着状態すなわち肉腫球及び乳房球の形態で増殖した腫瘍細胞ではOCT4及びNanogは高度に発現されるが、付着状態で増殖した腫瘍細胞ではNanog及びOCT4の発現は比較的低い(発現は抑制される)。
【0128】
例4:神経球系で培養された神経膠腫由来の腫瘍幹細胞からのクローン生成におけるOCT4の役割
【0129】
モデル培養系において自己複製の維持におけるOCT4遺伝子の機能的役割をテストするために、POU5F1/OCT4遺伝子に対してsiRNAサイレンシングを行い、評価した(図4)。この目的のために、2つの細胞株及び患者から単離された原発腫瘍培養物を含む3つの代表的なグリア芽細胞腫細胞型に由来する腫瘍細胞に、EGFP及びOCT4 siRNAを同時にトランスフェクトし、神経球培養系内でプレートした。これと並行して、EGFP及びスクランブル対照siRNAを細胞に同時にトランスフェクトして実験を行った。EGFP及びsiRNAを形質移入されたクローンは、プレーティング後7日目に可視化された(図4A)。細胞にOCT4‐siRNAをトランスフェクトすることにより作成された検出可能なEGFPを有するクローンの割合は、対照のものと比較して60%以上低下した(図4B)。これらの結果は、成長抑圧条件下で神経球培養系にプレートした腫瘍由来細胞の内因性OCT4をsiRNAで下方制御すると、腫瘍由来EGFP含有細胞によるクローン形成が著しく低下することを示す。
【0130】
例5:MDA−MB−231乳癌細胞株をEGFPで標識し、同所性腫瘍形成におけるNSCの関与を判断する
【0131】
ヌードマウスにおいてOct4プロモータ下でEGFPを安定的に発現する乳癌細胞株細胞株MDA−MB−231由来の腫瘍幹細胞を使用して、NSCの同所性腫瘍形成能を評価した。この分析は、EGFP発現が内因性OCT4遺伝子発現と相関するという推測に基づいて行った。OCT4陽性及びOCT4陰性MDA−MB−231乳癌細胞にOCT4‐EGFR構築物をトランスフェクトし、FACSでソーティングし、4つのグループ(各グループ:3匹)に分けられたマウスに接種した。グループ1には動物1匹につき5,000のOCT4陽性細胞を接種し、グループ2には動物1匹につき50,000のOCT4陽性細胞を接種し、グループ3には動物1匹につき500,000のOCT4陽性細胞を接種し、グループ4には動物1匹につき500,000のOCT4陰性細胞を接種した。図11のグラフは、OCT4陽性細胞を接種した動物では、接種後37日目に腫瘍の発生は始まったが、OCT4陰性細胞を接種した動物では、50日目に腫瘍の発生が始まったことを示している。また、この結果は、単離されたEGFP陽性細胞が、OCT4、EGFP、CD44、AC133及びES細胞マーカーSSEA4を発現したことも示している(表2参照)。
【0132】
表2:MDA−MB−231乳癌細胞及び陽性対照細胞における幹細胞マーカーのFACS分析(結果はパーセンテージで示している)
【0133】
【表2】
【0134】
例6:Oct3/4プロモータによって駆動される蛍光バイオマーカーは、強力であり、癌幹細胞に対して特異的である
【0135】
乳房球培養物はMDA‐MB‐435黒色腫細胞株に由来し、Oct‐3/4発現癌幹細胞の存在についてバイオマークされている。OCT4hP‐eGFP及びCMV‐mRFPをMDA‐MB‐435細胞に、安定的にトランスフェクトした。その後、前記細胞をGFP発現細胞についてFACSソートして、更なる研究用の高純度の癌幹細胞集団を作成した。図13Bに示す懸濁状態の腫瘍由来球体の蛍光顕微鏡写真は、Oct3/4プロモータによって駆動される蛍光バイオマーカーが強力であり、癌幹細胞に対して特異的であることを実証している。さらに、図13Dに示す付着腫瘍球体の蛍光顕微鏡写真も、同様のことを実証している。これらの結果は、Oct3/4プロモータにより駆動された蛍光は、強力であり、様々な系における治療対象として研究のためにバイオマークされた癌幹細胞に対して特異的であることを実証している。
【技術分野】
【0001】
本発明は、腫瘍性幹細胞が富化された組成物及びそれを含む方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日まで、腫瘍性細胞を分析する方法は、研究目的のためには十分に効率的でも一様でもなかった。組織サンプルから様々な分画方法によって単離された腫瘍性幹細胞は、混合された細胞型から成る。腫瘍性幹細胞の効率的な単離は、癌細胞細胞学及び疾患の基本的機構を研究する方法を提供する。インビトロ及びインビボ研究用の大きな腫瘍性幹細胞集団を得るために、細胞亜集団を特異的及び効率的に単離する及び増殖させる方法が求められている。
【0003】
腫瘍細胞内の幹細胞マーカーを同定することによって、臨床及び基礎研究の両方の分野において様々な用途に役立つ有益な情報が得られる。腫瘍性幹細胞(neoplastic stem cell:NSC)の同定、及びNSC同定後の特定の腫瘍及び転移病巣からの単離は、例えば、病状の診断及び/又は進行中の病状を対象にした合理的な治療法の開発に有用である。ある場合には、生理学的機序及び分子機構を調査する更なるインビボ研究のために、NSCの単離及び/又は富化が望ましく、別の場合には、癌の進行又は治療についての更なる研究のために、実験動物を接種するのに前記細胞を使用することができる。
【0004】
NSCは、例えばFACS(図10)や抗生物質選択分析などの技術を使用してソートすることができるが、前記分析技術は、細胞亜集団をそれらの生物学的活性及び/又は生理学的機能に基づいて区別することはできない。さらに、前記分析技術は、天然の非抗生物質発現又は治療した幹細胞の回復を妨げるという問題がある。また、細胞の同定並びに同定後の単離及び/又は富化についての他の方法(例えばゲル電気泳動)には、純粋な集団を検出することができない、汚染の影響を受ける、及び/又は細胞の生存が脅かされるという問題がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、他の実施形態では、OCT4の発現について富化(エンリッチ)された腫瘍性幹細胞集団(neoplastic stem cell population)に関する。
【0006】
他の実施形態では、本発明は、腫瘍性幹細胞を同定する方法であって、(1)OCT4と特異的に相互作用する作用物質を腫瘍細胞集団に接触させるステップと、(2)前記作用物質が特異的に相互作用する細胞を同定するステップとを含む方法を提供する。
【0007】
他の実施形態では、本発明は、腫瘍性幹細胞を単離する方法であって、(a)OCT4と特異的に相互作用する作用物質を腫瘍細胞集団に接触させるステップと、(b)前記作用物質が特異的に相互作用した細胞を単離するステップとを含む方法を提供する。
【0008】
他の実施形態では、本発明は、腫瘍細胞集団を腫瘍性幹細胞について富化する方法であって、(1)複数の癌性細胞を含有する混合細胞集団に、OCT4プロモータに作動可能に連結された抗生物質抵抗性遺伝子を含有するベクターを接触させるステップと、(2)前記抗生物質の存在下で前記細胞を培養するステップとを含む方法を提供する。
【0009】
他の実施形態では、本発明は、癌を誘発する方法であって、OCT4の発現について富化された腫瘍性幹細胞集団を哺乳類に導入するステップを含む方法を提供する。
【0010】
他の実施形態では、本発明は、癌の進行及び/又は発症をインビボで分析する方法であって、(1)OCT4高腫瘍性幹細胞を動物に移植するステップと、(2)前記動物における癌の進行及び/又は発症を分析するステップとを含む方法を提供する。
【0011】
他の実施形態では、本発明は、癌を停止又は抑制するための方法であって、腫瘍細胞内でのOCT4発現又は機能を抑制する作用物質を、腫瘍細胞に接触させるステップを含む方法を提供する。
【0012】
他の実施形態では、本発明は、腫瘍成長を停止又は抑制するための方法であって、腫瘍細胞内でのOCT4発現又は機能を抑制する作用物質を、腫瘍細胞に接触させるステップを含む方法を提供する。
【0013】
他の実施形態では、本発明は、細胞転移を防止又は停止するための方法であって、腫瘍細胞内でのOCT4発現又は機能を抑制する作用物質を、腫瘍細胞に接触させるステップを含む方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ポリクローナル抗OCT4抗体でプローブされた固形腫瘍の連続切片及び対照切片の光学マイクロ写真を示す。図1Aは軟骨肉腫腫瘍の断面、図1Bは骨肉腫腫瘍の断面、図1Cは多形グリア芽細胞腫(GBM)腫瘍の断面、図1Dは陽性対照に用いた胎児ヒト精巣の断面である。矢印はOCT4陽性核を示す。
【図2】図2Aは、OCT4、STAT3及びNanog mRNA発現に対する半定量RT‐PCRプローブ法の結果を示し、ここでは、βチューブリン及びGFAPは、代表的なグリア芽細胞腫初代培養(MT917、MT926、MT928、MT1231)及び細胞株(LN18、LN229、LN428、U251)において、標準対照(normalized control)である。図2Bは、OCT4、STAT3及びNanogタンパク質発現のウエスタンブロット解析の結果を示し、ここでは、βチューブリン及びGFAPは、細胞株(LN18、LN229、LN319、LN428、D247、U251、U373、T98G)において、標準対照である。ブロットは、抗OCT4、抗ホスホSTAT3及び抗Nanogでプローブされた。
【図3】付着細胞の培養物及び浮遊骨肉腫由来球体におけるOCT4及びnanog遺伝子発現をプローブする2次元定量PCRの結果をプロットしたものである。基質付着培養物は、有意に(p<0.05)より低いOCT4及びNanogの発現を示した。肉腫球におけるOCT4(X軸)とNanog(Y軸)の両方の発現は、基質付着培養物におけるものよりも有意に(p<0.05)高い。
【図4】グリア芽細胞腫由来細胞のクローン形成能に対するOCT4 siRNAの抑制を示す。図4Aは、ウエスタンブロット解析の結果を示し、ここでは、トランスフェクトされた細胞培養物における外因性OCT4タンパク質の抑制が、DNA配列:TTGATCCTCGGACCTGGCTAAを含む特異的なOCT4 siRNAによる処置によって達成された。図4Bは、選択されたグリア芽細胞腫細胞(MT317、LN−229、MT‐917)によるクローン形成の頻度をプロットしたものである。細胞にeGFP(緑色蛍光タンパク質)及びOCT4 siRNAを同時にトランスフェクトした。実験は3通り行った。バー(横棒)は標準誤差を表す。
【図5】図5Aは、MCF‐7R乳癌細胞株に由来し、メチルセルロース中で培養された懸濁した乳房球の光学マイクロ写真画像(×200)である。図5Bは、メチルセルロースから移され、基層に付着され、OCT4(白色)及びパンサイトケラチン(灰色)発現に対して免疫染色された乳房球の蛍光顕微鏡写真(×200)である。
【図6】OCT4発現のプローブのために免疫組織化学的に染色された乳癌腫瘍の光学マイクロ写真(×200)を示す。色が濃い点状染色はOCT4陽性核である。図6Aは腺管癌腫瘍の断面、図6Bは脳への乳癌転移の断面である。矢印はOCT4陽性核を示す。
【図7】メチルセルロースにおける最初の分裂後のOCT4‐EGFPトランスフェクト・グリア芽細胞腫細胞の蛍光顕微鏡(×200)画像(図7A)である。数回の分裂後のOCT‐EGFPトランスフェクト細胞のグリア芽細胞腫遊走神経球(クローン)を図7Bに示す。
【図8】OCT4応答性プロモータによりEGFPを発現する培養乳癌細胞(A)、骨肉腫(B)及び多形グリア芽細胞腫細胞(C)の蛍光顕微鏡画像(×200)である。
【図9】Nanog応答性プロモータによりEGFPを発現する培養グリア芽細胞腫細胞株Ln428(×200)(A)及び骨肉腫OS521(×100)(B)の蛍光顕微鏡画像である。
【図10】培養グリア芽細胞腫細胞株Ln428からのOCT4発現腫瘍細胞の亜集団のFACSフロー分離グラフを示す。M2ゲートは、OCT4陽性細胞を表す。図10Aは、混合したクローンのOCT4細胞集団のOCT4陽性細胞に対する初期のFACSソートを表す。図10Bは、2回の継代(おおよそ2週間)後に単離されたOCT4陽性細胞FACS解析(B)を表す。これらの細胞の純度を判定するためにFACS解析を行ったところ、この集団は、OCT4タンパク質発現に関しては純度96.16%であることが分かった。
【図11】OCT4‐EGFRをトランスフェクトしたOCT4陽性及びOCT4陰性MDA MB 231乳癌細胞の腫瘍形成能を示すグラフである。
【図12】創薬研究を含む癌関連研究のために、任意の腫瘍組織からOCT4富化腫瘍幹細胞を得る手順を概略的に示す。A段階:細胞の準備:1)腫瘍を外科的に切除する。2)単細胞懸濁液を作成するための細分化及び調整を行う。B段階:OCT4応答性プロモータによる腫瘍幹細胞の安定標識:1)腫瘍幹細胞を増殖及び選択するために、適切な条件下、単細胞懸濁の状態で腫瘍幹細胞を培養する。2)OCT4応答性プロモータの制御下でEGFP遺伝子を含むプラスミドをトランスフェクトする(C段階)。C段階:高純度の腫瘍幹細胞培養物の作成:EGFP発現細胞をFACSによってさらに選択し、増殖のために再培養して大量の培養物を得る。D段階:D1,厳密な細胞及び分子生物学技術を用いて腫瘍幹細胞をさらに調べる。D2,腫瘍幹細胞を多種多様な薬物に曝す。E段階:単離された腫瘍幹細胞を免疫不全マウスに接種し、異種移植腫瘍モデルを作成した後、有効性、安全性(または毒性の欠如)及び結果に関して基本的な検討を行い、最終薬物リストを作成する。
【図13】MDA‐MB‐435黒色腫細胞株から由来し、Oct‐3/4発現NSCに関してバイオマークされた乳房球培養物の顕微鏡画像(×200)である。図13Aは、メチルセルロース中で培養した懸濁腫瘍由来球の光学マイクロ写真である。図13Bは、図13Aに示されている懸濁腫瘍由来球の蛍光顕微鏡写真である。図13Cは、基層への付着後の腫瘍球の光学マイクロ写真である。図13Dは、図13Cに示した付着腫瘍球の蛍光顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の詳細な説明には、本発明を十分に理解できるように多くの特定の詳細が記載されている。しかし、当業者であれば、これらの特定の詳細がなくとも本発明を実施できることが理解できるであろう。他の例では、本発明を不明瞭にしないために、既知の方法、手順及び成分については詳細に記載していない。
【0016】
本発明のある特徴がここに例示され、説明された一方、通常の技術的知識を有する者には多くの修正、代用、変更及び等価物が思い浮かぶであろう。したがって、特許請求の範囲は、本発明の技術的思想内にある修正及び変更をすべて含むことを理解されたい。
【0017】
他の実施形態では、本発明は、OCT4、Nanog、STAT3又はそれらの組み合わせの発現について富化(エンリッチ)された、腫瘍性幹細胞(neoplastic stem cell:NSC)集団を含む。他の実施形態では、NSCは、長時間を経た後に癌を開始及び維持することが可能な腫瘍細胞を含有する集団内における細胞亜集団に相当する。他の実施形態では、NSCは、腫瘍の形成及び成長を駆動する(図11)。他の実施形態では、ここで使用される駆動(drive)という用語は、案内する、制御する、導く、開始する、経由する、侵入する、又はそれらの組み合わせを意味する。
【0018】
他の実施形態では、NSCは、長命、自己再生、及び休止という性質を有する。他の実施形態では、NSCは、強力な浸潤能力を有する。他の実施形態では、NSCは、多能性であり、自己複製能力を有し、肉腫から増殖性の肉腫球(sarcosphere)を、脳腫瘍から神経球(neurosphere)を、乳癌から乳房球(mammasphere)をそれぞれ生成することが可能である(図5)。他の実施形態では、NSCは、インビトロ培養での1〜100代の継体間に、自己再生能力を維持することが可能である。他の実施形態では、NSCは、インビトロ培養での1〜90代の継体間に、自己再生能力を維持することが可能である。他の実施形態では、NSCは、インビトロ培養での20〜60代の継体間に、自己再生能力を維持することが可能である。他の実施形態では、NSCは、NSC(例えば、OCT4、Nanog、STAT3又はそれらの組み合わせなど)の特定の機能及び/又は自己再生に関与する遺伝子を発現する。
【0019】
他の実施形態では、本発明は、共通の創始細胞又はNSCに由来する細胞集団に相当する固形癌を提供する。他の実施形態では、本発明は、共通の創始細胞又はNSCに由来する細胞集団に相当する腫瘍を提供する。他の実施形態では、本発明は、通常の幹細胞の表現型と多くの点で類似するNSC表現型を提供する。他の実施形態では、本発明は、通常の幹細胞の表現型とは全く異なり、異常発達様相という不規則性を有するNSC表現型を提供する。他の実施形態では、本発明は、通常の幹細胞の表現型とは全く異なり、主要増殖制御(key proliferation control)の欠如という不規則性を有するNSC表現型を提供する。
【0020】
他の実施形態では、本発明は、真性又は母NSCと、NSCに由来する腫瘍性前駆細胞との混合を含むNSC集団を提供する。他の実施形態では、本発明は、母NSCとは主要な点(key way)が異なる、NSCに由来する前駆細胞を提供する。他の実施形態では、前記異なる主要な点は、高い増殖動態を含む。他の実施形態では、本発明は、通常は、癌細胞集団全体と比較すると非常に低いパーセンテージで存在するNSCを提供する。前記パーセンテージは、環境の「対立性(hostility)」(すなわち、例えば、原発乳房組織部における乳房NSCなどの自然環境、対、脳などの転移及び/又は異なる部位における乳房NSC)とおおよそ相関する。
【0021】
他の実施形態では、本発明は、原発性親癌集団(parental primary cancer population)の約0.001〜1%を構成するNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、原発性親癌集団の約0.005〜1%を構成するNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、原発性親癌集団の約0.01〜0.1%を構成するNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、原発性親癌集団の約0.05〜0.1%を構成するNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、原発性親癌集団の約0.005〜0.01%を構成するNSCを提供する。
【0022】
他の実施形態では、本発明は、永久親癌細胞株(permanent cancer cell lines parental)内の約1〜80%の細胞集団を構成するNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、永久親癌細胞株内の約1〜10%の細胞集団を構成するNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、永久親癌細胞株内の約7〜14%の細胞集団を構成するNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、永久親癌細胞株内の約15〜25%の細胞集団を構成するNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、永久親癌細胞株内の約10〜30%の細胞集団を構成するNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、永久親癌細胞株内の約30〜50%の細胞集団を構成するNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、永久親癌細胞株内の約20〜40%の細胞集団を構成するNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、永久親癌細胞株内の約50〜80%の細胞集団を構成するNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、永久親癌細胞株内の約1〜5%の細胞集団を構成するNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、永久親癌細胞株内の約5〜10%の細胞集団を構成するNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、永久親癌細胞株内の約3〜8%の細胞集団を構成するNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、永久親癌細胞株内の約7〜10%の細胞集団を構成するNSCを提供する。
【0023】
他の実施形態では、本発明は、転移性親癌細胞集団(parental metastatic cancer population cell)の約1〜100%を構成するNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、転移性親癌細胞集団の約1〜10%を構成するNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、転移性親癌細胞集団の約10〜30%を構成するNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、転移性親癌細胞集団の約30〜50%を構成するNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、転移性親癌細胞集団の約50〜75%を構成するNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、転移性親癌細胞集団の約75〜100%を構成するNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、転移性親癌細胞集団の約30〜80%を構成するNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、転移性親癌細胞集団の約20〜90%を構成するNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、転移性親癌細胞集団の約10〜100%を構成するNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、転移性親癌細胞集団の約20〜40%を構成するNSCを提供する。
【0024】
他の実施形態では、本発明は、原発固形腫瘍由来の癌細胞集団の大部分を構成するバルク癌細胞(bulk cancer cell:BCC)を提供する。他の実施形態では、本発明は、癌由来永久培養細胞株の癌細胞集団の大部分を構成するBCCを提供する。他の実施形態では、本発明は、幹細胞特性を欠いたBCC集団を提供する。他の実施形態では、本発明は、OCT4発現を欠いたBCC集団を提供する。
【0025】
他の実施形態では、本発明は、検出を可能にするために事前に操作及びバイオマークされたNSCを選択することによって癌組織バイオプシ及び永久癌細胞株からNSCを単離する方法を提供する。他の実施形態では、本発明は、NSCにOCT4応答性プロモータにより調節された蛍光又は発光タンパクを発現するDNAベクターを安定的にトランスフェクトする方法を提供する(図12)。他の実施形態では、本発明は、蛍光性バイオマーカーを使用してFACSソートすることによって癌細胞集団全体からNSCを分離する方法を提供し、それによって、高純度の培養物を得ることができる。他の実施形態では、本発明は、OCT4プロモータにより駆動されるGFP(緑色蛍光タンパク質)を発現する細胞をFACSソートすることによって全癌細胞集団からNSCを分離する方法を提供し、それによって、高純度の培養物を得ることができる(図9)。
【0026】
他の実施形態では、本発明のOct4 CDNAの配列は、次の配列を含む。
tcccttcgcaagccctcatttcaccaggcccccggcttggggcgccttccttccccatggcgggacacctggcttcggatttcgccttctcgccccctccaggtggtggaggtgatgggccaggggggccggagccgggctgggttgatcctcggacctggctaagcttccaaggccctcctggagggccaggaatcgggccgggggttgggccaggctctgaggtgtgggggattcccccatgccccccgccgtatgagttctgtggggggatggcgtactgtgggccccaggttggagtggggctagtgccccaaggcggcttggagacctctcagcctgagggcgaagcaggagtcggggtggagagcaactccgatggggcctccccggagccctgcaccgtcacccctggtgccgtgaagctggagaaggagaagctggagcaaaacccggaggagtcccaggacatcaaagctctgcagaaagaactcgagcaatttgccaagctcctgaagcagaagaggatcaccctgggatatacacaggccgatgtggggctcaccctgggggttctatttgggaaggtattcagccaaacgaccatctgccgctttgaggctctgcagcttagcttcaagaacatgtgtaagctgcggcccttgctgcagaagtgggtggaggaagctgacaacaatgaaaatcttcaggagatatgcaaagcagaaaccctcgtgcaggcccgaaagagaaagcgaaccagtatcgagaaccgagtgagaggcaacctggagaatttgttcctgcagtgcccgaaacccacactgcagcagatcagccacatcgcccagcagcttgggctcgagaaggatgtggtccgagtgtggttctgtaaccggcgccagaagggcaagcgatcaagcagcgactatgcacaacgagaggattttgaggctgctgggtctcctttctcagggggaccagtgtcctttcctctggccccagggccccattttggtaccccaggctatgggagccctcacttcactgcactgtactcctcggtccctttccctgagggggaagcctttccccctgtctccgtcaccactctgggctctcccatgcattcaaactgaggtgcctgcccttctaggaatgggggacagggggaggggaggagctagggaaagaaaacctggagtttgtgccagggtttttgggattaagttcttcattcactaaggaaggaattgggaacacaaagggtgggggcaggggagtttggggcaactggttggagggaaggtgaagttcaatgatgctcttgattttaatcccacatcatgtatcacttttttcttaaataaagaagcctgggacacagtaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa(SEQ ID番号1)。
他の実施形態では、本発明のOct4 CDNA配列は、SEQ ID番号1と相同な核酸配列を含む。他の実施形態では、前記Oct4 CDNAは、ホモサピエンスのOct4 CDNA配列である。他の実施形態では、前記Oct4 CDNAは、非人類種に由来する。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0027】
他の実施形態では、本発明のOct4 CDNAの配列は、次の配列を含む。
gtagtcctttgttacatgcatgagtcagtgaacagggaatgggtgaatgacatttgtgggtaggttatttctagaagttaggtgggcagcttggaaggcagaggcacttctacagactattccttggggccacacgtaggttcttgaatcccgaatggaaaggggagattgataactggtgtgtttatgttcttacaagtcttctgccttttaaaatccagtcccaggacatcaaagctctgcagaaagaactcgagcaatttgccaagctcctgaagcagaagaggatcaccctgggatatacacaggccgatgtggggctcaccctgggggttctatttgggaaggtattcagccaaacgaccatctgccgctttgaggctctgcagcttagcttcaagaacatgtgtaagctgcggcccttgctgcagaagtgggtggaggaagctgacaacaatgaaaatcttcaggagatatgcaaagcagaaaccctcgtgcaggcccgaaagagaaagcgaaccagtatcgagaaccgagtgagaggcaacctggagaatttgttcctgcagtgcccgaaacccacactgcagcagatcagccacatcgcccagcagcttgggctcgagaaggatgtggtccgagtgtggttctgtaaccggcgccagaagggcaagcgatcaagcagcgactatgcacaacgagaggattttgaggctgctgggtctcctttctcagggggaccagtgtcctttcctctggccccagggccccattttggtaccccaggctatgggagccctcacttcactgcactgtactcctcggtccctttccctgagggggaagcctttccccctgtctccgtcaccactctgggctctcccatgcattcaaactgaggtgcctgcccttctaggaatgggggacagggggaggggaggagctagggaaagaaaacctggagtttgtgccagggtttttgggattaagttcttcattcactaaggaaggaattgggaacacaaagggtgggggcaggggagtttggggcaactggttggagggaaggtgaagttcaatgatgctcttgattttaatcccacatcatgtatcacttttttcttaaataaagaagcctgggacacagtaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa(SEQ ID番号2)。
他の実施形態では、本発明のOct4 CDNAは、SEQ ID番号2と相同な核酸配列を含む。他の実施形態では、前記Oct4 CDNAは、ホモサピエンスのOct4 CDNA配列である。他の実施形態では、前記Oct4 CDNAは、非人類種に由来する。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0028】
他の実施形態では、本発明のOCT4タンパク質の配列は、次の配列を含む。
MAGHLASDFAFSPPPGGGGDGPGGPEPGWVDPRTWLSFQGPPGGPGIGPGVGPGSEVWGIPPCPPPYEFCGGMAYCGPQVGVGLVPQGGLETSQPEGEAGVGVESNSDGASPEPCTVTPGAVKLEKEICLEQNPEESQDIKALQKELEQFAKLLKQKRITLGYTQADVGLTLGVLFGKVFSQTCRFEALQLSFKNMCKLRPLLQKWVEEADNNENLQEICKAETLVQARKRKRTSIENRVRGNLENLFLQCPKPTLQQISHIAQQLGLEKDVVRVWFCNRRQKGKRSSSDYAQREDFEAAGSPFSGGPVSFPLAPGPHFGTPGYGSPHFTALYSSVPFPEGEAFPPVSVTTLGSPMHSN(SEQ ID番号3)。
他の実施形態では、本発明のOCT4タンパク質は、SEQ ID番号3と相同なアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、前記OCT4タンパク質は、ホモサピエンスのOCT4タンパク質配列である。他の実施形態では、前記OCT4タンパク質は、非人類種に由来する。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0029】
他の実施形態では、本発明のOCT4タンパク質の配列は、次の配列を含む。
MCKLRPLLQKWVEEADNNENLQEICKAETLVQARKRKRTSIENRVRGNLENLFLQCPKPTLQQISHIAQQLGLEKDVVRVWFCNRRQKGKRSSSDYAQREDFEAAGSPFSGGPVSFPLAPGPHFGTPGYGSPHFTALYSSVPFPEGEAFPPVSVTTLGSPMHSN(SEQ ID番号4)。
他の実施形態では、本発明の前記OCT4タンパク質は、SEQ ID番号4と相同なアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、前記OCT4タンパク質は、ホモサピエンスのOCT4タンパク質である。他の実施形態では、前記OCT4タンパク質は、非ヒト種に由来する。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0030】
他の実施形態では、本発明のOct4応答性プロモータの配列は、
cacccaggggcggggccagaggtcaaggctagagggtggg(SEQ ID番号5)を含む。
他の実施形態では、本発明のOct4応答性プロモータは、SEQ ID番号5と相同な核酸配列を含む。他の実施形態では、前記Oct4応答性プロモータは、マウスのOCT4応答性プロモータ配列である。他の実施形態では、前記Oct4応答性プロモータは、ホモサピエンスに由来する。他の実施形態では、前記Oct4応答性プロモータは、非ヒト種に由来する。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0031】
他の実施形態では、本発明のOct4 DNA配列は、SEQ ID番号1又は2の配列と少なくとも60%相同する。他の実施形態では、本発明のOct4 DNA配列は、SEQ ID番号1又は2の配列と少なくとも70%相同する。他の実施形態では、本発明のOct4 DNA配列は、SEQ ID番号1又は2の配列と少なくとも80%相同する。他の実施形態では、本発明のOct4 DNA配列は、SEQ ID番号1又は2の配列と少なくとも90%相同する。他の実施形態では、本発明のOct4 DNA配列は、SEQ ID番号1又は2の配列と少なくとも95%相同する。
【0032】
他の実施形態では、本発明の前記Oct4 DNA配列は、SEQ ID番号5の配列と少なくとも60%相同する。他の実施形態では、本発明の前記Oct4 DNA配列は、SEQ ID番号5の配列と少なくとも70%相同する。他の実施形態では、本発明の前記Oct4 DNA配列は、SEQ ID番号5の配列と少なくとも80%相同する。他の実施形態では、本発明の前記Oct4 DNA配列は、SEQ ID番号5の配列と少なくとも90%相同する。他の実施形態では、本発明の前記Oct4 DNA配列は、SEQ ID番号5の配列と少なくとも95%相同する。
【0033】
他の実施形態では、本発明の前記Oct4 DNA配列は、SEQ ID番号3又は4の配列と少なくとも60%相同する。他の実施形態では、本発明の前記Oct4 DNA配列は、SEQ ID番号3又は4の配列と少なくとも70%相同する。他の実施形態では、本発明の前記Oct4 DNA配列は、SEQ ID番号3又は4の配列と少なくとも80%相同する。他の実施形態では、本発明の前記Oct4 DNA配列は、SEQ ID番号3又は4の配列と少なくとも90%相同する。他の実施形態では、本発明の前記Oct4 DNA配列は、SEQ ID番号3又は4の配列と少なくとも95%相同する。
【0034】
他の実施形態では、本発明の方法は、高純度のバイオマークされたNSC集団を提供する。他の実施形態では、本発明の方法によって提供された高純度のバイオマークされたNSC集団は、それらの蛍光特性を利用して様々な方法で研究される(図7〜9)。
【0035】
他の実施形態では、本発明の方法は、NSC表現型を失うことなく、少なくとも5世代に渡って継代することができるNSCを提供する。他の実施形態では、本発明の方法は、NSC表現型を失うことなく少なくとも8世代に渡って継代することができるNSCを提供する。他の実施形態では、本発明の方法は、NSC表現型を失うことなく少なくとも10世代に渡って継代することができるNSCを提供する。他の実施形態では、本発明の方法は、NSC表現型を失うことなく少なくとも15世代に渡って継代することができるNSCを提供する。他の実施形態では、本発明の方法は、NSC表現型を失うことなく少なくとも20世代に渡って継代することができるNSCを提供する。他の実施形態では、本発明の方法は、NSC表現型を失うことなく少なくとも25世代に渡って継代することができるNSCを提供する。他の実施形態では、本発明の方法は、NSC表現型を失うことなく少なくとも30世代に渡って継代することができるNSCを提供する。他の実施形態では、本発明の方法は、NSC表現型を失うことなく少なくとも35世代に渡って継代することができるNSCを提供する。他の実施形態では、本発明の方法は、NSC表現型を失うことなく少なくとも40世代に渡って継代することができるNSCを提供する。他の実施形態では、本発明の方法は、NSC表現型を失うことなく少なくとも45世代に渡って継代することができるNSCを提供する。他の実施形態では、本発明の方法は、NSC表現型を失うことなく少なくとも50世代に渡って継代することができるNSCを提供する。
【0036】
他の実施形態では、本発明の方法は、継代及びOct4発現の維持を、少なくとも5世代に渡ってすることができるNSCを提供する。他の実施形態では、本発明の方法は、継代及びOct4発現の維持を、少なくとも10世代に渡ってすることができるNSCを提供する。
【0037】
他の実施形態では、本発明の方法は、継代及びOct4発現の維持を、少なくとも15世代に渡ってすることができるNSCを提供する。他の実施形態では、本発明の方法は、継代及びOct4発現の維持を、少なくとも20世代に渡ってすることができるNSCを提供する。他の実施形態では、本発明の方法は、継代及びOct4発現の維持を、少なくとも25世代に渡ってすることができるNSCを提供する。他の実施形態では、本発明の方法は、継代及びOct4発現の維持を、少なくとも30世代に渡ってすることができるNSCを提供する。他の実施形態では、本発明の方法は、継代及びOct4発現の維持を、少なくとも35世代に渡ってすることができるNSCを提供する。他の実施形態では、本発明の方法は、継代及びOct4発現の維持を、少なくとも40世代に渡ってすることができるNSCを提供する。他の実施形態では、本発明の方法は、継代及びOct4発現の維持を、少なくとも45世代に渡ってすることができるNSCを提供する。他の実施形態では、本発明の方法は、継代及びOct4発現の維持を、少なくとも50世代に渡ってすることができるNSCを提供する。
【0038】
他の実施形態では、本発明の方法は、大容量培地内に拡散させた際に、望ましい純粋なNSC表現型を長期間失わないNSC集団を提供する。他の実施形態では、本発明の方法は、大容量培地内に拡散させた際に、OCT4発現を長期間失わないNSC集団を提供する。
【0039】
他の実施形態では、NSCは、幹細胞マーカーについて富化されている。他の実施形態では、前記幹細胞マーカーは、OCT4、Nanog、STAT3、又はそれらの組み合わせである。他の実施形態では、前記幹細胞マーカーは、OCT4などの転写因子である。他の実施形態では、OCT4は、NSC内で差次的に発現される。他の実施形態では、表面抗原に対する親和性に基づいてOCT4発現細胞を富化する免疫学的方法が使用される。他の実施形態では、NSCは、免疫磁性に基づいた細胞分離技術によって富化される。他の実施形態では、NSCは、表面抗原に対して特異的な抗体との培養による電気泳動移動度の減少に基づいた電気泳動細胞分離技術によって富化される。他の実施形態では、表面抗原に対して特異的な抗体との培養による電気泳動移動度の減少は、非キャッピング条件下(non-capping conditions)で実施される。他の実施形態では、NSCは、蛍光活性化細胞選別装置(fluorescence-activated cell sorter:FACS)、免疫磁性ビーズ、又は磁気活性化細胞選別装置(magnetic-activated cell sorter:MACS)によってさらに富化される。
【0040】
他の実施形態では、癌性細胞の混合集団は、OCT4陽性NSCを富化することができる球状細胞群(「球体(sphere)」)がNSCによって形成される非接着性細胞培養条件下で、成長させられる。他の実施形態では、図3に示すように、浮遊性球体に由来する細胞は、同等の接着性細胞培養物よりも高レベルのOCT4及びNanog mRNAを発現する。他の実施形態では、前記球体を構成する細胞は、浮遊性である。他の実施形態では、乳房の腫瘍試料からのNSCのインビトロ富化(in-vitro enrichment)は、非接着性の乳房球(mammasphere)細胞培養系を使用して実施される。他の実施形態では、骨肉腫瘍細胞からのNSCのインビトロ富化は、非接着性の肉腫球(sarcosphere)細胞培養系を使用して実施される。他の実施形態では、脳腫瘍細胞からのNSCのインビトロ富化は、非接着性の神経球(neurosphere)細胞培養系を使用して実施される。他の実施形態では、脳腫瘍細胞からのNSCのインビトロ富化は、浮遊性球体を使用して実施される。
【0041】
他の実施形態では、NSCが富化された癌性細胞亜集団は、OCT4発現について少なくとも60%陽性である。他の実施形態では、NSCが富化された癌性細胞亜集団は、OCT4発現について少なくとも70%陽性である。他の実施形態では、NSCが富化された癌性細胞亜集団は、OCT4発現について少なくとも80%陽性である。他の実施形態では、NSCが富化された癌性細胞亜集団は、Nanog発現について少なくとも80%陽性である。他の実施形態では、NSCが富化された癌性細胞亜集団は、STAT3発現について少なくとも80%陽性である。他の実施形態では、NSCが富化された癌性細胞亜集団は、OCT4発現、Nanog発現、STAT3発現、又はそれらの組み合わせについて少なくとも80%陽性である。他の実施形態では、NSCが富化された癌性細胞亜集団は、OCT4発現について少なくとも90%陽性である。他の実施形態では、NSCが富化された癌性細胞亜集団は、Nanog発現について少なくとも90%陽性である。他の実施形態では、NSCが富化された癌性細胞亜集団は、STAT3発現について少なくとも90%陽性である。他の実施形態では、NSCが富化された癌性細胞亜集団は、OCT4発現、Nanog発現、STAT3発現又はそれらの組み合わせについて少なくとも90%陽性である。他の実施形態では、NSCが富化された癌性細胞亜集団は、OCT4発現について少なくとも95%陽性である。他の実施形態では、NSCが富化された癌性細胞亜集団は、Nanog発現について少なくとも95%陽性である。他の実施形態では、NSCが富化された癌性細胞亜集団は、STAT3発現について少なくとも95%陽性である。他の実施形態では、NSCが富化された癌性細胞亜集団は、OCT4発現、Nanog発現、STAT3発現又はそれらの組み合わせについて少なくとも80%陽性である。
【0042】
他の実施形態では、本発明は、「材料及び方法」の欄で説明するように、FACS分析(図10)、in situ ハイブリダイゼーション、免疫組織化学、又はそれらの組み合わせによって、NSCが富化された癌性細胞亜集団のレベル測定を提供する。
【0043】
他の実施形態では、前記NSCが富化された集団は、OCT4発現が高いという特徴を有する。他の実施形態では、OCT4高発現は、βアクチン発現の少なくとも2倍である。他の実施形態では、OCT4高発現は、βアクチン発現の少なくとも4倍である。他の実施形態では、前記NSCが富化された集団は、Nanog、STAT3又はそれらの組み合わせの発現が高いという特徴を有する。
【0044】
他の実施形態では、OCT4、Nanog又はSTAT3の発現レベルは、mRNA転写レベルにより測定される。他の実施形態では、前記転写レベルは、図2Aに示すように及び「材料及び方法」の欄で説明するようにして、定量的又は半定量的PCR又はRT−PCR方法により測定される。他の実施形態では、OCT4、Nanog又はSTAT3の発現レベルは、タンパク質発現レベルにより測定される。他の実施形態では、前記タンパク質発現レベルは、図2Bに示すように及び「材料及び方法」の欄で説明するようにして、ウエスタンブロット分析により測定される。他の実施形態では、タンパク質の発現レベルは、レポーター遺伝子を使用して間接的に測定される。他の実施形態では、前記レポーター遺伝子は、EGFP構成体を含む。他の実施形態では、OCT4−EGFPをトランスフェクトされたグリア芽腫の細胞培養物(図7及び8参照)におけるOCT4発現レベルが、「材料及び方法」の欄で説明するようにして測定される。
【0045】
他の実施形態では、前記NSC亜集団は、「軟性」又は「硬性」腫瘍から富化される。他の実施形態では、「硬性」腫瘍は、他の実施形態において「軟性」に分類される白血病、リンパ腫、メラノーマ及び多発性骨髄腫を除く全ての腫瘍を含む。他の実施形態では、前記NSC亜集団は、単離された転移細胞から富化される。他の実施形態では、前記NSC亜集団は、腫瘍由来細胞株に由来する細胞を含有する組織培養物から富化される。
【0046】
他の実施形態では、本発明は、OCT4発現について富化されたNSC集団を含有する組成物を含む。他の実施形態では、本発明は、OCT4高発現について富化されたNSC集団を含有する組成物を含む。他の実施形態では、前記組成物は、ここで説明されるような、NSCを急激に増殖させ、NSC子孫細胞を生成させるような適切な環境をさらに有する。他の実施形態では、(NSC子孫細胞が置かれる)環境という用語は、NSCの成長及び発育に作用する及び影響を与える、外部又は外因性の物理的及び/又は化学的条件の組み合わせを指す。他の実施形態では、前記環境は、エクスビボ又はインビボであり得る。他の実施形態では、循環系(血管とリンパ管)は、子孫細胞を生成するようにNSCを誘導するインビボ環境としての機能を果すことができる。他の実施形態では、前記環境はエクスビボであり、培養器内の細胞培養媒体に置かれたNSCを含む。
【0047】
他の実施形態では、前記環境は、DMEM/F12を含有する細胞培養媒体をさらに含む。他の実施形態では、前記細胞培養媒体は、最終濃度が3%未満、好ましくは1.5%未満のメチルセルロースをさらに含有する。他の実施形態では、前記媒体には、8〜20%のウシ胎仔血清(fetal bovine serum:FBS)、30〜70%の初代ヒト包皮線維芽細胞の培養物由来媒体、又はそれらの組み合わせが添加される。他の実施形態では、前記媒体は、OCT4と結合するスクリーニング剤をさらに含有する。他の実施形態では、前記媒体は、OCT4応答配列と相互作用するスクリーニング剤をさらに含有する。
【0048】
他の実施形態では、前記媒体に、5〜500μMのプロゲステロン、5〜500μMのプロゲステロン、5〜500μMのプトレッシン、2〜100ng/mlの組み換え型EGF、20〜40μMの亜セレン酸ナトリウム、10〜40μg/mlのトランスフェリン、5〜50μg/mlのインスリン、2〜100ng/mlの組み換え型FGF2、又はそれらの組み合わせがさらに添加される。他の実施形態では、前記媒体に、8〜20%のウシ胎仔血清(FBS)、30〜70%の初代ヒト包皮線維芽細胞の培養物由来培地、又はそれらの組み合わせが添加される。他の実施形態では、前記媒体は、核酸を含有する。他の実施形態では、前記媒体は、プラスミドDNAを含有する。他の実施形態では、前記プラスミドDNAは、OCT4応答性プロモータを含む。他の実施形態では、前記OCT4応答性プロモータは、レポーター遺伝子に連結されている(図8)。他の実施形態では、前記OCT4応答性プロモータは、抗生物質抵抗性遺伝子に連結されている。他の実施形態では、前記媒体は、siRNAを含有する。他の実施形態では、前記siRNAアンチセンスは、抗OCT4、抗Nanog、抗STAT3、又はそれらの組み合わせをコードする。他の実施形態では、前記抗OCT4siRNAは、OCT4タンパク質のデノボ生成を抑制することによって(図4A)、クローン形成を抑制する(図4B)。
【0049】
他の実施形態では、細胞は、超低接着性の培養プレート上にプレートされる。他の実施形態では、前記細胞は、36〜42℃の温度に維持された培養器に入れられる。他の実施形態では、前記培養器は、さらに、4〜8%のCO2に維持される。他の実施形態では、前記培養器は、90〜100%の湿度に維持される。他の実施形態では、細胞は、1×102〜1×106細胞/cm2の最終密度でプレートされる。
【0050】
他の実施形態では、本発明のNSCは、細胞株に由来する。他の実施形態では、本発明のNSCは、初代細胞培養物に由来する。他の実施形態では、NSCを含む前記初代細胞培養物は、腫瘍又は転移細胞に由来する。他の実施形態では、本発明は、NSCを含有する腫瘍又は転移細胞を含む。他の実施形態では、腫瘍又は転移細胞は、次のものに由来する(ただし、これらに限定されるわけではない)。副腎皮質癌、肛門癌、膀胱癌、脳腫瘍、脳幹グリオーマ、脳腫瘍、小脳星細胞腫、大脳星細胞腫、上衣腫、髄芽腫、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、松果体部腫瘍、視床下部膠腫、乳癌、カルチノイド腫瘍、癌腫、子宮頸癌、結腸癌、子宮内膜癌、食道癌、肝外胆管癌、ユーイングファミリー腫瘍(原始神経外胚葉性腫瘍)、頭蓋外胚細胞腫瘍、眼癌、眼内黒色腫、胆嚢癌、胃癌、胚細胞腫瘍、性腺外妊娠性絨毛腫瘍、頭頸部癌、下咽頭癌、島細胞癌、喉頭癌、白血病、急性リンパ性白血病、口腔癌、肝臓癌、肺癌、小細胞性リンパ腫、エイズ関連リンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、皮膚T細胞性リンパ腫、ホジキン病、非ホジキン病、悪性中皮腫、黒色腫、メルケル細胞癌、転移性扁平上皮癌、多発性骨髄腫、形質細胞腫瘍、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄増殖症候群、鼻咽腔癌、神経芽細胞腫、口腔咽頭癌、骨肉腫、上皮性卵巣癌、卵巣胚細胞腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍、膵臓癌、膵臓外分泌腺癌、島細胞癌、副鼻腔および鼻腔癌、副甲状腺癌、陰茎癌、褐色細胞腫、下垂体癌、形質細胞腫、前立腺癌、横紋筋肉腫、直腸癌、腎細胞癌、唾液腺癌、セザリー症候群、皮膚癌、皮膚T細胞性リンパ腫、皮膚癌、カポジ肉腫、皮膚癌、黒色腫、小腸癌、軟部組織肉腫、軟部組織肉腫、精巣癌、胸腺腫、甲状腺悪性腫瘍、尿道癌、子宮癌、肉腫、小児にまれな癌、膣癌、外陰癌、又はウィルムス腫瘍。
【0051】
他の実施形態では、本発明は、NSCを同定する方法であって、OCT4と特異的に相互作用する作用物質を、初代細胞培養物又は細胞株培養物を含む細胞培養物に導入することによって、腫瘍細胞集団に接触させるステップを含む方法を提供する。他の実施形態では、NSC亜集団は、「軟性又は硬性」の腫瘍内で同定される。他の実施形態では、「硬性」の腫瘍は、「軟性」に分類される白血病、リンパ腫、メラノーマ、及び多発性骨髄腫を除く全ての腫瘍を含む。他の実施形態では、NSCは、転移細胞内で同定される。
【0052】
他の実施形態では、本発明は、NSCを同定する方法であって、ここに記載したように、OCT4と特異的に相互作用する作用物質を、腫瘍細胞集団に接触させるステップと、前記作用物質が特異的に相互作用した細胞を同定するステップとを含む方法を提供する。他の実施形態では、OCT4を同定する前記作用物質は、細胞膜と相互作用する。他の実施形態では、前記作用物質は、OCT4又はその断片をコードするPOU5F1遺伝子と相互作用する。他の実施形態では、前記作用物質は、OCT4又はその断片をコードするmRNAと相互作用する。他の実施形態では、前記作用物質は、OCT4タンパク質又はその断片と相互作用する。他の実施形態では、前記作用物質は、これに限定するものではないが、例えばリン酸化OCT4タンパク質などの、OCT4の特定の翻訳後形態と相互作用する。
【0053】
他の実施形態では、本発明は、DNA−RNAヘテロ二重鎖の形でOCT4 mRNAと特異的に相互作用するDNAプローブを使用してNSCを同定する方法を提供する。他の実施形態では、前記NSCを同定する方法は、RNA−RNAホモ二重鎖の形でOCT4 mRNAと特異的に相互作用するRNAプローブを使用する。他の実施形態では、前記NSCを同定する方法は、PNA−RNAヘテロ二重鎖の形でOCT4 mRNAと特異的に相互作用するペプチド核酸(PNA)プローブを使用する。他の実施形態では、前記核酸プローブ又はPNAプローブは、容易に同定できるラベルをさらに含む。他の実施形態では、前記方法は、OCT4発現細胞の選択的な同定を可能にする核酸を含む特異的プローブを使用する。
【0054】
他の実施形態では、本発明は、OCT4タンパク質又はその断片と特異的に相互作用するリガンドを含有するNSCを同定する方法を提供する。他の実施形態では、単クローン性又は多クローン性の抗OCT4抗体は、OCT4を検出するのに使用される。
【0055】
他の実施形態では、本発明は、OCT4発現細胞を検出する方法を提供する。他の実施形態では、前記検出方法は直接的であり、放射性標識を使用する。他の実施形態では、前記放射性標識は、例えば32P又は125Iなどの放射性化合物を含む。他の実施形態では、直接的な標識方法は、蛍光性、化学発光法、又は金標識を含む。他の実施形態では、前記検出方法は間接的であり、当業者に周知の免疫組織化学的プローブと類似する核酸プローブを含む。他の実施形態では、プローブは、検出可能な事象(例えば、化学発光、比色分析又は蛍光性)を引き起こす酵素をハイブリダイゼーションの部位に移動させるハプテン又はビオチンによって標識化される。他の実施形態では、検出信号の増幅が必要とされる場合は、一次抗体を特異的に同定する二次標識化抗体が使用される。他の実施形態では、抗体を含む特異的プローブを使用する前記方法は、OCT4発現細胞の選択的な同定を可能にする。
【0056】
他の実施形態では、OCT4発現のための異種細胞集団には、同定可能なレポーター遺伝子産物の発現を制御するOCT4応答性プロモータを含有するプラスミドがトランスフェクトされる。他の実施形態では、前記同定可能な遺伝子産物は、緑色蛍光タンパク質(GFP、Emerald、Azami Green又はZsGreenlなど)、青色蛍光タンパク質(EBFP又はSapphire)、シアン色蛍光タンパク質(Cerulean、 ECFP、AmCyanl又はMidoriishi-Cyan)、黄色蛍光タンパク質(ZsYellowl、PhiYFP、Citrine又はVenus)、オレンジ色蛍光タンパク質(Kusabira-Orange又はmOrange)、赤色蛍光タンパク質(DsRed、HcRed、mPlum、mRaspberry、mTomato、mStrawberry又はgreen-to-red fluorescent Dendra)を含む。他の実施形態では、前記同定可能な遺伝子産物は、細胞発現OCT4と非発現OCT4との間で、識別可能マーカーとしての役割を果す(図8)。
【0057】
他の実施形態では、本発明は、OCT4を発現するNSCを同定する方法であって、検出されたNSCを可視化するステップを含む方法を提供する。他の実施形態では、OCT4を発現するNSCの可視化は、標識化された試料をフイルムに露出することにより行われる。他の実施形態では、OCT4を発現するNSCの可視化は、蛍光顕微鏡を用いて行うことができる。他の実施形態では、OCT4を発現するNSCの可視化は、共焦点顕微鏡を用いて行うことができる。他の実施形態では、OCT4を発現するNSCの可視化は、電子顕微鏡を用いて行うことができる。他の実施形態では、OCT4を発現するNSCの可視化には、光学顕微鏡が使用される。一方、他の実施形態では、前記信号は、裸眼で検出可能である。他の実施形態では、上述した可視化方法の検出結果は、さらに、記録及び/又はCCDカメラ上で可視化することができる。
【0058】
他の実施形態では、本発明は、腫瘍性幹細胞を単離する方法であって、OCT4と特異的に相互作用する作用物質を、腫瘍細胞集団に接触させるステップを含む方法を提供する。他の実施形態では、初代細胞培養物又は細胞株培養物を含む細胞培養物が用いられる。
【0059】
他の実施形態では、本発明は、細胞単離方法を含む細胞分離方法を提供する。他の実施形態では、細胞分離方法の前に、組織解離技術が用いられる。他の実施形態では、組織分離を効果的にするために、例えば、リベラーゼ、トリプシン、エラスターゼ、ディスパーゼ、コラゲナーゼ又はそれらの組み合わせなどの酵素が用いられる。他の実施形態では、必要があれば、さらに細胞集合体をピペットの先端で粉砕して粉々にする。
【0060】
他の実施形態では、本発明は、腫瘍性幹細胞を単離する方法であって、腫瘍細胞に、OCT4と特異的に相互作用する作用物質を接触させるステップと、前記作用物質が特異的に相互作用する前記細胞を単離するステップとを含む方法を提供する。他の実施形態では、上述した、腫瘍性幹細胞を同定するための前記方法は、特に、腫瘍細胞に、OCT4タンパク質又はmRNAと特異的に相互作用する作用物質を接触させるステップは、NSCの単離にも使用可能である。
【0061】
他の実施形態では、本発明は、同定可能な及び/又は選択可能な遺伝子産物の発現を制御するOCT4応答性プロモータを含有するプラスミドがトランスフェクトされた異種細胞集団を提供する(図8)。他の実施形態では、上述した、様々な同定可能な蛍光タンパク質配列の使用を含む腫瘍性幹細胞を同定するための前記方法は、細胞分離方法にも用いられる。他の実施形態では、前記同定可能な遺伝子産物は、OCT4発現細胞を単離するのに選択的に使用され、結果として均一なOCT4発現NSCが得られる。
【0062】
他の実施形態では、OCT4を発現するNSCが、クロマトグラフィーカラム内で分離される。前記カラムに付着されたOCT4に特異的な抗体が、OCT4発現NSCと結合することにより、前記OCT4発現NSCを分離する。他の実施形態では、磁粉と共有結合しており、OCT4と特異的に相互作用する作用物質が、磁界内でOCT4発現NSCを保持するのに使用される。他の実施形態では、図10に示すように、蛍光標識を含む抗体で標識化されたOCT4発現NSCのFACSソートが、異種細胞集団からNSCを分離するのに用いられる。他の実施形態では、ここに記載した前記分離方法によって、単離されたOCT4発現細胞の集団を得ることができる。
【0063】
他の実施形態では、本発明は、OCT4を発現するNSCを富化する方法を提供する。他の実施形態では、初代細胞培養物は、OCT4発現細胞について富化されている。他の実施形態では、OCT4発現NSCを富化する方法に用いられる前記初代細胞培養物は、軟性腫瘍、硬性腫瘍又は転移細胞集団に由来する。他の実施形態では、前記OCT4発現NSC亜集団は、細胞株に由来する細胞を含有する組織培養物から富化される。
【0064】
他の実施形態では、本発明は、OCT4発現NSCを富化する方法であって、選択可能な遺伝子産物の発現を制御するOCT4応答性プロモータを含有するプラスミドを異種細胞集団にトランスフェクトするステップを含む方法を提供する(図8)。他の実施形態では、前記選択可能な遺伝子産物は、抗生物質抵抗性タンパク質をコードする。他の実施形態では、前記細胞富化方法は、選択物質をさらに含む。他の実施形態では、前記選択物質は、OCT4非発現細胞を選択的に除去する抗生物質であり、結果として富化されたOCT4発現NSC細胞集団を得られる。
【0065】
他の実施形態では、本発明は、癌を誘発する方法であって、OCT4発現について富化された腫瘍性幹細胞集団を哺乳類に導入する方法を提供する。他の実施形態では、前記癌を誘発する方法は、癌をもたらす細胞成長を促進するステップを含む。他の実施形態では、前記癌を誘発する方法は、癌を引き起こす転移細胞を提供するステップを含む。
【0066】
他の実施形態では、本発明のNSCは、乳房球(mammasphere)、肉腫球(sarcosphere)又は神経球(neurosphere)から単離され、癌誘発因子として使用される。他の実施形態では、動物にNSCが接種される。他の実施形態では、NSCは、静脈注入される。他の実施形態では、NSCは、骨に注入される。他の実施形態では、NSCは、動物の皮内、筋肉内又は腹腔内に注入される。他の実施形態では、NSCは、モデル動物の乳腺に直接的に注入される。他の実施形態では、接種は、モデル動物の脂肪体へのNSCの注入を含む。
【0067】
他の実施形態では、本発明は、癌を誘発する方法を提供する。他の実施形態では、ここに記載した前記癌を誘発する方法は、免疫不全げっ歯類を対象にして行われる。他の実施形態では、前記免疫不全げっ歯類は、ヌードマウス又はラットである。他の実施形態では、前記免疫不全げっ歯類は、SCIDマウスである。他の実施形態では、前記免疫不全げっ歯類は、NIH−IIIマウスである。
【0068】
他の実施形態では、本発明は、腫瘍又は転移を誘発する方法であって、OCT4発現について富化された腫瘍性幹細胞集団を哺乳類に導入するステップを含む方法を提供する。他の実施形態では、同所性腫瘍又は異所性腫瘍が誘発される(図11)。他の実施形態では、転移は、リンパ系を介して、血流を介して、体腔を介して広がることにより、又は、移植を介して起きる。
【0069】
他の実施形態では、本発明は、癌の進行及び/又は発症をインビボで分析する方法であって、OCT4高腫瘍性幹細胞を動物に移植するステップと、前記動物における癌の進行及び/又は発症を分析するステップとを含む方法を提供する。他の実施形態では、癌は、上皮性悪性腫瘍、非上皮性悪性腫瘍、リンパ腫、白血病、又は骨髄腫を含む。
【0070】
他の実施形態では、本発明のNSCは、OCT4高腫瘍性幹細胞に蛍光タンパク質をトランスフェクトすることにより標識化される。他の実施形態では、前記同定可能な遺伝子産物は、上述したような様々な蛍光タンパク質を含む。他の実施形態では、前記同定可能な遺伝子産物は、発光タンパクを含む。他の実施形態では、前記発光タンパクは、発光酵素である。他の実施形態では、動物モデルに移植された前記OCT4高腫瘍性幹細胞を追跡するのに、アイソトープが使用される。他の実施形態では、前記アイソトープは、32P、125I、124I、123I、14C、109Cd、51Cr、67Cu、179Ta、111In、18F、又はそれらの組み合わせを含む。他の実施形態では、細胞検出に、磁気標識が使用される。
【0071】
他の実施形態では、本発明の移植された標識化細胞は、単光子放射型コンピュータ断層撮影(single-photon emission computerised tomography:SPECT)装置、又は陽電子放出型断層撮影(positron emission tomography:PET)装置により追跡される。他の実施形態では、細胞を磁気標識した場合は、MRIが細胞検出に使用される。他の実施形態では、背面照射型の冷却電荷結合素子(CCD)カメラが発光検出に使用される。他の実施形態では、励起フィルター及び発光フィルターによるLED発光が、蛍光標識された細胞の検出に使用される。他の実施形態では、約490nmで発光する光ファイバーを有する照明ボックス、及び前記ボックスの頂部に配置されたフィルターが、大型腫瘍を画像化するのに使用される。他の実施形態では、光源及び約490nmで励起させるフィルターを備える蛍光解剖顕微鏡使用して、小型腫瘍及び転移が可視化される。他の実施形態では、カラーCCDカメラ並びに二重光子レーザが、蛍光タンパク質発現のインビボでの超高分解能画像化に使用される。
【0072】
他の実施形態では、本発明は、癌の進行及び/又は発症をインビボで分析する方法であって、細胞転移を検出するステップを含む方法を提供する。他の実施形態では、細胞転移の分析は、原発腫瘍とは不連続の部位での細胞の累進的成長の測定を含む。他の実施形態では、細胞転移の部位の分析は、新生腫瘍拡散の経路を含む。或る実施形態では、細胞は、血管、リンパ管、体腔、又はそれらの組み合わせを経由して分散する。他の実施形態では、細胞転移分析は、細胞移動、散布度、管外遊出、増殖又はそれらの組み合わせを考慮して行われる。
【0073】
他の実施形態では、本発明は、癌の進行及び/又は発症をインビボで分析する方法を提供する。他の実施形態では、癌の進行及び/又は発症のインビボでの分析は、腫瘍進行の程度の測定を含む。他の実施形態では、分析は、腫瘍の同定を含む(図11)。他の実施形態では、腫瘍進行の分析は、元の腫瘍又は「原発腫瘍」に対して行われる。他の実施形態では、当業者には周知のように、分析は、癌の種類に応じて長期間行われる(図11)。他の実施形態では、原発腫瘍の転移細胞に由来する二次性腫瘍がインビボで分析される。他の実施形態では、二次性腫瘍のサイズ及び形状が分析される。或る実施形態では、さらに、体外での分析が行われる。他の実施形態では、図1に示すように、軟骨肉腫又は骨肉腫におけるOCT4発現細胞の頻度が評価される。
【0074】
他の実施形態では、「評価(assessed)」、「スクリーン(screened)」、「評価」(evaluated)、「分析(analyzed)」は、同じ意味で使用される。
【0075】
他の実施形態では、当業者には周知のように、転移又は腫瘍の病理学的サンプルが、特定の時点で評価される。他の実施形態では、腫瘍抑制遺伝子、癌遺伝子、アポトーシス遺伝子、情報伝達遺伝子、レセプター、転写因子、リガンド又はそれらの組み合わせを分析する定量的又は定質的な方法は、PCR、ウエスタンブロット法、ノーザンブロット法、サザンブロット法、免疫組織化学的又はin situ ハイブリダイゼーションがさらに用いられる。
【0076】
他の実施形態では、腫瘍又は転移細胞が、更なる分析のために、病理学的サンプルから単離される。他の実施形態では、腫瘍又は転移細胞が、病理学的サンプルから単離され、培養物内で成長させられる。他の実施形態では、原発腫瘍細胞培養物の細胞増殖力が評価される。他の実施形態では、OCT4陽性細胞は、上述した方法に従って、腫瘍又は転移細胞を含有している病理学的サンプルから単離及び/又は富化される。他の実施形態では、前記腫瘍から単離されたOCT4陽性細胞が、さらに分析される。或る実施形態では、様々な作用物質がさらに、腫瘍又は転移初代細胞培養物に使用される。他の実施形態では、前記物質は、発癌物質である。他の実施形態では、前記物質は、プロアポトーシス物質又は分化誘発物質である。
【0077】
他の実施形態では、本発明は、初代細胞培養物に対する発癌物質の効果を評価する方法を提供する。他の実施形態では、前記発癌物質は、これに限定するものではないが、国際癌研究機関(International Agency for Research on Cancer:IARC)が分類したカテゴリー1〜3の発癌性物質を含む。
【0078】
他の実施形態では、本発明は、腫瘍又は転移細胞に由来する初代細胞培養物に対する治療薬の効果を評価する方法を提供する。他の実施形態では、腫瘍又は転移細胞に由来する初代細胞培養物において、治療薬がエクスビボでスクリーンされる。他の実施形態では、前記治療薬は、インターフェロン、インターロイキン、コロニー刺激因子、アルキル化剤、ニトロソウレア、代謝拮抗作用物質、抗腫瘍抗生作用物質、植物性(ビンカ)アルカロイド、ステロイドホルモン、又はそれらの組み合わせを含む。他の実施形態では、前記治療薬は、化学療法薬剤である。他の実施形態では、前記化学療法薬剤は、非特異的であり、それゆえに、細胞周期の全ての段階において癌性細胞を殺滅する。他の実施形態では、前記化学療法薬剤は、特異的であり、それゆえに、細胞周期の特定の段階において癌性細胞を殺滅する。
【0079】
他の実施形態では、本発明は、臨床腫瘍試料(原発的なものであろうと転移性であろうと)又は永久腫瘍細胞株に由来し、各癌幹細胞集団の単離及び増殖を可能にすべく操作可能な異種癌細胞集団を提供する。他の実施形態では、本発明は、Oct3/4転写因子プロモータによって駆動される蛍光性(又は発光性)タンパク質の発現を維持する能力に基づいて、NSCのサブセットを、同定、選別、及び培地内で安定的に維持するための方法を提供する。他の実施形態では、本発明は、胚発育(自己再生の過程を含む)に関して、SOX−2、Nanog及びSTAT3と協力して、正常な幹細胞表現型の調節因子として作用するOct3/4転写因子を提供する。
【0080】
他の実施形態では、本発明のNSCは、癌に関しては、適切な増殖制御を有しない。したがって、NSCの自己再生プロセスはチェックされないので、増殖部位において組織塊の形成異常が引き起こされる。他の実施形態では、本発明の方法は、上述した分子機構と平行して調節されるバイオカーカーの使用を提供する。他の実施形態では、これらの調節されたバイオマーカーは、癌細胞の「幹細胞らしさ(stemness)」をモニタする。
【0081】
他の実施形態では、本発明は、NSC集団の「相対的生存能力」及び「幹細胞らしさ」のモニタを可能にする。
【0082】
他の実施形態では、本発明は、体内器官への転移の原因となるNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、体内器官への転移に必要なNSCを提供する。他の実施形態では、本発明は、治療(手術、放射線療法、化学療法)の実施後に原発部位での再発癌の成長の原因となるNSCを提供する。他の実施形態では、本発明の方法は、転移能力を有するNSCを標的にする薬剤の同定を可能にするプラットフォームを提供する。
【0083】
他の実施形態では、本発明の方法は、小型フォーマットで培養された細胞を使用して実施される。他の実施形態では、本発明の小型フォーマットで培養された細胞は、マルチウェルプレートを含む。他の実施形態では、本発明のマルチウェルプレートは、96ウエルを含む。他の実施形態では、本発明のマルチウェルプレートは、384ウエルを含む(実施例2)。他の実施形態では、本発明のマルチウェルプレートは、1536ウエルを含む。他の実施形態では、本発明のマルチウェルプレートは、2〜5000ウエルを含む。他の実施形態では、本発明のマルチウェルプレートは、20〜3000ウエルを含む。他の実施形態では、本発明のマルチウェルプレートは、96〜2000ウエルを含む。
【0084】
他の実施形態では、本発明は、初代細胞培養物に由来する腫瘍に対する、光線力学療法(photodynamic therapy:PDT)の効果を評価する方法を提供する。他の実施形態では、初代細胞培養物に由来する腫瘍に対する、単独での又は他の任意の治療薬と組み合わせた放射線治療又は高周波アブレーションの効果がさらに評価される。他の実施形態では、初代細胞培養物に由来する腫瘍に対する、化学塞栓術の効果がさらに評価される。他の実施形態では、初代細胞培養物に由来する腫瘍に対する、局所温熱法の効果が分析される。
【0085】
他の実施形態では、本発明は、OCT4発現NSCが移植された動物に、所望の作用物質をインビボで投与する方法を提供する。他の実施形態では、前記OCT4発現NSCは、OCT4高を発現する。他の実施形態では、作用物質の投与は、当該技術分野では周知の方法に従って行われる。他の実施形態では、当該技術分野では周知のように、単数又は複数の作用物質の単数回又は複数回の投与が必要とされる。他の実施形態では、前記単数又は複数の作用物質は、当該技術分野では周知のように、癌の進行及び/又は退行に応じて、数日又は数週間或いは数ヶ月〜数年の期間に渡って投与される。他の実施形態では、前記作用物質は、発癌性物質である。他の実施形態では、前記発癌性物質は、国際癌研究機関(IARC)が分類したカテゴリー1〜3の発癌性物質を含む。他の実施形態では、前記作用物質は、治療薬である。
【0086】
他の実施形態では、本発明は、癌進行に対する治療薬の効果を調査するための手段を提供する(図12)。他の実施形態では、細胞転移能力に対する治療薬の効果が評価される。他の実施形態では、軟性腫瘍に対する治療薬の効果が評価される。他の実施形態では、硬性腫瘍に対する治療薬の効果が評価される。他の実施形態では、一次的及び/又は二次的腫瘍の成長に対する治療薬の効果が評価される。
【0087】
他の実施形態では、OCT4又はOCT4高腫瘍性幹細胞(図12)が移植された動物にインビボで投与される前記治療薬は、インターフェロン、インターロイキン、コロニー刺激因子、アルキル化剤、ニトロソ尿素、代謝拮抗物質、抗腫瘍抗生物質、植物性(ビンカ)アルカロイド、ステロイドホルモン、又はそれらの組み合わせを含む。他の実施形態では、前記治療薬は、化学療法薬剤である。他の実施形態では、前記化学療法薬剤は、非特異性であり、それゆえに、細胞周期のあらゆる段階において癌性細胞を殺滅する能力を有する。他の実施形態では、前記化学療法薬剤は特異性であり、それゆえに、細胞周期の特定の段階において癌性細胞を殺滅する。
【0088】
他の実施形態では、OCT4高腫瘍性幹細胞が移植された動物におけるPDTのインビボでの効果が評価される。他の実施形態では、単独での又は他の任意の治療薬と組み合わせた放射線治療又は高周波アブレーションのインビボでの効果がさらに評価される。他の実施形態では、癌進行及び/又は退行に対する、化学塞栓術又は局所温熱法のインビボでの効果がさらに評価される。
【0089】
他の実施形態では、腫瘍又は初代細胞培養物に由来するOCT4高腫瘍性幹細胞が形質移入された動物における、生物学的療法のインビボでの効果が分析される。他の実施形態では、生物学的療法は、免疫療法を含む。他の実施形態では、免疫療法は、上述したような、Nanog、STAT3、OCT4又はそれらの組み合わせ由来する免疫原性断片を含むワクチンの使用を含む。他の実施形態では、非特異的免疫抑制薬の効果が評価される。他の実施形態では、前記非特異的免疫抑制薬は、BCG(bacillus Calmette-Gueriri)又はレバミゾールである。
【0090】
他の実施形態では、OCT4修飾因子が、OCT4hi腫瘍性幹細胞が移植された動物の癌の進行又は退行について、インビボでスクリーンされる(図12)。他の実施形態では、OCT4モノクローナル抗体が、インビボでスクリーンされる。他の実施形態では、OCT4タンパク質に特異的なイントラボディ(intrabody)が、インビボでスクリーンされる。他の実施形態では、図4に示すように、PNA、アプタマー、又はアンチセンスのsiRNAが、インビボでさらに評価される。
【0091】
他の実施形態では、本発明は、癌、腫瘍成長、細胞転移、又はそれらの組み合わせを、予防、治療、阻害又は抑制する方法であって、OCT4の発現又は機能を抑制する薬剤を腫瘍細胞に接触させるステップを含む方法を提供する。他の実施形態では、OCT4は、一時的に抑制される。他の実施形態では、OCT4は、構成的に抑制される。
【0092】
他の実施形態では、本発明は、OCT4を抑制する方法であって、DNAレベルでのOCT4発現を目的とし、それにより、OCT4転写を抑制又は阻害するようにしたステップを含む方法を提供する。他の実施形態では、DNAレベルでのOCT4の抑制は、DNA三本鎖構造の形成によって達成される。他の実施形態では、前記三本らせん抑制複合体は、OCT4遺伝子に特異的なオリゴヌクレオチドとしてデザインされ、それにより、OCT4転写を抑制する。
【0093】
他の実施形態では、本発明は、OCT4を抑制する方法であって、RNAレベルでOCT4発現を目的とし、それにより、OCT4発現を抑制するようにしたステップを含む方法を提供する。他の実施形態では、RNAは、mRNAである。他の実施形態では、アンチセンスに基づいた治療が、OCT4の抑制に使用される。他の実施形態では、合成オリゴヌクレオチドが、特定のOCT4 mRNA配列と相補的になるように設計され、それにより、OCT4発現を抑制される。
【0094】
他の実施形態では、本発明は、OCT4 mRNA配列とハイブリタイズしてOCT4発現を抑制するように人工的に構成されたペプチド核酸(PNA)を提供する。他の実施形態では、前記結合物質は、OCT4 mRNA転写物を開裂してOCT4発現を抑制するように特に人工的に作り出されたリボザイムである。
【0095】
他の実施形態では、OCT4機能を抑制する前記方法は、OCT4タンパク質を標的にするステップを含む。他の実施形態では、OCT4機能の抑制は、抗体のOCT4タンパク質への特異的結合によって達成され、それにより、OCT4タンパク質のOCT4 DNA応答配列への結合を抑制又は阻害する。他の実施形態では、免疫療法後に増加させられたイントラボディ(intabody)又は抗体が、OCT4機能を抑制又は阻害する。
【0096】
他の実施形態では、本発明は、OCT4タンパク質に特異的なイントラボディを提供する。他の実施形態では、イントラボディは、軽鎖の可変領域にペプチドリンカーを介して結合された重鎖の可変領域の単一鎖を有し、OCT4タンパク質のOCT4 DNA応答配列への結合を阻害するのに使用される。他の実施形態では、イントラボディは、細胞核に導かれ、OCT4タンパク質のOCT4 DNA応答配列への結合を抑制又は阻害する。他の実施形態では、前記イントラボディは、OCT4タンパク質のDNA結合領域を標的にし、それにより、OCT4タンパク質のOCT4 DNA応答配列への結合を抑制又は阻害する。
【0097】
他の実施形態では、本発明は、OCT4ペプチドを含有するワクチンを提供する。他の実施形態では、前記OCT4ペプチドは、OCT4に対して特異的な抗体を増加させる。他の実施形態では、前記ペプチドは、完全長OCT4遺伝子から成る。他の実施形態では、前記ペプチドは、OCT4の突然変異型である。他の実施形態では、長さが4〜18アミノ酸のOCT4ペプチドが使用される。他の実施形態では、前記ワクチンは、長さ及び配列が均一なOCT4ペプチドを含有する。他の実施形態では、前記ワクチンは、長さ及び配列の両方が異なる複数のOCT4ペプチドの混合物を含有する。
【0098】
他の実施形態では、OCT4タンパク配列と特異的に結合するオリゴヌクレオチド・アプタマーが使用され、それにより、OCT4タンパク質のOCT4DNA応答配列への結合を抑制又は阻害する。
【0099】
他の実施形態では、本発明は、変異型OCT4タンパク質を提供する。他の実施形態では、前記変異型OCT4タンパク質は、下流OCT4応答性遺伝子の転写を阻害するのに使用される。他の実施形態では、OCT4応答性遺伝子発現の抑制又は阻害に使用される前記変異型OCT4タンパク質は、OCT4DNA応答性遺伝子に対しては、野生型OCT4タンパク質と同様な親和性を有する。他の実施形態では、OCT4応答性遺伝子発現の抑制又は阻害に使用される前記変異型OCT4タンパク質は、OCT4DNA応答性遺伝子に対しては、野生型OCT4タンパク質よりも高い親和性を有する。
【0100】
≪材料及び方法≫
【0101】
組織におけるOCT4、STAT3又はNanog陽性細胞の免疫組織化学的同定
【0102】
ヒト及びマウスからの腫瘍生検のOCT4、STAT3又はNanog組織学的解析のための免疫組織化学的染色を次のようにして行った。ホルマリンで固定し、パラフィンに包埋した組織切片(5μm)を、トリロジー(Trilogy,登録商標)アンマスキング溶液(Cell Marque, Hot Springs AR)内において95℃で25分間抗原回復を行った後、連続的に脱パラフィンし、再水和し、内因性ペルオキシダーゼ活性をブロッキングした。ヤギABC Elite Kit(Vector Labs, Burlingame, CA)を用いて、スライドをビオチンブロッキングし、血清ブロッキングし、免疫染色した。OCT3/4、STAT3及びNanogに対する抗体(R&D Systems, Minneapolis, MN)を、1:50希釈で加え、室温で1時間反応させた。DAB(3,3'-Diaminobenzidene)によりポジティブ染色を検出し、ライトグリーンSFイエローイッシュ又はヘマトキシリン(Sigma, St. Louis, MO)を対比染色剤として用いた。あるいは、クライオスタットによる薄片作成のために原発性乳癌病巣及び脳及び肺を収集した。組織をクライオスタットで16μmに切断し、軸平面(乳房及び肺)及び冠状面(脳)のセットを作成した。あるセットにはヘマトキシリン‐エオシン(H&E)染色法を実行し、別のセットには免疫組織化学法を行った。免疫組織化学法は次の手順で実施した。凍結した乳房、肺及び脳切片を、(1)2%無脂肪乳及び0.3%トライトンXを含むPBS中で1時間インキュベートし、(2)OCT4、STAT3又はNanog抗体を含む3%ロバ血清及び0.1%トライトンX中で、室温で一晩インキュベートし、(3)PBSで3回洗浄し、(4)二次抗体で、室温で4時間インキュベートし、(5)PBSで3回洗浄し、(6)濃度勾配エタノールにより脱水し、キシレンで洗浄し、DPX封入剤でカバースリッピングした(44581, Fluka Biochemika)。免疫活性をバイオ・ラッド社製の共焦点顕微鏡により可視化し、後の解析のために画像をコンピュータに収集した。
【0103】
OCT4、STAT3又はNanog陽性細胞培養物の免疫細胞化学的同定
【0104】
ヒト及びマウスの腫瘍バイオプシの初代培養におけるOCT4、STAT3又はNanog陽性細胞を同定するための免疫組織化学的染色を行った。DMEM/F12培地において試料を300U/mlのコラゲナーゼ・タイプII(Gibco BRL Invitrogen Corporation, Grand Island, NY, USA)で3〜6時間消化して小粒子に細分化した後、70μmセルストレーナー(Cell Strainer)(Becton Dickinson Lab Ware, Franklin Lakes, NJ USA)を通過させて単細胞懸濁液を作成した。次に、培地を捨て、細胞をPBSで洗浄し、培養培地に懸濁させてプレートした。細胞が付着した後、0.1%のトライトンX‐100と共に新鮮な4%ホルマリンを含む固定化溶液を加えた。ヤギABC Elite Kit(Vector Labs, Burlingame, CA)を用いてビオチンブロッキング、血清ブロッキング、免疫染色した後に、細胞の内因性ペルオキシダーゼ活性をブロッキングした。OCT3/4、STAT3及びNanogに対する抗体(R&D Systems, Minneapolis, MN)を1:200の希釈率で加え、室温で30分間反応させた。DAB(3,3'-Diaminobenzidene)によりポジティブ染色を検出し、ヘマトキシリン(Sigma, St. Louis, MO)を対比染色剤として用いた。
【0105】
OCT4−EGFP及びNanog−EGFP構築物
【0106】
従来公知の方法及び技術(Gerrard et al., 2005)を用いて、OCT4−EGFP及びNanog−EGFP構築物を作成した。OCT4及びNanogプロモータの制御下で、EGFPレポーター(pEGFP1,BD Biosciences)及び選択可能なマーカーG418を含むプラスミドを使用した。ヒトOCT4のプロモータ断片は、OCT4遺伝子の塩基‐3917から塩基+55まで(hOCT4pr:ヒトDNA配列において67539から71490まで)に及ぶ、特異的なEGFP発現を発生させるように駆動する2つの適切な調節要素を含む。ヒトNanogのプロモータ断片は、塩基−132から塩基+300まで(染色体12のヒトゲノムDNA配列において塩基697969から塩基701269まで)に及ぶ。
【0107】
バイオマークされた細胞を作成するために用いられる発現ベクター
【0108】
Oct−4プロモータ(OCT4hP,アクセス番号AP000509のヒトDNA配列において67539から71490まで)を用いてOCT4hP‐eGFPプラスミドを構築した。Oct−4プロモータは、ヒトゲノムDNA(Promega G3041)を鋳型として用いて、プライマーOct4hP‐F(5'-TT CCC ATG TCA AGT AAG TGG GGT GG-3')及びOct4hP−R(5'-CGA GAA GGC AAA ATC TGA AGC CAG G-3')を使用したポリメラーゼ連鎖反応法により増幅させた。この断片をTOPOベクター(Invitrogen)にクローンし、DNA配列の忠実度を双方向性DNAシーケンシングにより確認した。次に、OCT4hPを、発現ベクターpEGFPl(Clontech Cat # 6086-1,Genbankアクセス番号U55761)のeGFPの上流にあるHindIII及びBamH1部位に挿入することによってこのプラスミドにクローンした(図12A)。
【0109】
グリア芽細胞腫、骨肉腫及び乳癌からのNSCの単離及び解析のための神経球培養系の改変
【0110】
ワイスとレイノルズ(Weiss and Raynolds, 1992)が提唱した神経球培養系を、半固体メチルセルロース(MC)において多面発現的な成長因子EGF、FGF2及びインスリンを活用して細胞の基質付着能力を抑制することによって改変した。この実験では、図7に示すように、NSCに、OCT4のヒトプロモータ下流でEFGP及びG418遺伝子を有するEGFPレポータープラスミドをトランスフェクトした。
【0111】
病変及び病巣の精査
【0112】
GFP3フィルタ(蛍光能力用)を備えたライカMZ16FA解剖顕微鏡と、インビトロ試験及び分子解析用のRGBフィルタを備えたQImaging社のRetiga EXiモノクロデジタルカメラとを用いて、病変及び病巣をそれらのそれぞれの組織位置から精査した。この腫瘍物質を、様々な分析法を用いてさらに試験した。
【0113】
RNA単離及び標的cDNA増幅
【0114】
RNeasyミニキット及びDNAアーゼ処理用のRNAアーゼフリー・DNアーゼセット(Qiagensciences, MD, USA)を用いて全RNAを単離した。スーパースクリプトII RNアーゼ H+逆転写酵素ファーストストランド合成システム(InVitrogen Life Technologies, Carlsbad, CA)を用いて、Oligo(dT)12−18(Invitrogen Life Technologies, Carlsbad, CA)をプライミングすることによって1.5μgの全RNAからcDNAを合成した。プラチナTaq DNAポリメラーゼ(InVitrogen Life Technologies, Carlsbad, CA)を用いて37サイクルのPCRを行うことによって、標的cDNAを増幅した。ヒトβチューブリンIII用のプライマーを使用して、Hbeta4遺伝子の非翻訳3’UTR領域から転写された1356〜1497bp産物を増幅した(Kavallaris et al., 1997)。ヒトOCT3/4(アクセス番号Z11898)、Nanog(NM 024865)、STAT3(NM 139276)、Gata−4(NM 002052)、‐6(NM 005257)、AFP(NM 001134)、Runx 1(NM 001754)のためのプライマーを、Oligo5.1プログラムを用いることによって独自に作成した。全てのプライマーを表1に示す。
【0115】
【表1】
【0116】
ウエスタンブロット解析
【0117】
50mMのTris‐HCl、150mMのNaCl、1mMのEDTA、1%のNP40、0.1%のSDS、1%のデオキシコール酸ナトリウム、1%のバナジン酸ナトリウムと、以下のプロテアーゼ阻害剤、すなわち、5μg/mlのペプスタチン、1mMのフッ化フェニルメチルスルホニル、10μg/mlのロイペプチン、1mMのNaF(Sigma Chemical Co., St. Louis, MO)とを含む溶解緩衝液に、細胞を、少なくとも1時間氷上で溶解した。遠心分離(12,000gで4℃、10分間)した後、上清のタンパク質濃度を、Benchmarkマイクロプレートリーダー(Bio Rad Laboratories, Hercules, CA, USA)を用いてBCAタンパク質アッセイキット(Pierce, Rockford, IL)によって測定した。溶解産物をLaemmli緩衝液(Sigma Chemical Co., St. Louis, MO)と混合した(1:1)。15μgのタンパク質を、8〜16%又は10〜20%のTris‐HClレディーゲル(Bio Rad Laboratories, Hercules, CA)の各レーンに入れ、電気泳動によって分離した。タンパク質が転写されたニトロセルロース膜(Sigma Chemical Co., St. Louis, MO)を、メーカーが推奨するようにブロックし、4℃で振盪しながら対応する一次抗体と共に一晩インキュベートした。ここで、一次抗体は、STAT3(R&D Systems)、ホスホ‐Tyr705 STAT3(Cell Signaling Technology, BL)、βIIIチューブリン(BAbCO, Berkeley, CA)、βアクチン(Sigma Chemical Co., St. Louis, MO)、αフェトプロテイン(Santa Cruz Biotech, CA)、OCT‐3/4(Santa Cruz Biotech, CA)、Nanog(RD systems)に対する一次抗体であり、5%ウシ血清(Sigma Chemical Co., St. Louis, MO)含有トリス緩衝生理食塩水(TBS)及び0.1%トウィーン20(Bio-Rad Laboratories, Hercules, CA, USA)を含む溶液で希釈されたものである。0.1%トウィーン20を含むTBSで洗浄した後、ペルオキシダーゼ接合ヤギ抗マウス又はウサギIgG二次抗体(Cell Signaling Technology, IL)又はウサギ抗ヤギIgG抗体(Jackson Immuno Research Laboratories, West Grove, PA)と共にブロットをインキュベートした。免疫反応バンドをECL+ウエスタンブロッティング検出試薬(Amersham Biosciences, UK)によって60秒間以上検出し、X線フィルムに露光した。
【0118】
トランスフェクションの前及び後の細胞培養液
【0119】
37℃、7.0% CO2下で、10%(vol/vol)のキャラクタライズド・ウシ胎仔血清(FBS)(HyClone, Logan, Utah, USA)含有DMEM/F12培地にて細胞を培養した。ギブコ社製のセルポレーターパルサーを用いて電気穿孔法によって全ての細胞をトランスフェクトした。細胞懸濁液に10μgのプラスミドDNAを添加し、当業者に既知のプロトコルに従ってトランスフェクトした(図11C)。電気穿孔法の後、0.8%のMC、プロゲステロン(20nM)、プトレッシン(100μM)、亜セレン酸ナトリウム(30nM)、トランスフェリン(25μg/ml)、インスリン(20μg/ml)(Sigma Chemical Co., St. Louis, MO, USA)、成長因子EGF(10ng/ml)及び組換えFGF2(10ng/ml)を含むDMEM/F12に全懸濁液を60,000細胞/2ml/wellの密度でプレートした。
【0120】
トランスフェクトされたEGFP‐乳房球クローンの選択
【0121】
トランスフェクトされたEGFP‐乳房球クローンを選択するため、3日間の培養の後、G418を加えた(200mg/ml)。G418を含んだプレート中では、緑色EGFP陽性クローンのみが発生し、更なる操作のためにそれらの細胞を収集した。作成したEGFP陽性乳房球を用いて、EGFPが安定に組み込まれたEGFP亜集団を確立した。Oct4プロモータの制御下でEGFPを発現する緑色緑色乳房球は、付着せずに、懸濁した状態で増殖した(図7B)。蛍光顕微鏡下でEGFP細胞を直接的に単離した(図11D)。
【0122】
例1:腫瘍におけるOCT4発現細胞の頻度
【0123】
腫瘍におけるOCT4発現細胞の頻度をより良好に調査するために、骨肉腫腫瘍、グリア芽細胞腫腫瘍及び腺管癌に由来する連続切片に関して免疫組織化学的解析を行った。図1の結果は、骨肉腫及びグリア芽細胞腫の腫瘍にOCT4陽性核が存在することを示しており、さらに、図6A及び図6Bの結果は、それぞれ、腺管癌及び脳に転移した乳癌にもOCT4陽性核が存在することを示している。OCT4陽性細胞は腺管癌及び転移した乳癌の両方において観察されるが、腺管癌に包含される原発性乳癌(図6A)に比べてより高頻度のOCT4陽性核が脳に転移した乳癌(図6B)で観察された。腫瘍及び転移癌は共にOCT4陽性細胞を含むので、本明細書に記載の方法によれば、これらのOCT4陽性細胞は癌治療において有効な標的であることがわかる。
【0124】
例2:OCT4、Nanog及びSTAT3は、グリア芽細胞腫臨床材料及び細胞株において一斉に発現する
【0125】
OCT4、Nanog及びSTAT3がグリア芽細胞腫臨床材料及び細胞株LN18、LN229、LN428及びU251で同時発現するか否かを判定するために、半定量RT−PCR解析を行い、その後にウエスタンブロット解析を行った。図2Aに示されている結果は、OCT4、Nanog及びSTAT3のmRNA発現が中程度から高いことを示す。タンパク質発現レベルは、図2Bに示されているように、mRNA発現レベルと相関していた。図2Bでは、OCT4、Nanog及びSTAT3のタンパク質発現レベルが中程度から高いことが示されている
【0126】
例3:基質に付着状態又は非付着状態で増殖した腫瘍細胞におけるOCT4発現
【0127】
腫瘍細胞におけるOCT4発現の細胞−基質付着に対する影響を調べるために、骨肉腫及び乳癌細胞を基質に付着させた状態で、或いは、肉腫球又は乳房球として非付着状態で増殖させた。図3に示す結果は、次のことを示す。OCT4及びNanogの高発現は細胞付着に依存しているので、非付着状態すなわち肉腫球及び乳房球の形態で増殖した腫瘍細胞ではOCT4及びNanogは高度に発現されるが、付着状態で増殖した腫瘍細胞ではNanog及びOCT4の発現は比較的低い(発現は抑制される)。
【0128】
例4:神経球系で培養された神経膠腫由来の腫瘍幹細胞からのクローン生成におけるOCT4の役割
【0129】
モデル培養系において自己複製の維持におけるOCT4遺伝子の機能的役割をテストするために、POU5F1/OCT4遺伝子に対してsiRNAサイレンシングを行い、評価した(図4)。この目的のために、2つの細胞株及び患者から単離された原発腫瘍培養物を含む3つの代表的なグリア芽細胞腫細胞型に由来する腫瘍細胞に、EGFP及びOCT4 siRNAを同時にトランスフェクトし、神経球培養系内でプレートした。これと並行して、EGFP及びスクランブル対照siRNAを細胞に同時にトランスフェクトして実験を行った。EGFP及びsiRNAを形質移入されたクローンは、プレーティング後7日目に可視化された(図4A)。細胞にOCT4‐siRNAをトランスフェクトすることにより作成された検出可能なEGFPを有するクローンの割合は、対照のものと比較して60%以上低下した(図4B)。これらの結果は、成長抑圧条件下で神経球培養系にプレートした腫瘍由来細胞の内因性OCT4をsiRNAで下方制御すると、腫瘍由来EGFP含有細胞によるクローン形成が著しく低下することを示す。
【0130】
例5:MDA−MB−231乳癌細胞株をEGFPで標識し、同所性腫瘍形成におけるNSCの関与を判断する
【0131】
ヌードマウスにおいてOct4プロモータ下でEGFPを安定的に発現する乳癌細胞株細胞株MDA−MB−231由来の腫瘍幹細胞を使用して、NSCの同所性腫瘍形成能を評価した。この分析は、EGFP発現が内因性OCT4遺伝子発現と相関するという推測に基づいて行った。OCT4陽性及びOCT4陰性MDA−MB−231乳癌細胞にOCT4‐EGFR構築物をトランスフェクトし、FACSでソーティングし、4つのグループ(各グループ:3匹)に分けられたマウスに接種した。グループ1には動物1匹につき5,000のOCT4陽性細胞を接種し、グループ2には動物1匹につき50,000のOCT4陽性細胞を接種し、グループ3には動物1匹につき500,000のOCT4陽性細胞を接種し、グループ4には動物1匹につき500,000のOCT4陰性細胞を接種した。図11のグラフは、OCT4陽性細胞を接種した動物では、接種後37日目に腫瘍の発生は始まったが、OCT4陰性細胞を接種した動物では、50日目に腫瘍の発生が始まったことを示している。また、この結果は、単離されたEGFP陽性細胞が、OCT4、EGFP、CD44、AC133及びES細胞マーカーSSEA4を発現したことも示している(表2参照)。
【0132】
表2:MDA−MB−231乳癌細胞及び陽性対照細胞における幹細胞マーカーのFACS分析(結果はパーセンテージで示している)
【0133】
【表2】
【0134】
例6:Oct3/4プロモータによって駆動される蛍光バイオマーカーは、強力であり、癌幹細胞に対して特異的である
【0135】
乳房球培養物はMDA‐MB‐435黒色腫細胞株に由来し、Oct‐3/4発現癌幹細胞の存在についてバイオマークされている。OCT4hP‐eGFP及びCMV‐mRFPをMDA‐MB‐435細胞に、安定的にトランスフェクトした。その後、前記細胞をGFP発現細胞についてFACSソートして、更なる研究用の高純度の癌幹細胞集団を作成した。図13Bに示す懸濁状態の腫瘍由来球体の蛍光顕微鏡写真は、Oct3/4プロモータによって駆動される蛍光バイオマーカーが強力であり、癌幹細胞に対して特異的であることを実証している。さらに、図13Dに示す付着腫瘍球体の蛍光顕微鏡写真も、同様のことを実証している。これらの結果は、Oct3/4プロモータにより駆動された蛍光は、強力であり、様々な系における治療対象として研究のためにバイオマークされた癌幹細胞に対して特異的であることを実証している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
OCT4の発現について富化された単離された腫瘍性幹細胞集団。
【請求項2】
請求項1に記載の集団であって、OCT4の高発現に特徴付けられる集団。
【請求項3】
請求項1に記載の集団を含有する組成物。
【請求項4】
請求項3に記載の組成物であって、
細胞培地をさらに含み、
前記培地の約50%が、初代ヒト包皮線維芽細胞の培地に由来することを特徴とする組成物。
【請求項5】
請求項4に記載の組成物であって、
前記培地が、最大で約15%の血清を含有することを特徴とする組成物。
【請求項6】
請求項4に記載の組成物であって、
前記培地は、EGF、FGF2、インスリン又はそれらの組み合わせが欠失していることを特徴とする組成物。
【請求項7】
腫瘍性幹細胞を同定する方法であって、
(a)OCT4と特異的に相互作用する作用物質を、腫瘍細胞集団に接触させるステップと、
(b)前記作用物質が特異的に相互作用する細胞を同定するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
腫瘍性幹細胞を単離する方法であって、
(a)OCT4と特異的に相互作用する作用物質を、腫瘍細胞集団に接触させるステップと、
(b)前記作用物質が特異的に相互作用した細胞を単離するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の方法であって、
前記作用物質が核酸を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項7又は8に記載の方法であって、
前記作用物質がOCT4抗体であることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項7又は8に記載の方法であって、
前記同定するステップは、蛍光顕微鏡又は蛍光活性化細胞選別装置(FACS)の使用をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項7又は8に記載の方法であって、
前記腫瘍細胞は、固形腫瘍に由来することを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項7又は8に記載の方法であって、
腫瘍細胞は、転移性であることを特徴とする方法。
【請求項14】
腫瘍細胞集団を腫瘍性幹細胞について富化する方法であって、
(a)複数の癌性細胞を含有する混合細胞集団に、OCT4プロモータに作動可能に連結された抗生物質抵抗性遺伝子を含有するベクターを接触させるステップと、
(b)前記抗生物質の存在下で前記細胞を培養するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
前記培養するステップは、細胞培地で行われ、
前記細胞培地の約50%が初代ヒト包皮線維芽細胞の培養培地に由来することを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項14に記載の方法であって、
前記混合細胞集団は、細胞株に由来することを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項14に記載の方法であって、
前記混合細胞集団は、腫瘍に由来する初代細胞培養物であることを特徴とする方法。
【請求項18】
癌を誘発する方法であって、
OCT4の発現について富化された腫瘍性幹細胞集団を哺乳類に導入するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、
前記腫瘍性幹細胞集団は、インビボで同所性腫瘍を引き起こすことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項18に記載の方法であって、
前記腫瘍性幹細胞集団は、インビボで異所性腫瘍を引き起こすことを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項18に記載の方法であって、
前記腫瘍性幹細胞集団は、インビボで転移を開始することを特徴とする方法。
【請求項22】
癌の進行及び/又は発症をインビボで分析する方法であって、
(a)OCT4高瘍性幹細胞を動物に移植するステップと、
(b)前記動物における癌の進行及び/又は発症を分析するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、
前記OCT4高腫瘍性幹細胞を標識化するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項22に記載の方法であって、
癌の進行の分析は、細胞転移の測定を含むことを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項22に記載の方法であって、
癌の進行の分析は、転移進行の測定を含むことを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項22に記載の方法であって、
所望の作用物質を投与するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項26に記載の方法であって、
前記作用物質が治療薬であることを特徴とする方法。
【請求項28】
癌を治療、停止又は抑制するための医薬組成物を製造するための、腫瘍細胞内でOCT4の発現を抑制する作用物質の使用。
【請求項29】
癌を治療、停止又は抑制するための医薬組成物を製造するための、腫瘍細胞内でOCT4の機能を抑制する作用物質の使用。
【請求項30】
請求項28又は29に記載の使用であって、
前記癌が腫瘍成長を含むことを特徴とする使用。
【請求項31】
請求項28又は29に記載の使用であって、
前記癌が細胞転移を含むことを特徴とする使用。
【請求項32】
請求項28又は29に記載の使用であって、
前記作用物質が核酸を含むことを特徴とする使用。
【請求項33】
請求項28又は29に記載の使用であって、
前記作用物質がOCT4抗体であることを特徴とする使用。
【請求項1】
OCT4の発現について富化された単離された腫瘍性幹細胞集団。
【請求項2】
請求項1に記載の集団であって、OCT4の高発現に特徴付けられる集団。
【請求項3】
請求項1に記載の集団を含有する組成物。
【請求項4】
請求項3に記載の組成物であって、
細胞培地をさらに含み、
前記培地の約50%が、初代ヒト包皮線維芽細胞の培地に由来することを特徴とする組成物。
【請求項5】
請求項4に記載の組成物であって、
前記培地が、最大で約15%の血清を含有することを特徴とする組成物。
【請求項6】
請求項4に記載の組成物であって、
前記培地は、EGF、FGF2、インスリン又はそれらの組み合わせが欠失していることを特徴とする組成物。
【請求項7】
腫瘍性幹細胞を同定する方法であって、
(a)OCT4と特異的に相互作用する作用物質を、腫瘍細胞集団に接触させるステップと、
(b)前記作用物質が特異的に相互作用する細胞を同定するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
腫瘍性幹細胞を単離する方法であって、
(a)OCT4と特異的に相互作用する作用物質を、腫瘍細胞集団に接触させるステップと、
(b)前記作用物質が特異的に相互作用した細胞を単離するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の方法であって、
前記作用物質が核酸を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項7又は8に記載の方法であって、
前記作用物質がOCT4抗体であることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項7又は8に記載の方法であって、
前記同定するステップは、蛍光顕微鏡又は蛍光活性化細胞選別装置(FACS)の使用をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項7又は8に記載の方法であって、
前記腫瘍細胞は、固形腫瘍に由来することを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項7又は8に記載の方法であって、
腫瘍細胞は、転移性であることを特徴とする方法。
【請求項14】
腫瘍細胞集団を腫瘍性幹細胞について富化する方法であって、
(a)複数の癌性細胞を含有する混合細胞集団に、OCT4プロモータに作動可能に連結された抗生物質抵抗性遺伝子を含有するベクターを接触させるステップと、
(b)前記抗生物質の存在下で前記細胞を培養するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
前記培養するステップは、細胞培地で行われ、
前記細胞培地の約50%が初代ヒト包皮線維芽細胞の培養培地に由来することを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項14に記載の方法であって、
前記混合細胞集団は、細胞株に由来することを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項14に記載の方法であって、
前記混合細胞集団は、腫瘍に由来する初代細胞培養物であることを特徴とする方法。
【請求項18】
癌を誘発する方法であって、
OCT4の発現について富化された腫瘍性幹細胞集団を哺乳類に導入するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、
前記腫瘍性幹細胞集団は、インビボで同所性腫瘍を引き起こすことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項18に記載の方法であって、
前記腫瘍性幹細胞集団は、インビボで異所性腫瘍を引き起こすことを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項18に記載の方法であって、
前記腫瘍性幹細胞集団は、インビボで転移を開始することを特徴とする方法。
【請求項22】
癌の進行及び/又は発症をインビボで分析する方法であって、
(a)OCT4高瘍性幹細胞を動物に移植するステップと、
(b)前記動物における癌の進行及び/又は発症を分析するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、
前記OCT4高腫瘍性幹細胞を標識化するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項22に記載の方法であって、
癌の進行の分析は、細胞転移の測定を含むことを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項22に記載の方法であって、
癌の進行の分析は、転移進行の測定を含むことを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項22に記載の方法であって、
所望の作用物質を投与するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項26に記載の方法であって、
前記作用物質が治療薬であることを特徴とする方法。
【請求項28】
癌を治療、停止又は抑制するための医薬組成物を製造するための、腫瘍細胞内でOCT4の発現を抑制する作用物質の使用。
【請求項29】
癌を治療、停止又は抑制するための医薬組成物を製造するための、腫瘍細胞内でOCT4の機能を抑制する作用物質の使用。
【請求項30】
請求項28又は29に記載の使用であって、
前記癌が腫瘍成長を含むことを特徴とする使用。
【請求項31】
請求項28又は29に記載の使用であって、
前記癌が細胞転移を含むことを特徴とする使用。
【請求項32】
請求項28又は29に記載の使用であって、
前記作用物質が核酸を含むことを特徴とする使用。
【請求項33】
請求項28又は29に記載の使用であって、
前記作用物質がOCT4抗体であることを特徴とする使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2009−539374(P2009−539374A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−514328(P2009−514328)
【出願日】平成19年6月5日(2007.6.5)
【国際出願番号】PCT/US2007/013167
【国際公開番号】WO2007/145901
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(504326686)ユニバーシティ・オブ・テネシー・リサーチ・ファウンデーション (22)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月5日(2007.6.5)
【国際出願番号】PCT/US2007/013167
【国際公開番号】WO2007/145901
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(504326686)ユニバーシティ・オブ・テネシー・リサーチ・ファウンデーション (22)
【Fターム(参考)】
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