説明

腫瘍阻害性白金(II)オキサラート錯体

【課題】腫瘍阻害性白金(II)オキサラート錯体、および治療薬、特に腫瘍阻害薬としてのこの錯体の使用方法を提供する。
【解決手段】一般式(I)の化合物、およびその薬学的に適合する塩。式中、置換基R1、R1'、R2、R2'、R3、R3'、R4、およびR4'は、置換基R1、R1'、R2、R2'、R3、R3'、R4、またはR4'のうちの少なくとも1つが水素でなく、水素、非置換または置換アルキル、非置換または置換アルケニル、非置換または置換シクロアルキル、非置換または置換シクロアルケニル、非置換または置換アリール、および非置換または置換アルキルアリール基からなる群より相互に独立して選択され、置換基R5、R5'、R6、およびR6'は水素、非置換または置換アルキル、および非置換または置換アルケニル基からなる群より相互に独立して選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腫瘍阻害性白金(II)オキサラート錯体、および治療薬、特に腫瘍阻害薬としてのこれらの錯体の使用に関連する。
【背景技術】
【0002】
幾種類かの白金錯体は腫瘍阻害効果を有していることが知られている。シスプラチンとは別に、以下の構造

を有するカルボプラチンおよびオキサリプラチンは、腫瘍に対抗するための2つの最も重要な既知の白金活性物質であり、この場合、オキサリプラチンにおいては、抗腫瘍薬として使用する際のこの錯体の脱離基はオキサラートである。しかし、特にシスプラチンは、腎臓毒性、骨髄抑制、および聴器毒性などの重大な副作用を有する。
【0003】
従って、上述のシスプラチン以外の2つの白金(II)錯体から逸脱し、有効なスペクトルを有する、特に、二座配位のトランス-R,R-1,2-ジアミノシクロヘキサン配位子および同様に二座配位のオキサラト配位子を伴うオキサリプラチンは、癌治療薬としての興味深い特性を有する。抗腫瘍薬としてオキサリプラチンを使用する場合の一つの利点は、特に、シスプラチンと比べて毒性が低いことである。しかし、オキサリプラチンは、強い神経障害などの別の望ましくない副作用を有する。
【0004】
これまで、この根本的な基本構造および錯体の特性を改変するため、この錯体の脱離基が変えられてきた。従って、米国特許第4,168,846号(特許文献1)には、シクロヘキサン環に置換基を伴うことなく、配位子としてトランス-L-1,2-ジアミノシクロヘキサンを伴うシス-白金(II)錯体が開示されており、この場合、これらの錯体は、オキサラートとは別に、マロナートおよびマロン酸の置換誘導体を脱離基として有している。
【0005】
白金(II)錯体における配位子としてマロナートまたはスクシナートなどの高度のジカルボン酸またはジカルボン酸誘導体を使用する方法も、例えば日本国特許第61037794号(特許文献2)に開示されている。
【0006】
更に、ピロリン酸などの単座配位アニオンを伴う一連の白金(II)錯体も米国特許第4,234,500号(特許文献3)に開示されている。
【0007】
また、修飾されたジアミノシクロヘキサン配位子を有する白金(II)錯体も既知である。例えば、米国特許第4,359,425号(特許文献4)には、二環式であって、アミノ基に隣接した2個の炭素原子へ(CH2)nブリッジ(式中、n=1または2)により架橋された特殊なジアミノシクロヘキサン配位子を有する白金(II)錯体が開示されている。米国特許第4,670,458号(特許文献5)には、ジアミノシクロヘキサン配位子としてジヒドロキシル化ジアミノシクロヘキサン誘導体が開示されている。
【0008】
更に、脱離基としてピロリン酸を有する置換シクロヘキサン誘導体も米国特許第4,291,027号(特許文献6)に開示されている。
【特許文献1】米国特許第4,168,846号
【特許文献2】日本国特許第61037794号
【特許文献3】米国特許第4,234,500号
【特許文献4】米国特許第4,359,425号
【特許文献5】米国特許第4,670,458号
【特許文献6】米国特許第4,291,027号
【発明の開示】
【0009】
本発明の目的は、更なる腫瘍阻害性白金(II)オキサラート錯体を提供することである。
【0010】
上述の目的は、一般式(I)の化合物、およびこれらの化合物の薬学的に適合する塩により解決される:

式中、置換基R1、R1'、R2、R2'、R3、R3'、R4、およびR4'は、置換基R1、R1'、R2、R2'、R3、R3'、R4、またはR4'のうちの少なくとも1つが水素でなく、かつ、基R1またはR1'およびR4またはR4'が相互に任意の非置換C1-2アルキレン基を形成しないことを条件として、水素、非置換または置換された分枝または非分枝アルキル、非置換または置換された分枝または非分枝アルケニル、非置換または置換シクロアルキル、非置換または置換シクロアルケニル、非置換または置換アリール、および非置換または置換アルキルアリール基からなる群より相互に独立して選択され、
置換基R5、R5'、R6、およびR6'は、水素、非置換または置換された分枝または非分枝アルキル、および非置換または置換された分枝または非分枝アルケニル基からなる群より相互に独立して選択され、
任意で、それぞれの場合において、置換基R1、R1'、R2、R2'、R3、R3'、R4、およびR4'のうちの少なくとも2つが相互に少なくとも1つの非置換もしくは置換アルキレン、非置換もしくは置換アルケニレン基、または非置換もしくは置換芳香環を形成してよく、
任意で、置換基R1、R1'、R2、R2'、R3、R3'、R4、およびR4'を担持したシクロヘキサン環の炭素原子のうちの少なくとも1つがヘテロ原子で置換され、かつ
このへテロ原子が酸素の場合には、置換基R1、R1'、R2、R2'、R3、R3'、R4、および/またはR4'は更にヒドロキシ基であってよい。
【0011】
置換基R1、R1'、R2、R2'、R3、R3'、R4、R4'、R5、R5'、R6、および/またはR6'は、ハロゲン、特にCl、F、またはBr、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、CN、CF3、C1-C4アルキル、特にC1-C3アルキル、C1-C4アルコキシ、特にC1-C3アルコキシ、C1-C4アルキルチオ、C3-C7シクロアルキル、特にC3-C6シクロアルキル、C3-C6シクロアルコキシ、C2-C4アルケニル、C2-C4アルキニル、アリール、ヘテロアリール、NR7R8、COOR7、CONR7R8、NR7COR8、NR7COOR8、S(O)R7、SO2R7、SO2NR7R8、SO3Hで置換されてよく、
式中、R7およびR8は、独立してH、C1-C4アルキル、アリール、もしくはヘテロアリールを表すか、またはC3-C7シクロアルキル環もしくはC3-C7シクロアルケニル環を形成することができる。
【0012】
好ましくは、置換基R1、R1'、R2、R2'、R3、R3'、R4、およびR4'は、水素、C1-C15アルキル、C2-C15アルケニル、C3-C15シクロアルキル、C3-C15シクロアルケニル、C6-C14アリール、およびC1-C15アルキル-C6-C14アリール基からなる群より相互に独立して選択される。
【0013】
特に好ましくは、置換基R1、R1'、R2、R2'、R3、R3'、R4、およびR4'は、水素、C1-C10アルキル、C2-C10アルケニル、C3-C10シクロアルキル、C3-C10シクロアルケニル、C6-C10アリール、およびC1-C10アルキル-C6-C10アリール基からなる群より相互に独立して選択され;特に、置換基R1、R1'、R2、R2'、R3、R3'、R4、およびR4'は、水素、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C3-C6シクロアルキル、C3-C6シクロアルケニル、C6-C10アリール、およびC1-C6アルキル-C6-C10アリール基からなる群より選択される。
【0014】
特に好ましくは、置換基R1、R1'、R2、R2'、R3、R3'、R4、R4'は、水素、C1-C10アルキル基、特にメチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、分枝ブチル基、n-ペンチル、分枝ペンチル基、n-ヘキシル、および分枝ヘキシル基、C3-C10シクロアルキル基、特にシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシル基、ならびにC6-C14アリール基、特にフェニル基からなる群より選択される。
【0015】
同一の炭素原子に位置付けられた2つの置換基R1、R1'、R2、R2'、R3、R3'、またはR4、R4'は同じであってもよいし、異なってもよい。
【0016】
置換基R1、R1'、R2、R2'、R3、R3'、R4、およびR4'のうちの好ましくは1個から3個、より好ましくは1個または2個、特に好ましくは1個は、非置換または置換アルキル、非置換または置換アルケニル、非置換または置換シクロアルキル、非置換または置換シクロアルケニル、非置換または置換アリール、および非置換または置換アルキルアリール基からなる群より選択され、残りの基は水素原子である。これらの基は、好ましくは上記のとおりである。
【0017】
一つの特に好ましい態様では、置換基R1、R1'、R3、R3'、R4、およびR4'は水素であり、R2およびR2'は、R2およびR2'が同時に水素でないことを条件として、水素、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C3-C6シクロアルキル、C3-C6シクロアルケニル、およびC6-C10アリール基からなる群より選択される。
【0018】
特に好ましくは、置換基R1、R1'、R3、R3'、R4、およびR4'が水素であり、置換基R2またはR2'がC1-C6アルキル基、特にメチル、エチル、プロピル、もしくはt-ブチル基、またはC6-C10アリール基、特にフェニル基であり、任意で、それぞれの場合におけるもう一方の基R2またはR2'が水素であるような化合物が好ましい。
【0019】
同様に特に好ましくは、置換基R1、R1'、R3、R3'、R4、およびR4'が水素であり、R2またはR2'がC1-C6アルキル基、特にメチル、エチル、プロピル、もしくはt-ブチル基、またはC6-C10アリール基、特にフェニル基であり、R2またはR2'のうちのいずれかが水素であるような化合物が好ましい。
【0020】
一つの更なる特に好ましい態様では、置換基R1、R1'、R4、およびR4'は等しく水素であり、R2、R2'、R3、およびR3'は、R2、R2'、R3、およびR3'が同時に水素でないことを条件として、水素、C1-C6アルキルおよびC2-C6アルケニル基からなる群より選択される。
【0021】
特に好ましくは、置換基R1、R1'、R4、およびR4'が水素であり、置換基R2、R2'、R3、およびR3'がC1-C6アルキル基、特にメチル、エチル、プロピル、またはt-ブチル基であり、任意で、それぞれの場合において、他方の基R2またはR2'、R3またはR3'が各々水素であるような化合物が好ましい。
【0022】
同様に特に好ましくは、置換基R1、R1'、R4、およびR4'が水素であり、R2またはR2'、およびR3またはR3'がC1-C6アルキル基、特にメチル、エチル、プロピル、またはt-ブチル基であり、この場合、R2またはR2'、およびR3またはR3'が水素であるような化合物が好ましい。
【0023】
置換基R1、R1'、R2、R2'、R3、R3'、R4、およびR4'のうちの少なくとも2つが相互に少なくとも一つの非置換もしくは置換アルキレン、非置換もしくは置換アルケニレン基、または非置換もしくは置換アリール基を形成する場合には、これらの基を形成する置換基は好ましくはC1-C15アルキレン基、C2-C15アルケニレン基、またはC6-C14アリール基である。この結果として二環式、三環式、または多環式の基が得られる。
【0024】
それぞれの場合において、シクロヘキサン環の隣接した炭素原子に位置付けられた2つの基が相互に前述の基のうちの1つを形成することが特に好ましい。更に、C6-C14アリール基、特にフェニル基が、置換基R2、R2'、およびR3、R3'を担持したシクロヘキサン環の炭素原子を介してこのシクロヘキサン環に環生成(annelate)されることが特に好ましい。
【0025】
また、シクロヘキサン環の同一の炭素原子に位置付けられた2つの基が一緒になって前述の基のうちの1つを形成することもでき、この場合、それぞれのスピロ化合物が得られる。特に好ましくは、基のうちの2つのみが一緒になって前述の基のうちの1つを個々に形成し、この場合、二環系が得られる。
【0026】
一つの好ましい態様では、置換基R5、R5'、R6、およびR6'は、水素、C1-C6アルキル、またはC2-C6アルケニル基からなる群より相互に独立して選択される。このC1-C6アルキル基は好ましくはメチル、エチル、n-プロピル、またはi-プロピル基である。C2-C6アルケニル基は好ましくはエテニルまたはプロペニル基である。更に、置換基R5、R5'、R6、およびR6'は好ましくは水素である。好ましくは、R5、R5'、R6、およびR6'は置換されない。
【0027】
置換基R1、R1'、R2、R2'、R3、R3'、R4、およびR4'を担持したシクロヘキサン環の炭素原子のうちの少なくとも1つがヘテロ原子で置換される場合、好ましくは、このへテロ原子は酸素、窒素、および硫黄からなる群より選択され、1個から3個、特には1個または2個、特に1個のヘテロ原子が存在することが好ましい。
【0028】
シクロヘキサン環の炭素原子のうちの1つがヘテロ原子で置換される場合には、このへテロ原子の結合に依存して、2個未満の置換基をこのへテロ原子に結合することができる。例えば、酸素と硫黄は置換されず、単に窒素が、置換基R1、R1'、R2、R2'、R3、R3'、R4、またはR4'のうちの1つによりこのへテロ環内における位置に合わせて置換される。
【0029】
好ましくは、へテロ原子には、R3およびR3'またはR2およびR2'を担持したシクロヘキサン環における炭素原子の適所に組み込まれた酸素が包含され、この場合、少なくとも1つの残りの置換基R1、R1'、R2、R2'、R3、R3'、R4、またはR4'は水素ではない。
【0030】
ヘテロ原子が酸素の場合、この適切に改変されたシクロヘキサン環は、アミノ糖、例えばグルコースをベースとしたアミノ糖であってよい。

【0031】
本発明による化合物におけるシクロヘキサン環の2つのアミノ基は相互に関してシス-またはトランス-配位を有していてよい。好ましくは、これらの基はトランス配位を有する。これらのアミノ基を担持したシクロヘキサン環の2個の炭素原子はR,R、S,S、R,S、またはS,R立体配置を有することができる。
【0032】
これらの2個のアミノ基とヘテロ原子である酸素の一つの可能な配位が以下の図で例証されている。

【0033】
更に、これらの化合物は、置換基R5、R5'、R6、およびR6'が水素であり、任意で、置換基R1、R1'、R2、R2'、R3、R3'、R4、およびR4'を担持したシクロヘキサン環の炭素原子のうちの少なくとも1つがヘテロ原子で置換されていることが好ましく、
このへテロ原子が酸素である場合には、置換基R1、R1'、R2、R2'、R3、R3'、R4、およびR4'は、水素、非置換または置換アルキル、非置換または置換アルケニル、非置換または置換シクロアルキル、非置換または置換シクロアルケニル、非置換または置換アリール、および非置換または置換アルキルアリール基からなる群より相互に独立して選択される。
【0034】
この説明の意味において、「アルキル」または「アルケニル」という用語は非分枝または分枝の「アルキル」または「アルケニル」を常に包含する。
【0035】
本発明による化合物の生理学的に適合する塩は、好ましくは、有機または無機付加塩、特に以下で説明されているアニオンおよびカチオンと共に形成され得る有機または無機付加塩からなる群より選択される。
【0036】
アニオンは、好ましくは、塩素および臭素などのハロゲン、擬ハロゲン、リン酸、炭酸、硝酸、過塩素酸、硫酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、マンデル酸、安息香酸、アスコルビン酸、桂皮酸、グリコール酸、メタンスルホン酸、ギ酸(formiate)、マロン酸、ナフタリン-2-スルホン酸、サリチル酸、および酢酸からなる群より選択される。
【0037】
カチオンは、好ましくは、H+、ナトリウムカチオン、およびカリウムカチオンからなる群より選択される。
【0038】
本発明による化合物は驚くほど良好な腫瘍阻害効果を有する。
【0039】
本発明による化合物の合成は、例えばK2[PtCl4]から始める既知の方法により行われ、この場合、上述の2つの二座配位子が連続的に導入される。この合成を果たすため、初めにテトラクロロ白金(II)を適切に置換されたジアミンと反応させることができる。次いで、このジアミン(ジクロロ)白金(II)錯体を硝酸銀または硫酸銀と反応させることにより活性化することができる。この後、このようにして得られたジアクア(ジアミン)またはアクア(スルファト)ジアミン化合物を、シュウ酸またはシュウ酸ナトリウムを用いる配位子交換により、本発明による対応する化合物へ変換することができる。例えば、上記のように(SP-4-3)-(トランス-シクロヘキサン-1,2-ジアミン-4-メチル)-オキサラート白金(II)を生成することができる。
【0040】
以下の反応スキームは、4-メチル置換誘導体の例を用いて、本発明による化合物を生成するための可能な合成経路を示している。
【0041】
(SP-4-3)-(トランス-シクロヘキサン-1,2-ジアミン-4-メチル)-オキサラート白金(II)を生成する場合には、図式1に従って4-メチル-シクロヘキサノンから始め、トランス-4-メチルシクロヘキサン-1,2-ジアミンの異性体混合物を生成することができる。図式1に示されているように、得られたこのジオキシムは、臭素化およびヒドロキシルアミンとの反応後、無水エタノール中におけるナトリウムで還元される。

【0042】
本発明による上記以外の化合物を生成するため、図式1のシクロヘキサノンは、上記のように、置換基R1、R1'、R2、R2'、R3、R3'、R4、および/またはR4'で置換することもできる。詳細には、メチル基の代わりにエチル基を用いて、対応する誘導体を同じようにして生成することもできる。または、ヒドロキシルアミンとの反応により対応するオキシムへ前述のようににして直接的に変換され得る、適切に置換されたシクロヘキサン-1,2-ジオン誘導体を上述の置換シクロヘキサノンの代わりに使用することもできる。
【0043】
これにより、置換されたトランス-シクロヘキサン-1,2-ジアミンの異性体混合物が得られる。
【0044】
上述の置換シクロヘキサンまたはシクロヘキサン-1,2-ジオンも、上記のように、置換基R1、R1'、R2、R2'、R3、R3'、R4、および/またはR4'で置換することができる。
【0045】
または、上述の適切に置換されたシクロヘキサノン誘導体を初めにアルコールへ還元し、次いで、このアルコールをシクロアルケンへ脱水することができる。C=C二重結合へのアジ化ナトリウムの1,2-付加により、対応するジアジドが合成され、この後、Lindlar触媒上の水素を用いて、このジアジドがジアミンへ還元される。
【0046】
前述のジアミノシクロヘキサン配位子とK2[PtCl4]との反応後に得られるジアミン(ジクロロ)白金(II)化合物は、この後、硝酸銀または硫酸銀を用いることにより、それぞれの場合において対応したジアクア(ジアミン)またはアクア(スルファト)化合物へ変換することができる。シュウ酸またはシュウ酸ナトリウムの付加後、本発明によるこれらの化合物は、例えば以下の図式2で例証されているように、異性体混合物として得られる。

【0047】
メチルでの置換の代わりに、上記のように、置換基R1、R1'、R2、R2'、R3、R3'、R4、およびR4'も存在することができる。
【0048】
異性体混合物としての本発明による化合物の生成後、これらの化合物を既知の方法により純粋な異性体に分離することができる。このラセミ化合物分離は、好ましくは、キラル酸を用いるジアステレオマー塩の形成またはキラル固定相でのカラムクロマトグラフィーなどの既知の方法により、ジアミンの段階で行われる。
【0049】
また、本発明は、治療薬または予防薬としての式(I)の化合物にも関連する。更に、本発明は、腫瘍疾患の治療および/または予防用の薬剤を製造するための式(I)の化合物の適用に関連する。
【0050】
更に、上述の本発明の目的は、本発明による化合物を含む薬剤、特に腫瘍疾患を治療および/または予防するための薬剤により解決される。本発明による化合物の一つの用途は癌疾患の予防および/または治療である。
【0051】
以下に、本発明による化合物を含む薬剤が更に詳細に説明される。
【0052】
本発明による薬剤は主に静脈内へ投与されるが、筋肉内、腹腔内、皮下、または経口的にも投与される。外部適用も可能である。好ましくは、静脈内注射または静脈内注入により投与される。
【0053】
本薬剤は既知の方法により製造され、この場合、本発明による化合物はそのままで使用され、または適切な薬学的担体物質と組み合わせて使用される。本発明による薬剤が活性物質だけでなく薬学的担体物質を含んでいる場合には、この混合物における活性物質の含量は、全混合物のうち、重量で0.1%から99.5%、好ましくは0.5%から95%である。
【0054】
本発明による薬剤は、充分なレベルの活性物質の確立および維持が保証されるという必要条件を備えたあらゆる適切な調合形態で適用することができる。この条件は、例えば、適切な用量における経口投与または非経口投与により果たすことができる。有利には、本活性物質の薬学的調製物は、所望の投与方法に合わせた標準的な用量の形態で提供される。標準的な用量は、例えば錠剤、コーティング錠、カプセル剤、坐剤、または計量された容量の粉末剤、顆粒剤、溶液剤、乳剤、もしくは懸濁剤であってよい。
【0055】
本発明の目的上、「標準的な用量」という用語は、薬学的担体物質と組み合わせて個々の量の活性成分を含み、活性物質の含量が治療的1回量の分数または倍数に相当する、物理的に決定された単位を意味するものと理解される。1回量は、好ましくは、適用中に投与される量であって、通常は1日量の全部、半分、3分の1または4分の1に相当する量の活性物質を含む。標準的な用量の半分または4分の1などの分割量のみが治療的に投与される1回量で必要となる場合には、標準的な用量は、例えば分割用の溝を有する錠剤の形態などにおいて分割可能であることが有利である。
【0056】
本発明による薬剤は、活性物質が標準的な用量で存在し、例えば人間に適用すべく意図されている場合には、約0.1mgから500mg、好ましくは10mgから200mg、特に50mgから150mgの活性物質を含むことができる。
【0057】
一般的に、ヒト用医学の場合、これらの活性物質は、所望の結果を達成するため、任意である回数、好ましくは1回から3回の単回摂取の形態において、0.1mg/kg体重から5mg/kg体重、好ましくは1mg/kg体重から3mg/kg体重の1日量で投与される。単回摂取は、0.1mg/kg体重から5mg/kg体重、好ましくは1mg/kg体重から3mg/kg体重の量の活性物質を含む。経口治療の場合にも同様な用量を適用することができる。
【0058】
本発明による薬剤の治療的投与は、特定の時点または様々な時点において、例えば毎食前および/または晩に、1日に1回から4回行われてよい。しかし、治療されるべき個人のタイプ、体重、および年齢、疾患のタイプおよび重症度、薬剤の調製および適用のタイプ、ならびに投与が行われる時間的期間または間隔に応じて、上で示されている用量から逸脱することが必要になる場合がある。従って、ある場合には、上で述べられている活性物質の量に満たない量を使用することで充分な場合があり、一方、別の場合には、上で記載されている活性物質の量を超えて使用しなければならない場合がある。また、本薬剤を1回のみ、または数日間の間隔をあけて投与することも実行可能である。
【0059】
本活性物質の必要で最適な用量および適用のタイプの詳細は、専門家が専門的な知識に基づいて決定することができる。
【0060】
本発明による薬剤は、通常、本発明による化合物および無毒で薬学的に適合する薬剤用担体を含み、前述の担体は、付加媒質もしくは希釈媒質として、例えば固体、半固体、もしくは液体の形態で使用され、または封入手段として、例えばカプセル、錠剤コーティング、バッグ、もしくは治療的活性成分用の他の容器の形態で使用される。担体材料は、例えば身体による薬剤の摂取に対する媒介物として、処方薬、甘味剤、矯味剤、着色剤、または保存剤として作用してよい。
【0061】
経口的に適用する場合、例えば錠剤、コーティング錠、例えばゼラチンなどの硬質および軟質カプセル剤、分散性粉末剤、顆粒剤、水性および油性懸濁剤、乳剤、溶液剤、ならびにシロップ剤を使用することができる。
【0062】
錠剤は、不活性な希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム、またはラクトースなど;顆粒化および分配剤(distribution agent)、例えばトウモロコシデンプンまたはアルギン酸など;結合剤、例えば、デンプン、ゼラチン、またはアラビンなど;ならびに滑沢剤、例えばステアリン酸アルミニウムもしくはステアリン酸マグネシウム、タルク、またはシリコーン油などを含んでよい。更に、錠剤は、胃腸管内における本薬剤の遅延放出および再吸収をもたらし、従って、例えば改善された適合性、同化、または遅滞が達成されるように創出されるコーティングを付加的に設けることができる。ゼラチンカプセル剤は、固体、例えば炭酸カルシウムもしくはカオリンなど、または油性希釈剤、例えばオリーブ油、ラッカセイ油、もしくはパラフィン油などと混合された薬学的物質を含んでよい。
【0063】
水性懸濁剤は、懸濁化剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガントゴム、またはアラビンなど;分散剤および湿潤剤、例えばステアリン酸ポリオキシエチレン、ヘプタデカ-エチレン-オキシカタノール、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール、またはレシチンなど;保存剤、例えばメチル-またはプロピルヒドロキシ-安息香酸など;矯味剤;甘味剤、例えばサッカロース、ラクトース、シクラミン酸ナトリウム、デキストロース、転化糖などを含んでよい。
【0064】
油性懸濁剤は、例えばラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油、ヤシ油、またはパラフィン油、および濃稠化剤、例えば密ロウ、高融点ワックス、またはセチルアルコールなど;更には、甘味剤、矯味剤、および酸化防止剤を含んでよい。
【0065】
水に分散可能な粉末剤および顆粒剤は、例えば上で述べられているような分散剤、湿潤剤、および懸濁化剤、ならびに甘味剤、矯味剤、および着色剤との混合物の形態において本発明による化合物を含んでよい。
【0066】
乳剤は、例えばオリーブ油、ラッカセイ油、またはパラフィン油、および乳化剤、例えばアラビン、トラガントゴム、ホスファチド、モノオレイン酸ソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ならびに甘味剤および矯味剤を含んでよい。
【0067】
水溶液は、保存剤、例えばメチル-またはプロピルヒドロキシ安息香酸など;濃稠剤;矯味剤;甘味剤、例えばサッカロース、ラクトース、シクラミン酸ナトリウム、デキストロース、転化糖シロップ、ならびに矯味剤および着色剤を含んでよい。
【0068】
薬学的物質を非経口的に適用する場合には、滅菌注射用水溶液、等張塩溶液、または他の溶液を使用することができる。
【0069】
また、本発明は、本発明による化合物を投与することにより、このような治療を必要としている哺乳動物を予防および/または治療するための方法にも関係する。上述の哺乳動物は、ヒトおよび動物からなる群より選択される。好ましくは、上述の哺乳動物は、上記のような腫瘍疾患に対する治療を必要としている哺乳動物である。
【0070】
次に、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明する。
【0071】
合成実施例1
2-臭素-4-メチル-シクロヘキサノン

準備:50g=0.446mmolの4-メチル-シクロヘキサノン
74g=0.463mmolの臭素
92mlの99%酢酸
分離漏斗とLiebig凝縮器を備えた二口フラスコに、50gの4-メチル-シクロヘキサノンを、120mlの水、92mlの99%酢酸、および2滴の臭素と共に入れる。反応が始まるまで、この反応混合物を約50℃に加熱する。この後、温度が35〜40℃に留まるようにゆっくりと、74gの臭素を2時間にわたって一滴ずつ加える。次いで、この溶液を固体のNa2CO3で中和し、これにより、臭素ケトンが黄色い油性の液体として分離する。この有機相をNa2CO3希薄溶液で洗った後、水で洗う。得られた生成物を乾燥させ、Na2SO4で濾過する。
外観:黄色い油性の液体
収率:33.3g=0.174mmol=39%(基準:78%)
【0072】
α-臭素ケトンは保管中または加熱中に非常にたやすく分解するため、精製および特性評価は省いた。副産物はジオキシムの単離に影響を及ぼさない。
【0073】
合成実施例2
4-メチルシクロヘキサン-1,2-ジオキシム

準備:33.2g=0.174molの2-臭素-4-メチル-シクロヘキサノン
70.4g=1.01molの塩酸ヒドロキシルアミン
145.3gの酢酸ナトリウム三水和物
126mlのメタノール
70.4gの塩酸ヒドロキシルアミンと145.3gの酢酸ナトリウム三水和物を126mlのメタノールおよび146mlの水中において沸点まで加熱する。この沸騰溶液に33.2gの2-臭素-4-メチル-シクロヘキサノンを1.5時間にわたって滴下する。次いで、還流下において1時間沸騰させた後、残りの溶液が濁るまで、約100mlのメタノールを蒸留除去する。得られた残分を室温にまで冷却した後、各回毎に80mlのベンゼンで3回抽出する。これらを合わせたベンゼン相を約500mlの石油エーテル(沸点40〜60℃)に加え、4℃で2日間冷却する。底に茶色の油が沈積し、上澄み液をデカントした後、この油を水中で再結晶化させる。連続抽出装置を用いることにより、更なる調製でこの収率を14%に高めることができた。
外観:白色の固体
収率:2g=0.013mol=7.5%(基準:25%)
NMRスペクトル:
メタノール-d4中における1H-NMRスペクトル:

メタノール-d4中における13C-NMRスペクトル:

【0074】
合成実施例3
4-メチル-トランス-シクロヘキサン-1,2-ジアミノ硫酸二水素塩

準備:4g=0.026molの4-メチルシクロヘキサン-1,2-ジオキシム
30g=1.305molのナトリウム
100mlの無水エタノール
4gの4-メチルシクロヘキサン-1,2-ジオキシムを、還流凝縮器を備えた1l用の三つ口フラスコ内において、N2雰囲気下で100mlの無水エタノール中に溶解し、沸点まで加熱する。30gのナトリウムを少量ずつ加え、これにより、液面に溶融ナトリウムの大きな球状体が最終的に形成される。無水エタノールを更に加えることにより、この球状体表面のナトリウムエタノラートの被覆が取り除かれる。すべてのナトリウムが溶解するまで、この反応混合物を沸騰させる。この溶液を水蒸気で蒸留することにより、初めにアルコールが除去され、この後、アミンが得られる。留出物がもはやアルカリ性でなくなったときに蒸留の終点に到達する。アミンを含有する画分を3Mの硫酸で酸性化し、ロータリーエバポレーターで蒸発乾固する。ピンク色に着色した粗生成物を攪拌下において40mlのエタノールと共に50℃に加熱することによりピンク色の副産物を溶解し、G4フィルターるつぼ(filter crucible)を介して白色の4-メチル-トランス-シクロヘキサン-1,2-ジアミノ硫酸二水素塩を引き出した後、空気中において乾燥させる。
外観:白色の固体
収率:3.067g=0.013mol=52%=(基準:78%)
元素分析:C7H16N2・H2SO4に対する計算値 226.29g/mol

IRスペクトル[370〜7000cm-1、CsI]、特性吸収帯(cm-1):

NMRスペクトル:
2つの異性体が見つかった。濃度が低い方の異性体が記号「'」を付けて表されている。

D2O中における1H-NMRスペクトル:

D2O中における13C-NMRスペクトル:

【0075】
合成実施例4
2-臭素-4-エチル-シクロヘキサノン

準備:46g=0.36mmolの4-エチル-シクロヘキサノン
66g=0.37mmolの臭素
82mlの99%酢酸
分離漏斗とLiebig凝縮器を備えた二口フラスコに、46gの4-エチル-シクロヘキサノンを、106mlの水、82mlの99%酢酸、および2滴の臭素と共に入れる。反応が始まるまで、この反応混合物を約50℃に加熱する。この後、温度が35〜40℃に留まるようにゆっくりと、59.2gの臭素を1.5時間にわたって一滴ずつ加える。次いで、この溶液を固体のNaCO3で中和し、これにより、臭素ケトンが黄色い油性の液体として分離する。この有機相をNaCO3希薄溶液で洗った後、水で洗う。得られた生成物をNa2SO4上で濾過する。
外観:黄色い液体
収率:54g=0.263mol=73%
【0076】
α-臭素ケトンは保管中または加熱中に非常にたやすく分解するため、精製および特性評価は省いた。副産物はジオキシムの単離に影響を及ぼさない。
【0077】
合成実施例5
4-エチルシクロヘキサン-1,2-ジオキシム

準備:54g=0.263molの2-臭素-4-エチル-シクロヘキサノン
105.7g=1.52molの塩酸ヒドロキシルアミン
212gの酢酸ナトリウム三水和物
185mlのメタノール
105.7gの塩酸ヒドロキシルアミンと212gの酢酸ナトリウム三水和物を、185mlのメタノールおよび185mlの水中において沸点まで加熱する。この沸騰溶液に54gの1-臭素-4-エチル-シクロヘキサノンを1時間にわたって滴下する。次いで、還流下において1時間沸騰させた後、残りの溶液が濁るまで蒸留する。得られた残分を室温にまで冷却した後、連続抽出装置内において約150mlのベンゼンで抽出する(4部の100mlで、それぞれ2時間)。このベンゼン溶液に石油エーテル(沸点40〜60℃)を注ぎ足して約900mlにし、4℃で一晩冷却する。底に茶色の油が沈積し、残った溶液をデカントした後、この油を、白色の4-エチルシクロヘキサン-1,2-ジオキシムが得られるまで(4〜5回)繰返し水中で再結晶化させる。
外観:白色の層状を為す固体
収率:11.9g=0.0699mol=26.6%
NMRスペクトル:
メタノール-d4中における1H-NMRスペクトル:

メタノール-d4中における13C-NMRスペクトル:

【0078】
合成実施例6
4-エチル-トランス-シクロヘキサン-1,2-ジアミノ硫酸二水素塩

準備:9g=0.053molの4-エチルシクロヘキサン-1,2-ジオキシム
50.05g=2.20molのナトリウム
280mlの無水エタノール
9gの4-エチルシクロヘキサン-1,2-ジオキシムを、還流凝縮器を備えた1lの三つ口フラスコ内において、N2雰囲気下で100mlの無水エタノール中に溶解し、沸点まで加熱する。50.5gのナトリウムを少量ずつ加え、これにより、液面に溶融ナトリウムの大きな球状体が最終的に形成される。無水エタノールを更に加えることにより、この球状体表面のナトリウムエタノラートの被覆が取り除かれる。すべてのナトリウムが溶解するまで、この反応混合物を沸騰させる。この溶液を水蒸気で蒸留することにより、初めにアルコールが除去され、この後、アミンが得られる。留出物がもはやアルカリ性でなくなったときに蒸留の終点に到達する。アミンを含有する画分を3Mの硫酸で酸性化し、ロータリーエバポレーターで蒸発乾固する。ピンク色に着色した粗生成物を攪拌下において40mlのエタノールと共に50℃に加熱することによりピンク色の副産物を溶解し、G4フィルターるつぼを介して白色の4-エチル-トランス-シクロヘキサン-1,2-ジアミノ硫酸二水素塩を引き出した後、空気中において乾燥させる。
外観:白色の固体
収率:3.055g=0.013mol=16%
元素分析:C8H20N2・H2SO4に対する計算値 240.32g/mol

IRスペクトル[370〜7000cm-1、CsI]、特性吸収帯(cm-1):

【0079】
合成実施例7
(SP-4-3)-ジクロロ(4-メチル-トランス-シクロヘキサン-1,2-ジアミン)白金(II)

準備:2.15g=9.50mmolの4-メチル-トランス-シクロヘキサン-1,2-ジアミノ硫酸二水素塩
3.944g=9.50mmolのK2PtCl4
3.944gのK2PtCl4を50mlの三重蒸留水(tridistilled water)に溶解し、2.15gの4-メチル-トランス-シクロヘキサン-1,2-ジアミノ硫酸二水素塩と共に懸濁させる。この後、pH値を0.5MのNaOHで7に設定し、Methrom社からの718 Stat Titrinoを用いて0.1MのNaOHでこの値を維持する。G4フィルターるつぼを通じて多量の黄色い沈殿物を引き出し、氷冷三重蒸留水とエタノールでそれぞれ2回洗い、減圧デシケーター内において五酸化リン上で乾燥させる。
外観:黄色い固体
融点:>310℃で分解
収率:3.0g=7.6mmol=80%
元素分析:C7H16Cl2N2Ptに対する計算値 394.21g/mol

IRスペクトル[370〜7000cm-1、CsI]、特性吸収帯(cm-1):

【0080】
合成実施例8
(SP-4-3)-ジクロロ(4-エチル-トランス-シクロヘキサン-1,2-ジアミノ)白金(II)

準備:2.000g=8.32mmolの4-エチル-トランス-シクロヘキサン-1,2-ジアミノ硫酸二水素塩
3.454g=8.32mmolのK2PtCl4
3.454gのK2PtCl4を50mlの三重蒸留水に溶解し、2.000gの4-エチル-トランス-シクロヘキサン-1,2-ジアミノ硫酸二水素塩と共に懸濁させる。この後、pH値を0.5MのNaOHで7に設定し、Methrom社からの718 Stat Titrinoを用いて0.1MのNaOHでこの値を維持する。G4フィルターるつぼを通じて多量の黄色い沈殿物を引き出し、氷冷三重蒸留水とエタノールでそれぞれ2回洗い、減圧デシケーター内において五酸化リン上で乾燥させる。
外観:黄色い固体
融点:>310℃で分解
収率:3.238g=7.93mmol=95%
元素分析:C8H18Cl2N2Ptに対する計算値 408.24g/mol

IRスペクトル[370〜7000cm-1、CsI]、特性吸収帯(cm-1):

【0081】
合成実施例9
4,5-ジメチル-1-シクロヘキセン(2つの方法:メシラート/トシラート)
4,5-ジ(ヒドロキシメチル)シクロヘキセン

準備:30g=0.2molのシス-1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物
45g=1.2molのLiAlH4
375mlの無水テトラヒドロフラン
150mlの無水THF中における30gのシス-1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物を、900mlの無水THF中における45gの水素化アルミニウムリチウムの溶液に分離漏斗を通じて加え、還流下において48時間加熱する。次いで、この混合物を先ず室温にまで冷却した後、氷-ブライン浴中において約15℃に冷却し、この水素化物の使用されなかった部分を水で慎重に分解する。希硫酸を加えることによりこれらの塩を溶解し、ジエチルエーテルを加えることにより有機相を水性相から分離する。この有機相を飽和Na2CO3溶液で洗い、Na2SO4で乾燥させる。溶媒、即ちエーテルおよびTHFを減圧下における遠心分離により取り除く。
外観:黄色い油性の液体
収率:27g=0.19mol=95.6%
【0082】
合成実施例10
4,5-ジ(メチルスルホナート)シクロヘキセン

準備:28g=0.19molの4,5-ジ(ヒドロキシメチル)-1-シクロヘキセン
46g=0.40molのメタンスルホクロリド(Mr=114.55)
330mlの無水ピリジン
200mlの無水ピリジン中における28gの4,5-ジ(ヒドロキシメチル)-1-シクロヘキセンの冷却溶液に、46gのメタンスルホクロリドを小分けして加える。この混合物を3〜4℃の温度で4〜5時間攪拌した後、2℃で更に24時間保管する。過剰量の希塩酸を加えた後、この溶液をクロロホルムで抽出する。得られたクロロホルム相を飽和Na2CO3溶液および水で洗い、Na2SO4で乾燥させ、溶媒を減圧下における遠心分離により取り除く。この後、得られた生成物をメタノールおよび石油スピリット(40〜60℃)から再結晶化させる。
外観:無色の結晶
融点:86〜87℃
収率:39g=0.13mol=68.8%
元素分析:C10H18S2O6に対する計算値

【0083】
合成実施例11
4,5-ジ(メチルトシラート)シクロヘキセン

準備:30g=0.21molの4,5-ジ(ヒドロキシメチル)-1-シクロヘキセン
84g=0.44molのp-トルオール-4-スルホクロリド(Mr=190.65)
300mlの無水ピリジン
60mlの無水ピリジン中における30gの4,5-ジ(ヒドロキシメチル)-1-シクロヘキセンの冷却溶液に、200mlのピリジン中における84gのp-トルオール-4-スルホクロリドを小分けして加える。この混合物を3〜4℃の温度で4〜5時間攪拌した後、2℃で更に24時間保管する。次の日に、この混合物を90mlの濃HClおよび180mlの氷と混合し、これにより褐色の油が形成される。この水性相を50mlのエーテルで2回抽出する。得られたエーテル相およびジトシラートを水で1回洗った後、飽和NaHCO3溶液で洗い、次いで再び水で洗う。このエーテル相をNa2SO4で乾燥させ、溶媒を減圧下における遠心分離により取り除く。
外観:無色の結晶
融点:93〜94℃
収率:49g=0.11mol=52.4%
元素分析:C22H26S2O6に対する計算値

【0084】
合成実施例12
ジ(メチルスルホナート)からの4,5-ジメチル-1-シクロヘキセン

準備:19.0g=0.064molの4,5-ジ(メタンスルホナート)シクロヘキセン
10.6g=0.28molのLiAlH4
6.40g=0.27molのNaH
300mlの無水エーテル中における11.2gのLiAlH4および6.7gのNaHを還流下において30分間加熱した後、-5℃に冷却する。19gのジメシラートを固体の形態で加え、温度を-5℃に1時間維持する。次いで、この混合物を還流下において一晩加熱する。飽和塩化アンモニウム溶液を加えることにより過剰な水素化物を分解し、この混合物を1時間攪拌する。次いで、固体を濾過して取り除き、エーテルで洗う。この有機相をNa2SO4で乾燥させ、エーテルを遠心分離により取り除く。次いで、得られた生成物を123〜125℃で留出させる。
外観:無色の油性の液体
収率:2.3g=20.9mmol=32.6%
【0085】
合成実施例13
ジ(メチルトシラート)からの4,5-ジメチル-1-シクロヘキセン

準備:48.0g=0.1molの4,5-ジ(メチルトシラート)シクロヘキセン
17.0g=0.44molのLiAlH4
10.0g=0.42molのNaH
500mlの無水エーテル中における17gのLiAlH4および10gのNaHを還流下において30分間加熱した後、-5℃に冷却する。48gのジトシラートを固体の形態で加え、温度を-5℃に1時間維持する。次いで、この混合物を還流下において一晩加熱する。飽和塩化アンモニウム溶液を加えることにより過剰な水素化物を分解し、この混合物を1時間攪拌する。次いで、固体を濾過して取り除き、エーテルで洗う。この有機相をNa2SO4で乾燥させ、エーテルを遠心分離により取り除く。次いで、得られた生成物を123〜125℃で留出させる。
外観:無色の油性の液体
収率:2.3g=20.9mmol=20.9%
【0086】
合成実施例14
4,5-ジメチル-シクロヘキサン-1,2-ジアジド

準備:1.90g=17.2mmolの4,5-ジメチル-1-シクロヘキセン
13.9g=51.6mmolのMn(OAc)3・2H2O
5.60g=86.0mmolのNaN3
200mlのアセトニトリル中におけるMn(OAc)3・2H2Oの懸濁液に、1.9gの4,5-ジメチル-1-シクロヘキセンおよび20mlのTFAを-20℃でN2雰囲気下において加える。この混合物を-19℃から-21℃までの温度で90分間攪拌した後、10%のNaHSO3溶液で希釈する。次いで、この溶液を3×50mlの石油スピリット(沸点=40〜60℃)で抽出する。
【0087】
この有機相を飽和Na2CO3溶液で洗った後、飽和NaCl溶液で洗い、Na2SO4で乾燥させる。次いで、この溶液を減圧下における遠心分離により取り除く。
収率:2g=10.3mmol=60%
外観:無色の液体
【0088】
合成実施例15
4,5-ジメチル-シクロヘキサン-1,2-ジアミン

準備:1.9g=9.8mmolの4,5-ジメチル-シクロヘキサン-1,2-ジアジド
0.8gのPd/CaCO3
60mlの無水エタノール中における1.9gの4,5-ジメチル-シクロヘキサン-1,2-ジアジドを0.8gのLindlar触媒と混合し、3〜3.5バールのH2圧力においてオートクレーブ中で45時間にわたってジアミンへ還元する。還元の終了時に触媒を濾過して取り除き、エタノールを減圧下における遠心分離により除去する。
収率:1.34g=9.42mmol=96%の4,5-ジメチル-1,2シクロヘキサンジアミン
【0089】
硫酸二水素塩(dihydrogen sulphate)としての特性評価:
4,5-ジメチル-シクロヘキサン-1,2-ジアミンを硫酸(c=3mol/l)で酸性化する。沈殿した固体をエタノールで吸収し、50℃に加熱する。不純物を溶解し、G4フィルターるつぼを介して白色の4,5-ジメチル-1,2-ジアミノシクロヘキサン-硫酸二水素塩を引き出し、減圧下において五酸化リン上で乾燥させる。
元素分析:C8H18N2・H2SO4に対する計算値

NMRスペクトル:

D2O中における1H-NMR:

D2O中における13C-NMRスペクトル:

【0090】
合成実施例16
4-プロピル-1-シクロヘキセン
a)4-プロピル-1-シクロへキサノール

準備:20g=143mmolの4-プロピル-1-シクロヘキサノン
10gのLiAlH4
500mlの無水THF中における10gのLiAlH4の冷却溶液に、分離漏斗を通じ、アルゴン雰囲気下において、20gの4-1-シクロヘキサノンを一滴ずつゆっくりと加える。
【0091】
付加の終了後、得られた混合物を加熱して還流させ、この温度で48時間攪拌する。還元の終了後、500mlのジエチルエーテルを加え、反応しなかったLiAlH4の残分を、蒸留水を一滴ずつ加えることにより分解する。次いで、この混合物を200mlの10%硫酸と混合することにより無機塩を溶解する。この後、エーテル相を分離し、水性相を50mlのエーテルで2回抽出する。これらを合わせたエーテル相をNa2SO4で乾燥させ、エーテルおよびTHFを遠心分離により取り除く。
外観:無色の油性の液体
収率:19.3g=135mmol=94%
【0092】
b)4-プロピル-1-シクロヘキセン

準備:19.0g=133mmolの4-プロピルシクロへキサノール
16.0gのKHSO4
19gの4-プロピル-1-シクロへキサノールを16gのKHSO4と混合し、70℃で1週間攪拌する。酢酸エチルの付加後、KHSO4を濾過して取り除く。酢酸エチルを蒸発させ、分別蒸留により本生成物を得る。
収率:13.7g=110mmol=83%
外観:無色の液体
沸点=151〜153℃
【0093】
合成実施例17
4-プロピル-シクロヘキサン-1,2-ジアジド

準備:4.80g=38.6mmolの4-プロピル-1-シクロヘキセン
31.1g=116mmolのMn(OAc)3・2H2O
12.6g=196mmolのNaN3
440mlのアセトニトリル中におけるMn(OAc)3・2H2OおよびNaN3の懸濁液に4.8gの4-プロピル-1-シクロヘキセンおよび44mlのTFAを-20℃でN2雰囲気下において加える。この混合物を-19℃から-21℃までの温度で3時間攪拌した後、10%のNaHSO3溶液で希釈する。次いで、この無色の溶液を3×50mlの石油スピリット(沸点=40〜60℃)で抽出する。
【0094】
得られた有機相を飽和Na2CO3溶液で洗った後、飽和NaCl溶液で洗い、Na2SO4で乾燥させる。次いで、この溶液を減圧下における遠心分離により取り除く。
収率:29.4g=163mmol=78.5%
外観:無色の液体
【0095】
合成実施例18
4-プロピル-トランス-シクロヘキサン-1,2-ジアミン

準備:4g=19.2mmolの4-プロピル-シクロヘキサン-1,2-ジアジド
1.6gのPd/CaCO3
60mlの無水エタノール中における4gの4-エチル-シクロヘキサン-1,2-ジアジドを1.6gのLindlar触媒と混合し、3バールのH2圧力においてオートクレーブ中で48時間にわたりジアミンへ還元する。還元の終了時に、触媒を濾過して取り除き、エタノールを減圧下における遠心分離により除去する。
【0096】
硫酸二水素塩としての特性評価:
4-プロピル-1,2-ジアミノシクロヘキサンを硫酸(c=3mol/l)で酸性化する。沈殿した固体をエタノールで吸収し、50℃に加熱する。不純物を溶解し、G4フィルターるつぼを介して白色の4-プロピル-シクロヘキサン-1,2-ジアミン-硫酸二水素塩を引き出し、減圧下においてP2O5上で乾燥させる。
【0097】
合成実施例19
4-t-ブチル-1-シクロヘキセン

準備:20.0g=120mmolの4-プロピルシクロへキサノール
17.0gのKHSO4
20gの4-t-ブチル-1-シクロへキサノールを17gのKHSO4と混合し、95℃で1週間攪拌する。酢酸エチルの付加後、KHSO4を濾過して取り除く。酢酸エチルを蒸発させ、分別蒸留により本生成物を得る。
収率:11g=80mmol=65%
外観:無色の液体
沸点=168〜171℃
【0098】
合成実施例20
4-t-ブチル-シクロヘキサン-1,2-ジアジド

準備:5.0g=36mmolの4-t-ブチル-1-シクロヘキセン
29g=108mmolのMn(OAc)3・2H2O
11.8g=180mmolのNaN3
420mlのアセトニトリル中におけるMn(OAc)3・2H2OおよびNaN3の懸濁液に、5gの4-t-ブチル-1-シクロヘキセンおよび42mlのTFAを、-20℃でN2雰囲気下において加える。この混合物を-19℃から-21℃までの温度で3時間攪拌した後、10%のNaHSO3溶液で希釈する。次いで、この無色の溶液を3×50mlの石油スピリット(沸点=40〜60℃)で抽出する。得られた有機相を飽和Na2CO3溶液で洗った後、飽和NaCl溶液で洗い、Na2SO4で乾燥させる。次いで、この溶液を減圧下における遠心分離により取り除く。
収率:6.39g=28.7mmol=80%
外観:無色の液体
【0099】
合成実施例21
4-t-ブチル-トランス-シクロヘキサン-1,2-ジアミン

準備:4g=19.2mmolの4-t-ブチルシクロヘキサン-1,2-ジアジド
1.6gのPd/CaCO3
60mlの無水エタノール中における4gの4-エチル-シクロヘキサン-1,2-ジアジドを1.6gのLindlar触媒と混合し、3バールのH2圧力においてオートクレーブ中で48時間にわたりジアミンへ還元する。還元の終了時に、触媒を濾過して取り除き、エタノールを減圧下における遠心分離により除去する。
【0100】
硫酸二水素塩としての特性評価:
4-ブチル-1,2-ジアミノシクロヘキサンを硫酸(c=3mol/l)で酸性化する。沈殿した固体をエタノールで吸収し、50℃に加熱する。不純物を溶解し、G4フィルターるつぼを介して白色の4-ブチルシクロヘキサン-1,2-ジアミン-硫酸二水素塩を引き出し、減圧下においてP2O5上で乾燥させる。
【0101】
合成実施例22
4-フェニル-1-シクロヘキセン
a)4-フェニル-1-シクロへキサノール

準備:20g=115mmolの4-フェニル-1-シクロヘキサノン
10gのLiAlH4
500mlの無水THF中における10gのLiAlH4の冷却溶液に、分離漏斗を通じ、アルゴン雰囲気下において、20gの4-フェニル-1-シクロヘキサノンを一滴ずつゆっくりと加える。
【0102】
付加の終了後、得られた混合物を加熱して還流させ、この温度で48時間攪拌する。還元の終了後、500mlのジエチルエーテルを加え、反応しなかったLiAlH4の残分を、蒸留水を一滴ずつ加えることにより分解する。次いで、この混合物を200mlの10%硫酸と混合することにより無機塩を溶解する。この後、エーテル相を分離し、水性相を50mlのエーテルで2回抽出する。これらを合わせたエーテル相をNa2SO4で乾燥させ、エーテルおよびTHFを遠心分離により取り除く。
外観:白色の固体
収率:18g=102mmol=89%
融点:100.5〜114.1℃
【0103】
b)4-フェニル-1-シクロヘキセン

準備:18.0g=102mmolの4-フェニルシクロへキサノール
16.0gのKHSO4
19gの4-プロピル-1-シクロへキサノールを16gのKHSO4と混合し、125℃で1週間攪拌する。酢酸エチルの付加後、KHSO4を濾過して取り除く。酢酸エチルを蒸発させ、減圧蒸留により本生成物を得る。
収率:12g=76mmol=75%
外観:無色の液体
沸点=1.1〜1.3ミリバールにおいて56〜59℃
【0104】
合成実施例23
4-フェニル-シクロヘキサン-1,2-ジアジド

準備:5.3g=33.5mmolの4-フェニル-1-シクロヘキセン
27g=101mmolのMn(OAc)3・2H2O
11g=168mmolのNaH3
400mlのアセトニトリル中におけるMn(OAc)3・2H2OおよびNaN3の懸濁液に5.3gの4-フェニル-1-シクロヘキセンおよび40mlのTFAを-20℃でN2雰囲気下において加える。この混合物を-19℃から-21℃までの温度で3時間攪拌した後、10%のNaHSO3溶液で希釈する。次いで、この無色の溶液を3×50mlの石油スピリット(沸点=40〜60℃)で抽出する。得られた有機相を飽和Na2CO3溶液で洗った後、飽和NaCl溶液で洗い、Na2SO4で乾燥させる。次いで、この溶液を減圧下における遠心分離により取り除く。
収率:6g=24.8mmol=74%
外観:無色の液体
【0105】
合成実施例24
4-フェニル-トランス-シクロヘキサン-1,2-ジアミン

準備:4g=19.2mmolの4-フェニル-シクロヘキサン-1,2-ジアジド
1.6gのPd/CaCO3
60mlの無水エタノール中における4gの4-フェニル-シクロヘキサン-1,2-ジアジドを1.6gのLindlar触媒と混合し、3バールのH2圧力においてオートクレーブ中で48時間にわたりジアミンへ還元する。還元の終了時に、触媒を濾過して取り除き、エタノールを減圧下における遠心分離により除去する。
【0106】
硫酸二水素塩としての特性評価:
4-フェニル-1,2-ジアミノシクロヘキサンを硫酸(c=3mol/l)で酸性化する。沈殿した固体をエタノールで吸収し、50℃に加熱する。不純物を溶解し、G4フィルターるつぼを介して白色の4-フェニル-シクロヘキサン-1,2-ジアミン-硫酸二水素塩を引き出し、減圧下においてP2O5上で乾燥させる。
【0107】
合成実施例25
(SP-4-3)-ジクロロ(4,5-ジメチル-トランス-シクロヘキサン-1,2-ジアミン)白金(II)

準備:0.60g=4.22mmolの4,5-ジメチル-トランス-シクロヘキサン-1,2-ジアミン
1.75g=4.22mmolのK2PtCl4
1.75gのK2PtCl4を30mlの三重蒸留水に溶解し、0.6gの4,5-ジメチル-トランス-シクロヘキサン-1,2-ジアミンと共に懸濁させる。形成された沈殿物をPOR 4ガラスフィルターるつぼ上で徐々に引き出し、デシケーター内において五酸化リン上で乾燥させる。
外観:黄色い固体
収率:1.12g=2.74mmol=65%
元素分析:C8H18N2Cl2Ptに対する計算値 408.24g/mol

【0108】
合成実施例26
(SP-4-3)-ジクロロ(4-プロピル-トランス-シクロヘキサン-1,2-ジアミン)白金(II)

準備:1.53g=6.02mmolの4-プロピル-トランス-シクロヘキサン-1,2-ジアミン-硫酸二水素塩
2.50g=6.02mmolのK2PtCl4
2.5gのK2PtCl4を40mlの三重蒸留水に溶解し、1.53gの4-プロピル-トランス-シクロヘキサン-1,2-ジアミン-硫酸二水素塩と共に懸濁させる。この後、pH値を0.5NのNaOHで7に設定し、pH値をpH計で連続的に測定しながら、0.1NのNaOHでこの値を維持する。形成された沈殿物をPOR 4ガラスフィルターるつぼ上へ徐々に引き出し、デシケーター内において五酸化リン上で乾燥させる。
外観:黄色い固体
収率:1.83g=4.33mmol=72%
【0109】
合成実施例27
(SP-4-3)-ジクロロ(4-t-ブチル-トランス-シクロヘキサン-1,2-ジアミン)白金(II)

準備:1.60g=6.02mmolの4-t-ブチル-トランス-シクロヘキサン-1,2-ジアミン-硫酸二水素塩
2.50g=6.02mmolのK2PtCl4
2.5gのK2PtCl4を50mlの三重蒸留水に溶解し、1.6gの4-t-ブチル-トランス-シクロヘキサン-1,2-ジアミン-硫酸二水素塩と共に懸濁させる。この後、pH値を0.5NのNaOHで7に設定し、pH値をpH計で連続的に測定しながら、0.1NのNaOHでこの値を維持する。形成された沈殿物をPOR 4ガラスフィルターるつぼ上へ徐々に引き出し、デシケーター内において五酸化リン上で乾燥させる。
外観:黄色い固体
収率:1.8g=4.12mmol=70%
【0110】
合成実施例28
(SP-4-3)-ジクロロ(4-フェニル-トランス-シクロヘキサン-1,2-ジアミン)白金(II)

準備:1.4g=4.82mmolの4-フェニル-トランス-シクロヘキサン-1,2-ジアミン-硫酸二水素塩
2.0g=4.82mmolのK2PtCl4
2.0gのK2PtCl4を40mlの三重蒸留水に溶解し、1.4gの4-フェニル-トランス-シクロヘキサン-1,2-ジアミン-硫酸二水素塩と共に懸濁させる。この後、pH値を0.5NのNaOHで7に設定し、pH値をpH計で連続的に測定しながら、0.1NのNaOHでこの値を維持する。形成された沈殿物をPOR 4ガラスフィルターるつぼ上へ徐々に引き出し、デシケーター内において五酸化リン上で乾燥させる。
外観:黄色い固体
収率:1.2g=2.63mmol=55%
【0111】
実施例1
(SP-4-3)-(4-メチル-トランス-シクロヘキサン-1,2-ジアミン)オキサラト白金(II)

準備:0.8036g=2.039mmolの(4-メチル-トランス-dach)PtCl2
0.623g=2.00mmolのAg2SO4
0.193g=1.531mmolのシュウ酸二水和物
3mlの0.5M NaOH
0.8036gの(4-メチル-トランス-dach)PtCl2を30mlの三重蒸留水中に充分に懸濁させる。この後、0.6433gのAg2SO4を不変的(permanently)に加え、この調製物を、光から保護した状態で2日間攪拌する。
【0112】
沈殿したAgClを濾過して取り除き、ロータリーエバポレーターで濾液を乾燥するまで蒸発させる。元素分析およびNMR分光検査用に、残分から70mgを採取する。669mg=1.53mmolのアクア(4-メチル-トランス-シクロヘキサン-1,2-ジアミン)スルファト白金(II)に0.193gのシュウ酸二水和物および3mlの0.5M NaOHを加え、一晩攪拌する。白色の固体をG4ガラスフィルターるつぼ上で濾過して取り除き、減圧デシケーター内において五酸化リン上で乾燥させる。
【0113】
アクア(4-メチル-トランス-シクロヘキサン-1,2-ジアミン)スルファト白金(II)
外観:黄色い固体
収率:0.739g=1.690mmol=85%
元素分析:C7H18N2O6PtS 0.2・H2SO4に対する計算値 437.38g/mol

【0114】
(SP-4-3)-(4-メチル-トランス-シクロヘキサン-1,2-ジアミン)オキサラト白金(II)
外観:白色の固体
融点:>270℃で分解
収率:0.310g=0.75mmol=50%
元素分析:C9H16N2O4Ptに対する計算値 411.33g/mol

IRスペクトル[370〜7000cm-1、CsI]、特性吸収帯(cm-1):

NMRスペクトル:

9/1のH2O/D2O中における1H-NMRスペクトル:

9/1のH2O/D2O中における13C-NMRスペクトル:

9/1のH2O/D2O中における15N,1H-COSYスペクトルからの15N信号:

【0115】
実施例2
(SP-4-3)-(4-エチル-トランス-シクロヘキサン-1,2-ジアミン)オキサラト白金(II)

準備:0.8052g=1.972mmolの(4-エチル-トランス-dach)PtCl2
0.584g=1.87mmolのAg2SO4
0.248g=1.972mmolのシュウ酸二水和物
4mlの0.5M NaOH
0.8052gの(4-エチル-トランス-dach)PtCl2を30mlの三重蒸留水中に充分に懸濁させる。この後、0.584gのAg2SO4を不変的に加え、この調製物を、光から保護した状態で5日間攪拌する。沈殿したAgClを濾過して取り除き、ロータリーエバポレーターで濾液を乾燥するまで蒸発させる。残分に0.248gのシュウ酸二水和物および4mlの0.5M NaOHを加え、一晩攪拌する。白色の固体をG4ガラスフィルターるつぼ上で濾過して取り除き、減圧デシケーター内において五酸化リン上で乾燥させる。
外観:白色の固体
融点:>290℃で分解
収率:0.170g=1.48mmol=72%
元素分析:C10H18N2O4Ptに対する計算値 425.35g/mol

IRスペクトル[370〜7000cm-1、CsI]、特性吸収帯(cm-1):

NMRスペクトル:

9/1のH2O/D2O中における1H-NMRスペクトル:

9/1のH2O/D2O中における13C,1H COSY NMRスペクトルからの13C信号:

【0116】
実施例3
(SP-4-3)-(4,5-ジメチル-トランス-シクロヘキサン-1,2-ジアミン)オキサラト白金(II)

準備:600mg=1.47mmolのジクロロ(4,5-ジメチル-シクロヘキサン-1,2-ジアミン)白金(II)
480mg=2.82mmolのAgNO3
127mg=1.41mmolのシュウ酸
2.80ml=2.80mmolの1N NaOH
600mgのジクロロ(4,5-ジメチル-シクロヘキサン-1,2-ジアミン)白金(II)を70mlの三重蒸留水中に懸濁させ、480mgの硝酸銀を加え、室温で1日間攪拌する。沈殿した塩化銀をPOR 4-ガラスフィルターるつぼ上で濾過して取り除く。
【0117】
127mgのシュウ酸を2.8mlのNaOH中に溶解し、半分に減らした上述の溶液に加える。この混合物を室温で4時間攪拌する。続いて、生成物をPOR 4-ガラスフィルターるつぼ上へ引き出し、減圧下において五酸化リン上で乾燥させる。
外観:白色の固体
収率:290mg=0.68mmol=48%
元素分析:C10H18N2O4Ptに対する計算値 425.35g/mol

NMRスペクトル:

D2O中における1H-NMR:

D2O中における13C-NMR:

【0118】
実施例4
(SP-4-3)-(4-プロピル-トランス-シクロヘキサン-1,2-ジアミン)オキサラト白金(II)


この合成は、ジクロロ錯体から実施例3と同様にして行われる。
元素分析:C11H20N2O4Ptに対する計算値 439.38g/mol

【0119】
実施例5
(SP-4-3)-(4-t-ブチル-トランス-シクロヘキサン-1,2-ジアミン)オキサラト白金(II)

この合成は、ジクロロ錯体から実施例3と同様にして行われる。
元素分析:C12H22N2O4Ptに対する計算値 453.41g/mol

【0120】
実施例6
(SP-4-3)-(4-フェニル-トランス-シクロヘキサン-1,2-ジアミン)オキサラト白金(II)

この合成は、ジクロロ錯体から実施例3と同様にして行われる。
元素分析:C14H18N2O4Ptに対する計算値 473.40g/mol

【0121】
ラセミ化合物分割の実施
合成実施例3、6、15、18、21、および24におけるジアミンの鏡像異性体の分離は、例えば酒石酸との塩を形成することにより実施することができる。これを果たすため、(ジアミンのどちらの鏡像異性体を優先的に単離すべきなのかに依存して)(R,R)-または(S,S)-酒石酸のうちのいずれかを水に溶解し、<70℃の温度でジアミンを加える。ジアミンの付加を完了した後、氷酢酸を加え、次いで、この混合物を5℃に冷却する。沈殿した塩を濾過により取り除き、乾燥させる。水酸化ナトリウム溶液を加え、続いて、有機溶媒で抽出することにより、所望の鏡像異性体を解放し、得ることができる。
【0122】
または、酒石酸の代わりにO,O-ジベンゾイル酒石酸を使用し、この後、水/アセトン混合液中において作業を進めることもできる。
【0123】
得られた明確な鏡像異性体のジアミンは、この後、合成実施例7、8、25、26、27、および28と同様な仕方でジクロロ白金錯体へ変換され、硝酸銀または硫酸銀での活性化後、これらのジクロロ白金錯体は、実施例1〜6と類似の仕方でシュウ酸またはシュウ酸ナトリウムを用いてオキサラト錯体へ変換することができる。
【0124】
細胞毒性試験
実施例1および2による化合物の細胞毒性を、以下の細胞株、41M、CH1、およびSW480を用いることにより試験した。この試験では、以下の方法が選択された。
【0125】
オキサリプラチンおよびその誘導体[(トランス-S,S-chxn)Pt(ox)]、[(4-メチル-トランス-chxn)Pt(ox)]、および[(4-エチル-トランス-chxn)Pt(ox)]の増殖阻害活性が、活性物質に連続的に曝露(96時間)した状態での微量培養テトラゾリウム試験(MTTアッセイ)において、3種類のヒト腫瘍細胞株で比較に基づき調べられた。詳細には、以下の細胞株の付着単層培養が用いられた。41M(卵巣の腺癌)、CH1(卵巣の腺癌)、SW480(結腸の腺癌;シスプラチンに対して一次的な抵抗性)。
【0126】
培養条件:これらの細胞を75cm2の培養フラスコ内において37℃で湿った雰囲気(5%のCO2)に保った。培地として、2mmol/lのl-グルタミン、1mmol/lのピルビン酸ナトリウム、50IU/mlのペニシリン、50μg/mlのストレプトマイシン、および10%の熱非働化ウシ胎児血清を含む最少必須培地(MEM)を使用した。
【0127】
試験の実施:トリプシンで処理することによりサブコンフルエント培養から細胞懸濁液を得、定められた密度で96穴の微量培養プレートに播種した。初期密度は、全試験期間にわたって培養の指数増殖が保証されるように選んだ。細胞株41Mの場合には初期密度は4×104細胞/mlであり、CH1の場合には1.25×104細胞/mlであり、SW480の場合には1.5×104細胞/mlであった。これらのプレートは、細胞の樹立を果たすための標準的な条件下において24時間インキュベートされた。この後、試験すべき化合物を、(有機溶媒または溶解剤を付加することなく)培地内における10段階の濃度系列でプレートに導入し、全試験期間(96時間)にわたって放置した。実験毎に、同じ細胞株の8つの微量培養で各濃度を試験した。実験の終了時に、微量培養における個々の生細胞数を、未処理対照培養との関連において、MTT-染料反応を用いて(550nmにおける)分光測光法により決定した。同様に、並行して始めた微量培養プレートにおける生細胞数を、活性物質への曝露の開始時に定量した。[(トランス-S,S-chxn)Pt(ox)]およびラセミ化合物の試験は1回のみ実施し、他のすべての実験は3回実行した。評価では平均値を用いた。
【0128】
細胞株41Mでの結果

図1は、濃度と生細胞(T/C)[%]の依存性における結果の概略図を示す。
【0129】
細胞株CH1での結果

図2は、濃度と生細胞(T/C)[%]の依存性における結果の概略図を示す。
【0130】
細胞株SW480での結果

図3は、濃度と生細胞(T/C)[%]の依存性における結果の概略図を示す。
【0131】
上述の結果から分かるように、オキサリプラチンと比較して、実施例1および2による化合物の異性体混合物の細胞毒性は同等またはそれ以上に良好である。これは、異性体混合物は、一般的に、純粋なトランス-R,R-シクロヘキサン-1,2-ジアミン-白金化合物よりも低い細胞毒性を有しているため、特に驚くべきことである。
【0132】
インビボ実験
実施された有効性試験は、オキサリプラチン自体に比べ、これらの新規誘導体の毒性が明らかに低いことを示している。最も高い用量でのオキサリプラチンの使用は14日目までに試験群におけるすべての動物の死を導き、一方、同じく最も高い用量レベルで本発明による化合物(4-メチル-トランス-chxn)Pt(ox)および(4-エチル-トランス-chxn)Pt(ox)が投与された群では、それぞれ、(4-メチル-トランス-chxn)Pt(ox)群では4匹/6匹の動物が、また(4-エチル-トランス-chxn)Pt(ox)群の場合には6匹/6匹の動物が14日目でもまだ生存していた。
【0133】
スケジュール:Qd×5
雌の腫瘍保持B6D2F1マウス、腫瘍移植の14日後

筋肉内移植されたマウスLewis肺癌腫における本発明による化合物の有効性は、有意に良好な適合性を有していたにもかかわらず、オキサリプラチンの効果と同等であった。
【0134】
マウスにおけるL1210白血病
この実験で、新規化合物(4-メチル-トランス-chxn)Pt(ox)は、マウス白血病において、高用量(24mg/kg)での良好な耐性と、更には3mg/kgから6mg/kgまでの用量範囲における良好な有効性の両者を示し(すべての動物が実験の最後まで生き残った)、一方、I-OHPで治療された群では既に死亡例が生じた。
【0135】
MTD試験
腫瘍のない動物でのこの試験で、2種類の新規誘導体(4-メチル-トランス-chxn)Pt(ox)および(4-エチル-トランス-chxn)Pt(ox)は、オキサリプラチンで見られるよりも明らかに良好な耐性を示す(どちらの場合でもMTDは10mg/kg Qd×5、5日目の体重減少5%:これに比べ、オキサリプラチンの場合は、同じスケジュールでMTD=5mg/kg)。
【0136】
従って、確立されているオキサリプラチンに比べ、本発明による新規誘導体の良好な耐性が動物試験において判明する。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】濃度と生細胞(T/C)[%]の依存性における結果の概略図を示す。
【図2】濃度と生細胞(T/C)[%]の依存性における結果の概略図を示す。
【図3】濃度と生細胞(T/C)[%]の依存性における結果の概略図を示す。
【図4】マウスにおける白血病L1210での、I-OHPとの比較における(4-メチル-トランス-chxn)Pt(ox)の有効性に関する結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)の化合物、およびその薬学的に適合する塩:

(式中、置換基R1、R1'、R2、R2'、R3、R3'、R4、およびR4'は、置換基R1、R1'、R2、R2'、R3、R3'、R4、またはR4'のうちの少なくとも1つが水素でなく、かつ、基R1またはR1'およびR4またはR4'が相互に任意の非置換C1-2アルキレン基を形成しないことを条件として、水素、非置換または置換された分枝または非分枝アルキル、非置換または置換された分枝または非分枝アルケニル、非置換または置換シクロアルキル、非置換または置換シクロアルケニル、非置換または置換アリール、および非置換または置換アルキルアリール基からなる群より相互に独立して選択され、
置換基R5、R5'、R6、およびR6'は、水素、非置換または置換された分枝または非分枝アルキル、および非置換または置換された分枝または非分枝アルケニル基からなる群より相互に独立して選択され、
任意で、それぞれの場合において、置換基R1、R1'、R2、R2'、R3、R3'、R4、およびR4'のうちの少なくとも2つが相互に少なくとも1つの非置換もしくは置換アルキレン、非置換もしくは置換アルケニレン基、または非置換もしくは置換芳香環を形成してよく、
任意で、置換基R1、R1'、R2、R2'、R3、R3'、R4、およびR4'を担持したシクロヘキサン環の炭素原子のうちの少なくとも1つがヘテロ原子で置換され、かつ
へテロ原子が酸素の場合には、置換基R1、R1'、R2、R2'、R3、R3'、R4、および/またはR4'は更にヒドロキシ基であってよい)。
【請求項2】
置換基R1、R1'、R2、R2'、R3、R3'、R4、およびR4'が、水素、C1-C15アルキル、C2-C15アルケニル、C3-C15シクロアルキル、C3-C15シクロアルケニル、C6-C14アリール、およびC1-C15アルキル-C6-C14アリール基からなる群より相互に独立して選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
置換基R1、R1'、R2、R2'、R3、R3'、R4、およびR4'が、水素、C1-C10アルキル、C3-C10シクロアルキル、C6-C14アリール基からなる群より選択される、請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
置換基R1、R1'、R3、R3'、R4、およびR4'が水素であり、かつ置換基R2またはR2'の一方がC1-C6アルキル基またはC6-C14アリール基であり、他方が水素原子である、請求項1から3のいずれか一項記載の化合物。
【請求項5】
置換基R2またはR2'がメチル、エチル、プロピル、t-ブチル、またはフェニル基である、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
置換基R5、R5'、R6、およびR6'が水素であり、任意で、置換基R1、R1'、R2、R2'、R3、R3'、R4、およびR4'を担持したシクロヘキサン環の炭素原子のうちの少なくとも1つがヘテロ原子で置換され、かつ
へテロ原子が酸素である場合には、置換基R1、R1'、R2、R2'、R3、R3'、R4、およびR4'が、水素、非置換または置換アルキル、非置換または置換アルケニル、非置換または置換シクロアルキル、非置換または置換シクロアルケニル、非置換または置換アリール、および非置換または置換アルキルアリール基からなる群より相互に独立して選択される、請求項1から5のいずれか一項記載の化合物。
【請求項7】
治療薬または予防薬としての、請求項1から6のいずれか一項記載の化合物。
【請求項8】
腫瘍疾患に対抗するための薬剤および/または腫瘍疾患の予防用薬剤を製造するための、請求項1から6のいずれか一項記載の化合物の使用。
【請求項9】
請求項1から6のいずれか一項記載の化合物を含む薬剤。
【請求項10】
疾患を治療するために請求項1から6のいずれか一項記載の化合物を投与することによる、治療を必要としている哺乳動物の治療的治療方法および/または予防的治療方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−143913(P2009−143913A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−315121(P2008−315121)
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【分割の表示】特願2004−513300(P2004−513300)の分割
【原出願日】平成15年6月16日(2003.6.16)
【出願人】(508332014)
【Fターム(参考)】