説明

腰壁の端面化粧材、および、その施工方法

【課題】腰壁の端面を化粧する端面化粧材において、それを構成する主体化粧材の現場での長さ調整を自由度高く行えるようにしながら、主体化粧材と接続化粧材との間に所定の化粧溝を適切に形成させた状態でのこの接続化粧材を介した主体化粧材相互の接続をなせるようにする。
【解決手段】腰壁Wの天端面Wa、側端面Wbあるいは両者の化粧をなす化粧材であって、主体化粧材1と、接続化粧材2と、主体化粧材1の接続端面10に止着される介装材3とを有している。接続化粧材2には接続化粧材2を介して接続され合う主体化粧材1の接続端面10に止着された介装材3の入れ込み凹部20が二カ所以上位置を異ならせるようにして形成されている。主体化粧材1と接続化粧材2との間に介装材3の外面を溝底面とする化粧溝4を形成させるようにして、主体化粧材1を接続化粧材2によって接続させ合わせるようにしてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、所定高さの壁体として独立して構成され、従って、天端面を有している腰壁の、天端面、側端面あるいは両者の化粧をなすために用いられる端面化粧材の改良、および、その施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
第一厚みを持った水平コーナ役物と、接続端部を第二厚みとしてその余を第一厚みとした笠木部材とからなり、第二厚みを第一厚みより小さくした笠木がある。(特許文献1参照)この笠木にあっては、水平コーナ役物と笠木部材との突き合わせ接続部において前記両厚みの差分の底目地(化粧溝)を形成させることができる。これにより、水平コーナ役物の表面と笠木部材の表面との高さにズレが生じた場合でもそれが目立つことを防いでいる。しかるに、この笠木にあっては、笠木部材の長さ調整は、第二厚みを持った接続端部の範囲内でしか行うことができないものであった。すなわち、かかる笠木では、施工現場において、笠木部材の長さの大幅な調整が必要となっても、それをなすことができないものであった。
【特許文献1】特許第3423132号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、腰壁の端面を化粧する端面化粧材において、それを構成する主体化粧材の現場での長さ調整を自由度高く行えるようにしながら、主体化粧材と接続化粧材との間に所定の化粧溝を適切に形成させた状態でのこの接続化粧材を介した主体化粧材相互の接続をなせるようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記問題点を解決するために、この発明にあっては、腰壁の端面化粧材を以下の(1)〜(6)の構成を備えたものとした。
(1)腰壁の天端面、側端面あるいは両者の化粧をなす化粧材であって、
(2)主体化粧材と、
(3)接続化粧材と、
(4)主体化粧材の接続端面に止着される介装材とを有しており、
(5)接続化粧材には、この接続化粧材を介して接続され合う主体化粧材の接続端面に止着された介装材の入れ込み凹部が二カ所以上位置を異ならせるようにして形成されており、
(6)主体化粧材と接続化粧材との間に介装材の外面を溝底面とする化粧溝を形成させるようにして、主体化粧材を接続化粧材によって接続させ合わせるようにしてある。
【0005】
かかる構成によれば、接続化粧材の入れ込み凹部に前記のように主体化粧材の接続端面に止着された介装材を、この入れ込み凹部を巡る面と接続端面との間に所定の隙間を開けるようにして、入れ込ませた状態で、腰壁を構成する下地材に釘などを用いて接続化粧材と主体化粧材とを止着させることにより、かかる主体化粧材と接続化粧材との間に介装材の外面を溝底面とする化粧溝を形成させることができる。主体化粧材の長さ寸法の調整が必要な場合には、施工現場で主体化粧材を切断して短くした後、その切り口としての接続端面に介装材を止着させ、接続化粧材との接続をなすようにすれば、このように切断調整された主体化粧材と接続化粧材との間にこの介装材の外面を溝底面とする化粧溝を前記の場合と同様に適切に形成させることができる。
【0006】
前記接続化粧材の隅を挟んで隣り合う側端部にそれぞれ、入れ込み凹部を形成させておくこともある。
【0007】
このようにした場合、かかる接続化粧材の一方の入れ込み凹部に腰壁の隅を挟んで隣り合う一方の主体化粧材の接続端面に止着された介装材を入れ込ませ、かつ、かかる接続化粧材の他方の入れ込み凹部に腰壁の隅を挟んで隣り合う他方の主体化粧材の接続端面に止着された介装材を入れ込ませるようにして、この接続化粧材を腰壁の隅の天端面を覆うように取り付け、かつ、両主体化粧材をそれぞれ腰壁の天端面を覆うように取り付けることにより、この腰壁の隅を挟んで隣り合う主体化粧材を、化粧溝を作りながら、かかる接続化粧材によって見栄え良く連続させ合わせることができる。
【0008】
前記接続化粧材の一つの側端部と、この一つの側端部に接続化粧材の隅を挟んで隣り合う二つの側端部とにそれぞれ、入れ込み凹部を形成させておくこともある。
【0009】
このようにした場合、かかる接続化粧材の一つの側端部に形成された入れ込み凹部に腰壁がT字状に交わる交点部に接続端部を向けるように配される主体化粧材の一つの接続端面に止着された介装材を入れ込ませ、
かかる接続化粧材の他の一つの側端部に形成された入れ込み凹部に前記交点部に接続端部を向けるように配される主体化粧材の他の一つの接続端面に止着された介装材を入れ込ませ、
さらに、かかる接続化粧材のさらに他の一つの側端部に形成された入れ込み凹部に前記交点部に接続端部を向けるように配される主体化粧材のさらに他の一つの接続端面に止着された介装材を入れ込ませるようにして、この接続化粧材を腰壁の交点部の天端面を覆うように取り付け、かつ、三つの主体化粧材をそれぞれ腰壁の天端面を覆うように取り付けることにより、この腰壁の交点部に接続端部を向けるようにして配される三つの主体化粧材を、化粧溝を作りながら、かかる接続化粧材によって見栄え良くT字状をなすように連続させ合わせることができる。
【0010】
前記接続化粧材の側端部に、腰壁の天端と側端との間の屈曲部を挟んで隣り合って配される主体化粧材の一方に止着された介装材の入れ込み凹部を形成させておくとと共に、
接続化粧材の裏面部に、腰壁の屈曲部を挟んで隣り合って配される主体化粧材の他方に止着された介装材の入れ込み凹部を形成させておくこともある。
【0011】
このようにした場合、かかる接続化粧材の側端部に形成された入れ込み凹部に腰壁の屈曲部を挟んで上方に位置される天端面を覆う主体化粧材の接続端面に止着された介装材を入れ込ませ、かつ、かかる接続化粧材の裏面部に形成された入れ込み凹部に腰壁の屈曲部を挟んで下方に位置される腰壁の側端面を覆う主体化粧材の接続端面に止着された介装材を入れ込ませるようにして、この接続化粧材を腰壁の屈曲部の天端面を覆うように取り付け、かつ、両主体化粧材をそれぞれ腰壁の端面を覆うように取り付けることにより、この腰壁の屈曲部を挟んで隣り合う主体化粧材を、化粧溝を作りながら、かかる接続化粧材によって見栄え良く連続させ合わせることができる。
【0012】
前記介装材が、
主体化粧材の接続端面への止着面と、この止着面に略直交する向きにある両横向き面、及び、両側面を備えた基部と、
基部の横向き面の一方に連続する面を、基部の横向き面の他方の前端を略円心とする仮想の円の円弧上に位置させるように形成された延長部とを有しているものとしておくこともある。
【0013】
このようにした場合、接続化粧材の表面と主体化粧材の表面とが略同面上に位置されるように両者が組み合わされる場合には、介装材の延長部を接続化粧材の入れ込み凹部に入れ込ませるようにすることにより、この介装材の外面を底面とする化粧溝を接続化粧材と主体化粧材との間に形成させることができる。
【0014】
また、接続化粧材の表面が略水平に配され、主体化粧材の表面がそこから下り勾配を持つように両者が組み合わされる場合には、介装材の延長部の円弧面を上向きにして、かつ、基部の前端がこの勾配の始まりとなる位置に略位置されるようにし、かつ、この勾配によって接続化粧材と主体化粧材との間に生じる隙間分、前記円弧面が接続化粧材の入れ込み凹部から外に出るように入れ込み凹部に延長部を入れ込ませることにより、この介装材の外面を底面とする化粧溝を接続化粧材と主体化粧材との間に形成させることができる。
【0015】
また、接続化粧材の表面が略水平に配され、主体化粧材の表面がそこから登り勾配を持つように両者が組み合わされる場合には、介装材の延長部の円弧面を下向きにして、かつ、基部の前端がこの勾配の始まりとなる位置に略位置されるようにし、かつ、この勾配によって接続化粧材と主体化粧材との間に生じる隙間分、前記円弧面が接続化粧材の入れ込み凹部から外に出るように入れ込み凹部に延長部を入れ込ませることにより、この介装材の外面を底面とする化粧溝を接続化粧材と主体化粧材との間に形成させることができる。
【0016】
また、前記問題点を解決するために、この発明にあっては、腰壁の端面化粧材の施工方法を以下の(1)〜(3)の構成を備えたものとした。
(1)一対の脚部と、この一対の脚部間に亘る連接部とを有し、この一対の脚部間の間隔を介装材の両側面間の間隔と略等しくするように構成された施工補助具であって、その厚さを主体化粧材の接続端面からの介装材の突き出し寸法よりも小さくするように構成された施工補助具を用意し、
(2)施工補助具の内側に主体化粧材に止着された介装材をその表面側から嵌め入れた状態で、この施工補助具が主体化粧材の接続端面と接続化粧材の入れ込み凹部を巡る面とに挟み付けられる位置までこの入れ込み凹部に介装材を入れ込み、
(3)腰壁に対して接続化粧材及び主体化粧材の双方を止着させた後、前記嵌められた施工補助具を取り外すようにする。
【0017】
このようにした場合、前記化粧溝が接続化粧材と主体化粧材との間に、格別の注意を払うことなく常に所定の溝幅寸法をもって形成されるようにすることができる。
【0018】
また、前記施工補助具における少なくとも一対の脚部のそれぞれが、第一向き合い面と、この第一向き合い面よりも外側に位置される第二向き合い面とをとを有しており、
この施工補助具が、一対の脚部の第一向き合い面間の間隔を介装材の両側面間の間隔と略等しくしていると共に、
一対の脚部の第二向き合い面間の間隔を、主体化粧材の幅寸法と略等しく、かつ、接続化粧材の入れ込み凹部の形成されている側端部の幅寸法と略等しくし、
さらに、突き出し端を第一向き合い面とする隆起部の両側にそれぞれ第二向き合い面を備えた施工補助具となっており、
この施工補助具を用いて前記施工方法を実施するようにしておくこともある。
【0019】
このようにした場合、隆起部を挟んだ一方側の第二向き合い面内に主体化粧材の接続端面側の端部をはめ込み、かつ、隆起部を挟んだ他方側の第二向き合い面内に接続化粧材の側端部をはめ込むようにして、この主体化粧材と接続化粧材との間に施工補助具を介在させることができ、これにより、主体化粧材の側面と接続化粧材のはめ込み凹部の形成されている側端部に隣り合う側端面とを略同一の直線上にできる限り位置させるようにした施工をなすことができる。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、端面化粧材を構成する主体化粧材の現場での長さ調整を自由度高く行えるようにしながら、主体化粧材と接続化粧材との間に所定の化粧溝を適切に形成させた状態でのこの接続化粧材を介した主体化粧材相互の接続をなすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図1ないし図19に基づいて、この発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0022】
なお、ここで図1ないし図5は、腰壁Wの隅Wcを挟んで隣り合う主体化粧材1とこれらを連続させ合わせるようにこれらに接続される接続化粧材2とからなる端面化粧材Pの例を示している。
【0023】
また、図6ないし図9は、施工補助具5の一例をそれぞれ示しており、特に図9は、かかる施工補助具5の使用状態を断面の状態として示している。
【0024】
また、図10ないし図13は、腰壁Wの隅Wcを挟んで隣り合う主体化粧材1の一方が昇り勾配を持ち、他方が下り勾配を持つように配される場合のこれら主体化粧材1と、これらを連続させ合わせるようにこれらに接続される接続化粧材2とからなる端面化粧材Pの例を示している。
【0025】
また、図14および図15は、三辺に入れ込み凹部20を備えた接続化粧材2の例を示している。
【0026】
また、図16ないし図19は、腰壁Wの天端と側端との間の屈曲部Wdを挟んで隣り合う主体化粧材1とこれらを連続させ合わせるようにこれらに接続される接続化粧材2とからなる端面化粧材Pの例を示している。
【0027】
この実施の形態にかかる端面化粧材Pは、所定高さの壁体として独立して構成され、従って、天端面Waを有している腰壁Wの、天端面Wa、側端面Wbあるいは両者の化粧をなすために用いられ、かかる腰壁Wの笠木などとなるものである。
【0028】
また、この実施の形態にかかる施工方法は、かかる化粧材を腰壁Wの天端面Waや側端面Wbに見栄え良く取り付けるために適用されるものである。
【0029】
かかる端面化粧材Pは、
(1)主体化粧材1と、
(2)接続化粧材2と、
(3)主体化粧材1の接続端面10に止着される介装材3とを有している。
【0030】
接続化粧材2は、腰壁Wの隅Wcに配されて、この腰壁Wの隅Wcを挟んで隣り合って配される主体化粧材1を、接続化粧材2によって連続させ合うようにするものである。
【0031】
また、かかる接続化粧材2は、腰壁Wの天端と側端との間の屈曲部Wdに配されて、この屈曲部Wdを挟んで隣り合って配される主体化粧材1、つまり、天端に配される主体化粧材1と側端に配される主体化粧材1とを、接続化粧材2によって連続させ合う合うようにするものである。
【0032】
また、かかる接続化粧材2は、腰壁WがT字状に交わる交点部に配されて、この腰壁Wの交点部にそれぞれ接続端面10を向けるように配される三つの主体化粧材1を、この接続化粧材2によって連続させ合うようにするものである。
【0033】
また、かかる接続化粧材2は、直線的に連続して配される主体化粧の一方の接続端面10と他方の接続端面10との間に配されて、この二つの主体化粧材1を、この接続化粧材2によって連続させ合うようにするものである。
【0034】
かかる接続化粧材2には、この接続化粧材2を介して接続され合う主体化粧材1の接続端面10に止着された介装材3の入れ込み凹部20が二カ所以上位置を異ならせるようにして形成されている。
【0035】
主体化粧材1の接続端面10は、主体化粧材1の長さ方向に亘る表面11、裏面12、および、両側面13、13のいずれの面にも交叉する向きに配された主体化粧材1の端面である。介装材3は、この接続端面10への止着面30を有し、この止着面30を接続端面10に接触させた状態でこの止着面30に対し背中合わせの向きにある面となる前面31から釘Nなどを打ち込むことにより主体化粧材1の接続端面10にこの接続端面10から前方に突き出すように止着される。
【0036】
そして、この実施の形態にかかる端面化粧材Pにあっては、かかる主体化粧材1と接続化粧材2との間に介装材3の外面を溝底面とする化粧溝4を形成させるようにして、主体化粧材1を接続化粧材2によって連結させ合わせるようにしてある。
【0037】
すなわち、接続化粧材2の入れ込み凹部20に前記のように主体化粧材1の接続端面10に止着された介装材3を、この入れ込み凹部20を巡る面と接続端面10との間に所定の隙間を開けるようにして、入れ込ませた状態で、腰壁Wを構成する下地材に釘Nなどを用いて接続化粧材2と主体化粧材1とを止着させることにより、かかる主体化粧材1と接続化粧材2との間に介装材3の外面を溝底面とする化粧溝4を形成させることができる。主体化粧材1の長さ寸法の調整が必要な場合には、施工現場で主体化粧材1を切断して短くした後、その切り口としての接続端面10に介装材3を止着させ、接続化粧材2との接続をなすようにすれば、このように切断調整された主体化粧材1と接続化粧材2との間にこの介装材3の外面を溝底面とする化粧溝4を前記の場合と同様に適切に形成させることができる。
【0038】
図1ないし図5に示される例にあっては、接続化粧材2の隅22を挟んで隣り合う側端部23にそれぞれ、入れ込み凹部20が形成してある。
【0039】
すなわち、この例にあっては、接続化粧材2は平面視の状態において、略正方形状をなす板体として構成されている。この接続化粧材2の一辺、つまり、一つの側端部23の幅寸法(接続化粧材2における隣り合う隅22、22間の寸法)は、長板状をなす主体化粧材1の幅寸法と略等しくなっている。また、この例にあっては、前記隅22が入り隅状22aをなすように成形されている。また、入れ込み凹部20は、接続化粧材2の側端部23の略全長に亘るように形成されていると共に、この接続化粧材2の前方において開放され、かつ、この接続化粧材2の裏面24において開放されている。また、この例にあっては、介装材3は、直方体状をなしていると共に、入れ込み凹部20の長さ寸法と略同じ長さを持った両横向き面32、32を有している。この両横向き面32、32間の寸法は、つまり、介装材3の厚さ寸法は、入れ込み凹部20の凹部上面21と接続化粧材2の裏面24との間の寸法と略等しい寸法とされている。また、介装材3の止着面30と前面31との間の寸法、つまり、介装材3の前後寸法は、形成させようとする化粧溝4の溝幅寸法よりも大きくなるようにしてある。介装材3は横向き面32の一方を主体化粧材1の裏面12と略同面上に位置させるようにして主体化粧材1に止着される。
【0040】
これにより、この例にあっては、かかる接続化粧材2の一方の入れ込み凹部20に腰壁Wの隅Wcを挟んで隣り合う一方の主体化粧材1の接続端面10に止着された介装材3を入れ込ませ、かつ、かかる接続化粧材2の他方の入れ込み凹部20に腰壁Wの隅Wcを挟んで隣り合う他方の主体化粧材1の接続端面10に止着された介装材3を入れ込ませるようにして、この接続化粧材2を腰壁Wの隅Wcの天端面Waを覆うように取り付け、かつ、両主体化粧材1をそれぞれ腰壁Wの天端面Waを覆うように取り付けることにより、この腰壁Wの隅Wcを挟んで隣り合う主体化粧材1を、化粧溝4を作りながら、かかる接続化粧材2によって見栄え良く連続させ合わせることができる。
【0041】
この実施の形態にかかる端面化粧材Pは、以下の構成を備えた施工補助具5を、以下のように用いて、腰壁Wへの止着をなすようにすることにより、前記化粧溝4が接続化粧材2と主体化粧材1との間に、格別の注意を払うことなく常に所定の溝幅寸法をもって形成されるようにすることができる。
【0042】
かかる施工補助具5は、一対の脚部50、50と、この一対の脚部50、50間に亘る連接部51とを有している。また、かかる一対の脚部50、50間の間隔を介装材3の両側面33、33間の間隔と略等しくするように構成されていると共に、その厚さ(この実施の形態にあっては後述する隆起部54の前後寸法)を主体化粧材1の接続端面10からの介装材3の突き出し寸法、つまり、介装材3の前後寸法よりも小さくするように構成されている。
【0043】
また、この実施の形態にあっては、この施工補助具5における少なくとも一対の脚部50、50のそれぞれが、他方の脚部50の第一向き合い面52に向き合う第一向き合い面52と、この第一向き合い面52よりも外側に位置される第二向き合い面53(他方の脚部50の第二向き合い面53に向き合う面)とを有しており、
この一対の脚部50、50の第一向き合い面52間の間隔を介装材3の両側面33、33間の間隔と略等しくしていると共に、
一対の脚部50、50の第二向き合い面53間の間隔を、主体化粧材1の幅寸法と略等しく、かつ、接続化粧材2の入れ込み凹部20の形成されている側端部23の幅寸法と略等しくし、
さらに、突き出し端を第一向き合い面52とする隆起部54の両側にそれぞれかかる第二向き合い面53を備えるように構成されている。
【0044】
図示の例では、かかる施工補助具5は、連接部51の両端にそれぞれ、この連接部51に直交する向きに下方に突き出す脚部50を有している。また、略コ字状をなす外郭部55の内側に亘って隆起部54が形成されており、施工補助具5はその幅方向の断面をどの位置においても略T字状とするように構成されている。脚部50の下端側においては、第一向き合い面52および第二向き合い面53にはそれぞれこの下端に向かうに連れて外側に広がり出す勾配56が付けられており、施工補助具5の内方への介装材3などのはめ込みを行い易いようにしてある。
【0045】
そして、この実施の形態にあっては、隆起部54の厚さをx、介装材3の前後寸法をy、接続化粧材2の入れ込み凹部20の深さをzとしたときに、
x<y,z≧y−x
の関係が成立するように施工補助具5、介装材3、および、接続化粧材2を構成させている。
【0046】
このように構成される施工補助具5の内側に主体化粧材1に止着された介装材3をその表面(両横向き面32、32のうちの主体化粧材1の表面11側に位置される面)側から嵌め入れた状態で、この施工補助具5が主体化粧材1の接続端面10と接続化粧材2の入れ込み凹部20を巡る面とに挟み付けられる位置までこの入れ込み凹部20に介装材3を入れ込み、(図9)
腰壁Wに対して接続化粧材2及び主体化粧材1の双方を止着させた後、前記嵌められた施工補助具5を取り外すようにする。
【0047】
これにより、前記化粧溝4が接続化粧材2と主体化粧材1との間に常に所定の溝幅寸法をもって、(つまり、施工補助具5の隆起部54の厚さ寸法分の溝幅寸法をもって)形成されるようにすることができる。
【0048】
また、この実施の形態にかかる施工補助具5にあっては、一対の脚部50、50の第二向き合い面53間の間隔を、主体化粧材1の幅寸法と略等しく、かつ、接続化粧材2の入れ込み凹部20の形成されている側端部23の幅寸法と略等しくしていると共に、突き出し端を第一向き合い面52とする隆起部54の両側にそれぞれ第二向き合い面53を備えていることから、隆起部54を挟んだ一方側の第二向き合い面53内に主体化粧材1の接続端面10側の端部をはめ込み、かつ、隆起部54を挟んだ他方側の第二向き合い面53内に接続化粧材2の側端部23をはめ込むようにして、この主体化粧材1と接続化粧材2との間に施工補助具5を介在させることができ、これにより、主体化粧材1の側面13と接続化粧材2の入れ込み凹部20の形成されている側端部23に隣り合う側端面(図3の例では、同図において符号25で示す入れ込み凹部20の形成されていない側端部23の面と入り隅22aを構成する面)とを略同一の直線上にできる限り位置させるようにした施工をなすことができる。また、図示の例では、脚部50の基部における第一向き合い面52に続く第一水平面57(隆起部54の突き出し端のうちの水平方向にある面)から脚部50の先端までの寸法が介装材3の両横向き面32、32間の寸法と略等しく、かつ、脚部50の基部における第二向き合い面53に続く第二水平面58(隆起部54と外郭部55との間の段差面)から脚部50の先端までの寸法が主体化粧材1の厚さ寸法と略等しくなっている。これにより、図示の例にあっては、主体化粧材1の端部を補助具にはめ込ませた状態からその隆起部54の内方に介装材3をはめ込むことにより、この主体化粧材1の接続端面10における所定の位置に介装材3を位置づけながら釘Nなどによるその止着をなすことができるようになっている。
【0049】
図10ないし図13は、前記介装材3が、主体化粧材1の接続端面10への止着面30と、この止着面30に略直交する向きにある両横向き面32、32、及び、両側面33、33を備えた基部34と、
基部34の横向き面32の一方に連続する面(以下、この面を円弧面35aという。)を、基部34の他方の横向き面32の前端36を略円心とする仮想の円の円弧上に位置させるように形成された延長部35とを有するように構成した例を示している。
【0050】
図示の例では、かかる介装材3は、その長さ方向に亘るどの位置においてもその幅方向に沿った断面形状を同一とするように構成されている。延長部35の側面は基部34の側面33と同面上に位置されるようになっている。そして、図示の例にあっては、延長部35の前面35b、つまり、延長部35の円弧面35aの前端と基部34の前端36との間にある面に形成された凹所37を利用して釘Nなどを主体化粧材1の接続端面10に打ち込んで、かかる介装材3を主体化粧材1に止着するようにしている。
【0051】
このようにした場合、接続化粧材2の表面と主体化粧材1の表面11とが略同面上に位置されるように両者が組み合わされる場合には、介装材3の延長部35を接続化粧材2の入れ込み凹部20に入れ込ませるようにすることにより、この介装材3の外面を底面とする化粧溝4を接続化粧材2と主体化粧材1との間に形成させることができる。
【0052】
また、接続化粧材2の表面が略水平に配され、主体化粧材1の表面11がそこから下り勾配を持つように両者が組み合わされる場合には、介装材3の延長部35の円弧面35aを上向きにして、かつ、基部34の前端がこの勾配の始まりとなる位置に略位置されるようにし、かつ、この勾配によって接続化粧材2と主体化粧材1との間に生じる隙間分、前記円弧面35aが接続化粧材2の入れ込み凹部20から外に出るように入れ込み凹部20に延長部35を入れ込ませることにより、この介装材3の外面を底面とする化粧溝4を接続化粧材2と主体化粧材1との間に形成させることができる。(図12)
【0053】
また、接続化粧材2の表面が略水平に配され、主体化粧材1の表面11がそこから登り勾配を持つように両者が組み合わされる場合には、介装材3の延長部35の円弧面35aを下向きにして、かつ、基部34の前端がこの勾配の始まりとなる位置に略位置されるようにし、かつ、この勾配によって接続化粧材2と主体化粧材1との間に生じる隙間分、前記円弧面35aが接続化粧材2の入れ込み凹部20から外に出るように入れ込み凹部20に延長部35を入れ込ませることにより、この介装材3の外面を底面とする化粧溝4を接続化粧材2と主体化粧材1との間に形成させることができる。(図13)
【0054】
また、図14および図15に示される例にあっては、接続化粧材2の一つの側端部23と、この一つの側端部23に接続化粧材2の隅22を挟んで隣り合う二つの側端部23とにそれぞれ、入れ込み凹部20が形成してある。
【0055】
すなわち、この例にあっては、接続化粧材2は平面視の状態において、略正方形状をなす板体として構成されている。この接続化粧材2の一辺、つまり、一つの側端部23の幅寸法(接続化粧材2における隣り合う隅間の寸法)は、長板状をなす主体化粧材1の幅寸法と略等しくなっている。また、この例にあっては、前記一つの側端部23の両側にある隅がそれぞれ入り隅状22aをなすように成形されている。また、入れ込み凹部20は、接続化粧材2の三カ所の側端部23の略全長に亘るように形成されていると共に、この接続化粧材2の前方において開放され、かつ、この接続化粧材2の裏面24において開放されている。
【0056】
これにより、この例にあっては、かかる接続化粧材2の一つの側端部23に形成された入れ込み凹部20に腰壁WがT字状に交わる交点部に接続端部を向けるように配される主体化粧材1の一つの接続端面10に止着された介装材3を入れ込ませ、
かかる接続化粧材2の他の一つの側端部23に形成された入れ込み凹部20に前記交点部に接続端部を向けるように配される主体化粧材1の他の一つの接続端面10に止着された介装材3を入れ込ませ、
さらに、かかる接続化粧材2のさらに他の一つの側端部23に形成された入れ込み凹部20に前記交点部に接続端部を向けるように配される主体化粧材1のさらに他の一つの接続端面10に止着された介装材3を入れ込ませるようにして、この接続化粧材2を腰壁Wの交点部の天端面Waを覆うように取り付け、かつ、三つの主体化粧材1をそれぞれ腰壁Wの天端面Waを覆うように取り付けることにより、この腰壁Wの交点部に接続端部を向けるようにして配される三つの主体化粧材1を、化粧溝4を作りながら、かかる接続化粧材2によって見栄え良くT字状をなすように連続させ合わせることができる。
【0057】
また、図16ないし図19に示される例にあっては、接続化粧材2の側端部23に、腰壁Wの天端と側端との間の屈曲部Wdを挟んで隣り合って配される主体化粧材1の一方(天端面Waを覆う主体化粧材1)に止着された介装材3の入れ込み凹部20が形成してあると共に、
接続化粧材2の裏面24部に、腰壁Wの屈曲部Wdを挟んで隣り合って配される主体化粧材1の他方(側端面Wbを覆う主体化粧材1)に止着された介装材3の入れ込み凹部20が形成してある。
【0058】
すなわち、この例にあっては、接続化粧材2は平面視の状態において、略正方形状をなす板体として構成されている。この接続化粧材2の一辺、つまり、一つの側端部23の幅寸法(接続化粧材2における隣り合う隅間の寸法)は、長板状をなす主体化粧材1の幅寸法と略等しくなっている。また、側端部23に形成されている入れ込み凹部20は、接続化粧材2のこの側端部23の略全長に亘るように形成されていると共に、この接続化粧材2の前方において開放され、かつ、この接続化粧材2の裏面24において開放されている。一方、裏面部に形成されている入れ込み凹部20は、入れ込み凹部20が形成された側端部23と対向する側の側端部23に近い位置において、この側端部23に平行をなすように形成されている。
【0059】
これにより、この例にあっては、かかる接続化粧材2の側端部23に形成された入れ込み凹部20に腰壁Wの屈曲部Wdを挟んで上方に位置される天端面Waを覆う主体化粧材1の接続端面10に止着された介装材3を入れ込ませ、かつ、かかる接続化粧材2の裏面24部に形成された入れ込み凹部20に腰壁Wの屈曲部Wdを挟んで下方に位置される腰壁Wの側端面Wbを覆う主体化粧材1の接続端面10に止着された介装材3を入れ込ませるようにして、この接続化粧材2を腰壁Wの屈曲部Wdの天端面Waを覆うように取り付け、かつ、両主体化粧材1、1をそれぞれ腰壁Wの端面を覆うように取り付けることにより、この腰壁Wの屈曲部Wdを挟んで隣り合う主体化粧材1を、化粧溝4を作りながら、かかる接続化粧材2によって見栄え良く連続させ合わせることができる。
【0060】
図示の例では、かかる接続化粧材2の上面および腰壁Wの天端面Waを覆う主体化粧材1の上面はいずれも腰壁Wの側端面Wbに向かって下り勾配を持つように腰壁Wに取り付けられるようになっており、このような勾配に抗わないように腰壁Wの側端面Wbを覆う主体化粧材1の接続端面10が成形されている。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】端面化粧材Pの取り付け例を示した斜視図
【図2】図1に示される端面化粧材Pの分離斜視図
【図3】図1の取り付け例の平面図
【図4】図3におけるA−A線断面図
【図5】図3におけるB−B線断面図
【図6】施工補助具5の斜視図
【図7】同正面図
【図8】図7におけるC−C線断面図
【図9】施工補助具5の使用状態を示した断面図
【図10】介装材3の構成の一部を変更させてなる端面化粧材Pの取り付け例を示した斜視図
【図11】図10に示される端面化粧材Pの分離斜視図
【図12】図10におけるD−D線断面図
【図13】図10におけるE−E線断面図
【図14】入れ込み凹部20を三カ所に備えた接続化粧材2の平面図
【図15】同正面図
【図16】さらに他の端面化粧材Pの取り付け例を示した斜視図
【図17】図16に示される端面化粧材Pの分離斜視図
【図18】図16の取り付け例の平面図
【図19】図18におけるF−F線断面図
【符号の説明】
【0062】
W 腰壁
P 端面化粧材
1 主体化粧材
10 接続端面
2 接続化粧材
20 入れ込み凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
腰壁の天端面、側端面あるいは両者の化粧をなす化粧材であって、
主体化粧材と、
接続化粧材と、
主体化粧材の接続端面に止着される介装材とを有しており、
接続化粧材には、この接続化粧材を介して接続され合う主体化粧材の接続端面に止着された介装材の入れ込み凹部が二カ所以上位置を異ならせるようにして形成されており、
主体化粧材と接続化粧材との間に介装材の外面を溝底面とする化粧溝を形成させるようにして、主体化粧材を接続化粧材によって接続させ合わせるようにしてあることを特徴とする腰壁の端面化粧材。
【請求項2】
接続化粧材の隅を挟んで隣り合う側端部にそれぞれ、入れ込み凹部が形成してあることを特徴とする請求項1記載の腰壁の端面化粧材。
【請求項3】
接続化粧材の一つの側端部と、この一つの側端部に接続化粧材の隅を挟んで隣り合う二つの側端部とにそれぞれ、入れ込み凹部が形成してあることを特徴とする請求項1記載の腰壁の端面化粧材。
【請求項4】
接続化粧材の側端部に、腰壁の天端と側端との間の屈曲部を挟んで隣り合って配される主体化粧材の一方に止着された介装材の入れ込み凹部が形成してあると共に、
接続化粧材の裏面部に、腰壁の屈曲部を挟んで隣り合って配される主体化粧材の他方に止着された介装材の入れ込み凹部が形成してあることを特徴とする請求項1記載の腰壁の端面化粧材。
【請求項5】
介装材が、
主体化粧材の接続端面への止着面と、この止着面に略直交する向きにある両横向き面、及び、両側面を備えた基部と、
基部の横向き面の一方に連続する面を、基部の横向き面の他方の前端を略円心とする仮想の円の円弧上に位置させるように形成された延長部とを有していることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の腰壁の端面化粧材。
【請求項6】
一対の脚部と、この一対の脚部間に亘る連接部とを有し、この一対の脚部間の間隔を介装材の両側面間の間隔と略等しくするように構成された施工補助具であって、その厚さを主体化粧材の接続端面からの介装材の突き出し寸法よりも小さくするように構成された施工補助具を用意し、
施工補助具の内側に主体化粧材に止着された介装材をその表面側から嵌め入れた状態で、この施工補助具が主体化粧材の接続端面と接続化粧材の入れ込み凹部を巡る面とに挟み付けられる位置までこの入れ込み凹部に介装材を入れ込み、
腰壁に対して接続化粧材及び主体化粧材の双方を止着させた後、前記嵌められた施工補助具を取り外すようにすることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の腰壁の端面化粧材の施工方法。
【請求項7】
請求項6記載の施工補助具における少なくとも一対の脚部のそれぞれが、第一向き合い面と、この第一向き合い面よりも外側に位置される第二向き合い面とをとを有しており、
この施工補助具が、一対の脚部の第一向き合い面間の間隔を介装材の両側面間の間隔と略等しくしていると共に、
一対の脚部の第二向き合い面間の間隔を、主体化粧材の幅寸法と略等しく、かつ、接続化粧材の入れ込み凹部の形成されている側端部の幅寸法と略等しくし、
さらに、突き出し端を第一向き合い面とする隆起部の両側にそれぞれ第二向き合い面を備えた施工補助具となっており、
この施工補助具を用いてなされることを特徴とする請求項6記載の腰壁の端面化粧材の施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2006−283440(P2006−283440A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−106059(P2005−106059)
【出願日】平成17年4月1日(2005.4.1)
【出願人】(501195625)住友林業クレスト株式会社 (43)
【Fターム(参考)】