説明

腹水処理システムおよびその洗浄方法

【課題】濾過器の洗浄を短時間で、かつ容易に行うことができることにより、大量の腹水を処理することが可能な腹水処理システムを提供する。
【解決手段】腹水中の特定の物質を選択的に除去する濾過部材(35)を備える濾過器(3)と、前記濾過器(3)の腹水排出ポート(3b)に濾過腹水移送路(19)を介して接続し、前記濾過器で濾過された濾過腹水(A2)を濾過して濃縮する濃縮器(5)とを備える腹水処理システム(1)において、前記濾過器(3)に、前記濾過腹水移送路が遮断された該腹水処理システムの洗浄時に、外部から濾過部材(35)に洗浄液(CL)が供給される洗浄液供給ポート(3c)と、前記濾過部材によって選択的に除去された物質(61)を前記洗浄時に前記洗浄液とともに排出する洗浄廃液排出ポート(3e)とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者から採取した腹水から有害物質を除去して患者の体内に戻すために、腹水を濾過・濃縮処理して回収する腹水処理システム、および、当該システムを洗浄する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、肝硬変、内臓病、癌性腹膜炎などでみられる難治性腹水に対して、腹水中の有害物質である細菌やガン細胞などの細胞成分を除去し、有用物質であるアルブミンなどの自己蛋白質を濃縮して患者に再利用する腹水濾過濃縮再静注治療が、ガン治療や緩和医療の一環として行われている。かかる治療法において腹水を濾過・濃縮処理するための装置として、腹水から有害物質を除去する濾過器および腹水を濃縮する濃縮器の上流側から、送液用ポンプによって腹水を送液するとともに、濃縮器の濃縮膜に真空ポンプなどにより陰圧を加え、濃縮器での濃縮膜における圧力勾配のみによる限外ろ過作用を利用して腹水の濃縮回収を行う腹水処理システムが知られている(例えば、特許文献1及び2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭55−16674号公報
【特許文献2】特開昭57−31867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来のシステムでは、腹水の濾過過程で、濾過膜の表面にガン細胞や血球、フィブリンなどの除去された物質が付着することにより、短時間で濾過膜の孔が閉塞される。したがって、例えば、1〜3L程度の腹水を処理しただけで濾過膜が閉塞する場合があり、大量の腹水を継続的に処理することが困難であった。。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、濾過器の洗浄を短時間で、かつ容易に行うことができる構成を備えることにより、大量の腹水を短時間に処理することが可能な腹水処理システム、および、該システムの洗浄方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した目的を達成するために、本発明に係る腹水処理システムは、腹水中の特定の物質を選択的に除去する濾過部材を備える濾過器と、前記濾過器の腹水排出ポートに濾過腹水移送路を介して接続し、前記濾過器で濾過された濾過腹水を濾過して濃縮する濃縮器とを備え、前記濾過器は、前記濾過腹水移送路が遮断された該腹水処理システムの洗浄時に、外部から濾過部材に洗浄液が供給される洗浄液供給ポートと、前記濾過部材によって選択的に除去された物質を前記洗浄時に前記洗浄液とともに排出する洗浄廃液排出ポートとを有する。
【0007】
この構成によれば、濾過器を短時間に洗浄することができるので、適宜洗浄を行いながら継続的に大量の腹水を処理することが可能となる。さらに、膜の目詰まりを起こし易い、細胞成分や粘液成分を多く含む腹水や血性腹水を処理することも可能となる。
【0008】
本発明の一実施形態に係る腹水処理システムにおいて、前記濾過器の前記濾過部材が中空糸膜であり、外圧方式で両端が開口した中空糸膜の一端部が腹水処理時に閉塞される前記洗浄液供給ポートに連通しており、他端部が前記腹水排出ポートに連通していることが好ましい。腹水処理における濾過部材として中空糸膜を使用し、濾過器を外圧方式の濾過装置として構成することにより、膜の外表面に付着した細胞成分などの物質を、膜の内側から外側に向かって剥離させることができる。その結果、濾過部材の効果的な洗浄が可能となり、かつ、効果的に腹水の処理を行うことができる。
【0009】
本発明の一実施形態に係る腹水処理システムにおいて、さらに、前記洗浄時に、前記濾過器に前記洗浄液を供給する洗浄液供給器と、前記濾過器から排出された前記洗浄廃液を回収する洗浄廃液回収容器とを有していてもよい。この構成によれば、濾過器の洗浄を一層容易に行うことができる。
【0010】
また、上記した目的を達成するために、本発明に係る腹水処理装置の洗浄方法は、前記濾過腹水移送路を遮断することと、前記濾過器に外部から前記洗浄液を供給することと、前記濾過部材によって選択的に除去された物質を、前記洗浄液とともに排出することとを含む。この構成によれば、短時間で用意に濾過部材の洗浄を行うことができるので、当該腹水処理システムにより大量の腹水を処理することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
このように、本発明に係る腹水処理システムおよび腹水処理方法によれば、短時間で容易に濾過器の洗浄を行うことができるので、大量の腹水を継続的に処理することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る腹水処理システムを示す概略構成図である。
【図2】図1の腹水処理システムに用いられる濾過器を示す縦断面図である。
【図3】図1の腹水処理システムの洗浄方法の原理を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施形態を図面に従って説明するが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る腹水処理システム1の構成を示す概略図である。この腹水処理システム1は、人体から採取した腹水から有害物質を除去して患者の体内に戻すために、腹水を濾過・濃縮処理して回収するためのシステムであり、主要な構成要素として、濾過器3、濃縮器5、遮断器7、洗浄液供給器9および洗浄廃液回収容器11を備えている。濾過器3の上流部には、処理対象の腹水A1を貯留する貯留容器13が接続され、濃縮器5には処理済みの腹水A3を回収する回収容器15が接続されている。
【0015】
人体から採取した腹水A1は、まず貯留容器13に貯留され、貯留容器13から腹水A1が供給される。貯留容器13の下流には、濾過器3が、連通路を形成する第1連通チューブ17を介して接続されている。第1連通チューブ17の中途には、開放弁18が設けられている。さらに、濾過器3の下流には、濾過器3で濾過された濾過腹水A2の移送路を形成する第2連通チューブ19を介して、濃縮器5が接続されている。すなわち、貯留容器13から腹水A1を排出する腹水供給ポート13aと、濾過器3に貯留容器13からの腹水A1を導入する腹水導入ポート3aとが、第1連通チューブ17を介して接続されており、さらに、濾過腹水A2を排出する腹水排出ポート3bと、濃縮器5に濾過腹水A2を導入する濾過腹水導入ポート5aとが、第2連通チューブ19を介して接続されている。
【0016】
濃縮器5の下流側には、廃液を排出する廃液ポート5bと、濃縮器5で濃縮処理された濃縮腹水A3を排出する回収ポート5cとが設けられている。廃液ポート5bには、濃縮器5から廃液Wを吸引するための廃液吸引装置21が、廃液通路を形成する廃液チューブ23を介して接続されている。一方、回収ポート5cには、濃縮腹水A3を回収するための回収容器15が、回収通路を形成する回収チューブ25を介して接続されている。さらに、回収チューブ25の中途には、陰圧を発生させる陰圧発生装置27が配設されている。
【0017】
また、廃液チューブ23の中途には、陰圧開放通路を形成する陰圧開放チューブ29が接続されている。陰圧開放チューブ29は、チューブ内と外部とを連通させることが可能な開放弁31を有している。
【0018】
濾過器3は、濾過により、腹水A1中の細菌やガン細胞などの有害物質を選択的に除去するための装置である。濾過器3としては、腹水A1中の有用物質であるアルブミン、グロブリン等のタンパク質を通過させ、かつ、上記有害物質を捕捉することのできるものであればどのようなものを用いてもよいが、本実施形態においては、樹脂製の筒状の濾過器ハウジング33内に、濾過部材として最大孔径約0.2μmの中空糸膜35を複数束にして収容したものを用いている。濾過器3は、後に詳述するように、中空糸膜35を濾過部材とする外圧濾過式の濾過装置として構成されている。
【0019】
濾過器3に用いる濾過部材としては、中空糸膜35のほかに平膜を用いることもできるが、単位体積あたりの膜面積をより大きく取ることができ、かつ表面に付着した除去物質の洗浄が容易にできるという観点から、多孔性の中空糸膜が好ましく用いられる。濾過器3に使用する中空糸膜の素材には特に制限はないが、実用性のある強度および耐圧性を有し、滅菌が可能であるポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体などが好ましく使用される。
【0020】
本実施形態における濾過器3は、その上流側の端部に洗浄液導入ポート3cが設けられており、この洗浄液導入ポート3cに、洗浄液導入通路を形成する洗浄液導入チューブ37を介して、洗浄液供給器9が接続されている。洗浄液導入チューブ37の中途には、開放弁39が設けられている。洗浄液供給器9としては、洗浄液CLを貯留し、洗浄液CLに圧力をかけて吐出することができればどのようなものを用いてもよいが、本実施形態ではシリンジを使用している。洗浄液CLとしては、浸透圧によって細胞が破壊されない液体を使用することができ、例えば、生理食塩水が好ましく用いられる。
【0021】
また、濾過器3の周壁3dの上流側部分に、前記腹水導入ポート3aが設けられており、周壁3dにおける、腹水導入ポート3aよりも下流側の部分に、洗浄廃液CWを濾過器3から排出する洗浄廃液排出ポート3eが設けられている。すなわち、洗浄廃液排出ポート3eは、濾過器3と洗浄液導入ポート3cとを接続する洗浄液導入ポート3cよりも下流側の部分に設けられている。濾過器3の洗浄廃液排出ポート3eは、洗浄廃液回収路を形成する洗浄廃液回収チューブ41を介して洗浄廃液回収容器11に接続されている。洗浄廃液回収チューブ41の中途には、開放弁42が設けられている。
【0022】
図2に詳細に示すように、濾過器3の洗浄液導入ポート3cは、濾過器3の上流端部に設けた接続用突起に形成された、中空糸膜35の長手方向Xに平行に延びる貫通孔3caからなる。同様に、腹水排出ポート3bは、濾過器3の下流端部に設けた接続用突起に形成された、中空糸膜35の長手方向Xに沿って延びる貫通孔3baからなる。一方、腹水導入ポート3aおよび洗浄廃液排出ポート3eは、それぞれ、濾過器3の周壁3dの上流側部分および下流側部分にそれぞれ設けた、接続用突起に形成された貫通孔3aaおよび3eaからなる。腹水導入ポート3aおよび洗浄廃液排出ポート3eの貫通孔3aaおよび3eaは、それぞれ、中空糸膜35の長手方向Xとほぼ直交する向きに延びるように形成されている。
【0023】
濾過器ハウジング33内の、洗浄液導入ポート3cと腹水導入ポート3aとの間の軸方向位置に、多数の中空糸膜35の一方の開放端部(第1端部)35aを固定かつ結束する円板状の第1端部固定部材43が設けられている。また、腹水排出ポート3bと洗浄廃液排出ポート3eとの間の軸方向位置に、多数の中空糸膜の他方の開放端部(第2端部)35bを固定かつ結束する円板状の第2端部固定部材45が設けられている。これら固定部材43および45によって、濾過器3内に、第1端部固定部材43よりも洗浄液導入ポート3c寄りの洗浄液導入空間47、両固定部材43,45間の濾過空間49、および第2端部固定部材45よりも腹水排出ポート3bの濾過腹水排出空間51が画定されている。
【0024】
図1の濃縮器5は、濾過腹水A2から、有用物質であるアルブミン等を含まない水を廃液Wとして除去し、濾過腹水A2の有用物質濃度を高めるための装置である。濃縮器5としては、分子量が6.6万程度であるアルブミンを含む濾過腹水A2から、水および水に溶解した電解質のみを分離して排出することのできるものであればどのようなものを用いてもよいが、本実施形態においては、樹脂製の筒状の濃縮器ハウジング55内に、濾過部材として分画分子量が約5000以下の中空糸膜57を収容したものを用いている。
【0025】
濃縮器5に使用する濾過部材としては、中空糸膜57のほかに平膜を用いることもできるが、目詰まりを起こしにくい多孔性の中空糸膜が好ましく用いられる。濃縮器5に使用する中空糸膜57の素材としては、実用性のある強度及び耐久性を有する濃縮膜を得ることができることから、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体などが好ましく使用できる。
【0026】
廃液吸引装置21としては、任意に吸引圧を設定でき、かつ、設定した圧力を一定に保つことができるものが好ましい。病院施設に一般的に設置されている壁掛け式吸引器を用いることも可能であり、その場合、−300〜−400mmHg程度に吸引圧を設定して良好に濃縮器5からの排水処理を行うことができる。
【0027】
貯留容器13および回収容器15は、患者から採取した腹水A1または濃縮腹水A3を無菌的に貯留することができるものであって、患者から採取した腹水A1および濃縮腹水A3を変性させたり、これらの中に有害な物質が溶出しないもので、かつ、滅菌可能なものであればその材質および形状には制限はない。一般的に、塩化ビニル系やポリプロピレン、ポリエチレン等の軟質材質による輸液バッグで、貯留容器13としては3〜4L程度、回収容器15としては1〜2L程度の容量のものが好ましく使用される。
【0028】
洗浄廃液回収容器11は、洗浄廃液CW中のガン細胞を無菌的に貯留することができるものであって、洗浄廃液CW中に有害な物質が溶出せず、かつ、滅菌可能なものであればその材質および形状には制限はない。一般的に、塩化ビニル系やポリプロピレン、ポリエチレン等の軟質材質による輸液バッグで、3〜4L程度の容量のものが好ましく使用される。
【0029】
陰圧発生装置27は、濃縮器5の中空糸膜57の目詰まりを抑制するために設けられている。陰圧発生装置27は、任意に流量を設定して陰圧を発生させることができ、また設定した流量を一定に保つことができるものが好ましく、病院施設に一般的に設置されている輸液ポンプを使用することが可能である。もっとも、陰圧発生装置27は省略してもよい。
【0030】
遮断器7は、必要に応じて第2連通チューブ19を確実に閉塞し、第2連通チューブ19によって形成される濾過腹水A2の移送路を遮断することができる部材であればどのようなものでもよく、本実施形態では樹脂製のチューブクランプを用いている。遮断器7としては、チューブクランプのように、第2連通チューブ19と別体で、第2連通チューブ19を外方から挟むことによりこのチューブを閉塞する部材を用いてもよいが、第2連通チューブ19の中途に流路開閉弁を設けてもよい。
【0031】
次に、本実施形態に係る腹水処理システム1の動作について説明する。
【0032】
図1に示す腹水処理システム1の通常動作状態において、洗浄液導入チューブ37の開放弁39は閉じられており、かつ、第2連通チューブ19は遮断器7によって遮断されていない。この状態で、貯留容器13、第1連通チューブ17、濾過器3、第2連通チューブ19、濃縮器5、および回収チューブ25によって形成される腹水処理通路59内は、陰圧発生装置27および廃液吸引装置21を起動することにより、陰圧状態となる。この陰圧により、貯留容器13内の腹水A1が、腹水導入ポート3aを介して濾過器3に導入される。濾過器3では、腹水A1中のがん細胞などの有害物質が、除去物質61として中空糸膜35によって除去され、中空糸膜35の外表面に付着する。一方、濾過器3で濾過された有用物質であるアルブミン、グロブリン等を含む濾過腹水A2は、腹水排出ポート3bから排出される。
【0033】
濾過器3から排出された濾過腹水A2は、次に、濃縮器5に導入される。濃縮器5の内部では、濾過腹水A2が中空糸膜57の内側を通過する。このとき、濾過腹水A2の、アルブミン等の有用物質を含まない水の一部が、廃液ポート5bに連通している廃液吸引装置21によって吸引されて、廃液Wとして廃液ポート5bから排出される。濾過腹水A2の廃液Wが除かれた部分は、濃縮腹水A3として、回収ポート5cから排出されて回収容器15に回収される。
【0034】
腹水処理システム1の洗浄時には、まず、開放弁18が閉じられて第1連通チューブ17が遮断されるとともに、第2連通チューブ19が遮断器7によって遮断される。次いで、洗浄液導入チューブ37の開放弁39、および洗浄廃液回収チューブ41の開放弁42が開かれ、その後、洗浄液供給器9によって洗浄液CLが濾過器3に供給される。濾過器3に供給された洗浄液CLは、図2に示すように、洗浄液導入空間47から中空糸膜35の内側に流入する。このとき、第2連通チューブ19が遮断器7によって閉塞されているので、洗浄液CLは、図3に示すように、シリンジである洗浄液供給器9によって付与された圧力により、中空糸膜35表面の孔35cを通って、中空糸膜35の内部から外部へ流出する。この洗浄液CLによって、除去物質61が中空糸膜35の外表面から剥離し、洗浄液CLとともに、図1の洗浄廃液回収容器11に、洗浄廃液CWとして回収される。
【0035】
本実施形態に係る腹水処理システム1によれば、濾過器3を短時間で、かつ容易に洗浄することができるので、長時間にわたって継続的に大量の腹水を処理することが可能となる。実験によれば、13リットルの腹水を、1リットル当り約7分で処理できることが確認された。さらには、細胞成分や粘液成分を多く含む腹水や血性腹水を処理することも可能となる。また、濾過器3の洗浄によって回収された除去物質61に含まれるガン細胞は、免疫療法や抗がん剤感受性テストに利用できる可能性がある。
【0036】
以上のとおり、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0037】
1 腹水処理システム
3 濾過器
3a 洗浄液供給ポート
3b 腹水排出ポート
3e 洗浄廃液排出ポート
5 濃縮器
7 遮断器
9 洗浄液供給器
11 洗浄廃液回収容器
35 中空糸膜(濾過部材)
61 除去物質
A1 腹水
A2 濾過腹水
CL 洗浄液
CW 洗浄廃液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
腹水中の特定の物質を選択的に除去する濾過部材を備える濾過器と、
前記濾過器の腹水排出ポートに濾過腹水移送路を介して接続し、前記濾過器で濾過された濾過腹水を濾過して濃縮する濃縮器と、
を備え、
前記濾過器は、前記濾過腹水移送路が遮断された該腹水処理システムの洗浄時に、外部から濾過部材に洗浄液が供給される洗浄液供給ポートと、前記濾過部材によって選択的に除去された物質を前記洗浄時に前記洗浄液とともに排出する洗浄廃液排出ポートとを有する腹水処理システム。
【請求項2】
請求項1において、前記濾過器の前記濾過部材が中空糸膜であり、外圧方式で両端が開口した中空糸膜の一端部が腹水処理時に閉塞される前記洗浄液供給ポートに連通しており、他端部が前記腹水排出ポートに連通している腹水処理システム。
【請求項3】
請求項1または2において、さらに、前記洗浄時に、前記濾過器に前記洗浄液を供給する洗浄液供給器と、前記濾過器から排出された前記洗浄廃液を回収する洗浄廃液回収容器とを有する腹水処理システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の腹水処理システムを洗浄する方法であって、
前記濾過腹水移送路を遮断することと、
前記濾過器に外部から前記洗浄液を供給することと、
前記濾過部材によって選択的に除去された物質を、前記洗浄液とともに排出することと、
を含む腹水処理システムの洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−172797(P2011−172797A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40109(P2010−40109)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(509264280)
【Fターム(参考)】