説明

膀胱内圧確認具

【課題】体外から膀胱内圧を容易に確認できる膀胱内圧確認具を提供すること。
【解決手段】膀胱83内の尿85を排出するためのカテーテル51に使用される膀胱内圧確認具1であって、カテーテル51に接続される、可撓性で中空の確認具本体11を備えること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膀胱内圧確認具に係り、特に膀胱内の尿の貯留状態に応じて変化する膀胱内圧を外部から確認するための膀胱内圧確認具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、膀胱内に尿が貯留されてきた場合、尿意を感じることを契機として、膀胱を収縮させることによって尿は対外に排出される。しかし、所定の病気などが原因で尿意を感じることができない場合がある。また、膀胱自体の収縮機能が失われており、自分で尿を排出できない場合もある。このような場合には、尿道にカテーテルを挿入して膀胱内まで到達させて留置し、このカテーテルを通して膀胱内の尿を排出するという対策が採られている。
【0003】
ところで、カテーテルを用いて尿を排出する場合でも、具体的な種々の手法がある。第1の方法としては、カテーテルを体外の採尿袋に接続して持続的に尿を排出するものである。第2の方法は、カテーテルの排出口付近をクランプで挟んだりカテーテルの排出口にキャップを取り付けて尿の流出を止め、尿意を感じた場合にクランプを外したりキャップを開放して尿を排出するものである。但し、尿意を感じることができない者の場合には、日常の経験から一定時間ごとに尿を排出することにより、膀胱内に過剰な尿が貯留されないようにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記各対策には様々な問題点がある。先ず、体外に採尿袋を設けて持続的に尿を排出する第1の方法では、膀胱内に所定量の尿が溜まることなく持続的に排出されてしまう。このように尿が持続的に排出されてしまうと膀胱は膨張する機会を失うため、尿貯留機能が失われて膀胱が萎縮し、尿意を発現させる機能なども失われてしまう。また、カテーテルの膀胱側の先端部は膀胱の底部よりも上方に位置しているが、持続的に尿が排出されてしまう場合には膀胱内で尿の対流が生じにくく、膀胱の底部に残留している古い尿を排出することができなくなり、慢性尿路感染症を引き起こす原因となる場合がある。
【0005】
また、カテーテルの排出口をクランプやキャップで止める方法でも、尿意を感じることができない者の場合には、膀胱内に尿が過剰に貯留されたり、膀胱内圧が異常に高まってしまい、腎機能障害や水腎症になり、腎盂炎や尿路感染を引き起こす場合もある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑みて、本発明は、膀胱内の尿を排出するためのカテーテルに使用される膀胱内圧確認具であって、前記カテーテルに接続される、可撓性で中空の確認具本体を備えることを特徴とする。
また、前記確認具本体は透明もしくは半透明であることを特徴とする。
また、前記確認具本体は卵形状をしている。
また、前記確認具本体は、所定の接続部材を介して前記カテーテルに接続される。
また、前記確認具本体には、所定のキャップ部材が設けられている。
更に、前記キャップ部材は、尿を収納する採尿袋に接続できる所定の接続構造を有する。
【発明の効果】
【0007】
以上のような構造を有することにより、体外から膀胱内圧を容易に確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0009】
[全体概要]
図1は、本実施形態に係る膀胱内圧確認具1の全体概要を示す図である。この図に示すように、膀胱内圧確認具1は、確認具本体11と、この確認具本体11の一端をカテーテルに接続するための接続部材21と、確認具本体11の他端を採尿袋に接続するための接続管31と、接続管31の端部に取り付けられるキャップ部材41とを備えている。図2は、膀胱内圧確認具1の各構成要素を分解した図である。
【0010】
[確認具本体]
図2に示すように、確認具本体11は中空の可撓性材料から形成されている。具体的な材料としては、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、酢酸ビニル(VAM)、ポリエチレン(PE)、ポリウレタン(PU)、イソプレンゴム、シリコンゴム等が適当である。但し、可撓性がある材料であればこれらに限定されるものではない。また、確認具本体11の材料は透明なもの、半透明なもの或いは不透明なものであってもよい。
【0011】
本実施形態の確認具本体11の形状は卵状である。これは使用者が握り易く、膀胱内圧の確認を容易にするためである。ただし、確認具本体11の形状は卵状に限定されるものではなく、球形状や円柱形状或いは四角柱形状であってもよい。また、確認具本体11の容積は種々のものが考えられるが、例えば、50ml、100ml、200mlのものが適当である。但し、50mlよりも小さなものや、50mlと200mlの間の容積、更には200mlよりも大きな容積のものであってもよい。
【0012】
また、確認具本体11の一端部(図中の上端部)には第1の円筒状部材13が一体的に形成されている。この第1の円筒状部材13は上記接続部材21を連結するために使用されるものであり、接続部材21の内面と嵌合するようになっている。尚、当該第1の円筒状部材13の外周面は単純な円筒面となっているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば外周面をテーパ状に形成してもよいし、外周面に所定のネジ構造を形成してもよい。
【0013】
確認具本体11の他端部(図中の下端部)には、第2の円筒状部材15が一体的に形成されている。この第2の円筒状部材15は、上記接続管31を連結するためのものであり、接続管31の内面と嵌合するようになっている。当該第2の円筒状部材15も、上記した第1の円筒状部材13と同様に、外周面をテーパ状に形成したり、外周面に所定のネジ構造を形成してもよい。
【0014】
尚、本実施形態の確認具本体11は、接続部材21及び接続管31との連結のためにそれぞれ第1及び第2の円筒状部材13,15を一体的に有しているが、別個の部材を用いて確認具本体11と接続部材21並びに接続管31を連結するような構造を採用してもよい。
【0015】
[接続部材]
次に、接続部材21について説明する。接続部材21は、漏斗状部23と円筒状の連結部25とから構成されている。漏斗状部23は後述するカテーテルに接続される部分であり、連結部25は上記確認具本体11の第1の円筒状部材13と連結される部分である。当該接続部材21の材料は様々なものが考えられ、例えば、プラスチックはゴムなどが挙げられる。連結部25の内部には第1の円筒状部材13に対応する空洞が形成されており、連結された場合に尿が漏洩しないようになっている。尚。漏斗状部23は上記構成に限定されるものではなく、所定のネジ構造を形成してカテーテルとネジ連結できるような構造にしてもよい。
【0016】
[接続管]
次に、接続管31について説明する。接続管31は、所定の長さを有する管状の部材であり、一端が確認具本体11の第2の円筒状部材15の外周面に嵌合するようになっている。このため、接続管31の内径は第2の円筒状部材15に嵌合されたときに尿が漏洩しない寸法に設定されている。この接続管31の材質も様々なものが考えられ、プラスチックはゴムなどで構成してもよい。尚、接続管31は本願発明に必須のものではなく、後述するキャップ部材を直接確認具本体11に取り付けるようにしてもよい。
【0017】
[キャップ部材]
次に、キャップ部材41について説明する。キャップ部材41は接続管31の他端に取り付けられるものであり、接続管31を封止したり開放したりするものである。本実施形態のキャップ部材41は、接続プラグ本体43と、可撓性帯45によって接続プラグ本体43に取り付けられた蓋体47とからなる。接続プラグ本体43の上面には環状磁石が固定され、蓋体47には円板状磁石が固定されている。また、蓋体47の一端には引きひも49が取り付けられている。お互いの磁石の磁極は、接続プラグ本体43を蓋体47で封止した時にお互いに引き合うように設定されている。このように構成されたキャップ部材41は、引きひも49を操作することで容易に封止及び開放をすることができる。尚、キャップ部材41は磁石を用いたものに限定されるものではなく、接続プラグ本体43に蓋体47を押し込む形式のものや、接続プラグ本体43にネジを形成して、これに蓋体47をねじ込むような構造のものでもよい。
【0018】
[使用形態]
次に、本発明の使用形態について説明する。図3に示すように、本実施形態に係る膀胱内圧確認具1は、尿道81に挿入されたカテーテル51の一端部に取り付けられる。カテーテル51は、尿道81を通して膀胱83まで達するシャフト53と、このシャフト53の先端部(図中の上端部)に取り付けられたバルーン55と、シャフト53の後端部(図中の下端部)に取り付けられたファネル57と備え、このファネル57には本実施形態の膀胱内圧確認具1が接続される。また、ファネル57の一部から分岐管59が分岐しており、この分岐管59にリザーバ61が接続されている。シャフト53の最先端部には膀胱83に貯留された尿85を排出するための開口63が形成され、この開口63からシャフト53の第1通路(図示略)を通ってファネル57まで連通している。一方、リザーバ61とバルーン55とは、シャフト53内の第2通路(図示略)を介して連通されている。更に、分岐管59とリザーバ61との間は所定のパイプ部材65で接続され、このパイプ部材65にクランプ67が係合されている。このクランプ67は、バルーン55とリザーバ61との間の連通及び遮断を制御する役割を有している。
【0019】
実際に使用する際には、先ずリザーバ61内に蒸留水などを充填しておき、バルーン55は膨張していない状態とする。そしてキャップ部材41は閉じておく。この状態で尿道81にシャフト53を挿入してバルーン55が膀胱83内に到達するようにする。次に、リザーバ61のクランプ67を外してリザーバ61から蒸留水をバルーン55に向けて注入する。これによりバルーン55が膨張し、尿道81の入口よりも大きな直径となる。そして、クランプ67でリザーバ61のパイプ部材65を挟んで蒸留水の逆流を止め、カテーテル51を膀胱83内に固定することができるようになる。
【0020】
この状態で膀胱83内に尿85が貯留されると、シャフト53の先端部の開口63から尿85が排出され、シャフト53の内部の第1通路を通して尿85が確認具本体11に収容される。確認具本体11内が尿85で満たされると、尿85はカテーテル51に排出されなくなるので、膀胱83内に貯留されることとなる。そして、膀胱83内に尿85が貯留されるに従い、膀胱内圧が徐々に高まる。このとき、膀胱83内と確認具本体11とはシャフト53を介して連通されているので、確認具本体11を手で握ることで膀胱内圧(例えば、水中圧100cm)を直接かつ容易に確認できるようになる。
【0021】
ここで、膀胱内圧が高まっていると判断した場合には、図4に示すようにキャップ部材41を開放し、このキャップ部材41に採尿袋69を接続する。これにより、膀胱83内の尿85は採尿袋69に排出される。このとき、膀胱83内には多量の尿85が貯留されており、排出に際して膀胱83内の尿の対流が生じ、この対流によって膀胱底部の多くの尿も他の部分の尿と入れ替わって排出されるため、膀胱底部に古い尿が残留することが防止される。
【0022】
膀胱83内の尿85が排出されたら、採尿袋69を取り外して再びキャップ部材41を閉じる。そして、上記と同様に時間の経過と共に尿が確認具本体11に収容されるので、再度確認具本体11を握って膀胱内圧を確認して、必要に応じて尿85を採尿袋69に排出する。
【0023】
本発明の膀胱内圧確認具1とカテーテル51の使用を止める場合には、膀胱内圧確認具1のキャップ部材41を閉じた状態で、リザーバ61のクランプ67を取り外す。これにより、バルーン55内に充填されていた蒸留水はバルーン55の弾性によってリザーバ61内に戻され、バルーン55は収縮する。バルーン55が収縮すると膀胱83の入口を通過できるので、カテーテル51を膀胱83から抜き出すことができるようになる。
【0024】
以上説明した本発明の膀胱内圧確認具1によれば、尿85を健常者と同じように膀胱83に貯留するので、尿貯留機能や尿意を発現させる機能などが失われ難い。また、尿意を感じない者の膀胱に尿が貯留された場合でも、膀胱内圧を容易に確認できるので、尿85の過剰な貯留による腎機能障害、水腎症、腎盂炎或いは尿路感染なども確実に予防することができる。
【0025】
尚、以上で説明した内圧確認具本体1は一方側がカテーテル51に接続でき、他方側が採尿袋69に接続できるようになっている。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、カテーテル51に接続する機能だけを有して、キャップ部材41や採尿袋69との接続構造を有しない構造であってもよい。最小限カテーテル51と接続できれば、膀胱内圧を確認することは可能だからである。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、尿排出用カテーテルなどに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係る膀胱内圧確認具を示す正面図である。
【図2】図1に開示した膀胱内圧確認具の各構成要素を分解した図である。
【図3】図1に開示した膀胱内圧確認具を尿排出用カテーテルに接続した状態を示す正面である。
【図4】図3に開示した膀胱内圧確認具に採尿袋を接続した状態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 膀胱内圧確認具
11 確認具本体
21 接続部材
31 接続管
41 キャップ部材
51 カテーテル
55 バルーン
61 リザーバ
81 尿道
83 膀胱
85 尿

【特許請求の範囲】
【請求項1】
膀胱内の尿を排出するためのカテーテルに使用される膀胱内圧確認具であって、
前記カテーテルに接続される、可撓性で中空の確認具本体を備えることを特徴とする膀胱内圧確認具。
【請求項2】
前記確認具本体は透明もしくは半透明であることを特徴とする請求項1に記載の膀胱内圧確認具。
【請求項3】
前記確認具本体は卵形状をしていることを特徴とする請求項1又は2に記載の膀胱内圧確認具。
【請求項4】
前記確認具本体は、所定の接続部材を介して前記カテーテルに接続されることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の膀胱内圧確認具。
【請求項5】
前記確認具本体には、所定のキャップ部材が設けられていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の膀胱内圧確認具。
【請求項6】
前記キャップ部材は、尿を収納する採尿袋に接続できる所定の接続構造を有することを特徴とする請求項5に記載の膀胱内圧確認具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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