膜の製造方法および表示装置の製造方法
【課題】微細な貫通孔を有する膜を形成することが可能な膜の製造方法、およびこの方法を用いた表示装置の製造方法を提供する。
【解決手段】ペースト充填用の凹部を有すると共に凹部内に凸部を有し、凸部の上面に撥液性領域を有する凹版を用い、凹部に充填されたペーストを基材に転写することにより、基材上に、貫通孔を有する膜を形成する膜の製造方法。基板に、TFT,絶縁膜および有機EL素子を順に形成する工程を含み、絶縁膜を形成する工程において、ペースト充填用の凹部を有すると共に凹部内に凸部を有し、凸部の上面に撥液性領域を有する凹版を用い、凹部に充填されたペーストを基材に転写することにより、基材上に、貫通孔を有する膜を形成する表示装置の製造方法。
【解決手段】ペースト充填用の凹部を有すると共に凹部内に凸部を有し、凸部の上面に撥液性領域を有する凹版を用い、凹部に充填されたペーストを基材に転写することにより、基材上に、貫通孔を有する膜を形成する膜の製造方法。基板に、TFT,絶縁膜および有機EL素子を順に形成する工程を含み、絶縁膜を形成する工程において、ペースト充填用の凹部を有すると共に凹部内に凸部を有し、凸部の上面に撥液性領域を有する凹版を用い、凹部に充填されたペーストを基材に転写することにより、基材上に、貫通孔を有する膜を形成する表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、層間絶縁膜などの形成に好適な膜の製造方法、およびこの方法を用いた表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トランジスタ素子を有するアクティブマトリクス基板上には、集積度を高めるために多層配線構造が多用されている。この多層配線構造においては、配線を電気的に接続するためのビアホールを有する層間絶縁膜が用いられている。近年、層間絶縁膜としては、酸化シリコン膜に代わり、低誘電率(約2.2〜4.0)の有機絶縁膜が広く用いられている。
【0003】
層間絶縁膜の、従来における一般的な製造方法としては、絶縁膜上にフォトレジストを塗布し、露光、現像、エッチングを行ってパターンを形成する方法、あるいは、材料選定に制限はあるが、感光性材料を用い、露光、現像を行ってパターンを形成する方法等が挙げられる。しかし、フォトリソグラフィ技術を用いる層間絶縁膜の製造方法は、工程数が多く、コスト的に不利である。
【0004】
そこで、印刷技術、中でも特にコスト的に有利であるスクリーン印刷法を用いることによって、貫通孔を有する絶縁膜を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1〜4参照。)。
【0005】
スクリーン印刷は、印刷の不要な個所に乳剤を形成したスクリーンメッシュにインクを載せて、スキージで擦ることによってインクを転写する印刷方法であり、工程数を低減でき、材料の使用効率が高いという利点が期待されている。スクリーン印刷は、簡易な手法でファインパターンの形成が可能な印刷方法であり、近年、タッチパネルや太陽電池等の配線工程にも用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−147781号公報
【特許文献2】特開2002−273999号公報
【特許文献3】特開2007−95783号公報
【特許文献4】特開2008−147614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、スクリーン印刷は、上述したように、非吐出領域(印刷しない部分)に乳剤を形成したメッシュを介しての印刷方法であるので、微小な非吐出領域を残す印刷には適さないという問題があった。特に、層間絶縁膜のようにドット状の非吐出領域を形成する場合、従来の手法では100μm径の非吐出領域が印刷の限界とされていた。
【0008】
この問題を解決するために、特許文献3,4に記載されているように、印刷工程を2工程に分け、工程数が少なく平易な方法で、貫通孔を有する層間絶縁膜を形成する方法が提案されている。しかしながら、スクリーン印刷法では、スクリーン版と基板の距離をある程度有し、かつ、スキージの角度、圧力、速度等の複数のパラメーターの影響を受けるため、50μm四方、あるいはφ50μm以下の貫通孔を有する層間絶縁膜を形成することは困難であった。
【0009】
本開示の目的は、微細な貫通孔を有する膜を形成することが可能な膜の製造方法、およびこの方法を用いた表示装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示による膜の製造方法は、ペースト充填用の凹部を有すると共に凹部内に凸部を有し、凸部の上面に撥液性領域を有する凹版を用い、凹部に充填されたペーストを基材に転写することにより、基材上に、貫通孔を有する膜を形成するものである。
【0011】
本開示による表示装置の製造方法は、基板に、TFT,絶縁膜および表示素子を順に形成する工程を含み、絶縁膜を形成する工程を、上記本開示による膜の製造方法により行うようにしたものである。
【発明の効果】
【0012】
本開示の膜の製造方法、または本開示の表示装置の製造方法によれば、凸部の上面に撥液性領域を設けるようにしたので、凹版上の過剰なペーストをブレードで掻き取る際に、掻き取りをマイルドに行っても凸部の上面にペーストが残りにくくなる。よって、微細な貫通孔を有する膜を形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本開示の第1の実施の形態に係る膜の製造方法に用いる凹版の構成を表す上面図である。
【図2】図1のII−II線における断面図である。
【図3】図1に示した凹版を用いた膜の製造方法を工程順に表す図である。
【図4】図3に続く工程を表す図である。
【図5】変形例1に係る凹版の構成を表す断面図である。
【図6】変形例2に係る凹版およびこの凹版を用いた膜の製造方法を表す図である。
【図7】変形例3に係る凹版およびこの凹版を用いた膜の製造方法を表す図である。
【図8】本開示の第2の実施の形態に係る凹版の構成を表す断面図である。
【図9】本開示の膜の製造方法により製造される表示装置の構成を表す図である。
【図10】図9に示した画素駆動回路の一例を表す図である。
【図11】図9に示した表示領域の構成を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(凹版が平版である例)
2.変形例1(凸部の高さが凹部の深さに等しい例)
3.変形例2(凹版が円筒版である例)
4.変形例3(ブランケットを中継せず、凹部に充填されたペーストを、基材に直接転写する例)
5.第2の実施の形態(凸部の高さが凹部の深さよりも小さく、凸部の上面に撥液性領域を有しない例)
6.適用例(表示装置)
【0015】
(第1の実施の形態)
図1は、本開示の第1の実施の形態に係る膜の製造方法に用いられる凹版の平面構成を表したものであり、図2は、この凹版の断面構成を表したものである。この凹版1は、グラビアオフセット印刷法による層間絶縁膜の形成工程に用いられるものである。グラビアオフセット印刷法とは、凹版1内にブレードを用いてペーストを充填し、ブランケットと呼ばれる樹脂、またはゴム製の媒介物を介して基材(被印刷体)に印刷する手法である。
【0016】
凹版1は、凹版本体1Aの中央部にペースト充填用の凹部1Bを有する平版である。凹部1B内には、複数の凸部(柱)1Cが周期的に配置されている。この凸部1Cの上面には撥液性領域1Dが設けられている。これにより、この凹版1を用いた膜の製造方法では、微細な貫通孔を有する膜を形成することが可能となっている。
【0017】
凹版1の構成は、各工程で印刷する領域の形状と、使用するペーストの粘度や固形分比率等に応じて、適宜選択することができる。凹版1の材料は、例えば、ガラス,石英,金属,樹脂,各種セラミックス等、ブレードの摺動に対して十分な耐久性を有する材料であれば何ら限定されることはない。また、機械的強度を向上させるため、あるいは印刷性を向上させるため、DLC(Diamond like Carbon)等のコーティングまたは各種表面処理が施されていてもよい。
【0018】
凹部1Bは、膜の材料となるペーストを受容するためのものであり、凹部1Bの深さDによって膜の厚みが決定される。
【0019】
凸部1Cは、膜に貫通孔を形成するためのものであり、その形状には特に制限はなく、四角形、円形等とすることが可能である。具体的には、凸部1Cは、例えば一辺10μmの正方形の形状を有する微細な柱である。この場合、基材やペーストの種類にもよるが、一辺5μm〜15μm程度の貫通孔を形成することが可能である。凸部1Cの寸法は貫通孔の寸法を決定するものであり、必要とされる設計値に応じた任意の寸法を用いることができる。凸部1Cの間隔や数も、同様に用いるデバイスの設計値にあわせて任意に設定可能であり、何ら制限されるものではない。
【0020】
凸部1Cの高さHは、凹部1Bの深さDより小さいことが好ましい。これは、印刷時に凹部1B内に充填されるペーストを掻き取る際、掻き取りに用いられるブレードが凸部1Cと接触し、凸部1Cを破損させることを回避するためである。具体的には、凸部1Cの高さHは、凹部1Bの深さに対して90%程度の高さであることが好ましい。95%以上になるとブレードとの接触により凸部1Cが破損する可能性が高まる。一方、60%以下になると凸部1C上にペーストが残存する確率が高まり、貫通孔形成の歩留まりが著しく低下する。このため、凸部1Cの高さHは、凹部1Bの深さDの95%以下70%以上であることが望ましい。
【0021】
凸部1Cの上面には、上述したように撥液性領域1Dが設けられている。これは、凸部1Cの上面にペーストが残存しないようにするためである。凸部1Cの上面が親液性の場合、凸部1Cの上面にペーストが残存し、得られる膜に貫通孔を形成することができない。凸部1Cの上面に撥液性領域1Dを設けることにより、物理的にペーストを掻き取らなくても、凸部1Cの上面の撥液性領域1Dがペーストを化学的にはじき、凸部1Cの上面にペーストが残存しないようにすることが可能となる。
【0022】
具体的には、凸部1Cの上面の撥液性領域1Dは、各種表面処理が施されているか、あるいは凸部1Cの上面にミクロな凹凸が設けられて比表面積が増加していることにより、化学的に撥液性を示すようになっている。簡便には、撥液性領域1Dは、例えばフッ素の表面コーティング剤等により被覆されることにより撥液性が付与されている。
【0023】
図3および図4は、この凹版1を用いたグラビアオフセット印刷法による膜の製造方法を工程順に表したものである。
【0024】
この膜の製造方法では、図3(A)に示したように、凹版1と、凹版1を載置するためのステージ(図示せず),ブレード2Aおよびブランケット2Bを有するグラビアオフセット印刷機とを用いる。グラビアオフセット印刷機としては、従来公知のものを用いることが可能である。また、グラビアオフセット印刷機は、ブレード角度、圧力、ステージ速度、ブランケット胴回転速度等を自在に設定可能であることが必要であり、ステージの動作精度が5μm未満であることが望ましい。
【0025】
まず、図3(A)に示したように、凹部1Bにペースト3を供給し、過剰なペースト3をブレード2Aで掻き取る。このとき、凸部1Cの上面に撥液性領域1Dが設けられているので、凹版1上の過剰なペースト3をブレード2Aで掻き取る際に、掻き取りをマイルドに(弱く)行っても凸部1Cの上面にペースト3が残りにくくなる。
【0026】
また、凸部1Cの高さHが凹部1Bの深さDよりも小さいので、凹版1上の過剰なペースト3をブレード2Aで掻き取っても、凸部1Cを破損しにくくなる。よって、極めて微細な凸部1Cであっても破損のおそれが小さくなり、微細な貫通孔を有する膜を形成することが可能となる。
【0027】
一方、同じく図3(A)に示したように、凹版1上でブランケット2Bを矢印R方向に回転させる。これにより、凹部1Bに充填されたペースト3がブランケット2Bの表面に受理される。
【0028】
次いで、図3(B)に示したように、ブランケット2B上のペースト3を基材4Aに転写する。これにより、図3(B)および図4に示したように、基材4A上に、貫通孔4Bを有する膜4Cが形成される。
【0029】
ペースト3および膜4Cを構成する有機材料としては、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース系ポリマー、シリコンポリマー、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド、高分子量ポリエーテル、ポリビニルブチラール、メタクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステル重合体、ブチルメタクリレート樹脂等のポリマー材料が挙げられ、二種以上併用してもよい。また、膜4Cの機械特性、電気特性、化学特性等を向上させるため、熱あるいは紫外線硬化させてもよい。
【0030】
印刷性向上や電気特性向上を目的に、樹脂内に粒子を含有させてもよい。粒子は、膜中で粒子として存在することができれば、有機粒子及び無機粒子のいずれであってもよいが、粒度を制御しやすく、溶剤中で分散させることが可能であることから、無機粒子が好ましい。無機粒子の材料としては、シリカ(SiO2 )、アルミナ(Al2 O3 )、酸化チタン(TiO2 )、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸バリウム(BaTiO3 )等が挙げられるが、中でも、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛等の比較的比誘電率の低い材料が好ましい。また、メソポーラスシリカのように、構造中にメソ孔あるいはマイクロ孔を有する多孔質粒子であってもよい。
【0031】
このような膜4Cを形成する際には、有機材料及び粒子を溶剤と混合し、必要に応じて、分散剤、可塑剤、粘度調整剤等を添加した絶縁ペーストを用いることができる。有機材料と粒子の混合比率は、特に制限されず、形成するパターンに応じて、最適な物性のペーストとなるように適宜調整することが可能であるが、膜4Cの柔軟性を確保するためには、有機材料が多いことが好ましい。具体的には、膜4Cに対する有機材料の体積比は、40%以上であることが好ましく、50%以上であれば更に好ましい。これにより、可撓性を有する基板上であっても対応可能な膜4Cを形成することが可能となる。
【0032】
このように本実施の形態では、凸部1Cの上面に撥液性領域1Dを設けるようにしたので、凹版1上の過剰なペースト3をブレード2Aで掻き取る際に、掻き取りをマイルドに行っても凸部1Cの上面にペースト3が残りにくくなる。よって、微細な貫通孔4Bを有する膜4Cを形成することが可能となる。また、グラビアオフセット方式を用いることにより、工程数が少なく、簡易な方法で、微細かつ均一な貫通孔4Bを有する膜4Cを形成することが可能となる。また、高い重ね合わせ精度を有する印刷が可能となり、微細かつ高集積化に対応すべく、デバイス作製に応用可能である。
【0033】
特に、凸部1Cの高さHを凹部1Bの深さDよりも小さくするようにしたので、凹版1上の過剰なペースト3をブレード2Aで掻き取っても、凸部1Cを破損しにくくなる。よって、極めて微細な凸部1Cであっても破損のおそれが小さくなり、微細な貫通孔4Bを有する膜4Cを形成することが可能となる。
【0034】
(変形例1)
なお、上記実施の形態では、凸部1Cの高さHが凹部1Bの深さDより小さい場合について説明したが、図5に示したように、凸部1Cの高さHは、凹部1Bの深さDに等しくてもよい。
【0035】
(変形例2)
また、上記実施の形態では、凹版1が平版である場合について説明したが、図6に示したように、凹版1を円筒版とすることにより量産性を更に向上させることも可能である。
【0036】
(変形例3)
更に、上記実施の形態では、凹部1Bに充填されたペースト3を、ブランケット2Bを介して基材4Aに転写する場合について説明した。しかしながら、ブランケット2Bを用いず、図7に示したように、円筒版の凹版1を用い、凹部1Bに充填されたペースト3を、基材4Aに直接転写するようにすることも可能である。
【0037】
(第2の実施の形態)
図8は、本開示の第2の実施の形態に係る膜の製造方法に用いられる凹版の断面構成を表したものである。この凹版1は、凸部1Cの上面に撥液性領域1Dを設けないことを除いては、第1の実施の形態の凹版1と同一の構成を有している。よって、対応する構成要素には同一の符号を付して説明する。
【0038】
凸部1Cの高さHは、第1の実施の形態と同様に、凹部1Bの深さDより小さい。これは、印刷時に凹部1B内に充填されるペースト3を掻き取る際、掻き取りに用いられるブレードが凸部1Cと接触し、凸部1Cを破損させることを防ぐためである。具体的には、凸部1Cの高さHは、凹部1Bの深さに対して90%程度の高さであることが好ましい。95%以上になるとブレードとの接触により凸部1Cが破損する可能性が高まる。一方、60%以下になると凸部1C上にペースト3が残存する確率が高まり、貫通孔4B形成の歩留まりが著しく低下する。このため、凸部1Cの高さHは、凹部1Bの深さDの95%以下70%以上であることが望ましい。
【0039】
この凹版1は、第1の実施の形態と同様にして、グラビアオフセット印刷法による膜の製造方法に用いられる。その際、凸部1Cの高さHが凹部1Bの深さDよりも小さいので、凹版1上の過剰なペースト3をブレード2Aで掻き取っても、凸部1Cを破損しにくくなる。よって、極めて微細な凸部1Cであっても破損のおそれが小さくなり、微細な貫通孔4Bを有する膜4Cを形成することが可能となる。
【0040】
このように本実施の形態では、凸部1Cの高さHを凹部1Bの深さDよりも小さくするようにしたので、凹版1上の過剰なペースト3をブレード2Aで掻き取っても、凸部1Cを破損しにくくなる。よって、極めて微細な凸部1Cであっても破損のおそれが小さくなり、微細な貫通孔4Bを有する膜4Cを形成することが可能となる。
【0041】
なお、本実施の形態は、変形例2のように凹版1が円筒版である場合にも適用可能である。
【0042】
(適用例)
本実施の形態に係る膜の製造方法は、例えば、図9ないし図11に示した表示装置の製造に用いることが可能である。この表示装置は、有機ELテレビジョン装置などに用いられるものであり、図9に示したように、ガラスなどの基板11の上に、後述する複数の有機EL素子10R,10G,10Bがマトリクス状に配置されてなる表示領域110が設けられたものである。表示領域110の周辺には、映像表示用のドライバである信号線駆動回路120および走査線駆動回路130が設けられている。
【0043】
表示領域110内には画素駆動回路140が設けられている。図10は、画素駆動回路140の一例を表したものである。この画素駆動回路140は、後述する第1電極20の下層に設けられたアクティブ型の駆動回路である。画素駆動回路140は、例えば、駆動トランジスタTr1および書き込みトランジスタTr2と、キャパシタ(保持容量)Csと、第1の電源ライン(Vcc)および第2の電源ライン(GND)の間において駆動トランジスタTr1に直列に接続された有機EL素子10R,10G,10Bとを有している。キャパシタCsの一方の電極は駆動トランジスタTr1および書き込みトランジスタTr2の間に接続され、他方の電極は駆動トランジスタTr1および有機EL素子10R,10G,10Bとの間に接続されている。
【0044】
画素駆動回路140において、列方向には信号線120Aが複数配置され、行方向には走査線130Aが複数配置されている。各信号線120Aと各走査線130Aとの交差点が、有機EL素子10R,10G,10Bのいずれか一つ(副画素)に対応している。各信号線120Aは、信号線駆動回路120に接続され、この信号線駆動回路120から信号線120Aを介して書き込みトランジスタTr2のソース電極に画像信号が供給されるようになっている。各走査線130Aは走査線駆動回路130に接続され、この走査線駆動回路130から走査線130Aを介して書き込みトランジスタTr2のゲート電極に走査信号が順次供給されるようになっている。
【0045】
図11は、図9に示した表示領域110の断面構成を表したものである。基板11上には、上述した画素駆動回路140の駆動トランジスタTr1としてのTFT12,第1絶縁膜13,および有機EL素子10R,10G,10Bが基板11側からこの順に設けられている。有機EL素子10R,10G,10Bは、必要に応じて、窒化シリコン(SiN)などの保護膜(図示せず)により覆われている。保護膜の上には、ガラス等の封止用基板が、紫外線硬化樹脂または熱硬化樹脂などの接着層により貼り合わせられている。
【0046】
TFT12は、画素駆動回路140の駆動トランジスタTr1を構成するものであり、例えば、基板11上に、モリブデン(Mo)よりなるゲート電極12A,窒化シリコン(SiNx)等よりなるゲート絶縁膜12B,非晶質シリコン(a−Si)よりなる半導体膜12C,窒化シリコン(SiNx)等よりなるチャネル保護膜12D,層間絶縁膜12E,アルミニウム(Al)等よりなる配線12Fがこの順に積層されたボトムゲート型(逆スタガ型)のTFTである。なお、図10に示した書き込みトランジスタTr2も、TFT12と同様の構成を有している。TFT12は、酸化物半導体または有機半導体(半導体の性質を示す有機材料)よりなる半導体膜を備えたものであることも可能である。
【0047】
第1絶縁膜13は、上記膜の製造方法により形成された貫通孔4Bを有する膜4Cにより構成されている。貫通孔4Bは、TFT12のドレインと有機EL素子10R,10G,10Bの第1電極(下部電極)とを接続するための接続孔としての機能を有している。
【0048】
積層構造を有するトランジスタにおいては、高集積化が進むほど第1電極(下部電極)との高い重ね合わせ精度を要求されるが、従来のスクリーン印刷法では30μm以下の重ね合わせ精度を実現することは困難であった。これに対して、本実施の形態では、第1絶縁膜13が、上記膜の製造方法により形成されているので、一辺が10μm程度の微細な貫通孔4Bを設けることが可能となる。
【0049】
有機EL素子10R,10G,10Bは、第1絶縁膜13の上に設けられ、基板11の側から、第1電極21,第2絶縁膜22,発光層を含む有機層23,および第2電極24がこの順に積層された構成を有している。
【0050】
第1電極21は、有機EL素子10R,10G,10Bの各々に対応して形成されている。第1電極21は、例えば、厚みが20nm程度のチタン(Ti)層と、厚みが100nm程度のアルミニウム(Al)合金層とを基板11側からこの順に積層した構成を有し、発光層で発生した光を第2電極70側から取り出すようになっている(トップエミッション)。なお、第1電極20の構成材料としては、アルミニウム(Al)またはその合金のほか、金(Au),白金(Pt),ニッケル(Ni),クロム(Cr),銅(Cu),タングステン(W),モリブデン(Mo)あるいは銀(Ag)などの金属元素の単体または合金よりなる反射電極が挙げられる。また、第1電極21は、第1絶縁膜13すなわち膜4Cの貫通孔4B内にも延在し、TFT12のドレイン配線に接続されている。
【0051】
第2絶縁膜22は、第1電極21と第2電極24との絶縁性を確保すると共に発光領域を正確に所望の形状にするためのものであり、例えば、厚みが1μm程度であり、シリコン酸化物またはポリイミドなどの感光性樹脂により構成されている。第2絶縁膜22には、発光領域に対応して開口部22Aが設けられている。なお、有機層23および第2電極24は、第2絶縁膜22の上にも連続して設けられているが、発光が生じるのは第2絶縁膜22の開口部22Aだけである。
【0052】
有機層23は、例えば、第1電極21の側から順に、正孔注入層,正孔輸送層,発光層,電子輸送層および電子注入層を積層した構成を有するが、これらのうち発光層以外の層は必要に応じて設ければよい。また、有機層23は、有機EL素子10R,10G,10Bの発光色によってそれぞれ構成が異なっていてもよい。正孔注入層は、正孔注入効率を高めるためのものであると共に、リークを防止するためのバッファ層である。正孔輸送層は、発光層への正孔輸送効率を高めるためのものである。発光層は、電界をかけることにより電子と正孔との再結合が起こり、光を発生するものである。電子輸送層は、発光層への電子輸送効率を高めるためのものである。電子注入層は、例えば厚みが0.3nm程度であり、LiF,Li2 Oなどにより構成されている。
【0053】
有機EL素子10Rの正孔注入層は、例えば、厚みが5nm以上300nm以下であり、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)あるいは4,4’,4”−トリス(2−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(2−TNATA)により構成されている。有機EL素子10Rの正孔輸送層は、例えば、厚みが5nm以上300nm以下であり、ビス[(N−ナフチル)−N−フェニル]ベンジジン(α−NPD)により構成されている。有機EL素子10Rの赤色発光層は、例えば、厚みが10nm以上100nm以下であり、9,10−ジ−(2−ナフチル)アントラセン(ADN)に2,6≡ビス[4´≡メトキシジフェニルアミノ)スチリル]≡1,5≡ジシアノナフタレン(BSN)を30重量%混合したものにより構成されている。有機EL素子10Rの電子輸送層は、例えば、厚みが5nm以上300nm以下であり、8≡ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3 )により構成されている。
【0054】
有機EL素子10Gの正孔注入層は、例えば、厚みが5nm以上300nm以下であり、m−MTDATAあるいは2−TNATAにより構成されている。有機EL素子10Gの正孔輸送層は、例えば、厚みが5nm以上300nm以下であり、α−NPDにより構成されている。有機EL素子10Gの緑色発光層は、例えば、厚みが10nm以上100nm以下であり、ADNにクマリン6(Coumarin6)を5体積%混合したものにより構成されている。有機EL素子10Gの電子輸送層は、例えば、厚みが5nm以上300nm以下であり、Alq3 により構成されている。
【0055】
有機EL素子10Bの正孔注入層は、例えば、厚みが5nm以上300nm以下であり、m−MTDATAあるいは2−TNATAにより構成されている。有機EL素子10Bの正孔輸送層は、例えば、厚みが5nm以上300nm以下であり、α−NPDにより構成されている。有機EL素子10Bの青色発光層は、例えば、厚みが10nm以上100nm以下であり、ADNに4,4´≡ビス[2≡{4≡(N,N≡ジフェニルアミノ)フェニル}ビニル]ビフェニル(DPAVBi)を2.5重量%混合したものにより構成されている。有機EL素子10Bの電子輸送層は、例えば、厚みが5nm以上300nm以下であり、Alq3 により構成されている。
【0056】
第2電極24は、有機層23の上面に、表示領域110の全体にわたり複数の有機EL素子10R,10G,10Bに共通に設けられている。第2電極24は、例えば、第1電極21の側から順に、厚みが約0.3nmでありフッ化リチウム(LiF)よりなる第1層と、厚みが3nmでありカルシウム(Ca)よりなる第2層と、厚みが5nmでありMg−Ag合金よりなる第3層とを積層した構成を有している。第2電極24は、表示領域110の外側の領域で、図示しない補助配線に接続されている。この補助配線は、表示領域110を囲む枠状の導電膜により構成されている。
【0057】
この表示装置は、例えば次のようにして製造することができる。
【0058】
まず、上述した材料よりなる基板11にTFT12を形成し、画素駆動回路140を形成する。次いで、画素駆動回路140を形成した基板11を基材4Aとして、上述した膜の製造方法により、貫通孔4Bを有する膜4Cを形成する。これにより、第1絶縁膜13が形成される。
【0059】
続いて、例えばスパッタリング法によりチタン(Ti)膜およびアルミニウム(Al)合金膜を形成し、例えばフォトリソグラフィ法およびドライエッチングにより所定の形状に成形する。これにより、表示領域110内に、チタン層とアルミニウム合金層とを積層した第1電極21が形成される。
【0060】
そののち、第1電極21が設けられた基板11にポリイミド等の感光性絶縁材料を塗布し、フォトリソグラフィによる露光および現像を行う。これにより、開口部22Aを有する第2絶縁膜22を形成する
【0061】
続いて、例えば蒸着法により、上述した材料よりなる有機層23および第2電極24を形成する。これにより、図11に示した有機EL素子10R,10G,10Bが形成される
【0062】
そののち、必要に応じて、例えばCVD法またはスパッタ法により、有機EL素子10R,10G,10Bの上に上述した材料よりなる保護膜(図示せず)を形成する。また、カラーフィルタ等を形成した封止用基板(図示せず)を用意し、この封止用基板を、保護膜の上に、接着層(図示せず)により貼り合わせる。以上により、図9ないし図11に示した表示装置が完成する。
【0063】
この表示装置では、各画素に対して走査線駆動回路130から書き込みトランジスタTr2のゲート電極を介して走査信号が供給されると共に、信号線駆動回路120から画像信号が書き込みトランジスタTr2を介して保持容量Csに保持される。すなわち、この保持容量Csに保持された信号に応じて駆動トランジスタTr1がオンオフ制御され、これにより、各有機EL素子10R,10G,10Bに駆動電流Idsが注入されることにより、正孔と電子とが再結合して発光が起こる。この光は、第2電極24,保護膜,接着層,カラーフィルタおよび封止用基板(第2電極24以外はいずれも図示せず)を透過して(トップエミッション)取り出される。
【実施例】
【0064】
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。
【0065】
(実施例1)
第1の実施の形態と同様にして膜を作製した。その際、凹版1として、石英よりなる凹版本体1Aに、深さDが10μmの凹部1Bを有するものを用いた。凹部1B内には貫通孔を形成するための凸部1Cを、縦横150μmの間隔で配置した。凸部1Cの形状は、一辺10μmの正方形、高さHを9μmとし、その上面1Dはフッ素樹脂(デュポン株式会社製「テフロン(登録商標)」)コーティングにより撥水性を持たせた(図1および図2参照。)。
【0066】
ペースト3としては、ポリビニルアルコール樹脂をエチレングリコールモノブチルエーテルとα−テルピネオールとの混合溶媒に溶解させ、比表面積が50m2 /gの酸化アルミニウム(アルミナ)フィラーを添加して粘度を約150Pa・秒に調整したペーストを用いた。
【0067】
このペースト3を、形成したい貫通孔の位置合わせを施した上で、凹版1の凹部1B内にブレード2Aを用いて充填した。このペースト3が充填された凹版1を、ロール状のブランケット2Bへ押し付け、ペースト3をブランケット2B上に受理させた(図3(A)参照。)。
【0068】
続いて、貫通孔を基材4Aと位置合わせし、ブランケット2B上のペースト3を基材4Aに転写した(図3(B)参照。)。これにより、一辺約12μmでやや丸みを帯びた貫通孔4Bを複数有する膜4Cが形成された(図4参照。)。そののち、100℃のオーブンで30分間、膜4Cを乾燥させた。
【0069】
(実施例2)
凸部1Cの高さHを8μmとした以外は、実施例1と同様にして膜を作製した。その結果、実測値で一辺15μmのやや丸みを帯びた正方形の形状を有する貫通孔4Bを複数有する膜4Cが形成された。
【0070】
(実施例3)
凸部1Cの高さHを7μmとした以外は、実施例1と同様にして膜を作製した。その結果、実測値で一辺12μmのやや丸みを帯びた正方形の形状を有する貫通孔4Bを複数有する膜4Cが形成された。
【0071】
(実施例4)
凸部1Cの形状を一辺15μmとした以外は、実施例1と同様にして膜を作製した。その結果、実測値で一辺15μmのやや丸みを帯びた正方形の形状を有する貫通孔4Bを複数有する膜4Cが形成された。
【0072】
(実施例5)
凸部1Cの上面1Dをアモルファスフッ素樹脂(旭硝子株式会社製「CYTOP(登録商標)」)を用いて表面処理することにより撥水性を持たせた以外は、実施例1と同様にして膜を作製した。その結果、実測値で一辺12μmのやや丸みを帯びた正方形の形状を有する貫通孔4Bを複数有する膜4Cが形成された。
【0073】
(実施例6)
凸部1Cの高さを10μmとした以外は、実施例1と同様にして膜を作製した。その結果、ブレード2Aにてペースト3を掻き取る際、凸部1Cの一部が破損し、一部に貫通孔4Bが形成されない膜4Cとなった。
【0074】
(実施例7)
凸部1Cの高さを5μmとした以外は、実施例1と同様にして膜を作製した。その結果、凸部1Cの上のペースト3が除去されず、一部に貫通孔4Bが形成されない膜4Cとなった。
【0075】
(比較例1)
凸部の上面に撥液性処理を施さなかった以外は、実施例1と同様にして膜を作製した。その結果、ブレードにてペーストを掻き取る際、凸部の一部が破損した。また、凸部の上のペーストが除去されず、一部に貫通孔が形成されない膜となった。
【0076】
(評価)
実施例1,4から分かるように、凸部1Cを一辺10μmの正方形とした実施例1では、貫通孔4Bの寸法は一辺12μm、凸部1Cを一辺15μmの正方形とした実施例4では、貫通孔4Bの寸法は一辺15μmとなり、上記第1の実施の形態の膜の製造方法により微細な貫通孔4Bを形成することが可能となることが確認された。
【0077】
また、実施例1,5と比較例1との比較から、凸部1Cの上面1Dが撥液性を有する実施例1,5では、凸部の上面に撥液性処理を施さなかった比較例1に比べて、貫通孔4Bが良好に形成されていた。これは、実施例1,5では、凹版1上の過剰なペースト3をブレード2Aで掻き取る際に、掻き取りをマイルドに行っても凸部1Cの上面1Dにペースト3が残りにくくなったからであると考えられる。すなわち、凸部1Cの上面1Dが撥液性を有するようにすれば、微細な貫通孔4Bを有する膜4Cを形成することが可能となることが分かった。
【0078】
更に、実施例6と比較例1とを比較すると、実施例6および比較例1ではいずれも凸部の高さが高いので、凸部の一部が破損し、一部に貫通孔が形成されない膜となった。しかしながら、実施例6では、ペースト3の掻き取りをマイルドに行うことで、凸部1Cの破損を少なくすると共に比較例1よりも良好な膜4Cを形成することができた。これに対して、比較例1では、凸部の破損を少なくするためにペーストの掻き取りをマイルドに行うと、凸部の上のペーストを除去できず、貫通孔を形成することができなくなった。すなわち、凸部1Cの上面1Dが撥液性を有するようにすれば、凸部1Cの破損を抑え、膜4Cを良好に形成することが可能となることが分かった。
【0079】
また、実施例1〜3と実施例6,7との比較から、凸部1Cの高さHを9μm,8μmまたは7μmとした実施例1,2,3では、10μmまたは5μmとした実施例6,7よりも貫通孔4Bが良好に形成されていた。すなわち、凸部1Cの高さHを凹部1Bの深さDの70%以上90%以下とすれば、凸部1Cの破損を抑え、微細な貫通孔4Bを良好に形成することが可能となることが分かった。
【0080】
以上、実施の形態および実施例を挙げて本開示を説明したが、本開示は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態では、本開示の膜の製造方法を、有機EL素子を備えた表示装置の製造方法に適用した場合について説明した。しかしながら、本開示の膜の製造方法は、無機EL素子,液晶素子などの他の表示素子を備えた表示装置の製造方法にも適用可能である。
【0081】
例えば、上記実施の形態では、発光層で発生した光を第2電極24側から取り出す場合(トップエミッション)を例として説明したが、発光層で発生した光を基板11側から取り出すことも可能である(ボトムエミッション)。この場合には、カラーフィルタは基板11上に設けることが可能である。また、ボトムエミッションの場合には、第1電極21は、ITO(酸化インジウムスズ),IZO(酸化インジウム亜鉛)(登録商標),またはSnO2などの透明電極により構成され、第2電極24は、金(Au),白金(Pt),ニッケル(Ni),クロム(Cr),銅(Cu),タングステン(W),アルミニウム(Al),モリブデン(Mo)あるいは銀(Ag)などの金属元素の単体または合金よりなる反射電極により構成されている。また、第2電極24は、上述した反射電極と透明電極との複合膜により構成されていてもよい。
【0082】
加えて、例えば、上記実施の形態において説明した各層の材料および厚み、または成膜方法および成膜条件などは限定されるものではなく、他の材料および厚みとしてもよく、または他の成膜方法および成膜条件としてもよい。
【0083】
なお、本技術は以下のような構成を取ることも可能である。
(1)
ペースト充填用の凹部を有すると共に前記凹部内に凸部を有し、前記凸部の上面に撥液性領域を有する凹版を用い、
前記凹部に充填されたペーストを基材に転写することにより、前記基材上に、貫通孔を有する膜を形成する
膜の製造方法。
(2)
前記凸部の高さは、前記凹部の深さよりも小さい
前記(1)記載の膜の製造方法。
(3)
前記凹部に充填されたペーストを、前記基材に直接転写する
前記(1)または(2)記載の膜の製造方法。
(4)
前記凹部に充填されたペーストを、ブランケットを介して前記基材に転写する
前記(1)または(2)記載の膜の製造方法。
(5)
前記凹版は平版である
前記(1)ないし(4)のいずれか1項に記載の膜の製造方法。
(6)
前記凹版は円筒版である
前記(1)ないし(4)のいずれか1項に記載の膜の製造方法。
(7)
基板に、TFT,絶縁膜および表示素子を順に形成する工程を含み、
前記絶縁膜を形成する工程において、
ペースト充填用の凹部を有すると共に前記凹部内に凸部を有し、前記凸部の上面に撥液性領域を有する凹版を用い、
前記凹部に充填されたペーストを基材に転写することにより、前記基材上に、貫通孔を有する膜を形成する
表示装置の製造方法。
【符号の説明】
【0084】
1…凹版、1A…凹版本体、1B…凹部、1C…凸部、1D…上面、2A…ブレード、2B…ブランケット、3…ペースト、4A…基材、4B…貫通孔、4C…膜、10R,10G,10B…有機EL素子、11…基板、12…TFT、13…第1絶縁膜、21…第1電極、22…第2絶縁膜、23…有機層、24…第2電極、110…表示領域、120…信号線駆動回路、130…走査線駆動回路、140…画素駆動回路、Tr1,Tr2…トランジスタ。
【技術分野】
【0001】
本開示は、層間絶縁膜などの形成に好適な膜の製造方法、およびこの方法を用いた表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トランジスタ素子を有するアクティブマトリクス基板上には、集積度を高めるために多層配線構造が多用されている。この多層配線構造においては、配線を電気的に接続するためのビアホールを有する層間絶縁膜が用いられている。近年、層間絶縁膜としては、酸化シリコン膜に代わり、低誘電率(約2.2〜4.0)の有機絶縁膜が広く用いられている。
【0003】
層間絶縁膜の、従来における一般的な製造方法としては、絶縁膜上にフォトレジストを塗布し、露光、現像、エッチングを行ってパターンを形成する方法、あるいは、材料選定に制限はあるが、感光性材料を用い、露光、現像を行ってパターンを形成する方法等が挙げられる。しかし、フォトリソグラフィ技術を用いる層間絶縁膜の製造方法は、工程数が多く、コスト的に不利である。
【0004】
そこで、印刷技術、中でも特にコスト的に有利であるスクリーン印刷法を用いることによって、貫通孔を有する絶縁膜を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1〜4参照。)。
【0005】
スクリーン印刷は、印刷の不要な個所に乳剤を形成したスクリーンメッシュにインクを載せて、スキージで擦ることによってインクを転写する印刷方法であり、工程数を低減でき、材料の使用効率が高いという利点が期待されている。スクリーン印刷は、簡易な手法でファインパターンの形成が可能な印刷方法であり、近年、タッチパネルや太陽電池等の配線工程にも用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−147781号公報
【特許文献2】特開2002−273999号公報
【特許文献3】特開2007−95783号公報
【特許文献4】特開2008−147614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、スクリーン印刷は、上述したように、非吐出領域(印刷しない部分)に乳剤を形成したメッシュを介しての印刷方法であるので、微小な非吐出領域を残す印刷には適さないという問題があった。特に、層間絶縁膜のようにドット状の非吐出領域を形成する場合、従来の手法では100μm径の非吐出領域が印刷の限界とされていた。
【0008】
この問題を解決するために、特許文献3,4に記載されているように、印刷工程を2工程に分け、工程数が少なく平易な方法で、貫通孔を有する層間絶縁膜を形成する方法が提案されている。しかしながら、スクリーン印刷法では、スクリーン版と基板の距離をある程度有し、かつ、スキージの角度、圧力、速度等の複数のパラメーターの影響を受けるため、50μm四方、あるいはφ50μm以下の貫通孔を有する層間絶縁膜を形成することは困難であった。
【0009】
本開示の目的は、微細な貫通孔を有する膜を形成することが可能な膜の製造方法、およびこの方法を用いた表示装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示による膜の製造方法は、ペースト充填用の凹部を有すると共に凹部内に凸部を有し、凸部の上面に撥液性領域を有する凹版を用い、凹部に充填されたペーストを基材に転写することにより、基材上に、貫通孔を有する膜を形成するものである。
【0011】
本開示による表示装置の製造方法は、基板に、TFT,絶縁膜および表示素子を順に形成する工程を含み、絶縁膜を形成する工程を、上記本開示による膜の製造方法により行うようにしたものである。
【発明の効果】
【0012】
本開示の膜の製造方法、または本開示の表示装置の製造方法によれば、凸部の上面に撥液性領域を設けるようにしたので、凹版上の過剰なペーストをブレードで掻き取る際に、掻き取りをマイルドに行っても凸部の上面にペーストが残りにくくなる。よって、微細な貫通孔を有する膜を形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本開示の第1の実施の形態に係る膜の製造方法に用いる凹版の構成を表す上面図である。
【図2】図1のII−II線における断面図である。
【図3】図1に示した凹版を用いた膜の製造方法を工程順に表す図である。
【図4】図3に続く工程を表す図である。
【図5】変形例1に係る凹版の構成を表す断面図である。
【図6】変形例2に係る凹版およびこの凹版を用いた膜の製造方法を表す図である。
【図7】変形例3に係る凹版およびこの凹版を用いた膜の製造方法を表す図である。
【図8】本開示の第2の実施の形態に係る凹版の構成を表す断面図である。
【図9】本開示の膜の製造方法により製造される表示装置の構成を表す図である。
【図10】図9に示した画素駆動回路の一例を表す図である。
【図11】図9に示した表示領域の構成を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(凹版が平版である例)
2.変形例1(凸部の高さが凹部の深さに等しい例)
3.変形例2(凹版が円筒版である例)
4.変形例3(ブランケットを中継せず、凹部に充填されたペーストを、基材に直接転写する例)
5.第2の実施の形態(凸部の高さが凹部の深さよりも小さく、凸部の上面に撥液性領域を有しない例)
6.適用例(表示装置)
【0015】
(第1の実施の形態)
図1は、本開示の第1の実施の形態に係る膜の製造方法に用いられる凹版の平面構成を表したものであり、図2は、この凹版の断面構成を表したものである。この凹版1は、グラビアオフセット印刷法による層間絶縁膜の形成工程に用いられるものである。グラビアオフセット印刷法とは、凹版1内にブレードを用いてペーストを充填し、ブランケットと呼ばれる樹脂、またはゴム製の媒介物を介して基材(被印刷体)に印刷する手法である。
【0016】
凹版1は、凹版本体1Aの中央部にペースト充填用の凹部1Bを有する平版である。凹部1B内には、複数の凸部(柱)1Cが周期的に配置されている。この凸部1Cの上面には撥液性領域1Dが設けられている。これにより、この凹版1を用いた膜の製造方法では、微細な貫通孔を有する膜を形成することが可能となっている。
【0017】
凹版1の構成は、各工程で印刷する領域の形状と、使用するペーストの粘度や固形分比率等に応じて、適宜選択することができる。凹版1の材料は、例えば、ガラス,石英,金属,樹脂,各種セラミックス等、ブレードの摺動に対して十分な耐久性を有する材料であれば何ら限定されることはない。また、機械的強度を向上させるため、あるいは印刷性を向上させるため、DLC(Diamond like Carbon)等のコーティングまたは各種表面処理が施されていてもよい。
【0018】
凹部1Bは、膜の材料となるペーストを受容するためのものであり、凹部1Bの深さDによって膜の厚みが決定される。
【0019】
凸部1Cは、膜に貫通孔を形成するためのものであり、その形状には特に制限はなく、四角形、円形等とすることが可能である。具体的には、凸部1Cは、例えば一辺10μmの正方形の形状を有する微細な柱である。この場合、基材やペーストの種類にもよるが、一辺5μm〜15μm程度の貫通孔を形成することが可能である。凸部1Cの寸法は貫通孔の寸法を決定するものであり、必要とされる設計値に応じた任意の寸法を用いることができる。凸部1Cの間隔や数も、同様に用いるデバイスの設計値にあわせて任意に設定可能であり、何ら制限されるものではない。
【0020】
凸部1Cの高さHは、凹部1Bの深さDより小さいことが好ましい。これは、印刷時に凹部1B内に充填されるペーストを掻き取る際、掻き取りに用いられるブレードが凸部1Cと接触し、凸部1Cを破損させることを回避するためである。具体的には、凸部1Cの高さHは、凹部1Bの深さに対して90%程度の高さであることが好ましい。95%以上になるとブレードとの接触により凸部1Cが破損する可能性が高まる。一方、60%以下になると凸部1C上にペーストが残存する確率が高まり、貫通孔形成の歩留まりが著しく低下する。このため、凸部1Cの高さHは、凹部1Bの深さDの95%以下70%以上であることが望ましい。
【0021】
凸部1Cの上面には、上述したように撥液性領域1Dが設けられている。これは、凸部1Cの上面にペーストが残存しないようにするためである。凸部1Cの上面が親液性の場合、凸部1Cの上面にペーストが残存し、得られる膜に貫通孔を形成することができない。凸部1Cの上面に撥液性領域1Dを設けることにより、物理的にペーストを掻き取らなくても、凸部1Cの上面の撥液性領域1Dがペーストを化学的にはじき、凸部1Cの上面にペーストが残存しないようにすることが可能となる。
【0022】
具体的には、凸部1Cの上面の撥液性領域1Dは、各種表面処理が施されているか、あるいは凸部1Cの上面にミクロな凹凸が設けられて比表面積が増加していることにより、化学的に撥液性を示すようになっている。簡便には、撥液性領域1Dは、例えばフッ素の表面コーティング剤等により被覆されることにより撥液性が付与されている。
【0023】
図3および図4は、この凹版1を用いたグラビアオフセット印刷法による膜の製造方法を工程順に表したものである。
【0024】
この膜の製造方法では、図3(A)に示したように、凹版1と、凹版1を載置するためのステージ(図示せず),ブレード2Aおよびブランケット2Bを有するグラビアオフセット印刷機とを用いる。グラビアオフセット印刷機としては、従来公知のものを用いることが可能である。また、グラビアオフセット印刷機は、ブレード角度、圧力、ステージ速度、ブランケット胴回転速度等を自在に設定可能であることが必要であり、ステージの動作精度が5μm未満であることが望ましい。
【0025】
まず、図3(A)に示したように、凹部1Bにペースト3を供給し、過剰なペースト3をブレード2Aで掻き取る。このとき、凸部1Cの上面に撥液性領域1Dが設けられているので、凹版1上の過剰なペースト3をブレード2Aで掻き取る際に、掻き取りをマイルドに(弱く)行っても凸部1Cの上面にペースト3が残りにくくなる。
【0026】
また、凸部1Cの高さHが凹部1Bの深さDよりも小さいので、凹版1上の過剰なペースト3をブレード2Aで掻き取っても、凸部1Cを破損しにくくなる。よって、極めて微細な凸部1Cであっても破損のおそれが小さくなり、微細な貫通孔を有する膜を形成することが可能となる。
【0027】
一方、同じく図3(A)に示したように、凹版1上でブランケット2Bを矢印R方向に回転させる。これにより、凹部1Bに充填されたペースト3がブランケット2Bの表面に受理される。
【0028】
次いで、図3(B)に示したように、ブランケット2B上のペースト3を基材4Aに転写する。これにより、図3(B)および図4に示したように、基材4A上に、貫通孔4Bを有する膜4Cが形成される。
【0029】
ペースト3および膜4Cを構成する有機材料としては、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース系ポリマー、シリコンポリマー、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド、高分子量ポリエーテル、ポリビニルブチラール、メタクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステル重合体、ブチルメタクリレート樹脂等のポリマー材料が挙げられ、二種以上併用してもよい。また、膜4Cの機械特性、電気特性、化学特性等を向上させるため、熱あるいは紫外線硬化させてもよい。
【0030】
印刷性向上や電気特性向上を目的に、樹脂内に粒子を含有させてもよい。粒子は、膜中で粒子として存在することができれば、有機粒子及び無機粒子のいずれであってもよいが、粒度を制御しやすく、溶剤中で分散させることが可能であることから、無機粒子が好ましい。無機粒子の材料としては、シリカ(SiO2 )、アルミナ(Al2 O3 )、酸化チタン(TiO2 )、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸バリウム(BaTiO3 )等が挙げられるが、中でも、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛等の比較的比誘電率の低い材料が好ましい。また、メソポーラスシリカのように、構造中にメソ孔あるいはマイクロ孔を有する多孔質粒子であってもよい。
【0031】
このような膜4Cを形成する際には、有機材料及び粒子を溶剤と混合し、必要に応じて、分散剤、可塑剤、粘度調整剤等を添加した絶縁ペーストを用いることができる。有機材料と粒子の混合比率は、特に制限されず、形成するパターンに応じて、最適な物性のペーストとなるように適宜調整することが可能であるが、膜4Cの柔軟性を確保するためには、有機材料が多いことが好ましい。具体的には、膜4Cに対する有機材料の体積比は、40%以上であることが好ましく、50%以上であれば更に好ましい。これにより、可撓性を有する基板上であっても対応可能な膜4Cを形成することが可能となる。
【0032】
このように本実施の形態では、凸部1Cの上面に撥液性領域1Dを設けるようにしたので、凹版1上の過剰なペースト3をブレード2Aで掻き取る際に、掻き取りをマイルドに行っても凸部1Cの上面にペースト3が残りにくくなる。よって、微細な貫通孔4Bを有する膜4Cを形成することが可能となる。また、グラビアオフセット方式を用いることにより、工程数が少なく、簡易な方法で、微細かつ均一な貫通孔4Bを有する膜4Cを形成することが可能となる。また、高い重ね合わせ精度を有する印刷が可能となり、微細かつ高集積化に対応すべく、デバイス作製に応用可能である。
【0033】
特に、凸部1Cの高さHを凹部1Bの深さDよりも小さくするようにしたので、凹版1上の過剰なペースト3をブレード2Aで掻き取っても、凸部1Cを破損しにくくなる。よって、極めて微細な凸部1Cであっても破損のおそれが小さくなり、微細な貫通孔4Bを有する膜4Cを形成することが可能となる。
【0034】
(変形例1)
なお、上記実施の形態では、凸部1Cの高さHが凹部1Bの深さDより小さい場合について説明したが、図5に示したように、凸部1Cの高さHは、凹部1Bの深さDに等しくてもよい。
【0035】
(変形例2)
また、上記実施の形態では、凹版1が平版である場合について説明したが、図6に示したように、凹版1を円筒版とすることにより量産性を更に向上させることも可能である。
【0036】
(変形例3)
更に、上記実施の形態では、凹部1Bに充填されたペースト3を、ブランケット2Bを介して基材4Aに転写する場合について説明した。しかしながら、ブランケット2Bを用いず、図7に示したように、円筒版の凹版1を用い、凹部1Bに充填されたペースト3を、基材4Aに直接転写するようにすることも可能である。
【0037】
(第2の実施の形態)
図8は、本開示の第2の実施の形態に係る膜の製造方法に用いられる凹版の断面構成を表したものである。この凹版1は、凸部1Cの上面に撥液性領域1Dを設けないことを除いては、第1の実施の形態の凹版1と同一の構成を有している。よって、対応する構成要素には同一の符号を付して説明する。
【0038】
凸部1Cの高さHは、第1の実施の形態と同様に、凹部1Bの深さDより小さい。これは、印刷時に凹部1B内に充填されるペースト3を掻き取る際、掻き取りに用いられるブレードが凸部1Cと接触し、凸部1Cを破損させることを防ぐためである。具体的には、凸部1Cの高さHは、凹部1Bの深さに対して90%程度の高さであることが好ましい。95%以上になるとブレードとの接触により凸部1Cが破損する可能性が高まる。一方、60%以下になると凸部1C上にペースト3が残存する確率が高まり、貫通孔4B形成の歩留まりが著しく低下する。このため、凸部1Cの高さHは、凹部1Bの深さDの95%以下70%以上であることが望ましい。
【0039】
この凹版1は、第1の実施の形態と同様にして、グラビアオフセット印刷法による膜の製造方法に用いられる。その際、凸部1Cの高さHが凹部1Bの深さDよりも小さいので、凹版1上の過剰なペースト3をブレード2Aで掻き取っても、凸部1Cを破損しにくくなる。よって、極めて微細な凸部1Cであっても破損のおそれが小さくなり、微細な貫通孔4Bを有する膜4Cを形成することが可能となる。
【0040】
このように本実施の形態では、凸部1Cの高さHを凹部1Bの深さDよりも小さくするようにしたので、凹版1上の過剰なペースト3をブレード2Aで掻き取っても、凸部1Cを破損しにくくなる。よって、極めて微細な凸部1Cであっても破損のおそれが小さくなり、微細な貫通孔4Bを有する膜4Cを形成することが可能となる。
【0041】
なお、本実施の形態は、変形例2のように凹版1が円筒版である場合にも適用可能である。
【0042】
(適用例)
本実施の形態に係る膜の製造方法は、例えば、図9ないし図11に示した表示装置の製造に用いることが可能である。この表示装置は、有機ELテレビジョン装置などに用いられるものであり、図9に示したように、ガラスなどの基板11の上に、後述する複数の有機EL素子10R,10G,10Bがマトリクス状に配置されてなる表示領域110が設けられたものである。表示領域110の周辺には、映像表示用のドライバである信号線駆動回路120および走査線駆動回路130が設けられている。
【0043】
表示領域110内には画素駆動回路140が設けられている。図10は、画素駆動回路140の一例を表したものである。この画素駆動回路140は、後述する第1電極20の下層に設けられたアクティブ型の駆動回路である。画素駆動回路140は、例えば、駆動トランジスタTr1および書き込みトランジスタTr2と、キャパシタ(保持容量)Csと、第1の電源ライン(Vcc)および第2の電源ライン(GND)の間において駆動トランジスタTr1に直列に接続された有機EL素子10R,10G,10Bとを有している。キャパシタCsの一方の電極は駆動トランジスタTr1および書き込みトランジスタTr2の間に接続され、他方の電極は駆動トランジスタTr1および有機EL素子10R,10G,10Bとの間に接続されている。
【0044】
画素駆動回路140において、列方向には信号線120Aが複数配置され、行方向には走査線130Aが複数配置されている。各信号線120Aと各走査線130Aとの交差点が、有機EL素子10R,10G,10Bのいずれか一つ(副画素)に対応している。各信号線120Aは、信号線駆動回路120に接続され、この信号線駆動回路120から信号線120Aを介して書き込みトランジスタTr2のソース電極に画像信号が供給されるようになっている。各走査線130Aは走査線駆動回路130に接続され、この走査線駆動回路130から走査線130Aを介して書き込みトランジスタTr2のゲート電極に走査信号が順次供給されるようになっている。
【0045】
図11は、図9に示した表示領域110の断面構成を表したものである。基板11上には、上述した画素駆動回路140の駆動トランジスタTr1としてのTFT12,第1絶縁膜13,および有機EL素子10R,10G,10Bが基板11側からこの順に設けられている。有機EL素子10R,10G,10Bは、必要に応じて、窒化シリコン(SiN)などの保護膜(図示せず)により覆われている。保護膜の上には、ガラス等の封止用基板が、紫外線硬化樹脂または熱硬化樹脂などの接着層により貼り合わせられている。
【0046】
TFT12は、画素駆動回路140の駆動トランジスタTr1を構成するものであり、例えば、基板11上に、モリブデン(Mo)よりなるゲート電極12A,窒化シリコン(SiNx)等よりなるゲート絶縁膜12B,非晶質シリコン(a−Si)よりなる半導体膜12C,窒化シリコン(SiNx)等よりなるチャネル保護膜12D,層間絶縁膜12E,アルミニウム(Al)等よりなる配線12Fがこの順に積層されたボトムゲート型(逆スタガ型)のTFTである。なお、図10に示した書き込みトランジスタTr2も、TFT12と同様の構成を有している。TFT12は、酸化物半導体または有機半導体(半導体の性質を示す有機材料)よりなる半導体膜を備えたものであることも可能である。
【0047】
第1絶縁膜13は、上記膜の製造方法により形成された貫通孔4Bを有する膜4Cにより構成されている。貫通孔4Bは、TFT12のドレインと有機EL素子10R,10G,10Bの第1電極(下部電極)とを接続するための接続孔としての機能を有している。
【0048】
積層構造を有するトランジスタにおいては、高集積化が進むほど第1電極(下部電極)との高い重ね合わせ精度を要求されるが、従来のスクリーン印刷法では30μm以下の重ね合わせ精度を実現することは困難であった。これに対して、本実施の形態では、第1絶縁膜13が、上記膜の製造方法により形成されているので、一辺が10μm程度の微細な貫通孔4Bを設けることが可能となる。
【0049】
有機EL素子10R,10G,10Bは、第1絶縁膜13の上に設けられ、基板11の側から、第1電極21,第2絶縁膜22,発光層を含む有機層23,および第2電極24がこの順に積層された構成を有している。
【0050】
第1電極21は、有機EL素子10R,10G,10Bの各々に対応して形成されている。第1電極21は、例えば、厚みが20nm程度のチタン(Ti)層と、厚みが100nm程度のアルミニウム(Al)合金層とを基板11側からこの順に積層した構成を有し、発光層で発生した光を第2電極70側から取り出すようになっている(トップエミッション)。なお、第1電極20の構成材料としては、アルミニウム(Al)またはその合金のほか、金(Au),白金(Pt),ニッケル(Ni),クロム(Cr),銅(Cu),タングステン(W),モリブデン(Mo)あるいは銀(Ag)などの金属元素の単体または合金よりなる反射電極が挙げられる。また、第1電極21は、第1絶縁膜13すなわち膜4Cの貫通孔4B内にも延在し、TFT12のドレイン配線に接続されている。
【0051】
第2絶縁膜22は、第1電極21と第2電極24との絶縁性を確保すると共に発光領域を正確に所望の形状にするためのものであり、例えば、厚みが1μm程度であり、シリコン酸化物またはポリイミドなどの感光性樹脂により構成されている。第2絶縁膜22には、発光領域に対応して開口部22Aが設けられている。なお、有機層23および第2電極24は、第2絶縁膜22の上にも連続して設けられているが、発光が生じるのは第2絶縁膜22の開口部22Aだけである。
【0052】
有機層23は、例えば、第1電極21の側から順に、正孔注入層,正孔輸送層,発光層,電子輸送層および電子注入層を積層した構成を有するが、これらのうち発光層以外の層は必要に応じて設ければよい。また、有機層23は、有機EL素子10R,10G,10Bの発光色によってそれぞれ構成が異なっていてもよい。正孔注入層は、正孔注入効率を高めるためのものであると共に、リークを防止するためのバッファ層である。正孔輸送層は、発光層への正孔輸送効率を高めるためのものである。発光層は、電界をかけることにより電子と正孔との再結合が起こり、光を発生するものである。電子輸送層は、発光層への電子輸送効率を高めるためのものである。電子注入層は、例えば厚みが0.3nm程度であり、LiF,Li2 Oなどにより構成されている。
【0053】
有機EL素子10Rの正孔注入層は、例えば、厚みが5nm以上300nm以下であり、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)あるいは4,4’,4”−トリス(2−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(2−TNATA)により構成されている。有機EL素子10Rの正孔輸送層は、例えば、厚みが5nm以上300nm以下であり、ビス[(N−ナフチル)−N−フェニル]ベンジジン(α−NPD)により構成されている。有機EL素子10Rの赤色発光層は、例えば、厚みが10nm以上100nm以下であり、9,10−ジ−(2−ナフチル)アントラセン(ADN)に2,6≡ビス[4´≡メトキシジフェニルアミノ)スチリル]≡1,5≡ジシアノナフタレン(BSN)を30重量%混合したものにより構成されている。有機EL素子10Rの電子輸送層は、例えば、厚みが5nm以上300nm以下であり、8≡ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3 )により構成されている。
【0054】
有機EL素子10Gの正孔注入層は、例えば、厚みが5nm以上300nm以下であり、m−MTDATAあるいは2−TNATAにより構成されている。有機EL素子10Gの正孔輸送層は、例えば、厚みが5nm以上300nm以下であり、α−NPDにより構成されている。有機EL素子10Gの緑色発光層は、例えば、厚みが10nm以上100nm以下であり、ADNにクマリン6(Coumarin6)を5体積%混合したものにより構成されている。有機EL素子10Gの電子輸送層は、例えば、厚みが5nm以上300nm以下であり、Alq3 により構成されている。
【0055】
有機EL素子10Bの正孔注入層は、例えば、厚みが5nm以上300nm以下であり、m−MTDATAあるいは2−TNATAにより構成されている。有機EL素子10Bの正孔輸送層は、例えば、厚みが5nm以上300nm以下であり、α−NPDにより構成されている。有機EL素子10Bの青色発光層は、例えば、厚みが10nm以上100nm以下であり、ADNに4,4´≡ビス[2≡{4≡(N,N≡ジフェニルアミノ)フェニル}ビニル]ビフェニル(DPAVBi)を2.5重量%混合したものにより構成されている。有機EL素子10Bの電子輸送層は、例えば、厚みが5nm以上300nm以下であり、Alq3 により構成されている。
【0056】
第2電極24は、有機層23の上面に、表示領域110の全体にわたり複数の有機EL素子10R,10G,10Bに共通に設けられている。第2電極24は、例えば、第1電極21の側から順に、厚みが約0.3nmでありフッ化リチウム(LiF)よりなる第1層と、厚みが3nmでありカルシウム(Ca)よりなる第2層と、厚みが5nmでありMg−Ag合金よりなる第3層とを積層した構成を有している。第2電極24は、表示領域110の外側の領域で、図示しない補助配線に接続されている。この補助配線は、表示領域110を囲む枠状の導電膜により構成されている。
【0057】
この表示装置は、例えば次のようにして製造することができる。
【0058】
まず、上述した材料よりなる基板11にTFT12を形成し、画素駆動回路140を形成する。次いで、画素駆動回路140を形成した基板11を基材4Aとして、上述した膜の製造方法により、貫通孔4Bを有する膜4Cを形成する。これにより、第1絶縁膜13が形成される。
【0059】
続いて、例えばスパッタリング法によりチタン(Ti)膜およびアルミニウム(Al)合金膜を形成し、例えばフォトリソグラフィ法およびドライエッチングにより所定の形状に成形する。これにより、表示領域110内に、チタン層とアルミニウム合金層とを積層した第1電極21が形成される。
【0060】
そののち、第1電極21が設けられた基板11にポリイミド等の感光性絶縁材料を塗布し、フォトリソグラフィによる露光および現像を行う。これにより、開口部22Aを有する第2絶縁膜22を形成する
【0061】
続いて、例えば蒸着法により、上述した材料よりなる有機層23および第2電極24を形成する。これにより、図11に示した有機EL素子10R,10G,10Bが形成される
【0062】
そののち、必要に応じて、例えばCVD法またはスパッタ法により、有機EL素子10R,10G,10Bの上に上述した材料よりなる保護膜(図示せず)を形成する。また、カラーフィルタ等を形成した封止用基板(図示せず)を用意し、この封止用基板を、保護膜の上に、接着層(図示せず)により貼り合わせる。以上により、図9ないし図11に示した表示装置が完成する。
【0063】
この表示装置では、各画素に対して走査線駆動回路130から書き込みトランジスタTr2のゲート電極を介して走査信号が供給されると共に、信号線駆動回路120から画像信号が書き込みトランジスタTr2を介して保持容量Csに保持される。すなわち、この保持容量Csに保持された信号に応じて駆動トランジスタTr1がオンオフ制御され、これにより、各有機EL素子10R,10G,10Bに駆動電流Idsが注入されることにより、正孔と電子とが再結合して発光が起こる。この光は、第2電極24,保護膜,接着層,カラーフィルタおよび封止用基板(第2電極24以外はいずれも図示せず)を透過して(トップエミッション)取り出される。
【実施例】
【0064】
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。
【0065】
(実施例1)
第1の実施の形態と同様にして膜を作製した。その際、凹版1として、石英よりなる凹版本体1Aに、深さDが10μmの凹部1Bを有するものを用いた。凹部1B内には貫通孔を形成するための凸部1Cを、縦横150μmの間隔で配置した。凸部1Cの形状は、一辺10μmの正方形、高さHを9μmとし、その上面1Dはフッ素樹脂(デュポン株式会社製「テフロン(登録商標)」)コーティングにより撥水性を持たせた(図1および図2参照。)。
【0066】
ペースト3としては、ポリビニルアルコール樹脂をエチレングリコールモノブチルエーテルとα−テルピネオールとの混合溶媒に溶解させ、比表面積が50m2 /gの酸化アルミニウム(アルミナ)フィラーを添加して粘度を約150Pa・秒に調整したペーストを用いた。
【0067】
このペースト3を、形成したい貫通孔の位置合わせを施した上で、凹版1の凹部1B内にブレード2Aを用いて充填した。このペースト3が充填された凹版1を、ロール状のブランケット2Bへ押し付け、ペースト3をブランケット2B上に受理させた(図3(A)参照。)。
【0068】
続いて、貫通孔を基材4Aと位置合わせし、ブランケット2B上のペースト3を基材4Aに転写した(図3(B)参照。)。これにより、一辺約12μmでやや丸みを帯びた貫通孔4Bを複数有する膜4Cが形成された(図4参照。)。そののち、100℃のオーブンで30分間、膜4Cを乾燥させた。
【0069】
(実施例2)
凸部1Cの高さHを8μmとした以外は、実施例1と同様にして膜を作製した。その結果、実測値で一辺15μmのやや丸みを帯びた正方形の形状を有する貫通孔4Bを複数有する膜4Cが形成された。
【0070】
(実施例3)
凸部1Cの高さHを7μmとした以外は、実施例1と同様にして膜を作製した。その結果、実測値で一辺12μmのやや丸みを帯びた正方形の形状を有する貫通孔4Bを複数有する膜4Cが形成された。
【0071】
(実施例4)
凸部1Cの形状を一辺15μmとした以外は、実施例1と同様にして膜を作製した。その結果、実測値で一辺15μmのやや丸みを帯びた正方形の形状を有する貫通孔4Bを複数有する膜4Cが形成された。
【0072】
(実施例5)
凸部1Cの上面1Dをアモルファスフッ素樹脂(旭硝子株式会社製「CYTOP(登録商標)」)を用いて表面処理することにより撥水性を持たせた以外は、実施例1と同様にして膜を作製した。その結果、実測値で一辺12μmのやや丸みを帯びた正方形の形状を有する貫通孔4Bを複数有する膜4Cが形成された。
【0073】
(実施例6)
凸部1Cの高さを10μmとした以外は、実施例1と同様にして膜を作製した。その結果、ブレード2Aにてペースト3を掻き取る際、凸部1Cの一部が破損し、一部に貫通孔4Bが形成されない膜4Cとなった。
【0074】
(実施例7)
凸部1Cの高さを5μmとした以外は、実施例1と同様にして膜を作製した。その結果、凸部1Cの上のペースト3が除去されず、一部に貫通孔4Bが形成されない膜4Cとなった。
【0075】
(比較例1)
凸部の上面に撥液性処理を施さなかった以外は、実施例1と同様にして膜を作製した。その結果、ブレードにてペーストを掻き取る際、凸部の一部が破損した。また、凸部の上のペーストが除去されず、一部に貫通孔が形成されない膜となった。
【0076】
(評価)
実施例1,4から分かるように、凸部1Cを一辺10μmの正方形とした実施例1では、貫通孔4Bの寸法は一辺12μm、凸部1Cを一辺15μmの正方形とした実施例4では、貫通孔4Bの寸法は一辺15μmとなり、上記第1の実施の形態の膜の製造方法により微細な貫通孔4Bを形成することが可能となることが確認された。
【0077】
また、実施例1,5と比較例1との比較から、凸部1Cの上面1Dが撥液性を有する実施例1,5では、凸部の上面に撥液性処理を施さなかった比較例1に比べて、貫通孔4Bが良好に形成されていた。これは、実施例1,5では、凹版1上の過剰なペースト3をブレード2Aで掻き取る際に、掻き取りをマイルドに行っても凸部1Cの上面1Dにペースト3が残りにくくなったからであると考えられる。すなわち、凸部1Cの上面1Dが撥液性を有するようにすれば、微細な貫通孔4Bを有する膜4Cを形成することが可能となることが分かった。
【0078】
更に、実施例6と比較例1とを比較すると、実施例6および比較例1ではいずれも凸部の高さが高いので、凸部の一部が破損し、一部に貫通孔が形成されない膜となった。しかしながら、実施例6では、ペースト3の掻き取りをマイルドに行うことで、凸部1Cの破損を少なくすると共に比較例1よりも良好な膜4Cを形成することができた。これに対して、比較例1では、凸部の破損を少なくするためにペーストの掻き取りをマイルドに行うと、凸部の上のペーストを除去できず、貫通孔を形成することができなくなった。すなわち、凸部1Cの上面1Dが撥液性を有するようにすれば、凸部1Cの破損を抑え、膜4Cを良好に形成することが可能となることが分かった。
【0079】
また、実施例1〜3と実施例6,7との比較から、凸部1Cの高さHを9μm,8μmまたは7μmとした実施例1,2,3では、10μmまたは5μmとした実施例6,7よりも貫通孔4Bが良好に形成されていた。すなわち、凸部1Cの高さHを凹部1Bの深さDの70%以上90%以下とすれば、凸部1Cの破損を抑え、微細な貫通孔4Bを良好に形成することが可能となることが分かった。
【0080】
以上、実施の形態および実施例を挙げて本開示を説明したが、本開示は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態では、本開示の膜の製造方法を、有機EL素子を備えた表示装置の製造方法に適用した場合について説明した。しかしながら、本開示の膜の製造方法は、無機EL素子,液晶素子などの他の表示素子を備えた表示装置の製造方法にも適用可能である。
【0081】
例えば、上記実施の形態では、発光層で発生した光を第2電極24側から取り出す場合(トップエミッション)を例として説明したが、発光層で発生した光を基板11側から取り出すことも可能である(ボトムエミッション)。この場合には、カラーフィルタは基板11上に設けることが可能である。また、ボトムエミッションの場合には、第1電極21は、ITO(酸化インジウムスズ),IZO(酸化インジウム亜鉛)(登録商標),またはSnO2などの透明電極により構成され、第2電極24は、金(Au),白金(Pt),ニッケル(Ni),クロム(Cr),銅(Cu),タングステン(W),アルミニウム(Al),モリブデン(Mo)あるいは銀(Ag)などの金属元素の単体または合金よりなる反射電極により構成されている。また、第2電極24は、上述した反射電極と透明電極との複合膜により構成されていてもよい。
【0082】
加えて、例えば、上記実施の形態において説明した各層の材料および厚み、または成膜方法および成膜条件などは限定されるものではなく、他の材料および厚みとしてもよく、または他の成膜方法および成膜条件としてもよい。
【0083】
なお、本技術は以下のような構成を取ることも可能である。
(1)
ペースト充填用の凹部を有すると共に前記凹部内に凸部を有し、前記凸部の上面に撥液性領域を有する凹版を用い、
前記凹部に充填されたペーストを基材に転写することにより、前記基材上に、貫通孔を有する膜を形成する
膜の製造方法。
(2)
前記凸部の高さは、前記凹部の深さよりも小さい
前記(1)記載の膜の製造方法。
(3)
前記凹部に充填されたペーストを、前記基材に直接転写する
前記(1)または(2)記載の膜の製造方法。
(4)
前記凹部に充填されたペーストを、ブランケットを介して前記基材に転写する
前記(1)または(2)記載の膜の製造方法。
(5)
前記凹版は平版である
前記(1)ないし(4)のいずれか1項に記載の膜の製造方法。
(6)
前記凹版は円筒版である
前記(1)ないし(4)のいずれか1項に記載の膜の製造方法。
(7)
基板に、TFT,絶縁膜および表示素子を順に形成する工程を含み、
前記絶縁膜を形成する工程において、
ペースト充填用の凹部を有すると共に前記凹部内に凸部を有し、前記凸部の上面に撥液性領域を有する凹版を用い、
前記凹部に充填されたペーストを基材に転写することにより、前記基材上に、貫通孔を有する膜を形成する
表示装置の製造方法。
【符号の説明】
【0084】
1…凹版、1A…凹版本体、1B…凹部、1C…凸部、1D…上面、2A…ブレード、2B…ブランケット、3…ペースト、4A…基材、4B…貫通孔、4C…膜、10R,10G,10B…有機EL素子、11…基板、12…TFT、13…第1絶縁膜、21…第1電極、22…第2絶縁膜、23…有機層、24…第2電極、110…表示領域、120…信号線駆動回路、130…走査線駆動回路、140…画素駆動回路、Tr1,Tr2…トランジスタ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペースト充填用の凹部を有すると共に前記凹部内に凸部を有し、前記凸部の上面に撥液性領域を有する凹版を用い、
前記凹部に充填されたペーストを基材に転写することにより、前記基材上に、貫通孔を有する膜を形成する
膜の製造方法。
【請求項2】
前記凸部の高さは、前記凹部の深さよりも小さい
請求項1記載の膜の製造方法。
【請求項3】
前記凹部に充填されたペーストを、前記基材に直接転写する
請求項1記載の膜の製造方法。
【請求項4】
前記凹部に充填されたペーストを、ブランケットを介して前記基材に転写する
請求項1記載の膜の製造方法。
【請求項5】
前記凹版は平版である
請求項1記載の膜の製造方法。
【請求項6】
前記凹版は円筒版である
請求項1記載の膜の製造方法。
【請求項7】
基板に、TFT,絶縁膜および表示素子を順に形成する工程を含み、
前記絶縁膜を形成する工程において、
ペースト充填用の凹部を有すると共に前記凹部内に凸部を有し、前記凸部の上面に撥液性領域を有する凹版を用い、
前記凹部に充填されたペーストを基材に転写することにより、前記基材上に、貫通孔を有する膜を形成する
表示装置の製造方法。
【請求項1】
ペースト充填用の凹部を有すると共に前記凹部内に凸部を有し、前記凸部の上面に撥液性領域を有する凹版を用い、
前記凹部に充填されたペーストを基材に転写することにより、前記基材上に、貫通孔を有する膜を形成する
膜の製造方法。
【請求項2】
前記凸部の高さは、前記凹部の深さよりも小さい
請求項1記載の膜の製造方法。
【請求項3】
前記凹部に充填されたペーストを、前記基材に直接転写する
請求項1記載の膜の製造方法。
【請求項4】
前記凹部に充填されたペーストを、ブランケットを介して前記基材に転写する
請求項1記載の膜の製造方法。
【請求項5】
前記凹版は平版である
請求項1記載の膜の製造方法。
【請求項6】
前記凹版は円筒版である
請求項1記載の膜の製造方法。
【請求項7】
基板に、TFT,絶縁膜および表示素子を順に形成する工程を含み、
前記絶縁膜を形成する工程において、
ペースト充填用の凹部を有すると共に前記凹部内に凸部を有し、前記凸部の上面に撥液性領域を有する凹版を用い、
前記凹部に充填されたペーストを基材に転写することにより、前記基材上に、貫通孔を有する膜を形成する
表示装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−243949(P2012−243949A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112569(P2011−112569)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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