膜パターンの形成方法
【課題】基板上に供給後の機能液を基板上で良好に濡れ拡がらせることができる膜パターンの形成方法を提供する。
【解決手段】形成方法は、バンクによって基板上に形成された区画領域の所定位置に向けて吐出ヘッドより滴を供給し、供給後のバンクの間での滴のエッジの形状が、滴が濡れ拡がる方向に向かって凹むように設定される。
【解決手段】形成方法は、バンクによって基板上に形成された区画領域の所定位置に向けて吐出ヘッドより滴を供給し、供給後のバンクの間での滴のエッジの形状が、滴が濡れ拡がる方向に向かって凹むように設定される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜パターンの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上に配線パターン等の膜パターンを形成するための方法として、例えば下記特許文献に開示されているような、液滴吐出ヘッドより機能液の滴を基板上に供給する液滴吐出法(インクジェット法)が提案されている。
【特許文献1】特開平11−274671号公報
【特許文献2】特開2000−216330号公報
【特許文献3】特開2005−12181号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
液滴吐出法に基づいて基板上に機能液の滴を供給する場合、基板上に供給後の機能液を基板上で濡れ拡がらせたい場合がある。例えば、バンクによって区画された区画領域の幅が狭い場合、基板上に供給後の機能液を濡れ拡がらせることによって、その狭い幅の区画領域に機能液を供給することができる。
【0004】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、基板上に供給後の機能液を基板上で良好に濡れ拡がらせることができる膜パターンの形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、本発明は以下の構成を採用する。
【0006】
本発明の第1の観点によると、バンクによって基板上に形成された区画領域の所定位置に向けて吐出ヘッドより滴を供給し、前記供給後の前記バンクの間での前記滴のエッジの形状が、前記滴が濡れ拡がる方向に向かって凹むように設定される膜パターンの形成方法が提供される。
【0007】
本発明によれば、基板上に供給後の機能液を基板上で良好に濡れ拡がらせることができる。
【0008】
本発明の膜パターンの形成方法において、前記バンクは、前記基板に形成された凹部を含む構成を採用できる。
【0009】
これによれば、基板上に凸状のバンクを形成することなく区画領域を形成できる。
【0010】
本発明の膜パターンの形成方法において、前記滴に対する前記バンクの接触角を45度以下にする構成を採用できる。
【0011】
これによれば、バンクは十分な親液性を有するので、機能液をバンクに沿って良好に濡れ拡がらせることができる。
【0012】
本発明の膜パターンの形成方法において、前記滴に対する前記基板の底面の接触角を50度以下にする構成を採用できる。
【0013】
これによれば、バンク間の底面となる基板も十分な親液性を有するので、機能液をバンクに沿って良好に濡れ拡がらせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、必要に応じてXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。
【0015】
図1は膜パターンの形成方法の一実施形態を概念的に示す図である。本実施形態の膜パターンの形成方法は、基板P上にバンクBを形成する工程と、バンクBによって区画された領域Aに機能液Lを供給する工程と、基板P上のバンクB及び機能液Lを焼成する工程とを有している。領域Aは、互いに対向するバンクBの側面(壁面)Kによって基板P上に形成される。
【0016】
バンクBによって区画された領域Aに機能液Lが供給され、この機能液Lが乾燥、焼成されることにより、基板P上に膜パターンFが形成される。バンクBによって膜パターンFの形状が規定されるため、例えば隣接するバンクB、B間の幅を狭くする等、バンクBを適切に形成することにより、膜パターンFの微細化、細線化を実現することができる。なお、膜パターンFが形成された後、基板PからバンクBを除去してもよく、そのまま基板P上に残してもよい。
【0017】
基板Pとしては、ガラス、石英ガラス、Siウエハ、プラスチックフィルム、及び金属板等、種々のものを用いることができる。更に、これら基板の表面に半導体膜、金属膜、誘電体膜、有機膜等の下地膜が形成されていてもよい。
【0018】
バンクBを形成するための材料(以下、バンク材料、と称する)には、種々の材料を用いることができる。例えば、ポリシラザン、ポリシロキサン、ポリシラン等を主成分とした無機質の材料を用いることができる。バンク材料が無機質の材料を含むことにより、バンクBの耐熱性が高くなり、バンクBと基板Pとの間の熱膨張率の差が小さくなる。そのため、機能液の乾燥時の熱等によるバンクBの劣化が抑制され、膜パターンFが良好な形状で形成される。
【0019】
本実施形態においては、バンク材料として、例えば特許第2890893号公報に開示されているような、シロキサン結合を主鎖とした材料が用いられる。例えば、バンク材料としては、シロキサン結合を主鎖とし、−H、−OH、−(CH2CH2O)nH、−COOH、−COOK、−COONa、−CONH2、−SO3H、−SO3Na、−SO3K、−OSO3H、−OSO3Na、−OSO3K、−PO3H2、−PO3Na2、−PO3K2、−NO2、−NH2、−NH3Cl、−NH3Br、≡HNCl、及び≡NHBrのうち、少なくとも1つを側鎖とする材料を用いることができる。また、側鎖の一部に、アルキル基、アルケニル基、及びアリール基のうち少なくとも1つを有する材料であってもよい。
【0020】
バンクBを形成する方法としては、例えば、各種コート法やCVD法(化学的気相成長法)等を用いて基板P上に上述のバンク材料からなる層を形成した後、フォトリソグラフィ法等の所定のパターニング手法を用いて、所定の形状のバンクBを形成することができる。
【0021】
機能液(インク)Lとしては、種々のものを用いることができる。機能液とは、液中に含まれる膜成分を膜化することによって所定の機能を有する膜(機能膜)を形成し得るものをいう。係る機能としては、電気・電子的機能(導電性、絶縁性、圧電性、焦電性、誘電性等)、光学的機能(光選択吸収、反射性、偏光性、光選択透過性、非線形光学性、蛍光あるいはリン光等のルミネッセンス、フォトクロミック性等)、磁気的機能(硬磁性、軟磁性、非磁性、透磁性等)、化学的機能(吸着性、脱着性、触媒性、吸水性、イオン伝導性、酸化還元性、電気化学特性、エレクトロクロミック性等)、機械的機能(耐摩耗性等)、熱的機能(伝熱性、断熱性、赤外線放射性等)、生体的機能(生体適合性、抗血栓性等)等の種々の機能がある。
【0022】
本実施形態においては、液滴吐出法(インクジェット法)を用いて、機能液Lの滴をバンクBによって区画された領域に供給する。液滴吐出法を用いることにより、スピンコート法などの他の塗布技術に比べて機能液の消費の無駄を少なくすることができる。また、液滴吐出法は、基板上に供給する機能液の量、位置の制御を容易に行うことができる。
【0023】
本実施形態においては、機能液Lとして、配線パターンを形成するための導電性材料を含む機能液が用いられる。これにより、基板上に導電性を有する膜パターンを形成することができる。この導電性の膜パターンは、配線として各種デバイスに適用される。
【0024】
配線パターンを形成するための機能液Lとしては、導電性微粒子を分散媒に分散させた分散液、有機銀化合物、酸化銀ナノ粒子を溶媒(分散媒)に分散した溶液等を用いることができる。導電性微粒子としては、例えば、金、銀、銅、パラジウム、及びニッケルのうちのいずれかを含有する金属微粒子の他、これらの酸化物、並びに導電性ポリマーや超電導体の微粒子などが用いられる。これらの導電性微粒子は、分散性を向上させるために表面に有機物などをコーティングして使うこともできる。導電性微粒子の表面にコーティングするコーティング材としては、例えばキシレン、トルエン等の有機溶剤やクエン酸等が挙げられる。
【0025】
導電性微粒子の粒径は1nm以上0.1μm以下であることが好ましい。0.1μmより大きいと、後述する液体吐出ヘッドのノズルに目詰まりが生じるおそれがある。また、1nmより小さいと、導電性微粒子に対するコーテイング剤の体積比が大きくなり、得られる膜中の有機物の割合が過多となる。
【0026】
分散媒としては、上述の導電性微粒子を分散できるもので、凝集を起こさないものであれば特に限定されない。例えば、水の他に、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロヘキシルベンゼンなどの炭化水素系化合物、またエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサンなどのエーテル系化合物、さらにプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノンなどの極性化合物を例示できる。これらのうち、微粒子の分散性と分散液の安定性、また液滴吐出法(インクジェット法)への適用の容易さの点で、水、アルコール類、炭化水素系化合物、エーテル系化合物が好ましく、より好ましい分散媒としては、水、炭化水素系化合物を挙げることができる。
【0027】
機能液の表面張力は0.02N/m以上0.07N/m以下の範囲内であることが好ましい。液滴吐出法にて液体を吐出する際、表面張力が0.02N/m未満であると、機能液のノズル面に対する濡れ性が増大するため飛行曲りが生じやすくなり、0.07N/mを超えるとノズル先端でのメニスカスの形状が安定しないため吐出量や、吐出タイミングの制御が困難になる。表面張力を調整するため、機能液には、基板との接触角を大きく低下させない範囲で、フッ素系、シリコーン系、ノニオン系などの表面張力調節剤を微量添加するとよい。ノニオン系表面張力調節剤は、機能液の基板に対する濡れ性を向上させ、機能膜のレベリング性を改良し、機能膜の微細な凹凸の発生などの防止に役立つものである。表面張力調節剤は、必要に応じて、アルコール、エーテル、エステル、ケトン等の有機化合物を含んでもよい。
【0028】
機能液の粘度は1mPa・s以上50mPa・s以下であることが好ましい。液滴吐出法を用いて機能液の滴を吐出する際、粘度が1mPa・sより小さい場合にはノズル周辺が機能液の流出により汚染されやすく、また粘度が50mPa・sより大きい場合は、ノズル孔での目詰まり頻度が高くなり円滑な滴の吐出が困難となる。
【0029】
液滴吐出法の吐出技術としては、帯電制御方式、加圧振動方式、電気機械変換式、電気熱変換方式、静電吸引方式などが挙げられる。帯電制御方式は、機能液に帯電電極で電荷を付与し、偏向電極で機能液の飛翔方向を制御してノズルから吐出させるものである。また、加圧振動方式は、材料に30kg/cm2程度の超高圧を印加してノズル先端側に機能液を送出するものであり、制御電圧をかけない場合には機能液が直進してノズルから吐出され、制御電圧をかけると機能液に静電的な反発が起こり、機能液が飛散してノズルから吐出されない。また、電気機械変換方式は、ピエゾ素子(圧電素子)がパルス的な電気信号を受けて変形する性質を利用したもので、ピエゾ素子が変形することによって機能液を貯留した空間に可撓性の部材を介して圧力を与え、この空間から機能液を押し出してノズルから吐出させるものである。
【0030】
また、電気熱変換方式は、機能液を貯留した空間内に設けたヒータにより、機能液を急激に気化させてバブル(泡)を発生させ、バブルの圧力によって空間内の機能液を吐出させるものである。静電吸引方式は、機能液を貯留した空間内に微小圧力を加え、ノズルに機能液のメニスカスを形成し、この状態で静電引力を加えてから機能液を引き出すものである。また、この他に、電場による機能液の粘性変化を利用する方式や、放電火花で飛ばす方式などの技術も適用可能である。液滴吐出法は、機能液の使用に無駄が少なく、しかも所望の位置に所望の量の機能液を的確に供給できるという利点を有する。なお、液滴吐出法により吐出される機能液の一滴の量は、例えば1〜300ナノグラムである。
【0031】
図2は基板上に機能液を供給する液滴吐出装置(インクジェット装置)IJの概略構成を示す斜視図である。図2において、液滴吐出装置IJは、基台9と、基台9上に設けられ、基板Pを支持可能なステージ7と、ステージ7に支持されている基板P上に機能液Lの滴を吐出する液滴吐出ヘッド1と、液滴吐出ヘッド1を移動するための駆動モータ2と、ステージ7を移動するための駆動モータ3と、液滴吐出装置IJの動作を制御する制御装置CONTとを備えている。
【0032】
液滴吐出ヘッド1は、複数の吐出ノズルを備えたマルチノズルタイプの液滴吐出ヘッドであり、長手方向とX軸方向とを一致させている。複数の吐出ノズルは、液滴吐出ヘッド1の下面にX軸方向に並んで一定間隔で設けられている。液滴吐出ヘッド1は、吐出ノズルより、ステージ7に支持されている基板Pに対して機能液の滴を吐出する。
【0033】
駆動モータ2は、液滴吐出ヘッド1を移動するためのものである。液滴吐出ヘッド1にはX軸方向駆動軸4が接続されており、駆動モータ2は、駆動軸4を回転することにより、液滴吐出ヘッド1をX軸方向に移動可能である。
【0034】
駆動モータ3は、ステージ7を移動するためのものである。ステージ7にはY軸方向駆動軸5が接続されており、駆動モータ3は、駆動軸5を回転することにより、ステージ7をY軸方向に移動可能である。
【0035】
制御装置CONTは、駆動モータ2、3を制御し、液滴吐出ヘッド1と基板Pを支持するステージ7とを相対的に移動しつつ、基板P上に滴を供給する。
【0036】
また、本実施形態の液滴吐出装置IJはクリーニング機構8を備えている。クリーニング機構8は、液滴吐出ヘッド1をクリーニングするものであり、不図示の駆動モータにより、Y軸方向に移動可能である。制御装置CONTは、クリーニング機構8と液滴吐出ヘッド1とを相対的に移動することによって、クリーニング機構8と液滴吐出ヘッド1とを近づけ、そのクリーニング機構8を用いて液滴吐出ヘッド1をクリーニングすることができる。
【0037】
また、本実施形態の液滴吐出装置IJは、基板Pを熱処理するためのヒータ15を備えている。ヒータ15は、例えば基板P上の機能液に含まれる溶媒の蒸発、乾燥を行うことができる。
【0038】
図3はピエゾ方式による機能液の吐出原理を説明するための図である。図3において、機能液を収容する液体室21に隣接してピエゾ素子22が設置されている。液体室21には、機能液を収容するタンクを含む供給系23を介して機能液が供給される。ピエゾ素子22は駆動回路24に接続されており、この駆動回路24を介してピエゾ素子22に電圧を印加し、ピエゾ素子22を変形させることにより、液体室21が変形し、ノズル25から機能液が吐出される。この場合、印加電圧の値を変化させることにより、ピエゾ素子22の歪み量が制御される。また、印加電圧の周波数を変化させることにより、ピエゾ素子22の歪み速度が制御される。ピエゾ方式による液滴吐出は材料に熱を加えないため、材料の組成に影響を与えにくいという利点を有する。
【0039】
〔第1実施形態〕
次に、膜パターンの形成方法の第1実施形態について図4〜図7を参照しながら説明する。図4は本実施形態に係る膜パターンの形成方法の一例を示すフローチャート図、図5、図6、図7は形成手順を示す模式図である。本実施形態では、配線パターンを形成する場合を例にして説明する。
【0040】
本実施形態に係る配線パターンの形成方法は、上述した配線パターンを形成するための機能液を基板上に供給し、基板上に配線パターン(導電膜)を形成するものであって、基板上に配線パターンに応じたバンクを形成する工程と、バンクによって区画された領域に機能液を供給する工程と、基板上の機能液及びバンクを焼成する工程とを有している。機能液を基板上に供給する前には、バンク表面(上面)を撥液性にする処理が行われる。そして、基板上に機能液を供給した後、バンク上面の撥液性物質を除去するために、焼成は、所定のガス雰囲気下で行われる。以下、各工程毎に詳細に説明する。本実施形態では基板Pとしてガラス基板が用いられる。
【0041】
(親液処理工程)
まず、図5(A)に示すように、バンクを形成する前に、基板Pの表面を親液性にする親液化処理が行われる(親液化処理工程S1)。親液化処理は、基板P上に供給される機能液が基板Pの表面に良好に濡れるようにするために行われる。親液化処理は、例えば基板Pの表面にTiO2等の親液性の高い膜を形成する、あるいは、基板Pの表面を粗面化することで基板Pの表面を親液性にしてもよい。
【0042】
(バンク形成工程)
次に、基板P上にバンクを形成する処理が行われる。バンクは、例えばフォトリソグラフィ法や印刷法等、所定の手法を用いて形成される。例えば、フォトリソグラフィ法を用いる場合には、スピンコート、スプレーコート、ロールコート、ダイコート、ディップコート等の所定の方法で、図5(B)に示すように、基板P上にバンク材料からなる膜31が形成される(バンク膜形成工程S2)。上述のように、本実施形態のバンク材料は、例えば特許第2890893号公報に開示されているような、シロキサン結合を主鎖とした材料である。本実施形態では、膜31は、バンク材料をスピンコートすることで形成される。
【0043】
そして、図5(C)に示すように、バンク材料がプリべークされる(プリベーク工程S3)。プリベークは、例えばホットプレートを用いて、95℃で2分間加熱することで行われる。これにより、膜31に含まれる溶媒が除去される。
【0044】
次に、図5(D)に示すように、マスクを用いて膜31が露光される(第1露光工程S4)。マスクには、形成しようとするバンクに応じたパターンが形成されており、マスクのパターンに応じた膜31上の領域に露光のための光が照射される。例えばマスクと膜31とをコンタクトさせた状態で光が照射される。本実施形態では、バンク材料として、シロキサン結合を主鎖とした材料と光酸発生剤(PAG)とを含む感光性の材料を用いており、露光のための光を照射し、後述の現像処理を行うことで、バンク材料を直接パターニングできるようになっている。
【0045】
(撥液化処理工程)
次に、図5(E)に示すように、バンクを形成するための膜31の表面(上面)を撥液性する撥液化処理が行われる(撥液化処理工程S5)。撥液化処理としては、例えば大気雰囲気中でテトラフルオロメタンを処理ガスとするプラズマ処理法(CF4プラズマ処理法)を採用することができる。なお、処理ガスとしては、テトラフルオロメタン(四フッ化炭素)に限らず、他のフルオロカーボン系のガスを用いることもできる。このような撥液化処理を行なうことにより、バンクを形成するための膜31にフッ素基が導入され、膜31の上面に高い撥液性が付与される。
【0046】
図8はCF4プラズマ処理する際に用いるプラズマ処理装置の一例を示す概略構成図である。図8に示すプラズマ処理装置は、交流電源141に接続された電極142と、接地電極であるテーブル140とを有している。テーブル140は基板Pを支持しつつY軸方向に移動可能となっている。電極42の下面には、移動方向と直交するX軸方向に延在する2本の平行な放電発生部144、144が突設されているとともに、放電発生部144を囲むように誘電体部材145が設けられている。誘電体部材145は放電発生部144の異常放電を防止するものである。そして、誘電体部材145を含む電極142の下面は略平面状となっており、放電発生部144及び誘電体部材145と基板Pとの間には僅かな空間(放電ギャップ)が形成されるようになっている。また、電極142の中央にはX軸方向に細長く形成された処理ガス供給部の一部を構成するガス噴出口146が設けられている。ガス噴出口146は、電極内部のガス通路147及び中間チャンバ148を介してガス導入口149に接続している。
【0047】
ガス通路147を通ってガス噴出口146から噴射された処理ガスを含む所定ガスは、前記空間の中を移動方向(Y軸方向)の前方及び後方に分かれて流れ、誘電体部材145の前端及び後端から外部に排気される。これと同時に、交流電源141から電極142に所定の電圧が印加され、放電発生部144、144とテーブル140との間で気体放電が発生する。そして、この気体放電により生成されるプラズマで所定ガスの励起活性種が生成され、放電領域を通過する基板Pの上に形成されたバンク膜31の表面全体が連続的に処理される。
【0048】
所定ガスは、処理ガスである四フッ化炭素(テトラフルオロメタン)と、大気圧近傍の圧力下で放電を容易に開始させ且つ安定に維持するためのヘリウム(He)、アルゴン(Ar)等の希ガスや窒素(N2)等の不活性ガスとを混合したものを用いることができる。
【0049】
(現像工程)
次に、図6(A)に示すように、現像処理が行われる(現像工程S6)。なお、現像処理の条件は、現像液:TMAH2.38%、温度:25℃、現像時間:80秒とする。これにより、バンクB、Bが形成され、バンクB、B間には凹部34が形成される。
【0050】
(親液化処理工程)
次に、図6(B)に示すように、領域Aを形成するバンクBの側面(壁面)K及び側面K同士の間の底面J(すなわち基板Pの表面)を親液性にする親液化処理が行われる(親液化処理工程S7)。親液化処理としては、側面K及び底面Jに紫外光を照射する紫外光(UV)照射処理を採用することができる。本実施形態においては、撥液化処理工程S5によって撥液性が付与されたバンクを形成するための膜31の上面の撥液性を低下させないように、換言すれば、膜31の上面に紫外光が照射されないように、マスクを用いて紫外光が照射される。マスクを介した紫外光は、側面K及び底面Jに照射され、膜31の上面にはほぼ照射されない。
【0051】
なお、側面K及び底面Jを親液性にする親液化処理としては、例えば大気雰囲気中で酸素を処理ガスとするプラズマ処理法(O2プラズマ処理法)を採用することができる。また、紫外光(UV)照射処理、O2プラズマ処理等を実行することによって、バンクB、B間の残渣を除去することも可能である。
【0052】
本実施形態においては、親液化処理によって、機能液Lの滴に対するバンクBの側面Kの接触角が45度以下に設定される。また、親液化処理によって、機能液Lの滴に対する底面J(基板Pの表面)の接触角が50度以下に設定される。
【0053】
(機能液供給工程)
次に、図2を参照して説明したような液滴吐出装置IJを用いて、配線パターンを形成するための機能液Lの滴を、互いに対向するバンクB、Bの側面K、Kによって基板P上に形成された区画領域Aの所定位置に向けて供給(吐出)する(機能液供給工程S8)。機能液供給工程では、図6(C)に示すように、液滴吐出ヘッド1から配線パターンを形成するための材料を含む機能液Lを滴にして吐出する。吐出された滴は、基板P上のバンクB、B間の凹部34を満たす。
【0054】
本実施形態においては、図7の模式図に示すように、凹部34に供給後のバンクB、Bの側面K、K同士の間での滴のエッジの形状が、滴が濡れ拡がる方向に向かって凹む。換言すれば、滴のエッジの形状が、滴が供給された所定位置(供給位置)に向かって凹む。本実施形態においては、親液化処理によって、機能液Lの滴に対するバンクBの側面Kの接触角が45度以下に設定されているので、基板P上に形成された凹部34に供給後の壁面K、K同士の間での機能液Lのエッジの形状を、滴の供給位置に向かって凹むように設定することができる。また、本実施形態においては、機能液Lの滴に対する底面J(基板Pの表面)の接触角が50度以下に設定されているので、基板P上に形成された凹部34に供給後の壁面K、K同士の間での機能液Lのエッジの形状を、滴の供給位置に向かって凹むように設定することができる。なお、底面Jの接触角は、必ずしも50度以下でなくてもよい。
【0055】
基板P上に供給後の機能液Lのエッジの形状が、滴の供給位置に向かって凹んでいるので、機能液Lは、基板P上において、凹部34の長手方向に良好に濡れ拡がることができる。
【0056】
凹部34における機能液Lのエッジの形状が凹んでいるので、機能液Lのエッジとの間で界面を形成するエッジ近傍の気体空間は負圧状態となる。すなわち、機能液Lのエッジ近傍には、滴の供給位置から外側に向かう力が発生する。これにより、機能液Lは、基板P上において、凹部34の長手方向に良好に濡れ拡がる。
【0057】
また、滴が供給される凹部34はバンクB、Bに囲まれているので、滴が所望の領域以外に濡れ拡がることを阻止することができる。また、上述の撥液化処理工程において、膜31の上面(バンクB、Bの上面)は撥液性となっている。したがって、バンクB、B間の凹部34に向けて供給された機能液の一部が、凹部34から外れてバンクBの上面にかかったとしても、撥液性を有するバンクBの上面で弾かれて凹部34に流れ込むことができる。また、上述のように、膜31の上面には撥液性が付与されているが、凹部34の内面、すなわち側面K及び底面Jには撥液性が付与されていないので、凹部34に供給された機能液は、凹部34の内面に良好に濡れることができる。これにより、バンクB、Bによって区画された領域A(すなわち凹部34)は機能液Lで均一に満たされる。
【0058】
次に、図6(D)に示すように、基板P全体に露光処理を施す(第2露光工程S9)。焼成工程S10の前に、第2露光工程S9を行うことにより、焼成工程S10におけるバンク中の脱水縮合反応を促進することができる。また、バンク材料中に残留している光酸発生剤(PAG)を反応(除去)することができ、例えば光酸発生剤(PAG)に起因してバンクBが着色している場合でも、その色を消すことができる。
【0059】
(焼成工程)
そして、図6(E)に示すように、基板上の機能液及びバンクを焼成する(焼成工程S10)。焼成を行うことにより、基板上の機能液の膜に導電性を発現させるとともに、バンクB、Bを硬化させる。
【0060】
焼成は、所定のガス雰囲気下で行われる。本実施形態においては、焼成は、水素を含むガス雰囲気下で行われる。例えば、水素ガスを1%程度含んだ窒素ガス(H2ガス:1%、N2ガス:99%)で満たし、その水素ガスを含んだ窒素ガス雰囲気下において焼成を行う。すなわち、水素ガスを含む還元ガス雰囲気下(還元雰囲気下)で焼成を行う。本実施形態では、水素ガスを1%程度含んだ窒素ガス雰囲気下で、350度、1時間、バンクBと基板P上に供給された機能液Lとを一緒に焼成する。
【0061】
なお、所定のガス雰囲気下で焼成(本焼成)を行う前に、例えばホットプレート等を行って仮焼成を行うようにしてもよい。そして、仮焼成を行った後、本焼成を行うようにしてもよい。
【0062】
焼成を行うことにより、機能液の溶媒(分散媒)が除去され、基板P上の機能液Lの膜は、図6(E)に示すように、導電性を有する膜パターンFに変換される。また、機能液Lの導電性材料が例えば有機銀化合物の場合、熱処理を行い、有機銀化合物の有機分を除去し、銀粒子を残留させることによって、導電性が発現される。また、導電性材料が例えばニッケル等であっても、還元雰囲気下で焼成を行うことで、所望の導電性を発現させることができる。
【0063】
また、水素を含む所定のガス雰囲気下で焼成を行うことで、バンクB上面の撥液性物質を除去することができる。上述のように、撥液化処理工程S5において、バンクBの上面にはフッ素基が配置されているが、所定のガス雰囲気下で焼成を行うことで、そのバンクB上面のフッ素基が除去される。
【0064】
以上説明したように、本実施形態においては、基板P上に供給後の側面K、K同士の間での機能液L(滴)のエッジの形状が、滴が濡れ拡がる方向に向かって凹んでいるので、基板P上に供給後の機能液Lを基板P上で良好に濡れ拡がらせることができる。したがって、所望の膜パターンを形成できる。
【0065】
なお、機能液Lに含まれる溶媒(液体)が気化した成分(溶媒の蒸気)が満たされた雰囲気下で、区画領域Aに機能液Lの滴を供給することによっても、供給後の側面K、K同士の間での機能液L(滴)のエッジの形状を、滴の供給位置に向かって凹むように設定可能である。例えば、図9に示すように、室11に基板Pを収容し、その室11を、機能液Lの溶媒を含むガスで満たし、そのガスを含んだ雰囲気下において、液滴吐出ヘッド1より、機能液Lの滴を区画領域Aに供給する。こうすることによっても、側面K、K同士の間での機能液Lのエッジを所望の形状にすることができる。
【0066】
[第2実施形態]
次に第2実施形態について図10を参照しながら説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。本実施形態のパターン形成方法は、基板P上にバンクBを形成するバンク形成工程と、バンクBによって区画された線状の領域Aに機能液Lを供給する機能液供給工程とを有している。バンク形成工程は、上述の第1実施形態で説明した手順と同等である。
【0067】
本実施形態のパターン形成方法では、バンクBによって区画された線状の領域Aに機能液Lが供給され、この機能液Lが例えば乾燥されることにより、基板P上に線状のパターンFが形成される。この場合、バンクBによってパターンFの形状が規定されることから、例えば隣接するバンクB、B間の幅を狭くするなど、バンクBを適切に形成することにより、パターンFの微細化や細線化が図られる。この場合、バンクBの内面(側面K、底J)は機能液Lに対して濡れ性の良い状態であることが望ましいが、上述したように、バンクBの内面は撥液化されていないので、バンクB,B間の幅を狭くしても機能液Lは毛管現象等によりバンクB,B内にスムーズに入り込むことができる。なお、パターンFが形成された後、基板PからバンクBを除去してもよく、そのまま基板P上に残してもよい。
【0068】
また、本実施形態のパターン形成方法では、基板P上にバンクBを形成する際、バンクBによって区画される線状の領域Aについて、一部の幅を広くする。すなわち、線状領域Aの軸方向に関する所定の位置に、他の領域の幅Wに比べて広い幅Wp(Wp>W)からなる部分(以後、必要に応じて幅広部Asと称す)を、単数あるいは複数設ける。
【0069】
本実施形態のパターン形成方法では、バンクBによって区画された線状の領域Aの幅が部分的(幅広部As)に広く形成されていることにより、機能液Lの配置時、この幅広部Asに機能液Lの一部が退避し、バンクBからの機能液Lの溢れが防止される。
【0070】
一般に、線状の領域Aに液体を配置する際、液体の表面張力の作用などによってその領域に液体が流入しにくかったり、その領域内で液体が拡がりにくい場合がある。これに対して、本実施形態のパターン形成方法では、領域Aへの機能液Lの流入あるいは領域A内での機能液Lの拡がりが促進され、バンクBからの機能液Lの溢れが防止される。なお、機能液Lの配置に際して、領域Aに対する機能液の供給量が適宜設定されることは言うまでもない。
【0071】
このように、本実施形態のパターン形成方法では、機能液Lの供給時におけるバンクBからの機能液Lの溢れが防止されることから、パターンFが所望の形状に正確に形成される。したがって、細い線状のパターンFを、精度よく安定的に形成することができる。
【0072】
また、本実施形態では、バンクBの形成を上述の第1実施形態で示した方法で行なっているため、バンクBの上面のみ撥液化し、バンクBの内面を撥液化しない状態とすることができる。このため、微細なパターンFを形成する場合でも、バンクB、B内に機能液Lがスムーズに入り込めるようになり、膜の均一性も向上する。
【0073】
ここで、バンクBによって区画される線状の領域Aにおいて、幅広部Asの幅Wpは、他の部分の幅Wの110〜500%であるのが好ましい。これにより、機能液の配置時におけるバンクからの機能液の溢れが確実に防止される。なお、上記割合が110%未満であると、幅の広い部分に機能液が十分に退避しないおそれがあるので好ましくない。また、500%を超えると、基板上のスペースの有効利用を図る上で好ましくない。
【0074】
なお、線状の領域Aの形状は図10に示したものに限らず他の形状でもよい。領域Aにおける幅広部Asの個数や大きさ、配置位置、配置ピッチなどはパターンの材質や幅、あるいは要求精度に応じて適宜設定される。
【0075】
[第3実施形態]
次に第3実施形態について図11及び図12を参照しながら説明する。図11において、基板P上には、バンクBによって第1の幅H1を有する第1溝部34A(幅広領域)と、その第1溝部34Aに接続するように第2の幅H2を有する第2溝部34B(幅狭領域)とが形成されている。第1の幅H1は機能液の滴の飛翔径よりも大きく形成されている。第2の幅H2は第1の幅H1よりも狭くなっている。換言すれば、第2の幅H2は第1の幅H1以下である。また、第1溝部34Aは図11中、X軸方向に延びるように形成され、第2溝部34BはX軸方向とは異なる方向のY軸方向に延びるように形成されている。このバンクBは第1実施形態の方法により形成されたものである。
【0076】
上述した溝部34A、34BにパターンFを形成するためには、まず、図12(A)に示すように、パターンFを形成するための機能液Lの液滴を液滴吐出ヘッド1により第1溝部34Aの所定位置(供給位置)に供給する。機能液Lの液滴を第1溝部34Aに供給するときには、第1溝部34Aの上方より液滴吐出ヘッド1を使って滴を第1溝部34Aに吐出する。本実施形態においては、図12(A)に示すように、機能液Lの滴は、第1溝部34Aの長手方向(X軸方向)に沿って所定間隔で配置される。このとき、機能液Lの液滴は、第1溝部34Aのうち第1溝部34Aと第2溝部34Bとが接続する接続部37近傍(交差領域)にも供給される。
【0077】
図12(B)に示すように、第1溝部34Aに供給された機能液Lは、自己流動により第1溝部34A内において濡れ拡がる。更に、第1溝部34Aに供給された機能液Lは、自己流動によって第2溝部34Bにも濡れ拡がる。本実施形態においても、機能液L(滴)のエッジの形状が、滴の供給位置に向かって凹んでおり、滴は良好に濡れ拡がる。これにより、第2溝部34B上より直接的に第2溝部34Bに対して液滴を吐出することなく、第2溝部34Bにも機能液Lを満たすことができる。
【0078】
この場合、バンクBの側面は機能液Lに対して濡れ性の良い状態であることが望ましいが、本実施形態においてもバンクBの内面が撥液化されていないので、バンクB、B間の幅を狭くしても機能液Lは毛管現象等によりバンクB,B内にスムーズに入り込むことができる。
【0079】
このように、第1溝部34Aに機能液Lを供給することで、その第1溝部34Aに供給された機能液Lの自己流動(毛管現象)によって機能液Lを第2溝部34Bに満たすことができる。したがって、狭い幅H2の第2溝部34Bに対してバンクB上より機能液Lの液滴を吐出しなくても、広い幅H1の第1溝部34Aに機能液Lの液滴を吐出することで、第2溝部34Bに機能液Lを円滑に供給することができる。特に、第2溝部34Bの幅H2が狭く、液滴吐出ヘッド1より吐出された液滴径(飛翔中の液滴径)が幅H2よりも小さい場合であっても、機能液Lの自己流動によって第2溝部34Bに機能液Lを円滑に満たすことができる。そして、第2溝部34Bの幅H2は狭いので、機能液Lは毛管現象によって第2溝部34Bに円滑に供給される。したがって、所望の形状を有するパターンを形成することができる。そして、狭い幅の第2溝部34Bに機能液Lを円滑に供給できるので、パターンの細線化(微細化)を実現することができる。一方、第1溝部34Aの幅H1は広いので、第1溝部34Aに対してバンクB上より機能液Lの液滴を吐出しても、バンクBの上面38に機能液Lの一部がかかって残渣が残る不具合を回避できる。したがって、所望の特性を発揮するパターンFを安定して形成することができる。
【0080】
また、本実施形態によれば、第1溝部34Aのうち第1溝部34Aと第2溝部34Bとが接続する接続部37近傍に機能液Lが供給されるため、機能液Lが濡れ拡がる際に容易に第2溝部34Bに流れ込ませることができ、より円滑に第2溝部34Bに機能液Lを供給することが可能となる。
【0081】
また、本実施形態では、バンクBの形成を第1実施形態で示した方法で行なっているため、バンクBの上面のみ撥液化し、バンクBの側面K、底面Jを撥液化しない状態とすることができる。このため、微細なパターンFを形成する場合でも、バンクB,B内に機能液Lがスムーズに入り込めるようになり、膜の均一性も向上する。
【0082】
第1溝部34A及び第2溝部34Bに機能液Lを供給した後、上述した第1実施形態同様、焼成工程等を経ることによって、パターンFを形成することができる。
【0083】
[第4実施形態]
次に第4実施形態について図13及び図14を参照しながら説明する。上述の実施形態においては、区画領域Aは、バンクB、Bによって形成されているが、例えば、基板Pに凹部34’を形成し、その凹部34’の内面(側面K’、底面J’)によって、区画領域Aを形成するようにしてもよい。そして、機能液Lに対する側面K’、底面J’の接触角を最適化することによって、基板Pに供給後の側面K’、K’同士の間での滴のエッジの形状を、滴の供給位置に向かって凹むように設定可能である。
【0084】
<薄膜トランジスタ>
本発明の膜パターンの形成方法は、図15に示すようなスイッチング素子としての薄膜トランジスタ(TFT)及びそれに接続する配線を形成するときに適用可能である。図15において、TFTを有するTFT基板P上には、ゲート配線40と、このゲート配線40に電気的に接続するゲート電極41と、ソース配線42と、このソース配線42に電気的に接続するソース電極43と、ドレイン電極44と、ドレイン電極44に電気的に接続する画素電極45とを備えている。ゲート配線40はX軸方向に延びるように形成され、ゲート電極41はY軸方向に延びるように形成されている。また、ゲート電極41の幅H2はゲート配線40の幅H1よりも狭くなっている。これらゲート配線40及びゲート電極41を、上述の実施形態で説明した膜パターンの形成方法で形成することができる。
【0085】
また、上述の実施形態で説明した膜パターンの形成方法を用いて、TFT(薄膜トランジスタ)のゲート配線のみならず、ソース電極、ドレイン電極、画素電極などの他の構成要素を製造することも可能である。以下、TFTを製造する方法について図16を参照しながら説明する。
【0086】
図16(A)に示すように、まず、洗浄したガラス基板610の上面に、1画素ピッチの1/20〜1/10の溝611aを設けるための第1層目のバンク611が、上述の実施形態の方法を用いて形成される。
【0087】
第1層目のバンク形成工程に続くゲート走査電極形成工程では、バンク611で区画された領域である溝611a内を満たすように、導電性材料を含む機能液の液滴を供給することで、ゲート走査電極612が形成される。ゲート走査電極612は、バンク611に十分な撥液性が予め与えられているので、溝611aからはみ出ることなく形成される。
【0088】
以上の工程により、基板610上には、バンク611とゲート走査電極612からなる平坦な上面を備えた第1の導電層が形成される。
【0089】
また、溝611a内に液滴を良好に満たすためには、図16(A)に示すように、この溝611aの形状として準テーパ(吐出元に向かって開く向きのテーパ形状)を採用するのが好ましい。これにより、吐出された液滴を十分に奥深くまで入り込ませることが可能となる。
【0090】
次に、図16(B)に示すように、プラズマCVD法によりゲート絶縁膜613、活性層610、及びコンタクト層609が連続して成膜される。ゲート絶縁膜613として窒化シリコン膜、活性層610としてアモルファスシリコン膜、コンタクト層609としてn+型シリコン膜を原料ガスやプラズマ条件を変化させることにより形成する。
【0091】
半導体層形成工程に続く第2層目のバンク形成工程では、図16(C)に示すように、ゲート絶縁膜613の上面に、1画素ピッチの1/20〜1/10でかつ溝611aと交差する溝614aを設けるための2層目のバンク614を、フォトリソグラフィ法に基づいて形成する。
【0092】
上記第2層目のバンク形成工程に続くソース・ドレイン電極形成工程では、バンク614で区画された描画領域である溝614a内を満たすように、導電性材料を含む液滴を供給することで、図16(D)に示すように、ゲート走査電極612に対して交差するソース電極615及びソース電極616が形成される。
【0093】
また、ソース電極615及びドレイン電極616が形成された溝614aを埋めるように絶縁材料617が形成される。以上の工程により、基板610上には、バンク614と絶縁材料617からなる平坦な上面620が形成される。
【0094】
そして、絶縁材料617にコンタクトホール619を形成するとともに、上面620上にパターニングされた画素電極(ITO)618を形成し、コンタクトホール619を介してドレイン電極616と画素電極618とを接続することで、TFTが形成される。
【0095】
<電気光学装置>
次に電気光学装置の一例として、液晶表示装置について説明する。図17は本実施形態に係る液晶表示装置について各構成要素とともに示す対向基板側から見た平面図であり、図18は図17のH−H’線に沿う断面図である。また、図19は液晶表示装置の画像表示領域においてマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路図で、図20は液晶表示装置の部分拡大断面図である。なお、以下の説明に用いた各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならせてある。
【0096】
図17及び図18において、本実施の形態の液晶表示装置(電気光学装置)100は、対をなすTFTアレイ基板10と対向基板20とが光硬化性の封止材であるシール材52によって貼り合わされ、このシール材52によって区画された領域内に液晶50が封入、保持されている。シール材52は、基板面内の領域において閉ざされた枠状に形成されてなり、液晶注入口を備えず、封止材にて封止された痕跡がない構成となっている。
【0097】
シール材52の形成領域の内側の領域には、遮光性材料からなる周辺見切り53が形成されている。シール材52の外側の領域には、データ線駆動回路201及び実装端子202がTFTアレイ基板10の一辺に沿って形成されており、この一辺に隣接する2辺に沿って走査線駆動回路204が形成されている。TFTアレイ基板10の残る一辺には、画像表示領域の両側に設けられた走査線駆動回路204の間を接続するための複数の配線205が設けられている。また、対向基板20のコーナーの少なくとも1箇所においては、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的導通をとるための基板間導通材206が配設されている。
【0098】
なお、データ線駆動回路201及び走査線駆動回路204をTFTアレイ基板10の上に形成する代わりに、例えば、駆動用LSIが実装されたTAB(Tape Automated Bonding)基板とTFTアレイ基板10の周辺部に形成された端子群とを異方性導電膜を介して電気的及び機械的に接続するようにしてもよい。なお、液晶表示装置100においては、使用する液晶50の種類、すなわち、TN(Twisted Nematic)モード、STN(Super Twisted Nematic)モード等の動作モードや、ノーマリホワイトモード/ノーマリブラックモードの別に応じて、位相差板、偏光板等が所定の向きに配置されるが、ここでは図示を省略する。
【0099】
また、液晶表示装置100をカラー表示用として構成する場合には、対向基板20において、TFTアレイ基板10の後述する各画素電極に対向する領域に、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)のカラーフィルタをその保護膜とともに形成する。
【0100】
このような構造を有する液晶表示装置100の画像表示領域においては、図19に示すように、複数の画素100aがマトリクス状に構成されているとともに、これらの画素100aの各々には、画素スイッチング用のTFT(スイッチング素子)30が形成されており、画素信号S1、S2、…、Snを供給するデータ線6aがTFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画素信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次で供給してもよく、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。また、TFT30のゲートには走査線3aが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線3aにパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmをこの順に線順次で印加するように構成されている。
【0101】
画素電極19は、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけオン状態とすることにより、データ線6aから供給される画素信号S1、S2、…、Snを各画素に所定のタイミングで書き込む。このようにして画素電極19を介して液晶に書き込まれた所定レベルの画素信号S1、S2、…、Snは、図18に示す対向基板20の対向電極121との間で一定期間保持される。なお、保持された画素信号S1、S2、…、Snがリークするのを防ぐために、画素電極19と対向電極121との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量60が付加されている。例えば、画素電極19の電圧は、ソース電圧が印加された時間よりも3桁も長い時間だけ蓄積容量60により保持される。これにより、電荷の保持特性は改善され、コントラスト比の高い液晶表示装置100を実現することができる。
【0102】
図20はボトムゲート型TFT30を有する液晶表示装置100の部分拡大断面図であって、TFTアレイ基板10を構成するガラス基板Pには、上述の実施形態で説明したような膜パターンの形成方法により、導電性膜としてのゲート配線61が形成されている。
【0103】
ゲート配線61上には、SiNxからなるゲート絶縁膜62を介してアモルファスシリコン(a−Si)層からなる半導体層63が積層されている。このゲート配線部分に対向する半導体層63の部分がチャネル領域とされている。半導体層63上には、オーミック接合を得るための例えばn+型a−Si層からなる接合層64a及び64bが積層されており、チャネル領域の中央部における半導体層63上には、チャネルを保護するためのSiNxからなる絶縁性のエッチストップ膜65が形成されている。なお、これらゲート絶縁膜62、半導体層63、及びエッチストップ膜65は、蒸着(CVD)後にレジスト塗布、感光・現像、フォトエッチングを施されることで、図示されるようにパターニングされる。
【0104】
さらに、接合層64a、64b及びITOからなる画素電極19も同様に成膜するとともに、フォトエッチングを施されることで、図示するようにパターニングされる。そして、画素電極19、ゲート絶縁膜62及びエッチストップ膜65上にそれぞれバンク66…を突設し、これらバンク66…間に上述した液滴吐出装置IJを用いて、銀化合物の液滴を吐出することでソース線、ドレイン線を形成することができる。
【0105】
本実施の形態の液晶表示装置は、上記膜パターンの形成方法により、微細化や細線化が図られた導電膜が、精度よく安定して形成されることから、高い品質や性能が得られる。
【0106】
なお、上記実施形態では、TFT30を液晶表示装置100の駆動のためのスイッチング素子として用いる構成としたが、液晶表示装置以外にも例えば有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示デバイスに応用が可能である。有機EL表示デバイスは、蛍光性の無機および有機化合物を含む薄膜を、陰極と陽極とで挟んだ構成を有し、前記薄膜に電子および正孔(ホール)を注入して再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・燐光)を利用して発光させる素子である。そして、上記のTFT30を有する基板上に、有機EL表示素子に用いられる蛍光性材料のうち、赤、緑および青色の各発光色を呈する材料すなわち発光層形成材料及び正孔注入/電子輸送層を形成する材料をインクとし、各々をパターニングすることで、自発光フルカラーELデバイスを製造することができる。本発明におけるデバイス(電気光学装置)の範囲にはこのような有機ELデバイスをも含むものである。
【0107】
図21は、液滴吐出装置IJにより一部の構成要素が製造された有機EL装置の側断面図である。図21を参照しながら、有機EL装置の概略構成を説明する。
【0108】
図21において、有機EL装置401は、基板411、回路素子部421、画素電極431、バンク441、発光素子451、陰極461(対向電極)、および封止基板471から構成された有機EL素子402に、フレキシブル基板(図示略)の配線および駆動IC(図示略)を接続したものである。回路素子部421は、アクティブ素子であるTFT60が基板411上に形成され、複数の画素電極431が回路素子部421上に整列して構成されたものである。そして、TFT60を構成するゲート配線61が、上述した実施形態の配線パターンの形成方法により形成されている。
【0109】
各画素電極431間にはバンク441が格子状に形成されており、バンク441により生じた凹部開口444に、発光素子451が形成されている。なお、発光素子451は、赤色の発光をなす素子と緑色の発光をなす素子と青色の発光をなす素子とからなっており、これによって有機EL装置401は、フルカラー表示を実現するものとなっている。陰極461は、バンク441および発光素子451の上部全面に形成され、陰極461の上には封止用基板471が積層されている。
【0110】
有機EL素子を含む有機EL装置401の製造プロセスは、バンク441を形成するバンク形成工程と、発光素子451を適切に形成するためのプラズマ処理工程と、発光素子451を形成する発光素子形成工程と、陰極461を形成する対向電極形成工程と、封止用基板471を陰極461上に積層して封止する封止工程とを有している。
【0111】
発光素子形成工程は、凹部開口444、すなわち画素電極431上に正孔注入層452および発光層453を形成することにより発光素子451を形成するもので、正孔注入層形成工程と発光層形成工程とを具備している。そして、正孔注入層形成工程は、正孔注入層452を形成するための機能液を各画素電極431上に吐出する第1吐出工程と、吐出された機能液を乾燥させて正孔注入層452を形成する第1乾燥工程とを有している。また、発光層形成工程は、発光層453を形成するための機能液を正孔注入層452の上に吐出する第2吐出工程と、吐出された機能液を乾燥させて発光層453を形成する第2乾燥工程とを有している。なお、発光層453は、赤、緑、青の3色に対応する材料によって3種類のものが形成されるようになっており、したがって前記の第2吐出工程は、3種類の材料をそれぞれに吐出するために3つの工程からなっている。
【0112】
この発光素子形成工程において、正孔注入層形成工程における第1吐出工程と、発光層形成工程における第2吐出工程とで液滴吐出装置IJを用いることができる。
【0113】
図22は液晶表示装置の別の実施形態を示す図である。図22に示す液晶表示装置(電気光学装置)901は、大別するとカラーの液晶パネル(電気光学パネル)902と、液晶パネル902に接続される回路基板903とを備えている。また、必要に応じて、バックライト等の照明装置、その他の付帯機器が液晶パネル902に付設されている。
【0114】
液晶パネル902は、シール材904によって接着された一対の基板905a及び基板905bを有し、これらの基板905bと基板905bとの間に形成される間隙、いわゆるセルギャップには液晶が封入されている。これらの基板905a及び基板905bは、一般には透光性材料、例えばガラス、合成樹脂等によって形成されている。基板905a及び基板905bの外側表面には偏光板906a及び偏光板906bが貼り付けられている。なお、図22においては、偏光板906bの図示を省略している。
【0115】
また、基板905aの内側表面には電極907aが形成され、基板905bの内側表面には電極907bが形成されている。これらの電極907a、907bはストライプ状または文字、数字、その他の適宜のパターン状に形成されている。また、これらの電極907a、907bは、例えばITO等の透光性材料によって形成されている。基板905aは、基板905bに対して張り出した張り出し部を有し、この張り出し部に複数の端子908が形成されている。これらの端子908は、基板905a上に電極907aを形成するときに電極907aと同時に形成される。したがって、これらの端子908は、例えばITOによって形成されている。これらの端子908には、電極907aから一体に延びるもの、及び導電材(不図示)を介して電極907bに接続されるものが含まれる。
【0116】
回路基板903には、配線基板909上の所定位置に液晶駆動用ICとしての半導体素子900が実装されている。なお、図示は省略しているが、半導体素子900が実装される部位以外の部位の所定位置には抵抗、コンデンサ、その他のチップ部品が実装されていてもよい。配線基板909は、例えばポリイミド等の可撓性を有するベース基板911の上に形成されたCu等の金属膜をパターニングして配線パターン912を形成することによって製造されている。
【0117】
本実施形態では、液晶パネル902における電極907a、907b及び回路基板903における配線パターン912が、上述の実施形態で説明したような膜パターンの形成方法によって形成されている。
【0118】
なお、前述した例はパッシブ型の液晶パネルであるが、アクティブマトリクス型の液晶パネルとしてもよい。すなわち、一方の基板に薄膜トランジスタ(TFT)を形成し、各TFTに対し画素電極を形成する。また、各TFTに電気的に接続する配線(ゲート配線、ソース配線)を上記のようにインクジェット技術を用いて形成することができる。一方、対向する基板には対向電極等が形成されている。このようなアクティブマトリクス型の液晶パネルにも本発明を適用することができる。
【0119】
また、本発明に係るデバイス(電気光学装置)としては、上記の他に、PDP(プラズマディスプレイパネル)や、基板上に形成された小面積の薄膜に膜面に平行に電流を流すことにより、電子放出が生ずる現象を利用する表面伝導型電子放出素子等にも適用可能である。
【0120】
<電子機器>
次に電子機器の具体例について説明する。図23(A)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図23(A)において、600は携帯電話本体を示し、601は上記実施形態の例えば液晶表示装置を備えた液晶表示部を示している。
【0121】
図23(B)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図23(B)において、700は情報処理装置、701はキーボードなどの入力部、703は情報処理本体、702は上記実施形態の例えば液晶表示装置を備えた液晶表示部を示している。
【0122】
図23(C)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図23(C)において、800は時計本体を示し、801は上記実施形態の例えば液晶表示装置を備えた液晶表示部を示している。
【0123】
図23(A)〜(C)に示す電子機器は、上記実施形態の表示装置を備えたものであるので、高い品質や性能が得られる。
【0124】
なお、本実施形態の電子機器は液晶表示装置を備えるものとしたが、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマ型表示装置等、他の電気光学装置を備えた電子機器とすることもできる。
【0125】
次に、本発明の膜パターンの形成方法によって形成される膜パターンを、アンテナ回路に適用した例について説明する。
【0126】
図24は本実施形態に係る非接触型カード媒体を示しており、非接触型カード媒体400は、カード基体402とカードカバー418から成る筐体内に、半導体集積回路チップ408とアンテナ回路412を内蔵し、図示されない外部の送受信機と電磁波または静電容量結合の少なくとも一方により電力供給あるいはデータ授受の少なくとも一方を行なうようになっている。
【0127】
本実施形態では、上記アンテナ回路412が、上述の実施形態で説明したような膜パターンの形成方法に基づいて形成されている。そのため、上記アンテナ回路412の微細化や細線化が図られ、高い品質や性能を得ることができる。
【0128】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】膜パターンの形成方法を概念的に示す図である。
【図2】液滴吐出装置の概略斜視図である。
【図3】ピエゾ方式による機能液の吐出原理を説明するための図である。
【図4】第1実施形態に係る膜パターンの形成方法を説明するためのフローチャート図である。
【図5】膜パターンの形成手順を示す工程図である。
【図6】図5に続く工程図である。
【図7】膜パターンの形成方法を示す模式図である。
【図8】プラズマ処理装置の一例を説明するための図である。
【図9】膜パターンの形成装置の一例を説明するための図である。
【図10】第2実施形態に係る膜パターンの形成方法を説明するための図である。
【図11】第3実施形態に係る膜パターンの形成方法を説明するための図である。
【図12】第3実施形態に係る膜パターンの形成方法を説明するための図である。
【図13】第4実施形態に係る膜パターンの形成方法を説明するための図である。
【図14】第4実施形態に係る膜パターンの形成方法を説明するための図である。
【図15】薄膜トランジスタを有する基板の一例を示す模式図である。
【図16】薄膜トランジスタを製造する工程を説明するための図である。
【図17】液晶表示装置を対向基板の側から見た平面図である。
【図18】図17のH−H’線に沿う断面図である。
【図19】液晶表示装置の等価回路図である。
【図20】液晶表示装置の部分拡大断面図である。
【図21】有機EL装置の部分拡大断面図である。
【図22】液晶表示装置の他の形態を示す図である。
【図23】本発明の電子機器の具体例を示す図である。
【図24】非接触型カード媒体の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0130】
A…区画領域、B…バンク、F…膜パターン、J…底面、K…側面(壁面)、L…機能液、P…基板、30…スイッチング素子、31…膜、34…凹部
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜パターンの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上に配線パターン等の膜パターンを形成するための方法として、例えば下記特許文献に開示されているような、液滴吐出ヘッドより機能液の滴を基板上に供給する液滴吐出法(インクジェット法)が提案されている。
【特許文献1】特開平11−274671号公報
【特許文献2】特開2000−216330号公報
【特許文献3】特開2005−12181号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
液滴吐出法に基づいて基板上に機能液の滴を供給する場合、基板上に供給後の機能液を基板上で濡れ拡がらせたい場合がある。例えば、バンクによって区画された区画領域の幅が狭い場合、基板上に供給後の機能液を濡れ拡がらせることによって、その狭い幅の区画領域に機能液を供給することができる。
【0004】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、基板上に供給後の機能液を基板上で良好に濡れ拡がらせることができる膜パターンの形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、本発明は以下の構成を採用する。
【0006】
本発明の第1の観点によると、バンクによって基板上に形成された区画領域の所定位置に向けて吐出ヘッドより滴を供給し、前記供給後の前記バンクの間での前記滴のエッジの形状が、前記滴が濡れ拡がる方向に向かって凹むように設定される膜パターンの形成方法が提供される。
【0007】
本発明によれば、基板上に供給後の機能液を基板上で良好に濡れ拡がらせることができる。
【0008】
本発明の膜パターンの形成方法において、前記バンクは、前記基板に形成された凹部を含む構成を採用できる。
【0009】
これによれば、基板上に凸状のバンクを形成することなく区画領域を形成できる。
【0010】
本発明の膜パターンの形成方法において、前記滴に対する前記バンクの接触角を45度以下にする構成を採用できる。
【0011】
これによれば、バンクは十分な親液性を有するので、機能液をバンクに沿って良好に濡れ拡がらせることができる。
【0012】
本発明の膜パターンの形成方法において、前記滴に対する前記基板の底面の接触角を50度以下にする構成を採用できる。
【0013】
これによれば、バンク間の底面となる基板も十分な親液性を有するので、機能液をバンクに沿って良好に濡れ拡がらせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、必要に応じてXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。
【0015】
図1は膜パターンの形成方法の一実施形態を概念的に示す図である。本実施形態の膜パターンの形成方法は、基板P上にバンクBを形成する工程と、バンクBによって区画された領域Aに機能液Lを供給する工程と、基板P上のバンクB及び機能液Lを焼成する工程とを有している。領域Aは、互いに対向するバンクBの側面(壁面)Kによって基板P上に形成される。
【0016】
バンクBによって区画された領域Aに機能液Lが供給され、この機能液Lが乾燥、焼成されることにより、基板P上に膜パターンFが形成される。バンクBによって膜パターンFの形状が規定されるため、例えば隣接するバンクB、B間の幅を狭くする等、バンクBを適切に形成することにより、膜パターンFの微細化、細線化を実現することができる。なお、膜パターンFが形成された後、基板PからバンクBを除去してもよく、そのまま基板P上に残してもよい。
【0017】
基板Pとしては、ガラス、石英ガラス、Siウエハ、プラスチックフィルム、及び金属板等、種々のものを用いることができる。更に、これら基板の表面に半導体膜、金属膜、誘電体膜、有機膜等の下地膜が形成されていてもよい。
【0018】
バンクBを形成するための材料(以下、バンク材料、と称する)には、種々の材料を用いることができる。例えば、ポリシラザン、ポリシロキサン、ポリシラン等を主成分とした無機質の材料を用いることができる。バンク材料が無機質の材料を含むことにより、バンクBの耐熱性が高くなり、バンクBと基板Pとの間の熱膨張率の差が小さくなる。そのため、機能液の乾燥時の熱等によるバンクBの劣化が抑制され、膜パターンFが良好な形状で形成される。
【0019】
本実施形態においては、バンク材料として、例えば特許第2890893号公報に開示されているような、シロキサン結合を主鎖とした材料が用いられる。例えば、バンク材料としては、シロキサン結合を主鎖とし、−H、−OH、−(CH2CH2O)nH、−COOH、−COOK、−COONa、−CONH2、−SO3H、−SO3Na、−SO3K、−OSO3H、−OSO3Na、−OSO3K、−PO3H2、−PO3Na2、−PO3K2、−NO2、−NH2、−NH3Cl、−NH3Br、≡HNCl、及び≡NHBrのうち、少なくとも1つを側鎖とする材料を用いることができる。また、側鎖の一部に、アルキル基、アルケニル基、及びアリール基のうち少なくとも1つを有する材料であってもよい。
【0020】
バンクBを形成する方法としては、例えば、各種コート法やCVD法(化学的気相成長法)等を用いて基板P上に上述のバンク材料からなる層を形成した後、フォトリソグラフィ法等の所定のパターニング手法を用いて、所定の形状のバンクBを形成することができる。
【0021】
機能液(インク)Lとしては、種々のものを用いることができる。機能液とは、液中に含まれる膜成分を膜化することによって所定の機能を有する膜(機能膜)を形成し得るものをいう。係る機能としては、電気・電子的機能(導電性、絶縁性、圧電性、焦電性、誘電性等)、光学的機能(光選択吸収、反射性、偏光性、光選択透過性、非線形光学性、蛍光あるいはリン光等のルミネッセンス、フォトクロミック性等)、磁気的機能(硬磁性、軟磁性、非磁性、透磁性等)、化学的機能(吸着性、脱着性、触媒性、吸水性、イオン伝導性、酸化還元性、電気化学特性、エレクトロクロミック性等)、機械的機能(耐摩耗性等)、熱的機能(伝熱性、断熱性、赤外線放射性等)、生体的機能(生体適合性、抗血栓性等)等の種々の機能がある。
【0022】
本実施形態においては、液滴吐出法(インクジェット法)を用いて、機能液Lの滴をバンクBによって区画された領域に供給する。液滴吐出法を用いることにより、スピンコート法などの他の塗布技術に比べて機能液の消費の無駄を少なくすることができる。また、液滴吐出法は、基板上に供給する機能液の量、位置の制御を容易に行うことができる。
【0023】
本実施形態においては、機能液Lとして、配線パターンを形成するための導電性材料を含む機能液が用いられる。これにより、基板上に導電性を有する膜パターンを形成することができる。この導電性の膜パターンは、配線として各種デバイスに適用される。
【0024】
配線パターンを形成するための機能液Lとしては、導電性微粒子を分散媒に分散させた分散液、有機銀化合物、酸化銀ナノ粒子を溶媒(分散媒)に分散した溶液等を用いることができる。導電性微粒子としては、例えば、金、銀、銅、パラジウム、及びニッケルのうちのいずれかを含有する金属微粒子の他、これらの酸化物、並びに導電性ポリマーや超電導体の微粒子などが用いられる。これらの導電性微粒子は、分散性を向上させるために表面に有機物などをコーティングして使うこともできる。導電性微粒子の表面にコーティングするコーティング材としては、例えばキシレン、トルエン等の有機溶剤やクエン酸等が挙げられる。
【0025】
導電性微粒子の粒径は1nm以上0.1μm以下であることが好ましい。0.1μmより大きいと、後述する液体吐出ヘッドのノズルに目詰まりが生じるおそれがある。また、1nmより小さいと、導電性微粒子に対するコーテイング剤の体積比が大きくなり、得られる膜中の有機物の割合が過多となる。
【0026】
分散媒としては、上述の導電性微粒子を分散できるもので、凝集を起こさないものであれば特に限定されない。例えば、水の他に、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロヘキシルベンゼンなどの炭化水素系化合物、またエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサンなどのエーテル系化合物、さらにプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノンなどの極性化合物を例示できる。これらのうち、微粒子の分散性と分散液の安定性、また液滴吐出法(インクジェット法)への適用の容易さの点で、水、アルコール類、炭化水素系化合物、エーテル系化合物が好ましく、より好ましい分散媒としては、水、炭化水素系化合物を挙げることができる。
【0027】
機能液の表面張力は0.02N/m以上0.07N/m以下の範囲内であることが好ましい。液滴吐出法にて液体を吐出する際、表面張力が0.02N/m未満であると、機能液のノズル面に対する濡れ性が増大するため飛行曲りが生じやすくなり、0.07N/mを超えるとノズル先端でのメニスカスの形状が安定しないため吐出量や、吐出タイミングの制御が困難になる。表面張力を調整するため、機能液には、基板との接触角を大きく低下させない範囲で、フッ素系、シリコーン系、ノニオン系などの表面張力調節剤を微量添加するとよい。ノニオン系表面張力調節剤は、機能液の基板に対する濡れ性を向上させ、機能膜のレベリング性を改良し、機能膜の微細な凹凸の発生などの防止に役立つものである。表面張力調節剤は、必要に応じて、アルコール、エーテル、エステル、ケトン等の有機化合物を含んでもよい。
【0028】
機能液の粘度は1mPa・s以上50mPa・s以下であることが好ましい。液滴吐出法を用いて機能液の滴を吐出する際、粘度が1mPa・sより小さい場合にはノズル周辺が機能液の流出により汚染されやすく、また粘度が50mPa・sより大きい場合は、ノズル孔での目詰まり頻度が高くなり円滑な滴の吐出が困難となる。
【0029】
液滴吐出法の吐出技術としては、帯電制御方式、加圧振動方式、電気機械変換式、電気熱変換方式、静電吸引方式などが挙げられる。帯電制御方式は、機能液に帯電電極で電荷を付与し、偏向電極で機能液の飛翔方向を制御してノズルから吐出させるものである。また、加圧振動方式は、材料に30kg/cm2程度の超高圧を印加してノズル先端側に機能液を送出するものであり、制御電圧をかけない場合には機能液が直進してノズルから吐出され、制御電圧をかけると機能液に静電的な反発が起こり、機能液が飛散してノズルから吐出されない。また、電気機械変換方式は、ピエゾ素子(圧電素子)がパルス的な電気信号を受けて変形する性質を利用したもので、ピエゾ素子が変形することによって機能液を貯留した空間に可撓性の部材を介して圧力を与え、この空間から機能液を押し出してノズルから吐出させるものである。
【0030】
また、電気熱変換方式は、機能液を貯留した空間内に設けたヒータにより、機能液を急激に気化させてバブル(泡)を発生させ、バブルの圧力によって空間内の機能液を吐出させるものである。静電吸引方式は、機能液を貯留した空間内に微小圧力を加え、ノズルに機能液のメニスカスを形成し、この状態で静電引力を加えてから機能液を引き出すものである。また、この他に、電場による機能液の粘性変化を利用する方式や、放電火花で飛ばす方式などの技術も適用可能である。液滴吐出法は、機能液の使用に無駄が少なく、しかも所望の位置に所望の量の機能液を的確に供給できるという利点を有する。なお、液滴吐出法により吐出される機能液の一滴の量は、例えば1〜300ナノグラムである。
【0031】
図2は基板上に機能液を供給する液滴吐出装置(インクジェット装置)IJの概略構成を示す斜視図である。図2において、液滴吐出装置IJは、基台9と、基台9上に設けられ、基板Pを支持可能なステージ7と、ステージ7に支持されている基板P上に機能液Lの滴を吐出する液滴吐出ヘッド1と、液滴吐出ヘッド1を移動するための駆動モータ2と、ステージ7を移動するための駆動モータ3と、液滴吐出装置IJの動作を制御する制御装置CONTとを備えている。
【0032】
液滴吐出ヘッド1は、複数の吐出ノズルを備えたマルチノズルタイプの液滴吐出ヘッドであり、長手方向とX軸方向とを一致させている。複数の吐出ノズルは、液滴吐出ヘッド1の下面にX軸方向に並んで一定間隔で設けられている。液滴吐出ヘッド1は、吐出ノズルより、ステージ7に支持されている基板Pに対して機能液の滴を吐出する。
【0033】
駆動モータ2は、液滴吐出ヘッド1を移動するためのものである。液滴吐出ヘッド1にはX軸方向駆動軸4が接続されており、駆動モータ2は、駆動軸4を回転することにより、液滴吐出ヘッド1をX軸方向に移動可能である。
【0034】
駆動モータ3は、ステージ7を移動するためのものである。ステージ7にはY軸方向駆動軸5が接続されており、駆動モータ3は、駆動軸5を回転することにより、ステージ7をY軸方向に移動可能である。
【0035】
制御装置CONTは、駆動モータ2、3を制御し、液滴吐出ヘッド1と基板Pを支持するステージ7とを相対的に移動しつつ、基板P上に滴を供給する。
【0036】
また、本実施形態の液滴吐出装置IJはクリーニング機構8を備えている。クリーニング機構8は、液滴吐出ヘッド1をクリーニングするものであり、不図示の駆動モータにより、Y軸方向に移動可能である。制御装置CONTは、クリーニング機構8と液滴吐出ヘッド1とを相対的に移動することによって、クリーニング機構8と液滴吐出ヘッド1とを近づけ、そのクリーニング機構8を用いて液滴吐出ヘッド1をクリーニングすることができる。
【0037】
また、本実施形態の液滴吐出装置IJは、基板Pを熱処理するためのヒータ15を備えている。ヒータ15は、例えば基板P上の機能液に含まれる溶媒の蒸発、乾燥を行うことができる。
【0038】
図3はピエゾ方式による機能液の吐出原理を説明するための図である。図3において、機能液を収容する液体室21に隣接してピエゾ素子22が設置されている。液体室21には、機能液を収容するタンクを含む供給系23を介して機能液が供給される。ピエゾ素子22は駆動回路24に接続されており、この駆動回路24を介してピエゾ素子22に電圧を印加し、ピエゾ素子22を変形させることにより、液体室21が変形し、ノズル25から機能液が吐出される。この場合、印加電圧の値を変化させることにより、ピエゾ素子22の歪み量が制御される。また、印加電圧の周波数を変化させることにより、ピエゾ素子22の歪み速度が制御される。ピエゾ方式による液滴吐出は材料に熱を加えないため、材料の組成に影響を与えにくいという利点を有する。
【0039】
〔第1実施形態〕
次に、膜パターンの形成方法の第1実施形態について図4〜図7を参照しながら説明する。図4は本実施形態に係る膜パターンの形成方法の一例を示すフローチャート図、図5、図6、図7は形成手順を示す模式図である。本実施形態では、配線パターンを形成する場合を例にして説明する。
【0040】
本実施形態に係る配線パターンの形成方法は、上述した配線パターンを形成するための機能液を基板上に供給し、基板上に配線パターン(導電膜)を形成するものであって、基板上に配線パターンに応じたバンクを形成する工程と、バンクによって区画された領域に機能液を供給する工程と、基板上の機能液及びバンクを焼成する工程とを有している。機能液を基板上に供給する前には、バンク表面(上面)を撥液性にする処理が行われる。そして、基板上に機能液を供給した後、バンク上面の撥液性物質を除去するために、焼成は、所定のガス雰囲気下で行われる。以下、各工程毎に詳細に説明する。本実施形態では基板Pとしてガラス基板が用いられる。
【0041】
(親液処理工程)
まず、図5(A)に示すように、バンクを形成する前に、基板Pの表面を親液性にする親液化処理が行われる(親液化処理工程S1)。親液化処理は、基板P上に供給される機能液が基板Pの表面に良好に濡れるようにするために行われる。親液化処理は、例えば基板Pの表面にTiO2等の親液性の高い膜を形成する、あるいは、基板Pの表面を粗面化することで基板Pの表面を親液性にしてもよい。
【0042】
(バンク形成工程)
次に、基板P上にバンクを形成する処理が行われる。バンクは、例えばフォトリソグラフィ法や印刷法等、所定の手法を用いて形成される。例えば、フォトリソグラフィ法を用いる場合には、スピンコート、スプレーコート、ロールコート、ダイコート、ディップコート等の所定の方法で、図5(B)に示すように、基板P上にバンク材料からなる膜31が形成される(バンク膜形成工程S2)。上述のように、本実施形態のバンク材料は、例えば特許第2890893号公報に開示されているような、シロキサン結合を主鎖とした材料である。本実施形態では、膜31は、バンク材料をスピンコートすることで形成される。
【0043】
そして、図5(C)に示すように、バンク材料がプリべークされる(プリベーク工程S3)。プリベークは、例えばホットプレートを用いて、95℃で2分間加熱することで行われる。これにより、膜31に含まれる溶媒が除去される。
【0044】
次に、図5(D)に示すように、マスクを用いて膜31が露光される(第1露光工程S4)。マスクには、形成しようとするバンクに応じたパターンが形成されており、マスクのパターンに応じた膜31上の領域に露光のための光が照射される。例えばマスクと膜31とをコンタクトさせた状態で光が照射される。本実施形態では、バンク材料として、シロキサン結合を主鎖とした材料と光酸発生剤(PAG)とを含む感光性の材料を用いており、露光のための光を照射し、後述の現像処理を行うことで、バンク材料を直接パターニングできるようになっている。
【0045】
(撥液化処理工程)
次に、図5(E)に示すように、バンクを形成するための膜31の表面(上面)を撥液性する撥液化処理が行われる(撥液化処理工程S5)。撥液化処理としては、例えば大気雰囲気中でテトラフルオロメタンを処理ガスとするプラズマ処理法(CF4プラズマ処理法)を採用することができる。なお、処理ガスとしては、テトラフルオロメタン(四フッ化炭素)に限らず、他のフルオロカーボン系のガスを用いることもできる。このような撥液化処理を行なうことにより、バンクを形成するための膜31にフッ素基が導入され、膜31の上面に高い撥液性が付与される。
【0046】
図8はCF4プラズマ処理する際に用いるプラズマ処理装置の一例を示す概略構成図である。図8に示すプラズマ処理装置は、交流電源141に接続された電極142と、接地電極であるテーブル140とを有している。テーブル140は基板Pを支持しつつY軸方向に移動可能となっている。電極42の下面には、移動方向と直交するX軸方向に延在する2本の平行な放電発生部144、144が突設されているとともに、放電発生部144を囲むように誘電体部材145が設けられている。誘電体部材145は放電発生部144の異常放電を防止するものである。そして、誘電体部材145を含む電極142の下面は略平面状となっており、放電発生部144及び誘電体部材145と基板Pとの間には僅かな空間(放電ギャップ)が形成されるようになっている。また、電極142の中央にはX軸方向に細長く形成された処理ガス供給部の一部を構成するガス噴出口146が設けられている。ガス噴出口146は、電極内部のガス通路147及び中間チャンバ148を介してガス導入口149に接続している。
【0047】
ガス通路147を通ってガス噴出口146から噴射された処理ガスを含む所定ガスは、前記空間の中を移動方向(Y軸方向)の前方及び後方に分かれて流れ、誘電体部材145の前端及び後端から外部に排気される。これと同時に、交流電源141から電極142に所定の電圧が印加され、放電発生部144、144とテーブル140との間で気体放電が発生する。そして、この気体放電により生成されるプラズマで所定ガスの励起活性種が生成され、放電領域を通過する基板Pの上に形成されたバンク膜31の表面全体が連続的に処理される。
【0048】
所定ガスは、処理ガスである四フッ化炭素(テトラフルオロメタン)と、大気圧近傍の圧力下で放電を容易に開始させ且つ安定に維持するためのヘリウム(He)、アルゴン(Ar)等の希ガスや窒素(N2)等の不活性ガスとを混合したものを用いることができる。
【0049】
(現像工程)
次に、図6(A)に示すように、現像処理が行われる(現像工程S6)。なお、現像処理の条件は、現像液:TMAH2.38%、温度:25℃、現像時間:80秒とする。これにより、バンクB、Bが形成され、バンクB、B間には凹部34が形成される。
【0050】
(親液化処理工程)
次に、図6(B)に示すように、領域Aを形成するバンクBの側面(壁面)K及び側面K同士の間の底面J(すなわち基板Pの表面)を親液性にする親液化処理が行われる(親液化処理工程S7)。親液化処理としては、側面K及び底面Jに紫外光を照射する紫外光(UV)照射処理を採用することができる。本実施形態においては、撥液化処理工程S5によって撥液性が付与されたバンクを形成するための膜31の上面の撥液性を低下させないように、換言すれば、膜31の上面に紫外光が照射されないように、マスクを用いて紫外光が照射される。マスクを介した紫外光は、側面K及び底面Jに照射され、膜31の上面にはほぼ照射されない。
【0051】
なお、側面K及び底面Jを親液性にする親液化処理としては、例えば大気雰囲気中で酸素を処理ガスとするプラズマ処理法(O2プラズマ処理法)を採用することができる。また、紫外光(UV)照射処理、O2プラズマ処理等を実行することによって、バンクB、B間の残渣を除去することも可能である。
【0052】
本実施形態においては、親液化処理によって、機能液Lの滴に対するバンクBの側面Kの接触角が45度以下に設定される。また、親液化処理によって、機能液Lの滴に対する底面J(基板Pの表面)の接触角が50度以下に設定される。
【0053】
(機能液供給工程)
次に、図2を参照して説明したような液滴吐出装置IJを用いて、配線パターンを形成するための機能液Lの滴を、互いに対向するバンクB、Bの側面K、Kによって基板P上に形成された区画領域Aの所定位置に向けて供給(吐出)する(機能液供給工程S8)。機能液供給工程では、図6(C)に示すように、液滴吐出ヘッド1から配線パターンを形成するための材料を含む機能液Lを滴にして吐出する。吐出された滴は、基板P上のバンクB、B間の凹部34を満たす。
【0054】
本実施形態においては、図7の模式図に示すように、凹部34に供給後のバンクB、Bの側面K、K同士の間での滴のエッジの形状が、滴が濡れ拡がる方向に向かって凹む。換言すれば、滴のエッジの形状が、滴が供給された所定位置(供給位置)に向かって凹む。本実施形態においては、親液化処理によって、機能液Lの滴に対するバンクBの側面Kの接触角が45度以下に設定されているので、基板P上に形成された凹部34に供給後の壁面K、K同士の間での機能液Lのエッジの形状を、滴の供給位置に向かって凹むように設定することができる。また、本実施形態においては、機能液Lの滴に対する底面J(基板Pの表面)の接触角が50度以下に設定されているので、基板P上に形成された凹部34に供給後の壁面K、K同士の間での機能液Lのエッジの形状を、滴の供給位置に向かって凹むように設定することができる。なお、底面Jの接触角は、必ずしも50度以下でなくてもよい。
【0055】
基板P上に供給後の機能液Lのエッジの形状が、滴の供給位置に向かって凹んでいるので、機能液Lは、基板P上において、凹部34の長手方向に良好に濡れ拡がることができる。
【0056】
凹部34における機能液Lのエッジの形状が凹んでいるので、機能液Lのエッジとの間で界面を形成するエッジ近傍の気体空間は負圧状態となる。すなわち、機能液Lのエッジ近傍には、滴の供給位置から外側に向かう力が発生する。これにより、機能液Lは、基板P上において、凹部34の長手方向に良好に濡れ拡がる。
【0057】
また、滴が供給される凹部34はバンクB、Bに囲まれているので、滴が所望の領域以外に濡れ拡がることを阻止することができる。また、上述の撥液化処理工程において、膜31の上面(バンクB、Bの上面)は撥液性となっている。したがって、バンクB、B間の凹部34に向けて供給された機能液の一部が、凹部34から外れてバンクBの上面にかかったとしても、撥液性を有するバンクBの上面で弾かれて凹部34に流れ込むことができる。また、上述のように、膜31の上面には撥液性が付与されているが、凹部34の内面、すなわち側面K及び底面Jには撥液性が付与されていないので、凹部34に供給された機能液は、凹部34の内面に良好に濡れることができる。これにより、バンクB、Bによって区画された領域A(すなわち凹部34)は機能液Lで均一に満たされる。
【0058】
次に、図6(D)に示すように、基板P全体に露光処理を施す(第2露光工程S9)。焼成工程S10の前に、第2露光工程S9を行うことにより、焼成工程S10におけるバンク中の脱水縮合反応を促進することができる。また、バンク材料中に残留している光酸発生剤(PAG)を反応(除去)することができ、例えば光酸発生剤(PAG)に起因してバンクBが着色している場合でも、その色を消すことができる。
【0059】
(焼成工程)
そして、図6(E)に示すように、基板上の機能液及びバンクを焼成する(焼成工程S10)。焼成を行うことにより、基板上の機能液の膜に導電性を発現させるとともに、バンクB、Bを硬化させる。
【0060】
焼成は、所定のガス雰囲気下で行われる。本実施形態においては、焼成は、水素を含むガス雰囲気下で行われる。例えば、水素ガスを1%程度含んだ窒素ガス(H2ガス:1%、N2ガス:99%)で満たし、その水素ガスを含んだ窒素ガス雰囲気下において焼成を行う。すなわち、水素ガスを含む還元ガス雰囲気下(還元雰囲気下)で焼成を行う。本実施形態では、水素ガスを1%程度含んだ窒素ガス雰囲気下で、350度、1時間、バンクBと基板P上に供給された機能液Lとを一緒に焼成する。
【0061】
なお、所定のガス雰囲気下で焼成(本焼成)を行う前に、例えばホットプレート等を行って仮焼成を行うようにしてもよい。そして、仮焼成を行った後、本焼成を行うようにしてもよい。
【0062】
焼成を行うことにより、機能液の溶媒(分散媒)が除去され、基板P上の機能液Lの膜は、図6(E)に示すように、導電性を有する膜パターンFに変換される。また、機能液Lの導電性材料が例えば有機銀化合物の場合、熱処理を行い、有機銀化合物の有機分を除去し、銀粒子を残留させることによって、導電性が発現される。また、導電性材料が例えばニッケル等であっても、還元雰囲気下で焼成を行うことで、所望の導電性を発現させることができる。
【0063】
また、水素を含む所定のガス雰囲気下で焼成を行うことで、バンクB上面の撥液性物質を除去することができる。上述のように、撥液化処理工程S5において、バンクBの上面にはフッ素基が配置されているが、所定のガス雰囲気下で焼成を行うことで、そのバンクB上面のフッ素基が除去される。
【0064】
以上説明したように、本実施形態においては、基板P上に供給後の側面K、K同士の間での機能液L(滴)のエッジの形状が、滴が濡れ拡がる方向に向かって凹んでいるので、基板P上に供給後の機能液Lを基板P上で良好に濡れ拡がらせることができる。したがって、所望の膜パターンを形成できる。
【0065】
なお、機能液Lに含まれる溶媒(液体)が気化した成分(溶媒の蒸気)が満たされた雰囲気下で、区画領域Aに機能液Lの滴を供給することによっても、供給後の側面K、K同士の間での機能液L(滴)のエッジの形状を、滴の供給位置に向かって凹むように設定可能である。例えば、図9に示すように、室11に基板Pを収容し、その室11を、機能液Lの溶媒を含むガスで満たし、そのガスを含んだ雰囲気下において、液滴吐出ヘッド1より、機能液Lの滴を区画領域Aに供給する。こうすることによっても、側面K、K同士の間での機能液Lのエッジを所望の形状にすることができる。
【0066】
[第2実施形態]
次に第2実施形態について図10を参照しながら説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。本実施形態のパターン形成方法は、基板P上にバンクBを形成するバンク形成工程と、バンクBによって区画された線状の領域Aに機能液Lを供給する機能液供給工程とを有している。バンク形成工程は、上述の第1実施形態で説明した手順と同等である。
【0067】
本実施形態のパターン形成方法では、バンクBによって区画された線状の領域Aに機能液Lが供給され、この機能液Lが例えば乾燥されることにより、基板P上に線状のパターンFが形成される。この場合、バンクBによってパターンFの形状が規定されることから、例えば隣接するバンクB、B間の幅を狭くするなど、バンクBを適切に形成することにより、パターンFの微細化や細線化が図られる。この場合、バンクBの内面(側面K、底J)は機能液Lに対して濡れ性の良い状態であることが望ましいが、上述したように、バンクBの内面は撥液化されていないので、バンクB,B間の幅を狭くしても機能液Lは毛管現象等によりバンクB,B内にスムーズに入り込むことができる。なお、パターンFが形成された後、基板PからバンクBを除去してもよく、そのまま基板P上に残してもよい。
【0068】
また、本実施形態のパターン形成方法では、基板P上にバンクBを形成する際、バンクBによって区画される線状の領域Aについて、一部の幅を広くする。すなわち、線状領域Aの軸方向に関する所定の位置に、他の領域の幅Wに比べて広い幅Wp(Wp>W)からなる部分(以後、必要に応じて幅広部Asと称す)を、単数あるいは複数設ける。
【0069】
本実施形態のパターン形成方法では、バンクBによって区画された線状の領域Aの幅が部分的(幅広部As)に広く形成されていることにより、機能液Lの配置時、この幅広部Asに機能液Lの一部が退避し、バンクBからの機能液Lの溢れが防止される。
【0070】
一般に、線状の領域Aに液体を配置する際、液体の表面張力の作用などによってその領域に液体が流入しにくかったり、その領域内で液体が拡がりにくい場合がある。これに対して、本実施形態のパターン形成方法では、領域Aへの機能液Lの流入あるいは領域A内での機能液Lの拡がりが促進され、バンクBからの機能液Lの溢れが防止される。なお、機能液Lの配置に際して、領域Aに対する機能液の供給量が適宜設定されることは言うまでもない。
【0071】
このように、本実施形態のパターン形成方法では、機能液Lの供給時におけるバンクBからの機能液Lの溢れが防止されることから、パターンFが所望の形状に正確に形成される。したがって、細い線状のパターンFを、精度よく安定的に形成することができる。
【0072】
また、本実施形態では、バンクBの形成を上述の第1実施形態で示した方法で行なっているため、バンクBの上面のみ撥液化し、バンクBの内面を撥液化しない状態とすることができる。このため、微細なパターンFを形成する場合でも、バンクB、B内に機能液Lがスムーズに入り込めるようになり、膜の均一性も向上する。
【0073】
ここで、バンクBによって区画される線状の領域Aにおいて、幅広部Asの幅Wpは、他の部分の幅Wの110〜500%であるのが好ましい。これにより、機能液の配置時におけるバンクからの機能液の溢れが確実に防止される。なお、上記割合が110%未満であると、幅の広い部分に機能液が十分に退避しないおそれがあるので好ましくない。また、500%を超えると、基板上のスペースの有効利用を図る上で好ましくない。
【0074】
なお、線状の領域Aの形状は図10に示したものに限らず他の形状でもよい。領域Aにおける幅広部Asの個数や大きさ、配置位置、配置ピッチなどはパターンの材質や幅、あるいは要求精度に応じて適宜設定される。
【0075】
[第3実施形態]
次に第3実施形態について図11及び図12を参照しながら説明する。図11において、基板P上には、バンクBによって第1の幅H1を有する第1溝部34A(幅広領域)と、その第1溝部34Aに接続するように第2の幅H2を有する第2溝部34B(幅狭領域)とが形成されている。第1の幅H1は機能液の滴の飛翔径よりも大きく形成されている。第2の幅H2は第1の幅H1よりも狭くなっている。換言すれば、第2の幅H2は第1の幅H1以下である。また、第1溝部34Aは図11中、X軸方向に延びるように形成され、第2溝部34BはX軸方向とは異なる方向のY軸方向に延びるように形成されている。このバンクBは第1実施形態の方法により形成されたものである。
【0076】
上述した溝部34A、34BにパターンFを形成するためには、まず、図12(A)に示すように、パターンFを形成するための機能液Lの液滴を液滴吐出ヘッド1により第1溝部34Aの所定位置(供給位置)に供給する。機能液Lの液滴を第1溝部34Aに供給するときには、第1溝部34Aの上方より液滴吐出ヘッド1を使って滴を第1溝部34Aに吐出する。本実施形態においては、図12(A)に示すように、機能液Lの滴は、第1溝部34Aの長手方向(X軸方向)に沿って所定間隔で配置される。このとき、機能液Lの液滴は、第1溝部34Aのうち第1溝部34Aと第2溝部34Bとが接続する接続部37近傍(交差領域)にも供給される。
【0077】
図12(B)に示すように、第1溝部34Aに供給された機能液Lは、自己流動により第1溝部34A内において濡れ拡がる。更に、第1溝部34Aに供給された機能液Lは、自己流動によって第2溝部34Bにも濡れ拡がる。本実施形態においても、機能液L(滴)のエッジの形状が、滴の供給位置に向かって凹んでおり、滴は良好に濡れ拡がる。これにより、第2溝部34B上より直接的に第2溝部34Bに対して液滴を吐出することなく、第2溝部34Bにも機能液Lを満たすことができる。
【0078】
この場合、バンクBの側面は機能液Lに対して濡れ性の良い状態であることが望ましいが、本実施形態においてもバンクBの内面が撥液化されていないので、バンクB、B間の幅を狭くしても機能液Lは毛管現象等によりバンクB,B内にスムーズに入り込むことができる。
【0079】
このように、第1溝部34Aに機能液Lを供給することで、その第1溝部34Aに供給された機能液Lの自己流動(毛管現象)によって機能液Lを第2溝部34Bに満たすことができる。したがって、狭い幅H2の第2溝部34Bに対してバンクB上より機能液Lの液滴を吐出しなくても、広い幅H1の第1溝部34Aに機能液Lの液滴を吐出することで、第2溝部34Bに機能液Lを円滑に供給することができる。特に、第2溝部34Bの幅H2が狭く、液滴吐出ヘッド1より吐出された液滴径(飛翔中の液滴径)が幅H2よりも小さい場合であっても、機能液Lの自己流動によって第2溝部34Bに機能液Lを円滑に満たすことができる。そして、第2溝部34Bの幅H2は狭いので、機能液Lは毛管現象によって第2溝部34Bに円滑に供給される。したがって、所望の形状を有するパターンを形成することができる。そして、狭い幅の第2溝部34Bに機能液Lを円滑に供給できるので、パターンの細線化(微細化)を実現することができる。一方、第1溝部34Aの幅H1は広いので、第1溝部34Aに対してバンクB上より機能液Lの液滴を吐出しても、バンクBの上面38に機能液Lの一部がかかって残渣が残る不具合を回避できる。したがって、所望の特性を発揮するパターンFを安定して形成することができる。
【0080】
また、本実施形態によれば、第1溝部34Aのうち第1溝部34Aと第2溝部34Bとが接続する接続部37近傍に機能液Lが供給されるため、機能液Lが濡れ拡がる際に容易に第2溝部34Bに流れ込ませることができ、より円滑に第2溝部34Bに機能液Lを供給することが可能となる。
【0081】
また、本実施形態では、バンクBの形成を第1実施形態で示した方法で行なっているため、バンクBの上面のみ撥液化し、バンクBの側面K、底面Jを撥液化しない状態とすることができる。このため、微細なパターンFを形成する場合でも、バンクB,B内に機能液Lがスムーズに入り込めるようになり、膜の均一性も向上する。
【0082】
第1溝部34A及び第2溝部34Bに機能液Lを供給した後、上述した第1実施形態同様、焼成工程等を経ることによって、パターンFを形成することができる。
【0083】
[第4実施形態]
次に第4実施形態について図13及び図14を参照しながら説明する。上述の実施形態においては、区画領域Aは、バンクB、Bによって形成されているが、例えば、基板Pに凹部34’を形成し、その凹部34’の内面(側面K’、底面J’)によって、区画領域Aを形成するようにしてもよい。そして、機能液Lに対する側面K’、底面J’の接触角を最適化することによって、基板Pに供給後の側面K’、K’同士の間での滴のエッジの形状を、滴の供給位置に向かって凹むように設定可能である。
【0084】
<薄膜トランジスタ>
本発明の膜パターンの形成方法は、図15に示すようなスイッチング素子としての薄膜トランジスタ(TFT)及びそれに接続する配線を形成するときに適用可能である。図15において、TFTを有するTFT基板P上には、ゲート配線40と、このゲート配線40に電気的に接続するゲート電極41と、ソース配線42と、このソース配線42に電気的に接続するソース電極43と、ドレイン電極44と、ドレイン電極44に電気的に接続する画素電極45とを備えている。ゲート配線40はX軸方向に延びるように形成され、ゲート電極41はY軸方向に延びるように形成されている。また、ゲート電極41の幅H2はゲート配線40の幅H1よりも狭くなっている。これらゲート配線40及びゲート電極41を、上述の実施形態で説明した膜パターンの形成方法で形成することができる。
【0085】
また、上述の実施形態で説明した膜パターンの形成方法を用いて、TFT(薄膜トランジスタ)のゲート配線のみならず、ソース電極、ドレイン電極、画素電極などの他の構成要素を製造することも可能である。以下、TFTを製造する方法について図16を参照しながら説明する。
【0086】
図16(A)に示すように、まず、洗浄したガラス基板610の上面に、1画素ピッチの1/20〜1/10の溝611aを設けるための第1層目のバンク611が、上述の実施形態の方法を用いて形成される。
【0087】
第1層目のバンク形成工程に続くゲート走査電極形成工程では、バンク611で区画された領域である溝611a内を満たすように、導電性材料を含む機能液の液滴を供給することで、ゲート走査電極612が形成される。ゲート走査電極612は、バンク611に十分な撥液性が予め与えられているので、溝611aからはみ出ることなく形成される。
【0088】
以上の工程により、基板610上には、バンク611とゲート走査電極612からなる平坦な上面を備えた第1の導電層が形成される。
【0089】
また、溝611a内に液滴を良好に満たすためには、図16(A)に示すように、この溝611aの形状として準テーパ(吐出元に向かって開く向きのテーパ形状)を採用するのが好ましい。これにより、吐出された液滴を十分に奥深くまで入り込ませることが可能となる。
【0090】
次に、図16(B)に示すように、プラズマCVD法によりゲート絶縁膜613、活性層610、及びコンタクト層609が連続して成膜される。ゲート絶縁膜613として窒化シリコン膜、活性層610としてアモルファスシリコン膜、コンタクト層609としてn+型シリコン膜を原料ガスやプラズマ条件を変化させることにより形成する。
【0091】
半導体層形成工程に続く第2層目のバンク形成工程では、図16(C)に示すように、ゲート絶縁膜613の上面に、1画素ピッチの1/20〜1/10でかつ溝611aと交差する溝614aを設けるための2層目のバンク614を、フォトリソグラフィ法に基づいて形成する。
【0092】
上記第2層目のバンク形成工程に続くソース・ドレイン電極形成工程では、バンク614で区画された描画領域である溝614a内を満たすように、導電性材料を含む液滴を供給することで、図16(D)に示すように、ゲート走査電極612に対して交差するソース電極615及びソース電極616が形成される。
【0093】
また、ソース電極615及びドレイン電極616が形成された溝614aを埋めるように絶縁材料617が形成される。以上の工程により、基板610上には、バンク614と絶縁材料617からなる平坦な上面620が形成される。
【0094】
そして、絶縁材料617にコンタクトホール619を形成するとともに、上面620上にパターニングされた画素電極(ITO)618を形成し、コンタクトホール619を介してドレイン電極616と画素電極618とを接続することで、TFTが形成される。
【0095】
<電気光学装置>
次に電気光学装置の一例として、液晶表示装置について説明する。図17は本実施形態に係る液晶表示装置について各構成要素とともに示す対向基板側から見た平面図であり、図18は図17のH−H’線に沿う断面図である。また、図19は液晶表示装置の画像表示領域においてマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路図で、図20は液晶表示装置の部分拡大断面図である。なお、以下の説明に用いた各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならせてある。
【0096】
図17及び図18において、本実施の形態の液晶表示装置(電気光学装置)100は、対をなすTFTアレイ基板10と対向基板20とが光硬化性の封止材であるシール材52によって貼り合わされ、このシール材52によって区画された領域内に液晶50が封入、保持されている。シール材52は、基板面内の領域において閉ざされた枠状に形成されてなり、液晶注入口を備えず、封止材にて封止された痕跡がない構成となっている。
【0097】
シール材52の形成領域の内側の領域には、遮光性材料からなる周辺見切り53が形成されている。シール材52の外側の領域には、データ線駆動回路201及び実装端子202がTFTアレイ基板10の一辺に沿って形成されており、この一辺に隣接する2辺に沿って走査線駆動回路204が形成されている。TFTアレイ基板10の残る一辺には、画像表示領域の両側に設けられた走査線駆動回路204の間を接続するための複数の配線205が設けられている。また、対向基板20のコーナーの少なくとも1箇所においては、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的導通をとるための基板間導通材206が配設されている。
【0098】
なお、データ線駆動回路201及び走査線駆動回路204をTFTアレイ基板10の上に形成する代わりに、例えば、駆動用LSIが実装されたTAB(Tape Automated Bonding)基板とTFTアレイ基板10の周辺部に形成された端子群とを異方性導電膜を介して電気的及び機械的に接続するようにしてもよい。なお、液晶表示装置100においては、使用する液晶50の種類、すなわち、TN(Twisted Nematic)モード、STN(Super Twisted Nematic)モード等の動作モードや、ノーマリホワイトモード/ノーマリブラックモードの別に応じて、位相差板、偏光板等が所定の向きに配置されるが、ここでは図示を省略する。
【0099】
また、液晶表示装置100をカラー表示用として構成する場合には、対向基板20において、TFTアレイ基板10の後述する各画素電極に対向する領域に、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)のカラーフィルタをその保護膜とともに形成する。
【0100】
このような構造を有する液晶表示装置100の画像表示領域においては、図19に示すように、複数の画素100aがマトリクス状に構成されているとともに、これらの画素100aの各々には、画素スイッチング用のTFT(スイッチング素子)30が形成されており、画素信号S1、S2、…、Snを供給するデータ線6aがTFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画素信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次で供給してもよく、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。また、TFT30のゲートには走査線3aが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線3aにパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmをこの順に線順次で印加するように構成されている。
【0101】
画素電極19は、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけオン状態とすることにより、データ線6aから供給される画素信号S1、S2、…、Snを各画素に所定のタイミングで書き込む。このようにして画素電極19を介して液晶に書き込まれた所定レベルの画素信号S1、S2、…、Snは、図18に示す対向基板20の対向電極121との間で一定期間保持される。なお、保持された画素信号S1、S2、…、Snがリークするのを防ぐために、画素電極19と対向電極121との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量60が付加されている。例えば、画素電極19の電圧は、ソース電圧が印加された時間よりも3桁も長い時間だけ蓄積容量60により保持される。これにより、電荷の保持特性は改善され、コントラスト比の高い液晶表示装置100を実現することができる。
【0102】
図20はボトムゲート型TFT30を有する液晶表示装置100の部分拡大断面図であって、TFTアレイ基板10を構成するガラス基板Pには、上述の実施形態で説明したような膜パターンの形成方法により、導電性膜としてのゲート配線61が形成されている。
【0103】
ゲート配線61上には、SiNxからなるゲート絶縁膜62を介してアモルファスシリコン(a−Si)層からなる半導体層63が積層されている。このゲート配線部分に対向する半導体層63の部分がチャネル領域とされている。半導体層63上には、オーミック接合を得るための例えばn+型a−Si層からなる接合層64a及び64bが積層されており、チャネル領域の中央部における半導体層63上には、チャネルを保護するためのSiNxからなる絶縁性のエッチストップ膜65が形成されている。なお、これらゲート絶縁膜62、半導体層63、及びエッチストップ膜65は、蒸着(CVD)後にレジスト塗布、感光・現像、フォトエッチングを施されることで、図示されるようにパターニングされる。
【0104】
さらに、接合層64a、64b及びITOからなる画素電極19も同様に成膜するとともに、フォトエッチングを施されることで、図示するようにパターニングされる。そして、画素電極19、ゲート絶縁膜62及びエッチストップ膜65上にそれぞれバンク66…を突設し、これらバンク66…間に上述した液滴吐出装置IJを用いて、銀化合物の液滴を吐出することでソース線、ドレイン線を形成することができる。
【0105】
本実施の形態の液晶表示装置は、上記膜パターンの形成方法により、微細化や細線化が図られた導電膜が、精度よく安定して形成されることから、高い品質や性能が得られる。
【0106】
なお、上記実施形態では、TFT30を液晶表示装置100の駆動のためのスイッチング素子として用いる構成としたが、液晶表示装置以外にも例えば有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示デバイスに応用が可能である。有機EL表示デバイスは、蛍光性の無機および有機化合物を含む薄膜を、陰極と陽極とで挟んだ構成を有し、前記薄膜に電子および正孔(ホール)を注入して再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・燐光)を利用して発光させる素子である。そして、上記のTFT30を有する基板上に、有機EL表示素子に用いられる蛍光性材料のうち、赤、緑および青色の各発光色を呈する材料すなわち発光層形成材料及び正孔注入/電子輸送層を形成する材料をインクとし、各々をパターニングすることで、自発光フルカラーELデバイスを製造することができる。本発明におけるデバイス(電気光学装置)の範囲にはこのような有機ELデバイスをも含むものである。
【0107】
図21は、液滴吐出装置IJにより一部の構成要素が製造された有機EL装置の側断面図である。図21を参照しながら、有機EL装置の概略構成を説明する。
【0108】
図21において、有機EL装置401は、基板411、回路素子部421、画素電極431、バンク441、発光素子451、陰極461(対向電極)、および封止基板471から構成された有機EL素子402に、フレキシブル基板(図示略)の配線および駆動IC(図示略)を接続したものである。回路素子部421は、アクティブ素子であるTFT60が基板411上に形成され、複数の画素電極431が回路素子部421上に整列して構成されたものである。そして、TFT60を構成するゲート配線61が、上述した実施形態の配線パターンの形成方法により形成されている。
【0109】
各画素電極431間にはバンク441が格子状に形成されており、バンク441により生じた凹部開口444に、発光素子451が形成されている。なお、発光素子451は、赤色の発光をなす素子と緑色の発光をなす素子と青色の発光をなす素子とからなっており、これによって有機EL装置401は、フルカラー表示を実現するものとなっている。陰極461は、バンク441および発光素子451の上部全面に形成され、陰極461の上には封止用基板471が積層されている。
【0110】
有機EL素子を含む有機EL装置401の製造プロセスは、バンク441を形成するバンク形成工程と、発光素子451を適切に形成するためのプラズマ処理工程と、発光素子451を形成する発光素子形成工程と、陰極461を形成する対向電極形成工程と、封止用基板471を陰極461上に積層して封止する封止工程とを有している。
【0111】
発光素子形成工程は、凹部開口444、すなわち画素電極431上に正孔注入層452および発光層453を形成することにより発光素子451を形成するもので、正孔注入層形成工程と発光層形成工程とを具備している。そして、正孔注入層形成工程は、正孔注入層452を形成するための機能液を各画素電極431上に吐出する第1吐出工程と、吐出された機能液を乾燥させて正孔注入層452を形成する第1乾燥工程とを有している。また、発光層形成工程は、発光層453を形成するための機能液を正孔注入層452の上に吐出する第2吐出工程と、吐出された機能液を乾燥させて発光層453を形成する第2乾燥工程とを有している。なお、発光層453は、赤、緑、青の3色に対応する材料によって3種類のものが形成されるようになっており、したがって前記の第2吐出工程は、3種類の材料をそれぞれに吐出するために3つの工程からなっている。
【0112】
この発光素子形成工程において、正孔注入層形成工程における第1吐出工程と、発光層形成工程における第2吐出工程とで液滴吐出装置IJを用いることができる。
【0113】
図22は液晶表示装置の別の実施形態を示す図である。図22に示す液晶表示装置(電気光学装置)901は、大別するとカラーの液晶パネル(電気光学パネル)902と、液晶パネル902に接続される回路基板903とを備えている。また、必要に応じて、バックライト等の照明装置、その他の付帯機器が液晶パネル902に付設されている。
【0114】
液晶パネル902は、シール材904によって接着された一対の基板905a及び基板905bを有し、これらの基板905bと基板905bとの間に形成される間隙、いわゆるセルギャップには液晶が封入されている。これらの基板905a及び基板905bは、一般には透光性材料、例えばガラス、合成樹脂等によって形成されている。基板905a及び基板905bの外側表面には偏光板906a及び偏光板906bが貼り付けられている。なお、図22においては、偏光板906bの図示を省略している。
【0115】
また、基板905aの内側表面には電極907aが形成され、基板905bの内側表面には電極907bが形成されている。これらの電極907a、907bはストライプ状または文字、数字、その他の適宜のパターン状に形成されている。また、これらの電極907a、907bは、例えばITO等の透光性材料によって形成されている。基板905aは、基板905bに対して張り出した張り出し部を有し、この張り出し部に複数の端子908が形成されている。これらの端子908は、基板905a上に電極907aを形成するときに電極907aと同時に形成される。したがって、これらの端子908は、例えばITOによって形成されている。これらの端子908には、電極907aから一体に延びるもの、及び導電材(不図示)を介して電極907bに接続されるものが含まれる。
【0116】
回路基板903には、配線基板909上の所定位置に液晶駆動用ICとしての半導体素子900が実装されている。なお、図示は省略しているが、半導体素子900が実装される部位以外の部位の所定位置には抵抗、コンデンサ、その他のチップ部品が実装されていてもよい。配線基板909は、例えばポリイミド等の可撓性を有するベース基板911の上に形成されたCu等の金属膜をパターニングして配線パターン912を形成することによって製造されている。
【0117】
本実施形態では、液晶パネル902における電極907a、907b及び回路基板903における配線パターン912が、上述の実施形態で説明したような膜パターンの形成方法によって形成されている。
【0118】
なお、前述した例はパッシブ型の液晶パネルであるが、アクティブマトリクス型の液晶パネルとしてもよい。すなわち、一方の基板に薄膜トランジスタ(TFT)を形成し、各TFTに対し画素電極を形成する。また、各TFTに電気的に接続する配線(ゲート配線、ソース配線)を上記のようにインクジェット技術を用いて形成することができる。一方、対向する基板には対向電極等が形成されている。このようなアクティブマトリクス型の液晶パネルにも本発明を適用することができる。
【0119】
また、本発明に係るデバイス(電気光学装置)としては、上記の他に、PDP(プラズマディスプレイパネル)や、基板上に形成された小面積の薄膜に膜面に平行に電流を流すことにより、電子放出が生ずる現象を利用する表面伝導型電子放出素子等にも適用可能である。
【0120】
<電子機器>
次に電子機器の具体例について説明する。図23(A)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図23(A)において、600は携帯電話本体を示し、601は上記実施形態の例えば液晶表示装置を備えた液晶表示部を示している。
【0121】
図23(B)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図23(B)において、700は情報処理装置、701はキーボードなどの入力部、703は情報処理本体、702は上記実施形態の例えば液晶表示装置を備えた液晶表示部を示している。
【0122】
図23(C)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図23(C)において、800は時計本体を示し、801は上記実施形態の例えば液晶表示装置を備えた液晶表示部を示している。
【0123】
図23(A)〜(C)に示す電子機器は、上記実施形態の表示装置を備えたものであるので、高い品質や性能が得られる。
【0124】
なお、本実施形態の電子機器は液晶表示装置を備えるものとしたが、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマ型表示装置等、他の電気光学装置を備えた電子機器とすることもできる。
【0125】
次に、本発明の膜パターンの形成方法によって形成される膜パターンを、アンテナ回路に適用した例について説明する。
【0126】
図24は本実施形態に係る非接触型カード媒体を示しており、非接触型カード媒体400は、カード基体402とカードカバー418から成る筐体内に、半導体集積回路チップ408とアンテナ回路412を内蔵し、図示されない外部の送受信機と電磁波または静電容量結合の少なくとも一方により電力供給あるいはデータ授受の少なくとも一方を行なうようになっている。
【0127】
本実施形態では、上記アンテナ回路412が、上述の実施形態で説明したような膜パターンの形成方法に基づいて形成されている。そのため、上記アンテナ回路412の微細化や細線化が図られ、高い品質や性能を得ることができる。
【0128】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】膜パターンの形成方法を概念的に示す図である。
【図2】液滴吐出装置の概略斜視図である。
【図3】ピエゾ方式による機能液の吐出原理を説明するための図である。
【図4】第1実施形態に係る膜パターンの形成方法を説明するためのフローチャート図である。
【図5】膜パターンの形成手順を示す工程図である。
【図6】図5に続く工程図である。
【図7】膜パターンの形成方法を示す模式図である。
【図8】プラズマ処理装置の一例を説明するための図である。
【図9】膜パターンの形成装置の一例を説明するための図である。
【図10】第2実施形態に係る膜パターンの形成方法を説明するための図である。
【図11】第3実施形態に係る膜パターンの形成方法を説明するための図である。
【図12】第3実施形態に係る膜パターンの形成方法を説明するための図である。
【図13】第4実施形態に係る膜パターンの形成方法を説明するための図である。
【図14】第4実施形態に係る膜パターンの形成方法を説明するための図である。
【図15】薄膜トランジスタを有する基板の一例を示す模式図である。
【図16】薄膜トランジスタを製造する工程を説明するための図である。
【図17】液晶表示装置を対向基板の側から見た平面図である。
【図18】図17のH−H’線に沿う断面図である。
【図19】液晶表示装置の等価回路図である。
【図20】液晶表示装置の部分拡大断面図である。
【図21】有機EL装置の部分拡大断面図である。
【図22】液晶表示装置の他の形態を示す図である。
【図23】本発明の電子機器の具体例を示す図である。
【図24】非接触型カード媒体の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0130】
A…区画領域、B…バンク、F…膜パターン、J…底面、K…側面(壁面)、L…機能液、P…基板、30…スイッチング素子、31…膜、34…凹部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バンクによって基板上に形成された区画領域の所定位置に向けて吐出ヘッドより滴を供給し、
前記供給後の前記バンクの間での前記滴のエッジの形状が、前記滴が濡れ拡がる方向に向かって凹むように設定される膜パターンの形成方法。
【請求項2】
前記バンクは、前記基板に形成された凹部を含む請求項1記載の膜パターンの形成方法。
【請求項3】
前記滴に対する前記バンクの接触角を45度以下にする請求項1記載の膜パターンの形成方法。
【請求項4】
前記滴に対する前記基板の接触角を50度以下にする請求項3記載の膜パターンの形成方法。
【請求項1】
バンクによって基板上に形成された区画領域の所定位置に向けて吐出ヘッドより滴を供給し、
前記供給後の前記バンクの間での前記滴のエッジの形状が、前記滴が濡れ拡がる方向に向かって凹むように設定される膜パターンの形成方法。
【請求項2】
前記バンクは、前記基板に形成された凹部を含む請求項1記載の膜パターンの形成方法。
【請求項3】
前記滴に対する前記バンクの接触角を45度以下にする請求項1記載の膜パターンの形成方法。
【請求項4】
前記滴に対する前記基板の接触角を50度以下にする請求項3記載の膜パターンの形成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2008−93620(P2008−93620A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−281132(P2006−281132)
【出願日】平成18年10月16日(2006.10.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月16日(2006.10.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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