説明

膜形成対象物品支持装置及び膜形成装置

【課題】キッカーの設定を容易、確実に行うことができ、キッカーによる被駆動輪のキックミス発生が抑制でき、膜形成対象物品の処理量を増大できる膜形成対象物品の支持装置を提供する。
【解決手段】この支持装置2は、回転駆動されるテーブル30と、テーブル30に立設され、テーブル30の回転に伴いテーブル30の回転中心線のまわりを円運動する複数本の外側パイプ102と、各外側パイプ102に沿って複数段に配置され、テーブル30の回転に連動して外側パイプ102を中心に回転する小テーブル103と、各小テーブル103に傾斜するように立設され、小テーブル103の回転に伴い外側パイプ102のまわりを円運動する複数のホルダ104と、外側パイプ102が回転しても回転しない内側パイプ105に設けられ、ホルダ104と連動回転するギヤに接触してホルダ104を回転させるキッカーとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は膜形成装置の膜形成室内に設置して用いる膜形成対象物品支持装置及び膜形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
膜形成対象物品に膜形成する膜形成装置については種々のものが知られている。今日では、各種物理的蒸着法(PVD法)(真空アーク蒸着法、スパッタ蒸着法等)を利用した膜形成装置や化学的蒸着法(プラズマCVD法、熱CVD法等)を利用した膜形成装置、さらにはこれら膜形成方法を組み合わせた方法を用いる膜形成装置が広く利用されている。
【0003】
このようなPVD法、CVD法等を利用した膜形成装置では、膜形成に寄与するイオン等の粒子を発生させ、該粒子を膜形成対象物品へ向かわせ、該物品上に膜形成する。
【0004】
このような膜形成装置では、生産性向上のために膜形成室内に複数個の膜形成対象物品を配置してそれら物品に膜形成することが行われており、その場合、各物品に均一な膜を形成するために、該物品を移動させたり、回転させたりしつつ膜形成することが行われており、そのための膜形成対象物品支持装置も提案されている。
【0005】
その一つとして、回転駆動される主台と、該主台に立設され、該主台の回転に伴い該主台の回転中心線のまわりを円運動する複数本の支柱と、該各支柱に沿って複数段に配置され、前記主台の回転に連動して該支柱を中心に回転する副台と、該各副台に立設され、該副台の回転に伴い支柱のまわりを円運動する複数の膜形成対象物品のホルダと、該各ホルダに対して設けられ、該ホルダと連動回転する被駆動輪と、各支柱に沿って複数段に配置された副台のそれぞれに対応させて設けられ、該副台に立設されたホルダと連動回転する被駆動輪が該支柱を中心に円運動してくることで該被駆動輪に接触して該被駆動輪及びホルダを回転させるキッカーとを含んでいる膜形成対象物品支持装置を挙げることができる。
【0006】
図7〜図9に、この支持装置の一例を示す。図7〜図9に示すように、この支持装置200は、モータ201と、モータ主軸202及び回転軸203に接続された中央支柱208と、中央支柱208の下端に設けられた主台相当のテーブル207と、中央支柱208の上端に設けられた天板209とを含む。テーブル207の回転中心のまわりには6本のテーブル支柱210が回転可能に立設されており、各テーブル支柱に副台相当の小テーブル213が設けられている。この小テーブル213は、例えば上下4段に設けられる(図7には最上段と最下段の2段しか図示していない)。テーブル207の下方には固定歯車204が設けられ、この固定歯車204は、回転軸203に固定されており、小テーブル213が固設されたテーブル支柱210に設けられた歯車205に噛み合っている。小テーブル213上には8個のホルダ211がテーブル支柱210の延びる方向と同一方向、すなわち、垂直方向に設けられている。
【0007】
各ホルダ211には被駆動輪相当のギヤ212が設けられ、このギヤ212は、小テーブル213の回転に伴い、テーブル207の外周方向に設けられたキッカー215に近づきキッカー215に接触すると弾かれて回転することにより、ホルダ211を回転させる。キッカー215は、キッカー固定支柱217に設けられたキッカー固定治具216により該支柱に位置調整(上下方向位置及び軸まわり位置の調整)可能に取り付けられている。また、キッカー215とギヤ212との接触等によりゴミが落下するときに備えて受け皿214を小テーブル213の下方に設けている。
【0008】
また、特開平11−323550号公報(特許文献1)には、ホルダ回転のための駆動力を必要最小限に抑え、しかも非接触方式でホルダを回転させ得る構造とすることにより、回転動力エネルギーの低減化並びに成膜の均質化を図らせる、真空成膜装置用回転テーブルが記載されている。
【0009】
この真空成膜装置用回転テーブルは、成膜される部品を搭載する真空成膜装置の回転テーブルであって、回転テーブルの中心軸回りに回転可能に設けられる大テーブルと、大テーブルの周縁にその中心と同心の円に沿って自軸回りの回転可能にそれぞれ配置される複数個の小テーブルと、各小テーブルの周縁にその中心と同心の円に沿って自軸回りの回転可能にそれぞれ配置され、成膜される部品を保持する複数個のワークホルダと、各小テーブルにそれぞれ隣接して大テーブルに回転可能に配置される複数個の回転軸と、各回転軸に等分周に取付けられる複数個の磁石片からなる複数個の能動側磁石体と、モータ及び回転動力伝達機構を備え、大テーブルの自転、複数個の小テーブルと複数個の回転軸の公転及び自転を行わせるための駆動手段と、各ワークホルダにおける非保持側下部に能動側磁石体に近接対向して等分周に取付けられる複数個の磁石片からなり、能動側磁石体の相対向する磁石片間に生じる磁気反発力と磁気吸引力とによりワークホルダに回転運動を付与する受動側磁石体とを含むことを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平11−323550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、図7〜図9に記載した従来の支持装置200は、キッカー215の位置決めが面倒で(軸回り位置及び上下位置の双方の調整をキッカー固定治具216により行う必要がある)、キッカー215の位置がずれてキックミスを起こしやすい、キッカー固定支柱217が膜形成の邪魔になるという問題がある。さらに、落下物の受け皿を設ける際には、小テーブル213の下方に別途設けている。また、特許文献1に記載の真空成膜装置用回転テーブルでは、磁石が必要である。
【0012】
また、ホルダ211及びホルダ211に設置される膜形成対象物品が垂直方向に延びているため、テーブル支柱に複数連設される小テーブル間には、それぞれ小テーブルに設けられたホルダ211の高さに加え、ホルダ211に設置される膜形成対象物品の高さをも加味した間隔を設ける必要がある。したがって、このような真空成膜装置では、膜形成対象物品の数量を出来る限り多く搭載するために、小テーブルの数を増やすべくテーブル支柱に設けられる小テーブル間の距離を小さくしようとしても、ホルダ及び膜形成対象物品の寸法に制約を受けるという問題がある。
【0013】
そこで、本発明は、従来の同タイプの支持装置と比べると、キッカーを所定位置に安定的に設定してキッカーによる被駆動輪のキックミス発生を抑制することができ、それだけ各膜形成対象物品に安定して均一に膜形成でき、さらに円滑に膜形成でき、多くの膜形成対象物品を処理できる膜形成対象物品支持装置及び膜形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は前記の課題を解決するため、以下に示す膜形成対象物品支持装置を提供する。
膜形成に寄与する粒子を発生させ、該粒子を膜形成対象物品へ向かわせ、該物品上に膜形成する膜形成装置の膜形成室内に設置して用いる膜形成対象物品支持装置であり、回転駆動される主台と、該主台に立設され、該主台の回転に伴い該主台の回転中心線のまわりを円運動する複数本の支柱と、該各支柱に沿って複数段に配置され、前記主台の回転に連動して該支柱を中心に回転する副台と、該各副台に立設され、該副台の回転に伴い支柱のまわりを円運動する複数の膜形成対象物品のホルダと、該各ホルダに対して設けられ、該ホルダと連動回転する被駆動輪と、前記各支柱に沿って複数段に配置された前記副台のそれぞれに対応させて設けられ、該副台に立設された前記ホルダと連動回転する前記被駆動輪が該支柱を中心に円運動してくることで該被駆動輪に接触して該被駆動輪及びホルダを回転させるキッカーとを含んでいる膜形成対象物品支持装置であって、前記支柱は前記主台に対して回転しないように該主台に立設されており、該各支柱に沿って上下方向に複数段に配置された前記副台を前記主台の回転に連動させて該支柱のまわりに回転させる連動機構を備えており、前記キッカーは前記各支柱に沿って上下方向に配置された前記副台のそれぞれに対応させて該支柱に固設されており、前記ホルダ及び前記膜形成対象物品は前記支柱の延びる方向に対して傾斜するように設けられていることを特徴とする膜形成対象物品支持装置である。
【0015】
ここで「膜形成に寄与する粒子」とは膜形成に寄与するイオン等の粒子である。
この膜形成対象物品支持装置によると、主台が回転すると、主台に立設された複数本の支柱が該主台の回転中心線のまわりを円運動する。この支柱には複数段の副台が設けられ、この副台は主台の回転に連動して該支柱を中心に回転する。副台には複数の膜形成対象物品を把持するホルダが設けられ、該各ホルダと連動回転する被駆動輪が設けられ、被駆動輪が該支柱を中心に円運動してくることでキッカーに接触してホルダが回転する。
【0016】
このようにホルダを、ひいては該ホルダに支持させた膜形成対象物品を回転させることができるので、均一な膜形成を実現できる。さらに、このように回転させるときに、前記キッカーは、上下方向に配置された前記副台のそれぞれに対応させて、前記主台に対して回転しない前記各支柱に固設されており、該支柱まわりに回ったり、上下方向に移動したりできない状態に置かれている。このため、キッカーを所定位置に安定的に設定してキッカーによる被駆動輪のキックミス発生を抑制することができ、それだけ各膜形成対象物品に安定して均一に膜形成できる。
【0017】
また、副台の外周側に従来のようなキッカー及びそれを支持するキッカー固定支柱が存在しないので、それらによりイオン等の成膜に寄与する粒子の膜形成対象物品への飛翔が妨げられることはなく、それだけ均一に円滑な膜形成を実現できる。また、副台の外周側にキッカー設置スペースが不要となり、支持装置の体格を小さくしたり、従来のキッカー設置スペースにゴミ受け等を設置したりできる利点もある。
【0018】
さらに、膜形成対象物品及びそのホルダを傾斜させて、配置テーブル支柱に複数連設される小テーブル間の距離を小さくすることができるので、小テーブルの数を増やして膜形成対象物品の処理量を増大させることができる。
【0019】
前記支柱の好ましいものの例として、前記主台に立設された二重構造支柱における内側支柱を挙げることができる。この場合、該内側支柱は該主台に対して回転しないように立設される。また、前記副台は、該二重構造支柱の前記内側支柱の外側に設けられた中空円筒の外側支柱に固設することができる。該副台を前記主台の回転に連動させて回転させる連動機構は、該主台の回転に連動させて該中空円筒の外側支柱を回転させることで該副台を回転させる機構とすることができる。
【0020】
このようにすると、内側支柱を主台に対して回転させることなく、中空円筒の外側支柱だけを回転させて、外側支柱に固設された副台を主台の回転に連動させて回転させることができる。
【0021】
さらに好ましくは、前記内側支柱は、上下方向に分割された支柱と、該分割支柱どうしを連結する、位置決め機構を備えたボスとを含むものとし、該ボスに前記キッカーを固設してもよい。
【0022】
このようにすると、例えば予めキッカーを固設したボス或いはキッカー固設前のボスを挟んで分割支柱を重ねるだけで、該分割支柱同士を容易に連結できるとともにキッカーの設定を容易、確実にでき、該キッカーによる被駆動輪のキックミスが生じにくく、被駆動輪のキック駆動が安定化し、それだけ均一な膜形成を実現できる。
【0023】
また、好ましくは、前記副台は、立ち上がり周縁部を有する皿状形態を有しており、上方からの落下物を受ける落下物受けを兼ねていてもよい。従来のように、副台の外周側にキッカー保持機構を必要としないので、キックに伴い発生したゴミ等を受ける落下物受けを副台の径を超える大きさで設ける必要がない。このため、この副台自体を落下物受けとして兼用することができる。
【0024】
本発明はまた、前記の課題を解決するため、膜形成に寄与する粒子を発生させ、該粒子を膜形成対象物品へ向かわせ、該物品上に膜形成する膜形成装置であり、成膜室内に設置して用いる膜形成対象物品支持装置として本発明に係る膜形成対象物品支持装置を採用した膜形成装置を提供する。
【0025】
本発明に係る膜形成装置は、膜形成対象物品支持装置として本発明に係る膜形成対象物品支持装置を採用しているので、該膜形成対象物品支持装置におけるキッカーを所定位置に安定的に設定してキッカーによる被駆動輪のキックミス発生を抑制することができ、それだけ各膜形成対象物品に安定して均一に膜形成でき、さらに円滑に膜形成できる。
【0026】
さらに、膜形成対象物品及びそのホルダを傾斜させて、配置テーブル支柱に複数連設される小テーブル間の距離を小さくすることができるので、小テーブルの数を増やして膜形成対象物品の処理量を増大させることができる。
【0027】
それには限定されないが、本発明に係る膜形成装置の例として、真空アーク蒸着法により膜形成する装置を挙げることができる。この膜形成装置は、均一な膜形成を実現できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の膜形成対象物品支持装置及び膜形成装置は、キッカーを所定位置に安定的に設定してキッカーによる被駆動輪のキックミス発生を抑制することができ、それだけ各膜形成対象物品に安定して均一に膜形成でき、さらに円滑に膜形成でき、多くの膜形成対象物品を処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態に係る真空アーク蒸着装置の概略図である。
【図2】図1の真空アーク蒸着装置の支持装置を側面から見た概略図である。
【図3】図1の真空アーク蒸着装置の支持装置を上面から見た概略図である。
【図4】図2の部分拡大図である。
【図5】図4の部分分解図である。
【図6】図2の支持装置のホルダを上から見た図である。
【図7】従来の真空アーク蒸着装置の支持装置を側面から見た概略図である。
【図8】図7の真空アーク蒸着装置の支持装置を上面から見た概略図である。
【図9】図7の支持装置のホルダを上から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面に基づき詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの機能及び名称も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0031】
<膜形成装置の概略構成>
図1に本発明の実施の形態に係る膜形成装置の一例である真空アーク蒸着装置Aの構成の概略図を、図2に真空アーク蒸着装置Aにおける膜形成対象物品支持装置を側面から見た概略断面図を、図3に真空アーク蒸着装置Aにおける膜形成対象物品支持装置を上面から見た概略図を、それぞれ示す。
【0032】
図1の真空アーク蒸着装置Aは、真空アーク蒸着法(アーク式イオンプレーティング法)により被処理物品W(被処理物品Wは本例では棒状物品であって、以下、物品Wと記載する)に膜形成する装置である。真空アーク蒸着装置Aは、膜形成対象物品である物品Wを支持する支持装置2を含む。なお、本発明の膜形成方法は、真空アーク蒸着法に限定されず、スパッタリング法による膜形成装置又はプラズマCVD装置であっても構わない。
【0033】
図1〜図3に示すように、この真空アーク蒸着装置Aは、真空容器1、物品Wを支持するための支持装置2、物品Wに負のバイアス電圧を印加するためのDCバイアス電源3、真空容器1内を減圧するための排気装置4、膜形成手段の一例である真空アーク蒸着部5等を含む。
【0034】
支持装置2は、大略的には縦長の円筒形状であって、円筒形状の中心軸に中央支柱80が設けられている。図2に示すように、この支柱80は垂直方向に設けられる。この支柱80の上端に円板状の天板115が、下端に天板115と略同径のテーブル30(主台の1例)が、それぞれ設けられている。
【0035】
図3に示すように、支持装置2には、テーブル30の外径方向の円周に沿って6組の小テーブル103(副台の例)が設けられ、各小テーブル103には、支柱80の延びる方向に対して傾斜する方向にホルダ104が8個ずつ設けられている。なお、各組の小テーブル103は、例えば4段構成とされる(図2には最上段と最下段しか図示していない)。
【0036】
この支持装置2においては、図3に示すように、テーブル30が矢示X方向(逆でも構わない)に回転される。この矢示X方向のテーブル30の回転を公転と記載する。さらに、小テーブル103が矢示Y方向(逆でも構わない)に回転される。この矢示Y方向の小テーブル103の回転を第1自転と記載する。さらに、ホルダ104が矢示Z方向(逆でも構わない)に回転される。この矢示Z方向のホルダ104の回転を第2自転と記載する。
【0037】
DCバイアス電源3は、テーブル30の回転軸22等を介して、ホルダ104に支持された物品Wに負のバイアス電圧を印加する。
【0038】
排気装置4は、真空容器1内から気体を排気したり、排気して真空容器1内を減圧したりするためのポンプ等で構成される。
【0039】
真空アーク蒸着部5は、真空容器1の側壁部に、支持装置2に対向するように設けられる。真空アーク蒸着部5は蒸発源51を含む。蒸発源51の数は1つでもよいが、ここでは、支持装置2が上下方向に長く、上下方向4段に物品Wが取り付けられる関係上、蒸発源51は、上下4段設けられている。
【0040】
蒸発源51は、それ自体については公知であり、その詳細の説明はここでは繰り返さないが、基本的には、被処理物品である物品Wに形成しようとする膜の成分を含むカソード50を真空アーク放電により蒸発させるとともにイオン化させ、そのイオン化したカソード材料を物品Wに飛翔させて膜形成するものである。このとき、イオン化カソード材料が円滑に物品Wに向かうように物品WにDCバイアス電源3によりバイアス(ここでは、負のバイアス)が印加される。
【0041】
この真空アーク蒸着装置Aによると、物品Wに所望の膜を形成することができる。このとき、物品Wに均一な膜を形成する必要がある。このためには、支持装置2が、真空アーク蒸着部5から飛翔するカソード材料が均一に物品Wに到達するように物品Wを支持する必要がある。これを実現するために支持装置2は、図3に示すように、テーブル30を矢示X方向に公転させ、小テーブル103を矢示Y方向に第1自転させ、ホルダ104を矢示Z方向に第2自転させている。
以下、この支持装置2の詳細について、図2に加えて、図2の拡大図である図4〜図6を用いて説明する。
【0042】
<膜形成装置における支持装置の詳細構成>
支持装置2は、上述のように、中央支柱80を中心軸とした円筒形状であって、天板115とテーブル30とを備える。
【0043】
支柱80は、その下方において回転軸22に接続され、この回転軸22が真空容器1の底壁Sに設けられた支柱ベアリング60に回転可能に支持されるとともに、この回転軸22が支柱ベアリング60の下方へさらに突出し、モータ20のモータ主軸21に連結されている。なお、ベアリング60は後述する固定太陽歯車40の中心部に設けられており、歯車40は容器1の底壁Sに回転不能に支持されている。
【0044】
支柱80は、回転軸22との連結面近傍で、スラストベアリング等のテーブル支持ベアリング70により歯車40上に支持されたテーブル30に固着されている。テーブル30は、モータ20により図2の矢示X方向に公転される。
【0045】
テーブル30の下方には、回転軸22を支持する支柱ベアリング60を介して(より詳しくは支柱ベアリング60のハウジングに固着されて)、固定歯車40が設けられる。テーブル30がモータ20により回転されても、支柱ベアリング60の作用により、この固定歯車40は公転しない。
【0046】
この固定歯車40は、小テーブル103を第1自転させる歯車55に噛み合うように設けられている。小テーブル103の第1自転においては、小テーブル103に固着された外側パイプ102が回転し、その内側の内側パイプ105が回転しないことが特徴である。なお、外側パイプ102の回転中心と内側パイプ105の中心軸とは一致している。
【0047】
すなわち、図4に示すように、歯車55は、小テーブル支柱ハウジング101に連結され、この小テーブル支柱ハウジング101は、ボルト112でテーブル30に取付けられた外側パイプ支持ベアリング111によりテーブル30に対して回転可能に支持されている。小テーブル支柱ハウジング101は、外側パイプ支持部材124にボルト125により連結されている。外側パイプ支持部材124は、外側パイプ102を嵌合して保持している。
【0048】
外側パイプ102には小テーブル103が嵌合され保持されている。このため、テーブル30が公転すると、固定歯車40により歯車55が回転されて、歯車55が回転することにより、小テーブル支柱ハウジング101及び外側パイプ支持部材124を介してハウジング101に連結された小テーブル103が第1自転する。
【0049】
一方、内側パイプ105は、内側パイプ連結部材123により、内側パイプ支持部材122に連結されている。このとき、内側パイプ連結部材123が、その上側で内側パイプ105Aを嵌合し、その下側で内側パイプ支持部材122を嵌合して、内側パイプ105Aと内側パイプ支持部材122とを一体的に構成している。
【0050】
内側パイプ支持部材122と、外側パイプ102及び歯車55に連結された小テーブル支柱ハウジング101との間には、内側パイプ支持ベアリング121が設けられている。このため、歯車55が回転して小テーブル支柱ハウジング101を介して外側パイプ102及び小テーブル103が第1自転するときでも、内側パイプ支持ベアリング121の作用により、内側パイプ105は第1自転しない。すなわち、内側パイプ105は、このような状態で、後述するように天板115に回り止め連結されていることで、テーブル30が回転しても、自転しないようにテーブル30上に立設されていることになる。
【0051】
内側パイプ105の構成も外側パイプ102の構成も、下段から上段に向けて複数の部品を組み上げることにより実現されている。
【0052】
図4及び図5に示すように、内側パイプ105の中間部は、中空円形パイプであって、その上端部105UEは、後述するキッカー固定ボス106に嵌まり止まる段差部を得るように若干細径に形成されており、該端部105UEにピン係合部105Cを有している。また、内側パイプ105の中間部の下端部105LEは、キッカー固定ボス106に嵌まり止まる段差部を得るように若干細径に形成されており、該端部105LEにピン係合部105Dを有している。
【0053】
この中間部の内側パイプ105は、キッカー固定ボス106により連結される。このキッカー固定ボス106には、ピン係合部105Cに係合してパイプ及びボスの中心軸まわりの相対的位置を決定するピン108Aと、ピン係合部105Dに係合して同様の位置決めをするピン108Bとが設けられている。
【0054】
下段の内側パイプ105のピン係合部105Cにキッカー固定ボス106のピン108Aを係合させつつパイプ上端部105UEをボス106に嵌合し、上段の内側パイプ105のピン係合部105Dにキッカー固定ボス106のピン108Bを係合させつつパイプ下端部105LEをボス106に嵌合することで、中間における下段の内側パイプ105とそれより1段上段の内側パイプ105とを連結する。
【0055】
図4に示すように、最下段の内側パイプ105Aは、中間部の内側パイプ105と径が同じであるが、ここでは長さが異なる(長さが同じでも構わない)。しかし、前記と同様の段差部を得るための下端部とそこに形成されたピン係合部を有しており、該ピン係合部に内側パイプ支持部材122に設けたピン122Pが係合する。
【0056】
さらに、図4に示すように、最上段の内側パイプ105Bは、中間部の内側パイプ105と径が同じであるが、ここでは長さが異なる(長さが同じでも構わない)。しかし、前記と同様の段差部を得るための上端部とそこに形成されたピン係合部105Cを有しており、該ピン係合部に、天板115に設けられてパイプ上端部に内嵌する固定ボス109のピン108Cが係合する。このようにして天板115と最上段の内側パイプ105Bとが連結される。
このようにピン108Cとパイプ上端部のピン係合部105Cとが係合されることで、かつ、内側パイプ支持ベアリング121の作用により、テーブル30が回転しても、内側パイプ105は矢示Y方向に回転しない。
【0057】
図4に示すように、外側パイプ102の中間部は、内側パイプ105の外径よりも内径の大きな中空円形パイプであって、その上端は小テーブル103の中心穴に嵌合して連結され、その下端は小テーブル天板131の中心穴に嵌合して連結される。小テーブル103と小テーブル天板131の周縁部には、ホルダ104を傾斜させて支持するための傾斜部が設けられている。小テーブル103は小テーブル天板131よりも横幅の径が小さくなっている。小テーブル103と小テーブル天板131とは小テーブル支柱130により連結されている。下段の小テーブル天板131と上段の小テーブル103とが外側パイプ102で連結され、小テーブル103と小テーブル天板131との間(外側パイプ102が存在しない部分)には小テーブル支柱130で連結されているので、外側パイプ102は垂直方向に連結された構造を有することになる。
【0058】
さらに、図4に示すように、最下段の外側パイプ102Aは、中間部の外側パイプ102と内径及び外径は同じであるが長さが異なるだけではなく(長さが同じでも構わない)、その下端が小テーブル天板131の中心穴に係合されるのではなく、外側パイプ支持部材124に嵌合されている。これにより、外側パイプ102Aが外側パイプ支持部材124に連結される。
【0059】
さらに、図4に示すように、最上段の外側パイプ102Bは、中間部の外側パイプ102と内径及び外径は同じであるが長さが異なるだけではなく(長さが同じでも構わない)、その上端が小テーブル103の中心穴に係合されるのではなく、天板115の外周に設けられた嵌合部115Aに嵌合されている。これにより、外側パイプ102Bが天板115に連結される。
【0060】
なお、図4に示すように、内側パイプ102と外側パイプ105とが互いに干渉しないように、かつ、内側パイプ連結部材123の外径と最下段の外側パイプ102Aの内径とが互いに干渉しないように、構成されている。
【0061】
<ホルダの詳細構成>
図4〜図6を参照して、ホルダ104の第2自転を実現する構成について説明する。図4に示すように、ホルダ104は、径の異なる(中央が太い)3つの中空円筒を上下3段に重ねた構造を有する。上側2段の中空円筒の中空部には物品Wが保持され、最も上段の中空円筒の外周部は小テーブル天板131の穴部に嵌合している。中央段の中空円筒の外周は、小テーブル天板131の穴部の径よりも大きいので(段差があるので)、この段差によりホルダ104が抜け止めされている。最も下段の中空円筒は、その下端面が小テーブル103の周縁部に形成されたホルダ嵌合穴の底面に摺動自在に当接している。最も下段の中空円筒の中空部には、小テーブル103の周縁部に設けられた傾斜部の下方から上方に斜めに向けて設けられた軸140が嵌入しており、ホルダ104は軸140を中心にZ方向に(又は逆Z方向に)回転自在に支持されている。
【0062】
図4及び図6に示すように、最も下段の中空円筒の外周部であって、小テーブル103の周縁部の高さよりも高い位置であってキッカー107に対向する位置にギヤ110が、ホルダ104と一体的に設けられている。このギヤ110に接触可能な高さ位置及び長さのキッカー107が、キッカー固定ボス106に、キッカー固定ボルト107Aにより固定されている。このとき、キッカー107の延伸方向は、ホルダ104の延伸方向と垂直となるように設けられていてもよい。
【0063】
上述したように、小テーブル103の第1自転においては、小テーブル103に嵌合された外側パイプ102が回転し、その内側の内側パイプ105が回転しない。キッカー固定ボス106は、内側パイプ105と一体的に設けられたものであって、小テーブル103が第1自転しても回転しない。図6に示すように、矢示Yで示される第1自転に対して、キッカー107は小テーブル103に対して相対的に動かないので、第1自転により小テーブル103上をホルダ104が回転して、ホルダ104のギヤ110がキッカー107に接触する。
【0064】
すなわち、第1自転により、ホルダ104がキッカー107に近づき接触する。キッカー107がバネ鋼等の平板形状の部材であると、ギヤ110がキッカー107に接触すると、キッカー107によりギヤ110が弾かれて、ギヤ110が回転する。ギヤ110が回転すると、ホルダ104が軸140を中心にして第2自転する。この第2自転が図6の矢示Z方向の回転である。
【0065】
キッカー107は、キッカー固定ボス106に設けられている。このキッカー固定ボス106には、内側パイプ105を回り止めするピン108が設けられている。上述のように、外側パイプ102の回転中心と内側パイプ105の中心軸とは一致している。このため、ボス106への内側パイプ105の嵌合と、内側パイプ105のピン係合部へのボス上ピン108の係合とにより、内側パイプ105の上下方向及びパイプ中心軸回り方向において内側パイプ105が位置決めされ、かくして、内側パイプ105の中心軸と外側パイプ102の回転中心とが一致し、外側パイプ102に支持された小テーブル103に立設されたホルダ104の回転中心と、キッカー固定ボス106に設けられたキッカー107との水平方向の距離が一義的に決定される。
【0066】
さらに、小テーブル支柱ハウジング101の上面を基準高さとして、外側パイプ102及びキッカー固定ボス106の高さ位置を決定し、かつ、内側パイプ支持部材122の上面を基準高さとして、内側パイプ105、小テーブル103、ホルダ104及びギヤ110の高さ位置を決定する。このようにすると、ギヤ110と、キッカー固定ボス106に設けられたキッカー107との高さ方向の位置を揃えることができる。
【0067】
このことは、キッカー107を固定するキッカー固定ボス106が、該ボス106を用いて内側パイプ105を積み重ねていくだけで位置決めされ、ひいてはギヤ110に対するキッカーの位置決め(水平方向及び高さ方向)が容易に行われることを示す。なお、図6に示すように、ピン108は、1個のキッカー固定ボス106について、2ヶ所設けられている。図6では180度の間隔でピン108が設けられている。
【0068】
<膜形成装置の動作>
以上のような構造を有する真空アーク蒸着装置Aの動作について説明する。真空アーク蒸着装置Aにより物品Wに膜を形成させる場合には、先ず物品Wを支持装置2のホルダ104に装着して支持させる。そして、真空容器1を排気装置4で排気し、真空容器1内を減圧し、真空容器1内を膜形成圧に維持しつつ物品Wに膜形成することとなる。
【0069】
膜形成は、以下のように行なわれる。真空アーク蒸発部5における各蒸発源51において、アーク放電を発生させてカソード50を蒸発させるとともにイオン化する一方、バイアス電源3から支持装置2に、従って支持装置2上の各物品Wに負のDCバイアスを印加し、これによりイオン化されたカソード材料を各物品Wに飛翔させて膜形成する。この膜形成においては、支持装置2を回転させる。
【0070】
モータ20に通電して、モータ主軸21及び回転軸22を回転させて支柱80を回転させる。支柱80は、テーブル支持ベアリング70により支持されたテーブル30に立設されているので、モータ20の回転によりテーブル30が矢示X方向に公転する。
【0071】
回転軸22と固定歯車40との間には支柱ベアリング60が設けられているので、回転軸22が回転しても固定歯車40は回転しない。固定歯車40が回転することなくテーブル30が公転するので、テーブル30上に外側パイプ支持ベアリング111を介して立設された外側パイプ102に連結された歯車55が回転する。歯車55の回転により外側パイプ102が回転して外側パイプ102に固設された小テーブル103が、矢示Y方向に第1自転する。
【0072】
外側パイプ102と内側パイプ105との間には内側パイプ支持ベアリング121が設けられており、内側パイプ105の上端部が天板115に設けた固定ボス109で回り止めされているので、外側パイプ102が回転しても内側パイプ105は回転しない。内側パイプ105は回転することなく小テーブル103が第1自転する。第1自転により、内側パイプ105に固着されたキッカー107がホルダ104に固着されたギヤ110を弾いて、ギヤ110が回転する。ギヤ110が回転すると、ホルダ104が軸140を中心にして、矢示Z方向に第2自転する。
【0073】
このように、モータ20を回転させることにより、テーブル30が矢示X方向に公転し、小テーブル103が矢示Y方向に第1自転し、ホルダ104が矢示Z方向に第2自転する。
【0074】
なお、公転の回転速度、第1自転の回転速度及び第2自転の回転速度は、モータ20の回転数及び歯車のギヤ比を適宜設定することにより、所望の回転速度になるように設計されている。
【0075】
さらに、上述したように、小テーブル103の外周方向には従来のようにキッカー固定部材が存在しない。このため、そのような部材に邪魔されることなくそれだけ円滑に膜形成できる。
【0076】
また、上述の実施の形態に係る支持装置2の小テーブル103の外径のままでゴミ除けの受け皿を形成することもできる。すなわち、小テーブル103を、立ち上がり周縁部を有する皿状形態として、上方からの落下物を受けることができるようにする。このときに、キッカー107とギヤ110との接触によりゴミ等が発生する場合に受け皿を設ける必要があるが、キッカーが従来のように小テーブルの円周の外方向(小テーブルの中心軸から離れる方向)ではなく内方向(小テーブルの中心軸に近づく方向)に設けられているので、受け皿の径を大きくする必要はない。キッカー107は上述のように平板形状のものではなく、ギヤ110と噛み合うギヤであっても構わない。
【0077】
以上のようにして、本実施の形態に係る真空アーク蒸着装置によると、
(1)キッカーを固定するキッカー固定ボス106が、内側パイプ105を積み重ねていくだけで位置決めされるのでキッカーの位置決めが容易でキックミスが生じにくく、均一な膜形成を実現でき、
(2)小テーブルの回転軸側にキッカーを設けたので、小テーブルの外周側に従来のようなキッカーが存在せず、小テーブルの外周側に設けた真空アーク蒸発部5からの成膜材料の飛翔を阻害せず、
(3)小テーブルの外周側にキッカー設置スペースが不要となり、支持装置の体格を小さくしたり、キッカー設置スペースにゴミ受け等を設置したりでき、
(4)膜形成対象物品及びそのホルダを傾斜させて、配置テーブル支柱に複数連設される小テーブル間の距離を小さくすることができるので、小テーブルの数を増やして膜形成対象物品の処理量を増大させることができる。
【0078】
今回開示された実施の形態は単に例示であって、本発明が上述した実施の形態のみに限定されるわけではない。本発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含む。
【符号の説明】
【0079】
A 真空アーク蒸着装置
W 被処理物品
1 真空容器
2 支持装置
3 DCバイアス電源
4 排気装置
5 真空アーク蒸着部
20 モータ
21 モータ主軸
22 回転軸
30 テーブル
40 固定歯車
55 歯車
60 支柱ベアリング
70 テーブル支持ベアリング
80 支柱
101 小テーブル支柱ハウジング
102 外側パイプ
103 小テーブル
104 ホルダ
105 内側パイプ
106 キッカー固定ボス
107 キッカー
108 ピン
109 固定ボス
110 ギヤ
111 外側パイプ支持ベアリング
112 ボルト
115 天板
121 内側パイプ支持ベアリング
122 内側パイプ支持部材
123 内側パイプ連結部材
124 外側パイプ支持部材
125 ボルト
130 小テーブル支柱
131 小テーブル天板
140 軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜形成に寄与する粒子を発生させ、該粒子を膜形成対象物品へ向かわせ、該物品上に膜形成する膜形成装置の膜形成室内に設置して用いる膜形成対象物品支持装置であり、
回転駆動される主台と、該主台に立設され、該主台の回転に伴い該主台の回転中心線のまわりを円運動する複数本の支柱と、該各支柱に沿って複数段に配置され、前記主台の回転に連動して該支柱を中心に回転する副台と、該各副台に立設され、該副台の回転に伴い支柱のまわりを円運動する複数の膜形成対象物品のホルダと、該各ホルダに対して設けられ、該ホルダと連動回転する被駆動輪と、前記各支柱に沿って複数段に配置された前記副台のそれぞれに対応させて設けられ、該副台に立設された前記ホルダと連動回転する前記被駆動輪が該支柱を中心に円運動してくることで該被駆動輪に接触して該被駆動輪及びホルダを回転させるキッカーとを含んでいる膜形成対象物品支持装置であって、
前記支柱は前記主台に対して回転しないように該主台に立設されており、
該各支柱に沿って上下方向に複数段に配置された前記副台を前記主台の回転に連動させて該支柱のまわりに回転させる連動機構を備えており、
前記キッカーは前記各支柱に沿って上下方向に配置された前記副台のそれぞれに対応させて該支柱に固設されており、
前記ホルダ及び前記膜形成対象物品は前記支柱の延びる方向に対して傾斜するように設けられていることを特徴とする膜形成対象物品支持装置。
【請求項2】
前記支柱は、前記主台に立設された二重構造支柱における内側支柱であり、該内側支柱は該主台に対して回転しないように立設されており、
前記副台は、該二重構造支柱の前記内側支柱の外側に設けられた中空円筒の外側支柱に固設されており、
該副台を前記主台の回転に連動させて回転させる連動機構は、該主台の回転に連動させて該中空円筒の外側支柱を回転させることで該副台を回転させる機構である、請求項1記載の膜形成対象物品支持装置。
【請求項3】
前記内側支柱は、上下方向に分割された支柱と、該分割支柱どうしを連結する、位置決め機構を備えたボスとを含んでおり、
前記ボスに前記キッカーが固設されている、請求項2記載の膜形成対象物品支持装置。
【請求項4】
前記副台は、立ち上がり周縁部を有する皿状形態を有しており、上方からの落下物受けを兼ねている、請求項1から請求項3のいずれかに記載の膜形成対象物品支持装置。
【請求項5】
膜形成に寄与する粒子を発生させ、該粒子を膜形成対象物品へ向かわせ、該物品上に膜形成する膜形成装置であり、成膜室内に設置して用いる膜形成対象物品支持装置として請求項1から請求項4のいずれかに記載の膜形成対象物品支持装置を備えた膜形成装置。
【請求項6】
真空アーク蒸着法により膜形成する、請求項5記載の膜形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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