説明

膝蓋骨のトラッキング

【課題】膝に対して行う外科手術を改善するために膝蓋骨のトラッキングを可能にする装置および方法を提供すること。
【解決手段】ナビゲーション膝関節置換術200の際に患者の膝蓋骨116の軌道の決定に用いる装置および方法。この装置は、患者の膝蓋骨の後面に取り付けるための取付け具144を含む第1のコンポーネント138と、患者の膝の大腿骨部分に係合するように構成された構造146、152を有する外面を備えた第2のコンポーネント140を含む。スライダ機構168、170により、第1のコンポーネントが患者の膝蓋骨に取り付けられると、第2のコンポーネントが、第1のコンポーネントに対して実質的に内外方向176に並進運動することができる。この装置は、膝蓋骨インプラントの内外位置を容易に決定するために所定の方法に用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は、膝蓋骨のトラッキングに関し、詳細には、膝に対して行う外科手術を改善するために膝蓋骨のトラッキングを可能にする装置、器具、および方法に関する。
【0002】
〔発明の背景〕
現在、膝関節形成術において、膝蓋骨は殆ど考慮されていない。具体的には、膝関節のプロテーゼインプラントコンポーネントが膝蓋骨にどのように影響を与えるかについて殆ど考慮されていない。さらに、患者の膝蓋骨が、植え込まれた膝関節コンポーネントとどのように相互作用するかについて殆ど考慮されていない。また、患者の膝蓋骨の元の行動すなわち運動を再現しようとする試みは、殆ど考慮されていない。
【0003】
国際公開第2004/075767号に、スキャン利用外科手術において、膝蓋骨の位置を決定できるように膝蓋骨に取り付けできる膝蓋骨参照装置が開示されている。主本体を膝蓋骨に取り付け、基準アレイを主本体の少なくとも2つの異なる位置に取外し可能に結合することができる。しかしながら、この参照装置は、膝蓋骨の運動学的行動を決定することができない。
【0004】
したがって、膝関節置換術の成果を改善するために患者の膝蓋骨の運動学的行動を決定できることが有利であろう。
【0005】
本発明は、膝蓋骨の運動学的行動を膝関節置換術で適切に再現できるように、例えば植え込まれたコンポーネントの配置などの外科手術におけるガイドを補助するべく膝関節置換術の一部としてトラッキングされた膝蓋骨の軌道を決定するために用いることができるトライアルコンポーネントを提供する。
【0006】
本発明の第1の態様に従って、ナビゲーション膝関節置換術の際に患者の膝蓋骨の軌道の決定に用いられる装置を提供する。この装置は、患者の膝蓋骨に取り付ける第1のコンポーネントと、この第1のコンポーネントに対して線形に並進運動させられることができるようにこの第1のコンポーネントに取り付けられた第2のコンポーネントを含むことができる。第1のコンポーネントは、この第1のコンポーネントの患者の膝蓋骨の後面への取付けを可能にする取付け具を含むことができる。第2のコンポーネントは、使用の際に患者の膝の大腿骨部分に係合するように構成された形状を有する外面を備えることができる。第1のコンポーネントが、使用の際に患者の膝蓋骨に取り付けられると、実質的に患者の内外方向における第2のコンポーネントの第1のコンポーネントに対する並進運動を可能にするスライダ機構も提供することができる。
【0007】
大腿骨と相互作用できる部分を、膝蓋骨に取付けできる部分に対してスライド可能にすることにより、膝蓋骨の運動学的行動をより柔軟かつ包括的に決定できるように膝蓋骨の内外位置を調節することができる。本発明の装置を用いることにより、実際の膝蓋骨インプラントの最適な位置を決定して、得られるプロテーゼ膝関節を改善することができる。
【0008】
本明細書において、「患者の膝の大腿骨部分」は、トライアルインプラント、実際のプロテーゼインプラント、またはあらゆる他のインプラントのいずれでも良い、患者の膝の植え込まれた大腿骨コンポーネントだけではなく、患者の実際の大腿骨も含むものとする。
【0009】
本装置は、ロック機構も含むことができる。ロック機構は、第2のコンポーネントの第1のコンポーネントに対する並進運動を防止するように動作することができる。したがって、本装置は、第1のコンポーネントと第2のコンポーネントを様々な固定した相対変位にし、これにより膝蓋骨に対する大腿骨部分の影響を様々な潜在的な膝蓋骨インプラント位置に対して決定できるように構成することができる。
【0010】
ロック機構には、装置が自然位(in situ)で使用されている状態でロックを容易に固定および解除できるように、第2のコンポーネントの外面からアクセスすることができる。
【0011】
ロック機構は、第1のコンポーネントと第2のコンポーネントとの間で相互作用することができる。別法またはこれに加えて、ロックコンポーネントは、スライダ機構と相互作用して第1のコンポーネントと第2のコンポーネントとの間の相対的並進運動を防止することができる。
【0012】
本装置は、第2のコンポーネントの第1のコンポーネントに対する並進運動に抵抗するように作用することができる弾性付勢手段をさらに含むことができる。弾性付勢手段は、本装置が、実際の膝蓋骨の行動により近い行動をとるようにする。互いに対して反対に作用するように配置できる弾性付勢手段を2つ以上、例えば2つ設けることができる。これらの各弾性付勢手段は、金属コイルばねなどのばねまたはゴム本体などのあらゆる適当なタイプとすることができる。これらの各弾性付勢手段は、スライダ機構と相互作用することができる。好ましくは、これらの各弾性付勢手段は、スライダ機構内に配置され、スライダ機構の静止部分と可動部分との間に係合する。
【0013】
第1のコンポーネントは、実質的に平坦にすることができる。スライダ機構は、第1のコンポーネントの平面に対して実質的に平行な平面内を第2のコンポーネントが並進運動するように構成することができる。したがって、第2のコンポーネントは、使用の際に装置が取り付けられる膝蓋骨の表面の平面に対して実質的に平行な平面内を並進運動するようになっているため、膝蓋骨に対して装置の向きを調節する必要がない。
【0014】
本装置は、トラッキングシステムによってトラッキング可能な少なくとも1つのマーカーをさらに含むことができる。このマーカーは、第2のコンポーネントに取り付けることができる。これにより、第2のコンポーネントの内外の変位を容易に決定することができる。マーカーは、第2のコンポーネント内に取り付けても良い。マーカーは、第1のコンポーネントに取り付けることができる。これにより、第1のコンポーネントの位置を決定することができる。マーカーは、第1のコンポーネント内に取り付けても良い。あるマーカーを第1のコンポーネントに取り付け、別のマーカーを第2のコンポーネントに取り付けるのが好ましい。これらの各マーカーは、トラッキングシステムとの通信に見通し線(line of sight)を必要としないのが好ましい。これらの各マーカーは、有線または無線マーカーとすることができる。これらの各マーカーは、少なくとも1つの磁界センサを含むのが好ましい。
【0015】
本発明の別の態様に従って、本発明の第1の態様による装置と、トラッキングシステムによってトラッキング可能な膝蓋骨に取り付けるマーカー、この装置に使用する複数の弾性付勢手段、およびサイズが異なる本発明の第1の態様による別の装置のうちの少なくとも1つと、を含むキットを提供する。
【0016】
本発明の別の態様に従って、ナビゲーション膝関節置換術の際に患者の膝蓋骨インプラントの位置付けを評価するための方法を提供する。この方法は、膝蓋骨インプラントを、第1のコンポーネントによって患者の膝蓋骨の後部に取り付けることであって、第2のコンポーネントが、第1のコンポーネントに対して内外方向に並進運動できる、取り付けることと、第2のコンポーネントが第1のコンポーネントに対して自由に並進運動できる状態で膝関節が関節運動する際に膝蓋骨の軌道を決定することと、軌道の少なくとも一部に亘って、膝蓋骨に対する第2のコンポーネントの内外の変位を決定することと、を含む。
【0017】
したがって、膝蓋骨インプラントの好ましい内外オフセット位置を決定することができる。
【0018】
第2のコンポーネントが第1のコンポーネントに対して自由に並進運動する状態、および第2のコンポーネントが第1のコンポーネントに対して内外方向に固定された状態で、膝関節が関節運動する際の膝蓋骨の軌道を決定することができる。この方法は、軌道を比較することをさらに含むことができる。
【0019】
本発明の別の態様に従って、ナビゲーション膝関節置換術の際に患者の膝蓋骨インプラントの位置を評価するためにコンピュータが実行する方法を提供する。この方法では、トライアル膝蓋骨インプラントが、その第1のコンポーネントによって患者の膝蓋骨の後部に取り付けられ、トライアル膝蓋骨インプラントの第2のコンポーネントが、第1のコンポーネントに対して内外方向に並進運動できるようになっている。この方法は、第2のコンポーネントが第1のコンポーネントに対して自由に並進運動できる状態で膝関節が関節運動する際に、膝蓋骨のトラッキングデータから膝蓋骨の軌道を決定することと、軌道の少なくとも一部に亘って、膝蓋骨に対する第2のコンポーネントの内外の変位をトラッキングデータから決定することと、を含む。
【0020】
この方法は、第2のコンポーネントが第1のコンポーネントに対して内外方向に固定された状態で、膝関節が関節運動する際の膝蓋骨の軌道を膝蓋骨のトラッキングデータから決定することをさらに含むことができる。この方法は、軌道の比較を表示することも含むことができる。
【0021】
本発明の方法の態様では、軌道は、大腿骨および/または脛骨コンポーネントまたは膝関節の一部に関連することができる。コンポーネントまたは一部は、患者の膝の解剖学的部分、または患者の膝のトライアルやインプラントなどの人工部分とすることができる。
【0022】
本発明の別の態様は、データプロセッサによって実行されると、本発明のコンピュータが実行する方法のあらゆる態様を実行する命令を含むコンピュータプログラムコードを提供する。このようなコンピュータプログラムコードを保存するコンピュータ可読媒体も、本発明の別の態様である。
【0023】
本発明の実施形態を、単なる例として、添付の図面を参照しながら以降に説明する。
【0024】
各図面において、同様の構成要素には、特段の記載がない限り共通の参照符号を付した。
【0025】
図1を参照すると、ナビゲーション膝関節形成術において、本発明の装置と共に使用できるコンピュータ支援外科手術(CAS)システム100の模式的なブロック図が示されている。CASシステムは、ディスプレイ装置106を含むメインコンピュータ系システム104と通信するトラッキングサブシステム102を含む。ディスプレイ装置は、外科手術の一部である体の部分、インプラント、器具、および道具などの様々な実在体の相対位置、ならびにインプラント、器具、または道具の重要な解剖学的位置、軸、または、計画された位置などの位置データをグラフ表示する。ディスプレイ装置によって、当分野で周知のように画像誘導手術を実施することができる。
【0026】
図1は、大腿骨112、脛骨114、および膝蓋骨116を含む患者の膝関節の模式的な表現110も示している。大腿骨、脛骨、および膝蓋骨にはそれぞれ、トラッキングサブシステム102によって個別にトラッキング可能なマーカー118、120、および122が取り付けられている。トラッキングサブシステム102は、トラッキングデータをコンピュータシステム104に供給して、マークした実在体の位置および向きをトラッキングシステムの基準座標系で決定することができる。外科手術の際に導かれる器具、インプラント、および他の実在体も、トラッキング可能なマーカーを備えている。
【0027】
超音波、赤外線、および電磁波などの有線および無線トラッキング技術を含む様々なタイプのトラッキング技術を用いることができる。一般的に使用されている赤外線トラッキング技術では、それぞれが複数の反射球を備えた基準アレイのイメージを取得するために一対のカメラを使用している。電磁トラッキング技術の一例では、時間と共に変動する電磁界の電磁界強度を決定するために互いに直交した3つのセンサコイルを含むマーカーを使用している。この技術は、国際出願第2005/084572号およびここに記載する他の参考文献に詳細に記載されており、これらの文献は、参照することを以って本明細書の一部とする。
【0028】
コンピュータシステム104は、トラッキングシステムの基準座標系を用いて患者、インプラント、および器具の位置合せを行うためのソフトウエアおよび外科手術を計画するためのソフトウエアを通常は含む外科手術を実施するためのワークフローを定義するソフトウエアを含め、多数の機能を実行するソフトウエアを含む。
【0029】
図2を参照すると、ナビゲーション膝関節形成術の実施を支援するべく、膝の屈曲および伸展の際の膝蓋骨の軌道を決定するためにナビゲーション膝関節形成術の際に使用する装置130が示されている。ここで用いる語「軌道」は通常、空間中を実在体が従う経路を指す。具体的には、膝蓋骨の軌道を、絶対的に決定することができ、膝蓋骨の経路を、トラッキングシステムの基準座標系においてトラッキングによって決定する。また、膝蓋骨の軌道は、トラッキングによって、例えば、患者の実際の解剖学上の膝、または膝関節大腿骨プロテーゼのインプラントまたはトライアル部分などの膝関節の大腿骨コンポーネントに対するように相対的に決定することができる。膝蓋骨の軌道はまた、トラッキングによって、例えば、患者の実際の解剖学上の脛骨膝部分、または膝関節脛骨プロテーゼのインプラントまたはトライアル部分などの膝関節の脛骨コンポーネントに対して決定することができる。これは、膝蓋骨の軌道に対する脛骨の回転を決定する際に有用であろう。
【0030】
図2は、装置130の平面図132、上下方向の端面図134、および内外方向の側面図136を示している。この装置は、トライアルインプラントとして用いることができ、他の実施形態では、患者に永久的に植え込まれる実際のプロテーゼインプラントとすることができる。
【0031】
トライアルインプラントは、ほぼ円形または卵形の形状を有する第1の部分138および第2の部分140を含む。トライアルインプラントは、例えば、直径すなわち主軸を約24mm〜36mmとするなど、様々な異なるサイズで用意することができる。第1のコンポーネントは、通常は平坦であって、ステンレス鋼やチタンなどの生体適合性金属から形成することができる。3個の尖った金属スパイク144(平面図132ではゴーストライン(ghost lines)で図示)が、第1のコンポーネントの後面から突出しており、使用の際、取付け具として、トライアルインプラントを膝蓋骨の切除された後面に取り付けることができる。第2のコンポーネントは、図4を参照して後述するスライダ機構によって第1のコンポーネントに取り付けられているため、第1のコンポーネントの平面に対して概ね平行な平面内において、第1のコンポーネントに対して線形に並進運動することができる。
【0032】
第2のコンポーネントは、大腿骨のみぞに係合する膝蓋骨の典型的な後面に概ね一致する形状を有する外面に概ね平滑なドーム型構造を有する。使用の際、この構造が、詳細を後述する外科手術の段階によって、患者の元の大腿骨の対応する溝部分または大腿骨インプラントの対応する溝部分に係合することができる。ねじ穴148が、第2のコンポーネントを貫通して、第1のコンポーネントと第2のコンポーネントとの間の境界面まで延びており、第1のコンポーネントと第2のコンポーネントの相対位置を固定するロック機構を提供するグラブねじ149または類似のねじ部品を受容する。第2のコンポーネントは、アセチルまたはポリエチレンなどの生体適合性プラスチック材料から形成することができる。
【0033】
図3は、膝蓋骨トライアルインプラントの第2の実施形態150を例示している。この第2の実施形態は、図2に示す実施形態に類似しているが、第2のコンポーネントの構造152が、装置の上下軸に沿って延びた平滑リッジのような形状である。
【0034】
図4は、内外軸に沿ってトライアルインプラント130の中心を通る断面図164、および上下軸に沿ってトライアルインプラント130の中心を通る断面図166を示している。スライダ機構が、第1のコンポーネント138と第2のコンポーネント140を接続している。このスライダ機構は、第2のコンポーネントの内面から、装置の内外軸に沿って延びた凹チャネル170内に沿って延びた概ねT型の突出部168によって提供されている。第1のばね172および第2のばね174が、チャネル内において、突出部の両側に配置されており、第2のコンポーネントの第1のコンポーネントに対する並進運動を制御する弾性付勢手段を提供している。図4はまた、ロック機構をより良く例示している。第1のコンポーネントの内面に対してグラブねじ149をねじ込むことによる摩擦で、内外方向における第2のコンポーネントと第1のコンポーネントの相対位置を固定することができる一方、グラブねじ149を緩めることで、両方向矢印176で例示するように、第2のコンポーネントが内外方向に自由にスライドすることができる。
【0035】
本装置は、弾性付勢手段を必ずしも備える必要はないが、トライアルインプラントが実際の膝蓋骨の行動をより正確に模すようにするのが好ましい。異なる強度のばねを、トライアル装置の異なる用途に用いることができる。例えば、体の大きい人に強いばねを用いることができ、男性患者と女性患者、または大人と子供のように年齢の異なる患者に異なる強度のばねを用いることができる。
【0036】
他の実施形態では、第1のコンポーネント138および第2のコンポーネント140の各々または両方は、第1および/または第2のコンポーネントの位置をトラッキングシステムによって決定できるように、第1および/または第2のコンポーネントのトラッキングを可能にする電磁界センサなどのセンサまたはマーカーを含むことができる。したがって、第2のコンポーネント140と第1のコンポーネントの相対的な変位を、これらのコンポーネントをトラッキングしてこれらの軌道を決定して求めることができる。トラッキング可能なマーカーまたはセンサが、第2のコンポーネントのみに設けられている場合でも、膝蓋骨自体をトラッキングすることもできるため、膝蓋骨に対する第2のコンポーネントの変位を決定することは可能である。第1のコンポーネントにトラッキング可能なマーカーを設けることにより、例えば、膝蓋骨の位置に対する第1のコンポーネント位置を決定できることが有用な場合は、決定すべき第1のコンポーネントの位置を別個にトラッキングすることができる。
【0037】
装置の一実施形態では、1または複数のマーカーは、例えば装置の第1および/または第2のコンポーネントの中に含められるなどして、第1および/または第2のコンポーネントの一体部分として設けられている。別法では、1または複数のマーカーは、第1および/または第2のコンポーネントに取り付けることができる。
【0038】
図5Aおよび図5Bは、トライアルインプラント装置を用いることができる本発明によるコンピュータ支援外科手術手順200を例示するフローチャートを示している。多くのステップは、CASシステムの処理によって実施される対応する動作を有しており、このようなコンピュータ処理も、本発明の態様である。
【0039】
この方法は、トラッキング可能なマーカー118、120、および122を、大腿骨、脛骨、および膝蓋骨に取り付けて開始する。膝蓋骨自体に直接取り付けられたマーカーではなく、装置の第1のコンポーネントに取り付けられたマーカーを提供することも可能である。この方法では、マーカーを、第1のコンポーネントによって膝蓋骨に間接的に取り付ける。マーカーが膝蓋骨に直接取り付けられるか第1のコンポーネント介して間接的に取り付けられるかにかかわらず、必要なことは、膝蓋骨の位置をトラッキングするためのマーカーと膝蓋骨との間の固定された位置関係が存在することである。しかしながら、装置を膝蓋骨に対して再配置する必要がある場合は、マーカー122を膝蓋骨に取り付けるのが好ましい。
【0040】
ステップ202で、膝関節が関節運動する際に大腿骨、脛骨、および膝蓋骨の位置をトラッキングして、CASシステムが、例えば屈曲と伸展との間で膝関節が曲げられる際の膝蓋骨の軌道を表すトラッキングデータを取得する。上記したように、膝関節が曲げられる際の膝蓋骨自体の空間位置を決定でき、かつ膝関節の大腿骨部分に対する膝蓋骨の空間位置(膝蓋骨の相対軌道)を決定できるトラッキングデータを取得する。すなわち、膝関節が関節運動する際に膝蓋骨が膝の大腿骨コンポーネントの上を通る経路を絶対的および相対的に決定できるトラッキングデータを取得する。初めの膝蓋骨相対軌道は、元の膝関節に対する膝蓋骨の好適な軌道に一致する基準軌道となる。これにより、膝蓋骨の天然の軌道、すなわち現在の手術前の状態において、膝蓋骨が膝関節に対して従うべき軌道を決定することができる。
【0041】
次に、ステップ204で、膝関節を開き、ステップ206で、膝蓋骨の後面を、トライアルインプラントを取り付けるための実質的に平坦な表面が得られるように切除する。次に、ステップ208で、脛骨および大腿骨をCASシステムで位置合せして、脛骨および大腿骨の機械軸ならびに脚の機械軸を任意の適当な技術で決定する。例えば、これらの機械軸を、これらの機械軸と既知の関係を有する様々な解剖学的特徴を取得するためにトラッキング可能なポインタを用いて決定し、かつ/または大腿骨を大腿骨頭を中心に旋回させるなどして機械軸を決定するために脛骨および/または大腿骨の運動をトラッキングすることができる。脛骨および大腿骨は、脛骨および大腿骨の表面上の多数の点を取得してから、脛骨および大腿骨のジェネリックモデルをモーフィングして、脛骨および大腿骨のカスタマイズモデルを提供する統計学的形状モデル技術を用いて位置合せすることができる。他の実施形態では、手術前または手術中に取得した患者の画像を用いる位置合せ技術を用いることもできる。
【0042】
位置合せの後、スライダ機構の長さ方向軸が患者の膝関節の内外方向に対してほぼ平行な状態で、トライアルインプラントを膝蓋骨の切除された後面に取り付けて、膝蓋骨が正常な位置にある場合に、第2のコンポーネントの外面の構造が大腿骨の溝に係合するようにする。トライアルインプラントを膝蓋骨の切除面に押圧すると、3つのスパイクが、トライアルインプラントを膝蓋骨に対して確実に固定し、第1のコンポーネントが膝蓋骨に対して移動しないようになる。このトライアルインプラントは、第2のコンポーネントが第1のコンポーネントに対してスライドできないように第1のコンポーネントと第2のコンポーネントを固定した状態で取り付ける。
【0043】
次に、大腿骨および脛骨のインプラントコンポーネントの位置を計画する。この計画には、使用するコンポーネントのサイズ、これらの相対位置、これらの相対的な向き、および骨に対するこれらの位置および向きを決定することが含まれる。例えば、これらのインプラントの内外位置、これらの内側/外側回転、および骨の切除位置を計画することができる。脛骨、大腿骨、および脚の機械軸を用いて、計画したインプラント位置を限定することができる。また、膝蓋骨の軌道を用いて、膝蓋骨に対して少なくとも同様の軌道が得られるように大腿骨コンポーネントの溝または同等物を位置付けおよび角度付けすることにより、大腿骨コンポーネントの計画した位置を限定することができる。
【0044】
大腿骨コンポーネントおよび脛骨コンポーネントの計画の後、ステップ216で、大腿骨および脛骨の切除を行い、ステップ218で、大腿骨トライアルインプラントおよび脛骨トライアルインプラントを挿入する。次に、元の膝蓋骨の軌道の再現を試みる、かつ/または膝蓋骨の軌道を変更して膝関節の運動学的性能を改善するために、膝蓋骨トライアルインプラントの内外位置を繰返し調節して、膝蓋骨トライアルインプラントおよび/または大腿骨トライアルインプラントの位置を微調整する。複数のステップ220〜230を、様々な組合せで繰り返すことができ、通常は繰返しである膝蓋骨トライアルインプラントの調節工程における様々なステップを省くことができ、図5Bのフローチャートは、これらのステップの一般的な説明図であって、ここに例示および記載する特定の順序およびステップの数に限定されるものではない。
【0045】
初めに、第2のコンポーネントが第1のコンポーネントに対して自由にスライドできるように膝蓋骨トライアルインプラントを固定解除する。ステップ222で、膝関節が屈曲‐伸展サイクルに亘って関節運動する際に、膝蓋骨トライアルインプラントの位置を、大腿骨コンポーネントに対してトラッキングし、第1のコンポーネントおよび第2のコンポーネントの位置もトラッキングする。次に、取得したトラッキングデータを用いて、膝蓋骨自体が大腿骨との相互作用とは無関係に従うべき軌道を決定することができる。例えば、これは、膝蓋骨の運動学的行動に影響を与える膝関節の靭帯または他の解剖学的特徴の状態を示すことができる。膝蓋骨の大腿骨に対する軌道を、比較するために膝蓋骨の元の軌道すなわち天然の軌道と共に表示することができる。この表示は、自由継続軌道のグラフ表示を、元の天然の軌道のグラフ表示上に互いに重ね合わせる、かつ/または膝関節および/または少なくとも大腿骨トライアルインプラントのグラフ表示上に重ね合わせて行うことができる。
【0046】
また、膝関節の伸展/屈曲に応じて第2のコンポーネントの第1のコンポーネントに対する変位を表示することができる。第1のコンポーネントの軌道と第2のコンポーネントの軌道をトラッキングしてこれらの分離を決定することにより、第2のコンポーネントの第1のコンポーネントに対する内外の変位を決定することができる。例えば、第1のコンポーネントと第2のコンポーネントとの間の内外の変位が、第1の位置で+2mm、第2の位置で+4mmであるのが見出されうる。したがって、実際の膝蓋骨インプラントの良好な折衷位置を、第1のコンポーネントの現在位置から+3mmと決定することができる。
【0047】
移動可能な第2のコンポーネントはトラッキング可能なマーカーを含むが、第1のコンポーネントはトラッキング可能なマーカーを含まない実施形態では、移動可能な第2のコンポーネントの軌道をトラッキングする前に、第1のコンポーネントに対して中心に配置された移動可能な第2のコンポーネントの初めの位置を位置合せまたは取得することによって内外の変位を決定することが可能である。初めに位置合せされた中心位置は、「0変位」位置に相当し、移動可能な第2のコンポーネントの「0変位」位置に対する変位を決定することができる。
【0048】
ステップ224で、第2のコンポーネントを、自由継続屈曲/伸展サイクルに対して決定した距離、例えば、上記の例では+3mmオフセットさせてから、第1のコンポーネントに対してスライドできないように、この第2のコンポーネントを固定することができる。次に、ステップ226で、膝が屈曲‐伸展サイクルに亘って関節運動する際に、膝蓋骨および膝蓋骨トライアルコンポーネントを再びトラッキングする。ここでも、大腿骨コンポーネントに対する膝蓋骨の軌道のグラフ表示を、元の「天然」の軌道からの現在の軌道の変位の表示と共に使用者に表示することができる。
【0049】
ステップ228で、トライアルが現在のオフセット位置にある膝蓋骨の軌道が許容範囲であるか否かを決定する。膝蓋骨の内外位置に対して多少の調節が有効であろうと決定したら、ステップ230に進み、トライアルの内外位置を、トライアルを固定解除してから調節して再固定するか、トライアルの第1のコンポーネントを膝蓋骨に対して移動させるか、大腿骨コンポーネントの位置を調節するか、またはこれらの任意の組合せによって調節することができる。必要に応じて、全ての調節を終了したら、ステップ220で、別の自由継続軌道を取得することができ、別法では、膝蓋骨トライアルインプラントを固定して、第2のコンポーネントが内外方向に並進運動するのを防止することができる。次に、膝が屈曲と伸展との間で関節運動している際に膝蓋骨の位置を再度トラッキングして、膝蓋骨の大腿骨コンポーネントに対する軌道を決定する。同様に、ステップ228で、軌道および内外の変位を評価して、現在の内外位置における膝蓋骨トライアルに対する膝蓋骨の軌道が許容範囲か否かを決定する。
【0050】
例えば、取得した軌道は、現在の膝蓋骨トライアルインプラントの位置が実際の膝蓋骨インプラントに用いられた場合、膝蓋骨が、内側方向または外側方向において変位し過ぎているか、大腿骨コンポーネントの一部と不所望に接触しているか、靭帯または他の軟組織を引っ張っているか、または他の原因で関節に害を及ぼしうることを示すことができる。
【0051】
一般に、固定されたトライアルインプラントの軌道を元の「天然」のインプラントの軌道と比較することにより、計画したインプラント位置が得た膝蓋骨軌道を膝蓋骨が本来有していた膝蓋骨軌道に対して確認するのが容易になるであろう。
【0052】
この軌道が許容範囲でない場合は、どんな理由であろうと、ステップ230で、膝関節の運動学的機能の改善を試みるために、トライアルの内外位置を変更して再固定し、かつ/または大腿骨トライアルコンポーネントの位置を調節することができる。次に、この方法は戻って、膝蓋骨軌道が許容範囲となる膝蓋骨インプラントの内外位置が決まるまで、外科医は、必要に応じて、ステップ220、222、224、226、228、および230を繰り返すことができる。
【0053】
次に、ステップ232で、所定の内外オフセット位置に実際の膝蓋骨インプラントを固定するために締付けポストを受容する孔を膝蓋骨に開ける。膝蓋骨インプラントは、当分野で一般的に知られており、2つのコンポーネントの相対運動を許容せず、かつインプラントを膝蓋骨の後面に固定するために後面から延びたペグを有するという点を除けば、ここに記載する膝蓋骨トライアルに概ね類似している。大腿骨接触部の形状は、トライアルの対応する部分と概ね同じ形状にすべきである。膝蓋骨におけるペグ用の孔の位置は、様々な方法で決定することができる。例えば、ガイドワイヤまたは他のマーカーを用いて孔を開けるべき膝蓋骨の切除面の位置をマークできるように、第1のコンポーネントにおける対応するスロットと共に、ペグと同じ間隔を有する孔を第2のコンポーネントに設けることができる。別法では、トライアルの後部のピンの間隔が、実際のインプラントの後部のペグの間隔に一致する場合は、第2のコンポーネントの第1のコンポーネントに対するオフセットを用いて、実際の膝蓋骨のインプラントの修正位置を決定することができる。
【0054】
次に、ステップ234で、実際の脛骨、大腿骨、および膝蓋骨のインプラントコンポーネントを患者に植え込んで、所定の位置にセメントで固定する。膝蓋骨インプラントの位置が、膝蓋骨トライアルインプラントの位置に一致していない場合は、ステップ236で、膝蓋骨インプラントを、最終トラッキングステップ238の前にCASシステムで位置合せする。様々な方法を用いて、膝蓋骨インプラントを位置合せすることができる。例えば、膝蓋骨インプラントに対して既知の位置関係および既知のジオメトリを有する、膝蓋骨インプラントにおける3つの小凹部の位置を、トラッキング可能なポインタを用いて確認することができる。次に、ステップ238で、膝蓋骨の実際の軌道が、プロテーゼ膝関節に適していることを決定するために、膝が関節運動している際に膝蓋骨を再度トラッキングして、大腿骨コンポーネントに対する膝蓋骨の軌道を検証する。この軌道は、事前に取得したあらゆる軌道、特に元の「天然」の軌道と比較して検証することができる。この比較は、視認とするか、または最終軌道と前の軌道との間の差の算出による数値とすることができる。
【0055】
したがって、本発明のトライアル膝蓋骨インプラント装置を用いて、膝蓋骨インプラントおよび/または大腿骨コンポーネントの位置付けを最適にして膝関節の所望の運動学的機能を実現することができる。
【0056】
〔実施の態様〕
(1)ナビゲーション膝関節置換術の際に患者の膝蓋骨インプラントの位置を評価するためにコンピュータが実行する方法において、
トライアル膝蓋骨インプラントが、前記トライアル膝蓋骨インプラントの第1のコンポーネントによって前記患者の膝蓋骨の後部に取り付けられ、前記トライアル膝蓋骨インプラントの第2のコンポーネントが、前記第1のコンポーネントに対して内外方向に並進運動できるようになっており、
前記方法は、
コンピュータ支援外科手術システムにより、
前記第2のコンポーネントが前記第1のコンポーネントに対して自由に並進運動できる状態で膝関節が関節運動する際に、前記膝蓋骨のトラッキングデータから前記膝蓋骨の軌道を決定することと、
前記軌道の少なくとも一部に亘って、前記膝蓋骨に対する前記第2のコンポーネントの内外の変位を決定することと、
を含んでいる、方法。
(2)ナビゲーション膝関節置換術の際に患者の膝蓋骨インプラントの位置付けを評価するための方法において、
トライアル膝蓋骨インプラントを、前記トライアル膝蓋骨インプラントの第1のコンポーネントによって前記患者の膝蓋骨の後部に取り付けることであって、前記トライアル膝蓋骨インプラントの第2のコンポーネントが、前記第1のコンポーネントに対して内外方向に並進運動できる、取り付けることと、
前記第2のコンポーネントが前記第1のコンポーネントに対して自由に並進運動できる状態で前記膝関節が関節運動する際に前記膝蓋骨の軌道を決定することと、
前記軌道の少なくとも一部に亘って、前記膝蓋骨に対する前記第2のコンポーネントの内外の変位を決定することと、
を含む、方法。
(3)実施態様2に記載の方法において、
前記第2のコンポーネントが前記第1のコンポーネントに対して内外方向に固定された状態で前記膝関節が関節運動する際に前記膝蓋骨の軌道を決定すること、
をさらに含む、方法。
(4)実施態様3に記載の方法において、
前記軌道を比較すること、
をさらに含む、方法。
(5)実施態様1または2に記載の方法において、
前記軌道は、前記膝関節の大腿骨部分または脛骨部分に関連している、方法。
【0057】
(6)データプロセッサによって実行されると実施態様1に記載の方法を実行する命令を含むコンピュータプログラムコード。
(7)実施態様6に記載のコンピュータプログラムコードを保存するコンピュータ可読メディア。
(8)ナビゲーション膝関節置換術の際に患者の膝蓋骨の軌道を決定する際に用いる装置において、
第1のコンポーネントであって、前記第1のコンポーネントを前記患者の膝蓋骨の後面に取り付けることができる取付け具を含む、第1のコンポーネントと、
使用の際に前記患者の膝の大腿骨部分に係合するように構成された構造を有する外面を備えた第2のコンポーネントと、
使用の際に前記第1のコンポーネントが前記患者の膝蓋骨に取り付けられると、前記第1のコンポーネントに対する前記第2のコンポーネントの実質的に内外方向の並進運動を可能にするスライダ機構と、
を含む、装置。
(9)実施態様1に記載の装置において、
前記第2のコンポーネントの前記第1のコンポーネントに対する並進運動を防止するように動作することができるロック機構、
をさらに含む、装置。
(10)実施態様8または9に記載の装置において、
前記第2のコンポーネントの前記第1のコンポーネントに対する並進運動に抵抗するように作用することができる弾性付勢手段、
をさらに含む、装置。
【0058】
(11)実施態様8〜10のいずれか1項に記載の装置において、
前記第1のコンポーネントは、実質的に平坦であり、前記スライダ機構は、前記第2のコンポーネントが前記第1のコンポーネントの平面に対して実質的に平行な平面内を並進運動するように構成されている、装置。
(12)実施態様8〜11のいずれか1項に記載の装置において、
トラッキングシステムによってトラッキング可能なマーカー、
をさらに含み、
前記マーカーが、前記第2のコンポーネントに取り付けられている、装置。
(13)実施態様8〜12のいずれか1項に記載の装置において、
トラッキングシステムによってトラッキング可能な別のマーカー、
をさらに含み、
前記別のマーカーが、前記第1のコンポーネントに取り付けられている、装置。
(14)実施態様12または13に記載の装置において、
前記マーカーは、前記コンポーネント内に取り付けられている、装置。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の装置と共に使用することができるコンピュータ支援外科手術システムの模式的なブロック図である。
【図2】本発明によるトラッキング可能な膝蓋骨インプラントの第1の実施形態の模式的な平面図、側面図、および端面図である。
【図3】本発明によるトラッキング可能な膝蓋骨インプラントの第2の実施形態の模式的な平面図、側面図、および端面図である。
【図4】図2に示すインプラントの内外方向の断面図および上下方向の断面図である。
【図5A】インプラントを使用する本発明による方法を例示するフローチャートである。
【図5B】インプラントを使用する本発明による方法を例示するフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーション膝関節置換術の際に患者の膝蓋骨インプラントの位置を評価するためにコンピュータが実行する方法において、
トライアル膝蓋骨インプラントが、前記トライアル膝蓋骨インプラントの第1のコンポーネントによって前記患者の膝蓋骨の後部に取り付けられ、前記トライアル膝蓋骨インプラントの第2のコンポーネントが、前記第1のコンポーネントに対して内外方向に並進運動できるようになっており、
前記方法は、
コンピュータ支援外科手術システムにより、
前記第2のコンポーネントが前記第1のコンポーネントに対して自由に並進運動できる状態で膝関節が関節運動する際に、前記膝蓋骨のトラッキングデータから前記膝蓋骨の軌道を決定することと、
前記軌道の少なくとも一部に亘って、前記膝蓋骨に対する前記第2のコンポーネントの内外の変位を決定することと、
を含んでいる、方法。
【請求項2】
ナビゲーション膝関節置換術の際に患者の膝蓋骨インプラントの位置付けを評価するための方法において、
トライアル膝蓋骨インプラントを、前記トライアル膝蓋骨インプラントの第1のコンポーネントによって前記患者の膝蓋骨の後部に取り付けることであって、前記トライアル膝蓋骨インプラントの第2のコンポーネントが、前記第1のコンポーネントに対して内外方向に並進運動できる、取り付けることと、
前記第2のコンポーネントが前記第1のコンポーネントに対して自由に並進運動できる状態で前記膝関節が関節運動する際に前記膝蓋骨の軌道を決定することと、
前記軌道の少なくとも一部に亘って、前記膝蓋骨に対する前記第2のコンポーネントの内外の変位を決定することと、
を含む、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、
前記第2のコンポーネントが前記第1のコンポーネントに対して内外方向に固定された状態で前記膝関節が関節運動する際に前記膝蓋骨の軌道を決定すること、
をさらに含む、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、
前記軌道を比較すること、
をさらに含む、方法。
【請求項5】
請求項1または2に記載の方法において、
前記軌道は、前記膝関節の大腿骨部分または脛骨部分に関連している、方法。
【請求項6】
データプロセッサによって実行されると請求項1に記載の方法を実行する命令を含むコンピュータプログラムコード。
【請求項7】
請求項6に記載のコンピュータプログラムコードを保存するコンピュータ可読メディア。
【請求項8】
ナビゲーション膝関節置換術の際に患者の膝蓋骨の軌道を決定する際に用いる装置において、
第1のコンポーネントであって、前記第1のコンポーネントを前記患者の膝蓋骨の後面に取り付けることができる取付け具を含む、第1のコンポーネントと、
使用の際に前記患者の膝の大腿骨部分に係合するように構成された構造を有する外面を備えた第2のコンポーネントと、
使用の際に前記第1のコンポーネントが前記患者の膝蓋骨に取り付けられると、前記第1のコンポーネントに対する前記第2のコンポーネントの実質的に内外方向の並進運動を可能にするスライダ機構と、
を含む、装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置において、
前記第2のコンポーネントの前記第1のコンポーネントに対する並進運動を防止するように動作することができるロック機構、
をさらに含む、装置。
【請求項10】
請求項8または9に記載の装置において、
前記第2のコンポーネントの前記第1のコンポーネントに対する並進運動に抵抗するように作用することができる弾性付勢手段、
をさらに含む、装置。
【請求項11】
請求項8〜10のいずれか1項に記載の装置において、
前記第1のコンポーネントは、実質的に平坦であり、前記スライダ機構は、前記第2のコンポーネントが前記第1のコンポーネントの平面に対して実質的に平行な平面内を並進運動するように構成されている、装置。
【請求項12】
請求項8〜11のいずれか1項に記載の装置において、
トラッキングシステムによってトラッキング可能なマーカー、
をさらに含み、
前記マーカーが、前記第2のコンポーネントに取り付けられている、装置。
【請求項13】
請求項8〜12のいずれか1項に記載の装置において、
トラッキングシステムによってトラッキング可能な別のマーカー、
をさらに含み、
前記別のマーカーが、前記第1のコンポーネントに取り付けられている、装置。
【請求項14】
請求項12または13に記載の装置において、
前記マーカーは、前記コンポーネント内に取り付けられている、装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【公表番号】特表2009−532160(P2009−532160A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−503663(P2009−503663)
【出願日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際出願番号】PCT/GB2007/001321
【国際公開番号】WO2007/128991
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(500353989)デピュー インターナショナル リミテッド (40)
【出願人】(506300914)デピュイ・オーソぺディー・ゲーエムベーハー (6)
【氏名又は名称原語表記】DEPUY ORTHOPADIE GMBH
【Fターム(参考)】