説明

膨化菓子

【課題】本発明は、食感の制御が容易であり、良好な風味、食感でありながらも壊れ難さを備えた膨化菓子を提供することを目的とした。
【解決手段】アラビアガムを0.1〜2.2重量%含有する膨化菓子は、食感の制御が容易であり、風味も食感も良好であって、なおかつ壊れ難さも備えたものとなる。好ましい態様において、生地の食感を考慮すればカルシウム塩の添加量は1.5〜2.5重量%が好ましく、結晶セルロースの添加量は1.5〜3.5重量%が好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は良好な食感を有する膨化菓子に関する。
【背景技術】
【0002】
膨化菓子の開発においては、良好な食感を付与することによってあと引き感を演出し、消費拡大につなげようとする試みがなされている。
例えばエクストルーダーを用いた膨化菓子の製造においては、加水量等のエクストルーダーの運転条件を調整することによって食感調整が行われてきており、かなりの実績もあげているが、これらの調整方法には短所もある。それは、加水量が多すぎると膨化菓子同士がくっついてしまったり、少なすぎるとコゲが発生するなどの不具合があり、運転条件をかなり厳しく制御しなければ品質にばらつきが発生しやすいという問題である。膨化菓子の生産に用いる原料は農産物の一次加工品であり、運転条件は時々の原料の状態に合わせて調整されなければならないので一定に固定することは事実上難しく、品質を一定に維持する上での技術的課題であった。
【0003】
それ以外の膨化菓子の食感を改良する方法として、例えば特許文献1には、糊料のみをエクストルーダーでポーラスに加工し、その後糖質を浸漬または吹き付けてサクサク感のあるスナック菓子とする技術が開示されている。しかしこの技術は糊料を骨格としてポーラス化した食物繊維スナック菓子であり、糊料の含有量が高く、風味において満足できるものではなかった。また、サクサク感は壊れ難さと両立しないことがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−41583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、運転条件を厳しく制御しなくても食感の制御が容易であり、良好な風味、食感でありながらも壊れ難さを備えた膨化菓子を提供することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、アラビアガムを0.1〜2.2重量%含有する膨化菓子は、運転条件を厳しく制御しなくても食感の制御が容易であり、風味も食感も良好であって、なおかつ壊れ難さも備えたものとなることを見出し、本発明を完成した。本願は以下発明を包含する。

(1)アラビアガムを0.1〜2.2重量%含有する膨化菓子。
(2)アラビアガムを0.3〜0.6重量%含有する膨化菓子。
(3)カルシウム塩を1.5〜2.5重量%含有する上記(1)または(2)に記載の膨化菓子。
(3)結晶セルロースを1.5〜3.5重量%含有する上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の膨化菓子。
【発明の効果】
【0007】
本発明の膨化菓子は、風味も食感も良好であって、なおかつ壊れ難さも備えたものとなる。さらに製造において食感の制御が容易なので、嗜好面、生産面、品質面において優れたものである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の膨化菓子はアラビアガムを含有することを特徴とする。アラビアガムの添加量は膨化菓子生地固形分中において0.1〜2.2重量%であり、好ましくは0.2〜1.1重量%であり、さらに好ましくは0.3〜0.6重量%である。なお、ここで膨化菓子生地とはフライやロースト、エクストルージョンクッキング等の膨化工程を経た直後の生地を指す。食塩やシーズニング、調味油等、膨化工程の後に添加したものは、膨化菓子生地の固形分とはしない。
【0009】
本発明の膨化菓子には主原料として穀類や豆類を用いることができる。穀類としてはコーングリッツ、コーンフラワー、小麦粉及び米粉を例示することができ、豆類としては大豆粉、緑豆粉及び小豆粉を例示することができる。
【0010】
本発明の膨化菓子にはその他の原料として結晶セルロース、カルシウム塩、植物油脂、ナトリウム塩、カリウム塩等を用いることができる。
【0011】
カルシウム塩としては卵殻カルシウム、炭酸カルシウム及び硫酸カルシウムを例示することができ、アラビアガムとの併用により、生地の食感の安定性が向上する。その添加量は1.5〜2.5重量%が好ましい。
また、さらに結晶セルロースをの添加することで、20重量%前後という、エクストルーダーにより膨化菓子生地を製造するには比較的高水分時においても、生地の膨化を安定させることができる。その添加量は、生地の食感を考慮すれば1.5〜3.5重量%が好ましい。
【0012】
ナトリウム塩、カリウム塩としては、食品添加物としてのナトリウム塩、カリウム塩を挙げることができ、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ピロリン酸四カリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、ポリリン酸カリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸三ナトリウムを挙げられる。
【0013】
本発明の膨化菓子の製造方法としては、例えば、アラビアガム、穀類や豆類、結晶セルロース、カルシウム塩、植物油脂、ナトリウム塩、カリウム塩等に水を加えて、水分値が約20重量%となるよう調整し、次にこれをエクストルーダーを用いてクッキングし、その後吐出した生地を切断、乾燥、味付けすることによって得られる。エクストルーダーは1軸タイプのものであっても、2軸タイプのものであってもよい。こうして得られた膨化菓子にさらに食塩やシーズニング、調味油等で味付けしてもよい。
【0014】
本発明の膨化菓子は、アラビアガムを用いたことでその製造において食感の制御が容易である。また、壊れ難さを備えるため、製造中に割れ欠け品が発生し難い。
以下、実施例を示して本願発明をさらに具体的に説明するが、本願発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0015】
実施例1
表1の実施例1の配合に対して水を添加して水分を20重量%に調整した。コーングリッツの水分は12重量%であった。次に、これらを一軸式エクストルーダ(葵精機株式会社製)に供給し、内部圧力が50−60kg/cm2の条件で押し出すことによりロープ状に吐出された膨化菓子生地を切断し、170℃で乾燥し水分を2%以下にすることによって膨化菓子を得た。
【0016】
実施例2〜7 および 比較例1,2
表1と表2に示した配合で、実施例1と同様の方法で膨化菓子生地を得た。
【0017】
【表1】

【0018】
【表2】

【0019】
試験例1
実施例1〜7および比較例1,2について、乾燥後の膨化菓子生地の食感と風味を評価した。結果を表3に示す。
【0020】
【表3】

実施例、比較例とも風味はいずれも非常に良かったが、食感において実施例1,4,5が非常に良く、その他実施例も許容できるものであったが、比較例は許容範囲外であった。

なお、水分を19.7重量%、20.3重量%とした場合も同様な結果となり、運転条件が多少変動しても、食感の変動が抑えられることが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アラビアガムを0.1〜2.2重量%含有する膨化菓子。
【請求項2】
アラビアガムを0.3〜0.6重量%含有する膨化菓子。
【請求項3】
カルシウム塩を1.5〜2.5重量%含有する請求項1または2に記載の膨化菓子。
【請求項4】
結晶セルロースを1.5〜3.5重量%含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の膨化菓子。