膨張弁
【課題】弁室からオリフィスに向かう高圧冷媒の圧力損失を生ずることなく、起動時の冷媒流量の急上昇に起因する騒音の発生を防止することができる膨張弁を提供する。
【解決手段】膨張弁の弁本体10は、冷媒の入口通路20に連通する弁室40を有し、この弁室40内に弁体50が配設される。弁体50はパワーエレメント70により操作される。弁体50に対向する可動オリフィス部材100は、挿入穴41内に摺動自在に挿入され、スプリング140により弁体50に向けて付勢される。弁室40と冷媒の出口通路22との圧力差が生ずると、可動オリフィス部材100は弁体50から離れる方向に移動して冷媒が可動オリフィス部材100を通過する。
【解決手段】膨張弁の弁本体10は、冷媒の入口通路20に連通する弁室40を有し、この弁室40内に弁体50が配設される。弁体50はパワーエレメント70により操作される。弁体50に対向する可動オリフィス部材100は、挿入穴41内に摺動自在に挿入され、スプリング140により弁体50に向けて付勢される。弁室40と冷媒の出口通路22との圧力差が生ずると、可動オリフィス部材100は弁体50から離れる方向に移動して冷媒が可動オリフィス部材100を通過する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーエアコン等のエアコンサイクル(空気調和装置)に装備される膨張弁に関する。
【背景技術】
【0002】
カーエアコン等にあっては、車室内に配置した蒸発器(エバポレータ)に冷媒を送って熱交換を行ない、車室内の冷房を図っている。
冷媒の流量を制御する膨張弁は、エバポレータに直接に取りつけるか、又はエバポレータ近傍に配置されるので、膨張弁から発する騒音は車室内のノイズの原因となる。
【0003】
膨張弁は、エアコンの起動時に弁開度が最大となり、その後に通常の制御領域に戻る特性を有する。
そこで、エアコンの起動時には、全開の弁部を通って大量の冷媒がエバポレータ側へ流れ、その冷媒の通過音は騒音の発生源となっている。
【0004】
下記の特許文献1は、弁体のリフトが2段階となる構造を備えて、弁座との間で形成するオリフィスの開度を段階的に制御することで、上記問題点の解決を図った膨張弁を開示している。
しかしながら、この膨張弁にあっては、弁体が収容される弁室内に可動筒やばねを配置しているために、弁室を通過する高圧の液冷媒の圧力損失が大きくなる不具合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−116402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、弁室からオリフィスに向かう高圧の冷媒の圧力損失を生ずることなく、エアコン起動時に適正量の冷媒がオリフィスを通過するように構成して騒音の発生を防止する膨張弁を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の膨張弁は、高圧の冷媒が供給される入口通路と、入口通路に連通する弁室と、弁室内に配置される弁体と、弁体に対向して配置される可動オリフィス部材と、可動オリフィス部材を通過した冷媒を流出させる出口通路と、弁体を駆動するパワーエレメントを備え、可動オリフィス部材は、弁室と出口通路の間の差圧により弁体のリフト方向に摺動し、開弁後に出口通路の冷媒が所定圧力に達するまでの間は弁体のリフト量がほぼ一定に保たれるように構成されているものである。
そして、可動オリフィス部材は、弁座を有する円盤状の本体と、本体の弁座の反対側に設けられる円筒部と、円筒部の端部に設けられるフランジ部と、円筒部の内側に配設されて本体を弁体に向けて付勢するスプリングと、円筒部の外周部に嵌装されるシール部材とを備えるものとすることができる。
また、弁室と出口通路の間に形成されて可動オリフィス部材が摺動自在に挿入される挿入穴を備え、可動オリフィス部材が挿入穴から抜け出るのを防止するストッパを備えるように構成することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の膨張弁は、上述した手段を備えることにより、弁室からオリフィスに向かう高圧冷媒の圧力損失を生ずることなく、エアコン起動時に弁部を通過する冷媒の流量が過大になることを防止して、騒音の発生を防止することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の膨張弁の全体構成を示す断面図。
【図2】本発明の膨張弁の要部の断面図。
【図3】本発明の膨張弁の要部の断面図。
【図4】本発明の膨張弁の要部の断面図。
【図5】本発明の膨張弁の要部の断面図。
【図6】本発明のリフト特性を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の膨張弁の全体構成を示す断面図である。
全体を符号1で示す膨張弁は、レシーバ側からの高圧の液冷媒の入口通路20を有する弁本体10を備え、入口通路20は、奥壁に設けた開口部21を介して弁室40に連通する。弁室40内には、ボール状の弁体50が配設され、弁体50はサポート51で支持され、サポート51は弾性を有する脚部材52で姿勢を保持されるとともにスプリング53により、上方へ付勢される。
【0011】
スプリング53の下端は、弁室の開口部を塞ぐプラグ55により支持される。プラグ55は弁本体10に対してねじ部56により螺合され、プラグ55のねじ込み量を変更することによって、サポート51を支持するスプリング53のばね力を調節することができる。プラグ55の外周部にシール部材57を嵌装して弁室40のシールを図る。
【0012】
弁室40の上部の挿入穴41内には、後述する可動オリフィス部材100が摺動自在に挿入される。挿入穴41の上部は、オリフィス通路42を介して出口通路23の一部の通路22に開口する。可動オリフィス部材100を通過した冷媒は出口通路23からエバポレータに向けて流出する。
【0013】
可動オリフィス部材100は、本体110を有し、本体110はスプリング140により、常時弁体50側に付勢される。弁室40の挿入穴41の入口部には、ストッパ150を設けて可動オリフィス部材100の抜け止めを防止する。本体110の外周部にはシール部材130が嵌装される。
エバポレータからコンプレッサ側へ戻る冷媒は、弁本体10に設けた戻り通路30を通過する。戻り通路30に開口する開口部32を介して冷媒の圧力と温度情報はパワーエレメント70側へ伝達される。
【0014】
パワーエレメント70は、上下の蓋部材で形成されるキャン71を有し、ダイアフラム72により画成される上部圧力室73、下部圧力室74を備える。ダイアフラム72の変位は支持部材75を介して作動棒80に伝えられ、作動棒80は弁体50を操作する。作動棒80の外周部にはシールリング82とその押え部材81がとりつけられ、冷媒の2つの通路22、30の間をシールする。
【0015】
図2は、本発明の膨張弁1の要部を示す断面図である。
弁室40の上部の挿入穴41内に摺動自在に挿入される可動オリフィス部材100は、円盤状の本体110を有する。本体110は、円筒部115と円筒部115の上部のフランジ部120を有し、円筒部115の外周部にはシールリング130が嵌装される。本体110の内径部には弁座112が形成され、オリフィス114に通ずる。
ボール状の弁体50と弁座112との開口距離により弁開度が調整される。
【0016】
挿入穴41に挿入された可動オリフィス部材100は、弁室40に圧入されるストッパ150により抜け止めが構成される。
本体110の円筒部115の内周部にはスプリング140が配設され、本体110をストッパ150に向けて付勢する。
【0017】
本発明の膨張弁1は以上のように構成されており、弁室40と出口側の通路22との冷媒の圧力に差がない場合には可動オリフィス100は、弁体50側に付勢され、挿入穴41の底部41aと本体110との間には、クリアランスC1が形成される。
【0018】
図3乃至図5は本発明の膨張弁1の作用を示す説明図である。
図3は、エアコン起動時の状態を示し、弁室40内の圧力に比べてエバポレータ側へ向かう出口通路22の圧力が小さくなった状態を示す。
両者の圧力差によって可動オリフィス部材100がスプリング140に対して押し上げられる。この作用によって、可動オリフィス部材100と挿入穴41の底部41aとの間隙C2は減少するとともに、弁体50と弁座112との間に小さな間隙G1が形成される。
【0019】
図6は戻り通路30を通過する低圧冷媒の圧力PL(出口通路22を通過する冷媒の圧力とほぼ等しい)と弁体50の可動オリフィス部材100からのリフト量との関係を示すグラフで、符号E1は閉弁後の状態からエアコンを始動した時の状態を示す。
弁室40と出口通路22の圧力差が増大すると、図4に示すように、可動オリフィス部材100と挿入穴41の底部41aとの間の間隙C3は、スプリング140のばね力と差圧による可動オリフィス部材100を押し上げる力とのバランスで形成される状態となる。また、弁体50と弁座112との間のオリフィス開度G2も増大する。
図6の領域E2は、この状態を示し、弁開度(リフト)はほぼ一定量に保たれ、ほぼ一定量の冷媒がエバポレータに供給される。
【0020】
図5は、弁室40内の圧力と出口通路22の圧力との差圧が大きくなり、可動オリフィス部材100が挿入穴41の底部41aに押し付けられた状態を示す。間隙C4はなくなり、間隙G3は、パワーエレメントにより駆動される作動棒80が弁体50を下方へ押し下げて形成する弁リフト量により制御される。
図6の領域E3はこの制御領域を示す。
【0021】
本発明の膨張弁は以上のように、可動オリフィス部材を装備することによって、差圧弁を構成してある。そこで、エアコンのオフ時に、低リフトを確保してエバポレータに冷媒を送り、エバポレータに少量の冷媒を滞留させておくことで、エアコン起動時の低圧圧力の急減圧を防止することができる。また、開弁後の低圧圧力の一定領域で弁の低リフトを保持して冷媒流量を制御して、冷媒通過音の低減を図ることができるものである。そして、可動オリフィス部材は弁室と出口通路の間に配置されるため、弁室からオリフィスに向かう高圧の冷媒の圧力損失が生ずるのを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0022】
1 膨張弁
10 弁本体
20 入口通路
22、23 出口通路
30 戻り通路
40 弁室
41 挿入穴
50 弁体
70 パワーエレメント
100 可動オリフィス部材
130 シールリング
140 スプリング
150 ストッパ
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーエアコン等のエアコンサイクル(空気調和装置)に装備される膨張弁に関する。
【背景技術】
【0002】
カーエアコン等にあっては、車室内に配置した蒸発器(エバポレータ)に冷媒を送って熱交換を行ない、車室内の冷房を図っている。
冷媒の流量を制御する膨張弁は、エバポレータに直接に取りつけるか、又はエバポレータ近傍に配置されるので、膨張弁から発する騒音は車室内のノイズの原因となる。
【0003】
膨張弁は、エアコンの起動時に弁開度が最大となり、その後に通常の制御領域に戻る特性を有する。
そこで、エアコンの起動時には、全開の弁部を通って大量の冷媒がエバポレータ側へ流れ、その冷媒の通過音は騒音の発生源となっている。
【0004】
下記の特許文献1は、弁体のリフトが2段階となる構造を備えて、弁座との間で形成するオリフィスの開度を段階的に制御することで、上記問題点の解決を図った膨張弁を開示している。
しかしながら、この膨張弁にあっては、弁体が収容される弁室内に可動筒やばねを配置しているために、弁室を通過する高圧の液冷媒の圧力損失が大きくなる不具合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−116402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、弁室からオリフィスに向かう高圧の冷媒の圧力損失を生ずることなく、エアコン起動時に適正量の冷媒がオリフィスを通過するように構成して騒音の発生を防止する膨張弁を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の膨張弁は、高圧の冷媒が供給される入口通路と、入口通路に連通する弁室と、弁室内に配置される弁体と、弁体に対向して配置される可動オリフィス部材と、可動オリフィス部材を通過した冷媒を流出させる出口通路と、弁体を駆動するパワーエレメントを備え、可動オリフィス部材は、弁室と出口通路の間の差圧により弁体のリフト方向に摺動し、開弁後に出口通路の冷媒が所定圧力に達するまでの間は弁体のリフト量がほぼ一定に保たれるように構成されているものである。
そして、可動オリフィス部材は、弁座を有する円盤状の本体と、本体の弁座の反対側に設けられる円筒部と、円筒部の端部に設けられるフランジ部と、円筒部の内側に配設されて本体を弁体に向けて付勢するスプリングと、円筒部の外周部に嵌装されるシール部材とを備えるものとすることができる。
また、弁室と出口通路の間に形成されて可動オリフィス部材が摺動自在に挿入される挿入穴を備え、可動オリフィス部材が挿入穴から抜け出るのを防止するストッパを備えるように構成することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の膨張弁は、上述した手段を備えることにより、弁室からオリフィスに向かう高圧冷媒の圧力損失を生ずることなく、エアコン起動時に弁部を通過する冷媒の流量が過大になることを防止して、騒音の発生を防止することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の膨張弁の全体構成を示す断面図。
【図2】本発明の膨張弁の要部の断面図。
【図3】本発明の膨張弁の要部の断面図。
【図4】本発明の膨張弁の要部の断面図。
【図5】本発明の膨張弁の要部の断面図。
【図6】本発明のリフト特性を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の膨張弁の全体構成を示す断面図である。
全体を符号1で示す膨張弁は、レシーバ側からの高圧の液冷媒の入口通路20を有する弁本体10を備え、入口通路20は、奥壁に設けた開口部21を介して弁室40に連通する。弁室40内には、ボール状の弁体50が配設され、弁体50はサポート51で支持され、サポート51は弾性を有する脚部材52で姿勢を保持されるとともにスプリング53により、上方へ付勢される。
【0011】
スプリング53の下端は、弁室の開口部を塞ぐプラグ55により支持される。プラグ55は弁本体10に対してねじ部56により螺合され、プラグ55のねじ込み量を変更することによって、サポート51を支持するスプリング53のばね力を調節することができる。プラグ55の外周部にシール部材57を嵌装して弁室40のシールを図る。
【0012】
弁室40の上部の挿入穴41内には、後述する可動オリフィス部材100が摺動自在に挿入される。挿入穴41の上部は、オリフィス通路42を介して出口通路23の一部の通路22に開口する。可動オリフィス部材100を通過した冷媒は出口通路23からエバポレータに向けて流出する。
【0013】
可動オリフィス部材100は、本体110を有し、本体110はスプリング140により、常時弁体50側に付勢される。弁室40の挿入穴41の入口部には、ストッパ150を設けて可動オリフィス部材100の抜け止めを防止する。本体110の外周部にはシール部材130が嵌装される。
エバポレータからコンプレッサ側へ戻る冷媒は、弁本体10に設けた戻り通路30を通過する。戻り通路30に開口する開口部32を介して冷媒の圧力と温度情報はパワーエレメント70側へ伝達される。
【0014】
パワーエレメント70は、上下の蓋部材で形成されるキャン71を有し、ダイアフラム72により画成される上部圧力室73、下部圧力室74を備える。ダイアフラム72の変位は支持部材75を介して作動棒80に伝えられ、作動棒80は弁体50を操作する。作動棒80の外周部にはシールリング82とその押え部材81がとりつけられ、冷媒の2つの通路22、30の間をシールする。
【0015】
図2は、本発明の膨張弁1の要部を示す断面図である。
弁室40の上部の挿入穴41内に摺動自在に挿入される可動オリフィス部材100は、円盤状の本体110を有する。本体110は、円筒部115と円筒部115の上部のフランジ部120を有し、円筒部115の外周部にはシールリング130が嵌装される。本体110の内径部には弁座112が形成され、オリフィス114に通ずる。
ボール状の弁体50と弁座112との開口距離により弁開度が調整される。
【0016】
挿入穴41に挿入された可動オリフィス部材100は、弁室40に圧入されるストッパ150により抜け止めが構成される。
本体110の円筒部115の内周部にはスプリング140が配設され、本体110をストッパ150に向けて付勢する。
【0017】
本発明の膨張弁1は以上のように構成されており、弁室40と出口側の通路22との冷媒の圧力に差がない場合には可動オリフィス100は、弁体50側に付勢され、挿入穴41の底部41aと本体110との間には、クリアランスC1が形成される。
【0018】
図3乃至図5は本発明の膨張弁1の作用を示す説明図である。
図3は、エアコン起動時の状態を示し、弁室40内の圧力に比べてエバポレータ側へ向かう出口通路22の圧力が小さくなった状態を示す。
両者の圧力差によって可動オリフィス部材100がスプリング140に対して押し上げられる。この作用によって、可動オリフィス部材100と挿入穴41の底部41aとの間隙C2は減少するとともに、弁体50と弁座112との間に小さな間隙G1が形成される。
【0019】
図6は戻り通路30を通過する低圧冷媒の圧力PL(出口通路22を通過する冷媒の圧力とほぼ等しい)と弁体50の可動オリフィス部材100からのリフト量との関係を示すグラフで、符号E1は閉弁後の状態からエアコンを始動した時の状態を示す。
弁室40と出口通路22の圧力差が増大すると、図4に示すように、可動オリフィス部材100と挿入穴41の底部41aとの間の間隙C3は、スプリング140のばね力と差圧による可動オリフィス部材100を押し上げる力とのバランスで形成される状態となる。また、弁体50と弁座112との間のオリフィス開度G2も増大する。
図6の領域E2は、この状態を示し、弁開度(リフト)はほぼ一定量に保たれ、ほぼ一定量の冷媒がエバポレータに供給される。
【0020】
図5は、弁室40内の圧力と出口通路22の圧力との差圧が大きくなり、可動オリフィス部材100が挿入穴41の底部41aに押し付けられた状態を示す。間隙C4はなくなり、間隙G3は、パワーエレメントにより駆動される作動棒80が弁体50を下方へ押し下げて形成する弁リフト量により制御される。
図6の領域E3はこの制御領域を示す。
【0021】
本発明の膨張弁は以上のように、可動オリフィス部材を装備することによって、差圧弁を構成してある。そこで、エアコンのオフ時に、低リフトを確保してエバポレータに冷媒を送り、エバポレータに少量の冷媒を滞留させておくことで、エアコン起動時の低圧圧力の急減圧を防止することができる。また、開弁後の低圧圧力の一定領域で弁の低リフトを保持して冷媒流量を制御して、冷媒通過音の低減を図ることができるものである。そして、可動オリフィス部材は弁室と出口通路の間に配置されるため、弁室からオリフィスに向かう高圧の冷媒の圧力損失が生ずるのを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0022】
1 膨張弁
10 弁本体
20 入口通路
22、23 出口通路
30 戻り通路
40 弁室
41 挿入穴
50 弁体
70 パワーエレメント
100 可動オリフィス部材
130 シールリング
140 スプリング
150 ストッパ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアコンサイクルに装備される膨張弁であって、
高圧の冷媒が供給される入口通路と、入口通路に連通する弁室と、弁室内に配置される弁体と、弁体に対向して配置される可動オリフィス部材と、可動オリフィス部材を通過した冷媒を流出させる出口通路と、弁体を駆動するパワーエレメントを備え、可動オリフィス部材は、弁室と出口通路の間の差圧により弁体のリフト方向に摺動し、開弁後に出口通路の冷媒が所定圧力に達するまでの間は弁体のリフト量がほぼ一定に保たれるように構成されている膨張弁。
【請求項2】
可動オリフィス部材は、弁座を有する円盤状の本体と、本体の弁座の反対側に設けられる円筒部と、円筒部の端部に設けられるフランジ部と、円筒部の内側に配設されて本体を弁体に向けて付勢するスプリングと、円筒部の外周部に嵌装されるシール部材とを備える請求項1記載の膨張弁。
【請求項3】
弁室と出口通路の間に形成されて可動オリフィス部材が摺動自在に挿入される挿入穴を備える請求項1記載の膨張弁。
【請求項4】
可動オリフィス部材が挿入穴から抜け出るのを防止するストッパを備える請求項3記載の膨張弁。
【請求項1】
エアコンサイクルに装備される膨張弁であって、
高圧の冷媒が供給される入口通路と、入口通路に連通する弁室と、弁室内に配置される弁体と、弁体に対向して配置される可動オリフィス部材と、可動オリフィス部材を通過した冷媒を流出させる出口通路と、弁体を駆動するパワーエレメントを備え、可動オリフィス部材は、弁室と出口通路の間の差圧により弁体のリフト方向に摺動し、開弁後に出口通路の冷媒が所定圧力に達するまでの間は弁体のリフト量がほぼ一定に保たれるように構成されている膨張弁。
【請求項2】
可動オリフィス部材は、弁座を有する円盤状の本体と、本体の弁座の反対側に設けられる円筒部と、円筒部の端部に設けられるフランジ部と、円筒部の内側に配設されて本体を弁体に向けて付勢するスプリングと、円筒部の外周部に嵌装されるシール部材とを備える請求項1記載の膨張弁。
【請求項3】
弁室と出口通路の間に形成されて可動オリフィス部材が摺動自在に挿入される挿入穴を備える請求項1記載の膨張弁。
【請求項4】
可動オリフィス部材が挿入穴から抜け出るのを防止するストッパを備える請求項3記載の膨張弁。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2012−47430(P2012−47430A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−192493(P2010−192493)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(391002166)株式会社不二工機 (451)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(391002166)株式会社不二工機 (451)
【Fターム(参考)】
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