説明

膨張性の物品を補修して膨張させるためのユニット

膨張性の物品を補修して膨張させるためのユニットであって、密封流体のための容量部(13)と、圧力源に接続可能な圧縮空気の入口(9)と、圧縮空気によって膨張性の物品に密封流体を注入するために、容量部(13)によって入口(9)に流体接続された出口(37)と、圧力調整ユニット(29)とを規定している。圧力調整ユニット(29)は、容量部(13)から上流側の出口接続点(33)と、容量部(13)への空気圧を下げるための第1の空気抵抗部(31)と、第1の空気抵抗部(31)に並列で出口接続点(33)に接続されたバイパスライン(43)と、第1の空気抵抗部(31)とバイパスライン(43)とに接続された切換部(30)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンクした乗物のタイヤのような、膨張性の物品を補修して膨張させるためのユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
パンクしたタイヤは、自動車の場合には、例えば、ブート(幌の収納部)の底部の下で、乗物のコンパートメントに積まれたスペアホイールと取り替えられることができる。
【0003】
しかし、スペアホイールはかさばり、ブートの中でスペースを占める。スペアホイールは、より使用しやすく置かれるべきであろう。
【0004】
スペアホイールはまた、重いので、特に、厳しい条件に耐用する(heavy-duty)乗物の大きなスペアホイールの場合には、ホイールの交換を困難にする。
【0005】
また、ホイールを取り外すことなく、パンク(パンクしてできた穴)が補修されることを可能にするために、補修膨張キットが使用される。
【0006】
既知のキットは、密封流体キャニスタと、このキャニスタに接続された専用のコンプレッサとを有する。パンクした場合には、キャニスタがホースによってタイヤに接続されて、専用のコンプレッサが動作される。
【0007】
圧縮空気は、タイヤに密封流体を注入して、いったん流体の粘性が増加してパンクがシールされれば、圧縮空気がタイヤを膨張させる。
【0008】
既知のキットは、通常、電気モータによって動力が供給された、往復運動する専用のコンプレッサを特徴とする。この種のコンプレッサは、比較的騒々しく、かさばり、特に、大きく、厳しい条件に耐用する乗物のタイヤを膨張させるように設計されている。
【0009】
例えば、厳しい条件に耐用する、いくつかの乗物には、これら自身の内蔵の空気の回路が装備されている。しかし、その空気圧は、密封流体を注入するのに適していないことがあり、うまく作動しないことがある。特に、内蔵の、厳しい条件に耐用する乗物の空気の回路は、一定の圧力を維持し、かつ装置を駆動させることによる突然の需要に応じるためのアキュムレータを有する。しかし、補修ユニットが空気の回路に接続されたとき、高い圧力は、打撃(hammering)及び急激な変動(surging)を引き起こしてユニットを損傷し、密封流体キャニスタを閉じる弁の小さなオリフィスは、詰まりを引き起こしうる。また、高い圧力は、さらに、密封流体の早期重合を引き起こして供給ラインの部分的又は完全な詰まりをもたらしうる。
【0010】
他方では、乗物の空気の回路の高い圧力は、タイヤのより速い膨張を、それ故、補修を行うためのより短い保持状態(hold-ups)を可能にする。
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的は、上述の欠点をなくすことを意図した、膨張性の物品を補修して膨張させるためのユニットを提供することである。
【0012】
本発明によれば、膨張性の物品を補修して膨張させるためのユニットが提供される。このユニットは、密封流体を収容するための容量部と、前記容量部によって互いに流体接続された入口及び出口と、圧力源及び少なくとも1つのアクチュエータを有し、乗物の空気の回路の前記入口を出口ポートに接続するための解放可能な流体接続手段とを具備する。
【0013】
この補修膨張ユニットは、さらに、密封流体キャニスタと列をなして位置された弁アセンブリを有する。前記弁アセンブリは、前記キャニスタへの空気の入力圧力を調整するように設計されている。特に、前記弁アセンブリは、前記入力圧力が適切な注入の値に減少される第1の動作配置と、前記キャニスタへの前記入力圧力が前記弁アセンブリの前記第1の動作配置でよりも高い第2の動作配置とで選択的に動作するように設計されている。
【0014】
言い換えれば、密封流体キャニスタへの入力圧力は、キャニスタからタイヤへの密封流体の正確な流出を達成するように調整される、すなわち、減少される。また、高い圧力が、より速い膨張のために回復されることができる。
【0015】
さらに、補修膨張ユニットは、専用のコンプレッサを有さず、圧力は、乗物に既にあり、例えば、ブレーキである、乗物の制御部に主に設定された、コンプレッサによって生成される。
【0016】
本発明の好ましい非限定的な実施の形態が、添付図面を参照して、例によって説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1の補修膨張ユニットの流体の経路を示す図である。
【図3】図3は、本発明のさらなる実施の形態の流体の経路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1の参照符号1は、乗物の空気の回路に接続可能なタイヤの補修膨張ユニット全体を示している。乗物の空気の回路は、例えば、フレームである、乗物の固定構造体に緊密に接続された圧縮空気発生器と、例えば、乗物のブレーキのアクチュエータである、アクチュエータと、ユニット1を接続する出口ポートとを有する。
【0019】
ユニット1は、乗物の空気の回路のような、圧力源の空気の回路からの圧縮空気のための入口9に接続された密封流体キャニスタ8を有する。
【0020】
特に、キャニスタ8は、ボトル11と、入口9にボトル11を接続するディスペンサユニット(図示されない)と、タイヤにボトル11を接続するホース12とを有する。ボトル11、ディスペンサユニット及びホース12は、好ましくは、単一の、交換可能なユニットを規定する。すなわち、これらは、ボトルが空になるか、密封流体がその使用期間の日付を過ぎたとき、交換される。
【0021】
キャニスタ8は、好ましくは、ボトル11の内部の容量部13を介して入口9をホース12に流体的に接続する内部弁(図示されない)を有する。これは、本出願人によって出願された国際特許出願WO−A1−2005084968に記載されているように構成されることができる。
【0022】
ユニット1はまた、解放可能な接続手段、例えば、螺合による接続か固い係合の(fast-fit)カップリングによって、キャニスタ8に接続され、入口9を規定している台(pedestal)14を有する。
【0023】
特に、解放可能な接続手段は、タイヤを補修して膨張させたとき、キャニスタ8が必ずしもそうでなくてもよいがほぼ垂直な動作位置に設定され、この位置で、キャニスタ8のディスペンサユニットに接続されたホース12は、下向きに面し、ボトル11と、その上に台14を置いている支持面Sとの間に介在される(図1)。
【0024】
台14は、キャニスタ8が係合される支持本体15と、支持本体15に緊密に接続され、環状凹部17を規定している第2の本体16とを有する。
【0025】
台14は、平面π(図1に部分的にのみ示される)に関してほぼ対称である。また、第2の本体16は、平面πに垂直な方向で、支持本体よりも小さい。
【0026】
台14、好ましくは、支持本体15は、支持面Sに隣接している2つの座部18を規定している。また、この非限定的な実施の形態では、本発明の目的のために限られないが、台14は、座部18の内部に引っ込む2つの引っ込み可能なアーム19を有する。アーム19は、好ましくは、平面πに関して対称であり、平面πに垂直な方向で台14の夫々の支持体を規定する。
【0027】
支持本体15は、円筒状であり、キャニスタ8のディスペンサユニットに接続されたホース12を収容するために環状凹部17を規定している。従って、アーム19は、弧の形状であり、支持本体15の周縁部分20にそれぞれヒンジで接続されており、これらアームは、引っ込んだとき、支持本体15と同心である。
【0028】
ユニット1はまた、ボトル11への空気圧を最良の密封流体注入圧に調整するために、容量部13から上流側に装着された圧力調整ユニット29を有する。特に、圧力調整ユニット(図2)は、切換弁30と、互いに並列で、切換弁30に接続された第1及び第2の調整弁31、32と、キャニスタ8に接続された一連の接続点33のところで連結されるそれぞれの出口を有する。
【0029】
圧力調整ユニット29は、入口9とキャニスタ8との間に列をなして位置され、以下に詳細に説明されるように、最良の密封流体注入圧及び最良のタイヤ膨張圧を達成するために、圧力を個別に調整する。
【0030】
特に、調整弁31は、ボトル11からの密封流体を注入するための適切な圧力へと、接続点33及びキャニスタ8の圧力を下げるために、圧力降下を生じる空気抵抗部である。
【0031】
調整弁32は、その入口と出口との間で、調整弁31よりも小さな圧力降下を生じる、第2の空気抵抗部である。これにより、切換弁30が圧縮空気流を調整弁32に向けて、調整弁31(図2に示されるものと逆の配置)へのアクセスを閉じたとき、キャニスタ8の空気流の圧力は、切換弁30が調整弁31に空気流を向けて、調整弁32を閉じたとき(図2の配置)よりも高い。
【0032】
好ましい一実施の形態では、各調整弁31、32は、シャッタを含む逆止弁であり、ばねが、シャッタを閉位置に押圧する。上で説明されたように動作するために、調整弁31のばねは、調整弁32のばねよりも大きな弾性係数を有する。
【0033】
本発明の他の好ましい実施の形態では、調整弁31、32のばねの弾性係数は、好ましくは、手動でユーザにより調整されることができる。
【0034】
ユニット1はまた、注入が完了したとき、すなわち、ボトル11中の密封流体がなくなり膨張が開始されることができるとき、そのことをユーザに示すためにディスプレイ装置を有する。本発明の好ましい実施の形態では、ディスプレイ装置はパッシブであり、チューブを有し、その壁は、透明又は半透明の素材でできた少なくとも一部分を有する。従って、ユーザは、密封流体がチューブに沿って流れているかどうかを見ることができる。チューブは、ホース12を規定し、使用中、このディスプレイ装置は、ユーザがホース12に沿った密封流体の継続的な流れをチェックすることを可能にする。ディスプレイ装置がホース12に沿った密封流体の流れを示さないとき、ユーザは、調整弁32に圧縮空気流を向けるために、切換弁30を切り替えることができる。切換弁30は、好ましくは、ノブ35を有し、このノブ35に接続された回転式シャッタを有する。ユーザは、切換弁を切り替えるためにこれを回す。
【0035】
膨張中にタイヤの圧力をチェックするために、ユニット1は、入口9と、ホース12に接続されたリングナット37との間に位置されたゲージ36を有する。これは、タイヤの安全弁にねじで固定されている。ゲージ36は、好ましくは、キャニスタ8に接続点33を接続しているライン38に沿って圧力信号を受信する。
【0036】
ユニット1は、入口9に対してキャニスタ8に並列な第2のホース40を有する。ホース40は、入口9から圧縮空気を直接受け、タイヤの圧力をチェックするとき、タイヤを膨張させる役割を単独で果す。従って、ホース40もまたゲージに接続され、また、ゲージ36は、好ましくは、OR流体切換部(selector)41によって、ライン38とホース40との両方に接続される。
【0037】
ユニット1はまた、入口9がキャニスタ8に接続される補修パス、又は入口9がホース40に接続された膨張のみのパスを選択するための第2の切換弁42を有する。
【0038】
ユニット1はまた、入口9とホース40との間に減圧部(reducer)を有する。従って、圧力は、タイヤの圧力をチェックするとき、タイヤの補修とは逆であるように、下げられることができる。
【0039】
例えば、減圧部は、圧縮によってホース40に沿って可変空気抵抗部を規定する連続的に調整される弁である。弁の閉位置から始めて、ユーザは、圧縮を徐々に緩めることによって、タイヤの圧力を増加させることができる。ばねはまた、圧力がもはやユーザによって調整されていないとき、閉位置に減圧部を戻すために設けられることができる。
【0040】
好ましい一実施の形態では、減圧部が切換弁42に組み込まれる。これは、少なくとも開閉口ホース40に関して、連続的に調整される弁である。
【0041】
明らかに、ここに説明され図示されるような、補修して膨張される膨張性の物品のためのユニットに、添付の特許請求の範囲に規定されるような本発明の範囲から逸脱することなく、変更がなされることができる。
【0042】
例えば、調整弁32は、なくされてもよい。また、調整弁31は、バイパスライン43に並列に位置され、切換弁30と接続点33との間の圧力降下を生じない。
【0043】
2つの専用のゲージが設けられることができる。これらゲージの一方が、切換弁42とリングナット37との間に、好ましくは、接続点33とキャニスタ8との間に接続され、また、他方が、切換弁42から下流側でホース40に接続される。
【0044】
アーム19は、引き出された位置と引っ込んだ位置との間で移動するようにして、異なるように接続されてもよく、例えば、直線状であってもよいし、台14によって規定されたランナに沿ってスライドしてもよい。
【0045】
ホース40及び切換弁42は、なくされてもよい。この場合には、入口9は、圧力調整ユニット29によって、単独でキャニスタ8に接続される。
【0046】
接続点33もまた、内部の容量部13から下流側に位置されることができる。この場合には、バイパスライン43は、キャニスタ8から下流側でホース12に接続される。この場合もまた、圧縮空気流は、調整弁31によってと、調整弁32又はバイパスライン43によってとの両方で、切換弁30によって向けられることができる。上述の例でのように、調整弁32が調整弁31よりも低い圧力降下を生じる、あるいはなくされるので、バイパスライン43に沿った圧力は、キャニスタ8への入力圧力よりも高く、また、圧縮空気は、バイパスライン43に沿ってより速く流れる。他方では、キャニスタ8への比較的低い圧力は、密封流体の流出を改良し、流体が固まる可能性を低減させる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張性の物品を補修して膨張させるためのユニットであって、このユニットは、
密封流体のための容量部(13)と、
圧力源に接続可能な圧縮空気の入口(9)と、
圧縮空気によって前記膨張性の物品に密封流体を注入するために、前記容量部(13)によって前記入口(9)に流体接続された出口(37)と、
圧力調整ユニット(29)とを規定し、
前記圧力調整ユニット(29)は、
前記容量部(13)への空気圧を下げるための第1の空気抵抗部(31)と、
前記第1の空気抵抗部(31)に並列なバイパスライン(43)と、
前記第1の空気抵抗部(31)及び前記バイパスライン(43)に接続された切換部(30)とを有し、
前記第1の空気抵抗部(31)は、圧縮空気が流入したとき、前記バイパスライン(43)に沿った圧力降下よりも高い圧力降下を生じるユニット。
【請求項2】
前記バイパスライン(43)に沿った第2の空気抵抗部(32)を有することにより特徴付けられる請求項1のユニット。
【請求項3】
前記第2の空気抵抗部(32)は、前記第1の空気抵抗部(31)よりも小さな圧力降下を生じることを特徴とする請求項2のユニット。
【請求項4】
前記第1の空気抵抗部(31)は、弁であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1のユニット。
【請求項5】
前記弁は、逆止弁であることを特徴とする請求項4のユニット。
【請求項6】
前記容量部(13)中の密封流体がなくなったとき、密封流体がなくなったことをユーザに示すための装置(12)を有することにより特徴付けられる請求項1ないし5のユニット。
【請求項7】
前記装置(12)は、パッシブディスプレイ装置であることを特徴とする請求項6のユニット。
【請求項8】
前記装置(12)は、前記容量部(13)から下流側で流体接続されたチューブを有し、前記チューブは、中を通る密封流体の流れが見える素材でできた少なくとも一部分を有することを特徴とする請求項7のユニット。
【請求項9】
第2の切換部(42)と、
前記第2の切換部(42)に関して、前記容量部(13)と前記圧力調整ユニット(29)に並列なホース(40)とを有することによって特徴付けられる請求項1ないし8のいずれか1のユニット。
【請求項10】
前記ホース(40)に沿って圧力を調整するために第3の空気抵抗部(42)を有することによって特徴付けられる請求項9のユニット。
【請求項11】
前記バイパスラインは、前記出口(37)から下流側で接続されていることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1のユニット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2012−517369(P2012−517369A)
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549690(P2011−549690)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【国際出願番号】PCT/IB2010/000251
【国際公開番号】WO2010/092453
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(508375387)テク・グローバル・エス.アール.エル. (3)
【氏名又は名称原語表記】TEK GLOBAL S.R.L.
【住所又は居所原語表記】Via Icaro, 11, I−61100 Pesaro, Italy
【Fターム(参考)】