説明

膨張黒鉛を含むシール材

本発明はシール材、具体的には、取鍋からの溶融金属の鋳造におけるロングノズル用に使用するためのシール材は膨張黒鉛を含む発泡性組成物からなり、膨張黒鉛中に存在する間隙水の、すべてではないが一部が除去されている。
その間隙水は、既知の膨張黒鉛を約230℃と280℃の間で、約30分間、加熱することにより、既知の膨張黒鉛から追い出されることができる。間隙水の一部が除去されると、膨張黒鉛は発泡組成物を作り出すために使用され、所要のシール材に形成/成形される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシール材に関し、具体的には、取鍋からの溶融金属の鋳造におけるロングノズル用に使用するためのシール材に関する。
【背景技術】
【0002】
ロングノズル用に使用されるシール材が膨張黒鉛をベースとしているとき、取鍋交換中に問題が存在することが判明した。膨張黒鉛中に存在する間隙水は通常、約200℃で黒鉛が膨張しはじめるのに十分な蒸気圧を生じはじめる。短時間に、たとえば500℃〜700℃を上回る温度に曝される場合、膨張が非常に速いために多くの黒鉛が分離されて失われ、その結果、シール材が二つの面によって拘束されていない場合には機械的に崩壊する可能性がある。
【0003】
鋳造プロセスの開始の間には、シール材はロングノズルのフランジ内面と取鍋ノズルの表面の間の接合部位にはさまれている。この状況下でシール材が熱くなり黒鉛が膨張しようとするときに、黒鉛の薄片はそうできないない結果として、膨れ上がるにつれ互いに絡み合って非常に効果的なガスシール材を形成する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、取鍋交換の間は状況が大きく異なる。取鍋交換において新しいシール材が熱いロングノズルの中に入り、シュラウド(shroud)が取鍋に付着してシール材が二つの面の間に拘束されるのに、最悪の場合には最長3、4分が経過する。
【0005】
新しいシール材は、拘束されていない間に熱い(約1200℃〜1400℃)ロングノズル中を上昇する高温気体によって加熱される。その結果、シール材は膨張し始め、黒鉛材料は分離し、シール材の制御されない膨張によって失われる。シュラウドを取鍋に付着させる遅れが長くなる程、前述したような、膨張して崩壊するシール材の損失によりシール材の性能が悪化する。シール材のこのような劣化により、接合部位において、より多くの進入、すなわちより多く窒素を取り込んでしまうことになる。
【0006】
本発明の目的は、上記の問題を取り除くか、または減少させるために使用できるシール材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、その中に存在する間隙水の全部ではないが一部が除去された膨張黒鉛を含む発泡性組成物からなるシール材が提供される。
【0008】
間隙水は、既知の膨張黒鉛を、間隙水の所定の割合が追い出される温度まで加熱することにより前もって除去されると好ましい。膨張黒鉛の既知の多くのタイプに関しては、間隙水の約40%〜60%が除去されることが好ましい。これは、一態様においては約30分間で、約230℃〜280℃の間で膨張黒鉛を加熱することによって達成されるのが望ましい。
【0009】
たとえば、本発明の一態様においては、選択されたタイプの未処理である既知の膨張黒鉛をまず加熱して、含まれた間隙水をある割合追い出す。間隙水の40%〜60%を追い出すために、膨張黒鉛は、まず、たとえば230℃〜280℃の間に加熱され、一態様においては、黒鉛はこの温度に約30分間維持される。
【0010】
所定量の間隙水が追い出されると、予め形成された膨張黒鉛は、その後、発泡性組成物を作り出すために使用され、それは、たとえば溶融金属の鋳造において使用されるロングノズルのために必要とされるシール材に形成/成形される。
【0011】
実験および試行により、発泡性組成物に存在する膨張黒鉛を予熱することによって、使用中に、取鍋交換の間であっても依然としてガス気密シール材として作用しながら、より制御された膨張を行うシール材を生じた。したがって結果として、取鍋交換時間を、金属鋳造物、すなわち鋼材における品質が付随的に損失することなしに、必要ならば延長することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張黒鉛を含む発泡性組成物からなるシール材であって、前記膨張黒鉛中に存在する間隙水の全てでなくとも一部が除去されたシール材。
【請求項2】
前記間隙水の40%〜60%が除去された、請求項1に記載のシール材。
【請求項3】
前記間隙水の所定の割合が除去される温度に既知の膨張黒鉛を加熱することによって前記間隙水が除去された、請求項1に記載のシール材。
【請求項4】
前記間隙水の40%〜60%が除去された、請求項3に記載のシール材。
【請求項5】
前記間隙水が前記膨張黒鉛を230℃〜280℃に加熱することによって除去された、請求項3または4に記載のシール材。
【請求項6】
前記膨張黒鉛が前記加熱により230℃〜280℃に30分間維持される、請求項5に記載のシール材。
【請求項7】
前記間隙水の所要の量が前記膨張黒鉛から除去されたのち、前記膨張黒鉛が発泡性組成物を形成するために使用される、請求項1〜6のいずれか1項に記載のシール材。
【請求項8】
前記発泡性組成物が、所要のシール材に形成/成形される、請求項7に記載のシール材。
【請求項9】
溶融金属の鋳造に使用されるロングノズル用に適合される、請求項1〜8のいずれか1項に記載のシール材。

【公表番号】特表2008−536691(P2008−536691A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−507144(P2008−507144)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際出願番号】PCT/GB2006/001047
【国際公開番号】WO2006/111696
【国際公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(506143883)フォセコ・インターナショナル・リミテッド (4)
【Fターム(参考)】