説明

膵臓特異性タンパク質

【課題】膵臓の疾患、脂肪過多症および他の代謝障害、さらに神経変性疾患および他の疾患の診断、治療、および予後に有用である新規組成物を提供する。
【解決手段】配列番号 2、4、6、8、10、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42 または44 のそれぞれに示したアミノ酸配列を持つ、十分に精製されたタンパク質によって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膵臓組織を始めとする特定の組織に特異的に発現される核酸およびタンパク質のアミノ酸配列の使用法、および疾患および障害、例えば、限定するものではないが、糖尿病のような代謝障害を始めとする膵臓および肥満症、脂肪過多症、および/または代謝症候群のような関連障害、さらに肝臓疾患、神経変性疾患などの診断、研究、予防、および治療におけるエフェクター/修飾因子の使用法に関するものである。加えて、これらの配列はβ細胞再生に使用することができる。
【背景技術】
【0002】
世界には 1 億 5 千 100 万人以上の糖尿病患者が存在し、その 10% は米国、そしてその約 20% は欧州に分布している (例えば、Zimmet らの 2001、Nature 414:782−787 を参照)。糖尿病は主な死亡原因であり、21 世紀における人間の健康に対する大きな脅威のひとつと考慮されている。糖尿病には 2 つの主な形態がある。1 型自己免疫性糖尿病 (IDDM) は、膵臓ランゲルハンス島におけるインスリン産生 β 細胞の破壊に起因する。成人膵臓には、極めて限定された再生能しかないため、これらの破壊された膵島は置換されることがない。その結果、患者の生存はインスリンの外来性投与に依存することになる。小児期において 1 型糖尿病を発現する危険性は、実質的に他のすべての重症慢性病よりも大きい。2 型糖尿病は、中度から始まり、最終的に β 細胞障害および外来性インスリン依存につながる重度のインスリン耐性および耐糖能異常まで進行することを特徴とする。高体重および座位の生活様式が 2 型糖尿病の主要な危険因子である。最近になって、LADA (成人における潜在性自己免疫性糖尿病) が、1 型および 2 型糖尿病とは異なる糖尿病の形態として認知されている。患者が最初に LADA と診断されるのは、通常 1 型糖尿病患者よりも遅く、当初は外来性インスリンに依存せず、特に GAD65 に対する膵島自己抗体を有することを特徴とする。現在 2 型糖尿病患者と診断されている全患者の約 10%が実際には LADA 患者であると推定されている。
【0003】
すべての妊娠中母親の約 4%において、血糖値上昇が観察される。このタイプの糖尿病 (「妊娠糖尿病」) は通常分娩後に消散するが、母親と赤ん坊との両者において、健康上の危険を呈するので治療の必要がある。
【0004】
初期段階の 2 型糖尿病患者はもとより、1 型および LADA 患者も、いくらかの β 細胞活性を保持していることは注目に値する。以上の点から、ほとんど乃至はすべての形態の糖尿病患者の体内に依然として存在している β 細胞を利用してインスリン分泌を改善することにより、有益な治療法を得ることができる。
【0005】
注入可能なインスリンが利用できるようになってから、糖尿病は生命にかかわる疾病ではなくなったが、患者に深刻な負担を強要することに変わりはない。これは、インスリンなどの投与により、血糖値の高低変動を防止することができないためである。急性低血糖症は患者の昏睡および死につながり得る。頻繁な高血糖症により、糖尿病性ケトアシドーシス、末期症状の腎臓病、糖尿病性神経症、糖尿病性網膜症および切断を始めとする合併症が引き起こされる。また、糖尿病患者にとって発症の危険性が極めて高い肥満症、高血圧症、心臓病、末梢性血管障害、および感染症のような関連状態が多く存在している。これらの合併症は、糖尿病患者にかかる高額の治療費の大部分を占めており、全体的な生活の質の低下および平均寿命の低下の一因となる。
【0006】
糖尿病を治癒するためには、失われた β 細胞を置換する必要がある。これは現在、膵島または膵臓移植の際に行われている。しかしながら、ドナー臓器は、大部分のインスリン依存型糖尿病性の患者に対する移植のために必要な数にも満たない不足状態である。さらに、患者は臓器移植後に起こり得る一連の異なる副作用および長期にわたる合併症に対処するため、免疫抑制療法を受けなければならない。
【0007】
移植用材料を、患者に臓器移植前に試験管内で分化させた幹細胞から産生することが可能である。試験管内における β 細胞の分化に向かっての進歩はあるが、個別細胞の機能を高めるために、分化を促進する追加因子を同定する必要がある。
【0008】
異なるアプローチとしては、患者体内に含有される体細胞内の幹細胞の分化によって再生する方法が挙げられる。これらの幹細胞は、膵臓内において失われた β 細胞の通常置換を仲介する幹細胞であり得る。但し、肝臓、腸などの器官のような他組織の幹細胞を適切に分化することによっても糖尿病を治療することが可能である。
【0009】
よって、試験管内および/または生体内における β 細胞の分化および/または機能を促進できる新規因子を同定するための技術が求められている。
【0010】
膵臓は、酵素の消化管への送達に関与する外分泌機能および種々のホルモンを血流に分泌する内分泌機能の両方を有する必須器官である。外分泌機能は、種々の消化酵素 (例えば、アミラーゼ、プロテアーゼ、核酸分解酵素など) およびアルカリ溶液中のこれらの酵素を十二指腸に輸送する介在導管を作り出す腺房細胞および房心細胞によって確保される。内分泌膵臓の機能単位はランゲルハンス島である。膵島は膵臓の外分泌部の至るところに分散しており、4 つの細胞型: α 細胞、β 細胞、δ 細胞および PP 細胞で構成されている。これは、例えば Kim & Hebrok、2001、Genes & Development 15:111−127、および Slack, Development 121 (1995)、1569−1580 でレビューされている。β 細胞は、インシュリンを産生し、内分泌細胞の大部分に相当し、ランゲルハンス島の中心を形成する一方、α 細胞はグルカゴンを分泌し、ランゲルハンス島の外周部に位置している。δ 細胞および PP 細胞は比較的に数が少なく、それぞれソマトスタチンおよび膵臓ポリペプチドを分泌する。
【0011】
初期膵臓の発育に関しては、ニワトリ、ゼブラフィッシュ、およびマウスを始めとする異なる種において十分に研究されている (詳細な検討に関しては、前出の Kim & Hebrock、2001 を参照)。膵臓は、固有の背側原基および腹側原基から発生する。膵臓の発生には、両方の前後軸および背側腹側軸の両方に沿った膵臓原基の特異化が必要とされる。発育中の原基内で、適切な臓器の発育にとって重要な多くの調節因子に関しての記述があるが、異なる発生プログラムの試験管内における反復は、今までのところ困難であることが分かっている。
【0012】
中年期以降、腺房細胞および導管細胞は、膵島細胞がほとんど有糸分裂的に不活性となるのに対して、細胞の更新および成長を確保できる顕著な増殖力を維持する。胚の発育中、およびおそらく中年期以降には、膵臓ランゲルハンス島は分化する上皮 幹細胞に由来する。これらの幹細胞は発育中、膵管に位置するか、または管状の構造を形成するように見えるが、明らかではない。膵島に対する初期前駆体細胞は多型潜在性であり、初期の内分泌遺伝子発現プログラムを同時活性化する。発育が進むにつれて、膵島特異性ホルモンの発現は成熟膵島細胞の発現特性パターンに制限されるようになる。膵島の形成は動的であり、妊娠中または小児期および思春期には、インスリン要求の変化に反応する。
【0013】
多くの膵臓疾患は、膵臓構造の欠陥または不適切な細胞再生に関連するが、これらの欠陥の根底にある分子機構は不明である。しかしながら、数々の研究によって、膵臓細胞の運命、さらに膵臓構造の形態形成、例えば、FGF シグナル伝達、アクチビンシグナル伝達、ヘッジホッグ経路、ノッチシグナル伝達、VEGF シグナル伝達、およびTGF β シグナル伝達経路に影響を及ぼす多くのシグナル伝達経路が同定されている。従来の技術では、特定の膵臓組織における初期発育中に特異的に発現される候補遺伝子の同定が必要とされる。これらの遺伝子およびそれによってコードされたタンパク質は、重度の膵臓障害および関連疾患の診断および治療に対するツールを提供する。以上の点から、本発明では、発育初期の膵臓組織において特異的に発現されたタンパク質を記述する。本発明は、糖尿病のような膵臓の機能障害、および他の疾患の診断、予防および/または治療における、これらの遺伝子およびタンパク質の使用法に関するものである。
【0014】
これまでには、糖尿病のような代謝疾患の調節機能は、本発明のタンパク質に関連する従来の技術においては記載されていない。本発明では、膵臓の発育に関与する DP119、DP444、DP810、DP685、WE474、DP160、RA977、または RA770 遺伝子およびそれらによってにコードされたタンパク質 (本明細書中では本発明のタンパク質と呼ぶ) の新規機能を記述する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Zimmetらの2001、Nature 414:782−787
【非特許文献2】Kim&Hebrok、2001、Genes&Development 15:111−127
【非特許文献3】Slack,Development 121(1995)、1569−1580
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
胚期膵臓上皮、膵島細胞、膵臓間充織のような膵臓組、さらに前脳、菱脳、神経節、鰓弓、胃腸、腸内領域、肺臓、および間充織、および分子自体のようなその他の組織において特異的に発現された分子をコードするポリヌクレオチドの同定により、糖尿病を始めとする膵臓の疾患および障害を調査研究するための新しい可能性が提示されている。本発明のタンパク質およびこれらのタンパク質に対する抗体、同様に、当該ポリペプチドまたはタンパク質、例えばアプタマーまたはその他の受容体のエフェクター分子の同定は、膵臓の疾患、脂肪過多症および他の代謝障害、さらに神経変性疾患および他の疾患の診断、治療、および予後に有用である新規組成物を提供することによって当分野の要望に応えることができる。
【0017】
以上の点から、DP119、DP444、DP810、DP685、WE474、DP160、RA977、またはRA770 タンパク質および核酸分子コーディングは、脊椎動物種、例えば哺乳類 または鳥類から入手可能である。特に好適なのは、ヒトホモログまたはポリペプチドである (図 2、4、6、8、10、12、14、または16 をそれぞれ参照)。また、ニワトリ核酸およびそれによってにコードされたポリペプチドも特に好適である (図 2、4、6、8、10、12、14、または16 をそれぞれ参照)。
【課題を解決するための手段】
【0018】
従って、本発明は、配列番号 2、4、6、8、10、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42 または44 のそれぞれに示したアミノ酸配列を持つ、十分に精製されたタンパク質を特徴とする。本発明の一実施態様では、本発明のタンパク質をコードする、単離され十分に精製されたポリヌクレオチドを特徴とする。特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは配列番号 1、3、5、7、9、11、12、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41 または 43 を有するヌクレオチド配列である。また、本発明は、配列番号 1、3、5、7、9、11、12、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41 または 43、の相補体から成るポリヌクレオチド配列またはその変異体に関するものである。加えて、本発明は、ストリンジェントな条件下で、配列番号 1、3、5、7、9、11、12、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41 または 43 に対してハイブリダイズするポリヌクレオチド配列および/またはその相補体を特徴とする。本発明は、加えて、上記アミノ酸配列およびポリヌクレオチドの断片またはその部分から成るポリペプチドまたはペプチド、または上記核酸配列および核酸類似体、例えばペプチド核酸 (PNA)、モルホリノ核酸、固定核酸 (LNA) の断片またはその部分から成るオリゴヌクレオチド、またはそのアンチセンス分子、および本発明のタンパク質をコードするポリヌクレオチドから成る発現ベクターおよび宿主細胞を特徴とする。ポリペプチドまたはペプチド断片の長さは、望ましくは少なくとも 5、より望ましくは少なくとも 6 および最も望ましくは少なくとも 8 アミノ酸である。核酸断片および核酸類似体の長さは、望ましくは少なくとも 10、より望ましくは少なくとも 15 および最も望ましくは少なくとも 20 ヌクレオチドである。
【0019】
また、本発明では、本発明のタンパク質に対して 特異的に結合する抗体、および十分に精製された本発明のタンパク質から成る医薬品組成物をも特徴とする。また、本発明では、本発明のタンパク質エフェクター、例えば、アゴニストおよびアンタゴニストの使用をも特徴とする。エフェクターは、望ましくは、核酸および本発明のタンパク質の機能を調節する能力のある抗体、アプタマー、低分子量分子、アンチセンス分子、リボザイムから選択する。本発明のタンパク質をコードする核酸は、相同遺伝子または関連遺伝子の同定; コードされたタンパク質の発現または機能を調節する組成物の産生; 遺伝子治療用; タンパク質のマッピング機能領域; および関連生理学的経路の特性解明に使用する。
【0020】
本タンパク質、ヌクレオチド配列、および方法について以下に説明するが、説明した特定の方法、プロトコル、細胞株、ベクターおよび試薬によって本発明が限定されるものではなく、改変し得ることは当然のことながら共通認識とする。また、本詳細書で使用する専門用語は特定の実施例を説明する目的で用いたものに過ぎず、特許請求の範囲にのみ限定される本発明の範囲を限定することを意図するものではないことも当然のことながら共通認識とする。
【0021】
請求の範囲および明細書中で用いている単数形の「或る」および「その(この)」の表記は、文脈から明らかにそうでないとされる場合を除いて複数のものを指す場合もあることに注意しなければならない。従って、例えば「宿主細胞」と記されている場合にはそのような宿主細胞が複数あることもあり、「抗体」と記されている場合には単数または複数の抗体、及び、当業者に公知の抗体の等価物等についても言及している。本明細書中で用いる全ての専門用語および科学用語は、特に定義されている場合を除き、当業者に一般に理解されている意味と同じ意味を有するものとする。本明細書中に記載する方法および材料に類似または等価な方法および材料は、本発明の実践または検査で用いることができるが、好適な方法、装置、および材料はここに記載する。本明細書で言及する全ての刊行物は、本発明に関連し得る刊行物中で報告されている細胞株、ベクターおよび方法論について説明および開示する目的で、ここに引用することをもって本明細書の一部となす。本明細書のいかなる開示内容も、本発明が先行技術の効力によってこのような開示に対して先行する権利を与えられていないことを認めるものではない。
【0022】
本発明は、DP119、DP444、DP810、DP685、WE474、DP160、RA977、またはRA770 タンパク質の新規機能の発見に基づくものであり、また特にこれらのタンパク質が初期膵臓組織およびその他の組織において特異的に発現されるという知見に基づくものである。
【0023】
本発明はさらに、本発明のタンパク質をコードするポリヌクレオチド、当該遺伝子の機能的断片、当該遺伝子またはその断片によってコードされたポリペプチド、およびエフェクター/修飾因子、例えば、アンチセンス分子、RNAi 分子のような抗体、生物学的に活性な核酸、またはリボザイム、アプタマー、ペプチドまたは当該ポリヌクレオチドまたはポリペプチドを認識する低分子量有機化合物、およびそのような細胞に関連する、糖尿病および肥満症のような代謝疾患、神経変性疾患、心臓病、腸内疾患、肝臓障害などを始めとする疾患および障害の診断、研究、予防、または治療のためのこれらの組成物の使用法に基づくものである。
【0024】
本発明のニワトリタンパク質をコードする核酸は、胚の膵芽において発現される遺伝子のホールマウント in−situ スクリーニングを介して、膵臓組織の cDNA ライブラリ (第 6 日目) から最初に同定した(実施例を参照)。
【0025】
ゼブラフィッシュのモデル個体としての重要性は近年高まっている。この種の胚は透明であり、大量に提供されており、母親の体外で急速に成長し、遺伝子機能の正逆両方の遺伝子分析を行うことができる。ゼブラフィッシュにおける膵臓の発育に関して発表されたデータは、膵島形成が極度に急速に起こること (24 時間以内) を示し、そしてこのプロセスには哺乳類と同一の調節遺伝子が必要であることを示唆する (Biemar らの Dev Biol. 2001 Feb 15;230(2):189−203 を参照)。モルフォリノ アンチセンスオリゴヌクレオチド(Mos)、修飾ペプチド核酸 (mPNAs) または優れた効率および特異性を有するその他のアンチセンス化合物を用いたゼブラフィッシュ胚における抑制遺伝子機能は、通常、同一遺伝子における遺伝的変異体と区別できない表現型を産生する (Nasevicius らの Nat Genet. 2000 Oct;26(2):216−20; Effimov らの NAR 26; 566−575; Urtishak らの 5th international conference on zebrafish development and genetics、Madison/WI 2002、abstr. #17)。以上の点から、このアプローチにより、モデル脊椎動物における遺伝子機能の迅速な評価が可能となる。
【0026】
マイクロアレイは、生体分析化学において日常的に用いられる分析ツールである。マイクロアレイは、固形担体の表面上に分布され、そして該表面に安定して関連する分子を持つ。用語「マイクロアレイ」は、基質上での複数のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体、またはその他の化合物の配列構成を指す。ポリペプチド、ポリヌクレオチド、および/または抗体のマイクロアレイが作り出されており、遺伝子発現の監視、薬剤の発見、遺伝子シーケンシング、遺伝子マッピング、細菌の同定、およびコンビナトリアルケミストリーのような種々の用途において使用されている。マイクロアレイがとりわけ使用される一領域は、遺伝子発現分析の領域である (実施例 4 を参照)。アレイ技術を用いて、単一の多型遺伝子または多数の関連遺伝子の発現または無関係遺伝子の発現プロファイルを研究することができる。単一遺伝子の発現を検討する場合には、アレイを用いて特異的な遺伝子またはその変異体の発現を検出する。発現プロファイルを検討する場合、アレイは、組織特異的であり、毒物試験法において検査する物質によって影響を受け、シグナル伝達カスケードの一部であり、ハウスキーピング機能を実行し、または特異的特定の遺伝的な素因、状態、疾病、または障害に関連する遺伝子を同定するためのプラットフォームを提供する。
【0027】
マイクロアレイは、本技術分野でよく知られている方法を用いて調製し、使用し、そして分析される(例えば Brennan、T.M. らの (1995) 米国特許第 5,474,796号 Schena、M. らの (1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:10614−10619: Baldeschweiler らの(1995) PCT 出願第 WO95/251116 号 Shalon、D. らの (1995) PCT 出願第 WO95/35505 号 Heller、R.A .らの (1997) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94: 21502155; Heller、M.J. らの (1997) 米国特許第 5,605,662 号などを参照)。各種マイクロアレイは公知であり、Schena、M.、ed. (1999; DNAマイクロアレイ: Practical Approach、Oxford University Press、London)において十分に記述されている。
【0028】
更に別の実施例では、本明細書で記載した任意のポリヌクレオチド由来のオリゴヌクレオチドまたはより長い断片を、マイクロアレイにおけるエレメントとして用いることができる。多数の遺伝子の関連発現レベルを同時に監視する転写イメージング技術にマイクロアレイを用いることが可能である。 これについては、以下に記載する。マイクロアレイはまた、遺伝変異体、突然変異及び多型の同定に用いることができる。この情報を用いることで、遺伝子機能を決定し、疾患の遺伝的根拠を理解し、疾患を診断し、遺伝子発現の機能としての疾病の進行/後退を監視し、疾病治療における薬剤の活性を開発及び監視することができる。特に、患者にとって最もふさわしく、有効的な治療法を選択するために、この情報を用いて患者の薬理ゲノムプロフィールを開発することができる。例えば、患者の薬理ゲノムプロフィールに基づき、患者に対して高度に有効的で副作用を殆ど示さない治療薬を選択することができる。
【0029】
DP119: 一実施例において、本発明は、図 2B において 1 文字コードを用いて示したように、配列番号 2 のアミノ酸配列から成るニワトリ DP119 タンパク質、ポリペプチドを包含する。本発明に記載の DP119 タンパク質を用いた in−situ ハイブリダイゼーション実験を、受精後 5 日目のニワトリ胚 (図 1A)、切断された膵芽組織 (図 1B)、および 5 日目のニワトリ胚の背側部の断面 (図 1C) のホールマウント標本上で行った。このハイブリダイゼーションにより、DP119 転写物が神経節に限って、神経管 (nt) に沿って、発育中の胃腸 (st) の外側上で、そして背側膵芽および腹側膵芽 (dpb、vpb) において、膵島 (is) において、そして膵臓上皮および管細胞 (du) の一部の細胞において、それぞれ発現されることが明らかとなる (図 1 を参照)。
【0030】
予測アミノ酸配列は、公的に利用可能である GenBank データベースで検索した。配列データベースを検索して、例えば、DP119 がヒト仮想タンパク質 (cDNA の Genbank アクセッション番号 AL050137.1 およびタンパク質の CAB43286.1 ) と、マウス仮想タンパク質 (cDNA の Genbank アクセッション番号 BC025654.1 およびタンパク質の AAH25654.1、図 2 を参照) に対して相同性を持つことを見出した。相同性に基づくと、DP119 タンパク質および各相同性タンパク質またはペプチドは少なくともある程度の活性を共有することが可能である。
【0031】
DP119 の C末端には、オルファクトメディン様ドメインが含まれており、その N末端は、特定サイトカインに似ているシスチンに富むドメインを特徴とするこれらの 2 ドメインは、タンパク質の機能的サブドメインに相当し得る。
【0032】
DP444: 一実施例では、本発明は、図 4B において 1 文字コードを用いて示したように、配列番号 8 のアミノ酸配列から成るニワトリ DP444 タンパク質、ポリペプチドを包含する。本発明に記載の DP444 タンパク質を用いたin−situ 法実験は、受精後 3.5 日目 (図 3A)、4 日目 (図 3B)、および 5 日目のヒヨコ 胚 (図 3C) 上、および切断された膵芽組織 ( 図 3D) のホールマウント上で行った。このハイブリダイゼーションにより、DP444 転写物が、背側膵芽および腹側膵芽に限って、神経管に沿って、体節、発育中の腸において、背側菱脳、胃腸において、そして膵島において発現されることが明らかとなる (図 3 を参照)。
【0033】
予測アミノ酸配列は、公的に利用可能である GenBank データベースで検索した。配列データベースを検索して、例えば DP444 は、ヒトタンパク質 BAC03521、ヌクレオチド GenBank アクセッション番号 AK090815 と相同性を持つことを見出した (詳細は実施例 10 を参照)。また、高度に相同なマウスおよびサカナタンパク質も同定し得る (図 4K を参照)。公共 ドメインデータベースの検索 (例えば、http://smart.embl−heidelberg.de/ の SMART または NCBI の RPS−BLAST) により、DP444 内には既知のタンパク質ドメインが存在しないことを明らかにした。DP444、そのヒト、マウスおよびサカナのホモログおよびタンパク質 F25C8.3 (ガンビエハマダラカ、gi|19572386)、F25C8.3.p (線虫 gi|17560138) および CG18437 遺伝子産物 (キイロショウジョウバエ、gi|7301616) により、未知の機能を持つ新規ファミリーが形成される (図 4K)。
【0034】
DP444 に特異的なアンチセンス・モルフォリノ・オリゴを用いたゼブラフィッシュにおける DP444 遺伝子機能のノックダウンは、すべての注入胚の 20〜30% の島収束欠陥につながる (図 3E を参照)。類似の欠陥は、神経癒着分子 DM−GRASP/neurolin/BEN/CD166 のゼブラフィッシュ ホモログが同一方法によって機能的に抑制される際に観察することができる。両遺伝子の同時抑制は相加効果につながらず、CD166 および DP444 が同一経路において作用し得ることを示唆する。CD166 遺伝子は、その神経経路を先導する役割および T 細胞を活性する役割に加えて、膵臓の発育にも関与している。CD166 機能と主要な膵臓調節遺伝子 Pdx1 の発現との間の関連が示唆されている (Stephan らの Developmental Biology 212、264−277 を参照)。従って、DP444 は Pdx1 調節に関与することが可能である。
【0035】
成人マウス組織における発現分析により、DP444 転写物は脳 (特に視床下部) および膵島に制限されることが明らかとなり、β 細胞における DP444 の重要な機能を示唆している。
【0036】
DP810: 一実施例では、本発明は、図 6B において 1 文字コードを用いて示したように、配列番号 18 のアミノ酸配列から成るニワトリ DP810様タンパク質、ポリペプチドを包含する。本発明に記載の DP810 タンパク質を用いた in−situ ハイブリダイゼーション実験は、受精後 5 日目の ヒヨコ 胚 (図 5A および 5B)上および切断された膵芽組織 (図 5C および 5D) のホールマウント上で行った。そのハイブリダイゼーションは、本発明の DP810 転写物が膵島の外周 (is、図 5) およびその周辺の膵臓間充織 (pm、図 5) に限って発現されることを示す。
【0037】
予測アミノ酸配列は、公的に利用可能である GenBank データベースで検索した。配列データベースを検索して、例えば、DP810 がヒト、おそらくマウスの多ドメインタンパク質の相同分子種 と相同性を有することを見出した (cDNA の GenBank アクセッション番号 NM_024500.1 (図 6C、配列番号 19)、タンパク質の NP_078776.1 (図 6D、配列番号 20)。相同性に基づくと、DP810 タンパク質および各相同性タンパク質またはペプチドは少なくともある程度の活性を共有することが可能である。
【0038】
多ドメインタンパク質が最初に記載されたのは 2000 年である (Gilges D. らの 2000、Biochem J. 352 Pt 1:49−59)。タンパク質のタグ付き C末端は、Cos7 細胞において発現される際に分泌されることが明らかとなった。一次配列における N グリコシル化部位および SDS−PAGE ゲルのわずかに低下した運動性は、グリコシル化による翻訳後修飾を示唆する。多ドメインタンパク質の強力な発現は、ヒト胎盤および肺臓に見出され、弱い発現は脾臓、骨格筋および心臓において観察された。膵臓発現の分析は行わなかった。多ドメインタンパク質のヒトホモログは、サカナによって染色体9q32 に対してマッピングした。多ドメインタンパク質には多くのタンパク質ドメインが含まれている。最も注目に値するのは、EGF− (上皮成長因子)様の 反復、フォン・ヴィレブランド因子 A 型ドメイン、および 34 相補体制御 タンパク質 (CCP) 分子であり、細胞シグナル伝達または細胞癒着における潜在的機能を示唆している。
【0039】
DP685: 一実施例では、本発明は、図 8A において示したように、配列番号 21 の核酸配列によってコードされたニワトリ DP685 タンパク質、ポリペプチドを包含する。in−situ ハイブリダイゼーション実験を、本発明に記載した DP685 タンパク質を用いて、受精後 4 日目 (図 7A) および 5 日目のニワトリ胚 (図 7B) のホールマウント上で行った。このハイブリダイゼーションにより、転写物が背側膵芽および発育中の胃腸および背側神経管、背側前脳、菱脳、鰓弓、後肢および前肢において発現されることが明らかとなる。
【0040】
予測アミノ酸配列は、公的に利用可能である GenBank データベースで検索した。配列データベースを検索して、例えば、DP685 がヒトオートタキシン−t (同意語は、細胞外ヌクレオチドピロホスファターゼ/ピロホスファターゼ 2 (ENPP2); Genbank アクセッション番号 L46720.1 および AAB00855.1; 配列番号 23および24) と相同性を持つ ことを見出した。相同性に基づくと、DP685 タンパク質および各相同性タンパク質またはペプチドは少なくともある程度の活性を共有することが可能である。
【0041】
二機能酵素ホスホジエステラーゼ I (EC 3.1.4.1)/ヌクレオチドピロホスファターゼ (EC 3.6.1.9) (PD−I (α) とも呼ばれる) を Narita らの (1994) J. Biol. Chem. 269: 28235−28242 によりラット脳からクローニングした。ヒトPD−I α 相同物は、ラットタンパク質に対して89% の同一性を有する 863 アミノ酸タンパク質である (Kawagoe らの (1995) Genomics 30: 380−384)。ノーザンブロット分析により、脳、胎盤、腎臓および肺臓おいて 3−kb 転写物を検出した。52 アミノ酸が欠如しているが、さもなければ PD−I (α) と同一の明らかにスプライス変異体は、オートタキシン、腫瘍細胞の運動性刺激因子として記載されている (Murata らの 1994 J. Biol. Chem. 269: 30479−30484)。前出の Kawagoe ら(1995) は、種々の潜在的 DNA 結合部位およびイントロン 1 を含有した遺伝子の 5'末端に対するゲノムクローンを取得した。
【0042】
しかしながら、最近の 2 つの刊行物では、オートタキシンがリゾホスホリパーゼ D 活性を有すること、およびそれによってリゾホスファチジン酸 (LPA) が合成されることが同定されている (Tokumura らの 2002、J Biol Chem. 2002 Aug 9; Umezu−Goto らの 2002、J Cell Biol. 158(2):227−33; レビュー: Moolenaar、2002、J Cell Biol. 158(2):197−9)。LPA は、細胞骨格構造、細胞増殖および細胞移動に対して影響力を持つ強力なシグナル伝達化合物である。その活性は、edg ファミリーに属する G タンパク質共役受容体ファミリーによって調節される。このファミリーの異なるメンバーにより、発現および下流シグナル伝達パートナーの相違が明らかされる (例えば Takuwa らの 2002、J Biochem (Tokyo). 131(6):767−71でレビューされている)。
【0043】
本発明に示したように、ニワトリ胚の受精後 4 日目および 5 日目のオートタキシンの発現パターンは、オートタキシンおよび/または オートタキシンによって合成された LPA が動物の成長において重要だが、今のところは未知の役割を果たすことを示唆する。これは、四肢、中枢神経系および膵臓の成長、分化および形態形成の様式を考慮すると、特に著しい (図 3 を参照)。
【0044】
胚期膵芽におけるオートタキシンの発現は、幹細胞のような他の細胞型から取り出したインスリン分泌細胞の新規機能を示唆するものである。
【0045】
神経組織、例えば神経管および脳、および四肢におけるオートタキシンの発現は、神経細胞および幹細胞のような他の細胞型から取り出した運動装置の細胞の作成における、オートタキシン、LPA、またはオートタキシンによって作成されたその他の反応産物の新規機能および使用法を示唆する
また、これは、特定の細胞型において発現されたLPA 受容体に特異的なアゴニスト、またはそれらの前駆体が、これらの細胞の成長、分化、または臓器特異性構造を調節できる可能性を高める。例えば、膵臓の幹細胞、その他の幹細胞または新しいインスリン分泌細胞を作成するために使用できるその他の細胞のような特定の細胞型において多かれ少なかれ特異的に発現されるLPA 受容体の刺激作用は、LPA に関する文献において記載された多くの効果にかかわらず、比較的に特異的な応答を作り出し得る。
【0046】
WE474: 一実施例では、本発明は、図 10B において 1 文字コードを用いて示したように、配列番号 28 のアミノ酸配列から成るニワトリ WE474 タンパク質、ポリペプチドを包含する。in−situ ハイブリダイゼーション実験を、本発明に記載した WE474 タンパク質を用いて、受精後 5 日目のホールマウント上で行った。このハイブリダイゼーションにより、WE474 転写物が発育中の膵臓を始めとして肝臓 (li) および腸内領域 (in) に限って発現されることが明らかとなる (図 9A)。
【0047】
予測アミノ酸配列は、公的に利用可能である GenBank データベースで検索した。配列データベースを検索して、例えば、WE474 がヒトコレクチンサブファミリーメンバー 10 と相同性を持つことを見出した (cDNA の Genbank アクセッション番号 NM_006438.2 およびタンパク質の NP_006429.1; 配列番号 29 および 30)。相同性に基づくと、WE474 タンパク質および各相同性タンパク質またはペプチドは少なくともある程度の活性を共有することが可能である。
【0048】
コレクチンは、コラーゲン様配列および炭水化物認識ドメインを有する C レクチンファミリーである。これらのタンパク質は微生物の炭水化物抗原に結合することができ、直接中和および凝集、レクチン経路を介した相補体の活性化、およびコレクチン受容体によるオプソニン作用 によって、それらの感染を抑制する (Ohtani K. らの 1999、J Biol Chem 274(19):13681−13689)。肝臓 (CL−L1 (コレクチン肝臓1)) から取り出したヒトコレクチンをコードする cDNA は、N末端シスチンに富むドメイン、コラーゲン様ドメイン、ネックドメイン、および炭水化物認識ドメインから成る典型的なコレクチン構造上での特徴を持つ。このコレクチンは、その C末端領域に 4 つのリシン残基独特の反復を持つ。CL−L1 は、細胞質タンパク質として主に肝臓に存在しており、また胎盤にも少量存在している。より高感受性の分析では、大部分の組織 (骨格筋を除く) には CL−L1 mRNA が含まれていることを明らかにした。ズーブロット分析は、CL−L1 が哺乳類および鳥類に限定されていることを示した。染色体局在性の研究は、CL−L1 遺伝子が染色体8q23−q24.1.に局在することを示した。CL−L1 はマンノースを弱く結合する (例えば、Ohtani K. らの 1999、J Biol Chem 274(19):13681−13689 を参照)。好適なソフトウェアを用いた WE474 タンパク質配列の分析 (例: SignalP、Nielsen らの Protein Engineering 10、1−6) により、分泌シグナルの存在が明らかとなる。従って、WE474 が、細胞間または自己分泌のシグナル伝達に役割を持つ可能性が高い。
【0049】
DP160: 一実施例では、本発明は、図 12B において 1 文字コードを用いて示したように、配列番号 32 のアミノ酸配列から成るニワトリ DP160 タンパク質、ポリペプチドを包含する。本発明に記載の DP160 タンパク質を用いた in−situ ハイブリダイゼーション実験を、受精後 5 日目のニワトリ胚 (図 11A) のホールマウント上および受精後 5 日目のヒヨコ 胚 (図 11A) の発育中の膵臓の断面上で行った。このハイブリダイゼーションにより、DP160 転写物が神経節に限って、神経管 (nt) に沿って、発育中の胃腸(st) の外側で、中腎において、背側膵芽および腹側膵芽 (dpb、vpb) において、膵島 (is) において、そして膵臓上皮の一部の細胞において、それぞれ発現されることが明らかとなる (図 11 を参照)。
【0050】
予測アミノ酸配列は、公的に利用可能である GenBank データベースで検索した。配列データベースを検索して、例えば、DP160 がヒトCCR4 炭素異化代謝産物抑制 4様タンパク質 (CCRN4L; Nocturnin) (Genbank アクセッション番号 XP_003343.3 および XP_003343.2; 配列番号 33 および 34) と相同性を持つことを見出した。相同性に基づくか、または DP160 タンパク質および各相同性タンパク質またはペプチドは、少なくともある程度の活性を共有することが可能である。
【0051】
Nocturnin は当初、アフリカツメガエル (Xenopus laevis) の光受容体において夜間に高発現する概日性クロック調節遺伝子として、ディファレンシャルディスプレイによって同定された。新規タンパク質をコードするが、nocturnin cDNA は、酵母転写因子 CCR4のC末端ドメイン、およびマウスおよびヒトEST と強力な配列類似性を持つ。その最初の同定以来、ヒトおよびマウス由来の相同物を始めとする、nocturnin/CCR4 のさまざまな相同物がクローニングされた。C3H/He および C57/Bl6 マウスにおける mRNA のノーザン法分析により、mNoc 遺伝子が、広範囲の組織において、特に肝臓、腎臓および精巣、さらには複数の脳領域において最も豊富に発現されることが明らとなった。さらに、mNoc は、mRNA の概日リズムを、ライトオフセット時をピークとして、網膜、脾臓、心臓、腎臓および肝臓において、豊富に示す (Wang らの 2001、BMC Dev Biol 1(1):9)。
【0052】
RA977: 一実施例では、本発明は、図 14B において 1 文字コードを用いて示したように、配列番号 36 のアミノ酸配列から成るニワトリ RA977 タンパク質、ポリペプチドを包含する。in−situ ハイブリダイゼーション実験を、本発明に記載した RA977 タンパク質を用いて、受精後 5 日目のホールマウント上で行った。このハイブリダイゼーションにより、RA977 転写物が背側膵芽に限って発現されることが明らかとなる (図 13A および 13B を参照)。
【0053】
予測アミノ酸配列は、公的に利用可能である GenBank データベースで検索した。配列データベースを検索して、例えば、RA977 がヒト上皮 膜タンパク質 2 と相同性を持つことを見出した (EMP2; cDNA の Genbank アクセッション番号 XM_030218.1 およびタンパク質の P54851; 配列番号 37 および 38、図 14 を参照)。相同性に基づくと、RA977 タンパク質および各相同性タンパク質またはペプチドは少なくともある程度の活性を共有することが可能である。
【0054】
上皮 膜タンパク質 2 (EMP−2) は末梢性ミエリンタンパク質22 遺伝子ファミリーのメンバーである (PMP22/EMP/MP20 遺伝子ファミリー)。PMP22 遺伝子に影響を及ぼす突然変異は、遺伝性モーターおよび感覚神経障害と関連する。ヒトにおいては、EMP−2 mRNA 転写物は、肝臓を始めとする大部分の組織において見出される。 EMP−2 は、成人卵巣、心臓、肺臓および腸および胎児肺臓において最も顕著に発現される。PMP22 は細胞増殖およびアポトーシスの調節に関与しているので、EMP−2 が種々の組織における類似の調節プロセスにも関与している可能性が高いようである (Taylor V. および Suter U.、1996、Gene 175(1−2):115−120)。
シャルコー・マリー・ツース (CMT) 末梢神経障害は、末梢神経系に影響を及ぼす疾患の遺伝的な混成群を表す。常染色体優性 CMT 1C 型 (CMT1C)。染色体16p13.1−p12.3 に対して遺伝的にマッピングした。染色体16p13.2 に対してマッピングする上皮 膜タンパク質 2 の遺伝子(EMP2)は、CMT1C の候補遺伝子である (Street V. A., 2002, Am J Hum Genet 70(1):244−250)。
【0055】
4−膜貫通タンパク質である上皮 膜タンパク質 2 は、機能的腫瘍抑制因子表現型を介してB 細胞リンパ腫の発癌性を抑制し得る (Wang C. X., 2001, Blood 97(12):3890−3895)。
【0056】
RA770: 一実施例では、本発明は、図 16B において 1 文字コードを用いて示したように、配列番号 40 のアミノ酸配列から成るニワトリ RA770−like タンパク質、ポリペプチドを包含する。in−situ ハイブリダイゼーション実験を、本発明に記載した RA770 タンパク質を用いて、受精後 5 日目のホールマウント上で行った (図 15A)。このハイブリダイゼーションは、本発明の RA770 転写物が、十二指腸(dd) および腹側膵芽 (vpd)、胃腸領域 (st)、肺臓 (lu) および背側膵芽 (dpb) に限って発現されることを示す (図 15)。
【0057】
予測アミノ酸配列は、公的に利用可能である GenBank データベースで検索した。配列データベースを検索して、例えば、RA770 がヒト Neurturin 前駆体(GenBank アクセッション番号 NM_004558 (図 16C、配列番号 41、図 16D、配列番号 42)) およびをマウスNeurturin 前駆体(GenBank アクセッション番号 NM_008738 (図 16E、配列番号 43、図 16F、配列番号 44)) と相同性を有することを見出した。相同性に基づくと、RA770 タンパク質および各相同性タンパク質またはペプチドは少なくともある程度の活性を共有することが可能である。
【0058】
強力な神経栄養因子である Neurturin (またはNRTN) を、Kotzbauer らの(1996) Nature 384: 467−470 の方法によって中国ハムスター卵巣の細胞調整培地から精製した。タンパク質は、グリア細胞株由来の神経栄養因子(GDNF) に近縁である。Neurturin および GDNF は、TRN と呼ばれる固有のTGF β サブファミリ(亜科) を形成する (「TGF β 関連ニューロトフィン」に関しては Takahashi によるレビュー、2001、Cytokine Growth Factor Rev 12(4):361−73 を参照)。このタンパク質ファミリーメンバーは、RET チロシンキナーゼおよびグリコシル・ホスファチジルイノシトール・アンカードコレセプター (GFRα1−4)) から成る独特の多成分受容体系を介してシグナルする。これらの神経栄養因子は、末梢自律神経および感覚神経細胞、同様に、中枢運動およびドーパミン神経細胞を始めとする種々の神経細胞の生存を促進し、神経変性疾患用の治療用薬剤として期待されている。加えて、GDNF/RET シグナル伝達は、腎臓の発育および精原細胞の分化の調節においてきわめて重要である役割を果たす。RET 突然変異は、乳頭甲状腺ガン腫、多発性内分泌腺腫の 2A 型および 2B 型、およびヒルシュスプルング病のようなさまざまなヒト疾患の原因となる。種々の機構および変異型タンパク質の生物学的特性による RET の活性化または不活性化を結果としてもたらしたこの突然変異は、疾病表現型と相関関係を持つように見える。GDNF または変異体RET によって活性化されたシグナル伝達経路 は、疾病進行の分子機構および GDNF ファミリーリガンドの生理学的役割りを理解するために幅広く 検討されている。
【0059】
Heuckeroth らの(1997) Genomics 44:137−140 には、ノックアウトマウスの GDNF または Ret における突然変異を不活性化することは、腸内神経節細胞欠損症および腎形成異常の原因となることが記載されている。また、Neurturin は、RET および GPI 関連コレセプターを介してシグナルする。GDNF のように、Neurturin は、交感神経の、結節性の、および後根神経節の感覚神経細胞を始めとする多くの神経細胞集団の生存を促進することができる。前出の Heuckeroth ら (1997) は、マウスおよびヒトゲノム Neurturin のクローンを分離し、プレproNeurturin が 2 エキソンによってコードされることを明らかにした。マウスおよびヒトのクローンは、共通のイントロン/エキソン境界を持つ。彼らは、Neurturin をマウス染色体17 に局在化するために種間戻し交配分析を使用し、Neurturin を 19p13.3 の合成領域に局在化するために蛍光 in−situ ハイブリダイゼーションを使用した。
【0060】
RET およびグリア細胞株由来の神経栄養因子突然変異がヒルシュスプルング病において報告されたことを考慮して、Doray らの(1998) Hum. Molec. Genet. 7: 1449−1452 では、その他のRET リガンド、Neurturin を、特に GDNF と高い相同性を持つので、有力な候補遺伝子として見なした。前出の Doray ら(1998) は、表現型が小腸にまで及ぶ重度の神経節細胞欠損症に冒された 4 人の子供を含む大きな非血縁者間骨髄移植ファミリーにおけるヘテロ接合性ミスセンス Neurturin 突然変異を報告した。彼等が見出した Neurturin 突然変異は、HSCR を引き起こすには十分でなく、この多重ファミリーもまた、RET 突然変異を隔離したように見えた。この非依存性および相加遺伝的なイベントのカスケードは、HSCR に予想される遺伝の複遺伝子性パターンとよく合い、さらにリガンドの腸内神経系の発達における RET の役割を支える。
【0061】
また、本発明は、本発明のタンパク質の変異体を包含する。好適な変異体は、少なくとも 80%、およびより望ましくは 90% のアミノ酸配列類似性を本発明のタンパク質のアミノ酸配列に対して持つ変異体である (配列番号 2、4、6、8、10、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42 または 44)。最も好適な変異体は、少なくとも 95% のアミノ酸配列類似性を配列番号 2、4、6、8、10、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42 または 44 に対して持つ変異体である。
【0062】
また、本発明は、本発明のタンパク質をコードするポリヌクレオチドを包含する。従って、本発明のタンパク質のアミノ酸配列をコードする任意の核酸配列を用いて、本発明のタンパク質を発現する組換え分子を作成することができる。特定の実施例では、本発明は、配列番号 1、3、5、7、9、11、12、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41 または 43 の核酸配列から成るポリヌクレオチドを包含する。当業者にとっては当然のことながら、遺伝暗号の縮重の結果、本発明のタンパク質をコードする多数のヌクレオチド配列(一部は任意の既知の天然遺伝子のヌクレオチド配列に対して最小の相同性を有する)を産生することが可能である。従って、本発明には、可能コドン選択に基づく組合せの選択によって作り得るようなありとあらゆる可能性のあるヌクレオチド配列変異体を網羅し得る。
【0063】
また、本発明に包含されるのは、種々のストリンジェントな条件下の、請求項に記載のヌクレオチド配列、および特に配列番号 1、3、5、7、9、11、12、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41 または 43 に示したヌクレオチド配列に対してハイブリダイズする能力のあるポリヌクレオチド配列、および/または その相補体である。ハイブリダイゼーション条件は、Wahl、G. M. および S.L. Berger (1987、Methods Enzymol. 152:399−407) およびKimmel、A. R. (1987、Methods Enzymol. 152:507−511)で教示されたように、核酸結合複合体またはプローブの溶解温度(Tm)に基づいており、定義されたストリンジェントでの使用が可能である。望ましくは、ストリンジェントな条件下のハイブリダイゼーションとは、1時間 1 x SSCおよび0.1% SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)を用いて50℃にて、望ましくは55℃にて、より望ましくは62℃にて、および最も望ましくは68℃にて、特に1時間 0.2 x SSCおよび0.1% SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)中で50℃にて、望ましくは55℃にて、より望ましくは62℃にて、および最も望ましくは68℃にて洗浄後、ポジティブなハイブリダイゼーションシグナルが認められることを意味する。本発明に包含される本発明のタンパク質をコードする改造核酸配列には、異なるヌクレオチドの欠損、挿入、または置換が含まれ、機能的に同一または等価な本発明のタンパク質をコードするポリヌクレオチドを結果としてもたらす。また、コードしたタンパク質にはサイレント変化を産生するアミノ酸残基の欠損、挿入、または置換も含まれ、そして機能的に等価な本発明のタンパク質を結果としてもたらす。
【0064】
また本発明の範囲内には、本発明のタンパク質をコードする遺伝子の対立遺伝子も含むものとする。本明細書で使用されているように、「対立遺伝子」または「対立遺伝子配列」は、核酸配列において少なくとも 1 つの突然変異から生じ得る遺伝子の代替形態である。対立遺伝子は、構造または機能を改変し得るかどうかわからない変性mRNAまたはポリペプチドを結果としてもたらし得る。任意の遺伝子には、ゼロ、単一、または多くの対立遺伝子形態が含まれる場合がある。対立遺伝子を誘発する一般の突然変異性変化は通常、ヌクレオチドの自然欠損、付加、または置換に帰する。これらの各変化は、単独、またはその他の変化と共に、所定の配列内で1回以上生じ得る。当分野で公知であり、一般に入手可能なDNA シーケンシングのための方法を用いて、本発明の任意の実施例を実行することが可能である。本発明のタンパク質をコードする核酸配列は、部分的ヌクレオチド配列を利用したり、当分野で周知の種々の方法を使用することによって伸長させ、プロモーターおよび調節要素等の上流配列を検出することが可能である。例えば、使用可能な方法の1つである「制限部位PCR法」は、ユニバーサルプライマーを用いて既知の遺伝子座に対して近傍する未知の配列を読み出す方法である (Sarkar、G. (1993) PCR Methods Applic.2:318−322)。具体的には、ゲノム DNA を、先ず最初にプライマー存在下でリンカー配列および既知の領域に対する特異プライマーに対して増幅する。増幅した配列を、その時点で同リンカープライマーおよび最初の領域に内在する別の特異プライマーを伴なう PCR 法の第二ラウンドの対象とする。PCR 法の各ラウンドの産生物は、適切な RNA ポリメラーゼで転写し、逆転写酵素を使用して配列せしめる。逆PCR法も、既知の領域に基づいた分岐プライマーを用いて配列を増幅または伸長するために使用することが可能である (Triglia、T.らのNucleic Acids Res. 16:8186)。プライマーは、オリゴ 4.06 プライマー分析ソフトウェア(National Biosciences Inc., Plymouth、Minn.)、または別の適切なプログラムを使用して、長さが 22〜30 ヌクレオチド、GC 含有率が 50% 以上、そして温度約 68℃〜72℃で標的配列にアニールするように設計することができる。本方法では、好適な断片を作成するためにさまざまな制限酵素を使用する。断片は、その時点で分子内の連結反応によって環状化され、PCR 鋳型として使用する。
【0065】
また、別の使用可能な方法としては、ヒトおよび酵母菌の人工染色体DNAにおける既知の配列に近傍するDN断片のPCR増幅を伴うキャプチャPCR法があげられる (Lagerstrom、M.らのPCR Methods Applic. 1:111〜119)。この方法では、PCR を行う前に複数の制限酵素の消化および連結反応をも使用して DNA 分子の未知の部分に組換え二本鎖配列を配置することができる。未知の配列を読み出すために使用可能な別の方法としては、Parker、J. D.らの方法が挙げられる (1991; Nucleic Acids Res. 19:3055−3060)。加えて、PCR 法、ネステッドプライマー、および PROMOTERFINDER ライブラリを用いて、ゲノム DNA の中に入ることができる (Clontech社、Palo Alto、Calif.)。このプロセスは、ライブラリをスクリーニングすることを回避し、イントロン接合部およびエキソン接合部を見つけるのに有用である。完全長cDNAをスクリーニングする際には、より大きなcDNAを含むようにサイズ選択されたライブラリを使用することが望ましい。また、ランダム プライム ライブラリには、遺伝子の 5' 領域を含む多くの配列が含まれているので望ましい。ランダムプライムライブラリの使用は、オリゴd(T)ライブラリが完全長cDNAを産しない状況において特に望ましい。ゲノムライブラリは、5'および3'非転写調節領域への配列の伸長に対して有用であり得る。市販のキャピラリー電気泳動システムを用いて、シークエンシング産物または PCR 産物のサイズを分析したり、またはそのヌクレオチド配列を確認することができる。具体的には、キャピラリーシーケンシングは、電気泳動分離のための流動性ポリマー、レーザー駆動の4つの異なる蛍光色素 (各ヌクレオチドあたり 1 個)、および電荷結合素子 (CCD) カメラによる発光波長の検出を用いることが可能である。出力および光の強度は、適切なソフトウェア(例えばPerkin Elmer社のGENOTYPERおよびSEQUENCE NAVIGATOR)を使用して電気信号に変換することができ、試料の取り込みからコンピュータ分析までの全プロセス、および電子データ表示は、コンピュータ制御が可能である。キャピラリー電気泳動法は、特定のサンプルに少量しか存在しないような DNA 小片のシークエンシングに特に適している。
【0066】
本発明の他の実施例では、本発明のタンパク質または融合タンパク質またはその機能的等価物をコードするポリヌクレオチド配列またはその機能的断片は、適切な宿主細胞内で本発明のタンパク質の発現を誘導するために、組換え DNA 分子内で使用することが可能である。遺伝暗号固有の縮重により、実質的に同じあるいは機能的に等価のアミノ酸配列をコードする別の DNA 配列を産生することができ、これらの配列は本発明のタンパク質をクローン化および発現するために利用することが可能である。当事者にとっては当然なことだが、非天然コドンを有するタンパク質がコードするヌクレオチド配列を産生することは有益であろう。例えば、特定の真核宿主または原核宿主によって好適とされるコドンは、タンパク質の発現率を増加するため、または、例えば天然配列から作成された転写物の半減期よりも長い半減期を持つことなどの好ましい特性を有する組換えRNA転写を産生するために選択することが可能である。本発明のヌクレオチド配列は、種々の目的で本発明のタンパク質のコードする配列を変えるために、当分野で公知の方法を使用して組換えることができ、この目的には、遺伝子産物のクローン化、処理、および/または発現などが含まれるが、これらに限定されるものではない。遺伝子断片および合成オリゴヌクレオチドのランダムなフラグメンテーションおよび PCR 再アセンブリによる DNA シャフリングを用い、ヌクレオチド配列を遺伝子操作することが可能である。例えば、部位特異的変異誘導を用いて、新規制限部位を挿入、グリコシル化のパターンを改変、コドン優先の変更、スプライス変異体の産生、または突然変異の導入、等々を行い得る。そのような変異型遺伝子を用いて、本発明のタンパク質の構造と機能との関係を研究すること、またはそれらの機能または調節に影響を及ぼすタンパク質特性を改変することが可能である。
【0067】
本発明の別の実施例によれば、天然の核酸配列、修飾核酸配列または本発明のタンパク質をコードする組換え核酸配列を異種配列に連結反応させ、融合タンパク質をコードすることが可能である。例えば、ペプチドライブラリを本発明のタンパク質活性のインヒビターに対してスクリーニングする際には、市販の抗体によって認識できる本発明のキメラタンパク質をコードすることは有用であろう。また、本発明のタンパク質が異種部分から切断され、離れて精製され得るようにするため、融合タンパク質が、本発明のタンパク質のコードする配列と異種タンパク質配列との間に位置する切断部位を含むように遺伝子操作することも可能である。DP444 タンパク質とタンパク質形質導入ペプチド間の融合タンパク質 (例えば、Lindsay、M.A.; Curr Opin Pharmacol 2002 Oct; 2(5):587−94 でレビューされている) は、組換え型の融合タンパク質を哺乳動物細胞によって取り込むことを可能にするため遺伝子操作することが可能である。他の実施例によれば、当分野で周知の化学的方法を用いて、本発明のタンパク質をコードする配列の全部または一部を合成することが可能である (Caruthers, M.H.らの(1980) Nucl. Acids Res. Symp. Ser. 7:215−223, Horn, T.らの(1980)Nucl. Acids Res. Symp. Ser. 7:225−232 を参照)。あるいは、化学的な方法を用いて本発明のタンパク質のアミノ酸配列またはその一部分を合成するためにタンパク質自体を産生することも可能である。例えば、種々の固相技術を用いてペプチド合成を行うことができ (Roberge、J. Y.らの (1995)Science 269:202−204)、例えば ABI 431A ペプチドシンセサイザ (Perkin Elmer 社) を用いて自動合成を達成することが可能である。新規に合成されたペプチドは、分離用の高速液体クロマトグラフィーを用いて十分に精製することが可能である (Creighton, T.(1983)Proteins, Structures、および Molecular Principles, WH Freeman and Co., New York, N.Y.等)。合成ペプチドの組成物は、アミノ酸分析またはシーケンシングによって確認することが可能である (例えば、Edman degradation procedure; 前出のCreighton)。さらに、本発明のタンパク質のアミノ酸配列またはその任意の一部は、直接合成中に変異させることができ、および/または変異型ポリペプチドを産生するために、化学的方法を使用して、別のタンパク質またはその任意の一部から得た配列と結合させることが可能である。
【0068】
生物学的に活性な本発明のタンパク質を発現するために、本発明のタンパク質をコードするヌクレオチド配列または機能的な等価物を好適な発現ベクターに挿入することができ、その発現ベクターとは、挿入されたコーディング配列の転写および翻訳に必要な要素を含むベクターを指す。当業者に公知の方法を用いて、本発明のタンパク質をコードする配列、好適な転写及び翻訳調節エレメントを含む発現ベクターを作製することが可能である。これらの方法には、試験管内組換えDNA技術、合成技術、および生体内遺伝子組換え技術が含まれる。そのような技術は、Sambrook、J.らの(1989)Molecular Cloning、Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Press、Plainview、N.Y.、およびAusubel、F. M.らの(1989)Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley& Sons、New York、N.Y.に記載されている。
【0069】
種々の発現ベクターと宿主系を利用して、本発明のタンパク質をコードする配列を保持および発現することが可能である。発現ベクターと宿主系には、組換えバクテリオファージ、プラスミドまたはコスミドDNA 発現ベクターで形質転換させた細菌や、酵母菌発現ベクターで形質転換させた酵母菌や、ウイルス発現ベクター(例えばバキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系や、ウイルス発現ベクター(例えばカリフラワー モザイク ウイルス CaMV またはタバコ モザイク ウイルス TMV)または細菌発現ベクター(例えば Ti または pBR322 プラスミド)で形質転換させた植物細胞系、または動物細胞系の微生物などが含まれているが、これらに限定されるものではない。
【0070】
本発明のタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列の存在は、本発明のタンパク質をコードするポリヌクレオチドのプライマー、プローブ、または部分または機能的断片を用いて、DNA−DNA または DNA−RNA ハイブリダイゼーション、および/または増幅によって検出することが可能である。核酸の増幅基調アッセイには、本発明のタンパク質をコードするDNAまたはRNAを含んだ形質転換体を検出するために、本発明のタンパク質をコードする配列に基づいたオリゴヌクレオチドまたはオリゴマーの使用が含まれる。本詳細書で使用した「オリゴヌクレオチド」または「オリゴマー」とは、少なくとも約10のヌクレオチド、そして約60もの数のヌクレオチド、望ましくは約15〜30ヌクレオチド、およびより望ましくは約20〜25ヌクレオチドの核酸配列を言及し、プローブまたはアンプライマーとして使用することが可能である。
【0071】
タンパク質に固有のポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体のいずれかを用いて、本発明のタンパク質の発現を検出かつ測定するための種々のプロトコルは当分野で周知である。実施例には、酵素免疫測定(吸着)法(ELISA)、放射免疫測定(RIA)、および蛍光細胞分析分離装置(FACS)が含まれる。本発明のタンパク質上での2つの非干渉エピトープに反応するモノクローナル抗体を利用する、2部位モノクローナルベースの免疫学的測定法は好適ではあるが、競合結合アッセイを用いることが可能である。これらを含めた他のアッセイは、Hampton、R. らの (ミネソタ州セントポール市、1990; Ser ological Methods、Laboratory Manual、APS Press) およびMaddox、D. E. らの (1983; J. Exp. Med. 158:1211−1216) の諸所に記載されている。
【0072】
本発明のタンパク質を結合する化合物、例えば抗体は、複雑型細胞の混合体から取り出した、本発明のタンパク質の発現に対して陽性反応を示す細胞の同定または濃縮に役立つ。そのような細胞集団は、これらの細胞において特異的に発現された遺伝子の同定に有用なmRNA 種を始めとして、移植用、実験評価用、および系列および細胞特異性産物のソースとして、および影響を及ぼす分子の因子を同定するための標的として有用である。本発明のタンパク質の発現に陽性反応を示す膵臓の前駆体細胞集団は、インスリン産生β 細胞; 薬物スクリーニング用; 膵島分化の実験モデルおよび他の細胞型との相互作用; 成長因子および分化因子を決定するため、加えて、膵島発育および調節に関与する遺伝子を特徴づけるための試験管内スクリーニングアッセイなどを始めとして、受容者に膵島細胞を提供するための移植において有用である。これらの目的のためには、天然細胞を使用してもよいし、改変された能力を利用するために遺伝子操作した細胞を使用してもよい。再生膵臓から取り出した細胞でも、胚期前腸、胃腸および十二指腸から取り出した細胞でも、または膵臓前駆体細胞のその他のソースから取り出した細胞でも、開始母集団として使用することが可能である。前駆体細胞は任意の哺乳動物の種、例えばウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、げっ歯類、例えば、マウス、ラット、ハムスター、霊長類など、特にヒトから取得することが可能である。
【0073】
多岐にわたる標識技術および抱合技術が当業者には周知であり、種々の核酸およびアミノ酸測定法において使用することが可能である。本発明のタンパク質をコードするポリヌクレオチドに関連する配列を検出するための、標識されたハイブリダイゼーション プローブまたは PCR プローブを生成する方法には、オリゴ標識化、ニックトランスレーション、末端標識化、または標識されたヌクレオチドを用いる PCR 増幅が含まれる。
【0074】
あるいは、本発明のタンパク質をコードする配列、またはその任意の一部分をmRNAプローブの作成のためのベクターにクローニングしてもよい。このようなベクターは、当分野において周知であり、市販もされており、T7、T3またはSP6等の好適なRNポリメラーゼ及び標識されたヌクレオチドを加えて、試験管内でRNAプローブの合成に用いてもよい。このような手順は、市販されている種々のキット(ミシガン州カラマズーのPharmacia & Upjohn社、Promega社(ウィスコンシン州マディソン)、およびU.S. Biochemical Corp社(オハイオ州クリーブランド))を用いて実行することが可能である。
【0075】
使用可能な好適レポーター分子または標識には、基質、補助因子、阻害剤、磁力粒ばかりではなく、放射性核種、酵素、蛍光剤、化学発光剤、または発色剤も含まれる。
【0076】
本発明のタンパク質をコードするヌクレオチド配列で形質転換した宿主細胞は、細胞培養からのタンパク質の発現および回収に好適な条件下で培養することが可能である。組換え細胞によって作り出されたタンパク質は、使用する配列および/またはベクターによるが、分泌または細胞内含有させることが可能である。本発明のタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターは、原核細胞膜及び真核細胞膜を透過する本発明のタンパク質の分泌を誘導するシグナル配列を含むように設計できることは、当業者には理解されよう。その他の組換え構造を用いて、本発明のタンパク質をコードする配列を水溶性タンパク質の精製を促進するポリペプチドドメインをコードするヌクレオチド配列に結合することが可能である。そのような精製を促進するドメインには、固定化金属上での精製を可能にするヒスチジントリプトファン分子などの金属キレートペプチド、固定化免疫グロブリン上での精製を可能にするタンパク質 A ドメイン、および FLAG 伸長・親和性精製システム(Immunex Corp., Seattle, Wash.)で利用されるドメインなどが含まれるが、これらによって限定されるものではない。精製 ドメインと本発明のタンパク質との間にある XA 因子またはエンテロキナーゼ(腸活素)(カリフォルニア州のサンディエゴ市の Invitrogen 社)に対して特異的であるような切断可能リンカー配列の包括を用いて、精製を促進することが可能である。そのような発現ベクターの 1つは、チオレドキシンまたはエンテロキナーゼ(腸活素)切断部位に先行する本発明のタンパク質および6ヒスチジン残基をコードする核酸を含む融合タンパク質の発現を提供する。エンテロキナーゼ(腸活素)切断部位は、融合タンパク質から本発明のタンパク質を精製する手段を提供する一方、ヒスチジン残基は、IMIAC (Porath、J.らの(1992、Prot. Exp. Purif. 3: 263−281)に記載された固定化金属イオン親和性クロマトグラフィー)上での精製を促進する。融合タンパク質を含むベクターの論考は、Kroll, D. J.らの(1993; DNA Cell Biol. 12:441−453)で提供されている。組換え産生に加えて本発明のタンパク質の断片は、固相技術 (Merrifield J. (1963) J. Am. Chem. Soc. 85:2149−2154)を用いてペプチド合成を誘導することによって産生することが可能である。タンパク質合成は、手動または自動の何れの技術によっても実行することが可能である。自動合成は、例えば Applied Biosystems 431Aペプチドシンセサイザ(PerkinElmer社)を用いて行なうことが可能である。本発明のタンパク質の種々の断片は、完全長分子を産生するために化学的方法を使用して、個別に化学的な合成および結合を行なうことが可能である。
【0077】
本発明のタンパク質をコードする核酸を用いて、遺伝子導入動物または部位特定の遺伝子改変を細胞株において作成することができる。遺伝子導入動物は、本発明のタンパク質をコードする遺伝子の正常な遺伝子座が変異される場合、相同性組換えを介して作ることができる。別法として、核酸構成物をランダムにゲノムに統合することもできる。安定した統合のベクターには、プラスミド、レトロウィルスなど動物ウィルス、YAC などが含まれる。修飾された細胞または動物は、本発明のタンパク質の機能および調節の研究において有用である。例えば、一連の小欠損および/または置換を、本発明のタンパク質をコードする遺伝子において行い、膵臓の分化などにおけるタンパク質の特定のドメイン、機能の役割を決定することが可能である。対象の特定構成物には、本発明のタンパク質の発現、または優性阻害の突然変異の発現を阻止する、アンチセンス分子が含まれる。lac Z のような検出可能なマーカーを、本発明の遺伝子の発現の上方制御が表現型における容易に検出される変化を結果としてもたらす、本発明の遺伝子の遺伝子座に導入することが可能である。また、通常には発現されない細胞や組織、または異常発生中の細胞や組織においては、本発明の遺伝子の発現またはその変異体を提供することも可能である。加えて、本発明のタンパク質の発現を、通常には産生されない細胞中に提供することによって、細胞行為の変化を誘引することが可能である。相同性組換えDNA構成物には、所望の遺伝的な修飾を有する本発明の遺伝子の一部が少なくとも含まれており、標的遺伝子座に対する相同性領域も含まれる。ランダムな統合のDNA構成物には、組換えを仲介するための相同性領域が含まれる必要がない。都合よく、ポジティブ選択およびネガティブ選択用のマーカーを含む。相同性組換えを通して標的遺伝子修飾を有する細胞を作成する方法は当分野で周知である。胚幹(ES)細胞に関しては、ES細胞株を用いるか、または胚細胞を宿主、例えばマウス、ラット、モルモットなどから新たに取得することが可能である。そのような細胞は、適切は線維芽細胞−支持細胞層上で増殖するか、白血病抑制因子(LIF) の存在下で増殖する。形質転換されたESまたは胚細胞を用いて、遺伝子導入動物を産生することが可能である。形質転換後、細胞を適切な培地の支持細胞層にプレーティングする。その構成物を含んでいる細胞は、選択培地を用いることによって検出することが可能である。コロニーを十分な時間をかけて増殖した後、コロニーを摘出し、相同性組換えまたは構成物の統合の発生率を分析する。陽性反応を示すコロニーは、胚操作および胚盤胞注入に用いることが可能である。胚盤胞は、4〜6週間の過排卵雌から取得する。ES細胞をトリプシン処理し、そして修飾細胞を胚盤胞の胞胚腔に注入する。注入後、胚盤胞を偽妊娠雌の各子宮角へ戻す。次に、雌に出産せしめ、結果として得られた子孫をその構成物に対してスクリーニングした。胚盤胞の異なる表現型および遺伝子操作された細胞を提供することで、キメラ子孫を容易に検出することができる。キメラ動物を修飾遺伝子の存在に対してスクリーニングし、修飾を有する雄と雌を交尾させ、ホモ接合性の子孫を産生する。その遺伝子改変が成長の過程における死亡率の原因となる場合には、組織または器官は、同種間移植用または類遺伝子性移植用、または移植、または体外培養用として維持することができる。遺伝子導入動物は、実験動物、家畜などのような任意の非ヒト哺乳動物とする。遺伝子導入動物は、機能研究、薬物スクリーニングなどにおいて使用することが可能である。
【0078】
診断および治療
本発明のタンパク質を用いて in−situ 発現パターンから取得した本発明に記載のタンパク質が、島細胞 (例えば、DP685; DP160; RA770)、膵臓の間充織 (RA770)、膵臓上皮細胞 (例えば、DP685; DP160)、膵管細胞 (DP160)、同様に、神経管 (DP160; DP444) に沿った神経節、体節 (DP444)、背側菱脳 (DP444)、肝臓 (DP685)、心臓 (DP685)、胃腸 (DP444) および腸内細胞 (DP685; DP444) などの他の細胞のような膵臓細胞において特異的に発現されることが結論できる。以上の点から、本発明の核酸およびタンパク質およびそのエフェクター/修飾因子は、診断目的および治療目的に関与する、例えば、限定するものではないが、上記臓器または組織に関連する糖尿病および肥満症のような代謝障害および機能障害、肝臓疾患および神経疾患、例えば神経変性障害および他の疾患および障害において有用である。従って、本発明のタンパク質は、診断マーカーとして、または小分子スクリーニングの標的として、および糖尿病および/または肥満症および代謝障害および神経変性疾患、心臓、肝臓、胃腸、または腸内障害のような他の疾患の 予防 または治療において有用であり得る。
【0079】
本発明の治療を目的とした用途は、例えば限定するものではないが下記が挙げられる: (i) 試験管内および生体内における組織再生 (これらの組織に由来する組織および細胞型を含む全ての組織および細胞型の再生); (ii) タンパク質治療 (iii) 小分子薬物標的 (iv) 抗体標的 (治療、診断、薬物ターゲッティング/細胞毒性抗体) (v) 診断および/または予後 マーカー (vi) 遺伝子治療 (遺伝子配分/遺伝子除去)、および(vii) 研究ツール。
【0080】
本発明の核酸およびタンパク質は、以下に記載した種々の疾患および障害および/またはその他の病理学および障害において関与するとされる治療適用例において有用である。例えば、これらに限られるものではないが、本発明のタンパク質 をコードする cDNA様タンパク質は、遺伝子療法に有用であり、本発明のタンパク質のひとつは、それを必要とする被験者に投与された場合に有用である。例証として、本発明の組成物は、例えば、限定するものではないが、糖尿病および肥満症のような代謝障害およびその他の疾患および障害に苦しむ患者の治療に対して有効性を有するであろう。本発明のタンパク質をコードする新規核酸、またはその機能断片は、核酸またはそのタンパク質の存在または量が評価される診断適用例においてもさらに有用であり得る。これらの材料はさらに、治療法または診断法における使用として、本発明の新規物質に対して免疫特異的に結合する抗体の作成に有用である。本発明の他の実施例によれば、本発明の組成物、例えばタンパク質またはその機能的の断片を治療目的のために使用することが可能である。例えば、本発明に記載の膵臓特異性タンパク質のような組成物を、試験管内および/または生体内で β 細胞の分化および/または機能を促進するために使用することができる。さらに、タンパク質のような組成物、試験管内および/または生体内で、β 細胞、例えば部分的または全面的に機能障害を起こしているβ 細胞の再生のために使用することができる。
【0081】
例えば一実施態様によれば、本発明のタンパク質に特異な抗体は、アンタゴニストとして直接的に、または本発明のタンパク質を発現する細胞または組織に薬剤をもたらすターゲッティングまたは輸送機構として間接的に用いることが可能である。その抗体は当分野で周知の方法を用いて作成することが可能である。このような抗体には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、一本鎖、Fab 断片、および Fab 発現ライブラリによって産生された断片が含まれるが、これらに限定されるものではない。中和抗体 (即ち生物学的機能を抑制する抗体) は特に治療用に好適である。
【0082】
抗体の産生に関しては、ヤギ、ウサギ、ラット、マウス、ヒト、その他を始めとする種々の宿主を、本発明のタンパク質、または免疫抗原性の特性を有する任意の断片またはそのオリゴペプチドを注入することによって免疫化することが可能である。宿主の種類にもよるが、種々のアジュバントを用いて免疫応答を高めることが可能である。本発明のタンパク質に対する抗体を誘導するために用いるペプチド、断片またはオリゴペプチドは、少なくとも約5のアミノ酸からなり、より望ましくは少なくとも約10のアミノ酸からなるアミノ酸配列を有するものが望ましい。
【0083】
本発明のタンパク質に対するモノクローナル抗体は、抗体分子の産生を提供する任意の技術を使用して、培養中の連続した細胞株によって調製することが可能である。これらには、ハイブリドーマ技術、ヒトB 細胞ハイブリドーマ技術、および EBV ハイブリドーマ技術 (Kohler、G. らの(1975) Nature 256:495−497; Kozbor、D. らの(1985)J. Immunol. Methods 81:31−42; Cote、R. J. らのProc. Natl. Acad. Sci. 80:2026−2030; Cole、S. P. らの(1984)Mol. Cell Biol. 62:109−120)が含まれるが、それらに限定されるものではない。加えて、「キメラ抗体」を作り出すために開発された技術には、好適な抗原特異性および生物学的活性を有する分子を得るためにマウス抗体遺伝子のヒト抗体遺伝子に対するスプライシングを使用することが可能である (Morris on、S. L.らの(1984) Proc. Natl. Acad. Sci. 81:6851−6855; Neuberger 、M. S. らの(1984) Nature 312:604−608; Takeda、S.らの(1985) Nature 314:452−454)。あるいは、一本鎖抗体を産生するために記述された技術を適用し、当分野で周知の方法を使用して、本発明のタンパク質特異性一本鎖抗体を産生することも可能である。関連特異性を有するが、固有イディオタイプ組成物の一部でもある抗体は、ランダムな組み合わせの免疫グロブリンライブラリからのチェーンシャフリングによって作成することが可能である (Burton、D. R. (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. 88:11120−3)。抗体の産生は、リンパ球集団における生体内の産生の誘導によって、または組換え免疫グロブリンライブラリのスクリーニングまたは文献に開示されているような高特異結合試薬パネルのスクリーニングによっても行なうことが可能である (Orlandi、R. らの(1989) Proc. Natl. Acad. Sci. 86:3833−3837、Winter、G. らの(1991) Nature 349:293−299)。
【0084】
また、本発明のタンパク質に対する特異的な結合部位を含む抗体断片も得ることができる。例えば、そのような断片には、限定されるものではないが、抗体分子のペプシン消化によって作り出すことができるF(ab')2断片、およびF(ab')2のスルフィド架橋を還元することによって作成できるFab断片が含まれる。あるいは、Fab 発現ライブラリを作製して、所望の特異性を有するモノクローナル Fab 断片の迅速かつ容易な同定を可能にすることができる (Huse、W. D. らの(1989)Science 254:1275−1281)。
【0085】
種々の免疫測定法をスクリーニングに対して用い、所望の特異性を有する抗体を同定することができる。既存の特異性を有するポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体のいずれかを使用する競合結合および免疫放射定量測定法のための幾多のプロトコルは、当分野では周知である。通常このような免疫学的測定法には、本発明のタンパク質に特異的な一本鎖抗体とその特異性抗体との間の複合体形成の計測が関与する。2つの非干渉性の本発明タンパク質エピトープに反応するモノクローナル抗体を利用する2部位モノクローナルベースの免疫測定法が望ましいが、競合結合実験を用いることもできる (前出のMaddox)。
【0086】
本発明の別の実施例によれば、ポリヌクレオチド、またはアプタマー、アンチセンス分子、RNAi 分子またはリボザイムのようなその任意の断片を治療目的のために使用することが可能である。一実施態様によれば、組み合わせ核酸ライブラリの使用を含んだ手順のスクリーニングおよび選択によって、アプタマー、すなわち、本発明のタンパク質に対して結合し、その活性を調節する能力のある核酸分子を作成することが可能である。
【0087】
さらなる実施態様によれば、本発明のタンパク質をコードするポリヌクレオチドに対するアンチセンス分子を、mRNAの転写を阻止することが望ましいような状況において使用することが可能である。具体的には、本発明のタンパク質をコードするポリヌクレオチドに補遺的な配列を利用して細胞を形質転換することが可能である。従って、アンチセンス分子を用いて本発明のタンパク質の活性の調節、または遺伝子機能の調節を達成することが可能である。現在、このような技術は当分野では周知であり、センスまたはアンチセンスのオリゴマーまたは大きな断片を、本発明のタンパク質をコードする配列のコード領域または制御領域に沿ったさまざまな位置から設計することが可能である。レトロウイルス、アデノウイルス、ヘルペスまたはワクチニアウィルス、または種々の細菌プラスミドに由来する発現ベクターを用いて、ヌクレオチド配列を標的器官、組織または細胞集団に送達することが可能である。当業者に公知の方法を用いて、本発明のタンパク質をコードする遺伝子のポリヌクレオチドに補遺的なアンチセンス分子を発現する組換えベクターを構築することが可能である。これらの技術は、Sambrookら(前出)およびAusubelら(前出) の両方の文献に記載されている。本発明のタンパク質をコードする遺伝子は、ハイレベルのポリヌクレオチドを発現する発現ベクターまたは本発明のタンパク質をコードするその断片を用いて細胞または組織を形質転換することによって、オフにすることがでる。そのような構成物を用いて、翻訳不可能なセンス配列またはアンチセンス配列を細胞に導入することが可能である。DNAへの組み込みが不在の場合でさえ、そのようなベクターは、RNA分子が内因性ヌクレアーゼ(核酸分解酵素)によって使用不可能になるまで継続してRNA分子を転写することが可能である。一過性の発現は、非複製ベクターによって1ヶ月以上持続することが可能であり、さらに適切な複製要素がそのベクター系の一部である場合には、より一層長く持続することが可能である。
【0088】
上述したとおり、遺伝子発現の修飾は、アンチセンス分子、DNA、RNA、またはPNAのような核酸アナログを、本発明のタンパク質、すなわち、プロモーター、エンハンサー、およびイントロンをコードする遺伝子の制御領域に対してデザインすることによって得ることができる。転写開始部位(例えば開始部位から−10と+10の間)由来のオリゴヌクレオチドが望ましい。さらに「三重らせん」塩基対の形成方法を用いて抑制が可能となる。三重らせん塩基対形成は、ポリメラーゼ、転写因子または調節分子の結合のために十分に開くような二重らせんの能力を阻害するので、三重らせん塩基対形成は有用である。三重らせんDNAを用いる最近の治療における進歩は文献に記載がある (Gee、J. E.らの(1994) In; Huber 、B. E. and B. I. Carr、Molecular and Immunologic Approaches、Futura Publis hing Co.、Mt. Kisco、N. Y.)。また、アンチセンスは、転写物のリボソームに対する結合を防止することによって、mRNAの翻訳を阻止する目的で設計することも可能である。
【0089】
酵素性RNA分子であるリボザイムは、RNAの特異的切断を触媒するために使用することが可能である。リボザイム作用のメカニズムには、内ヌクレオチド結合分解性の切断に先立つ相補的標的RNAへのリボザイム分子の配列特異性ハイブリダイゼーションが含まれる。使用することが可能な実施例には、本発明のタンパク質をコードする配列の内ヌクレオチド結合分解性の切断を特異的且つ効果的に触媒する組換え型のハンマーヘッド型リボザイム分子が含まれる。任意の潜在的RNA標的内の特異性リボザイム切断部位は、GUA、GUU、およびGUC配列を含めたリボザイム切断部位に対する標的分子を走査することによって最初に同定する。ひとたび同定すると、標的遺伝子の領域に対応し、切断部位を含む15〜20リボヌクレオチド間の短いRNA配列は、オリゴヌクレオチドを機能不全にするような二次構造的特徴に対して評価することが可能となる。また、候補標的の適合性の評価も、リボヌクレアーゼ保護試験法(ribonuclease protection assay)を用いて、相補的オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションの実施容易性を検査することによって行うことができる。
【0090】
エフェクター核酸分子、例えば本発明のアンチセンスおよびリボザイムは、核酸分子合成のために当分野で周知の任意の方法を用いて作ることが可能である。これらの方法には、固相フォスフォアミダイト化合合成のようなオリゴヌクレオチドを化学的に合成する技術が含まれる。あるいは、本発明のタンパク質をコードするDNA配列の生体外および生体内における転写によってRNA分子を作成することも可能である。このようなDNA配列は、T7またはSP6のような好適なRNポリメラーゼプロモーターを用いて、種々のベクターに組み込むことができる。あるいは、アンチセンスRNAを構成的または誘導的に合成するこれらcDNA構成物は、細胞株、細胞または組織の内に導入することができる。RNA分子を修飾して、細胞内の安定性および半減期を向上することが可能である。可能な修飾には、分子の5'末端および/または3'末端でのフランキング配列の追加、またはホスホロチオネートの使用、または分子の背骨連鎖内のホスホジエステラーゼ連鎖ではなく2'O−メチルが含まれるが、それらに限定されるものではない。この概念は、PNAの産生に固有のものであり、これら全ての分子に拡大することができる。 それには、内在性エンドヌクレアーゼによって容易には認識されないアデニン、シチジン、グアニン、チミン、及びウリジンにアセチル−、メチル−、チオ−及び同様の修飾をしたもの他、非従来型塩基、例えばイノシン、クエオシン(queosine)、ワイブトシン(wybutosine)等を加えることができる。
【0091】
また、遺伝子機能は小さな RNA を用いて抑制することもできる。これらは、短い (18 〜 25bp) 二本鎖 RNA (RNA を安定性高めるために修飾してもよい) である。小さな RNA は、合成によっても、試験管内転写手順によっても、または所望の二本鎖 RNA を標的細胞内にヘアピン構造として発現する好適なベクターを用いても作ることができる。これらの用途には、機能的な遺伝子抑制が、組織培養中、マウスのようなモデル個体中、または治療に含まれる (例えば Shi、Y. Trends Genet 19(1):9−12; Shuey、D.J., Drug Discov Today. 7(20):1040−6 を参照)。 また、原核細胞内のより長い (>30bp) アンチセンス RNA の存在は、特定の状況下では遺伝子抑制につながり得る。
【0092】
ベクターを細胞または組織に導入する多数の方法が提供されており、それらの方法は生体内、生体外および生体内外交通の使用に同程度に適している。生体内外交通治療では、ベクターは患者から採取した幹細胞内に導入し、同一患者に自家移植で戻すためにクローン増殖することが可能である。形質移入およびリポソーム注入による送達は、当分野で周知である方法用いて達成することが可能である。上記の治療方法はいずれも、例えば、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ウサギ、サル、および最も望ましくはヒトなどの哺乳動物を始めとする好適な被検体に適用することが可能である。
【0093】
本発明の追加実施例は、医薬用に許容できるキャリアと共に、上述の任意の治療効果のための医薬品組成物の投与に関するものである。そのような医薬品組成物は、本発明のタンパク質、本発明のタンパク質に対する抗体、擬態、アゴニスト(作用薬)、アンタゴニスト、または本発明のタンパク質の阻害剤から成り得る。本組成物は単独で投与することができるが、少なくとも1つの安定化化合物などの他剤と共に投与することもでき、その場合には、例えば生理食塩水、緩衝生理食塩水、デキストロースおよび水など(これらに限定されるものではない) の滅菌した生物学的に適合な医薬品キャリアを用いて投与することが可能である。本組成物は単独で患者に投与することができるが、他剤、薬剤またはホルモンと共に投与することも可能である。本発明に用いられる医薬品組成物は、幾つもの経路によって投与することができ、その経路には経口、静脈内、筋肉内、動脈内、骨髄内、クモ膜下腔内、心室内、経皮、皮下、腹腔内、鼻腔内、腸内、局所、舌下または直腸があるが、これらに限定されるものではない。
【0094】
その活性成分に加えて、これらの医薬品組成物は、医薬用に使用することができる、活性化合物の製剤への処理を促進する、賦形剤および助剤を備えている好適な医薬用に許容できるキャリアを包含し得る。および投与に関する技術の詳細は、Remington's Pharmaceutical Sciences (ペンシルベニア州イーストンのMaack Publishing社) の最新版を参照。
【0095】
本発明の医薬品組成物は、当分野で周知であるような方法で製造することができ、それらの手段としては、従来の混合、溶解、造粒、糖衣錠製造、研和、乳化、カプセル化、取り込み、または凍結乾燥工程などがあげられる。本医薬品組成物を調製した後には、適切な容器に充填し、適応条件の治療のために標識する。本発明のタンパク質の投与に対する標識には、投与の量、頻度、および方法が明記されるであろう。
【0096】
本発明に好適な医薬品組成物には、活性成分が所望の目的を達成するために有効な量で含有されているような成分が含まれる。有効投与量の定量は、当業者の能力の範囲内で行うものとする。任意の化合物に対する初期の治療の有効投薬量は、細胞培養アッセイ、例えば前脂肪的細胞株の細胞培養アッセイにおいて、または動物モデル、通常マウス、ウサギ、イヌまたはブタなどにおいて推定することができる。また、実験動物を好適な濃度範囲および投与経路を決定するために使用することも可能である。次にはこのような情報を用いて、ヒトに対する有益な投与量および投与経路を決定することができる。治療に有効な投与量とは、特異的な状態を治療するために十分な活性成分の量、例えば、本発明のタンパク質またはその断片、本発明のタンパク質の抗体の量のことである。治療有効度および(can)毒性は、細胞培養または動物実験における標準的な医療品手法によって決定することができ、その例としては、ED50(集団の50% の治療的有効量)およびLD50(集団の50% の致死量)などが挙げられる。治療効果と毒性効果間の投与量の比は、治療指数、すなわちLD50/ED50比率として表すことができる。高い治療指数を示す医薬品組成物が望ましい。細胞培養試験法および動物実験から得たデータは、ヒト用のさまざまな投与量の製剤に使用する。そのような組成物に含まれる投与量は、毒性を殆ど持たない ED50 を含む循環濃度の範囲内にあることが望ましい。投与量は、投与量の使用元、患者の感受性、および投与の経路によって、本範囲内で変わる。正確な投与量は、治療を必要とする被検体に関する要因を考慮して、現場の医師が決定することになる。投与量および投与法は、十分なレベルの活性部を提供するため、または所望の効果を維持するために調節する。配慮されるべき要因には、疾患の重症度、患者の身体全体の健康状態、患者の年齢、患者の体重および性別、食習慣、投与の時間と頻度、薬剤の組み合わせ、反応感受性、および治療に対する耐性と反応が含まれる。長時間効果のある医薬品組成物は、個別製剤の半減期およびクリアランス率にもよるが、3〜4日毎、1週間毎、または2週間毎に1回の間隔で投与することが可能である。通常の投与量は、投与経路にもよるが、約0.1〜100,000マイクログラムと異なり、合計投与量は最大で約1グラムまでとする。特定の投与量および送達の方法に関する指針は文献に記載されており、通常、当分野の実務家に提供されている。当業者であれば、タンパク質または抑制剤とは異なったヌクレオチドの製剤を利用するであろう。さらにポリヌクレオチドまたはポリペプチドの送達も、個別の細胞、状態、位置などに対して特異的なものとなる。
【0097】
別の実施例によれば、本発明のタンパク質に特異的に結合する抗体は、本発明のタンパク質の発現を特徴とする状態または疾患の診断のため、または本発明のタンパク質、アゴニスト(作用薬)、アンタゴニストまたは阻害剤で治療を受けている患者を監視するための測定法において使用することが可能である。診断目的に有用な抗体は、上記の治療のために記載した方法と同様の態様で調製することが可能である。本発明のタンパク質に対する診断アッセイには、ヒトの体液または細胞または組織の抽出物において本発明のタンパク質を検出するための抗体および標識を利用する方法が含まれる。抗体は、その修飾の有無に拘わらず使用することが可能であり、その抗体を共有的または非共有的のいずれかでレポーター分子と結合することによって標識化することが可能である。当分野で周知の種々のレポーター分子を用いることが可能であり、そのさまざまなレポーター分子を上述した。
【0098】
本発明のタンパク質を測定するためのELISA、RIA、およびFACSを始めとした種々のプロトコルは、当分野で周知であり、本発明のタンパク質発現の変化したレベルまたは異常なレベルの発現を診断するための基準 を提供する。本発明のタンパク質の発現の正常値または標準値は、複合体の形成に適した条件下で、正常な哺乳動物である被検体、望ましくはヒトから採取した体液または細胞を本発明のタンパク質に対する抗体と結合させることによって樹立する。標準複合体の形成量は、種々の方法によって定量化することが可能であるが、測光的方法を用いることが望ましい。対照サンプルおよび疾患サンプル、例えば生検組織において発現した本発明のタンパク質の量を標準値と比較する。標準値と被検体値の偏差は、疾患を診断するためのパラメータを樹立する。
【0099】
本発明の別の実施例によれば、本発明のポリヌクレオチドを診断のために用いることもできる。使用可能なポリヌクレオチドには、オリゴヌクレオチド配列、アンチセンスRNAおよび DNA 分子、および PNA が含まれる。ポリヌクレオチドを用いて、検体における本発明のタンパク質の発現が疾患と相関し得るような該検体における遺伝子発現を検出および定量することが可能である。診断アッセイを用いて、本発明のタンパク質の不在、存在、および過剰発現を判別することが可能であり、そして治療中に本発明のタンパク質レベルの調節を監視することも可能である。
【0100】
一実施形態によれば、本発明のタンパク質または近縁の分子をコードするゲノム配列を始めとするポリヌクレオチド配列を検出する能力を持つPCRプローブを用いたハイブリダイゼーションを用いて、本発明のタンパク質をコードする核酸配列を同定することが可能である。プローブの特異性(その作成が高特異領域または低特異領域のいずれなのかによって変わる)、およびハイブリダイゼーションのストリンジェンシー、または増幅(高、中、または低)は、プローブの同定するものが本発明のタンパク質をコードする天然配列のみなのか、対立遺伝子なのか、それとも関連する配列であるのかどうかを決定する。プローブはまた、関連する配列の検出に用いることも可能であり、配列をコードする任意の本発明のタンパク質からのヌクレオチドの少なくとも 50% を含んでいることが望ましい。本発明のハイブリダイゼーションプローブは、DNA または RNA であり得、配列認識番号 1、配列認識番号 1、3、5、7、9、11、12、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41 または 43 のヌクレオチド配列、または天然の本発明のタンパク質のプロモーター、エンハンサー因子、およびイントロンを含むゲノム配列に由来し得る。本発明のタンパク質をコードするDNAに対する特異的なハイブリダイゼーションプローブを産生するための手段には、本発明のタンパク質または本発明のタンパク質の誘導体をコードする核酸配列のmRNAプローブを生成するためのベクターへのクローンニングが含まれる。当分野で周知であり、かつ市販されている該ベクターを用いて、適切なRNポリメラーゼと適切に標識されたヌクレオチドを追加することによって、試験管内RNAプローブを合成することができる。ハイブリダイゼーションプローブは、種々のレポーター集団によって標識することができ、その例としては 32P または 35S 等の放射性核種、またはアビジン結合系やビオチン結合系を介してプローブに結合されたアルカリホスファターゼ等の酵素標識等が挙げられる。
【0101】
ポリヌクレオチド配列は、条件の診断、または本発明のタンパク質の発現に関係する疾患のために使用することができる。そのような状態または疾患の実施例には、糖尿病を含む膵臓の疾患および障害が含まれるが、それらに限定されるものではない。また、ポリヌクレオチド配列を用いて、糖尿病を始めとする膵臓の疾患および障害に対する治療を受けている患者の進歩状況を監視することも可能である。ポリヌクレオチド配列は、本発明の変異タンパク質の発現を検出するために患者の生検から採取した体液または組織を利用して、サザン法、ノーザン法、ドットブロット法またはその他の膜ベースの技術、および PCR 法、またはディップスティック法、ピンアッセイ、ELISA アッセイまたはチップアッセイにおいて使用することができる。このような定性的または定量的方法は当分野で周知である。
【0102】
特定の実施形態では、ヌクレオチド配列は、肥満症のほかに、上記のような関連障害もまた含む種々の代謝疾患および障害の活性化または誘発を検出する測定法において有用であり得る。ヌクレオチド配列は、標準法で標識化されることが可能であり、ハイブリダイゼーション複合体の形成に好適な条件下で、患者から採取した体液または組織の試料に添加することが可能である。好適なインキュベーション期間の後には、その試料を洗浄し、そしてそのシグナルを定量化して標準値と比較する。標準、例えば、対照試料に比較した試料において、ヌクレオチド配列の改変レベルの存在は、関連疾病の存在を示す。また、このようなアッセイを用いて、動物実験、臨床試験、または個々の患者の治療監視において、特定の治療上療法の有効性を評価することも可能である。
【0103】
本発明のタンパク質の発現に関連する疾患の診断基準を提供するため、発現に対する正常プロフィールまたは標準プロフィールを樹立する。これを達成するには、ハイブリダイゼーションまたは増幅に好適な条件下で、動物またはヒトの正常な被験者から抽出した体液または細胞を、本発明のタンパク質をコードする配列またはその断片と結合させることがでる。標準ハイブリダイゼーションの定量化は、正常な被検体から得た値を、既知量の十分に精製したポリヌクレオチドを使用する実験から得た値に対して比較することによって行なうことができる。正常試料から得た標準値は、疾患の徴候を示す患者から得た試料から得た値と比較することが可能である。標準値と被検者値間の偏差を用いて疾病の存在を確定する。一旦疾患の存在が確定されて治療プロトコルが開始されると、ハイブリダイゼーションアッセイを通常ベースで繰り返して、患者の発現レベルが正常な患者に観察されるレベルへ近づき始めたかどうかを評価することができる。連続アッセイから得た結果を用いて、数日〜数ヶ月の期間にわたる治療効果を明らかにすることができる。
【0104】
糖尿病を含む膵臓の疾患および障害に関して、個人の生検組織における比較的大きい量の転写物の存在は、疾患の発生に対する素因を示すか、または実際に臨床的症状が現れる前に疾患を検出する手段を提供することができる。この種のより明確な診断により、医療の専門家が予防手段または積極的な早期治療を施し、膵臓の疾病および障害の発達またはさらなる進行を防止することが可能となる。本発明のタンパク質をコードする配列からデザインされたオリゴヌクレオチドの診断上での追加用途は、PCR法の使用に関与し得る。このオリゴマーは、化学的に合成しても良いし、酵素的に作成するか、または組換えソースから作り出しても良い。オリゴマーは望ましくは 2 つのヌクレオチド配列から構成され、1 つはセンス方向(5'.fwdarw.3')、他の 1 つアンチセンス方向(3'.rarw.5')で、特定遺伝子または条件の識別のために、最適化された条件下で用いられる。また 2 つの同一のオリゴマー(ネスト化したオリゴマーのセット、または縮重オリゴマーの集積)を、あまりストリンジェントでない条件下で用い、近縁の DNA 配列またはRNA 配列の検出あるいは(または)定量化を行なうことができる。
【0105】
本発明のタンパク質の定量発現を行うために使用することもできる方法には、種々の標識、例えば放射性同位元素、蛍光剤、化学発光剤、酵素、特異的な結合分子、粒子、例えば磁力 粒子などが含まれる。特異的な結合分子には、ビオチンおよびストレプトアビジン、ジゴキシンおよび抗ジゴキシンなどのようなペアが含まれる。特異的な結合メンバーに対しては、補足メンバーは通常、既知の手順に従って、検出機能を提供する分子で標識する。この方法には、調節核酸の相互増幅、および実験結果が補間された標準曲線等が含まれる (Melby, P.C. らの (1993) J. Immunol. Methods, 159:235−244; Duplaa, C. らの (1993) Anal. Biochem. 212:229−236)。複数サンプルの定量速度を加速するには、目的のオリゴマーが種々の希釈液中に存在し、そして分光光度法または非色応答が迅速な定量に関与するような状態にある、ELSA 形態のアッセイを実行することができる。
【0106】
本発明の別の実施例によれば、本発明のタンパク質をコードする核酸配列を用いて、天然のゲノム配列をマッピングするのに有効なハイブリダイゼーションプローブを作成することも可能である。その配列は、特定の染色体にマッピングするか、または周知の方法を用いて染色体の特異的な領域にマッピングすることが可能である。このような技術には、FISH、FACS、または酵母人工染色体、細菌人工染色体、細菌 P1 構築または単一染色体cDNA ライブラリのような人工染色構造があり、Price、C. M. (1993) Blood Rev. 7:127−134、およびTrask、B.J. (1991) Trends Genet. 7:149−154. FISH (Verma らによって記述されているとおり (1988) ヒトChromosomes: Manual of Basic Techniques、Pergamon Press、New York、N.Y.)などの文献で論評されているように、他の物理的な染色体のマッピング技術および遺伝地図データと相関することが可能である。遺伝地図データの例は、1994 Genome issue of Science (265:1981f)にある。物理的染色体マップ上での本発明のタンパク質をコードする遺伝子の位置と、特定の疾患または特定の疾患に対する素因との間にある相関性は、遺伝子の疾病に関連するDNAの領域を画定するのに役立ち得る。
【0107】
本発明のヌクレオチド配列を用いて、健常者、保有者、または感染者の三者間における遺伝子配列の相違を検出することが可能である。確定した染色体マーカーを用いた、染色体標本および連鎖解析のような物理的なマッピング技術の in−situ ハイブリッド形成法を用いて、遺伝地図を拡張することができる。マウスのような別の哺乳動物種の染色体上への遺伝子の配置は、多くの場合、特定のヒト染色体の数またはアームが未知の場合でさえも、関連するマーカーを明らかにすることが可能である。新配列は、物理的マッピングによって、染色体アーム、またはその部分に指定することができる。これによって、位置クローニングまたは他の遺伝子発見技術を用いて疾病遺伝子を探索する研究者にとって貴重な情報が提供される。一旦疾患または症候群が、特定のゲノム領域への遺伝子連鎖、例えばAT〜11q22−23 (Gatti, R.A.らの(1988) Nature 336:577−580)によって大まかに位置決めがされると、その領域にマッピングする全ての配列は、さらなる研究のための関連遺伝子または調節遺伝子に相当し得る。本発明のヌクレオチド配列を用いて、転座、反転などに起因する、健常者、保有者、感染者の三者間における染色体位置の相違を検出することができる。
【0108】
本発明の別の実施例によれば、本発明のタンパク質、それらの触媒作用断片または免疫抗原断片またはそのオリゴペプチド、生体外モデル、遺伝子操作を受けた細胞または動物を用いて、あらゆる薬剤スクリーニング技術を利用して化合物のライブラリをスクリーニングすることができる。1 つ以上の本発明のタンパク質の作用に結合し、その作用を調節または模倣するリガンドまたは基質を同定することもできる。このようなスクリーニングで用いた本発明のタンパク質またはその断片は、溶液中に遊離していても、固体支持物に付着していても、細胞表面上にあっても、または細胞内にあっても構わない。また、本発明のタンパク質と検査される薬剤間の結合複合物の形成を測定することも可能である。特に興味深いのは、哺乳動物の細胞に対して低毒性を有する薬剤のスクリーニングアッセイである。本明細書中で使用した用語「薬剤」とは、1つ以上の本発明のタンパク質の生理機能を改変または模倣する能力を有する任意の分子、例えばタンパク質、ペプチドまたは医薬品のことである。候補薬剤は、典型的には有機分子であり、望ましくは50〜約2,500ドルトンの分子量を有する小有機化合物であるが、幾多の化学的クラスを包含する。候補薬剤には、タンパク質、特に水素結合との構造上での相互作用に必要な機能グループが含まれ、そして典型的には少なくともアミン、カルボニル、ヒドロキシルまたはカルボキシル基、望ましくは少なくとも2つの機能化学グループが含まれる。候補薬剤には多くの場合、周期性の炭素または複素環式構造、および/または 1 つ以上の上記機能基と置換された芳香族またはポリ芳香族構造を包含する。候補薬剤は、ペプチド、糖類、脂肪酸、ステロイド、プリン、プリミジン(pyrimidies)、誘導体、構造上での類似体またはその組み合わせを含んだ生体分子間に見出される。候補薬剤は、合成化合物または天然化合物のライブラリを始めとするさまざまな原料から取得する。例えば、任意に抽出されたオリゴヌクレオチドおよびオリゴペプチドの発現を始めとして、さまざまな有機化合物および生体分子のランダム合成および指向性合成のための多くの手段が提供されている。或いは、細菌、真菌、植物、および動物抽出物形態の天然化合物のライブラリは入手可能であるか、または容易に作り出すことができる。その上、従来の化学的、物理的、および生化学的な手段を介して、天然または合成的に作り出したライブラリおよび化合物は容易に修飾でき、それらを用いて組み合わせライブラリを作り出すことが可能である。アシル化、アルキル化、エステル化、アミジン化(amidification)などのような公知の薬剤は、構造上での類似体を作り出すために、指向性またはランダムな化学的修飾の対象となり得る。スクリーニングアッセイが結合実験である場合、1つ以上の分子が標識に結合することが可能であり、その標識は直接的または間接的に検出可能な信号を提供する。
【0109】
使用可能な別の薬剤スクリーニング技術は、公開 PCT 出願番号 WO84/03564 に記載されているように、目的タンパク質に対して好適な結合親和性を有する化合物の高処理能力スクリーニングを提供する。この方法においては、本発明のタンパク質に対して適用されたように、多数の異なる小さな試験用化合物をプラスチックピンまたは他表面などの固体基質上で提供または合成する。試験用化合物は、本発明のタンパク質またはその断片と反応させ、洗浄した。次に、結合した本発明のタンパク質を当分野で周知の方法で検出した。また、精製した本発明のタンパク質は、前記の薬剤スクリーニング技術で使用するプレート上で直接被覆することもできる。あるいは、非中和抗体を用いてペプチドを捕捉し、ペプチドを固体支持物上に固定することもできる。別の実施例によれば、タンパク質と結合可能な中和抗体が本発明のタンパク質と結合するため試験化合物と特に競合し、競合薬剤スクリーニングアッセイを用いることができる。この方法では抗体を用いて、本発明のタンパク質と1つ以上の抗原決定因子を共有する全てのペプチドの存在を検出することができる。別の実施例では、本発明のタンパク質をコードするヌクレオチド配列は、その新規技術が既知のヌクレオチド配列の特性、例えば、限定するものではないが、トリプレット遺伝暗号および特異的塩基対の相互作用などを含む特性に依存する限り、今後開発される任意の分子生物学技術においてでも使用することができる。
【0110】
本発明のタンパク質をコードする核酸を用いて遺伝子導入細胞株および動物を作成することができる。これらの遺伝子導入非ヒト動物は、本発明のタンパク質の試験管内の機能および調節の研究において有用である。遺伝子導入動物、特に哺乳動物の遺伝子導入動物は、ヒトに共通する多くの発生プロセスおよび細胞プロセスの検討のためのモデル系として役立つことができる。代謝障害を有する種々の非ヒトモデルを用いて、本発明のタンパク質の修飾因子を検査することができる。本発明のタンパク質の異所性発現(例えば過剰発現または発現の欠如)、特定の摂食条件、および/または生物学的活性化合物の投与により、代謝障害のモデルを作ることができる。
【0111】
本発明の一実施例によれば、そのようなアッセイでは、レプチン経路遺伝子においてノックアウトを保有しているマウスのようなインスリン耐性および/または糖尿病のマウスモデルが使用される (例えば、ob (レプチン)またはdb (レプチン受容体)マウス)。糖尿病の典型的な症状を呈するそのようなマウスは、肝脂質蓄積を示し、そして高い頻度で血漿脂質値を増加した(Bruningらの 1998、Mol.Cell.2:449−569を参照)。感受性の野生型マウス(例えばC57Bl/6)は、高脂肪食を与えた場合、類似の症状を示す。そのようなマウス菌株における本発明のタンパク質の発現の検査に加えて、これらのマウス用いて、候補修飾因子の投与が、例えば肝臓、血漿、または脂肪組織における脂質蓄積を改変するかどうかを、FPLC、比色測定法、血糖レベル検査、インスリン耐性検査のようなおよびその他のような当技術分野で周知の標準測定法を用いて検査することもできる。
【0112】
遺伝子導入動物は、本発明のタンパク質をコードする遺伝子の正常な遺伝子座が突然変異する場合、非ヒト胚幹細胞における相同組換えを介して作ることが可能である。別法としては、タンパク質をコードする核酸構成物を卵母細胞に注入し、ゲノムにランダムに統合する。また、本発明の遺伝子またはその変異体を、通常には発現されないか、または異常発生するような場所に発現することもあり得る。さらには、アンチセンス分子を発現する特異的な構成物または本発明のタンパク質の発現を阻止または改変する優性阻害突然変異の発現のような本発明の遺伝子の変異体は、ランダムにゲノムに統合することが可能である。本発明の遺伝子発現の上方制御が表現型の容易に検出可能な変化を結果としてもたらすlac Zまたはルシフェラーゼのような検出可能なマーカーは、本発明遺伝子の遺伝子座に導入することが可能である。安定した統合のベクターには、プラスミド、レトロウィルスなど動物ウィルス、酵母菌人工染色体(YACs)などが含まれる。
【0113】
相同組換えDNA構成物には、少なくとも所望の遺伝子組換えをした本発明の遺伝子の一部が含まれ、そして標的遺伝子座に対する相同領域が含まれるであろう。都合よく、ポジティブ選択およびネガティブ選択用のマーカーを含む。ランダム統合のためのDNA構成物には、組換えを仲介するための相同領域が含まれる必要はない。ランダム統合のためのDNA構成物には、本発明のタンパク質、調節エレメント(プロモーター)、イントロンおよびポリアデニル化信号をコードする核酸から成る。相同組換えを通して標的遺伝子修飾を有する細胞を作成する方法は本分野で周知である。胚幹(ES)細胞は、ES細胞株を用いても良いし、または胚細胞を宿主、例えばマウス、ラット、モルモットなどから新たに取得しても良い。そのような細胞は、適切な線維芽細胞−支持細胞層の上で増殖さしめてから、白血病抑制因子(LIF) の存在下で増殖する。
【0114】
ES 細胞または胚細胞または体細胞の多能性ヒト幹細胞を形質転換する場合、それらの細胞を用いて遺伝子導入動物を作り出すことが可能である。形質転換後、細胞を適切な培地の支持細胞層にプレーティングする。その構成物を含んでいる細胞は、選択培地を用いることによって選択することが可能である。コロニーを十分な時間をかけて増殖した後、コロニーを摘出し、相同性組換えまたは構成物の統合の発生率を分析する。陽性反応を示すコロニーは、胚操作および胚盤胞注入に用いることが可能である。胚盤胞は、4〜6週間の過排卵雌から取得する。ES細胞をトリプシン処理し、そして修飾細胞を胚盤胞の胞胚腔に注入する。注入後、胚盤胞を偽妊娠雌の各子宮角へ戻す。次に、雌に出産させ、結果として得られた子孫をその構成物に対してスクリーニングした。胚盤胞の異なる表現型および遺伝子操作された細胞を提供することで、キメラ子孫を容易に検出することができる。キメラ動物を修飾遺伝子の存在に対してスクリーニングし、修飾を有する雄と雌を交尾させ、ホモ接合性の子孫を産生する。その遺伝子改変が成長の過程における死亡率の原因となる場合には、組織または器官は、同種間移植用または類遺伝子性移植用、または移植、または体外培養用として維持することができる。遺伝子導入動物は、実験動物、家畜などのような任意の非ヒト哺乳動物である。遺伝子導入動物は、機能研究、薬物スクリーニングなどにおいて使用することが可能である。
【0115】
また、最終的に、本発明は少なくとも下記の 1つから成るキットに関するものである。
(a) 核酸分子またはその機能的断片;
(b) アミノ酸分子または機能的断片またはそのアイソフォーム;
(c) (a) の核酸を備えているベクター;
(d) (a) の核酸または(b) のベクターを含む宿主細胞;
(e) (a) の核酸によってコードされたポリペプチド;
(f) (a) の核酸によってコードされた融合ポリペプチド;
(g) (a) の核酸または(d)または(e) のポリペプチドに対する抗体、アプタマーまたは別の受容体および
(h) (a) の核酸アンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0116】
本キットは、上述のように、診断用または治療用またはスクリーニング用に使用することが可能である。本キットには、さらに取扱説明書が含まれる場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1A】図1Aは、ニワトリ胚 (5 日目、dpb = 背側膵芽、vbp = 腹側膵芽、st = 胃腸、nt = 神経管上でのホールマウント in−situ ハイブリダイゼーションを示す。
【図1B】図1Bは、ヒト DP119 の発現を示す。
【図2A】図2Aは、ヒトDKFZp586L151 に対するニワトリ遺伝子相同性の 3’ を含有する核酸配列を示す。
【図2B】図2Bは、図1Aに示したコーディング配列によってコードされたタンパク質の配列を示す。
【図2C】図2Cは、ヒトホモログのタンパク質をコードする 核酸配列を示す。
【図2D】図2Dは、図2に示したコーディング配列によってコードされたタンパク質配列を示す。
【図2E】図2Eは、マウスホモログのタンパク質をコードする核酸配列を示す。
【図2F】図2Fは、図8Eに示したコーディング配列によってコードされたタンパク質配列を示す。
【図2G−1】図2Gは、異なる種から取り出した DP119 のアライメントを示す。
【図2G−2】図2Gは、異なる種から取り出した DP119 のアライメントを示す。
【図2G−3】図2Gは、異なる種から取り出した DP119 のアライメントを示す。
【図2G−4】図2Gは、異なる種から取り出した DP119 のアライメントを示す。
【図2G−5】図2Gは、異なる種から取り出した DP119 のアライメントを示す。
【図3A】図3Aは、受精後 3.5 日目のニワトリ胚および DP444 プローブを用いたホールマウント in−situ ハイブリダイゼーションを示す。
【図3B】図3Bは、受精後 4 日目のニワトリ胚および DP444 プローブを用いたホールマウント in−situ ハイブリダイゼーションを示す。
【図3C】図3Cは、受精後 5 日目のニワトリ胚および DP444 プローブを用いたホールマウント in−situ ハイブリダイゼーションを示す。
【図3D】図3Dは、発育中の膵臓 (受精後 5 目のニワトリ) 断面の二重標識を示す。
【図3Ea】図3Eaは、制御アンチセンスオリゴを投与した受精後 24 時間目の胚を示す。
【図3Eb】図3Ebは、DP444 の翻訳をブロッキングするアンチセンスオリゴを投与した受精後 24 時間目の サカナ胚を示す。
【図4A】図4Aは、核酸配列を示す。
【図4B】図4Bは、DP444のアミノ酸配列を示す。
【図4C】図4Cは、ヒトホモログQV2−NN2006−230401−628−d06 NN2006、配列番号 9 の核酸配列を示す。
【図4D】図4Dは、DP444 (配列番号 10) のヒトホモログのアミノ酸配列を示す。
【図4E】図4Eは、GenBank アクセッション番号 BF951817 の核酸配列を示す。
【図4F】図4Fは、GenBank アクセッション番号 AI214480.1 の核酸配列を示す。
【図4G】図4Gは、GenBank アクセッション番号 Hs2_5191_28_4_1 の予測 mRNAを示す。
【図4H】図4Hは、GenBank アクセッション番号 Hs2_5191_28_4_1 の予測タンパク質を示す。
【図4I−1】図4Iは、GenBank アクセッション番号 Hs2_5191_28_4_3 の予測mRNAを示す。
【図4I−2】図4Iは、GenBank アクセッション番号 Hs2_5191_28_4_3 の予測mRNAを示す。
【図4I−3】図4Iは、GenBank アクセッション番号 Hs2_5191_28_4_3 の予測mRNAを示す。
【図4J】図4Jは、GenBank アクセッション番号 Hs2_5191_28_4_3 の予測タンパク質を示す。
【図4K−1】図4Kは、異なる種から取り出した DP444 のアライメントを示す。
【図4K−2】図4Kは、異なる種から取り出した DP444 のアライメントを示す。
【図5A】図5Aは、ニワトリ胚 (5 日目) 上でのホールマウント in−situ ハイブリダイゼーションを示す。
【図5B】図5Bは、ニワトリ胚 (5 日目) 上でのホールマウント in−situ ハイブリダイゼーションを示す。
【図5C】図5Cは、発育中の膵臓 (受精後 5 日目のニワトリ) の断面上での in−situ ハイブリダイゼーションを示す。
【図5D】図5Dは、発育中の膵臓 (受精後 5 日目のニワトリ) の断面上での in−situ ハイブリダイゼーションを示す。
【図6A−1】図6Aは、DP810 タンパク質. 3' 非翻訳領域は下線を引いて示す。
【図6A−2】図6Aは、DP810 タンパク質. 3' 非翻訳領域は下線を引いて示す。
【図6B】図6Bは、図6Aに示したコーディング配列によってコードされたタンパク質の配列を示す。
【図6C】図6Cは、ヒトホモログ DP810 タンパク質をコードする核酸配列を示す。
【図6D】図6Dは、図6Cに示したコーディング配列によってコードされた タンパク質配列を示す。
【図7A】図7Aは、ニワトリ胚 (A: 受精後 4 日目; B: 受精後 5 日目) 上でのホールマウントin−situ ハイブリダイゼーションを示す。
【図7B】図7Bは、ニワトリ胚 (A: 受精後 4 日目; B: 受精後 5 日目) 上でのホールマウントin−situ ハイブリダイゼーションを示す。
【図7C】図7Cは、ヒトDP685 の発現を示す。
【図8A】図8Aは、ニワトリDP685 タンパク質をコードする核酸配列を示す。
【図8B】図8Bは、図8Aに示したコーディング配列によってコードされたタンパク質配列を示す。
【図8C】図8Cは、ヒトホモログの DP685 タンパク質(オートタキシン) をコードする核酸配列を示す。
【図8D】図8Dは、図8Cに示したコーディング配列によってコードされたタンパク質配列を示す。
【図8E】図8Eは、マウスホモログDP685 タンパク質をコードする核酸配列を示す。
【図8F】図8Fは、図8Eに示したコーディング配列によってコードされたタンパク質配列を示す。
【図9A】図9Aは、ニワトリ胚 (受精後 5 日目) 上のホールマウント in−situ ハイブリダイゼーションを示す。
【図10A】図10Aは、ニワトリコレクチンの 3' 非翻訳領域から成る核酸配列を示す。
【図10B】図10Bは、図6Aに示したコーディング配列によってコードされたタンパク質配列を示す。
【図10C】図10Cは、ヒトホモログコレクチン COLEC10 タンパク質をコードする核酸配列を示す。
【図10D】図10Dは、図10Cに示したコーディング配列によってコードされたタンパク質配列を示す。
【図11A】図11Aは、ニワトリ胚 (受精後 5 日目) 上のホールマウント in−situ ハイブリダイゼーションを示す。
【図11B】図11Bは、発育中の膵臓 (受精後 5 日目) 断面上の二重標識を示す。
【図12A】図12Aは、核酸配列を示す。
【図12B】図12Bは、図12Aに示したコーディング配列によってコードされたタンパク質配列を示す。
【図12C】図12Cは、ヒトホモログタンパク質をコードする核酸配列を示す。
【図12D】図12Dは、図12Cに示したコーディング配列によってコードされたタンパク質配列を示す。
【図13A】図13Aは、受精後 5 日目 ニワトリ胚およびRA977 プローブを用いたホールマウント in−situ ハイブリダイゼーションを示す。
【図13B】図13Bは、受精後 5 日目 ニワトリ胚およびRA977 プローブを用いたホールマウント in−situ ハイブリダイゼーションを示す。
【図14A−1】図14Aは、RA977 の核酸配列を示す。
【図14A−2】図14Aは、RA977 の核酸配列を示す。
【図14B】図14Bは、RA977 のアミノ酸配列を示す。
【図14C】図14Cは、ホモサピエンス上皮膜タンパク質 2 (EMP2)、mRNA の核酸配列を示す。
【図14D】図14Dは、EMP2_ヒト上皮 膜タンパク質 2 (EMP−2) (XMP タンパク質) のアミノ酸配列を示す。
【図15A】図15Aは、ニワトリ胚 (受精後 5 日目) 上でのホールマウント in−situ ハイブリダイゼーションを示す。
【図16A】図16Aは、ニワトリ RA770 タンパク質をコードする核酸配列を示す。
【図16B】図16Bは、図16Aに示したコーディング配列によってコードされたタンパク質配列を示す。
【図16C】図16Cは、ヒトホモログRA770 タンパク質をコードする核酸配列を示す。
【図16D】図16Dは、図16Cに示したコーディング配列によってコードされたタンパク質配列を示す。
【図16E】図16Eは、マウスホモログRA770 タンパク質をコードする核酸配列を示す。
【図16F】図16Fは、図16Eに示したコーディング配列によってコードされた タンパク質配列を示す。
【0118】
図 1: DP119 タンパク質に対する in−situ ハイブリダイゼーションの結果。
図 1A は、ニワトリ胚 (5 日目、dpb = 背側膵芽、vbp = 腹側膵芽、st = 胃腸、nt = 神経管上でのホールマウント in−situ ハイブリダイゼーションを示す; Fig 1B は、発育中の膵臓組織切片上での in−situ ハイブリダイゼーションを示す。DP293 陽性細胞は青色で示し、インスリンは茶色で染色した)。発現は、膵島 (is) および膵臓上皮および管細胞 (du) の一部の細胞で見ることができる。Fig 1C は、ハイブリダイゼーションによって DP119 発現に対して染色された受精後 5 日目のニワトリの背側部の断面を示す。染色は、分散している神経管 (nt) 細胞および神経管を囲む神経節性細胞において明らかである。
図 1B は、ヒト DP119 の発現を示す。ここに示したのは、前脂肪細胞から成熟脂肪細胞への分化中のヒト腹部脂肪細胞における DP119 発現の定量分析である。
【0119】
図 2: DP119 配列.
図 2A: ヒトDKFZp586L151 に対するニワトリ遺伝子相同性の 3’ を含有する核酸配列 (配列番号 1)。下線を引いたのは 3' 非翻訳領域であり、終止コドンは太字で示した。
図 2B: 図 1A に示したコーディング配列によってコードされたタンパク質の配列(配列番号 2)。
図 2C: ヒトホモログのタンパク質をコードする 核酸配列(配列番号 3) (GenBank アクセッション番号 AL050137.1)。
図 2D: 図 2C に示したコーディング配列によってコードされたタンパク質配列(配列番号 4) (GenBank アクセッション番号 CAB43286.1)。
図 2E: マウスホモログのタンパク質をコードする核酸配列 (配列番号 5) (GenBank アクセッション番号 BC025654.1)。
図 2F: 図 8E に示したコーディング配列によってコードされたタンパク質配列(配列番号 6) (GenBank アクセッション番号 Aah25654.1)。
図 2G: 異なる種から取り出した DP119 のアライメント (Mm、マウス; Hs、ホモサピエンス; Dr、ゼブラダニオ Danio rerio; Gg、ニワトリ)
【0120】
図 3: DP444 の発現
図 3A: 受精後 3.5 日目のニワトリ胚および DP444 プローブを用いたホールマウント in−situ ハイブリダイゼーション。発現は、神経管 (nt) に沿って、および体節、発育中の腸 (in) および鰓弓において観察される。
図 3B: 受精後 4 日目のニワトリ胚および DP444 プローブを用いたホールマウント in−situ ハイブリダイゼーション。発現は、神経管 (nt) に沿って、および体節、発育中の腸 (in) および背側菱脳 (hb) において観察される。
図 3C: 受精後 5 日目のニワトリ胚および DP444 プローブを用いたホールマウント in−situ ハイブリダイゼーション。胃腸 (st) および膵芽 (dpb、vpb) における発現ドメインを示す。
図 3D: 発育中の膵臓 (受精後 5 目のニワトリ) 断面の二重標識。インスリンは茶色に染色し、DP444 発現は紫色に染色する。DP444 の発現は、積極的にインスリン発現とオーバーラップしている膵島 (is) で観察できる。
図 3E: DP444 機能低下はゼブラフィッシュにおける膵島欠損につながる。図 3Ea は、制御アンチセンスオリゴを投与した受精後 24 時間目の胚を示し、図 3Eb は、DP444 の翻訳をブロッキングするアンチセンスオリゴを投与した受精後 24 時間目の サカナ胚を示す。インスリン発現は紫色に染色する。
【0121】
図 4: DP444 配列。
図 4A: 核酸配列 (配列番号 7)。終止コドンは太字で示し、および 3' UTR には下線を引いた。
図 4B: DP444のアミノ酸配列 (配列番号 8)。
図 4C: ヒトホモログQV2−NN2006−230401−628−d06 NN2006、配列番号 9 の核酸配列 (GenBank アクセッション番号 BI035296)。
図 4D: DP444 (配列番号 10) のヒトホモログのアミノ酸配列 (配列番号 9 の翻訳)。
図 4E: GenBank アクセッション番号 BF951817 の核酸配列 (QV1−NN0228−091100−436−g05 NN0228 ホモサピエンス、配列番号 11)。
図 4F: GenBank アクセッション番号 AI214480.1 の核酸配列; (qg69c12.x1 Soares_NFL_T_GBC_S1 ホモサピエンス、配列番号 12)。
図 4G: GenBank アクセッション番号 Hs2_5191_28_4_1 の予測 mRNA (配列番号 13)。
図 4H: GenBank アクセッション番号 Hs2_5191_28_4_1 の予測タンパク質 (配列番号 14)。
図 4I: GenBank アクセッション番号 Hs2_5191_28_4_3 の予測mRNA (配列番号 15)。
図 4J: GenBank アクセッション番号 Hs2_5191_28_4_3 の予測タンパク質 (配列番号 16)。
図 4K: 異なる種から取り出した DP444 のアライメント (Dr、ゼブラフィッシュ; Mm、マウス; Hs、ホモサピエンス; Gg、ニワトリ)
【0122】
図 5: DP810 タンパク質に対する in−situ ハイブリダイゼーションの結果
図 5A および 図 5B は、ニワトリ胚 (5 日目) 上でのホールマウント in−situ ハイブリダイゼーションを示す。li = 肝臓、ht = 心臓、dpb = 背側膵芽;
図 5C および 図 5D は、発育中の膵臓 (受精後 5 日目のニワトリ) の断面上での in−situ ハイブリダイゼーションを示す。pe = 膵臓上皮、is = 膵島、pm = 膵臓の間充織.
【0123】
図 6: DP810 配列。
図 6A: DP810 タンパク質. 3' 非翻訳領域は下線を引いて示し、終止コドンは太字で示した。(配列番号 17)
図 6B: 図 6A に示したコーディング配列によってコードされたタンパク質の配列(配列番号18)。
図 6C: ヒトホモログ DP810 タンパク質をコードする核酸配列 (配列番号 19) (GenBank アクセッション番号 NM_02400.1; 多ドメインタンパク質)。
図 6D: 図 6C に示したコーディング配列によってコードされた タンパク質配列(配列番号 20) (GenBank アクセッション番号 NP_078776.1)。
【0124】
FIG 7: DP685 タンパク質の発現。
図 7A および 図 7B は、ニワトリ胚 (A: 受精後 4 日目; B: 受精後 5 日目) 上でのホールマウントin−situ ハイブリダイゼーションを示す。図 7A では、発現が、背側神経管 (nt) に沿って、背側前脳 (fb) および菱脳 (hb) において、鰓弓 (ba) および発育中の後肢 (ahl) の前部において観察される。また、強力なシグナルが、発育中の胃腸 (st) の領域においても観察される。図 7B では、発現が、発育中の胃腸 (st) および背側膵芽 (dpb) において観察される。
図 7C は、ヒトDP685 の発現を示す。ここに示したのは、前脂肪細胞から成熟脂肪細胞への分化中のヒト腹部脂肪細胞における DP685 発現の定量分析である。
【0125】
図 8: DP685 配列。
図 8A: ニワトリDP685 タンパク質をコードする核酸配列(配列番号 21)。
図 8B: 図 8A に示したコーディング配列によってコードされたタンパク質配列 (配列番号 22)。
図 8C: ヒトホモログの DP685 タンパク質(オートタキシン) をコードする核酸配列 (配列番号 23)。
図 8D: 図 8C に示したコーディング配列によってコードされたタンパク質配列(配列番号 24)。
図 8E: マウスホモログDP685 タンパク質をコードする核酸配列(配列番号 25)。
図 8F: 図 8E に示したコーディング配列によってコードされたタンパク質配列(配列番号 26)。
【0126】
FIG 9: WE474 タンパク質に対する in−situ ハイブリダイゼーションの結果。
図 9A は、ニワトリ胚 (受精後 5 日目) 上のホールマウント in−situ ハイブリダイゼーションを示す。in = 腸、li = 肝臓原基;
【0127】
図 10: WE474 配列.
図 10A: ニワトリコレクチンの 3' 非翻訳領域から成る核酸配列(配列番号 27)。
図 10B: 図 6A に示したコーディング配列によってコードされたタンパク質配列(配列番号 28)。
図 10C: ヒトホモログコレクチン COLEC10 タンパク質をコードする核酸配列 (配列番号 29) (GenBank アクセッション番号 NM_006438.2)。
図 10D: 図 10C に示したコーディング配列によってコードされたタンパク質配列 (配列番号 30) (GenBank アクセッション番号 NP_006429.1)。
【0128】
FIG 11: DP160 タンパク質に対する in−situ ハイブリダイゼーションの結果。
図 11A は、ニワトリ胚 (受精後 5 日目) 上のホールマウント in−situ ハイブリダイゼーションを示す。DP160 は、神経管 (nt) に沿って、中腎 (mn) においておよび発育中の消化管 (胃腸: st; 背側膵芽および腹側膵芽:dpb、vpb) において発現される。
図 11B. 発育中の膵臓 (受精後 5 日目) 断面上の二重標識を示す。インスリンは茶色に染色し、DP160 発現は紫色に染色する。発現は、膵島 (is) および膵臓上皮細胞で見ることができる。
【0129】
図 12: DP160 配列。
図 12A: 核酸配列 (配列番号 31)
図 12B: 図 12A に示したコーディング配列によってコードされたタンパク質配列 (配列番号 32)。
図 12C: ヒトホモログタンパク質をコードする核酸配列 (配列番号 33)。
図 12D: 図 12C に示したコーディング配列によってコードされたタンパク質配列 (配列番号 34)。
【0130】
図 13: RA977 の発現。
図 13A および 図 13B: 受精後 5 日目 ニワトリ胚およびRA977 プローブを用いたホールマウント in−situ ハイブリダイゼーション。RA977 の発現が背側膵芽 (dpb) で観察される。胃腸 (st) で見られる強力なシグナルは、非特異的なプローブ とラッピングに起因する。同一胚を 2 通りの異なる拡大率で示す。
【0131】
図 14: RA977 配列。
図 14A: RA977 の核酸配列(配列番号 35)。終止コドンおよび開始コドンは太字で表し、UTR には下線を引いた。
図 14B: RA977 のアミノ酸配列 (配列番号 36)。
図 14C: ホモサピエンス上皮膜タンパク質 2 (EMP2)、mRNA の核酸配列 (GENBANK アクセッション番号 XM_030218.1; 配列番号 37)。
図 14D: EMP2_ヒト上皮 膜タンパク質 2 (EMP−2) (XMP タンパク質) のアミノ酸配列 (GenBank アクセッション番号 P54851; 配列番号 38)。
【0132】
図 15: RA770 タンパク質に対する in−situ ハイブリダイゼーションの結果。
図 15A は、ニワトリ胚 (受精後 5 日目) 上でのホールマウント in−situ ハイブリダイゼーションを示す 。dpb = 背側膵芽; vpb = 腹側膵芽; lu = 肺臓、st = 胃腸領域; dd = 十二指腸
【0133】
図 16: RA770 配列。
図 16A: ニワトリ RA770 タンパク質をコードする核酸配列 (配列番号 39)
図 16B: 図 16A に示したコーディング配列によってコードされたタンパク質配列(配列番号 40)。
図 16C: ヒトホモログRA770 タンパク質をコードする核酸配列 (配列番号 42) (GenBank アクセッション番号 NM_004558.1; Neurturin)。
図 16D: 図 16C に示したコーディング配列によってコードされたタンパク質配列(配列番号 43) (GenBank アクセッション番号 NP_004549.1)。
図 16E: マウスホモログRA770 タンパク質をコードする核酸配列 (配列番号 44) (GenBank アクセッション番号 NM_008738.1; Neurturin)。
図 16F: 図 16E に示したコーディング配列によってコードされた タンパク質配列(配列番号 44) (GenBank アクセッション番号 NP_032764.1)。
【0134】
下記の実施例は、本発明を説明するために提供されており、本発明を限定するものではない。
【0135】
実施例 1: DPd6 ヒヨコの cDNA ライブラリ構造
ニワトリ DPd6 の cDNA ライブラリは、6 日目のニワトリ胚から採取した背側膵芽を使用して構築したものである。凍結組織はホモジナイズかつ溶解した。Brinkmann POLYTRON homogenizer PT−3000 (Brinkman Instruments, Westbury, N.J.)をグラニジウム イソチオシアネート溶液において使用した。溶解物に遠心力 5.7 M CsCl 以上をかける。Beckman SW28 ローター、Beckman L8−70M 超遠心分離機 (Beckman Instruments、Fullerton、Calif.)使用。 18 時間、25,000 rpm、室温。RNA を、4.7 pH 酸フェノールで抽出し、0.3 M 酢酸ナトリウムと容積 2.5 のエタノール沈殿させ、無 RNA 水で再懸濁し、37℃ にてDNAe 処理した。以前の通り RNA を4.7 pH 酸フェノールで繰返し抽出し、酢酸ナトリウムおよびエタノールで沈殿させた。 その後、Micro−FastTrack 2.0 mRNA 分離キット(Invitrogen、Groningen、Netherlands)を使用して mRNA を単離し、cDNA ライブラリを構築するために使用した。mRNAs の取り扱いは、SUPERSCRIPT cDNA synthesis and plasmid cloning system (Gibco/BRL) の推奨プロトコルに従って行なった。DH10B 宿主細胞への形質転換に続いて、単一コロニーを摘出し、PCR 法を用いてクローン化された cDNA インサートを増幅した。単一 cDNA インサートを代表する PCR 法によって増幅された断片を、その後に生体外転写し、Digoxygenin 標識 RNA プローブ(Roche)を生成した。RNA プローブをホールマウント in−situ スクリーニングにおいて使用して初期のニワトリ胚におけるそれぞれの遺伝子産物の発現を確定した。本発明のタンパク質をコードする遺伝子を含有するプラスミドを、膵臓組織におけるその高発現のおかげで同定した。
【0136】
実施例 2: in−situ ハイブリダイゼーション
当業者であれば周知の標準プロトコルおよび以前に説明した(例えば、Pelton, R.W. らの(1990) Development 110, 609−620、Belo, J.A. らの(1997) Mech. Dev. 68, 45−57) に従って in−situ ハイブリッド形成法を実行した。
【0137】
実施例 3: cDNA クローンの分離およびシーケンシング
REAL プレP 96 ウェルのプラスミド分離キット (QIAGEN) を用いて、プラスミドDNA を細胞から開放し精製した。このキットは、多重試薬ディスペンサーを使用した96 ウェル ブロックにおいて、96 個のサンプルの同時精製を可能にした。 下記の変更を除いてメーカーの推奨するプロトコルを使用した。変更(i): 細菌を 1 ml の消毒した Terrific Broth (LIFE TECHNOLOGIESTM, Gaithersburg, Md, USA)でカルベニシリンを 25 mg/L で、グリセロームを 0.4 % で用いて培養した。変更(ii): 接種後、培養を 19 時間インキュベートした後、細胞を 0.3 ml 溶解バッファで溶解した。変更(iii): イソプロパノール沈殿に続いて、プラスミドDNA ペレットを 0.1 ml の蒸留水で再懸濁した。プロトコルの最後のステップの後、サンプルを 4℃ にて保管する 96 ウェル ブロックへ移した。cDNA を GATC Biotech AG (Konstanz、Germany)によって、当業者であれば既知の標準プロトコルに従って配列せしめた。
【0138】
実施例 4: cDNA クローンの相同性検索およびその演繹 タンパク質
リーディング・フレームを決定した後に、本発明のヌクレオチド配列から演繹したアミノ酸配列のみならず、本発明のヌクレオチド配列も、GenBank、SwissProt、BLOCKS、および Pima II のようなデータベースに対する問い合わせ配列として使用した。以前に同定され注釈された配列を含むこれらのデータベースで、相同性(類似性) の領域を検索した。使用したのはBLAST(Basic Local Alignment Search Toolの略語、Altschul S.F. (1993) J. Mol. Evol. 36:290−300; Altschul、S.F. らの(1990) J. Mol. Biol. 215:403−10)である。BLAST 検索により、ヌクレオチドおよびアミノ酸配列両方のアライメントを産生し、配列類似性を決定した。ローカル特性をもつアライメントのおかげで、BLAST 検索は、完全なマッチの決定において、または相同体真核(細菌)または原核(動物、カビ、植物) の起源の識別に特に有用である。ここに引用として取り込まれたSmith らの(1992、Protein Engineering 5:35−51)において説明されたような他のアルゴリズムは、一次配列パターンおよび二次構造ギャップのペナルティーを取り扱う場合に使用された。BLAST 検索の方法は、Karlin らの(前出)で詳細に説明したように、ここに引用として取り込まれ、問い合わせ配列とデータベース配列との間のマッチを検索した。BLAST 検索によって見出された任意のマッチの統計的な重要性が評価され、重要性をもつユーザ選択限界を満足するマッチのみが報告された。本出願において、限界値はヌクレオチドに対して 10〜25、およびペプチドに対して 10−14 と設定した。ヌクレオチド配列は、GenBank データベースの霊長類、げっ歯類、および他の哺乳動物の配列に対して検索し、それから同一クローンからの演繹アミノ酸配列を、GenBank の機能的タンパク質データベースの哺乳動物、脊椎、真核生物の相同性に対して検索した。
【0139】
実施例 5: ポリヌクレオチドの完全長への伸長または調節配列の復元
本発明のタンパク質をコードする完全長核酸配列を用いて、部分的ヌクレオチド配列を完全長に拡張するため、またはゲノム ライブラリから 5' または 3' イントロンまたは他の調節配列を取得するために、オリゴヌクレオチドプライマーを設計する。単一プライマーを合成してアンチセンス方向における伸長を開始し、他を合成してセンス方向における配列を伸長する。プライマーを用い、領域目的に対して新規ヌクレオチド配列、未知ヌクレオチド配列を含む既知の配列「outward」生成 amplicons の伸長を促進する。初期プライマーは、オリゴ 4.06 プライマー分析ソフトウェア(National Biosciences)、または別の適切なプログラムを用いて、ヌクレオチド長が 22〜30 となるように、GC 含有率が 50% 以上を有するように、および温度約 68℃ 〜 72℃ で標的配列にアニールするように cDNA から設計した。ヘアピン二量化をもたらすようなヌクレオチドは避けた。元の選択したcDNA ライブラリ、またはヒトゲノム ライブラリを用い、配列を伸長した。後者(ヒトゲノム ライブラリ)は5' 上流領域を取得するために最も有用である。より多くの伸長または所望の必要な場合は、追加プライマーセットをデザインして既知領域を伸長する。XL−PCR キット(Perkin Elmer) の指示に従い、充分に酵素および反応混合液を攪拌することによって、高い忠実度増幅を得た。40 pmol の各プライマーおよび推奨濃度の他の全ての組成物キットの準備を発端として、Peltier thermal cycler (Peltier thermal cycler (PTC200; M.J. Research、Watertown、Mass.)および下記のパラメータを用いて、PCR 法を実行した。
【0140】
ステップ 1 94℃ にて、1 分間 (初期変性)
ステップ 2 65℃ にて、1 分間
ステップ 3 68℃ にて、6 分間
ステップ 4 94℃ にて、15 秒間
ステップ 5 65℃ にて、1 分間
ステップ 6 68℃ にて、7 分間
ステップ 7: ステップ 4〜6 をさらに15 サイクル繰返す
ステップ 8 94℃ にて、15 秒間
ステップ 9 65℃ にて、1 分間
ステップ 10 68℃ にて、7〜15 分間
ステップ 11: ステップ 8〜10 を 12 サイクル繰返す
ステップ 12 72℃ にて、8 分間
ステップ 13 4℃ にて、(保持)
【0141】
5〜10 マイクロリットルの反応混合物を、低濃度(約0.6〜0.8%)のアガロースミニゲル上で電気泳動法によって解析し、どの反応が配列の伸長に成功したかを決定した。最も大きな産生物を保持すると思われた領域を選択して、ゲルから除去した。さらなる精製には、QIAQUICK DNA 精製キット(QIAGEN)などのような商業用ゲル抽出方法が必要とされる。DNA の回収後、クレノウ酵素を用い、一本鎖、ヌクレオチド張出部をトリムし、再連結反応およびクローニングを促進する鈍端を作った。エタノール沈殿の後、産生物を13 マイクロリットルの連結反応バッファに再溶解し、1 マイクロリットルの T4−DNA リガーゼ (15 単位)および1 マイクロリットルの T4 ポリヌクレオチドキナーゼを加え、そして混合物を室温で 2〜3 時間または 16℃ で一晩インキュベートした。適格大腸菌細胞(40 マイクロリットルの適切な 培地中)を 3 マイクロリットルの連結反応 混合物で形質転換し、80 マイクロリットルの SOC 媒体(前出のSambrook らの)で培養せしめた。37 ℃ にて 1 時間インキュベーションした後、全形質転換混合液を、2x 炭水化物を含む Luria Bertani (LB)−寒天(前出のSambrook らの)上にプレートする。次の日、各プレートから幾つかのコロニーをランダムに摘出し、適切な市販の消毒済 96 ウェル マイクロタイター プレートの個別ウェルに配置した 150 マイクロリットルの液体 LB/2x 炭水化物媒体で培養する。 次の日、一晩培養した 5 マイクロリットルの各培養を 無償毒 96 ウェル プレートに移し、1:10 に水で希釈後、5 マイクロリットルの各サンプルを PCR 法 アレーへ移す。PCR 法の増幅は、4 単位の rTth DNA ポリメラーゼ、ベクター プライマー、および 1 つまたは両方の伸長反応に使用した遺伝子特定プライマーを含む 18 マイクロリットルの濃縮 PCR 法反応混合液(3.3x)を各ウェルに加える。増幅は、下記の条件を用いて実行する:
【0142】
ステップ 1 94℃ にて、60 秒間
ステップ 2 94℃ にて、20 秒間
ステップ 3 55℃ にて、30 秒間
ステップ 4 72℃ にて、90 秒間
ステップ 5: ステップ 2〜4 をさらに29 サイクル繰返す
ステップ 6 72℃ にて、180 秒間
ステップ 7 4℃ にて、(保持)
【0143】
PCR 法反応のアリコットを分子量マーカーと共に寒天ゲル剤上で実行する。PCR 産物の寸法を元の部分的cDNA に比較し、適切なクローンを選択し、プラスミドに連結反応して配列する。
【0144】
実施例 6: ハイブリダイゼーションプローブの標識化および使用法
本発明に記載の核酸に由来するハイブリダイゼーションプローブを用いて、cDNA、ゲノム DNA、または mRNA をスクリーニングした。約 20 塩基対から成るオリゴヌクレオチドの標識について特に記載するが、より大きなcDNA 断片に対しても実質的には同手順を用いる。オリゴヌクレオチドを、OLIGO4.06 プライマー分析ソフトウェア(National Bioscience)のような最新式のソフトウェアを用いてデザインし、50 pmol の各オリゴマーおよび 250 マイクロ Ci の [.gamma.−32 P] アデノシン三リン酸(Amersham) および T4 ポリヌクレオチドキナーゼ (DuPont Nen(r), Boston, Mass.)とを組み合わせることにより標識する。標識したオリゴヌクレオチドは、SEPHADEX G−25 超細繊分子樹脂カラム(Pharmacia & Upjohn)を用いて十分に精製する。毎分 107 カウントの各センス オリゴヌクレオチドおよびアンチセンス オリゴヌクレオチドを含む部分を、(Ase I, Bgl II, EcoRI, Pst I, Xba I, or Pvu II; DuPont NEN(r)) の 1 つの膜で消化されたヒトゲノム DNA の典型的膜ベースのハイブリダイゼーション解析において用いる。各消化物から得た DNA は、0.7% アガロースゲル上で分画してナイロン膜(NYTRAN PLUS membrane, Schleicher & Schuell, Durham, N.H.)に移す。スクリーニングハイブリダイゼーションは40℃にて 16 時間かけて行う。非特異的シグナルを取り除くため、最大 0.1 x クエン酸食塩水(SSC)および 0.5% ドデシル硫酸ナトリウムの一層ストリンジェントな条件の下、ブロットを順次室温にて洗浄する。XOMAI AR オートラジオグラフィーフィルム (Kodak Rochester、N.Y.)をブロットに晒した後、またはブロットを PHOSPHOIMAGER (Molecular Dynamics、Sunnyvale、Calif.)に数時間置いた後にオートラジオグラフィーパターンを肉眼で比較する。
【0145】
実施例 7: アンチセンス分子
本発明のタンパク質をコードする配列、またはその一部に対するアンチセンス分子を用い、生体内または試験管内の天然の本発明のタンパク質の発現を抑制する。約 20 塩基対を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドの使用は、特に記載するが、より大きなcDNA 断片に使用される手順と本質的に同一である。オリゴヌクレオチドを用いて、天然の本発明のタンパク質の発現を抑制する。アンチセンスオリゴヌクレオチドは多数の方法で遺伝子機能を抑制することができる。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、転写物の 5'UTR に結合して、翻訳をブロッキングすることができる。あるいは、アンチセンスオリゴヌクレオチドの結合は、RNAseH による転写物の切断を誘発することもできる。また、アンチセンスオリゴが、プレ−mRNA のスプライシングをブロッキングすることも証明されており、その結果、特異的なスプライス形態の形成がブロッキングされるか、またはスプライシングされていない、成熟タンパク質を作ることができない不安定なメッセージの蓄積につながるかのいずれか、またはその両方が起こり得る。特定のアンチセンスオリゴヌクレオチドの作用機構は、オリゴヌクレオチドの化学組成および/または 標的転写物内の結合部位によって決定される。
【0146】
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、組織培養細胞に適用すること、動物に使用すること、またはヒトの治療に用いることができる。発育初期のゼブラフィッシュまたはアフリカツメガエル胚への投与することにより、これらの種における遺伝子機能の好都合な分析が可能となる。
【0147】
実施例 8: 本発明のタンパク質の発現
本発明のタンパク質および相同タンパク質のような本発明のタンパク質の発現は、cDNA の適切なベクターへのサブクローニングおよびベクターの宿主細胞への形質転換によって達成する。この場合、以前に cDNA ライブラリを作成するために使用したクローンニング ベクター、PSPORT 1 を用いて、大腸菌において本発明のタンパク質を発現させる。クローンニング部位の上流では、このベクターにはプロモーター βガラクトシダーゼ、継いで、アミノ末端 Met を含有する配列、およびその結果生じた βガラクトシダーゼの 7 残基が含まれる。これらの 8 残基の直後に続くのは、転写に有用なバクテリオファージ プロモーター、および多数のユニークな制限部位を含むリンカーである。標準方法を使用するIPTG を有する単離形質転換細菌株の誘発は、β−ガラクトシダーゼの最初の8 つの残基から成る融合タンパク質、約 5〜15 のリンカー残基、および全長タンパク質を産生する。シグナル残基は、活性化のため下記のアッセイで直接使用することができる細菌の成長培地中に本発明のタンパク質の分泌物を誘導する。
【0148】
実施例 9: 本発明のタンパク質に特異的な抗体の産生
PAGE 電気泳動法(前出の Sambrook)または他の精製技術を用いて十分に精製した本発明のタンパク質を用いて、標準プロトコルでウサギを免疫化して抗体を産生する。DNASTARアミノ酸配列をDNASTARソフトウェア(DNASTAR 社)を用いて解析して免疫原性の高い領域を決定し、対応するオリゴポリペプチドを合成してこれを用いて当業者に周知の方法で抗体を産生する。C末端に近傍するエピトープ、または親水性領域内のエピトープなどの適切なエピトープの選択については前出のAusubel らによって説明されている。
【0149】
通常は、オリゴペプチドの長さは約 15 残基であり、Fmoc 化学反応を用いる Applied Biosystems 431A peptide synthesizer 431A を用いて合成し、N−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS、前出の Ausubel)を用いた反応によってキーホールリンペットヘモシニアン(KLH, Sigma, St. Louis, Mo.) に結合せしめる。完全フロイントアジュバントにおいてオリゴペプチド−KLM 複合体を用いてウサギを免疫化する。得られた抗血清の抗ペプチド活性に対する検査は例えば、ペプチドをプラスチックに結合し、1 % BSA を用いてブロッキング処理し、ウサギ抗血清と反応させて洗浄し、そして放射性ヨウ化したヤギ抗ウサギ IgG と反応して行なう。
【0150】
本発明のタンパク質または生物学的に活性なその断片を、125I ボルトンハンター試薬 (Bolton らの (1973) Biochem. J. 133:529)で標識する。マルチウェルプレートのウェルに予め配置した候補分子を、標識した本発明のタンパク質でインキュベートし、洗浄し、そして標識した本発明のタンパク質複合体を有する全てのウェルをアッセイする。本発明のタンパク質濃度を変えて得たデータを用いて、候補分子との本発明のタンパク質の数、親和性及び会合の値を計算する。本明細書において開示した全ての刊行物および特許を言及することをもって本明細書の一部となす。
【0151】
実施例 10: ヒトの相同遺伝子およびタンパク質の同定
相同タンパク質および核酸分子コーディングは、それゆえ昆虫または各種の脊椎動物、例えば、哺乳動物または鳥から入手可能である。配列に対して相同性を持つニワトリタンパク質および核酸分子は、公的に利用できる全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI) の非重複タンパク質データベースのプログラムBLASTP 2.2.3を用いて同定した(Altschulらの、1997、Nucleic Acids Res. 25:3389−3402を参照)。
【0152】
ニワトリ DP119 (配列番号 2) は、ヒトCAB43286.1 (AL050137.1 配列番号 3 によってコードした配列番号 4) のアミノ酸 251〜432 に対して 93% の同一性および 98% の相同性を示し、マウスAAH25654.1 (BC025654.1; 配列番号 6 によってコードした配列番号 5) のアミノ酸 565〜746 に対して 93% の同一性および97% の相同性を示した。ヒトCAB43286.1 または マウス AAH25654.1 をクエリーとして用いた、Derwent GenSeq データベースでの BLAST 検索を行い、次のエントリを明らかにした: 末梢神経系の疾患および免疫系の抑制などが含まれる請求項に記載の用途を有する WO200153312−A1; 自己免疫性/炎症性障害、胃腸および生殖器系の予防および治療に使用される新規炭水化物関連タンパク質を記載する WO200018922−A2; および癌を含んだ生殖器系の障害の予防および治療における用途を有する WO200155320−A2。
【0153】
ニワトリ DP444 (配列番号 7 によってコードされた配列番号 8 ) は、ヒトBI035296 (配列番号 9、図 4C) によってコードされたポリペプチドに対して93% の同一性および 97% の相同性; ヒトBF951817 (配列番号 11、図 4E) によってコードされたポリペプチドに対して 91% の同一性および 94% の相同性; およびヒト AI214480.1 (配列番号 12、図 4F) によってコードされたポリペプチドに対して 92% の同一性および 95% の相同性をそれぞれ示した。Derwent GenSeq データベース検索結果は 0 件であった。
【0154】
ニワトリ DP810 (配列番号 17、図 6 を参照) は、マウスの多ドメインタンパク質 (NP_073725.1) の 3082〜3566 の アミノ酸に対して55% の同一性および 66% の相同性を示すポリペプチド(配列番号 18) をコードする。相同性は、マウスの多ドメインタンパク質 (84% の同一性、94% の相同性) のアミノ酸 3346〜3566 に対して特に高くなっている。多ドメインタンパク質のヒトホモログの一部のバージョンは、NP_078776.1 (配列番号 19 および配列番号 20) によってコードする。Derwent GenSeq データベース検索結果は 0 件であった。
【0155】
ニワトリ DP685 (配列番号 22、図 8 を参照) は、ヒトオートタキシン−t (配列番号 24) のアミノ酸 1〜735、アミノ酸 125〜863 間で、85% の同一性および 92% の相同性を示した。ヒトオートタキシン−t (GenBank アクセッション番号 AAB00855.1 および L46720.1) をクエリーとして用いた Derwent GenSeq データベースにおける BLAST 検索を行い、癌の診断および療法において使用されるオートタキシン運動刺激タンパク質を記載する特許出願番号 WO 95/32221 においてアクセッション番号 AAR86596 を同定した。
【0156】
ニワトリWE474 (配列番号 28 をコードする配列番号 27 、図 10 を参照) は、ヒトコレクチンサブファミリー メンバー 10 (C 型レクチン) アクセッション番号 NM_006438.2 (ヌクレオチド) および NP_006429.1 (アミノ酸)、配列番号: 29 および 30 に対して 69% の同一性および 81% の相同性を示した。ヒトNP_006429.1 を用いた Derwent GenSeq データベースの検索を行い、血液凝固障害、癌および細胞癒着障害を対象とする特許出願番号 WO9946281−A2、および広範囲にわたる腫瘍の診断用途を対象とする WO200168848−A2 を見出した。
【0157】
ニワトリDP160 (配列番号 32、図 12 を参照)は、アミノ酸 3〜140 間で、ヒトCCR4 炭素異化代謝産物抑制 4様 (CCRN4L) (Genbank アクセッション番号 XM_003343.2) のアミノ酸 386〜799、 およびヒトCCR4 炭素異化代謝産物抑制 4様 (CCRN4L) (Genbank アクセッション番号 NM_912118.1) のアミノ酸 386〜799 に対して 78% の同一性および 85% の相同性を示した。ヒトヒトCCR4 炭素異化代謝産物抑制 4様 (CCRN4L) (GenBank アクセッション番号 XP_003343.3 および XM_003343.2) をクエリーとして用いたDerwent GenSeq データベースにおける BLAST 検索を行い、癌療法に使用されている特許出願番号 WO WO9938972−A2 において、ヒト遺伝子発現産物 cDNA 配列番号 3264 を説明するアクセッション番号 AAZ15795 を同定した。
【0158】
ニワトリ RA977 (配列番号 35; コードされたタンパク質配列番号 36、図 14 を参照) は、ヒトEMP−2 (ヌクレオチド用の XM_030218.1; 配列番号 37; タンパク質配列用の P54851; 配列番号 38) に対して 70% の同一性および 83% の相同性を示した。Derwent GenSeq データベース検索を行い、癌の診断用途を請求の範囲とする特許出願番号 WO200194629−A2、および癌の診断および療法用途を請求の範囲とする特許出願番号 WO200229086−A2 が一致することを明らかにした。
【0159】
ニワトリ RA770 (配列番号 40、図 16 を参照) は、アミノ酸 5〜94 間で、ヒトNeurturin 前駆体(配列番号 42) の C末端アミノ酸 108〜197 に対して67% の同一性および 87% の相同性を示した。ニワトリ RA770 (配列番号 2) は、アミノ酸 5〜94 間で、マウスNeurturin 前駆体 (配列番号 44) のC末端アミノ酸 106〜195 に対して64% の同一性および 84% の相同性を示した。ヒトNeurturin 前駆体 (GenBank アクセッション番号 NP_004549.1 および NM_004558.1) をクエリーとして用いた Derwent GenSeq データベースにおける BLAST 検索を行い、神経細胞成長を促進するために使用される新しく分離されたpersephin 成長因子を記載している特許出願番号 WO 99/14235 において配列番号 7 として開示されているアクセッション番号 AAY16637 を同定した。Persephin GF ポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、細胞変性または細胞不全の防止または治療に使用することができ、また、例えば、末梢性神経の傷害または損傷、神経毒への暴露、糖尿病のような代謝疾患、または腎機能障害および感染性物質によって引き起こされる被害の治療にも使用できる。加えて、特許出願番号 WO 97/08196 には、ヒトpre−pro−neurturin をコードするアクセッション番号 AAW13716 が、神経変性疾患および造血細胞変性疾患の治療に使用される新規成長因子Neurturin として記述されている。また、同タンパク質は、感音難聴の治療のほかに、前庭器の病変および障害の治療にも役立つ新規 Neurturin 神経栄養因子タンパク質産物として WO9906064−A1 にも開示されている。
【0160】
本発明の方法およびシステムの種々の修正および改変は当業者に当然のことであり、本発明の範囲および精神から逸脱しない限り行い得るものとする。本発明について説明するにあたり特定の好適実施例に関連して説明を行ったが、本発明の範囲が、そのような特定の実施例に不当に制限されるべきではないことは当然のことながら共通認識とする。実際に、分子生物学または関連分野の専門家には明らかな、本明細書に記載した本発明の実施方法の様々な改変は、特許請求の範囲内にあるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
DP119、DP444、DP810、DP685、WE474、DP160、RA977、もしくはRA770から選択される核酸分子、またはそれによってコードされるポリペプチド、または当該核酸分子もしくは当該ポリペプチドの断片もしくは変異体、または当該核酸分子もしくは当該ポリペプチドのエフェクター/修飾因子を、医薬品製造のために用いる使用法。
【請求項2】
核酸分子が脊椎動物の核酸、特にヒト核酸、またはその断片もしくは変異体である、請求項1に記載の使用法。
【請求項3】
当該核酸分子が
(a) ストリンジェントな条件下で、配列番号1、3、5、7、9、11、12、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43および/またはその相補鎖の核酸分子に対してハイブリダイズするか、
(b) (a)の核酸分子に対して縮重するか、
(c) 配列番号2、4、6、8、10、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44に対して少なくとも80%の同一性を持つポリペプチドをコードするか、または
(d) 突然変異により、(a)〜(c)の核酸分子と異なる、および当該突然変異体がコードされるポリペプチドにおいて改変、削除、複製または早期停止の原因となる、請求項1または2に記載の使用法。
【請求項4】
当該核酸分子がDNA分子である、請求項1から3までのいずれか1項に記載の使用法。
【請求項5】
核酸分子が膵臓組織またはその他の組織に特異的に発現される本発明のタンパク質をコードする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の使用法。
【請求項6】
当該核酸分子が組換え核酸分子である、請求項1から5までのいずれか1項に記載の使用法。
【請求項7】
当該組換え核酸分子がベクター、特に発現ベクターである、請求項6に記載の使用法。
【請求項8】
当該ポリペプチドが組換えポリペプチドである、請求項1から5までのいずれか1項に記載の使用法。
【請求項9】
当該ポリペプチドが融合ポリペプチドである、請求項8に記載の使用法。
【請求項10】
当該核酸分子がハイブリダイゼーションプローブ、プライマーおよびアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびアプタマーから選択される、請求項1から7までのいずれか1項に記載の使用法。
【請求項11】
診断目的に用いる、請求項1から10までのいずれか1項に記載の使用法。
【請求項12】
治療目的に用いる、請求項1から10までのいずれか1項に記載の使用法。
【請求項13】
糖尿病のような膵臓の障害、および関連障害、さらに神経変性疾患、および他の疾患の診断、監視、予防または治療のための薬剤製造に対して用いる、請求項1から12までのいずれか1項に記載の使用法。
【請求項14】
膵臓機能障害(例えば、糖尿病、高血糖症、および耐糖能異常)、および肥満症を始めとする関連障害、および神経変性疾患、および細胞、細胞塊、臓器および/または被検者における他の疾患の検出および/または検証、治療、軽減および/または予防のために用いる、請求項13に記載の使用法。
【請求項15】
試験管内および/または生体内におけるβ細胞の分化および/または機能を促進するために用いる、請求項13に記載の使用法。
【請求項16】
試験管内および/または生体内におけるβ細胞再生のために用いる、請求項13に記載の使用法。
【請求項17】
請求項1から10までのいずれか1項で定義されるDP119、DP444、DP810、DP685、WE474、DP160、RA977、もしくはRA770から選択される核酸分子、またはそれによってコードされるポリペプチド、または当該核酸分子もしくは当該ポリペプチドの断片もしくは変異体、または当該核酸分子もしくは当該ポリペプチドのエフェクター/修飾因子を、DP119、DP444、DP810、DP685、WE474、DP160、RA977、またはRA770ポリペプチドによって影響および/または修飾される遺伝子および/または遺伝子産物の機能を監視および/または管理するために用いる使用法。
【請求項18】
請求項1から10までのいずれか1項で定義されるDP119、DP444、DP810、DP685、WE474、もしくはRA977から選択される核酸分子、またはそれによってコードされるポリペプチド、または当該核酸分子もしくは当該ポリペプチドの断片もしくは変異体、または当該核酸分子もしくは当該ポリペプチドのエフェクター/修飾因子を、DP119、DP444、DP810、DP685、WE474、DP160、RA977、またはRA770ポリペプチドと相互作用する能力のある物質を同定するために用いる使用法。
【請求項19】
DP119、DP444、DP810、DP685、WE474、DP160、RA977、またはRA770ポリペプチドの修飾発現を示す非ヒト遺伝子導入動物を、膵臓機能障害における機能研究または薬物スクリーニングのために用いる使用法。
【請求項20】
DP119、DP444、DP810、DP685、WE474、DP160、RA977、またはRA770ポリペプチドの発現が増加および/または低下される、請求項19に記載の使用法。
【請求項21】
DP119、DP444、DP810、DP685、WE474、DP160、RA977、またはRA770ポリペプチドの修飾発現を示す組換え型宿主細胞(ただし該宿主細胞はヒトの生殖細胞系の細胞ではない)を、膵臓機能障害における機能研究または薬物スクリーニングのために用いる使用法。
【請求項22】
ヒト細胞である、請求項21に記載の使用法。
【請求項23】
哺乳動物における代謝障害または代謝症候群、特に膵臓機能障害に関与する(ポリ)ペプチドを同定する方法において、
(a) 試験用(ポリ)ペプチドのコレクションと、DP119、DP444、DP810、DP685、WE474、DP160、RA977、またはRA770ポリペプチドまたはその断片とを、当該試験用(ポリ)ペプチドの結合を可能にする条件下で接触させるステップ、
(b) 結合しない試験用(ポリ)ペプチドを除去するステップ、および
(c) 当該DP119、DP444、DP810、DP685、WE474、DP160、RA977、またはRA770ポリペプチドまたはその断片に結合する試験用(ポリ)ペプチドを同定するステップ
を含む同定方法。
【請求項24】
DP119、DP444、DP810、DP685、WE474、DP160、RA977、またはRA770ポリペプチドまたはその断片の結合標的/薬剤との相互作用を調整する薬剤をスクリーニングする方法において、
(a) 下記
(aa) DP119、DP444、DP810、DP685、WE474、DP160、RA977、またはRA770ポリペプチドまたはその断片;
(ab) 当該DP119、DP444、DP810、DP685、WE474、DP160、RA977、またはRA770ポリペプチドまたはその断片の結合標的/薬剤;および
(ac) 候補薬剤;
を含む混合物を、基準親和性で当該DP119、DP444、DP810、DP685、WE474、DP160、RA977、またはRA770ポリペプチドまたはその断片が特異的に当該結合標的と薬剤に結合する条件下にインキュベートするステップ、
(b) (候補)薬剤偏向親和性を決定するため、当該DP119、DP444、DP810、DP685、WE474、DP160、RA977、またはRA770ポリペプチドまたはその断片の当該結合標的に対する結合親和性を検出するステップ;および
(c) (候補)薬剤偏向親和性と基準親和性間の差異を確定するステップ
を含むスクリーニング方法。
【請求項25】
DP119、DP444、DP810、DP685、WE474、DP160、RA977、またはRA770ポリペプチドの活性を調整する薬剤をスクリーニングする方法において、
(a) 下記
(aa) DP119、DP444、DP810、DP685、WE474、DP160、RA977、またはRA770ポリペプチドまたはその断片;および
(ab) 候補薬剤;
を含む混合物を、当該DP119、DP444、DP810、DP685、WE474、DP160、RA977、またはRA770ポリペプチドまたはその断片が基準活性を持つような条件下にインキュベートするステップ、
(b) (候補)薬剤偏向の活性を決定するため、当該DP119、DP444、DP810、DP685、WE474、DP160、RA977、またはRA770ポリペプチドまたはその断片の活性を検出するステップ;および
(c) (候補)薬剤偏向活性と基準活性との間の差異を確定するステップ
を含むスクリーニング方法。
【請求項26】
請求項23に記載の方法によって同定された(ポリ)ペプチド、または請求項24もしくは25に記載の方法によって同定された薬剤と一緒に、医薬用に許容できるキャリアおよび/または希釈剤を含む組成物の製造方法。
【請求項27】
当該組成物が、膵臓の機能障害(例えば、糖尿病、高血糖症、および耐糖能異常)、および肥満症を含む関連障害、および神経変性疾患などの防止、軽減または治療をするための医薬品組成物である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
請求項23に記載の方法によって同定された(ポリ)ペプチド、または請求項24もしくは25に記載の方法によって同定された薬剤を、膵臓の機能障害(例えば、糖尿病、高血糖症、および耐糖能異常)、および肥満症を含めた関連障害、および神経変性疾患などの治療、軽減および/または予防に対する医薬品組成物の製造のために用いる使用法。
【請求項29】
DP119、DP444、DP810、DP685、WE474、DP160、RA977、またはRA770遺伝子ファミリーの核酸分子、またはその断片を、DP119、DP444、DP810、DP685、WE474、DP160、RA977、またはRA770遺伝子産物を過剰発現または低発現する非ヒト動物を製造するために用いる使用法。
【請求項30】
少なくとも1つの下記
(a) DP119、DP444、DP810、DP685、WE474、DP160、RA977、またはRA770核酸分子またはその断片;
(b) (a)の核酸を含むベクター;
(c) (a)の核酸分子または(b)のベクターを含む宿主細胞;
(d) (a)の核酸分子によってコードされるポリペプチド;
(e) (a)の核酸分子によってコードされる融合ポリペプチド;
(f) (a)の核酸分子または(d)もしくは(e)のポリペプチドに対する抗体、アプタマーまたは別の受容体、および
(g) (a)の核酸分子のアンチセンスオリゴヌクレオチド
を含むキットを、膵臓機能障害の診断目的に対して用いる使用法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G−1】
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【図2G−2】
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【図2G−3】
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【図2G−4】
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【図2G−5】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3Ea】
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【図3Eb】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図4G】
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【図4H】
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【図4I−1】
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【図4I−2】
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【図4I−3】
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【図4J】
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【図4K−1】
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【図4K−2】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A−1】
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【図6A−2】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図8F】
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【図9A】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A−1】
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【図14A−2】
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【図14B】
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【図14C】
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【図14D】
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【図15A】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図16D】
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【図16E】
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【図16F】
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【公開番号】特開2010−229133(P2010−229133A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91670(P2010−91670)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【分割の表示】特願2004−506842(P2004−506842)の分割
【原出願日】平成15年5月30日(2003.5.30)
【出願人】(502250581)デヴェロゲン アクチエンゲゼルシャフト (6)
【氏名又は名称原語表記】DeveloGen Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Marie−Curie−Strasse 7, D−37079 Goettingen, Germany
【Fターム(参考)】