説明

自動二輪車の転倒時における引き起こし補助装置

【課題】自動二輪車の転倒時において、自力による車両の引き起こしが非常に困難な場合において、その車両の引き起こしを可能とする自動二輪車の転倒時における引き起こし補助装置を提供すること。
【解決手段】車両本体の大径化されたスイングアームピボットシャフト3の中にさらにネジ式の非常用シャフト2を内蔵し、転倒時には、シート部裏側などに収納可能な付属の手動ハンドル9とジョイントシャフト8を用い、非常用シャフト2を転倒した反対側スイングアームピボット部から回転させ、路面に対して押し出すことにより、接地した前後輪を軸に三点支持により転倒した車両を起こすことができ、その後は少ない力でも自力で転倒した車両を垂直状態まで起こすことが容易に行える。しかも車両本体内蔵式のため、邪魔になることがなく外観を損ねることもない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車の転倒時において、自力での車両の引き起こしが非常に困難な場合の車両の引き起こしを補助するための自動二輪車の転倒時における引き起こし補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、自動二輪車の転倒時において、転倒した車両は自力で引き起こしをするか、それが不可能な場合には他者に手を借りるという方法しかなく、引き起こしのための補助装置が車両本体に内蔵された自動二輪車は無かった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
自動二輪車の転倒時において、特に重量のある大型の自動二輪車での転倒、および転倒による車両の破損状況や、運転者の怪我の度合いにより、必要な箇所に十分な力を加える事が不可能な場合、もしくは転倒した車両が滑走し、引き起こしのために手を入れるスペースの無い場所で停止したとき、さらに助けを求める他者がいない等の状況においては、転倒した車両を引き起こすことが非常に困難であり、自動二輪車の運転者が抱える不安材料のひとつでもあった。本発明はこの課題を解消するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
自動二輪車の車両本体フレーム5とスイングアーム回転軸部4を連結するためのスイングアームピボットシャフト3を大径の中空パイプとし、その内側すべてにネジをきり、そこに同径のネジをきった同じ長さの非常用シャフト2が内蔵されている。そして使用時には、転倒した車両を支持しつつ、転倒した反対側のスイングアームピボット部から、シート裏側部などに収納可能な付属の手動ハンドル9とジョイントシャフト8を用い、内蔵された非常用シャフト2を回転させる事により、転倒した車両のスイングアームピボット部から非常用シャフト2が路面に対して押し出され、ジャッキアップのように車両本体が接地した前後輪を軸にして三点支持により起き上がることになり、そこから垂直状態まで車両を自力で起こすことを容易に行うことができるようにした。
【発明の効果】
【0005】
自動二輪車の転倒時において、自力での車両の引き起こしが非常に困難な状況において、少ない力でも自力での車両の引き起こしを可能とし、非常時に役立つ。そしてそれにより自動二輪車の運転者の抱える不安材料を減らす事もできる。
【0006】
非常用シャフト2は、車両本体のスイングアームピボットシャフト3に内蔵されているため、外観を損なうことがなく、非常時にはすぐに使用可能であり、付属の手動ハンドル9とジョイントシャフト8もシート部裏側などに収納することができる。また、必要の無い場合、もしくは重量増加をきらう場合は簡単に外しておく事もできる。
【0007】
構造が非常に簡単で部品点数も少ないため、故障が少なく、モーター等を使用しないため、低コストでバッテリーに負担を掛けることもない。大径のスイングアームピボットシャフト採用の自動二輪車においてはシャフト部の交換のみで実施可能である。
【発明を実施する最良の形態】

【実施例】
【0008】
図1で示すように車両本体フレーム5とスイングアーム回転軸部4を連結させるスイングアームピボットシャフト3を大径の中空シャフトにし、その内側すべてにネジをきり、同径のネジをきった同じ長さの非常用シャフト2を内蔵する。その際、非常用シャフト2の円滑な動きと固着を防ぐため、グリスをネジ部に塗布する。そしてその非常用シャフト2の両端は四角状の凹部6を設け、その両端に平常時の非常用シャフト2の緩み、脱落を防ぎ、使用時には非常用シャフト2と路面を保護するためのプロテクターとなる簡単に取り外し可能なシャフトカバー1を取り付ける。
【0009】
使用時には、転倒した反対側のシャフトカバー1を取り外し、図2で示すように非常用シャフト凹部6に付属の手動ハンドル凸部7を差し込み、回転させる事によって、非常用シャフト2が車両本体の反対側ピボット部から押し出され、接地した前輪、後輪を軸にして、図4で示すように転倒した車両が押し上げられる。そのため非常用シャフト2には十分な強度を持たせ、シャフトカバー1は強度が高く、路面に対する摩擦係数の低い硬質プラスチック等を用いる。
【0010】
車両本体から十分な長さの非常用シャフト2の突き出し量確保のため、手動ハンドル9に繋げるジョイントシャフト8は非常用シャフト2以上の長さで同じ径のネジ式のシャフトとし、車両本体への収納を容易にするため、図3で示すようにジョイントシャフト8と手動ハンドル9を分割式とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】車両本体スイングアームピボット部断面図
【図2】非常用シャフトとジョイントシャフトの結合部斜視図
【図3】ジョイントシャフトと手動ハンドルの結合部斜視図
【図4】使用時における車両後方図
【符号の説明】
【0012】
1 シャフトカバー
2 非常用シャフト
3 スイングアームピボットシャフト
4 スイングアーム回転軸部
5 車両本体フレーム
6 非常用シャフト凹部
7 ジョイントシャフト凸部
8 ジョイントシャフト
9 手動ハンドル
10 ジョイントシャフト凹部
11 手動ハンドル凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動二輪車の転倒時に、自力で転倒した車両を引き起こすことが非常に困難な場合において、それを補助し、少ない力でも転倒した車両の引き起こしが行えるように、車両本体のスイングアームピボットシャフトの内側にさらにネジ式の非常用シャフトを内蔵し、転倒した反対側のピボット部から非常用シャフトを回転させる事により、転倒した車両側から路面に対して非常用シャフトが押し出され、自力で引き起こし可能な状態まで車両本体を起こすことができる車両本体内蔵式を特徴とした自動二輪車の転倒時における引き起こし補助装置。
【請求項2】
非常用シャフトの回転においては、シート裏側部に収納可能な手動ハンドル、ジョイントシャフトを用い、非常用シャフト両端部には、平常時には、非常用シャフトの緩み、脱落を防ぎ、使用時には、非常用シャフトと路面を保護するプロテクターとして使用できる取り外し可能なシャフトカバーを装着することを特徴とした請求項1記載の自動二輪車の転倒時における引き起こし補助装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−224941(P2006−224941A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−78059(P2005−78059)
【出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(505017499)
【Fターム(参考)】