説明

自動付番装置

【課題】構成の簡略化と、それに伴うコストの低減を実現できる自動付番装置を提供する。
【解決手段】複数の組電池のセル監視ユニット間の付番出力端子と付番入力端子とをデイジーチェーン接続し、絶縁ICに替えて所定耐圧のカップリングコンデンサを用いることで前記デイジーチェーン接続したセル監視ユニット間の絶縁を行い、付番最上位のセル監視ユニットの付番入力端子を“Low”レベルに固定し、セル監視ユニットの付番入力端子の電位レベルとCAN通信線のCAN通信情報である他のセル監視ユニットのCANIDとをもとに各セル監視ユニットが自身を自動的に付番するように構成し、回路構成の簡略化と、それに伴うコストの削減を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両に搭載される組電池を構成する電池セルを監視するセル監視ユニットに番号付けを行う自動付番装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電池に蓄えた電気エネルギーを利用し電気モータ駆動により走行する電気自動車の普及する兆しが目に見えて顕著になってきている。このような電気自動車では電気エネルギーを蓄える電池セルを複数個組にして組電池を複数構成し、各組電池ごとにその組電池を構成する電池セルをセル監視ユニットで監視し、個々の電池セルに異常が発生したときの原因を迅速に特定するようにしている。このとき、個々の電池セルを監視するセル監視ユニットは、自身を自動的に番号付けすることで、予め番号付けした場合の各電池セルの管理の複雑化やコスト上昇を回避するようにしている。
このような電気自動車の各電池セルの管理の複雑化を回避し、各電池セルの管理の簡略化、正確さを実現する技術が開示されている。このような技術としては、モータの電源部を構成する複数の電池セルをまとめて構成されたモジュール(組電池)ごとに、各モジュールの電圧と温度とを検知するモジュール状態検出手段をそれぞれ搭載し、各モジュール状態検出手段により検出された情報をもとに各モジュールの状態を制御手段で判定する。各モジュール状態検出手段は、付番通信線を介して直列に接続され、接続上流のモジュール状態検出手段から送信されたID情報をもとにして自身に識別番号を付与し、その識別番号を含むID情報を接続下流のモジュール状態検出手段へ送信する。制御手段は、各モジュール状態検出手段と付番通信線および通信線を介して送信された検出情報に基づき各モジュールの異常をモジュールごとに特定する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−89521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、従来の自動付番装置では、電池管理装置である制御手段から送信される自動付番信号に従って、組電池ごとに搭載されたモジュール状態検出手段であるセル監視ユニットが自動的に自身を番号付けするものであり、前記制御手段へのシリアル通信制御による自動付番ロジックの搭載が必要となり、またセル監視ユニット内の自動付番ロジック側と電池セルの監視側との電圧レベルの違いに対応して絶縁回路が必要となるなど、構成が複雑化しコストの上昇を招いている課題があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、構成の簡略化と、それに伴うコストの低減を実現できる自動付番装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数の電池セルからなるモジュールを監視し、前記モジュールの電池監視情報を電池管理装置との間の通信線を介して送受信する複数のセル監視ユニットの付番を行う自動付番装置であって、前記各セル監視ユニットを上位から下位の順番でデイジーチェーン接続する複数の付番専用線と、前記付番専用線で接続されるセル監視ユニット同士をコンデンサカップリングにより絶縁する絶縁手段と、前記各セル監視ユニットの内で最上位に位置する最上位セル監視ユニットに設けられ、該最上位セル監視ユニットに最初の付番を行う第1の付番制御手段と、前記最上位セル監視ユニットを除く残りのセル監視ユニットに設けられ、当該セル監視ユニットと当該セル監視ユニットの上位のセル監視ユニットとを接続する前記付番専用線の電位レベルと、当該セル監視ユニットを除く他のセル監視ユニットから前記通信線を介して受信する前記他のセル監視ユニットの付番状態とをもとに付番を行う第2の付番制御手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によれば、各セル監視ユニットを上位から下位の順番で複数の付番専用線によりデイジーチェーン接続し、前記付番専用線で接続されるセル監視ユニット同士をコンデンサカップリングによる絶縁手段で絶縁し、前記各セル監視ユニットの内で最上位に位置する最上位セル監視ユニットに設けられた第1の付番制御手段により該最上位セル監視ユニットに最初の付番を行い、前記最上位セル監視ユニットを除く残りのセル監視ユニットに設けられた第2の付番制御手段により、当該セル監視ユニットと当該セル監視ユニットの上位のセル監視ユニットとを接続する前記付番専用線の電位レベルと、当該セル監視ユニットを除く他のセル監視ユニットから通信線を介して受信する前記他のセル監視ユニットの付番状態とをもとに付番を行うように構成したので、構成の簡略化と、それに伴うコストの低減を実現できる自動付番装置を提供できる効果がある。
【0008】
請求項2記載の発明によれば、各セル監視ユニットは付番入力端子と付番出力端子とを備え、付番専用線により、当該セル監視ユニットの付番出力端子と当該セル監視ユニットに対し下位となる監視ユニットの付番入力端子とを接続し、第1の付番制御手段は、前記付番入力端子が予め定められた所定の電位レベルに固定されていることをもって最初の付番を行うように構成したので、付番入力端子が予め定められた所定の電位レベルに固定されているセル監視ユニットに対し最初の付番を行えばよく、構成の簡略化と、それに伴うコストの低減を実現できる自動付番装置を提供できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態である自動付番装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態の自動付番装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態の自動付番装置における付番入力端子の電圧レベル検出動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態の自動付番装置における付番入力端子の電圧レベル検出動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の実施の形態である自動付番装置の構成を示すブロック図である。
この実施の形態の自動付番装置は電気自動車に搭載されており、電池管理装置1、電池管理装置1とCAN(Controller Area Network)通信線により接続された複数の組電池11、12、13、14……を備えている。組電池11は、複数の電池セル21、22、23、24、25……を直列接続してなるモジュール31と、モジュール31の各電池セル21、22、23、24、25……を監視するセル監視ユニット41とを備えている。
セル監視ユニット41は、電池セル21、22、23、24、25……を監視するセル監視IC51と、マイクロコンピュータ61とを備えている。また、付番入力端子IN1と、付番入力端子IN1へベース端子が接続されたNPN入力トランジスタ71と、NPN入力トランジスタ71のコレクタ端子へ一方の端子が接続され、他方の端子がマイクロコンピュータ61の所定の入力ポートINPへ接続されたカップリングコンデンサCcINを備えている。また、付番出力端子OUT1と、付番出力端子OUT1へコレクタ端子が接続されたNPN入力トランジスタ81と、NPN入力トランジスタ81のベース端子へ一方の端子が接続され、他方の端子がマイクロコンピュータ61の所定の出力ポートOUTPへ接続されたカップリングコンデンサCcOUTを備えている。
【0011】
組電池12、13、14……は組電池11と同一の構成であり、組電池12は複数の電池セルが直列接続されたモジュール32と、モジュール32の各電池セルを監視するセル監視ユニット42を備えている。また、組電池13は複数の電池セルが直列接続されたモジュール33と、モジュール33の各電池セルを監視するセル監視ユニット43を備えている。また、組電池14は複数の電池セルが直列接続されたモジュール34と、モジュール34の各電池セルを監視するセル監視ユニット44を備えている。
組電池12のセル監視ユニット42は、複数の電池セルを監視するセル監視IC52と、マイクロコンピュータ62とを備えている。また、付番入力端子IN2と、付番入力端子IN2へベース端子が接続されたNPN入力トランジスタ72と、NPN入力トランジスタ72のコレクタ端子へ一方の端子が接続され、他方の端子がマイクロコンピュータ62の所定の入力ポートINPへ接続されたカップリングコンデンサCcINを備えている。また、付番出力端子OUT2と、付番出力端子OUT2へコレクタ端子が接続されたNPN入力トランジスタ82と、NPN入力トランジスタ82のベース端子へ一方の端子が接続され、他方の端子がマイクロコンピュータ62の所定の出力ポートOUTPへ接続されたカップリングコンデンサCcOUTを備えている。
組電池13のセル監視ユニット43は、複数の電池セルを監視するセル監視IC53と、マイクロコンピュータ63とを備えている。また、付番入力端子IN3と、付番入力端子IN3へベース端子が接続されたNPN入力トランジスタ73と、NPN入力トランジスタ73のコレクタ端子へ一方の端子が接続され、他方の端子がマイクロコンピュータ63の所定の入力ポートINPへ接続されたカップリングコンデンサCcINを備えている。また、付番出力端子OUT3と、付番出力端子OUT3へコレクタ端子が接続されたNPN入力トランジスタ83と、NPN入力トランジスタ83のベース端子へ一方の端子が接続され、他方の端子がマイクロコンピュータ63の所定の出力ポートOUTPへ接続されたカップリングコンデンサCcOUTを備えている。
組電池14のセル監視ユニット44は、複数の電池セルを監視するセル監視IC54と、マイクロコンピュータ64とを備えている。また、付番入力端子IN4と、付番入力端子IN4へベース端子が接続されたNPN入力トランジスタ74と、NPN入力トランジスタ74のコレクタ端子へ一方の端子が接続され、他方の端子がマイクロコンピュータ64の所定の入力ポートINPへ接続されたカップリングコンデンサCcINを備えている。また、付番出力端子OUT4と、付番出力端子OUT4へコレクタ端子が接続されたNPN入力トランジスタ84と、NPN入力トランジスタ84のベース端子へ一方の端子が接続され、他方の端子がマイクロコンピュータ64の所定の出力ポートOUTPへ接続されたカップリングコンデンサCcOUTを備えている。
これらカップリングコンデンサCcIN、CcOUTは、直列接続されるセル監視ユニット41、42、43、44間の絶縁を目的としている。
【0012】
電池管理装置1は、各組電池11、12、13、14のセル監視ユニット41、42、43、44とCAN通信線101により接続されている。そして、CAN通信によりCAN通信線101を介して送信された電池監視情報をもとに各組電池11、12、13、14の各モジュール31、32、33、34の電池セルを監視する。
【0013】
セル監視ユニット41の付番入力端子IN1は、接地されて“Low”レベルに固定されている。
セル監視ユニット41のセル監視IC51は、モジュール31の電池セル21、22、23、24、25の監視を行い、電池セル21、22、23、24、25の電池監視情報を収集し、セル監視ユニット41はCAN識別情報01により前記電池セルの電池監視情報をCAN通信線101を介してCAN通信を行い送信する。
マイクロコンピュータ61は、セル監視ユニット41への電源投入後、付番入力端子IN1の“Low”レベルを検出し、かつ他のセル監視ユニットのCANデータを検出していない場合に自身を「1番」に番号付けし、付番出力端子OUT1に“Low”レベルを出力するとともに、CAN識別情報01を付して電池セル21、22、23、24、25の電池監視情報をCAN通信101により送信する。
【0014】
セル監視ユニット42の付番入力端子IN2は、セル監視ユニット41の付番出力端子OUT1へ付番専用線201により接続されている。
セル監視ユニット42のセル監視IC52は、モジュール32の各電池セルの監視を行い、各電池セルの電池監視情報を収集し、セル監視ユニット42はCAN識別情報02により前記電池セルの電池監視情報をCAN通信線101を介してCAN通信により送信する。
マイクロコンピュータ62は、セル監視ユニット42への電源投入後、付番入力端子IN2の“Low”レベルを検出し、かつCAN識別情報01の付された送信データを予め定められた所定回数受信した場合に自身を「2番」に番号付けし、付番出力端子OUT2に“Low”レベルを出力するとともに、CAN識別情報02を付してモジュール32を構成する各電池セルの電池監視情報をCAN通信線101を介して送信する。
【0015】
セル監視ユニット43の付番入力端子IN3は、セル監視ユニット42の付番出力端子OUT2へ付番専用線202により接続されている。
セル監視ユニット43のセル監視IC53は、モジュール33の各電池セルの監視を行い、各電池セルの電池監視情報を収集し、セル監視ユニット43はCAN識別情報03により前記電池セルの電池監視情報をCAN通信線101を介してCAN通信により送信する。
マイクロコンピュータ63は、セル監視ユニット43への電源投入後、付番入力端子IN3の“Low”レベルを検出し、かつCAN通信線101を介して受信した送信データのCAN識別情報の内でもっとも大きいCAN識別情報を受信した場合に自身を「3番」に番号付けし、付番出力端子OUT3に“Low”レベルを出力するとともに、CAN識別情報03を付してモジュール33を構成する各電池セルの電池監視情報をCAN通信線101を介して送信する。
【0016】
これ以降の各セル監視ユニットでは、マイクロコンピュータは、そのセル監視ユニットへの電源投入後、付番入力端子INの“Low”レベルを検出し、かつCAN通信線101を介して受信した送信データのCAN識別情報の内でもっとも大きいCAN識別情報nを受信した場合に、前記受信したもっとも大きいCAN識別情報nに対し「1」インクリメントした「n+1番」に自身を番号付けし、付番出力端子OUTに“Low”レベルを出力するとともに、CAN識別情報n+1を付して、そのセル監視ユニットで監視するモジュールを構成する各電池セルの電池監視情報をCAN通信線101を介して送信する。
【0017】
このように付番入力端子INが“Low”レベルに固定された最上位のセル監視ユニット41を先頭に接続上流側のセル監視ユニットの付番出力端子OUTと接続下流側の付番入力端子INとの間が付番専用線201、202、……により接続され、各セル監視ユニット11、12、13、14は直列に接続され、いわゆるデイジーチェーン接続されている。
【0018】
次に、この実施の形態の自動付番装置の動作について説明する。
図2は、この実施の形態の自動付番装置の動作を示すフローチャートである。図2のフローチャートで示されるプログラムは、各組電池11、12、13、14のセル監視ユニットの付番を自動的に行うための付番プログラムである。この付番プログラムは、各組電池11、12、13、14の各セル監視ユニット41、42、43、44のマイクロコンピュータ61、62、63、64のメモリに格納されており、各マイクロコンピュータのCPUにより、それぞれ、たとえば電源投入時に実行開始される。
以下、図2に示すフローチャートに従って動作を説明する。
電源投入されると、各組電池11、12、13、14の各セル監視ユニット41、42、43、44のマイクロコンピュータ61、62、63、64のメモリに格納された、図2に示す付番プログラムをCPUが起動する。そして、マイクロコンピュータ61、62、63、64は、メモリに格納された図2に示す付番プログラムをそれぞれ実行し、付番入力端子INが“Low”レベルに固定されているか判定を行う(ステップS1)。
【0019】
図3は、付番入力端子INが“Low”レベルに固定されているか否かの判定方法の一例を示すフローチャートである。この例では、マイクロコンピュータ61、62、63、64の所定の入力ポートINPがそれぞれ入力ポートから出力ポートへ切り替えられる(ステップS11)。続いて前記切り替えられた出力ポートから所定パルス幅(所定デューティ比)のパルスを出力する(ステップS12)。そして、前記出力ポートを再度入力ポートへ切り替え(ステップS13)、さらに前記入力ポートINPの電位レベルVdが“High”レベルであるかを判定し(ステップS14、ステップS15)、“High”レベルであれば付番入力端子INが“Low”レベルに固定(ステップS16)、“High”レベルでなければ、つまり“Low”レベルであれば付番入力端子INは“Low”レベルに固定されていないと判定する(ステップS17)。
図4は、所定パルス幅のパルスが出力されたときの入力ポートINPの電位レベルVdを示す説明図である。同図(a)は、付番入力端子INが“Low”レベルに固定されているときの入力ポートINPの電位レベルVdであり、入力ポートINPの電位レベルとして“High”レベルが検出される。また、同図(b)は、付番入力端子INが“Low”レベルに固定されていないときの入力ポートINPの電位レベルVdであり、入力ポートINPの電位レベルとして“Low”レベルが検出される。
【0020】
このようにして付番入力端子INが“Low”レベルに固定されているか判定した結果、付番入力端子INが“Low”レベルに固定されていないと判定すると、その組電池のセル監視ユニットのマイクロコンピュータのCPUは、この付番プログラムをぬけて、再度、ステップS1からの処理を繰り返す。図1のブロック図では、組電池12、13、14においてセル監視ユニットのマイクロコンピュータのCPUは、入力ポートINPの電位レベルとして“Low”レベルを検出することになり、この付番プログラムをぬけて、再度、ステップS1の処理を繰り返している。
一方、付番入力端子INが“Low”レベルに固定されていると判定すると、その組電池のセル監視ユニットのマイクロコンピュータのCPUは、続いて他のセル監視ユニットのCANIDを規定回数検出したか否かを判定する(ステップS2)。図1のブロック図では、組電池11においてセル監視ユニット41のマイクロコンピュータ61のCPUは、入力ポートINPの電位レベルとして“High”レベルを検出することになり、付番入力端子INが“Low”レベルに固定されていると判定し、続いて他のセル監視ユニットのCAN識別情報(以下、CANIDという)を規定回数検出したか否かを判定する。
このとき、どの組電池のセル監視ユニットでも、CANIDを付して電池監視情報をCAN通信線101へ出力していない状態である。このため、セル監視ユニット41のマイクロコンピュータ61のCPUは、他のセル監視ユニットのCANIDを規定回数検出することはなくステップS3に進む。ステップS3では自身を「1番」に付番する。
【0021】
なお、ここで説明したステップS1、ステップS2およびステップS3は、各セル監視ユニットの内で最上位に位置するセル監視ユニットに設けられ、該最上位のセル監視ユニットに最初の付番「1番」を行う第1の付番制御手段に対応する。
【0022】
そして、さらにCANID「1」を付してCANデータをCAN通信線101を介して送信する(ステップS4)。次に、セル監視ユニット41のマイクロコンピュータ61のCPUは、出力ポートOUTPから所定パルス幅(所定デューティ比)のパルスを出力する。この出力ポートOUTPからのパルス出力は、カップリングコンデンサCcOUTを介してNPNトランジスタ81のベース端子へ加えられ、NPNトランジスタ81をオン状態にする。この結果、セル監視ユニット41の付番出力端子OUT1と接続されたセル監視ユニット42の付番入力端子IN2は接地状態、“Low”レベルに固定され、セル監視ユニット42の付番入力端子IN2へベース端子が接続されたNPNトランジスタ72はオフ状態になる。
【0023】
一方、組電池12のセル監視ユニット42のマイクロコンピュータ62は、ステップS1において付番入力端子INが“Low”レベルに固定されているか判定しており、この結果、NPNトランジスタ72がオフ状態になると、マイクロコンピュータ62のCPUは、付番入力端子IN2が“Low”レベルに固定されたと判定し、ステップS2へ進む。ステップS2では、続いて他のセル監視ユニットのCANIDを規定回数検出したか否かを判定する。このとき、組電池11においてセル監視ユニット41のマイクロコンピュータ61のCPUは、CANID「1」を付したCANデータをCAN通信線101を介して規定回数、送信している。このため、組電池12のセル監視ユニット42のマイクロコンピュータ62は、このCAN通信線101介して送信されたCANID「1」を付したCANデータを規定回数受信する結果、ステップS2からステップS6へ進み、受信したCANID「1」を、受信した最も大きなCANIDと判定し、続くステップS7で受信したCANID「1」を+1インクリメントして自身を「2番」に付番し、さらにCANID「2」を付してCANデータをCAN通信線101を介して送信する(ステップS4)。
【0024】
なお、ここで説明したステップS1、ステップS2、ステップS6およびステップS7は、各セル監視ユニットの内で最上位に位置するセル監視ユニット41を除く残りのセル監視ユニットに設けられ、当該セル監視ユニットと当該セル監視ユニットの上位のセル監視ユニットとを接続する付番専用線の電位レベルと、当該セル監視ユニットを除く他のセル監視ユニットからCAN通信線を介して受信する前記他のセル監視ユニットの付番状態とをもとに付番を行う第2の付番制御手段に対応する。
【0025】
次に、セル監視ユニット42のマイクロコンピュータ62のCPUは、出力ポートOUTPから所定パルス幅(所定デューティ比)のパルスを出力する。この出力ポートOUTPからのパルス出力は、カップリングコンデンサCcOUTを介してNPNトランジスタ82のベース端子へ加えられ、NPNトランジスタ82をオン状態にする。この結果、セル監視ユニット42の付番出力端子OUT2と接続されたセル監視ユニット43の付番入力端子IN3は接地状態、“Low”レベルに固定され、セル監視ユニット43の付番入力端子IN3へベース端子が接続されたNPNトランジスタ73はオフ状態になる。
【0026】
一方、組電池13のセル監視ユニット43のマイクロコンピュータ63は、ステップS1において付番入力端子INが“Low”レベルに固定されているか判定しており、この結果、NPNトランジスタ73がオフ状態になると、マイクロコンピュータ63のCPUは、付番入力端子IN3が“Low”レベルに固定されたと判定し、ステップS2へ進む。ステップS2では、他のセル監視ユニットのCANIDを検出したか否かを判定する。このとき、組電池11においてセル監視ユニット41のマイクロコンピュータ61のCPUは、CANID「1」を付したCANデータをCAN通信線101を介して送信している。また、組電池12においてセル監視ユニット42のマイクロコンピュータ62のCPUは、CANID「2」を付したCANデータをCAN通信線101を介して送信している。このため、組電池13のセル監視ユニット43のマイクロコンピュータ63は、このCAN通信線101介して送信されたCANID「1」を付したCANデータ、CANID「2」を付したCANデータのうちで大きい方のCANID「2」を判定し(ステップS6)、続くステップS7において前記判定したCANID「2」に対し「1」インクリメントしたCANID「3」を自身のCANIDに付番し(ステップS7)、さらにCANID「3」を付してCANデータをCAN通信線101を介して送信する(ステップS4)。
次に、セル監視ユニット43のマイクロコンピュータ63のCPUは、出力ポートOUTPから所定パルス幅(所定デューティ比)のパルスを出力する。この出力ポートOUTPからのパルス出力は、カップリングコンデンサCcOUTを介してNPNトランジスタ83のベース端子へ加えられ、NPNトランジスタ83をオン状態にする。この結果、セル監視ユニット43の付番出力端子OUT3と接続されたセル監視ユニット44の付番入力端子IN4は接地状態、“Low”レベルに固定され、セル監視ユニット44の付番入力端子IN4へベース端子が接続されたNPNトランジスタ74はオフ状態になる。
【0027】
以降、接続下流側のセル監視ユニットのマイクロコンピュータのCPUは、付番入力端子の“Low”レベルへの固定と、CAN通信線101を介して受信する他のセル監視ユニットのCANデータのCANIDの内で最も大きいCANIDnを判定して自身をCANIDn+1に順次付番する。
【0028】
以上、説明したように、この実施の形態によれば、絶縁ICに替えて所定耐圧のカップリングコンデンサを用いるとともに、複数の組電池のセル監視ユニット間の付番出力端子と付番入力端子とをデイジーチェーン接続し、付番最上位のセル監視ユニットの付番入力端子を“Low”レベルに固定し、セル監視ユニットの付番入力端子の電位レベルとCAN通信線のCAN通信情報である他のセル監視ユニットのCANIDとをもとに各セル監視ユニットが自身を自動的に付番するように構成したので、絶縁ICに替えて所定耐圧のカップリングコンデンサを用いることが出来るため、回路構成の簡略化と、それに伴うコストの削減が実現できる。さらに、従来のように電池管理装置と各組電池のセル監視ユニットとの間で行う複雑なシリアル通信制御に替えて、デイジーチェーン接続したセル監視ユニット間でセル監視ユニットの付番入力端子の電位レベルとCAN通信情報であるCANIDとをもとに各セル監視ユニットが自身を自動的に付番するため、システムの簡略化と、それに伴う信頼性の向上とコストの削減が実現できる。
【符号の説明】
【0029】
1……電池管理装置、21、22、23、24、25……電池セル、31、32、33、34……モジュール、41……セル監視ユニット(最上位セル監視ユニット)、42、43、44……セル監視ユニット、51、52、53、54……セル監視IC、61……マイクロコンピュータ(第1の付番制御手段)、62、63、64……マイクロコンピュータ(第2の付番制御手段)、101……CAN通信線(通信線)、CcIN、CcOUT……カップリングコンデンサ(絶縁手段)、201、202……付番専用線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルからなるモジュールを監視し、前記モジュールの電池監視情報を電池管理装置との間の通信線を介して送受信する複数のセル監視ユニットの付番を行う自動付番装置であって、
前記各セル監視ユニットを上位から下位の順番でデイジーチェーン接続する複数の付番専用線と、
前記付番専用線で接続されるセル監視ユニット同士をコンデンサカップリングにより絶縁する絶縁手段と、
前記各セル監視ユニットの内で最上位に位置する最上位セル監視ユニットに設けられ、該最上位セル監視ユニットに最初の付番を行う第1の付番制御手段と、
前記最上位セル監視ユニットを除く残りのセル監視ユニットに設けられ、当該セル監視ユニットと当該セル監視ユニットの上位のセル監視ユニットとを接続する前記付番専用線の電位レベルと、当該セル監視ユニットを除く他のセル監視ユニットから前記通信線を介して受信する前記他のセル監視ユニットの付番状態とをもとに付番を行う第2の付番制御手段と、
を備えたことを特徴とする自動付番装置。
【請求項2】
前記各セル監視ユニットは、付番入力端子と付番出力端子とを備え、
前記付番専用線は、当該セル監視ユニットの付番出力端子と当該セル監視ユニットに対し下位となる監視ユニットの付番入力端子とを接続し、
前記第1の付番制御手段は、前記付番入力端子が予め定められた所定の電位レベルに固定されていることをもって前記最初の付番を行う、
ことを特徴とする請求項1記載の自動付番装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−244794(P2012−244794A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113320(P2011−113320)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】