自動供装置及び自動供給方法
【課題】弾性を有し両端部を有する細長い被供給部材の取り出しに適した自動供給装置を提供する。
【解決手段】自動供給装置は、弾性を有し両端部を有する細長い被供給部材22の自動供給装置であって、複数の被供給部材22が、逆U字状に吊り下げられ、複数の被供給部材22の頂点部22tが所定の並列方向に互いに並列されて、ストックされるストック機構23と、被供給部材22の頂点部22tを操作することで、ストック機構23にストックされている複数の被供給部材22から一本の被供給部材22を取り出す取出機構29,30,31と、を有する。
【解決手段】自動供給装置は、弾性を有し両端部を有する細長い被供給部材22の自動供給装置であって、複数の被供給部材22が、逆U字状に吊り下げられ、複数の被供給部材22の頂点部22tが所定の並列方向に互いに並列されて、ストックされるストック機構23と、被供給部材22の頂点部22tを操作することで、ストック機構23にストックされている複数の被供給部材22から一本の被供給部材22を取り出す取出機構29,30,31と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の被供給部材から一本の被供給部材を取り出して供給するための自動供給装置及び自動供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の被供給部材から一本の被供給部材を取り出して供給するための様々な自動供給装置が用いられている。
【0003】
特許文献1には、環状のベルト用芯体の捌き設備が開示されている。この捌き設備では、掛具に掛けられて並列されている複数の芯体から、一本送り装置によって芯体を一本ずつ取り上げてフックに受け渡し、フックをベルト送りして芯体を次工程に搬送している。
【0004】
また、剛性を有する棒材の自動供給装置が用いられている。図20A乃至図20Dを参照し、自動供給装置は長手方向及び幅方向を備えるトレー81を有する。トレー81の底壁の上面には、幅方向の一側端部に、取出溝82が長手方向に延設されている。取出溝82の長さ及び幅は棒材84の長さ及び幅と略同じである。そして、トレー81の一側端壁83は開閉自在となっている。この自動供給装置では、図20Aを参照し、トレー81の底壁の上面に、複数の棒材84が平らに載置され、トレー81の幅方向に並列されて、ストックされる。そして、図20Bを参照し、図中矢印S1で示されるように、トレー81が揺動されてトレー81の取出溝82側が下方へと移動されることで、複数の棒材84が取出溝82側へと移動され、一側端部の棒材84が取出溝82へと誘導されて、その全体が取出溝82に収容される。続いて、図20Cを参照し、図中矢印S2で示されるように、トレー81が揺動されてトレー81の取出溝82側が上方へと移動されることで、取出溝82に収容されている棒材84以外の棒材84が取出溝82側から反対側へと移動され、一本の棒材84が他の棒材84から分離される。さらに、図20Dを参照し、図中矢印Oで示されるように、トレー81の一側端壁83が開かれて、図中矢印Dで示されるように、取出溝82に収容されている棒材84がトレー81外へと放出される。このようにして、一本の棒材84が取り出される。
【特許文献1】特開平7−291435号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように様々な自動供給装置が用いられているが、いずれも、弾性を有し両端部を有する細長い被供給部材を一本ずつ取り出して供給するのに適したものではない。例えば、剛性を有する棒材の自動供給装置によって、弾性を有する被供給部材を供給する場合には、被供給部材を信頼性よく取り出すことが困難である。即ち、図21を参照し、複数の被供給部材85がトレー81の底壁の上面に平らに載置され、幅方向に並置されてストックされ、被供給部材85の全体を操作することで、複数の被供給部材85から一本の被供給部材85が取り出されることになるため、トレー81内で被供給部材85同士が絡み合ったり、取出溝82に被供給部材85が確実に収容されなかったりするおそれがある。
【0006】
本発明は、上記課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、弾性を有し両端部を有する細長い被供給部材の取り出しに適した自動供給装置及び自動供給方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1実施態様では、自動供給装置は、弾性を有し両端部を有する細長い被供給部材の自動供給装置であって、複数の被供給部材が、逆U字状に吊り下げられ、複数の被供給部材の頂点部が所定の並列方向に互いに並列されて、ストックされるストック機構と、被供給部材の頂点部を操作することで、前記ストック機構にストックされている複数の被供給部材から一本の前記被供給部材を取り出す取出機構と、を具備することを特徴とする。
【0008】
本発明の第2実施態様では、自動供給装置は、前記ストック機構は、前記並列方向に延び、複数の被供給部材が逆U字状に吊り下げられる吊下部と、前記吊下部に並設され、前記吊下部との間に被供給部材の外径と略同じ幅を有する並列スペースを形成する並列部と、を有する、ことを特徴とする。
【0009】
本発明の第3実施態様では、自動供給装置は、前記取出機構は、誘導ユニットと、取出ユニットと、を具備し、前記誘導ユニットは、互いに並列されている複数の頂点部を前記並列方向に移動させ、1つの頂点部を取出ユニットに誘導し、前記取出ユニットは、1つの頂点部のみを収容する収容部と、前記収容部に収容されている1つの頂点部の下側に当接され上方へと移動される当接部と、前記収容部に収容され前記当接部に当接された1つの頂点部以外の頂点部の上方への移動を規制する規制部と、を有する、ことを特徴とする。
【0010】
本発明の第4実施態様では、自動供給装置は、前記取出機構は、前記取出ユニットにより取り出された頂点部を有する被供給部材を被供給部材の長手方向に送って他の被供給部材から分離する送りユニットをさらに有する、ことを特徴とする。
【0011】
本発明の第5実施態様では、自動供給方法は、弾性を有し両端部を有する細長い被供給部材の自動供給方法であって、複数の被供給部材を、逆U字状に吊り下げ、複数の被供給部材の頂点部を所定の並列方向に互いに並列させ、ストックするストック工程と、被供給部材の頂点部を操作することで、ストックされている複数の被供給部材から一本の被供給部材を取り出す取出工程と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1実施態様の自動供給装置では、複数の被供給部材を逆U字状に吊り下げ、それらの頂点部を互いに並列させて、複数の被供給部材をストックし、頂点部を操作して複数の供給部材から一本の被供給部材を取り出している。このため、被供給部材を信頼性よく取り出すことが可能となっている。このように、本実施態様の自動供給装置は、弾性を有し両端部を有する細長い被供給部材の取り出しに適したものとなっている。
【0013】
本発明の第2実施態様の自動供給装置では、吊下部と並列部との間のスペースに被供給部材の頂点部が並列され、このスペースが被供給部材の外径と略同じ幅を有するため、頂点部を容易かつ確実に並列させることが可能となっている。
【0014】
本発明の第3実施態様の自動供給装置では、互いに並列されている複数の頂点部を移動させて1つの頂点部を収容部へと誘導して収容部に収容し、当接部を1つの頂点部の下側に当接させて上方へと移動させて、1つの頂点部を上方へと移動させると共に、他の頂点部の上方への移動を規制している。このため、被供給部材の頂点部を非常に信頼性よく取り出すことが可能となっている。
【0015】
本発明の第4実施態様の自動供給装置では、取り出された頂点部を有する被供給部材をその長手方向に送って他の被供給部材から分離している。このため、被供給部材を非常に信頼性よく取り出すことが可能となっている。
【0016】
本発明の第5実施態様の自動供給方法では、複数の被供給部材を逆U字状に吊り下げ、それらの頂点部を互いに並列させて、複数の被供給部材をストックし、頂点部を操作して複数の供給部材から一本の被供給部材を取り出している。このため、被供給部材を信頼性よく取り出すことが可能となっている。このように、本実施態様の自動供給方法は、弾性を有し両端部を有する細長い被供給部材の取り出しに適したものとなっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0018】
図1乃至図19は、本発明の一実施形態を示す。
【0019】
図1乃至図5を参照して、自動供給装置としてのコイル供給装置を説明する。
【0020】
コイル供給装置の被供給部材はコイル22であり、このコイル22は、両端部を有する長尺な部材であり、比較的高い弾発性を有し、例えば生検鉗子のコイルシースとして用いられる。
【0021】
図1を参照し、コイル供給装置は、複数のコイル22をストックするためのストック機構としてのストックユニット23を有する。ストックユニット23では、吊下部として、コイル22が逆U字状に吊り下げられる円柱棒状の吊下棒24a及び一対の補助吊下棒24bが略水平方向に延びている。一対の補助吊下棒24bは略同じ高さに配置されており、一対の補助吊下棒24bの中間上方に吊下棒24aが配置されている。このような配置により、逆U字状に吊り下げられたコイル22の頂上部は比較的大きな曲率を有することになる。
【0022】
図2を参照し、一対の補助吊下棒24bの下方には、吊り下げられたコイル22の両端側を夫々収容する一対の収容スペース25が形成されている。収容スペース25は、夫々、コイル22の両端側が装置の外に飛び出すのを防止するためのボックス26によって囲まれている。
【0023】
図3を参照し、吊下棒24aの上方には、並列部としての並列板27が配設されている。並列板27は、鉛直面に沿って配置され、吊下棒24aに沿って延びている。吊下棒24aの上端部と並列板27の下端面との間には、コイル頂点部22tが並列される並列スペース28が形成されている。並列スペース28は、吊下棒24a及び並列板27に沿って延び、コイル22の外径と略同じ幅を有する。
【0024】
図4を参照し、コイル供給装置は、ストックユニット23にストックされている複数のコイル22から一本のコイル22を取り出すための取出機構を有する。取出機構では、誘導ユニットとしての押出ユニット29、取出ユニット30、送りユニット31が上流側から下流側へと順に配設されている。
【0025】
取出機構の押出ユニット29は、互いに並設されている複数のコイル頂点部22tを並列方向に押し出して、1つのコイル頂点部22tを取出ユニット30に誘導するためのものである。押出ユニット29では、コイル頂点部22tを押し出す略直方体状の押出部32が配設されている。押出部32は、接触用エアシリンダ33によって、吊下棒24aの上方で鉛直方向に移動可能であり、吊下棒24aの上端部に接触された状態と、吊下棒24aの上端部から離間した状態との間で切換可能である。さらに、押出部32及び接触用エアシリンダ33は、押出用エアシリンダ34によって、吊下棒24aの長手方向に一体的に移動可能である。即ち、押出部32は、吊下棒24aの上端部に接触した状態、あるいは、吊下棒24aの上端部から離間した状態で、吊下棒24aに沿って移動可能である。
【0026】
図5を参照し、取出機構の取出ユニット30は、互いに並設されている複数のコイル頂点部22tから1つのコイル頂点部22tを取り出すためのものである。取出ユニット30では、吊下棒24aの下流側端部に厚板状の取出部材35が並設されている。吊下棒24aの下流端面と取出部材35の上流側面は、吊下棒24aの長手方向に直交し、略同一面となっている。取出部材35の上流側面の上端部には、収容部としての取出溝36が水平方向に延設されている。取出溝36の幅はコイル22の外径に略等しく、取出溝36には1つのコイル頂点部22tのみが収容可能である。取出溝36の底面は、吊下棒24aの上側周面と略同一形状の周面をなし、コイル頂点部22tの下側に当接される当接部としての当接面37を形成している。取出部材35は、取出用エアシリンダ38によって鉛直方向に移動可能であり、下側の収容位置と上側の取出位置との間で切替可能である。取出部材35が収容位置にある場合には、取出溝36の当接面37は吊下棒24aの上側周面と略同一面をなす。吊下棒24aの上方の並列板27の下流端面と取出部材35の上流側面とは略同一面となっており、取出部材35が上向きに移動される際には、並列板27の下流端面と取出部材35の上流側面との間には極僅かなクリアランスのみが形成される。換言すれば、並列板27の下流端部は、取出溝36に収容されているコイル頂点部22t以外のコイル頂点部22tが上方へと移動されるのを規制する規制部として機能する。なお、取出部材35の上端部には、取出溝36にコイル22が存在することを検出する第1のセンサ39が配設されている。第1のセンサ39により、取出溝36にコイル頂点部22tが収容されているか否かを検出することが可能である。
【0027】
再び図4を参照し、取出機構の送りユニット31は、取り出されたコイル頂点部22tを有するコイル22をその長手方向に送って他のコイル22から分離するためのものである。送りユニット31では、回転モータ41によって回転される送りローラ42が配設されている。送りローラ42の下方には、クランプローラ43が配設されている。クランプローラ43には、コイル22をクランプするクランプ溝44が全周にわたって延設されている。送りローラ42及びクランプローラ43の軸方向は、互いに略平行であり、取出ユニット30の取出溝36の延出方向に略直交している。クランプローラ43は、鉛直移動用エアシリンダ45によって、鉛直方向に移動可能であり、送りローラ42と接触した上方のクランプ位置と、送りローラ42から離間した下方の非クランプ位置との間で切替可能である。送りローラ42、クランプローラ43、及び、鉛直移動用エアシリンダ45は、水平移動用エアシリンダ46によって、軸方向に一体的に移動可能であり、取出ユニット30に接近した送り位置と、取出ユニット30から離間した非送り位置との間で切替可能である。送り位置において、クランプローラ43がクランプ位置にある場合には、取出位置に配置されている取出溝36の水平方向下流側にクランプローラ43のクランプ溝44が配置され、クランプローラ43が非クランプ位置にある場合には、取出位置に配置された取出溝36の当接面37の下流側への延長方向が送りローラ42とクランプローラ43との間に配置される。また、送りローラ42及びクランプローラ43の下流側下方には、ガイド板47が配設されている。ガイド板47には、コイル22を上流側へと送る際にコイル22の下流側がガイドされるガイド溝48が延設されている。また、ガイド板47には、ガイド溝48にコイル22が存在するかを検出する第2のセンサ49が配設されている。第2のセンサ49により、コイル22の下流端部の位置を検出することが可能である。なお、ガイド板47は、水平移動用エアシリンダ46によって、送りローラ42等と共に一体的に移動可能である。ここで、上述した取出ユニット30の第1のセンサ39は、コイル22を下流側へと送る際に、コイル22の上流端部の位置を検出する機能も有する。
【0028】
再び図1を参照し、コイル供給装置は、取出機構によって取り出されたコイル22を次工程へと搬送する搬送機構を有する。搬送機構では、受渡ユニット51、コンベアユニット52が上流側から下流側へと順に配設されている。
【0029】
搬送機構の受渡ユニット51では、水平搬送用エアシリンダ53が配設されている。水平搬送用エアシリンダ53によって、鉛直搬送用エアシリンダ54が、送りユニット31の送り方向に平行な水平方向に移動可能である。鉛直搬送用エアシリンダ54によって、反転モータ55が鉛直方向に移動可能である。反転モータ55には反転アーム56の基端部が連結されており、反転モータ55によって反転アーム56が反転可能である。即ち、反転アーム56は、送りユニット31の送り方向に直交する二向き、即ち、送りユニット31に反転アーム56の末端部が対面する順向きと、順向きとは反対の逆向きとの間で、送りユニット31から離間した側の領域を移動して、切替可能である。反転アーム56の先端部にはチャック用エアシリンダ57が連結され下方へと延びており、チャック用エアシリンダの下端部にチャック58が連結されている。チャック用エアシリンダ57によってチャック58が開閉可能であり、チャック58の開閉方向は反転アーム56の長手方向と略一致している。そして、水平搬送用エアシリンダ53により鉛直搬送用エアシリンダ54が送りユニット31に最接近して配置され、鉛直搬送用エアシリンダ54により反転モータ55が最上方に配置され、反転モータ55によって反転アーム56が順向きに配置された場合に、チャック58は、送りローラ42及びクランプローラ43の下流側近傍の把持位置に配置される。また、水平搬送用エアシリンダ53により鉛直搬送用エアシリンダ54がコンベアユニット52に最接近して配置され、鉛直搬送用エアシリンダ54により反転モータ55が最下方に配置され、反転モータ55によって反転アーム56が順向き、逆向きに配置された場合に、チャック58は、後述する、上流側受渡位置、下流側受渡位置に配置される。
【0030】
搬送機構のコンベアユニット52では、送りユニット31の送り方向に直交して、即ち、順向き又は逆向きに配置された反転アーム56に平行な方向にコンベア59が延設されている。コンベア59には、コンベア59によって搬送されるパレット61が装着されている。そして、コンベア59には、パレット61の移動を規制するストッパ、及び、パレット61を最上流の受渡位置に位置決めする位置決めピンが配設されている。ストッパ、位置決めピンは、夫々、ストッパ用エアシリンダ、位置決め用エアシリンダによって駆動される。パレット61の上面には、上流側及び下流側に、コイル22の上流端部及び下流端部を挟持するための上流側クランプ62u及び下流側クランプ62dが夫々配設されている。上流側クランプ用エアシリンダ及び下流側クランプ用エアシリンダによって、上流側クランプ62u及び下流側クランプ62dが開閉可能であり、コンベア59の長手方向が上流側クランプ62u及び下流側クランプ62dの開閉方向に略一致している。コンベア59の幅方向について、送りユニット31とは反対側の、上流側クランプ62u、下流側クランプ62dの近傍の位置が、夫々、上述した受渡ユニット51のチャック58の上流側受渡位置、下流側受渡位置となる。
【0031】
図6乃至図19を参照して、自動供給方法としてのコイル供給方法について説明する。
【0032】
図6を参照し、接触用エアシリンダ33及び押出用エアシリンダ34によって、押出部32を吊下棒24aの上端部から離間した最上流の位置に配置する。作業者は、複数のコイル22を吊下棒24a及び一対の補助吊下棒24bに逆U字状に吊り下げ、吊下棒24aと並列板27との間の並列スペース28に複数のコイル頂点部22tを順次押し込む。この結果、コイル頂点部22tは互いに絡み合うことなく並列される。このようにして、複数のコイル22がストックされる。
【0033】
図7を参照し、接触用エアシリンダ33及び押出用エアシリンダ34によって、押出部32を吊下棒24aの上端部に接触させ、吊下棒24aに沿って上流側から下流側へと移動させる。押出部32によって、互いに並設されているコイル頂点部22tの全体が互いに絡み合うことなく下流側へと押し進められ、最下流のコイル頂点部22tが取出溝36へと誘導される。
【0034】
図8を参照し、最下流のコイル頂点部22tのみが取出溝36へと収容される。第1のセンサ39によって、コイル頂点部22tが取出溝36に収容されたことが検出される。
【0035】
図9を参照し、取出用エアシリンダ38によって、取出部材35が上方へと移動される。取出溝36の底面をなす当接面37がコイル頂点部22tの下側に当接され、当接面37の上方への移動によりコイル頂点部22tが上方へと移動される。上方への移動に際しては、コイル頂点部22tは、取出部材35と並列板27との間に保持され、取出溝36から脱落してしまうことがない。また、取出溝36に収容されているコイル頂点部22t以外のコイル頂点部22tについては、並列板27によって上方への移動が規制される。取出溝36に収容されているコイル22の両端部側が他のコイル22と絡まっているような場合には、コイル頂点部22tの上方への移動により、コイル22の両端部側が他のコイル22から引き抜かれて、絡み合いがほぐされることになる。このようにして、互いに並設されている複数のコイル頂点部22tから1つのコイル頂点部22tが取り出される。
【0036】
以上の工程中、クランプローラ43及び送りローラ42は取出ユニット30から離間した非送り位置に配置されており、クランプローラ43は送りローラ42から下方に離間した非クランプ位置に配置されている。
【0037】
図10を参照し、水平移動用エアシリンダ46によって、クランプローラ43及び送りローラ42が取出ユニット30に接近した送り位置に配置され、クランプローラ43と送りローラ42との中間に、取出溝36から延出されているコイル22が配置される。続いて、鉛直移動用エアシリンダ45によって、クランプローラ43が上方へと移動される。クランプローラ43の上方への移動により、コイル22がクランプ溝44に収容され、クランプローラ43と共に上方へと移動され、クランプローラ43が送りローラ42に接触する接触位置に配置されると、クランプローラ43と送りローラ42との間にコイル22がクランプされる。
【0038】
図11を参照し、図中矢印R1に示されるように、送りローラ42が回転されて、コイル22が送りローラ42へと引き込まれ、コイル22の長手方向に下流側から上流側へと送られる。送られるコイル22の下流端部22d側が他のコイル22と絡まっているような場合には、コイル22の送りにより、絡み合いが解かれることになる。コイル22が送られていくと、コイル22の弾発性によりコイル22の下流端部22dが徐々に上方へと起上され、ガイド板47のガイド溝48に沿って上方へと移動され、ガイド溝48内で送られるようになる。コイル22の下流端部22dがガイド溝48を通過した時点で、第2のセンサ49によりガイド溝48内のコイル22が検出されなくなり、コイル22の下流端部22dの位置が検出される。この時点で送りローラ42の回転が停止される。
【0039】
図12を参照し、送りローラ42が停止した時点で、コイル22の下流端部22dは送りローラ42及びクランプローラ43の下流側近傍に配置される。受渡ユニット51では、チャック用エアシリンダ57によってチャック58が開かれている。受渡ユニット51によって、開状態のチャック58が把持位置に配置される。この位置で、チャック用エアシリンダ57によってチャック58が閉じられ、チャック58によってコイル22の下流端部22dが端部側に一定のクランプ代を残して把持される。
【0040】
図13を参照し、鉛直移動用エアシリンダ45によって、クランプローラ43が下方へと移動されて、クランプローラ43と送りローラ42とによるコイル22のクランプが解除される。続いて、水平搬送用エアシリンダ53によって、チャック58が水平方向下流側へとパレット61の上方まで移動され、コイル22の下流端部22dがパレット61の上方に移動される。なお、パレット61は、ストッパによって移動を規制され、位置決めピンによって受渡位置に位置決めされている。
【0041】
図14を参照し、鉛直移動用エアシリンダ45によって、クランプローラ43が上方へと移動されて、クランプローラ43と回転ローラとによってコイル22がクランプされる。続いて、チャック58が、鉛直搬送用エアシリンダ54によって下方へと移動されつつ、反転モータ55によって反転され、上流側クランプ62uの近傍の上流側受渡位置に配置される。この際、受渡ユニット51によるコイル22の下流端部22dの移動に対応して、送りローラ42によってコイル22が送り出され、コイル22において過剰な引っ張りや不要な弛みが発生されることが防止される。ここで、下流側クランプ用エアシリンダによって下流側クランプ62dは開状態となっており、コイル22の下流端部22dが下流側クランプ62d内に配置される。続いて、下流側クランプ用エアシリンダによって下流側クランプ62dが閉じられてコイル22の下流端部22dが把持される。さらに続いて、チャック用エアシリンダ57によってチャック58が開かれて、チャック58によるコイル22の下流端部22dの把持が解除される。
【0042】
図15を参照し、送りローラ42とクランプローラ43とによってコイル22がクランプされている。図中矢印R2で示されるように、送りローラ42が回転されて、コイル22がコイル22の長手方向に上流側から下流側へと送られ、取出溝36から引き抜かれていく。この際、送られるコイル22の上流端部22u側が他のコイル22と絡まっているような場合には、コイル22の送りにより、絡み合いが解かれることになる。
【0043】
図16を参照し、コイル22の上流端部22uが取出溝36から引き抜かれると、第1のセンサ39によって取出溝36にコイル22が存在しないことが検出され、コイル22の上流端部22uが検出される。この時点で、送りローラ42の回転を停止して、コイル22の送りを停止する。コイル22が取出溝36から抜去された後、適宜、取出用エアシリンダ38によって、取出部材35が下方へと移動されて、収容位置に配置される。
【0044】
図17を参照し、受渡ユニット51によって、チャック58が送りローラ42及びクランプローラ43の下流側近傍の把持位置に移動される。チャック用エアシリンダ57によってチャック58が閉じられて、コイル22の上流端部22uが端部側に一定のクランプ代を残して把持される。続いて、鉛直移動用エアシリンダ45によってクランプローラ43が下方へと移動され、送りローラ42とクランプローラ43とによるコイル22のクランプが解除される。この後、適宜、水平移動用エアシリンダ46によって、送りローラ42及びクランプローラ43が水平方向に移動されて、取出ユニット30から離間した非送り位置に配置される。
【0045】
図18を参照し、チャック58が、水平搬送用エアシリンダ53によってパレット61の上方まで移動され、続いて、鉛直搬送用エアシリンダ54によって下方へと移動されて、上流側クランプ62uの近傍の上流側受渡位置に配置される。ここで、上流側クランプ用エアシリンダによって上流側クランプ62uは開状態となっており、コイル22の上流端部22uが上流側クランプ62u内に配置される。続いて、上流側クランプ用エアシリンダによって上流側クランプ62uが閉じられてコイル22の上流端部22uが把持される。さらに続いて、チャック用エアシリンダ57によってチャック58が開かれて、チャック58によるコイル22の上流端部22uの把持が解除される。続いて、鉛直搬送用エアシリンダ54によってチャック58が上方へと移動され、パレット61から離間される。この後、適宜、水平搬送用エアシリンダ53及び鉛直搬送用エアシリンダ54によって、チャック58が適当な位置に移動され、待機される。
【0046】
図19を参照し、コイル22の両端部はコンベア59の幅方向へと同向きに配置され、コイル22はコンベア59の側方にU字状に垂れ下がっている。位置決め用エアシリンダ、ストッパ用エアシリンダによって位置決めピン、ストッパが作動され、パレット61の位置決め、移動の規制が解除される。続いて、コンベア59によってパレット61が次工程へと搬送される。
【0047】
このようにして、コイル22の供給が完了する。
【0048】
以下同様に、ストックユニット23にストックされているコイル22がなくなるまで、図7乃至図19に示される工程が繰り返され、複数のコイル22からコイル22が一本ずつ取り出され、供給される。ストックされているコイル22がなくなったら、再度、複数のコイル22をストックユニット23に投入する。以下同様に、コイル22の取り出し、供給を行う。
【0049】
従って、本実施形態のコイル供給装置及びコイル供給方法は次の効果を奏する。
【0050】
本実施形態のコイル供給装置及びコイル供給方法では、複数のコイル22を逆U字状に吊り下げ、コイル頂点部22tを互いに並列させて、複数のコイル22をストックし、コイル頂点部22tを操作して複数のコイル22から一本のコイル22を取り出している。このため、コイル22を信頼性よく取り出すことが可能となっている。このように、本実施形態のコイル供給装置及びコイル供給方法は、コイル22の取り出しに適したものとなっている。
【0051】
また、吊下棒24aと並列板27との間の並列スペース28にコイル頂点部22tが並列されるようになっており、並列スペース28がコイル22の外径と略同じ幅を有するため、コイル頂点部22tを容易かつ確実に並列させることが可能となっている。
【0052】
さらに、互いに並列されている複数のコイル頂点部22tを移動させて1つのコイル頂点部22tを取出溝36へと誘導して取出溝36に収容し、当接面37を1つのコイル頂点部22tの下側に当接させて上方へと移動させて、1つのコイル頂点部22tを上方へと移動させると共に、他のコイル頂点部22tの上方への移動を規制している。このため、コイル頂点部22tを非常に信頼性よく取り出すことが可能となっている。
【0053】
加えて、取り出されたコイル頂点部22tを有するコイル22をその長手方向に送って他のコイル22から分離している。このため、コイル22を非常に信頼性よく取り出すことが可能となっている。
【0054】
上述した実施形態の各種エアシリンダ、反転モータについては、これらに代えて様々な駆動機構を用いることが可能である。例えば、押出用エアシリンダ、取出用エアシリンダに代えて、送りねじ機構を用いることが可能である。また、反転モータに代えて、エアで駆動されるロータリーアクチュエータを用いることが可能である。
【0055】
本実施形態では、コイルを供給するコイル供給装置及びコイル供給方法を説明したが、本発明は、弾性を有し両端部を有する細長い様々な被供給部材に適用可能であり、例えば、ワイヤ、チューブを供給する装置及び方法にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施形態のコイル供給装置を示す斜視図。
【図2】本発明の一実施形態のストックユニットを示す斜視図。
【図3】本発明の一実施形態のストックユニットを示す正面図。
【図4】本発明の一実施形態の取出機構を示す斜視図。
【図5】本発明の一実施形態の取出ユニットを示す斜視図。
【図6】本発明の一実施形態のコイル供給方法のストック工程を示す正面図。
【図7】本発明の一実施形態の押出工程を示す正面図。
【図8】本発明の一実施形態の収容工程を示す斜視図。
【図9】本発明の一実施形態の取出工程を示す斜視図。
【図10】本発明の一実施形態の上流方向送り準備工程を示す斜視図。
【図11】本発明の一実施形態の上流方向送り工程及び下流端部検出工程を示す斜視図。
【図12】本発明の一実施形態の下流端部把持工程を示す斜視図。
【図13】本発明の一実施形態の下流端部受渡工程の前半を示す斜視図。
【図14】本発明の一実施形態の下流端部受渡工程の後半を示す斜視図。
【図15】本発明の一実施形態の下流方向送り工程を示す側面図。
【図16】本発明の一実施形態の上流端部検出工程を示す側面図。
【図17】本発明の一実施形態の上流端部把持工程を示す側面図。
【図18】本発明の一実施形態の上流端部受渡工程を示す斜視図。
【図19】本発明の一実施形態の搬送工程を示す斜視図。
【図20A】従来の棒材供給方法のストック工程を示す断面図。
【図20B】従来の棒材供給方法の誘導工程を示す断面図。
【図20C】従来の棒材供給方法の分離工程を示す断面図。
【図20D】従来の棒材供給方法の取出工程を示す断面図。
【図21】従来の棒材供給装置の課題を説明するための図。
【符号の説明】
【0057】
22…被供給部材(コイル)、22a…頂点部(コイル頂点部)、23…ストック機構(ストックユニット)、24a,24b…吊下部(24a…吊下棒、24b…補助吊下棒)、27…並列部(並列板)、27…規制部(並列板)、28…並列スペース、29,30,31…取出機構(29…誘導ユニット(押出ユニット)、30…取出ユニット、31…送りユニット)、36…収容部(取出溝)、37…当接部(当接面)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の被供給部材から一本の被供給部材を取り出して供給するための自動供給装置及び自動供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の被供給部材から一本の被供給部材を取り出して供給するための様々な自動供給装置が用いられている。
【0003】
特許文献1には、環状のベルト用芯体の捌き設備が開示されている。この捌き設備では、掛具に掛けられて並列されている複数の芯体から、一本送り装置によって芯体を一本ずつ取り上げてフックに受け渡し、フックをベルト送りして芯体を次工程に搬送している。
【0004】
また、剛性を有する棒材の自動供給装置が用いられている。図20A乃至図20Dを参照し、自動供給装置は長手方向及び幅方向を備えるトレー81を有する。トレー81の底壁の上面には、幅方向の一側端部に、取出溝82が長手方向に延設されている。取出溝82の長さ及び幅は棒材84の長さ及び幅と略同じである。そして、トレー81の一側端壁83は開閉自在となっている。この自動供給装置では、図20Aを参照し、トレー81の底壁の上面に、複数の棒材84が平らに載置され、トレー81の幅方向に並列されて、ストックされる。そして、図20Bを参照し、図中矢印S1で示されるように、トレー81が揺動されてトレー81の取出溝82側が下方へと移動されることで、複数の棒材84が取出溝82側へと移動され、一側端部の棒材84が取出溝82へと誘導されて、その全体が取出溝82に収容される。続いて、図20Cを参照し、図中矢印S2で示されるように、トレー81が揺動されてトレー81の取出溝82側が上方へと移動されることで、取出溝82に収容されている棒材84以外の棒材84が取出溝82側から反対側へと移動され、一本の棒材84が他の棒材84から分離される。さらに、図20Dを参照し、図中矢印Oで示されるように、トレー81の一側端壁83が開かれて、図中矢印Dで示されるように、取出溝82に収容されている棒材84がトレー81外へと放出される。このようにして、一本の棒材84が取り出される。
【特許文献1】特開平7−291435号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように様々な自動供給装置が用いられているが、いずれも、弾性を有し両端部を有する細長い被供給部材を一本ずつ取り出して供給するのに適したものではない。例えば、剛性を有する棒材の自動供給装置によって、弾性を有する被供給部材を供給する場合には、被供給部材を信頼性よく取り出すことが困難である。即ち、図21を参照し、複数の被供給部材85がトレー81の底壁の上面に平らに載置され、幅方向に並置されてストックされ、被供給部材85の全体を操作することで、複数の被供給部材85から一本の被供給部材85が取り出されることになるため、トレー81内で被供給部材85同士が絡み合ったり、取出溝82に被供給部材85が確実に収容されなかったりするおそれがある。
【0006】
本発明は、上記課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、弾性を有し両端部を有する細長い被供給部材の取り出しに適した自動供給装置及び自動供給方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1実施態様では、自動供給装置は、弾性を有し両端部を有する細長い被供給部材の自動供給装置であって、複数の被供給部材が、逆U字状に吊り下げられ、複数の被供給部材の頂点部が所定の並列方向に互いに並列されて、ストックされるストック機構と、被供給部材の頂点部を操作することで、前記ストック機構にストックされている複数の被供給部材から一本の前記被供給部材を取り出す取出機構と、を具備することを特徴とする。
【0008】
本発明の第2実施態様では、自動供給装置は、前記ストック機構は、前記並列方向に延び、複数の被供給部材が逆U字状に吊り下げられる吊下部と、前記吊下部に並設され、前記吊下部との間に被供給部材の外径と略同じ幅を有する並列スペースを形成する並列部と、を有する、ことを特徴とする。
【0009】
本発明の第3実施態様では、自動供給装置は、前記取出機構は、誘導ユニットと、取出ユニットと、を具備し、前記誘導ユニットは、互いに並列されている複数の頂点部を前記並列方向に移動させ、1つの頂点部を取出ユニットに誘導し、前記取出ユニットは、1つの頂点部のみを収容する収容部と、前記収容部に収容されている1つの頂点部の下側に当接され上方へと移動される当接部と、前記収容部に収容され前記当接部に当接された1つの頂点部以外の頂点部の上方への移動を規制する規制部と、を有する、ことを特徴とする。
【0010】
本発明の第4実施態様では、自動供給装置は、前記取出機構は、前記取出ユニットにより取り出された頂点部を有する被供給部材を被供給部材の長手方向に送って他の被供給部材から分離する送りユニットをさらに有する、ことを特徴とする。
【0011】
本発明の第5実施態様では、自動供給方法は、弾性を有し両端部を有する細長い被供給部材の自動供給方法であって、複数の被供給部材を、逆U字状に吊り下げ、複数の被供給部材の頂点部を所定の並列方向に互いに並列させ、ストックするストック工程と、被供給部材の頂点部を操作することで、ストックされている複数の被供給部材から一本の被供給部材を取り出す取出工程と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1実施態様の自動供給装置では、複数の被供給部材を逆U字状に吊り下げ、それらの頂点部を互いに並列させて、複数の被供給部材をストックし、頂点部を操作して複数の供給部材から一本の被供給部材を取り出している。このため、被供給部材を信頼性よく取り出すことが可能となっている。このように、本実施態様の自動供給装置は、弾性を有し両端部を有する細長い被供給部材の取り出しに適したものとなっている。
【0013】
本発明の第2実施態様の自動供給装置では、吊下部と並列部との間のスペースに被供給部材の頂点部が並列され、このスペースが被供給部材の外径と略同じ幅を有するため、頂点部を容易かつ確実に並列させることが可能となっている。
【0014】
本発明の第3実施態様の自動供給装置では、互いに並列されている複数の頂点部を移動させて1つの頂点部を収容部へと誘導して収容部に収容し、当接部を1つの頂点部の下側に当接させて上方へと移動させて、1つの頂点部を上方へと移動させると共に、他の頂点部の上方への移動を規制している。このため、被供給部材の頂点部を非常に信頼性よく取り出すことが可能となっている。
【0015】
本発明の第4実施態様の自動供給装置では、取り出された頂点部を有する被供給部材をその長手方向に送って他の被供給部材から分離している。このため、被供給部材を非常に信頼性よく取り出すことが可能となっている。
【0016】
本発明の第5実施態様の自動供給方法では、複数の被供給部材を逆U字状に吊り下げ、それらの頂点部を互いに並列させて、複数の被供給部材をストックし、頂点部を操作して複数の供給部材から一本の被供給部材を取り出している。このため、被供給部材を信頼性よく取り出すことが可能となっている。このように、本実施態様の自動供給方法は、弾性を有し両端部を有する細長い被供給部材の取り出しに適したものとなっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0018】
図1乃至図19は、本発明の一実施形態を示す。
【0019】
図1乃至図5を参照して、自動供給装置としてのコイル供給装置を説明する。
【0020】
コイル供給装置の被供給部材はコイル22であり、このコイル22は、両端部を有する長尺な部材であり、比較的高い弾発性を有し、例えば生検鉗子のコイルシースとして用いられる。
【0021】
図1を参照し、コイル供給装置は、複数のコイル22をストックするためのストック機構としてのストックユニット23を有する。ストックユニット23では、吊下部として、コイル22が逆U字状に吊り下げられる円柱棒状の吊下棒24a及び一対の補助吊下棒24bが略水平方向に延びている。一対の補助吊下棒24bは略同じ高さに配置されており、一対の補助吊下棒24bの中間上方に吊下棒24aが配置されている。このような配置により、逆U字状に吊り下げられたコイル22の頂上部は比較的大きな曲率を有することになる。
【0022】
図2を参照し、一対の補助吊下棒24bの下方には、吊り下げられたコイル22の両端側を夫々収容する一対の収容スペース25が形成されている。収容スペース25は、夫々、コイル22の両端側が装置の外に飛び出すのを防止するためのボックス26によって囲まれている。
【0023】
図3を参照し、吊下棒24aの上方には、並列部としての並列板27が配設されている。並列板27は、鉛直面に沿って配置され、吊下棒24aに沿って延びている。吊下棒24aの上端部と並列板27の下端面との間には、コイル頂点部22tが並列される並列スペース28が形成されている。並列スペース28は、吊下棒24a及び並列板27に沿って延び、コイル22の外径と略同じ幅を有する。
【0024】
図4を参照し、コイル供給装置は、ストックユニット23にストックされている複数のコイル22から一本のコイル22を取り出すための取出機構を有する。取出機構では、誘導ユニットとしての押出ユニット29、取出ユニット30、送りユニット31が上流側から下流側へと順に配設されている。
【0025】
取出機構の押出ユニット29は、互いに並設されている複数のコイル頂点部22tを並列方向に押し出して、1つのコイル頂点部22tを取出ユニット30に誘導するためのものである。押出ユニット29では、コイル頂点部22tを押し出す略直方体状の押出部32が配設されている。押出部32は、接触用エアシリンダ33によって、吊下棒24aの上方で鉛直方向に移動可能であり、吊下棒24aの上端部に接触された状態と、吊下棒24aの上端部から離間した状態との間で切換可能である。さらに、押出部32及び接触用エアシリンダ33は、押出用エアシリンダ34によって、吊下棒24aの長手方向に一体的に移動可能である。即ち、押出部32は、吊下棒24aの上端部に接触した状態、あるいは、吊下棒24aの上端部から離間した状態で、吊下棒24aに沿って移動可能である。
【0026】
図5を参照し、取出機構の取出ユニット30は、互いに並設されている複数のコイル頂点部22tから1つのコイル頂点部22tを取り出すためのものである。取出ユニット30では、吊下棒24aの下流側端部に厚板状の取出部材35が並設されている。吊下棒24aの下流端面と取出部材35の上流側面は、吊下棒24aの長手方向に直交し、略同一面となっている。取出部材35の上流側面の上端部には、収容部としての取出溝36が水平方向に延設されている。取出溝36の幅はコイル22の外径に略等しく、取出溝36には1つのコイル頂点部22tのみが収容可能である。取出溝36の底面は、吊下棒24aの上側周面と略同一形状の周面をなし、コイル頂点部22tの下側に当接される当接部としての当接面37を形成している。取出部材35は、取出用エアシリンダ38によって鉛直方向に移動可能であり、下側の収容位置と上側の取出位置との間で切替可能である。取出部材35が収容位置にある場合には、取出溝36の当接面37は吊下棒24aの上側周面と略同一面をなす。吊下棒24aの上方の並列板27の下流端面と取出部材35の上流側面とは略同一面となっており、取出部材35が上向きに移動される際には、並列板27の下流端面と取出部材35の上流側面との間には極僅かなクリアランスのみが形成される。換言すれば、並列板27の下流端部は、取出溝36に収容されているコイル頂点部22t以外のコイル頂点部22tが上方へと移動されるのを規制する規制部として機能する。なお、取出部材35の上端部には、取出溝36にコイル22が存在することを検出する第1のセンサ39が配設されている。第1のセンサ39により、取出溝36にコイル頂点部22tが収容されているか否かを検出することが可能である。
【0027】
再び図4を参照し、取出機構の送りユニット31は、取り出されたコイル頂点部22tを有するコイル22をその長手方向に送って他のコイル22から分離するためのものである。送りユニット31では、回転モータ41によって回転される送りローラ42が配設されている。送りローラ42の下方には、クランプローラ43が配設されている。クランプローラ43には、コイル22をクランプするクランプ溝44が全周にわたって延設されている。送りローラ42及びクランプローラ43の軸方向は、互いに略平行であり、取出ユニット30の取出溝36の延出方向に略直交している。クランプローラ43は、鉛直移動用エアシリンダ45によって、鉛直方向に移動可能であり、送りローラ42と接触した上方のクランプ位置と、送りローラ42から離間した下方の非クランプ位置との間で切替可能である。送りローラ42、クランプローラ43、及び、鉛直移動用エアシリンダ45は、水平移動用エアシリンダ46によって、軸方向に一体的に移動可能であり、取出ユニット30に接近した送り位置と、取出ユニット30から離間した非送り位置との間で切替可能である。送り位置において、クランプローラ43がクランプ位置にある場合には、取出位置に配置されている取出溝36の水平方向下流側にクランプローラ43のクランプ溝44が配置され、クランプローラ43が非クランプ位置にある場合には、取出位置に配置された取出溝36の当接面37の下流側への延長方向が送りローラ42とクランプローラ43との間に配置される。また、送りローラ42及びクランプローラ43の下流側下方には、ガイド板47が配設されている。ガイド板47には、コイル22を上流側へと送る際にコイル22の下流側がガイドされるガイド溝48が延設されている。また、ガイド板47には、ガイド溝48にコイル22が存在するかを検出する第2のセンサ49が配設されている。第2のセンサ49により、コイル22の下流端部の位置を検出することが可能である。なお、ガイド板47は、水平移動用エアシリンダ46によって、送りローラ42等と共に一体的に移動可能である。ここで、上述した取出ユニット30の第1のセンサ39は、コイル22を下流側へと送る際に、コイル22の上流端部の位置を検出する機能も有する。
【0028】
再び図1を参照し、コイル供給装置は、取出機構によって取り出されたコイル22を次工程へと搬送する搬送機構を有する。搬送機構では、受渡ユニット51、コンベアユニット52が上流側から下流側へと順に配設されている。
【0029】
搬送機構の受渡ユニット51では、水平搬送用エアシリンダ53が配設されている。水平搬送用エアシリンダ53によって、鉛直搬送用エアシリンダ54が、送りユニット31の送り方向に平行な水平方向に移動可能である。鉛直搬送用エアシリンダ54によって、反転モータ55が鉛直方向に移動可能である。反転モータ55には反転アーム56の基端部が連結されており、反転モータ55によって反転アーム56が反転可能である。即ち、反転アーム56は、送りユニット31の送り方向に直交する二向き、即ち、送りユニット31に反転アーム56の末端部が対面する順向きと、順向きとは反対の逆向きとの間で、送りユニット31から離間した側の領域を移動して、切替可能である。反転アーム56の先端部にはチャック用エアシリンダ57が連結され下方へと延びており、チャック用エアシリンダの下端部にチャック58が連結されている。チャック用エアシリンダ57によってチャック58が開閉可能であり、チャック58の開閉方向は反転アーム56の長手方向と略一致している。そして、水平搬送用エアシリンダ53により鉛直搬送用エアシリンダ54が送りユニット31に最接近して配置され、鉛直搬送用エアシリンダ54により反転モータ55が最上方に配置され、反転モータ55によって反転アーム56が順向きに配置された場合に、チャック58は、送りローラ42及びクランプローラ43の下流側近傍の把持位置に配置される。また、水平搬送用エアシリンダ53により鉛直搬送用エアシリンダ54がコンベアユニット52に最接近して配置され、鉛直搬送用エアシリンダ54により反転モータ55が最下方に配置され、反転モータ55によって反転アーム56が順向き、逆向きに配置された場合に、チャック58は、後述する、上流側受渡位置、下流側受渡位置に配置される。
【0030】
搬送機構のコンベアユニット52では、送りユニット31の送り方向に直交して、即ち、順向き又は逆向きに配置された反転アーム56に平行な方向にコンベア59が延設されている。コンベア59には、コンベア59によって搬送されるパレット61が装着されている。そして、コンベア59には、パレット61の移動を規制するストッパ、及び、パレット61を最上流の受渡位置に位置決めする位置決めピンが配設されている。ストッパ、位置決めピンは、夫々、ストッパ用エアシリンダ、位置決め用エアシリンダによって駆動される。パレット61の上面には、上流側及び下流側に、コイル22の上流端部及び下流端部を挟持するための上流側クランプ62u及び下流側クランプ62dが夫々配設されている。上流側クランプ用エアシリンダ及び下流側クランプ用エアシリンダによって、上流側クランプ62u及び下流側クランプ62dが開閉可能であり、コンベア59の長手方向が上流側クランプ62u及び下流側クランプ62dの開閉方向に略一致している。コンベア59の幅方向について、送りユニット31とは反対側の、上流側クランプ62u、下流側クランプ62dの近傍の位置が、夫々、上述した受渡ユニット51のチャック58の上流側受渡位置、下流側受渡位置となる。
【0031】
図6乃至図19を参照して、自動供給方法としてのコイル供給方法について説明する。
【0032】
図6を参照し、接触用エアシリンダ33及び押出用エアシリンダ34によって、押出部32を吊下棒24aの上端部から離間した最上流の位置に配置する。作業者は、複数のコイル22を吊下棒24a及び一対の補助吊下棒24bに逆U字状に吊り下げ、吊下棒24aと並列板27との間の並列スペース28に複数のコイル頂点部22tを順次押し込む。この結果、コイル頂点部22tは互いに絡み合うことなく並列される。このようにして、複数のコイル22がストックされる。
【0033】
図7を参照し、接触用エアシリンダ33及び押出用エアシリンダ34によって、押出部32を吊下棒24aの上端部に接触させ、吊下棒24aに沿って上流側から下流側へと移動させる。押出部32によって、互いに並設されているコイル頂点部22tの全体が互いに絡み合うことなく下流側へと押し進められ、最下流のコイル頂点部22tが取出溝36へと誘導される。
【0034】
図8を参照し、最下流のコイル頂点部22tのみが取出溝36へと収容される。第1のセンサ39によって、コイル頂点部22tが取出溝36に収容されたことが検出される。
【0035】
図9を参照し、取出用エアシリンダ38によって、取出部材35が上方へと移動される。取出溝36の底面をなす当接面37がコイル頂点部22tの下側に当接され、当接面37の上方への移動によりコイル頂点部22tが上方へと移動される。上方への移動に際しては、コイル頂点部22tは、取出部材35と並列板27との間に保持され、取出溝36から脱落してしまうことがない。また、取出溝36に収容されているコイル頂点部22t以外のコイル頂点部22tについては、並列板27によって上方への移動が規制される。取出溝36に収容されているコイル22の両端部側が他のコイル22と絡まっているような場合には、コイル頂点部22tの上方への移動により、コイル22の両端部側が他のコイル22から引き抜かれて、絡み合いがほぐされることになる。このようにして、互いに並設されている複数のコイル頂点部22tから1つのコイル頂点部22tが取り出される。
【0036】
以上の工程中、クランプローラ43及び送りローラ42は取出ユニット30から離間した非送り位置に配置されており、クランプローラ43は送りローラ42から下方に離間した非クランプ位置に配置されている。
【0037】
図10を参照し、水平移動用エアシリンダ46によって、クランプローラ43及び送りローラ42が取出ユニット30に接近した送り位置に配置され、クランプローラ43と送りローラ42との中間に、取出溝36から延出されているコイル22が配置される。続いて、鉛直移動用エアシリンダ45によって、クランプローラ43が上方へと移動される。クランプローラ43の上方への移動により、コイル22がクランプ溝44に収容され、クランプローラ43と共に上方へと移動され、クランプローラ43が送りローラ42に接触する接触位置に配置されると、クランプローラ43と送りローラ42との間にコイル22がクランプされる。
【0038】
図11を参照し、図中矢印R1に示されるように、送りローラ42が回転されて、コイル22が送りローラ42へと引き込まれ、コイル22の長手方向に下流側から上流側へと送られる。送られるコイル22の下流端部22d側が他のコイル22と絡まっているような場合には、コイル22の送りにより、絡み合いが解かれることになる。コイル22が送られていくと、コイル22の弾発性によりコイル22の下流端部22dが徐々に上方へと起上され、ガイド板47のガイド溝48に沿って上方へと移動され、ガイド溝48内で送られるようになる。コイル22の下流端部22dがガイド溝48を通過した時点で、第2のセンサ49によりガイド溝48内のコイル22が検出されなくなり、コイル22の下流端部22dの位置が検出される。この時点で送りローラ42の回転が停止される。
【0039】
図12を参照し、送りローラ42が停止した時点で、コイル22の下流端部22dは送りローラ42及びクランプローラ43の下流側近傍に配置される。受渡ユニット51では、チャック用エアシリンダ57によってチャック58が開かれている。受渡ユニット51によって、開状態のチャック58が把持位置に配置される。この位置で、チャック用エアシリンダ57によってチャック58が閉じられ、チャック58によってコイル22の下流端部22dが端部側に一定のクランプ代を残して把持される。
【0040】
図13を参照し、鉛直移動用エアシリンダ45によって、クランプローラ43が下方へと移動されて、クランプローラ43と送りローラ42とによるコイル22のクランプが解除される。続いて、水平搬送用エアシリンダ53によって、チャック58が水平方向下流側へとパレット61の上方まで移動され、コイル22の下流端部22dがパレット61の上方に移動される。なお、パレット61は、ストッパによって移動を規制され、位置決めピンによって受渡位置に位置決めされている。
【0041】
図14を参照し、鉛直移動用エアシリンダ45によって、クランプローラ43が上方へと移動されて、クランプローラ43と回転ローラとによってコイル22がクランプされる。続いて、チャック58が、鉛直搬送用エアシリンダ54によって下方へと移動されつつ、反転モータ55によって反転され、上流側クランプ62uの近傍の上流側受渡位置に配置される。この際、受渡ユニット51によるコイル22の下流端部22dの移動に対応して、送りローラ42によってコイル22が送り出され、コイル22において過剰な引っ張りや不要な弛みが発生されることが防止される。ここで、下流側クランプ用エアシリンダによって下流側クランプ62dは開状態となっており、コイル22の下流端部22dが下流側クランプ62d内に配置される。続いて、下流側クランプ用エアシリンダによって下流側クランプ62dが閉じられてコイル22の下流端部22dが把持される。さらに続いて、チャック用エアシリンダ57によってチャック58が開かれて、チャック58によるコイル22の下流端部22dの把持が解除される。
【0042】
図15を参照し、送りローラ42とクランプローラ43とによってコイル22がクランプされている。図中矢印R2で示されるように、送りローラ42が回転されて、コイル22がコイル22の長手方向に上流側から下流側へと送られ、取出溝36から引き抜かれていく。この際、送られるコイル22の上流端部22u側が他のコイル22と絡まっているような場合には、コイル22の送りにより、絡み合いが解かれることになる。
【0043】
図16を参照し、コイル22の上流端部22uが取出溝36から引き抜かれると、第1のセンサ39によって取出溝36にコイル22が存在しないことが検出され、コイル22の上流端部22uが検出される。この時点で、送りローラ42の回転を停止して、コイル22の送りを停止する。コイル22が取出溝36から抜去された後、適宜、取出用エアシリンダ38によって、取出部材35が下方へと移動されて、収容位置に配置される。
【0044】
図17を参照し、受渡ユニット51によって、チャック58が送りローラ42及びクランプローラ43の下流側近傍の把持位置に移動される。チャック用エアシリンダ57によってチャック58が閉じられて、コイル22の上流端部22uが端部側に一定のクランプ代を残して把持される。続いて、鉛直移動用エアシリンダ45によってクランプローラ43が下方へと移動され、送りローラ42とクランプローラ43とによるコイル22のクランプが解除される。この後、適宜、水平移動用エアシリンダ46によって、送りローラ42及びクランプローラ43が水平方向に移動されて、取出ユニット30から離間した非送り位置に配置される。
【0045】
図18を参照し、チャック58が、水平搬送用エアシリンダ53によってパレット61の上方まで移動され、続いて、鉛直搬送用エアシリンダ54によって下方へと移動されて、上流側クランプ62uの近傍の上流側受渡位置に配置される。ここで、上流側クランプ用エアシリンダによって上流側クランプ62uは開状態となっており、コイル22の上流端部22uが上流側クランプ62u内に配置される。続いて、上流側クランプ用エアシリンダによって上流側クランプ62uが閉じられてコイル22の上流端部22uが把持される。さらに続いて、チャック用エアシリンダ57によってチャック58が開かれて、チャック58によるコイル22の上流端部22uの把持が解除される。続いて、鉛直搬送用エアシリンダ54によってチャック58が上方へと移動され、パレット61から離間される。この後、適宜、水平搬送用エアシリンダ53及び鉛直搬送用エアシリンダ54によって、チャック58が適当な位置に移動され、待機される。
【0046】
図19を参照し、コイル22の両端部はコンベア59の幅方向へと同向きに配置され、コイル22はコンベア59の側方にU字状に垂れ下がっている。位置決め用エアシリンダ、ストッパ用エアシリンダによって位置決めピン、ストッパが作動され、パレット61の位置決め、移動の規制が解除される。続いて、コンベア59によってパレット61が次工程へと搬送される。
【0047】
このようにして、コイル22の供給が完了する。
【0048】
以下同様に、ストックユニット23にストックされているコイル22がなくなるまで、図7乃至図19に示される工程が繰り返され、複数のコイル22からコイル22が一本ずつ取り出され、供給される。ストックされているコイル22がなくなったら、再度、複数のコイル22をストックユニット23に投入する。以下同様に、コイル22の取り出し、供給を行う。
【0049】
従って、本実施形態のコイル供給装置及びコイル供給方法は次の効果を奏する。
【0050】
本実施形態のコイル供給装置及びコイル供給方法では、複数のコイル22を逆U字状に吊り下げ、コイル頂点部22tを互いに並列させて、複数のコイル22をストックし、コイル頂点部22tを操作して複数のコイル22から一本のコイル22を取り出している。このため、コイル22を信頼性よく取り出すことが可能となっている。このように、本実施形態のコイル供給装置及びコイル供給方法は、コイル22の取り出しに適したものとなっている。
【0051】
また、吊下棒24aと並列板27との間の並列スペース28にコイル頂点部22tが並列されるようになっており、並列スペース28がコイル22の外径と略同じ幅を有するため、コイル頂点部22tを容易かつ確実に並列させることが可能となっている。
【0052】
さらに、互いに並列されている複数のコイル頂点部22tを移動させて1つのコイル頂点部22tを取出溝36へと誘導して取出溝36に収容し、当接面37を1つのコイル頂点部22tの下側に当接させて上方へと移動させて、1つのコイル頂点部22tを上方へと移動させると共に、他のコイル頂点部22tの上方への移動を規制している。このため、コイル頂点部22tを非常に信頼性よく取り出すことが可能となっている。
【0053】
加えて、取り出されたコイル頂点部22tを有するコイル22をその長手方向に送って他のコイル22から分離している。このため、コイル22を非常に信頼性よく取り出すことが可能となっている。
【0054】
上述した実施形態の各種エアシリンダ、反転モータについては、これらに代えて様々な駆動機構を用いることが可能である。例えば、押出用エアシリンダ、取出用エアシリンダに代えて、送りねじ機構を用いることが可能である。また、反転モータに代えて、エアで駆動されるロータリーアクチュエータを用いることが可能である。
【0055】
本実施形態では、コイルを供給するコイル供給装置及びコイル供給方法を説明したが、本発明は、弾性を有し両端部を有する細長い様々な被供給部材に適用可能であり、例えば、ワイヤ、チューブを供給する装置及び方法にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施形態のコイル供給装置を示す斜視図。
【図2】本発明の一実施形態のストックユニットを示す斜視図。
【図3】本発明の一実施形態のストックユニットを示す正面図。
【図4】本発明の一実施形態の取出機構を示す斜視図。
【図5】本発明の一実施形態の取出ユニットを示す斜視図。
【図6】本発明の一実施形態のコイル供給方法のストック工程を示す正面図。
【図7】本発明の一実施形態の押出工程を示す正面図。
【図8】本発明の一実施形態の収容工程を示す斜視図。
【図9】本発明の一実施形態の取出工程を示す斜視図。
【図10】本発明の一実施形態の上流方向送り準備工程を示す斜視図。
【図11】本発明の一実施形態の上流方向送り工程及び下流端部検出工程を示す斜視図。
【図12】本発明の一実施形態の下流端部把持工程を示す斜視図。
【図13】本発明の一実施形態の下流端部受渡工程の前半を示す斜視図。
【図14】本発明の一実施形態の下流端部受渡工程の後半を示す斜視図。
【図15】本発明の一実施形態の下流方向送り工程を示す側面図。
【図16】本発明の一実施形態の上流端部検出工程を示す側面図。
【図17】本発明の一実施形態の上流端部把持工程を示す側面図。
【図18】本発明の一実施形態の上流端部受渡工程を示す斜視図。
【図19】本発明の一実施形態の搬送工程を示す斜視図。
【図20A】従来の棒材供給方法のストック工程を示す断面図。
【図20B】従来の棒材供給方法の誘導工程を示す断面図。
【図20C】従来の棒材供給方法の分離工程を示す断面図。
【図20D】従来の棒材供給方法の取出工程を示す断面図。
【図21】従来の棒材供給装置の課題を説明するための図。
【符号の説明】
【0057】
22…被供給部材(コイル)、22a…頂点部(コイル頂点部)、23…ストック機構(ストックユニット)、24a,24b…吊下部(24a…吊下棒、24b…補助吊下棒)、27…並列部(並列板)、27…規制部(並列板)、28…並列スペース、29,30,31…取出機構(29…誘導ユニット(押出ユニット)、30…取出ユニット、31…送りユニット)、36…収容部(取出溝)、37…当接部(当接面)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性を有し両端部を有する細長い被供給部材の自動供給装置であって、
複数の被供給部材が、逆U字状に吊り下げられ、複数の被供給部材の頂点部が所定の並列方向に互いに並列されて、ストックされるストック機構と、
被供給部材の頂点部を操作することで、前記ストック機構にストックされている複数の被供給部材から一本の前記被供給部材を取り出す取出機構と、
を具備することを特徴とする自動供給装置。
【請求項2】
前記ストック機構は、
前記並列方向に延び、複数の被供給部材が逆U字状に吊り下げられる吊下部と、
前記吊下部に並設され、前記吊下部との間に被供給部材の外径と略同じ幅を有する並列スペースを形成する並列部と、
を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の自動供給装置。
【請求項3】
前記取出機構は、誘導ユニットと、取出ユニットと、を具備し、
前記誘導ユニットは、互いに並列されている複数の頂点部を前記並列方向に移動させ、1つの頂点部を取出ユニットに誘導し、
前記取出ユニットは、1つの頂点部のみを収容する収容部と、前記収容部に収容されている1つの頂点部の下側に当接され上方へと移動される当接部と、前記収容部に収容され前記当接部に当接された1つの頂点部以外の頂点部の上方への移動を規制する規制部と、を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の自動供給装置。
【請求項4】
前記取出機構は、前記取出ユニットにより取り出された頂点部を有する被供給部材を被供給部材の長手方向に送って他の被供給部材から分離する送りユニットをさらに有する、
ことを特徴とする請求項3に記載の自動供給装置。
【請求項5】
弾性を有し両端部を有する細長い被供給部材の自動供給方法であって、
複数の被供給部材を、逆U字状に吊り下げ、複数の被供給部材の頂点部を所定の並列方向に互いに並列させ、ストックするストック工程と、
被供給部材の頂点部を操作することで、ストックされている複数の被供給部材から一本の被供給部材を取り出す取出工程と、
を具備することを特徴とする自動供給方法。
【請求項1】
弾性を有し両端部を有する細長い被供給部材の自動供給装置であって、
複数の被供給部材が、逆U字状に吊り下げられ、複数の被供給部材の頂点部が所定の並列方向に互いに並列されて、ストックされるストック機構と、
被供給部材の頂点部を操作することで、前記ストック機構にストックされている複数の被供給部材から一本の前記被供給部材を取り出す取出機構と、
を具備することを特徴とする自動供給装置。
【請求項2】
前記ストック機構は、
前記並列方向に延び、複数の被供給部材が逆U字状に吊り下げられる吊下部と、
前記吊下部に並設され、前記吊下部との間に被供給部材の外径と略同じ幅を有する並列スペースを形成する並列部と、
を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の自動供給装置。
【請求項3】
前記取出機構は、誘導ユニットと、取出ユニットと、を具備し、
前記誘導ユニットは、互いに並列されている複数の頂点部を前記並列方向に移動させ、1つの頂点部を取出ユニットに誘導し、
前記取出ユニットは、1つの頂点部のみを収容する収容部と、前記収容部に収容されている1つの頂点部の下側に当接され上方へと移動される当接部と、前記収容部に収容され前記当接部に当接された1つの頂点部以外の頂点部の上方への移動を規制する規制部と、を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の自動供給装置。
【請求項4】
前記取出機構は、前記取出ユニットにより取り出された頂点部を有する被供給部材を被供給部材の長手方向に送って他の被供給部材から分離する送りユニットをさらに有する、
ことを特徴とする請求項3に記載の自動供給装置。
【請求項5】
弾性を有し両端部を有する細長い被供給部材の自動供給方法であって、
複数の被供給部材を、逆U字状に吊り下げ、複数の被供給部材の頂点部を所定の並列方向に互いに並列させ、ストックするストック工程と、
被供給部材の頂点部を操作することで、ストックされている複数の被供給部材から一本の被供給部材を取り出す取出工程と、
を具備することを特徴とする自動供給方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【図20D】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【図20D】
【図21】
【公開番号】特開2009−57128(P2009−57128A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−224134(P2007−224134)
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】
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