説明

自動倉庫システム

【課題】システムの簡素化を容易に図ることができる自動倉庫システムを提供する。
【解決手段】自動倉庫システム1は、物品収容体3に物品Wを入れた場合に、その物品Wに関する物品情報をRFタグ6に書き込むと同時に、そのRFタグ6が持つ空情報を実情報に書き換える情報書込手段21を備える。自動倉庫システム1は、自動倉庫4への入庫の際に、RFタグ6が持つ物品情報を読み取る情報読取手段22を備える。自動倉庫システム1は、自動倉庫4からの出庫後、物品収容体3から物品Wを取り出した場合に、RFタグ6が持つ物品情報を消去すると同時に、そのRFタグ6が持つ実情報を空情報に書き換える情報消去手段25を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システムの簡素化を容易に図ることができる自動倉庫システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば投入された荷をクレーンのピックアップ位置まで搬送するコンベヤと、コンベヤに新たな荷が投入されたことを検知するとその旨を在庫管理PCに通知する荷検出センサと、コンベヤにより搬送される荷に付されているバーコードを読み取りその読み取り結果を在庫管理PCに通知するバーコードリーダとを備えた自動倉庫システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−176322号公報(図1等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の自動倉庫システムでは、在庫管理PCに対する負荷が大きく、システムが全体として複雑になるおそれがある。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、システムの簡素化を容易に図ることができる自動倉庫システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の自動倉庫システムは、物品が出し入れ可能に収納される物品収容体と、この物品収容体に取り付けられたRFタグと、前記物品収容体に物品が収容された場合に、この収容された物品に関する物品情報を前記RFタグに書き込むと同時に、そのRFタグに記憶され物品が収容されているか否かを示す情報を空情報から実情報に書き換える情報書込手段と、前記物品収容体を保管する自動倉庫と、この自動倉庫への入庫の際に、前記RFタグに記憶されている物品情報を読み取る情報読取手段と、前記自動倉庫から出庫された前記物品収容体から物品が取り出された場合に、前記RFタグに記憶されている物品情報を消去すると同時に、そのRFタグに記憶され物品が収容されているか否かを示す情報を実情報から空情報に書き換える情報消去手段とを備えるものである。
【0006】
請求項2記載の自動倉庫システムは、請求項1記載の自動倉庫システムにおいて、自動倉庫からの出庫後、RFタグに記憶されている物品情報を読み取る確認用情報読取手段を備えるものである。
【0007】
請求項3記載の自動倉庫システムは、請求項1または2記載の自動倉庫システムにおいて、情報書込手段がRFタグに書き込む物品情報は、出荷形態を含み、自動倉庫から出庫された物品収容体から物品が取り出される際に、前記RFタグに記憶されている出荷形態を含む物品情報を読み取る出荷用情報読取手段を備えるものである。
【0008】
請求項4記載の自動倉庫システムは、請求項1ないし3のいずれか一記載の自動倉庫システムにおいて、情報書込手段がRFタグに書き込む物品情報は、品種名、入り数、ロットナンバおよび製造日時分を含むものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、物品収容体に物品が収容された場合にこの収容された物品に関する物品情報をRFタグに書き込むと同時に物品が収容されているか否かを示す情報を空情報から実情報に書き換える情報書込手段と、自動倉庫への入庫の際にRFタグに記憶されている物品情報を読み取る情報読取手段と、自動倉庫から出庫された物品収容体から物品が取り出された場合にRFタグに記憶されている物品情報を消去すると同時に物品が収容されているか否かを示す情報を実情報から空情報に書き換える情報消去手段とを備える構成であるから、システムの簡素化を容易に図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の自動倉庫システムの一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0011】
図1において、1は自動倉庫システムで、この自動倉庫システム1は、成型機等の物品製造装置2にて製造された樹脂容器等の物品Wを箱状の物品収容体3、例えばコンテナに収容して出荷するまで自動倉庫4で保管するものである。
【0012】
物品収容体3には、RFタグ(無線タグ)6が取り付けられている。RFタグ6は、RFID(Radio Frequency Identification)と称される技術において用いられるもので、情報記憶部を有する読み書き可能なICチップとアンテナとにて構成されている。
【0013】
RFタグ6の情報記憶部に記憶される情報は、対応する物品収容体3に収容された物品Wに関する物品情報、対応する物品収容体3に物品Wが収容されているか否かを示す情報(空情報、実情報)、および、自動倉庫4に入庫されていることを示す入庫状態情報等である。物品情報は、品種名、入り数(収容数)、ロットナンバ、出荷形態(箱サイズ、種類、パッキング方法等)、および、製造日時分等を含むものである。なお、使用される複数の物品収容体3のすべてが自動倉庫4に保管可能であり、それら物品収容体3のすべてがシステム1内から持ち出されないようになっている。
【0014】
自動倉庫システム1は、物品Wが収容された物品収容体3を物品製造装置2の製造ラインの終端部から受け入れこの受け入れた物品収容体3を自動倉庫4の入口部まで搬送する第1搬送ライン11と、物品Wが収容された物品収容体3を自動倉庫4の出口部から受け入れこの受け入れた物品収容体3を出荷作業者等によってケース詰め等の出荷作業が行われる出荷スペース等の出荷部7まで搬送する第2搬送ライン12とを備えている。
【0015】
また、自動倉庫システム1は、出荷部7で出荷作業により物品Wが取り出された空の物品収容体3を自動倉庫4の入口部まで搬送する第3搬送ライン13と、空の物品収容体3を自動倉庫4の出口部から受け入れこの受け入れた空の物品収容体3を物品製造装置2の製造ラインの始端部まで搬送する第4搬送ライン14とを備えている。なお、各搬送ライン11,12,13,14は、ベルトコンベヤ、ローラコンベヤ等にて構成されている。
【0016】
さらに、自動倉庫システム1は、物品製造装置2にて製造された物品Wが物品収容体3に収容された場合に、この収容された物品Wに関する物品情報をRFタグ6に書き込むと同時に、そのRFタグ6に記憶されている空情報を実情報に書き換える情報書込手段21と、自動倉庫4への入庫の際に物品収容体3が第1搬送ライン11上の所定位置に到着するとRFタグ6に記憶されている物品情報(少なくとも品種名、入り数およびロットナンバ)を読み取る情報読取手段22とを備えている。
【0017】
ここで、図2に示すように、情報書込手段21は第1搬送ライン11の搬送始端側の位置に配置され、情報読取手段22は第1搬送ライン11の搬送終端側の位置に配置されている。そして、情報書込手段21は第1搬送ライン11の搬送始端近傍に配設されたRFIDリーダライタ26およびこのRFIDリーダライタ26に電気的に接続されたコンベヤ制御装置27等にて構成され、情報読取手段22は第1搬送ライン11の搬送終端近傍に配設されたRFIDリーダライタ28およびこのRFIDリーダライタ28に電気的に接続されたコンベヤ制御装置29等にて構成されている。
【0018】
複数の物品収容体3を保管する自動倉庫4は、図2に示されるように、棚32、クレーン30、および管理装置である自動倉庫管理PC31等にて構成されている。自動倉庫管理PC31は、物品収容体3の入庫および出庫等を管理制御するもので、情報読取手段22のコンベヤ制御装置29からの物品情報を受信した場合にはコンベヤ制御装置29に応答信号を送信し、このコンベヤ制御装置29はその応答信号を受信するとRFタグ6に入庫状態情報を書き込む。また、自動倉庫管理PC31は、外部のシステムからの出庫指示情報或いは出庫リストを元に人手により入力された出庫指示情報等に基づき、物品情報を検索して所望の物品収容体3を出庫する。自動倉庫管理PC31は、例えば、ある品種名の、同じ入り数で、ロットナンバの1番若いものを検索する。
【0019】
なお、自動倉庫管理PC31は、RFタグ6に記憶されているすべての情報、或いは出庫時に検索アルコニズムが必要とする必要最小限の情報を選択的に取り込むことができるので、物品Wと情報のズレは発生せず、また最もコンパクトに情報を保持できるので、高仕様なコンピュータで構成する必要がない。また、出庫時、検索アルコニズムは、入庫時にRFタグ6から得た情報のみを使って実行されるので、自動倉庫4は外部のシステムからの独立性が保証される。
【0020】
また、自動倉庫システム1は、自動倉庫4からの出庫後、出庫された物品収容体3に取り付けられたRFタグ6に記憶されている物品情報(少なくとも品種名、入り数およびロットナンバ)を読み取って、出庫指示情報に応じた出庫すべき物品収容体3であることを確認する確認用情報読取手段23を備えている。確認用情報読取手段23は、RFIDリーダライタ等にて構成され、例えば出庫すべき所望の物品収容体3であると判断した場合には入庫状態情報を消去する機能、出庫すべき所望の物品収容体3でないと判断した場合にはその旨を報知する機能等を有している。また、確認用情報読取手段23は、RFタグ6に記憶されている実情報(コンテナ実情報)を読み取って、出庫すべき所望の空の物品収容体3であることを確認する機能も有している。
【0021】
さらに、自動倉庫システム1は、自動倉庫4から出庫された物品収容体3から出荷部7で出荷作業により物品Wが取り出される際に、RFタグ6に記憶されている少なくとも出荷形態を含む物品情報、すなわち例えば品種名、入り数、出荷形態および製造日時分を読み取り、この読み取った物品情報を出荷作業者に知らせる出荷用情報読取手段24を備えている。出荷用情報読取手段24は、RFIDリーダライタ等にて構成され、例えば出荷形態を含む物品情報をモニター等の表示部で表示する機能等を有している。
【0022】
また、自動倉庫システム1は、出庫指示情報に応じて自動倉庫4から出庫された物品収容体3から出荷部7で出荷作業により物品Wが取り出された場合に、RFタグ6に記憶されているすべての物品情報を消去すると同時に、そのRFタグ6に記憶されている実情報(コンテナ実情報)を空情報(コンテナ空情報)に書き換える情報消去手段25を備えている。情報消去手段25は、RFIDリーダライタ等にて構成されている。
【0023】
次に、上記自動倉庫システム1の作用等を説明する。
【0024】
物品製造装置2で物品Wが製造されるに当たり、一時格納に使用する空の物品収容体3の出庫要求が自動倉庫4に出される。
【0025】
空の物品収容体3は、出庫要求に応じて自動倉庫4から出庫され、第4搬送ライン14にて搬送され、物品製造装置2に供給される。
【0026】
そして、物品製造装置2で製造された物品Wが物品収容体3に収容されると、情報書込手段21によりその物品収容体3に取り付けられたRFタグ6に物品Wに関する物品情報が書き込まれると同時に、そのRFタグ6に記憶されている空情報が実情報に書き換えられる。
【0027】
物品Wが収容された物品収容体3が第1搬送ライン11にて搬送されて第1搬送ライン11上の所定位置に到着すると、情報読取手段22によりその物品収容体3に取り付けられたRFタグ6に記憶されている物品情報(少なくとも品種名、入り数およびロットナンバ)が読み取られ、自動倉庫4の自動倉庫管理PC31に送信される。また、情報読取手段22にてRFタグ6に入庫状態情報が書き込まれる。
【0028】
自動倉庫4の自動倉庫管理PC31は、出庫指示情報に基づき物品情報を検索し、出庫指示情報に対応する物品収容体3を出庫し、この出庫された物品収容体3は、第2搬送ライン12にて搬送される。
【0029】
この第2搬送ライン12の搬送途中で、確認用情報読取手段23によりその出庫された物品収容体3に取り付けられたRFタグ6に記憶されている物品情報(少なくとも品種名、入り数およびロットナンバ)が読み取られ、出庫された物品収容体3に誤りがないか確認される。また、確認用情報読取手段23にてRFタグ6に記憶されている入庫状態情報が消去される。
【0030】
次いで、出荷用情報読取手段24によりその出庫された物品収容体3に取り付けられたRFタグ6に記憶されている出荷形態等を含む物品情報が読み取られ、その物品情報が出荷作業者に知らせる。出荷作業者は、出荷部7において、その物品情報を見ながら出荷作業をする。
【0031】
出荷作業により物品Wが物品収容体3から取り出されると、情報消去手段25によりその物品収容体3に取り付けられたRFタグ6に記憶されている物品情報が消去されると同時に、そのRFタグ6に記憶されている実情報が空情報に書き換えられる。
【0032】
空情報だけを持つRFタグ6が取り付けられた空の物品収容体3は、第3搬送ライン13にて搬送され、再び自動倉庫4に入庫される。
【0033】
そして、自動倉庫システム1によれば、物品収容体3に物品Wが収容された場合に物品情報をRFタグ6に書き込むと同時に物品Wが収容されているか否かを示す情報を空情報から実情報に書き換える情報書込手段21と、自動倉庫4への入庫の際にRFタグ6に記憶されている物品情報を読み取る情報読取手段22と、自動倉庫4から出庫された物品収容体3から物品Wが取り出された場合にRFタグ6に記憶されている物品情報を消去すると同時に物品Wが収容されているか否かを示す情報を実情報から空情報に書き換える情報消去手段25とを備える構成であるから、自動倉庫管理PC31等への負荷を軽減でき、システムの簡素化を容易に図ることができる。
【0034】
また、出庫指示情報に応じた出庫すべき物品収容体3であることを確認する確認用情報読取手段23を備えるため、出荷ミスを回避でき、精度の向上を図ることができる。
【0035】
さらに、RFタグ6が物品Wと物品情報の関連の整合性を保つため、余分な管理機能が不要になり、またRFタグ6がデータ媒体として働くため、自動倉庫4とその他のシステムとの分離が可能となり、メンテナンスや仕様変更を容易に行うことができる。
【0036】
また、RFタグ6が自身の状態を記憶することで、障害が発生した際における復旧作業を容易に行うことができる。
【0037】
さらに、原始データを加工せずにRFタグ6に持たせることがっでき、不要なコード化によるシステム資産の管理から開放される。
【0038】
なお、上記実施の形態は、物品製造装置2が設置された製造現場に適用した例であるが、物流センター等に適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施の形態に係る自動倉庫システムの全体概略図である。
【図2】同上自動倉庫システムの部分概略図である。
【符号の説明】
【0040】
1 自動倉庫システム
3 物品収容体
4 自動倉庫
6 RFタグ
21 情報書込手段
22 情報読取手段
23 確認用情報読取手段
24 出荷用情報読取手段
25 情報消去手段
W 物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品が出し入れ可能に収納される物品収容体と、
この物品収容体に取り付けられたRFタグと、
前記物品収容体に物品が収容された場合に、この収容された物品に関する物品情報を前記RFタグに書き込むと同時に、そのRFタグに記憶され物品が収容されているか否かを示す情報を空情報から実情報に書き換える情報書込手段と、
前記物品収容体を保管する自動倉庫と、
この自動倉庫への入庫の際に、前記RFタグに記憶されている物品情報を読み取る情報読取手段と、
前記自動倉庫から出庫された前記物品収容体から物品が取り出された場合に、前記RFタグに記憶されている物品情報を消去すると同時に、そのRFタグに記憶され物品が収容されているか否かを示す情報を実情報から空情報に書き換える情報消去手段と
を備えることを特徴とする自動倉庫システム。
【請求項2】
自動倉庫からの出庫後、RFタグに記憶されている物品情報を読み取る確認用情報読取手段を備える
ことを特徴とする請求項1記載の自動倉庫システム。
【請求項3】
情報書込手段がRFタグに書き込む物品情報は、出荷形態を含み、
自動倉庫から出庫された物品収容体から物品が取り出される際に、前記RFタグに記憶されている出荷形態を含む物品情報を読み取る出荷用情報読取手段を備える
ことを特徴とする請求項1または2記載の自動倉庫システム。
【請求項4】
情報書込手段がRFタグに書き込む物品情報は、品種名、入り数、ロットナンバおよび製造日時分を含む
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の自動倉庫システム。

【図1】
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【図2】
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