説明

自動充填包装装置

【課題】フィルム幅の変更に簡単に対応でき、横シールのタイミング調整を殆んど必要としない自動充填包装装置を提供する。
【解決手段】帯状フィルムFの走行方向を下方に向ける変向ローラ18と、変向ローラの下方でフィルムを幅方向に二つ折りとする折込装置11と、二つ折りにされたフィルムの開放側側縁同士を縦シールする縦シール装置12と、縦シールされた扁平な筒状フィルムF内へ内容物を充填するノズル装置13と、ノズル装置より下方で筒状フィルムを横シールする横シール装置20とを有し、定間隔の帯状フィルムのマークMを検出する検出装置17と、変向ローラ18を、帯状フィルムFのフィルム幅に対応して予め定められた複数の高さ位置のうちの一つに選択的に位置設定可能な位置設定手段とを有し、設定された変向ローラ18の高さ位置に応じて、横シール装置はマーク検出時に連動して該横シール装置20の作動タイミングを調整可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動充填包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
走行中の帯状フィルムを折込装置により幅方向で二つ折りにして、該帯状フィルムの開放側の側縁を縦シール装置で縦シールして筒状とし、ノズルからこの筒状フィルム内に内容物を充填した後に、間欠的に横シールし、横シール位置で切断することにより個々の包装物を製品として得る自動充填包装装置は、例えば、特許文献1にて知られている。
【0003】
特許文献1の装置では、走行する帯状フィルムは、ノズルよりも上方に位置する変向ローラによって走行方向を下方に変向された後に、下方に位置する上述の折込装置、縦シール装置、ノズルそして横シール装置を順次経るようになっている。
【0004】
この種の自動充填包装装置には、帯状フィルムは種々の幅のものが使用可能であり、用途に応じた幅の帯状フィルムが選択された上、包材として使用される。帯状フィルムは、横シールのタイミングを決定するために使用されるマークが定間隔に付されていることが多い。変向ローラから折込装置までの距離が、フィルムの幅に比して、長が過ぎるとフィルムが蛇行したり、捩れたりして安定せず皺や捩れの原因となるし、短か過ぎると折込みのためのフィルムの長さが十分に確保できない。したがって、フィルムの幅に応じて、上記変向ローラから折込装置までの距離を適切に定めねばならない。かくして、折込装置でフィルムにエッジズレ(二つ折りされたフィルムの側縁同士の不一致)や皺や捩れが発生しないように、変向ローラの高さ位置が調整される。変向ローラの高さ位置が調整されるとそれに伴い上記マークの位置までの距離も変わることとなるので、該マークの位置との関係で横シールのタイミングも調整される。したがって、このタイミングは、フィルムの幅によって、マーク検出位置から横シール位置までのフィルムの距離及び製品における横シールとマークの間の寸法で定まることとなる。
【0005】
通常、自動充填包装装置では、上記変向ローラの高さ位置そして横シールのタイミングは、任意の高さ位置そしてシールタイミングへそれぞれ自由に変更できるので、使用されるフィルムが異なる幅のものに変更されたときには、これに応じて、上記変向ローラの高さ位置そして横シールのタイミングが相俟って調整される。
【特許文献1】特許第3936212号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されている形式の自動充填包装装置では、包材としての帯状フィルムの幅が変更されると、折込装置でフィルムにエッジズレや皺や捩れが生じないようにフィルムの様子を見ながら変向ローラの高さ位置を調整していた。したがって、マーク検出装置位置から横シール位置までのフィルム走行距離も変化することになり、その調整された走行距離の変更長はどの位になるか不定であり、フィルムのマークに対する横シールのタイミングもずれてしまうので、再びこれを一定の関係となるようにタイミングを調整する必要があり、フィルムの幅変更時の作業を煩雑にすると共に、調整に長時間を要するのでその間にテストとして走行させて廃棄されるフィルムも多大であり無駄なことであった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑み、フィルム幅の変更に簡単に対応でき、横シールのタイミング調整を簡単に行なえる自動充填包装装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る自動充填包装装置は、原反から引き出されて走行する帯状フィルムを走行案内するガイドローラと、該ガイドローラに対して該帯状フィルムの走行方向後流位置で帯状フィルムの走行方向を下方に向ける変向ローラと、該変向ローラの下方に配されて走行中の帯状フィルムの幅方向中央位置に摺接して該フィルムを幅方向に二つ折りとする折込装置と、二つ折りにされて重ね合わされたフィルムの開放側側縁同士を縦シールする縦シール装置と、縦シールされて形成された扁平な筒状フィルムの上部開口から進入して筒状フィルム内へ内容物を充填するノズル装置と、該ノズル装置より下方で該筒状フィルムを間欠的に横シールする横シール装置とを有する。
【0009】
かかる自動充填包装装置において、本発明は、走行方向で定間隔に帯状フィルムに付されたマークを変向ローラよりも上流位置で検出する検出装置と、変向ローラを、帯状フィルムのフィルム幅に対応して予め定められた複数の高さ位置のうちから一つに選択的に位置設定可能な位置設定手段とを有し、設定された変向ローラの高さ位置に応じて、横シール装置はマーク検出時に連動して作動タイミングを調整可能となっていることを特徴としている。
【0010】
自動充填包装装置では、充填される内容物が変更されると、帯状のフィルムの種類、特にフィルム幅も異種のものへと変更される。フィルム幅は、連続的に無数の種類があるのではなく、段階的に複数種のものが市場に出ている。そのうち、本発明装置が扱うものはいくつかの種類に限定される。一般に、帯状フィルムは、横シールのタイミングを決定するのに使用されるマークが定間隔に付されている。このマークは、横シールのタイミングを決定するのに用いられる。その際、変向ローラの高さ位置から折込装置までの距離が適切に設定されていないと、二つ折されたフィルムにエッジズレや皺や捩れが生じてしまうことがある。また、ある幅のフィルムに対して上記距離が適切に設定されていても、フィルム幅が変更されると、再び適切な変向ローラの高さ位置を求めなくてはならない。
【0011】
フィルム幅が変更されたときには、そのフィルム幅に対してフィルムにエッジズレや皺や捩れが発生しないように、変向ローラの高さ位置を変えることとなるが、そのことによりマーク検出位置から横シール装置までのフィルム走行距離も変化することになる。そこで本発明では、予想される複数種のフィルム幅をカバーする全フィルム幅の範囲を各フィルム幅に対応して複数に区分し各区分内のフィルム幅に対して、フィルムにエッジズレや皺や捩れの発生しない変向ローラの高さ位置を予め見出しておいて、変向ローラをフィルム幅に対応した位置に設定できるようにしておく。
【0012】
複数の高さ位置のうちからの一つへの変向ローラの位置設定は、段階的に行なわれても、連続的に行なわれてもよい。段階的に設定する例としては、変向ローラを回転自在に支持する支持部、例えば軸支孔を複数の位置に設けておくことにより、位置設定手段とすることができる。連続的に設定するには、支持部を連続的に案内し駆動手段によって移動せしめ設定位置で停止かつその位置を保持するようにした位置設定手段とすることができる。段階的そして連続的なものに対し中間的に行なうことも可能である。これは段階的な各高さ位置に或る程度の高さ範囲での連続移動を可能とすることである。
【0013】
フィルム幅に変更があったときには、位置設定手段で、フィルムにエッジズレや皺や捩れの発生しないような変向ローラの複数の候補となる高さ位置のうち一つの位置を選定し、その位置に変向ローラを設定する。変向ローラが各候補の高さ位置にあるときに、必ずしも、マークが横シールに対して求められる位置にくるとは限らないので、この位置調整は横シール位置のタイミング調整によりなされる。このときには、変向ローラは高さ位置がすでに設定されていてそれ以上位置調整はなされず、横シールのタイミングのみがなされるので、この調整は微調整ですみ、短時間に行なわれる。この微調整は、例えば、操作盤での数値設定で簡単に行なうことができる。
【0014】
このように、本発明においては、変向ローラの複数の高さ位置は、用いられる可能性のある各種の帯状フィルムの幅に対応して設定されている。
【0015】
本発明において、位置設定手段は、変向ローラの高さ位置の可変範囲にわたり該変向ローラの高さ位置の表示のための目盛りを有することとし、フィルム幅が与えられたとき、これに対応する高さ位置まで変向ローラを連続的に移動せしめると共に、上記高さ位置の目盛りの値から横シールのタイミングを算出するパラメータとすることもできる。こうすることにより、折込装置でのフィルムのエッジズレや皺や捩れの発生しない位置への調整を短時間で行なうことができる。
【0016】
さらに、本発明において、変向ローラの高さ位置設定を自動的に行なうようにするために、位置設定装置は制御手段を備え、該制御手段が変向ローラの高さ位置の可変範囲における該変向ローラの高さ位置とフィルム幅の少なくとも一方を認識する認識手段と、該認識手段からの信号にもとづき、予め定められた複数の高さ位置のうちから選択された一つの位置へ変向ローラを移動せしめる駆動手段とを有するようにすることもできる。特定のフィルム幅に対応する変向ローラの高さ位置が目標値として与えられると、変向ローラの現在の高さ位置を認識手段で認識して駆動手段によって自動的に変向ローラを目標高さ位置まで移動せしめ、あるいは、特定のフィルム幅のフィルムをセットをするとその幅を認識手段で認識してそれによって対応する変向ローラの目標高さ位置へ駆動手段で自動的に変向ローラを移動せしめる。さらには、認識手段へフィルム幅を数値入力することにより、変向ローラの位置を自動で変更することもできる。ここで、駆動手段は自動のみならず手動とすることもできる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、以上のように、フィルム走行方向でのフィルムのマークと横シール装置の位置関係を一定に保つ複数の高さ位置を予め変向ローラの候補位置として設定しておいて、フィルム幅が変更されたときには、上記複数の高さ位置のうちからフィルムにエッジズレや皺や捩れが発生しない一つの位置を選定して、これを新たな変向ローラの高さ位置とすることとしたので、フィルムのマークを検出してこれと連動して作動する横シールのタイミングも、微調整で済み、フィルム幅変更時の対応が簡単になされる。したがって、調整時に無駄に捨てられるフィルムも極めて少量となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付図面の図1及び図2にもとづき、本発明の実施の形態を説明する。
【0019】
図1は、原反から帯状フィルムを引き出し、これを筒状フィルムとした後に内容物を充填し、それをさらに横シール後に切断して個々の包装体を製品として得る本実施形態としての自動充填包装装置の概要構成図である。
【0020】
図1に示される本実施形態としての自動充填包装装置は、フィルム送り出し部I、充填包装部II、製品取出部IIIを備えている。これら各部は、それらの筐体あるいは枠体が互いに分離可能に連結されて一つの装置を成している。又、製品取出部IIIは本機外に設置することも可能である。
【0021】
フィルム送り出し部Iは、装置のベース上にあって、筐体もしくは枠体の中に帯状フィルムFが巻回されて成る原反Fを回転自在に収容している。該フィルムFはその側縁に定間隔でマークMが付されている(図2参照)。該フィルム送り出し部Iには、複数のガイドローラ1〜7が設けられていて、原反Fから引き出された帯状フィルムFを変向しながら張力を与えかつ走行案内している。これらのガイドローラ1〜7のうち、ガイドローラ3には、モータ駆動を受けるローラ3Aが圧接していて、該ガイドローラ3との間でフィルムFを挟圧して定速で送り出し駆動している。又、ガイドローラ5は、揺動レバー8の先端に支持されていて、該ガイドローラ5の自重によって該揺動レバー8がその他端を中心として揺動し、レバー帯状フィルムFの張力を一定に維持している。
【0022】
上記フィルム送り出し部Iの上方には、帯状フィルムFを筒状に形成した後にこの筒状フィルムに被充填物としての内容物を充填すると共に該筒状フィルムを定間隔で横シールする充填包装部IIが配設されている。
【0023】
上記充填包装部IIでは、上記帯状フィルムFが殺菌された後に筒状フィルムに形成されるが、その工程は、外部から雑菌等が侵入しないようにされた閉筐体内で行なわれる。その目的のために、この閉筐体内には、帯状フィルムFを殺菌するための殺菌部10を備えている。
【0024】
上記殺菌部10のフィルム走行方向後流位置には、フィルム折込み装置としての折曲部材11、縦シール部材12、内容物充填用のノズル13が設けられていて、帯状フィルムFを幅方向で二つ折りして側縁同士を一致させた後に扁平な筒状フィルムに形成し、その中へ内容物を充填するようになっている。上記折曲部材11と上記殺菌部10との間には、帯状フィルムFを所定の速度で送り出す一対の駆動ローラ14、そして帯状フィルムFを案内するガイドローラ15,16がフィルム走行方向で上記駆動ローラ14に対して上流側(以下、単にこれを「上流側」といい、これと逆方向を「下流側」という)に向けて順次配設されていて、上記折曲部材11へは、帯状フィルムFはガイドローラ15,16を経て上記折曲部材11の上方に位置する変向ローラ18により下方に変向されて、上方から所定速度で送られる。上記一対の駆動ローラ14の直ぐ上流位置には、走行する上記フィルムFのマークMを検出する検出装置17がフィルムの下面側で該フィルムFの側縁に面して配設されている。
【0025】
上記駆動ローラ14から下流側に距離Lだけ離れ上記折曲部材11の上方となる位置には、フィルムFの走行方向を下方に変える上記変向ローラ18が設けられている。ここで、距離Lは変向ローラ18に対して上流側に位置する駆動ローラ14から、変向ローラ18までのフィルムパス長さを表している。この変向ローラ18は、位置設定手段によって、その高さ位置を段階的に変更設定できるようになっている。この高さ位置については再度後述する。
【0026】
上記変向ローラ18の下方に位置する折込装置としての上記折曲部材11は、本実施形態では、フィルムとの間の摩擦抵抗の小さい部材で作られていて、図2(A),(B)に見られるように、ガイド部材とこれを支持し包囲する枠部材とを有している。ガイド部材は棒状部材を逆L字状に屈曲された形状をなし、水平部11Aと下方に屈曲された垂下部11Bとを有し、垂下部11Bが、下方に走行するフィルムFの幅方向中央位置で該フィルムFに軽い接圧をもって接触する。このような逆L字状のガイド部材は水平部11Aの左端部で枠部材の端部11Dで支持され、該端部11Dに取り付けられたU字状の包囲部11Cにより上記水平部11Aが包囲されている。この包囲部11Cと上記ガイド部材の水平部11Aとの間にはフィルムが二つ折り状態で通過することを許容するU字状の隙間が形成されている。上記フィルムFはこの折曲部材11の垂下部11Bによって上記幅方向中央位置で二つ折りされて重ね合わされ、二つ折りフィルムFとして、さらに下方へ走行する。この二つ折りフィルムFは、図2(A),(B)からも判るように、右側縁が折り目となっていて左側縁が開放縁となっている。この開放縁の一方の縁に上記マークMが位置している。この二つ折りされたフィルムFは、上記包囲部11Cと水平部11Aとの間の隙間で二つ折りの状態を保って案内されつつ下方に走行する。
【0027】
二つ折りフィルムFへ上記折曲部材11が進入している側の開放縁からは、該折曲部材11と同様に逆L字状をなすノズル13が二つ折りフィルムF間に進入していて縦シール部材12の位置よりも下方にまで延びている。該縦シール部材12は、二つ折りフィルムFの面に対して両側に位置する一対ローラ12Aのローラ軸線方向両端に設けられたシールリング部材により構成されている。本実施形態では、左側のシールリング部材がフィルムFの開放縁の面と接触し縦シールに寄与する。かくして、二つ折りフィルムFは連続定速走行中に上記シール部材12によって開放縁がシールされて平坦な筒状フィルムFを形成するようになり、該筒状フィルムFの中へ上記ノズル13から内容物が充填される。その際、二つ折りフィルムFの両面側に位置するシールリング部材同士は互いに接圧回転しているが、このシール部材12を支持しているローラ12Aはシール部材12よりも径が小さいので、ローラ12A同士間にノズル13が下方へ延びることを許容する空間を確保している。なお、ローラ12Aの両端に設けられた縦シール部材(シールリング部材)12Aのうち、右方の縦シール部材は、本実施形態では、フィルム幅外にあって、縦シールには寄与していない。
【0028】
上記縦シール部材12の下方には、二つの横シール部材20,21が互いに上下に位置して配設されている。二つの横シール部材20,21ともに筒状フィルムFの面の両側に対をなして配設されていて、シール強度を十分に確保するためにフィルムの同一部位に重ねて二度横シールするものであり、前者は図において上下方向でのシール幅が大きい幅広シール部を形成し、後者は前者のシール幅内に狭いシール部を形成する。本実施形態では、二つの横シール部材20,21も周方向の複数位置、図示の例では二箇所に軸方向に延びる凸条の加熱部20A,21Aを有し、半回転毎に、一対の横シール部材20の加熱部20A同士、そして一対の横シール部材21の加熱部21A同士でフィルムを加圧して横シールがなされる。下方の横シール部材21は、上方の横シール部材20に対して定距離だけ離れているので、横シール21のシールは該定距離に相当する分だけシール位置のタイミングをずらして設定し、シールする。
【0029】
上記充填包装部IIの下方には、製品取出部IIIが配設されている。この製品取出部IIIは、本実施形態では、例えば、ミシン目形成部材31とカッター部材32とを有している。ミシン目形成部材31は横シール部分にミシン目を形成する。カッター部材32は、本実施形態では、それ自体が公知のロータリカッターとなっている。単包製品生産の場合は、上記ミシン目形成部材31は休止させ、ロータリカッター32のみで横シール部を切断する。又、連包生産、例えば3連包製品を生産する場合は、ミシン目形成部材31を2回作動させそして1回休止させ、これに対しロータリカッター2回休止させそして1回作動させる。上記作動はミシン目あるいは切断が横シールの範囲内となるように行われる。かくして、単包あるいは連包の包装体Pを製品として得る。
【0030】
次に、本実施形態装置について、フィルムのマークMを検出する検出装置17と、変向ローラ18と、横シール装置20,21との関連を説明する。
【0031】
フィルムFに定間隔で付されているマークMは、横シール装置20,21の作動時を定めるために設けられている。したがって、マークM同士間の間隔は、フィルム走行方向における最終製品の大きさと関係がある。最も単純な場合は、上記マークM同士間の間隔は上記製品の大きさに等しい。それ故に、マークの検出時と横シール時とはそれらのタイミングの間には常に一定した関係にある。これは、フィルム幅が変更されて変向ローラ18の高さ位置が変わったとき、検出装置17の位置から横シール装置20,21の位置までのフィルム走行距離も増減するので、横シールのタイミングも調整されなくてはならないことをも意味する。
【0032】
本実施形態装置において、位置設定装置(図示せず)によって、種々のフィルム幅に対応して、上記変向ローラ18はその高さ位置が変更可能となっていて、図2(A)に見られるように、複数の位置P〜Pのいずれかに選択される。すなわち、走行中にフィルムを折込むのに必要な、変向ローラ18から折込装置11までの距離Lが変更可能となっている。この距離Lが使用フィルムの幅に対して適切に設定されていないと、走行中のフィルムにエッジズレや皺や捩れが生じやすい。したがって、この距離Lは、フィルム幅が変更されたときには、このフィルム幅に対応して増減される必要がある。そこで、本実施形態では、使用される可能性のある各種フィルム幅のそれぞれについて、過去の実績にもとづいてフィルムにエッジズレや皺や捩れが生じない距離Lに対応する変向ローラ18の高さ位置P〜Pを候補の高さ位置として予め複数選定しておく。そして、変向ローラ18は、その各候補の高さ位置へ選択的に設定されるようにしておく。したがって、使用されるフィルム幅が決まると、このフィルム幅に対応した高さ位置P〜Pのうちのいずれかに選定され、図示の例では、変向ローラ18はこの高さ位置Pに設定される。しかし、この変向ローラ18の高さ位置が変わると駆動ローラ14から折込装置11までの距離L+Lが変わることとなり、その結果、マークMを検出する検出装置17から横シール装置20までの距離L(=L+L+L+L)も変わることとなる。(なお、距離Lは検出装置17から、変向ローラ18直前の駆動ローラ14までのフィルムパス長さを表す。又、距離Lは、折込装置11から下流側の横シール装置20までのフィルムパス長さを表す。)マークMと横シールの位置との関係を所定なものとするために、横シール装置20のシールタイミングを修正する。このように、本実施形態によれば、従来のように、フィルム幅が変更される毎に、変向ローラ高さの位置を試行錯誤して選定する必要がなくなり、かつ横シールタイミング調整を簡単に行なうことができる。
【0033】
本実施形態装置において、或る一つの幅のフィルムで、フィルムにエッジズレや皺や捩れが生じない良好状態で充填包装がなされている運転から、異なる幅のフィルムのもとで運転するように切り換えられたときには、上記距離Lをフィルム幅に対応して変更すべく、予め選定されたいくつかの高さ位置から一つの位置に変向ローラ18を設定する。しかる後、微調整、例えば製品長さとマークMと横シールの位置の関係から定まる横シールタイミングを数値入力する、のみで済むようになる。
【0034】
本発明は既述した実施形態には限定されず、種々変更可能である。
【0035】
本実施形態では、変向ローラの高さ位置は、予め選定された複数の位置のいずれかにあるので、変向ローラはこれらの複数の位置に移動して設定されるようになっていれば良い。例えば、移動を段階的に行なう場合には、複数の高さ位置に形成された孔のうちの選定された一つの位置での孔で変向ローラの軸部を支持することや、その際、孔を長孔として多少の高さ方向での範囲をもたせて長孔に沿って記された目盛にしたがって適宜高さ位置を定めることも可能である。
【0036】
しかし、本発明は、変向ローラが高さ方向に連続的に移動可能で任意の位置に設定されるような装置でも、適用可能である。例えば、位置設定手段は、変向ローラの高さ位置可変範囲にわたり該変向ローラの位置を表示する目盛りあるいは目印を備える。変向ローラ高さ位置の設定に際しては、手動と自動とが可能である。手動の場合には、作業者は、記録から、フィルム幅に応じた候補の高さ位置を見い出して、その候補の高さ位置まで、変向ローラを連続的に移動し、この候補位置に変向ローラの高さ位置を設定する。自動の場合には、制御装置により駆動手段で変向ローラは候補の高さ位置へ移動されて位置設定される。その際、変向ローラの高さ位置が認識されているので、マークを検出する検出位置から横シール装置までの距離が算出でき、その値にもとづいて横シールのタイミングが自動的に設定される。あるいは、フィルム幅が選定されたときにその幅を制御装置で入力すると、そのフィルム幅に最適な位置へ変向ローラを自動的に移動せしめ、そして上述の要領で横シールのタイミングも自動的に設定される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態装置の概要構成図である。
【図2】図1装置の要部を示す斜視図であり、(A)は検出装置から横シール装置までを、(B)は(A)における折込装置を拡大してそれぞれ示している。
【符号の説明】
【0038】
11 折込装置
12 縦シール装置
13 ノズル装置
17 検出装置
18 変向ローラ
20 横シール装置
帯状フィルム
M マーク
筒状フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原反から引き出されて走行する帯状フィルムを走行案内するガイドローラと、該ガイドローラに対して該帯状フィルムの走行方向後流位置で帯状フィルムの走行方向を下方に向ける変向ローラと、該変向ローラの下方に配されて走行中の帯状フィルムの幅方向中央位置に摺接して該フィルムを幅方向に二つ折りとする折込装置と、二つ折りにされて重ね合わされたフィルムの開放側側縁同士を縦シールする縦シール装置と、縦シールされて形成された扁平な筒状フィルムの上部開口から進入して筒状フィルム内へ内容物を充填するノズル装置と、該ノズル装置より下方で該筒状フィルムを間欠的に横シールする横シール装置とを有する自動充填包装装置において、走行方向で定間隔に帯状フィルムに付されたマークを変向ローラよりも上流位置で検出する検出装置と、変向ローラを、帯状フィルムのフィルム幅に対応して予め定められた複数の高さ位置のうちから一つに選択的に位置設定可能な位置設定手段とを有し、設定された変向ローラの高さ位置に応じて、横シール装置はマーク検出時に連動して作動タイミングを調整可能となっていることを特徴とする自動充填包装装置。
【請求項2】
位置設定手段は、複数の高さ位置のそれぞれにて変向ローラを回転自在に支持する回転支持部であることとする請求項1に記載の自動充填包装装置。
【請求項3】
位置設定手段は、変向ローラの高さ位置の可変範囲にわたり該変向ローラの高さ位置の表示のための目盛りを有していることとする請求項1に記載の自動充填包装装置。
【請求項4】
位置設定手段は制御手段を備え、該制御手段が変向ローラの高さ位置の可変範囲における該変向ローラの高さ位置とフィルム幅の少なくとも一方を認識する認識手段と、該認識手段からの信号にもとづき、予め定められた複数の高さ位置のうちから選択された一つの位置へ変向ローラを移動せしめる駆動手段とを有することとする請求項1に記載の自動充填包装装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−143620(P2009−143620A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−325839(P2007−325839)
【出願日】平成19年12月18日(2007.12.18)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【出願人】(393027121)株式会社ファブリカトヤマ (27)
【Fターム(参考)】