説明

自動分析用データ処理装置

【課題】連続分析の開始前に表示する所要時間や残時間の精度を向上させる。
【解決手段】分析条件を格納する分析条件ファイル13a〜13dに実測分析時間記憶領域131を設け、例えば連続分析の際に分析条件Aの下での分析を複数回実行した場合には、分析時間実測部11はそれらの分析時間をそれぞれ計測し、その平均値を分析条件ファイル13aの実測分析時間記憶領域131に保存しておく。各分析条件の下での分析を少なくとも1回ずつ実行すれば各分析条件ファイルの実測分析時間記憶領域131には実測分析時間が保存されるから、それ以降に連続分析を実行する際には、分析時間予測演算部12は分析スケジュールに記載された各分析の分析条件に対応する分析時間を実測分析時間記憶領域131から読み出してきて加算することで所要時間を推算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体クロマトグラフ(LC)やガスクロマトグラフ(GC)など、複数の試料を自動的に交換・選択しながら順次分析を実行する連続分析を行う自動分析装置において、そうした連続分析の際に全分析が終了する時刻又は全分析が終了するまでの所要時間をユーザーに提示するための自動分析用データ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば液体クロマトグラフでは、予め多数の試料をオートサンプラのラックにセットしておき、オペレータがそれら試料の分析順序や分析条件などを規定する分析スケジュールを入力した上で分析開始を指示しておくと、その分析スケジュールの規定に従って試料が順次選択・交換され、各試料毎に設定されている分析条件の下で分析が自動的に実行される。液体クロマトグラフでは、1つの試料の分析に時間が掛かる場合も多く、多数の試料について連続分析を行う場合にはかなり長い時間が掛かることもある。そのため、こうした連続分析の際にオペレータが装置の傍で常時監視するのは非効率的である。
【0003】
こうした問題に対し、従来、連続分析の開始前に連続分析の所要時間や連続分析の分析終了時刻を推算し、これをディスプレイの画面上に表示する装置が知られている(特許文献1など参照)。これによれば、オペレータは連続分析開始前におおよその分析終了時刻を知ることができ、その終了時刻近くまで装置の傍を離れて別の作業を行ったり休息をとったりすることができる。しかしながら、連続分析の所要時間や分析終了時刻の推算精度が低いと、オペレータが装置の設置場所に戻っても未だ分析が終了していなかったり逆に既に分析が終了して時間が経過してしまったりする場合がある。したがって、測定効率をさらに改善するためには連続分析開始前における連続分析所要時間の推算精度を高めることが重要である。
【0004】
或る1つの分析における所要時間は大別して、オートサンプラ等による試料の交換・選択、試料の濃縮、希釈、混合等の前処理に要する分析前準備時間と、実際に試料に対する分析が実行されている分析実行時間とに分けられる。このうち、分析実行時間は一般に分析条件により規定されるので変動しないが、分析前準備時間は、例えばオートサンプラにより交換しようとしている試料が載置されている位置の相違や、採取すべき試料の量の相違、或いは温度などの分析条件の変更に要する時間の相違などによってばらつく可能性がある。そこで、特許文献1に記載の装置では、例えば連続分析において1つ前の分析と次の分析との分析条件の遷移状態(例えば分析条件A→分析条件Bへの遷移等)に着目し、分析前準備時間を実測してその分析条件の遷移状態と対応付けて記憶しておき、これを利用して連続分析の所要時間の推算精度を高めるようにしている。
【0005】
しかしながら、分析条件の種類が或る程度多い場合には、連続する2つの分析における分析条件の組み合わせである遷移状態の種類はかなり多くなる。そのため、過去に実測された分析前準備時間を参照するために記憶手段を検索しても、該当する分析前準備時間が用意されておらず、結局、実測によらないデフォルト値を使わざるをえない場合が増えて連続分析所要時間の推算精度を高めることが難しい場合がある。
【0006】
【特許文献1】特開2005−227211号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、複数の試料に対する分析を連続的に実行する自動分析装置において、連続分析実行前にできるだけ高い精度で分析所要時間や分析終了時刻をオペレータに知らせることができる自動分析用データ処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために成された本発明は、予め設定された分析スケジュールに従って複数の試料を順次交換又は選択しながら各試料に対する分析を連続的に実行する連続分析を行う自動分析装置のためのデータ処理装置であって、
a)分析条件に対応付けて実測分析時間を記憶しておくための記憶手段と、
b)連続分析を実行する過程で、少なくとも前記記憶手段に実測分析時間が記憶されていない分析条件が設定された分析について所要時間を実測し、該分析条件に対応する実測分析時間として該記憶手段に格納する時間計測手段と、
c)連続分析開始前にその分析スケジュールに設定されている各分析の分析条件を調べ、前記記憶手段によりそれぞれの分析条件に対応する実測分析時間を求めて該連続分析の全分析所要時間又は終了予定時刻を算出する時間計算手段と、
d)該時間計算手段により算出された全分析所要時間又は終了予定時刻を表示する情報表示手段と、
を備えることを特徴としている。
【0009】
ここで言う「分析時間」とは或る試料に対する分析に必要な処理(試料の交換や選択・採取、各種前処理、分析条件の設定・準備など)に要する時間、つまり分析前準備時間と、実際に試料に対する分析操作を実行してデータを収集している分析実行時間とを合わせたものをいう。
【0010】
なお、この自動分析装置において或る分析条件の下での分析を一度も実行したことがない場合には記憶手段には該分析条件に対応する実測分析時間は存在しないから、その場合に時間計算手段は、例えば該分析条件に既定された分析実行時間に適宜の分析前準備時間を加算して実測分析時間に代えて用いるようにするとよい。
【0011】
本発明に係る自動分析用データ処理装置では、オペレータが分析スケジュールを組んで例えばこのスケジュールに従った分析の開始を指示すると、時間計算手段はまず分析スケジュールに設定されている各分析の分析条件を調べる。そして、記憶手段によりそれぞれの分析条件に対応する実測分析時間を求め、もし対応する実測分析時間が存在しない場合には上述したように代わりとなる時間を用い、これらを加算することにより連続分析の全分析所要時間を算出する。そして、必要に応じて全分析終了時刻を算出し、情報表示手段により全分析所要時間又は全分析終了時刻を表示してオペレータに知らせる。これにより、オペレータは連続分析の実行開始前又はその直後に連続分析終了時刻を知ることができる。
【0012】
一方、連続分析が開始されると、分析スケジュールに設定されている各分析の実行に伴って、時間計測手段は、少なくとも記憶手段に実測分析時間が記憶されていない分析条件が設定された分析について所要時間を実測する。もちろん、記憶手段に実測分析時間が記憶されている分析条件であっても、該分析についての所要時間を実測してもいっこうに構わない。そして、分析条件に対応付けて実測分析時間を記憶手段に記憶させる。したがって、少なくとも1回、或る分析条件の下での分析が実行されれば、その分析条件に対応した実測分析時間が記憶手段に格納されることになる。
【0013】
上述したように分析条件が同一であったとしても分析時間のうち分析前準備時間は変動する可能性がある。例えば液体クロマトグラフでは一般に分析実行時間が長いため、上記変動による分析前準備時間のばらつきは分析実行時間の長さに比べれば小さいが、それでも正確性を高めるためにはこのばらつきの影響を軽減することが望ましい。そこで、本発明に係る自動分析用データ処理装置の一態様として、前記時間計測手段は、同一分析条件が設定された複数の分析について所要時間をそれぞれ実測し、それら所要時間の平均値を計算してその分析条件に対応する実測分析時間とする構成とすることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、同一分析条件の下で実行された複数の分析の実測分析時間の平均値が実測分析時間として記憶手段に格納されるので、分析前準備時間のばらつきが軽減され連続分析所要時間の推算精度を高めることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る自動分析用データ処理装置によれば、連続分析開始時において連続分析所要時間を計算するために利用する実測分析時間は分析条件毎に対応付けられているため、過去に1回でも使用された分析条件の下での分析については実測による分析時間を用いて連続分析所要時間を求めることができる。これにより、オペレータに提示する連続分析所要時間又は分析終了時刻の算出精度を向上させることができるから、連続分析実行中にオペレータが装置から離れていても連続分析が終了する直前又は直後に装置の設置場所に戻って来ることが可能となる。したがって、測定を効率良く行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に係るデータ処理装置を備える自動分析装置の一実施例として液体クロマトグラフを挙げて、図面を参照しつつ説明する。図1は本実施例による液体クロマトグラフの要部のブロック構成図である。
【0017】
この液体クロマトグラフは、移動相容器1、送液ポンプ2、オートサンプラ3、カラムオーブン4に内装されたカラム41、検出器5、これら各部をそれぞれ制御する分析制御部6、分析制御部6を通して分析作業を管理したり検出器5で得られたデータを解析・処理したりする制御/処理部10、制御/処理部10に接続された操作部7、表示部8などを備える。制御/処理部10の実体はパーソナルコンピュータであり、パーソナルコンピュータにインストールした専用の制御/処理ソフトウエアを実行することにより後述するような各種機能が達成される。図1に示すように、制御/処理部10は、本装置に特徴的な機能ブロックとして、分析時間実測部11、分析時間予測演算部12、分析条件ファイル記憶部13などを含む。分析条件ファイル記憶部13には、分析条件の種類(A、B、C、D、…)毎にそれぞれ別々のファイル13a、13b、13c、13dで分析条件の詳細が記載されるようになっており、各分析条件ファイル13a、13b、13c、13dにはそれぞれ実測分析時間を格納する記憶領域131が設けられている。
【0018】
或る1つの試料に対する標準的な分析動作は次の通りである。即ち、制御/処理部10から指示を受けた分析制御部6の制御の下で、送液ポンプ2は移動相容器1から吸引した移動相を略一定流量で以てオートサンプラ3を介してカラム41へと流す。オートサンプラ3には多数の試料瓶(バイアル)が搭載されたラック31がセットされており、分析制御部6の制御の下に所定の試料を選択してこれを採取し、所定のタイミングで以て該試料を移動相中に注入する。この試料は移動相に乗ってカラム41へと導入される。カラム41を通過する間に試料中の各成分は時間的に分離されて溶出し、検出器5は各成分を順次検出してその濃度に応じた検出信号をデジタル化したデータを分析制御部6を介して制御/処理部10へ送る。制御/処理部10では受け取ったデータをハードディスク等の記憶装置に格納するとともに、所定の処理を行ってクロマトグラムを作成し表示部8の画面上に表示する。
【0019】
この液体クロマトグラフでは、ラック31に用意された多数の試料を所定順序で選択しながら連続的に自動分析が行えるようになっている。その際の特徴的な動作について、図2〜図5を参照して以下に説明する。
【0020】
連続分析を行う際には、分析の実行に先立って、オペレータは操作部7から分析スケジュールを設定する。図3は分析スケジュールの一例であり、例えば図3(a)に示す分析スケジュールXaでは、試料名A−1、A−2、B−1、B−2、B−3の5つの試料に対する分析を順次実行するように設定されており、各分析の分析条件は順にA、A、B、B、Bである。例えば分析条件Aが設定されていれば分析条件ファイル記憶部13に記憶されている分析条件ファイル13aを読み出してきて、そのファイル13aに記載されている内容に基づいて分析を実行する。具体的には各分析条件ファイルには、例えばカラムオーブン4の温度プロファイル、オートサンプラ3による試料注入条件、分析実行時間などが含まれ、これ以外に上述した実測分析時間が含まれる。
【0021】
実測分析時間は、過去に実際に実行されたその分析条件の下での分析の際に実測された分析時間であり、実際には、その分析条件のみに依存する固定値である分析実行時間と、可変値である分析前準備時間との和である。いま、ここでは初期状態として全ての分析条件ファイルの実測分析時間が記憶されていない状態を想定する。これは、例えばこの装置が購入後に初めて使用される場合などである。
【0022】
オペレータが図3(a)に示したような分析スケジュールXaを設定した後に連続分析開始の指示を与えると(ステップS10)、制御/処理部10において分析時間予測演算部12は設定されている分析スケジュールから各分析の分析条件を抽出する(ステップS11)。いま分析スケジュールXaでは分析条件A、分析条件Bが抽出される。それから、分析条件ファイル記憶部13にアクセスし、それぞれの分析条件に対応した分析条件ファイル13a、13bの記憶領域131の内容を読み出して実測分析時間ta、tbを求める(ステップS12)。但し、上述したように初期状態では記憶領域131には実測分析時間ta、tbが記憶されていないから、その場合には、次のステップS13で各分析条件毎に予め規定されているデフォルト値を実測分析時間に代えて採用する。ここでは、分析条件A〜Dに対する分析時間のデフォルト値は図2に示すように規定されているものとする。
【0023】
次に上記のようにして求めた実測分析時間又は分析時間デフォルト値を全て加算することで連続分析の所要時間を計算する(ステップS14)。具体的には、分析スケジュールXaでは分析条件Aの下での分析が3回、分析条件Bの下での分析が2回実行され、分析条件Aの分析時間デフォルト値は10分、分析条件Bの分析時間デフォルト値は15分であるから、連続分析所要時間は65分であると計算できる。また、分析開始時点では残時間は所要時間と等しいから残時間も65分であると計算できる。そして、こうして算出した所要時間、残時間を例えば図5に示すように予測総所要時間、予測残時間として表示部8の画面上に開いたウインドウ20内に表示させる(ステップS15)。なお、後述のように予測終了時刻を算出してこれを表示してもよい。オペレータはこの表示を見て残り時間や分析終了時刻を確認し、例えばその装置の傍を離れて他の作業を行い、分析終了時刻近くになったときに装置の設置場所に戻ってくればよい。
【0024】
上記表示において予測残時間は1分毎の時間経過に伴って減算するように表示が更新される。それ以外に、分析が進行するに伴い、予測総所要時間及び予測残時間は次のように順次更新される。即ち、分析スケジュールXaに記載の1行目の分析、つまり分析条件Aの下での分析が実行されるとき、分析時間実測部11は分析開始から分析終了までの所要時間を計測する。したがって、1行目の分析が終了した時点で分析条件Aに対応する実測分析時間が求まる。そこで、分析時間予測演算部12は分析時間実測部11から実測分析時間の情報を受け取って所要時間の予測値を修正する。例えば、1行目の分析が終了した時点で分析条件Aに対応する実測分析時間が12分であったとすると、先に分析条件Aの分析時間デフォルト値10分として計算した予測値を実測分析時間12分に置き換えて再計算する。すると、所要時間は69分と求まる。このとき、既に分析開始から12分が経過しているから、残時間は57分であり、それに応じて表示は修正される。
【0025】
次に、分析スケジュールXaに記載の2行目の分析、つまり分析条件Aの下での分析が実行されるときにも、分析時間実測部11は分析開始から分析終了までの所要時間を計測する。したがって、2行目の分析が終了した時点で分析条件Aに対応する実測分析時間が再び求まる。同一の分析条件に対し分析条件のみに依存する分析実行時間は同一であるが分析前準備時間は異なる場合がある。いま、2行目の分析での実測分析時間は11.8分であったとすると、分析時間実測部11はこの値と先の分析条件Aについての実測分析時間12分との平均を計算する。この実測分析時間の平均値は11.9分となる。分析時間予測演算部12はこの値に基づいて再度所要時間を修正するが、分析スケジュールXaにはこれ以降、分析条件Aの下での分析は含まないから残時間の修正はない(つまり時間の減算が飛ぶことはない)。
【0026】
さらに分析スケジュールXaに記載の3行目の分析が実行されると、今度は分析条件Bの下での分析の実測分析時間が求まる。例えば、この実測分析時間が18分であったとすると、先に分析条件Bの分析時間デフォルト値15分として計算した予測値を実測分析時間18分に置き換えて再計算する。すると、連続分析所要時間は77.8分と求まり、残り時間は36分となる。
【0027】
続いて、分析スケジュールXaに記載の4行目の分析が実行されるときにも、分析条件Bの下での分析の実測分析時間が求まる。そして、実測分析時間が求まった段階で先に求められた分析条件Bに対する実測分析時間との平均値が計算され、これに基づいて所要時間の予測値と残時間が修正される。
【0028】
最終的に、分析スケジュールXaに記載の全ての分析が終了すると、2回の分析条件Aの下での分析に対する実測分析時間の平均値と、 3回の分析条件Bの下での分析に対する実測分析時間の平均値とが得られるから、これを分析条件ファイル13a、13bの実測分析時間記憶領域131に保存する。こうした状態において次に図3(b)に示す分析スケジュールXbが設定されたとき、図4に示すフローチャートに従って所要時間の計算が実行されるが、このときには分析条件A及びBについてはそれぞれの分析条件ファイル13a、13bの記憶領域131に実測分析時間が保存されている。したがって、ステップS12の処理においてはこの実測分析時間ta、tbが読み出され、分析条件ファイルに未だ実測分析時間が保存されていない分析条件C、Dの下での分析についてのみステップS13の処理で図2に示したデフォルト値が採用される。
【0029】
そして、分析スケジュールXbに従って各分析が実行されるに伴い、各分析の開始時点から終了時点までの所要時間が計測され、これによって表示される予測総所要時間や予測残時間が修正されることは前述の通りである。分析スケジュールXbの全ての分析が終了して時点では、新たに分析条件C、Dの下での分析の実測分析時間がそれぞれ求まるから、これを分析条件ファイル13c、13dの実測分析時間記憶領域131に保存する。なお、分析条件A、Bについては既に実測分析時間ta、tbは各分析条件ファイルに保存されているが、標本点数が多いほど平均値の片寄りは修正されるから、例えば、新たに実測により得られた分析時間の値と既に分析条件ファイルに保存されている値との平均値を計算し、分析条件ファイルの記憶領域131に保存されている値を更新するようにしてもよい。
【0030】
上記のように分析条件A、B、C、Dの下での分析の実測分析時間ta、tb、tc、tdがいずれも分析条件ファイル13a、13b、13c、13dに保存されている状態において次に図3(c)に示す分析スケジュールXcが設定されたとき、図4に示すフローチャートに従って所要時間の計算が実行されるが、このときには全ての実測分析時間が得られるので、図2に示したデフォルト値は使用されない。したがって、分析開始前から高い精度で以て所要時間と残時間を算出することができ、この表示を見てオペレータが装置の傍から離れ分析が終了する頃に戻って来たときに、分析終了までに未だ長い時間が残っていたり、逆に分析終了から長い時間が経過していたりするといった無駄が軽減できる。
【0031】
上記実施例は1台の液体クロマトグラフでの構成及び動作を説明したものであるが、近年、複数の分析装置をネットワークに接続して集中的に管理したり、或いはネットワークに接続した端末から分析状況を容易に確認できるようにした分析システムが利用されている。こうしたシステムでは、例えば図6に示すような画面において複数の分析装置の稼働状況を一覧で表示することが可能であるが、上記のようにして高い精度で算出した予測総所要時間や残時間を用いて予測終了時刻を計算し、この一覧表に表示するようにすれば、オペレータは装置の近くに行かなくても分析終了時刻を簡単に知ることができる。
【0032】
なお、上記実施例は本発明の一実施例にすぎないから、本発明の趣旨の範囲で適宜変更、修正、追加を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施例である液体クロマトグラフのブロック構成図。
【図2】分析条件対する分析時間デフォルト値の一例を示す図。
【図3】連続分析を行う際に設定される分析スケジュールの一例を示す図。
【図4】本実施例の液体クロマトグラフにおいて連続分析実行前の所要時間計算動作のフローチャート。
【図5】本実施例の液体クロマトグラフにおける総所要時間と残時間の表示の一例を示す図。
【図6】分析システムにおいて複数の分析装置の稼働状況を一覧で表示する画面の一例を示す図。
【符号の説明】
【0034】
1…移動相容器
2…送液ポンプ
3…オートサンプラ
31…ラック
4…カラムオーブン
41…カラム
5…検出器
6…分析制御部
7…操作部
8…表示部
10…制御/処理部
11…分析時間実測部
12…分析時間予測演算部
13…分析条件ファイル記憶部
13a〜13d…分析条件ファイル
131…実測分析時間記憶領域


【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め設定された分析スケジュールに従って複数の試料を順次交換又は選択しながら各試料に対する分析を連続的に実行する連続分析を行う自動分析装置のためのデータ処理装置であって、
a)分析条件に対応付けて実測分析時間を記憶しておくための記憶手段と、
b)連続分析を実行する過程で、少なくとも前記記憶手段に実測分析時間が記憶されていない分析条件が設定された分析について所要時間を実測し、該分析条件に対応する実測分析時間として該記憶手段に格納する時間計測手段と、
c)連続分析開始前にその分析スケジュールに設定されている各分析の分析条件を調べ、前記記憶手段によりそれぞれの分析条件に対応する実測分析時間を求めて該連続分析の全分析所要時間又は終了予定時刻を算出する時間計算手段と、
d)該時間計算手段により算出された全分析所要時間又は終了予定時刻を表示する情報表示手段と、
を備えることを特徴とする自動分析用データ処理装置。
【請求項2】
前記時間計測手段は、同一分析条件が設定された複数の分析について所要時間をそれぞれ実測し、それら所要時間の平均値を計算してその分析条件に対応する実測分析時間とすることを特徴とする請求項1に記載の自動分析用データ処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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