説明

自動分析装置

【課題】本発明は、障害解析に必要な情報が容易の得ることができる自動分析装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、分析部、制御部、第1記憶部等が備わる分析本体部と、入力部、表示部、印字部、第2記憶部等が備わる操作部を有する自動分析装置において、前記分析部で分析したデータ、前記表示部に表示する画面情報、前記入力部で入力する入力データを含む各種データ情報を前記第1記憶部に記憶し、自動分析装置に発生する障害の解析に必要な分析依頼や装置構成、警告、分析結果、装置状態を含む障害関連情報を前記各種データ情報より選定して前記第2記憶部に記憶することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動分析装置に係り、記憶媒体として複数の記憶部を有する自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は、例えば特許文献1に示される。
【0003】
この自動分析装置において、分析部または制御部に障害が発生した場合、表示部への表示や印字部への印字の情報をもとに、装置の障害解析を実施していた。
【0004】
また、障害発生原因の解析のために分析依頼や装置構成、警告、分析結果、装置状態を含む情報を装置から取得して解析する手段がある。
【0005】
【特許文献1】特開2006−10363号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
情報の記憶可能容量には上限があるため、障害が発生した場合、発生後の運用により過去の情報が新しい情報によって更新されることがあった。
【0007】
すなわち、自動分析装置の記憶部に格納している装置の情報は記憶可能範囲が限られているため、過去の情報が最新の情報によって更新されることがある。
【0008】
そのため、リモート接続が不可である場所に設置された装置の障害発生時の情報を確認することが難しく、障害解析に必要な情報の取得に時間を要することがあった。
【0009】
本発明は、上記の問題に鑑み、障害解析に必要な情報を容易に得ることができる自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、分析部、制御部、第1記憶部等が備わる分析本体部と、入力部、表示部、印字部、第2記憶部等が備わる操作部を有する自動分析装置において、前記分析部で分析したデータ、前記表示部に表示する画面情報、前記入力部で入力する入力データを含む各種データ情報を前記第1記憶部に記憶し、自動分析装置に発生する障害の解析に必要な分析依頼や装置構成、警告、分析結果、装置状態を含む障害関連情報を前記各種データ情報より選定して前記第2記憶部に記憶することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、障害関連情報を第2記憶部より容易に入手することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施例について、図を引用して説明する。
【0013】
まず、自動分析装置の全体構成を表す図1に沿って説明する。
【0014】
自動分析装置は、分析部1−1、制御部1−7、第1記憶部1−2等が備わる分析本体部と、入力部1−3、表示部1−4、印字部1−5、第2記憶部1−6等が備わる操作部を有する自動分析装置を有する。
【0015】
ユーザによって入力部1−5から分析の依頼が入力され、入力された依頼は表示部1−3に表示するとともに制御部1−7に送信される。
【0016】
制御部1−7は依頼を割り付け、依頼に関する情報を第1記憶部1−2に格納し、分析部1−1に送信する。分析部1−1では依頼された項目の検体に試薬を添加し、化学反応させて、その濃度を測定結果として算出する。
【0017】
測定結果は制御部1−7に送信され、第1記憶部1−2に格納するとともに、表示部1−3への結果表示および印字部1−4からの結果印字を行う。
【0018】
次に第2図を引用して動作フロ−を説明する。
【0019】
ユーザが入力部1−5から装置にログインすることにより運用を開始する(2−1)。 その後の運用に従い、制御部1−7は分析依頼や装置構成、警告、分析結果、装置状態を含む装置情報を第1記憶部1−2に累積する(2−2)。
【0020】
分析部1−1または制御部1−7において障害が発生したとき(2−3)、制御部1−7は障害のレベルに従った警告を出力し、表示部1−3に表示する(2−4)。
【0021】
ユーザはサービス担当に障害が発生したことを連絡し(2−5)、サービス担当は障害のレベルから解析が必要であることを判断した場合(2−6)、解析のための装置情報の取得作業をユーザに依頼する(2−7)。
【0022】
第3図に情報収集機能実施画面を示す。
【0023】
3−1は、Data File BackUpボタン、3−2はキャンセルボタン、3−3はOKボタンである。
【0024】
ユーザは、入力部1−5のメンテナンス項目から情報収集機能実施画面を開き(2−8)、3−1押下によりData File BackUpを選択し、3−3を押下することで(2−9)、データファイル選択画面を表示する(2−10)。3−2押下のとき情報収集機能実施画面を閉じる。
【0025】
第4図にデータファイル選択画面を示す。
【0026】
4−1はAll Data Fileボタン、4−2はSelect Data Fileボタン、4−3はデータファイル選択ボタン、4−4はキャンセルボタン、4−5はOKボタンである。
【0027】
ユーザは、4−1により全ファイルの収集を行うか、4−2により収集する情報を選択するかのいずれかを選択し(2−11)、さらに4−2選択時は、4−3チェックボックスにより収集する情報を選択し(2−12)、4−5を押下する(2−13)。
【0028】
4−4押下のときは、データファイル選択画面を閉じる。
【0029】
装置状態がスタンバイであることにより情報収集実行可能と判断された場合(2−14)、実行確認画面を表示する(2−15)。
【0030】
実行確認画面に関して図7を引用して説明する。
【0031】
7−1は実行を回避するNoボタン、7−2は実行を継続するYesボタンである。
【0032】
5−2押下により、装置情報の収集を開始する(2−16)。データファイル収集中である旨のメッセージを表示部1−3に表示する。
【0033】
制御部1−7は、データファイル選択画面での選択に従い第1記憶部1−2から装置情報の収集を行い、第2記憶部1−6にコピーする(2−17)。コピー終了後、データファイル収集完了のメッセージを表示部1−3に表示する(2−18)。
【0034】
サービス担当は、第2記憶部1−6に収集されたデータの解析を行う(2−19)。
【0035】
第1記憶部1−2と第2記憶部1−6との違いを更に詳しく説明する。
【0036】
第1記憶部1−2には、分析部で分析したデータ、表示部に表示する画面情報、入力部で入力する入力データを含む各種データ情報が蓄積される。
【0037】
これに対し、第2記憶部1−6には、自動分析装置に発生する障害の解析に必要な分析依頼や装置構成、警告、分析結果、装置状態を含む障害関連情報が蓄積される。つまり、各種データ情報より選定された障害関連情報だけが蓄積される。
【0038】
このため、第2記憶部1−6に蓄積されている記録より、障害解析に必要な情報が入手できる。
【0039】
また、各種データ情報を蓄積する第1記憶部1−2には、記憶容量にも限度がある。一杯になると、上書き保存により、過去の情報が最新の情報によって更新されてなくなる。このため、障害解析に必要な情報が入手困難になる。
【0040】
第2記憶部1−6には、選定された障害関連情報だけに搾られて蓄積されるので、過去の情報を含む一連を第2記憶部1−6より入手でき、障害解析に必要な情報が容易に確保できる。
【0041】
次に、図5に示す障害に関する情報の収集について説明する。
【0042】
ユーザは入力部の入力画面から装置にログインすることにより運用を開始する(5−1)。その後の運用に従い、装置は分析依頼や装置構成、警告、分析結果、装置状態を含む装置情報を第1記憶部1−2に累積する(5−2)。
【0043】
分析部1−1または制御部1−7において障害が発生したとき(5−3)、制御部1−7は障害のレベルに従った警告を出力し、表示部1−3に表示する(5−4)。
【0044】
制御部1−7は、警告の発生元を判定し(5−5)、発生部位によって全情報を取得するか(5−6)、または収集する情報を選別するかの切り分けを行う。
【0045】
発生元が制御部1−7、アラームコードにより収集する情報を細分化する(5−7)。情報の収集にあたり、装置状態がスタンバイであることにより情報収集実行可能と判断された場合(5−8)、情報の収集を開始する旨のメッセージを表示する。
【0046】
装置状態がスタンバイ以外のときは、スタンバイ状態への遷移を促す旨のメッセージを表示する。この場合、自動による取得は行わない。
【0047】
情報取得時、制御部1−7は、全情報またはアラームコード識別による選択に従い第1記憶部1−2から装置情報の収集を行い、第2記憶部1−6にコピーする(5−9)。
【0048】
コピー終了後、データファイル収集完了のメッセージを表示部1−3に表示する(5−10)。サービス担当は、第2記憶部1−6に収集されたデータの解析を行う(5−11)。
【0049】
上記のように障害発生時の警告を起点として、自動でその時点での当該障害解析に有用な情報を判断し第1記憶部の情報を収集して第2記憶部に記憶する。こうして、障害解析に必要な情報の収集が自動で行なわれるので、ユーザにかかる情報収集の負担を軽減できる。
【0050】
図6に示す他の実施例について説明する。
【0051】
この実施例は、図1に示す実施例に、バックアップ第1記憶部6−8を追加したところが特徴である。
【0052】
バックアップ第1記憶部6−8には、第1記憶部6−2と同様に各種データ情報が記憶される。第2記憶部には、各種データ情報から選定された障害関連情報が記憶される。
【0053】
第2記憶部への障害関連情報の記憶は、第1記憶部6−2、バックアップ第1記憶部6−8と一緒に行なわれる。
【0054】
また、第2記憶部への障害関連情報の記憶は、バックアップ第1記憶部6−8に蓄積した後、入力部6−5の手動操作によりバックアップ第1記憶部6−8よりコピーを取るようにすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施例に係わるもので、自動分析装置の概略図。
【図2】本発明の実施例に係わるもので、障害関連情報を収集する動作フロー。
【図3】本発明の実施例に係わるもので、情報収集機能実施画面。
【図4】本発明の実施例に係わるもので、データファイル選択画面。
【図5】本発明の実施例に係わるもので、障害関連情報を収集する他の動作フロー。
【図6】本発明の他の実施例に係わるもので、自動分析装置の概略図。
【図7】本発明の実施例に係わるもので、実行確認画面図。
【符号の説明】
【0056】
1−1…分析部、1−2…第1記憶部、1−3…表示部、1−4…印字部、1−5…入力部、1−6…第2記憶部、3−1…Data File BackUpボタン、3−2…Cancelボタン、3−3…OKボタン、4−1…All Data Fileボタン、4−2…Select Data Fileボタン、4−3…データファイル選択ボタン、4−4…Cancelボタン、4−5…OKボタン、6−8…バックアップ第1記憶部、1−7…制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析部、制御部が備わる分析本体部と、入力部、表示部、印字部、第2記憶部等が備わる操作部と、第1記憶部を有する自動分析装置において、
前記分析部で分析したデータ、前記表示部に表示する画面情報、前記入力部で入力する入力データを含む各種データ情報を前記第1記憶部に記憶し、
自動分析装置に発生する障害の解析に必要な分析依頼や装置構成、警告、分析結果、装置状態を含む障害関連情報を前記各種データ情報より選定して前記第2記憶部に記憶することを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
分析部、制御部、第1記憶部等が備わる分析本体部と、入力部、表示部、印字部、第2記憶部等が備わる操作部を有する自動分析装置において、
前記分析部で分析したデータ、前記表示部に表示する画面情報、前記入力部で入力する入力データを含む各種データ情報を前記第1記憶部に記憶し、
自動分析装置に発生する障害の解析に必要な分析依頼や装置構成、警告、分析結果、装置状態を含む障害関連情報を前記各種データ情報より選定して前記第2記憶部に記憶することを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
分析部、制御部、第1記憶部等が備わる分析本体部と、入力部、表示部、印字部、第2記憶部等が備わる操作部を有する自動分析装置において、
前記操作部に前記第1記憶部に相当するバックアップ第1記憶部を設け、
前記分析部で分析したデータ、前記表示部に表示する画面情報、前記入力部で入力する入力データを含む各種データ情報を前記第1記憶部、および前記バックアップ第1記憶部に記憶し、
自動分析装置に発生する障害の解析に必要な分析依頼や装置構成、警告、分析結果、装置状態を含む障害関連情報を前記各種データ情報より選定して前記第2記憶部に記憶することを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載された自動分析装置において、
前記第1記憶部に記憶されている各種データ情報から前記障害関連情報を選定して第2記憶部に記憶することを特徴とする自動分析装置。
【請求項5】
請求項3記載に記載された自動分析装置において、
前記バックアップ第1記憶部に記憶されている各種データ情報から前記障害関連情報を選定して第2記憶部に記憶することを特徴とする自動分析装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5の何れかに記載された自動分析装置において、
前記障害関連情報を選定して第2記憶部に記憶させる指示は、前記入力部からの入力操作によることを特徴とする自動分析装置。
【請求項7】
液体試料の成分濃度を試薬添加により化学反応させ、その濃度を測定分析する分析部と、
分析に必要なパラメ−タや分析操作、品質管理、メンテナンスなどの入力項目に対する応答や分析の結果を画面表示する表示部と、
測定結果や装置の情報などを印字する印字部と、
画面選択や画面の入力項目に対して入力する入力部と、
前記分析部で分析したデ−タと前記表示部に表示する画面情報や入力部で入力された入力データを含む各種データ情報を記憶する第1記憶部を有する自動分析装置において、
前記各種データ情報から選定された、自動分析装置に発生する障害の解析に必要な分析依頼や装置構成、警告、分析結果、装置状態を含む障害関連情報を記憶する第2記憶部に備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項8】
請求項1〜請求項5、および請求項7の何れかに記載された自動分析装置において、
前記分析部または前記制御部に障害が発生したとき、障害発生時の警告を起点として、障害関連情報を前記第2記憶部に記憶させることを特徴とする自動分析装置。
【請求項9】
請求項1〜6の何れかに記載された自動分析装置において、
前記障害関連情報を前記第2記憶部に記憶させる際に記憶するデータ情報を選択する情報選択画面が、前記表示部に表示される表示画面の一つとして含まれることを特徴とする自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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