自動分析装置
【課題】装置を大型化および複雑化させることなく、処理能力を向上できる自動分析装置を提供する。
【解決手段】自動分析装置100は、第1反応セル2において、前処理液によって検体の前処理を行うことにより前処理検体を作成する第1処理を行い、第2反応セル2において、前処理検体を試薬と反応させて反応検体を作成する第2処理を行い、前記制御手段10は、ターンテーブル4を第1方向Aに第1角度だけ回転させて停止させる第1制御と、ターンテーブルを第2方向Bに第2角度だけ回転させて停止させる第2制御と、を繰り返し行い、第2反応セル2は、第1反応セル2よりも第1方向Aに第2角度だけ離れた位置に配置され、ターンテーブル4は、第1制御および第2制御が繰り返されることによって、第1反応セル2および第2反応セル2が、少なくとも第1ポジションP1、第2ポジションP2、および第3ポジションP3に停止するように回転する。
【解決手段】自動分析装置100は、第1反応セル2において、前処理液によって検体の前処理を行うことにより前処理検体を作成する第1処理を行い、第2反応セル2において、前処理検体を試薬と反応させて反応検体を作成する第2処理を行い、前記制御手段10は、ターンテーブル4を第1方向Aに第1角度だけ回転させて停止させる第1制御と、ターンテーブルを第2方向Bに第2角度だけ回転させて停止させる第2制御と、を繰り返し行い、第2反応セル2は、第1反応セル2よりも第1方向Aに第2角度だけ離れた位置に配置され、ターンテーブル4は、第1制御および第2制御が繰り返されることによって、第1反応セル2および第2反応セル2が、少なくとも第1ポジションP1、第2ポジションP2、および第3ポジションP3に停止するように回転する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血清、血球、尿、骨髄等の生体試料を検体とし、当該検体を試薬と反応させ、糖やコレステロール、タンパク、酵素などの各種成分の分析を行う自動分析装置が知られている。
【0003】
このような自動分析装置では、測定項目によっては、検体を試薬と反応させる前に、検体の希釈や検体に前処理液を添加するなど、検体に対して前処理を行う必要がある場合がある。
【0004】
例えば、特許文献1には、サンプルターンテーブルにセットされた各試料容器から各生体試料をサンプル希釈ピペット(プローブ)により希釈ターンテーブルにセットされた各希釈容器にそれぞれ分注するとともに、各希釈容器にそれぞれ希釈液を注入して各生体試料を所定の割合に希釈し、各希釈容器から希釈された生体試料をサンプリングピペットにより反応ターンテーブルにセットされた各反応容器にそれぞれ分注し、この各反応容器にそれぞれ複数の試薬ディスクから試薬ピペットにより吸い込んだ試薬を添加して各生体試料を複数項目について分析する生化学自動分析装置が開示されている。
【0005】
この特許文献1に記載の自動分析装置は、検体の希釈を行うための希釈容器がセットされた希釈ターンテーブルと、希釈された生体試料を試薬と反応させるための反応容器がセットされた反応ターンテーブルと、を有している。すなわち、検体の希釈(検体の前処理)、および希釈された生体試料と試薬との反応が、異なるターンテーブルで行われている。
【0006】
しかしながら、検体の前処理および検体と試薬との反応を異なるターンテーブルで行う自動分析装置では、装置が大型化したり、装置が複雑化したりする場合がある。
【0007】
この問題に対して、検体の前処理および検体と試薬との反応を同じターンテーブルで行う自動分析装置が開発されている。例えば、特許文献2には、試料分注機構が試料分注アームと、水平レールと、鉛直レールと、を備えることにより、試料と試薬との反応および前処理液による試料の前処理の双方を行う共通ディスク内上のいずれの位置にある容器に対しても任意に近づいて、試料および前処理済み試料を分注することができる自動分析装置が開示されている。
【0008】
しかしながら、特許文献2に記載の自動分析装置では、試料分注機構が、共通ディスク内上を移動する機構を備える必要があるため、装置が複雑化する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−62435号公報
【特許文献2】特開2010−217057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
近年、装置を大型化および複雑化させることなく、処理能力を向上できる自動分析装置が望まれている。しかしながら、上述したように、特許文献1や特許文献2に記載の自動分析装置では、装置が大型化したり、装置が複雑化したりする場合がある。
【0011】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様によれば、装置を大型化および複雑化させることなく、処理能力を向上できる自動分析装置を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)本発明に係る自動分析装置は、
第1反応セルにおいて、前処理液によって検体の前処理を行うことにより前処理検体を作成する第1処理を行い、第2反応セルにおいて、前記前処理検体を試薬と反応させて反応検体を作成する第2処理を行う自動分析装置であって、
前記第1反応セルおよび前記第2反応セルが環状に配置されたターンテーブルと、
前記ターンテーブルの回転を制御する制御手段と、
第1ポジションにおいて、前記前処理液および前記試薬の吐出を選択的に行う第1分注手段と、
第2ポジションにおいて、前記検体の吐出および前記前処理検体の分注を選択的に行う第2分注手段と、
第3ポジションにおいて、前記前処理液と前記検体との攪拌および前記前処理検体と前記試薬との攪拌を選択的に行う攪拌手段と、
前記反応検体の測定を行う測定手段と、
を含み、
前記制御手段は、
前記ターンテーブルを第1方向に第1角度だけ回転させた後、停止させる第1制御と、
前記ターンテーブルを前記第1方向とは逆の第2方向に第2角度だけ回転させた後、停止させる第2制御と、
を繰り返し行い、
前記第2反応セルは、前記第1反応セルから前記第1方向に前記第2角度だけ離れた位置に配置され、
前記ターンテーブルは、前記第1制御および前記第2制御が繰り返されることによって、前記第1反応セルおよび前記第2反応セルが、少なくとも前記第1ポジション、前記第2ポジション、および前記第3ポジションに停止するように回転し、
前記第2分注手段は、前記前処理検体を有する前記第1反応セルが前記第2ポジションに停止したときに前記前処理検体を吸引し、前記第2反応セルが前記第2ポジションに停止したときに吸引した前記前処理検体を吐出する。
【0013】
このような自動分析装置によれば、制御手段がターンテーブルを第1方向に第1角度だけ回転させた後、停止させる第1制御と、ターンテーブルを第2方向に第2角度だけ回転させた後、停止させる第2制御と、を行うことにより、ターンテーブルが1回転する間(1回転目)に、第1反応セルを、第1ポジション、第2ポジション、第3ポジションに停止させて第1処理を行い、次に、ターンテーブルが1回転する間(2回転目)に、第1反応セルを、再度、第1ポジション、第2ポジション、第3ポジションに停止させ、かつ第2反応セルを、第1ポジション、第2ポジション、第3ポジションに停止させて第2処理を行うことができる。そのため、第1処理と第2処理とを同じターンテーブルで行うことができ、かつ第1分注手段、第2分注手段、および攪拌手段が、それぞれ1つのポジションで効率よく処理を行うことができる。したがって、装置を大型化および複雑化させることなく、処理能力を向上できる。
【0014】
さらに、このような自動分析装置によれば、後述するように、第1分注手段、第2分注手段、および攪拌手段を効率よく動作させることができる。したがって、処理能力を向上できる。
【0015】
(2)本発明に係る自動分析装置において、
前記第1ポジションと前記第2ポジションとが成す角度および前記第2ポジションと前記第3ポジションとが成す角度は、前記第1角度と前記第2角度との差と等しく、
前記第3ポジションと前記第1ポジションとが成す角度は、前記第1角度に等しくてもよい。
【0016】
(3)本発明に係る自動分析装置において、
前記第1反応セルは、
前記回転テーブルは、前記第1制御および前記第2制御によって、
前記第1ポジションに位置する前記第1反応セルを、前記第2ポジションから前記第1方向に前記第2角度だけ離れた第4ポジションに移動させて停止させた後、前記第4ポジションから前記第2ポジションに移動させて停止させ、
前記第2ポジションに位置する前記第1反応セルを、前記第2ポジションから前記第1方向に前記第2角度だけ離れた第5ポジションに移動させて停止させた後、前記第5ポジションから前記第3ポジションに移動させて停止させ、
前記第3ポジションに位置する前記第1反応セルを、前記第1ポジションに移動させて停止させた後、前記第1ポジションから前記第2方向に前記第2角度離れた前記第6ポジションに移動させて停止させ、
前記第6ポジションに位置する前記第1反応セルを、前記第2ポジションに移動させて停止させた後、前記第2ポジションから前記第2方向に前記第2角度だけ離れた第7ポジションに移動させて停止させてもよい。
【0017】
(4)本発明に係る自動分析装置において、
前記第2角度は、前記第1角度よりも小さくてもよい。
【0018】
このような自動分析装置によれば、ターンテーブルの回転に要する時間を短縮できる。
【0019】
(5)本発明に係る自動分析装置において、
前記第2分注装置は、前記試薬を分注した前記第2反応セルに、前記前処理検体を分注してもよい。
【0020】
このような自動分析装置によれば、第2分注手段が第2反応セル内に前処理検体を吐出する際に、第2反応セル内に試薬があるため、前処理検体を吐出しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態に係る自動分析装置を模式的に示す図。
【図2】本実施形態に係る自動分析装置の動作を説明するための図。
【図3】本実施形態に係る自動分析装置の動作を説明するための図。
【図4】本実施形態に係る自動分析装置の動作を説明するための図。
【図5】本実施形態に係る自動分析装置の動作を説明するための図。
【図6】本実施形態に係る自動分析装置の動作を説明するための図。
【図7】本実施形態に係る自動分析装置の動作を説明するための図。
【図8】本実施形態に係る自動分析装置の動作を説明するための図。
【図9】本実施形態に係る自動分析装置の動作を説明するための図。
【図10】本実施形態に係る自動分析装置の第1分注装置の動作のながれを示す表。
【図11】本実施形態に係る自動分析装置の第2分注装置の動作のながれを示す表。
【図12】本実施形態に係る自動分析装置の攪拌装置の動作のながれを示す表。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0023】
1. 自動分析装置
まず、本実施形態に係る自動分析装置の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る自動分析装置100を説明するための模式図である。自動分析装置100は、前処理液によって検体の前処理を行う第1処理と、前処理を行った検体を他の反応セルに分注して試薬と反応させる第2処理と、を行うことができる。なお、検体の前処理には、検体の希釈も含まれる。
【0024】
自動分析装置100は、図1に示すように、反応セル2が複数配置されたターンテーブル4と、制御装置10と、第1分注装置20と、第2分注装置30と、攪拌装置40と、測定装置50と、洗浄装置60と、を含むことができる。
【0025】
反応セル2は、検体を収容するための容器であり、反応セル2内において、検体の前処理および検体と試薬との反応を行うことができる。検体は、例えば、血清、血球、尿、骨髄などの生体試料である。反応セル2は、ターンテーブル4上に環状に配置されている。反応セル2は、例えば、円形状のターンテーブル4の外周に沿って複数配置されている。配置される反応セル2の数は、特に限定されず必要に応じて適宜増減することができる。反応セル2は、例えば、等間隔に配置されている。反応セル2は、ターンテーブル4の回転に伴って、位置を移動する。
【0026】
ターンテーブル4は、ターンテーブル4の中心に設けられた回転軸(図示しない)を軸として、回転可能に形成されている。ターンテーブル4の回転は、制御装置10によって制御される。ターンテーブル4の周囲には、装置10,20,30,40,50,60および容器22,24,32が配置されている。自動分析装置100では、第1処理および第2処理を、1つのターンテーブル4で行うことができる。
【0027】
制御装置(制御手段の一例)10は、ターンテーブル4の回転を制御することができる。制御装置10は、ターンテーブル4を第1方向Aに第1角度だけ回転させた後、停止させる第1制御と、ターンテーブル4を第1方向Aとは逆の第2方向Bに第2角度だけ回転させた後、停止させる第2制御と、を繰り返し行う。これにより、制御装置10は、ターンテーブル4を繰り返し回転・停止させて、各反応セル2を第1ポジションP1、第2ポジションP2、および第3ポジションP3に順次停止させる。
【0028】
第1制御によって各反応セル2が停止する時間(以下、第1の時間ともいう)および第2制御によって各反応セル2が停止する時間(以下、第2の時間ともいう)は、各装置20,30,40,50,60が後述する各処理を行うことができれば特に限定されず、任意に設定することができる。例えば、第2の時間は、第1の時間よりも長く設定される。
【0029】
制御装置10は、例えば、第1制御を行うことにより、ターンテーブル4を第1方向Aに120°回転させて0.3秒〜0.6秒停止させた後、第2制御を行うことにより、ターンテーブル4を第2方向Bに3°回転させて0.3秒〜0.6秒停止させる。制御装置10は、この第1制御および第2制御を1サイクルとして、このサイクルを繰り返し行う。ターンテーブル4は、この1サイクルで117°(120°−3°)だけ第1方向Aに回転し、第1ポジションP1に位置していた反応セル2を、第2ポジションP2に、第2ポジションP2に位置していた反応セル2を第3ポジションP3に移動させることができる。そして、ターンテーブル4は、このサイクルが繰り返されることにより、各反応セル2を順次各ポジションP1〜P3に停止させることができる。なお、詳細については、後述する自動分析装置の動作で述べる。
【0030】
第1制御および第2制御におけるターンテーブル4の回転方向は、図示の例では、第1方向Aが時計回り、第2方向Bが反時計まわりであるが、第1制御および第2制御における回転方向が互いに逆方向であれば特に限定されない。
【0031】
第1分注装置(第1分注手段の一例)20は、第1ポジションP1において、前処理液の吐出および試薬の吐出を選択的に行う。第1分注装置20は、第1処理において、前処理液の分注を行い、第2処理において、試薬の分注を行う。具体的には、第1分注装置20は、前処理液容器22から前処理液を吸引し、吸引した前処理液を第1ポジションP1に停止した反応セル2に吐出することにより、前処理液の分注を行うことができる。なお、前処理液は、検体を希釈するための希釈液であってもよい。また、第1分注装置20は、試薬容器24から試薬を吸引し、吸引した試薬を第1ポジションP1に停止した反応セル2に吐出することにより、試薬の分注を行うことができる。
【0032】
第1分注装置20は、例えば、前処理液および試薬を吸引・吐出するためのピペット(プローブ)と、ピペットを、第1ポジションP1と前処理液容器22との間、および第1ポジションP1と試薬容器24との間で移動させるための移動機構と、を有している。第1分注装置20は、複数のピペットを有していてもよい。
【0033】
自動分析装置100は、例えば、複数の前処理液容器22を有し、第1分注装置20が、複数の前処理液容器22から指定された前処理液容器22を抽出して前処理液の吸引を行ってもよい。また、自動分析装置100は、例えば、複数の試薬容器24を有し、第1分注装置20が、複数の試薬容器22から指定された試薬容器22を抽出して試薬の吸引を行ってもよい。
【0034】
第2分注装置(第2分注手段の一例)30は、第2ポジションP2において、検体の吐出および前処理検体の分注を選択的に行う。第2分注装置30は、第2ポジションP2に停止した反応セル2に対して、第1処理において、検体の分注を行い、第2処理において、前処理が行われた検体(前処理検体)の分注を行う。具体的には、第2分注装置30は、検体容器32から検体を吸引し、吸引した検体を第2ポジションP2に停止した反応セル2に吐出することにより、検体の分注を行うことができる。検体容器32は、図示しないターンテーブル上に複数配置されていてもよく、分注装置30は、当該ターンテーブル上の複数の検体容器32から指定された検体容器32を抽出して検体の吸引を行ってもよい。また、第2分注装置30は、第2ポジションP2に停止した反応セル(第1反応セル)2内の前処理検体を吸引し、吸引した前処理検体を、第2ポジションP2に停止した他の反応セル(第2反応セル)2に吐出することにより、前処理検体の分注を行うことができる。
【0035】
第2分注装置30は、例えば、検体および前処理検体を吸引・吐出するためのピペット(プローブ)と、ピペットを、第2ポジションP2と検体容器32との間で移動させるための移動機構と、を有している。第2分注装置30は、複数のピペットを有していてもよい。
【0036】
攪拌装置(攪拌手段の一例)40は、第3ポジションP3において、前処理液と検体との攪拌および前処理検体と試薬との攪拌を選択的に行う。攪拌装置40は、第3ポジションP3に停止した反応セル2に対して、第1処理において、検体と前処理液との攪拌を行い、第2処理において、前処理検体と試薬との攪拌を行う。攪拌装置40は、例えば、検体と前処理液との攪拌、および前処理検体と試薬との攪拌を行うための攪拌プローブ(攪拌棒)と、攪拌棒を回転運動または往復運動させるための動作機構と、を有している。さらに、攪拌装置40は、攪拌プローブを洗浄するための洗浄機構を有していてもよい。
【0037】
測定装置(測定手段の一例)50は、測定ポジションPmを通過する反応セル2内の試薬と検体とを反応させた反応検体に対して、例えば、糖やコレステロール、タンパク、酵素などの各種成分の測定を行う。測定ポジションPmは、任意の位置に設定することができる。測定装置50は、例えば、光を測定物(反応検体)に当てて通過させ、その透過光量を電気的に検出する分光器を備えている。測定されたデータは、A/D変換器(アナログ・デジタル変換器)によって数値化され、CPUで演算し結果が出力される。
【0038】
洗浄装置60は、例えば、図示はしないが、廃液ポンプと、洗浄液ポンプと、を有している。洗浄装置60は、廃液ポンプによって、第1洗浄ポジションPw1に停止した反応セル2内の測定済みの反応検体や不要になった前処理検体を吸引し、廃液タンクに排出する。洗浄装置60は、さらに、この反応セル2が第2洗浄ポジションPw2に停止したときに、洗浄液ポンプによって、反応セル2内に洗浄液を供給し、この洗浄液によって反応セル2内を洗浄し、その後、この洗浄液を廃液タンクに排出する。第1洗浄ポジションPw1および第2洗浄ポジションPw2は、任意の位置に設定することができる。
【0039】
自動分析装置100では、第1ポジションP1と第2ポジションP2とが(ターンテーブル4の回転軸まわりに)成す角度θ1−2は、第1角度と第2角度との差に等しい。同様に、第2ポジションP2と第3ポジションP3とが成す角度θ2−3は、第1角度と第2角度との差に等しい。また、第3ポジションP3と第1ポジションP1とが成す角度θ3−1は、第1角度に等しい。また、第2処理が行われる反応セル(第2反応セル)2は、第1処理が行われる反応セル(第1反応セル)2から第1方向Aに第2角度だけ離れた位置に配置される。これにより、ターンテーブル4が1回転する間(1回転目)に、第1反応セル2を、第1ポジションP1、第2ポジションP2、第3ポジションP3に停止させて第1処理を行い、次に、ターンテーブル4が1回転する間(2回転目)に、第1反応セル2を、再度、第1ポジションP1、第2ポジションP2、第3ポジションP3に停止させ、かつ第2反応セル2を、第1ポジションP1、第2ポジションP2、第3ポジションP3に停止させて第2処理を行うことができる。そのため、第2分注装置30は、前処理検体を有する第1反応セル2が第2ポジションP2に停止したときに前処理検体を吸引し、第2反応セル2が第2ポジションP2に停止したときに前処理検体を吐出することができる。詳細については、後述する自動分析装置の動作で述べる。
【0040】
なお、第1角度および第2角度の大きさは、上述の関係を満たせば特に限定されないが、第2角度は、第1角度よりも小さいことが望ましい。これにより、ターンテーブル4の回転に要する時間を短縮できる。
【0041】
2. 自動分析装置の動作
次に、本実施形態に係る自動分析装置の動作について説明する。
【0042】
自動分析装置100では、1つの検体に対して、ターンテーブル4上の第1反応セルで第1処理を行い、第1反応セルから第1方向Aに第2角度だけ離れた第2反応セルで第2処理を行う。具体的には、まず、第1分注装置20によって第1反応セル2に前処理液を分注し、第2分注装置30によって前処理液が分注された第1反応セル2に検体を分注し、攪拌装置40によって前処理液と検体とを攪拌して前処理検体を作成して第1処理を行う。次に、第1分注装置20によって第2反応セル2に試薬を分注し、第2分注装置30によって第1反応セル2が有する前処理検体を第2反応セル2に分注し、攪拌装置40によって試薬と前処理検体を攪拌して反応検体を作成する第2処理を行う。そして、この反応検体を測定装置50により測定する。自動分析装置100では、複数の検体について、この第1処理および第2処理を、並行して行うことができる。以下、詳細に説明する。
【0043】
図2〜図9は、自動分析装置100の動作を説明するための図である。なお、図2〜図9において、便宜上、装置10〜60の図示を省略している。また、図2〜図9において、自動分析装置100の動作を説明するために必要な反応セル2のみを図示し、その他の反応セル2の図示を省略している。
【0044】
図2に示すように、第1ポジションP1に位置する反応セル2aに、第1分注装置20が前処理液を分注する。具体的には、第1分注装置20は、前処理液容器22(図1参照)の前処理液を吸引し、吸引した前処理液を第1ポジションP1に位置する反応セル2aに吐出する。
【0045】
以下、制御装置10が第1制御を行うことにより、ターンテーブル4を第1方向Aに第1角度だけ回転させ第1の時間停止させた後、制御装置10が第2制御を行うことにより、ターンテーブル4を第2の方向Bに第2角度だけ回転させて第2の時間停止させるまでを、1サイクルとする。自動分析装置100は、このサイクルを繰り返して処理を進める。
【0046】
図3(A)に示すように、制御装置10が第1制御(1サイクル目)を行うことにより、ターンテーブル4は、第1ポジションP1に位置する反応セル2aを第2ポジションP2から第1方向Aに第2角度だけ離れたポジション(第4ポジション)P2Aに移動させ、第1の時間停止させる。
【0047】
図3(B)に示すように、制御装置10が第2制御(1サイクル目)を行うことにより、ターンテーブル4は、ポジションP2Aに位置する反応セル2aを第2ポジションP2に移動させて、第2の時間停止させる。
【0048】
この第2の時間において、第2分注装置30は、反応セル2aに検体Aを吐出する。具体的には、第2分注装置30は、例えば、予め検体容器32から検体を吸引し、第2の時間において、反応セル2aに吸引した検体を吐出する。さらに、第2の時間において、第1分注装置20は、第1ポジションP1に停止している反応セル2bに前処理液を吐出する。
【0049】
なお、第2分注装置30は、反応セル2aに検体を吐出した後、反応セル2bが第2ポジションP2に停止するまでの間に、検体容器32から検体Bを吸引する。このように、第2分注装置30は、反応セル2に検体を吐出した後、次の反応セル2が第2ポジションP2に第2の時間停止するまでの間に、検体容器32から検体を吸引する。
【0050】
図4(A)に示すように、制御装置10が第1制御(2サイクル目)を行うことにより、ターンテーブル4は、第2ポジションP2に位置する反応セル2aを、第3ポジションP3から第1方向Aに第2角度だけ離れたポジション(第5ポジション)P3Aに移動させ、第1ポジションP1に位置する反応セル2bをポジションP2Aに移動させて、第1の時間停止させる。
【0051】
図4(B)に示すように、制御装置10が第2制御(2サイクル目)を行うことにより、ターンテーブル4は、ポジションP3Aに位置する反応セル2aを第3ポジションP3に移動させ、ポジションP2Aに位置する反応セル2bを第2ポジションP2に移動させて、第2の時間停止させる。
【0052】
この第2の時間において、攪拌装置40は、反応セル2a内の検体Aと前処理液とを攪拌する。これにより、反応セル2a内に前処理が行われた検体(前処理検体)A1が作成される。さらに、第2の時間において、第2分注装置30は、反応セル2bに検体Bを吐出する。さらに、第2の時間において、第1分注装置20は、第1ポジションP1に停止している反応セル2cに前処理液を吐出する。
【0053】
なお、攪拌装置40は、反応セル2a内の検体と前処理液との攪拌に用いた攪拌プローブを、次の反応セル2bが第3ポジションP3に停止するまでに、洗浄する。このように、攪拌装置40は、反応セル2内を攪拌した後、次の反応セル2が第3ポジションP3に第2の時間停止するまでの間に、攪拌プローブを洗浄する。
【0054】
また、第1分注装置20は、反応セル2cに前処理液を吐出した後、次の反応セル2dが第1ポジションP1に停止するまでに、試薬容器22(図1参照)から試薬を吸引する。このように、第1分注装置20は、反応セル2に前処理液(または試薬)を吐出した後、次の反応セル2が第1ポジションP1に第2の時間停止するまでの間に、試薬(または前処理液)を吸引する。
【0055】
図5(A)に示すように、制御装置10が第1制御(3サイクル目)を行うことにより、ターンテーブル4は、第3ポジションP3に位置する反応セル2aを第1ポジションP1に移動させ、第2ポジションP2に位置する反応セル2bをポジションP3Aに移動させ、第1ポジションP1に位置する反応セル2cをポジションP2Aに移動させ、第1の時間停止させる。
【0056】
図5(B)に示すように、制御装置10が第2制御(3サイクル目)を行うことにより、ターンテーブル4は、第1ポジションP1に位置する反応セル2aを第1ポジションP1から第2方向Bに第2角度だけ離れたポジション(第6ポジション)P1Bに移動させ、ポジションP3Aに位置する反応セル2bを第3ポジションP3に移動させ、ポジションP2Aに位置する反応セル2cを第2ポジションP2に移動させて、第2の時間停止させる。
【0057】
この第2の時間において、第1分注装置20は、第1ポジションP1に停止している反応セル2dに試薬を吐出する。反応セル2dは、反応セル2aから第1方向Aに第2角度だけ(ここでは反応セル2つ分)離れた位置に配置されている。さらに、第2の時間において、第2分注装置30は、反応セル2cに検体Cを吐出する。さらに、第2の時間において、攪拌装置40は、反応セル2b内の検体Bと前処理液との攪拌を行う。これにより、反応セル2b内に前処理検体B1が作成される。
【0058】
図6(A)に示すように、制御装置10が第1制御(4サイクル目)を行うことにより、ターンテーブル4は、ポジションP1Bに位置する反応セル2aを第2ポジションP2に移動させ、第1ポジションP1に位置する反応セル2dをポジションP2Aに移動させ、第3ポジションP3に位置する反応セル2bを第1ポジションP1に移動させ、第2ポジションP2に位置する反応セル2cをポジションP3Aに移動させて、第1の時間停止させる。
【0059】
この第1の時間において、第2分注装置30は、反応セル2a内の前処理検体A1を吸引する。
【0060】
図6(B)に示すように、制御装置10が第2制御(4サイクル目)を行うことにより、ターンテーブル4は、第2ポジションP2に位置する反応セル2aを第2ポジションP2よりも第2方向B側のポジション(第7ポジション)P2Bに移動させ、ポジションP2Aに位置する反応セル2dを第2ポジションP2に移動させ、第1ポジションP1に位置する反応セル2bをポジションP1Bに移動させ、ポジションP3Aに位置する反応セル2cを第3ポジションP3に移動させて、第2の時間停止させる。
【0061】
この第2の時間において、第1分注装置20は、第1ポジションP1に停止している反応セル2eに試薬を吐出する。反応セル2eは、例えば、反応セル2bよりも第1方向A側に第2角度だけ離れた位置に配置されている。さらに、第2の時間において、第2分注装置30は、反応セル2aから吸引した前処理検体A1を、反応セル2dに吐出する。すなわち、第2分注装置30は、反応セル2aからの前処理液の吸引(図6(A)参照)、および反応セル2dへの前処理液の吐出(図6(B)参照)を、1つのポジションP2において行うことができる。さらに、第2の時間において、攪拌装置40は、反応セル2c内の検体Cと前処理液とを攪拌する。これにより、反応セル2c内に前処理検体C1が作成される。
【0062】
図7(A)に示すように、制御装置10が第1制御(5サイクル目)を行うことにより、ターンテーブル4は、ポジションP2Bに位置する反応セル2aを第3ポジションP3に移動させ、第2ポジションP2に位置する反応セル2dをポジションP3Aに移動させ、ポジションP1Bに位置する反応セル2bを第2ポジションP2に移動させ、第1ポジションP1に位置する反応セル2eをポジションP2Aに移動させ、第3ポジションP3に位置する反応セル2cを第1ポジションP1に移動させ、第1の時間停止させる。
【0063】
この第1の時間において、第2分注装置30は、反応セル2b内の前処理検体B1を吸引する。
【0064】
図7(B)に示すように、制御装置10が第2制御(5サイクル目)を行うことにより、ターンテーブル4は、第3ポジションP3に位置する反応セル2aを第3ポジションP3から第2方向Bに第2角度だけ離れたポジションP3Bに移動させ、ポジションP3Aに位置する反応セル2dを第3ポジションP3に移動させ、第2ポジションP2に位置する反応セル2bをポジションP2Bに移動させ、ポジションP2Aに位置する反応セル2eを第2ポジションP2に移動させ、第1ポジションP1に位置する反応セル2cを、ポジションP1Bに移動させて、第2の時間停止させる。
【0065】
この第2の時間において、第1分注装置20は、第1ポジションP1に停止している反応セル2fに試薬を吐出する。反応セル2fは、例えば、反応セル2cから第1方向Aに第2角度だけ離れた位置に配置されている。さらに、第2の時間において、第2分注装置30は、反応セル2bから吸引した前処理検体B1を、反応セル2eに吐出する。さらに、第2の時間において、攪拌装置40は、反応セル2d内の前処理検体A1と試薬とを攪拌する。これにより、反応セル2d内に前処理検体A1と試薬とを反応させた反応検体A2が作成される。
【0066】
図8(A)に示すように、制御装置10が第1制御(6サイクル目)を行うことにより、ターンテーブル4は、ポジションP3Bに位置する反応セル2aをポジションP1Bに移動させ、第3ポジションP3に位置する反応セル2dを第1ポジションP1に移動させ、ポジションP2Bに位置する反応セル2bを第3ポジションP3に移動させ、第2ポジションP2に位置する反応セル2eをポジションP3Aに移動させ、ポジションP1Bに位置する反応セル2cを第2ポジションP2に移動させ、第1ポジションP1に位置する反応セル2fをポジションP2Aに移動させて、第1の時間停止させる。
【0067】
この第1の時間において、第2分注装置30は、反応セル2c内の前処理検体C1を吸引する。
【0068】
図8(B)に示すように、制御装置10が第2制御(6サイクル目)を行うことにより、ターンテーブル4は、第1ポジションP1に位置する反応セル2dをポジションP1Bに移動させ、第3ポジションP3に位置する反応セル2bをポジションP3Bに移動させ、ポジションP3Aに位置する反応セル2eを第3ポジションP3に移動させ、第2ポジションP2に位置する反応セル2cをポジションP2Bに移動させ、ポジションP2Aに位置する反応セル2fを第2ポジションP2に移動させて、第2の時間停止させる。
【0069】
この第2の時間において、第1分注装置20は、第1ポジションP1に停止している反応セル2gに前処理液を吐出する。反応セル2gは、例えば、反応セル2dから第1方向Aに第2角度だけ離れた位置に配置されている。さらに、第2の時間において、第2分注装置30は、反応セル2cから吸引した前処理検体C1を、反応セル2fに吐出する。さらに、第2の時間において、攪拌装置40は、反応セル2e内の前処理検体B1と試薬とを攪拌する。これにより、反応セル2e内に前処理検体B1と試薬とを反応させた反応検体B2が作成される。
【0070】
図9(A)に示すように、制御装置10が第1制御(7サイクル目)を行うことにより、ターンテーブル4は、第1ポジションP1に位置する反応セル2gをポジションP2Aに移動させ、第3ポジションP3に位置する反応セル2eを第1ポジションP1に移動させ、第2ポジションP2に位置する反応セル2fをポジションP3Aに移動させる。
【0071】
図9(B)に示すように、制御装置10が第2制御(7サイクル目)を行うことにより、ターンテーブル4は、ポジションP2Aに位置する反応セル2gを第2ポジションP2に移動させ、第1ポジションP1に位置する反応セル2eをポジションP1Bに移動させ、ポジションP3Aに位置する反応セル2fを第3ポジションP3に移動させて、第2の時間停止させる。
【0072】
この第2の時間において、第1分注装置20は、第1ポジションP1に停止している反応セル2hに試薬を吐出する。反応セル2hは、例えば、反応セル2eから第1方向Aに第2角度だけ離れた位置に配置されている。さらに、第2の時間において、第2分注装置30は、反応セル2gに検体Dを吐出する。さらに、第2の時間において、攪拌装置40は、反応セル2f内の前処理検体C1と試薬とを攪拌する。これにより、反応セル2f内に前処理検体C1と試薬とを反応させた反応検体C2が作成される。
【0073】
測定装置50(図1参照)は、各反応セル2d,2e,2fが測定ポジションPmを通過するごとに、各反応セル2d,2e,2f内の反応検体A2,B2,C2を測定する。
【0074】
洗浄装置60は、測定が終了した反応セル2が洗浄ポジションPw1,Pw2に停止したときに、反応セル2の洗浄を行う。
【0075】
以上の工程により、自動分析装置100は、検体A,B,Cの分析を行うことができる。
【0076】
図10は、第1分注装置20の動作の流れを示す表である。図11は、第2分注装置30の動作の流れを示す表である。図12は、攪拌装置40の動作の流れを示す表である。
【0077】
図10〜図12に示すように、第1分注装置20は、0サイクル目〜2サイクル目まで、連続して前処理液の分注を行い、3サイクル目〜5サイクル目まで、連続して試薬の分注を行うことができる。このように自動分析装置100では、第1分注装置20を休みなく動作させることができる。
【0078】
また、第2分注装置30は、1サイクル目〜3サイクル目まで、連続して検体A,B,Cの分注を行い、4サイクル目〜6サイクル目まで、連続して前処理検体A1,B1,C1の分注を行うことができる。このように自動分析装置100では、第2分注装置30を休みなく動作させることができる。
【0079】
また、攪拌装置40は、2サイクル目〜4サイクル目まで、連続して検体A,B,Cと前処理液との攪拌を行い、5サイクル目〜7サイクル目まで、連続して前処理検体A1,B1,C1と試薬との攪拌を行うことができる。このように自動分析装置100では、攪拌装置30を、1サイクル目以降、休みなく動作させることができる。このように、自動分析装置100では、各装置20,30,40を効率よく動作させることができる。
【0080】
なお、上述した工程では、3つの検体A,B,Cについて分析を行った場合について説明したが、自動分析装置100では、3つ以上の検体についても、上述した工程を繰り返ことによって、分析を行うことができる。
【0081】
自動分析装置100は、例えば、以下の特徴を有する。
【0082】
自動分析装置100では、制御装置10がターンテーブル4を第1方向Aに第1角度だけ回転させた後、停止させる第1制御と、ターンテーブル4を第2方向Bに第2角度だけ回転させた後、停止させる第2制御と、を行う。これにより、ターンテーブル4が1回転する間(1回転目)に、第1反応セル2a,2b,2cを、第1ポジションP1、第2ポジションP2、第3ポジションP3に停止させて第1処理を行い、次に、ターンテーブルが1回転する間(2回転目)に、第1反応セル2a,2b,2cを、再度、第1ポジションP1、第2ポジションP2、第3ポジションp3に停止させ、かつ対応する第2反応セル2d,2e,2fを、第1ポジションP1、第2ポジションP2、第3ポジションP3に停止させて第2処理を行うことができる。そのため、第1処理と第2処理とを同じターンテーブル4で行うことができ、かつ第1分注装置20、第2分注装置30、および攪拌装置40が、それぞれ1つのポジションで効率よく処理を行うことができる。したがって、装置を大型化および複雑化させることなく、処理能力を向上できる。例えば、ターンテーブルが一定の方向に所定の角度で回転する自動分析装置において、前処理検体が作成された反応セルから当該前処理検体を他の反応セルに分注するためには、ターンテーブル上の少なくとも2つのポジションで処理(吸引・吐出)を行わなくてはならない。そのため、例えば、前処理検体を分注するための分注装置に2つのポジションを移動させるための機構が必要となる。自動分析装置100では、このような機構が不要であるため、装置を大型化および複雑化させることなく、処理能力を向上できる。
【0083】
自動分析装置100によれば、図10〜図12に示すように、第1分注装置20、第2分注装置30、および第3分注装置40を効率よく動作させることができる。したがって、処理能力を向上できる。
【0084】
自動分析装置100では、試薬を反応セル2に分注した後に、前処理検体を反応セル2に分注することができる。すなわち、第2分注装置30は、試薬を分注した反応セル2に、前処理検体を分注することができる。これにより、第2分注装置30が、反応セル2内に前処理検体を吐出する際に、反応セル2内に試薬があるため、前処理検体を吐出しやすい。特に、第2分注装置30が、前処理検体を少量吐出する場合に有効である。
【0085】
なお、本発明は上述した実施形態や変形例に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0086】
例えば、上述の例では、自動分析装置100がすべての検体A,B,Cに対して、第1処理および第2処理を行う場合について説明したが、自動分析装置100は、例えば、一部の検体に対して、第1処理を行わずに第2処理のみを行ってもよい。すなわち、自動分析装置100は、第1処理を行う検体と、第1処理を行わない検体と、を混在させて処理を行ってもよい。このような場合であっても上述の例と同様に、制御装置10が第1制御と第2制御を行うことにより、各装置20,30,40を効率よく動作させることができる。
【0087】
また、上述の例では、第1分注装置20が前処理液の分注を行った後に第2分注装置30が検体の分注を行い、第1分注装置20が試薬の分注を行った後に第2分注処置30が前処理検体の分注を行う場合について説明したが、第2分注装置30が検体の分注を行った後に第1分注装置20が前処理液の分注を行い、第2分注装置30が前処理検体の分注を行った後に第1分注装置20が試薬の分注を行ってもよい。この場合、例えば、図1に示す、第1分注装置20の位置と第2分注装置30の位置とを入れ替えてもよい。
【0088】
また、上述の例では、図1に示すように、第1分注装置20、洗浄装置60、第2分注装置30、制御装置10、攪拌装置40、測定装置50が、ターンテーブル4の周囲に、時計回りにこの順で配置されているが、各装置10〜60の位置は特に限定されない。
【0089】
また、上述の例では、図1に示すように、自動分析装置100が、前処理液および試薬を分注するための第1分注装置20を1つ有している場合について説明したが、複数の第1分注装置を有していてもよい。これにより、容易に複数の前処理液(試薬)を反応セル2に分注することができる。この複数の第1分注装置は、例えば、複数のポジションで処理を行ってもよい。また、自動分析装置100が、攪拌装置40を1つ有している場合について説明したが、複数の攪拌装置を有していてもよい。この複数の攪拌装置は、例えば、複数のポジションで処理を行ってもよい。このような例では、3つ以上のポジションP1,・・・,Pn(nは3以上の整数)で処理が行われる。その場合、最初の処理が行われるポジションP1と最後の処理が行われるポジションPnとが成す角度は、第1角度に等しく、その他の隣り合うポジションが成す角度は、第1角度と第2角度との差に等しい。また、第2処理が行われる反応セル(第2反応セル)2は、第1処理が行われる反応セル(第1反応セル)2よりも第1方向Aに第2角度だけ離れた位置に配置される。これにより、上述の例と同様の作用効果を奏することができる。
【0090】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0091】
2 反応セル、4 ターンテーブル、10 制御装置、20 第1分注装置、
22 前処理液容器、24 試薬容器、30 第2分注装置、32 検体容器、
40 攪拌装置、50 測定装置、60 洗浄装置、
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血清、血球、尿、骨髄等の生体試料を検体とし、当該検体を試薬と反応させ、糖やコレステロール、タンパク、酵素などの各種成分の分析を行う自動分析装置が知られている。
【0003】
このような自動分析装置では、測定項目によっては、検体を試薬と反応させる前に、検体の希釈や検体に前処理液を添加するなど、検体に対して前処理を行う必要がある場合がある。
【0004】
例えば、特許文献1には、サンプルターンテーブルにセットされた各試料容器から各生体試料をサンプル希釈ピペット(プローブ)により希釈ターンテーブルにセットされた各希釈容器にそれぞれ分注するとともに、各希釈容器にそれぞれ希釈液を注入して各生体試料を所定の割合に希釈し、各希釈容器から希釈された生体試料をサンプリングピペットにより反応ターンテーブルにセットされた各反応容器にそれぞれ分注し、この各反応容器にそれぞれ複数の試薬ディスクから試薬ピペットにより吸い込んだ試薬を添加して各生体試料を複数項目について分析する生化学自動分析装置が開示されている。
【0005】
この特許文献1に記載の自動分析装置は、検体の希釈を行うための希釈容器がセットされた希釈ターンテーブルと、希釈された生体試料を試薬と反応させるための反応容器がセットされた反応ターンテーブルと、を有している。すなわち、検体の希釈(検体の前処理)、および希釈された生体試料と試薬との反応が、異なるターンテーブルで行われている。
【0006】
しかしながら、検体の前処理および検体と試薬との反応を異なるターンテーブルで行う自動分析装置では、装置が大型化したり、装置が複雑化したりする場合がある。
【0007】
この問題に対して、検体の前処理および検体と試薬との反応を同じターンテーブルで行う自動分析装置が開発されている。例えば、特許文献2には、試料分注機構が試料分注アームと、水平レールと、鉛直レールと、を備えることにより、試料と試薬との反応および前処理液による試料の前処理の双方を行う共通ディスク内上のいずれの位置にある容器に対しても任意に近づいて、試料および前処理済み試料を分注することができる自動分析装置が開示されている。
【0008】
しかしながら、特許文献2に記載の自動分析装置では、試料分注機構が、共通ディスク内上を移動する機構を備える必要があるため、装置が複雑化する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−62435号公報
【特許文献2】特開2010−217057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
近年、装置を大型化および複雑化させることなく、処理能力を向上できる自動分析装置が望まれている。しかしながら、上述したように、特許文献1や特許文献2に記載の自動分析装置では、装置が大型化したり、装置が複雑化したりする場合がある。
【0011】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様によれば、装置を大型化および複雑化させることなく、処理能力を向上できる自動分析装置を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)本発明に係る自動分析装置は、
第1反応セルにおいて、前処理液によって検体の前処理を行うことにより前処理検体を作成する第1処理を行い、第2反応セルにおいて、前記前処理検体を試薬と反応させて反応検体を作成する第2処理を行う自動分析装置であって、
前記第1反応セルおよび前記第2反応セルが環状に配置されたターンテーブルと、
前記ターンテーブルの回転を制御する制御手段と、
第1ポジションにおいて、前記前処理液および前記試薬の吐出を選択的に行う第1分注手段と、
第2ポジションにおいて、前記検体の吐出および前記前処理検体の分注を選択的に行う第2分注手段と、
第3ポジションにおいて、前記前処理液と前記検体との攪拌および前記前処理検体と前記試薬との攪拌を選択的に行う攪拌手段と、
前記反応検体の測定を行う測定手段と、
を含み、
前記制御手段は、
前記ターンテーブルを第1方向に第1角度だけ回転させた後、停止させる第1制御と、
前記ターンテーブルを前記第1方向とは逆の第2方向に第2角度だけ回転させた後、停止させる第2制御と、
を繰り返し行い、
前記第2反応セルは、前記第1反応セルから前記第1方向に前記第2角度だけ離れた位置に配置され、
前記ターンテーブルは、前記第1制御および前記第2制御が繰り返されることによって、前記第1反応セルおよび前記第2反応セルが、少なくとも前記第1ポジション、前記第2ポジション、および前記第3ポジションに停止するように回転し、
前記第2分注手段は、前記前処理検体を有する前記第1反応セルが前記第2ポジションに停止したときに前記前処理検体を吸引し、前記第2反応セルが前記第2ポジションに停止したときに吸引した前記前処理検体を吐出する。
【0013】
このような自動分析装置によれば、制御手段がターンテーブルを第1方向に第1角度だけ回転させた後、停止させる第1制御と、ターンテーブルを第2方向に第2角度だけ回転させた後、停止させる第2制御と、を行うことにより、ターンテーブルが1回転する間(1回転目)に、第1反応セルを、第1ポジション、第2ポジション、第3ポジションに停止させて第1処理を行い、次に、ターンテーブルが1回転する間(2回転目)に、第1反応セルを、再度、第1ポジション、第2ポジション、第3ポジションに停止させ、かつ第2反応セルを、第1ポジション、第2ポジション、第3ポジションに停止させて第2処理を行うことができる。そのため、第1処理と第2処理とを同じターンテーブルで行うことができ、かつ第1分注手段、第2分注手段、および攪拌手段が、それぞれ1つのポジションで効率よく処理を行うことができる。したがって、装置を大型化および複雑化させることなく、処理能力を向上できる。
【0014】
さらに、このような自動分析装置によれば、後述するように、第1分注手段、第2分注手段、および攪拌手段を効率よく動作させることができる。したがって、処理能力を向上できる。
【0015】
(2)本発明に係る自動分析装置において、
前記第1ポジションと前記第2ポジションとが成す角度および前記第2ポジションと前記第3ポジションとが成す角度は、前記第1角度と前記第2角度との差と等しく、
前記第3ポジションと前記第1ポジションとが成す角度は、前記第1角度に等しくてもよい。
【0016】
(3)本発明に係る自動分析装置において、
前記第1反応セルは、
前記回転テーブルは、前記第1制御および前記第2制御によって、
前記第1ポジションに位置する前記第1反応セルを、前記第2ポジションから前記第1方向に前記第2角度だけ離れた第4ポジションに移動させて停止させた後、前記第4ポジションから前記第2ポジションに移動させて停止させ、
前記第2ポジションに位置する前記第1反応セルを、前記第2ポジションから前記第1方向に前記第2角度だけ離れた第5ポジションに移動させて停止させた後、前記第5ポジションから前記第3ポジションに移動させて停止させ、
前記第3ポジションに位置する前記第1反応セルを、前記第1ポジションに移動させて停止させた後、前記第1ポジションから前記第2方向に前記第2角度離れた前記第6ポジションに移動させて停止させ、
前記第6ポジションに位置する前記第1反応セルを、前記第2ポジションに移動させて停止させた後、前記第2ポジションから前記第2方向に前記第2角度だけ離れた第7ポジションに移動させて停止させてもよい。
【0017】
(4)本発明に係る自動分析装置において、
前記第2角度は、前記第1角度よりも小さくてもよい。
【0018】
このような自動分析装置によれば、ターンテーブルの回転に要する時間を短縮できる。
【0019】
(5)本発明に係る自動分析装置において、
前記第2分注装置は、前記試薬を分注した前記第2反応セルに、前記前処理検体を分注してもよい。
【0020】
このような自動分析装置によれば、第2分注手段が第2反応セル内に前処理検体を吐出する際に、第2反応セル内に試薬があるため、前処理検体を吐出しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態に係る自動分析装置を模式的に示す図。
【図2】本実施形態に係る自動分析装置の動作を説明するための図。
【図3】本実施形態に係る自動分析装置の動作を説明するための図。
【図4】本実施形態に係る自動分析装置の動作を説明するための図。
【図5】本実施形態に係る自動分析装置の動作を説明するための図。
【図6】本実施形態に係る自動分析装置の動作を説明するための図。
【図7】本実施形態に係る自動分析装置の動作を説明するための図。
【図8】本実施形態に係る自動分析装置の動作を説明するための図。
【図9】本実施形態に係る自動分析装置の動作を説明するための図。
【図10】本実施形態に係る自動分析装置の第1分注装置の動作のながれを示す表。
【図11】本実施形態に係る自動分析装置の第2分注装置の動作のながれを示す表。
【図12】本実施形態に係る自動分析装置の攪拌装置の動作のながれを示す表。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0023】
1. 自動分析装置
まず、本実施形態に係る自動分析装置の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る自動分析装置100を説明するための模式図である。自動分析装置100は、前処理液によって検体の前処理を行う第1処理と、前処理を行った検体を他の反応セルに分注して試薬と反応させる第2処理と、を行うことができる。なお、検体の前処理には、検体の希釈も含まれる。
【0024】
自動分析装置100は、図1に示すように、反応セル2が複数配置されたターンテーブル4と、制御装置10と、第1分注装置20と、第2分注装置30と、攪拌装置40と、測定装置50と、洗浄装置60と、を含むことができる。
【0025】
反応セル2は、検体を収容するための容器であり、反応セル2内において、検体の前処理および検体と試薬との反応を行うことができる。検体は、例えば、血清、血球、尿、骨髄などの生体試料である。反応セル2は、ターンテーブル4上に環状に配置されている。反応セル2は、例えば、円形状のターンテーブル4の外周に沿って複数配置されている。配置される反応セル2の数は、特に限定されず必要に応じて適宜増減することができる。反応セル2は、例えば、等間隔に配置されている。反応セル2は、ターンテーブル4の回転に伴って、位置を移動する。
【0026】
ターンテーブル4は、ターンテーブル4の中心に設けられた回転軸(図示しない)を軸として、回転可能に形成されている。ターンテーブル4の回転は、制御装置10によって制御される。ターンテーブル4の周囲には、装置10,20,30,40,50,60および容器22,24,32が配置されている。自動分析装置100では、第1処理および第2処理を、1つのターンテーブル4で行うことができる。
【0027】
制御装置(制御手段の一例)10は、ターンテーブル4の回転を制御することができる。制御装置10は、ターンテーブル4を第1方向Aに第1角度だけ回転させた後、停止させる第1制御と、ターンテーブル4を第1方向Aとは逆の第2方向Bに第2角度だけ回転させた後、停止させる第2制御と、を繰り返し行う。これにより、制御装置10は、ターンテーブル4を繰り返し回転・停止させて、各反応セル2を第1ポジションP1、第2ポジションP2、および第3ポジションP3に順次停止させる。
【0028】
第1制御によって各反応セル2が停止する時間(以下、第1の時間ともいう)および第2制御によって各反応セル2が停止する時間(以下、第2の時間ともいう)は、各装置20,30,40,50,60が後述する各処理を行うことができれば特に限定されず、任意に設定することができる。例えば、第2の時間は、第1の時間よりも長く設定される。
【0029】
制御装置10は、例えば、第1制御を行うことにより、ターンテーブル4を第1方向Aに120°回転させて0.3秒〜0.6秒停止させた後、第2制御を行うことにより、ターンテーブル4を第2方向Bに3°回転させて0.3秒〜0.6秒停止させる。制御装置10は、この第1制御および第2制御を1サイクルとして、このサイクルを繰り返し行う。ターンテーブル4は、この1サイクルで117°(120°−3°)だけ第1方向Aに回転し、第1ポジションP1に位置していた反応セル2を、第2ポジションP2に、第2ポジションP2に位置していた反応セル2を第3ポジションP3に移動させることができる。そして、ターンテーブル4は、このサイクルが繰り返されることにより、各反応セル2を順次各ポジションP1〜P3に停止させることができる。なお、詳細については、後述する自動分析装置の動作で述べる。
【0030】
第1制御および第2制御におけるターンテーブル4の回転方向は、図示の例では、第1方向Aが時計回り、第2方向Bが反時計まわりであるが、第1制御および第2制御における回転方向が互いに逆方向であれば特に限定されない。
【0031】
第1分注装置(第1分注手段の一例)20は、第1ポジションP1において、前処理液の吐出および試薬の吐出を選択的に行う。第1分注装置20は、第1処理において、前処理液の分注を行い、第2処理において、試薬の分注を行う。具体的には、第1分注装置20は、前処理液容器22から前処理液を吸引し、吸引した前処理液を第1ポジションP1に停止した反応セル2に吐出することにより、前処理液の分注を行うことができる。なお、前処理液は、検体を希釈するための希釈液であってもよい。また、第1分注装置20は、試薬容器24から試薬を吸引し、吸引した試薬を第1ポジションP1に停止した反応セル2に吐出することにより、試薬の分注を行うことができる。
【0032】
第1分注装置20は、例えば、前処理液および試薬を吸引・吐出するためのピペット(プローブ)と、ピペットを、第1ポジションP1と前処理液容器22との間、および第1ポジションP1と試薬容器24との間で移動させるための移動機構と、を有している。第1分注装置20は、複数のピペットを有していてもよい。
【0033】
自動分析装置100は、例えば、複数の前処理液容器22を有し、第1分注装置20が、複数の前処理液容器22から指定された前処理液容器22を抽出して前処理液の吸引を行ってもよい。また、自動分析装置100は、例えば、複数の試薬容器24を有し、第1分注装置20が、複数の試薬容器22から指定された試薬容器22を抽出して試薬の吸引を行ってもよい。
【0034】
第2分注装置(第2分注手段の一例)30は、第2ポジションP2において、検体の吐出および前処理検体の分注を選択的に行う。第2分注装置30は、第2ポジションP2に停止した反応セル2に対して、第1処理において、検体の分注を行い、第2処理において、前処理が行われた検体(前処理検体)の分注を行う。具体的には、第2分注装置30は、検体容器32から検体を吸引し、吸引した検体を第2ポジションP2に停止した反応セル2に吐出することにより、検体の分注を行うことができる。検体容器32は、図示しないターンテーブル上に複数配置されていてもよく、分注装置30は、当該ターンテーブル上の複数の検体容器32から指定された検体容器32を抽出して検体の吸引を行ってもよい。また、第2分注装置30は、第2ポジションP2に停止した反応セル(第1反応セル)2内の前処理検体を吸引し、吸引した前処理検体を、第2ポジションP2に停止した他の反応セル(第2反応セル)2に吐出することにより、前処理検体の分注を行うことができる。
【0035】
第2分注装置30は、例えば、検体および前処理検体を吸引・吐出するためのピペット(プローブ)と、ピペットを、第2ポジションP2と検体容器32との間で移動させるための移動機構と、を有している。第2分注装置30は、複数のピペットを有していてもよい。
【0036】
攪拌装置(攪拌手段の一例)40は、第3ポジションP3において、前処理液と検体との攪拌および前処理検体と試薬との攪拌を選択的に行う。攪拌装置40は、第3ポジションP3に停止した反応セル2に対して、第1処理において、検体と前処理液との攪拌を行い、第2処理において、前処理検体と試薬との攪拌を行う。攪拌装置40は、例えば、検体と前処理液との攪拌、および前処理検体と試薬との攪拌を行うための攪拌プローブ(攪拌棒)と、攪拌棒を回転運動または往復運動させるための動作機構と、を有している。さらに、攪拌装置40は、攪拌プローブを洗浄するための洗浄機構を有していてもよい。
【0037】
測定装置(測定手段の一例)50は、測定ポジションPmを通過する反応セル2内の試薬と検体とを反応させた反応検体に対して、例えば、糖やコレステロール、タンパク、酵素などの各種成分の測定を行う。測定ポジションPmは、任意の位置に設定することができる。測定装置50は、例えば、光を測定物(反応検体)に当てて通過させ、その透過光量を電気的に検出する分光器を備えている。測定されたデータは、A/D変換器(アナログ・デジタル変換器)によって数値化され、CPUで演算し結果が出力される。
【0038】
洗浄装置60は、例えば、図示はしないが、廃液ポンプと、洗浄液ポンプと、を有している。洗浄装置60は、廃液ポンプによって、第1洗浄ポジションPw1に停止した反応セル2内の測定済みの反応検体や不要になった前処理検体を吸引し、廃液タンクに排出する。洗浄装置60は、さらに、この反応セル2が第2洗浄ポジションPw2に停止したときに、洗浄液ポンプによって、反応セル2内に洗浄液を供給し、この洗浄液によって反応セル2内を洗浄し、その後、この洗浄液を廃液タンクに排出する。第1洗浄ポジションPw1および第2洗浄ポジションPw2は、任意の位置に設定することができる。
【0039】
自動分析装置100では、第1ポジションP1と第2ポジションP2とが(ターンテーブル4の回転軸まわりに)成す角度θ1−2は、第1角度と第2角度との差に等しい。同様に、第2ポジションP2と第3ポジションP3とが成す角度θ2−3は、第1角度と第2角度との差に等しい。また、第3ポジションP3と第1ポジションP1とが成す角度θ3−1は、第1角度に等しい。また、第2処理が行われる反応セル(第2反応セル)2は、第1処理が行われる反応セル(第1反応セル)2から第1方向Aに第2角度だけ離れた位置に配置される。これにより、ターンテーブル4が1回転する間(1回転目)に、第1反応セル2を、第1ポジションP1、第2ポジションP2、第3ポジションP3に停止させて第1処理を行い、次に、ターンテーブル4が1回転する間(2回転目)に、第1反応セル2を、再度、第1ポジションP1、第2ポジションP2、第3ポジションP3に停止させ、かつ第2反応セル2を、第1ポジションP1、第2ポジションP2、第3ポジションP3に停止させて第2処理を行うことができる。そのため、第2分注装置30は、前処理検体を有する第1反応セル2が第2ポジションP2に停止したときに前処理検体を吸引し、第2反応セル2が第2ポジションP2に停止したときに前処理検体を吐出することができる。詳細については、後述する自動分析装置の動作で述べる。
【0040】
なお、第1角度および第2角度の大きさは、上述の関係を満たせば特に限定されないが、第2角度は、第1角度よりも小さいことが望ましい。これにより、ターンテーブル4の回転に要する時間を短縮できる。
【0041】
2. 自動分析装置の動作
次に、本実施形態に係る自動分析装置の動作について説明する。
【0042】
自動分析装置100では、1つの検体に対して、ターンテーブル4上の第1反応セルで第1処理を行い、第1反応セルから第1方向Aに第2角度だけ離れた第2反応セルで第2処理を行う。具体的には、まず、第1分注装置20によって第1反応セル2に前処理液を分注し、第2分注装置30によって前処理液が分注された第1反応セル2に検体を分注し、攪拌装置40によって前処理液と検体とを攪拌して前処理検体を作成して第1処理を行う。次に、第1分注装置20によって第2反応セル2に試薬を分注し、第2分注装置30によって第1反応セル2が有する前処理検体を第2反応セル2に分注し、攪拌装置40によって試薬と前処理検体を攪拌して反応検体を作成する第2処理を行う。そして、この反応検体を測定装置50により測定する。自動分析装置100では、複数の検体について、この第1処理および第2処理を、並行して行うことができる。以下、詳細に説明する。
【0043】
図2〜図9は、自動分析装置100の動作を説明するための図である。なお、図2〜図9において、便宜上、装置10〜60の図示を省略している。また、図2〜図9において、自動分析装置100の動作を説明するために必要な反応セル2のみを図示し、その他の反応セル2の図示を省略している。
【0044】
図2に示すように、第1ポジションP1に位置する反応セル2aに、第1分注装置20が前処理液を分注する。具体的には、第1分注装置20は、前処理液容器22(図1参照)の前処理液を吸引し、吸引した前処理液を第1ポジションP1に位置する反応セル2aに吐出する。
【0045】
以下、制御装置10が第1制御を行うことにより、ターンテーブル4を第1方向Aに第1角度だけ回転させ第1の時間停止させた後、制御装置10が第2制御を行うことにより、ターンテーブル4を第2の方向Bに第2角度だけ回転させて第2の時間停止させるまでを、1サイクルとする。自動分析装置100は、このサイクルを繰り返して処理を進める。
【0046】
図3(A)に示すように、制御装置10が第1制御(1サイクル目)を行うことにより、ターンテーブル4は、第1ポジションP1に位置する反応セル2aを第2ポジションP2から第1方向Aに第2角度だけ離れたポジション(第4ポジション)P2Aに移動させ、第1の時間停止させる。
【0047】
図3(B)に示すように、制御装置10が第2制御(1サイクル目)を行うことにより、ターンテーブル4は、ポジションP2Aに位置する反応セル2aを第2ポジションP2に移動させて、第2の時間停止させる。
【0048】
この第2の時間において、第2分注装置30は、反応セル2aに検体Aを吐出する。具体的には、第2分注装置30は、例えば、予め検体容器32から検体を吸引し、第2の時間において、反応セル2aに吸引した検体を吐出する。さらに、第2の時間において、第1分注装置20は、第1ポジションP1に停止している反応セル2bに前処理液を吐出する。
【0049】
なお、第2分注装置30は、反応セル2aに検体を吐出した後、反応セル2bが第2ポジションP2に停止するまでの間に、検体容器32から検体Bを吸引する。このように、第2分注装置30は、反応セル2に検体を吐出した後、次の反応セル2が第2ポジションP2に第2の時間停止するまでの間に、検体容器32から検体を吸引する。
【0050】
図4(A)に示すように、制御装置10が第1制御(2サイクル目)を行うことにより、ターンテーブル4は、第2ポジションP2に位置する反応セル2aを、第3ポジションP3から第1方向Aに第2角度だけ離れたポジション(第5ポジション)P3Aに移動させ、第1ポジションP1に位置する反応セル2bをポジションP2Aに移動させて、第1の時間停止させる。
【0051】
図4(B)に示すように、制御装置10が第2制御(2サイクル目)を行うことにより、ターンテーブル4は、ポジションP3Aに位置する反応セル2aを第3ポジションP3に移動させ、ポジションP2Aに位置する反応セル2bを第2ポジションP2に移動させて、第2の時間停止させる。
【0052】
この第2の時間において、攪拌装置40は、反応セル2a内の検体Aと前処理液とを攪拌する。これにより、反応セル2a内に前処理が行われた検体(前処理検体)A1が作成される。さらに、第2の時間において、第2分注装置30は、反応セル2bに検体Bを吐出する。さらに、第2の時間において、第1分注装置20は、第1ポジションP1に停止している反応セル2cに前処理液を吐出する。
【0053】
なお、攪拌装置40は、反応セル2a内の検体と前処理液との攪拌に用いた攪拌プローブを、次の反応セル2bが第3ポジションP3に停止するまでに、洗浄する。このように、攪拌装置40は、反応セル2内を攪拌した後、次の反応セル2が第3ポジションP3に第2の時間停止するまでの間に、攪拌プローブを洗浄する。
【0054】
また、第1分注装置20は、反応セル2cに前処理液を吐出した後、次の反応セル2dが第1ポジションP1に停止するまでに、試薬容器22(図1参照)から試薬を吸引する。このように、第1分注装置20は、反応セル2に前処理液(または試薬)を吐出した後、次の反応セル2が第1ポジションP1に第2の時間停止するまでの間に、試薬(または前処理液)を吸引する。
【0055】
図5(A)に示すように、制御装置10が第1制御(3サイクル目)を行うことにより、ターンテーブル4は、第3ポジションP3に位置する反応セル2aを第1ポジションP1に移動させ、第2ポジションP2に位置する反応セル2bをポジションP3Aに移動させ、第1ポジションP1に位置する反応セル2cをポジションP2Aに移動させ、第1の時間停止させる。
【0056】
図5(B)に示すように、制御装置10が第2制御(3サイクル目)を行うことにより、ターンテーブル4は、第1ポジションP1に位置する反応セル2aを第1ポジションP1から第2方向Bに第2角度だけ離れたポジション(第6ポジション)P1Bに移動させ、ポジションP3Aに位置する反応セル2bを第3ポジションP3に移動させ、ポジションP2Aに位置する反応セル2cを第2ポジションP2に移動させて、第2の時間停止させる。
【0057】
この第2の時間において、第1分注装置20は、第1ポジションP1に停止している反応セル2dに試薬を吐出する。反応セル2dは、反応セル2aから第1方向Aに第2角度だけ(ここでは反応セル2つ分)離れた位置に配置されている。さらに、第2の時間において、第2分注装置30は、反応セル2cに検体Cを吐出する。さらに、第2の時間において、攪拌装置40は、反応セル2b内の検体Bと前処理液との攪拌を行う。これにより、反応セル2b内に前処理検体B1が作成される。
【0058】
図6(A)に示すように、制御装置10が第1制御(4サイクル目)を行うことにより、ターンテーブル4は、ポジションP1Bに位置する反応セル2aを第2ポジションP2に移動させ、第1ポジションP1に位置する反応セル2dをポジションP2Aに移動させ、第3ポジションP3に位置する反応セル2bを第1ポジションP1に移動させ、第2ポジションP2に位置する反応セル2cをポジションP3Aに移動させて、第1の時間停止させる。
【0059】
この第1の時間において、第2分注装置30は、反応セル2a内の前処理検体A1を吸引する。
【0060】
図6(B)に示すように、制御装置10が第2制御(4サイクル目)を行うことにより、ターンテーブル4は、第2ポジションP2に位置する反応セル2aを第2ポジションP2よりも第2方向B側のポジション(第7ポジション)P2Bに移動させ、ポジションP2Aに位置する反応セル2dを第2ポジションP2に移動させ、第1ポジションP1に位置する反応セル2bをポジションP1Bに移動させ、ポジションP3Aに位置する反応セル2cを第3ポジションP3に移動させて、第2の時間停止させる。
【0061】
この第2の時間において、第1分注装置20は、第1ポジションP1に停止している反応セル2eに試薬を吐出する。反応セル2eは、例えば、反応セル2bよりも第1方向A側に第2角度だけ離れた位置に配置されている。さらに、第2の時間において、第2分注装置30は、反応セル2aから吸引した前処理検体A1を、反応セル2dに吐出する。すなわち、第2分注装置30は、反応セル2aからの前処理液の吸引(図6(A)参照)、および反応セル2dへの前処理液の吐出(図6(B)参照)を、1つのポジションP2において行うことができる。さらに、第2の時間において、攪拌装置40は、反応セル2c内の検体Cと前処理液とを攪拌する。これにより、反応セル2c内に前処理検体C1が作成される。
【0062】
図7(A)に示すように、制御装置10が第1制御(5サイクル目)を行うことにより、ターンテーブル4は、ポジションP2Bに位置する反応セル2aを第3ポジションP3に移動させ、第2ポジションP2に位置する反応セル2dをポジションP3Aに移動させ、ポジションP1Bに位置する反応セル2bを第2ポジションP2に移動させ、第1ポジションP1に位置する反応セル2eをポジションP2Aに移動させ、第3ポジションP3に位置する反応セル2cを第1ポジションP1に移動させ、第1の時間停止させる。
【0063】
この第1の時間において、第2分注装置30は、反応セル2b内の前処理検体B1を吸引する。
【0064】
図7(B)に示すように、制御装置10が第2制御(5サイクル目)を行うことにより、ターンテーブル4は、第3ポジションP3に位置する反応セル2aを第3ポジションP3から第2方向Bに第2角度だけ離れたポジションP3Bに移動させ、ポジションP3Aに位置する反応セル2dを第3ポジションP3に移動させ、第2ポジションP2に位置する反応セル2bをポジションP2Bに移動させ、ポジションP2Aに位置する反応セル2eを第2ポジションP2に移動させ、第1ポジションP1に位置する反応セル2cを、ポジションP1Bに移動させて、第2の時間停止させる。
【0065】
この第2の時間において、第1分注装置20は、第1ポジションP1に停止している反応セル2fに試薬を吐出する。反応セル2fは、例えば、反応セル2cから第1方向Aに第2角度だけ離れた位置に配置されている。さらに、第2の時間において、第2分注装置30は、反応セル2bから吸引した前処理検体B1を、反応セル2eに吐出する。さらに、第2の時間において、攪拌装置40は、反応セル2d内の前処理検体A1と試薬とを攪拌する。これにより、反応セル2d内に前処理検体A1と試薬とを反応させた反応検体A2が作成される。
【0066】
図8(A)に示すように、制御装置10が第1制御(6サイクル目)を行うことにより、ターンテーブル4は、ポジションP3Bに位置する反応セル2aをポジションP1Bに移動させ、第3ポジションP3に位置する反応セル2dを第1ポジションP1に移動させ、ポジションP2Bに位置する反応セル2bを第3ポジションP3に移動させ、第2ポジションP2に位置する反応セル2eをポジションP3Aに移動させ、ポジションP1Bに位置する反応セル2cを第2ポジションP2に移動させ、第1ポジションP1に位置する反応セル2fをポジションP2Aに移動させて、第1の時間停止させる。
【0067】
この第1の時間において、第2分注装置30は、反応セル2c内の前処理検体C1を吸引する。
【0068】
図8(B)に示すように、制御装置10が第2制御(6サイクル目)を行うことにより、ターンテーブル4は、第1ポジションP1に位置する反応セル2dをポジションP1Bに移動させ、第3ポジションP3に位置する反応セル2bをポジションP3Bに移動させ、ポジションP3Aに位置する反応セル2eを第3ポジションP3に移動させ、第2ポジションP2に位置する反応セル2cをポジションP2Bに移動させ、ポジションP2Aに位置する反応セル2fを第2ポジションP2に移動させて、第2の時間停止させる。
【0069】
この第2の時間において、第1分注装置20は、第1ポジションP1に停止している反応セル2gに前処理液を吐出する。反応セル2gは、例えば、反応セル2dから第1方向Aに第2角度だけ離れた位置に配置されている。さらに、第2の時間において、第2分注装置30は、反応セル2cから吸引した前処理検体C1を、反応セル2fに吐出する。さらに、第2の時間において、攪拌装置40は、反応セル2e内の前処理検体B1と試薬とを攪拌する。これにより、反応セル2e内に前処理検体B1と試薬とを反応させた反応検体B2が作成される。
【0070】
図9(A)に示すように、制御装置10が第1制御(7サイクル目)を行うことにより、ターンテーブル4は、第1ポジションP1に位置する反応セル2gをポジションP2Aに移動させ、第3ポジションP3に位置する反応セル2eを第1ポジションP1に移動させ、第2ポジションP2に位置する反応セル2fをポジションP3Aに移動させる。
【0071】
図9(B)に示すように、制御装置10が第2制御(7サイクル目)を行うことにより、ターンテーブル4は、ポジションP2Aに位置する反応セル2gを第2ポジションP2に移動させ、第1ポジションP1に位置する反応セル2eをポジションP1Bに移動させ、ポジションP3Aに位置する反応セル2fを第3ポジションP3に移動させて、第2の時間停止させる。
【0072】
この第2の時間において、第1分注装置20は、第1ポジションP1に停止している反応セル2hに試薬を吐出する。反応セル2hは、例えば、反応セル2eから第1方向Aに第2角度だけ離れた位置に配置されている。さらに、第2の時間において、第2分注装置30は、反応セル2gに検体Dを吐出する。さらに、第2の時間において、攪拌装置40は、反応セル2f内の前処理検体C1と試薬とを攪拌する。これにより、反応セル2f内に前処理検体C1と試薬とを反応させた反応検体C2が作成される。
【0073】
測定装置50(図1参照)は、各反応セル2d,2e,2fが測定ポジションPmを通過するごとに、各反応セル2d,2e,2f内の反応検体A2,B2,C2を測定する。
【0074】
洗浄装置60は、測定が終了した反応セル2が洗浄ポジションPw1,Pw2に停止したときに、反応セル2の洗浄を行う。
【0075】
以上の工程により、自動分析装置100は、検体A,B,Cの分析を行うことができる。
【0076】
図10は、第1分注装置20の動作の流れを示す表である。図11は、第2分注装置30の動作の流れを示す表である。図12は、攪拌装置40の動作の流れを示す表である。
【0077】
図10〜図12に示すように、第1分注装置20は、0サイクル目〜2サイクル目まで、連続して前処理液の分注を行い、3サイクル目〜5サイクル目まで、連続して試薬の分注を行うことができる。このように自動分析装置100では、第1分注装置20を休みなく動作させることができる。
【0078】
また、第2分注装置30は、1サイクル目〜3サイクル目まで、連続して検体A,B,Cの分注を行い、4サイクル目〜6サイクル目まで、連続して前処理検体A1,B1,C1の分注を行うことができる。このように自動分析装置100では、第2分注装置30を休みなく動作させることができる。
【0079】
また、攪拌装置40は、2サイクル目〜4サイクル目まで、連続して検体A,B,Cと前処理液との攪拌を行い、5サイクル目〜7サイクル目まで、連続して前処理検体A1,B1,C1と試薬との攪拌を行うことができる。このように自動分析装置100では、攪拌装置30を、1サイクル目以降、休みなく動作させることができる。このように、自動分析装置100では、各装置20,30,40を効率よく動作させることができる。
【0080】
なお、上述した工程では、3つの検体A,B,Cについて分析を行った場合について説明したが、自動分析装置100では、3つ以上の検体についても、上述した工程を繰り返ことによって、分析を行うことができる。
【0081】
自動分析装置100は、例えば、以下の特徴を有する。
【0082】
自動分析装置100では、制御装置10がターンテーブル4を第1方向Aに第1角度だけ回転させた後、停止させる第1制御と、ターンテーブル4を第2方向Bに第2角度だけ回転させた後、停止させる第2制御と、を行う。これにより、ターンテーブル4が1回転する間(1回転目)に、第1反応セル2a,2b,2cを、第1ポジションP1、第2ポジションP2、第3ポジションP3に停止させて第1処理を行い、次に、ターンテーブルが1回転する間(2回転目)に、第1反応セル2a,2b,2cを、再度、第1ポジションP1、第2ポジションP2、第3ポジションp3に停止させ、かつ対応する第2反応セル2d,2e,2fを、第1ポジションP1、第2ポジションP2、第3ポジションP3に停止させて第2処理を行うことができる。そのため、第1処理と第2処理とを同じターンテーブル4で行うことができ、かつ第1分注装置20、第2分注装置30、および攪拌装置40が、それぞれ1つのポジションで効率よく処理を行うことができる。したがって、装置を大型化および複雑化させることなく、処理能力を向上できる。例えば、ターンテーブルが一定の方向に所定の角度で回転する自動分析装置において、前処理検体が作成された反応セルから当該前処理検体を他の反応セルに分注するためには、ターンテーブル上の少なくとも2つのポジションで処理(吸引・吐出)を行わなくてはならない。そのため、例えば、前処理検体を分注するための分注装置に2つのポジションを移動させるための機構が必要となる。自動分析装置100では、このような機構が不要であるため、装置を大型化および複雑化させることなく、処理能力を向上できる。
【0083】
自動分析装置100によれば、図10〜図12に示すように、第1分注装置20、第2分注装置30、および第3分注装置40を効率よく動作させることができる。したがって、処理能力を向上できる。
【0084】
自動分析装置100では、試薬を反応セル2に分注した後に、前処理検体を反応セル2に分注することができる。すなわち、第2分注装置30は、試薬を分注した反応セル2に、前処理検体を分注することができる。これにより、第2分注装置30が、反応セル2内に前処理検体を吐出する際に、反応セル2内に試薬があるため、前処理検体を吐出しやすい。特に、第2分注装置30が、前処理検体を少量吐出する場合に有効である。
【0085】
なお、本発明は上述した実施形態や変形例に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0086】
例えば、上述の例では、自動分析装置100がすべての検体A,B,Cに対して、第1処理および第2処理を行う場合について説明したが、自動分析装置100は、例えば、一部の検体に対して、第1処理を行わずに第2処理のみを行ってもよい。すなわち、自動分析装置100は、第1処理を行う検体と、第1処理を行わない検体と、を混在させて処理を行ってもよい。このような場合であっても上述の例と同様に、制御装置10が第1制御と第2制御を行うことにより、各装置20,30,40を効率よく動作させることができる。
【0087】
また、上述の例では、第1分注装置20が前処理液の分注を行った後に第2分注装置30が検体の分注を行い、第1分注装置20が試薬の分注を行った後に第2分注処置30が前処理検体の分注を行う場合について説明したが、第2分注装置30が検体の分注を行った後に第1分注装置20が前処理液の分注を行い、第2分注装置30が前処理検体の分注を行った後に第1分注装置20が試薬の分注を行ってもよい。この場合、例えば、図1に示す、第1分注装置20の位置と第2分注装置30の位置とを入れ替えてもよい。
【0088】
また、上述の例では、図1に示すように、第1分注装置20、洗浄装置60、第2分注装置30、制御装置10、攪拌装置40、測定装置50が、ターンテーブル4の周囲に、時計回りにこの順で配置されているが、各装置10〜60の位置は特に限定されない。
【0089】
また、上述の例では、図1に示すように、自動分析装置100が、前処理液および試薬を分注するための第1分注装置20を1つ有している場合について説明したが、複数の第1分注装置を有していてもよい。これにより、容易に複数の前処理液(試薬)を反応セル2に分注することができる。この複数の第1分注装置は、例えば、複数のポジションで処理を行ってもよい。また、自動分析装置100が、攪拌装置40を1つ有している場合について説明したが、複数の攪拌装置を有していてもよい。この複数の攪拌装置は、例えば、複数のポジションで処理を行ってもよい。このような例では、3つ以上のポジションP1,・・・,Pn(nは3以上の整数)で処理が行われる。その場合、最初の処理が行われるポジションP1と最後の処理が行われるポジションPnとが成す角度は、第1角度に等しく、その他の隣り合うポジションが成す角度は、第1角度と第2角度との差に等しい。また、第2処理が行われる反応セル(第2反応セル)2は、第1処理が行われる反応セル(第1反応セル)2よりも第1方向Aに第2角度だけ離れた位置に配置される。これにより、上述の例と同様の作用効果を奏することができる。
【0090】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0091】
2 反応セル、4 ターンテーブル、10 制御装置、20 第1分注装置、
22 前処理液容器、24 試薬容器、30 第2分注装置、32 検体容器、
40 攪拌装置、50 測定装置、60 洗浄装置、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1反応セルにおいて、前処理液によって検体の前処理を行うことにより前処理検体を作成する第1処理を行い、第2反応セルにおいて、前記前処理検体を試薬と反応させて反応検体を作成する第2処理を行う自動分析装置であって、
前記第1反応セルおよび前記第2反応セルが環状に配置されたターンテーブルと、
前記ターンテーブルの回転を制御する制御手段と、
第1ポジションにおいて、前記前処理液および前記試薬の吐出を選択的に行う第1分注手段と、
第2ポジションにおいて、前記検体の吐出および前記前処理検体の分注を選択的に行う第2分注手段と、
第3ポジションにおいて、前記前処理液と前記検体との攪拌および前記前処理検体と前記試薬との攪拌を選択的に行う攪拌手段と、
前記反応検体の測定を行う測定手段と、
を含み、
前記制御手段は、
前記ターンテーブルを第1方向に第1角度だけ回転させた後、停止させる第1制御と、
前記ターンテーブルを前記第1方向とは逆の第2方向に第2角度だけ回転させた後、停止させる第2制御と、
を繰り返し行い、
前記第2反応セルは、前記第1反応セルから前記第1方向に前記第2角度だけ離れた位置に配置され、
前記ターンテーブルは、前記第1制御および前記第2制御が繰り返されることによって、前記第1反応セルおよび前記第2反応セルが、少なくとも前記第1ポジション、前記第2ポジション、および前記第3ポジションに停止するように回転し、
前記第2分注手段は、前記前処理検体を有する前記第1反応セルが前記第2ポジションに停止したときに前記前処理検体を吸引し、前記第2反応セルが前記第2ポジションに停止したときに吸引した前記前処理検体を吐出する、自動分析装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1ポジションと前記第2ポジションとが成す角度および前記第2ポジションと前記第3ポジションとが成す角度は、前記第1角度と前記第2角度との差と等しく、
前記第3ポジションと前記第1ポジションとが成す角度は、前記第1角度に等しい、自動分析装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記回転テーブルは、前記第1制御および前記第2制御によって、
前記第1ポジションに位置する前記第1反応セルを、前記第2ポジションから前記第1方向に前記第2角度だけ離れた第4ポジションに移動させて停止させた後、前記第4ポジションから前記第2ポジションに移動させて停止させ、
前記第2ポジションに位置する前記第1反応セルを、前記第2ポジションから前記第1方向に前記第2角度だけ離れた第5ポジションに移動させて停止させた後、前記第5ポジションから前記第3ポジションに移動させて停止させ、
前記第3ポジションに位置する前記第1反応セルを、前記第1ポジションに移動させて停止させた後、前記第1ポジションから前記第2方向に前記第2角度離れた前記第6ポジションに移動させて停止させ、
前記第6ポジションに位置する前記第1反応セルを、前記第2ポジションに移動させて停止させた後、前記第2ポジションから前記第2方向に前記第2角度だけ離れた第7ポジションに移動させて停止させる、自動分析装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、
前記第2角度は、前記第1角度よりも小さい、自動分析装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、
前記第2分注装置は、前記試薬を分注した前記第2反応セルに、前記前処理検体を分注する、自動分析装置。
【請求項1】
第1反応セルにおいて、前処理液によって検体の前処理を行うことにより前処理検体を作成する第1処理を行い、第2反応セルにおいて、前記前処理検体を試薬と反応させて反応検体を作成する第2処理を行う自動分析装置であって、
前記第1反応セルおよび前記第2反応セルが環状に配置されたターンテーブルと、
前記ターンテーブルの回転を制御する制御手段と、
第1ポジションにおいて、前記前処理液および前記試薬の吐出を選択的に行う第1分注手段と、
第2ポジションにおいて、前記検体の吐出および前記前処理検体の分注を選択的に行う第2分注手段と、
第3ポジションにおいて、前記前処理液と前記検体との攪拌および前記前処理検体と前記試薬との攪拌を選択的に行う攪拌手段と、
前記反応検体の測定を行う測定手段と、
を含み、
前記制御手段は、
前記ターンテーブルを第1方向に第1角度だけ回転させた後、停止させる第1制御と、
前記ターンテーブルを前記第1方向とは逆の第2方向に第2角度だけ回転させた後、停止させる第2制御と、
を繰り返し行い、
前記第2反応セルは、前記第1反応セルから前記第1方向に前記第2角度だけ離れた位置に配置され、
前記ターンテーブルは、前記第1制御および前記第2制御が繰り返されることによって、前記第1反応セルおよび前記第2反応セルが、少なくとも前記第1ポジション、前記第2ポジション、および前記第3ポジションに停止するように回転し、
前記第2分注手段は、前記前処理検体を有する前記第1反応セルが前記第2ポジションに停止したときに前記前処理検体を吸引し、前記第2反応セルが前記第2ポジションに停止したときに吸引した前記前処理検体を吐出する、自動分析装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1ポジションと前記第2ポジションとが成す角度および前記第2ポジションと前記第3ポジションとが成す角度は、前記第1角度と前記第2角度との差と等しく、
前記第3ポジションと前記第1ポジションとが成す角度は、前記第1角度に等しい、自動分析装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記回転テーブルは、前記第1制御および前記第2制御によって、
前記第1ポジションに位置する前記第1反応セルを、前記第2ポジションから前記第1方向に前記第2角度だけ離れた第4ポジションに移動させて停止させた後、前記第4ポジションから前記第2ポジションに移動させて停止させ、
前記第2ポジションに位置する前記第1反応セルを、前記第2ポジションから前記第1方向に前記第2角度だけ離れた第5ポジションに移動させて停止させた後、前記第5ポジションから前記第3ポジションに移動させて停止させ、
前記第3ポジションに位置する前記第1反応セルを、前記第1ポジションに移動させて停止させた後、前記第1ポジションから前記第2方向に前記第2角度離れた前記第6ポジションに移動させて停止させ、
前記第6ポジションに位置する前記第1反応セルを、前記第2ポジションに移動させて停止させた後、前記第2ポジションから前記第2方向に前記第2角度だけ離れた第7ポジションに移動させて停止させる、自動分析装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、
前記第2角度は、前記第1角度よりも小さい、自動分析装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、
前記第2分注装置は、前記試薬を分注した前記第2反応セルに、前記前処理検体を分注する、自動分析装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−132721(P2012−132721A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−283386(P2010−283386)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(000004271)日本電子株式会社 (811)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(000004271)日本電子株式会社 (811)
【Fターム(参考)】
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