説明

自動取引装置及びタッチパネルの検出方法

【課題】タッチパネルに対する誤操作を防ぐ。
【解決手段】自動取引装置1は、タッチパネル2が取引ごとに表示する取引画面に対応付けられた、取引画面のタッチの検出が有効な有効領域の情報を保持する領域情報保持部3aを備え、表示要求部3bが取引に応じた取引画面をタッチパネル2に表示させ、検出要求部3cが領域情報保持部3aからタッチパネル2に表示させる取引画面に対応する有効領域を特定し、特定した有効領域に基づいてタッチパネル2にタッチの検出を実行させる。これにより、タッチパネル2が表示する取引画面の有効領域以外の領域を顧客の袖等が意図せずにタッチを行った状態で、顧客が有効領域内に意図してタッチを行って複数点がタッチされた場合でも、顧客の意図するタッチが正常に検出されるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動取引装置及びタッチパネルの検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
銀行、コンビニエンスストア等に設置されている現金自動預け払い機(Automated Teller Machine:ATM(自動取引装置))には、顧客による暗証番号及び入出金額の入力並びに所望の取引を実行させる操作入力を受け付けるタッチパネルが備えられている。このタッチパネルには、顧客のタッチによる操作入力を検出するために抵抗膜式、静電容量式等の様々な形式が適用されている。特に、不特定多数の顧客により毎日利用されることから耐久性に優れた光学式が採用されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
光学式のタッチパネルは、表示画面を挟んで発光素子及び受光素子が一対となって当該表示画面の長辺及び短辺に沿って複数配列される。顧客は光学式のタッチパネルに表示されている取引等の操作を行わせるためのボタンの領域に対してタッチすると、発光素子から受光素子に出力される光が遮られ、ATMはこの遮光領域を検出することで押下点を識別する。そして、ATMは、当該押下点に対応する取引ボタンの処理を実行することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−262509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような遮光領域を検出する方法では次のような問題点があった。顧客がタッチパネルに表示されている所望のボタンの領域をタッチしようとすると、当該タッチよりも先に顧客の衣服の袖がタッチパネルをタッチしてしまう場合がある。そして、袖がタッチした状態で顧客が意図するタッチを行う。特に、袖がタッチした箇所が操作を行わせるためのボタンの領域以外である場合には、タッチパネルは袖のタッチを先に検出してしまうために、顧客が意図するタッチを検出しない。結果的にタッチパネルは何も反応しなくなる。すると、顧客はATMが停止または故障してしまったような印象を受けてしまい、顧客を不快にさせてしまうという問題点があった。
【0006】
本願はこのような点に鑑みてされたものであり、タッチパネルに対する誤操作を防ぐことができる自動取引装置及びタッチパネルの検出方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、画面を表示して操作入力を受け付けるタッチパネルを備える自動取引装置において、前記タッチパネルが取引ごとに表示する取引画面に対応付けられた、前記取引画面のタッチの検出が有効な有効領域の情報を保持する領域情報保持部と、取引に応じた取引画面を前記タッチパネルに表示させる表示要求部と、前記領域情報保持部から前記タッチパネルに表示させる前記取引画面に対応する前記有効領域を特定し、特定した前記有効領域に基づいて前記タッチパネルにタッチの検出を実行させる検出要求部と、を有する自動取引装置が提供される。
【0008】
また、上記目的を達成するために、上記の自動取引装置と同様のタッチパネルの検出方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
このような自動取引装置及びタッチパネルの検出方法により、タッチパネルに対する誤操作を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施の形態に係る自動取引装置の構成を示す図である。
【図2】第2の実施の形態に係るATMの外観を示す図である。
【図3】第2の実施の形態に係るATMのハードウェア構成例を示す図である。
【図4】第2の実施の形態に係るATMが備えるタッチパネルの構成例を示す図である。
【図5】第2の実施の形態に係るATMが備える機能を示すブロック図である。
【図6】第2の実施の形態に係るATMが備える領域情報を具体的に示す図である。
【図7】第2の実施の形態に係るATMのタッチパネルの画面の表示例(その1)である。
【図8】第2の実施の形態に係るATMのタッチパネルの画面の表示例(その2)である。
【図9】第2の実施の形態に係るATMのタッチの検出処理のフローチャートである。
【図10】第2の実施の形態に係るATMのタッチパネルの遮光検出の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を参照して実施の形態について説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係る自動取引装置の構成を示す図である。
【0012】
なお、図1(A)は自動取引装置1の構成例を示しており、図1(B),(C)は顧客のタッチパネルに対するタッチ動作を示している。
自動取引装置1は、タッチパネルの表示領域にタッチの検出の有効な有効領域を設けて、当該有効領域に対するタッチの検出のみを行うものである。
【0013】
このような自動取引装置1は、図1(A)に示されるように、タッチパネル2と、タッチパネル2のタッチ検出等を制御する制御部3とを備える。
タッチパネル2は、取引ごとに取引画面を表示するための表示装置(例えば、LCD(Liquid Crystal Display):液晶ディスプレイ)を備え、当該取引画面を表示領域2aに表示する。
【0014】
取引画面には、取引を実行させるためのボタンを示すボタン領域とボタン領域以外の余白領域とから構成される。ボタン領域等の数並びに面積等は取引画面のデザインに依存する。例えば、図1の表示領域2aに表示されている取引画面は、ボタン領域2b1〜2b4と、それ以外の余白領域2cとが設けられている。ボタン領域2b1〜2b4は、自動取引装置1が銀行のATMであれば、「お引出し」、「お振込み」等の取引及び取引に関する処理を実行させるためのボタンである。または、自動取引装置1が電車等の切符の券売機であれば、行き先までの乗車料金を指定するため等のボタンである。
【0015】
制御部3は、領域情報保持部3a、表示要求部3b、検出要求部3c及び送信部3dを備える。
領域情報保持部3aは、タッチパネル2が取引ごとに表示する取引画面に対応付けられた、取引画面のタッチの検出が有効な有効領域の情報を保持する。例えば、図1(A)では、領域情報保持部3aに基づいてタッチパネル2に指定したタッチの検出が有効な有効領域(図1中のハッチング領域)は、ボタン領域2b1〜2b4であり、その他の余白領域2cは有効領域が指定されておらず、余白領域2cではタッチは検出されない。
【0016】
表示要求部3bは、取引に応じた取引画面をタッチパネル2に表示させる。
検出要求部3cは、領域情報保持部3aからタッチパネル2に表示させる取引画面に対応する有効領域を特定し、特定した有効領域に基づいてタッチパネル2にタッチの検出を実行させる。
【0017】
送信部3dは、表示要求部3b及び検出要求部3cからのタッチパネル2に対する表示要求及び検出要求をそれぞれタッチパネル2に送信する。
なお、自動取引装置1の表示要求部3b及び検出要求部3cは、自動取引装置1が備える図示しないCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)によって検出プログラムが実行されることにより、その処理機能が実現されるようにすることも可能である。
【0018】
このような自動取引装置1におけるタッチパネル2のタッチの検出処理について説明する。
まず、表示要求部3bは取引画面の表示要求を送信部3dからタッチパネル2に送信する。タッチパネル2は受信した表示要求に基づいて表示領域2aに、例えば、図1(A)に示されるようなボタン領域2b1〜2b4及び余白領域2cを備える取引画面を表示する。
【0019】
検出要求部3cは領域情報保持部3aから表示要求部3bが表示要求を行った取引画面に対応するタッチの検出が有効な有効領域を特定する。そして、検出要求部3cは、特定した取引画面に対応する有効領域に基づくタッチの検出要求を送信部3dからタッチパネル2に送信する。
【0020】
これによりタッチパネル2は、表示領域2aの取引画面のボタン領域2b1〜2b4(図1中のハッチング箇所)のみでのタッチの検出を行うようにし、それ以外の余白領域2cではタッチの検出を行わないようにする。
【0021】
この状態において、顧客は、例えば、ボタン領域2b1をタッチしようとして指先をボタン領域2b1に近づける。この際、図1(B)に示されるように、ボタン領域2b1に対するタッチよりも先に顧客の衣服の袖が表示領域2aの余白領域2c(タッチ位置P1)をタッチしてしまったとする。
【0022】
しかし、余白領域2cではタッチの検出が行われないために、袖によるタッチはタッチパネル2に検出されない。
顧客は、図1(C)に示されるように、袖の余白領域2cのタッチ位置P1へのタッチに続けて、ボタン領域2b1(タッチ位置P2)をタッチする。
【0023】
ボタン領域2b1ではタッチの検出が行われるために、ボタン領域2b1のタッチ位置P2に対するタッチはタッチパネル2により正常に検出される。
そして、自動取引装置1は、ボタン領域2b1に対応する処理を実行することができる。
【0024】
このように自動取引装置1では、タッチパネル2が表示する取引画面に対応付けられた、取引画面のタッチの検出が有効な有効領域に基づいて、タッチパネル2に表示させる取引画面のタッチの検出を実行させるようにした。これにより、タッチパネル2が表示する取引画面の有効領域以外の領域を顧客の袖等が意図せずにタッチを行った状態で、顧客が有効領域内に意図してタッチを行って複数点がタッチされた場合でも、顧客の意図するタッチが正常に検出されるようになる。したがって、タッチパネル2に対する複数点タッチによる誤操作を防止することができるようになる。また、自動取引装置1では、タッチパネル2の表示領域2aに表示される取引画面に対してタッチの検出が有効な有効領域を設定するだけで容易にこのようなタッチパネル2に対する誤操作の防止を行うことができる。
【0025】
[第2の実施の形態]
次に、第1の実施の形態の自動取引装置としてATMを適用した場合についてより具体的に説明する。
【0026】
まず、ATMの外観及びハードウェア構成について図2及び図3を用いて説明する。
図2は、第2の実施の形態に係るATMの外観を示す図である。
ATM10は、前面にカード挿入/排出口40aを有するカード処理ユニット、通帳挿入/排出口50aを有する通帳処理ユニット、紙幣挿入/放出口60aを有する紙幣処理ユニット、及び硬貨挿入/放出口70aを有する硬貨処理ユニットを有する。さらに、ATM10は、顧客からの操作入力及び表示のためのタッチパネル30aを有する表示ユニットを有する。
【0027】
次に、このような外観のATM10のハードウェア構成について説明する。
図3は、第2の実施の形態に係るATMのハードウェア構成例を示す図である。
ATM10は、ATM10で行われる所定の処理を実行する制御ユニット20、顧客からの操作入力及び出力結果を表示する表示ユニット30を有する。さらに、ATM10には、図2で説明した、カード挿入/排出口40aを有するカード処理ユニット40、通帳挿入/排出口50aを有する通帳処理ユニット50、紙幣挿入/放出口60aを有する紙幣処理ユニット60、及び硬貨挿入/放出口70aを有する硬貨処理ユニット70を有する。
【0028】
制御ユニット20は、CPU20a、RAM(Random Access Memory)20b、HDD(Hard Disk Drive)20c、画像情報送受信部20d、ホスト通信制御部20e及び入出力インタフェース20fを備えており、これらの各部はバス20gで相互に接続されている。
【0029】
CPU20aは、HDD20c等の記憶媒体に記憶された各種プログラムを実行することにより、このATM10全体を統括的に制御する。
RAM20bには、CPU20aに実行させるOS(Operating System)、プログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM20bには、CPU20aによる処理に必要な各種データが格納される。
【0030】
HDD20cには、ATM10上のOS、アプリケーションのプログラムが格納される。また、HDD20cには、CPU20aによる処理に必要な各種データが格納される。
画像情報送受信部20dは、ATM10のCPU20aからの命令に従って画像情報等を表示ユニット30に送信する。
【0031】
ホスト通信制御部20eは、様々な場所に設置したATMの管理を行う管理センターのホストコンピュータ(図示を省略)と通信可能に例えばLAN(Local Area Network)で接続されており、ホストコンピュータと送受信信号の通信を行うことができる。
【0032】
入出力インタフェース20fには、カード処理ユニット40、通帳処理ユニット50、紙幣処理ユニット60、及び硬貨処理ユニット70が接続されて、バス20gを介してCPU20aと相互に信号の送受信を行う。
【0033】
表示ユニット30は、タッチパネル30aを備え、取引に応じた取引画面を表示し、また、顧客からのタッチによる操作入力を受け付ける。
タッチパネル30aは、光学式であって、顧客からの操作入力を受け付ける表示画面にATM10に必要な処理内容を示す処理領域が表示されている。タッチパネル30aに設けられた素子部は、一対の赤外線LED(Light Emitting Diode)(発光素子)とフォトトランジスタ(受光素子)とを有する。なお、タッチパネル30aの構成の詳細の説明については図4を用いて後に説明する。また、タッチパネル30aは、図示しないタッチパネルコントローラを備えている。タッチパネルコントローラは、制御ユニット20(CPU20a)からの要求に応じてタッチパネル30aの一対の発光素子及び受光素子を駆動させる。また、タッチパネルコントローラは、タッチパネル30aにおける発光素子からの光の遮光を検出に基づきタッチの検出を制御ユニット20に送信する。
【0034】
カード処理ユニット40は、カード挿入/排出口40aから挿入された顧客のカードに制御ユニット20からの実行指示に応じて所定の処理の処理結果を記録する。また、カード処理ユニット40は、取引に応じて記録または書き込み等の処理が完了したカードを、カード挿入/排出口40aから排出して、顧客に返却する。
【0035】
通帳処理ユニット50は、通帳挿入/排出口50aから挿入された顧客の通帳を所定位置まで搬送し、顧客からの実行指示に応じて所定の処理の処理結果を記録する。また、通帳処理ユニット50は、処理結果の記録が完了した通帳を搬送して、通帳挿入/排出口50aから排出して、顧客に返却する。
【0036】
紙幣処理ユニット60及び硬貨処理ユニット70は、紙幣挿入/放出口60a及び硬貨挿入/放出口70aから紙幣及び硬貨を受け入れて、紙幣及び硬貨をそれぞれ計数する。また、顧客の所定の実行指示に応じて、紙幣挿入/放出口60a及び硬貨挿入/放出口70aから処理に応じた額の紙幣及び硬貨を放出することができる。
【0037】
このようなカード処理ユニット40、通帳処理ユニット50、紙幣処理ユニット60、及び硬貨処理ユニット70は、顧客による表示ユニット30のタッチパネル30aを介した操作入力に応じて、制御ユニット20のCPU20aによってそれぞれ制御される。
【0038】
なお、図3に記載したハードウェア構成以外にも、例えば、銀行において行員がATM10の様々な設定を管理し、設定状況を把握するための係員操作表示ユニット等の図示を省略する上位装置が制御ユニット20に接続されている。
【0039】
次に、タッチパネル30aの構成について図4を用いて説明する。
図4は、第2の実施の形態に係るATMが備えるタッチパネルの構成例を示す図である。なお、図4中の左右方向をx方向、上下方向をy方向とする。
【0040】
表示ユニット30の光学式のタッチパネル30aは、表示領域31を備え、当該表示領域31に所定の処理内容(例えば、「お引出し」、「お預入れ」等)が対応付けられたボタンを示すボタン領域31a〜31eが表示されている。
【0041】
また、光学式のタッチパネル30aは、発光素子32と受光素子33とが表示領域31の長辺のx方向に対向配置してn組(x1〜xn)配列されている。また、発光素子34と受光素子35とが表示領域31の短辺のy方向(長辺のx方向に対して、90°交差した方向)に対向配置してn組(y1〜yn)配列されている。これは、タッチパネルの周囲4辺中、接し合う2辺(図4では、上の端辺と右の端辺)に発光素子32,34が配置され、残りの2辺(対向面側の辺で、下の端辺と左の端辺)に受光素子33,35が配置されている。例えば、x方向のx4の位置では、発光素子32から発光された光は、表示領域31を挟んで対向配置した受光素子33で受光される。また、y方向のy4の位置では、発光素子34から発光された光は、表示領域31を挟んで対向配置した受光素子35で受光される。また、タッチパネル30aはタッチパネルコントローラからの要求に応じて、100ms以下のごく短い間隔で、例えば、x1からxnの位置の発光素子32が順に発光し、次いでy1からynの位置の発光素子34が順に発光して、表示領域31全面をスキャンすることができる。
【0042】
このような構成を有するタッチパネル30aにおける顧客からの一般的なタッチの検出方法について説明する。
例えば、振り込みを実行したい場合、顧客は「お振込み」(例えば、図4中の「押下領域」付近)をタッチする。この時、x方向のx2,x3の位置の発光素子32と、y方向のyn−1の位置の発光素子34とからの光がタッチにより遮光されて、x方向のx2,x3の位置の受光素子33と、y方向のyn−1の位置の受光素子35とが受光しなくなる。そして、タッチパネル30aは発光素子32,34及び受光素子33,35の遮光された位置の押下点の座標を検出して、ATM10は、当該座標に対応する表示領域31のボタン領域31dの「お振込み」がタッチされたことを認識して、当該ボタン領域31dに対応する振り込みの処理を実行することができる。
【0043】
次に、ATM10が備えるハードウェア構成によって実現される機能について図5を用いて説明する。
図5は、第2の実施の形態に係るATMが備える機能を示すブロック図である。
【0044】
ATM10の制御ユニット20は、画面情報保持部21及び領域情報保持部22を備える。さらに、制御ユニット20は、タッチ検出受信部23、取引制御処理部24、画面表示制御部25、有効領域特定部26及び送信部27を備える。
【0045】
画面情報保持部21は、取引に応じた取引画面の情報を保持する。銀行のATMにおける取引画面には、例えば、「取引選択画面」、「暗証番号入力画面(図7)」及び「処理確認画面(図8)」等がある。
【0046】
領域情報保持部22は、タッチパネル30aが取引ごとに表示する取引画面に対応付けられた、取引画面のタッチの検出が有効な有効領域の情報を保持する。なお、領域情報保持部22が保持する有効領域の情報については後述する。
【0047】
タッチ検出受信部23は、タッチパネル30aの発光素子32,34及び受光素子33,35での遮光に基づきタッチを検出したタッチパネルコントローラからタッチ検出情報の通知を受信する。
【0048】
取引制御処理部24は、タッチパネル30aから送信されたタッチ検出情報に対応する取引を実行する。
画面表示制御部25は、取引制御処理部24が実行したタッチ検出情報に対応する取引の次に表示する取引画面を画面情報保持部21から選択する。画面表示制御部25は、選択した取引画面の表示要求を送信部27からタッチパネル30aに送信する。
【0049】
有効領域特定部26は、領域情報保持部22を参照して、画面表示制御部25からタッチパネル30aに送信された表示要求対象の取引画面に対応するタッチの検出が有効な有効領域を特定する。有効領域特定部26は特定した有効領域に基づくタッチ検出要求を送信部27からタッチパネル30aに送信する。
【0050】
送信部27は、画面表示制御部25及び有効領域特定部26からの表示要求及び検出要求をタッチパネル30aに送信する。
次に、制御ユニット20が備える領域情報保持部22について図6、図7及び図8を用いて説明する。
【0051】
図6は、第2の実施の形態に係るATMが備える領域情報を具体的に示す図であり、図7及び図8は、第2の実施の形態に係るATMのタッチパネルの画面の表示例である。なお、図7及び図8中の左右方向をx方向、上下方向をy方向とする。
【0052】
領域情報保持部22が保持する領域情報は、タッチパネル30aに表示させる取引画面に対応付けられた有効領域に対する発光素子32,34及び受光素子33,35の位置に関するものである。
【0053】
例えば、図6に示されるように、x1〜xnのうちxa1〜xanに配置されている発光素子32及び受光素子33と、y1〜ynのうちya1〜yanに配置されている発光素子34及び受光素子35との光軸が交差する領域が取引画面の「暗証番号入力画面」の有効領域として設定されている。また、図7に示されるように、これらの発光素子32,34及び受光素子33,35からのそれぞれの光軸が交差する有効領域A1は、テンキーの領域に対応している。さらに、取引画面の「暗証番号入力画面」において、図6及び図7に示されるように、xb1〜xbnに配置されている発光素子32及び受光素子33と、yb1〜ybnに配置されている発光素子34及び受光素子35との光軸が交差する有効領域A2は「確認」ボタン及び「取消」ボタンの領域に対応している。
【0054】
また別の例として、取引画面の「処理確認画面」では、図6及び図8に示されるように、xc1〜xcnに配置されている発光素子32及び受光素子33と、yc1〜ycnに配置されている発光素子34及び受光素子35との光軸が交差する有効領域A3は「確認」ボタン及び「取消」ボタンの領域に対応している。
【0055】
このように表示領域31に対する有効領域に対応する発光素子32,34及び受光素子33,35のみが表示領域31に対してスキャンを行う。
次に、このようなATM10におけるタッチの検出処理について図9を用いて説明する。
【0056】
図9は、第2の実施の形態に係るATMのタッチの検出処理のフローチャートである。
まず、顧客がタッチパネル30aの表示領域31に表示している取引画面に対して適切にタッチを行うと、タッチパネル30aから当該タッチ検出情報が制御ユニット20に送信される。制御ユニット20の取引制御処理部24はタッチ検出情報に応じた取引処理を実行すると、以下の処理が実行される。
【0057】
[ステップS11]画面表示制御部25は、取引画面の表示準備として、取引制御処理部24が実行した取引処理後に表示する取引画面を画面情報保持部21から選択する。
[ステップS12]有効領域特定部26は、領域情報保持部22から画面表示制御部25が選択した取引画面に対応する有効領域を特定して、タッチパネル30aに通知する。なお、この時にステップS11で選択した取引画面もタッチパネル30aに通知される。
【0058】
[ステップS13]タッチパネル30aは次に表示される取引画面に対応する有効領域の情報を受信する。
[ステップS14]タッチパネル30aは受信した取引画面を表示領域31に表示すると共に、タッチパネル30aのタッチパネルコントローラは受信した有効領域に対応するタッチパネル30aの発光素子32,34及び受光素子33,35を駆動させて当該有効領域のスキャンを実行させる。これによりタッチパネル30aは顧客からのタッチを受け付けることができる。
【0059】
[ステップS15]タッチパネル30aの有効領域内の発光素子32,34及び受光素子33,35の遮光をタッチパネルコントローラが検出すると、タッチパネルコントローラは遮光に基づくタッチ検出情報を制御ユニット20に送信する。
【0060】
なお、ステップS15のタッチパネル30aの有効領域内の発光素子32,34及び受光素子33,35の遮光の検出処理については後述する。
[ステップS16]制御ユニット20のタッチ検出受信部23はタッチ検出情報を受信する。
【0061】
[ステップS17]取引制御処理部24はタッチ検出情報に応じた処理を実行する。
以下、ステップS11に進められて再び上記の処理が繰り返し実行される。
次に、ステップS15のタッチパネル30aの遮光の検出処理について図10を用いて説明する。
【0062】
図10は、第2の実施の形態に係るATMのタッチパネルの遮光検出の処理手順を示すフローチャートである。
タッチパネルコントローラは有効領域に対応する発光素子32,34及び受光素子33,35を駆動させて有効領域に対応するx方向、y方向の順にスキャンを実行させる。
【0063】
[ステップS15a]タッチパネルコントローラは有効領域のx方向に配置された発光素子32及び受光素子33のいずれかで遮光を検出するとステップS15bの処理に移り、検出しない場合にはステップS15dの処理に移る。
【0064】
[ステップS15b]タッチパネルコントローラは有効領域のy方向に配置された発光素子34及び受光素子35のいずれかで遮光を検出するとステップS15cの処理に移り、検出しない場合にはステップS15dの処理に移る。
【0065】
[ステップS15c]タッチパネルコントローラは検出した有効領域内の発光素子32,34及び受光素子33,35における遮光に基づくタッチ検出情報を制御ユニット20に送信する。
【0066】
[ステップS15d]タッチパネルコントローラは発光素子32,34及び受光素子33,35の遮光の検出の実行を待機する。
なお、ステップS15aとステップS15bとの処理の順序は逆であっても構わない。
【0067】
以上の処理により、ATM10ではタッチパネル30aのタッチの検出処理が実行される。
次に、このようなATM10によるタッチの検出処理について「暗証番号入力画面」を例に挙げて図6及び図7を用いて具体的に説明する。
【0068】
まず、画面表示制御部25は、取引制御処理部24が実行した取引処理後に表示する「暗証番号入力画面」を画面情報保持部21から選択する(ステップS11)。
有効領域特定部26は、画面表示制御部25が選択した「暗証番号入力画面」に対応する有効領域(xa1〜xan,xb1〜xbnの発光素子32及び受光素子33、並びにya1〜yan,yb1〜ybnの発光素子34及び受光素子35(図6))を特定して、「暗証番号入力画面」と共に特定した有効領域をタッチパネル30aに通知する(ステップS12)。
【0069】
タッチパネル30aは受信した「暗証番号入力画面」を表示領域31に表示すると共に、受信した有効領域に対応する発光素子32,34及び受光素子33,35を駆動させて、図7に示されるように、有効領域A1,A2のスキャンを行わせる(ステップS13,S14)。
【0070】
ここで、顧客は「暗証番号入力画面」に対して暗証番号の入力を行う。
顧客は、有効領域A1内のテンキーの数字の「1」をタッチしようとして指先をテンキーに近づける。この際、テンキーの数字の「1」に対するタッチよりも先に顧客の衣服の袖が表示領域31の余白領域のタッチ位置P1をタッチしてしまう。
【0071】
タッチパネルコントローラは、タッチ位置P1による有効領域A1のx方向のxa1〜xanの発光素子32及び受光素子33の遮光を検出するが(ステップS15a,yes)、有効領域A1のy方向のya1〜yanの発光素子34及び受光素子35の遮光は検出しない(ステップS15b,no)。したがって、袖によるタッチはタッチパネル30aに検出されないため、タッチパネルコントローラは発光素子32,34及び受光素子33,35の遮光の検出の実行を待機する(ステップS15d)。
【0072】
さらに、顧客は、袖の余白領域のタッチ位置P1へのタッチに続けて、テンキーの数字の「1」(タッチ位置P2)をタッチする。
タッチパネルコントローラは、タッチ位置P1による有効領域A1のx方向のxa1〜xanの発光素子32及び受光素子33の遮光を検出し(ステップS15a,yes)、さらに、有効領域A1のy方向のya1〜yanの発光素子34及び受光素子35の遮光も検出する(ステップS15b,yes)。したがって、テンキーの数字の「1」のタッチがタッチパネル30aに検出されて、タッチパネル30aからタッチ検出情報が制御ユニット20に送信される(ステップS15c)。
【0073】
制御ユニット20の取引制御処理部24は、図7中の暗証番号に「1」を表示させる(ステップS16,S17)。
同様にして暗証番号の入力を受け付けて、有効領域A2の「確認」ボタンがタッチされて所定の処理が正常に実行されると(ステップS17)、画面表示制御部25は「暗証番号入力画面」から次の画面の表示準備を行って上記と同様の処理が行われる(ステップS11)。
【0074】
このようにATM10では、タッチパネル30aが表示する取引画面に対応付けられた、取引画面のタッチ検出可能な有効領域に基づいて、タッチパネル30aに表示させる取引画面のタッチの検出を実行させるようにした。これにより、タッチパネル30aが表示する取引画面の有効領域以外の領域を顧客の袖等が意図せずにタッチを行った状態で、顧客が有効領域内に意図してタッチを行って複数点がタッチされた場合でも、顧客の意図するタッチが正常に検出されるようになる。したがって、タッチパネル30aに対する複数点タッチによる誤操作を防止することができるようになる。
【0075】
また、ATM10では、タッチパネル30aの表示領域31に表示される取引画面に対してタッチ検出可能な有効領域を設定するだけで容易にこのようなタッチパネル30aに対する誤操作の防止を行うことができる。
【0076】
また、タッチパネル30aが備えるタッチを検出されるための発光素子32,34及び受光素子33,35は有効領域に対応するものだけが駆動されるために、発光素子32,34及び受光素子33,35の劣化を遅延させてタッチパネル30aを長寿命化させることもできる。
【0077】
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、制御ユニット20が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体(可搬型記録媒体を含む)に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等がある。磁気記録装置には、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ等がある。光ディスクには、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM、CD−ROM、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)等がある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto-Optical disk)等がある。
【0078】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0079】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムにしたがった処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムにしたがった処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムにしたがった処理を実行することもできる。
【0080】
なお、上述の実施の形態は、実施の形態の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
さらに、上述の実施の形態は、多数の変形、変更が当業者にとって可能であり、説明した正確な構成及び応用例に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0081】
1 自動取引装置
2 タッチパネル
2a 表示領域
2b1〜2b4 ボタン領域
2c 余白領域
3 制御部
3a 領域情報保持部
3b 表示要求部
3c 検出要求部
3d 送信部
P1,P2 タッチ位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面を表示して操作入力を受け付けるタッチパネルを備える自動取引装置において、
前記タッチパネルが取引ごとに表示する取引画面に対応付けられた、前記取引画面のタッチの検出が有効な有効領域の情報を保持する領域情報保持部と、
取引に応じた取引画面を前記タッチパネルに表示させる表示要求部と、
前記領域情報保持部から前記タッチパネルに表示させる前記取引画面に対応する前記有効領域を特定し、特定した前記有効領域に基づいて前記タッチパネルにタッチの検出を実行させる検出要求部と、
を有することを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
前記有効領域は、処理を行わせるためのボタンを示す、前記取引画面のボタン領域に対応することを特徴とする請求項1記載の自動取引装置。
【請求項3】
前記タッチパネルは、一対の発光素子と前記発光素子からの光を受け付ける受光素子との間の光軸が交差するように複数配置され、前記有効領域に対応付けられている前記一対の発光素子及び受光素子を備える、
ことを特徴とする請求項1記載の自動取引装置。
【請求項4】
前記タッチパネルは、前記有効領域に対応付けられた前記一対の発光素子及び受光素子において2方向の光の遮光に基づきタッチを検出する、
ことを特徴とする請求項3記載の自動取引装置。
【請求項5】
画面を表示して操作入力を受け付けるタッチパネルの検出方法において、
取引に応じた取引画面を前記タッチパネルに表示させ、
前記タッチパネルが取引ごとに表示する取引画面に対応付けられた、前記取引画面のタッチの検出が有効な有効領域の情報から前記タッチパネルに表示させる前記取引画面に対応する前記有効領域を特定し、特定した前記有効領域に基づいて前記タッチパネルにタッチの検出を実行させる、
ことを特徴とするタッチパネルの検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−20533(P2013−20533A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154715(P2011−154715)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】