説明

自動案内車両の接地装置

自動案内車両を電気的に接地することに関連して用いられる装置及び方法である。接地ストラップが自動案内車両から懸垂され、該接地ストラップが該自動案内車両の走行通路に沿って床に設置された導電性の接地部材と接触するように構成される。動作において、該接地ストラップは導電性部材と接触し、これによって該自動案内車両と関連して使用される電子機器を電気的に接地する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非導電材料で被覆された床面上の通路を走行して物品を設定場所に自動的に配送する自動案内車両を電気的に接地するための接地装置ないしシステム及びそのための接地方法に関する。特に本発明は、自動案内車両内に蓄積する、電荷、例えば、静電気等を防止し、これによって該自動案内車両に係る人や機器に対する損傷をなくすために、地面に該車両を電気的に接地ないしアースすることに関する。本発明においては、接地ストラップが使用される。該ストラップは自動案内車両から延出するとともに地面に電気的に接地ないしアースされる接地装置と接触するようになっている。
【背景技術】
【0002】
この種の自動案内車両は、現在においては多くの産業上の利用に供されている。これら車両は、例えば産業設備内に設置された所定の案内通路に沿って材料等を搬送するのに用いられる。このような自動案内車両は、該車両を自動状態で案内するのに種々の方法を利用している。これら種々の案内方法の殆どは自動案内車両上に配置された電子機器を使用する。更に、ある場合には該車両が電動モータを備え、該モータによって車両に動力が付与されるとともに設備内の種々の場所での動作が遂行される。
【0003】
設備管理及び材料処理産業においては、電荷の静電気蓄積が知られている。これが適切に管理されないと、該蓄積された静電気によって設備内の電子機器が害されるとともに同設備内の作業者等にも人的被害が及ぶ。従来の接地装置は、金属チェーン、可撓性導電片及び導電面被覆(コーティング)を備える。金属チェーンは、被覆のないセメント面等の面と接触するように車両フレームに設けられるのが知られている。このようなチェーンの場合は、破断やはね上り、あるいは危険なスパークを発生させるなどの問題が知られている。米国特許第4,321,653号には、地面と接するように自動案内車両のフレームに設けられた可撓な導電性帯片が開示されている。この公知の接地装置は、導電面での使用で、大抵の場合、接地面での使用として設計されており、非導電性材料で被覆された面上での使用を予定していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
導電性被覆は産業界において比較的新しい技術であるが、設備内の作業者や機器を保護するために、設備内機器の接地ないしアースを助成することで知られている。案内車両の使用が計画された場合、大抵の設備の床面は、このような導電性被覆が施され、これによって該車両を車両の車輪(タイヤ)を介して導電性被覆部分に電気的に接地ないしアースする。しかし、このような車両の使用が増大するにつれ、多くの設備において、導電性被覆が施されていない床面で、かかる車両を使用することがなされ、非導電性の被覆が残されている。このような事情において、設備の床面では導電性被覆がされていないので、設備内の機器等の接地に悪影響を及ぼし、深刻な静電気蓄積の危険を引起す問題があった。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0005】
本発明は、上記の問題を解決するために以下の接地装置ないしシステムを提案するものである。すなわち、本発明の接地装置ないしシステムは、自動案内車両を電気的に接地するためのものであって、該自動案内車両から懸垂されるとともに該自動案内車両を接地ないしアースするために少なくとも1つの接地手段ないし部材と接触するようにされた接地ストラップを備える。該自動案内車両は、動力源を備え、これが該車両の搭載(オンボード)電子機器に動力を付与するとともに接地ワイヤで接地ストラップに接地ないしアースされる。
【0006】
又、本発明は、非導電性の床面上で使用する自動案内車両を電気的に接地する方法を提案する。この本発明の方法のステップは、導電性の接地ストラップを自動案内車両に設置し、該自動案内車両の動力源の負(ネガティブ)のワイヤを接地ストラップに接続し、導電性の接地手段ないし部材を自動案内車両が走行する面に設置し、該自動案内車両が該面上を走行する際に該接地手段ないし部材と接触するように前記接地ストラップを位置づけることとよりなる。
【0007】
本発明の更なる特徴は、以下に詳述する本発明の実施形態の説明、特許請求の範囲及び図面からも明らかにされる。しかし、本発明は、以下に詳述する実施形態に限定されるものでなく、種々の変形構成をも包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る接地装置ないしシステムを設置した面上で自動案内車両が通路に沿って走行する態様を示す平面図である。
【図2】非導電性面上にある自動案内車両の概要斜視図である。
【図3】本発明に係る接地装置の部分的側面図である。
【図4】本発明に係る接地装置の他の実施形態を示す部分的側面図である。
【図5】本発明に係る接地装置の更に他の実施形態を示す部分的側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1には、床上に規定した所定の走行通路14に沿って走行する自動案内車両10の床面の平面図が示されている。自動案内車両10は、該車両10から懸垂した接地ストラップ16と、該車両10上の電子機器に動力を付与するために該車両10上におかれた動力源18とを備える。図1に示された床面には該床12に設置された、例えば銅よりなる多数の接地手段ないし部材(以下、単に接地部材という)20がある。
【0010】
図2に示すように、自動案内車両10は、フレーム30、車輪(タイヤ)32、動力源18及び接地ストラップ16を備える。正(ポジティブ)の端子22は、ワイヤハーネス25を介して該車両10上に電子機器26に電流を流す。この電子機器26には、電動モータや搭載(オンボード)コンピュータが含まれる。負(ネガティブ)の端子24は負のワイヤをなす接地ワイヤ28を有し、該ワイヤ28は該負の端子24と接地ストラップ16を接続する。この負の端子24を接地ストラップ16に直接接続する構成としたことにより、電子機器26により生じる全ての電位差が、接地ストラップ16を介して接地部材20に直接、接地ないしアースすることにより減少させることができる。尚、多くの電位差に伴う危険性が低い適用性においては、接地ストラップ16への直接接続するのに代えて、負の端子24を該車両10のフレーム30に接続することもできる。
【0011】
図3には自動案内車両10の一部が示されているが、ここにおいて、接地ストラップ16は該車両10の後縁34から懸垂した態様をなす。この実施形態において、接地ストラップ16は導電性金属帯片38を囲む複合型ないしコンポジット型のハウジング36よりなる。導電性金属帯片38は、その一端40においてハウジング36の一端部から延出するとともに車両10に取付けられるとともに、他端42においてハウジング36の他端部から延出して床12に設置された接地部材20に接触する。この構成において、接地ストラップ16は、ブラケット44及びファスナー46を用いて車両10の後縁34に取付けられる。他の取付け方法として、例えば、溶接にてストラップ16を車両10に固定してよい。更に、接地ストラップ16は、車両10の後縁34以外の他の部位にも取付け得る。
【0012】
図3において、接地部材20は、床12に付与された非導電性被覆面50を有する床12に埋設されている。例えば、該接地部材20は、図示のごとく、銅よりなる複数の導電性ロッドで構成され、各ロッドは互いに所定の等しい間隔をもって、離間した状態で設置される。この離間距離は、走行通路14の長さや該車両10上に用いられる電気量などの所定のファクターを考慮して算出される。この接地部材20は、床12に形成したドリル穴に固定し得る。ドリル穴の深さは、該接地部材20が地面に接地ないしアースされるに十分な程度、非導電性被覆面50よりも下方に至るように設定される。
【0013】
図4に示す本発明に係る接地装置の他の実施形態において、接地部材20は、複数のベース状のステーション60で構成される。これらステーション60は互いに所定の等しい間隔をもって、離間した状態で設置される。例えば、該ステーション60よりなる接地部材20は、その盛り上りを小さくしてあり、床12上での歩行を容易にする。又、各ステーション60の盛り上り部の周縁をテーパ状にして反射面を形成し、これが歩行する人に対して該ステーションをより明確に目視させる改善効果を発揮する。ステーション60の床12にあけたドリル穴内に固定され、その深さは前述の実施形態と同様、該接地部材20が地面に十分に接地ないしアースされる程度、非導電性の被覆面50より下方に至るよう設定される。
【0014】
図5には、本発明に係る接地装置の更なる実施形態が示されている。ここにおいて、接地部材20は床12に設置されたレールで構成される。このレールは床12上に種々の態様で設置することができ、その各々は、該接地部材20と地面との接地ないしアースを可能とするように非導電性被覆面50より下方に至る十分な深さを有する。例えば、このレールは被覆面50から離間したサポート52を有する。接地ストラップ16は車両10から十分な長さ、下方に延出ないし懸垂し、該ストラップ16が走行通路14の全距離にわたってレールと接触する。これはレールが該通路に沿うように形成されるからである。図示のように、接地ストラップ16は導電性帯片38を囲うハウジングを備えない。該レールよりなる接地部材20は走行通路14の全長にわたって延出する構成の他に、該通路14の一部のみに沿う構成も可能である。
【0015】
以上、本発明に係る接地装置においては、床面上に非導電性の被覆が施されているような、非導電性の床での使用に適している。ここにおける床の被覆は非導電性コーティングであるから、このコーティングが車両の車輪(タイヤ)を介しての地面との接地ないしアースの機能を阻害する。もし、該車両が接地ないしアースされないと、静電気の電荷が蓄積し、該車両内の電子機器に悪影響を与えるとともに関係する作業員にも危険を及ぼす恐れがある。しかし、本発明の接地装置においては、このような非導電性被覆の床で使用する場合、該車両10に接地ストラップ16が設けられ、他方、床12には接地部材20が設置される。車両10上の動力源18は該車両10上の電子機器に電流を供給し、該車両10を床12上の走行通路に沿って走行させる等の機能を遂行させる。動力源18の負(ネガティブ)の端子を接地ないしアースさせるために、負のワイヤをなす接地ワイヤ28が車両10のフレームに、又は、接地ストラップ16に直接、接続される。接地ストラップ16は車両10から下方に延出、ないしはそれから懸垂され、その延出長さは該ストラップ16が接地部材20と接触するのに十分な程度に設定される。
【0016】
以上、本発明の種々の実施形態について説明したが、本発明は、これら実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変形例をも含むものである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動案内車両を電気的に接地させるための装置であって、
前記自動案内車両から懸垂された接地ストラップと、
該自動案内車両に動力を付与するための少なくとも1つの動力源と、
該動力源から前記接地ストラップへ延出した接地ワイヤと、
を備え、
前記接地ストラップは、少なくとも1つの接地部材と接地して該自動案内車両を電気的に接地することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記接地部材は床に設置されるとともに導電性金属のロッドよりなる請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ロッドは、互いに所定間隔をおいて複数配置されてなる請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ロッドは、銅よりなる請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記接地部材は、導電性材料よりなる請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記接地部材は、低い盛り上り部を有するとともに所定間隔をおいて複数配置されたステーションよりなる請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記ステーションは、反射部を有してなる請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記接地部材は、該自動案内車両の通路に沿って延出したレールよりなる請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記レールは導電性材料よりなる請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記接地ワイヤは、前記動力源から該自動案内車両のフレームへ延出してなる請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記接地ストラップは、前記フレームに取付けられてなる請求項10に記載の装置。
【請求項12】
自動案内車両を電気的に接地するための方法であって、
前記自動案内車両に導電性の接地ストラップを取付け、
該接地ストラップに、該自動案内車両の動力源の負のワイヤを接続し、
該自動案内車両が走行する面に導電性の接地部材を設置し、
該自動案内車両が該面上を走行する際に、前記接地ストラップを該接地部材と接触するように位置づける、
ことよりなる方法。
【請求項13】
前記接地部材は、互いに所定間隔をおいて配置された複数の導電性ロッドよりなる請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記接地部材は、該面上で該自動案内車両が走行する通路に少なくとも部分的に延出したレールよりなる請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記接地部材は、反射面を有する低い盛り上り面を備えてなる請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記負のワイヤは、該自動案内車両のフレームに固定されてなる請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記接地ストラップは前記フレームに取付けられてなる請求項16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−509130(P2010−509130A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−536383(P2009−536383)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【国際出願番号】PCT/US2007/082923
【国際公開番号】WO2008/060847
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(595057306)ジエービス・ビー・ウエブ・インターナショナル・カンパニー (7)
【Fターム(参考)】